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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】機能化テキスタイル組成物及び製品
(51)【国際特許分類】
   B32B 18/00 20060101AFI20230207BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20230207BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230207BHJP
   D06M 11/44 20060101ALI20230207BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20230207BHJP
   D06M 15/277 20060101ALI20230207BHJP
   D06M 13/513 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B32B18/00
B32B5/18
B32B5/02 Z
D06M11/44
D06M11/83
D06M15/277
D06M13/513
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535814
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020064394
(87)【国際公開番号】W WO2021119371
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/065978
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/989,092
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/989,150
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/038,642
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/038,693
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,965
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520439715
【氏名又は名称】ネルンボ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ブロックウェイ,ランス・アール
(72)【発明者】
【氏名】ウォルサー,デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ラフシューン,ジョシュ
【テーマコード(参考)】
4F100
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4F100AA17A
4F100AA17C
4F100AA18A
4F100AA19A
4F100AA25A
4F100AB01B
4F100AB02B
4F100AB03B
4F100AB04B
4F100AB10B
4F100AB12B
4F100AB16B
4F100AB17B
4F100AB31B
4F100AD00A
4F100AD03A
4F100AD03C
4F100AD11B
4F100AG00B
4F100AH06C
4F100AJ04B
4F100AJ09B
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK04B
4F100AK07B
4F100AK17C
4F100AK41B
4F100AK46B
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4F100AK48B
4F100AK51B
4F100AL09C
4F100AR00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10B
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4F100DC16B
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4F100DG15B
4F100DJ00B
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4F100EH661
4F100EH66B
4F100EJ422
4F100JA11A
4F100JB06C
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4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4L031AA20
4L031AB31
4L031BA04
4L031BA09
4L033AA08
4L033AB04
4L033AC03
4L033BA96
4L033CA22
(57)【要約】
機能化テキスタイル材料を提供する。テキスタイル表面の少なくとも一部は、バインダレス多孔性構造化セラミックなどのセラミック材料を含み、かつ任意選択で、親水性、疎水性、難燃性、光触媒作用、抗汚損、及び/または脱臭特性などの1つまたは複数の望ましい機能特性を有するテキスタイル材料をもたらす1層または複数の機能層が施与されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材上にバインダレスセラミック材料を含む組成物。
【請求項2】
前記基材が、約250μm未満である平均空孔直径を有する空孔を含み、かつ前記セラミック材料が前記平均空孔直径を実質的に変化させない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記基材が、約250μm未満である平均空孔直径を有する空孔を含み、かつ前記セラミックが、前記空孔を部分的に、または完全に充填し、それにより、それぞれ、前記平均空孔直径を減少させる、または前記空孔を除去する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記基材が、ASTM D737によれば約0.1立法フィート毎分(CFM)~約100CFMの空気透過率を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記セラミック材料が主に結晶性である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記セラミック材料が、金属酸化物、金属酸化物の水和物、金属水酸化物、及び/または金属水酸化物の水和物を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記セラミック材料が、金属水酸化物を含み、かつ前記金属水酸化物の少なくとも一部が層状複水酸化物を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記セラミック材料がナノ構造化セラミック材料を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記セラミック材料が、遷移金属、第II属元素、希土類元素、アルミニウム、スズ、または鉛を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記セラミック材料が、亜鉛、アルミニウム、マンガン、マグネシウム、セリウム、銅、ガドリニウム、タングステン、スズ、亜鉛、鉛、及びコバルトのうちの1種または複数を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記セラミック材料が、亜鉛及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マンガン及びマグネシウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マンガンの酸化物及び/または水酸化物;アルミニウムの酸化物及び/または水酸化物;混合された金属マンガンの酸化物及び/または水酸化物;マグネシウム及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マグネシウムの酸化物及び/または水酸化物;マグネシウム、セリウム、及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;亜鉛、プラセオジム、及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;コバルト及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マンガン及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;セリウム及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;銅及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;亜鉛及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;Zn-アルミン酸塩の混合物;Zn、Al及び酸素を含む1つまたは複数の相を含む混合物;亜鉛の酸化物及び/または水酸化物;または前記化合物のいずれかの水和物もしくはそれらの混合物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記セラミック材料が最高約25μmの厚さを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記セラミック材料が約0.2μm~約25μmの厚さを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記セラミック材料が約5%~約80%の多孔率を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記セラミック材料が約10%超の多孔率を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記セラミック材料が、約30%~約95%の多孔率を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記多孔性基材が、ウーブン材料、編地、ノンウーブンファブリックもしくはテキスタイル、または紙を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記多孔性基材が、ポリアミド、ポリエステル、コットン、ウール、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系材料、アラミド、ポリウレタン、活性炭、ファイバーガラス、鋼合金、黄銅合金、アルミニウム合金、アルミニウム、または銅を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記多孔性基材が、天然繊維、合成繊維、金属メッシュ、または金属クロス、またはそれらの組合せを含むテキスタイル材料である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記テキスタイル表面が、酸化されているか、灰化されているか、または活性化されている、請求項17~19に記載の組成物。
【請求項21】
前記基材が、前記テキスタイル表面上に1種または複数の金属を含む金属化テキスタイルである、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記テキスタイル表面上の金属が、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、または銅を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記バインダレスセラミックが、1つまたは複数の機能特性を前記組成物に付与する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
前記1つまたは複数の機能特性が、親水性、疎水性、難燃性、光触媒作用、抗汚損、脱臭特性、微生物増殖の阻害、氷もしくは凝縮液管理、防氷、防霜、超疎水性、超親水性、耐食性、電磁調節、熱的変調、通気性、動的耐風性、及び/または色を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記機能特性の2つ以上が、前記組成物の単一の層に付与されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記セラミック材料がさらに、機能層により改質されている、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記機能層が、前記セラミック材料を含まない同一のテキスタイル表面上に直接堆積された同一の機能層材料により付与される同じ機能特性よりも高度である1つまたは複数の機能特性を付与する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記セラミック材料及び前記機能層が、同一のテキスタイル表面上に独立に堆積された前記セラミック材料または前記機能層材料のいずれかにより付与される同じ機能特性よりも高度である、1つまたは複数の機能特性を相乗的に付与する、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記機能層が疎水特性を付与する、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記機能層が、フルオロポリマー、エラストマー、またはプラスチックを含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記機能層が、ヘッド基及びテール基を有し、
その際、前記ヘッド基が、シラン基、ホスホナート基、ホスホン酸基、カルボン酸基、ビニル基、アルコール基、ヒドロキシド基、チオラート基、チオール基、及び/またはアンモニウム基を含み、かつ
前記テール基が、炭化水素基、フルオロカーボン基、ビニル基、フェニル基、エポキシド基、アクリル基、アクリラート基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、チオール基、及び/または第四級アンモニウム基を含む分子を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記セラミック材料が、部分的に充填された多孔性構造である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
前記空孔が、第2のセラミック材料で、またはヘッド基及びテール基を有する分子で部分的に充填されている、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記セラミック材料が、生体分子または皮脂からの成分に対してよりも、低分子に対して高い付着を示す、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
前記皮脂からの成分が、トリグリセリド、ワックスエステル、スクアレン、及び/または遊離脂肪酸を含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記セラミック材料が光触媒特性を含み、かつ表面に付着する材料が、光に暴露されると光触媒により分解される、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
前記セラミック材料を含まない同一の基材よりも、耐久性撥水性物質に対して高い付着を示す、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項38】
請求項1~37のいずれかに記載の組成物を含む製品。
【請求項39】
フィルター、膜、衣料品、アウターウェア、キャンピングギア、配管絶縁材、カーペット、カーシート、内装材、床敷、履物、建築被覆材、及び窓おおいから選択される、請求項38に記載の製品。
【請求項40】
約1kPa超の静水圧に耐えることができる、請求項1~39のいずれかに記載の組成物または製品。
【請求項41】
前記セラミック材料を含まない同一の基材の蒸気透過率の約80%超の水蒸気透過率を含む、請求項1~39のいずれかに記載の組成物または製品。
【請求項42】
約150度超の液滴水接触角度を含む、請求項1~39のいずれかに記載の組成物または製品。
【請求項43】
酸化マンガンセラミック、及びアルキルシランまたはアルキルホスホナート機能層を含む、請求項1~39のいずれかに記載の組成物または製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月12日出願のPCT出願番号PCT/US2019/065978の優先権を主張し、かつ2020年3月13日出願の米国特許仮出願第62/989,092号、2020年3月13日出願の同第62/989,150号、2020年6月12日出願の同第63/038,642号、2020年6月12日出願の同第63/038,693号、及び2020年6月16日出願の同第63/039,965号の利益を主張するものであり、これらはすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、テキスタイル表面上にセラミック材料、特に、金属酸化物及び/または金属水酸化物セラミックなどのバインダレスセラミックを含むテキスタイルに関する。前記テキスタイルは、使用用途または環境において増強された特性を提供する1つまたは複数の機能性を含むように改質される。
