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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】超音波ハンドピースの制御
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535904
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 US2020064930
(87)【国際公開番号】W WO2021119616
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/946,980
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ダウニー,アダム,ディー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ25
4C160JJ44
(57)【要約】
超音波ハンドピースの振動を制御するシステム及び方法は、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成して、超音波ハンドピースの先端部を振動させる。振動した先端部により接触される組織の剛性に関する特性は、AC駆動信号の測定電圧及び測定電流に基づいて決定される。先端部の目標変位は、組織特性に基づいて決定され、AC駆動信号を調整して、決定された目標変位が達成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定することと、
剛性閾値と、それぞれが前記第1の変位レベルよりも小さく、組織応答モデル内で前記剛性閾値よりも大きい異なる潜在的組織剛性値に関連付けられた前記先端部の第2の変位レベルとを定義する前記組織応答モデルを受信することと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定することと、
前記信号発生器によって前記超音波ハンドピースに出力される前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記決定された組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成され、前記剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、前記潜在的組織剛性値は、前記超音波ハンドピースの潜在的機械抵抗によって定義される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定することと、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定することと、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定することと、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記周波数、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算することと、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算することと
を行うように構成されることによって、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を決定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記組織応答モデルが、前記潜在的組織剛性値が増加するにつれて前記第2の変位レベルが減少するように、前記第2の変位レベルを定義する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記組織応答モデルは、前記先端部の非ゼロの最小先端部変位レベルであって、それぞれ第2の変位レベル未満である、前記先端部の第3の変位レベルを定義し、前記潜在的組織剛性値よりも大きい第2の剛性閾値を定義しており、前記プロセッサは、
前記決定された組織剛性値が前記第2の剛性閾値よりも大きいことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを前記第3の変位レベルに設定することと、
前記決定された組織剛性値が前記第1の剛性閾値よりも大きく、前記第2の剛性閾値未満であることに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定することと、
を行うように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の変位レベル、前記第2の変位レベル、前記第3の変位レベル、前記第1の剛性閾値、前記第2の剛性閾値、又は前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項9】
前記組織応答モデルは、前記超音波ハンドピースの動作中に組織型のアブレーションを低減するように構成され、前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく曲線減少関数によって定義される、請求項1~6及び8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記組織応答モデルは、第1の組織応答モデルであり、
前記システムは、前記第1の組織応答モデルと、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリを更に備え、
前記プロセッサは、
ユーザインタフェースを介して前記第1の組織応答モデル及び前記第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の変位レベルに設定することと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと
を行うように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記剛性閾値は、第1の剛性閾値であり、前記潜在的組織剛性値は、第1の潜在的組織剛性値であり、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の剛性閾値よりも大きい第2の剛性閾値を定義し、前記第2の変位レベルのそれぞれを前記第2の剛性閾値よりも大きい異なる第2の潜在的組織剛性値に関連付け、前記第1の潜在的組織剛性値のうちの少なくとも1つは、前記第2の潜在的組織剛性値のそれぞれよりも小さい、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の変位レベルと前記第2の潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第2の組織型よりも硬い第3の組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく関数によって定義される、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記先端部の前記目標変位レベルは、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整するように構成されることによって、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記超音波ハンドピースによって引き起こされる前記超音波ハンドピースの前記先端部の変位が非ゼロであり、前記先端部により接触される組織をアブレーションするのに不十分である、ストールモードをアクティブ化することと、
前記ストールモードがアクティブである間、前記超音波ハンドピースの共振周波数を維持することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、
無傷のままであることが望ましい組織型を示すユーザ入力を受信することと、
前記制御コンソールによる前記先端部の振動中に前記先端部が前記組織型に対して配置されていることに応答して、前記ストールモードをアクティブ化することと
を行うように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御コンソールは、
前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、
前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと
を更に備え、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、組織剛性値を決定することと、
前記組織剛性値が剛性閾値よりも大きいかどうかを判定することと、
前記組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記ストールモードをアクティブ化することと
を行うように構成される、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、前記プロセッサは、前記組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、
前記ストールモードがアクティブであるときに前記センサによって測定された前記AC駆動信号の第2の電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの第2の機械抵抗を決定することと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記ストールモードを非アクティブ化し、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整し、前記調整されたAC駆動信号によって引き起こされる前記先端部の前記変位が、前記維持された共振周波数であり、前記先端部により接触される前記組織をアブレーションすることができるようにすることと
を行うように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記先端部により接触される組織に関連付けられた前記超音波ハンドピースの特性を決定することと、
前記決定された特性と、前記先端部により接触される前記組織に対応する穿刺電圧とに基づいて、前記先端部の目標変位を決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うように構成される、システム。
【請求項21】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、第1の組織応答モデルと、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリと、前記センサ、前記メモリ、及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定することと、
ユーザインタフェースを介して前記第1の組織応答モデル及び前記第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の第2の変位レベルに設定することと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記設定された目標変位レベルを達成することと
を行うように構成される、システム。
【請求項22】
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成され、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧及び電流を測定するステップと、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定するステップと、
剛性閾値と、それぞれが前記第1の変位レベルよりも小さく、組織応答モデル内で前記剛性閾値よりも大きい異なる潜在的組織剛性値に関連付けられた前記先端部の第2の変位レベルとを定義する前記組織応答モデルを受信するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定するステップと、
前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【請求項23】
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定するステップは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定し、
前記決定された組織剛性値として前記機械抵抗を使用する
ことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定することは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定し、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定し、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定し、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記周波数、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算し、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算する
ことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組織応答モデルが、前記潜在的組織剛性値が増加するにつれて前記第2の変位レベルが減少するように、前記第2の変位レベルを定義する、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記組織応答モデルは、前記先端部の非ゼロの最小先端部変位レベルであって、それぞれ第2の変位レベル未満である、前記先端部の第3の変位レベルを定義し、前記組織応答モデルは、前記潜在的組織剛性値よりも大きい第2の剛性閾値を定義しており、
前記決定された組織剛性値が前記第2の剛性閾値よりも大きいことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを前記第3の変位レベルに設定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記第1の剛性閾値よりも大きく、前記第2の剛性閾値未満であることに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定するステップと
を更に含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の変位レベル、前記第2の変位レベル、前記第3の変位レベル、前記第1の剛性閾値、前記第2の剛性閾値、又は前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項30】
前記組織応答モデルは、前記超音波ハンドピースの動作中に組織型のアブレーションを低減するように構成され、前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく曲線減少関数によって定義される、請求項22~27及び29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組織応答モデルは第1の組織応答モデルであり、
ユーザインタフェースを介して、前記第1の組織応答モデル及び第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信するステップであって、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成される、ステップと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の変位レベルに設定するステップと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定するステップと
を更に含む、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記潜在的組織剛性値は、第1の潜在的組織剛性値であり、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の剛性閾値よりも大きい第2の剛性閾値を定義し、前記第2の変位レベルのそれぞれを前記第2の剛性閾値よりも大きい異なる第2の潜在的組織剛性値に関連付け、前記第1の潜在的組織剛性値のうちの少なくとも1つは、前記第2の潜在的組織剛性値のそれぞれよりも小さい、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の変位レベルと前記第2の潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第2の組織型よりも硬い第3の組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく関数によって定義される、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記先端部の前記目標変位レベルは、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応しており、前記方法は、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整することによって、前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するステップを更に含む、請求項22~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記超音波ハンドピースによって引き起こされる前記超音波ハンドピースの前記先端部の変位が非ゼロであり、前記先端部により接触される組織をアブレーションするのに不十分である、ストールモードをアクティブ化するステップと、
前記ストールモードがアクティブである間、前記超音波ハンドピースの共振周波数を維持するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【請求項37】
無傷のままであることが望ましい組織型を示すユーザ入力を受信するステップと、
前記先端部の振動中に前記先端部が前記組織型に対して配置されていることに応答して、前記ストールモードをアクティブ化するステップと
を更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記AC駆動信号の電圧及び電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、組織剛性値を決定するステップと、
前記組織剛性値が剛性閾値よりも大きいかどうかを判定するステップと、
前記組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記ストールモードをアクティブ化するステップと
を更に含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記剛性閾値は機械抵抗閾値によって定義されており、前記組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ストールモードがアクティブであるときに前記AC駆動信号の第2の電圧及び電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された第2の電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの第2の機械抵抗を決定するステップと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定するステップと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記ストールモードを非アクティブ化し、前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整し、前記調整されたAC駆動信号によって引き起こされる前記先端部の前記変位が、前記維持された共振周波数であり、前記先端部により接触される前記組織をアブレーションすることができるようにするステップと
を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧及び電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記先端部により接触される組織に関連付けられた前記超音波ハンドピースの特性を決定するステップと、
前記決定された特性と、前記先端部により接触される前記組織に対応する穿刺電圧とに基づいて、前記先端部の目標変位を決定するステップと、
前記超音波ハンドピースに供給される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【請求項42】
