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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】液剤を送達するための注射装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20230207BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/315
A61M5/20 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536737
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2020085280
(87)【国際公開番号】W WO2021122223
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19217358.1
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘミングセン, ハンス
(72)【発明者】
【氏名】クヴォルスビェア, ボ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC08
4C066DD13
4C066EE06
4C066FF06
4C066HH14
4C066LL26
4C066PP02
4C066QQ31
(57)【要約】
本発明は、ハウジング構造内に埋め込まれた取り外せないカートリッジを有する予め充填された注射装置であって、ピストンロッド駆動機構が、ハウジング構造に固設されたナット内で螺旋状に移動する、ねじ込み式ピストンロッドを備える、予め充填された注射装置に関する。注射装置を組み立てる間、組み立てる間に駆動機構のナット要素を軸方向に移動させることによって、カートリッジ内のプランジャとピストンロッド手段との間のエアギャップを排除することが可能である。代替的な解決策では、ピストンロッドは、ピストンロッドに対して軸方向に摺動してゼロ位置を得ることができる伸縮自在な要素を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤を送達するための予め充填された注射装置であって、
遠位方向および近位方向を規定する長手方向軸(X)に沿って延び、移動可能なプランジャ(7)を有するカートリッジ(5)が永久的に埋め込まれている、ハウジング構造と、
分注中に前記移動可能なプランジャ(7)を前進させるためのピストンロッド手段(60、85)であって、前記ピストンロッド手段(60、85)が、外ねじ(61)および長手方向軌道構造(62)を有する、ピストンロッド手段(60、85)と、
回転可能な駆動要素(70)であって、前記ピストンロッド手段(60、85)の前記長手方向軌道構造(62)と係合し、そのため、前記駆動要素(70)の回転が前記ピストンロッド(60)の回転に伝達される、回転可能な駆動要素(70)と、
前記ピストンロッド手段(60、85)の前記外ねじ(61)と係合する内ねじ(112)を有するナット要素(111)と、を備え、
前記ナット要素(111)が、以下の2つの異なる状態:
-前記ナット要素(111)が前記ハウジング構造に対して軸方向に摺動可能に配置されている第1の状態、および
-前記ナット要素(111)が前記移動可能なプランジャに当接し、かつハウジング構造に永久的に固設されている第2の状態、で動作し、
前記ナット要素(111)が、前記第1の状態では、前記ハウジング構造に対して軸方向に前記ナット要素(111)を付勢することができる弾性接合面(113、116)を介して前記ハウジング構造と係合し、そのため、前記ピストンロッド手段(60、85)が、前記移動可能なプランジャ(7)に当接することと、
前記ナット要素(111)が、前記第2の状態では、前記ハウジング構造に永久的に固設されており、そのため、前記ピストンロッド手段(60、85)が、回転時に前記ナット部材(111)および前記ハウジング構造に対して螺旋状に移動することと、を特徴とする、予め充填された注射装置。
【請求項2】
前記ナット要素(111)が、溶接によって前記ハウジング構造に永久的に固設されている、請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記弾性接合面(113、102)が、いくつかの可撓性アーム(113)を備える、請求項1または2に記載の注射装置。
【請求項4】
前記可撓性アーム(113)が、半径方向の弾性を有し、前記ナット要素(111)と前記ハウジング構造との間で動作可能である、請求項3に記載の注射装置。
【請求項5】
前記可撓性アーム(113)が、前記ナット要素(111)上に提供されており、前記ハウジング構造の内表面に当接する、請求項3または4に記載の注射装置。
【請求項6】
前記可撓性アーム(113)に当接する前記内表面が、溝(116)として形成されている、請求項5に記載の注射装置。
【請求項7】
前記グローブ(116)が、前記遠位方向に角度付けされた、傾斜した底部を有する、請求項6に記載の注射装置。
【請求項8】
前記ピストンロッド手段(60、85)が、ピストンロッド(60)およびピストンロッド足部(85)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の注射装置。
【請求項9】
前記ハウジング構造が、レーザービーム(「L」)のための通路(14)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の注射装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の注射装置を組み立てるための方法であって、前記方法が、
・前記ナット部材(111)およびピストンロッド手段(60、85)を互いに対して回転させることによって、前記ナット部材(111)および前記ピストンロッド手段(60、85)をねじ係合する工程と、
・前記ナット部材(111)を前記ピストンロッド手段(60、85)と一緒に、前記ハウジング構造に対して並進させる工程と、
・少なくとも前記カートリッジ(5)の近位部品を前記プランジャ(7)と一緒に、前記ハウジング構造に挿入する工程と、
・前記カートリッジ(5)を前記プランジャ(7)と一緒に、前記カートリッジ(5)内側の前記プランジャ(7)が前記ピストンロッド手段(60、85)に当接する位置へと近位側に移動させる工程と、
・この位置で、前記ナット要素(111)を前記ハウジング構造に固設する工程と、を含む、方法。
【請求項11】
前記ナット要素(111)の前記少なくとも1つの可撓性アーム(113)は、前記カートリッジ(5)内側の前記プランジャ(7)が前記ピストンロッド手段(60、85)に当接する前記位置で、前記ハウジング構造に溶接される、請求項10に記載の注射装置を組み立てるための方法。
【請求項12】
液剤を送達するための予め充填された注射装置であって、
遠位方向および近位方向を規定する長手方向軸(X)に沿って延び、移動可能なプランジャ(7)を有するカートリッジ(5)が永久的に埋め込まれている、ハウジング構造と、
分注中に前記移動可能なプランジャ(7)を前進させるための、ピストンロッド足部(85)を有するピストンロッド(60)であって、前記ピストンロッド(60)が、外ねじ(61)および長手方向軌道構造(62)を有する、ピストンロッド(60)と、
回転可能な駆動要素(70)であって、前記ピストンロッド(60)の前記長手方向軌道構造(62)と係合し、そのため、前記回転可能な駆動要素(70)の回転が前記ピストンロッド(60)の回転に伝達される、回転可能な駆動要素(70)と、
前記ピストンロッド(60)の前記外ねじ(61)と係合するための内ねじ(12)を有するナット要素(11)と、を備え、
前記ピストンロッド足部(85)が、伸縮自在な要素(100)に接続されて軸方向に固定され、前記伸縮自在な要素(100)が、以下の2つの異なる状態:
-前記伸縮自在な要素(100)が前記ピストンロッド(60)に対して軸方向に摺動可能に配置されている第1の状態、および
-前記伸縮自在な要素(100)がピストンロッド(60)に永久的に固設されている第2の状態、で動作することと、
前記伸縮自在な要素(100)が、前記第1の状態では、前記長手方向軸(X)に沿って延びる、前記ピストンロッド(60)内の長手方向通路(106)と非回転式に係合することと、
前記伸縮自在な要素(100)が、前記第2の状態では、前記ピストンロッド(60)に永久的に固設されていることと、を特徴とする、予め充填された注射装置。
【請求項13】
前記伸縮自在な要素(100)が、溶接、好ましくはレーザー溶接によって、前記ピストンロッド(60)に永久的に固設されている、請求項12に記載の注射装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の注射装置を組み立てるための方法であって、前記方法が、
・軸方向連結部で、前記伸縮自在な要素(100)およびピストンロッド足部(85)を係合する工程と、
・前記ピストンロッド(60)内の前記長手方向通路(106)に前記伸縮自在な要素(100)を挿入する工程と、
・前記カートリッジ(5)内側の前記プランジャ(7)と前記ピストンロッド足部(85)との間に物理的接触を確立する工程と、
・この位置で、前記伸縮自在な要素(100)を前記ピストンロッド(60)に固設する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の注射装置を組み立てるための方法であって、
前記ピストンロッド足部(85)を運ぶ前記伸縮自在な要素(100)は、前記カートリッジ(5)内側の前記プランジャ(7)が前記ピストンロッド足部(85)に当接する前記位置において、前記ピストンロッド(60)に溶接、好ましくはレーザー溶接される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤を、好ましくは1つ以上の用量の液剤の形態で送達するための予め充填された注射装置に関する。本発明は特に、かかる注射装置であって、容器内側でプランジャを前に移動するピストンロッドとプランジャ自体との間に生じる距離が、注射装置を組み立てる間に最小限に抑えられている、注射装置に関する。
【0002】
第2の態様では、本発明は、かかる注射装置を組み立てるための方法に関する。
【0003】
さらに、本発明は、代替的な解決策、およびこの代替的な解決策を行うための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
注射装置は広く知られており、多種多様な異なる疾患の治療に使用され、特に糖尿病の領域内で使用される。非常に一般的なタイプの注射装置は、いわゆる使い捨てまたは予め充填された注射装置である。このタイプの注射装置は通常、注射される所定の量の液剤を保持するカートリッジを収容し、カートリッジは、注射装置内に交換不可能に埋め込まれている。したがって、封入されたカートリッジ内に収容された内容量が使用されると、ユーザは、好ましくはリサイクルのために装置全体を廃棄する。ほぼ古典的な予め充填された注射装置は、[特許文献1]にさらに詳細に記載されており、かつ[特許文献1]の図11図17に詳細に開示されている、Novo Nordisk A/SからのFlexPen(登録商標)である。この注射装置は、3mlの液剤を収容するカートリッジを固設するカートリッジホルダを含むハウジング構造を備える。
【0005】
かかる予め充填された注射装置を生産する際、比較的大きい数の異なる許容誤差が適用される。注射装置を構成する異なる部品を成形する際に、様々な許容誤差がある。個々の部品を永久的に接続する様々なクリックアンドスナップ接続に許容誤差があり、カートリッジ内に液剤を充填する際の許容誤差がある。
【0006】
