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特表2023-506072埋め込まれるように構成された医療デバイスを排出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】埋め込まれるように構成された医療デバイスを排出する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A61M37/00 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536719
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 FR2020052446
(87)【国際公開番号】W WO2021123604
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】1914526
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514211596
【氏名又は名称】ユロマン
【氏名又は名称原語表記】UROMEMS
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラムラウイ,ハミド
(72)【発明者】
【氏名】マザー,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲリー,オーレリアン
(72)【発明者】
【氏名】ミール,リヤズ
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ティエリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA74
4C267CC26
4C267HH08
(57)【要約】
本発明は、人間又は動物の体内に埋め込まれる医療デバイス(1)を排出する方法に関し、医療デバイスは、流体リザーバ(13)を取り囲むハウジング(11)と、流体リザーバとハウジングの外側の容積との間の流体接続部を形成する流体出口(12)とを含み、当該方法は、タンク(2)を含むパッケージング内に医療デバイスを提供することであって、ハウジングは、流体リザーバがタンクの底と流体出口との間に配置される位置においてタンク内に保持される、提供することと、医療デバイスの外側に位置し且つタンクの流体出口と流体接続するパッケージングのゾーンが流体内に浸漬されるように、タンク(2)を生体適合性流体で充填することと、医療デバイスを排出し、流体リザーバ(13)を生体適合性流体で充填するとと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物の体内に埋め込まれるように適合される医療デバイスを排出する方法であって、
前記医療デバイスは、流体リザーバを取り囲むケーシングと、前記流体リザーバと前記ケーシングの外部にある容積との間の流体接続部を形成する流体出口とを含み、当該方法は、
- タンクを含むパッケージング内に前記医療デバイスを提供することであって、前記ケーシングは、前記流体リザーバが前記タンクの底と前記流体出口との間に位置付けられる位置において前記タンク内に保持される、提供することと、
- 前記流体リザーバの前記流体出口と流体接続する前記医療デバイスの外部にある前記パッケージングのゾーンが前記流体内に浸漬されるように、前記タンクを生体適合性流体で充填することと、
- 前記流体リザーバを前記生体適合性流体で充填し、前記流体リザーバ内に存在する空気を前記流体出口に放出することによって、前記医療デバイスを排出することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記タンクの底の水平性を確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記確認することは、前記タンク内の流体レベルの水平性インジケータに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水平性の確認は、前記医療デバイスの加速度計を用いて行われる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記タンクは、前記タンクの底の水平性を得るために、流体で充填された容器内に浸漬される、請求項2~4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