(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
F27D 1/14 20060101AFI20230208BHJP
F27D 1/16 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
F27D1/14 F
F27D1/16 U
F27D1/16 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510841
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2021129485
(87)【国際公開番号】W WO2022100564
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202011247286.5
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522040322
【氏名又は名称】山▲東▼▲魯▼▲陽▼▲節▼能材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】崔 希村
(72)【発明者】
【氏名】岳 耀▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 成▲海▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】王 建▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 作生
【テーマコード(参考)】
4K051
【Fターム(参考)】
4K051AA03
4K051AB03
4K051KA03
4K051KA04
(57)【要約】
耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法であって、最初に、施工前処理を行い、さらに、炉壁にアンカーを溶接して,炉壁に沿って敷き層を敷設する。そして、アンカーによって耐火繊維一体型モジュールを敷き層の熱面にきちんと固定して耐火繊維プレキャスト層を形成し、さらに耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間を補償ストリップを用いて充填する。最後に、耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修する。炉壁に敷き層を敷設することで、炉壁の内側を平らにすることができ、耐火繊維一体型モジュールが平らな平面に取り付けられることを保証し、耐火繊維一体型モジュールが脱落するリスクを低減させる。また、耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間が設けられ、補償ストリップによって予備された隙間を充填し、耐火繊維一体型モジュールの収縮によるスリットを補う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法であって、
施工前処理を行うことであって、前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接することと、
前記炉壁に沿って耐火繊維ブランケットとナノプレートとを含む敷き層を敷設することと、
耐火繊維プレキャスト層を形成するように、前記アンカーによって耐火繊維一体型モジュールを敷き層の熱面にきちんと固定し、さらに補償ストリップを用いて前記耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間を充填することと、
前記耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修することと、
を含むことを特徴とする取り付け方法。
【請求項2】
施工前処理を行うことは、
炉内に足場を組み立てることであって、前記足場と炉壁との距離を第1の設定値以下にさせることと、
前記足場の組み立てが完了した後に、アンカーを溶接するために、前記炉壁に対して錆落としを行い、前記炉壁の溶接スラグ、浮遊塵、錆及び油汚れを除去することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の取り付け方法。
【請求項3】
前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接することの後に、さらに、
前記アンカーの溶接品質を検出することを含むことを特徴とする請求項1に記載の取り付け方法。
【請求項4】
前記炉壁に沿って耐火繊維ブランケットとナノプレートとを含む敷き層を敷設することは、
溶接継ぎ目に漏れがあるか否かを確認するために、前記炉壁に水をかける試験を行い、漏れている場合に溶接を補強することと、
前記耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締め、引き締められた前記耐火繊維ブランケットを前記アンカーに通し、クイック係止片で固定し、固定された前記耐火繊維ブランケットを平らにすることと、
