IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケイ・シルトロン・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特表2023-506029ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法
<>
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図1
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図2
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図3
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図4
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図5
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図6
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図7
  • 特表-ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20230207BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B24B37/24 C
B24B37/24 E
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535856
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2020006076
(87)【国際公開番号】W WO2021157781
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0013622
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517354250
【氏名又は名称】エスケイ・シルトロン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ス・チョン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA06
3C158DA18
3C158EA01
3C158EB01
3C158EB10
3C158EB19
3C158EB20
3C158EB28
3C158EB29
5F057AA03
5F057AA24
5F057BA12
5F057BB03
5F057CA19
5F057DA02
5F057EB03
5F057EB04
5F057EB30
(57)【要約】
本発明は、不織布パッドを製造する段階と、前記不織布パッドにポリウレタンを含浸させるポリウレタン含浸段階と、前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドの表面を研磨する表面研磨段階とを含み、前記ポリウレタン含浸段階及び前記表面研磨段階は、研磨パッドの表層と内部との密度比が均一になるようにする研磨パッドの製造方法を提供する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布パッドを製造する段階と、
前記不織布パッドにポリウレタンを含浸させるポリウレタン含浸段階と、
前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドの表面を研磨する表面研磨段階とを含み、
前記ポリウレタン含浸段階及び前記表面研磨段階は、研磨パッドの表層と内部との密度比が均一になるようにする、ウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項2】
前記ポリウレタン含浸段階は、
前記不織布パッドを前処理する前処理段階と、
前記不織布パッドの水分を乾燥する1次乾燥段階と、
前記不織布パッドをポリウレタンに漬ける含浸段階と、
前記不織布パッドに含浸されたポリウレタンを乾燥させる2次乾燥段階と、
前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドを圧縮する圧縮段階とを含む、請求項1に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項3】
前記含浸段階は、少なくとも2回のポリウレタン含浸過程を遂行する、請求項2に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項4】