記医療デバイスを排出することは、前記タンクの可動壁を移動させて前記流体リザーバの容積を変化させることによって行われる、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記流体リザーバの前記可動壁の前記移動は、前記ケーシング内に配置される電気機械アクチュエータによって行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ケーシングは、単一の流体出口と、前記流体リザーバと前記流体出口との間の単一の流体接続部とを含む、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記医療デバイスは、人間又は動物の体の自然なダクトの閉塞を制御するように適合される、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記医療デバイスは、人工括約筋、人工筋肉、電気刺激器、胃バンド、神経刺激器、及び陰茎インプラントからなる群から選択される、請求項1~9のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体リザーバを含む人間又は動物の体内に埋め込まれる(移植される)ように適合される(構成される)医療デバイスのためのパッケージング(packaging)に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な埋め込み可能な医療デバイスは、流体回路に結合される生体適合性の流体リザーバを含む。そのような流体回路は、例えば、デバイスの要素の作動を可能にすることがある。
【0003】
例えば、尿道又は膀胱頸部のような、解剖学的ダクトを選択的に閉鎖するためのデバイスは、前記解剖学的ダクトを取り囲み、流体リザーバに流体的に結合される、閉塞カフを含むことがある。ダクトに対してカフによって加えられる圧縮を増加させるためにリザーバからカフに或いはダクトに対してカフによって加えられる圧縮を減少させるためにカフからリザーバに流体を移送するために、ポンプが使用される。
【0004】
患者の体内に埋め込まれる医療デバイス内の流体リザーバを含む他の用途は、閉鎖バルーンの膨張又は人工器官の充填に関する。
【0005】
一般に、埋め込まれるように適合される医療デバイスは、滅菌内容物を有するパッケージングにおいて、如何なる生体適合性流体も空の状態で外科医に提供される。従って、外科医は、患者に埋め込む前に、空気を放出し、リザーバを生体適合性流体で充填しなければならない。
【0006】
この充填作業は、最初に封じ込められた空気の流体回路を排出する(空にする)ために実施されなければならない。実際には、如何なる気泡も、埋め込み可能なデバイスの操作、特にその精度に影響を及ぼす可能性が高い。
【0007】
充填作業の別の制約は、デバイスの滅菌性を維持することである。
【0008】
外科医によるデバイスの手作業の充填は、外科処置の持続時間を延長し、デバイスの汚染のリスクを誘発して、患者に感染又は合併症を誘発する可能性が高い。
【0009】
予め充填された医療デバイスが存在するが、それらは、例えば、流体がデバイスを通じても滅菌されることが確実にされなければならない滅菌ステップの間に、多くの欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、デバイスの取扱いを必要としない流体リザーバを含む埋め込まれるように適合された(構成された)医療デバイスを排出する(空にする)方法を画定することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明の第1の目的は、人間又は動物の体内に埋め込まれるように適合される医療デバイスを排出する方法に関し、医療デバイスは、流体リザーバを取り囲むケーシングと、流体リザーバとケーシングの外部にある容積との間の流体接続部を形成する流体出口とを含み、当該方法は、
- タンクを含むパッケージング内に医療デバイスを提供することであって、ケーシングは、流体リザーバがタンクの底と流体出口との間に位置付けられる位置においてタンク内に保持される、提供することと、
- 流体リザーバの流体出口と流体接続する医療デバイスの外部にあるパッケージングのゾーンが流体内に浸漬されるように、タンクを生体適合性流体で充填することと、
- 流体リザーバを生体適合性流体で充填し、流体リザーバ内に存在する空気を流体出口に放出すること (discharging)によって、医療デバイスを排出すること(draining)と、を含む。
