(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】レンボレキサントの固体形態
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
C07D401/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535835
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 US2020064156
(87)【国際公開番号】W WO2021119223
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503352718
【氏名又は名称】テバ チェコ インダストリーズ エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ズザナ・トルチコヴァ
(72)【発明者】
【氏名】アデラ・バールトヴァ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル・コレサ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・イエゴロフ
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB07
4C063CC29
4C063DD12
4C063EE01
(57)【要約】
本開示は、レンボレキサント:コハク酸、その固体形態、その調製方法、及びその医薬組成物を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性レンボレキサント:コハク酸。
【請求項2】
共結晶である結晶性レンボレキサント:コハク酸。
【請求項3】
レンボレキサントとコハク酸との比が1:1.5~1.5:1又は1:1.25~1.25:1、又は約1:1である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項4】
以下の1つ又は複数から選択されるデータによって特徴付けられる、形態1と称される請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の結晶性生成物:
(a)7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有するXRPDパターン、
(b)
図1に示されるXRPDパターン、
(c)7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有し、また11.2、14.9、18.4、20.6及び24.4度2シータ±0.2度2シータから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの追加のピークを有するXRPDパターン、
(d)7.4、8.4、9.2、11.2、14.0、14.9、17.1、18.4、20.6及び24.4度2シータ±0.2度2シータにピークを有する粉末X線回折パターン、
(e)7.4、8.4、9.2、11.2、14.0、14.9、17.1、17.7、18.4、18.9、19.5、19.7、20.2、20.6、22.4、22.9、24.0、24.4、25.2、25.5、26.5、27.0、27.5、27.8、28.4、28.7及び29.7度2シータ±0.2度2シータにピークを有する粉末X線回折パターン、
(f)177.4、158.6、149.3、124.0及び114.5ppm±0.2ppmに特徴的なピークを有する固体13C NMRスペクトル、
(g)108.8ppm±1ppmの参照ピークからの以下の化学シフト絶対差:68.6、49.8、40.5、15.2及び5.7ppm±0.1ppmを有する固体
13C NMRスペクトル、
(h)実質的に
図2、3、又は4に示した固体
13C NMRスペクトル、
(i)144.6、265.1、269.8及び301.6ppm±0.2ppmに特徴的なピークを有する固体
15N NMRスペクトル、
(j)実質的に
図5に示した固体
15N NMRスペクトル、
(i)次の単位セルデータ:
セル_長さ_a 10.53Å
セル_長さ_b 23.81Å
セル_長さ_c 5.12Å
セル_角度_ベータ 90.695°
対称空間群名 P2
1
(j)これらのデータの組み合わせ。
【請求項5】
前記結晶形態が無水形態である、形態1と称される請求項1~4のいずれか一項に記載の結晶性生成物。
【請求項6】
約20%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約1%以下又は約0%のレンボレキサント:コハク酸又はレンボレキサントコハク酸塩の任意の他の結晶形態を含む、形態1と称される請求項1~5のいずれか一項に記載の結晶性生成物。
【請求項7】
約20%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約1%以下又は約0%のアモルファスレンボレキサント:コハク酸又はレンボレキサントコハク酸塩を含む、形態1と称される請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶性生成物。
【請求項8】
医薬組成物の調製のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物の使用。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶を少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせることを含む、請求項9に記載の医薬組成物を調製するための方法。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物、又は請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
不眠症及び/又はアルツハイマー病又は認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害の治療に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物、又は請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
不眠症及び/又はアルツハイマー病又は認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物又は請求項9に記載の医薬組成物を、当該治療を必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項14】
レンボレキサントの別の固体形態、又はその別の塩若しくは固体形態の調製における、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物の使用。
【請求項15】
セトゲプラム(Setogepram)塩又はその固体形態を調製するための方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶性生成物を調製する工程、及び前記結晶性生成物をレンボレキサントの別の固体形態、又はその別の塩若しくは固体形態に変換する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンボレキサント:コハク酸、その固体形態、その調製方法、及びその医薬組成物を包含する。
【背景技術】
【0002】
レンボレキサント、則ち、(1R,2S)-2-[[(2,4-ジメチルピリミジン-5-イル)オキシ]メチル]-2-(3-フルオロフェニル)-N-(5-フルオロピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドは、次の化学構造を有している。
【0003】
【0004】
レンボレキサントは、治験中の睡眠覚醒調節剤であり、不眠症やアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害の治療のために開発されている。
【0005】
この化合物は、国際公開第2012/039371号に記載されている。レンボレキサントの調製方法は、国際公開第2013/123240号に記載されている。レンボレキサントの結晶形態は、国際公開第2019/024845号に記載されている。
【0006】
多形、則ち、異なる結晶形態の存在は、幾つかの分子及び分子複合体の特性である。単一の分子は、融点、熱挙動(例えば、熱重量分析(「TGA」)、又は示差走査熱量測定(「DSC」))、X線回折(XRD)パターン、赤外線吸収フィンガープリント、及び固体(13C)NMRスペクトルにより測定される異なる結晶構造及び物理的特性を有する種々の多形を生じさせる可能性がある。これらの技術の1つ又は複数を使用して、化合物の異なる多形形態を区別することができる。
【0007】
医薬品有効成分の異なる塩及び固体形態(溶媒和形態を含む)は、異なる特性を有し得る。異なる塩及び固体形態並びに溶媒和物の特性のそのような変化は、例えば、より良い処理又は取り扱い特性を促進することによって、溶解プロファイルを好ましい方向に変更することによって、又は安定性(多形及び化学的安定性)及び貯蔵寿命を改善することによって、製剤を改善するための基礎を提供し得る。異なる塩及び固体形態の特性のこれらの変動はまた、例えば、それらが生物学的利用能を改善するのに役立つ場合には、最終投与形態に対して改善を提供し得る。医薬品有効成分の異なる塩及び固体形態並びに溶媒和物もまた、様々な多形又は結晶形態を生じさせる可能性があり、これが今度は、固体医薬品有効成分の特性及び特性の変動を評価するための追加の機会を提供し得る。
【0008】
医薬品の新しい固体形態及び溶媒和物を発見することは、取り扱いの容易さ、処理の容易さ、貯蔵安定性、及び精製の容易さ等の望ましい処理特性を有する材料、又は他の多形形態への変換を容易にする望ましい中間結晶形態としての材料を産み出すことを可能にする。薬学的に有用な化合物の新しい固体形態はまた、医薬品の性能特性を改善する機会を提供できる。それは、例えば異なる晶癖、より高い結晶化度、又は多形安定性を含む異なる特性を備えた製品を提供することによって、製剤科学者が製剤の最適化のために利用できる材料のレパートリーを拡大し、より良い処理又は取り扱い特性、改善された溶解プロファイル、又は改善された貯蔵寿命(化学的/物理的安定性)を提供し得る。少なくともこれらの理由から、レンボレキサントの追加の固体形態(溶媒和形態を含む)が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2012/039371号
【特許文献2】国際公開第2013/123240号
【特許文献3】国際公開第2019/024845号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、7th ed.