前記炉壁の内側壁を覆う第1の敷き層が形成されるまで、前記耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締めることを繰り返すことと、
前記ナノプレートを一端から他端へ敷き、前記ナノプレートを前記アンカーに通し、クイック係止片で固定し、固定された前記ナノプレートを平らにすることと、
前記第1の敷き層を覆う第2の敷き層が形成されるまで、前記ナノプレートを一端から他端へ敷くことを繰り返すことと、
前記第2の敷き層を覆う第3の敷き層が形成されるまで、前記耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締め、引き締められた前記耐火繊維ブランケットを前記アンカーに通し、クイック係止片で固定し、固定された前記耐火繊維ブランケットを平らにすることと、
前記敷き層は少なくとも二層の前記耐火繊維ブランケットと少なくとも一層のナノプレートを含み、二層の前記耐火繊維ブランケットの継ぎ目を千鳥状にし、継ぎ目の間隔を第2の設定値より大きくすることと、
含むことを特徴とする請求項1に記載の取り付け方法。
【請求項5】
前記耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修することは、
前記耐火繊維プレキャスト層を検査し、前記耐火繊維プレキャスト層にスリットがある場合、前記スリットが所定の幅より大きいか否かを判断することと、
前記スリットが前記所定の幅より大きい場合、二つ折りにされた耐火繊維ブランケットを前記スリットに詰め込むことと、含むことを特徴とする請求項1に記載の取り付け方法。
【請求項6】
前記第2の設定値は、50mmより大きいことを特徴とする請求項4に記載の取り付け方法。
【請求項7】
前記アンカーによって、耐火繊維一体型モジュールを敷き層の熱面にきちんと固定することは、
前記耐火繊維一体型モジュールの案内管を前記アンカーに合わせて外嵌し、ナットを前記アンカーに螺合することで前記耐火繊維一体型モジュールを固定すること、を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の取り付け方法。
【請求項8】
前記補償ストリップは、耐火繊維カーペットを二つ折りにし、所定の寸法に圧縮したものであることを特徴とする請求項7に記載の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年11月10日に中国特許庁に出願した出願番号が202011247286.5であり、発明名称が「耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法」である中国出願の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、加熱炉施工の技術分野に関し,特に、耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレン分解炉はエチレン生産装置の核心設備であり、その主な機能は天然ガス、製油所ガス、原油及びナフサ等の各種類の原料を分解ガスに加工して、他のエチレン装置に供給し、最終的にエチレン、プロピレン及び各種類の副産物に加工することである。エチレン分解炉の生産能力及び技術レベルは、一セットのエチレン装置の全体の生産規模、生産量及び製品品質を直接決定し、分解炉のエネルギー消費量の低減がエチレン生産コストを低減する重要な手段の一つである。
【0004】
エチレン分解炉のエネルギー消費量は、分解炉システム自体の耐火内張りの設計および設置レベルに大きく依存する。近年、分解炉技術は、高温、短滞留時間、大型化および長運転サイクルの方向に発展している。そのため、分解炉の耐火内張りは高温使用の要求を満たすことができ、耐火及び省エネルギーの効果を備える必要がある。従来の煉瓦壁の内張り構造は熱伝導率が高く、熱効率が低く、また煉瓦壁構造の耐熱衝撃性が悪いため、長期間の高温使用中に熱応力により内張りにひび割れが発生し、さらにひび割れの拡大により煉瓦壁構造が脱落することで、内張りの耐用年数を低下させる。エチレン分解炉の熱効率を向上させる目的で、全繊維内張りはその熱伝導率が低く、耐熱衝撃性に優れるため研究ホットスポットとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のセラミック繊維モジュール等の製品の内張り構造は、繊維製品自体の耐風食性能が悪いため、長期的に風速及び炉内雰囲気の影響を受けて繊維が粉化し、内張りの耐用年数が低下する。したがって、全繊維内張りは耐火繊維一体型モジュールを採用することで、繊維内張りの寿命を向上させ、内張りの熱効率を向上させるという目的を達成できる。耐火繊維一体型モジュールは施工技術、装置に対する要求が高い一方、現在の耐火繊維一体型モジュールの施工はあまり標準化されておらず、科学的な取り付け方法が乏しい。耐火繊維一体型モジュールはエチレン分解炉の生産過程においてひび割れや脱落等の問題が発生することが多く、エチレン分解炉の正常な生産に大きく影響を及ぼす。