【0012】
好ましくは、生体適合性流体は、液体であってよい。
【0013】
方法は、タンクの底の水平性を確認するステップを含んでよい。
【0014】
1つの実施形態によれば、確認することは、タンク内の流体レベルの水平性インジケータに基づく。
【0015】
場合によっては前述のものとの組み合わされた別の実施形態によれば、水平性の確認は、医療デバイスの加速度計を用いて行われる。
【0016】
2つの先行する実施形態に対して代替的又は追加的に、タンクは、タンクの底の水平性を得るために、流体で充填された容器内に浸漬される。
【0017】
幾つかの実施形態において、医療デバイスを排出する(空にすること)ことは、タンクの可動壁を移動させて、流体リザーバの容積を変化させることによって行われる。
【0018】
流体リザーバの可動壁の移動は、ケーシング内に配置される電気機械アクチュエータによって行われてよい。
【0019】
幾つか実施形態において、ケーシングは、単一の流体出口と、流体リザーバと流体出口との間の単一の流体接続部とを含む。
【0020】
幾つかの実施形態において、医療デバイスは、人間又は動物の体の自然なダクトの閉塞を制御するように適合される。
【0021】
幾つかの実施形態において、医療デバイスは、人工括約筋、人工筋肉、電気刺激器、胃バンド、神経刺激器、及び陰茎インプラントからなる群から選択される。
【0022】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】1つの実施形態に従ったパッケージングの分解図である。
図2】タンクの斜視図である。
図3図1の組み立てられたパッケージングの断面図である。
図4】そのパッケージングにおける医療デバイスの斜視図である。
図5】1つの実施形態に従った排出方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
医療デバイスは、チタンのような、生体適合性材料で作られたケーシングを含む。
【0025】
ケーシングは、生体適合性流体のリザーバ(貯槽)を含み、リザーバと医療デバイスに対して外部の環境との間の流体接続部を形成する流体出口を備える。前記流体出口は、特に、ケーシングに対して外部の要素との流体接続部を提供する管組織(tubing)に接続されてよい。
【0026】
1つの実施形態によれば、リザーバは、アクチュエータによって駆動される可動壁を含み、アクチュエータの動きは、制御された方法でリザーバの容積を変化させることを可能にする。この容積変動は、流体がリザーバから流体出口へ或いは流体出口からリザーバへ移動されることを可能にする。
【0027】
特に有利には、アクチュエータは、電気機械アクチュエータであり、電気機械アクチュエータは、可動壁を決定された距離だけ移動させるよう制御ユニットによって制御される。制御ユニットは、ケーシング内に配置されることができる。よって、医療デバイスは、その機能を遂行するために開業医による行為(アクション)を必要としないという点で自律的である。
【0028】
更に、デバイスは、有利には、単一の流体出口と、リザーバと流体出口との間の単一の流体回路とを含む。
【0029】
幾つかの用途において、医療デバイスは、解剖学的ダクトに対して圧縮力を作用させることによって解剖学的ダクトを選択的に閉鎖するための、人工括約筋である。特に、医療デバイスは、人工尿道括約筋であってよい。
【0030】
そのようなデバイスにおいて、管組織によってケーシングの流体出口に接続された閉塞カフを用いて解剖学的ダクトに圧縮が加えられる。電気機械アクチュエータは、カフによって加えられる圧縮を調整するために、可動壁を移動させることによって、流体がリザーバからカフに或いはカフからリザーバに移送されることを可能にする。
【0031】
そのような医療デバイスの例は、特許文献1に記載されている。
【0032】
そのようなデバイスは、患者による反復手動操作のない制御可能な自律的操作を有する点で、患者によって手動操作可能なポンプと、圧力調節バルーンと、カフとを含む、人工括約筋とは異なる。
【0033】
他の用途において、医療デバイスは、人工筋肉、電気刺激器、胃バンド、神経刺激器、又は陰茎インプラント(非限定的なリスト)であってよい。
【0034】
医療デバイスの製造場所と医療デバイスが患者に埋め込まれる手術室との間で、医療デバイスはパッケージング(packaging)内に配置される。前記パッケージングは、医療デバイスを外部汚染から保護することによって滅菌状態を維持し且つ医療デバイスを衝撃から保護するように適合される。パッケージング内で、医療デバイスは、生体適合性流体が空の状態にあり、流体回路の充填は、手術室内においてのみ行われる。
