(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】冠状動脈の分割方法、装置、電子デバイス及びコンピュータ読取可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G16H 30/40 20180101AFI20230208BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230208BHJP
【FI】
G16H30/40
G06T7/00 350C
G06T7/00 612
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518857
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2021130861
(87)【国際公開番号】W WO2022105735
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202011303653.9
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519038965
【氏名又は名称】インファービジョン メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 歓
(72)【発明者】
【氏名】王 少康
(72)【発明者】
【氏名】陳 寛
【テーマコード(参考)】
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
5L096BA06
5L096BA13
5L096GA34
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
5L099AA26
(57)【要約】
冠状動脈の分割方法であって、検出対象画像に対して検出工程を反復して実行するステップであって、検出工程は、検出対象領域と、領域内冠状動脈の示唆データとを取得することと、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得することと、領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得することと、検出対象画像における検出対象領域を対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得することと、置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域を選出し、対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとすることと、を含むステップと、検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後、冠状動脈の分割データを出力するステップと、を含む。高精度分割を実現し、冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象画像に対して検出工程を反復して実行するステップであって、前記検出工程は、検出対象領域と、前記検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することと、前記領域内冠状動脈の示唆データを有する前記検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得することと、前記領域内冠状動脈の分割データと前記領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得することと、前記検出対象画像における前記検出対象領域を前記対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得することと、前記置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域を選出し、前記対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとすることと、を含むステップと、
前記検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後、冠状動脈の分割データを出力するステップと、を含む
ことを特徴とする冠状動脈の分割方法。
【請求項2】
前記検出対象領域は冠状動脈起始領域であり、
前記の、検出対象領域と、前記検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することは、
前記検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得するステップと、
前記冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するステップと、
前記第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するステップと、
前記第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第1のスタックトップシードノードを取得するステップと、
前記第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記検出対象画像から第1のプリセットサイズを有する第1の領域を前記検出対象領域として選出するステップと、
前記第1の領域における前記冠状動脈起始部の分割データを前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項3】
前記検出対象領域は現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものであり、
前記の、検出対象領域と、前記検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することは、
前記1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するステップと、
前記増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するステップと、
前記第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するステップと、
前記第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第2のスタックトップシードノードを取得するステップと、
前記第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から、第2のプリセットサイズを有する第2の領域を前記検出対象領域として選出するステップであって、前記第2の領域は前記1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーするステップと、
前記第2の領域に含まれている、前記1つ前の検出工程で得られた対比結果を、前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項4】
前記の、前記領域内冠状動脈の分割データと前記領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得することは、
前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、前記領域内冠状動脈の分割データを前記対比結果として選定するステップ、又は、
前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、前記領域内冠状動脈の示唆データを前記対比結果として選定するステップ、を含む
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項5】