これらすべての許容誤差の結果として、組み立てられた注射装置は通常、カートリッジ内側のプランジャとピストンロッドとの間の個々の距離でエンドユーザに送達される。この距離は、エアギャップと呼ばれる。液剤の用量を注射するために注射装置の使用を開始する前に、ユーザは、エアギャップを除去する必要があり、エアギャップの除去は通常、小さな用量を設定して吐出することによって行われ、これにより、これ以降、任意の液剤を実際に吐出することなく、ピストンロッドが前に移動する。このプロセスは、しばしば、注射装置の初期プライミングと呼ばれる。したがって、最初の数個の空の用量吐出により、ピストンロッドが移動してプランジャと当接し、プランジャとピストンロッドとの間に物理的接触が確立されているときにのみ、実際に液剤が吐出され、設定された用量サイズが正しく吐出されることになる。
【0007】
最近、新しいタイプの予め充填された注射装置が開発された。これらの新しい注射装置は、限定された予め規定された数の用量体積を排出することができ、用量体積は、注射装置の製造業者によって予め決定されており、かつ体積が等しい。この新しいタイプの注射装置は、「複数回使用固定用量」注射装置と呼ばれる。かかる固定用量注射装置を使用する場合、ユーザは、すべての用量体積が固定用量装置の生産者によって予め決定され、かつ予め設定されているため、少量の用量を設定および吐出することは不可能である。かかる複数回使用固定用量装置の例は、[特許文献2]に提供されている。かかる注射装置は、液体GLP-1薬剤を注射するのに非常に適しており、通常、固定された用量体積で注射され、典型的には、1日1回または週1回投与される。
【0008】
注射装置をプライミングするプロセスを回避するために、多種多様な異なる解決策が提案されている。
【0009】
[特許文献3]では、ピストンロッド足部を提供することが提案されており、ピストンロッド足部は、注射装置を組み立てる間にピストンロッドに対して軸方向に摺動させ、組立プロセスにおいてピストンロッド足部とプランジャとの間の接触が確立された位置でピストンロッドに物理的に接続することができる。本公開はさらに、方法であって、ハウジング構造が、2つの部品を備え、2つの部品が、第1の状態では軸方向に摺動され、第2の状態では互いに永久的に固設されている、方法を記載している。第1の状態は、注射装置を組み立てる間の状態であり、第2の状態は、注射装置の最終的な未使用の送達状態である。
【0010】
[特許文献4]は、方法であって、ピストンロッドにねじ込まれた調節部材が、注射を組み立てる間にハウジング構造に対して回転し、そのため、ピストンロッドが前に移動してプランジャと接触する、方法について記載している。ピストンロッドとプランジャとの間に接触が確立されると、この調節部材は、ハウジング構造に物理的に固設される。その後、注射が行われると、調節部材は、回転中に回転可能なピストンロッドを螺旋状に前進させるための従来のナット要素として動作する。
【0011】
ナット要素が正しい位置へと移動し、その位置でハウジング構造に物理的に固設される、類似の方法が、
【特許文献5】に開示されている。この解決策では、ピストンロッドおよびナット部材は、ナット要素をピストンロッドと一緒に、ハウジング構造のカートリッジホルダ部品に対して軸方向に位置付けた後に予め組み立てられる。ピストンロッドが正しい当接位置にある場合、ナット部材は、例えば、溶接によって、カートリッジホルダ部品に永久的に接続される。
【0012】
しかしながら、これらの先行技術の方法はすべて、かなり煩雑であり、非常に専門的な組立プロセスを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第1999/38554号
【特許文献2】国際公開第2018/007259号
【特許文献3】国際公開第2009/095332号
【特許文献4】欧州特許第2,968,777号
【特許文献5】国際公開第2017/001694号
【発明の概要】
【0014】
大量生産に適した非常に単純な方法でエアギャップを最小限に抑えることができる注射装置を提供することが本発明の目的である。
【0015】
したがって、本発明の第1の態様では、液剤を、好ましくは用量で送達するための予め充填された注射装置が提供される。予め充填された注射装置は、
・遠位方向および近位方向を規定する長手方向軸に沿って延び、カートリッジが永久的に埋め込まれている、ハウジング構造であって、カートリッジが、移動可能なプランジャをさらに備えて提供されている、ハウジング構造と、
・分注中に移動可能なプランジャを前進させるためのピストンロッド手段であって、ピストンロッド手段が、外ねじおよび長手方向軌道構造を有する、ピストンロッド手段と、
・回転可能な駆動要素であって、ピストンロッド手段の長手方向軌道構造と係合し、そのため、駆動要素の回転がピストンロッドの回転に伝達される、回転可能な駆動要素と、
・ピストンロッド手段の外ねじと係合するための内ねじを有するナット要素と、を備え、
・ナット要素は、以下の2つの異なる状態:
・ナット要素がハウジング構造に対して軸方向に摺動可能に配置されている第1の状態、および
・ナット要素が移動可能なプランジャに当接し、かつハウジング構造に永久的に固設されている第2の状態を有する。
【0016】
第1の状態では、ナット要素は、ナット要素、ひいては、ピストンロッド手段をハウジング構造に対して軸方向に付勢することができる弾性接合面を介してハウジング構造と係合し、そのため、ピストンロッド手段が移動可能なプランジャに当接し、第2の状態では、ナット要素は、ハウジング構造に永久的に固設されており、そのため、ピストンロッドは、回転時にナット部材およびハウジング構造に対して螺旋状に移動する。
【0017】
したがって、最初にナット要素およびピストンロッド手段を予め組み立て、その後、正しい位置が得られて維持されるまで、ハウジング構造に対してナット要素を摺動させることが可能である。
【0018】
この正しい位置、すなわち、ピストンロッド手段がカートリッジ内側のプランジャに当接する位置において、ナット要素は、ハウジングに固設されている。
【0019】
これ以降、注射装置を組み立てる間に、ピストンロッド足部とプランジャとの間の物理的接触が各個々の注射装置に対して個々に得られることが保証される。
【0020】
上記の原理は、ハウジング構造とともに運ばれるか、または別様にハウジング構造に関連付けられたねじ込み式ナット要素に対してピストンロッドを回転させることによって、ねじ込み式ピストンロッドがカートリッジ内側を前進する、任意の種類の予め充填された注射装置に使用することができる。
【0021】
本出願全体を通して、および特に説明のより詳細な部分で使用される実施例の多くは、いわゆる予め充填された複数回使用固定用量注射装置に関するが、本出願の全般的な教示は、広範囲の異なる予め充填された注射装置に適しており、特定の実施例に決して限定されるものではないことが特に留意される。より具体的には、添付の特許請求の範囲において請求される発明は、使用される実施例に決して限定されるものではない。
【0022】
添付の特許請求の範囲によって網羅される広範囲の予め充填された注射装置はまた、用量設定機構を有する予め充填された注射装置であり、用量設定機構によって、ユーザは、排出行為のたびに排出される様々な個々の用量サイズを設定することができる。
【0023】
ナット要素とハウジングとの間の永久的な接続は、多くの異なる方法で得ることができるが、溶接、および特にレーザー溶接が好ましい。
【0024】
弾性接合面は好ましくは、半径方向の弾性を有し、ナット要素とハウジング構造との間で動作可能である、1つ以上の可撓性アームを含む。
【0025】
可撓性アームは好ましくは、ナット要素上に提供されており、ハウジング構造の内表面に当接する。
【0026】
さらに、可撓性アームは、ハウジング構造内の内表面に当接し、内表面は、いくつかの溝を備え、これらの溝のうちの1つ以上は、遠位方向に角度付けされた、傾斜した底部を備えて提供され得る。角度は、ナット部材内側の内ねじによって係合されたピストンロッド手段が、カートリッジ内側の移動可能なプランジャに押し付けられるような角度が好ましい。
【0027】
予め組み立てられたナット要素およびピストンロッドが近位方向に押されると、可撓性アームの弾性は、溝のうちの少なくとも1つの傾斜した底面と組み合わされて、ナット要素を遠位方向に付勢する。
【0028】
カートリッジ内側のプランジャとの接触が得られると、これ以降、この可撓性の接続により、ナット要素がピストンロッド手段と一緒に遠位方向に付勢され、そのため、物理的接触が維持されることが保証される。
【0029】
上記において、ピストンロッド手段が、1つの実施例では、実際のピストンロッドおよびピストンロッド足部の両方を備えることが理解されるべきである。ピストンロッドは、ピストンロッドに対して回転し得るか、または調和して回転するようにピストンロッドに回転方向に固設され得る。したがって、ピストンロッド足部は、別個の部品であっても、ピストンロッドと一体成形されていてもよい。
【0030】
ナット要素とハウジング構造との間の接続は好ましくは、レーザービームをハウジング構造内の開口部を通して、ナット要素とハウジング構造を接続する表面上に方向付けることによって作り出される溶接である。
【0031】
本発明は、本明細書に規定される注射装置を組み立てるための方法にさらに関する。
【0032】
本方法は、
1.ナット部材およびピストンロッド手段を互いに対して回転させることによって、ナット部材およびピストンロッド手段をねじ係合する工程と、
2.ナット部材をピストンロッド手段と一緒に、ハウジング構造に対して並進させる工程と、
3.少なくともカートリッジの近位部品をプランジャと一緒に、ハウジング構造に挿入する工程と、
4.カートリッジをプランジャと一緒に、カートリッジ内側のプランジャがピストンロッド手段に当接する位置へとピストンロッド手段に対して移動させる工程と、
5.この位置で、ナット要素をハウジング構造に固設する工程と、を含む。
【0033】
1つの実施例では、本方法は、カートリッジ内側のプランジャがピストンロッド手段に当接する位置で、ナット要素の少なくとも1つの可撓性アームをハウジング構造に、好ましくはレーザー溶接によって溶接することをさらに含む。
【0034】
これ以降、本方法の全般的な概念は、ナット要素を第1の状態の位置に摺動させ、正しい位置にある場合に、ナット要素をハウジング構造に(例えば、レーザー溶接によって)永久的に接続することである。
【0035】
したがって、第2の状態では、ナット部材は、ハウジング構造に永久的に接続されており、このタイプの注射装置のためのよく知られているナット要素として動作する。
【0036】
代替的な実施例では、予め充填された注射装置は、
・遠位方向および近位方向を規定する長手方向軸(X)に沿って延び、移動可能なプランジャを有するカートリッジが永久的に埋め込まれている、ハウジング構造と、
・分注中に移動可能なプランジャを前進させるための、ピストンロッド足部を有するピストンロッドであって、ピストンロッドが、外ねじおよび長手方向軌道構造を有する、ピストンロッドと、
・回転可能な駆動要素であって、ピストンロッドの長手方向軌道構造と係合し、そのため、回転可能な駆動要素の回転がピストンロッドの回転に伝達される、回転可能な駆動要素と、
・ピストンロッドの外ねじと係合するための内ねじを有するナット要素と、を備える。
【0037】
この実施例では、ピストンロッド足部は、伸縮自在な要素に接続されて軸方向に固定され、伸縮自在な要素は、以下の2つの異なる状態:
-伸縮自在な要素がピストンロッドに対して軸方向に摺動可能に配置されている第1の状態、および
-伸縮自在な要素がピストンロッドに永久的に固設されている第2の状態、で動作し、
伸縮自在な要素は、第1の状態では、長手方向軸(X)に沿って延びる、ピストンロッド内の長手方向通路と非回転式に係合し、伸縮自在な要素は、第2の状態では、ピストンロッドに永久的に固設されている。
【0038】
これ以降、ピストンロッド足部は、伸縮自在な要素に接続され、伸縮自在な要素は、ピストンロッドに対して軸方向に摺動し、伸縮自在な要素に固定されたピストンロッド足部とカートリッジ内側のプランジャとの間に物理的接触が確立されたときにピストンロッドに永久的に接続される。
【0039】
永久的な接続は、伸縮自在な要素をピストンロッドに直接(例えば、レーザー溶接によって)溶接することによって行われることが好ましい。
【0040】
本発明は、かかる注射装置を組み立てるための方法をさらに含む。本方法は、
1.軸方向連結部で、伸縮自在な要素およびピストンロッド足部を係合する工程と、