【0035】
後述のように、前記パッケージングは、流体回路が、手術室内の開業医が医療デバイスを取り扱うことなく排出される (空にされる)ことを可能にするように、更に適合される。
【0036】
パッケージングは、第1に、タンクを含み、医療デバイスは、タンク内でいわゆる垂直位置に保持される。すなわち、リザーバは、タンクの底と流体出口との間に位置付けられる。
【0037】
タンクは、水平な底と、側壁と、垂直方向において底とは反対側の上面とを含む。
【0038】
タンクは、タンクが生体適合性流体で充填されることを可能にするように構成された少なくとも1つの開口を含む。
【0039】
医療デバイスの流体出口は、前記開口より下に位置するので、タンクが充填されるとき、流体出口を含む医療デバイス全体は、流体内に浸漬される。
【0040】
タンクを生体適合性流体で充填することが排出方法を実施するのに十分であることを確実にするために、タンクは、有利には、タンクの頂部に配置された視覚的な液体レベルインジケータを含むことができる。有利には、タンクの容積及びインジケータの位置は、デバイスタンクの充填を可能にするように選択され且つ寸法決定されている。
【0041】
代替的に、この流体が溢れ出ることを調節し且つ過充填を回避するために、タンクは、生体適合性流体のオーバーフローを受け入れるために頂部にキャビティを含むことができる。
【0042】
医療デバイスは、タンクの底、側壁及び/又は上面に配置された第1の保持要素によって、垂直位置に保持される。
【0043】
1つの実施形態によれば、前記第1の保持要素は、ハウジングの形態にあり、その寸法は、ケーシングを損傷することなく、ケーシングを所望の位置に保持するよう、僅かなクランプ作用を加えることによって、ケーシングの一部分を受け入れるように適合される。
【0044】
有利には、前記ハウジングは、タンクの底に配置される。
【0045】
好ましい例示的な実施形態によれば、タンクは、例えば、プラスチック材料を成形又は形成によって作られ、ハウジングは、成形又は形成によってタンクの底に一体化される。ハウジングは、例えば、ケーシングの幅によって離間された2つの平行な仕切り(パーティション)の形態にあってよい。
【0046】
幾つかの実施形態において、医療デバイスは、流体出口と流体接続した管組織と共にパッケージ化されてよい。この場合、タンクは、有利には、管組織の一部分を流体出口より下に保持するために、タンクの底及び/又は側壁に配置された第2の保持要素を含む。
【0047】
有利には、前記第2の保持要素は、ケーシングハウジングに対して平行なタンクの底に配置されたハウジングの形態にある。このハウジングは、例えば、管組織の直径によって離間した2つの平行な仕切りの形態にあってよい。
【0048】
図に表された1つの適合された実施形態によれば、タンクは、4側面の側壁と底とを含む平行六面体の形状を有し、底とは反対側の面は、開放されている。しかしながら、この特定の形状は、決して限定的なものではない。
【0049】
よって、図示しない他の例示的な実施形態によれば、タンクは、例えば、円筒形の側壁及び円形の底を備える、円筒形の形状のような、任意の他の形状を有してよい。
【0050】
特に有利には、タンクの底は、タンクの安定性を確保するために、特に医療デバイスが排出されるときにタンクが転倒するのを避けるために、水平面内の2つの直交方向において実質的に同一の寸法を有する。
【0051】
図示しない幾つかの実施形態によれば、タンクの開口は、好ましくは医療デバイスの流体出口より上方となるように、側壁の上部において、タンクの上面ではなく、タンクの側壁に配置されてよい。
【0052】
いずれの場合においても、タンクの底が水平な平面内に延在するときに、タンクを少なくとも医療デバイスの流体出口のレベルまで、好ましくは前記出口より上方まで生体適合性流体で充填することができるように、タンクは寸法決定され、開口は配置される。よって、排出後に、タンクと流体出口との間に延在する流体回路全体を生体適合性流体で充填することができ、最初に存在する空気を排出することができる。
【0053】
有利には、パッケージングは、開口を少なくとも部分的に閉じるように、タンクから取り外し可能なカバーを更に含む。カバーは、例えば、摩擦又はスナップ嵌めによって、好ましくは、側壁にスナップ嵌めされ、側壁に保持される。
【0054】