前記冠状動脈の分割モデルの訓練方法は、
サンプルを取得するステップであって、前記サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを備えるステップと、
前記認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するステップと、
前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するステップであって、前記冠状動脈の示唆データは、前記認識対象領域の血管データのラベリング時に、1つの正確な起始点を示唆としてニューラルネットワークモデルに提供するステップと、
前記認識対象血管の拡張データ、前記冠状動脈の示唆データ及び前記冠状動脈のラベルデータを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、前記ニューラルネットワークモデルが前記サンプルの前記冠状動脈の示唆データに基づいて前記冠状動脈のラベルデータを出力できるように、前記ニューラルネットワークモデルを訓練するステップと、を含み、
ここで、前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得する前記ステップは、
前記冠状動脈のラベルデータの一部を前記冠状動脈の示唆データとして選定するステップを含む
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項6】
前記認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得する前記ステップは、
前記認識対象領域の血管データにノイズデータを付加するステップと、
前記認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するステップと、を含み、
前記ノイズデータはプラークデータ及びアーチファクトデータを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項7】
前記認識対象血管の拡張データ、前記冠状動脈の示唆データ及び前記冠状動脈のラベルデータを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、前記ニューラルネットワークモデルを訓練する前記ステップは、
前記認識対象血管の拡張データ及び前記冠状動脈の示唆データを有する前記サンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、冠状動脈の分割データを取得するステップと、
前記冠状動脈の分割データ及び前記冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するステップと、
前記ロス結果に基づいて前記ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項8】
サンプルを取得する前記ステップは、
生画像を取得するステップと、
前記生画像をスライディングウィンドウ処理して複数の前記サンプルを取得するステップと、を含み、
前記生画像は認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項9】
検出対象画像に対して共同で検出工程を反復して実行するように構成される分割取得モジュール、分割モジュール、対比判断モジュール、置換モジュール及び出力モジュールを備え、
前記分割取得モジュールは、検出対象領域と、領域内冠状動脈の示唆データとを取得するように構成され、前記領域内冠状動脈の示唆データは前記検出対象領域の分割に示唆を提供し、
前記分割モジュールは、前記領域内冠状動脈の示唆データを有する前記検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して領域内冠状動脈の分割データを取得するように構成され、
前記対比判断モジュールは、前記領域内冠状動脈の示唆データと前記領域内冠状動脈の分割データの対比結果を取得するように構成され、
前記置換モジュールは、前記検出対象画像における前記検出対象領域を前記対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得するように構成され、
前記出力モジュールは、前記置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域を選出し、前記対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとするように構成され、
前記出力モジュールはさらに、前記検出対象画像の全体が前記対比結果により置換終了後、冠状動脈の分割データを出力するように構成される
ことを特徴とする冠状動脈の分割装置。
【請求項10】
前記検出対象領域は冠状動脈起始領域であり、
前記分割取得モジュールは、
前記検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得するように構成される起始分割サブモジュールと、
前記冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するように構成される第1の抽出サブモジュールと、
前記第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するように構成される第1のシードノード選定サブモジュールと、
前記第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得するように構成される第1のスタックトップシードノード取得サブモジュールと、
前記第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を前記検出対象領域として選出するように構成される第1の領域取得サブモジュールと、
前記第1の領域における前記冠状動脈起始部の分割データを前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第1の示唆取得サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項11】
前記検出対象領域は1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものであり、
前記分割取得モジュールは、
前記1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するように構成される増分取得サブモジュールと、
前記増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するように構成される第2の抽出サブモジュールと、
前記第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するように構成される第2のシードノード選定サブモジュールと、
前記第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第2のスタックトップシードノードを取得するように構成される第2のスタックトップシードノード取得サブモジュールと、
前記第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像において第2のプリセットサイズを有し且つ前記1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする第2の領域を前記検出対象領域として選出するように構成される第2の領域取得サブモジュールと、
前記第2の領域に含まれている、前記1つ前の検出工程で得られた対比結果を、前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第2の示唆取得サブモジュールと、を更に備える
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項12】
