(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】パーキンソン病を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20230207BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230207BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230207BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230207BHJP
A61K 38/43 20060101ALN20230207BHJP
C12N 15/60 20060101ALN20230207BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20230207BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61P25/16
A61K35/76
A61K48/00
A61K38/43
C12N15/60 ZNA
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535694
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020064928
(87)【国際公開番号】W WO2021119615
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517271175
【氏名又は名称】メイラグティーエックス ユーケー アイアイ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドリア フォーブズ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー デュリング
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084DC01
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA15
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086NA14
4C086ZA01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
(57)【要約】
グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を使用してパーキンソン病(PD)などの神経障害を治療し、PDを治療する方法に対して最も受容性であろうPD患者を特定するための方法が開示される。一態様では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法であって、(a)1日あたり約10時間未満、好ましくは約8時間未満のオンタイムを有する対象を特定することと、(b)患者の視床下核に対して治療有効量の1つ以上のベクターを含む組成物を対象に投与することであって、各ベクターが、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)をコードする核酸配列を含み、対象のオンタイムが増加する、投与することと、を含む、方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病(PD)を治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法であって、
(a)1日あたり10時間未満のオンタイムを有する対象を特定することと、
(b)患者の視床下核に対して治療有効量の1つ以上のベクターを含む組成物を前記対象に投与することであって、各ベクターが、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)をコードする核酸配列を含み、前記対象のオンタイムが増加する、前記投与することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記対象が、治療前に1日あたり8時間未満のオンタイムを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、オフ薬物状態におけるUPDRSの第III部で30以上のスコアを有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のベクターが、前記患者の前記視床下核に対して両側的に導入される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のベクターが、GAD-65をコードする核酸配列と、GAD-67をコードする核酸配列と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、約1:1の比率のGAD-65をコードするベクターと、GAD-67をコードするベクターと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のベクターが、ウイルスベクターである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、少なくとも1×10
11ベクターゲノム/mlを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、少なくとも3×10
11ベクターゲノム/mlを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、少なくとも1×10
12ベクターゲノム/mlを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、治療後12ヶ月でオンタイムの少なくとも40%の増加を示す、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、治療後12ヶ月後にオンタイムの少なくとも30%の増加を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、治療後12ヶ月後にオンタイムの少なくとも20%の増加を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月12日に提出された米国仮出願第62/947,418号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、パーキンソン病(PD)及び他の神経変性障害を治療するための方法ならびに組成物に関する。より詳細には、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)のアイソフォームをコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを対象に投与することと、PDの治療方法に対して最も受容性であろう標的患者集団を特定することと、を含む方法が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
中枢神経系の障害、特にドーパミン神経伝達物質を伴う障害は、毎年世界中の何百万人もの人々に影響を与えている。世界中で1000万人以上、米国では100万人近くの患者が、最も一般的な中枢神経系障害のうちの1つである、パーキンソン病(PD)を伴って暮らしている。
【0004】
PDは、遺伝的因子及び非遺伝的因子の両方に関与する多因子疾患である。PDの発達に寄与し得るいくつかのメカニズムとしては、ミスフォールドタンパク質凝集体の蓄積、タンパク質クリアランス経路の不全、ミトコンドリア損傷、酸化ストレス、興奮毒性、神経炎症、及び遺伝子変異が含まれる。PDは、大脳基底核及び黒質と称される脳の神経細胞部分に影響を与える。黒質は、中脳に位置する大脳基底核の構造であり、リワード(reward)及び運動において重要な役割を果たす。この領域は主に、神経伝達物質ドーパミンを産生するドーパミン作動性ニューロン(DA)で構成される。脳では、ドーパミンは、バランス及び身体の運動の制御に関与する、ニューロンの興奮性を制御する阻害性神経伝達物質として機能する。正常な脳では、DAニューロンはシナプスを横切り、受容細胞上の受容体に適合する、ドーパミンを放出する。その細胞は、メッセージを伝達するように刺激される。メッセージが伝達された後、受容体はドーパミン分子をシナプス内に放出し、そこで過剰なドーパミンは放出ニューロン内で「取り込まれる」またはリサイクルされる。
【0005】
ガンマアミノ酪酸、またはγ-アミノ酪酸(GABA)は、発達的に成熟した哺乳動物中枢神経系における主要な阻害性神経伝達物質である。大部分の黒質DAニューロンは、ガンマアミノ酪酸(A)((GABA(A))及びガンマアミノ酪酸(B)(GABA(B))受容体の両方を発現する。DAニューロンは、黒質における単シナプスGABAアウトプットを調節する。ドーパミンのリサイクルは、ガンマアミノ酪酸(GABA)経路によって調節される。GABA経路の活性化は、ドーパミンの増加を引き起こし、次いで、神経細胞の発火頻度を低減させることは、当該技術分野において周知である。ドーパミン作動性ニューロンの発火パターンはまた、インビボでのGABA作動性インプットによって効果的に調節される。GABA(A)受容体が利用できないことにより、ドーパミン作動性ニューロンは、自発的に発火頻度を増加させる元の発火パターンに関係なく、バースト発火パターンに移行する。
【0006】
まだ完全に理解されていない理由により、黒質のドーパミン産生神経細胞が、PD患者で死に始め、これは、多シナプスニューロンにおけるドーパミン欠乏及びドーパミン受容体を介したシグナル伝達の喪失を引き起こす。加えて、DAニューロンの欠乏は、視床下核へのガンマアミノ酪酸(GABA)阻害性インプットの低減を引き起こし、視床下核における活性の増加をもたらす。次に、視床下核は、大脳基底核内の他の細胞に増加した活性のためのシグナルを送る。GABAレベルが特定の閾値を下回ると、脳内のドーパミン枯渇を引き起こす。ドーパミンの喪失は、大脳基底核内のニューロンの活性を変化させ、神経細胞の非制御性の発火を引き起こす。ドーパミンレベルが一定点を下回る(約80%減少)と、非制御の筋肉の運動、振戦などのPDの症状が生じ始める。
【0007】
PDは、身体の筋肉運動の進行性の悪化、バランス及び協調性の不良、ならびに制御不能な震えを特徴とする。PDの標準治療は、ドーパミン前駆体L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(レボドパまたはL-ドーパ)の経口投与を伴い、PDに関連する症状を排除するが、最終的にドーパミン作動性細胞の変性を防止しない。したがって、現在使用されているPDの治療は、疾患の進行を遅延または停止させることなく、PD症状を低減させるだけである。
【0008】