【背景技術】
【0003】
テキスタイル表面の機能化は、非機能化テキスタイル層と比べて、テキスタイル性能の点において所望の便益を提供する。様々な環境条件に耐性があり、かつ有意な性能増強を提供するテキスタイル材料を供給するために、新たなテキスタイル組成物が開発されなければならない。望ましい動作特性を、テキスタイル表面の機能化により提供することができる。
【発明の概要】
【0004】
多孔性基材上に機能化セラミック材料を含む組成物を本明細書において提供する。
【0005】
一態様では、テキスタイルまたはフィルター材料などの多孔性基材上にバインダレスセラミック材料を含む組成物を提供する。一実施形態では、前記基材は、約250μm未満である平均空孔直径を有する空孔を含み、かつ前記基材上のセラミック材料は、前記基材の平均空孔直径を実質的に変化させない。別の実施形態では、前記基材は、約250μm未満である平均空孔直径を有する空孔を含み、かつ前記基材上のセラミック材料は、前記基材の空孔を部分的に、または完全に充填し、それにより、それぞれ、平均空孔直径を減少させる、または前記基材の空孔を除去する。一部の実施形態では、前記基材は、前記基材上へのセラミック材料の堆積前に、ASTM D737によれば約0.1立法フィート毎分(CFM)~約100CFMの空気透過率を有する。
【0006】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は主に結晶性である。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、金属酸化物、金属酸化物の水和物、金属水酸化物、及び/または金属水酸化物の水和物を含む。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、金属水酸化物を含み、かつ前記金属水酸化物の少なくとも一部は層状複水酸化物を含む。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、ナノ構造化セラミック材料などの構造化セラミック材料である。
【0007】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は、遷移金属、第II属元素、希土類元素、アルミニウム、スズ、亜鉛、または鉛を含む。例えば、前記セラミック材料は、亜鉛、アルミニウム、マンガン、マグネシウム、セリウム、銅、ガドリニウム、タングステン、スズ、亜鉛、鉛、及びコバルトのうちの1種または複数を含んでよい。ある特定の実施形態では、前記セラミック材料は、亜鉛及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マンガン及びマグネシウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マンガンの酸化物及び/または水酸化物;アルミニウムの酸化物及び/または水酸化物;混合された金属マンガンの酸化物及び/または水酸化物;マグネシウム及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マグネシウムの酸化物及び/または水酸化物;マグネシウム、セリウム、及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;亜鉛、プラセオジム、及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;コバルト及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;マンガン及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;セリウム及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;銅及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;亜鉛及びアルミニウムの酸化物及び/または水酸化物の混合物;Zn-アルミン酸塩の混合物;Zn、Al及び酸素を含む1つまたは複数の相を含む混合物;亜鉛の酸化物及び/または水酸化物;または前記化合物のいずれかの水和物もしくはそれらの混合物を含む。
【0008】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は、約0.2μm~約25μmの厚さなど、厚さ約25μmを含む。
【0009】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は、約10%超、または約30%~約95%など、約5%~約80%の多孔率を含む。
【0010】
一部の実施形態では、前記多孔性基材は、ウーブン材料、編地、ノンウーブンファブリックもしくはテキスタイル、または紙を含むか、またはそれからなる。前記多孔性基材は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、コットン、ウール、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系材料、アラミド、ポリウレタン、活性炭、ファイバーガラス、鋼合金、黄銅合金、アルミニウム合金、アルミニウム、または銅を含んでよいか、またはそれからなってよい。様々な実施形態で、前記多孔性基材は、天然繊維、合成繊維、金属メッシュ、または金属クロス、またはそれらの組合せを含むか、またはそれからなるテキスタイル材料であってよい。一部の実施形態では、前記テキスタイル表面は、例えば、前記基材上へのセラミック材料の堆積前に、酸化されているか、灰化されているか、または活性化されている。一実施形態では、前記基材は、前記テキスタイル表面上に、これらに限定されないが、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、ステンレス鋼の合金または銅などの1種または複数の金属を含む金属化テキスタイルである。
【0011】
一部の実施形態では、前記セラミック材料及び/または任意選択のトップコート(機能層)材料は、これらに限定されないが、親水性、疎水性、難燃性、光触媒作用、抗汚損、脱臭特性、微生物増殖の阻害、氷もしくは凝縮液管理、防氷、防霜、超疎水性、超親水性、耐食性、電磁調節、熱的変調、通気性、動的耐風性、及び/または色などの1つまたは複数の機能特性を前記組成物に付与する。ある特定の実施形態では、そのような機能特性のうちの2つ以上が、前記組成物の単一の層(例えば、テキスタイル、ファブリック、またはフィルター材料のうちの単一の層)に付与される。
【0012】
一部の実施形態では、前記セラミック材料はさらに、機能層により改質されている。一部の実施形態では、機能層(例えば、トップコート)材料は、前記セラミック材料を含まない同一のテキスタイル表面上に直接堆積された同一のトップコート材料により付与される同じ機能特性よりも高度である1つまたは複数の機能特性を付与する。例えば、前記セラミック材料及び前記機能層材料は、同一のテキスタイル表面上に独立に堆積されたセラミック材料または機能層材料のいずれかにより付与される同じ機能特性よりも高度である、1つまたは複数の機能特性を相乗的に付与し得る。
【0013】
一部の実施形態では、前記機能層は疎水特性を付与する。例えば、前記組成物に疎水特性を付与する機能層は、フルオロポリマー、エラストマー、プラスチック、またはヘッド基及びテール基を有し、例えば、その際、前記ヘッド基がシラン基、ホスホナート基、ホスホン酸基、カルボン酸基、ビニル基、アルコール基、ヒドロキシド基、チオラート基、及び/またはチオール基を含み、かつ前記テール基が炭化水素基、フルオロカーボン基、ビニル基、フェニル基、エポキシド基、アクリル基、アクリラート基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、チオール基、及び/または第四級アンモニウム基を含む分子を含んでよい。
【0014】
一部の実施形態では、前記基材上のセラミック材料は、部分的に充填された多孔性構造である。例えば、空孔は、第2のセラミック材料で、またはヘッド基及びテール基を有する分子で部分的に充填されていてよい。
【0015】