前記対比判断モジュールはさらに、前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合に前記領域内冠状動脈の分割データを前記対比結果として選定するか、又は、前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合に前記領域内冠状動脈の示唆データを前記対比結果として選定する、ように構成される
ことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項13】
サンプル取得モジュール、拡張モジュール、示唆取得モジュール及びラベリングモジュールを更に備え、
前記サンプル取得モジュールはサンプルを取得するように構成され、前記サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを含み、
前記拡張モジュールは、前記認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するように構成され、
前記示唆取得モジュールは、前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するように構成され、
前記冠状動脈の示唆データは前記認識対象領域の血管データのラベリング時に1つの正確な起始点を示唆としてニューラルネットワークモデルに提供し、
ここで、前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは、前記冠状動脈のラベルデータの一部を前記冠状動脈の示唆データとして選定することを含み、
前記ラベリングモジュールは、前記認識対象血管の拡張データ、前記冠状動脈の示唆データ及び前記冠状動脈のラベルデータを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、前記ニューラルネットワークモデルが前記サンプルの前記冠状動脈の示唆データに基づいて前記冠状動脈のラベルデータを出力できるように、前記ニューラルネットワークモデルを訓練するように構成される
ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項14】
前記拡張モジュールは、
前記認識対象領域の血管データにプラークデータ及びアーチファクトデータを含むノイズデータを付加するように構成されるノイズ拡張サブモジュールと、
前記認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するように構成される偽陽性拡張サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項15】
前記ラベリングモジュールは、
前記認識対象血管の拡張データ及び前記冠状動脈の示唆データを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、冠状動脈の分割データを取得するように構成される出力サブモジュールと、
前記冠状動脈の分割データ及び前記冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するように構成されるロスサブモジュールと、
前記ロス結果に基づいて前記ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するように構成される調整サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項16】
前記サンプル取得モジュールは、
認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む生画像を取得するように構成される生画像取得サブモジュールと、
前記生画像をスライディングウィンドウ処理して複数の前記サンプルを取得するように構成される前処理サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項13ないし15のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項17】
電子デバイスであって、
プロセッサ及びメモリを備えており、
前記メモリにはコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令が前記プロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは請求項1ないし8のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法を実施する
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項18】
コンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ読取可能な記憶媒体にはコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは請求項1ないし8のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法を実施する
ことを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例はディープラーニング技術分野に関し、具体的には冠状動脈の分割方法、冠状動脈の分割装置、電子デバイス及びコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
冠状動脈性心疾患の診断において、冠状動脈の分割は極めて重要である。しかしながら、医療画像の複雑さ及び無作為性などの要因に影響されて、従来の冠状動脈の分割方法には、冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別できない、及び、モーションアーチファクトや冠状動脈のプラークなどが存在する場合に冠状動脈の細かい枝をうまく分割できない、などの問題が存在する。
【0003】
そこで、分割精度が高く、冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別でき、且つアーチファクトやプラークに対するロバスト性が高い冠状動脈の分割方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に鑑みて、本発明の実施例は、冠状動脈の分割方法、冠状動脈の分割装置、電子デバイス及びコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することによって、冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別できない、及び、モーションアーチファクトや冠状動脈のプラークなどが存在する場合に冠状動脈の細かい枝をうまく分割できないなどの、従来の冠状動脈の分割方法における技術課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によると、本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法は、検出対象画像に対して検出工程を反復して実行するステップであって、検出工程は、検出対象領域と、検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することと、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得することと、領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得することと、検出対象画像における検出対象領域を対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得することと、置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域を選出し、対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとすることと、を含むステップと、検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後、冠状動脈の分割データを出力するステップと、を含む。