【発明の概要】
【0011】
本開示は、結晶性レンボレキサント:コハク酸及びその固体形態を提供する。本開示はまた、その調製のための方法、及びその医薬組成物を提供する。これらの結晶多形は、レンボレキサントの他の固体形態、レンボレキサント塩及びそれらの固体形態を調製するために使用することができる。
【0012】
本開示はまた、レンボレキサントの他の固体形態又はその塩の調製における、前記固体形態のレンボレキサントの使用を提供する。
【0013】
本開示は、不眠症及び/又はアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害の治療用を含む、医薬における使用のための結晶性レンボレキサント:コハク酸、又はその記載された固体形態を提供する。
【0014】
本開示はまた、医薬組成物及び/又は製剤の調製のための、結晶性レンボレキサント:コハク酸又は本開示のその記載された固体形態の使用を包含する。
【0015】
別の態様において、本開示は、結晶性レンボレキサント:コハク酸又は本開示によるその記載された固体形態を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
本開示は、上記の医薬組成物を調製するための方法を含む。この方法には、結晶性レンボレキサント:コハク酸又はその記載された固体形態のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることが含まれる。
【0017】
本明細書で定義される結晶性レンボレキサント:コハク酸又はその記載された固体形態、及びレンボレキサントの結晶多形の医薬組成物又は製剤は、不眠症及び/又はアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害の治療等のための薬剤として使用することができる。
【0018】
本開示はまた、不眠症及びアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害を治療する方法であって、該方法が、不眠症及びアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害に罹患し、或いは前記治療を必要としている対象に対して、治療有効量の本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形のいずれか1つ若しくはそれらの組み合わせ、又は上記医薬組成物の少なくとも1つを投与することによる、方法を提供する。
【0019】
本開示はまた、例えば、不眠症及びアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害を治療する医薬の製造のための、本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形、又は上記の医薬組成物の少なくとも1つの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】レンボレキサント:コハク酸の形態1の特徴的なX線粉末回折パターン(XRPD)を示す図である。
【
図2】レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1における特徴的な固体
13C NMRスペクトル(全範囲200~0ppm)を示す図である。
【
図3】レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1における特徴的な固体
13C NMRスペクトル(200~100ppm)を示す図である。
【
図4】レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1における特徴的な固体
13C NMRスペクトル(100~0ppm)を示す図である。
【
図5】レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1における特徴的な
15N CP/MAS NMRスペクトル(400~0ppm)を示す図である。
【
図6】レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1における特徴的なFTIRスペクトル(全範囲)を示す図である。
【
図7】レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1における特徴的なFTIRスペクトル(1800~550cm-1)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、結晶性レンボレキサント:コハク酸、特にレンボレキサント:コハク酸共結晶、及びその固体形態、それらの調製方法、並びにその医薬組成物を包含する。
【0022】
レンボレキサント:コハク酸及びその結晶多形の固体特性は、レンボレキサント:コハク酸及びその結晶多形が固体形態で得られる条件を制御することによって影響を受ける可能性がある。
【0023】
固体形態(又は多形)は、本明細書において、多形的に純粋であるか、又は他の固体(又は多形)形態を実質的に含まないと称され得る。この文脈において本明細書で使用する場合、「いかなる他の形態をも実質的に含まない」との表現は、固体形態が、例えばXRPDにより測定したときに、約20%(w/w)以下、約10%(w/w)以下、約5%(w/w)以下、約2%(w/w)以下、約1%(w/w)以下、又は約0%の、対象化合物の任意の他の形態を含むことを意味すると理解される。したがって、いかなる他の固体形態をも実質的に含まないものとして本明細書に記載されるレンボレキサントの結晶多形は、約80%(w/w)超、約90%(w/w)超、約95%(w/w)超、約98%(w/w)超、約99%(w/w)超、又は約100%の対象レンボレキサント結晶多形を含むものと理解される。本開示の幾つかの実施形態において、レンボレキサントの記載された結晶多形は、同じレンボレキサントの1つ又は複数の他の結晶多形の約1%~約20%(w/w)、約5%~約20%(w/w)、又は約5%~約10%(w/w)を含むことが可能である。
【0024】
比較される他の結晶多形に応じて、本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形は、化学的純度、流動性、溶解性、溶解速度、形態若しくは晶癖、安定性、例えば多形変換に関する化学的安定性並びに熱的及び機械的安定性、脱水に対する安定性及び/又は貯蔵安定性、残留溶媒の低含有量、より低い程度の吸湿性、流動性、並びに圧縮性及びバルク密度のような有利な処理及び取り扱い特性の、少なくとも1つから選択される有利な特性を有し得る。
【0025】