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定するステップと、
ユーザインタフェースを介して、第1の組織応答モデル及び第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信するステップであって、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成される、ステップと、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記AC駆動信号が前記超音波ハンドピースに供給されているときに前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記AC駆動信号が前記超音波ハンドピースに供給されているときに、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の第2の変位レベルに設定するステップと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記AC駆動信号が前記超音波ハンドピースに供給されているときに前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定するステップと、
前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記設定された目標変位レベルを達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【請求項43】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定することと、
前記機械抵抗に基づいて前記先端部の目標変位を決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
【請求項44】
前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの増加した機械抵抗を表すことに応答して、前記目標変位が前記先端部の減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するように構成される、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記プロセッサは、
前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの前記増加した機械抵抗を表し、前記決定された機械抵抗が機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記目標変位が前記先端部の前記減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定することと、
前記決定された機械抵抗が前記機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記目標変位が前記先端部の最大変位レベルを表すように、前記先端部の前記目標変位を決定することと
を行うように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記プロセッサは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定することと、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定することと、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定することと、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算することと、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算することと
を行うように構成されることによって、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を決定するように構成される、請求項43~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記プロセッサは、
前記先端部の前記目標変位を前記機械抵抗の関数として定義する組織応答モデルを受信することと、
前記組織応答モデル及び前記機械抵抗に基づいて、前記先端部の前記目標変位を決定することと
を行うように構成される、請求項43~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記組織応答モデルは、増加する機械抵抗値にわたって減少する先端部変位レベルを定義する、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記組織応答モデルは、第1の機械抵抗閾値に関連付けられた最大先端部変位レベルと、前記第1の機械抵抗閾値よりも大きい第2の機械抵抗閾値に関連付けられた最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間であって、前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間の中間機械抵抗値に関連付けられた中間先端部変位レベルとを定義し、前記中間先端部変位レベルは、前記中間機械抵抗値にわたって減少する、請求項47又は48に記載のシステム。
【請求項50】
前記プロセッサは、
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記最大先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択することと、
前記決定された機械抵抗が前記第2の機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記最小先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択することと、
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間にあることに応答して、前記決定された機械抵抗に関連付けられた前記中間先端部変位レベルのうちの1つを選択することと
を行うように構成される、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記最大先端部変位レベル、前記最小先端部変位レベル、前記第1の機械抵抗閾値、前記第2の機械抵抗閾値、又は前記中間先端部変位レベル間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づくものである、請求項49又は50に記載のシステム。
【請求項52】
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項49~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記中間先端部変位レベルは、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の穿刺に対応する電圧に基づく曲線減少関数に従って定義される、請求項49~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
複数の組織応答モデルを記憶するメモリを更に備え、前記組織応答モデルのそれぞれは、異なる組織型の穿刺に対応する電圧に基づいて定義され、前記プロセッサは、
前記組織型のうちの1つのユーザ選択を受信することと、
前記選択された組織型に対応する前記組織応答モデルを前記メモリから取得することと
を行うように構成されることによって、前記組織応答モデルを受信するように構成される、請求項47~54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項49~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記先端部の前記目標変位は、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整するように構成されることによって、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記決定された目標変位を達成するように構成される、請求項43~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
第1の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最大先端部変位レベルと、前記第1の組織剛性値よりも大きい第2の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間の範囲にある前記超音波ハンドピースの前記先端部の中間先端部変位レベルとを定義する組織応答モデルを受信することであって、前記中間先端部変位レベルは、前記第1の組織剛性値と前記第2の組織剛性値との間の範囲にある増加する中間組織剛性値に関連付けられ、前記増加する中間組織剛性値の関数として減少することと、
前記測定された電流及び前記測定された電圧に基づいて、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の剛性値を決定することと、
前記決定された剛性値及び前記組織応答モデルに基づいて、前記先端部の目標変位レベルを決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うようにプログラムされている、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
【請求項59】
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧を測定するステップと、
前記AC駆動信号の電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するステップと、
前記機械抵抗に基づいて前記先端部の目標変位を決定するステップと、
前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【請求項60】
前記超音波ハンドピースの前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの増加した機械抵抗を表すことに応答して、前記目標変位が前記先端部の減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するステップを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの前記増加した機械抵抗を表し、前記決定された機械抵抗が機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記目標変位が前記先端部の前記減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するステップと、
前記決定された機械抵抗が前記機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記目標変位が前記先端部の最大変位レベルを表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するステップと
を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を決定するステップは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定し、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定し、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定し、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算し、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算する
ことを含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記先端部の前記目標変位を前記機械抵抗の関数として定義する組織応答モデルを受信するステップと、
前記組織応答モデル及び前記機械抵抗に基づいて、前記先端部の前記目標変位を決定するステップと
を更に含む、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記組織応答モデルは、増加する機械抵抗値にわたって減少する先端部変位レベルを定義する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記組織応答モデルは、第1の機械抵抗閾値に関連付けられた最大先端部変位レベルと、前記第1の機械抵抗閾値よりも大きい第2の機械抵抗閾値に関連付けられた最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間であって、前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間の中間機械抵抗値に関連付けられた中間先端部変位レベルとを定義し、前記中間先端部変位レベルは、前記中間機械抵抗値にわたって減少するものである、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記最大先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択するステップと、
前記決定された機械抵抗が前記第2の機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記最小先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択するステップと、
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間にあることに応答して、前記決定された機械抵抗に関連付けられた前記中間先端部変位レベルのうちの1つを選択するステップと
を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記最大先端部変位レベル、前記第1の機械抵抗閾値、前記第2の機械抵抗閾値、又は前記中間先端部変位レベル間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づくものである、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項68】
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記中間先端部変位レベルは、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の穿刺に対応する電圧に基づく曲線減少関数に従って定義される、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づくものである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
メモリが複数の組織応答モデルを記憶し、前記組織応答モデルのそれぞれは、異なる組織型の穿刺に対応する電圧に基づいて定義され、前記組織応答モデルを受信するステップは、
前記組織型のうちの1つのユーザ選択を受信し、
前記選択された組織型に対応する前記組織応答モデルを前記メモリから取得する
ことを含む、請求項63~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記先端部の前記目標変位は、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記AC駆動信号を調整して前記決定された目標変位を達成するステップは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整することを含む、請求項59~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧を測定するステップと、
前記AC駆動信号の電流を測定するステップと、
第1の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最大先端部変位レベルと、前記第1の組織剛性値よりも大きい第2の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間の範囲にある前記超音波ハンドピースの前記先端部の中間先端部変位レベルとを定義する組織応答モデルを受信することであって、前記中間先端部変位レベルは、前記第1の組織剛性値と前記第2の組織剛性値との間の範囲にある増加する中間組織剛性値に関連付けられ、前記増加する中間組織剛性値の関数として減少するステップと、
前記測定された電流及び前記測定された電圧に基づいて、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の剛性値を決定するステップと、
前記決定された剛性値及び前記組織応答モデルに基づいて、前記先端部の目標変位レベルを決定するステップと、
前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
外科的処置を行うための超音波ハンドピースは、通常、種々の異なる組織型(types of tissue)を切断することができる。しかしながら、多くの外科的処置において、施術者は、他の組織型を無傷に保ちながら、一部の組織型のみを切断することを望んでいる。
【発明の概要】
【0002】
第1の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。プロセッサは、信号発生器が超音波ハンドピースにAC駆動信号を供給して先端部を振動させることに応答して、振動した先端部により接触される組織の剛性(硬さ、stiffness)に関する特性を決定するように構成される。次いで、プロセッサは、決定された特性に基づいて、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整するように構成される。
【0003】
第2の態様によれば、第1の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0004】
上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0005】
1つの実施態様において、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0006】
1つの実施態様において、制御コンソールは、AC駆動の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサとを備える。プロセッサは、センサに結合されており、AC駆動信号の測定された電流及び電圧に基づいて、先端部により接触される組織の組織剛性値を決定し、組織剛性値に基づいて、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整するように構成される。
【0007】
第3の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。制御コンソールは、AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサと、センサ及び信号発生器に結合されたプロセッサとを更に備える。プロセッサは、先端部の最大変位レベルである先端部の第1の変位レベルを決定することと、剛性閾値と、それぞれが第1の変位レベルよりも小さく、組織応答モデル内で剛性閾値よりも大きい異なる潜在的組織剛性値に関連付けられた先端部の第2の変位レベルとを定義する組織応答モデルを受信することとを行うように構成される。プロセッサは、AC駆動信号の測定された電圧及び電流に基づいて、先端部により接触される組織の組織剛性値を決定することと、決定された剛性値が剛性閾値よりも小さいか大きいかを判定することとを行うように更に構成される。プロセッサは、決定された剛性値が剛性閾値未満であると判定したことに応答して、超音波ハンドピースの先端部の目標変位レベルを第1の変位レベルに設定することと、剛性値が剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、先端部の目標変位を、決定された組織剛性値に対応する潜在的組織剛性値に関連付けられた第2の変位レベルに設定することとを行うように更に構成される。プロセッサは、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して設定された目標変位レベルを達成するように更に構成される。
【0008】
第4の態様によれば、第3の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0009】
上記態様のいずれも、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0010】