【0006】
1つの実施例において、検出対象領域は冠状動脈の起始領域である。ここで、検出対象領域と、領域内冠状動脈の示唆データとを取得することは、検出対象画像に基づいて、冠状動脈起始部の分割データを取得するステップと、冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するステップと、第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するステップと、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第1のスタックトップシードノードを取得するステップと、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像から第1のプリセットサイズを有する第1の領域を検出対象領域として選出するステップと、第1の領域における冠状動脈起始部の分割データを領域内冠状動脈の示唆データとして確定するステップと、を含む。
【0007】
1つの実施例において、検出対象領域は、現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものである。ここで、検出対象領域と、領域内冠状動脈の示唆データとを取得することは、1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するステップと、増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するステップと、第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するステップと、第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第2のスタックトップシードノードを取得するステップと、第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から、第2のプリセットサイズを有する第2の領域を検出対象領域として選出するステップであって、第2の領域は1つ前の検出工程における対比結果の一部をカバーするステップと、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程で得られた対比結果を、領域内冠状動脈の示唆データとして確定するステップと、を含む。
【0008】
1つの実施例において、領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データとの対比結果を取得することは、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定するステップか、又は、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定するステップ、を含む。
【0009】
1つの実施例において、冠状動脈の分割モデルの訓練方法は、認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを備えるサンプルを取得するステップと、認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するステップと、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するステップと、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるように、ニューラルネットワークモデルを訓練するステップと、を含む。冠状動脈の示唆データは、認識対象領域の血管データのラベリング時に示唆として1つの正確な起始点をニューラルネットワークモデルに提供する。ここで、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するステップは、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定するステップを含む。
【0010】
1つの実施例において、認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するステップは、認識対象領域の血管データにノイズデータを付加するステップと、認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するステップと、を含み、ノイズデータはプラークデータ及びアーチファクトデータを含む。
【0011】
1つの実施例において、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力してニューラルネットワークモデルを訓練するステップは、認識対象血管の拡張データ及び冠状動脈の示唆データを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、冠状動脈の分割データを取得するステップと、冠状動脈の分割データ及び冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するステップと、ロス結果に基づいてニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するステップと、を含む。
【0012】
1つの実施例において、サンプルを取得するステップは、認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む生画像を取得するステップと、生画像をスライディングウィンドウ処理して複数のサンプルを取得するステップと、を含む。
【0013】
本発明の他の態様によると、本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割装置は、検出対象画像に対して共同で検出工程を反復して実行するように構成される分割取得モジュール、分割モジュール、対比判断モジュール、置換モジュール及び出力モジュールを備える。その中、分割取得モジュールは、検出対象領域と、領域内冠状動脈の示唆データとを取得するように構成され、領域内冠状動脈の示唆データは検出対象領域の分割に示唆を提供する。分割モジュールは、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得するように構成される。対比判断モジュールは、領域内冠状動脈の示唆データと領域内冠状動脈の分割データとの対比結果を取得するように構成される。置換モジュールは、検出対象画像における検出対象領域を対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得するように構成される。出力モジュールは、置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域を選出し、対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとして使用するように構成される。出力モジュールはさらに、検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後に冠状動脈の分割データを出力するように構成される。
【0014】