好ましい実施形態によれば、カバーは、側壁の一部分のみに固定されるように構成され、カバーは、側壁から離れた少なくとも1つの把持ゾーンを有する。例えば、カバーは、開業医の指がカバーを把持するのを容易にするための通路を形成するよう、側壁と側壁から凹んだ部分とによって画定される開口の形状に一致する部分を有する輪郭を有してよい。
【0055】
特に有利には、カバーは、医療デバイスを垂直位置に保持するように適合された別の保持要素を有する。この保持要素は、タンク内に形成されたハウジングに面して配置されたハウジングの形態にあってよい。よって、医療デバイスは、2つの場所で垂直位置に保持され、それは特にその輸送にその安定性を向上させる。
【0056】
タンクと同様に、カバーは、プラスチック材料を成形又は形成することによって作られることができ、ハウジングは、成形又は形成によってカバーの内側に一体化される。ハウジングは、例えば、ケーシングの幅によって離間された2つの平行な仕切りの形態にあってよい。
【0057】
幾つかの実施形態において、パッケージングは、タンクを収容するためのタブ(槽)(tub)を含む。タブは、衝撃に対する医療デバイスの追加的な保護をもたらす。有利には、タブは、タンクのための滅菌された囲いも形成し、それによって、外部汚染物からの医療デバイスの保護を改良する。好ましくは、埋め込み処置の間に、タブは、タンクをタブから抜き出して滅菌野に通すことができるように、手術室の滅菌野の外側で取り扱われることができ、開放されることができる。次に、タンクは開放されて、滅菌野内で開業医によって取り扱われる。更に、以下に説明するように、タブは、生体適合性流体で充填されることによって、排出方法で使用されることができる。
【0058】
医療デバイスのパッキング(packing)方法は、図1に図示するパッケージングを用いて、以下のように実施されることができる。
【0059】
組み立てられた医療デバイス1は、タンク2内に配置される。この目的のために、医療デバイスは、タンク内に設けられた保持要素に係入して、リザーバより上に流体出口を有する前記デバイスを保持する。流体出口が管組織に接続されるとき、前記管組織は、好ましくは、タンク内に設けられた保持要素にも係入して、タンクの底で前記管組織を保持する。
【0060】
図2を参照すると、タンク2は、底20と、底20から実質的に垂直に延びる側壁21とを含む。底部20の反対側で、側壁21は、水平な平面内で外向きに延びるエッジ22を有する。前記エッジ22は、開口24を備えるタンクの上面を画定する。
【0061】
医療デバイス1は、(図3に点線で示す)生体適合性流体リザーバ13が配置されるケーシング11を含む。医療デバイス1は、ケーシング11に接続され且つリザーバ13と流体接続される流体出口12を更に含む。流体出口12は、リザーバとケーシングの外側との間の流体接続を提供する。流体出口12は、埋め込み中に閉塞カフに接続される管組織10に接続される。
【0062】
側壁21の高さは、その垂直パッキング位置における医療デバイスの高さよりも大きい。よって、図3に図示するように、医療デバイス1がタンク2内に配置されるとき、医療デバイスは、タンク2内に完全に収容される。流体出口12は、開口24より下に配置されるので、流体出口は、タンクが充填されるときに、流体で覆われることができる。リザーバ13は、医療デバイスがタンク内に配置されるときに、流体出口12より下に配置される。
【0063】
底20は、タンクの安定性を確保するために、実質的に正方形の形状を有する。
【0064】
タンク2の底20は、医療デバイスを垂直位置に保持するように適合されたハウジング201を含む。ハウジング201は、側面の1つに対して平行な、底20に形成されたキャビティとして画定され、底20の1つの側面の中央と反対側の側面の中央との間に実質的に延在する。ハウジングの場所は、医療デバイスがハウジング内に配置され、タンクが生体適合性流体で充填されるときに、タンク-医療デバイスアセンブリの安定性を確保するために、底の中央領域にある。前記ハウジングの幅は、医療デバイスが前記ハウジング内に挿入されて保持されることを可能にするために、前記医療デバイスの幅と実質的に等しい。ハウジングの深さは、ケーシング11の如何なる転倒も避けるように選択され、5~15mmの深さがこの機能には適合される。
【0065】
特に有利には、ハウジング201は、2つのペアの丸められた突起(図示せず)を備え、突起の各ペアは、ハウジング201の幅方向に互いに面し合って配置される。突起の各ペアは、ハウジング201の幅を局所的に制限し、それによって、医療デバイスに対して僅かなクランプ作用を及ぼして、医療デバイスを所定の位置に保持する。
【0066】