1つの実施態様において、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0011】
1つの実施態様において、プロセッサは、決定された組織剛性値として、AC駆動信号の測定された電圧及び電流に基づいて超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成され、剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、潜在的組織剛性値は、超音波ハンドピースの潜在的機械抵抗によって定義される。
【0012】
1つの実施態様において、プロセッサは、超音波ハンドピースのトランスデューサの静電容量を決定することと、超音波ハンドピースの共振周波数を決定することと、AC駆動信号の周波数を超音波ハンドピースの決定された共振周波数に設定することと、トランスデューサの静電容量、AC駆動信号の周波数、AC駆動信号の測定された電圧、及びAC駆動信号の測定された電流に基づいて、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算することと、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流と、AC駆動信号の測定された電圧とに基づいて、超音波ハンドピースの機械抵抗を計算することとを行うように構成されることによって、AC駆動信号の測定された電圧及び電流に基づいて超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成される。
【0013】
1つの実施態様において、組織応答モデルは、潜在的組織剛性値が増加するにつれて第2の変位レベルが減少するように、第2の変位レベルを定義する。
【0014】
1つの実施態様において、剛性閾値は第1の剛性閾値であり、組織応答モデルは、先端部の非ゼロの最小先端部変位レベルであって、それぞれ第2の変位レベル未満である、先端部の第3の変位レベルを定義し、潜在的組織剛性値よりも大きい第2の剛性閾値を定義する。プロセッサは、決定された組織剛性値が第2の剛性閾値よりも大きいことに応答して、先端部の目標変位レベルを第3の変位レベルに設定することと、決定された組織剛性値が第1の剛性閾値よりも大きく、第2の剛性閾値未満であることに応答して、先端部の目標変位レベルを、決定された組織剛性値に対応する潜在的組織剛性値に関連付けられた第2の変位レベルに設定することとを行うように構成される。
【0015】
1つの実施態様において、第1の変位レベル、第2の変位レベル、第3の変位レベル、第1の剛性閾値、第2の剛性閾値、又は第2の変位レベルと潜在的組織剛性値との間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく。
【0016】
1つの実施態様において、第2の変位レベルと潜在的組織剛性値との間の関係は、第1の剛性閾値を第1の変位レベルにマッピングし、第2の剛性閾値を第3の変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される。
【0017】
1つの実施態様において、第2の変位レベルと潜在的組織剛性値との間の関係は、第1の剛性閾値を第1の変位レベルにマッピングし、第2の剛性閾値を第3の変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される。
【0018】
1つの実施態様において、組織応答モデルは、超音波ハンドピースの動作中に組織型のアブレーションを低減するように構成され、第2の変位レベルと潜在的組織剛性値との間の関係は、組織型の穿刺(puncture)に対応するAC駆動信号の電圧に基づく曲線減少関数によって定義される。
【0019】
1つの実施態様において、曲線減少関数は、超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく。
【0020】
1つの実施態様において、組織応答モデルは、第1の組織応答モデルであり、制御コンソールは、第1の組織応答モデルと、第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリを更に備える。プロセッサは、ユーザインタフェースを介して第1の組織応答モデル及び第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信するように構成される。プロセッサは、第1の組織応答モデルのユーザ選択に応答して、かつ先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、目標変位レベルを第1の変位レベルに設定し、第1の組織応答モデルのユーザ選択に応答して、かつ先端部が第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、目標変位レベルを第1の変位レベル未満の変位レベルに設定するように構成される。プロセッサは、第2の組織応答モデルのユーザ選択に応答して、かつ先端部が第1の組織型及び第2の組織型に対して配置されていることに応答して、目標変位レベルを第1の変位レベルに設定するように更に構成される。
【0021】
1つの実施態様において、剛性閾値は、第1の剛性閾値であり、潜在的組織剛性値は、第1の潜在的組織剛性値であり、第2の組織応答モデルは、第1の剛性閾値よりも大きい第2の剛性閾値を定義し、第2の変位レベルのそれぞれを第2の剛性閾値よりも大きい異なる第2の潜在的組織剛性値に関連付け、第1の潜在的組織剛性値のうちの少なくとも1つは、第2の潜在的組織剛性値のそれぞれよりも小さい。
【0022】
1つの実施態様において、第2の変位レベルと第2の潜在的組織剛性値との間の関係は、第2の組織型よりも硬い第3の組織型の穿刺に対応するAC駆動信号の電圧に基づく関数によって定義される。
【0023】
1つの実施態様において、先端部の目標変位レベルは、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、プロセッサは、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる実際の電流が超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に実質的に等しくなるようにAC駆動信号を調整するように構成されることによって、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して設定された目標変位レベルを達成するように構成される。
【0024】
第5の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。制御コンソールは、信号発生器に結合されたプロセッサを更に備える。プロセッサは、超音波ハンドピースによって引き起こされる超音波ハンドピースの先端部の変位が非ゼロであり、先端部により接触される組織をアブレーションするのに不十分である、ストールモードをアクティブ化することと、ストールモードがアクティブである間、超音波ハンドピースの共振周波数を維持することとを行うように構成される。
【0025】
第6の態様によれば、第5の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0026】
上記態様のいずれも、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0027】
1つの実施態様において、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0028】
1つの実施態様において、プロセッサは、無傷のままであることが望ましい組織型を示すユーザ入力を受信することと、制御コンソールによる先端部の振動中に先端部が組織型に対して配置されていることに応答して、ストールモード(stall mode)をアクティブ化することとを行うように構成される。
【0029】
1つの実施態様において、制御コンソールは、AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサとを更に備える。プロセッサは、AC駆動信号の測定された電圧及び電流に基づいて、組織剛性値を決定することと、組織剛性値が剛性閾値よりも大きいかどうかを判定することと、組織剛性値が剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、ストールモードをアクティブ化することとを行うように構成される。
【0030】
1つの実施態様において、剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、プロセッサは、組織剛性値として、AC駆動信号の測定された電圧及び電流に基づいて超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成される。
【0031】
1つの実施態様において、プロセッサは、ストールモードがアクティブであるときにセンサによって測定されたAC駆動信号の第2の電圧及び電流に基づいて、超音波ハンドピースの第2の機械抵抗を決定することと、第2の機械抵抗が剛性閾値未満であるかどうかを判定することと、第2の機械抵抗が剛性閾値未満であると判定したことに応答して、ストールモードを非アクティブ化し、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整し、調整されたAC駆動信号によって引き起こされる先端部の変位が、維持された共振周波数であり、先端部により接触される組織をアブレーションすることができるようにすることとを行うように構成される。
【0032】
第7の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。制御コンソールは、AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサと、センサ及び信号発生器に結合されたプロセッサとを更に備える。プロセッサは、AC駆動信号の測定された電圧及び測定された電流に基づいて、先端部により接触される組織に関連付けられた超音波ハンドピースの特性を決定することと、決定された特性と、先端部により接触される組織に対応する穿刺電圧とに基づいて、先端部の目標変位を決定することと、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して先端部の決定された目標変位を達成することとを行うように構成される。
【0033】
第8の態様によれば、第7の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0034】
上記態様のいずれも、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0035】
1つの実施態様によれば、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0036】
第9の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。制御コンソールは、AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサと、第1の組織応答モデルと、第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリと、センサ、メモリ、及び信号発生器に結合されたプロセッサとを更に備える。プロセッサは、先端部の最大変位レベルである先端部の第1の変位レベルを決定することと、ユーザインタフェースを介して第1の組織応答モデル及び第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することとを行うように構成される。プロセッサは、第1の組織応答モデルのユーザ選択に応答して、かつ先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、先端部の目標変位レベルを第1の変位レベルに設定することと、第1の組織応答モデルのユーザ選択に応答して、かつ先端部が第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、目標変位レベルを第1の変位レベル未満である第2の変位レベルに設定することとを行うように更に構成される。プロセッサは、第2の組織応答モデルのユーザ選択に応答して、かつ先端部が第1の組織型及び第2の組織型に対して配置されていることに応答して、目標変位レベルを第1の変位レベルに設定するように更に構成される。プロセッサは、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して、先端部の設定された目標変位レベルを達成するように更に構成される。
【0037】
第10の態様によれば、第9の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0038】
上記態様のいずれも、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0039】
1つの実施態様において、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0040】
第11の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。制御コンソールは、AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサと、センサ及び信号発生器に結合されたプロセッサとを更に備える。プロセッサは、AC駆動信号の測定された電圧及び測定された電流に基づいて超音波ハンドピースの機械抵抗を決定することと、機械抵抗に基づいて先端部の目標変位を決定することと、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して先端部の決定された目標変位を達成することとを行うように構成される。
【0041】
第12の態様によれば、第11の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0042】
上記態様のいずれも、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0043】
1つの実施態様において、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0044】
1つの実施態様において、プロセッサは、超音波ハンドピースの決定された機械抵抗が超音波ハンドピースの増加した機械抵抗を表すことに応答して、目標変位が先端部の減少した変位を表すように、先端部の目標変位を決定するように構成される。
【0045】
1つの実施態様において、プロセッサは、決定された機械抵抗が超音波ハンドピースの増加した機械抵抗を表し、決定された機械抵抗が機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、目標変位が先端部の減少した変位を表すように、先端部の目標変位を決定することと、決定された機械抵抗が機械抵抗閾値未満であることに応答して、目標変位が先端部の最大変位レベルを表すように、先端部の目標変位を決定することとを行うように構成される。
【0046】
1つの実施態様において、プロセッサは、超音波ハンドピースのトランスデューサの静電容量を決定することと、超音波ハンドピースの共振周波数を決定することと、AC駆動信号の周波数を超音波ハンドピースの決定された共振周波数に設定することと、トランスデューサの静電容量、AC駆動信号の測定された電圧、及びAC駆動信号の測定された電流に基づいて、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算することと、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流と、AC駆動信号の測定された電圧とに基づいて、超音波ハンドピースの機械抵抗を計算することとを行うように構成される。
【0047】
1つの実施態様において、プロセッサは、先端部の目標変位を機械抵抗の関数として定義する組織応答モデルを受信することと、組織応答モデル及び機械抵抗に基づいて、先端部の目標変位を決定することとを行うように構成される。
【0048】
1つの実施態様において、組織応答モデルは、増加する機械抵抗値にわたって減少する先端部変位レベルを定義する。
【0049】
1つの実施態様において、組織応答モデルは、第1の機械抵抗閾値に関連付けられた最大先端部変位レベルと、第1の機械抵抗閾値よりも大きい第2の機械抵抗閾値に関連付けられた最小先端部変位レベルと、最大先端部変位レベルと最小先端部変位レベルとの間であって、第1の機械抵抗閾値と第2の機械抵抗閾値との間の中間機械抵抗値に関連付けられた中間先端部変位レベルとを定義し、中間先端部変位レベルは、中間機械抵抗値にわたって減少する。
【0050】
1つの実施態様において、プロセッサは、決定された機械抵抗が第1の機械抵抗閾値未満であることに応答して、最大先端部変位レベルを先端部の目標変位として選択することと、決定された機械抵抗が第2の機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、最小先端部変位レベルを先端部の目標変位として選択することと、決定された機械抵抗が第1の機械抵抗閾値と第2の機械抵抗閾値との間にあることに応答して、決定された機械抵抗に関連付けられた中間先端部変位レベルのうちの1つを選択することとを行うように構成される。
【0051】
1つの実施態様において、最大先端部変位レベル、最小先端部変位レベル、第1の機械抵抗閾値、第2の機械抵抗閾値、又は中間先端部変位レベル間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく。
【0052】
1つの実施態様において、中間先端部変位レベルは、第1の機械抵抗閾値を最大先端部変位レベルにマッピングし、第2の機械抵抗閾値を最小先端部変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される。
【0053】
1つの実施態様において、中間先端部変位レベルは、超音波ハンドピースの先端部により接触される組織の穿刺に対応する電圧に基づく曲線減少関数に従って定義される。
【0054】
1つの実施態様において、曲線減少関数は、超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく。
【0055】
1つの実施態様において、制御コンソールは、複数の組織応答モデルを記憶するメモリを備え、組織応答モデルのそれぞれは、異なる組織型の穿刺に対応する電圧に基づいて定義される。プロセッサは、組織型のうちの1つのユーザ選択を受信することと、選択された組織型に対応する組織応答モデルをメモリから取得することとを行うように構成されることによって、組織応答モデルを受信するように構成される。
【0056】
1つの実施態様において、中間先端部変位レベルは、第1の機械抵抗閾値を最大先端部変位レベルにマッピングし、第2の機械抵抗閾値を最小先端部変位レベルにマッピングする、負の線形関数によって定義される。
【0057】
1つの実施態様において、先端部の目標変位は、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、プロセッサは、超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる実際の電流が超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に実質的に等しくなるようにAC駆動信号を調整するように構成されることによって、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して決定された目標変位を達成するように構成される。
【0058】
第13の態様によれば、超音波ハンドピースの振動を制御する制御コンソールが提供される。制御コンソールは、超音波ハンドピースのトランスデューサに印加されるAC駆動信号を生成する信号発生器を備え、トランスデューサは、超音波ハンドピースの先端部に結合されており、AC駆動信号の受信に応答して超音波ハンドピースの先端部を振動させるように構成される。制御コンソールは、AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、AC駆動信号の電流を測定するセンサと、センサ及び信号発生器に結合されたプロセッサとを更に備える。プロセッサは、第1の組織剛性値に関連付けられた超音波ハンドピースの先端部の最大先端部変位レベルと、第1の組織剛性値よりも大きい第2の組織剛性値に関連付けられた超音波ハンドピースの先端部の最小先端部変位レベルと、最大先端部変位レベルと最小先端部変位レベルとの間の範囲にある超音波ハンドピースの先端部の中間先端部変位レベルとを定義する組織応答モデルを受信するように構成され、中間先端部変位レベルは、第1の組織剛性値と第2の組織剛性値との間の範囲にある増加する中間組織剛性値に関連付けられ、増加する中間組織剛性値の関数として減少する。プロセッサは、測定された電流及び測定された電圧に基づいて超音波ハンドピースの先端部により接触される組織の剛性値を決定することと、決定された剛性値及び組織応答モデルに基づいて先端部の目標変位レベルを決定することと、信号発生器によって出力されるAC駆動信号を調整して先端部の決定された目標変位を達成することとを行うように更に構成される。