1つの実施例において、検出対象領域は冠状動脈起始領域である。ここで、分割取得モジュールは、検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得するように構成される起始分割サブモジュールと、冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するように構成される第1の抽出サブモジュールと、第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するように構成される第1のシードノード選定サブモジュールと、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得するように構成される第1のスタックトップシードノード取得サブモジュールと、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像から第1のプリセットサイズを有する第1の領域を検出対象領域として選出するように構成される第1の領域取得サブモジュールと、第1の領域における冠状動脈起始部の分割データを領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第1の示唆取得サブモジュールと、を備える。
【0015】
1つの実施例において、検出対象領域は、現在の検出工程の1つ前の検出工程において得られた置換後の検出対象画像から選出されたものである。ここで、分割取得モジュールは、1つ前の検出工程における対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するように構成される増分取得サブモジュールと、増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するように構成される第2の抽出サブモジュールと、第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するように構成される第2のシードノード選定サブモジュールと、第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第2のスタックトップシードノードを取得するように構成される第2のスタックトップシードノード取得サブモジュールと、第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、1つ前の検出工程において得られた置換後の検出対象画像から、第2のプリセットサイズを有し且つ1つ前の検出工程の対比結果の一部をカバーする第2の領域を、検出対象領域として選出するように構成される第2の領域取得サブモジュールと、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程の対比結果を領域内冠状動脈の示唆データとして確定する、ように構成される第2の示唆取得サブモジュールと、を更に備える。
【0016】
1つの実施例において、対比判断モジュールはさらに、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合に領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定するか、又は、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合に領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する、ように構成される。
【0017】
1つの実施例において、冠状動脈の分割装置は、サンプル取得モジュール、拡張モジュール、示唆取得モジュール及びラベリングモジュールを更に備える。サンプル取得モジュールはサンプルを取得するように構成され、サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを備える。拡張モジュールは、認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するように構成される。示唆取得モジュールは、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するように構成され、冠状動脈の示唆データは、認識対象領域の血管データのラベリング時に示唆として1つの正確な起始点をニューラルネットワークモデルに提供する。ここで、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定することを含む。ラベリングモジュールは、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるように、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力してニューラルネットワークモデルを訓練する、ように構成される。
【0018】
1つの実施例において、拡張モジュールはノイズ拡張サブモジュール及び偽陽性拡張サブモジュールを備える。ノイズ拡張サブモジュールは認識対象領域の血管データにノイズデータを付加するように構成され、ノイズデータはプラークデータ及びアーチファクトデータを含む。偽陽性拡張サブモジュールは、認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するように構成される。
【0019】
1つの実施例において、ラベリングモジュールは出力サブモジュール、ロスサブモジュール及び調整サブモジュールを備える。出力サブモジュールは、認識対象血管の拡張データ及び冠状動脈の示唆データを有するサンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練して冠状動脈の分割データを取得するように構成される。ロスサブモジュールは、冠状動脈の分割データ及び冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するように構成される。調整サブモジュールは、ロス結果に基づいてニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するように構成される。
【0020】
1つの実施例において、サンプル取得モジュールは、生画像取得サブモジュール及び前処理サブモジュールを備える。生画像取得サブモジュールは生画像を取得するように構成され、生画像は認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む。前処理サブモジュールは、生画像に対してスライディングウィンドウ処理を行って複数のサンプルを取得するように構成される。
【0021】
本発明のもう1つの態様によると、本発明の一実施例に係る電子デバイスは、プロセッサと、メモリと、メモリに記憶されているコンピュータプログラム命令と、を備える。コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行されるとき、プロセッサは上述の任意の冠状動脈の分割方法を実施する。
【0022】
本発明のもう1つの態様によると、本発明の一実施例はコンピュータ読取可能な記憶媒体を開示する。前記コンピュータ読取可能な記憶媒体にはコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは上述の任意の冠状動脈の分割方法を実施する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施例に係る冠状動脈の分割方法は、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を上述の冠状動脈の分割モデルに入力して検出対象領域の領域内冠状動脈の分割データを取得し、領域内冠状動脈の分割データと冠状動脈の示唆データがより多くの分割領域を分割したかを対比して対比結果を取得し、対比結果で検出対象画像中の検出対象領域を置き換えて置換後の検出対象画像を取得して検出工程を完了し、検出工程を繰り返して、置換後の検出対象画像において新しい検出対象領域を選定し、1つの検出工程の対比結果の一部をその次の検出工程で用いられる冠状動脈の示唆データとして確定し、検出対象画像の全体が領域内冠状動脈の分割データで置換されるまでに反復して、冠状動脈の分割結果を取得する。1つの検出工程で得られた分割結果の一部をその次の検出工程で用いられる領域内冠状動脈の示唆データとして、その次の検出工程における分割作業のために示唆を提供することによって、冠状動脈の血管形成の連通性を十分利用して、高精度分割を実現するとともに冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別でき、且つ、アーチファクトやプラークに対するロバスト性が高い。
