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▶ プロタ セラピューティクス ピーティワイ リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/48 20060101AFI20230207BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230207BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K36/48
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/14
A61K9/20
A61K45/00
A61P37/08
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535855
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 AU2020050400
(87)【国際公開番号】W WO2021127722
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】19219500.6
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224472
【氏名又は名称】プロタ セラピューティクス ピーティワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポロック,ブロンウィン
(72)【発明者】
【氏名】ハーネフラーフ,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ボダワラ,ディガント
(72)【発明者】
【氏名】シェッティー,サティシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC03
4C076CC07
4C076DD29
4C076DD38B
4C076DD41C
4C076DD67
4C076EE16B
4C076EE32B
4C076EE38B
4C076FF06
4C076GG01
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA41
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB132
4C084ZC751
4C088AB59
4C088AC04
4C088BA06
4C088MA02
4C088MA35
4C088MA41
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB07
4C088ZB13
4C088ZC75
(57)【要約】
本発明は、ピーナッツタンパク質を含む医薬組成物、このような医薬組成物を製造する方法、及びこのような医薬組成物についての使用に関する。本発明の実施形態は、ピーナッツアレルギーの処置のための免疫療法における経口投与のための医薬用ピーナッツタンパク質組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーナッツ粉、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の吸着剤、少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の潤滑剤を含む医薬組成物であって、前記ピーナッツ粉は、約40%~約60%のピーナッツタンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項2】
ピーナッツタンパク質の量が、前記組成物の約1%w/w~約60%w/wである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ピーナッツタンパク質の量が、前記組成物の約1%w/w~約10%w/w又は約20%w/w~約40%w/wである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ピーナッツ粉と吸着剤の比が、1:0.35~1:0.7の範囲であるか、又はピーナッツタンパク質と吸収剤の比が、0.5:0.35~0.5:0.7の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ソルビトール、又はこれらの崩壊剤の2つ若しくはそれより多いものの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記崩壊剤が、前記組成物の約1%w/w~約25%w/wの量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記吸着剤が、合成アモルファス二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素及び微結晶性セルロースから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記吸着剤が、前記組成物の約1%w/w~約40%w/wの量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記賦形剤が、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルコース、スクロース、デキストロース、及びラクトースから選択される糖である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記賦形剤が、前記組成物の約1%w/w~約92%w/wの範囲の量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記潤滑剤が、ステアリン酸又はその塩である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
潤滑剤の量が、前記組成物の約0.1%w/w~約5%w/wの範囲である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤の形態の、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤が、Multitest50錠剤硬度テスターによって測定されるとき、少なくとも4Nの硬度を有する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤が、Erweka ZT72自動崩壊テスターによって測定されるとき、37℃にて水中で又は室温にて柔らかい食物中で10秒~3分の崩壊時間を有する、請求項13又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
少なくとも2用量の請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むキットであって、各用量は、別々にパッケージ化されている、キット。
【請求項17】
プロバイオティクス及び/又はプレバイオティクスをさらに含む、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
ピーナッツアレルギーを処置する方法であって、任意選択で経口免疫療法において、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物と投与することを含む、方法。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物を作製する方法であって、
a.ピーナッツ粉を少なくとも1種の吸着剤とブレンドするステップであって;前記ピーナッツ粉は、40%~60%のピーナッツタンパク質を含むステップと;
b.少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の崩壊剤を、ステップaからのブレンドと混合するステップと;
c.少なくとも1種の潤滑剤をステップbの混合物に加え、混合するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
ステップcからの混合物を顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤へと製剤化することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ピーナッツタンパク質を含む医薬組成物、このような医薬組成物を製造する方法、及びこのような医薬組成物についての使用に関する。本発明の実施形態は、ピーナッツアレルギーの処置のための免疫療法における経口投与のための医薬用ピーナッツタンパク質組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
食物アレルギー、又は食物中のタンパク質からのアレルゲンに対する体の免疫反応は、苦しんでいる人の生活の質に激しく影響を与え得る。西洋社会における小児の5%~6%は食物アレルギーを有し、小児の1.5%はピーナッツアレルギーを有すると推定される。
【0003】