【0006】
したがって、耐火繊維一体型モジュールの施工不良によるひび割れ及び脱落をどのように回避するかは当業者が緊急に解決すべき技術的問題である。
【0007】
本発明は、耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、
施工前処理を行うことであって、前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接することと、
前記炉壁に沿って耐火繊維ブランケットとナノプレートとを含む敷き層を敷設することと、
耐火繊維プレキャスト層を形成するように、前記アンカーによって耐火繊維一体型モジュールを敷き層の熱面にきちんと固定し、さらに補償ストリップを用いて前記耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間を充填することと、
前記耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修することと、
を含む耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法を提供する。
【0009】
好ましくは、施工前処理を行うことは、
炉内に足場を組み立てることであって、前記足場と炉壁との距離を第1の設定値以下にさせることと、
前記足場の組み立てが完了した後に、アンカーを溶接するために、前記炉壁に対して錆落としを行い、前記炉壁の溶接スラグ、浮遊塵、錆及び油汚れを除去することとを含む。
【0010】
好ましくは、前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接することの後に、前記アンカーの溶接品質を検出することをさらに含む。
【0011】
好ましくは、前記炉壁に沿って耐火繊維ブランケットとナノプレートとを含む敷き層を敷設することは、
溶接継ぎ目に漏れがあるか否かを確認するために、前記炉壁に水をかける試験を行い、漏れている場合溶接を補強することと、
前記耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締め、引き締められた前記耐火繊維ブランケットを前記アンカーに通し、クイック係止片で固定し、固定された前記耐火繊維ブランケットを平らにすることと、
前記炉壁の内側壁を覆う第1の敷き層が形成されるまで、前記耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締めることを繰り返すことと、
前記ナノプレートを一端から他端へ敷き、前記ナノプレートを前記アンカーに通し、クイック係止片で固定し、固定された前記ナノプレートを平らにすることと、
前記第1の敷き層を覆う第2の敷き層が形成されるまで、前記ナノプレートを一端から他端へ敷くことを繰り返すことと、
前記第2の敷き層を覆う第3の敷き層が形成されるまで、前記耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締め、引き締められた前記耐火繊維ブランケットを前記アンカーに通し、クイック係止片で固定し、固定された前記耐火繊維ブランケットを平らにすることと、
前記敷き層は少なくとも二層の前記耐火繊維ブランケットと少なくとも一層のナノプレートを含み、二層の前記耐火繊維ブランケットの継ぎ目を千鳥状にし、継ぎ目の間隔を第2の設定値より大きくすることと含む。
【0012】
好ましくは、前記耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修することは、
前記耐火繊維プレキャスト層を検査し、前記耐火繊維プレキャスト層にスリットがある場合、前記スリットが所定の幅より大きいか否かを判断することと、
前記スリットが前記所定の幅より大きい場合、二つ折りにされた耐火繊維ブランケットを前記スリットに詰め込むことと含む。
【0013】
好ましくは、前記第2の設定値は、50mmより大きい。
【0014】
好ましくは、前記アンカーによって、耐火繊維一体型モジュールを前記敷き層の熱面にきちんと固定することは、
前記耐火繊維一体型モジュールの案内管を前記アンカーに合わせて外嵌し、ナットを前記アンカーに螺合することで前記耐火繊維一体型モジュールを固定することを含む。
【0015】
好ましくは、前記補償ストリップは、耐火繊維カーペットを二つ折りにし、所定の寸法に圧縮したものである。
【0016】
本発明による耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法は、最初に、施工前処理を行い、前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接し,その後に炉壁に沿って耐火繊維ブランケットである敷き層を敷設し、その後にアンカーによって耐火繊維一体型モジュールを敷き層の熱面にきちんと固定して耐火繊維プレキャスト層を形成し、さらに補償ストリップを用いて耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間を充填し、最後に、耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修する。