【0024】
本発明の実施例に係る冠状動脈の分割方法で言及された冠状動脈の分割モデルの訓練方法は、サンプルの認識対象領域の血管データに妨害データを付加することによって認識対象血管の拡張データを取得し、サンプルの冠状動脈のラベルデータを処理することによって分割時に認識対象領域の血管データに示唆を提供する冠状動脈の示唆データを取得し、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して訓練を行って、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データによるヒントに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるようにする。認識対象血管の拡張データに妨害データが存在するため、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが妨害性を区別することを学習して高精度の分割を実現するようにすることができる。冠状動脈の示唆データは一部の示唆も提供している。冠状動脈の連通性を考慮すると、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが部分的な示唆に基づいて全体の冠状動脈の分割結果を取得することを学習できるように、実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法において認識対象血管の拡張データを取得することのフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法において冠状動脈の示唆データを取得することのフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法においてニューラルネットワークモデルを訓練することのフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法においてサンプルを取得することのフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法において検出対象領域が冠状動脈起始領域である場合に検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得することのフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法において検出対象領域が現在の検出工程の1つ前の検出工程の置換後の検出対象画像から選出されたものである場合に検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得することのフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法において対比結果を取得することのフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法のフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練装置の構造模式図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練装置の構造模式図である。
【
図13】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割装置の構造模式図である。
【
図14】本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割装置の構造模式図である。
【
図15】本発明の一実施例に係る電子デバイスの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例による図面を参照しながら、本発明の実施例に係る技術案を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が創造的な労働をせずに本発明による実施例に基づいて得られる他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属する。
【0027】
<発明の基本原理>
ディープラーニングにおいては、カスケード構造を有する人工ニューラルネットワークを構築することによって、計算システムの中で人工知能を実現する。カスケード構造の人工ニューラルネットワークが入力情報を層別で抽出及び選別することができるため、ディープラーニングは表現学習(Representation Learning)の能力を具備しており、エンドツーエンドの教師あり学習及び教師なし学習を実現することができる。ディープラーニングにおいて使用されるカスケード構造の人工ニューラルネットワークは複数の形態を有し、その階層の複雑さが一般に「深さ」と呼ばれる。アーキテクチャ分類によれば、ディープラーニングの形式は多層パーセプトロン、畳み込みニューラルネットワーク、循環ニューラルネットワーク、高信頼ネットワーク及び他の混合アーキテクチャを含む。ディープラーニングにおいては、データを用いてそのアーキテクチャ中のパラメータを更新してトレーニング目標を達成しており、当該流れが一般に「学習」と呼ばれる。ディープラーニングは、コンピュータにパターン特徴を自動的に学習させる方法を提示するとともに、モデル構築のプロセスに特徴学習を融合させることによって、人工による特徴設計の欠陥を補うことができる。
【0028】
ニューラルネットワークは運算モデルであり、互いに連結される大量のノード(又はニューロンと呼ばれる)により構成される。いずれのノードも1つのストラテジー関数に対応しており、2つずつのノードの間の連結は、当該連結を通る信号に対する1つの加重値を表し、ウエイトと呼ばれる。ニューラルネットワークは一般に複数のニューラルネットワーク層を含み、上下のネットワーク層同士は互いにカスケード接続されており、i個目のニューラルネットワーク層の出力がi+1個目のニューラルネットワーク層の入力に接続され、i+1個目のニューラルネットワーク層の出力がi+2個目のニューラルネットワーク層の入力に接続される、等々である。トレーニングサンプルがカスケードニューラルネットワーク層に入力された後、各ニューラルネットワーク層を通して1つの出力結果が出力され、当該出力結果が次のニューラルネットワーク層の入力になる。このように、複数のニューラルネットワーク層による計算に基づいて出力を取得し、出力層の出力の予測結果と本当の目標値とを比較し、さらに予測結果と目標値との間の差異によって各層のウエイトマトリックス及びストラテジー関数を調整する。ニューラルネットワークにより出力される予測結果が本当の目標結果に一致するようになるまでに、ニューラルネットワークはトレーニングサンプルを用いて上述の調整プロセスを繰り返して行って、ニューラルネットワークのウエイトなどのパラメータが最適化される。当該プロセスがすなわちニューラルネットワークの訓練プロセスである。ニューラルネットワークが訓練された後、ニューラルネットワークモデルが得られる。
【0029】
心血管疾患は現在世界中において発病率及び死亡率が最も高い疾患の1つである。CT(Computed Tomography,コンピュータ断層撮影)の冠状動脈CTA(Computed Tomography Angiography,CT血管造影)に基づく検査は、冠状動脈性心疾患の早期検査で最も一般的に用いられている手段の1つである。医療映像技術の発展につれて、冠状動脈CTA画像に対する処理の精度及び自動化程度は、臨床でより高く求められるようになってきた。
【0030】