2.ピストンロッド(60)内の長手方向通路に伸縮自在な要素を挿入する工程と、
3.カートリッジ内側のプランジャとピストンロッド足部との間に物理的接触を確立する工程と、
4.この位置で、伸縮自在な要素をピストンロッドに、例えば、溶接によって固設する工程と、を含む。
【0041】
定義:
「注射ペン」は典型的に、ものを書くためのペンに幾分似ている楕円形または細長い形状を有する注射器具である。かかるペンは通常、管状断面を有するが、三角形、長方形、もしくは正方形、またはこれらもしくは他の幾何学的形状に基づく任意の変化形状などの異なる断面を容易に有することができる。
【0042】
「針カニューレ」という用語は、注射中に皮膚の貫通を行う実際の導管を説明するために使用される。針カニューレは通常、例えば、ステンレス鋼などの金属材料から作製され、かつ好ましくは、好適な材料、例えば、ポリマーから作製されたハブに接続される。ただし、針カニューレは高分子材料またはガラス材料からも作製され得る。例えば、ハブ内に装着される針カニューレは、注射装置に交換可能または永久的にのいずれかで取り付けることができる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「液剤」という用語は、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液などの制御された方法で中空針カニューレなどの送達手段を通過することができる任意の薬剤含有流動性医薬品を包含することを意味する。代表的な薬剤としては、ペプチド、タンパク質(例えば、インスリン、インスリンアナログおよびC-ペプチド)、ならびにホルモンなどの医薬品、生物由来の活性薬または活性薬、ホルモンおよび遺伝子に基づく薬、栄養処方および固体(調剤)または液体形態の他の物質が挙げられ得る。
【0044】
「カートリッジ」とは、液剤を実際に収容する一次容器を説明するために使用される用語である。カートリッジは通常、ガラスから作製されるが、任意の好適なポリマーから成形することもできる。カートリッジまたはアンプルは、例えば、針カニューレの非患者側端によって穿刺することができる、「隔壁」と呼ばれる穿刺可能な膜によって一端で密封されることが好ましい。かかる隔壁は通常、自己密封式であり、これは、針カニューレを隔壁から取り外すと、貫通中に生成された開口部が固有の弾性によって自動的に密封されることを意味する。カートリッジの反対側の端は典型的には、ゴム組成物または好適なポリマーから作製されたプランジャまたはピストンによって閉止される。プランジャまたはピストンは、カートリッジの内側で摺動可能に移動することができる。穿刺可能な膜と移動可能なプランジャとの間の空間は、プランジャが液剤を保持する空間の体積を減少させる際に押し出される液剤を保持する。
【0045】
カートリッジは通常、内部にプランジャを移動することができない、狭い遠位首状部分を有するので、カートリッジ内側に収容される液剤のすべてを実際に排出することができるわけではない。したがって、「初期量」または「実質的に使用される」という用語は、カートリッジ内に収容された注射可能な内容量を指し、かつそれゆえ、必ずしも全内容量を指すものではない。カートリッジ内の注射可能な内容量は、排出される複数の所定のサイズ設定された用量体積を構成する体積と少なくとも等しくなければならない。1つの実施例では、複数回使用固定用量注射装置が、例えば、0.3mlの体積を各々が有する3つの固定用量を収容することになっている場合、カートリッジの注射可能な内容量は、少なくとも0.9mlである必要があり、カートリッジの全体積は、狭い首状部品により排出することができない体積も含むように、より大きくなければならない。
【0046】
「予め充填された」注射装置という用語は、注射装置を永久的に破壊することなく取り外すことができないように、液剤を収容するカートリッジが注射装置内に永久的に埋め込まれている注射装置を意味する。カートリッジ内の所定の量の液剤が使用されると、ユーザは通常、注射装置全体を廃棄する。通常、製造業者によって特定の量の液剤で充填されたカートリッジは、カートリッジを交換することができないように、後でハウジング構造内に永久的に接続されるカートリッジホルダ内に固定されている。
【0047】
これは、空になったときはいつもユーザ自身で液剤を収容するカートリッジに交換することができる、「耐久性」注射装置とは反対である。予め充填された注射装置は通常、2つ以上の注射装置を収容するパッケージ入りで販売されるが、耐久性注射装置は通常、一度に1つずつ販売される。予め充填された注射装置を使用するとき、平均的なユーザは年間50~100個の注射装置を必要とする可能性があり、一方で耐久性注射装置を使用する場合は、単一の注射装置を数年間使用できる可能性があるが、しかしながら平均的なユーザは年に50~100個の新しいカートリッジを必要とすることになる。
【0048】
「複数回使用固定用量」注射装置とは、体積が実質的に同一である、予め規定された複数の(すなわち、2つ以上の)用量を送達することができる注射装置を規定することを意味する。したがって、カートリッジ内に収容された液剤は、いくつかの実質的に同一の用量体積で排出される。1つの実施例では、カートリッジは、例えば、各々が0.5mlである6つの同一の用量で排出され得る、例えば、3mlの液剤を収容することができる。等しくサイズ設定された用量の数は、多くの場合、2~8つ、および好ましくは4~6つの同一の用量体積である。複数回使用固定用量注射装置は、予め規定された数の用量体積が排出された後に注射装置全体が廃棄されるように予め充填されているか、またはユーザがカートリッジを交換して、新しいカートリッジから、新しい一連の等しくサイズ設定された用量体積を排出することを可能にする耐久性注射装置であり得るかのいずれかであってもよい。
【0049】
注射装置と併せて「自動」という用語を使用する場合、これは、注射装置が投薬中に液剤を排出するのに必要な力を注射装置のユーザが送達しなくても、注射装置が注射を行うことができることを意味する。力は典型的には、電気モーター駆動またはばね駆動によって、(自動的に)送達される。ばね駆動用の実際のばねは、例えば、用量設定中にユーザによって引っ張られるが、かかるばねは通常、非常に小さい用量を送達する問題を回避するために、低い力で予め引っ張られる。代替的に、ばねは、いくつかの用量を通してカートリッジ内に収容された液剤の初期全内容量(すなわち、注射可能な内容量全体)を排出するのに十分な予め負荷された力が、製造業者によって完全に予め負荷されていてもよい。典型的には、注射を行う際、ユーザは、注射装置のハウジングの表面上または注射装置の近位端のいずれかに提供されている解放機構を稼働させて、ばね内に蓄積されている力の一部を部分的に解放する。代替的に、注射装置は、移動可能なシールドの稼働により、用量を排出するために必要な力を解放するように、シールドトリガ式であってもよい。
【0050】
本説明で使用される「永久的に接続された」または「永久的に埋め込まれた」という用語は、ハウジング構造内に永久的に埋め込まれた部品および特にカートリッジを分離するためには、工具の使用が必要となること、およびこれらの部品を分離した場合、これらの部品のうちの少なくとも1つが永久的に損傷し、それに伴って、注射装置が動作することができなくなることになることを意味することを意図する。
【0051】
本明細書に引用された刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考資料は、あたかも各参考資料が個別におよび具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に示されるのと同程度に、その全体が参照により組み込まれる。
【0052】
すべての見出しおよび小見出しは、本明細書では便宜上使用されているだけであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0053】
本明細書で提示するいっさいの例または例示的な語句(例えば「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明瞭にするという意図しかなく、特に明記しない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいずれの語句も、特許請求されないいかなる要素も本発明の実施に必須であることを示すと解釈すべきではない。
【0054】
本明細書の特許文書の引用および組み込みは、便宜上行われているだけであり、かかる特許文書の有効性、特許性および/または執行可能性のいっさいの観点を反映するものではない。
【0055】
本発明は、適用法により許可される範囲で、添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正および均等物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明を、好ましい実施形態に関連して、また図面を参照しながら、以下により詳細に説明する。
【0057】
図1図1は、本発明の1つの実施例による、ばね駆動式注射装置の分解組立図を示す。
図2A-2B】図2Aおよび図2Bは、図1のばね駆動式注射装置の断面図を示す。図2Bは、図2Aに対して90°回転させた図である。
図3図3は、ばね駆動式注射装置の近位部品の断面図を示しており、ピストンロッドが初期位置に位置付けられている。図3は、図4に対して90°回転させた図である。
図4図4は、ばね駆動式注射装置の近位部品の断面図を示しており、ピストンロッドが停止位置に位置付けられている。図4は、図3に対して90°回転させた図である。
図5A-5B】図5Aおよび図5Bは、ばね駆動式注射装置の近位部品のより詳細な断面図を示す。図5Bは、図5Aに対して90°回転させた図である。
図6A-6B】図6Aおよび図6Bは、異なる角度から見た駆動チューブの斜視図を示す。
図7A-7B】図7Aおよび図7Bは、反対側の端から見たコネクタの斜視図を示す。
図8図8は、ピストンロッドの斜視図を示す。
図9図9は、駆動チューブとハウジング構造内側のブリッジ構造との間の接合面の側面図を示す。
図10図10は、駆動チューブとハウジング構造との間の接合面の切り開き図を示す。
図11A-11C】図11A図11Cは、ハウジング構造のばね基部へのねじりばねの取り付けを示す。
図12図12は、第1の実施例による、ゼロ点調節のための、ピストンロッドおよびナット部材の分解組立図を示す。
図13図13は、第1の実施例におけるゼロ点調節の図を示す。
図14A-14B】図14Aおよび図14Bは、反対側の端から見たゼロ点調節ナット部材の斜視図を示す。
図15図15は、ハウジング部品の斜視図を示す。
図16図16は、ゼロ点調節のためのハウジング部品の切り開き部品を示す。
図17A-17B】図17Aおよび図17Bは、ゼロ点調節のための、ナット部材とハウジング部品との間の接合面の2つの切り開き画像を示す。
図18A-18C】図18A図18Cは、代替的なゼロ点調節の断面図を示す。
図19図19は、図18A図18Cに示される代替的な解決策のためのナット部材を示す。
図20図20は、第2の代替的なゼロ点調節のための代替的なピストンロッドを示す。
図21図21は、第2の代替的なゼロ点調節のための、ピストンロッドとピストンロッド足部との間の伸縮自在の接続を示す。
図22A-22B】図22Aおよび図22Bは、第2の代替的なゼロ点調節の断面図を示す。図22Bは、図22Aに対して90°回転させた図である。
【0058】
図は、概略図であり、かつ明確化のために単純化されており、またそれらは本発明の理解に必要不可欠な詳細を示すだけであり、一方でその他の詳細は省略している。全体を通して、同じ参照番号が同一または対応する部分に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下の用語で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、「時計回り」および「反時計回り」、または同様の相対表現が使用される場合、これらは単に添付図を参照するだけであり、実際の使用状況を示すものではない。示される図は、概略図であり、そのため、その相対寸法だけでなく、異なる構造の構成も、例示的な目的でのみ機能することが意図される。