結晶形態又はアモルファス形態のような固体形態は、本明細書では、図に「示された」又は「実質的に示された」グラフデータにより特徴付けられるものとして言及され得る。このようなデータには、例えば、粉末X線回折図及び固体NMRスペクトルが含まれる。当該技術分野において周知のように、グラフデータは、数値又はピーク位置のみを参照することでは必ずしも記述できないそれぞれの固体形態(所謂「フィンガープリント(指紋)」)を更に定義するための、追加の技術情報を潜在的に提供する。いずれにせよ、当業者は、データのそのようなグラフ表現が、限定するものではないがピーク相対強度及びピーク位置等の小さな変動のような、特定の要因の影響を受ける可能性があることを理解するであろうが、これは当業者に周知のように、例えば機器応答の変動並びにサンプル濃度及び純度の変動等の特定の要因によるものである。それにもかかわらず、当業者は、本明細書における図のグラフデータを未知の結晶形について生成されたグラフデータと容易に比較して、この2組のグラフデータが同じ結晶形又は2つの異なる結晶形を特徴付けるかどうかを確認することができる。したがって、図に「示された」又は「実質的に示された」グラフデータを特徴とすると本明細書で言及されるレンボレキサントの結晶形態は、当業者に周知のように、当該の図と比較して、そのような小さな変動を有するグラフデータを特徴とするレンボレキサントの任意の結晶形態を含むものと理解されるであろう。
【0026】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、レンボレキサントの結晶形態に関する「無水」という用語は、定義された化学量論量の結晶水(又は他の溶媒)を結晶内に含まないレンボレキサントの結晶形態に関する。更に、「無水」形態は、例えばTGAにより測定したとき、一般に、1%(w/w)を超える水又は有機溶媒のいずれをも含まないであろう。
【0027】
本明細書で使用する「溶媒和物」という用語は、他に示されない限り、結晶構造の中に溶媒を組み込んだ結晶形を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物はしばしば「水和物」と呼ばれる。溶媒和物中の溶媒は、化学量論的量又は非化学量論的量のいずれかで存在し得る。
【0028】
本明細書で使用する「共結晶(Co-Crystal又はCo-crystal)」は、同じ結晶格子内に2つ以上の分子を含み、非イオン性結合及び非共有結合によって結合された結晶性材料として定義される。幾つかの実施形態において、共結晶は、自然状態にある2つ以上の分子を含む。
【0029】
本明細書で使用する場合、本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形に関して「単離された」という用語は、それが形成された反応混合物の中から物理的に分離されたレンボレキサント:コハク酸の結晶多形に対応する。
【0030】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、XRPD測定は銅Kα放射波長1.54187Åを使用して行われる。ここで報告されているXRPDピークは、通常25±3℃の温度において、CuKα放射線、λ=1.54187Åを使用して測定される。
【0031】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、13C NMR測定値は1.25MHzで得られる。
【0032】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、15N NMR測定値は50.7MHzで得られる。
【0033】
本明細書において、物、例えば反応混合物は、しばしば「RT」と略される「室温」又は「周囲温度」にあるものとして、又はそこに到達することが可能なものとして特徴付けることができる。これは、物の温度が、その物が置かれている空間、例えば部屋又はドラフトの温度に近いか、又は同じであることを意味する。典型的には、室温は約20℃~約30℃、又は約22℃~約27℃、又は約25℃である。
【0034】
化学的方法、例えば、反応又は結晶化において使用される溶媒の量は、本明細書では、「容量」又は「vol」又は「V」の数と称され得る。例えば、材料を10容量(又は10vol又は10V)の溶媒に懸濁させると称することがある。この文脈において、当該表現は、懸濁される材料1グラム当りの溶媒のミリリットル数を意味すると理解され、例えば、5グラムの材料を10容量の溶媒に懸濁させることは、当該溶媒が、懸濁されている材料の1グラム当り10ミリリットル量の溶媒、則ち、この例では50mLの溶媒で使用されることを意味する。別の文脈において、「v/v」という用語は、液体混合物に添加される溶媒の体積数を、その混合物の体積に基づいて示すために使用され得る。例えば、100mlの反応混合物に溶媒X(1.5v/v)を添加するとは、150mLの溶媒Xが添加されたことを示す。
【0035】
本明細書では、方法又は工程が「一晩」実施されると言及されることがある。これは、例えば当該方法又は工程の時間間隔が、その方法又は工程が能動的に観察されない可能性のある夜間に亘ることを指す。この時間間隔は、約8~約20時間、又は約10~18時間、場合によっては約16時間である。
【0036】
本明細書で使用する場合、「減圧」という用語は、大気圧よりも低い圧力を言う。例えば、減圧は約10mbar~約50mbarである。
【0037】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「周囲条件」という用語は、大気圧及び22~24℃の温度を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、結晶性レンボレキサント:コハク酸は明確な分子種である。結晶性レンボレキサント:コハク酸は、レンボレキサントとコハク酸の共結晶であってもよい。或いは、結晶性レンボレキサント:コハク酸は塩であってもよい。本明細書における本開示の任意の態様又は実施形態において、結晶性レンボレキサント:コハク酸への言及は、特に、レンボレキサントとコハク酸との共結晶を指す。
【0039】
実施形態において、医薬品有効成分(レンボレキサント)とコフォーマー(コハク酸)との間のモル比は、約1:1.5~1.5:1であり、幾つかの実施形態では、1:1.25~1.25:1の間であり、他の実施形態では、約1:1である。
【0040】
本開示は、形態1と呼ばれるレンボレキサント:コハク酸の結晶多形を含む。レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1は、以下のうちの1つ又は複数から選択されるデータによって特徴付けできる:実質的に
図1に示すX線粉末回折パターン;7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有するX線粉末回折パターン;177.4、158.6、149.3、124.0及び114.5ppm±0.2ppmに特徴的なピークを有する固体
13C NMRスペクトル;108.8ppm±1ppmの基準ピークとの化学シフト絶対差が68.6、49.8、40.5、15.2及び5.7ppm±0.1ppmである固体
13C NMRスペクトル;実質的に
図2、
図3又は
図4に示される固体
13C NMRスペクトル;144.6、265.1、269.8及び301.6ppm±0.2ppmに特徴的なピークを有する固体
15N NMRスペクトル;実質的に
図5に示す固体
15N NMRスペクトル;及びこれらデータの組み合わせ。
【0041】
レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1は、7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有し、また11.2、14.9、18.4、20.6、及び24.4度2シータ±0.2度2シータから選択されるいずれか1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの追加のピークを有するX線粉末回折パターンによって更に特徴付けることができる。