一部の実施形態では、前記組成物は、生体分子またはこれらに限定されないが、トリグリセリド、ワックスエステル、スクアレン、及び/または遊離脂肪酸などの皮脂の成分に対してよりも、低分子に対して高い付着を示す。
【0016】
一部の実施形態では、前記組成物は光触媒特性を有し、かつ表面に付着する材料は、光に暴露されると光触媒により分解される。
【0017】
一部の実施形態では、前記組成物は、前記セラミック材料を含まない同一の基材よりも、耐久性撥水性物質に対して高い付着を示す。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載の組成物(多孔性基材上に機能化セラミック材料を含む組成物)のいずれかを含む製品を提供する。ある特定の非限定的実施形態では、製品には、フィルター、膜、衣料品、アウターウェア、キャンピングギア、配管絶縁材、カーペット、カーシート、内装材、床敷、建築表面(例えば、壁面材、床用被覆材(floor sheathing)、または羽目板)、及び窓おおいが含まれる。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物または製品は、約1kPa超の静水圧に耐えることができる。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物または製品は、セラミック材料(及び一部の実施形態では任意選択の機能層)で改質されていない同一の基材の蒸気透過率の約80%超の水蒸気透過率を含む。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物または製品は、約150度超の液滴水接触角度を含む。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物または製品は、酸化マンガンセラミック、及びアルキルシランまたはアルキルホスホナート機能層を含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
テキスタイルなどの多孔性基材上にバインダレスセラミック材料などのセラミック材料を含む組成物を本明細書において提供する。一部の実施形態では、前記基材は、約250μm未満の平均空孔直径を有する空孔を含み、かつ前記セラミックは、前記基材の平均空孔直径を実質的に変化させない。他の実施形態では、前記基材は、約250μm未満の平均空孔直径を有する空孔を含み、かつ前記セラミックは、空孔を部分的に、または完全に充填し、それにより、それぞれ、平均空孔直径を減少させる、または前記基材の空孔を除去する。
【0024】
これらに限定されないが、前記テキスタイル表面上に本明細書に記載のとおりの組成物により付与される親水性、疎水性、難燃性、光触媒作用、抗汚損、脱臭特性、微生物増殖の阻害、氷もしくは凝縮液管理、防氷、防霜、超疎水性、超親水性、耐食性、電磁調節、熱的変調、通気性、動的耐風性、及び/または色などの望ましい機能特性を含む、工業用テキスタイルを提供する。一部の実施形態では、前記テキスタイルの単一の層が、前記テキスタイル表面上に本明細書に記載のとおりの組成物(セラミック材料)により付与されるそのような機能特性のうちの2つ以上を含む。
【0025】
セラミック、例えば、多孔性セラミック(例えば、金属酸化物及び/または金属水酸化物)表面改質組成物をテキスタイル表面上に堆積させる。一部の実施形態では、セラミック、例えば、構造化セラミックを前記基材表面上に堆積させ、かつ1つまたは複数の機能特性を提供する機能層(例えば、トップコート)を、前記セラミック材料上に堆積させるか、または施与する。
【0026】
前記組成物を、テキスタイルなどの基材の表面上にバインダレス表面改質材、例えば、表面-固定化セラミック材料として提供する。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、金属酸化物及び/または水酸化物セラミック、例えば、単一の金属または混合金属酸化物及び/または水酸化物セラミックを含む。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、金属水酸化物及び/または水酸化物セラミック、例えば、単一の金属または混合金属酸化物及び/または水酸化物セラミックを含む。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、金属酸化物及び金属水酸化物セラミックを含み、その際、金属酸化物及び金属水酸化物は、同じか、または異なる単一の金属または混合金属を含む。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、金属酸化物及び/または金属水酸化物セラミックを含み、その際、前記基材は、水または他の化合物により水和されて、表面エネルギー及び潜在的に、セラミックの金属酸化物と金属水酸化物組成物との比の変化が生じる。一部の実施形態では、前記セラミック材料は金属水酸化物を含み、その際、前記金属水酸化物の少なくとも一部は、層状複水酸化物の形態であり、例えば、前記金属水酸化物のうちの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が層状複水酸化物である。
【0027】
本明細書に記載の組成物の一部の実施形態では、「金属酸化物」または「金属水酸化物」は、それぞれ金属酸化物の水和物または金属水酸化物の形態であってよいか、または金属酸化物または金属水酸化物の一部は、それぞれ金属酸化物の水和物または金属水酸化物の形態であってよい。
【0028】
混合金属酸化物または混合金属水酸化物は、例えば、それぞれ、これらに限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、亜鉛、鉛、スズ、タングステン、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、ランタン、マグネシウム、アルミニウム、またはカルシウムなどの1種よりも多い金属の酸化物または水酸化物を含んでよい。
【0029】
本明細書に記載の表面改質材(例えば、バインダレス多孔性セラミック材料)を、バインダを用いずに基材上に堆積させる(例えば、基材表面上の金属との反応により生成)。一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの表面改質材を基材上に固定化する。
【0030】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は、ナノ構造化など、構造化されたセラミック材料である。
【0031】
バインダレスセラミック表面改質材の非限定的例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT出願番号PCT/US19/65978において提供されている。
【0032】
定義
本明細書において提供される数値範囲は、その範囲を定義する数値を含む。
【0033】
「A」、「an」及び「the」は、文脈が別段に明示していない限り、複数形の言及を含む。
【0034】
「及び/または」という語句は、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、結合された要素の「いずれかまたは両方」を意味し、すなわち、場合によっては結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。逆のことが明示されていない限り、具体的に識別される要素に関連するか、または関連しないかに関わらず、他の要素が、「及び/または」節により具体的に識別される要素以外に任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/またはB」に対する言及は、「含む」などの制限のない語法と連動して使われるとき、一実施形態では、Bを含まないA(任意選択でB以外の要素を含む)を指すことができ;別の実施形態では、Aを含まないB(任意選択でA以外の要素を含む)を指すことができ;また別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0035】
「バインダ」または結合剤は、他の材料を一緒に保持する、または引き寄せて、機械的に、化学的に、接着または凝集により凝集した全体を形成する任意の材料または物質である。
【0036】
「バインダレス」は、特に、目的の材料の構造保全を維持するために特異的に添加される有機バインダもしくは樹脂(例えば、ポリマー、接着剤、粘着剤、アスファルト)または無機バインダ(例えば、石灰、セメントガラス、ギブスなど)に関して、バインダが存在しないことを指す。
【0037】
「キャッピング剤」は、結晶成長を遅らせて、ナノ表面の形態の調節を可能にする化合物または作用物質を指す。