ピーナッツに対する反応は重度であり得、ピーナッツアレルギーは、食物によって誘発されるアナフィラキシーからの死亡の19%~63%に関与している。別の食物アレルギーとは異なり、ピーナッツアレルギーは通常生涯に亘るものである。食物アレルギーへの現在の対応は、食物の厳格な回避を必要とする。しかし、ピーナッツアレルギーの患者の50%は、2年以内にピーナッツへと偶発的に曝露される。したがって、ピーナッツアレルギーを有する小児は、それらの生涯を通して重度の生命を脅かすアレルギー反応の継続した危険に曝されている。
【0004】
食物アレルギーについての現在の標準治療は、アレルゲンへの偶発的な曝露の事象におけるアレルギー反応、特に、アナフィラキシーの早期の処置と合わせた、アレルゲンへの曝露を回避する厳格な除去食である。アドレナリンはアナフィラキシーのための一次治療であり、一般に、重度の食物アレルギーを有する人が常に携行する自己注射可能な装置(EpiPen(登録商標))として入手可能である。しかし、これは、その使用における専門家の訓練を必要とし、装置は、規則的(12~18カ月)に交換しなければならず、EpiPen(登録商標)を処方されてきた患者の大部分は、重度のアレルギー反応の時にそれを使用することができない。EpiPen(登録商標)を処方された患者の内、71%のみがその時点で携帯していたが、それらの内、10%は期限切れの装置を有し、32%のみがその正確な使用を示すことができた。
【0005】
いくつかの免疫療法アプローチが、食物アレルギーの処置のために探求されてきた。これらは典型的には、対象がアレルギー性である増加する用量のアレルゲンへの対象の規則的及び段階的な曝露を含む。これらの様々な処置で達成することができるいくつかの処置成果が存在する。例えば、脱感作は、アレルギー反応を引き起こすのに必要とされる限界用量の一過性増加として定義される。この保護は、例えば、継続した処置による、食物アレルゲンへの連続する規則的な曝露が存在する場合、唯一維持することができる。持続性の無応答性は、連続する規則的なアレルゲン曝露の必要性を伴わずに維持される、反応を伴わずに食物アレルゲンを摂取する持続性の能力として定義される。これは、反応を伴わずに、及び連続する規則的なアレルゲン曝露の必要性を伴わずに、任意の量のアレルゲンを自由に食べる能力として定義される耐性の状態を反映し得る。患者に対する臨床的有用性に関して、脱感作は、少量のアレルゲンへの偶発的な曝露に対する保護を実現し(ただし、処置は、無期限に続けられる)、一方、持続性の無応答性又は耐性は、連続する処置の必要性を伴わずに長続きする保護を実現し、このように、患者は望んだ場合、それらの普通の食事中にアレルゲンを組み込むことができる。
【0006】
対象がアレルギー性であるアレルゲンによる免疫療法は、皮下(SCIT)、舌下(SLIT)、皮膚上(EIT)又は経口的(OIT)に投与し得る。
【0007】
典型的には、食物アレルゲンによるOIT(すなわち、食物アレルギーの処置のため)は、食物アレルギーがある対象に増加する量で規則的な用量の食物アレルゲンを経口的に投与することを含み、有害反応をもたらすことが極めてありそうにない最初の非常に少ない用量から開始し、時間とともに維持用量へと増大し、それは数カ月若しくは数年に亘り又は無期限に規則的に投与される。
【0008】
卵、乳、ピーナッツ又は別の食物アレルゲンによるOITは、付随的な皮膚プリックテスト(SPT)の低減、及びアレルゲン特異的IgG4の血清レベルの増加を伴って、脱感作を誘発することができることが研究によって示されてきた。
【0009】
プロバイオティクス及び食物アレルゲン経口免疫療法の合わせた投与は、高い割合の持続性の無応答性をもたらすことが示されてきた(国際公開第2009/094717号を参照されたい)。
【0010】
OITプロトコルは典型的には、処置の3つの相-ラッシュ(また開始と称される)、強化及び維持を含む。ラッシュ相及び強化相は一緒に、用量増大相を形成する。ラッシュ相は一般に、一連の増大するアレルゲン用量(例えば、6~8用量)を1日に亘り投与することを含み、しばしば、0.1mgもの低い、対象が認容することができる非常に低い用量で開始する。強化相は一般に、食物アレルゲンの1日用量を投与することを含み、典型的には、ラッシュ相の最も高い認容される用量(又は全てのラッシュ相用量が認容される場合、ラッシュ相における累積的な認容される用量)で開始し、1~2週間毎に用量を増加させる。維持相は、強化相の間に達した最も高い用量で処置を継続し、同じ用量の食物アレルゲンをしばしば、数カ月から数年間又は無期限に毎日提供する。最も高い用量は、1000mg又はそれ超であり得る。
【0011】
食物免疫療法処置についての最初の規制当局の許可は、FDAによって2020年の初めにおいて、Aimmune Therapeutics,Incによって開発されたピーナッツ経口免疫療法であるAR101(PALFORZIA(商標))に与えられた。AR101(Palforzia)は、プルアパートカプセル内で標準化されたアレルゲン用量を送達するように製剤化された特性決定されたピーナッツ粉調製物である。第2相ピーナッツOIT臨床治験(ARC001)におけるその使用は、Bird, J.A, et al., (2018) JACI Pract. 6:476-85に記載されている。ARC001は、0.5から300mg/日へと徐々に用量増加される、AR101又はプラセボの毎日の投与を含む。別のOIT臨床治験は、特性決定されていない食物グレードのピーナッツ粉、粉砕した若しくは粉にしたピーナッツとして、ピーナッツバターとして、又はチョコレートバー中でピーナッツアレルゲンを投与してきた。
【0012】
ピーナッツにおけるアレルゲンのレベルは、時間とともに(少なくとも18カ月まで)安定であることが示されてきた一方、免疫療法における食料製品の使用は、少量のこれらの製品を測定することが困難であるため理想的ではなく、食料製品は脂肪構成要素によって経時的に汚損するか、又は悪臭を放ち得、ピーナッツ粉の場合、凝集するか、又はパッケージングに接着し、OITの初期相について、特に、ラッシュ相において必要とされる低アレルゲン用量の正確な投与を防止し得る。さらに、米国において食品医薬品局(FDA)の規制当局の許可を得るために、プロセスを詳述した標準操作手順(SOP)の元で適正製造基準(GMP)を遵守した環境においてまた製造しなければならないピーナッツ製剤の特徴の詳細な文書作成を含む、生物製剤承認申請の提出が必要とされる。
【0013】
AR101(PALFORZIA(商標))は、プルアパートカプセル剤(pull apart capsules)中に提示された脱脂したピーナッツ粉製剤である。投与は、カプセル剤を引き離し(これは、扱うことが困難であり得る)、次いで、摂取のために内容物とビヒクル食物とを混合することを含む。カプセル剤を引き離す行為は、投与される用量の部分的な喪失をもたらし、少量での不正確な投与をもたらし得る。さらに、カプセル剤を引き離すとき、ピーナッツ粉は、空気中へと分散し得、粉末の吸入の危険性、及びしたがって、過度の反応を誘発する危険性を有する。さらに、カプセル化によって、単回用量中に含むことができるピーナッツ粉、したがって、ピーナッツタンパク質の量に対する制限が導入され、より高い用量のピーナッツアレルゲンの送達についての課題を提起する。さらに、ピーナッツ粉は、吸湿性であり、これは、長い保存寿命の製品の製剤化においてさらなる課題を生じさせる。
【0014】
ピーナッツアレルギーを処置するためにOITにおいて使用するための医薬用ピーナッツ粉製剤を提供する必要性が存在し、ここでは、医薬製剤は、正確に小用量又は大用量で容易に及び安全に投与することができる。空気中に浮遊するピーナッツ粉、及びピーナッツアレルゲンが吸入される関連する危険性を回避するために、ピーナッツ粉製剤が顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤の形態であることが好ましい。しかし、このような製剤を作製することは、医薬用ピーナッツ粉製剤が、製造及びパッケージングの間に適当な硬度及び許容される取扱い特性を有する顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤へと圧縮し得るように許容される流動及び結合特性を有することを必要とする。同時に、幼児及び若年小児についての潜在的な窒息の危険性を回避するために、製剤は、年齢に応じた食物ビヒクル(例えば、カスタード、リンゴピューレ、プディング)と混合したとき容易に崩壊し、幼児及び若年小児における安全な摂取を可能とすべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらの必要性のいくつか又は全てが満たされる医薬用ピーナッツ粉製剤を提供することが本発明の好ましい実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
概要
本発明者らは、ピーナッツにアレルギーがある対象のための経口免疫療法(OIT)において使用することができる医薬組成物へと製剤化することができる、許容される流動及び結合特性を有する新規なピーナッツ粉製剤を開発してきた。製剤は、製造及びパッケージングの間に許容される取扱い特性を有し、正確な投与及び適当な硬度を有する顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤へと圧縮し得る。さらに、製剤は、水若しくは柔らかい食物中で混合されたとき、許容される崩壊時間を有するか、又は粉砕されて、窒息の危険性を回避するために崩壊を補助し得る。