【0042】
レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1は、7.4、8.4、9.2、11.2、14.0、14.9、17.1、18.4、20.6及び24.4度2シータ±0.2度2シータ、又は7.4、8.4、9.2、11.2、14.0、14.9、17.1、17.7、18.4、18.9、19.5、19.7、20.2、20.6、22.4、22.9、24.0、24.4、25.2、25.5、26.5、27.0、27.5、27.8、28.4、28.7及び29.7、2度2シータ±0.2度2シータにピークを有するX線粉末回折パターンによって代替的に特徴付けることができる。
【0043】
或いは、又は上記に加えて、レンボレキサント:コハク酸形態1は、以下の単位セルデータによって特徴付けできる。
a=10.528Å
b=23.814Å
c=5.1173Å
β=90.695°
セル体積 1283Å3
空間群P21
【0044】
本開示の一実施形態では、レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1が単離される。
【0045】
レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1は無水であり得る。
【0046】
レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1は、上記の特徴をそれぞれ単独で、又は全ての可能な組み合わせ、例えば、7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有するXRPDパターン、
図1に示されるXRPDパターン、及びそれらの組み合わせによって特徴付けできる。
【0047】
上記の結晶多形は、レンボレキサントの他の結晶多形、他のレンボレキサント塩及びそれらの固体形態を調製するために使用することができる。
【0048】
本開示は、レンボレキサントの他の固体形態、他のレンボレキサント塩及び/又はそれらの固体形態を調製するための方法を包含する。この方法は、本開示のレンボレキサント:コハク酸を調製し、それをレンボレキサント又はその前記他の塩に変換することを含む。
【0049】
本開示は、レンボレキサント:コハク酸及び/又はその結晶多形を含有する医薬組成物の調製に使用するための、レンボレキサント:コハク酸の上記の結晶多形を提供する。
【0050】
一態様において、当該方法は、レンボレキサント:コハク酸を、少なくとも1つの有機溶媒中のレンボレキサント及びコハク酸を含む溶液から、任意選択で、冷却及び/又は貧溶媒の添加によって、結晶化させることを含む。当該溶媒及び貧溶媒は、以下に記載される選択肢のいずれかであり得る。
【0051】
別の態様において、当該方法は、(a)1つ又は複数の極性溶媒中のレンボレキサントの溶液を提供する工程、(b)任意選択で懸濁液の形態でコハク酸を添加する工程、(c)この反応混合物を冷却する工程、(d)貧溶媒を添加する工程、及び(e)任意選択でレンボレキサント:コハク酸の形態1を単離する工程を含む。
【0052】
実施形態において、工程(a)の極性溶媒は、アセトンのようなケトンであり得る。
【0053】
実施形態において、工程(a)は加熱しながら行われる。実施形態では、この加熱は約40℃~約60℃以下で行われる。
【0054】
実施形態において、コハク酸は、アセトンのような極性溶媒中の懸濁液の形態で添加される。
【0055】
実施形態において、工程(c)では、反応混合物が約0℃~約10℃の温度に冷却される。
【0056】
実施形態において、工程(d)における貧溶媒は、ヘキサンのようなアルカン等の非プロトン性溶媒であり得る。
【0057】
実施形態において、工程(d)の後には懸濁液が形成される。
【0058】
更なる実施形態において、当該方法は、(a)アセトン中のレンボレキサントの溶液を提供する工程、(b)任意選択で懸濁液の形態でコハク酸を添加する工程、(c)この反応混合物を冷却する工程、(d)ヘキサンを添加する工程、及び(e)任意選択で、レンボレキサント:コハク酸の形態1を単離する工程を含む。
【0059】
本開示は更に、レンボレキサント:コハク酸共結晶の形態1を調製するための方法に関する。
【0060】
一実施形態において、本開示は、有機溶媒と有機貧溶媒の混合物からレンボレキサント:コハク酸共結晶を結晶化させることを含む、レンボレキサント:コハク酸共結晶の調製方法に関する。一実施形態において、当該レンボレキサント:コハク酸共結晶の調製方法は、レンボレキサント、コハク酸及び少なくとも1つの有機溶媒を含有する混合物に、貧溶媒を添加することを含む。
【0061】
当該方法は、
(a)少なくとも1つの有機溶媒中において、レンボレキサント及びコハク酸を含む混合物を調製する工程、
(b)貧溶媒を添加することにより、レンボレキサント-コハク酸共結晶を結晶化させる工程、及び任意選択で、
(c)レンボレキサント:コハク酸共結晶を単離する工程
を含んでもよい。
【0062】
有機溶媒は、C3-8ケトン、又はC1-4アルコール又はC7~C10アルキルベンゼンのようなケトン、アルコール又は芳香族炭化水素、或いはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。工程(a)の有機溶媒は、任意選択で、C3-8ケトン[アセトン、ジイソプロピルケトン(DIPK)、又はメチルイソブチルケトン(MIBK)、及び特にアセトン等]、C1-4アルコール、(特にエタノール)、又はC7~C10アルキルベンゼン(特にトルエン)、又はそれらの組み合わせであり得る。本開示の実施形態において、溶媒はアセトンであり得、貧溶媒はヘキサンであり得、或いは溶媒はエタノールであり得、貧溶媒はヘキサンであり得る。
【0063】
工程(a)の混合物は、任意選択で、温度約40℃~約90℃、約40℃~約80℃、又は約50℃~約60℃の高温であり得る。
【0064】
工程(a)の混合物は、レンボレキサント、コハク酸、及び溶媒を組み合わせることによって調製することができる。全固形分(則ち、レンボレキサント及びコハク酸)に対する溶媒の比率は、グラム当り約2~約25ml、グラム当たり約3~約23、約4~約20、約5.5~約18ml、又は約5~約16ml/gであることができる。
【0065】
工程(a)の混合物は、レンボレキサント、コハク酸及び少なくとも1つの有機溶媒を任意の順序で組み合わせることによって調製することができる。
【0066】
或いは、工程(a)の混合物は、少なくとも1つの有機溶媒中のレンボレキサントの混合物を、任意選択で高温で、少なくとも1つの有機溶媒中のコハク酸の混合物と組み合わせることによって調製できる。レンボレキサント用及びコハク酸用の少なくとも1つの有機溶媒は同じであってよく、また上記の有機溶媒のいずれかであってよい。任意選択で、コハク酸と少なくとも1つの有機溶媒との混合物を、レンボレキサントと少なくとも1つの溶媒との混合物に添加してもよい。溶媒中のレンボレキサントの混合物は、高温で、任意選択で約40℃~約90℃、約50℃~約80℃の温度で、溶媒中のコハク酸の混合物と組み合わせることができる。任意選択で、コハク酸の混合物を、溶媒中のレンボレキサントの溶液に添加する。溶媒中のレンボレキサントの溶液は、約40℃~約80℃、約60℃~約75℃、約55℃~約65℃、又は約45℃~約65℃の温度に加熱することができる。