前記含浸段階は、
親水性ポリウレタンに含浸する1次含浸過程と、
疎水性ポリウレタンに含浸する2次含浸過程とを含む、請求項3に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項5】
前記研磨パッドの表層において前記ポリウレタンを含有する気孔層と前記ポリウレタンを含有しない気孔層との密度比が1:1になるようにバフ加工する、請求項4に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項6】
前記不織布パッドの厚さは4mm~6mmであり、
前記バフ加工の際に除去される前記不織布パッドの厚さは2.5mm~3.5mmである、請求項5に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項7】
前記研磨パッドの総密度は0.44~0.55g/cmである、請求項6に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法。
【請求項8】
不織布パッドを製造する不織布パッド製造部と、
前記不織布パッドにポリウレタンを含浸させるポリウレタン含浸部と、
前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドの表面を研磨する表面研磨部とを含み、
前記ポリウレタン含浸部は、
親水性ポリウレタンを収容する1次ポリウレタン水槽と、
疎水性ポリウレタンを収容する2次ポリウレタン水槽とを含む、ウエハー研磨装置用研磨パッドの製造装置。
【請求項9】
前記表面研磨部は、前記研磨パッドの表層において前記ポリウレタンを含有する気孔層と前記ポリウレタンを含有しない気孔層との密度比が1:1になるようにバフ加工する、請求項8に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造装置。
【請求項10】
前記不織布パッドの厚さは4mm~6mmであり、前記バフ加工の際に除去される前記不織布パッドの厚さは2.5mm~3.5mmである、請求項9に記載のウエハー研磨装置用研磨パッドの製造装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法または製造装置によって製造された、ウエハー研磨装置用研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウエハー研磨装置に関し、より詳しくはウエハー研磨装置に使われる研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコンインゴット(Single Crystal Silicon Ingot)は、一般的にチョクラルスキー法(Czochralski method)によって成長して製造される。この方法は、チャンバー内のるつぼで多結晶シリコンを溶融させ、溶融したシリコンに単結晶である種晶(seed crystal)を漬けた後、これを徐々に上昇させながら所望直径の単結晶シリコンインゴット(以下、インゴット)に成長させる方法である。
【0003】
単結晶シリコンウエハー(Single Silicon Wafer)の製造工程は、上述した方法を用いてインゴットを製造するための単結晶成長(Growing)工程と、インゴットをスライシング(Slicing)して薄い円板状のウエハーを収得するスライシング(Slicing)工程と、スライシング工程によって得られたウエハーの破損や歪みを防止するために、その外周部を加工するエッジ研磨(Edge Polishing)工程と、ウエハーに残存する機械的加工による損傷(Damage)を除去してウエハーの平坦度を向上させるためのラッピング(Lapping)工程と、ウエハーを鏡面化する研磨(Polishing)工程と、研磨されたウエハーに付着された研磨剤や異物を除去する洗浄(Cleaning)工程とからなる。
【0004】
このうち、ウエハー研磨工程は、両面研磨装置(DSP、Double Side Polishing Apparatus)を用いてウエハーの両面を同時に研磨することができる。
【0005】
図1は一般的なウエハー研磨装置の斜視図である。
【0006】
図1に示すように、一般的なウエハー研磨装置100は、上定盤110、下定盤120、上部パッド(または、上部研磨パッド(pad))130、下部パッド(または、下部研磨パッド)140、キャリア(carrier)150、サンギア(sun gear)160、インターナルギア(internal gear)170、及び中心軸180を含む。
【0007】
上定盤110と下定盤120は互いに向き合い、回転可能に配置される。
【0008】
上部パッド130は上定盤110の下に配置され、下部パッド140は下定盤120の上に配置される。上定盤110と下定盤120との内側には上部及び下部パッド130、140が互いに向き合って配置されてウエハーWを研磨するようになる。