【0017】
1つの態様において、本発明は、ピーナッツ粉、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の吸着剤、少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、ここで、ピーナッツ粉は、約40%~約60%のピーナッツタンパク質を含む。
【0018】
一実施形態では、医薬組成物は、プロバイオティクスをさらに含む。
【0019】
好ましい実施形態では、医薬組成物は、顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤である。
【0020】
本発明の別の態様は、任意選択で、経口免疫療法によって本発明の医薬組成物を投与することを含む、ピーナッツアレルギーを処置する方法を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、任意選択で、経口免疫療法によってピーナッツアレルギーを処置することにおいて使用するための本発明の組成物を提供する。
【0022】
本発明のまたさらなる態様は、任意選択で、経口免疫療法によるピーナッツアレルギーを処置するための医薬の製造における、ピーナッツ粉、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の吸着剤、少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の潤滑剤の使用を提供し、ここで、ピーナッツ粉は、40%~60%のピーナッツタンパク質を含む。
【0023】
一実施形態では、方法、使用のための組成物又は使用は、同時に又は逐次的に、プロバイオティクスを投与することをさらに含む。
【0024】
本発明のまた別の態様において、少なくとも2用量の本発明の組成物を含むキットを提供し、各用量は、別々にパッケージ化されている。
【0025】
一実施形態では、キットは、プロバイオティクス(任意選択で、医薬組成物に別々にパッケージ化されている)をさらに含む。
【0026】
本発明のまた別の態様において、
a.ピーナッツ粉を少なくとも1種の吸着剤とブレンドするステップであって;ピーナッツ粉は、40%~60%のピーナッツタンパク質を含むステップと;
b.少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の崩壊剤をステップaからのブレンドと混合するステップと;
c.少なくとも1種の潤滑剤をステップbの混合物に加え、混合するステップと
を含む、本発明の組成物を作製する方法を提供する。
【0027】
任意選択で、任意の別の添加剤を、ステップbにおいて加える。
【0028】
この方法は、ステップcからの混合物を顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤へと製剤化することをさらに含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、ピーナッツ粉組成物、及びピーナッツアレルギーを処置することにおけるそれらの使用に関する。本発明の一態様において、ピーナッツ粉、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の吸着剤、少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の潤滑剤を含む医薬組成物を提供し、ここで、ピーナッツ粉は、約40%~約60%のピーナッツタンパク質を含む。
【0030】
ピーナッツは、概ね25%w/wのピーナッツタンパク質を含むことが広く知られており、一方では、ピーナッツ粉は、概ね50%w/wのピーナッツタンパク質を含むことが知られている(しかし、正確な値は、ピーナッツの源及び、例えば、ピーナッツがなんらか加工されているかどうかなどの要因によって変化し得る)。このように、代表例として、2000mgの用量のピーナッツタンパク質は、概ね8000mgのピーナッツ(概ね8~10個のピーナッツ)と同等であり得る。本発明の組成物中で使用されるピーナッツ粉は、約50%w/wのピーナッツタンパク質、例えば、約40%w/w~約60%w/wの範囲のピーナッツ粉、例えば、45%w/w~55%w/wの範囲のピーナッツ粉又は48%w/w~52%w/wの範囲のピーナッツ粉を有する。ピーナッツ粉のタンパク質含量は、公知の方法、例えば、酸消化、それに続く、窒素顔料の滴定測定(United States Pharmacopeia General Chapter 461 Nitrogen Determinationにおいて記載されているKjeldahl法による窒素決定)によって決定される。一部の実施形態では、ピーナッツ粉は脱脂され、約10~15%w/wの脂肪、特に、約12%w/wの脂肪を有する粉が得られる。適切なピーナッツ粉製品は、Byrd Mill(Ashland、VA、USA)によって供給されるが、しかし、脱脂されており、概ね50%w/wのピーナッツタンパク質を含有する別の食物グレードのピーナッツ粉をまた使用することができる。
【0031】
ピーナッツ粉は一般に、ピーナッツタンパク質Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h4、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8及びAra h9を様々な程度まで含む。米国食品医薬品局(FDA)の規制当局の許可を得るために、プロセスを詳述した標準操作手順(SOP)の元で適正製造基準(GMP)を遵守した環境においてまた製造しなければならないピーナッツ製剤の特徴の詳細な文書作成を含む、生物製剤承認申請の提出が必要とされる。組成物中で使用されるピーナッツ粉におけるAra h1、Ara h2、Ara h3及びAra h6の1つ若しくは複数を定量化することが重要であり得、これは、当技術分野で周知の方法、例えば、逆相HPLCを使用して達成し得る。
【0032】
製造工程において、組成物は、作用強度調節と称される手順を使用して調製される。これは、ピーナッツ粉のバッチのタンパク質含量に基づいて必要されるピーナッツ粉の量を計算することを含む。必要とされる賦形剤(例えば、マンニトール)の量は、正確なタンパク質含量を提供するのに必要とされるピーナッツ粉の量に基づいて調節される。
【0033】
一部の実施形態では、ピーナッツタンパク質は、組成物の約1%w/w~約60%w/w又は約5%w/w~約60%w/w、特に、組成物の約20%w/w~約60%w/w、より特に、組成物の約20%w/w~約50%w/w、さらにより特に、組成物の20%w/w~約40%w/w又は20%w/w~約30%w/wの量で組成物中に存在する。他の実施形態では、組成物は、組成物の約1%w/w~約30%w/w、特に、組成物の約1%w/w~約40%w/w、例えば、組成物の1%w/w~10%w/w若しくは20%w/w~40%w/w、又は組成物の5~10%又は20~30%の量でピーナッツ粉を含み得る。
【0034】
一部の実施形態では、ピーナッツタンパク質は、0.1~4000mg、特に、約0.1~2000mg、より特に、約0.1~1000mg、さらにより特に、0.1~100mg、さらにより特に、0.1~10mgの量で組成物中に存在する。特定の組成物は、0.1mgのピーナッツタンパク質、0.4mgのピーナッツタンパク質及び2.0mgのピーナッツタンパク質を含む。
【0035】
医薬組成物は一般に、1種若しくは複数の添加剤を含む。医薬添加剤は、製造工程において含まれるか、又は完成した医薬製品剤形中に含有される、薬理学的に活性な薬物又はプロドラッグ以外の物質であり、賦形剤又は充填剤、結合剤又は接着剤、吸着剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、香味剤、着色剤及び甘味剤などの部分群を含む。特定の製剤のための添加剤の選択は、反応し得る任意の添加剤を回避するための活性医薬成分(API)の性質、並びに接着、脆弱性、崩壊、送達の場所及びタイミング(例えば、腸を介する又は持続放出製剤)を含めた必要とされる最終剤形の特性を含めたいくつかの複雑な要因の考慮を含む。添加剤はまた一般に複数の機能を有し、例えば、タルクは、固結防止剤、流動促進剤、錠剤及びカプセル剤の賦形剤、又は錠剤及びカプセル剤の潤滑剤の1つ若しくは複数として一般に特性決定される。
【0036】
吸着剤は、活性医薬成分からの水及び/又は脂肪を吸収するために錠剤化プロセスにおいて使用される場合がある。その水分除去特性によって、使用される吸着剤の量は、このように得られた錠剤又は顆粒剤の硬度及び脆弱性に決定的に影響を与えることができる。
【0037】
組成物は、1種若しくは複数の吸着剤、例えば、二酸化ケイ素、例えば、Syloid(登録商標)XDP3050(Grace)、合成アモルファスシリカ又はコロイド状二酸化ケイ素(ヒュームドシリカ)、例えば、Aerosil(登録商標)200pharma(Evonik)、層状ケイ酸塩、カオリナイト、炭酸マグネシウム、セルロース、微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み得る。
【0038】