【0067】
工程(b)は、任意選択で、レンボレキサント、コハク酸、及び1つ又は複数の溶媒の混合物を冷却することを含むことができる。任意選択で、当該冷却は約-5℃~約15℃、約0℃~約10℃又は約2~約7℃、又は約5℃の温度までとすることができる。当該冷却は、約10分~約3時間、約30分~約2時間、約45分~約80分、又は約60分の時間に亘って実施することができる。工程(b)は、代替的又は追加的に、貧溶媒の添加を含むことができる。この添加は、冷却後に実施することができる。任意選択で、この添加は滴下により行われる。任意選択で、当該貧溶媒はアルカン、任意選択でC5~C10アルカン又はシクロアルカン、好ましくはC5~C8アルカン又はシクロアルカン、例えばヘキサン又はシクロヘキサン、及び任意選択でヘキサンであることができる。
【0068】
本明細書に開示される方法の任意の実施形態において、貧溶媒と溶媒の比は、約20:1~約1:2、約15:1~約1:1、約10:1~約2:1、又は約9:1~約2.3:1であってよい。
【0069】
得られた混合物は、約-5℃~約15℃、約0℃~約10℃、約2~約8℃、又は約5℃の温度で撹拌することができる。この撹拌は、任意の適切な時間、例えば約10分~約48時間、約30分~約24時間、又は約30分~約10時間実施することができる。
【0070】
工程(c)は、混合物からレンボレキサント:コハク酸を濾過することを含むことができる。
【0071】
レンボレキサント:コハク酸の結晶形1は、当技術分野で公知の方法により単離することができる。例えば、結晶形1は、スラリーを濾過するか又はスラリーから溶媒をデカントすることによって分離できる。この単離方法は、洗浄及び乾燥工程を更に含むことができる。
【0072】
レンボレキサント:コハク酸の形態1を調製するための方法は、レンボレキサント:コハク酸の形態1を、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて医薬組成物を形成する工程を更に含むことができる。
【0073】
本開示はまた、結晶多形レンボレキサント:コハク酸及び/又はその結晶多形の医薬組成物の調製のための、本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形の使用を包含する。
【0074】
本開示はまた、本明細書の開示の任意の態様又は実施形態に記載される方法により得られるレンボレキサント:コハク酸の結晶性生成物、任意選択で形態1を包含する。
【0075】
本開示は、本明細書の開示の任意の態様又は実施形態に記載の結晶性生成物を含有する医薬組成物を包含する。
【0076】
本開示には、上記の医薬組成物を調製するための方法が含まれる。この方法は、本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形のいずれか1つ又は組み合わせを、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせることを含む。
【0077】
本開示の医薬の組み合わせ又は製剤は、本開示のレンボレキサント:コハク酸の固体形態のいずれか1つ又は組み合わせを含む。有効成分に加えて、本開示の製剤は、1つ又は複数の賦形剤を含有することができる。賦形剤は、種々の目的で製剤に添加される。
【0078】
希釈剤は、固形医薬組成物の嵩を増大させて、当該組成物を含む医薬剤形を、患者及び介護者がより扱い易くすることができる。固体組成物のための希釈剤には、例えば、微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、超微粒子セルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例:Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、及びタルクが含まれる。
【0079】
錠剤のような剤形に圧縮される固体医薬組成物は、圧縮後に有効成分と他の賦形剤とを一緒に結合するのを補助する機能を備えた賦形剤を含むことができる。固体医薬組成物用の結合剤には、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、液体グルコース、マグネシウムアルミニウムシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びデンプンが含まれる。
【0080】
患者の胃における圧縮された固体医薬組成物の溶解速度は、組成物に崩壊剤を添加することによって増大させることができる。崩壊剤には、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアーガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコレートナトリウム(例えば、Explotab(登録商標))、及びデンプンが含まれる。
【0081】
圧縮されていない固体組成物の流動性を改善し、投薬の精度を改善するために、滑剤を添加することができる。滑剤として機能できる賦形剤には、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、及び三塩基性リン酸カルシウムが含まれる。
【0082】
錠剤のような剤形が粉末組成物の圧縮によって作製される場合、当該組成物はパンチ及びダイからの圧力に曝される。一部の賦形剤及び有効成分は、パンチ及びダイの表面に付着する傾向があり、これにより製品に孔食及び他の表面不規則性が生じる可能性がある。接着性を低下させ、ダイからの製品の取り外しを容易にするために、潤滑剤を組成物に添加することができる。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、水素化植物油、ミネラルオイル、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0083】
香味剤及び香味増強剤は、当該剤形を、患者にとってより口当たりの良いものにする。本開示の組成物に含めることができる医薬品の一般的な香味剤及び香味増強剤には、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、及び酒石酸が含まれる。
【0084】
固体及び液体組成物はまた、それらの外観を改善し、及び/又は製品及び単位投与量レベルでの患者の識別を容易にするために、任意の薬学的に許容可能な着色剤を使用して染色することができる。
【0085】
本発明の液体医薬組成物において、レンボレキサント:コハク酸及び任意の他の固体賦形剤は、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセリンのような液状担体に溶解又は懸濁させることができる。
【0086】
液体医薬組成物は、液状担体に溶解しない有効成分又は他の賦形剤を組成物全体に均一に分散させるための乳化剤を含有することができる。本発明の液体組成物において有用であり得る乳化剤には、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、軟骨、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、及びセチルアルコールが含まれる。