【0009】
上定盤110及び下定盤120のそれぞれは円板状を有することができ、上定盤110及び下定盤120にそれぞれ付着される上部及び下部パッド130、140も円板状を有することができる。
【0010】
サンギア160は中心軸180の外周に設けられ、インターナルギア170は下定盤120の外周に設けられる。インターナルギア170はサンギア160と反対方向に回転することができる。
【0011】
キャリア150は上部パッド130と下部パッド140との間に配置され、サンギア160及びインターナルギア170の回転によって回転することができる。また、キャリア150は、ウエハーWが挿入可能な挿入孔とスラリー(slurry)が流入可能なスラリーホールとを有する。キャリア150は外周面にネジが形成された円盤状を有することができる。
【0012】
サンギア160の外周面に形成されたギア部及びインターナルギア170の内面に形成されたギア部はキャリア150の外周面に形成されたギア152と噛み合う。よって、上定盤110及び下定盤120が駆動源(図示せず)によって中心軸180を中心に回転することにより、キャリア150は自転及び公転することになる。
【0013】
図示しなかったが、上定盤110の上部にはスラリーを供給するノズルが取り付けられる多数のスラリー供給ホール190が貫設されることができる。
【0014】
上述した構成を有する一般的なウエハー研磨装置100は、上定盤110と下定盤120との間に設けられたキャリア150の挿入孔にウエハーWが挿着されれば、ウエハーWは上定盤110及び下定盤120にそれぞれ付着された上部及び下部パッド130、140と摩擦する。ここで、キャリア150に装着された複数のウエハーWの両面は上定盤110の上部から内側に供給されるスラリーと研磨パッド130、140によってバッチ(batch)方式で摩擦研磨される。すなわち、ウエハーWが摩擦されて研磨されることは、上定盤110の上部パッド130と下定盤120の下部パッド140とが互いに反対方向に回転することによってなされることができる。
【0015】
ところで、研磨パッド130、140はウエハーWとのひんぱんな摩擦によってその多孔性表面が変化し、スラリーまたは研磨副産物によって表面層が塞がるグレージング(Glazing)を引き起こす。このようなグレージングは研磨パッド130、140の摩擦係数を低めてウエハーの研磨品質を低下させる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明はウエハーの研磨工程で発生するグレージングを防止してウエハーの平坦度品質を向上させることができるウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、不織布パッドを製造する段階と、前記不織布パッドにポリウレタンを含浸させるポリウレタン含浸段階と、前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドの表面を研磨する表面研磨段階とを含み、前記ポリウレタン含浸段階及び前記表面研磨段階は、研磨パッドの表層と内部との密度比が均一になるようにする、ウエハー研磨装置用研磨パッドの製造方法を提供する。
【0018】
前記ポリウレタン含浸段階は、前記不織布パッドを前処理する前処理段階と、前記不織布パッドの水分を乾燥する1次乾燥段階と、前記不織布パッドをポリウレタンに漬ける含浸段階と、前記不織布パッドに含浸されたポリウレタンを乾燥させる2次乾燥段階と、前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドを圧縮する圧縮段階とを含むことができる。
【0019】
前記含浸段階は、少なくとも2回のポリウレタン含浸過程を遂行することができる。
【0020】
前記含浸段階は、親水性ポリウレタンに含浸する1次含浸過程と、疎水性ポリウレタンに含浸する2次含浸過程とを含むことができる。
【0021】
前記研磨パッドの表層において前記ポリウレタンを含有する気孔層と前記ポリウレタンを含有しない気孔層との密度比が1:1になるようにバフ加工することができる。
【0022】
前記不織布パッドの厚さは4mm~6mmであり、前記バフ加工の際に除去される前記不織布パッドの厚さは2.5mm~3.5mmであることができる。
【0023】
前記研磨パッドの総密度は0.44~0.55g/cmであることができる。
【0024】
一方、本発明は、不織布パッドを製造する不織布パッド製造部と、前記不織布パッドにポリウレタンを含浸させるポリウレタン含浸部と、前記ポリウレタンの含浸された不織布パッドの表面を研磨する表面研磨部とを含み、前記ポリウレタン含浸部は、親水性ポリウレタンを収容する1次ポリウレタン水槽と、疎水性ポリウレタンを収容する2次ポリウレタン水槽とを含む、ウエハー研磨装置用研磨パッドの製造装置を提供する。