【0038】
「セラミック」は、金属、非金属、またはイオン及び共有結合の無機化合物を含む固体材料を指す。
【0039】
「ファブリック」は、繊維から構築されて、化学的、機械的、熱、及び/または溶媒処理により一緒に結合されていてよいノンウーブン材料を指す。ファブリックには、例えば、フェルト、及びウーブンでもニットでもない他の材料が含まれ得る。
【0040】
「繊維」は、テキスタイルがそれから形成される糸またはフィラメントを指す。
【0041】
「親水性」は、水について高い親和性を有する表面を指す。接触角度は、非常に低い、及び/または測定不可能であってよい。
【0042】
「層状複水酸化物」は、一般配列[AcB Z AcB]を有する層状構造により特徴づけられる一群のイオン性固体を指し、ここで、cは、金属カチオンの層を表し、A及びBは、ヒドロキシドアニオンの層であり、かつZは、他のアニオン及び/または中性分子(水など)の層である。層状複水酸化物は、参照により本明細書に組み込まれるPCT出願番号PCT/US2017/052120にも記載されている。
【0043】
「ナノ構造」組成物は本明細書において、少なくとも1つの寸法が100ナノメートル未満である特徴を有する組成物を指す。
【0044】
流体力学における「透過率」は、流体が通過することを許容する多孔性材料の能力の測度である。媒体の透過性は、多孔率に関連するが、媒体における空孔の形状及びそれらの連結性のレベルにも関連する。
【0045】
「孔径分布」は、水銀圧入ポロシメトリー(MIP)及びウォッシュバーン方程式により測定されるとおりの各空孔直径の相対存在度または範囲または空孔直径を指す。
【0046】
「多孔率」は、材料における空隙(すなわち、「空の」)空間の測度であり、0から1の間である、全体積に対する空隙の体積の分数であるか、または0%から100%の間のパーセンテージとしてである。多孔率は、水銀圧入ポロシメトリーにより測定することができる。
【0047】
「多孔性」は、固体材料内の空間、穴、または空隙を指す。
【0048】
「超疎水性」は、水で濡らすのが極めて困難である表面を指す。超疎水性材料、この場合、超疎水性表面上での水滴の接触角度は、150°超の接触角度を指す。高度な疎水性接触角度は、120°超である。
【0049】
「投影基材面積1平方メートルあたりの表面積」は、原子的に滑らかであった(表面粗さがなかった)場合の基材の表面積(同じく典型的には平方メートル)で割った、実際の測定表面積(通常は平方メートルで測定)を指す。
【0050】
「相乗作用」または「相乗的」は、それらの別々の個々の作用の合計よりも高い(正の相乗作用)または低い(負の相乗作用)組合せ作用をもたらす、2つ以上の物質、材料、または作用物質の間での相互作用または協同を指す。
【0051】
「テキスタイル」は、天然または人工繊維のネットワークからなる柔軟な材料を指す。例えば、テキスタイル材料は、ニッティング、ウィービング、フェルティング、タフティング、またはボンディングを介して繊維または繊維群を合わせることにより作製することができ、その際、繊維には、金属繊維を含めて、あらゆる長さの天然及び合成形態の両方が包含される。テキスタイルには、ロープ及びコードも含まれる。
【0052】
「厚さ」は、基材の表面と、表面改質(例えば、セラミック)材料の上部との間の長さを指す。
【0053】
「調整可能」は、材料の機能、特徴、または量を変化させる、または改質することができることを指す。
【0054】
「蒸気透過率」は、層の面に対して直行方向で層を通過する単位時間あたり単位面積あたりの蒸気の量を指す。
【0055】
「水柱破過圧(water column breakthrough pressure)」は、水柱の下部で層が受ける静水圧が、水柱を支持する層の能力を超えて、層を介した水流が生じる、垂直水柱の比高を指す。
【0056】
基材
テキスタイル材料またはファブリックなどの多孔性材料は、本明細書に記載のとおりのセラミック材料を堆積するための基材として役立つ。例えば、前記基材は、ウーブン材料、編地、ノンウーブンファブリックもしくはテキスタイル、または紙から構成されてよい。前記基材には、天然繊維、合成繊維、金属メッシュ、または金属クロス、またはそれらの組合せを含まれ得る。ある特定の非限定的実施形態では、前記基材は、ポリマー(例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン)、セルロース系材料(例えば、レーヨン)、コットン、ウール、アラミド、活性炭、ファイバーガラス、合金(例えば、鋼、黄銅、またはアルミニウム合金)、または金属(例えば、アルミニウム、銅)を含むか、またはそれからなる。
【0057】
一部の実施形態では、前記テキスタイル基材は金属化テキスタイルである。金属化テキスタイルは、前記テキスタイル表面上に、これらに限定されないが、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、または銅、またはそれらの組合せなどの1種または複数の金属を含む。一実施形態では、金属化テキスタイルは、アルミニウムで金属化されている。前記テキスタイル表面上の金属の厚さは、約25nm~約2000nm、約25nm~約100nm、約50nm~約250nm、約100nm~約500nm、約500nm~約1000nm、約1000nm~約2000nm、約750nm~約1500nm、約100nm~約2000nm、または約500nm~約2000nmであってよい。
【0058】
一部の実施形態では、前記基材は、連続セラミック材料の堆積前に、酸化されている、活性化されている、または灰化されている。一部の実施形態では、この酸化ステップを、酸化剤に基材を沈めることにより行う。一部の実施形態では、前記酸化剤には、過硫酸塩、過マンガン酸塩、硝酸塩、または過酸化物が含まれる。一部の実施形態では、酸化剤浴を加熱する。一部の実施形態では、過硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、または過酸化水素を使用して、表面を酸化する。一部の実施形態では、前記基材を、UV/オゾンまたはプラズマを使用して酸化、活性化、または灰化する。一部の実施形態では、酸素プラズマを使用して、表面を酸化及び/または活性化する。
【0059】
一部の実施形態では、ASTM D737による前記基材の空気透過率は、約0.1立法フィート毎分(CFM)~約100CFMである。他の実施形態では、空気透過率は、約0.5CFM、約1CFM、約2CFM、約5CFM、約10CFM、約20CFM、約30CFM、約40CFM、約50CFM、約60CFM、約70CFM、約80CFM、約90CFM、または約100CFMである。他の実施形態では、空気透過率は、約1CFM~約5CFMまたは約1CFM~約20、約0.1CFM~約0.5CFM、約20CFM~約50CFM、または約50CFM~約100CFMである。一部の実施形態では、前記セラミック材料または機能化材料は、空気透過率を約20%を超えて変化させない。
【0060】
機能化
本明細書に記載のとおりの多孔性基材は、1つまたは複数の望ましい機能特性を含む機能化生成組成物(例えば、工業用テキスタイルまたはフィルター材料)である。そのような機能特性には、これらに限定されないが、疎水性、微生物増殖の阻害もしくはそれに対する耐性、難燃性、親水性、耐食性、氷もしくは凝縮液管理、防氷、防霜、超疎水性、超親水性、耐食性、電磁調節、熱的変調、通気性、動的耐風性、及び/または色、またはそれらの組合せが含まれ得る。
【0061】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの機能化基材(例えば、テキスタイル)は、フルオロカーボン薬を含まない。一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりに生成された機能化基材(例えば、テキスタイル)は、複数の望ましい特性(機能性)を前記基材の単一の層に含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりに生成された機能化基材(例えば、テキスタイル)は、天然または合成繊維を含むテキスタイル基材上に機能化構造化セラミックを含む。
【0062】
一部の実施形態では、前記基材上に堆積させるセラミックを、機能特徴を付与し、さらには、構造化セラミック材料の堆積のために結合表面を準備するために使用することができる所望の多孔率またはオープン割合(open fraction)で設計することができる。
【0063】