【0087】
本発明の液体医薬組成物はまた、製品の口当たりを改善するため、及び/又は胃腸管の内膜をコーティングするための粘度増強剤を含有することができる。そのような物質には、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、炭酸プロピレン、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプントラガカント、キサンタンガム及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0088】
味を良くするために、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ショ糖、アスパルテーム、果糖、マンニトール、及び転化糖のような甘味料を添加することができる。
【0089】
保存安定性を向上させるために、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びエチレンジアミン四酢酸のような防腐剤及びキレート剤を、摂取しても安全なレベルで添加することができる。
【0090】
本開示によれば、液体組成物はまた、グルコン酸、乳酸、クエン酸、又は酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムのような緩衝剤を含有することができる。賦形剤の選択及び使用量は、当該分野における標準的な手順及び参考文献の知見及び考察に基づいて、製剤科学者が容易に決定できる。
【0091】
本開示の固体組成物には、粉末、顆粒、凝集体、及び圧縮された組成物が含まれる。投与量には、経口、口腔内、直腸、非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)、吸入、及び眼科投与に適した投与量が含まれる。任意の所与の事例における最も適切な投与は、治療すべき状態の性質及び重症度に依存するが、実施形態において投与経路は経口である。投与量は、単位剤形で便利に呈示でき、また製薬分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
【0092】
剤形には、錠剤、散剤、カプセル剤、坐剤、サシェ剤、トローチ剤、及びロゼンジ剤等の固体剤形、並びに液体シロップ剤、懸濁剤、及びエリキシル剤が含まれる。
【0093】
本開示の剤形は、硬質シェル又は軟質シェルのいずれかの中に、本開示の粉末化された又は顆粒化された固体組成物等の組成物を含有するカプセル剤であり得る。当該シェルはゼラチンから作ることができ、任意選択で、グリセリン及び/又はソルビトール等の可塑剤、不透明剤及び/又は着色剤を含むことができる。
【0094】
有効成分及び賦形剤は、当該技術で公知の方法に従って、組成物及び剤形に製剤化することができる。
【0095】
錠剤化又はカプセル充填のための組成物は、湿式造粒によって調製することができる。湿式造粒では、粉末形態の有効成分及び賦形剤の一部又は全部が混合され、次いで液体、通常は水の存在下で更に混合されて、粉末は顆粒に凝集される。この顆粒は、篩分け及び/又は粉砕され、乾燥され、次いで、所望の粒子サイズに篩分け及び/又は粉砕される。この顆粒は、次いで錠剤化することができ、或いは、錠剤化の前に滑剤及び/又は潤滑剤のような他の賦形剤を添加することができる。
【0096】
錠剤化組成物は、従来、乾式混合によって調製することができる。例えば、活性物質と賦形剤の混合組成物をスラグ又はシートに圧縮し、次いで微粉砕して圧縮された顆粒にする。この圧縮された顆粒は、その後、圧縮して錠剤にすることができる。
【0097】
乾式造粒の代替手段として、混合された組成物は、直接圧縮技術を使用して、圧縮された剤形へと直接圧縮することができる。直接圧縮すると、顆粒無しのより均一な錠剤が製造される。直接圧縮打錠に特に適した賦形剤には、微結晶性セルロース、噴霧乾燥ラクトース、リン酸二カルシウム二水和物、及びコロイド状シリカが含まれる。直接圧縮錠剤化において、これら賦形剤及び他の賦形剤の適切な使用は、直接圧縮錠剤化の特定の製剤課題における経験及び技能を有する当業者にとっては公知である。
【0098】
本開示のカプセル充填物は、錠剤化に関して記載された前述のブレンド及び顆粒のいずれかを含むことができるが、それらは最終的な錠剤化工程に供されることはない。
【0099】
レンボレキサント:コハク酸の製剤は投与することができる。レンボレキサント:コハク酸は、哺乳動物への投与のために、実施形態では注射によるヒトへの投与のために製剤化することができる。レンボレキサント:コハク酸は、例えば、注射用の粘稠な液体溶液又は懸濁液、例えば透明な溶液として製剤化できる。この製剤は、1つ又は複数の溶媒を含有することができる。適切な溶媒は、様々なpHレベルでの溶媒の物理的及び化学的安定性、粘度(注射を可能性にするもの)、流動性、沸点、混和性、及び純度を考慮して選択することができる。適切な溶媒には、アルコールUSP、ベンジルアルコールNF、安息香酸ベンジルUSP、及びヒマシ油USPが含まれる。とりわけ、緩衝液、可溶化剤、及び抗酸化剤のような追加の物質を当該製剤に加えることができる。Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、7th ed.
【0100】
本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形、並びにレンボレキサント:コハク酸の医薬組成物及び/又は製剤は、不眠症及び/又はアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害の治療の実施形態において、医薬として使用することができる。
【0101】
本開示はまた、不眠症及び/又はアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害を治療する方法であって、該方法が、本開示のレンボレキサント:コハク酸の結晶多形のいずれか1つ若しくは組み合わせ、又は上記医薬組成物及び/若しくは製剤の少なくとも1つの治療有効量を、前記治療を必要としている対象に投与することによるものである、方法を提供する。
【0102】
こうして特定の好ましい実施形態及び例示的な実施例を参照して本開示を説明してきたので、当業者は、本明細書に開示された趣旨及び範囲を逸脱しないような、記述及び説明された開示に対する改変を理解することができる。実施例は、開示の理解を助けるために記載されているが、その範囲を制限することを意図しておらず、またいずれの場合においてもそのように解釈されるべきではない。
【0103】
本開示の更なる態様及び実施形態は、以下の番号を付した条項に記載される。
1. 結晶性レンボレキサント:コハク酸。
2. 共結晶である結晶性レンボレキサント:コハク酸。
3. 結晶性レンボレキサントコハク酸塩。
4. 以下の1つ又は複数から選択されるデータによって特徴付けられる、形態1と称される条項1、2又は3に記載の結晶性生成物:
a. 7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有するXRPDパターン、
b.