【0025】
前記表面研磨部は、前記研磨パッドの表層において前記ポリウレタンを含有する気孔層と前記ポリウレタンを含有しない気孔層との密度比が1:1になるようにバフ加工することができる。
【0026】
前記不織布パッドの厚さは4mm~6mmであり、前記バフ加工の際に除去される前記不織布パッドの厚さは2.5mm~3.5mmであることができる。
【0027】
本発明は、前記いずれか製造方法または製造装置によって製造された、ウエハー研磨装置用研磨パッドを提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明のウエハー研磨装置用研磨パッド並びにその製造装置及び製造方法によれば、研磨パッドの表層に含浸されるポリウレタンの密度を均一化することにより、ウエハーの研磨工程で発生するグレージングを防止してウエハーの平坦度品質を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の研磨パッドは。パッド表層の粗さ(Roughness)が高く維持され、これにより従来パッド使用時間の増加によって研磨率(Removal rate)が減少する現象を抑制することができるので、寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一般的なウエハー研磨装置の斜視図である。
【0031】
図2】本発明の一実施例によるウエハー研磨パッドの製造装置の概略構成図である。
【0032】
図3】本発明の一実施例によるウエハー研磨パッドの製造方法のフローチャートである。
【0033】
図4図3の製造方法によって研磨パッドを製造する工程を示す工程図である。
図5図3の製造方法によって研磨パッドを製造する工程を示す工程図である。
【0034】
図6】ポリウレタンを含有する研磨パッドの(a)バフ加工前及び(b)バフ加工後の断面図である。
【0035】
図7】本発明の一実施例の研磨パッド及び比較例の研磨パッドにおいて厚さによる密度状態を示すグラフである。
【0036】
図8図7の研磨パッドの100μm厚さでの断層状態を示すCT撮影正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明は添付図面及び実施例についての説明によって明らかになるであろう。実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターンまたは構造物が基板、各層(膜)、領域、パッドまたはパターンの「上(on)」にまたは「下(under)」に形成されるものとして記載される場合、「上(on)」と「下(under)」は「直接(directly)」または「他の層を介して(indirectly)」形成されるものの全部を含む。また、各層の上または下に対する基準は図面を基準に説明する。
【0038】
図面で、大きさは説明の便宜及び明確性のために誇張または省略されるかまたは概略的に示されている。また、各構成要素の大きさは実際の大きさをそのまま反映するものではない。また、同じ参照番号は図面の説明で同じ要素を指す。以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
【0039】
図2は本発明の一実施例によるウエハー研磨パッドの製造装置の概略構成図であり、図3は本発明の一実施例によるウエハー研磨パッドの製造方法のフローチャートであり、図4及び図5図3の製造方法によって研磨パッドを製造する工程を示す工程図であり、図6はポリウレタンを含有する研磨パッドの(a)バフ加工前及び(b)バフ加工後の断面図である。
【0040】
図2に示すように、本発明の一実施例によるウエハー研磨パッドの製造装置は、不織布パッド製造部1、ポリウレタン含浸部2、表面研磨部3、及びテープ付着及び切断部4を含んでなることができる。
【0041】
ここで、それぞれの部1、2、3、4は一連の装置が組み合わせられた構成であることができ、それぞれの部1、2、3、4は単一の連結された製造ルートを構成することができる。
【0042】
不織布パッド製造部1は、研磨パッドに使われる主材料である不織布パッドを製造する一連の装置を含む。例えば、不織布パッド製造部1は、図4に示すように、纎維C塊を供給する供給部10と、纎維C塊を圧着する圧着部20と、ニードルパンチング工程を遂行する接着部30及びパンチング部40とを含むことができる。
【0043】
ポリウレタン含浸部2は、不織布パッドにポリウレタンを含浸してコーティングするための一連の装置を含む。例えば、ポリウレタン含浸部2は、図4に示すように、前処理水槽50、1次乾燥部60、1次ポリウレタン水槽70、2次ポリウレタン水槽80、2次乾燥部100、及び圧着ローラー110を含むことができる。
【0044】