一部の実施形態では、吸着剤は、組成物の約1%w/w~約45%w/w、特に、組成物の約5%w/w~約40%w/w又は組成物の約11%w/w~約40%w/w、より特に、組成物の約5%w/w~約9%w/w、組成物の15%w/w~約35%w/w、又は組成物の約20%w/w~約35%w/wの量で存在する。一部の実施形態では、吸着剤の量は、組成物の約14%w/w~40%w/wである。
【0039】
医薬組成物はまた、組成物が水に溶解するか、又は食物中に分散することを可能とする1種若しくは複数の崩壊剤を含み得る。超崩壊剤として公知の崩壊剤のサブクラスがまた存在する。これらの物質は、より大きな崩壊効率及び機械的強度を伴う、より低い濃度でより有効な崩壊剤である。水と接触することで、超崩壊剤は、膨潤し、水和し、容量を変化させ、又は錠剤における破壊的変化を形成及び生じさせる。有効な超崩壊剤は、改善された圧縮性、適合性を実現し、高用量薬物を含有する製剤の機械的強度に対してマイナスの影響を有さない。適切な崩壊剤は、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、例えば、L-HPC(信越化学工業)、ソルビトール、例えば、Neosorb(登録商標)P60W(Roquette)、クエン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶性セルロース又はこれらの混合物を含む。適切な超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、例えば、Primojel(登録商標)(JRS Pharma)、架橋セルロース、例えば、クロスカルメロースナトリウム、例えば、Ac-Di-Sol SD-711(FMC Corporation)、Primellose(登録商標)及びVivasol(登録商標)、並びに架橋ポリビニルN-ピロリドン、例えば、クロスポビドン(Kollidon(登録商標))及びPolyplasdone(商標)を含む。
【0040】
一部の実施形態では、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース及びソルビトール又はこれらの崩壊剤の2つ若しくはそれより多いものの混合物から選択される。
【0041】
一部の実施形態では、組成物は、1種の崩壊剤を含む。他の実施形態では、組成物は、複数種の崩壊剤を含む。一部の実施形態では、組成物は、超崩壊剤、又は超崩壊剤及び/若しくは崩壊剤の混合物を含む。
【0042】
他の実施形態では、崩壊剤若しくは超崩壊剤又はその混合物は、組成物の約1%w/w~約25%w/w、特に、組成物の約4%w/w~約25%w/w、さらにより特に、組成物の約15%w/w~約25%w/wの量で存在する。
【0043】
一部の実施形態では、崩壊剤は、好ましくは、等しい比でLHPC及びデンプングリコール酸ナトリウムの混合物を含む。
【0044】
適切な賦形剤は、糖、例えば、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物、無水ラクトースなど);アルギン酸及びその塩、例えば、アルギン酸ナトリウム;セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標));ケイ化微結晶性セルロース;微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;デキストリン、第二リン酸カルシウム;天然又は合成ガム、例えば、寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、トラガント、アカシア又はガッティガム、ポリビニルピロリドン(例えば、ポリビドン(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、カラマツアラビノガラクタン、粘土、例えば、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、ポリエチレングリコール、ワックス、デンプン、例えば、天然デンプン、例えば、トウモロコシデンプン若しくはバレイショデンプン、アルファ化デンプン、例えば、Colorcon(Starch1500)、National1551又はAmijel(登録商標)、又はデンプングリコール酸ナトリウム、例えば、Primogel(登録商標)若しくはExplotab(登録商標);架橋デンプン、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム;架橋ポリマー、例えば、クロスポビドン;架橋ポリビニルピロリドン、天然のスポンジ;界面活性剤;樹脂、例えば、カチオン交換樹脂;柑橘ジュース粕;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウム;及びこれらの組合せからなる群から選択される1つ若しくは複数であり得る。特定の実施形態では、賦形剤は、糖、例えば、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物、無水ラクトースなど)、糖アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))であり、特に、ここで、糖は、マンニトールである。適切なマンニトール製品は、Pearlitol(登録商標)100SD(Roquette)である。
【0045】
一部の実施形態では、賦形剤は、組成物の約1%w/w~約92%w/w、特に、組成物の約5%w/w~約85%w/w又は約5%w/w~約75%w/w又は約10%w/w~60%w/w、より特に、約20%w/w~50%w/w、さらにより特に、組成物の30%w/w~40%w/wの量で存在する。
【0046】
潤滑剤は、「摩擦を低減させる添加物」として大まかに説明される。潤滑剤は、成分が一緒に凝集することから、及び錠剤パンチ又はカプセル充填機へと固着することから防止する。
【0047】
潤滑は、第1に、製造設備の表面及び有機固体の表面の間の摩擦を低減させ、第2に、ブレンドの粒子の間の摩擦(粒子間摩擦)を低減させることによって粉体流を改善させるために、錠剤及びカプセル剤の製造において必須であると考えられる。より最近の状況において、流動促進剤はまた、潤滑剤の形態であり、このリストに含むことができる。第1のタイプの摩擦は、壁面摩擦と一般に呼ばれ、第2のタイプは、内部摩擦又は粘着である。これらのそれぞれは、固着を克服し、粉末流動性を改善するために潤滑を必要とする。
【0048】
適切な潤滑剤は、ステアリン酸又はその塩、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸亜鉛、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール、例えば、カーボワックス、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウム又はラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される1つ若しくは複数であり得る。一部の実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸又はその塩、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸ナトリウム、より特に、ステアリン酸マグネシウムである。
【0049】
一部の実施形態では、潤滑剤は、組成物の約0.1%w/w~約5%w/w、特に、組成物の約0.5%w/w~約2%w/w、特に、組成物の約1%w/wの量で存在する。
【0050】
一部の実施形態では、医薬組成物は、他の添加剤、例えば、結合剤、アルカリ化剤などをさらに含み得る。
【0051】
本発明の医薬組成物の特定の実施形態において、ピーナッツ粉と吸着剤の比は、1:0.35~1:0.7の範囲、例えば、1:0.35、1:0.4、1:0.45、1:0.5、1:0.55、1:0.6、1:0.65及び1:0.7並びに中間の全ての比である。
【0052】
本発明の医薬組成物の特定の実施形態において、ピーナッツタンパク質と吸着剤の比は、0.5:0.35~0.5:0.7の範囲、例えば、0.5:0.35、0.5:0.4、0.5:0.45、1:1、0.5:0.55、0.5:0.6、0.5:0.65及び0.5:0.7並びに中間の全ての比である。
【0053】
吸着剤とピーナッツ粉の比は組成物中で維持され、吸着剤の量は使用するピーナッツ粉の量から計算される。バッチ毎のベースで各構成要素の量における差異は、組成物中に存在する賦形剤の量を増加又は減少させることによって説明される。
【0054】
本明細書における医薬組成物は、経口投与における使用のために製剤化し得る。一部の実施形態では、医薬組成物は製剤化され、顆粒剤、ミニ錠剤、錠剤、口内分散性錠剤、散剤又は散布製剤を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は、顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤へと製剤化され、したがって、製剤は、ピーナッツ粉が空気中に浮遊することを防止し(製剤は圧縮され、食物と接触するときのみ崩壊するため)、それによって、ピーナッツアレルゲンが吸入される可能性を低減させる。ピーナッツ粉の吸入は、アレルギーの個体におけるアナフィラキシー反応についての危険を表す。特に、顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤は、錠剤又はカプセル剤を消費することが困難であり、粉末状ピーナッツ粉又はピーナッツタンパク質を含有するカプセル剤を開くことが困難であり得る小児又は高齢者集団の処置のために高度に望ましい。