【0017】
施工において炉壁に沿って敷き層を敷設して、炉壁の内側を平らにし、耐火繊維一体型モジュールが平らな平面に取り付けられることを保証することで、耐火繊維一体型モジュールが脱落するリスクを低減させる。また、耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間が設けられ、補償ストリップによって予備された隙間を充填し、耐火繊維一体型モジュールの熱収縮によるスリットの発生を回避する。最後に耐火繊維プレキャスト層におけるスリットを充填し、充填材が十分であるため、充填材の膨張力によって耐火繊維一体型モジュールのひび割れを回避することができる。
【0018】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。以下の説明における図面は単に本発明の実施例であり、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、提供された図面に基づいて他の図面を得られることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下は、本発明の実施例における図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭、完全に説明する。明らかに、説明する実施例は単に本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
当業者が本発明の解決手段をよりよく理解するために、以下は図面及び具体的な実施形態を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図1を参照する。
図1は、本発明による耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法のフローチャートである。
【0023】
本発明による耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法は、以下のS1からS4を含む。
【0024】
S1、施工前処理を行い、この前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接する。
作業者は、最初に炉内に足場を組み立てもよい。通常、足場の層間は1.8~2.0メートルで,足場と炉壁との距離を第1の設定値以下にする。第1の設定値は、具体的に、0.5メートルであってもよい。もちろん、ユーザーは必要に応じて第1の設定値を自ら設定してもよい。足場の間に足場板を敷設する。足場の組み立てが強固で、安全で信頼できるものでなければならない。足場を取り外す時に上から下へ行い、上下同時作業を厳禁する。
足場の組み立てが完了した後に、炉壁に対して錆落としを行う。作業者は電動ブラシやワイヤブラシによって手動で錆落としを行うことができ、炉壁の溶接スラグ、浮遊塵、錆及び油汚れ等を除去し、錆落としの後にアンカー溶接要求を満たす必要がある。
その処理が完了した後、作業者は施工図面に規定されたピッチに基づいて線を引き、アンカーの溶接位置を決める。なお、描かれた線の偏差を±1mm以下にする。溶接する時、アンカーを溶接点が位置する炉壁に垂直に溶接する。溶接が完了した後、溶接品質を検査する。具体的には、アンカーの底部の周りはアンダーカットなしで完全に溶接する必要がある。ハンマーで叩いて調べると、クリアで響きのあるメタリックな音がする。
【0025】
S2、炉壁に沿って耐火繊維ブランケットとナノプレートとを含む敷き層を敷設する。
敷き層を敷設する前に、溶接継ぎ目が漏れるか否かを確認するために、炉壁に水をかける試験を行う必要としてもよい。漏れがある場合、溶接継ぎ目が漏れなくなるまで溶接を補強する。
敷設過程において、炉壁の一側から敷設し始め、まず耐火繊維ブランケットを一端から他端へ引き締めて、引き締めた耐火繊維ブランケットがアンカーを通過させる。耐火繊維ブランケットは、自身の張力でアンカーの外周に密着する。そして、耐火繊維ブランケットをクイック係止片で固定し、固定された耐火繊維ブランケットを平らにする。一枚の耐火繊維ブランケットの敷設を完了した後、次の耐火繊維ブランケットを敷設する。炉壁を敷き詰めて第1の敷き層を形成するまで、敷設し続ける。ブランケット同士の継ぎ目がしっかりと閉じられ、ストレート継ぎ目の形成を避ける。
第1の敷き層の敷設を完了した後、第2の敷き層を敷設する。第2の敷き層は、ナノプレートであり、前記ナノプレートを一端から他端へ敷きながら、前記アンカーを通過させ、クイック係止片で固定し、固定された前記ナノプレートを平らにする。一枚のナノプレートの敷設を完了した後、次のナノプレートを敷設する。
炉壁を敷き詰めて第1の敷き層の上方に位置する第2の敷き層を形成するまで、敷設し続ける。プレート同士の継ぎ目がしっかりと閉じられ、ストレート継ぎ目の形成を避ける。