L-ドーパの投与は、PD患者がPD症状を適切に制御する期間である「オンタイム」を有することを可能にする。L-ドーパの効果が消失すると、PDの症状が再発する。この期間は、オフタイムと称される。オンタイム及びオフタイムの測定は、通常、患者に薬物日記を記入するように依頼することによって計算される。この日では、患者は、L-ドーパが作動して消耗するまでの時間を記録する。PDの初期段階では、患者のオンタイムは、L-ドーパの投与で約16時間である。しかしながら、疾患が進行するにつれて、より大きな用量の薬物であっても、オンタイムの量は徐々に減少する。加えて、L-ドーパの長期投与に関連する副作用は、かなり重度であり得、うつ病、幻覚、躁病、妄想、扇動、及び過度の睡眠などの精神的変化を含む。L-ドーパの投与はまた、心血管または肺疾患、腎疾患、肝疾患または内分泌疾患を有する患者において有害な影響を有し得る。L-ドーパの長期投与に関連する副作用のいくつかは、L-ドーパをドーパミンに脱炭酸する酵素である、芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)の阻害剤である、N-アミノ-α-メチル-3-ヒドロキシ-L-チロシン一水和物の共投与によって軽減することができる。しかしながら、この薬物併用は、依然として吐き気、ジスキネジア、精神病、及び低血圧を引き起こし得る。
【0009】
PDを低分子薬物で治療する際の主な障壁のうちの1つは、ほとんどの全身投与された薬物が血液脳関門を通過できないことである。1つのアプローチは、ポリペプチドの脂質含有量を増加させ、血液脳関門を通過するそれらの輸送を促進することに焦点を当てている。別のアプローチは、脳内の毛細血管の透過性を増強することに集中している。しかしながら、これらのアプローチはいずれも、血液脳関門を通過する問題を解決していない。ドーパミンを脳に産生する操作された細胞の移植及び脳深部刺激などのPDを治療する他のアプローチは、高い死亡率、重篤な感染の可能性の増加、及び潜在的な脳損傷などの重度の副作用を特徴とする。さらに重要なことに、利用可能な薬剤のいずれも、PDの根本的な原因に対処したり、PD患者に重篤な副作用を伴わずにより多くのオンタイムを提供したりすることはできない。
【0010】
PDの治療における現在の制限を考慮すると、(1)PDの非一過性治療、特に現在の標準治療に応答しないPD患者における非一過性治療、(2)重大な副作用を引き起こすことなくPD患者におけるオンタイムを効果的に延長する非一過性治療、及び(3)PDの非一過性治療に対して最も受容性であろう患者集団を特定するための信頼できる方法に対するニーズは依然として満たされていない。
【発明の概要】
【0011】
一態様では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法であって、(a)1日あたり約10時間未満、好ましくは約8時間未満のオンタイムを有する対象を特定することと、(b)患者の視床下核に対して治療有効量の1つ以上のベクターを含む組成物を対象に投与することであって、各ベクターが、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)をコードする核酸配列を含み、対象のオンタイムが増加する、投与することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、1つ以上のベクターは、患者の視床下核に対して両側的に導入される。
【0012】
一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、対象は、治療前に1日あたり10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、または4時間未満のオンタイムを有する。
【0013】
一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、1つ以上のベクターは、GAD-65をコードする核酸配列、及び/またはGAD-67をコードする核酸配列を含む。実施形態では、2つのベクターが投与され、一方のベクターは、GAD-65をコードする核酸を含み、他方のベクターは、GAD-67をコードする核酸を含む。さらなる実施形態では、GAD-65をコードする核酸を含むベクター及びGAD-67をコードする核酸を含むベクターは、約1:2~約2:1、好ましくは約1:1の比率で投与される。
【0014】
一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、方法で使用される1つ以上のベクターは、GAD-65をコードし、かつGAD-67をコードする核酸配列を含む。一実施形態では、ヒトGAD-65のアミノ酸配列は、配列番号1(Genbank受託番号NM000818;M81882)として提供される。別の実施形態では、ヒトGAD-65のアミノ酸配列は、配列番号3として提供される。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号1または配列番号3の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるタンパク質をコードする。実施形態では、GAD-65をコードする核酸配列は、配列番号2または配列番号4を含む。いくつかの実施形態では、GAD-65をコードする核酸配列は、配列番号2または配列番号4の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。一実施形態では、ヒトGAD-67のアミノ酸配列は、配列番号5(受託番号M81883)として提供される。別の実施形態では、ヒトGAD-67のアミノ酸配列は、配列番号7として提供される。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号5または配列番号7の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるタンパク質をコードする。実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号8を含む。実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号6または配列番号8の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0015】
一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、方法で使用される1つ以上のベクターは、ウイルスベクターである。一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、開示されるウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0016】
一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、組成物は、少なくとも1x1011ベクターゲノム/mlを含む。一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、組成物は、少なくとも3x1011ベクターゲノム/mlを含む。一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、組成物は、少なくとも1x1012ベクターゲノム/mlを含む。
【0017】
一実施形態では、本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、対象は、治療前と比較して、治療後12ヶ月でオンタイムの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%の平均的な増加を示す。実施形態では、対象は、治療後12ヶ月でオンタイムの約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5時間の増加を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】AAV-GAD遺伝子療法後の「オン」タイムの増加。STNへのAAV-GAD(GAD)または偽手術(偽)のいずれかを受けた対象は、列挙された各時点(手術後1、3、6、及び12ヶ月)で2週間、毎日、日記に毎時のオン及びオフタイムを記録した。日記から決定した2週間の期間にわたる1日の平均オン及びオフタイムを、手術後のオンタイムの時間数の変化を決定するために、手術前30日以内に取得したベースラインの日記と比較した。分散分析により、12ヶ月の研究期間全体にわたって群間に全体的な差が認められた(ANOVA;p=0.44)。両側t検定は、手術後3ヶ月及び12ヶ月でのオンタイムの有意な増加を示し(p<0.05)、1ヶ月の有意性に対する強い傾向を示した。オンタイムの平均的な増加は、AAV-GAD群の研究にわたって1~2.5時間であり、いかなる時点でも偽群の変化は最小限または平均的でなかった。
【
図2】ベースラインオンタイムとAAV-GAD遺伝子療法後のオンタイムの変化との間の相関。手術後12ヶ月で、AAV-GAD治療群における対象ごとのベースラインからの1日の平均オンタイムの変化は、同じ期間にわたる同じ対象についての臨床スコアの変化と相関していた。使用した臨床スコアは、パーキンソン病患者のための運動機能の至適基準評価である統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の第3部であった。これは、ベースラインでのオンタイムのより少ない時間(より重度の患者)が、治療後のオンタイムの時間数のより大きな増加(より大きな応答)を予測したことを示す、視床下AAV-GAD遺伝子療法後12ヶ月でのベースラインオンタイムとオンタイムの増加との間に強い相関関係があることを示す(r=-0.59)。低いベースラインオンタイムを伴う対象は、治療後のオンタイムの増加を示した。8時間未満のオンタイムを伴う患者は、オンタイムの1日あたり平均3.5時間の増加を伴って、AAV-GAD療法に対して最大の応答を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法、ならびにPDを治療する方法に対して最も受容性であろうPD患者を特定する方法を提供する。一態様では、1日あたり10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満のオンタイムを有する対象を特定し、オンタイムを増加させるために患者の視床下核に治療有効量のGADを投与することによって(例えば、GAD-65及びGAD-67を発現させることによって)PDを治療する方法が提供される。
【0020】
患者の選択
一態様では、本開示は、本開示で提供される治療から最も利益を得ることができる患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、1日あたり約10時間以下のオンタイムを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1日あたり約9時間以下、約8時間以下、約7時間以下、約6時間以下、または約5時間以下のオンタイムを有する。疾患の開始時に、典型的には、診断の最初の3~5年以内に、L-ドーパの単一用量は、患者が約16時間のオンタイムを有することを可能にする。疾患が進行するにつれて、L-ドーパ薬物の投与量が増加しても、オンタイムの期間は徐々に短くなる。PDの中間期、典型的には、診断から約5~10年後、50~70%の患者が、L-ドーパ誘導性運動合併症を罹患する。この段階で、L-ドーパの利益は約4時間以下で消耗し、患者はオンタイム及びオフタイムの運動応答の間で変動し始める。疾患の進行が増加するにつれて、L-ドーパの単一用量後の応答持続期間は徐々に短くなり、最終的には進行期PD患者(典型的には診断後10年を超える)のL-ドーパの血漿半減期(約60~90分)を反映し得る。いくつかの事例では、患者は、所与の用量のL-ドーパに対する応答に失敗し得る。最も困難な臨床状況は、L-ドーパ用量との関係が失われているように見えるオンタイム状態とオフタイム状態との間で患者が急速に変動する、真性「オンオフ」またはヨーヨー現象であると説明される。ジスキネジア及びオフタイム期間はこの段階では重度であり、それを利用可能な療法で、患者を満足に制御することは困難または不可能であり得る。加えて、中間期及び進行期の患者は、L-ドーパ薬物の増加に起因する有害な副作用に罹患する。
【0021】
ステージ3以上のPDを有する患者の標準的な治療は、L-ドーパ及びAADC阻害剤の組み合わせである。この療法は、PD症状を一時的に緩和することにより、患者が自身の機能を再び制御できるようにする。本明細書で使用される場合、PD患者がPD症状からの緩和を経験する期間は、「オンタイム」と称される。オンタイム期間中に緩和されたPD症状には、運動制御の喪失、疼痛、不明瞭発語、振戦、及びバランス障害が含まれるが、これらに限定されない。薬物の効果が消失するにつれて、振戦及び他のPD症状が戻る。本明細書で使用される場合、患者が薬物の消耗によりPD症状の再発を経験する期間は、「オフタイム」と称される。
【0022】
オンタイム及びオフタイムの測定は、患者によって保持される薬物日記によって決定することができる。患者は、薬物が効果を発揮したと感じる時間、運動機能が制御可能であること、薬物が消耗していると感じる時間、PD症状の再発が生じたことを記録する。臨床医は、日記に記載されたタイミングを使用して、特定の時点でのPD患者のオンタイム及びオフタイムを決定する。オンタイム及びオフタイムはまた、限定されないが、運動センサ、加速度計、及び姿勢検出デバイスを含む装着型デバイスを使用して、例えば、PDと関連付けられた低運動性特徴及び超運動性特徴を測定及び追跡することによって測定され得る。
【0023】
実施形態では、患者は、本明細書に記載の療法を受ける前に少なくとも3年間PDを有している。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも4年間、または少なくとも5年間PDを有する。実施形態では、本明細書に記載の療法を受ける患者は、疾患のステージ2、ステージ3、ステージ4、またはステージ5にある。PDの進行は、5ステージに分けられ得る。PDのステージ1は、顔の表情、発話、及び/または自発運動の障害を特徴とする。症状は、最初は身体の片側にしか見られず(片側関与)、通常、機能障害は最小限または全く見られない。PDのステージ2の間、両方の脳半球が疾患の影響を受ける。その結果、振戦は徐々に両側性になり、患者の正中線に影響を与え得る。ステージ2のPDの追加の症状には、顔の両側の表情の喪失、まばたきの減少、発話異常、小さな声、単調な声、不明瞭言語、首または背中の疼痛をもたらし得る体幹の筋肉のこわばりまたは硬直、屈んだ姿勢、及び日常生活動作の全般的な遅れが含まれ得る。ステージ3は、バランスの喪失及び運動の遅延を特徴とする。バランスは、転倒を防ぐために必要な迅速で、自動的な、及び不随意性調整を行うことができないことによって損なわれ、この段階では転倒は一般的である。ステージ4の患者は、重度の制限された症状を示す。患者は補助なしで立つことが可能であり得るが、運動には歩行器が必要であり得る。ステージ5は、PDの最も進行し衰弱したステージである。脚のこわばりにより、立つまたは歩くことが不可能となり得る。患者は車椅子を必要とするか、または寝たきりである。PDのこの段階では、患者のすべての活動に24時間の介護が必要である。
【0024】
実施形態では、本明細書に開示される治療のために選択される患者または複数の患者は、薬物状態におけるUPDRSの第III部で約20以上、約30以上、または約40以上のスコアを有し、及び/またはL-ドーパの投与によって引き起こされる運動合併症を有する。PDの病期は、統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を使用して測定することができる(例えば、Metman et al,Mov.Disord.19:1079-1084(2004)を参照されたい)。UPDRS尺度には、典型的なPD症状の一連の評価が含まれる。尺度は4部で構成される:第I部は知的衰退、幻覚、うつ病などの行動上の問題を評価し;第II部は着替え、歩行、食事などを含む日常生活の活動を遂行する能力に対する患者の認識を評価し;第III部は運動障害の評価を包括し、振戦、遅延(動作緩慢)、こわばり(硬直)、及びバランスの評価を含み;第IV部は、不随意性運動(ジスキネジア)、疼痛を伴う痙攣(ジストニア)、及び不規則な薬物応答(運動変動)の評価を含むいくつかの治療合併症を包括する。第III部または運動検査は、臨床医による構造化された神経学的検査を通じてスコア化される。それは0(正常)~4(重度)までのスコアを有することができる14項目で構成される。スコアは、不随意運動の全体的なスコアを与えるために追加される。臨床医は、第III部に列挙される項目の評価から取得されたスコアを使用して、PDの重症度及び適切な治療を決定する。
【0025】
PDを治療する方法
実施形態では、本開示は、GAD-65をコードする核酸を含む1つ以上のベクター、及び/またはGAD-67をコードする核酸を含むベクターを含む、治療有効量の組成物または複数の組成物を、それを必要とする対象に投与することによって、PDの重症度または程度を治療、予防、及び/または低減する方法を提供する。実施形態では、PD患者を治療するための方法は、それを必要とする患者に1つ以上の組成物を投与することを含み、1つ以上の組成物は、GAD-65の発現のためのベクターまたは複数のベクター及び/またはGAD-67の発現のためのベクターを含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「治療すること(treating)」、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」は、疾患または障害の症状のうちの少なくとも1つを遅延すること、緩和すること、寛解すること、もしくは軽減すること、あるいは疾患または障害の発症後の1つ以上の症状を逆転させることを指す。治療の目的は、望ましくない身体的状態、障害、もしくは疾患を予防、軽減、または停止すること、あるいは有益な臨床結果を得ることである。
【0027】
「予防する(prevent)」、「予防(prevention)」などの用語は、明らかな疾患または障害の発症前に作用し、疾患もしくは障害の発症を予防するか、または疾患もしくは障害の程度を最小限に抑えるか、またはその発症の過程を遅延することを指す。
【0028】
「治癒」などの用語は、再発のリスクが小さいように、治ること、良好になること、または健康を回復すること、または疾患の再発のない時間を許容することを意味する。
【0029】
「治療有効量」という語句は、本明細書では、対象における臨床的に有意な状態の改善を引き起こすか、あるいは疾患もしくは障害に関連する1つ以上の症状を遅延または最小化または軽減するか、あるいは対象における生理学的に所望の有益な変化をもたらすのに十分な量を意味するために使用される。
【0030】
実施形態では、本明細書に記載の療法を受けている対象(例えば、治療有効量のGAD-65をコードする核酸を含む1つ以上のベクター及び/またはGAD-67をコードする核酸を含むベクターを含む組成物を受けている)は、療法を受けた後12ヶ月で約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、または約4時間のオンタイムの平均的な増加を有する。実施形態では、対象は、療法を受けた後12ヶ月でオンタイムの約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%の増加を有する。
【0031】
PD標準治療は、ドーパミン前駆体であるL-ドーパを投与して、ドーパミンを補充することを含む。しかしながら、GABAレベルを増加することはまた、より高い濃度のGABAがドーパミンレベルを戻すまたは増加させることを可能にするため、これらの非制御性の運動を停止させる。実施形態では、本開示は、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)アイソフォームを含む1つ以上のベクターを投与することによって、視床下核におけるGABAレベルを増加させる方法を提供する。GABAは、グルタメートのGABA及びCO2への脱炭酸を触媒するGADによって脳内で産生される。哺乳動物の脳は、GADの2つの異なるアイソフォーム、GAD-65及びGAD-67を発現し、それらのそれぞれの分子量65及び67kDaに因んで命名された。これらのアイソフォームは、組み合わせて、神経細胞のGABA濃度を制御するための二重システムを提供する。ヒトにおいて、GAD-67及びGAD-65の遺伝子は、異なる染色体上に位置する(GAD1及びGAD2遺伝子は、それぞれ、染色体4及び10上に位置する。)。GAD-65及びGAD-67は、異なる脳領域におけるそれらの発現レベルに有意な差を示す。GAD-67は、脳全体で均一に発現しているが、GAD-65発現は、主に軸索末端に集中される。これら2つの酵素は、合わせて、哺乳動物におけるGABAの生理学的供給の大部分を維持する。ヒトGAD-65cDNAは、585アミノ酸残基のポリペプチドをコードする(Genbank受託番号NM000818;M81882)。一実施形態では、ヒトGAD-65のアミノ酸配列は、配列番号1として提供される。別の実施形態では、ヒトGAD-65のアミノ酸配列は、配列番号3として提供される。ヒトGAD-67は、594アミノ酸残基のポリペプチドをコードする(Genbank受託番号M81883)。一実施形態では、ヒトGAD-67のアミノ酸配列は、配列番号5として提供される(Genbank受託番号M81883)。別の実施形態では、ヒトGAD-67のアミノ酸配列は、配列番号7として提供される。
【0032】
実施形態では、ベクターは、GADアイソフォームをコードする核酸配列を含む。一実施形態では、核酸配列は、GAD-65をコードする。一実施形態では、核酸配列は、GAD-67をコードする。実施形態では、ベクターは、GAD-65をコードする核酸配列と、GAD-67をコードする核酸配列と、を含む。実施形態では、GAD-65をコードする核酸配列は、配列番号1のタンパク質をコードする配列を含む。他の実施形態では、GAD-65をコードする核酸配列は、配列番号3のタンパク質をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号1または配列番号3の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるタンパク質をコードする。一実施形態では、GAD-65をコードする核酸配列は、配列番号2または配列番号4を含む。いくつかの実施形態では、GAD-65をコードする核酸配列は、配列番号2または配列番号4の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0033】