【0055】
用語「ミニ錠剤」は一般に、典型的な錠剤より小さなサイズを有する圧縮錠剤を指す。ミニ錠剤は典型的には、1~4ミリメートル(mm)の直径を有する。2.5mmより小さな経口剤形は経口顆粒剤と考えることができるため、多くのミニ錠剤製品は、このサイズ範囲に焦点を合わせ、剤形投与における潜在的な柔軟性を利用する(例えば、柔らかい食物と混合する)。顆粒剤は、柔らかい食物又は飲料に溶解することができ、小児集団において別の固体形態の剤形より良好な投与量順守と関連する。
【0056】
ミニ錠剤は一般に、ロータリー錠剤プレス機を使用して直接圧縮によって製造される。例えば、ミニ錠剤は、ピーナッツ粉を最初に吸着剤とブレンドし、第2のステップにおいて、残りの添加剤の全て(潤滑剤を例外として)をブレンドするプロセスにおいて製造し得る。最終的に、ブレンドに続いて、ロータリー錠剤プレス機を使用した直接圧縮の前に、潤滑剤を加える。
【0057】
本発明の別の態様において、
a.ピーナッツ粉を少なくとも1種の吸着剤とブレンドするステップであって;ピーナッツ粉は、40%~60%のピーナッツタンパク質を含むステップと;
b.少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の崩壊剤をステップaからのブレンドと混合するステップと;
c.少なくとも1種の潤滑剤をステップbの混合物に加え、混合するステップと
を含む、本発明の組成物を作製する方法を提供する。
【0058】
任意のさらなる添加剤を、ステップbにおいて加え得る。
【0059】
一部の実施形態では、この方法は、ステップcからの混合物を顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤に製剤化することをさらに含む。
【0060】
本発明による医薬組成物は、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤へと圧縮し得るような許容される流動及び結合特性、製造及びパッケージングの間の許容される取扱い特性、並びに水若しくは柔らかい食物と混合するときの許容される崩壊時間、又は水若しくは柔らかい食物中での崩壊を補助するために粉砕される能力を有する。
【0061】
各組成物をアセスメントするために使用される重要な性状は、下記の通りである:
バルクフォーミュラ(bulk formula)の流動性-バルクフォーミュラは、ホッパーから錠剤プレス機へと容易に流れることができることを必要とし、ここで、バルクフォーミュラは、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤へと圧縮される;
顆粒剤の圧縮-バルクフォーミュラを圧縮し、錠剤プレス機において顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤を形成することができることを必要とする;及び
顆粒剤の硬度-顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、錠剤プレス機からそれらがパッケージ化されるところまで移動するのに残存するように十分硬い、すなわち、バラバラになるか又は破壊されない必要がある。
【0062】
水(USP<701>、United States Pharmacopeia General Chapter 701 Disintegration)及び柔らかい食物中の2分以内の顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤の崩壊時間はまた、組成物の重要な性状であり得る。
【0063】
一部の実施形態では、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、Multitest50錠剤硬度テスターを使用して測定されるとき、少なくとも4N、特に、4N~15N、特に、4~8N、より特に、4~5Nの錠剤硬度を有するように製剤化される。錠剤の硬度と崩壊及び/又は粉砕のその容易さとのバランスをとることは重要である。
【0064】
顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤のサイズは変化し得るが、しかし、0.1mg~3mgの範囲のピーナッツタンパク質の量について、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、1.5mm~3.5mm、特に、約2.0mm~2.5mmの範囲のサイズを有し得る。
【0065】
一部の実施形態では、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、水、溶液又は食料製品に分散するように製剤化される。
【0066】
一部の実施形態では、溶液は、水溶液であり、例えば、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、水若しくはフレーバーを付けた飲料、例えば、コーディアル若しくはKool-Aid、又は乳若しくはフレーバーを付けた乳に分散し得る。そのような実施形態では、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤が、溶液中に5分未満で、例えば、4.5分未満、4分未満、3.5分未満又は3分未満、特に、2分未満で分散させることができる場合、好ましい。一部の実施形態では、組成物は、10秒~3分、特に、10秒~2.5分、より特に、10秒~2分で溶液に分散される。
【0067】
本明細書において提供する組成物のいずれかは、食料製品中に分散し得る。本明細書において提供するような食料製品は、それとともに組成物を消費のために混合し得る任意の食物でよい。一部の実施形態では、組成物は、柔らかい食料製品へと加えてもよく、その中で、それは少なくとも部分的に溶解又は分散することができる(例えば、ピューレ又はソース、例えば、果物ピューレ、野菜ピューレ、果物ソース又は野菜ソース又はソフトプディング、例えば、カスタード)。特定の実施形態では、医薬組成物の顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、食料製品に完全に溶解又は分散し得る。他の実施形態では、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤は、食物上に振りまき、溶解若しくは分散を伴わずに、又は単に部分的な溶解若しくは分散を伴って消費し得る。
【0068】
一部の実施形態では、顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤は、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤毎に0.1mg~10mgの範囲のピーナッツタンパク質の量、特に、0.1mg~5mg、より特に、0.4mg~4mgを含む。一部の実施形態では、顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤は、顆粒剤、錠剤又はミニ錠剤毎に約0.1mg、0.4mg又は2.0mgのピーナッツタンパク質を含む。
【0069】
本発明の組成物、特に、顆粒剤製剤、錠剤製剤又はミニ錠剤製剤は、任意の便利な形態で提示し得、例えば、カプセル剤中に充填されるか、又は小袋若しくはスティックパック中に充填し得る。有利なことには、これらの製剤のそれぞれは、用量の柔軟性、及び定量化された投与量のピーナッツタンパク質の送達を可能とする。例えば、小袋又はスティックパケットは、10個の顆粒剤又はミニ錠剤を含有し得、それぞれが、2mgのピーナッツタンパク質を含有し、20mgのピーナッツタンパク質の投与量を提供する。投与量は、パッケージ中に含まれる顆粒剤若しくはミニ錠剤の数及び/又は各顆粒剤中のピーナッツタンパク質の量を変化させることによって変化し得る。
【0070】
本発明は、任意選択で、経口免疫療法による、ピーナッツアレルギーの処置のための組成物又は製剤を提供する。
【0071】
本発明の一態様において、任意選択で、経口免疫療法による、本発明の医薬組成物を投与することを含む、ピーナッツアレルギーを処置する方法を提供する。
【0072】
本発明のさらなる態様において、任意選択で、経口免疫療法による、ピーナッツアレルギーの処置において使用するための本発明の組成物を提供する。
【0073】
本発明のまたさらなる態様において、任意選択で経口免疫療法によってピーナッツアレルギーを処置するための医薬の製造における、ピーナッツ粉、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の吸着剤、少なくとも1種の賦形剤及び少なくとも1種の潤滑剤の使用を提供し、ここで、ピーナッツ粉は、40~60%のピーナッツタンパク質を含む。
【0074】