【0060】
その文脈において、添付の図における「遠位端」という用語は、針カニューレを固設し、注射中にユーザに向かって尖った、注射装置の端を指すことを意味するのに対して、「近位端」という用語は、図2Aおよび図2Bに示されるように、反対側の端を指すことを意味すると定義することが便利な場合がある。遠位および近位とは、図2Aおよび図2Bに同様に開示されるように、注射装置の長手方向軸(X)に沿って延びる軸方向の向きに沿っていることを意味する。
【0061】
以下の実施例において、時計回り方向および逆または反時計回り方向を指す場合、注射装置が、注射装置の遠位にある位置から見られていることが理解される。したがって、時計回り方向とは、時計のアームのように右側に向かう回転であり、反時計回り方向とは、左側に向かう回転である。
【0062】
記載される注射装置で行われる様々な運動を説明するために、以下の詳細な説明全体を通して以下の用語が使用される。
【0063】
「並進運動」とは、いかなる回転も伴わない、厳密に線形の運動であることを意味する。
【0064】
「回転運動」とは、中心を中心とした任意の回転の運動であり、その中心は、すなわち、長手方向延長部を有する、すなわち、1つの平面軸または中心軸の中心点であってもよい。
【0065】
「軸方向運動」とは、軸方向における任意の運動を意味する。かかる運動は、厳密に並進運動であり得るか、または回転運動を含み得、ひいては「螺旋状の運動」となる。これは、螺旋状の運動が軸方向運動と回転運動との組み合わせであることを意味するためである。
【0066】
「伸縮自在」とは、移動可能な要素が基部要素から外に、および/または基部要素内へと移動する状況を網羅することを意味する。伸縮自在な運動とは、並進であっても、または回転を含んでもよいため、伸縮自在な運動は螺旋状になる。
【0067】
図1は、本発明の一実施例による、ばね注射装置の分解組立図を開示している。開示される実施例では、注射装置は、ペン形状であり、これは、しばしば注射ペンとも呼ばれる。
【0068】
吐出される液剤は、穿刺可能な隔壁6によって遠位端で密封され、かつ移動可能なプランジャ7によって近位端で密封される、概して中空のガラスアンプルであるカートリッジ5内に収容される。移動可能なプランジャ7は、ピストンロッド60によって遠位方向に移動するように配置される。ピストンロッド60からプランジャ7へと力を適切に分配するために、図13に描かれるように、ピストンロッド足部85をピストンロッド60とプランジャ7との間に提供することができる。
【0069】
カートリッジ5は、典型的には、製造業者によって液剤で充填され、注射装置のハウジング構造内に永久的かつ交換不可能に固設されており、したがって、注射装置は、予め充填された注射装置となる。開示されるハウジング構造は、ハウジング部品10と、カートリッジホルダ20と、ばね基部25と、シールドガイド30と、を備える。しかしながら、ハウジング構造は、任意の数の構成要素を備え得るか、または代替的に、1つの単一のハウジングユニットとして成形され得る。
【0070】
ハウジング部品10(図15にも図示)、カートリッジホルダ20、ばね基部25、およびシールドガイド30は、好ましくは、カートリッジ5がハウジング構造内に永久的に封入されるように、互いに永久的に固設され、それに伴って、予め充填された注射装置を構成する。近位側で、ハウジング部品10は、予め充填された注射装置を組み立てる間に、ハウジング部品10にクリック嵌合されるばね基部25によって閉止される。ハウジング部品10の遠位側では、シールドガイド30もまた、ハウジング部品10にクリック嵌合される。カートリッジホルダ20は、一対の弾性クリックアーム21によって、または代替的に、ハウジング部品10と一体的に成形されることによって、ハウジング部品10に永久的に固設されていることが好ましい。
【0071】
図は一対の弾性クリックアーム21を描いているが、任意の数のアームを提供することができる。本明細書の実施例は、管状断面を有するペン形状の注射装置を指すため、様々な突出部、アーム、ガイド軌道、および他の機械的要素の多くは、2つ1組で提供される。しかしながら、これらの属性の多くについては、任意の無作為な数を提供することができる。
【0072】
シールドガイド30は、機能について後で説明されることになる、伸縮自在に移動可能なシールド40をガイドする。遠位側では、シールドガイド30は、外表面上に、軸方向開口部32を有する周辺軌道31を備えて提供されている。この周辺軌道31は、図2Bに開示される(および図1の破線で示される)ように、保護キャップ35の内表面上に位置する半径方向に尖った突出部36をガイドする。これ以降、ユーザは、半径方向に尖った突出部36が軸方向開口部32を通って外に軸方向に移動し得、保護キャップ35が取り外され得る前に、保護キャップ35を、シールドガイド30、ひいては、ハウジング構造に対して反時計回り方向(遠位位置から見た場合)に回転させる必要がある。
【0073】
遠位側では、カートリッジホルダ20は、少なくとも使用中、針カニューレ46を運ぶ針ハブ45を備えて提供されている。代替的に、複数の針カニューレを有する針マガジンを注射装置に一体化することができる。
【0074】
例えば、図2Aおよび図2Bに開示されるように、針カニューレ46は、注射中にユーザの皮膚を貫通するための遠位先端と、近位端47と、を有し、近位端47は、液剤がカートリッジ5から押し出されて、針カニューレ46の管腔を通って、かつユーザの皮膚を通って流れることができるように、カートリッジ5の隔壁6を通って貫通する。
【0075】
針ハブ45は、始動プロセスにおいて稼働される接合面によってカートリッジホルダ20に固設されている。この始動プロセスの間、針ハブ45は、針カニューレ46の近位端47がカートリッジ5の隔壁6を通って貫通するように、近位方向において軸方向に移動する。また、針ハブ45を移動させる順序において、針ハブ45上に提供された近位側に係止するアーム48は、カートリッジホルダ20上の遠位接合面22と不可逆的に係合して、遠位接合面22に係止され、そのため、この後、針ハブ45がカートリッジホルダ20に不可逆的に係止される。
【0076】
針ハブ45は、好ましくは、螺旋状の接合面を介して針ハブ45を近位側に移動させることができる、伸縮自在に移動可能なシールド40の回転によって近位方向に移動する。始動プロセスが完了すると、針ハブ45上の係止アーム48は、カートリッジホルダ20に係止され、伸縮自在に移動可能なシールド40上に提供されたクリックアーム43は、ハウジング構造と係合して、ユーザが、伸縮自在に移動可能なシールド40を回転させて以前の位置に戻すことを防止する。クリックアーム43の係合は、好ましくは、ハウジング部品10に固設されたシールドガイド30の軸方向内表面との係合である。これ以降、始動プロセスは、1回のみ行われ得る。
【0077】
始動プロセスが完了した後、注射装置は、図2Aおよび図2Bに開示されるように、使用の準備ができた状態にあり、ユーザは、説明されるように、複数回注射のために注射装置を使用することができる。さらに説明されるように、液剤の注射は、ばねによって駆動され、ばねは、本開示の実施例では、ねじり力を送達するねじりばねである。しかしながら、任意の種類のばねを注射プロセスに使用することができる。
【0078】
伸縮自在に移動可能なシールド40は、WO2019/101670でさらに詳細に開示される洗浄組立品50を運ぶ。この洗浄組立品50は、注射間に針カニューレ46の遠位端を生物学的に清潔に保ち、かつ弾性アーム56が伸縮自在に移動可能なシールド40と係合することによって、伸縮自在に移動可能なシールド40にクリック嵌合されたシールド先端55によって伸縮自在に移動可能なシールド40に固設され、そのため、洗浄組立品50は、伸縮自在に移動可能なシールド40のすべての運動、すなわち、回転運動、並進運動、および螺旋運動の両方に従う。
【0079】
洗浄組立品50は、好ましくは、液体洗浄剤を収容し、液体洗浄剤は、1つの実施例では、カートリッジ5内の液剤中に含有されるのと同じ防腐剤であってもよい。好ましい実施例では、洗浄剤は、注射装置の始動中に洗浄組立品50内に充填される、カートリッジ5内に収容されるものと同一の同じ防腐剤含有医薬品の液剤である。
【0080】
用量排出中にピストンロッド60を遠位方向に移動させるために、ねじりばね配置が提供される。ねじりばね配置は、説明されるように、ピストンロッド60を遠位方向に駆動するために、ねじりばね65と、駆動チューブ70と、内部ナット部材11と、を備える。
【0081】
ねじりばね65は、本開示の実施例では、ワイヤが螺旋状に巻かれている金属ばねである。長手方向では、ねじりばね65は、異なるゾーンまたは面積に分割され得る。これらのゾーンのうちのいくつかでは、コイルのワイヤは、コイル間の距離が全くないか、またはごくわずかであり、その他のゾーンでは、コイルは、コイル間にかなり大きな長手方向距離を有する。これらのゾーンは、圧縮ゾーン66と呼ばれる(例えば、図1を参照)。コイル間に距離があるかかる圧縮ゾーン66は、圧縮力を提供し、そのため、ねじりばね65は、ねじり力および圧縮力の両方を加えることができる。ねじりばね65の2つの端が互いに向かって圧縮されると、ねじりばね65は、長手方向に方向付けられた力を戻し、2つの端を互いから離れる方向に付勢する。
【0082】
ねじりばね65の2つの端は、フックへと屈曲される。一方のフックは、注射装置の近位端にあるばね基部25を介してハウジング構造に取り付けられ、もう一方のフックは、注射装置の反対側の、より遠位端にある駆動チューブ70に取り付けられる。したがって、ハウジング構造と駆動チューブ70との間に、ねじり力を提供することができ、このねじり力を使用して駆動チューブ70を回転させることができる。
【0083】
ねじりばね65は、好ましくは、フックが軸方向開口部の縁部によって捕捉されるように、それぞれの部品25、70の軸方向開口部にフックを通過させ、続いて、それぞれの部品25、70およびねじりばね65の相対的回転を行うことによって装着される。ねじりばね65は、好ましくは、最初に駆動チューブ70に係合し、その後、組立プロセスにおいて、ばね基部25に係合する。駆動チューブおよびばね基部の両方は、1つの実施例では、説明されるようにスナップ突出部を備えて提供され得る。
【0084】
図8で詳細に開示されるピストンロッド60は、外表面上に、外ねじ61を備えて提供されており、かつ遠位端では開いているが、近位端では停止面63内で終端する長手方向軌道構造62をさらに備えて提供されている。長手方向軌道構造62は、「L」と称される自由長さを有する。自由長さ「L」は、図3および図5Aにおいて最もよく見ることができ、説明されるように、駆動チューブ70上の内向きに尖った突出部75とピストンロッド60との係合から、軌道構造62の近位端にある停止面63までの測定された長さである。したがって、自由長さ「L」とは、停止面63が内向きに尖った突出部75と係合する前に、ピストンロッド60が遠位方向に移動することができる軸方向長さに対する表現である。したがって、図3にも見られるように、自由長さ「L」は、軌道構造62の実際の長さよりも短い。
【0085】
長手方向軌道構造62は、長手方向自由長さ「L」を規定することができる、ピストンロッド60の中または上に提供される任意の種類の構造を指す。例えば、任意の種類の軌道、溝、または類似のくぼみであってもよい。
【0086】
内部ナット部材11は、回転方向および軸方向の両方でハウジング構造に固定される。1つの実施例では、ナット部材11は、ハウジング部品10の一体部品である。代替的に、ナット部材11は、注射装置を組み立てる間に、例えば、糊付けまたは溶接することによって、ハウジング部品10に固設される、別個の部品であってもよい。ナット部材11は、内表面上に、ピストンロッド60上の外ねじ61に係合する内ねじ12を備えて提供されており、そのため、ピストンロッド60は、ハウジング構造に対して回転するときに螺旋状に移動する。
【0087】
図12図17Aおよび図17Bに開示されるように、さらなる実施形態では、説明されるように、注射装置を組み立てる間にエアギャップを排除するために、ナット部材11を利用することが可能である。
【0088】