実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号5または配列番号7のタンパク質をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号5または配列番号7の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるタンパク質をコードする。実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号6を含む。実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号8を含む。実施形態では、GAD-67をコードする核酸配列は、配列番号6または配列番号8の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、2つの核酸分子またはポリペプチド間の配列同一性を指す。同一性は、比較の目的で整列され得る各配列の位置を比較することによって決定することができる。例えば、比較されるヌクレオチド配列中の位置が同じ塩基によって占められている場合、分子はその位置において同一である。核酸またはアミノ酸配列間の度合い同一性は、共有位置における同一または一致するヌクレオチドまたはアミノ酸の数の関数である。例えば、本明細書に記載の特定のポリペプチドと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の同一性を有し、好ましくは実質的に同じ機能を示すポリペプチド、ならびにかかるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが企図される。配列同一性及び類似性の両方を決定するための方法及びコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージ、BLASTP、BLASTN、FASTA、及びALIGNプログラム(バージョン2.0)を含むがこれらに限定されない、公的に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムは、類似性を決定するためにも使用され得る。BLASTプログラムは、NCBI及び他の供給源から公開されている。配列の比較において、これらの方法は、様々な置換、欠失、及び他の修飾を考慮する。
【0035】
いくつかの実施形態では、GAD-65をコードする配列及び/またはGAD-67をコードする配列は、コドン最適化される。
【0036】
本開示は、GAD-65をコードする核酸を含む第1のベクターと、GAD-67をコードする核酸を含む第2のベクターと、を含む、治療有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することによって、PD症状の重症度または程度を治療、予防、及び/または低減する方法を提供する。実施形態では、組成物中の2つのベクター(一方はGAD-65をコードし、他方はGAD-67をコードする)の比率は、約2:1~約1:2である。例えば、ベクターがAAVベクターである場合、GAD-65をコードする核酸を含むウイルス粒子と、GAD-67をコードする核酸を含むウイルス粒子との比率は、約2:1~約1:2、特に約1:1である。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療有効量のGAD-65をコードする核酸を含むベクターを含む第1の組成物と、治療有効量のGAD-67をコードする核酸を含むベクターを含む第2の組成物と、を投与することを含む。いくつかの実施形態では、第1のAAVベクター及び第2のAAVベクターは、同時に投与される。いくつかの実施形態では、第1のAAVベクターは、第2のAAVベクターの前に投与される。いくつかの実施形態では、第2のAAVベクターは、第3のAAVベクターの前に投与される。
【0038】
実施形態では、本明細書には、神経変性疾患もしくは障害を治療、予防、及び/または治癒することを必要とする対象においてそれを実施する方法であり、神経変性疾患または障害は、GABA欠乏によって媒介される、方法が提供される。一態様では、本開示は、ドーパミン作動性低活動、疾患、傷害、もしくは化学的損傷に関連する中枢神経系の疾患または障害を治療するための方法を提供する。一実施形態では、神経変性疾患または障害は、認知障害である。一実施形態では、神経変性疾患または障害は、PDである。
【0039】
ベクター
一態様では、PDを治療することを必要とする対象においてそれを実施する方法を提供し、方法は、GADをコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを対象に投与することを含む。本明細書で使用される場合、ベクターは、遺伝物質を細胞内に送達するためのビヒクルである。実施形態では、ベクターは、プラスミド、エピソーム、RNA分子、またはDNA分子を含むがこれらに限定されない核酸である。実施形態では、核酸は、環状である。実施形態では、核酸は、直鎖状である。実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0040】
本明細書に開示される方法及び組成物に有用なベクターには、自律複製が可能なベクター(エピソームベクター)及び/または細胞における遺伝子発現のために設計されたベクター(発現ベクター)が含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載のベクターは、発現ベクターである。発現ベクターは、標的細胞における核酸の発現を可能にする。発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を可能にする原核生物配列、及び真核生物細胞におけるコードされたポリペプチドの発現を促進する真核生物配列の両方を含有し得る。プラスミドの調製及び宿主生物の形質転換に利用される様々な方法は、当該技術分野で既知である。
【0041】
いくつかの実施形態では、GAD発現ベクターは、失われた細胞を、GADを発現する移植される細胞で置き換えるエクスビボ遺伝子療法を介して送達することができる。かかる細胞を使用する利点は、患者自身の細胞を自家移植手順で使用できるため、減少した免疫抵抗性の可能性である。
【0042】
いくつかの実施形態では、ベクターは、非ウイルス送達システムを使用して、例えば、コロイド分散系、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、微粒子、ビーズ、ならびに水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質系システムなどを使用して送達することができる。
【0043】
特定の実施形態では、本明細書に記載のベクターは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターの例には、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス、AAV)、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えば、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、はしか及びセンダイ)、プラス鎖RNAウイルス、例えば、ピコルナウイルス、アルファウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス)を含む二本鎖DNAウイルス、及びポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、及びカナリアポックス)が含まれるが、これらに限定されない。他のウイルスには、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、及び肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例には、トリ白血病-肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、及びスプーマウイルスが含まれ得る。
【0044】
実施形態では、GADをコードする核酸を含むベクターは、遺伝子療法において使用されるウイルスベクターである。GAD導入遺伝子は、組換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、及び単純ヘルペスウイルス-1などの遺伝子療法に使用される任意の種類のウイルスベクターに組み込むことができる。
【0045】
一実施形態では、組換えAAV(rAAV)は、GAD導入遺伝子送達に使用されるベクター(複数可)である。AAV粒子は、AAVカプシドタンパク質コートに不随する直鎖状の一本鎖AAV核酸ゲノムを含む。AAVは、アデノウイルス、ワクシニア、またはヘルペスウイルスであり得るヘルパーウイルスなしで複製することができない。ヘルパーウイルスが存在しない場合、AAVは潜伏状態を想定して宿主細胞染色体にそのゲノムを挿入する。ヘルパーウイルスによる後続の感染は、潜伏した統合コピーを救出し、その後、複製して感染性ウイルス子孫を産生する。
【0046】
組換えAAV(rAAV)ベクターは、組換えウイルスゲノム及びカプシドタンパク質を含む。GAD導入遺伝子(複数可)を含むrAAVゲノムは、導入遺伝子(複数可)、好適な制御性要素、及びrAAVゲノムのパッケージ化に必要なウイルス要素をコードするポリヌクレオチドから組み立てることができる。rAAVゲノムを構築するための一般的な方法は、当技術分野で即知である。AAV系発現ベクターは、利用可能な制限部位を直接使用するか、または制限酵素を用いて導入遺伝子を切除し、続いて末端を研磨し、任意にリンカーを使用して、AAV発現ベクターにライゲーションすることによって、導入遺伝子のサブクローニングに使用することができる、制限部位と隣接するAAV逆位末端配列(ITR)から構成され得る。GAD導入遺伝子は、例えば、エンハンサー、プロモーター、及び/またはAAV ITRと隣接する転写後制御配列(PRE)を含む1つ以上の発現制御要素とともに、AAV系発現ベクターに組み込まれ得る。
【0047】
特定のカプシドタンパク質を有するrAAVベクターを作製するための方法は、当該技術分野で既知である。ウイルス粒子は、rAAVゲノムをカプシド中にトランスでパッケージングするために必要な成分を提供することによって作製することができ、または必要な成分は、操作された宿主細胞によって提供され得る。両方の方法は、当業者に既知の標準的な分子生物学的技法を使用する。必要な要素の一部またはすべては、誘導性または構成的プロモーターの制御下のいずれかであり得る。rAAVを産生するための組換えAAVゲノム、rep配列、cap配列、及びヘルパー機能は、任意の適切な遺伝子要素(ベクター)を使用して、パッケージング宿主細胞に送達され得る。典型的には、組換えAAVは、AAV粒子、AAVヘルパー機能ベクター、及びアクセサリ機能ベクターにパッケージ化される組換えAAVゲノム(導入遺伝子を含む)を宿主細胞にトランスフェクトすることによって産生される。AAVヘルパー機能ベクターは、生産的なAAV複製及びカプシド化のためにトランスで機能するAAVヘルパー機能配列(すなわち、rep及びcap)をコードする。アクセサリ機能ベクターは、典型的には、AAV遺伝子転写の活性化、ステージ特異的AAV mRNAスプライシング、AAV DNA複製、cap発現産物の合成、及びAAVカプシド組み立てに関与する要素を含むが、これらに限定されない、AAV複製に必要とされる非AAV由来のウイルス及び/または細胞機能のためのヌクレオチド配列をコードする。
【0048】
本明細書で使用される場合、「AAV1」、「AAV2」、「AAV3」、「AAV4」などの用語は、それぞれ、AAV1、AAV2、AAV3、またはAAV4からの逆位末端配列(ITR)、及びそれぞれ、AAV1、AAV2、AAV3、またはAAV4からのカプシドタンパク質を含むAAVベクターを指す。「AAV2/1」、「AAV2/8」、「AAV2/9」などの用語は、それぞれ、AAV2からのITR、及びAAV1、AAV8、またはAAV9からのカプシドタンパク質を含む偽型AAVベクターを指す。
【0049】