表面研磨部3は、ポリウレタンが含浸された不織布パッドの表層部を除去する一連の装置を含む。例えば、表面研磨部3は、図5に示すように、バフ加工(Buffing)のためのサンドペーパー120を含むことができる。
【0045】
テープ付着及び切断部4は、バフ加工された研磨パッドの一面に両面テープTを付着し、円形パッド状に切断する一連の装置を含む。
【0046】
例えば、テープ付着及び切断部4は、図5に示すように、カッター部130、テープ付着部140、圧着部150、形状カット部160、及び包装検査部170を含むことができる。
【0047】
以下、上述した構成を含む本発明の一実施例によるウエハー研磨パッドの製造装置を用いた研磨パッド及びその製造方法を詳細に説明する。
【0048】
図3に示すように、本発明の一実施例によるウエハー研磨装置用研磨パッド(以下、研磨パッド)は、不織布パッド製造段階S100、ポリウレタン含浸段階(S200)、表面研磨段階(S300)、テープ付着及び切断段階(S400)、及び研磨パッド装着段階(S500)を含む研磨パッドの製造方法によって製造されることができる。
【0049】
1)不織布パッド製造段階(Non-woven Fabric Manufacturing、S100)
【0050】
本実施による例研磨パッドは、不織布製造段階によってパッド(pad)状に製造される。不織布(Non-Woven Fabric)は織機(loom)で織らなかった形態のパッドを言う。纎維を結束させて直接布(fabric)の形態を成すようにしたものであり、接着布(bonded fabric)とも言う。ここで、纎維としては、ポリエステル、ビスコースレーヨン、ナイロン、ポリプロピレン、綿、麻布、羊毛、石綿、ガラス纎維、アセテートなどの材料を選択することができる。
【0051】
不織布は、製造方法によって、水を使わない乾式不織布(dry-laid non-woven fabric)製造方式と、水を使用する湿式不織布(wet-laid non-woven fabric)製造方式との2種に分類される。本実施例による不織布パッド製造段階S100では乾式不織布製造方法を用いることができる。
【0052】
より詳細には、不織布パッド製造段階S100は、図4の(1)に示すように、i)供給部10は纎維C塊を圧着部20に供給(supplying)し、ii)圧着部20は供給された纎維Cを圧着(pressing)してウェブ(web、纎維を薄く広げておいたもの)Wを製造し、iii)接着部30及びパンチング部40はウェブW状の纎維をニードル(niddle)でパンチング(Punching)して不織布パッドFを製造する。製造された不織布パッドFに対して、研磨パッド(Pad)が有しなければならない物性を備えるために、ポリウレタン含浸段階(S200)を遂行する。
【0053】
2)ポリウレタン含浸段階(polyurethane Impregnating、S200)
【0054】
ポリウレタン含浸段階(S200)は、前記1)段階(S100)で製作された不織布パッドFをポリウレタン水槽70に一定時間含浸させる過程を含む。不織布パッドFには、表面だけでなく内部に多数の空隙(Pore)、すなわち気孔層が存在する。ポリウレタンPUは不織布パッドFの気孔層に浸透しながら研磨パッド(Pad)に必要な物性を提供することができる。
【0055】
ポリウレタンPUは、ポリオールとイソシアン酸塩との結合によって生成される化合物である。すなわち、高分子鎖にウレタン結合が反復的に含まれている高分子化合物であり、エポキシ、ポリエステル、フェノールなどがこの化合物に相当する。
【0056】
ポリウレタン含浸段階(S200)は、図4の(2)に示すように、i)前処理(pretreatment)、ii)1次乾燥(1st drying)、iii)含浸(impregnating)、iv)2次乾燥(2nd drying)、及びv)圧縮(pressing)過程を含むことができる。
【0057】
前処理及び乾燥過程はポリウレタンPUの含浸前に遂行する段階であり、ポリウレタンPU含浸過程が円滑になるようにする。前処理過程は、洗浄液または薬品などを収容する前処理水槽50の内部に不織布パッドFを漬ける過程を含むことができる。前記1)段階(S100)で製造された不織布パッドFはローラー(Roller)Rによって前処理水槽50の内部に移動することができる。前処理過程を受けた不織布パッドFはローラーRによって1次乾燥過程に進むことができる。
【0058】
1次乾燥過程は、洗浄液または薬品などに浸かった不織布パッドFの水分を乾燥させる過程であることができる。例えば、1次乾燥過程は、ヒーター、ファンなどによって洗浄液または薬品などを蒸発させることができる1次乾燥部60によって実施することができる。
【0059】