ピストンロッド60上の長手方向軌道構造62は、駆動チューブ70の内表面上に提供された内向きに尖った突出部75によって係合され、そのため、駆動チューブ70が回転するたびに、ピストンロッド60が同時に回転し、かつそれゆえ、ナット部材11の内ねじ12内で遠位方向に螺旋状に移動する。図6Aおよび図6Bに開示される内向きに尖った突出部75は、対で提供されることが好ましいが、単数または任意の無作為な数で提供することができる。
【0089】
ねじりばね65は、ハウジング構造と駆動チューブ70との間に包含され、そのため、ねじりばね65に貯蔵されたトルクにより、ハウジング構造に対して駆動チューブ70を回転させることができる。開示される実施形態では、ねじりばね65は、遠位端では駆動チューブ70と、近位端ではばね基部25と係合する。ねじりばね65は、注射装置を製造する間、すなわち、注射装置を組み立てる間に引っ張られた状態であり、そのため、注射装置がユーザに送達されたときには、比較的高いトルクがねじりばね65に貯蔵されている。注射装置の未使用送達状態で貯蔵されているトルクは、好ましくは、カートリッジ5の初期内容量全体を排出するのに十分であり、これは、トルクがピストンロッド60、ひいては、プランジャ7をカートリッジ5の遠位端または遠位端の近くへと駆動するのに十分であることを意味する。好ましい実施例では、かかる複数回使用固定用量注射装置は、ねじりばね65を有することになり、ねじりばね65は、引っ張られた状態であり、かつおよそ2~8つの、所定のおよび等しくサイズ設定された用量体積を排出する準備ができており、そのため、ユーザは、これらの2~8つの注射の各々の間に、ねじりばね65を引っ張る必要はない。
【0090】
図6Aおよび図6Bに開示される駆動チューブ70は、遠位端に第1の螺旋形状71を有する。すなわち、駆動チューブ70の遠位端は、円周方向に離れてだんだん減少するスリーブから作製されている。第1の螺旋形状71は、軸方向に延び、第1の軸方向駆動フランジ72内で終端する。
【0091】
さらに、駆動チューブ70の最遠位部品は、駆動チューブ70の残りの部品に対して半径方向にオフセットされている外表面を有する。駆動チューブ70の外表面にあるこの半径方向くぼみは、図6Aに最もよく見られるように、第1の軸方向駆動フランジ72に平行であるが、回転方向に180°オフセットされている、第2の軸方向駆動フランジ78を規定する。これらの2つの軸方向フランジ72、78は、説明されるように、駆動チューブ70の回転の停止部を規定する。
【0092】
第2の軸方向駆動フランジ78につながるまで、半径方向くぼみは、ハウジング構造内側に提供された類似の螺旋表面に対して当接する螺旋表面を形成する螺旋構造を有する。この螺旋表面は、ハウジング螺旋形状16と同じ構成を有するが、図17Bに最もよく見られるように、近位方向において長手方向にオフセットされている。これら2つの表面間の接合面は、説明されるように、第1の螺旋形状71とハウジング螺旋形状16との間の接合面と同じ効果を有する。2つのかかる螺旋状の接合面を有することにより、注射装置の動作がより安定する。
【0093】
さらに、2つの外向きに尖った突起73、74が駆動チューブ70の外表面上に提供されている。開示される実施例では、これら2つの突起73、74はまた、互いに対して180°オフセットされ、かつまた、ある距離だけ長手方向にオフセットされている。
【0094】
説明されるように、駆動チューブ70内側の1つ以上の内向きに尖った突出部75は、ピストンロッド60内の長手方向軌道構造62と係合する。外表面上では、駆動チューブ70は、螺旋状のフランジ76を備えて提供されており、螺旋状のフランジ76の使用については、後で説明する。
【0095】
ハウジング構造のハウジング部品10は、中を通してピストンロッド60を移動させることができる軸方向開口部を有する内部ブリッジ構造15とともに内部に成形されている。内側表面上では、ブリッジ構造15は、駆動チューブ70の遠位部品をガイドし、支持する。このガイドが図6Aに描かれており、ブリッジ構造15の輪郭が破線で示されている。ナット部材11も運ぶブリッジ構造15は、1つの実施例では、別個に成形して、ハウジング部品10に取り付けることができる。どちらの場合も、ブリッジ部品15は、軸方向開口部がブリッジ部品15の周りに存在するように限定された角度空間しか得られない半径方向ベアリング部品19を介してのみハウジング部品10と接触する。これは、図17Aおよび図17Bに最もよく見られる。
【0096】
駆動チューブ70の遠位端にある第1の螺旋形状71は、軸方向にも延び、かつハウジング構造(以下、ハウジング螺旋形状16と呼ぶ)のハウジング部品10内側にあるブリッジ構造15内に提供されている、類似の螺旋形状16(例えば、図10を参照)と係合する。第1の螺旋形状71としてのこのハウジング螺旋形状16は、円周方向に離れてだんだん減少し、かつ駆動チューブ70の第1の軸方向駆動フランジ72に係合することができる第1の軸方向ハウジングフランジ17内で終端するスリーブである。
【0097】
図9は、駆動チューブ70と、ハウジング部品10内側に位置するブリッジ構造15との間の接合面を開示する。すなわち、ハウジング部品10は、視覚的に切り取られている。図10は、駆動チューブ70と、ブリッジ構造15を含むハウジング構造との間の接合面を開示する。図10の図では、駆動チューブ70ではなく、ハウジング構造が、図5Aの線「A」に沿って半径方向に切断され、遠位位置から見られている。したがって、切断は、第1の軸方向ハウジングフランジ17を通って行われている。ハウジング部品10は、中心線「X」に従って長手方向平面でさらに視覚的に切り開かれている。
【0098】
内部ブリッジ構造15は、図9および図17Bに見られるように、第2の軸方向ハウジングフランジ18をさらに備えて提供されており、第2の軸方向ハウジングフランジ18は、第2の軸方向駆動フランジ78に当接することができる。したがって、駆動チューブ70とハウジング構造との間の回転係合は、図9および図10で最良であるように、第2の軸方向駆動フランジ78と第2の軸方向ハウジングフランジ18との当接に加えて、第1の軸方向駆動フランジ72と第1の軸方向ハウジングフランジ17との当接によって規定される。4つのフランジ72、17;78、18はすべて、互いに、かつ注射装置の長手方向中心軸「X」に平行であることが好ましい。さらに、説明されるように、これら4つのフランジ72、17;78、18の軸方向長さ(図6Aおよび図6Bに示される「dl」)は同じである。
【0099】
ねじりばね65が駆動チューブ70に対してねじり力を絶えず加えるので、駆動チューブ70は、注射装置の遠位端から見たときに反時計回り方向に(実施例において)回転することになる。しかしながら、第1の軸方向駆動フランジ72と第1の軸方向ハウジングフランジ17との間の係合、および第2の軸方向駆動フランジ78と第2の軸方向ハウジングフランジ18との間の係合は、駆動チューブ70がハウジング構造に対して回転することを防止する。
【0100】
さらに、駆動チューブ70上に提供されたいくつかのラチェットアーム77が、ばね基部25内側のトゥーティング(tooting)26と係合し、そのため、駆動チューブ70は、1つの方向にのみ回転し、この方向は、開示される実施例では、注射装置を遠位位置から見たときに反時計回り方向である。これについては、例えば、図5Bにおいて説明する。
【0101】
伸縮自在に移動可能なシールド40は、ハウジング構造に対して回転可能であり、係止位置と係止解除位置との間で回転することができる。図1に見られるように、伸縮自在に移動可能なシールド40は、外表面上に、半径方向端44a、b内で終端する螺旋構造41を備えて提供されており、半径方向端44a、bは、これらの半径方向端44a、bが一緒になって軸方向開口部を規定するように、ある角度距離だけ離れて位置付けられる。ハウジング部品10の内表面上には、内向きに尖った突出部が提供されており、内向きに尖った突出部は、伸縮自在に移動可能なシールド40が係止解除位置まで回転したときに、螺旋構造41の軸方向開口部を通って摺動することができる。任意の他の位置では、この内向きに尖った突出部は、伸縮自在に移動可能なシールド40を近位方向において並進方向に移動させることを試みた場合に、螺旋構造41に当接することになり、これは、これ以降、係止位置を規定する。
【0102】
螺旋構造41により、針シールド40が、回転するときに強制的に螺旋状に移動する。したがって、針シールド40が係止解除されたときに針カニューレ46の遠位先端が洗浄組立品50のすぐ外側に位置付けられる位置に針シールド40を移動させることが可能である。
【0103】
係止位置では、伸縮自在に移動可能なシールド40は、並進方向に移動することが防止されるが、係止解除位置では、伸縮自在に移動可能なシールド40は、並進方向に移動することができる。この文脈において、並進とは、いかなる回転も伴わない、中心軸「X」に沿った軸方向運動を規定することを意味する。
【0104】
ハウジング部品10は、一対の長手方向窓13を備えて提供されている。これらの長手方向窓13は、ユーザがカートリッジ5の内容量を視覚的に検査することができるように、カートリッジホルダ20内に提供された類似の窓23と整列する。ハウジング部品10とカートリッジホルダ20との間に半径方向に挟まれた伸縮自在に移動可能なシールド40は、係止位置と係止解除位置との間で回転可能であり、窓49のさらなるセットを備えて提供されている。これらの窓49は、伸縮自在に移動可能なシールド40がシールド40の係止解除位置に回転したときにのみ、ユーザがカートリッジ5の内容量を見ることができるように、他の窓13、23と整列する。伸縮自在に移動可能なシールド40が係止位置にあるとき、伸縮自在に移動可能なシールド40の固体部品は、ユーザがカートリッジ5を視覚的に見ることを妨げる。したがって、伸縮自在に移動可能なシールド40内の窓49のセットのこの回転はまた、注射のために注射装置の準備ができているときを示す。
【0105】
1つの実施例では、ハウジング部品10内に提供される一対の長手方向窓13は、注射装置の複数の用量を示すスケールを備えて提供され得る。図1および図15の実施例では、このスケールは、各々が所定の用量体積のうちの1つを表す4つのセクションを示す。したがって、ユーザは、窓13のセクション内にあるプランジャ7の物理的位置を視覚的に見ることができ、かつこれ以降、いくつの用量が取られ、いくつがカートリッジ5内に残っているかを見ることができる。
【0106】
伸縮自在に移動可能なシールド40はまた、近位方向において並進方向に移動したときに、ねじりばね65に貯蔵されたトルクを解放し、それによって、所定の用量体積を吐出するために使用される。注射中、ユーザは、シールド先端55、およびこれ以降、伸縮自在に移動可能なシールド40を皮膚に押し付け、これにより、伸縮自在に移動可能なシールド40が近位方向に移動する。
【0107】
並進運動を伸縮自在に移動可能なシールド40から駆動チューブ70に伝達するために、図7Aおよび図7Bに開示されるようなコネクタ要素80が提供される。このコネクタ要素80は、ハウジング部品10に対して、並進方向に、すなわち、いかなる回転も伴わずに、ガイドされ、かつ内表面上に、2つの内向きに尖った突起81、82を備えて提供されており、突起81、82もまた、回転方向および軸方向の両方にオフセットされている。
【0108】
2つの内向きに尖った突起81、82のうちの1つ(「81」として示される)は、囲まれた図では直接見ることができないが、図7Bでは穿刺線で示されている。2つの突起81、82は、開示される実施例では、互いに対して180°オフセットされている。
【0109】
伸縮自在に移動可能なシールド40およびコネクタ要素80の両方は、フック42、83を備えて提供されている。伸縮自在に移動可能なシールド40が回転すると、伸縮自在に移動可能なシールド40上の2つのフック42を、コネクタ要素80上に提供された2つのフック83との係合に至らせることができる。
【0110】
コネクタ要素80上のフック83は、一対の軸方向に延びる部品84上で遠位側に提供されている。これらの軸方向に延びる部品84は、図2A図5A、および図17Aに最もよく見られるように、コネクタ部品80が、ハウジング部品10のブリッジ部品15を取り囲むこと、およびブリッジ部品15とハウジング部品10との間の接続において、半径方向ベアリング19間の軸方向開口部を通って動作することを可能にする。