【0059】
第14の態様によれば、第13の態様の制御コンソールを動作させる方法及び/又は制御コンソールの機能を実行する方法が提供される。
【0060】
上記態様のいずれも、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれも、以下の実施態様のいずれかを用いて実施することができる。
【0061】
1つの実施態様において、超音波ハンドピースは、制御コンソールに結合されており、及び/又は手術部位に吸引を提供する管腔を画定する。
【0062】
上記の実施態様のいずれも、上記の態様のいずれかに利用することができる。上記の実施態様のいずれかは、上記で説明した任意の1つ以上の態様について、全体的に又は部分的に組み合わせることができる。
【0063】
本開示の利点は、添付の図面に関連して検討されるときに、以下の詳細な説明を参照することにより更に深く理解されるので、容易に理解されるであろう。本開示の非限定的かつ非網羅的な事例について、以下の図を参照して説明し、別段の指定がない限り、様々な図を通して、同様の数字は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】組織選択能力を有する超音波ツールシステムの斜視図である。
図2図1のシステムの構成要素の概略図である。
図3】超音波ハンドピースの構成要素をモデル化した回路図である。
図4】超音波ハンドピースの動作中に組織選択を実施する方法のフローチャートである。
図5図4の方法の追加の詳細を示すフローチャートである。
図6】線形遷移関数を含む組織応答モデルのグラフである。
図7】それぞれ線形遷移関数を含む複数の組織応答モデルのグラフである。
図8】曲線遷移関数を含む組織応答モデルのグラフである。
図9】超音波ハンドピースの機械抵抗に寄与し得る構成要素の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細を用いる必要がないことは、当業者には明らかであろう。一部の例において、既知の材料又は方法は、本発明を不明瞭にすることを避けるために詳細に記載されていない。
【0066】
本明細書を通して、「1つの事例」、「事例」、「1つの例」、又は「一例」への言及は、事例又は例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの事例又は例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して種々の場所での「1つの事例において」、「事例において」、「1つの例」、又は「一例」という句の出現は、必ずしも全てが同じ事例又は例を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の事例又は例において、任意の適切な組み合わせ及び/又は部分的組み合わせにおいて組み合わせることができる。加えて、本明細書とともに提供される図は、当業者に対する説明を目的とするものであり、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【0067】
組織選択を実施するように超音波ハンドピースを制御するシステム及び方法が、本明細書に開示される。外科的処置の間、施術者は、超音波ハンドピースを使用して、生体組織に接触し、生体組織を切断し、アブレーションすることができる。施術者は、比較的柔らかい組織等、一部の生物学的組織型を切断及び/又はアブレーションする一方で、比較的硬い(堅い)組織等、他の組織型を無傷に保つことを意図することが多い。例えば、施術者は、超音波ハンドピースを使用して、血管、硬膜、クモ膜、及び軟膜(pia mater)等のより剛性(stiffness)が高い組織を切断及び/又はアブレーションすることなく、灰白質及び白質等の柔らかい組織を切断及び/又はアブレーションすることを意図して、脳の一部を切断及び/又はアブレーションすることができる。
【0068】
したがって、本システム及び方法は、施術者が無傷のままであることを望む組織の切断及び/又はアブレーションを回避するために、組織選択を実施することができる。具体的には、本システム及び方法は、先端部と接触している組織の剛性(stiffness)に基づいて、超音波ハンドピースの先端部の変位を制御することができる。本システム及び方法は、施術者が無傷のままであることを望む比較的硬い組織に先端部が接触したことに応答して、先端部の変位を減少させることができ、それにより、先端部の振動は、施術者による過剰な力なく組織を切断及び/又はアブレーションするには不十分となる。このようにして先端部の振動を制御することによって、施術者は、安全性を高めて超音波ハンドピースを操作し、意図しない切断及び/又はアブレーションを回避することができる。本システム及び方法はまた、改善された触感を提供し、該触感により、施術者が異なる組織型との接触をより良く理解することを可能にする。
【0069】
図1は、超音波ハンドピース104の先端部102の振動を制御して組織選択を実施するシステム100を示している。超音波ハンドピース104は、先端部102に結合されたトランスデューサ106を備え得る。トランスデューサ106は、超音波ハンドピース104の近位端に配置された圧電ドライバのスタックであり得る。トランスデューサ106は、交流(AC)駆動信号の受信に応答して先端部102を振動させるように構成され得る。
【0070】
超音波ハンドピース104は、超音波ハンドピース104の近位端から先端部102の遠位端まで延在する管腔108を画定することができる。管腔108は、超音波ハンドピース104によって治療されている手術部位に吸引を提供することができる。超音波ハンドピース104はまた、先端部102を被覆し配置されたスリーブ109を備え得る。スリーブ109は、先端部102から半径方向に離間されてもよく、先端部102の遠位端から長手方向に離間されてもよい。超音波ハンドピース104による組織の治療中、灌注流体が先端部102とスリーブ109との間の間隙を通って流れ、手術部位に灌注を提供することができる。
【0071】
超音波ハンドピース104は、生体組織を治療するための切断アクセサリ(例えば、先端部102)を含む外科用器具であり得る。例えば、超音波ハンドピース104は、米国特許出願第16/580,639号に開示されている超音波外科用ハンドピースであってもよく、この米国特許出願は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。米国特許出願第16/580,639号に開示されているように、先端部102は、生体組織を切断、成形、及び/又は除去するように構成された切断特徴部を備え得る。先端部102は、米国特許第6,497,715号、同第6,955,680号、及び同第6,984,220号に説明されるように、種々の他の特徴部を有してもよく、上記米国特許もまた、引用することによりそれらの全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0072】
システム100は、制御コンソール110を備えることができ、制御コンソール110は、超音波ハンドピース104に結合され、超音波ハンドピース104を駆動する。制御コンソール110は、超音波ハンドピース104のトランスデューサ106にAC駆動信号を供給するように構成することができる。具体的には、図2を参照すると、制御コンソール110は、超音波ハンドピース104のトランスデューサ106に供給されるAC駆動信号114を生成する信号発生器112を備え得る。制御コンソール110は、超音波ハンドピース104が接続されている(図1に示す)ケーブル119を介して、AC駆動信号114を供給することができる。AC駆動信号114は、交流電圧成分vと交流電流成分iとを含み得る。AC駆動信号114の受信に応答して、トランスデューサ106は、AC駆動信号114の電圧v及び電流iに従って先端部102を振動させることができる。
【0073】
再び図1を参照すると、制御コンソール110は、制御コンソール110に結合されたフットスイッチ121又はリモート部123を通して制御コンソール110に提供されたユーザ入力に基づいて、AC駆動信号114を生成するように構成され得る。制御コンソール110はまた、情報を施術者に提示するディスプレイ186を備え得る。提示される情報の非限定的な例には、制御コンソール110に接続された超音波ハンドピース104の識別情報、及びシステム100の動作状態が含まれてもよい。ディスプレイ186はまた、オンスクリーン制御を介して等、施術者が制御コンソール110にユーザ入力を提供することを可能にする、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。
【0074】
再び図2を参照すると、制御コンソール110は、プロセッサ122、メモリ124、及びセンサ126を備え得る。プロセッサ122は、マイクロプロセッサや、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理デバイス、状態機械、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、メモリ124に記憶された動作命令に基づいて信号(アナログ又はデジタル)を操作する任意の他のデバイスから選択される1つ以上のデバイスを含んでもよい。メモリ124は、限定はしないが、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)や、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又は情報を記憶することが可能な任意の他のデバイスを含む、単一のメモリデバイス又は複数のメモリデバイスを含んでもよい。メモリ124はまた、不揮発性ソリッドステートメモリや、EPROM、EEPROM、RFIDタグ、情報を永続的に記憶することが可能な任意の他のデバイス等の1つ以上の永続的データストレージデバイスを含んでもよい。
【0075】
プロセッサ122は、本明細書で説明される制御コンソール110の機能、特徴、プロセス、方法、及びモジュールを実施するように構成することができる。特に、プロセッサ122は、オペレーティングシステム及び/又はメモリ124に存在する1つ以上のコンピュータソフトウェアアプリケーションの制御下で動作し得る。オペレーティングシステムは、プロセッサ122によって実行されると、コンピュータリソースを管理してアプリケーションのそれぞれがプロセッサ122によって実行され得るように構成することができる。代替的に、プロセッサ122は、アプリケーションを直接実行してもよく、その場合、オペレーティングシステムは省略されてもよい。
【0076】
アプリケーション及び/又はオペレーティングシステムはそれぞれ、実行時に、本明細書に記載される制御コンソール110の機能、特徴、プロセス、方法、及びモジュールのうちの1つ以上を実施するように構成することができる。具体的には、アプリケーション及び/又はオペレーティングシステムはそれぞれ、メモリ124内に存在するコンピュータ実行可能命令のセットによって具現化することができる。コンピュータ実行可能命令の各セットは、プロセッサ122によって実行されると、プロセッサ122に、本明細書に説明される制御コンソール110の機能、特徴、プロセス、方法、及びモジュールのうちの1つ以上を実施させるように構成されてもよい。
【0077】
例えば、プロセッサ122は、メモリ124に存在する1つ以上のソフトウェアアプリケーションを具現化するコンピュータ実行可能命令の実行等を介して、信号発生器112によって生成されたAC駆動信号114の周波数及び振幅を調節して、超音波ハンドピース104による組織選択の実施等を行うように構成されてもよい。特に、図2において交流電圧源として示される信号発生器112は、電源、増幅器、及び変圧器を含み得る。超音波ハンドピース104は、変圧器の二次巻線に結合され得る。システム100の動作中、電源は、可変利得増幅器であり得る増幅器に定電圧を出力し得る。プロセッサ122はまた、制御信号を増幅器に供給するように構成され得る。制御信号により、定電圧から増幅器によって生成された電圧の周波数及び振幅が設定され得る。増幅器によって生成された電圧は、変圧器の一次巻線にわたって印加することができ、それにより、AC駆動信号114が二次巻線にわたって生じ得る。変圧器の二次巻線にわたって発生するAC駆動信号114の電圧vは、一次巻線にわたって印加される電圧に比例してもよく、AC駆動信号114の周波数は、印加される電圧の周波数に等しくてもよい。したがって、プロセッサ122は、増幅器により生成される信号の周波数及び電圧を設定するように構成されることによって、AC駆動信号114の周波数及び電圧vを設定するように構成され得る。この種の例示的な信号発生器は、PCT国際公開第2016/183084号及び米国特許出願公開第2018/0056328号に開示されており、これらは、引用することによりそれらの全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0078】
オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションの実行時にプロセッサ122によって使用されるデータを収集及び編成する1つ以上のデータベースもまた、メモリ124内に存在し得る。データベースは、データと、データを記憶及び編成するサポートデータ構造とを含み得る。データベースは、リレーショナルデータベース、階層型データベース、ネットワークデータベース、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、任意のデータベース編成又は構造において配置され得る。プロセッサ122上で命令として実行されるコンピュータソフトウェアアプリケーションの形態のデータベース管理システムは、クエリに応答してデータベースのレコードに記憶された情報又はデータにアクセスするために使用することができ、クエリは、プロセッサ122によって動的に決定及び実行され得る。
【0079】
例えば、メモリ124内に存在する1つ以上のデータベースは、組織データ128を編成してもよい。組織データ128は、1つ以上の組織応答モデルを示すことができ、該1つ以上の組織応答モデルは、組織剛性の関数として、又はより具体的には、異なる剛性の組織に対応する潜在的組織剛性値の関数として、超音波ハンドピース104の先端部102の目標変位レベルを定義する。以下でより詳細に説明するように、潜在的組織剛性値は、超音波ハンドピース104の潜在的機械抵抗によって定義され得る。
【0080】
各組織応答モデルは、異なるユーザ設定に関連付けることができ、該ユーザ設定は、制御コンソール110のユーザインタフェース(例えば、ディスプレイ168、リモート部123、フットスイッチ121)を介して提供することができ、切断及び/又はアブレーションされることが望ましい1つ以上の組織型を示すことができ、及び/又はアブレーション及び/又は切断が低減又は回避されることが望ましい1つ以上の組織型を示すことができる。プロセッサ122は、制御コンソール110の起動時に、ユーザ設定を受信し、組織データ128からユーザ設定に対応する組織応答モデルを取得するように構成され得る。そして、プロセッサ122は、取得された組織応答モデルに基づいて先端部102の変位を制御し、所望の組織型のみを切断及び/又はアブレーションし、及び/又はユーザ設定によって示される所望でない組織型の切断及び/又はアブレーションを回避若しくは低減するように構成され得る。
【0081】
センサ126は、AC駆動信号114の電圧v及び電流iを測定し、これらの測定値をプロセッサ122に通信するように構成することができる。図2はセンサ126を単一のセンサとして示しているが、センサ126は、AC駆動信号114の電圧v及び電流iを測定する任意の適切な数のセンサを含み得る。センサ126はまた、AC駆動信号114の電圧v及び電流iを測定する任意の適切なタイプのセンサを含み得る。例えば、センサ126は、電圧vを測定する容量性又は抵抗性の電圧センサを含んでもよく、電流iを測定する開ループ又は閉ループの電流センサを含んでもよい。
【0082】
超音波ハンドピース104は、超音波ハンドピース104のスリーブ109内に配置され得るハンドピース(HP)メモリ130を備え得る。HPメモリ130は、超音波ハンドピース104及び/又は先端部102を識別するデータ、並びに超音波ハンドピース104及び/又は先端部102に固有の動作パラメータを定義するデータ等、超音波ハンドピース104及び/又は先端部102に固有のデータを記憶することができる。HPメモリ130は、EPROM、EEPROM、又はRFIDタグ等、コンソールメモリ124に関連して上述したメモリデバイスのうちの1つ以上を含み得る。
【0083】
超音波ハンドピース104が制御コンソール110に接続されると、HPメモリ130は、制御コンソール110のメモリリーダ132と通信可能に結合され得る。メモリリーダ132は、プロセッサ122に結合されてもよく、プロセッサ122の指示等において、メモリリーダ132に結合されたときにHPメモリ130からデータを読み出し、HPメモリ130にデータを書き込むように構成されてもよい。メモリリーダ132の構造は、HPメモリ130を補完し得る。したがって、例として、メモリリーダ132は、EPROM又はEEPROM上のデータを読み出すことが可能なアセンブリであってもよく、又はRFIDタグに問合せ(interrogating)を行い、そこからデータを読み出すことが可能なアセンブリであってもよい。
【0084】
例えば、HPメモリ130は、超音波ハンドピース104及び/又は先端部102に固有のHP組織データ133を記憶してもよい。HP組織データ133は、制御コンソール110のメモリ124に存在する組織データ128に類似し得る。具体的には、異なる超音波ハンドピース104及び/又は先端部102は、同じAC駆動信号114の受信に対して異なる応答をして種々の組織型に影響を及ぼし得る。一例として、或るタイプの先端部102は、超音波ハンドピース104が所与のAC駆動信号114を受信したことに応答して組織型を切断するのに有効な切断特徴部を備えてもよく、別のタイプの先端部102は、超音波ハンドピース104が所与のAC駆動信号114を受信したことに応答して組織型を切断する際に比較的効果が低い別の切断特徴部を備えてもよい。したがって、超音波ハンドピース104のHPメモリ130に存在するHP組織データ133は、別の超音波ハンドピース104のHPメモリ130に存在するHP組織データ133によって定義されるものとは異なる組織応答モデル又は組織応答モデルのセットを定義することができる。
【0085】
したがって、超音波ハンドピース104が制御コンソール110に接続されていることに応答して、プロセッサ122は、メモリリーダ132を介して、HPメモリ130内に存在する超音波ハンドピース104及び/又は先端部102に固有のHP組織データ133を読み出し、上述のように、取得したHP組織データ133によって定義される組織応答モデルのうちの1つに基づいて先端部102の変位を制御するように構成され得る。代替的に、制御コンソール110のメモリ124内に存在する組織データ128は、複数の異なる超音波ハンドピース104及び/又は先端部102の識別子のそれぞれを、異なる組織応答モデル又は組織応答モデルの異なるセットに関連付けることができる。この場合、超音波ハンドピース104が制御コンソール110に接続されていることに応答して、プロセッサ122は、超音波ハンドピース104及び/又は先端部102の識別子を示す識別データをHPメモリ130から読み出し、組織データ128内の識別子に関連付けられた組織応答モデルのうちの1つを用いて先端部102の変位を調節するように構成され得る。
【0086】
図3は、システム100の動作中の超音波ハンドピース104の構成要素をモデル化した回路を示している。このモデルによれば、超音波ハンドピース104に供給されるAC駆動信号114の電流iは、2つの成分、すなわち、超音波ハンドピース104のトランスデューサ106に印加される電流
【数1】
と、超音波ハンドピース104の機械構成要素を流れる電流iの等価物(本明細書では「機械電流i」とも称される)とに分離することができる。トランスデューサ106によって提供されるインピーダンスは、主に容量性であり得る。したがって、トランスデューサ106は、静電容量Cを有するキャパシタによって回路内で表され得る。超音波ハンドピース104の機械構成要素は、接触した組織に切断力及び/又はアブレーション力を印加するために振動する先端部102、トランスデューサ106、及び超音波ハンドピース104の他の要素を含むことができ、この機械構成要素は、誘導性成分、抵抗性成分、及び容量性成分を含み得る。したがって、機械構成要素は、インダクタンスLを有するインダクタ、抵抗Rを有するレジスタ、及び静電容量Cを有するキャパシタによって回路内で表され得る。超音波ハンドピース104の機械構成要素のインピーダンスZの等価物(本明細書では「機械インピーダンスZ」とも称される)は、インダクタンスL、抵抗R、及び静電容量Cの関数であり得る。
【0087】