タンクの底20は、医療デバイスの管組織10のためのハウジング203を更に含む。前記ハウジングの幅は、管組織の直径に実質的に等しい。前記ハウジングは、底20に対して隆起した2つの平行なスタッド204の形態にある。有利には、ハウジング201に関して、スタッドは、ハウジング203の幅方向に互いに対向する丸められた突起のペア(図示せず)を有する。前記突起のペアは、ハウジング203の幅を局所的に制限し、よって、管組織に対して僅かなクランプ作用を及ぼす。有利には、ハウジング203は、ハウジング201に対して平行である。
【0067】
代替的に、ハウジング201は、タンクの底に関して隆起した、互いに対向するスタッドの1つ以上のペアによって画定されることができる。ハウジング203に関して、それはタンクの底におけるキャビティとして定義されることができる。医療デバイスを垂直位置に保持するように適合された任意の他の形状を使用することができる。
【0068】
カバー3は、タンク2の上に配置される。次に、医療デバイスは、タンクより上の流体出口を有する前記デバイスを保持するためにカバーに設けられた保持要素に係合される。
【0069】
例えば、カバーは、ハウジング201に面して、カバー内に形成されるハウジング30を含んでよい。ハウジング30は、カバーの内面に対する2つの隆起したスタッドによって、或いはカバーの内面に形成された凹み(hollow)として画定されてよい。ハウジング30の幅は、垂直位置における医療デバイス1の上部の幅と実質的に等しい。
【0070】
有利には、カバー3は、実質的に十字形である。その結果、カバーは、タンク2の上方開口の一部分のみを閉じ、開口部は、開業医が把持ゾーン31でカバーを把持するように適合されたタンクの隅にある開口を残す。
【0071】
カバー3のエッジ及び側壁21のそれぞれの形状及び寸法は、カバーがタンクにスナップ嵌めされることを可能にするように選択される。特に、側壁21は、その上部に、カバー3のそれぞれのエッジを保持するように適合されたリム25を含んでよい。
【0072】
次に、滅菌ガスを透過させる第1のシート4、例えば、Tyvek(TM)で作られた内側シールが、タンクの上方エッジ22にシール(封止)される。
【0073】
次に、タンク2は、タブ5内に配置される。
【0074】
タブ5は、タンク2と類似の形状を有するが、より大きな寸法を有する。好ましくは、タブ5は、パッケージングの全体的なサイズを最小限に抑えるために、タンク2とタブ5との間の自由空間を最小限に抑えながら、タンク2を完全に受け入れるのに十分なサイズを有する。
【0075】
タブ5は、実質的に平面的な底50と、底50から実質的に垂直に延びる側壁とを有する。底50の反対側で、側壁51は、水平な平面内に外向きに延びるエッジ52を有する。前記エッジ52は、中央開口を備えるタブの上面を画定する。
【0076】
有利には、タブ5は、タンク2のエッジ22のための支持を提供する内側リム53を有する。
【0077】
タンクの底20と同様に、タブ5の底50は、タブの良好な安定性を確保するために、実質的に正方形である。
【0078】
次に、Tyvek(TM)で作られた内側シールのような、滅菌ガスを透過させる第2のシート6が、タブ5の上方エッジ52にシールされる。
【0079】
よって、シールされたパッケージングは、任意の適合された手段によって滅菌され、次に、外側エンベロープを構成するボックス(図示せず)内にパッケージングされ、医療デバイスは、外側エンベロープ内で、患者内の埋め込みのために開業医に送達される。
【0080】
この埋め込みのために、開業医は、ボックスからパッケージングを取り出し、第2のシーリングシートを取り外し、タンクを取り出し、次に、第1のシーリングシートを取り外す。
【0081】
一般的に言えば、医療デバイスを排出する方法は、以下のステップを含み、そのシーケンスは、図5に図示されている。
- ステップ100において、開業医は、図4に図示すように、ケーシングがタンク内でパッケージングされた垂直位置において、ケーシングがタンク内に保持された状態で、デバイスをタンク内に配置させる。よって、リザーバは、タンクの底と流体出口との間に位置付けられる。
- ステップ200において、開業医は、タンクを生体適合性流体で充填するので、タンクの流体出口と流体接続する医療デバイスに対して外部のパッケージングのゾーンが、流体内に浸漬される。
- ステップ300において、医療デバイスを排出することが行われて、生体適合性流体でのタンクの充填及び流体回路内に最初に存在するあらゆる空気の抽出を可能にする。
【0082】