続いて、第3の敷き層を敷設する。第3の敷き層も耐火繊維ブランケットを用い、その敷設の詳細は第1の敷き層を参照することができ、ここで説明を省略する。敷設が完了したら、第2の敷き層の上方に位置する第3の敷き層が形成される。
敷き層は通常少なくとも二層の耐火繊維ブランケットと一層のナノプレートを敷設する必要があるが、当然ながら、ユーザは四層以上の敷き層を設置することもできる。この場合、その敷設の詳細は前の三層の敷き層の敷設を参照することができ、ここで説明を省略する。また、炉壁に垂直な方向に敷き層を貫通する継ぎ目を形成することを回避するため、二層の耐火繊維ブランケットの継ぎ目を千鳥状にし、継ぎ目の間隔を第2の設定値より大きくする。第2の設定値は50mmより大きい。本出願の三つの具体的な実施形態における第2の設定値はそれぞれ、100mm、150mm、180mmとしたが、当然ユーザは必要に応じて第2の設定値を自ら設定してもよく、ここでは特に限定しない。
【0026】
S3、耐火繊維プレキャスト層を形成するように、アンカーによって耐火繊維一体型モジュールを敷き層の熱面にきちんと固定し、さらに耐火繊維一体型モジュールの間に予備された隙間を補償ストリップを用いて充填する。
耐火繊維一体型モジュールを取り付ける時、敷き層の熱面に耐火繊維一体型モジュールを同じ向きで順次配列してもよい。なお、熱面とは、火炉内側に向かう面である。同じ向きで順次配列とは、全ての耐火繊維一体型モジュールにおける耐高温側面を熱面として火炉内側に向かって設置されることである。取り付けの前に、型番や仕様による、耐火繊維一体型モジュールの取り付け位置を明確にする必要があり、その後に炉壁の一側から施工する。まず、耐火繊維一体型モジュールの案内管をアンカーに合わせて外嵌し、アンカーに沿って耐火繊維一体型モジュールを押して敷き層に貼り合わせる。そして、六角レンチを用いてナットをアンカーに螺合することで、耐火繊維一体型モジュールを固定する。
一列の耐火繊維一体型モジュールの取り付けを完了した後、補償ストリップを増設する必要がある。耐火繊維一体モジュールは、加熱されると収縮するので、内張りにスリットが生じることになる。補償ストリップは、耐火繊維ブランケットを二つ折りにし、所定の寸法に圧縮してなるものであって、膨張することができ、耐火繊維一体モジュールのサイズの収縮を補償する。補償ストリップの取り付けが完了した後に、上記と同じように、もう一列の耐火繊維一体型モジュールの取り付けを行う。
【0027】
S4、耐火繊維プレキャスト層を検査し、幅が所定の幅より大きいスリットを補修する。
炉壁面全体への取り付けが完了した後に耐火繊維一体型モジュールの配置が要求を満たすか否かを検査する必要としてもよい。耐火繊維一体型モジュールを強固に取り付けた後、案内管等の部材を抜き出す。なお、耐火繊維一体型モジュール自体の膨張により、案内管の抜き出しによる空隙を埋められる。そして、耐火繊維一体型モジュールの熱面を平らにするために、平板で軽く押し付ける。最後に、耐火繊維プレキャスト層表面を清掃する。耐火繊維プレキャスト層の表面を整えた後、耐火繊維プレキャスト層にスリットがあるか否かを検査し、耐火繊維プレキャスト層にスリットがある場合、その幅が所定の幅より大きいか否かを判断する。なお、所定の幅は、具体的に5mmであってもよいが、当然ユーザは必要に応じて自ら設定してよく、ここでは特に限定しない。スリットが所定の幅より大きい場合、二つ折りにされた耐火繊維ブランケットを薄鋼板によってスリットに詰め込むことで埋める。
【0028】
本実施例において、耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法は、最初に炉壁の内側に敷き層を設置することで、耐火繊維一体型モジュールがきちんと炉壁の内側に設置されることを保証し、耐火繊維一体型モジュールの脱落を回避する。さらに、耐火繊維一体型モジュールの間に補償ストリップが設けられ、また耐火繊維プレキャスト層のスリットに耐火繊維ブランケットを充填し、補償ストリップと耐火繊維ブランケットで耐火繊維一体型モジュールを支持することで、耐火繊維一体型モジュールのひび割れを回避する。
【0029】
なお、本明細書において、「第1の」および「第2の」のような関係用語は、単にある構成要素を他のいくつかの構成要素と区別するために用いられ、必ずしもこれらの構成要素の間に何等かこのような実際の関係又は順序が存在することを要求または示唆ではない。
【0030】
以上は本発明による耐火繊維一体型モジュールの取り付け方法について詳細に説明した。ここで具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例に対する説明は単に本発明の方法及びその中心思想を理解するためのものである。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良及び修正を行うことができ、これらの改良及び修正も本発明の請求項の保護範囲内に含まれると理解すべきである。
【符号の説明】
【0031】
S1 前処理が完了した後に炉壁にアンカーを溶接する
【国際調査報告】