一部の実施形態では、トップコート材料などの1層または複数の機能層を前記構造化セラミック材料に施与して、前記テキスタイル材料に所望の機能特性を付与する。1つまたは複数の機能特性を構造化セラミックにより、及び/または施与されたトップコート材料により付与することができる。本明細書に記載の方法によりテキスタイルに付与される機能性の非限定的例には、疎水性、微生物増殖の阻害、難燃性、親水性、耐食性、氷もしくは凝縮液管理、防氷、防霜、超疎水性、超親水性、微生物増殖の阻害、耐食性、電磁調節、熱的変調、通気性、動的耐風性、耐臭気または臭気除去(例えば、脱臭特性)、及び/または色、及びそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、複数の機能性が、前記テキスタイル材料の単一の層に付与される(すなわち、多機能性の単層テキスタイル)。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりのセラミック上に施与または堆積されたトップコート材料により付与される機能性は、前記セラミックを含まない同一の基材上に施与または堆積された同一の材料の機能性と比べて強化される。一部の実施形態では、前記セラミック材料及び前記トップコート材料は、同一の基材表面上に独立に堆積されたセラミック材料またはトップコート材料のいずれかにより付与される同じ機能特性よりも高度である、1つまたは複数の機能特性を相乗的に付与する。
【0065】
一部の実施形態では、疎水性機能性をステアリン酸、またはScotchgard(商標)(3M)により提供する。一部の実施形態では、抗微生物機能性をSmartShield Antimicrobial Protective Spray(Sylvane)により提供する。一部の実施形態では、難燃機能性をNo Burn 1005 Fabric Fire Protection(No-Burn,Inc.)またはハロン含有化合物により提供する。一部の実施形態では、親水機能性をポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、または多糖材料により提供する。
【0066】
ある特定の非限定的な実施形態では、トップコートは、塗料、塗料バインダ、疎水性材料、親水性材料、金属もしくは金属含有化合物、または抗微生物剤を含んでよい。
【0067】
一部の実施形態では、前記セラミック表面改質材は、部分的に充填された多孔性構造である。例えば、空孔は、第2のセラミック材料(例えば、前記バインダレス多孔性セラミック材料とは異なるセラミック材料)で、またはヘッド基及びテール基を含み、例えば、その際、ヘッド基がシラン基、ホスホナート基、ホスホン酸基、カルボン酸基、ビニル基、アルコール基、ヒドロキシド基、チオラート基、チオール基、及び/またはアンモニウム基(例えば、第四級アンモニウム基)を含み、かつテール基が炭化水素基、フルオロカーボン基、ビニル基、フェニル基、エポキシド基、アクリル基、アクリラート基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、チオール基、及び/または第四級アンモニウム基を含む分子で部分的に充填されていてよい。
【0068】
一部の実施形態では、トップコートは、表面で外部からの流体または内部からの流体の粘性抗力を低減するトップコーティングを改変する表面である。一部の実施形態では、コーティングは、ナノ構造化コーティング組成物を含む表面上及び外部からの流体または内部からの流体の粘性抗力を低減するトップコートを改変する表面上に堆積され、さらに耐食性、汚れ抵抗、自浄化、熱伝達特性、光学特性などの付加的な利益を含む。
【0069】
一部の実施形態では、トップコートは、抗微生物剤であるか、またはそれを含有する。例えば、抗微生物剤は、細胞膜を通過してのイオンの移動を撹乱する電荷移動化合物または作用物質、例えば、第四級アミンであってよい。一部の実施形態では、抗微生物剤は、ベータ-ラクタム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、マクロライド、リンコサミド、スルホンアミド、キノロン、ポリエン、アゾール、またはグリセオフルビンである。
【0070】
一部の実施形態では、トップコートは、塗料バインダであるか、またはそれを含有する。例えば、塗料バインダは、アルキド、アクリル、ビニルアクリル、酢酸ビニル/エチレン(VAE)、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、ポリオール、メラミン樹脂、ワックス、エポキシ、シラン、またはオイルであってよい。
【0071】
セラミック材料
本明細書に記載のとおりの構造化セラミック材料などのセラミック材料を、前記多孔性基材の表面の少なくとも一部に堆積させる。一部の実施形態では、前記セラミック材料はナノ構造化セラミック材料である。一部の実施形態では、前記セラミック材料は多孔性である。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、バインダレスナノ構造化セラミック材料などのバインダレスセラミック材料である。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、バインダレス多孔性ナノ構造化セラミック材料などのバインダレス多孔性セラミック材料である。
【0072】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は:投影基材面積1平方メートルあたり約1.5m~100m、約10m~約1500m、または約70m~約1000mの表面積;セラミック材料1グラムあたり約15m~約1500m、または約50m~約700mの表面積;約5nm~約200nm、約2nm~約20nm、または約4nm~約11nmの平均空孔直径;最高約100マイクロメートル、最高約50マイクロメートル、最高約25マイクロメートル、最高約20マイクロメートル、または約0.2マイクロメートル~約25マイクロメートルの厚さ;約5%~約95%、約10%~約90%、約30%~約70%、約30%~約95%、または約10%超の多孔率;水銀圧入ポロシメトリーにより決定された場合に約100mm/g~約7500mm/gの空隙体積;これらの任意の組合せを含む。
【0073】
一部の実施形態では、前記セラミック材料(例えば、金属酸化物、金属水酸化物、及び/またはその水和物)は、亜鉛、アルミニウム、マンガン、マグネシウム、セリウム、銅、ガドリニウム、タングステン、スズ、鉛、及びコバルトのうちの1種または複数を含む。一部の実施形態では、前記セラミック材料は、遷移金属、第II属元素、希土類元素(例えば、ランタン、セリウム、ガドリニウム、プラセオジム、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、またはネオジム)、アルミニウム、スズ、亜鉛、または鉛を含む。
【0074】
一部の実施形態では、セラミック表面改質材は、約0.5または1~約100マイクロメートル、または約0.5マイクロメートル~約20マイクロメートルの厚さ、または最高約50マイクロメートル、または最高約25マイクロメートルの厚さを含む。一部の実施形態では、バインダレス多孔性セラミック材料は、約0.2マイクロメートル~約25マイクロメートルの厚さを含む。一部の実施形態では、厚さは、少なくとも約0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25マイクロメートルのいずれかである。一部の実施形態では、厚さは、約0.2~約0.5、約0.5~約1、約1~約5、約3~約7、約5~約10、約7~約15、約10~約15、約12~約18、約15~約20、約18~約25、約0.5~約15、約2~約10、約1~約10、約3~約13、約0.5~約15、約0.5~約5、約0.5~約10、または約5~約15マイクロメートルのいずれかである。
【0075】
一部の実施形態では、前記セラミック表面改質材は、投影基材面積1平方メートルあたり約1.1m~約100mの表面積を含む。一部の実施形態では、前記バインダレス多孔性セラミック材料は、投影基材面積1平方メートルあたり約10m~約1500mの表面積を含む。一部の実施形態では、前記表面積は、投影基材面積1平方メートルあたり少なくとも約10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、または1500mのいずれかである。一部の実施形態では、前記表面積は、投影基材面積1平方メートルあたり約10~約100、約50~約250、約150~約500、約250~約750、約500~約1000、約750~約1200、約1000~約1500、約70~約1000、約150~約800、約500~約900、または約500~約1000mのいずれかである。