【0111】
ばねの取り付け
図2Aおよび図2Bに開示されるように、ねじりばね65は、駆動チューブ70とばね基部25との間に位置し、そのため、ねじりばね65は、ハウジング構造の一部であるばね基部25に対して駆動チューブ70を回転させることができる。
【0112】
図11A図11Cに開示される1つの実施例では、ねじりばね65は、ねじりばね65の端にフック67を備えて提供されている。ばねの取り付けを説明するために、図11A図11Cは、ねじりばね65の近位端のみを示し、かつまた、代替的なばね基部25の一部のみを示す。図11A図11Cは、ねじりばね65の一端のみを開示しているが、両端が、かかるフック67を備えて提供され、同じ方法で取り付けられ得ることは明らかである。
【0113】
ねじりばね65を装着するために、最初に1つのフック67を、例えば、ばね基部25において、軸方向通路26を通して並進方向に通過させる。この並進運動は、ばね基部25とねじりばね65との間の運動が相対的運動であること、すなわち、要素のうちの一方または両方が並進方向に移動し得ることを示す、図11Aの矢印「A」によって示される。
【0114】
図11Bに開示されるように、フック67を、軸方向通路26を通して軸方向に通過させると、ねじりばね65とばね基部25とが互いに対して回転し、そのため、図11Cに示されるように、フック67が、ばね基部25内に形成された棚27の上を捕捉する。
【0115】
ねじりばね65をばね基部25に不可逆的に固設するために、半径方向スナップ突出部28は、軸方向通路26内のばね基部25上に位置する。
【0116】
ねじりばね65とばね基部25とが相対的に回転すると、ねじりばね65のフック67は、この半径方向スナップ突出部28の上を通過し、ひいては、図11Cに示されるように、ばね基部25に不可逆的に係止される。
【0117】
半径方向スナップ突出部28は、回転方向に提供された2つの側面を有する。回転中に、フック67に最初に遭遇する側面は、ねじりばね65のフック67が半径方向スナップ突出部28の上を摺動することをより平易にするために、傾斜した表面29aを有する。スナップ突出部28の反対側の側面は、ねじりばね65のフック67が、取り付けられた後に反対側の方向に回転し得ることを妨げるように、急勾配の表面29bを備えて提供されていることが好ましい。
【0118】
1つの実施例では、傾斜した表面29aは、ねじりばね65のフック67が、組立工具によって押し進められることを伴わずに、半径方向スナップ突出部28を通過することができないように角度付けされている。かかる実施例では、ばね基部25およびねじりばね65を相対的に回転させるだけでは十分ではない。これは特に、ねじりばね65が、ねじりばね65を回転させるときに、フック67を運ぶ近位端に十分なトルクを伝達することができないように、開いた巻線を有する事例である。かかる事例では、近位端でねじりばね65を掴み、フック67を押し進めて半径方向突出部を通過させる、組立工具を使用する必要がある。
【0119】
組立工具は、1つの実施例では、ねじりばね65が図11Bに開示される位置にあるときに軸方向通路に入り、裏側のフック67に当接して、それによって、フック67を、半径方向スナップ突出部28上に、および図11Cに開示される位置へと回転方向に押し進める、支持要素であってもよい。
【0120】
半径方向スナップ突出部28は、ばね基部25に関連して開示されているが、かかる半径方向スナップ突出部28は、ねじりばね65のもう一方の端を固設するように、固定駆動チューブ70上に提供することもできる。これ以降、スナップ突出部28は、ばね基部25上、もしくは駆動チューブ70上、または両方の要素上のいずれかに提供され得る。
【0121】
1つの実施例では、ねじりばね65は、純粋に回転運動によって、および例えば、工具の使用によって、ばね基部25または駆動チューブ70のいずれかに最初に取り付けられる。これは、ばね基部25または駆動チューブ70およびねじりばね65のいずれかを備える、予め組み立てられたユニットを形成する。ねじりばね65は、半径方向スナップ突出部28のために不可逆的に取り付けられるため、この予め組み立てられたユニットは、ねじりばね65がばね基部25または駆動チューブ70のいずれかから分離されることなく、組立プロセスにおいて、あちこち移動させることができる。
【0122】
組立プロセス中の後の段階で、同様に、この部品およびねじりばね65を互いに対して回転させることによって、ねじりばね65を、ばね基部25または駆動チューブ70の他の部品に取り付けることができる。
【0123】
好ましくは、予め組み立てられたユニットは、ねじりばね65および駆動チューブ70からなる。予め組み立てるプロセスの間、ねじりばね65は、上述のように、駆動チューブ70に不可逆的に取り付けられる。この予め組み立てられたユニットがハウジング部品10内側に位置付けられると、ばね基部25は、ねじればね65の近位フック67に係合するように回転し、ハウジング部品10上に提供された一対の可撓性連結アーム9(図15および図16に最もよく見られる)に係合することによって、ハウジング部品10に軸方向に固設される。1つの実施例では、半径方向スナップ突出部28は、駆動チューブ70上にのみ提供されており、ばね基部25上には提供されていない。
【0124】
注射
伸縮自在に移動可能なシールド40が係止解除位置に回転したときに、ユーザは、伸縮自在に移動可能なシールド40の遠位シールド先端55を皮膚に押し付け、これによって、伸縮自在に移動可能なシールド40が近位方向において並進方向に移動することによって、所定の用量体積を吐出する。この並進運動は、コネクタ要素80の類似の並進運動に伝達される。
【0125】
図7Aおよび図7Bにさらの詳細に描かれるコネクタ要素80は、投薬中にハウジング部品10に対して並進方向にガイドされ、2つの内向きに尖った突起81、82は、駆動チューブ70の外表面上にある外向きに尖った突起73、74に当接し、そのため、駆動チューブ70もコネクタ要素80と一緒に並進方向に移動する。ねじりばね65上の圧縮ゾーン66により、駆動チューブ70を近位方向において並進方向に移動させることができ、ねじりばね65の圧縮は、駆動チューブ70に軸方向の力をさらに加え、駆動チューブ70を遠位方向に付勢する。
【0126】
近位方向における駆動チューブ70の並進運動は、駆動チューブ70上の第1の軸方向駆動フランジ72および第2の軸方向駆動フランジ78をそれぞれ、ハウジング部品10の第1の軸方向ハウジングフランジ17および第2の軸方向ハウジングフランジ18に沿って摺動させる。同時に、駆動チューブ70上の内向きに尖った突出部75は、ピストンロッド60上の長手方向軌道構造62内で、ある軸方向距離だけ摺動する。
【0127】
これ以降、駆動チューブ70のこの並進運動によって調製される所定の用量体積のサイズは、駆動チューブ70が移動する長手方向距離、すなわち、第1の軸方向駆動フランジ72と第1の軸方向ハウジングフランジ17との間の係合の軸方向長さ、および第2の軸方向駆動フランジ78と第2の軸方向ハウジングフランジ18との係合の軸方向長さ、ならびにピストンロッド60とナット部材11との間のねじ接続12、61のピッチに相関する。所定の用量体積が調製されるときに駆動チューブ70が移動する並進距離は、「dl」(稼働距離)と呼ばれる。
【0128】
第1の軸方向駆動フランジ72および第2の軸方向駆動フランジ78が、第1の軸方向ハウジングフランジ17および第2の軸方向ハウジングフランジ18との係合から外れて並進方向に移動すると、ねじりばね65に貯蔵されたトルクにより、駆動チューブ70が強制的に回転することになり、そのため、駆動チューブ70上の螺旋形状71は、第1の軸方向駆動フランジ72および第2の軸方向駆動フランジ78が第1の軸方向ハウジングフランジ17および第2の軸方向ハウジングフランジ18に再び当接するまで、ハウジング部品10内側のハウジング螺旋形状16下方へと回転する。螺旋運動は、先に説明されるように、追加の螺旋状の接合面によって支持され得る。この回転は、開示される実施例では、360°である。すなわち、駆動チューブ70は、近位方向に稼働距離「dl」だけ並進するたびに、1回の完全一回転で回転する。これ以降、ピストンロッド60も360°回転し、かつそれゆえ、ピストンロッド60上のねじ61のピッチおよび係合ナット部材11のピッチ12によって求められる遠位方向の距離へと移動する。
【0129】
したがって、所定の用量体積の各々は、駆動スリーブ70を近位方向に稼働距離「dl」だけ並進方向に移動させるときに調製され、駆動スリーブ70を遠位方向に回転させ、かつ初期位置に戻すときに吐出される。
【0130】
螺旋コイル状の圧縮ばねの形態のシールドばね90は、コネクタ要素80とハウジング構造との間、好ましくはコネクタ要素80とばね基部25との間に提供され、コネクタ要素80が用量調製中に近位側に並進したときに、コネクタ要素80に圧縮力を加える。シールドばね90の圧縮により、コネクタ要素80が遠位方向に付勢される。
【0131】
図6Aおよび図6Bにも見られるように、駆動チューブ70は、外表面上に、螺旋状のフランジ76を備えて提供されており、螺旋状のフランジ76は、ねじればね65が駆動チューブ70を回転させ始めると、コネクタ要素80内側の内向きに尖った突起81、82に係合する。内向きに尖った突起81、82と螺旋状のフランジ76との間のこの係合は、駆動チューブ70の螺旋状のガイドを支持する。
【0132】
駆動チューブ70上にある螺旋状のフランジ76は、2つの軸方向開口部「d」(図6Aおよび図6B)を備えて提供されており、これら2つの軸方向開口部を通って、コネクタ要素80内側の内向きに尖った突起81、82は、開口部「d」が内向きに尖った突起81、82と回転方向に整列したときに、並進方向に摺動することができる。この整列は、駆動チューブ70上にある第1の軸方向駆動フランジ72および第2の軸方向駆動フランジ78が、ハウジング部品10内側にある第1の軸方向ハウジングフランジ17および第2の軸方向ハウジングフランジ18に再び当接しようとしているときに行われ、これは、所定の用量体積が排出されたときである。したがって、シールドばね90は、所定の用量サイズが排出されると、すなわち、駆動チューブ70が(本実施例では)360°回転して初期位置に到達した後に、コネクタ要素80および伸縮自在に移動可能なシールド40を遠位方向に押すことになる。
【0133】
また、この状態では、内向きに尖った突起81、82は、外向きに尖った突起73、74と整列することになり、そのため、後続の次の用量体積は、本明細書に記載される手順を繰り返すことによって解放され得る。
【0134】
伸縮自在に移動可能なシールド40が初期位置に移動して戻ると、伸縮自在に移動可能なシールド40によって運ばれる洗浄組立品50は初期位置に戻され、針カニューレ46の遠位先端は洗浄チャンバー50内側に位置付けられる。
【0135】
遠位方向における伸縮自在に移動可能なシールド40の運動の間、伸縮自在に移動可能なシールド40上の螺旋構造41は、ハウジング構造内側、および好ましくはシールドガイド30の内表面上に提供された類似の螺旋経路33に当接し、これにより、伸縮自在に移動可能なシールド40が初期位置に移動して戻る際に、伸縮自在に移動可能なシールド40を強制的に係止位置へと回転させる。
【0136】
内容量終了
したがって、所定の用量体積は、伸縮自在に移動可能なシールド40をユーザの皮膚に押し付けることによって、駆動チューブ70を近位方向に移動させることによって調製される。駆動チューブ70が近位方向に稼働距離「dl」だけ移動すると、駆動チューブ70上の第1の螺旋形状71は解放位置へと至り、軸方向駆動フランジ72、78は軸方向ハウジングフランジ17、18から解放される。この解放位置では、駆動チューブ70は、ねじりばね65に貯蔵されたトルクの影響下で回転することができる。説明されるように、駆動チューブ70は、回転中に遠位方向に螺旋状に移動する。また、この回転中に、駆動チューブ70は、ピストンロッド60の長手方向軌道構造62と駆動チューブ70内側の内向きに尖った突出部75との間の係合に起因して、ピストンロッド60を回転させる。ピストンロッド60はハウジング構造内に固定されたナット部材11にねじ込まれる(61、12)ため、ピストンロッド60は、回転中に遠位方向に螺旋状に移動する。