しかし、CT画像が複雑であって且つランダム特性を有するため、心臓の冠状動脈に対する分割作業は難しい課題になっている。その具体的な原因としては、以下の点を含む。冠状動脈は構造が複雑で、細かく分岐する血管がたくさんある。冠状動脈はグレースケールが不均一であって周囲の組織に対するコントラストが低く、血管の末部の境界があいまいである。冠状動脈には様々な複雑な病変が存在する可能性がある。心臓のモーションアーチファクトが冠状動脈の映像形成に影響を及ぼす。心臓においては冠状動脈と交わる静脈が多いため、画像品質が高くない場合、静脈と冠状動脈が連結する現象が現れて、分割の際に静脈偽陽性が発生しやすい。
【0031】
このような技術的課題に鑑みて、本発明は以下のような基本的な思想を開示する。
本発明の実施例に係る冠状動脈の分割方法は、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を上述の冠状動脈の分割モデルに入力して検出対象領域の領域内冠状動脈の分割データを取得し、領域内冠状動脈の分割データと冠状動脈の示唆データがより多くの分割領域を分割したかを対比して対比結果を取得し、対比結果で検出対象画像中の検出対象領域を置き換えて置換後の検出対象画像を取得して検出工程を完了し、検出工程を繰り返して、置換後の検出対象画像において新しい検出対象領域を選定し、1つの検出工程の対比結果の一部をその次の検出工程で用いられる冠状動脈の示唆データとして確定し、検出対象画像の全体が領域内冠状動脈の分割データで置換されるまでに反復して、冠状動脈の分割結果を取得する。1つの検出工程で得られた分割結果の一部をその次の検出工程で用いられる領域内冠状動脈の示唆データとして、その次の検出工程における分割作業のために示唆を提供することによって、冠状動脈の血管形成の連通性を十分利用して、高精度分割を実現するとともに冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別でき、且つ、アーチファクトやプラークに対するロバスト性が高い。
【0032】
また、当該冠状動脈の分割方法における冠状動脈の分割モデルについても、本発明の実施例は冠状動脈の分割モデルの訓練方法を開示する。当該方法は、サンプルの認識対象領域の血管データに妨害データを付加することによって認識対象血管の拡張データを取得し、サンプルの冠状動脈のラベルデータを処理することによって分割時に認識対象領域の血管データに示唆を提供する冠状動脈の示唆データを取得し、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して訓練を行って、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データによるヒントに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるようにする。認識対象血管の拡張データに妨害データが存在するため、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが妨害性を区別することを学習して高精度の分割を実現するようにすることができる。冠状動脈の示唆データは一部の示唆も提供している。冠状動脈の連通性を考慮すると、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが部分的な示唆に基づいて全体の冠状動脈の分割結果を取得することを学習できるように、実現することができる。
【0033】
本発明の基本原理を紹介したうえ、以下、図面を参照しながら本発明の非制限的な各実施例を説明する。
【0034】
<例示的な冠状動脈の分割モデルの訓練方法>
図1は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法のフローチャートである。
図1に示すように、当該冠状動脈の分割モデルの訓練方法は以下のステップを含む。
【0035】
ステップ101において、サンプルを取得する。サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを備える。
【0036】
具体的に、サンプルはラベリング済みの心臓CT画像の一部である。ラベリング済みの心臓CT画像は認識対象となる血管と、既に冠状動脈が分割されている冠状動脈ラベルとを有する。サンプルはラベリング済みの心臓CT画像の一部であるため、サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを有する。冠状動脈のラベルデータはラベリング分割済みの冠状動脈血管である。
【0037】
なお、ラベリング済みの心臓CT画像は複数のサンプルに分割されればよく、本発明の実施例は分割手段について詳しく制限しない。ラベリング済みの心臓CT画像においては冠状動脈がラベリングされていればよく、人工によるラベリングであってもよく又は他の手段によるラベリングであってもよく、本発明の実施例はラベリング手段について詳しく制限しない。
【0038】
ステップ102において、認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得する。
【0039】
具体的に、認識対象血管に心臓モーションアーチファクト、プラーク及び静脈偽陽性などが存在する場合、冠状動脈の認識が難しくなる。そのため、認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得してから、当該認識対象血管の拡張データを用いてニューラルネットワークモデルを訓練すると、ニューラルネットワークモデルは、妨害を排除して分割を正確に行う能力を具備するようになる。
【0040】
ステップ103において、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得する。冠状動脈の示唆データは、認識対象領域の血管データのラベリング時に示唆を提供する。
【0041】
具体的に、従来技術による冠状動脈の分割モデルはサンプルを用いてニューラルネットワークモデルの訓練を行っており、サンプル中のラベリング済みの冠状動脈血管を出力目標として、認識対象血管に基づいて冠状動脈血管を認識する能力をニューラルネットワークモデルに学習させる。しかし、妨害要素の影響を受けて、訓練後のニューラルネットワークモデルにより出力される冠状動脈血管の分割結果はラベリングされた冠状動脈血管と相違する可能性があって、ニューラルネットワークモデルの出力のロバスト性が低い。
【0042】
血管は連通性を有するため、ラベリング済みの認識対象血管の一部を冠状動脈の示唆データとして用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルのために認識対象領域の血管データ及び出力目標としての冠状動脈のラベルデータを提供できるだけでなく、ニューラルネットワークモデルのために示唆(例えば、分割済みの血管の起始部の一部)を提供することもできる。血管の連通性を活用することによって、ニューラルネットワークモデルにより出力される分割結果がより正確になるようにすることができる。冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは、ニューラルネットワークモデルのために1つの正確な起始点を示唆として提供することができる。
【0043】
ステップ104において、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるように、ニューラルネットワークモデルを訓練する。
【0044】
例示的に、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定することを含む。
【0045】
具体的に、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力し、冠状動脈の示唆データによる示唆要素を利用し、冠状動脈のラベルデータを出力目標とすることによって、ニューラルネットワークモデルが妨害項目を排除でき且つアーチファクトやプラークが存在するときにも分割を正確に実現できるようにするとともに、部分的なヒントに基づいてもニューラルネットワークモデルが血管の連通性によって冠状動脈の分割結果の全体を正確に出力できるようにする。
【0046】