超音波ハンドピース104の抵抗R(本明細書では「機械抵抗R」とも称される)は、超音波ハンドピース104の振動構成要素と、超音波ハンドピース104の振動構成要素(例えば、先端部102)により接触される生体組織等の任意の物質との両方の関数であり得る。それに対応して、先端部102が組織に接触する場合、抵抗Rは、接触している組織の抵抗を含み得る。組織の抵抗は、組織の剛性(stiffness)を示し得る。したがって、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、超音波ハンドピース104の先端部102により接触される組織の剛性に対応し得る。接触した組織の剛性は、所与の組織の弾性率に対応していると理解することができ、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、接触した組織の剛性の関数として変化し得る。具体的には、先端部102により接触される組織の剛性が増加するにつれて、機械抵抗Rは増加し得る。同様に、先端部102により接触される組織の剛性が減少するにつれて、機械抵抗Rは減少し得る。
【0088】
以下に説明する例に関連する以下の関係は、種々の回路解析技術を通じて図3の回路から導出することができる。
【数2】
【0089】
図4は、超音波ハンドピース104の先端部102の振動を調節して組織選択を実施する方法134を示している。特に、方法134は、先端部102の振動を調節して所望の組織を切断することができ、無傷のままであることが望ましい組織の切断を回避することができる。方法134はまた、改善された触感を提供することができ、該触感は、施術者が超音波ハンドピース104の先端部102により接触される異なる組織型を区別するのに役立つ。プロセッサ122は、メモリ124に存在するとともに、プロセッサ122の実行時に、プロセッサ122に方法134を実行させるように構成されるコンピュータ実行可能命令のセット等を介して、方法134を実行するように構成され得る。方法134の各ステップは、以下でより詳細に説明される。
【0090】
ステップ136において、先端部102により接触される組織に関連付けられた超音波ハンドピース104の特性、例えば、接触されている組織の剛性値は、センサ126によって測定され得るAC駆動信号114の電圧v及びAC駆動信号114の電流iに基づいて決定することができる。上述のように、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、先端部102により接触される組織の剛性に対応し得る。したがって、機械抵抗Rは、先端部102により接触される組織の決定された剛性値として決定され、使用することができる。
【0091】
ステップ138において、決定された特性に基づいて先端部102の目標変位を決定することができる。先端部102の変位は、先端部102が組織を切断及び/又はアブレーションする能力に対応し得る。特に、一定の振動周波数が与えられた場合、振動サイクル毎の先端部102の変位を増加させることで、先端部102が組織を切断及び/又はアブレーションする能力を増加させることができる。したがって、ステップ136において決定された機械抵抗Rが、現在の組織選択設定に従って施術者が切断及び/又はアブレーションすることを望む組織に対する先端部102に対応する場合、プロセッサ122は、組織の切断を容易にするために、先端部102に対して比較的高い目標変位を選択するように構成され得る。代替的に、ステップ136において決定された機械抵抗Rが、現在の組織選択設定に従って切断及び/又はアブレーションが望ましくない組織に対する先端部102に対応する場合、プロセッサ122は、先端部102が組織を切断及び/又はアブレーションすることを防止するように、先端部102に対して比較的低い目標変位を選択するように構成され得る。
【0092】
例えば、組織選択設定は、剛性閾値未満の剛性を有する組織型(すなわち、比較的柔らかい組織)を切断及び/又はアブレーションし、剛性閾値よりも大きい剛性を有する組織型(すなわち、比較的硬い組織)の切断を回避することを示してもよい。上述のように、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、先端部102と接触している組織の剛性を示すことができる。したがって、剛性閾値は、機械抵抗Rに関して定義され得る。ステップ138において、超音波ハンドピース104の決定された機械抵抗Rが超音波ハンドピース104の増加した機械抵抗Rを表すこと、及び/又は剛性閾値よりも大きいことに応答して、プロセッサ122は、先端部102の減少した目標変位を選択して、現在接触している組織の切断及び/又はアブレーションを回避するように構成され得る。
【0093】
ステップ140において、信号発生器112によって出力され、超音波ハンドピース104に供給されるAC駆動信号114は、先端部102の決定された目標変位を達成するように調整され得る。特に、プロセッサ122は、信号発生器112に、先端部102の決定された目標変位をもたらすAC駆動信号114を生成させる制御信号を生成するように構成され得る。
【0094】
図5はまた、超音波ハンドピース104の先端部102の振動を調節して組織選択を実施する方法142を示している。方法142のステップは、図4に示した方法134のステップ136、138、及び140において実施することができる。したがって、方法134と同様に、方法142は、先端部102の振動を調節して、所望の組織を切断及び/又はアブレーションし、無傷のままであることが望ましい組織の切断及び/又はアブレーションを回避することができる。また、方法142は、改善された触感を提供することができ、該触感は、施術者が超音波ハンドピース104の先端部102により接触される異なる組織型を区別するのに役立つ。プロセッサ122は、メモリ124に存在するとともに、プロセッサ122の実行時に、プロセッサ122に方法134を実行させるように構成されるコンピュータ実行可能命令のセット等を介して、方法142を実行するように構成され得る。
【0095】
方法142のステップ144~152は、方法134のステップ136において実行され、組織剛性値、より具体的には超音波ハンドピース104の機械抵抗Rを決定することができる。ステップ144において、超音波ハンドピース104のトランスデューサ106に対応する静電容量Cを決定することができる。トランスデューサ106の静電容量Cは、超音波ハンドピース104の動作中に一定であるとみなすことができる。したがって、トランスデューサ106の静電容量Cは、超音波ハンドピース104の製造中に測定され、HPメモリ130に記憶することができる。超音波ハンドピース104が外科手術のために制御コンソール110に接続されると、プロセッサ122は、メモリリーダ132等を介してHPメモリ130からトランスデューサ106の静電容量Cを読み出すように構成することができる。
【0096】
ステップ146において、超音波ハンドピース104の共振周波数を決定することができる。プロセッサ122は、種々の方法を使用して共振周波数を決定するように構成することができる。例えば、プロセッサ122は、周波数掃引を実行し、上記の式(2)を使用して計算される機械電流iが最小である周波数を決定するように構成されてもよい。代替的に、プロセッサ122は、米国特許第10,16,209号に開示されているように、iに対する
【数3】
の比を計算し、AC駆動信号114の周波数を調整する反復プロセスを使用して、共振周波数を決定してもよい。その後、ステップ148において、AC駆動信号114の周波数は、決定された共振周波数に設定され得る。プロセッサ122は、上述したように、共振周波数に対応する制御信号を生成して信号発生器112に伝達するように構成され得る。
【0097】
ステップ150において、超音波ハンドピース104の機械電流iを計算することができる。式(2)に示すように、この計算は、トランスデューサ106の静電容量C、AC駆動信号114の測定電圧v、AC駆動信号114の測定電流i、及びAC駆動信号114の周波数(例えば、超音波ハンドピース104の共振周波数)に基づき得る。
【0098】
ステップ152において、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、AC駆動信号114の機械電流i及び測定電圧vに基づいて計算することができる。特に、機械抵抗Rは、式(3)を使用して計算され得る機械インピーダンスZの実部に等しくてもよい。超音波ハンドピース104が共振で動作している場合(すなわち、AC駆動信号114の周波数が超音波ハンドピース104の共振周波数である場合)、超音波ハンドピース104の機械インピーダンスZの無効成分、すなわちインダクタンスL及び静電容量Cは、互いに打ち消し合うことができる。その結果、超音波ハンドピース104の機械インピーダンスZは、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rに等しくなり得る。この場合、プロセッサ122は、以下の式を用いて超音波ハンドピース104の機械抵抗Rを決定するように構成され得る。
【数4】
【0099】
式中、AC駆動信号114の電圧vは、センサ126によって測定することができ、機械電流iは、式(2)を用いて計算することができる。代替的に、超音波ハンドピース104が共振で動作していない場合(例えば、ステップ146及び148が省略される場合)、プロセッサ122は、Zの実部を計算することによって超音波ハンドピース104の機械抵抗Rを決定するように構成され得る。
【0100】
方法142のステップ154及び156を実行して、方法134のステップ138において先端部102の目標変位を決定することができる。ステップ154では、組織応答モデル(例えば、図6の組織応答モデル166A)が、プロセッサ122等によって取得され得る。組織応答モデルは、超音波ハンドピース104と接触する組織に対応し得る潜在的組織剛性値、又はより具体的には潜在的機械抵抗Rの関数として、先端部102の目標変位を定義することができる。ステップ156において、先端部102の目標変位は、組織応答モデルと、接触した組織の剛性に対応する過去に決定された剛性値とに基づいて決定することができる。
【0101】
方法142のステップ158を実行して、方法134のステップ140においてAC駆動信号114を調整して、先端部102の決定された目標変位を達成することができる。振動サイクル中の先端部102の変位レベルは、超音波ハンドピース104の機械電流iに比例し得る。機械電流iが増加すると、先端部102の変位は、機械電流iの増加に比例して増加することができ、機械電流iが減少すると、先端部102の変位は、機械電流iの減少に比例して減少することができる。したがって、先端部102の目標変位は、超音波ハンドピース104の目標機械電流im_targetに対応し得る。したがって、ステップ158において、AC駆動信号114は、超音波ハンドピース104の実際の機械電流iが、目標変位に対応する目標機械電流im_targetに実質的に等しくなるように(例えば、目標機械電流im_targetの20ミリアンペア、10ミリアンペア、又は2ミリアンペア以内、目標機械電流im_targetの1ミリアンペア以内、目標機械電流im_targetの10%、5%、又は1%以内)調整することができる。
【0102】
具体的には、先端部102の目標変位の決定に応答して、プロセッサ122は、AC駆動信号114を調整し、それにより実際の機械電流iが目標変位に対応する目標機械電流im_Targetに実質的に等しくなるように構成することができる。例えば、プロセッサ122は、PID制御ループを使用する等、反復プロセスを実行して、式(2)を使用して計算された実際の機械電流iを目標機械電流im_Targetに実質的に等しくさせるAC駆動信号114の電圧vを生成するように構成されてもよい。
【0103】
図6図8は、決定された組織剛性値に基づいて、又はより具体的には超音波ハンドピース104の機械抵抗Rに基づいて先端部102の目標変位を決定するためにプロセッサ122によって使用され得る種々の例示的な組織応答モデル166を示している。組織剛性値の関数として先端部102の目標変位を定義する他の組織応答モデルが好適である場合があるため、図示される組織応答モデル166は、非限定的であることが意図される。
【0104】
各組織応答モデル166は、y軸が目標変位を示し、x軸が潜在的組織剛性値を示すグラフによって表すことができる。図示の組織応答モデル166は、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rに関して組織剛性値を定義し、目標機械電流im_Targetに関して目標変位を定義する。
【0105】
他の例では、組織応答モデルは、振動サイクル中の先端部102の変位の振幅に関して目標変位を表してもよく、及び/又はAC駆動信号114の電圧v及び電流iから導出可能な別の特性に関して組織剛性値を表してもよい。例えば、組織応答モデルは、目標変位をマイクロメートル単位で表してもよい。この場合、プロセッサ122は、例えばルックアップテーブルを介して、先端部102の決定された目標変位を、決定された目標変位に対応する目標機械電流im_Targetに変換するように構成されてもよい。そして、プロセッサ122は、超音波ハンドピース104の機械電流iを決定された目標機械電流im_Targetに等しくさせる信号発生器112への制御信号を生成することによって、目標変位を実施するように構成され得る。別の例として、組織応答モデルは、AC駆動信号114の測定された電圧vをAC駆動信号114の測定された電流iで除算することによって決定され得る超音波ハンドピース104のインピーダンスに関して、組織剛性値を表してもよい。
【0106】
一例として図6を参照すると、各組織応答モデル166は、最大先端部変位レベル176と、最大先端部変位レベル176未満の最小先端部変位レベル178と、最大先端部変位レベル176と最小先端部変位レベル178との間に延在する複数の中間先端部変位レベルとを定義し得る。各組織応答モデル166の最大先端部変位レベル176は、下側機械抵抗閾値によって表され得る下限剛性閾値182以下の潜在的組織剛性値に関連付けられてもよく、各組織応答モデル166の最小先端部変位レベル178は、上側機械抵抗閾値によって表され得る上限剛性閾値184以上の潜在的組織剛性値に関連付けられてもよい。
【0107】
各組織応答モデル166の中間先端部変位レベルは、中間潜在的組織剛性値に関連付けられてもよく、該中間潜在的組織剛性値は、遷移関数167に従って、下限剛性閾値182と上限剛性閾値184との間に延在する中間潜在的機械抵抗R値によって表され得る。特に、各中間先端部変位レベルは、遷移関数167への異なる中間組織剛性値の適用に基づいてもよく、したがって、組織応答モデル166内の異なる潜在的中間組織剛性値に関連付けられてもよい。したがって、中間先端部変位レベルと中間潜在的剛性値との間の関係は、遷移関数167によって定義することができる。遷移関数167は、中間潜在的組織剛性値が増加する(例えば、機械抵抗R値が増加する)範囲にわたって、最大先端部変位レベル176から最小先端部変位レベル178まで減少する減少関数であり得る。
【0108】
プロセッサ122は、方法142のステップ156において、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rが下限剛性閾値182以下であるか、上限剛性閾値184以上であるか、又は下限剛性閾値182と上限剛性閾値184との間であるかを判定することによって、取得した組織応答モデル166に基づいて先端部102の目標変位を決定するように構成され得る。機械抵抗Rが下限剛性閾値182未満であることに応答して、プロセッサ122は、最大先端部変位レベル176を目標変位レベルとして選択することができる。機械抵抗Rが上限剛性閾値184以上であることに応答して、プロセッサ122は、最小先端部変位レベル178を目標変位レベルとして選択することができる。機械抵抗Rが下限剛性閾値182と上限剛性閾値184との間にあることに応答して、プロセッサ122は、遷移関数167に従って、先端部102の目標変位レベルを、機械抵抗Rに関連付けられた中間先端部変位レベルとして設定することができる。
【0109】
例えば、図6の組織応答モデル166Aを参照すると、プロセッサ122は、決定された機械抵抗Rが1000Ω以下であることに応答して、目標変位として50ミリアンペア(mA)を設定してもよい。プロセッサ122は、決定された機械抵抗Rが10000Ω以上であることに応答して、目標変位として5mAを設定してもよい。プロセッサ122は、決定された機械抵抗Rが1000Ω~10000Ωであることに応答して、目標変位を50mA~5mAに設定してもよい。例えば、プロセッサ122は、決定された機械抵抗Rが5000Ωであることに応答して、30mAの目標変位を設定してもよい。
【0110】
各組織応答モデル166の最大先端部変位レベル176は、動作中の超音波ハンドピース104の先端部102の最大許容変位レベルに対応し得る。このレベルは、制御コンソール110のディスプレイ186を使用する等して、ユーザによって設定され得る。特に、メモリ124及び/又はHPメモリ130は、超音波ハンドピース104のグローバル最大変位レベルを定義するデータを含み得る。超音波ハンドピース104の動作に先立って、ユーザは、最大先端部変位レベル176として使用するために、グローバル最大変位レベルの割合を定義する入力を制御コンソール110に入力することができる。かかるユーザ入力は、「電力レベル」と称され得る。ユーザによって提示された電力レベルに基づいて、プロセッサ122は、最大先端部変位レベル176を、電力レベルに対応するグローバル最大変位レベルの割合に設定するように構成され得る。図6を参照すると、例えば、超音波ハンドピース104のグローバル最大変位レベルは、100mAであってもよく、ユーザ提供電力レベルは、50パーセントであってもよく、その結果、プロセッサ122は、最大先端部変位レベル176を50mAに設定する。
【0111】
プロセッサ122は、先端部102により接触される組織の剛性が、組織剛性値、又はより具体的には超音波ハンドピース104の機械抵抗Rが下限剛性閾値182以下であるような場合に、最大先端部変位レベル176で先端部102を動作させるように構成することができる。最大先端部変位レベル176は、超音波ハンドピース104の先端部102により接触された場合、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rが下限剛性閾値182以下になる組織型を切断及び/又はアブレーションするのに十分であり得る。換言すれば、プロセッサ122は、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rを下限剛性閾値182以下にする剛性を有する各接触した組織型に対して、同じ先端部変位レベル、すなわち最大先端部変位レベル176で先端部102を振動させるように構成されてもよい。
【0112】
超音波ハンドピース104の先端部102が、決定された組織剛性値、又はより具体的には機械抵抗Rを下限剛性閾値182よりも大きくさせる剛性を有する組織に接触したことに応答して、プロセッサ122は、遷移関数167に従って先端部102の変位を減少させ、それにより、接触した組織を切断及び/又はアブレーションする際の先端部102の効果を低減するように構成され得る。施術者は、先端部102の振動及び効果の低下を感じる場合があり、この事象を、先端部102が切断及び/又はアブレーションされることが望ましくない組織に接触又は接近していることの指標として解釈することができる。これに応じて、施術者は、超音波ハンドピース104を組織から後退させることができる。したがって、各組織応答モデル166の下限剛性閾値182は、切断及び/又はアブレーションされることが望ましい組織型(例えば、下限剛性閾値182以下の剛性値を伴う組織)を画定してもよく、無傷を保つための組織型(例えば、下限剛性閾値182よりも大きい剛性値を伴う組織)を画定してもよい。
【0113】
一部の例では、プロセッサ122は、上述したユーザ入力電力レベル等のユーザ入力に基づいて、各組織応答モデル166の下限剛性閾値182を決定するように構成され得る。例えば、先端部102の変位を制御するためにプロセッサ122によって使用可能な各組織応答モデル166について、組織データ128及び/又はHP組織データ133は、遷移関数167が上限剛性閾値184において最小先端部変位レベル178と交差するように、遷移関数167、最小先端部変位レベル178、及び上限剛性閾値184を定義してもよい。組織データ128又はHP組織データ133から組織応答モデル166を取得したことに応答して、プロセッサ122は、遷移関数167とユーザによって設定された最大先端部変位レベル176との間の交点を、組織応答モデル166の下限剛性閾値182として決定するように構成され得る。
【0114】
各組織応答モデル166の最小先端部変位レベル178は、先端部102の非ゼロの最小先端部変位レベルに対応してもよく、有利には、接触した組織の剛性が比較的高い剛性値、すなわち、本明細書ではストール閾値とも称され得る上限剛性閾値184以上の機械抵抗Rを示した場合、超音波ハンドピース104が非ゼロの「ストールモード」に入ることを可能にし得る。これは、先端部102が、切断及び/又はアブレーションされることが望ましくない比較的高い剛性の組織に接触した場合、又は施術者が、切断及び/又はアブレーションされることが望ましくない剛性の組織に先端部102を押し込み続けた場合に生じ得る。ストールモードの間、先端部102の目標変位は、最小先端部変位レベル178(例えば、5mA)に設定されてもよく、これは、接触された組織を切断及び/又はアブレーションするには不十分となり得る。
【0115】