図3に示されるXRPDパターン、及び
c. これらデータの組み合わせ。
5. 7.4、8.4、9.2、14.0及び17.1度2シータ±0.2度2シータにピークを有し、11.2、14.9、18.4、20.6及び24.4度2シータ±0.2度2シータから選択される1つ、2つ、3つ又は4つの追加のピークを有するXRPDパターンを特徴とする、形態1と称される条項1、2、3又は4のいずれかに記載の結晶性生成物。
6. 結晶形態が無水形態である、形態1と称される条項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の結晶性生成物。
7. 約20%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約1%以下又は約0%のレンボレキサント:コハク酸又は結晶性レンボレキサントコハク酸塩の任意の他の結晶形態を含む、形態1と称される条項1、2、3、4、5又は6のいずれかに記載の結晶性生成物。
8. 約20%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、約1%以下又は約0%のアモルファスレンボレキサント:コハク酸又はレンボレキサントコハク酸塩を含む、形態1と称される条項1~6のいずれかに記載の結晶性生成物。
9. レンボレキサント:コハク酸を、少なくとも1つの有機溶媒中のレンボレキサント及びコハク酸を含有する溶液から、任意選択で冷却及び/又は貧溶媒の添加によって結晶化させることを含む、条項1、2、3、4、5、6、7、又は8のいずれかにの記載の結晶性生成物を調製するための方法。
10. レンボレキサント、コハク酸及び少なくとも1つの有機溶媒を含む混合物に貧溶媒を添加することを含む、条項9に記載の方法。
11. (a) 少なくとも1つの有機溶媒中においてレンボレキサント及びコハク酸を含有する混合物を調製する工程、
(b) 貧溶媒を添加することにより、レンボレキサント-コハク酸共結晶を結晶化させる工程、及び任意選択で
(c) 前記レンボレキサント:コハク酸共結晶を単離する工程
を含む、条項9又は条項10に記載の方法。
12. a)1つ又は複数の極性溶媒中のレンボレキサントの溶液を用意する工程、b)任意選択で懸濁液の形態でコハク酸を添加する工程、c)この反応混合物を冷却する工程、d)貧溶媒を添加する工程、及びe)任意選択でレンボレキサント:コハク酸の形態1を単離する工程を含む、条項9、10又は11のいずれか一項に記載の方法。
13. 前記工程(a)の溶媒が、ケトン、アルコール又は芳香族炭化水素、又はそれらの組み合わせからなる群から選択されることと、任意選択で、前記有機溶媒がC
3-8ケトン、若しくはC
1-4アルコール若しくはC
7~C
10アルキルベンゼン、又はそれらの組み合わせから選択されるか、又は、前記有機溶媒がアセトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、若しくはトルエンであるか、又は、前記有機溶媒がアセトン若しくはエタノール、又はそれらの混合物である、条項11又は12のいずれか一項に記載の方法。
14. 工程(a)における溶媒がケトンである、条項11、12又は13のいずれか一項に記載の方法。
15. 前記溶媒がアセトンである、条項14に記載の方法。
16. 工程(a)が加熱を伴って実施される、条項11、12、13、14、又は15のいずれか一項に記載の方法。
17. コハク酸が極性溶媒中の懸濁液の形態で添加され、任意選択で前記溶媒が工程(a)の溶媒と同じである、条項12、13、14、15、又は16のいずれか一項に記載の方法。
18. 前記溶媒がアセトン又はエタノールである、条項13、14又は15のいずれかに記載の方法。
19. 前記貧溶媒が非プロトン性溶媒である、条項9、10、11、12、13、14、15、又は16のいずれか一項に記載の方法。
20. 前記貧溶媒がアルカン又はシクロアルカンから選択され、任意選択で、前記貧溶媒はC
5~C
10アルカン若しくはC
6~C
10シクロアルカン、又はC
5~C
8アルカン若しくはC
6~C
8シクロアルカンからなる群から選択され、任意選択で、前記貧溶媒はヘキサン又はシクロヘキサンである、条項9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19のいずれか一項に記載の方法。
21. 貧溶媒がヘキサンである、条項9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のいずれか一項に記載の方法。
22. 前記結晶性生成物を少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて医薬組成物を提供することを更に含む、条項9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21のいずれかに記載の方法。
23. 請求項9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又は22のいずれかに記載の方法によって得られる結晶性生成物。
24. 条項1~8又は23のいずれかに記載の結晶性生成物及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
25. 医薬組成物及び/又は製剤の調製のための、条項1~8又は条項23のいずれかに記載の結晶性生成物の使用。
26. 条項1~8又は23のいずれかによる結晶性生成物を少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせることを含む、条項24に記載の医薬組成物を調製するための方法。
27. 医薬品として使用するための、条項1~8又は23のいずれかに記載の結晶性生成物、又は条項24に記載の医薬組成物。
28. 不眠症及び/又はアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害の治療に使用するための、請求項1~8又は23のいずれかに記載の結晶性生成物、又は請求項24に記載の医薬組成物。
29. 不眠症及び/又はアルツハイマー病/認知症に付随する不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を含む睡眠覚醒障害を治療する方法であって、条項1~8又は23のいずれかに記載の治療有効量の結晶性生成物又は条項24に記載の医薬組成物を、前記治療を必要とする対象に対して投与することを含む方法。
30. レンボレキサント:コハク酸又はレンボレキサントコハク酸塩の別の固体形態の調製における、条項1~8又は23のいずれかに記載の結晶性生成物の使用。