含浸過程は、ポリウレタンPUを収容するポリウレタン水槽70の内部に不織布パッドFを漬ける過程である。ポリウレタンPUは2種以上の液体類を混合して製造され、反応物であるイソシアン酸塩とポリオールの種類によってその特性が左右される。ポリオールに含有された長い結合は柔らかい弾性重合体になるように助け、幾多の結合は硬質重合体になるように助ける。二つの結合の中間程度の長さを維持すれば、大きな伸縮性を有しながらも適当な堅さを維持することができる。すなわち、ポリウレタンPUを製造するとき、構成物質であるソフトセグメントとハードセグメントとの比を調節して、用途に合うように弾性及び軟性を調節することができる。ソフトセグメントの比が高いほど硬度が低く弾性を有する。
【0060】
ポリウレタンPU含浸過程の条件を制御すれば、不織布パッドFに含有されるポリウレタンPUの質量、体積、厚さなどが変化することができる。ここで、条件は、含浸時間、ポリウレタンPUの濃度、含浸回数、不織布パッドFの移動速度などであることができる。
【0061】
本実施例は、研磨パッド(Pad)の表面及び内部のポリウレタンPUの密度を均一化して通気性を向上させることにより、グレージングを改善することができる。このために、ポリウレタン含浸過程で次のような均一化条件のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0062】
第一、ポリウレタン含浸過程で、1次的にポリウレタンPUを含有する不織布パッドFを2次ポリウレタン水槽80に漬けることができる。すなわち、前記ポリウレタン含浸過程は少なくとも2回遂行することができる。また、ポリウレタンPUを含有する不織布パッドFは、必要に応じて、追加的なポリウレタン含浸または洗浄のための3次ポリウレタン水槽90または洗浄槽90にさらに漬けることができる。
【0063】
ここで、1次ポリウレタン水槽70及び2次ポリウレタン水槽80のポリウレタンは共に疎水性(hydrophobic)特性を有することができる。すなわち、水と和合しない性質を有することができる。
【0064】
また、1次ポリウレタン水槽70は水と親しい性質の親水性(hydrophilic)のポリウレタンで満し、2次ポリウレタン水槽80は疎水性のポリウレタンで満すことができる。ここで、1次ポルリウリタン水槽70が親水性を有すれば、ポリウレタン含浸の際、不織布パッドFの表面から内部まで、疎水性に比べて、ポリウレタンがより円滑に移動しながら含浸されることができる。
【0065】
第二、ポリウレタン含浸に使われる不織布パッドの厚さを厚く製作することができる。例えば、上述した不織布製造段階(S100)で製作された5mm厚さの不織布パッドを適用してポリウレタン含浸段階(S200)を遂行することができる(従来の不織布パッドは2.3mm厚さを採用した)。この場合、後述する表面研磨段階(S300)でバフ加工の厚さを従来に比べて2.7mm以上にさらに増やすことができる。
【0066】
すなわち、実施例において、不織布パッドの厚さは4mm~6mmであり、バフ加工の際に除去される不織布パッドの厚さは2.5mm~3.5mmであることができる。
【0067】
その後、2次乾燥過程を遂行することができる。例えば、2次乾燥過程は、ヒーター、ファンなどでポリウレタンPUを乾燥させることができる2次乾燥部100によって実施することができる。
【0068】
次いで、ポリウレタンPUを含有する不織布パッドUFを圧着ローラー110に通過させて不織布パッドUFの内部までポリウレタンPUが深く含有されるように圧縮過程を遂行する。
【0069】
3)表面研磨(Surface Finishing、S300)
【0070】
前述したポリウレタン含浸段階(S200)を受けた不織布パッドUFに対して表面研磨段階を遂行する(S300)。表面研磨段階(S300)は、不織布パッドUFの表面(Surface)及び底面(Bottom)の異物除去のために、サンドペーパーを用いてサンディング(Sanding)またはバフ加工(Buffing)を実施する。また、表面研磨段階(S300)によって研磨パッド(Pad)の厚さ調節、表面空隙の比を調節することができる。
【0071】
図6の(a)に示すように、研磨パッド(Pad)におけるポリウレタンPU含浸密度は、表層部位が高く(High)、内部に行くほど低くなる(Low)。したがって、研磨パッド(Pad)は、表面の高いポリウレタンPU密度によって、ウエハー研磨の際に研磨パッド(Pad)の表面に流入するスラリーが内部まで移動せずに表面に固着した形態のグレージングを発生させる。
【0072】
このような問題を改善するために、表面研磨段階(S300)では、図5の(3)及び図6の(b)に示すように、サンドペーパー120を用いたバフ加工(Buffing)によって表面の一部を除去して表層内部の気孔Pをさらに露出させることができる。よって、研磨パッド(Pad)は表層部位でポリウレタンPUが含浸された部分と含浸されなかった内部との比をもっと高めることができるので、スラリーが研磨パッド(Pad)の内部まで移動して、表面に固着しないようにすることができる。