【0137】
駆動チューブ70が近位方向に稼働距離「dl」だけ移動し、解放されるたびに、ピストンロッド60は強制的に、この実施形態では、360°、すなわち、1回の完全一回転で回転し、かつそれゆえ、ピストンロッド60とナット部材11との間のねじのピッチによって求められる軸方向距離たけ前方に移動する。駆動チューブ70上の内向きに尖った突出部75とピストンロッド60上の停止面63との間の残りの距離が、軸方向フランジ72、78、17、18の長さ「dl」よりも小さくなると、駆動チューブ70を解放位置に移動させて、さらなる固定用量を解放することは不可能である。
【0138】
注射装置がユーザに送達されるときに、ピストンロッド60上の停止面63は、図3に開示されるように、注射装置の近位端に位置する。しかしながら、所定の用量サイズの吐出ごとに、ピストンロッド60は、ピストンロッド60上の停止面63が、駆動チューブ70を近位方向に完全稼働距離「dl」だけ移動させることができない位置になるまで、遠位方向に移動する。これが行われると、駆動チューブ70を解放位置に移動させることは不可能であり、かつそれゆえ、さらなる所定の用量サイズを選択することはできず、これにより、ユーザがさらなる所定の用量を排出することを防止する。
【0139】
言い換えれば、ピストンロッド60の軌道構造62の自由長さ「L」の残りの部分が稼働距離「dl」よりも短い場合、軸方向駆動フランジ72、78を移動させて軸方向ハウジングフランジ17、18との係合から外し、かつそれゆえ、さらなる固定用量体積を解放することは不可能である。
【0140】
最終的に、駆動チューブ70は、ユーザが所定の用量体積のうちの1つを調製するたびに近位方向に稼働距離「dl」だけ並進方向に移動し、調製された所定の用量体積が排出されたときに、初期位置に回転して戻る。この回転運動では、駆動チューブ70は、好ましくはおよそ360°回転する。駆動チューブ70が稼働距離「dl」だけ移動する間に蓄積された時間、およびピストンロッド60が遠位方向に移動する間に蓄積された距離が、利用可能なピストンロッド60の軌道構造62の自由長さ「L」の長さ「dl」よりも小さいままであると、ピストンロッド60上の停止面63は、用量チューブ70が、近位方向に完全固定用量設定(すなわち、全稼働距離「dl」)だけ移動することを防止し、かつそれゆえ、ユーザが、完全な所定のジオースサイズを選択し得ることを防止する。
【0141】
異なる実施形態では、第1の螺旋形状71およびハウジング螺旋形状16は、2つ以上の軸方向フランジ当接部(72、18;78;17)が提供されるように、2つ以上の表面に分割され得る。かかる事例では、各並進運動に対する駆動チューブ70およびピストンロッド60の可能な回転は、360°とは異なる場合がある。例えば、2倍の数の軸方向フランジ当接部を提供した場合、ピストンロッド60が用量解放ごとに全回転の半分だけ回転するように、回転は180°であることになる。
【0142】
内容量終了の実施例
1つの実施例では、軌道構造62の自由長さ「L」は、例えば、43mmであってもよい。すなわち、駆動チューブ70の内向きに尖った突出部75とピストンロッド60との係合と、ピストンロッド60内の停止面63との間の並進距離は、工場で43mmに設定されている。
【0143】
固定用量のうちの1つを解放するために、駆動チューブ70は、近位方向に稼働距離「dl」だけ移動する。例では、「dl」は、5mmであってもよい。駆動チューブ70が近位方向に稼働距離「dl」=5mmだけ移動すると、ねじりばね65により、駆動チューブ70が1回の完全一回転(すなわち、360°)で回転して初期位置に戻る。この回転の間、ピストンロッド60もまた強制的に、同じ度数、すなわち、360°回転する。ピストンロッド60とナット部材11との間のねじ接続のピッチに依存して、ピストンロッド60は、完全一回転ごとに遠位方向に所与の軸方向距離だけ移動する。ピッチは、例えば、ピストンロッド60が移動する距離が、例えば、ピストンロッド60の全回転(360°)ごとに10mmであるようなものであってもよい。これは、4つの固定用量が解放される(すなわち、駆動チューブ70が4回、稼働距離「dl」だけ移動する)と、ピストンロッド60が、停止面63に到達する前に、軌道構造62の3mmの自由長さ「L」だけを残したまま、遠位方向に40mm移動すること、ならびに駆動チューブ70が、さらなる固定用量体積を解放するために「dl」=5mmの軸方向運動を必要とするので、軌道構造62の3mmの自由長さ「L」が残っているが、さらなる固定用量体積を解放することがもはや不可能であることを意味する。
【0144】
ゼロ点調節
図12図17Aおよび図17Bに主に開示される本発明の1つの実施形態では、ナット部材11は、注射装置を組み立てる間にハウジング構造のハウジング部品10に固設される別個の要素であってもよい。かかる実施形態では、ナット部材11は、糊付けまたは溶接などの物理的取り付け手段の使用を伴わずに、ハウジング構造内に固設され得る。専用の組立品を使用することにより、かかる実施形態では、ナット部材11を使用して、組立プロセスにおける異なる許容誤差から生じる任意のエアギャップを完全に排除するか、または少なくとも十分に最小化することもできる。かかるエアギャップを排除することは、しばしば、ゼロ点調節とも呼ばれる。ゼロ点とは、ピストンロッド60(またはピストンロッド足部85)がカートリッジ5内側のプランジャ7に当接する点であることを意味する。かかる当接が注射装置の製造中に達成されている場合、ユーザは、第1の用量体積を排出する前に、注射装置の初期プライミングを行う必要はない。
【0145】
この目的のためのナット部材11は、図14Aおよび図14Bに開示されており、ピストンロッド60上の外ねじ61と係合する内ねじ12と、ナット部材11上の近位側に提供された2つの外ねじ突出部95と、を備える。これら2つの角度付けされたねじ突出部95は一緒になって、ナット部材11上に外ねじを形成する。しかしながら、この外ねじは、1つ以上のフランジまたは任意の数の外ねじ突出部95のいずれかから作製され得る。
【0146】
ナット部材11はさらに、かつまた、外表面上に、いくつかのラチェットアーム96を備えて提供されており、ラチェットアーム96の使用について説明する。開示される実施形態では、2つのラチェットアーム96が、ナット部材11上の遠位側に開示されているが、任意の好適な数を提供することができる。
【0147】
ナット部材11を支持する、例えば、図16に開示されるような、ハウジング部品10内側のブリッジ構造15は、この実施例では、ナット部材11が1つの方向にのみ回転することを可能にする軸方向歯部97を備えて提供されている。許された回転方向は、時計回り方向であり、ラチェットアーム96および歯部97は、反時計回り方向への回転が防止されるように接合することを意味する。
【0148】
ハウジング部品10内側のブリッジ構造15は、ナット部材11が、許された時計回り方向に回転したときに近位方向に螺旋状に螺合されるような方向を有する内部ねじ98をさらに備えて提供されている。
【0149】
注射装置を組み立てる間、1つの重要な目的は、ピストンロッド60とカートリッジ5内側のプランジャ7との間に存在する距離、いわゆるエアギャップを排除することである。図13に開示されるように、ピストンロッド足部85がピストンロッド60に取り付けられている場合、この目的は、ピストンロッド足部85の遠位面とプランジャ7の近位面との間の物理的距離を排除し、そのため、注射装置が未使用の状態でエンドユーザに送達されるときにピストンロッド足部85とプランジャ7とが当接することである。
【0150】
最終組立中にナット部材11がハウジング構造に対して回転すると、ピストンロッド60は、ピストンロッド60またはピストンロッドプランジャ85がカートリッジ5内側のプランジャ7に当接するまで遠位方向に前進する。
【0151】
ナット部材11の回転は、ナット部材11と係合し、回転をナット部材11に伝達することができる特別な工具を生産ラインにおいて使用することによって行われることが好ましい。1つの好ましい実施例では、ピストンロッド60は最初に、ハウジング部品15のブリッジ構造15内に位置する、ナット部材11との係合部に位置する。その後、電子コンピュータ化された設備を使用して、その特定の注射装置に使用されるカートリッジ5内のプランジャ7の位置を検出する。プランジャ7の位置およびピストンロッド60(またはピストンロッド足部85)の位置が測定され、公知である場合、コンピュータは、注射装置が組み立てられたときに、特定の注射装置のピストンロッド足部85またはピストンロッド60をプランジャ7と当接させるために、どの程度ナット部材11を回転させる必要があるかを決定することができる。
【0152】
それゆえ、ピストンロッド60またはピストンロッド足部85の最近位端の位置は、ナット部材11をブリッジ構造15との一方向の接合面で回転させることによって微調整される。ここで重要なのは、ピストンロッド60(またはピストンロッド足部85)を前進させてプランジャ7と接触させる回転方向にナット部材11を回転させることができることである。
【0153】
ピストンロッド60は、駆動チューブ70上の内向きに尖った突出部75によって係合される軸方向軌道構造62をさらに備えて提供され、軸方向軌道構造62は、ばね基部25内側のトゥーティング26と係合し、一方向のラチェット接合面を形成する、いくつかのラチェットアーム77をさらに備えて提供され、そのため、駆動チューブ70は、1つの方向にのみ回転し、この方向は、開示される実施例では、注射装置を遠位位置から見たときに反時計回り方向である。それゆえ、これらのラチェットアーム77は、ピストンロッド60が時計回り方向に回転することを防止する。
【0154】
これ以降、ピストンロッド60と駆動チューブ70との間の係合は、ピストンロッド60が時計回り方向に回転することを防止する。したがって、ナット部材11を時計回り方向に回転させると、この回転は、ピストンロッド60がナット部材11の時計回り方向の回転に従うことができないため、遠位方向におけるピストンロッド60の並進に伝達される。
【0155】
用量が排出されると、駆動チューブ70およびピストンロッド60は、反時計回り方向に回転する。ナット部材11は、(ブリッジ構造15を介した)ナット部材11とハウジング部品10との間の一方向のラチェット接合面96、97により、反時計回り方向に回転することが防止されるため、ナット部材11は、回転せず、かつそれゆえ、遠位方向におけるピストンロッド60の螺旋運動を支持する。
【0156】
ピストンロッド11(またはピストンロッド足部85)とカートリッジ5内側のプランジャ7との間のエアギャップを排除するために、ナット部材11は、遠位方向にピストンロッド60を並進させる時計回り方向にハウジング構造に対して回転する。
【0157】
ピストンロッド11(またはピストンロッド足部85)がプランジャ7に当接している場合、ナット部材11をさらに時計回り方向に回転させることは不可能である。しかしながら、1つの実施例では、上記は、ピストンロッド足部85が、カートリッジホルダ部品20とともに組み立てられたときに正しい位置にあるように、最終組立前の位置を電子的に測定することによって行われる。
【0158】
ナット部材11とハウジング部品10との間の一方向の接合面96、97により、ナット部材11を(遠位位置から見たときに)反時計回り方向に回転させることは不可能である。
【0159】
上述の結果は、ナット部材11がハウジング構造に対して自己係止し、ナット部材11をハウジング構造に物理的に固設する必要がないことである。これ以降、先行技術に記載されるように、ナット部材11をハウジング構造に溶接または糊付けする必要はない。
【0160】
自己係止によってとは、本明細書では、ピストンロッド60(または足部85)がプランジャ7に当接するため、ナット部材11が時計回り方向に回転することができないこと、および一方向のラチェット接合面96、97により、ナット部材11が反時計回り方向に回転することができないことを意味する。
【0161】