31. レンボレキサント:コハク酸又はレンボレキサントコハク酸塩の固体形態を調製するための方法であって、条項1~8又は23のいずれか一項に記載の結晶性生成物を調製し、それをその別の固体形態に変換することを含む方法。
【0104】
粉末X線回折(「XRPD」)法
粉末X線回折が、X線粉末回折計PanAlytical X'pert Pro、CuKα放射線(λ=1.54187Å)、有効長2.122度2シータのX'Celerator検出器、実験室温度25±3℃、ゼロバックグラウンドサンプルホルダ上で実施された。分析の前に、乳鉢及び乳棒を使用してサンプルを穏やかに粉砕し、微粉末を得た。粉砕したサンプルをサンプルホルダの空洞の中で調節し、カバーガラスを使用してサンプルの表面を滑らかにした。
測定パラメータ:
スキャン範囲:3~40度2シータ
スキャンモード:連続
ステップサイズ:0.0167度
ステップサイズ:42秒
サンプルスピン:60rpm
サンプルホルダ:ゼロバックグラウンドシリコンプレート
【0105】
13C CP/MAS NMR法:
13C CP/MAS NMRスペクトルは、マジック角スピン(MAS)周波数ωr/2π=12kHzにおいて、Bruker AvanceIII 500WB/US NMR分光計(Karlsruhe、Germany、2003)を使用して、125MHzで測定された。全ての場合において、微粉末サンプルを4mmのZrO2ロータの中に入れ、標準の「cpmas」パルスプログラムを使用した。データの取得の際には、高出力双極デカップリング「TPPM」(2パルス位相変調)が適用された。スキャン数は128、リサイクル遅延は60.0秒、接触時間は2ミリ秒であった。高速回転中のサンプルの摩擦加熱を考慮して、全てのNMR実験は293Kで行われた(正確な温度キャリブレーションが実施された)。
【0106】
13Cスケールは、グリシンを外部標準(176.03ppm)として使用して校正された。
【0107】
15N CP/MAS NMR法:
15N CP/MAS NMRスペクトルは、マジック角スピン(MAS)周波数ωr/2π=10kHzにおいて、Bruker AvanceIII 500WB/US NMR分光計(Karlsruhe、Germany、2003)を使用して、50.7MHzで測定された。全ての場合において、微粉末サンプルを4mmのZrO2ロータに入れ、標準の「cpmas」パルスプログラムを使用した。データ取得の際には、高出力双極デカップリング「TPPM」(2パルス位相変調)が適用された。スキャン数は6144、リサイクル遅延は80.0秒、接触時間は7ミリ秒であった。高速回転中のサンプルの摩擦加熱を考慮して、全てのNMR実験は300Kで行われた(正確な温度キャリブレーションが実施された)。
【0108】
15N NMRスケールは、グリシン(34.35ppm)を基準とした。
【0109】
FT-IR法:
機器: ニコレット380FT-IR分光計
モード: 全内部反射(ATR)
スペクトル範囲: 4000~550cm-1
サンプルゲイン: 1.0
スキャン数: 128
解像度: 4.0cm-1。
【0110】
実施例4及び5の純度分析に使用されたHPLC法
【0111】
【実施例】
【0112】
出発材料の調製
レンボレキサントは、文献から公知の方法に従って、例えば、国際公開第2012/039371A1号の実施例95に従って調製することができる。
【0113】
(実施例1)
レンボレキサント:コハク酸の調製
レンボレキサント(100mg)を、約50℃の温度に加熱しながら、アセトン(1.5ml)中に溶解した。アセトン(0.5ml)中のコハク酸(31mg)懸濁液を加え、得られた透明な溶液を約1時間かけて5℃に冷却した。次に、5mlのヘキサンを加えて懸濁液を形成した。固体を濾過し、真空下で、室温で約10分間乾燥させた。得られた固体をXRPDで分析し、得られたXRPDパターンを
図1に示す。
【0114】
(実施例2)
レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1の調製
レンボレキサント塩基(3グラム)を30mlのエタノール中に懸濁させ、懸濁液を30分間60℃まで加熱し、溶解するまでその温度に保持した。エタノール(15ml)中のコハク酸(900mg)の溶液を、前記レンボレキサント塩基の透明な溶液に添加した。この溶液を約60分間で約5℃の温度に冷却した。ヘキサン(120ml)を加えると、数分で結晶が析出してきた。この混合物を約5℃の温度で一晩撹拌し、濾過し、真空下で乾燥させた。得られた固体をXRPDで分析し、レンボレキサント:コハク酸共結晶形態1として同定した。
【0115】
(実施例3)
単位セルの寸法
形態1に対してX線粉末回折分析を実施して、その結晶系及び単位セルの寸法を決定した。形態1は、格子寸法がa=10.528Å、b=23.814Å、c=5.1173Åであり、角度β=90.695°であり、V=1283Å3のP21単位セルを有する。単位セルパラメータは、プログラムHighscoreを使用したLeBail法を使用して決定された。
【0116】
(実施例4)
レンボレキサント:コハク酸の結晶形態1の調製
手順A
レンボレキサント(300mg、89.93%)を、50℃に加熱することによりEtOH(3.3ml)中に溶解させた。EtOH(1.2ml)中のコハク酸(96mg、1.1当量)の溶液を加え、透明な溶液を15分間撹拌した。溶液を60分間で5℃に冷却した。ヘキサン(36ml)を滴下添加した。結晶が析出し、懸濁液を5℃で3時間撹拌した。結晶相を濾過により分離した。このケーキをフィルター上において室温で15分間乾燥させた。収量170mg(44%)。得られた物質をXRPDで分析し、レンボレキサント:コハク酸の形態1として同定した(HPLC 98.86%)。
【0117】
手順B
レンボレキサント(2グラム、HPLC99.02%)を、70℃に加熱することによりEtOH(40ml)中に溶解した。透明な溶液を10分間で50℃に冷却した。EtOH(10ml)中のコハク酸(590mg、1.02当量)の溶液を加え、透明な溶液を15分間撹拌した。蒸発により体積が43gから14.5gに減少した。溶液を60分間で50℃から5℃に冷却した。ヘキサン(60ml)を滴下添加した。結晶が析出し、懸濁液を5℃で一晩撹拌した。結晶相を濾過により分離した。このケーキをフィルター上において室温で真空下で30分間乾燥させた。収量1.67g(65%)。得られた物質をXRPDで分析し、レンボレキサント:コハク酸の形態1として同定した(HPLC 99.24%)。
【国際調査報告】