「処置する」又は「処置」は、本明細書において使用するように、ピーナッツアレルギーにおける何らかの改善を意味する。これは、少なくとも1つの症状を緩和すること、又はアレルギー応答の危険性、発生若しくは重症度を低減させることを含む。特定の実施形態では、これは、対象を脱感作すること、持続性の無応答性を達成すること、又は特定のアレルゲンに対する耐性を達成することを含む。「脱感作」は、(例えば、OITの間の曝露のレベル、例えば、維持相の間に使用される量で、又は増加したレベルで)反応を伴わずに、対象が許容することができるアレルゲンの量における一過性増加を指し、これは、免疫療法又は規則的なアレルゲン曝露が中断されるとき失われる。「持続性の無応答性」は、本明細書において使用されるように、免疫療法を少なくとも2~4週間の期間停止した後で、(例えば、対象がアレルゲンに対して単に脱感作される場合に必要とされるように)抗原への規則的及び高頻度の曝露を必要とすることなく、(例えば、OITの間の曝露のレベル、例えば、維持相の間に使用される量で、又は増加したレベルで)アレルゲンを認容する対象の持続性の能力を説明する。「耐性」は、本明細書において使用する場合、対照的に、反応を伴わずに経口経路を介して、任意の量のアレルゲンを摂取する対象の長続きする(例えば、数年)又は永久の能力を指し、これは、このような状態を維持するのに継続したアレルゲン曝露を必要としない。したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、ピーナッツアレルゲンに対するアレルギーの処置を提供し、これは、持続性の無応答性又は耐性を実現し、一方、他の実施形態では、本発明は、対象がアレルギー性であるピーナッツアレルゲンに対する対象の脱感作を実現し得る。
【0075】
「アレルギー」は、本明細書において使用されるように、アレルゲンに対する後天性の過敏症を指す。アレルゲンに対するアレルギーを有する対象は、アレルギーの対象と称してもよく、これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。本発明は、ピーナッツアレルギーにもっぱら関係している。「ピーナッツアレルギー」は、アレルゲンへの免疫反応によって引き起こされるピーナッツアレルゲンに対する有害応答である。ピーナッツアレルギーはまた、ピーナッツアレルゲンに対するアレルギーと考えてもよい。ピーナッツアレルギーは、ピーナッツに対する非免疫介在性有害応答、例えば、(例えば、アフラトキシンに対する)不耐性及び毒素が媒介する反応と区別されるべきである。
【0076】
ピーナッツアレルゲンに対してアレルギーを有する個体は、ピーナッツアレルゲン特異的血清IgE、すなわち、ピーナッツアレルゲンに特異的に結合するIgEを示し得るか、又は非IgEが媒介するアレルギーを有し得、ここで、アレルギーは、アレルゲン特異的IgEによって主に媒介されない。患者は、標準的臨床基準によってピーナッツアレルギーと診断され得る。標準的臨床基準は、例えば、ピーナッツアレルゲン摂取と一時的に関連する1型過敏症反応の病歴(例えば、じんま疹、腫脹、喘鳴、腹痛、嘔吐、息切れ、低血圧、虚脱)、及び陽性皮膚プリックテストによるピーナッツアレルゲン特異的IgEの存在(幼児において膨疹直径>/=3mm又は>/=2mm)又はIgEが媒介するアレルギーの場合は、ImmunoCap血清IgE>0.35kU/L、又は混合IgE/非IgEが媒介する食物アレルギー又は非IgEが媒介する食物アレルギーの場合は、内視鏡検査及び生検における異常所見を伴う若しくは伴わない、アレルゲン摂取に対する晩発性症状(例えば、腹痛、嘔吐、下痢、吸収不良、体重減少、成長障害、湿疹、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎、食物タンパク質によって誘発される直腸結腸炎、食物タンパク質によって誘発される腸炎症候群(FPIES))の病歴を含み得る。
【0077】
本明細書において使用するように、「経口免疫療法計画」又はOITは、ピーナッツアレルギーの処置のために使用される処置計画を指す。この処置計画は、免疫系を刺激して、アレルギー応答を緩和する目的で、脱感作、持続性の無応答性又は耐性を発生させる目的を伴って、数週間、数カ月又は数年に亘る増加する用量のピーナッツアレルゲンの経口投与を含む。
【0078】
OITプロトコルは典型的には、処置の3つの相-ラッシュ(また開始と称される)、強化及び維持を含む。ラッシュ相及び強化相は一緒に、用量増大相を形成する。ラッシュ相は一般に、一連の増大するアレルゲン用量(例えば、6~8用量)を1日に亘り投与することを含み、しばしば、0.1mgもの低い、対象が認容することができる非常に低い用量で開始する。強化相は一般に、食物アレルゲンの1日用量を投与することを含み、典型的には、ラッシュ相の最も高い認容される用量(又は全てのラッシュ相用量が認容される場合、ラッシュ相における累積的な認容される用量)で開始し、1~2週間毎に用量を増加させる。維持相は、強化相の間に達した最も高い用量で処置を継続し、同じ用量の食物アレルゲンをしばしば、数カ月から数年間又は無期限に毎日提供する。最も高い用量は、1000mg又は2000mg又は4000mg又はそれ以上であり得る。
【0079】
本発明の医薬組成物は、ピーナッツアレルゲンの異なる用量が非常に正確であることを可能とし、これは、対象が用量における小さな違いに対して特に影響されやすいとき、特に用量増大相において特に重要である。
【0080】
用量を段階的に増加させることは、用量を経時的に徐々に増加させることが可能となり、したがって、対象がアレルゲンに対する有害事象を被る危険性を最小化する。理論に束縛されるものではないが、対象がアレルギー性である増加する用量のピーナッツアレルゲンに曝露されているため、対象は増加する用量のアレルゲンを徐々に認容することができると考えられる。このように、認容される用量のアレルゲンからの増加は、用量増大相の間に有害事象をもたらす可能性が低い。
【0081】
代表例として、用量増大相は、一連の用量増加を含み得、それによって、アレルゲンの用量は、30分毎に12時間まで増加し、それに続いて、アレルゲンの用量は2週間(例えば、10~18日)毎に増加する。
【0082】
ピーナッツOITへのプロバイオティクスの添加は、OIT投薬計画において利益を提供し得ることが本発明者らによって従前に見出されてきた(国際公開第2009/094717号を参照)。理論に束縛されるものではないが、このようなプロバイオティクスによる形質細胞様樹状細胞(pDC)の誘導は、(OIT処置において投与される)ピーナッツアレルゲンに対するアレルギー応答を阻害し、処置の認容性を改善させると考えられる。これを達成することができる1つの方法は、アレルゲン特異的Treg細胞の分化を支援するpDCによるものであり、これによって、OITの間のピーナッツアレルゲンへの曝露によってもたらされるアレルギー反応の発生が抑制される。Tregはまた、腸上皮炎症を阻害し、腸バリア機能を改善させ、それによって、OITの間のピーナッツアレルゲン曝露によってもたらされる胃腸の症状を制限し得る。
【0083】
一部の実施形態では、OITは、プロバイオティクスのさらなる投与をさらに含み得る。「プロバイオティクス」は、本明細書において使用するように、疾患の治癒、軽減、処置、又は予防において使用される微生物を指す。プロバイオティクスは、寛容原性DCの産生を刺激し得、又は言い換えると、増加した数の寛容原性DCは、プロバイオティクスによって又はプロバイオティクスに応答して誘導され得る。誘導は、in vivoで起こるが、in vivo又はin vitroで試験され得る。好ましくは、寛容原性DCは、pDCである。ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardi)、大腸菌ニッスル1917(E. coli Nissle 1917)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)を含めた多種多様のプロバイオティクスは、pDCを誘導し、これらのプロバイオティクスは、本発明の処置における使用のための特に好ましいプロバイオティクスを表す。pDCを誘導する能力は、アレルギーの対象及びアレルギー性疾患を有する対象において同様である。
【0084】
さらなる実施形態では、プロバイオティクスは、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、エシェリシア属(Escherichia)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)又はバチルス属(Bacillus)の種である任意のプロバイオティクス微生物であり得る。特に好ましい実施形態では、種は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)又はストレプトコッカス属(Streptococcus)からである。
【0085】
一部の実施形態では、プロバイオティクスは、クロストリジウム・ボルテエ(Clostridium bolteae)、アナエロトルンクス・コリホミニス(Anaerotruncus colihominis)、セリモナス・インテスチナリス(Sellimonas intestinales)、クロストリジウム・シンビオサム(Clostridium symbiosum)、ブラウチア・プロダクタ(Blautia producta)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、エリシペロトリカセア・バクテリウム(Erysipelotrichaceae bacterium)、スブドリグラヌルム属の種(Subdolinogranulum spp)、ルミノコッカス・トルクェス(Ruminococcus torques)、ロストリジウム・イノキュウム(Clostridium innocuum)、フラボニフラクトル・プラウチイ(Flavinofractor plautii)、及びこれらの組合せからなる群から選択される細菌種である。