最小先端部変位レベル178を非ゼロ値に設定することによって、プロセッサ122は、超音波ハンドピース104の共振周波数を追跡し続け、それに応じて、ストールモードの間に共振状態で超音波ハンドピース104の動作を維持することができる。かかる構成は、先端部102が、切断及び/又はアブレーションされることが望ましくないより剛性が高い組織と接触する状態から、切断及び/又はアブレーションされることが望ましいより柔らかい剛性の組織と接触する状態に遷移する場合に有利である。ストールモード中に超音波ハンドピース104の動作を共振状態に維持することにより、プロセッサ122は、先端部102が接触している組織を連続的に監視して、先端部102がかかる柔らかい組織に遷移するタイミングを決定することができる。この遷移に応答して、プロセッサ122は、信号発生器112によって出力されるAC駆動信号114を調整し、調整されたAC駆動信号114によって引き起こされる先端部102の変位が、超音波ハンドピース104の維持された共振周波数であり、先端部102により接触される組織を(例えば、最大先端部変位レベル176で)切断及び/又はアブレーションすることができるように構成され得る。プロセッサ122は、最初に共振を確立することなくこの調整を実行することができ、その結果、組織を切断及び/又はアブレーションするのに十分な先端部102の変位レベルに戻る切り替えを比較的速く行うことができる。
【0116】
具体的には、プロセッサ122が、先端部102を非ゼロの変位レベルに配置するのではなく、ストールモードにおいて先端部102の変位を停止した場合、プロセッサ122は、超音波ハンドピース104を定期的に又は要求に応じて再起動して、切断及び/又はアブレーションされることが望ましいより柔らかい剛性の組織への遷移をチェックするように構成することが必要となる場合がある。超音波ハンドピース104が再起動されると、プロセッサ122は、AC駆動信号114の周波数を決定して共振周波数に設定するために処理時間を割く必要があり、その結果、最大先端部変位レベル176に戻る遷移が比較的不規則で、遅くなる場合がある。したがって、非ゼロのストールモードにより、プロセッサ122が、先端部102を最小先端部変位レベル178から最大先端部変位レベル176に比較的円滑かつ迅速に遷移させることが可能となる。
【0117】
各組織応答モデル166の遷移関数167は、組織応答モデル166の感度を定義していると理解することができる。特に、遷移関数167は、最大先端部変位レベル176から最小先端部変位レベル178まで延在する減少関数であり得る。遷移関数167が剛性値の範囲にわたって最大先端部変位レベル176から最小先端部変位レベル178に減少する速度が速いほど、先端部102が回避されるべき組織に接触した後に超音波ハンドピース104をストールモードに配置するように、プロセッサ122をより速く構成することができ、それに応じて、組織応答モデル166の感度が高くなる。
【0118】
図6及び図7に示されるように、記憶された組織応答モデル166のうちの1つ以上の遷移関数167は、
【数5】
の形態を有する負の線形関数であり得る。これらの組織応答モデル166のそれぞれについて、mは、組織応答モデル166の感度を示す負の勾配であってもよく、bは、組織応答モデル166の最小先端部変位レベル178と、mと組織応答モデル166の上限剛性閾値184との積との間の差に等しくてもよい。例えば、図6に示した組織応答モデル166Aの遷移関数167Aは、mが
【数6】
に等しく、bが55mAに等しい上記の線形方程式によって定義されてもよい。以下でより詳細に説明されるように、記憶された組織応答モデル166のうちの1つ以上に対する遷移関数167はまた、減少曲線関数であってもよい。
【0119】
各組織応答モデル166の遷移関数167は、先端部102が、剛性が増加した組織に接触するにつれて、徐々に増加する触覚フィードバックをユーザに提供することによって、超音波ハンドピース104のユーザに利点を提供し得る。特に、先端部102が組織に対して振動しているときに超音波ハンドピース104に印加される力は、先端部変位が減少し、組織剛性が増加するにつれて大きくなる。遷移関数167によれば、先端部102に接触する組織の剛性が下限剛性閾値182から上限剛性閾値184に増加するにつれて、先端部102の変位は、最大先端部変位レベル176から最小先端部変位レベル178に減少し得る。それに対応して、先端部102がより硬い組織に対して振動するにつれて、超音波ハンドピース104に印加され、ユーザによって感じられる力は徐々に増加し得る。これは、ユーザに、先端部102が切断及び/又はアブレーションされることが望ましくないより硬い組織に接触しているというフィードバックを提供するように機能し得る。
【0120】
この構成により、ユーザは、先端部102により接触される組織の硬さを感じることによって認識することができ、超音波ハンドピース104がストールモードに入る前に、先端部102が回避されることを意図した組織と接触しているか、又はほぼ接触している場合に、ユーザに示すことができる。具体的には、先端部102が最初に、下限剛性閾値182付近の機械抵抗Rに対応する剛性を有する組織に接触した場合、施術者は、引き続きこの組織に先端部102を押し付けることができる。施術者が先端部102を組織に押し付け続けると、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、上限剛性閾値184に向かって増加し得る。遷移関数167に従い先端部102の変位を減少させることで提供される触覚フィードバックが増加することにより、施術者は、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rが上限剛性閾値184に達する前に、より硬い組織との接触を検出し、それに応じて先端部102を組織から後退させることが可能となり得る。その結果、施術者は、ストールモードに入ることを回避することができ、施術者が超音波ハンドピース104に先端部102を組織に貫通させるような過剰な力を印加し続けた場合に起こり得る組織の損傷を回避することができる。
【0121】
上述したように、組織データ128及びHP組織データ133はそれぞれ、異なる組織選択性設定(例えば、異なる下限剛性閾値182)及び/又は異なる感度設定(例えば、異なる遷移関数167)をそれぞれ含む複数の組織応答モデル166を定義することができる。したがって、プロセッサ122は、組織選択性及び/又は感度を定義するユーザ入力に基づいて超音波ハンドピース104を調節するために、これらの組織応答モデル166のうちの1つを選択するように構成され得る。具体的には、超音波ハンドピース104の動作に先立って、ユーザは、ディスプレイ186等を介して、かかる入力を制御コンソール110に入力することができる。制御コンソール110がユーザ入力を受信したことに応答して、プロセッサ122は、ユーザ入力に対応する組織応答モデル166を取得するように構成され得る。
【0122】
例えば、図7は、組織データ128又はHP組織データ133によって定義され得る組織応答モデル166A~166Eを示している。各組織応答モデル166A~166Eは、そのそれぞれの遷移関数167の同様の傾き及び長さによって示されるように、同じ組織感度を有し得る。しかしながら、各組織応答モデル166A~166Eの下限剛性閾値182は異なっており、これは、組織応答モデル166A~166Eが異なる組織選択性を有することを示している。
【0123】
特に、組織応答モデル166Aは、組織応答モデル166Bよりも柔らかい組織を切断することを回避するように構成することができ、組織応答モデル166Bは、組織応答モデル166Cよりも柔らかい組織を切断することを回避するように構成することができる、等である。より具体的には、組織応答モデル166Aの下限剛性閾値182Aは、組織応答モデル166Bの下限剛性閾値182B未満である。したがって、先端部102が、剛性が増加した組織に接触する場合、組織応答モデル166Aは、組織応答モデル166Bがプロセッサ122に先端部102の変位を減少させる前に、プロセッサ122に先端部102の変位を減少させる。したがって、組織応答モデル166Aは、組織応答モデル166Bよりも柔らかい組織を切断及び/又はアブレーションすることを回避することができる。したがって、最も柔らかい組織以外の全ての回避に対応する組織選択性設定を示すユーザ入力を受信したことに応答して、プロセッサ122は、組織応答モデル166Aを取得して実施するように構成することができる。代替的に、最も硬い組織のみを回避することに対応する組織選択性設定を示すユーザ入力を受信したことに応答して、プロセッサ122は、組織応答モデル167Eを取得して実施するように構成することができる。
【0124】
上述のように、組織応答モデル166のうちの1つ以上の中間先端部変位レベルと中間潜在的剛性値との間の関係は、減少曲線関数によって定義することができる。これらの組織応答モデル166のそれぞれの減少曲線関数は、異なる1つ以上の組織型の穿刺を防止するように構成することができる。超音波ハンドピース104を動作させる前に、施術者は、穿刺、アブレーション、及び/又は切断を回避するために、組織型のユーザ選択を提供することができる。かかる入力の受信に応答して、プロセッサ122は、選択された組織型に対応する組織応答モデル166を取得し、示された組織型の穿刺を回避又は低減するように、組織応答モデル166に基づいて先端部102の変位レベルを調節するように構成され得る。
【0125】
一例として、図8は、中間先端部変位レベルが、特定の組織型の穿刺を防止するための曲線遷移関数167Fによって定義される組織応答モデル166Fを示している。特に、図8は、特定の組織型の穿刺が生じ得る変位レベルと剛性値との組み合わせに対応する組織穿刺曲線188を示している。例えば、組織穿刺曲線188は、機械電流iが20mAであり、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rが7500Ωであるときに、超音波ハンドピース104が特定の組織型を穿刺し得ることを示している。特定の組織型に対する組織穿刺曲線188は、以下により詳細に説明されるように、経験的に決定されてもよい。組織応答モデル166Fの曲線遷移関数167Fは、組織穿刺曲線188から安全マージンisafetyを減算することによって決定することができ、それにより、組織応答モデル166Fによる超音波ハンドピース104の動作中に、組織応答モデル166Fに関連付けられた特定の組織型の穿刺を防止又は低減することができる。
【0126】
上述したように、特定の組織型に対する組織穿刺曲線188は、経験的に決定することができる。特に、組織穿刺曲線188は、この組織型に対して超音波ハンドピース104を動作させ、この組織を穿刺するために必要とされる平均力(本明細書では「力限界(force limit)」と称される)を決定することによって、決定することができる。次に、以下の式を用いて組織穿刺曲線188を計算することができる。
【数7】
【0127】
組織型に対する力限界は、組織型の穿刺に対応する穿刺電圧vTissueによって表すことができる。図9を参照すると、超音波ハンドピース104の通常動作中、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rは、複数の構成要素の関数とすることができ、該複数の構成要素には、先端部102と接触している組織と、先端部102、先端部102を被覆し配置されたスリーブ109、灌注、吸引、及び先端部102とトランスデューサ106との間のインタフェース等の超音波ハンドピース104の構成要素とが含まれる。組織型を穿刺することに対応する穿刺電圧vTissueを決定するために、超音波ハンドピース104は、種々の電力レベル設定下で、スリーブ109、灌注、及び吸引等のこれらの付加的抵抗構成要素のうちの1つ以上を伴わずに、組織型に適用することができる。各電力レベル設定における組織型の穿刺の直前に、超音波ハンドピース104に供給されるAC駆動信号114の電圧vが測定されてもよく、これらの測定された電圧vの平均が、式(5)における力限界として使用されてもよい。式(5)におけるRoffsetは、超音波ハンドピース104の振動構成要素等、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rに寄与する組織以外の成分に対応する抵抗オフセットであってもよく、先端部102が水中又は空気中で振動しており、組織に押し付けられていない場合に、上述したように超音波ハンドピース104の機械抵抗Rを計算することによって決定されてもよい。
【0128】
上記の手順は、組織穿刺曲線188、及びそれに対応して曲線遷移関数167Fを生成するために使用することができ、その結果、先端部102の変位は、組織型の穿刺、切断、及び/又はアブレーションを防止又は減少させるために低減されるが、機械抵抗Rに寄与する他の構成要素等に起因しては過剰に低減されない。図8に示すように、組織穿刺曲線188及び曲線遷移関数167Fはそれぞれ、曲線減少関数である。式(5)の力限界は、各組織型について一定値であると考えられるので、超音波ハンドピース104の機械抵抗Rが増加するにつれて、式(5)の出力、及びそれに対応して、式(5)の出力から安全マージンisafetyを引いたものに等しくなり得る曲線遷移関数167Fは、減少する。
【0129】
本明細書において、超音波ハンドピースの動作中に組織選択を実施して、無傷のままであることが望ましい組織型を切断することを回避するシステム及び方法が説明される。具体的には、これらのシステム及び方法は、先端部と接触している組織の剛性に基づいて超音波ハンドピースの先端部の変位を制御して、組織の望ましくない切断を回避することができる。このように超音波ハンドピースを制御することにより、施術者は、安全性を高めて超音波ハンドピースを操作し、意図しない切断を回避することができる。これらのシステム及び方法はまた、改善された触感を提供し、施術者が異なる組織型との接触をより良く理解することを可能にする。
【0130】
本開示の様々な事例の具体的な特徴を、いくつかの図面には示し他の図面には示していない可能性があるが、これは単に便宜上である。本開示の原理によれば、図面又は他の事例のいかなる特徴も、他の任意の図面又は事例のいかなる特徴とも組み合わせて参照し及び/又は請求することができる。
【0131】
この記載した説明は、例を用いて、本開示の事例を説明し、任意のデバイス又はシステムを作成及び使用すること及び任意の組み込まれた方法を実施すること等、いかなる当業者も事例を実施することができるようにする。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想到する他の例を含むことができる。こうした他の例は、特許請求の範囲の文字通りの文言とは異ならない構造的要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文字通りの文言からわずかな相違で均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定することと、
剛性閾値と、それぞれが前記第1の変位レベルよりも小さく、組織応答モデル内で前記剛性閾値よりも大きい異なる潜在的組織剛性値に関連付けられた前記先端部の第2の変位レベルとを定義する前記組織応答モデルを受信することと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定することと、
前記信号発生器によって前記超音波ハンドピースに出力される前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記決定された組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成され、前記剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、前記潜在的組織剛性値は、前記超音波ハンドピースの潜在的機械抵抗によって定義される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記組織応答モデルが、前記潜在的組織剛性値が増加するにつれて前記第2の変位レベルが減少するように、前記第2の変位レベルを定義する、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記組織応答モデルは、前記先端部の非ゼロの最小先端部変位レベルであって、それぞれ第2の変位レベル未満である、前記先端部の第3の変位レベルを定義し、前記潜在的組織剛性値よりも大きい第2の剛性閾値を定義しており、前記プロセッサは、
前記決定された組織剛性値が前記第2の剛性閾値よりも大きいことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを前記第3の変位レベルに設定することと、
前記決定された組織剛性値が前記第1の剛性閾値よりも大きく、前記第2の剛性閾値未満であることに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定することと、
を行うように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の変位レベル、前記第2の変位レベル、前記第3の変位レベル、前記第1の剛性閾値、前記第2の剛性閾値、又は前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記組織応答モデルは、前記超音波ハンドピースの動作中に組織型のアブレーションを低減するように構成され、前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく曲線減少関数によって定義される、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記組織応答モデルは、第1の組織応答モデルであり、
前記システムは、前記第1の組織応答モデルと、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリを更に備え、
前記プロセッサは、
ユーザインタフェースを介して前記第1の組織応答モデル及び前記第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の変位レベルに設定することと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと
を行うように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記剛性閾値は、第1の剛性閾値であり、前記潜在的組織剛性値は、第1の潜在的組織剛性値であり、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の剛性閾値よりも大きい第2の剛性閾値を定義し、前記第2の変位レベルのそれぞれを前記第2の剛性閾値よりも大きい異なる第2の潜在的組織剛性値に関連付け、前記第1の潜在的組織剛性値のうちの少なくとも1つは、前記第2の潜在的組織剛性値のそれぞれよりも小さい、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の変位レベルと前記第2の潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第2の組織型よりも硬い第3の組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく関数によって定義される、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記先端部の前記目標変位レベルは、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整するように構成されることによって、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、第1の組織応答モデルと、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリと、前記センサ、前記メモリ、及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定することと、
ユーザインタフェースを介して前記第1の組織応答モデル及び前記第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の第2の変位レベルに設定することと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記設定された目標変位レベルを達成することと
を行うように構成される、システム。
【請求項15】
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定することと、
前記機械抵抗に基づいて前記先端部の目標変位を決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
この記載した説明は、例を用いて、本開示の事例を説明し、任意のデバイス又はシステムを作成及び使用すること及び任意の組み込まれた方法を実施すること等、いかなる当業者も事例を実施することができるようにする。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想到する他の例を含むことができる。こうした他の例は、特許請求の範囲の文字通りの文言とは異ならない構造的要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文字通りの文言からわずかな相違で均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるように意図される。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~74の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定することと、