本明細書に記載のAAVベクターは、概して、標的細胞または標的組織における導入遺伝子の転写、翻訳、及び/または発現を可能にし、5’及び3’ITRと隣接する、様式で1つ以上の制御性要素と作動可能に連結される1つ以上のGAD導入遺伝子をコードするrAAVゲノムを含む。ITR配列は、典型的には、約145bpの長さである。AAV ITR配列は、例えば、ITR配列の修飾がAAVベクター機能(例えば、rAAVゲノムの効率的なカプシド化を妨害しないという条件で、標準的な分子生物学技術を使用することによる1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換によって修飾することができる。AAV ITRは、いくつかのAAV血清型のいずれかに由来し得る。3’及び5’でのAAV ITR配列は、同一であるか、または異なるAAV血清型に由来し得る。
【0050】
導入遺伝子と作動可能に連結される発現制御要素または制御性要素は、本明細書に記載されているものの中でもとりわけ、ニワトリベータアクチンプロモーターもしくはサイトメガロウイルスエンハンサーなどのプロモーターまたはエンハンサーを含み得る。組換えAAVゲノムは、一般に、カプシドタンパク質によって(例えば、ITRが由来するものと同じAAV血清型から、またはITRが由来するものとは異なるAAV血清型から)カプシド形成される。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、GAD-65またはGAD-67をコードする、ベクター配列と異種の核酸配列である。本開示の組成物及び方法と併せて使用することができる例示的なAAVベクターの成分が本明細書に記載される。
【0051】
任意の適切なAAV血清型またはAAV血清型の組み合わせが、本開示の方法及び組成物に使用することができる。本開示の方法及び組成物は、神経変性疾患または障害の治療及び治癒のためのものであるため、少なくとも中枢神経系を標的とするAAV血清型は、いくつかの実施形態で使用することができ、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、及びAAV10を含むが、これらに限定されない。
【0052】
加えて、rAAVゲノムは、ウイルスに感染した細胞におけるその転写、翻訳、及び/または発現を可能にする様式で、GAD導入遺伝子(複数可)と作動可能に連結される発現制御要素を含む。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結される」とは、特定の核酸配列(例えば、制御要素)が別のヌクレオチド配列の特徴に影響を与える(例えば、導入遺伝子の発現に影響を与える)2つ以上の核酸配列間の関係を指す。作動可能に連結される配列には、GAD導入遺伝子に含まれるかまたは隣接する発現制御要素、及び導入遺伝子の発現を制御するためにトランスまたは距離で作用する発現制御要素との両方が含まれる。本明細書で使用される発現制御要素には、適切な転写開始、終結、プロモーター及びエンハンサー配列;スプライシング及びポリアデニル化(ポリA)シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を向上させる配列;及び所望の場合、コード化された生成物の分泌を向上させる配列が含まれる。例えば、本明細書で使用される場合、核酸配列(例えば、GADコード配列)及び制御性配列は、それらが、核酸配列の発現または転写を、制御性配列の影響または制御下に置くような様式で、共有結合されている場合、作動可能に連結されると見なされる。一実施形態では、ヒトGAD-65及び/またはGAD-67は、サイトメガロウイルスエンハンサー-ニワトリβ-アクチンプロモーター及びウッドチャック転写後制御性要素の調節下にある。
【0053】
GAD導入遺伝子に作動可能に連結されるプロモーターは、誘導性または構成的のいずれかであり得る。誘導性プロモーターは、遺伝子発現の制御を可能にし、状況または化合物によって外因的に制御され得る。外因的に供給されるプロモーターによって調節される誘導性プロモーターの例には、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオネイン(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーターシステム、エクジソン昆虫、テトラサイクリン抑制システムが含まれる。構成的プロモーターは、その関連する遺伝子の継続的な転写を可能にする非制御性プロモーターである。構成的プロモーターの例には、ニワトリベータアクチンプロモーター、レトロウイルス性ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意にRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意にCMVエンハンサーを伴う)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター及びβ-アクチンプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
実施形態では、GAD導入遺伝子のための天然プロモーターまたはその断片は、天然発現を模倣するための導入遺伝子の発現が好ましい場合に使用され得る。別の実施形態では、組織特異的プロモーターを使用して、標的遺伝子治療のために特定の組織での発現を可能にする。ニューロン特異的及びグリア特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターは、タンパク質が所望の特定の組織で発現することを可能にする。一実施形態では、プロモーターは、組織特異的であり、本質的に、中枢神経系内でのみ活性であるか、または中枢神経系内でより高い活性を有する。一実施形態では、プロモーターは、特定の細胞型またはニューロンに特異的であり得る。別の実施形態では、プロモーターは、脳の特定の領域、例えば、皮質、視床下核、ストラニウム(stranium)、黒質、及び/または海馬に位置する細胞に特異的である。
【0055】
いくつかの好適なニューロン特異的プロモーターには、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)(GenBank受託番号:X51956)、及びヒトニューロフィラメント軽鎖プロモーター(NEFL)(GenBank受託番号:L04147)が含まれるが、これらに限定されない。グリア特異的プロモーターには、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(GenBank受託番号:M65210)、S100プロモーター(GenBank受託番号:M65210)、及びグルタミンシンターゼプロモーター(GenBank受託番号:X59834)が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、rAAVベクター、例えば、rAAV2-レトロ、AAV10、AAV2/10、AAV9、またはAAV2/9である。いくつかの実施形態では、GAD-65及び/またはGAD-67をコードする核酸を含む組成物は、進行性PDを有する患者に投与される。いくつかの実施形態では、投与される組成物は、GAD-65及びGAD-67をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、方法は、GAD-65をコードする核酸及びGAD-67をコードする核酸を含むベクターを含む1つ以上の組成物を同時にまたは連続して投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、GAD-65をコードする核酸、GAD-67をコードする核酸、及びPDを治療するために使用される他の薬物を含む1つ以上の組成物を同時にまたは連続して投与することを含む。
【0057】
rAAVの有効量は、rAAVが投与される対象における標的組織の十分な数の細胞に感染するのに十分な量である。rAAVの有効量は、例えば、対象において疾患の1つ以上の症状を改善するために、対象に対して治療的利益を有するのに十分な量として定義され得る。有効量は、標的とする対象及びCNS組織の種、年齢、体重、健康状態に応じて変動し得る。投与様式に応じて、有効量も変化し得る。いくつの事例では、rAAVの複数用量を投与して、意図した治療的利益の有効量を達成する。有効量は、rAAVの血清型に応じて変動し得る。特定の事例では、rAAVの有効量は、対象あたり1010、1011、1012、1013、1014、または1015ゲノムコピーである。いくつかの実施形態では、投与されるGAD導入遺伝子(複数可)を含むAAVベクター/複数のベクターの濃度は、約1x1011、約2x1011、約3x1011、約4x1011、約5x1011、約6x1011、約7x1011、約8x1011、約9x1011、約1x1012、または約1x1013ベクターゲノム/mlである。
薬学的組成物
一実施形態では、本開示は、GAD-65をコードする核酸を含む1つ以上のベクターと、GAD-67をコードする核酸を含む1つ以上のベクターと、を含む、薬学的組成物を提供する。これらの組成物は、PDに罹患する対象の治療のために、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて投与することができる。薬学的組成物は、ベクターまたは複数のベクター及び薬学的に許容される担体、ならびに任意に、他の材料、例えば、1つ以上の不活性成分(例えば、検出可能な薬剤または標識)または1つ以上の活性成分を含む組成物を指し得る。薬学的に許容される担体は、生理学的に適合性である1つ以上の溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含み得る。組成物は、アジュバント、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝液、塩、親油性溶媒、防腐剤、またはそれらの混合物などの成分を含むことができる。薬学的に許容される担体の例には、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、及び炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖;ならびに多糖または糖ポリマー)が含まれるが、これらに限定されない。フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの炭水化物;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;ならびにマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、及びミオイノシトールなどのアルジトールもまた、賦形剤として使用され得る。
【0058】
担体はまた、緩衝液または有機酸または塩基から調製された塩などのpH調整剤を含み得る。緩衝液の例には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミンハイドロクロライド、及びリン酸緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。追加の担体には、高分子賦形剤または添加剤、例えば、ポリビニルピロリドン、フィコル(高分子糖)、デキストレート(例えば、シクロデキストリン、例えば、2-ヒドロキシプロピル-.クアドラチュア(quadrature).-シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香料、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、ポリソルベート、例えば、TWEEN(登録商標)20及びTWEEN(登録商標)80)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などが含まれ得る。
【0059】
投与方法