これらの様々なステップは、以下により詳細に記載される。
【0083】
1つの実施形態によれば、開業医は、生体適合性流体でタンクを満たすために、タンクをタブから取り出す。
【0084】
この充填及び排出を行うために、開業医は、タンクの底が水平であることを確実にしなければならない。
【0085】
タンクの底の水平性は、タンクの底を、テーブルのような、平面的な水平面の上に置くことによって確実にされることができる。
【0086】
この水平性は、適切なインジケータを用いて確認されることができる。例えば、そのような水平性インジケータは、タンク内の水位の水平性のインジケータであってよい。そのようなインジケータは、例えば、成形によって或いは印刷によってさえも直接的に形成され、底に対して平行に、タンクの上部に配置される、例えば、タンク内に形成された1つ以上のセグメントの形態にあってよい。そのようなインジケータは、効果的な排出を可能にするために、生体適合性流体をタンク内にどれだけ高く注入すべきかを開業医に示す、開業医のための充填インジケータとしても役立つ。図2は、側壁21の内側の水平な平面内に延在する中空の又は隆起した内部ライン23の形態にあるそのような水平性インジケータの実施形態を図示している。好ましくは、前記内部ライン23は、側壁21の幾つかの側面上に連続的又は不連続的に延在する。
【0087】
タンクの底の水平度の表示(indication)は、医療デバイス自体によっても提供されてもよい。実際には、デバイスは、一般的に、医療デバイスが埋め込まれるときに患者の姿勢又は活動を決定するために使用されることができる、ケーシング内に配置される加速度計を含む。ケーシングは、タンクの底に対して決定された向き(通常は垂直方向)でタンクの底と一体化されるので、加速度計は、タンクの底の傾斜の表示を提供することができる。
【0088】
代替的又は追加的に、この水平性は、流体で充填された容器内にタンクを配置することによって確実にされることができる。この場合、タンクは、タンクが排出のために意図される位置に医療デバイスを収容するときに、医療デバイスが容器内で浮かぶ一方で、医療デバイスの流体出口をタンクより上に保持するように、寸法決定される。
【0089】
タンクがパッケージング内に配置されるタブは、この目的のために容器として使用されることがある。
【0090】
次に、開業医は、医療デバイスの動作のために意図される生体適合性流体でタンクを充填する。前記流体は、例えば、生理食塩水であってよい。
【0091】
次に、開業医は、医療デバイスのアクチュエータを作動させて、リザーバと流体出口との間に延在する流体回路内に存在する空気を、存在するならば、管組織内に放出し、前記流体回路及び管組織を生体適合性流体で充填する。アクチュエータは、数回、例えば、3回アクティブ化(起動)され、リザーバの可動壁を移動させて、リザーバの容積を変化させ、よって、流体回路が完全に排出される(流体出口から流出する気泡がなくなる)まで、ポンピング動作を加えることができる。
【0092】
アクチュエータのこのアクティブ化(起動)は、医療デバイス自体の取扱いを必要としない。実際には、医療デバイスは、外部リモートコントロールとの無線通信手段を含み、それはデバイスをパラメータ化し、デバイスにアクティブ化命令又は非アクティブ化命令を送ることを可能にする。
【0093】
排出がひとたび完了すると、開業医は、流体出口又は存在するならば管組織の端を閉じ、埋め込み作業のために医療デバイスをタンクから取り出すことができる。
【0094】
よって、埋め込みに先立って、開業医は、医療デバイスに触れておらず、よって、デバイスの汚染のリスクを回避又は少なくとも最小限に抑える。
【0095】
加えて、開業医のインターベンション(介入)は、排出プロセスの間に必要とされない。実際には、排出がひとたび開始されると、デバイスのアクチュエータは、生体適合性流体を吸引し、空気を放出する。これは開業医が埋め込み準備のような他のタスクに焦点を合わせることを可能にする。よって、手術時間を有意に短縮することができる。
【0096】
最後に、排出プロセスが自動的であるという事実は、方法の信頼性を高める。
【0097】
上述の実施形態は、具体的且つ非限定的な例であること及び本発明から逸脱することなく様々な修正を行い得ることが理解されよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】国際公開WO2016/083428号
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】