【0086】
実施形態では、プロバイオティクスは、ユーバクテリウム・レクタル(Eubacterium rectale)、クロストリジウム・ラモーサム(Clostridium ramosum)、ブチリビブリオ・クロッサツス(Butyrovibrio crossatus)、ロセブリア・インテスチナリス(Roseburia intestinalis)、クロストリジウム・ハイレモンアエ(Clostridium hylemonae)、フンガテラ・ハテワイ(Hungatella hathawayi)、クロストリジウム・シンビオサム(Clostridium symbiosum)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)、サブドリグラヌルム・バリアビレ(Subdoligranulum variabile)、バクテロイデス属の種(Bacteroides spp.)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ(Parabacetroides goldsteinii)、パラバクテロイデス・メルデ(Parabacteroides merdae)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、プレボテラ・タンネラ(Prevotella tannerae)、クロストリジウム・サルジニエンシス(Clostridium sardiniensis)、クロストリジウム・ヒラノニス(Clostridium hiranonsis)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Facealibacterium prausnitzii)、ブチリビブリオ属の種(Butyrovibrio spp.)、ユーバクテリウム・レクタル(Eubacterium rectale)、ロセブリア・インテスチナリス(Roseburia intestinalis)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム属の種(Clostridium spp)(例えば、クロストリジウム・ラモーサム(Clostridium ramosum)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・ヒラノニス(Clostridium hiranonsis)、クロストリジウム・ビファーメンタンス(Clostridium bifermentans)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・サルジニエンシス(Clostridium sardiniensis)、クロストリジウム・ハテワイ(Clostridium hathewayi)、クロストリジウム・ネキシル(Clostridium nexile)、クロストリジウム・ハイレモンアエ(Clostridium hylemonae)、クロストリジウム・グリシルリジニリチカム(Clostridium glycyrrhizinilyticum)、クロストリジウム・ラバレンス(Clostridium lavalense)、クロストリジウム・フィメタリウム(Clostridium fimetarium)、クロストリジウム・シンビオサム(Clostridium symbiosum)、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)など)、プレボテラ・コプリ(Prevotella copri)、プレボテラ・パルジビベンス(Prevotella paludivivens)、及びこれらの組合せであり得る。
【0087】
一実施形態では、プロバイオティクス微生物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)のリストから選択されるラクトバチルス属(Lactobacillus)の種である。
【0088】
特に好ましい実施形態では、プロバイオティクスは、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)であり、特に、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GGであり得る。他の実施形態では、LBP又はプロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomycesboulardi)、大腸菌ニッスル1917(E. coli Nissle 1917)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)又はビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)であり得る。
【0089】
好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、プロバイオティクスを含み得るか、又は別々に、同時に若しくは逐次的に投与し得る。
【0090】
一実施形態では、医薬組成物及びプロバイオティクスは、同時に投与される。
【0091】
本発明の特定の実施形態によれば、プロバイオティクス及び医薬組成物が別々の製剤中で投与されるとき、医薬組成物は、プロバイオティクスの1分前、2分前、3分前、4分前、5分前、10分前、30分前、1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前又はそれ以上から12時間前まで投与され得る。代わりの実施形態によれば、プロバイオティクスは、医薬組成物の1分前、2分前、3分前、4分前、5分前、10分前、30分前、1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前又はそれ以上から12時間前まで投与され得る。
【0092】
本発明のまたさらなる実施形態によれば、プロバイオティクス及び医薬組成物の別々及び/又は逐次投与は、12時間超離して2つの構成要素のそれぞれを投与することを含み得る。このように、ある特定の実施形態によれば、医薬組成物及びプロバイオティクスは、7日まで離して、より好ましくは、6日まで、5日まで、4日まで、3日まで、2日まで又は1日まで離して別々に投与し得る。ある特定の実施形態では、プロバイオティクスは、医薬組成物の7日前まで、6日前まで、5日前まで、4日前まで、3日前まで、2日前まで、又は1日前まで投与され得る。別の実施形態によれば、医薬組成物は、プロバイオティクスの7日前まで、6日前まで、5日前まで、4日前まで、3日前まで、2日前まで、又は1日前まで投与され得る。
【0093】
プロバイオティクスは、対象の胃を通した十分なプロバイオティクスの安全な移行を可能にするのに十分な用量で投与され、それらの有益な効果は、対象が感じ得る。プロバイオティクスは、新興の栄養補助食品及び医薬製品であり、投与されて、プロバイオティクスが適切な数で腸に達し、対象に健康上の利益を提供することを可能とするプロバイオティクスの用量は知られており、プロバイオティクスの間でそれ相応に変化し得る。適切な用量は、1×10、5×10、1×10、5×10又は1×10CFUのいずれかの1つから、5×10、1×10、5×10、1×1010、2×1010、5×1010、1×1011又は1×1012CFUのいずれかの1つ、例えば、1×10~1×1012、5×10~1×1011、1×10~5×1010、1×10~2×1010、1×10~1×10、1×10~1×10、1×10~1×1010、1×10~1×1011又は1×1010~1×1012であり得る。しかし、1×10CFUから2×1010CFUの範囲のプロバイオティクスの用量が典型的には勧められ、プロバイオティクスのこのような用量は、好ましくは、本発明の処置において投与され得る。したがって、この範囲内の用量は、本発明の処置に従って、少なくとも毎週、又は少なくとも3日毎、2日毎、又は好ましくは、毎日対象に投与され得る。一実施形態では、同じ用量のプロバイオティクスは、投与毎に使用される。しかし、他の実施形態では、用量は、任意選択で変化し得、例えば、プロバイオティクスの用量は、例えば、医薬組成物中のピーナッツタンパク質の用量に行われる増加と一致して、処置の経過中に増加し得る。
【0094】
プロバイオティクスはまた、食料製品を介して投与され得るか、又はより好ましくは、飲用による消費のために溶液中で投与され得る。したがって、プロバイオティクスは、好ましくは、水、牛乳若しくは豆乳、又は別の乳若しくは飲料中で投与され得る。プロバイオティクスは、設定された用量として、例えば、飲料若しくは食物と混合し得る小袋若しくはスティックパック中、カプセル剤内、又は標準化された計量スプーンを有する小型容器中の固定用量として提供され得る。
【0095】