【0073】
そして、研磨パッド(Pad)の総密度は0.44~0.55g/cmであることができ、研磨パッド(Pad)の圧縮率は1.9~2.0%であることができ、研磨パッド(Pad)の硬度は88AskerCであることができる。すなわち、研磨パッド(Pad)の表層部に対するポリウレタンPU含浸密度を調節しても前記研磨パッド(Pad)が必要とする基本物性は維持することができる。
【0074】
4)テープ付着及び切断(Tape pasting and cutting、S400)
【0075】
テープ付着及び切断段階(S400)は、ポリウレタンPUが含浸された研磨パッドUFの一面に両面テープTを付着し、円形パッド状に切断する段階である。
【0076】
より詳細には、テープ付着及び切断段階(S400)は、図5の(4)に示すように、i)カッター部130がポリウレタンPUの含浸された研磨パッドUFを一定の長さにカット(cutting)し、ii)テープ付着部140は両面テープTを研磨パッドUFの一面に付着(PSA prepasting)し、iii)圧着部150は両面テープTを圧着し(PAS pasting、Press)、iv)形状カット部160は両面テープTの圧着された研磨パッドUFを一定の形状(例えば、定盤サイズの円形)に切断(cutting)し、v)包装検査部170は製品を検査し、包装紙で包装する(Inspection、Shipping)。
【0077】
5)研磨パッド装着段階(Mounting of the Polishing Pad、S500)
【0078】
前記4段階(S400)で包装された研磨パッドUFは、両面テープTの一面をウエハー研磨装置の定盤に付着した後、スラリーと一緒にウエハー研磨工程を遂行する。
【0079】
図7は本発明の一実施例の研磨パッドと比較例の研磨パッドの厚さによる密度を示すグラフである。
【0080】
図7に示すように、実施例の研磨パッドは上述した製造装置及び製造方法によってポリウレタンの含浸比が均一になるように製造されたものであり、研磨パッドの厚さ(前面部から底部まで)にかかわらず、平均的な密度(Density)値を有することが分かる。一方、比較例の研磨パッドは前面部及び底部を成す表層部で密度が高くなる。
【0081】
このように、従来(比較例)の研磨パッドは、表面の高い密度によって、研磨工程の際にパッドの表面に流入するスラリーがパッドの内部まで移動しないので、パッドの表面に固着した形態のグレージングを引き起こした。
【0082】
本発明の研磨パッドは、パッドの表面と内部の密度が均一であり、研磨パッドの内部までスラリー流動を向上させることができる。
【0083】
図8図7の研磨パッドの100μm厚さでの断層状態を示すCT撮影正面図である。
【0084】
通常、比較例において研磨パッドで発生するグレージングは研磨パッドの表面から内部に300μm深さまで形成されることが観察された。すなわち、グレージング層の厚さは研磨パッドの前面部から300μmの内部まで形成されることができる。
【0085】
図8に示すように、本実施例と比較例の100μm厚さの層を撮影した結果から分かるように、比較例の場合、グレージングが発生した領域(White spot、Glazing Area)がもっと多いことが分かる。
【0086】
このように、本実施例の研磨パッドは、パッドの表面と内部の密度を均一にして、パッドの内部までスラリーが円滑に流入するので、パッドの表層から100μmの深さまでグレージング領域を制御する効果を提供することができる。
【0087】
しかし、本発明によるウエハー研磨装置用研磨パッド及びその製造方法によれば、研磨パッドの表面に露出されるポリウレタンの密度を均一化することにより、ウエハーの研磨工程で発生するグレージングを防止してウエハーの平坦度品質を向上させることができる。
【0088】
また、本発明の研磨パッドは、パッドの表層の粗さ(Roughness)が高く維持され、よって従来のパッド使用時間の増加によって研磨率(Removal rate)が減少する現象を抑制することができる。すなわち、研磨パッドの寿命を延ばすことができる。
【0089】
以上の実施例で説明した特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも単一の実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組合せまたは変形して実施可能である。したがって、このような組合せ及び変形に係る内容は本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、ウエハー研磨装置用研磨パッド並びにウエハー研磨パッドを製造する装置及び方法などに適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】