1つ以上のGAD導入遺伝子を対象に送達する方法は、単一または複数の投与経路によってrAAVを投与することを含み得る。例えば、rAAVは、血液脳関門を通過する有効量のrAAVの静脈内注入によって対象に投与され得る。例えば、脳室内注入による髄腔内投与または脳内投与もまた、有効量のrAAVをCNSに送達するために使用され得る。非限定的な例では、有効量のrAAVは、2つの異なる投与経路によって、例えば、髄腔内投与及び脳内投与によって共投与され得る。共投与は、ほぼ同時に、または異なる時間で実施され得る。
【0060】
「髄腔内投与」という用語は、脊柱管またはくも膜下腔に薬剤を投与して、脳脊髄液(CSF)に到達させることを意味する。「脳内投与」という用語は、脳内及び/または脳の周囲での薬剤の投与を指す。脳内投与には、脳、脳橋、小脳、頭蓋内腔、及び脳を囲む髄膜への薬剤の投与が含まれるが、これらに限定されない。脳内投与には、脳の硬膜、くも膜物質、及び軟膜への投与を含み得る。脳内投与は、いくつかの事例では、脳を囲むくも膜下腔の脳脊髄液(CSF)に薬剤を投与することを含み得る。脳内投与は、いくつかの事例では、脳の脳室、例えば、右側脳室、左側脳室、第三脳室、第四脳室への薬剤の投与を含み得る。
【0061】
脳内注入は、脳内及び/または脳の周囲への直接注入を伴い得る。いくつかの事例では、脳内投与は、正確な送達のための定位的手順を使用する注入を伴う。定位的マイクロインジェクション技術は、当該技術分野で周知であり、ベクターを脳の特定の部分に正確に送達するために当該技術分野で使用されてきた。この手順は、コンピュータ及び三次元スキャンデバイスの使用を伴う。この方法では、治療される対象は、定位的フレームベース内に配置され、次いで、高解像度MRIを使用して画像化され、治療される特定の領域の3次元位置決めを決定し得る。次いで、MRI画像を使用して、組成物のマイクロインジェクションのための正確標的部位を決定することができる。定位的コンピュータソフトウェアは、定位的フレームに正確に登録された三次元座標を提供する。頭蓋内送達の場合、穿頭孔が入口部位の上に開けられ、定位的デバイスを使用して針を配置し、所定の深さでの移植を確実にする。両側性送達の場合、あらゆるミスを回避するために、ドキュメントマネージャが手動で標的部位を外科医と確認し、冷却期間が実施され得る。定位的マイクロインジェクションは、海馬、皮質、視床下核、及び/または黒質を含むが、これらに限定されない脳の任意の特定の部分にベクターを送達するために使用することができる。いくつかの事例では、マイクロインジェクションポンプを使用して、本明細書に記載のrAAVの組成物を送達することができる。注入速度は、対象の年齢、対象の体重/サイズ、AAVの血清型、選択した脳内領域などの様々な要因に応じて、1μl/分~100μl/分の間で変動し得る。別の実施形態では、ベクターは、局所的送達に好適な他の送達方法、例えば、血液脳関門の局所的透過を使用して送達される。
【0062】
療法に必要な投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療的または予防的応答)を提供するように調整され得る。例えば、単一用量が投与されてもよく、いくつかの分割された用量が経時的に投与されてもよく、または用量が療法に対する対象の応答性に応じて比例して低減または増加してもよい。
【0063】
本明細書に記載のベクターは、GADではない1つ以上の治療剤と組み合わせて使用することができる。例えば、この療法は、ドーパミン補充療法、例えば、レボドパまたはカルビドパ、ドーパミンアゴニスト、例えば、プラミペキソール、ロピネロール、ブロモクリプチン、MAO阻害剤、例えば、セレギリン、及びラサギリン、カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、例えば、エンタカポン及びトルカポン、ならびに本明細書に記載のPDに関連する1つ以上の症状を治療するための当技術分野で即知の任意の薬剤を含むがこれらに限定されない様々な他の化合物と組み合わせて使用され得る。ベクターまたは複数のベクターは、PDに罹患する対象に、疾患を治療するために使用される他の薬剤と同時に、または別々に投与することができる。
【0064】
本明細書に記載のキットは、本明細書に提供される薬剤、組成物、成分、試薬、投与デバイスもしくは機構、または他の実体の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、本明細書に記載のキットは、1つ以上のAAV-GADベクター、及び担体組成物、投与デバイス、及び併用療法剤のうちの1つ以上を含み得る。キットは、注入のためのシリンジなどの送達を容易にするためのデバイス、または脳、例えば、黒質への治療用組成物の送達を容易にするツールをさらに含み得る。本明細書で提供されるキットのいずれも、投与の指示書とともに、容器、パック、またはディスペンサーに含まれ得る。
【実施例】
【0065】
実施例1:研究設計
開示した治療方法に対して最も受容性であるPD患者集団の特定。
【0066】
患者の選択
進行性PDを有する66人の患者を、STN AAV2-GAD遺伝子治療の無作為化、二重盲検、偽手術対照多施設第2相試験への参加資格についてスクリーニングし、45人を無作為化した。すべての患者は、英国パーキンソン病学会の基準(UK Parkinson’s Disease Society criteria)により定義される進行性のレボドパ応答性PDを有していた。レボドパに加えて、登録前に4週間以上用量または薬剤の種類を変更しなかった場合、この障害の他の薬剤を使用することが認められた。薬剤の一晩の休薬、25以上の統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)第3部の合計サブスコア(運動スコア)が必要であった。追加の包含基準は、30~75歳、PDの症状の持続期間が少なくとも5年、レボドパ応答性が少なくとも12ヶ月であった。患者は、以前に脳外科手術を受けることができなかった、ドーパミン受容体遮断薬を使用した、局所神経学的欠損を有する、または異常な頭蓋MRIを有し、18F-フルオロデオキシグルコースPETスキャンは、非定型パーキンソニズムまたは不確定なパターンの患者を除外したPDに固有の代謝脳パターンの基準に従って、PDと互換性がある必要があった。患者はまた、130未満のMattis認知症評価尺度スコアによって定義される認知障害のために除外された。
【0067】
無作為化
PharmaNet Incの統計学者及びプログラマー(それぞれが本研究でそれ以上の役割を伴わない)が、無作為化コードを生成した。無作為化の前に、すべての対象は、FDG PETを用いた安静状態で代謝性脳画像診断を受けた。非定型パーキンソニズム状態を排除するためのスクリーニングの後、PDを有する45人の対象を1:1に無作為化して、STN AAV2-GAD遺伝子療法(n=22)または偽手術(n=23)のいずれかを受けた。患者が手術室に到着した時に、脳神経外科医は、AAV2-GADまたは偽処置のいずれかのために、コンピュータで生成された無作為な治療割り当て(比率1:1)の封筒を開いた。患者、介護者、及び研究者は、治療割り当てについてマスクされた。偽割り当ての患者のために、手術室チームは、AAV2-GAD群に対して実施したものと同じ両側定位固定手順をシミュレートするための以前にリハーサルされた計画を実施した。偽手術で治療された患者は、定位固定フレームが配置された後、部分的な厚さの穿頭孔を受けた。このシミュレーションには、微小電極電気生理学的記録の音が含まれており、穿頭孔部位に一般的な生理食塩水を注入する注入ポンプ及び外部カテーテルは、AAV2-GAD注入を受けている患者とまったく同じように使用した。マスキングは、治療割り当てに関するすべての情報に対して慎重に計画され、どの部位でも逸脱は生じなかった。すべての評価者は治療割り当てにマスクされ、隔離された術後画像及び手術記録にアクセスできなかった。手術後3日目以降のすべての来院時に、患者は治療割り当てについて意見を求められた。45人の最初の対象のうち、8人は、所定の基準に基づいて、薬物送達の失敗(ポンプの失敗、STNの不正確な標的化)のために非盲検化の前にデータ分析から除外された。
【0068】
解析のための患者集団の治療後の選択
対象及び研究者は、処置後少なくとも6ヶ月間、治療ステータスを盲検化され、治療群における6人の対象及び偽群における2人の対象は、手術標的の欠落またはカテーテル/ポンプの機能不全のために分析から除外された。ベースラインでは、年齢、性別、UPDRS運動評価、または認知試験において群の差はなかった(P>0.07)。対象は、手術の6ヶ月後に盲検下で再スキャンされ(各群の1人の対象を除く)、12ヶ月の臨床試験の終了時に再スキャンされた。最終参加者が6ヶ月の盲検フォローアップを完了した後、対象は同時に非盲検となった。外科的処置は1年間にわたって交錯したため、参加者の大部分[偽群における22人のうちの16人(73%)、GAD群における20人のうちの11人(55%)]は非盲検化後12ヶ月で画像診断を受け、残りの6人の偽対象及び9人のGAD対象はこの12ヶ月時点でも盲検化されていた。
【0069】
実施例2:ウイルスベクター構築
サイトメガロウイルスエンハンサー-ニワトリβ-アクチンプロモーター及びウッドチャック転写後制御性要素の制御下にあるヒトGAD-65またはGAD-67のオープンリーディングフレームをコードするDNAを含むAAV-GADプラスミドを生成した。組換えAAVゲノムをヒト胚性腎臓(HEK)293細胞にパッケージ化し、標準的な手順に従い、前述のように、ヘパリン親和性クロマトグラフィーによって精製した。最終的な製剤緩衝液は、1×リン酸緩衝生理食塩水であった。ゲノムベクター力価を、ABI7000配列検出システム(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)での絶対定量によって測定した。
【0070】
実施例3:ベクター送達
GAD-65またはGAD-67をコードするウイルスを1対1の比率で混合し、2×リン酸緩衝生理食塩水で1×1011ウイルスゲノム(vg)/mL(低用量)、3×1011vg/mL(中用量)、及び1×1012vg/mL(高用量)に希釈した。FDAガイドラインに従って、大量収集及び最終製剤化製品をロットリリース試験で厳密に検査した。マイコプラズマ、エンドトキシン、無菌性、及び外来ウイルスのバイオセーフティテスト、ならびに一般的な安全性試験を実施した(AppTec Laboratory Services,Philadelphia,USA)。偽治療は、生理食塩水を用いて実施した。
【0071】
視床下核をLeksell定位的フレーム及びMRI画像ガイダンスを用いて局在化させた。標準的な術中微小電極記録は、対象が目を覚ましている状態で行い、視床下核の正確な位置を検証した。その後、微小電極の先端を、視床下核の中心であると考えられる場所に引き戻した。微小電極除去後、ガイドチューブを核の中心から10mm上に挿入した。直径200μM Iの10mmの先端を備えたカテーテルをAAV2-GAD注入液で洗い流し、核の推定中心に挿入した。カテーテルは、ベッドサイドでの処置後放出のためにカテーテルを繋ぐリップコードを含むキャップで所定の位置にロックした。カテーテルの閉塞を避けるために、最初のカテーテルを留置した後、頭皮を閉じた。半球あたりAAV2-GADの用量(35μlの1x1012ゲノム/ml)を、PD対象の視床下核に両側的に与えた。頭皮の両側に施術を行った。脳の各側面の手術の開始の前にタイムアウトが発生し、研究コーディネータまたは他の外科チームのメンバーが、外科医によって記録され、脳に侵入する前に書面で文書化されたコーディネートであることを確認した。PD対象の別の群は、半球あたりのAAV2-GADの用量(35μlの1x1011ゲノム/ml)を視床下核に一方的に受けた。PD対象の別の群は、半球あたりのAAV2-GADの用量(35μlの3x1011ゲノム/ml)を視床下核に一方的に受けた。PD対象の別の群は、半球あたりのAAV2-GADの用量(35μlの1x1012ゲノム/ml)を視床下核に一方的に受けた。注入の完了後、細かく切断された頭部CTスキャンを実施して、カテーテル先端の位置を決定した。カテーテル後CT及びMRIスキャンを、治療後24時間及び48時間の間隔ですべての対象に対して実施した。