剛性閾値と、それぞれが前記第1の変位レベルよりも小さく、組織応答モデル内で前記剛性閾値よりも大きい異なる潜在的組織剛性値に関連付けられた前記先端部の第2の変位レベルとを定義する前記組織応答モデルを受信することと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定することと、
前記信号発生器によって前記超音波ハンドピースに出力される前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
(請求項2)
前記プロセッサは、前記決定された組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成され、前記剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、前記潜在的組織剛性値は、前記超音波ハンドピースの潜在的機械抵抗によって定義される、請求項1に記載のシステム。
(請求項3)
前記プロセッサは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定することと、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定することと、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定することと、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記周波数、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算することと、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算することと
を行うように構成されることによって、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を決定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
(請求項4)
前記組織応答モデルが、前記潜在的組織剛性値が増加するにつれて前記第2の変位レベルが減少するように、前記第2の変位レベルを定義する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項5)
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記組織応答モデルは、前記先端部の非ゼロの最小先端部変位レベルであって、それぞれ第2の変位レベル未満である、前記先端部の第3の変位レベルを定義し、前記潜在的組織剛性値よりも大きい第2の剛性閾値を定義しており、前記プロセッサは、
前記決定された組織剛性値が前記第2の剛性閾値よりも大きいことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを前記第3の変位レベルに設定することと、
前記決定された組織剛性値が前記第1の剛性閾値よりも大きく、前記第2の剛性閾値未満であることに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定することと、
を行うように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項6)
前記第1の変位レベル、前記第2の変位レベル、前記第3の変位レベル、前記第1の剛性閾値、前記第2の剛性閾値、又は前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく、請求項5に記載のシステム。
(請求項7)
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項5又は6に記載のシステム。
(請求項8)
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項5又は6に記載のシステム。
(請求項9)
前記組織応答モデルは、前記超音波ハンドピースの動作中に組織型のアブレーションを低減するように構成され、前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく曲線減少関数によって定義される、請求項1~6及び8のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項10)
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項9に記載のシステム。
(請求項11)
前記組織応答モデルは、第1の組織応答モデルであり、
前記システムは、前記第1の組織応答モデルと、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリを更に備え、
前記プロセッサは、
ユーザインタフェースを介して前記第1の組織応答モデル及び前記第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の変位レベルに設定することと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと
を行うように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項12)
前記剛性閾値は、第1の剛性閾値であり、前記潜在的組織剛性値は、第1の潜在的組織剛性値であり、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の剛性閾値よりも大きい第2の剛性閾値を定義し、前記第2の変位レベルのそれぞれを前記第2の剛性閾値よりも大きい異なる第2の潜在的組織剛性値に関連付け、前記第1の潜在的組織剛性値のうちの少なくとも1つは、前記第2の潜在的組織剛性値のそれぞれよりも小さい、請求項11に記載のシステム。
(請求項13)
前記第2の変位レベルと前記第2の潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第2の組織型よりも硬い第3の組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく関数によって定義される、請求項11又は12に記載のシステム。
(請求項14)
前記先端部の前記目標変位レベルは、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整するように構成されることによって、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項15)
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記超音波ハンドピースによって引き起こされる前記超音波ハンドピースの前記先端部の変位が非ゼロであり、前記先端部により接触される組織をアブレーションするのに不十分である、ストールモードをアクティブ化することと、
前記ストールモードがアクティブである間、前記超音波ハンドピースの共振周波数を維持することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
(請求項16)
前記プロセッサは、
無傷のままであることが望ましい組織型を示すユーザ入力を受信することと、
前記制御コンソールによる前記先端部の振動中に前記先端部が前記組織型に対して配置されていることに応答して、前記ストールモードをアクティブ化することと
を行うように構成される、請求項15に記載のシステム。
(請求項17)
前記制御コンソールは、
前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、
前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと
を更に備え、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、組織剛性値を決定することと、
前記組織剛性値が剛性閾値よりも大きいかどうかを判定することと、
前記組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記ストールモードをアクティブ化することと
を行うように構成される、請求項15又は16に記載のシステム。
(請求項18)
前記剛性閾値は、機械抵抗閾値によって定義され、前記プロセッサは、前記組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するように構成される、請求項17に記載のシステム。
(請求項19)
前記プロセッサは、
前記ストールモードがアクティブであるときに前記センサによって測定された前記AC駆動信号の第2の電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの第2の機械抵抗を決定することと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定することと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記ストールモードを非アクティブ化し、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整し、前記調整されたAC駆動信号によって引き起こされる前記先端部の前記変位が、前記維持された共振周波数であり、前記先端部により接触される前記組織をアブレーションすることができるようにすることと
を行うように構成される、請求項18に記載のシステム。
(請求項20)
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記先端部により接触される組織に関連付けられた前記超音波ハンドピースの特性を決定することと、
前記決定された特性と、前記先端部により接触される前記組織に対応する穿刺電圧とに基づいて、前記先端部の目標変位を決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うように構成される、システム。
(請求項21)
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、第1の組織応答モデルと、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成された第2の組織応答モデルとを記憶するメモリと、前記センサ、前記メモリ、及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定することと、
ユーザインタフェースを介して前記第1の組織応答モデル及び前記第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信することと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の第2の変位レベルに設定することと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記設定された目標変位レベルを達成することと
を行うように構成される、システム。
(請求項22)
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成され、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧及び電流を測定するステップと、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定するステップと、
剛性閾値と、それぞれが前記第1の変位レベルよりも小さく、組織応答モデル内で前記剛性閾値よりも大きい異なる潜在的組織剛性値に関連付けられた前記先端部の第2の変位レベルとを定義する前記組織応答モデルを受信するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定するステップと、
前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
(請求項23)
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記先端部により接触される組織の組織剛性値を決定するステップは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定し、
前記決定された組織剛性値として前記機械抵抗を使用する
ことを含む、請求項22に記載の方法。
(請求項24)
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定することは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定し、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定し、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定し、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記周波数、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算し、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算する
ことを含む、請求項23に記載の方法。
(請求項25)
前記組織応答モデルが、前記潜在的組織剛性値が増加するにつれて前記第2の変位レベルが減少するように、前記第2の変位レベルを定義する、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
(請求項26)
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記組織応答モデルは、前記先端部の非ゼロの最小先端部変位レベルであって、それぞれ第2の変位レベル未満である、前記先端部の第3の変位レベルを定義し、前記組織応答モデルは、前記潜在的組織剛性値よりも大きい第2の剛性閾値を定義しており、
前記決定された組織剛性値が前記第2の剛性閾値よりも大きいことに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを前記第3の変位レベルに設定するステップと、
前記決定された組織剛性値が前記第1の剛性閾値よりも大きく、前記第2の剛性閾値未満であることに応答して、前記先端部の前記目標変位レベルを、前記決定された組織剛性値に対応する前記潜在的組織剛性値に関連付けられた前記第2の変位レベルに設定するステップと
を更に含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
(請求項27)
前記第1の変位レベル、前記第2の変位レベル、前記第3の変位レベル、前記第1の剛性閾値、前記第2の剛性閾値、又は前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づく、請求項26に記載の方法。
(請求項28)
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項26又は27に記載の方法。
(請求項29)
前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第1の剛性閾値を前記第1の変位レベルにマッピングし、前記第2の剛性閾値を前記第3の変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項26又は27に記載の方法。
(請求項30)
前記組織応答モデルは、前記超音波ハンドピースの動作中に組織型のアブレーションを低減するように構成され、前記第2の変位レベルと前記潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく曲線減少関数によって定義される、請求項22~27及び29のいずれか一項に記載の方法。
(請求項31)
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項30に記載の方法。
(請求項32)
前記組織応答モデルは第1の組織応答モデルであり、
ユーザインタフェースを介して、前記第1の組織応答モデル及び第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信するステップであって、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成される、ステップと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の変位レベルに設定するステップと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定するステップと
を更に含む、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
(請求項33)
前記剛性閾値は第1の剛性閾値であり、前記潜在的組織剛性値は、第1の潜在的組織剛性値であり、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の剛性閾値よりも大きい第2の剛性閾値を定義し、前記第2の変位レベルのそれぞれを前記第2の剛性閾値よりも大きい異なる第2の潜在的組織剛性値に関連付け、前記第1の潜在的組織剛性値のうちの少なくとも1つは、前記第2の潜在的組織剛性値のそれぞれよりも小さい、請求項32に記載の方法。
(請求項34)
前記第2の変位レベルと前記第2の潜在的組織剛性値との間の前記関係は、前記第2の組織型よりも硬い第3の組織型の穿刺に対応する前記AC駆動信号の電圧に基づく関数によって定義される、請求項32又は33に記載の方法。
(請求項35)
前記先端部の前記目標変位レベルは、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応しており、前記方法は、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整することによって、前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整して前記設定された目標変位レベルを達成するステップを更に含む、請求項22~34のいずれか一項に記載の方法。
(請求項36)
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記超音波ハンドピースによって引き起こされる前記超音波ハンドピースの前記先端部の変位が非ゼロであり、前記先端部により接触される組織をアブレーションするのに不十分である、ストールモードをアクティブ化するステップと、
前記ストールモードがアクティブである間、前記超音波ハンドピースの共振周波数を維持するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
(請求項37)
無傷のままであることが望ましい組織型を示すユーザ入力を受信するステップと、
前記先端部の振動中に前記先端部が前記組織型に対して配置されていることに応答して、前記ストールモードをアクティブ化するステップと
を更に含む、請求項36に記載の方法。
(請求項38)
前記AC駆動信号の電圧及び電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて、組織剛性値を決定するステップと、
前記組織剛性値が剛性閾値よりも大きいかどうかを判定するステップと、
前記組織剛性値が前記剛性閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記ストールモードをアクティブ化するステップと
を更に含む、請求項36又は37に記載の方法。
(請求項39)
前記剛性閾値は機械抵抗閾値によって定義されており、前記組織剛性値として、前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び電流に基づいて前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
(請求項40)
前記ストールモードがアクティブであるときに前記AC駆動信号の第2の電圧及び電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された第2の電圧及び電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの第2の機械抵抗を決定するステップと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であるかどうかを判定するステップと、
前記第2の機械抵抗が前記剛性閾値未満であると判定したことに応答して、前記ストールモードを非アクティブ化し、前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整し、前記調整されたAC駆動信号によって引き起こされる前記先端部の前記変位が、前記維持された共振周波数であり、前記先端部により接触される前記組織をアブレーションすることができるようにするステップと