さらなる薬剤を、処置を支援するために処置の間に使用し得る。例えば、医薬組成物は、プロバイオティクス生物の成長を支援することが公知であるプレバイオティクスとともに投与され得る。代わりに、プレバイオティクスは、処置される対象の腸中に既に存在するプロバイオティクス生物の成長を支援するプロバイオティクスを伴わずに投与され得る。
【0096】
さらなる実施形態において、他の薬剤、例えば、抗アレルギー薬、例えば、抗ヒスタミン剤、ステロイド、気管支拡張剤、ロイコトリエン安定剤及び肥満細胞安定化薬は、OIT処置の間に使用され得る。適切な抗アレルギー薬は、当技術分野で周知である。このような薬剤は、アレルギー性炎症を低減させ、アレルゲンに対する耐性を増加させることにおいて有用であり得る。
【0097】
本明細書において言及する対象は、本発明の処置から恩恵を受けることができる、アレルゲンに対するアレルギーを有する動物、特に、哺乳動物、より特定すると、ヒトを指す。特に好ましい実施形態では、対象は、成人であり得る。しかし、好ましくは、対象は、成人ではなく、ある特定の実施形態では、対象は、18歳未満であり得、すなわち、対象は、小児であり得る。またより好ましくは、対象は、12歳未満の小児であり得るか、又は6歳未満の小児であり得る。またさらなる実施形態では、対象は、6歳から、例えば、12歳又は18歳であり得、別の実施形態では、5歳から10歳であり得る。特に好ましい実施形態では、小児は、1歳から18歳であり得る。
【0098】
本明細書に記載の方法は、ピーナッツアレルギーを有する任意の患者のために使用されてもよく、アレルゲンに対する患者の感受性又は負荷閾値、患者の体重又は身長、及び他の要因と無関係である。
【0099】
本発明の別の態様において、少なくとも2用量の上記の本発明の組成物を含むキットを提供し、各用量は、別々にパッケージ化されている。
【0100】
一部の実施形態では、キットは、複数回用量の本発明の組成物、例えば、用量増大相を完了するのに、又は維持相の少なくとも部分を完了するのに十分な用量を含有する。
【0101】
一部の実施形態では、複数回用量の本発明の組成物は、同じ量のピーナッツタンパク質を含有する。他の実施形態では、複数回用量の組成物は、異なる用量のピーナッツタンパク質、例えば、用量増大相における使用に適した増加する用量のピーナッツタンパク質を含有する。
【0102】
一部の実施形態では、キット中のそれぞれの用量単位は、小袋又はスティックパケット中に任意選択でパッケージ化された、顆粒剤製剤又はミニ錠剤製剤の形態である。
【0103】
一部の実施形態では、キットは、プロバイオティクス及び/又はプレバイオティクスの1つ若しくは複数の用量をさらに含む。
【0104】
下記の特許請求の範囲及び本発明の従前の記載において、文脈が表現言語又は必然的含意によって他のことを要求する場合を除いて、単語「含む」又はバリエーション、例えば、「含める」又は「含むこと」は、包括的な意味で使用され、すなわち、記述した特色の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特色の存在又は付加を妨げない。
【0105】
さらに、本明細書において使用する場合、用語「約」は、参照量、レベル、値、寸法、サイズ、又は分量に対して15%、10%又は5%と同じ程度に変化する量、レベル、値、寸法、サイズ、又は分量を指す。
【0106】
任意の従来技術の公開資料が本明細書において参照される場合、このような参照は、その公開資料がオーストラリア又は任意の他の国において当技術分野における一般知識の一部を形成するという承認を構成しないことを理解すべきである。
【0107】
本発明を非限定的実施例によってこれから説明する。
【実施例
【0108】
実施例
実施例1:組成物1(製剤C)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を使用して調製した。
【0109】
【表1】
【0110】
下記のステップを、顆粒剤のバッチの製造のために行った:
1.ピーナッツ粉のバッチのタンパク質含量(作用強度調節)をベースとする必要とされるピーナッツ粉の量を計算した。必要とされるマンニトールの量は、ピーナッツ粉の量に基づいて調節する。
2.製造のための原料を分注した。
3.ピーナッツ粉及び二酸化ケイ素を、ブレンドされるまで一緒に混合した。
4.マンニトール、L-HPC、デンプングリコール酸ナトリウム及びソルビトールを、ピーナッツ粉及び二酸化ケイ素ブレンドに加え、混合した。
5.ステアリン酸マグネシウムをブレンドした成分に加え、製剤における完全性の喪失を回避するために潤滑剤を過剰混合しない必要があり注意して混合した。
6.工具を使用して顆粒剤を圧縮し、標的サイズ及び標的圧縮力を達成した。
7.次いで、顆粒剤を集め、試料採取し、硬度、重量、厚さ及び崩壊について試験した。
【0111】
試験において使用した設備は、下記の通りであった:
硬度-Multitest50錠剤硬度テスター。この設備はまた、錠剤/顆粒剤の重量及び厚さを測定することができる
崩壊-Erweka ZT72自動崩壊テスター。水中の崩壊は37℃にて、及び柔らかい食物については室温にて試験する。
【0112】
実施例2:組成物2(製剤D)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0113】
【表2】
【0114】
9.7Nの圧縮硬度が達成された
【0115】
実施例3:組成物3(製剤G)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0116】
【表3】
【0117】
9Nの圧縮硬度が達成された。
【0118】
実施例4:組成物4(製剤I)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0119】
【表4】
【0120】
8~10Nの圧縮硬度が達成された。
【0121】
実施例5:組成物5(製剤J)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0122】
【表5】
【0123】
4~5Nの圧縮硬度が達成された。
【0124】
実施例6:組成物6(製剤K)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0125】
【表6】
【0126】
4~5Nの圧縮硬度が達成された。
【0127】
実施例7:組成物7(製剤L)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
下記の成分を使用して顆粒剤を調製した:
【0128】
【表7】
【0129】
4~5Nの圧縮硬度が達成された。
【0130】
実施例8:組成物8(製剤M)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0131】
【表8】
【0132】
4~5Nの圧縮硬度が達成された。
【0133】
実施例9:組成物9(製剤N)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0134】
【表9】
【0135】
4N及び8Nの圧縮硬度が達成された。
【0136】
実施例10:組成物10(製剤O)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0137】
【表10】
【0138】
3~3.5Nの圧縮硬度が達成された。
【0139】
実施例11:組成物11(製剤P)-顆粒剤毎に2mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0140】
【表11】
【0141】
4~4.5Nの圧縮硬度が達成された。
【0142】
実施例12:組成物12(製剤A、0.1mg)-顆粒剤毎に0.1mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0143】
【表12】
【0144】
12Nの圧縮硬度が達成された。
【0145】
実施例13:組成物13(製剤B、0.1mg)-顆粒剤毎に0.1mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0146】
【表13】
【0147】
14.8Nの圧縮硬度が達成された。
【0148】
実施例14:組成物14(製剤A、0.4mg)-顆粒剤毎に0.4mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0149】
【表14】
【0150】
3.2Nの圧縮硬度が達成された
【0151】
実施例15:組成物15(製剤B、0.4mg)-顆粒剤毎に0.4mgのピーナッツタンパク質
顆粒剤は、下記の成分を伴って実施例1の方法を使用して調製した。
【0152】
【表15】
【0153】
4.0Nの圧縮硬度が達成された
【0154】
実施例16:崩壊試験
本発明の組成物を、United States Pharmacopeia General Chapter 701 - Disintegrationに記載されている方法によって崩壊試験した。
【0155】
結果を下記の表において示す。試験した製剤から見ることができるように、ある特定の製剤によってのみ得られ、且つピーナッツタンパク質の量(顆粒剤強度)によって変化し得る、流動性、硬度及び崩壊時間の間の微妙な均衡が存在する。
【0156】
【表16】
【国際調査報告】