【0072】
実施例3:治療後の「オンタイム」の決定
視床下核へのAAV-GAD(GAD)または偽手術(偽)のいずれかを受けた対象は、列挙された各期間(手術後1、3、6、及び12ヶ月)で2週間、毎日、日記に毎時のオン及びオフタイムを記録した。日記から決定した2週間の期間にわたる1日の平均オン及びオフタイムを、手術後のオンタイムの時間数の変化を決定するために、両側T検定を使用して、手術前30日以内に取得したベースラインの日記と比較した。手術後12ヶ月で、AAV-GAD治療群における対象ごとのベースラインからの1日の平均オンタイムの変化は、同じ期間にわたる同じ対象についての臨床スコアの変化と相関していた。使用した臨床スコアは、UPDRSの第3部であった。
配列
配列番号1
MASPGSGFWSFGSEDGSGDSENPGTARAWCQVAQKFTGGIGNKLCALLYGDAEKPAESGGSQPPRAAARKAACACDQKPCSCSKVDVNYAFLHATDLLPACDGERPTLAFLQDVMNILLQYVVKSFDRSTKVIDFHYPNELLQEYNWELADQPQNLEEILMHCQTTLKYAIKTGHPRYFNQLSTGLDMVGLAADWLTSTANTNMFTYEIAPVFVLLEYVTLKKMREIIGWPGGSGDGIFSPGGAISNMYAMMIARFKMFPEVKEKGMAALPRLIAFTSEHSHFSLKKGAAALGIGTDSVILIKCDERGKMIPSDLERRILEAKQKGFVPFLVSATAGTTVYGAFDPLLAVADICKKYKIWMHVDAAWGGGLLMSRKHKWKLSGVERANSVTWNPHKMMGVPLQCSALLVREEGLMQNCNQMHASYLFQQDKHYDLSYDTGDKALQCGRHVDVFKLWLMWRAKGTTGFEAHVDKCLELAEYLYNIIKNREGYEMVFDGKPQHTNVCFWYIPPSLRTLEDNEERMSRLSKVAPVIKARMMEYGTTMVSYQPLGDKVNFFRMVISNPAATHQDIDFLIEEIERLGQDL
配列番号2
ATGGCATCTCCGGGCTCTGGCTTTTGGTCTTTCGGGTCGGAAGATGGCTCTGGGGATTCCGAGAATCCCGGCACAGCGCGAGCCTGGTGCCAAGTGGCTCAGAAGTTCACGGGCGGCATCGGAAACAAACTGTGCGCCCTGCTCTACGGAGACGCCGAGAAGCCGGCGGAGAGCGGCGGGAGCCAACCCCCGCGGGCCGCCGCCCGGAAGGCCGCCTGCGCCTGCGACCAGAAGCCCTGCAGCTGCTCCAAAGTGGATGTCAACTACGCGTTTCTCCATGCAACAGACCTGCTGCCGGCGTGTGATGGAGAAAGGCCCACTTTGGCGTTTCTGCAAGATGTTATGAACATTTTACTTCAGTATGTGGTGAAAAGTTTCGATAGATCAACCAAAGTGATTGATTTCCATTATCCTAATGAGCTTCTCCAAGAATATAATTGGGAATTGGCAGACCAACCACAAAATTTGGAGGAAATTTTGATGCATTGCCAAACAACTCTAAAATATGCAATTAAAACAGGGCATCCTAGATACTTCAATCAACTTTCTACTGGTTTGGATATGGTTGGATTAGCAGCAGACTGGCTGACATCAACAGCAAATACTAACATGTTCACCTATGAAATTGCTCCAGTATTTGTGCTTTTGGAATATGTCACACTAAAGAAAATGAGAGAAATCATTGGCTGGCCAGGGGGCTCTGGCGATGGGATATTTTCTCCCGGTGGCGCCATATCTAACATGTATGCCATGATGATCGCACGCTTTAAGATGTTCCCAGAAGTCAAGGAGAAAGGAATGGCTGCTCTTCCCAGGCTCATTGCCTTCACGTCTGAACATAGTCATTTTTCTCTCAAGAAGGGAGCTGCAGCCTTAGGGATTGGAACAGACAGCGTGATTCTGATTAAATGTGATGAGAGAGGGAAAATGATTCCATCTGATCTTGAAAGAAGGATTCTTGAAGCCAAACAGAAAGGGTTTGTTCCTTTCCTCGTGAGTGCCACAGCTGGAACCACCGTGTACGGAGCATTTGACCCCCTCTTAGCTGTCGCTGACATTTGCAAAAAGTATAAGATCTGGATGCATGTGGATGCAGCTTGGGGTGGGGGATTACTGATGTCCCGAAAACACAAGTGGAAACTGAGTGGCGTGGAGAGGGCCAACTCTGTGACGTGGAATCCACACAAGATGATGGGAGTCCCTTTGCAGTGCTCTGCTCTCCTGGTTAGAGAAGAGGGATTGATGCAGAATTGCAACCAAATGCATGCCTCCTACCTCTTTCAGCAAGATAAACATTATGACCTGTCCTATGACACTGGAGACAAGGCCTTACAGTGCGGACGCCACGTTGATGTTTTTAAACTATGGCTGATGTGGAGGGCAAAGGGGACTACCGGGTTTGAAGCGCATGTTGATAAATGTTTGGAGTTGGCAGAGTATTTATACAACATCATAAAAAACCGAGAAGGATATGAGATGGTGTTTGATGGGAAGCCTCAGCACACAAATGTCTGCTTCTGGTACATTCCTCCAAGCTTGCGTACTCTGGAAGACAATGAAGAGAGAATGAGTCGCCTCTCGAAGGTGGCTCCAGTGATTAAAGCCAGAATGATGGAGTATGGAACCACAATGGTCAGCTACCAACCCTTGGGAGACAAGGTCAATTTCTTCCGCATGGTCATCTCAAACCCAGCGGCAACTCACCAAGACATTGACTTCCTGATTGAAGAAATAGAACGCCTTGGACAAGATTTATAA
配列番号3
MSPIHHHHHHLVPRGSEASNSGFWSFGSEDGSGDSENPGTARAWCQVAQKFTGGIGNKLCALLYGDAEKPAESGGSQPPRAAARKAACACDQKPCSCSKVDVNYAFLHATDLLPACDGERPTLAFLQDVMNILLQYVVKSFDRSTKVIDFHYPNELLQEYNWELADQPQNLEEILMHCQTTLKYAIKTGHPRYFNQLSTGLDMVGLAADWLTSTANTNMFTYEIAPVFVLLEYVTLKKMREIIGWPGGSGDGIFSPGGAISNMYAMMIARFKMFPEVKEKGMAALPRLIAFTSEHSHFSLKKGAAALGIGTDSVILIKCDERGKMIPSDLERRILEAKQKGFVPFLVSATAGTTVYGAFDPLLAVADICKKYKIWMHVDAAWGGGLLMSRKHKWKLSGVERANSVTWNPHKMMGVPLQCSALLVREEGLMQNCNQMHASYLFQQDKHYDLSYDTGDKALQCGRHVDVFKLWLMWRAKGTTGFEAHVDKCLELAEYLYNIIKNREGYEMVFDGKPQHTNVCFWYIPPSLRTLEDNEERMSRLSKVAPVIKARMMEYGTTMVSYQPLGDKVNFFRMVISNPAATHQDIDFLIEEIERLGQDL
配列番号4
ATGTCCCCTATACATCACCATCACCATCACCTGGTTCCGCGTGGATCCGAAGCTTCGAATTCTGGCTTTTGGTCTTTCGGGTCGGAAGATGGCTCTGGGGATTCCGAGAATCCCGGCACAGCGCGAGCCTGGTGCCAAGTGGCTCAGAAGTTCACGGGCGGCATCGGAAACAAACTGTGCGCCCTGCTCTACGGAGACGCCGAGAAGCCGGCGGAGAGCGGCGGGAGCCAACCCCCGCGGGCCGCCGCCCGGAAGGCCGCCTGCGCCTGCGACCAGAAGCCCTGCAGCTGCTCCAAAGTGGATGTCAACTACGCGTTTCTCCATGCAACAGACCTGCTGCCGGCGTGTGATGGAGAAAGGCCCACTTTGGCGTTTCTGCAAGATGTTATGAACATTTTACTTCAGTATGTGGTGAAAAGTTTCGATAGATCAACCAAAGTGATTGATTTCCATTATCCTAATGAGCTTCTCCAAGAATATAATTGGGAATTGGCAGACCAACCACAAAATTTGGAGGAAATTTTGATGCATTGCCAAACAACTCTAAAATATGCAATTAAAACAGGGCATCCTAGATACTTCAATCAACTTTCTACTGGTTTGGATATGGTTGGATTAGCAGCAGACTGGCTGACATCAACAGCAAATACTAACATGTTCACCTATGAAATTGCTCCAGTATTTGTGCTTTTGGAATATGTCACACTAAAGAAAATGAGAGAAATCATTGGCTGGCCAGGGGGCTCTGGCGATGGGATATTTTCTCCCGGTGGCGCCATATCTAACATGTATGCCATGATGATCGCACGCTTTAAGATGTTCCCAGAAGTCAAGGAGAAAGGAATGGCTGCTCTTCCCAGGCTCATTGCCTTCACGTCTGAACATAGTCATTTTTCTCTCAAGAAGGGAGCTGCAGCCTTAGGGATTGGAACAGACAGCGTGATTCTGATTAAATGTGATGAGAGAGGGAAAATGATTCCATCTGATCTTGAAAGAAGGATTCTTGAAGCCAAACAGAAAGGGTTTGTTCCTTTCCTCGTGAGTGCCACAGCTGGAACCACCGTGTACGGAGCATTTGACCCCCTCTTAGCTGTCGCTGACATTTGCAAAAAGTATAAGATCTGGATGCATGTGGATGCAGCTTGGGGTGGGGGATTACTGATGTCCCGAAAACACAAGTGGAAACTGAGTGGCGTGGAGAGGGCCAACTCTGTGACGTGGAATCCACACAAGATGATGGGAGTCCCTTTGCAGTGCTCTGCTCTCCTGGTTAGAGAAGAGGGATTGATGCAGAATTGCAACCAAATGCATGCCTCCTACCTCTTTCAGCAAGATAAACATTATGACCTGTCCTATGACACTGGAGACAAGGCCTTACAGTGCGGACGCCACGTTGATGTTTTTAAACTATGGCTGATGTGGAGGGCAAAGGGGACTACCGGGTTTGAAGCGCATGTTGATAAATGTTTGGAGTTGGCAGAGTATTTATACAACATCATAAAAAACCGAGAAGGATATGAGATGGTGTTTGATGGGAAGCCTCAGCACACAAATGTCTGCTTCTGGTACATTCCTCCAAGCTTGCGTACTCTGGAAGACAATGAAGAGAGAATGAGTCGCCTCTCGAAGGTGGCTCCAGTGATTAAAGCCAGAATGATGGAGTATGGAACCACAATGGTCAGCTACCAACCCTTGGGAGACAAGGTCAATTTCTTCCGCATGGTCATCTCAAACCCAGCGGCAACTCACCAAGACATTGACTTCCTGATTGAAGAAATAGAACGCCTTGGACAAGATTTATAA