を更に含む、請求項39に記載の方法。
(請求項41)
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧及び電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記先端部により接触される組織に関連付けられた前記超音波ハンドピースの特性を決定するステップと、
前記決定された特性と、前記先端部により接触される前記組織に対応する穿刺電圧とに基づいて、前記先端部の目標変位を決定するステップと、
前記超音波ハンドピースに供給される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
(請求項42)
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記先端部の最大変位レベルである前記先端部の第1の変位レベルを決定するステップと、
ユーザインタフェースを介して、第1の組織応答モデル及び第2の組織応答モデルのユーザ選択を受信するステップであって、前記第2の組織応答モデルは、前記第1の組織応答モデルよりも硬い組織をアブレーションするように構成される、ステップと、
前記超音波ハンドピースに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記第1の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、前記AC駆動信号が前記超音波ハンドピースに供給されているときに前記先端部が第1の組織型に対して配置されていることに応答して、前記先端部の目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定し、前記AC駆動信号が前記超音波ハンドピースに供給されているときに、前記先端部が前記第1の組織型よりも硬い第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベル未満の第2の変位レベルに設定するステップと、
前記第2の組織応答モデルの前記ユーザ選択に応答して、かつ前記AC駆動信号が前記超音波ハンドピースに供給されているときに前記先端部が前記第1の組織型及び前記第2の組織型に対して配置されていることに応答して、前記目標変位レベルを前記第1の変位レベルに設定するステップと、
前記超音波ハンドピースに供給された前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記設定された目標変位レベルを達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
(請求項43)
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定することと、
前記機械抵抗に基づいて前記先端部の目標変位を決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うように構成される、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
(請求項44)
前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの増加した機械抵抗を表すことに応答して、前記目標変位が前記先端部の減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するように構成される、請求項43に記載のシステム。
(請求項45)
前記プロセッサは、
前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの前記増加した機械抵抗を表し、前記決定された機械抵抗が機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記目標変位が前記先端部の前記減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定することと、
前記決定された機械抵抗が前記機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記目標変位が前記先端部の最大変位レベルを表すように、前記先端部の前記目標変位を決定することと
を行うように構成される、請求項44に記載のシステム。
(請求項46)
前記プロセッサは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定することと、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定することと、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定することと、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算することと、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算することと
を行うように構成されることによって、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を決定するように構成される、請求項43~45のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項47)
前記プロセッサは、
前記先端部の前記目標変位を前記機械抵抗の関数として定義する組織応答モデルを受信することと、
前記組織応答モデル及び前記機械抵抗に基づいて、前記先端部の前記目標変位を決定することと
を行うように構成される、請求項43~46のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項48)
前記組織応答モデルは、増加する機械抵抗値にわたって減少する先端部変位レベルを定義する、請求項47に記載のシステム。
(請求項49)
前記組織応答モデルは、第1の機械抵抗閾値に関連付けられた最大先端部変位レベルと、前記第1の機械抵抗閾値よりも大きい第2の機械抵抗閾値に関連付けられた最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間であって、前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間の中間機械抵抗値に関連付けられた中間先端部変位レベルとを定義し、前記中間先端部変位レベルは、前記中間機械抵抗値にわたって減少する、請求項47又は48に記載のシステム。
(請求項50)
前記プロセッサは、
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記最大先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択することと、
前記決定された機械抵抗が前記第2の機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記最小先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択することと、
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間にあることに応答して、前記決定された機械抵抗に関連付けられた前記中間先端部変位レベルのうちの1つを選択することと
を行うように構成される、請求項49に記載のシステム。
(請求項51)
前記最大先端部変位レベル、前記最小先端部変位レベル、前記第1の機械抵抗閾値、前記第2の機械抵抗閾値、又は前記中間先端部変位レベル間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づくものである、請求項49又は50に記載のシステム。
(請求項52)
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項49~51のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項53)
前記中間先端部変位レベルは、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の穿刺に対応する電圧に基づく曲線減少関数に従って定義される、請求項49~52のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項54)
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づく、請求項53に記載のシステム。
(請求項55)
複数の組織応答モデルを記憶するメモリを更に備え、前記組織応答モデルのそれぞれは、異なる組織型の穿刺に対応する電圧に基づいて定義され、前記プロセッサは、
前記組織型のうちの1つのユーザ選択を受信することと、
前記選択された組織型に対応する前記組織応答モデルを前記メモリから取得することと
を行うように構成されることによって、前記組織応答モデルを受信するように構成される、請求項47~54のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項56)
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項49~51のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項57)
前記先端部の前記目標変位は、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記プロセッサは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整するように構成されることによって、前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記決定された目標変位を達成するように構成される、請求項43~56のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項58)
手術部位に吸引を提供する管腔を画定する先端部と、前記先端部に結合され、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されたトランスデューサとを備える、超音波ハンドピースと、
前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を生成する信号発生器と、 前記AC駆動信号の電圧を測定するセンサと、前記AC駆動信号の電流を測定するセンサと、前記センサ及び前記信号発生器に結合されたプロセッサとを備える、前記超音波ハンドピースに結合された制御コンソールと
を備えてなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステムであって、
前記プロセッサは、
第1の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最大先端部変位レベルと、前記第1の組織剛性値よりも大きい第2の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間の範囲にある前記超音波ハンドピースの前記先端部の中間先端部変位レベルとを定義する組織応答モデルを受信することであって、前記中間先端部変位レベルは、前記第1の組織剛性値と前記第2の組織剛性値との間の範囲にある増加する中間組織剛性値に関連付けられ、前記増加する中間組織剛性値の関数として減少することと、
前記測定された電流及び前記測定された電圧に基づいて、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の剛性値を決定することと、
前記決定された剛性値及び前記組織応答モデルに基づいて、前記先端部の目標変位レベルを決定することと、
前記信号発生器によって出力される前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成することと
を行うようにプログラムされている、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御するシステム。
(請求項59)
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサに前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧を測定するステップと、
前記AC駆動信号の電流を測定するステップと、
前記AC駆動信号の前記測定された電圧及び前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械抵抗を決定するステップと、
前記機械抵抗に基づいて前記先端部の目標変位を決定するステップと、
前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
(請求項60)
前記超音波ハンドピースの前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの増加した機械抵抗を表すことに応答して、前記目標変位が前記先端部の減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するステップを含む、請求項59に記載の方法。
(請求項61)
前記決定された機械抵抗が前記超音波ハンドピースの前記増加した機械抵抗を表し、前記決定された機械抵抗が機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記目標変位が前記先端部の前記減少した変位を表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するステップと、
前記決定された機械抵抗が前記機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記目標変位が前記先端部の最大変位レベルを表すように、前記先端部の前記目標変位を決定するステップと
を含む、請求項60に記載の方法。
(請求項62)
前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を決定するステップは、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサの静電容量を決定し、
前記超音波ハンドピースの共振周波数を決定し、
前記AC駆動信号の周波数を前記超音波ハンドピースの前記決定された共振周波数に設定し、
前記トランスデューサの前記静電容量、前記AC駆動信号の前記測定された電圧、及び前記AC駆動信号の前記測定された電流に基づいて、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる電流を計算し、
前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記電流と、前記AC駆動信号の前記測定された電圧とに基づいて、前記超音波ハンドピースの前記機械抵抗を計算する
ことを含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
(請求項63)
前記先端部の前記目標変位を前記機械抵抗の関数として定義する組織応答モデルを受信するステップと、
前記組織応答モデル及び前記機械抵抗に基づいて、前記先端部の前記目標変位を決定するステップと
を更に含む、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
(請求項64)
前記組織応答モデルは、増加する機械抵抗値にわたって減少する先端部変位レベルを定義する、請求項63に記載の方法。
(請求項65)
前記組織応答モデルは、第1の機械抵抗閾値に関連付けられた最大先端部変位レベルと、前記第1の機械抵抗閾値よりも大きい第2の機械抵抗閾値に関連付けられた最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間であって、前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間の中間機械抵抗値に関連付けられた中間先端部変位レベルとを定義し、前記中間先端部変位レベルは、前記中間機械抵抗値にわたって減少するものである、請求項63又は64に記載の方法。
(請求項66)
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値未満であることに応答して、前記最大先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択するステップと、
前記決定された機械抵抗が前記第2の機械抵抗閾値よりも大きいことに応答して、前記最小先端部変位レベルを前記先端部の前記目標変位として選択するステップと、
前記決定された機械抵抗が前記第1の機械抵抗閾値と前記第2の機械抵抗閾値との間にあることに応答して、前記決定された機械抵抗に関連付けられた前記中間先端部変位レベルのうちの1つを選択するステップと
を更に含む、請求項65に記載の方法。
(請求項67)
前記最大先端部変位レベル、前記第1の機械抵抗閾値、前記第2の機械抵抗閾値、又は前記中間先端部変位レベル間の関係のうちの少なくとも1つは、ユーザ設定に基づくものである、請求項65又は66に記載の方法。
(請求項68)
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする減少曲線関数によって定義される、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
(請求項69)
前記中間先端部変位レベルは、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の穿刺に対応する電圧に基づく曲線減少関数に従って定義される、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
(請求項70)
前記曲線減少関数は、前記超音波ハンドピースの振動構成要素に対応する抵抗オフセットに更に基づくものである、請求項69に記載の方法。
(請求項71)
メモリが複数の組織応答モデルを記憶し、前記組織応答モデルのそれぞれは、異なる組織型の穿刺に対応する電圧に基づいて定義され、前記組織応答モデルを受信するステップは、
前記組織型のうちの1つのユーザ選択を受信し、
前記選択された組織型に対応する前記組織応答モデルを前記メモリから取得する
ことを含む、請求項63~70のいずれか一項に記載の方法。
(請求項72)
前記中間先端部変位レベルは、前記第1の機械抵抗閾値を前記最大先端部変位レベルにマッピングし、前記第2の機械抵抗閾値を前記最小先端部変位レベルにマッピングする負の線形関数によって定義される、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
(請求項73)
前記先端部の前記目標変位は、前記超音波ハンドピースの機械構成要素を流れる目標電流に対応し、前記AC駆動信号を調整して前記決定された目標変位を達成するステップは、前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる実際の電流が前記超音波ハンドピースの前記機械構成要素を流れる前記目標電流に実質的に等しくなるように前記AC駆動信号を調整することを含む、請求項59~72のいずれか一項に記載の方法。
(請求項74)
超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法であって、前記超音波ハンドピースは、手術部位に吸引を提供する管腔を画定するとともに、前記先端部に結合されたトランスデューサを備え、前記トランスデューサは、AC駆動信号の受信に応答して前記先端部を振動させるように構成されており、
前記超音波ハンドピースの前記トランスデューサに印加される前記AC駆動信号を供給するステップと、
前記AC駆動信号の電圧を測定するステップと、
前記AC駆動信号の電流を測定するステップと、
第1の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最大先端部変位レベルと、前記第1の組織剛性値よりも大きい第2の組織剛性値に関連付けられた前記超音波ハンドピースの前記先端部の最小先端部変位レベルと、前記最大先端部変位レベルと前記最小先端部変位レベルとの間の範囲にある前記超音波ハンドピースの前記先端部の中間先端部変位レベルとを定義する組織応答モデルを受信することであって、前記中間先端部変位レベルは、前記第1の組織剛性値と前記第2の組織剛性値との間の範囲にある増加する中間組織剛性値に関連付けられ、前記増加する中間組織剛性値の関数として減少するステップと、
前記測定された電流及び前記測定された電圧に基づいて、前記超音波ハンドピースの前記先端部により接触される組織の剛性値を決定するステップと、
前記決定された剛性値及び前記組織応答モデルに基づいて、前記先端部の目標変位レベルを決定するステップと、
前記AC駆動信号を調整して前記先端部の前記決定された目標変位を達成するステップと
を含んでなる、超音波ハンドピースの先端部の振動を制御する方法。
【国際調査報告】