【0076】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は、セラミック材料1グラムあたり約15m~約1500mの表面積を含む。一部の実施形態では、表面積は、セラミック材料1グラムあたり少なくとも約15、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、または1500mのいずれかである。一部の実施形態では、前記表面積は、セラミック材料1グラムあたり約15~約100、約50~約250、約150~約500、約250~約750、約500~約1000、約750~約1200、約1000~約1500、約50~約700、約75~約600、約150~約650、または約250~約700mのいずれかである。
【0077】
一部の実施形態では、前記セラミック表面改質材は、多孔性であり、かつ約2nm~約50nmの範囲であるメソ多孔性平均空孔サイズを含む。他の実施形態では、平均空孔サイズは約50nm~約1000nmの範囲である。一部の実施形態では、前記バインダレス多孔性セラミック材料は、約2nm~約20nmの平均空孔直径を含む。一部の実施形態では、平均空孔直径は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20nmのいずれかである。一部の実施形態では、平均空孔直径は、約2~約5、約4~約9、約5~約10、約7~約12、約9~約15、約12~約18、約15~約20、約4~約11、約5~約9、約4~約8、または約7~約11nmのいずれかである。
【0078】
一部の実施形態では、前記セラミック表面改質材は多孔性であり、約5%~約95%の多孔率を有する。一部の実施形態では、多孔率は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%またはそれを上回るいずれかであってよい。一部の実施形態では、多孔率は、約10%~約90%、約30%~約90%、約40%~約80%、または約50%~約70%である。
【0079】
一部の実施形態では、前記セラミック表面改質材は、多孔性であり、約1~10,000ミリダルシーの透過率を有する。一部の実施形態では、透過率は、少なくとも約1、10、100、500、1000、5000、または10,000ミリダルシーのいずれかであってよい。一部の実施形態では、透過率は、約1~約100、約50~約250、約100~約500、約250~約750、約500~約1000、約750~約2000、約1000~約2500、約2000~約5000、約3000~約7500、約5000~約10,000、約1~約1000、約1000~約5000、または約5000~約10,000ミリダルシーである。
【0080】
一部の実施形態では、前記セラミック材料は、多孔性であり、水銀圧入ポロシメトリーにより決定される場合、約100mm/g~約7500mm/gの空隙体積を含む。一部の実施形態では、空隙体積は、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、または7500mm/gのいずれかである。一部の実施形態では、空隙体積は、約100~約500、約200~約1000、約400~約800、約500~約1000、約800~約1500、約1000~約2000、約1500~約3000、約2000~約5000、約3000~約7500、約250~約5000、約350~約4000、約400~約3000、約250~約1000、約250~約2500、約2500~約5000、または約500~約4000mm/gのいずれかである。
【0081】
セラミック堆積層は、1つまたは複数の機能特徴を付与し、さらに、トップコート材料などの機能化層のために結合表面を準備するように設計することができる。
【0082】
使用用途
本明細書に記載のとおりの改質された基材(例えば、テキスタイル)は、システムまたは使用用途において性能を増強する1つまたは複数の機能特性を含む。
【0083】
例えば、改質された基材は、生体分子または皮脂の成分(例えば、トリグリセリド、ワックスエステル、スクアレン、及び/または脂肪酸)に対してよりも、低分子(例えば、薬物または抗生物質などの低分子量(例えば、900Da未満及び/またはサイズ1nm以下)有機化合物)に対して高い付着を示し得る。そのような組成物は、例えば、薬物または殺虫剤で予めコーティングされていて、かつ身体の油(皮脂)からの臭気を蓄積しない絆創膏(例えば、キャストライナー)の形態で提供することができる。
【0084】
別の実施例では、前記基材を、光触媒特性を有するように機能化して、表面に付着する材料は、光に暴露された場合に光触媒により分解される。例えば、光に暴露された場合に、皮脂成分などの、臭気を助長する化合物は分解され得る。
【0085】
別の実施例では、前記組成物は、本明細書に記載のとおりのセラミック材料で改質されていない同一の基材よりも、耐久性撥水性物質に対して大きな付着を示す。複数の市販の耐久性撥水配合物はフルオロポリマーベースであり、本明細書に記載の組成物とは対照的に、性能を維持するために頻繁な再施与を必要とし得る。他の材料には、ペルフルオロ化酸、ペル-及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロオクタン酸、Scotchgard及びQuarpelが含まれる。これらの材料の多くは、有害な健康及び環境影響を有する。
【0086】
本明細書に記載の組成物を含む製品を提供する。そのような製品の非限定的例には、フィルター、膜、衣料品、アウターウェア、キャンピングギア(例えば、テント、寝袋)、配管絶縁材、カーペット、内装材、カーシート(例えば、乳児用シート)、床敷(例えば、ベッドシーツなどの耐水性通気性床敷)、建築用外装材、履物、及び窓おおいが含まれる。
【0087】
一実施形態では、前記組成物を、これに限定されないが、食品用包装材などの膜として使用する。例えば、前記膜は、ある特定の化合物についてのバリアとして役立つが、酸素及び他の材料が通過することは許容し得るか、または水を空気から分離するために役立ち得るか(例えば、撥水性または保水性)、または固体を液体から分離及び保持し得る(例えば、チーズクロス)。他の実施形態では、前記膜は、水蒸気の通過は許容し得るが、液体の水の通過は許容し得ない。
【0088】
次の実施例は、例示を意図したものであって、本発明を限定することを意図したものではない。
【実施例
【0089】
実施例1
リップストップナイロンを、耐水性通気性テキスタイル材料を生産するための基材として使用した。ウーブンリップストップナイロンを蒸着によりアルミニウムで金属被覆して、25nm~2000nm、典型的には約300nmのアルミニウム厚さでアルミニウム被覆ナイロンを生産した。
【0090】
次いで、アルミニウム被覆試料を、硝酸マグネシウム及び同様の量のヘキサメチレンテトラミンの25~75mM水溶液中で、約60℃~80℃の温度で、約5~90分の時間にわたって堆積させた多孔性酸化マグネシウムベースのセラミックでコーティングした。次いで、そのメッシュを約100℃~250℃の温度で約1時間にわたってか焼した。堆積物の構造を画像化して、均一性を評価した。
【0091】
90分間にわたってヘキサデシルホスホン酸中にバッチ浸漬し、次いで、105℃で90分間にわたって乾燥させることにより、テキスタイルを機能化して超疎水特性を付与した。試料をAATCC 127及びASTM E96基準について試験すると、既存の防水性通気性商品よりも優れた耐水性及び水蒸気透過性能を持つことが観察された。
【0092】
実施例2
ステンレス鋼メッシュ層を酸エッチングで点食し、次いで、硝酸マンガン及び同様の量のヘキサメチレンテトラミンまたは尿素の25~75mM水溶液中で、約60℃~80℃の温度で約60~240分間の時間にわたって堆積させたバインダレス構造化酸化マンガンセラミック表面改質材でコーティングした。次いで、メッシュを約400℃~600℃の温度で約1時間にわたってか焼して、前記表面に親水特性を与えた。前記水接触角は、液滴法により5度未満であると測定された。メッシュを、脱イオン水約1cmを含むカップに入れた。2分後に、毛細管上昇は、液面を超えて約3cmであると決定された。毛細管上昇は、PCT出願番号PCT/US19/65978に記載のとおりに決定した(例えば、図1A~1Cを参照されたい)。蒸気透過率は、130g/時/mであると決定された。水柱破過圧を試験し、層は、いずれの測定可能な高さの水柱も支持することができなかった。
【0093】
実施例3
実施例2に記載の方法と同様の方法を使用して、ステンレス鋼メッシュ層を、酸化マンガンから構成されるセラミック材料でコーティングした。次いで、イソプロパノール中のヘキサデシルホスホン酸の希釈(約0.5%)液を使用して、表面を機能化し、それにより、表面疎水特性を与えた。水接触角は、液滴法により151度であると測定された。層を、脱イオン水約1cmを含むカップに入れた。2分後に、液面を超える表面に、目立った水の上昇は認められなかった。蒸気透過率は、145g/時/mであると決定された。水柱破過圧は、水頭25cmであると決定された。