ピストンロッド60が反時計回り方向に回転して、調製された用量体積を排出する際、ナット部材11は、同様に一方向のラチェット接合面96、97により、この回転に従うことができず、ナット部材11が、組み立て中に、エアギャップを排除するために時計回り方向に回転する際、ピストンロッド60が、駆動チューブ70との接合(62、75)、および駆動チューブ70とハウジング構造との間の係合(77、26)によって、この回転に従うことを防止する。
【0162】
ピストンロッド60とナット部材11との間の第1のねじ接続61、12のピッチが高い、すなわち、ピストンロッド60が回転のたびに長い距離を移動する場合、ナット部材11の回転中にナット部材11がハウジング構造に対して近位方向に螺旋状に螺合され得るように、ナット部材11上のねじ突出部95とハウジング部品10内側のねじフランジ98との間に第2のねじ接続95、98を有することが賢明である。
【0163】
図17Bに最もよく見られるように、ナット部材11上の外ねじを構成する突出部95は、ナット部材11がハウジング構造に対して回転するときに近位側に移動するように、ハウジング部品10のブリッジ構造15内の内部に、ねじフランジ98の後ろに固設される。さらに、図16には、ねじフランジ98が、ブリッジ構造15内の内部に軸方向開口部を有することが描かれており、軸方向開口部により、ナット部材11上のねじ突出部95は、ねじフランジ98の後ろで近位側に係合することができる。
【0164】
これは、ナット部材11が時計回り方向に回転すると、ナット部材11は、ピストンロッド60を遠位方向に移動させながら近位側に移動することを意味する。したがって、ナット部材11とハウジング構造との間の第2のねじ接続95、98のピッチを、有効なゼロ点調節ピッチを見つけるために、ピストンロッド60とナット部材11との間の第1のねじ接続61、12のピッチから減算する必要がある。
【0165】
ゼロ点調節の有効ピッチが低いことにより、エアギャップを排除するプロセスの微調整がより平易になる。したがって、ピストンロッド60の回転のたびに比較的大きな体積を吐出する必要がある場合である、ピッチが高いピストンロッド60で動作させるとき、ナット部材11とハウジング部品10との間に第2のねじ接続95、98を有することが有益である。
【0166】
ピストンロッド60とナット部材11との間の第1のねじ接続61、12のピッチが低い場合、第2のねじ接続95、98は必要とはみなされず、かつそれゆえ、ナット部材11は、軸方向に移動する能力を伴わずに、ハウジング構造に対して1つの平面で回転する必要があるだけである。
【0167】
代替的なゼロ点調節
ゼロ点調節のための代替的なナット部材を、図18A図19Bに開示する。この代替的なナット部材には、参照番号111が割り当てられ、この実施形態で追加された様々な要素には、前に「1」が付けられている。この実施形態の残りの構成部品は、先の実施形態で使用されたものと同じ番号で番号付けされている。
【0168】
ナット要素111は、内表面上に、内ねじ112を備えて提供されており、かつ外表面上に、一対の弾性アーム113を備えて提供されている。この実施形態では、2つの弾性アーム113のみが開示されているが、任意の数の弾性アーム113を提供することができる。
【0169】
ナット要素111をガイドするハウジング構造のブリッジ構造15内の軸方向開口部は、この実施形態では、弾性アーム113を並進方向にガイドする少なくとも1つ、好ましくは2つの軸方向に延びる溝115を備えて提供されている。これ以降、グローブ115と可撓性アーム113との間の係合は、ナット要素111が並進方向に、すなわち、ハウジング構造に対して回転することなく、摺動することしかできないことを確実にする。
【0170】
溝115は、遠位方向に半径方向外向きに傾斜する傾斜した底面116(図18Bを参照)を備えて提供されている。これは、弾性アーム113が、近位方向に移動したときに増大する半径方向の力に曝され、かつそれゆえ、ナット要素111がさらに近位側に移動すると、増加した力で遠位方向に付勢される効果を有する。
【0171】
図に見られるように、可撓性アーム113は、好ましくは半径方向に傾斜し、そのため、可撓性アーム113は、傾斜した底面116の角度に対応する、中心軸に対する角度に従う。
【0172】
注射装置を組み立てるために、ナット要素111およびピストンロッド60は最初に、ナット要素111がピストンロッド60上にねじ込まれるように、ナット要素111およびピストンロッド60を互いに対して回転させることによって予め組み立てられる。その後、予め組み立てられたピストンロッド60およびナット要素111は、図18Aに開示されるように、ブリッジ構造15内の開口部内側に置かれる。
【0173】
注射装置が完全に組み立てられると、図18Cに開示されるように、ピストンロッド足部85とプランジャ7との間に当接があるように、ピストンロッド60がカートリッジ5内側のプランジャ7と直接当接し得るか、またはピストンロッド足部85がピストンロッド60とプランジャ5との間に提供され得る。
【0174】
1つの実施例では、このピストンロッド足部85を、ピストンロッド60がナット要素111とともに予め組み立てられる前に同時に一緒に、またはピストンロッド60が、図18Bに示されるように、ナット要素111とともに予め組み立てられた後に、ピストンロッド60に接続することができる。
【0175】
ピストンロッド足部85は、1つの実施例では、ピストンロッド足部85がピストンロッド60に対して回転することができるように、ベアリングのような接続でピストンロッド60にクリック嵌合され得る。別の実施例では、ピストンロッド足部85は、ピストンロッド60とプランジャ7との間に位置付けられた別個のまたは結び付けられていない要素である。代替的に、ピストンロッド足部85をピストンロッド60に回転方向に接続して、ピストンロッド60と一緒に回転させることができる。
【0176】
後者の実施例では、ピストンロッド足部85は、排出された体積を決定するために、カートリッジ5、およびこれ以降、ハウジング構造に対して、ピストンロッド60の回転数を登録することができる電子センサーを収容し得る。
【0177】
ピストンロッド60およびナット要素111が、ピストンロッド足部85を伴ってまたは伴わずに予め組み立てられると、ナット要素111が軸方向に摺動し、そのため、可撓性アーム113が、ハウジング構造のブリッジセクション15の開口部内に提供された溝115と係合する。
【0178】
組み立ての最終工程では、カートリッジ5は、カートリッジホルダ20内側に置かれ、カートリッジホルダ20は、カートリッジ5と一緒に近位方向に移動し、そのため、カートリッジ5内側のプランジャ7が、ピストンロッド60(または足部85)と接触し、カートリッジホルダ20が、ハウジング構造のハウジング部品10にクリック嵌合される。
【0179】
したがって、カートリッジ5内側のプランジャ7がピストンロッド60(または足部85)に当接し、これによりナット要素111を強制的に近位方向において並進方向に摺動させる。可撓性アーム113の弾性により、可撓性アーム113が溝99の傾斜した底面116に押し付けられると、自動的にナット要素111、ひいては、ピストンロッド60が遠位方向に付勢されることにあり、そのため、プランジャ7とピストンロッド60(または足部85)との間の接触が維持される。プランジャ7とピストンロッド60(または足部85)との間の接触が得られ、維持されるたびに、レーザービーム(図18Cにおいて「L」で示される)がハウジング構造内の開口部14を通して、ブリッジ構造15の外表面上に方向付けられる。図18Cに開示されるように、必要に応じて、2つのかかる開口部14またはそれ以上が存在し得る。
【0180】
ブリッジ構造15は、好ましくは、ナット要素111の可撓性アーム113が成形されるポリマーよりもレーザー光に対してより透過性のあるポリマーから成形され、そのため、レーザービームのエネルギーは、ブリッジ構造15と可撓性アーム113との間の接触表面積、すなわち、ブリッジ構造15の内表面上の熱に変換される。
【0181】
したがって、この実施形態による注射装置は、2つの異なる状態の間で動作することができるナット要素111を有する。ナット要素111が軸方向に移動可能であり、かつナット要素111がカートリッジ5内のプランジャ7との衝突によって近位方向にわずかに移動することが好ましい、第1の状態。近位方向におけるこの軸方向運動の間、ナット要素111の弾性により、ナット要素111が遠位方向に跳ね返り、それによって、プランジャ7との物理的接触を維持する。
【0182】
プランジャ7とピストンロッド60(または足部85)との間の物理的接触が実現される位置で、ナット要素111がハウジング構造に溶接されるか、または別様に接続され、これは、これ以降、ナット要素111の第2の状態を規定する。
【0183】
この第2の状態では、ナット要素111は、ハウジング構造に軸方向に固設され、その後、ピストンロッド60は、ナット要素111およびハウジング構造に対して回転したときに螺旋状に移動する。
【0184】
予め組み立てられたナット要素111およびピストンロッド60の位置付けは、代替的に電子的に決定することができ、そのため、カートリッジが実際に位置付けられる前に、溶接を行うことができる。
【0185】
第2の代替的なゼロ点調節
図20図22Bは、ピストンロッド足部85とピストンロッド60との間に伸縮自在な要素100が配設された代替的な解決策を開示する。
【0186】
代替的なピストンロッド60は、図20に開示されており、伸縮自在な要素100の周りを掴むことができる2つの鉤爪105を遠位側に備えて提供されている。2つのかかる鉤爪105のみが開示されているが、任意の数の鉤爪105を提供することができる。
【0187】
ピストンロッド60は、ナット部材11内に提供された内ねじ12に係合する外ねじ61を備えて提供されており、この代替的な実施形態では、ハウジング構造の統合された部分であることが好ましい。ピストンロッド60は、駆動要素70によって係合される長手方向軌道構造62をさらに備えて提供されている。
【0188】
図21により詳細に示される伸縮自在な要素100は、遠位側に円形リブ101を備えて提供されており、円形リブ101の後ろで、ピストンロッド足部85上に提供されたクリックアーム86は、伸縮自在な要素100がピストンロッド足部85に軸方向に固定され得るように係合する。このクリック嵌合接続により、ピストンロッド足部85は、伸縮自在な要素100に対して回転することができる。
【0189】
伸縮自在な要素100は、図22Aおよび図22Bに開示されるように、上に鉤爪105が当接することができる、いくつかの外向きに尖った表面102をさらに備えて提供されている。これ以降、鉤爪105は、伸縮自在な要素100がピストンロッド60に対して摺動することができるように、これらの外向きに尖った表面102上で摺動するのに適している。
【0190】
伸縮自在な要素100は、この目的のために、ピストンロッド足部85が伸縮自在な要素100と一緒に、ピストンロッド60に対して軸方向に摺動することができるように、ピストンロッド60の軸方向開口部106内に摺動可能に配置される。
【0191】
図22Aおよび図22Bに開示されるように、(伸縮自在な要素100に接続された)ピストンロッド足部85が摺動して、カートリッジ5内側のプランジャ7と接触すると、伸縮自在な要素100は、ハウジング構造内にある開口部14を通し、ピストンロッド60の鉤爪105上にレーザービーム「L」を向けることによってピストンロッド60に溶接され、これにより、したがって、鉤爪105が伸縮自在な要素100の外向きに尖った表面102に溶接される。
【0192】
伸縮自在な要素100は、4つの外表面102が存在するような正方形形状であることが好ましく、軸方向開口部106もまた、伸縮自在な要素100が第1の状態ではピストンロッド60に対して並進することのみができるように正方形形状であることが好ましい。
【0193】
いくつかの好ましい実施形態を上記に示してきたが、本発明はこれらに限定されず、以下の特許請求の範囲に規定される主題の範囲内で他の方式で具現化することができることを強調しておく。
図1
図2A-2B】
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
【国際調査報告】