配列番号5
MASSTPSSSATSSNAGADPNTTNLRPTTYDTWCGVAHGCTRKLGLKICGFLQRTNSLEEKSRLVSAFRERQSSKNLLSCENSDRDARFRRTETDFSNLFARDLLPAKNGEEQTVQFLLEVVDILLNYVRKTFDRSTKVLDFHHPHQLLEGMEGFNLELSDHPESLEQILVDCRDTLKYGVRTGHPRFFNQLSTGLDIIGLAGEWLTSTANTNMFTYEIAPVFVLMEQITLKKMREIVGWSSKDGDGIFSPGGAISNMYSIMAARYKYFPEVKTKGMAAVPKLVLFTSEQSHYSIKKAGAALGFGTDNVILIKCNERGKIIPADFEAKILEAKQKGYVPFYVNATAGTTVYGAFDPIQEIADICEKYNLWLHVDAAWGGGLLMSRKHRHKLNGIERANSVTWNPHKMMGVLLQCSAILVKEKGILQGCNQMCAGYLFQPDKQYDVSYDTGDKAIQCGRHVDIFKFWLMWKAKGTVGFENQINKCLELAEYLYAKIKNREEFEMVFNGEPEHTNVCFWYIPQSLRGVPDSPQRREKLHKVAPKIKALMMESGTTMVGYQPQGDKANFFRMVISNPAATQSDIDFLIEEIERLGQDL
配列番号6
ATGGCGTCTTCGACCCCATCTTCGTCCGCAACCTCCTCGAACGCGGGAGCGGACCCCAATACCACTAACCTGCGCCCCACAACGTACGATACCTGGTGCGGCGTGGCCCATGGATGCACCAGAAAACTGGGGCTCAAGATCTGCGGCTTCTTGCAAAGGACCAACAGCCTGGAAGAGAAGAGTCGCCTTGTGAGTGCCTTCAGGGAGAGGCAATCCTCCAAGAACCTGCTTTCCTGTGAAAACAGCGACCGGGATGCCCGCTTCCGGCGCACAGAGACTGACTTCTCTAATCTGTTTGCTAGAGATCTGCTTCCGGCTAAGAACGGTGAGGAGCAAACCGTGCAATTCCTCCTGGAAGTGGTGGACATACTCCTCAACTATGTCCGCAAGACATTTGATCGCTCCACCAAGGTGCTGGACTTTCATCACCCACACCAGTTGCTGGAAGGCATGGAGGGCTTCAACTTGGAGCTCTCTGACCACCCCGAGTCCCTGGAGCAGATCCTGGTTGACTGCAGAGACACCTTGAAGTATGGGGTTCGCACAGGTCATCCTCGATTTTTCAACCAGCTCTCCACTGGATTGGATATTATTGGCCTAGCTGGAGAATGGCTGACATCAACGGCCAATACCAACATGTTTACATATGAAATTGCACCAGTGTTTGTCCTCATGGAACAAATAACACTTAAGAAGATGAGAGAGATAGTTGGATGGTCAAGTAAAGATGGTGATGGGATATTTTCTCCTGGGGGCGCCATATCCAACATGTACAGCATCATGGCTGCTCGCTACAAGTACTTCCCGGAAGTTAAGACAAAGGGCATGGCGGCTGTGCCTAAACTGGTCCTCTTCACCTCAGAACAGAGTCACTATTCCATAAAGAAAGCTGGGGCTGCACTTGGCTTTGGAACTGACAATGTGATTTTGATAAAGTGCAATGAAAGGGGGAAAATAATTCCAGCTGATTTTGAGGCAAAAATTCTTGAAGCCAAACAGAAGGGATATGTTCCCTTTTATGTCAATGCAACTGCTGGCACGACTGTTTATGGAGCTTTTGATCCGATACAAGAGATTGCAGATATATGTGAGAAATATAACCTTTGGTTGCATGTCGATGCTGCCTGGGGAGGTGGGCTGCTCATGTCCAGGAAGCACCGCCATAAACTCAACGGCATAGAAAGGGCCAACTCAGTCACCTGGAACCCTCACAAGATGATGGGCGTGCTGTTGCAGTGCTCTGCCATTCTCGTCAAGGAAAAGGGTATACTCCAAGGATGCAACCAGATGTGTGCAGGATATCTCTTCCAGCCAGACAAGCAGTATGATGTCTCCTACGACACCGGGGACAAGGCAATTCAGTGTGGCCGCCACGTGGATATCTTCAAGTTCTGGCTGATGTGGAAAGCAAAGGGCACAGTGGGATTTGAAAACCAGATCAACAAATGCCTGGAACTGGCTGAATACCTCTATGCCAAGATTAAAAACAGAGAAGAATTTGAGATGGTTTTCAATGGCGAGCCTGAGCACACAAACGTCTGTTTTTGGTATATTCCACAAAGCCTCAGGGGTGTGCCAGACAGCCCTCAACGACGGGAAAAGCTACACAAGGTGGCTCCAAAAATCAAAGCCCTGATGATGGAGTCAGGTACGACCATGGTTGGCTACCAGCCCCAAGGGGACAAGGCCAACTTCTTCCGGATGGTCATCTCCAACCCAGCCGCTACCCAGTCTGACATTGACTTCCTCATTGAGGAGATAGAAAGACTGGGCCAGGATCTGTAA
配列番号7
MASSTPSSSATSSNAGADPNTTNLRPTTYDTWCGVAHGCTRKLGLKICGFLQRTNSLEEKSRLVSAFKERQSSKNLLSCENSDRDARFRRTETDFSNLFARDLLPAKNGEEQTVQFLLEVVDILLNYVRKTFDRSTKVLDFHHPHQLLEGMEGFNLELSDHPESLEQILVDCRDTLKYGVRTGHPRFFNQLSTGLDIIGLAGEWLTSTANTNMFTYEIAPVFVLMEQITLKKMREIVGWSSKDGDGIFSPGGAISNMYSIMAARYKYFPEVKTKGMAAVPKLVLFTSEQSHYSIKKAGAALGFGTDNVILIKCNERGKIIPADFEAKILEAKQKGYVPFYVNATAGTTVYGAFDPIQEIADICEKYNLWLHVDAAWGGGLLMSRKHRHKLNGIERANSVTWNPHKMMGVLLQCSAILVKEKGILQGCNQMCAGYLFQPDKQYDVSYDTGDKAIQCGRHVDIFKFWLMWKAKGTVGFENQINKCLELAEYLYAKIKNREEFEMVFNGEPEHTNVCFWYIPQSLRGVPDSPQRREKLHKVAPKIKALMMESGTTMVGYQPQGDKANFFRMVISNPAATQSDIDFLIEEIERLGQDL
配列番号8
ATGGCGTCTTCGACCCCATCTTCGTCCGCAACCTCCTCGAACGCGGGAGCGGACCCCAATACCACTAACCTGCGCCCCACAACGTACGATACCTGGTGCGGCGTGGCCCATGGATGCACCAGAAAACTGGGGCTCAAGATCTGCGGCTTCTTGCAAAGGACCAACAGCCTGGAAGAGAAGAGTCGCCTTGTGAGTGCCTTCAAGGAGAGGCAATCCTCCAAGAACCTGCTTTCCTGTGAAAACAGCGACCGGGATGCCCGCTTCCGGCGCACAGAGACTGACTTCTCTAATCTGTTTGCTAGAGATCTGCTTCCGGCTAAGAACGGTGAGGAGCAAACCGTGCAATTCCTCCTGGAAGTGGTGGACATACTCCTCAACTATGTCCGCAAGACATTTGATCGCTCCACCAAGGTGCTGGACTTTCATCACCCACACCAGTTGCTGGAAGGCATGGAGGGCTTCAACTTGGAGCTCTCTGACCACCCCGAGTCCCTGGAGCAGATCCTGGTTGACTGCAGAGACACCTTGAAGTATGGGGTTCGCACAGGTCATCCTCGATTTTTCAACCAGCTCTCCACTGGATTGGATATTATTGGCCTAGCTGGAGAATGGCTGACATCAACGGCCAATACCAACATGTTTACATATGAAATTGCACCAGTGTTTGTCCTCATGGAACAAATAACACTTAAGAAGATGAGAGAGATAGTTGGATGGTCAAGTAAAGATGGTGATGGGATATTTTCTCCTGGGGGCGCCATATCCAACATGTACAGCATCATGGCTGCTCGCTACAAGTACTTCCCGGAAGTTAAGACAAAGGGCATGGCGGCTGTGCCTAAACTGGTCCTCTTCACCTCAGAACAGAGTCACTATTCCATAAAGAAAGCTGGGGCTGCACTTGGCTTTGGAACTGACAATGTGATTTTGATAAAGTGCAATGAAAGGGGGAAAATAATTCCAGCTGATTTTGAGGCAAAAATTCTTGAAGCCAAACAGAAGGGATATGTTCCCTTTTATGTCAATGCAACTGCTGGCACGACTGTTTATGGAGCTTTTGATCCGATACAAGAGATTGCAGATATATGTGAGAAATATAACCTTTGGTTGCATGTCGATGCTGCCTGGGGAGGTGGGCTGCTCATGTCCAGGAAGCACCGCCATAAACTCAACGGCATAGAAAGGGCCAACTCAGTCACCTGGAACCCTCACAAGATGATGGGCGTGCTGTTGCAGTGCTCTGCCATTCTCGTCAAGGAAAAGGGTATACTCCAAGGATGCAACCAGATGTGTGCAGGATACCTCTTCCAGCCAGACAAGCAGTATGATGTCTCCTACGACACCGGGGACAAGGCAATTCAGTGTGGCCGCCACGTGGATATCTTCAAGTTCTGGCTGATGTGGAAAGCAAAGGGCACAGTGGGATTTGAAAACCAGATCAACAAATGCCTGGAACTGGCTGAATACCTCTATGCCAAGATTAAAAACAGAGAAGAATTTGAGATGGTTTTCAATGGCGAGCCTGAGCACACAAACGTCTGTTTTTGGTATATTCCACAAAGCCTCAGGGGTGTGCCAGACAGCCCTCAACGACGGGAAAAGCTACACAAGGTGGCTCCAAAAATCAAAGCCCTGATGATGGAGTCAGGTACGACCATGGTTGGCTACCAGCCCCAAGGGGACAAGGCCAACTTCTTCCGGATGGTCATCTCCAACCCAGCCGCTACCCAGTCTGACATTGACTTCCTCATTGAGGAGATAGAAAGACTGGGCCAGGATCTGTAA
配列番号9
MASSTPSSSATSSNAGADPNTTNLRPTTYDTWCGVAHGCTRKLGLKICGFLQRTNSLEEKSRLVSAFKERQSSKNLLSCENSDRDARFRRTETDFSNLFARDLLPAKNGEEQTVQFLLEVVDILLNYVRKTFDRSTKVLDFHHPHQLLEGMEGFNLELSDHPESLEQILVDCRDTLKYGVRTGHPRFFNQLSTGLDIIGLAGEWLTSTANTNMPSDMRECWLLR
【配列表】
【国際調査報告】