【0094】
実施例4
いずれの表面調整も伴わないステンレス鋼メッシュ層を試験した。水接触角は、液滴法により20度であると測定された。層を、脱イオン水約1cmを含むカップに入れた。2分後に、液面を超える表面に、目立った水の上昇は認められなかった。蒸気透過率は、152g/時/mであると決定された。水柱破過圧を試験すると、層は、いずれの測定可能な高さの水柱も支持することができなかった。
【0095】
実施例5
アルミニウムメッシュ層を、硝酸マグネシウム及び同様の量のヘキサメチレンテトラミンの25~75mM水溶液中で約60℃~80℃の温度で、約30~90分の時間にわたって堆積させた酸化マグネシウムからなるセラミック材料でコーティングした。次いで、メッシュを約300℃~600℃の温度で、約1時間にわたってか焼し、それにより、表面に親水特性を与えた。水接触角は、液滴法により5度未満であると測定される。層を、脱イオン水約1cmを含むカップに入れる。2分後に、毛細管上昇は、液面上約5cmであると決定された。蒸気透過率は、約150g/時/mであると決定された。水柱破過圧を試験すると、層は、いずれの測定可能な高さの水柱も支持することができなかった。
【0096】
実施例6
実施例5に記載の手順と同様の手順を使用して、アルミニウムメッシュ(Dutchツイル)層を、酸化マグネシウムから構成されるセラミック材料でコーティングした。次いで、イソプロパノール中のヘキサデシルホスホン酸の希釈液を使用して、表面を機能化し、それにより、表面疎水特性を与えた。水接触角は、液滴法により160度であると測定された。層を、脱イオン水約1cmを含むカップに入れた。2分後に、液面を超える表面に、目立った水の上昇は認められなかった。蒸気透過率は、150g/時/mであると決定された。水柱破過圧は、水頭100cmであると決定された。
【0097】
実施例7
いずれの表面調整も伴わないアルミニウムメッシュ層を試験した。水接触角は、液滴法により20度であると測定された。層を、脱イオン水約1cmを含むカップに入れた。2分後に、液面を超える表面に、目立った水の上昇は認められなかった。蒸気透過率は、153g/時/mであると決定された。水柱破過圧を試験すると、層は、いずれの測定可能な高さの水柱も支持することができなかった。
【0098】
実施例8
実施例1に記載の方法と同様の方法を使用して、40d(40デニール)ウーブンポリアミドテキスタイル層を、酸化マグネシウムから構成されるセラミック材料でコーティングし、それにより、表面親水特性を得た。水接触角は、液滴法により5度未満であると測定された。蒸気透過率は、175g/時/mであると決定された。水柱破過圧を試験すると、層は、いずれの測定可能な高さの水柱も支持することができなかった。
【0099】
実施例9
40dウーブンポリアミドテキスタイル層を、酸化マグネシウムから構成されるセラミック材料でコーティングした。次いで、イソプロパノール中のヘキサデシルホスホン酸の希釈液を使用して、表面を機能化し、それにより、表面疎水特性を得た。蒸気透過率は、170g/時/mであると決定される。水柱破過圧は、水頭55cmであると決定される。
【0100】
実施例10
いずれの表面調整も含まない40dウーブンポリアミドテキスタイル層を試験した。蒸気透過率は、170g/時/mであると決定された。水柱破過圧を試験すると、層は、いずれの測定可能な高さの水柱も支持することができなかった。
【0101】
実施例11
ウーブンポリエステルテキスタイル及びウーブンナイロンテキスタイルに、約250nmのアルミニウムをスパッタリング堆積させた。テキスタイルを小片に切断し、3種の異なるセラミック材料:a)酸化マグネシウム/水酸化物ベースのセラミック、b)及び酸化マンガン/水酸化物ベースのセラミック、c)及び酸化亜鉛/水酸化物ベースのセラミックでコーティングした。3つすべてのセラミックが、酸化/水酸化アルミニウム量を含有した。セラミックを、実施例1に記載の方法と同様の方法で堆積させた(セラミックにおいて見い出されるそれぞれ個々のカチオンのために、2+金属硝酸塩または金属硫酸塩を使用)。試料を接触角について試験すると、15度未満の接触角を示した。次いで、セラミック改質テキスタイルを、イソプロパノール中のヘキサデシルホスホン酸またはエタノール中のヘキサデシルトリエトキシシランの希釈浴(0.1%~1%)中で浸漬コーティングした。シランの場合には、少量の酢酸触媒を時々、使用した。次いで、試料を再び、接触角について測定すると、約150~160度の接触角を示した。水蒸気透過は、非改質ファブリックの測定の誤差内であった。
【0102】
実施例12
テキスタイルを約200~500mMの硫酸亜鉛、約50~150mMの過硫酸カリウム、及び約1.2~1.7モルの水酸化アンモニウムのバッチで、約5~60分間にわたって室温で浸漬することにより、ウーブンポリエステルテキスタイル、ポリアミドテキスタイル、及びTencelテキスタイルを酸化亜鉛ベースのセラミックでコーティングした。硫酸亜鉛の代わりに硫酸ニッケルを用いることにより、酸化ニッケル堆積物もポリエステル上に堆積させた。硫酸亜鉛の代わりに硫酸マンガンを用い、かつ過硫酸塩の代わりに過マンガン酸塩を用いることにより、酸化マンガン堆積物もポリエステル上に作製した。次いで、これらの試料を約105℃~約140℃の温度で、約1~2時間の期間にわたって乾燥させた。試料を接触角について試験すると、15度未満の接触角を示した。次いで、セラミック改質テキスタイルをイソプロパノール中のヘキサデシルホスホン酸またはエタノール中のヘキサデシルトリエトキシシランの希釈浴(0.1%~1%)中で浸漬コーティングした。シランの場合には、少量の酢酸触媒を時々、使用した。次いで、試料を再び、接触角について測定すると、約150~160度の接触角を示した。
【0103】
実施例13
ウーブンポリアミド及びポリエステルテキスタイルを酸化剤の浴に沈めて、表面を活性化させた。典型的な酸化手順は、約5mM~約200mMの濃度の過硫酸カリウムまたは過マンガン酸カリウム及び約10mM~約400mMの濃度の水酸化アンモニウムの水浴にテキスタイルを沈めることを含む。典型的な浴は、約1:2モル比の過マンガン酸カリウムまたは過硫酸カリウムと水酸化アンモニウムとを有した。酸化温度は、ほぼ室温から約80℃の範囲であった。
【0104】
実施例14
ウーブンポリエステル及びポリアミドテキスタイルを、UV/オゾン及び/または酸素プラズマ中で酸化させて、構造化セラミック層のさらに良好な付着を生じさせた。
【0105】
実施例15
ウーブンポリアミド及びポリエステルテキスタイルを約5~200mMの過マンガン酸カリウム及び約10~400mMの水酸化アンモニウムの水浴に、およそ室温から約80℃の温度で約5分~約1時間にわたって沈めた。過マンガン酸塩と水酸化アンモニウムとの典型的な比は、約1~2であった。次いで、基材を乾燥させ、次いで、基材を金属(Mn、Zn、またはMg)硝酸塩の25~150mM水溶液及び同様の量のヘキサメチレンテトラミンに、約60℃~80℃の温度で約5~90分の期間にわたって浸漬することにより、酸化/水酸化マンガン、酸化/水酸化亜鉛、または酸化/水酸化マグネシウムを含む構造化セラミック層を堆積させた。次いで、メッシュを約100℃~250℃の温度で約1時間にわたって乾燥させた。これらの試料の接触角を測定すると、約15度未満であることが決定された。次いで、セラミック改質テキスタイルを、イソプロパノール中のヘキサデシルホスホン酸またはエタノール中のヘキサデシルトリエトキシシランの希釈浴(0.1%~1%)中で浸漬コーティングした。シランの場合には、少量の酢酸触媒を時々、使用した。次いで、試料を再び、接触角について測定すると、約150~160度の接触角を示した。
【0106】
前述の発明を、理解を明確にすることを目的として、実例及び実施例として多少詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲において記述されている本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、ある程度の変化及び変更を実行し得ることは当業者には明らかであろう。したがって、それらの記載は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0107】
本明細書において引用される刊行物、特許、及び特許出願はすべて、あらゆる目的のために、かつそれぞれ個別の刊行物、特許、または特許出願が具体的に、かつ個別に、参照により本明細書に組み込まれると記載されている場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】