本発明の実施例においては、サンプルの認識対象領域の血管データに妨害データを付加することによって認識対象血管の拡張データを取得し、サンプルの冠状動脈のラベルデータを処理することによって分割時に認識対象領域の血管データに示唆を提供する冠状動脈の示唆データを取得し、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して訓練を行って、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データによるヒントに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるようにする。認識対象血管の拡張データに妨害データが存在するため、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが妨害性を区別することを学習して高精度の分割を実現するようにすることができる。冠状動脈の示唆データは一部の示唆も提供している。冠状動脈の連通性を考慮すると、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが部分的な示唆に基づいて全体の冠状動脈の分割結果を取得することを学習できるように、実現することができる。
【0047】
図2は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法において認識対象血管の拡張データを取得することのフローチャートである。
図2に示すように、認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得することは、以下のステップを含む。
【0048】
ステップ2021において、認識対象領域の血管データにノイズデータを付加する。ノイズデータはプラークデータ及びアーチファクトデータを含む。
【0049】
具体的に、CT画像の複雑さにより制限されて、プラークデータ及びアーチファクトデータなどのノイズによる影響が存在して、冠状動脈に対する分割のロバスト性は低くなる。認識対象領域の血管データにノイズデータを付加してからニューラルネットワークモデルを訓練することによって、妨害的要素を区別して高精度の分割を実現する能力をニューラルネットワークモデルに付与することができる。
【0050】
ステップ2022において、認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加する。
【0051】
具体的に、冠状動脈と冠状静脈は様子が類似し且つグレースケールも近いため、ニューラルネットワークモデルはそれらを区別できず、冠状静脈を目標として誤って認識して静脈偽陽性を形成してしまう。認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加してからニューラルネットワークモデルを訓練することによって、冠状静脈と冠状動脈を区別する能力をニューラルネットワークモデルに付与することができる。
【0052】
認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加する詳しい手段としては、他の領域における血管データを認識対象領域の血管データに融合することであってもよい。ただし、冠状動脈のラベルデータで表されるラベリング済みの冠状動脈血管を避ける必要がある。なお、他の領域における血管データを認識対象領域の血管データに融合することを実現できればよく、具体的な融合手段について本発明は規定しない。
【0053】
図3は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法において冠状動脈の示唆データを取得することのフローチャートである。
図3に示すように、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは以下のステップを含む。
【0054】
ステップ3031において、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定する。
【0055】
具体的に、冠状動脈の示唆データは認識対象領域の血管データに対するラベリングのために示唆を提供するため、冠状動脈のラベルデータから一部を選んで冠状動脈の示唆データとすると、その後に行われる血管分割のために基礎を提供することができる。
【0056】
本発明の実施例においては、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定して、後工程で行われる血管の分割のために基礎を提供する。
【0057】
図4は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法においてニューラルネットワークモデルを訓練することのフローチャートである。
図4に示すように、認識対象血管の拡張データ及び冠状動脈の示唆データを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、冠状動脈の示唆データにより提供される血管の連通性を考慮したうえ、冠状動脈のラベルデータを出力目標として、ニューラルネットワークモデルを訓練することは、以下のステップを含む。
【0058】
ステップ4041において、認識対象血管の拡張データ及び冠状動脈の示唆データを有するサンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練して、冠状動脈の分割データを取得する。
【0059】
具体的には、ニューラルネットワークモデルにサンプルを入力し、冠状動脈の分割データを出力する。冠状動脈の分割データはニューラルネットワークモデルの、認識対象血管の拡張データに対する分割予測結果である。
【0060】
ステップ4042において、冠状動脈の分割データ及び冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得する。
【0061】
具体的に、冠状動脈のラベルデータは入力参考値であり、冠状動脈の分割データは出力値である。出力値と入力参考値の間には差異が存在し、両者の間のロス結果を取得する。
【0062】
ステップ4043において、ロス結果に基づいてニューラルネットワークモデルのパラメータを調整する。
【0063】
具体的に、出力値と入力参考値の間に差異が存在するときには、ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整する必要がある。ロス結果が予め設定された範囲に入るようになるまでに、ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整する。ロス結果が予め設定された範囲に入ったら、冠状動脈の分割データと冠状動脈のラベルデータの間の差異が予め設定された範囲に入ったと理解すればよい。
【0064】
本発明の実施例においては、サンプルをニューラルネットワークモデルに入力して冠状動脈の分割データを取得する。冠状動脈の分割データが入力参考値であり、冠状動脈の分割データが出力値であって、両者の間のロス結果を取得し、ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整し、ロス結果が予め設定された範囲に入るようになるまでにニューラルネットワークモデルのパラメータを調整する。よって、モデルの高精度分割能力を向上させる。
【0065】
図5は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練方法においてサンプルを取得することのフローチャートである。
図5に示すように、サンプルを取得することは以下のステップを含む。
【0066】
ステップ5001において、生画像を取得する。生画像は認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む。
【0067】
具体的に、生画像は心臓CT画像である。心臓CT画像は、認識対象血管と、ラベリング済みの冠状動脈ラベルとを含む。
【0068】
ステップ5002において、生画像をスライディングウィンドウ処理して複数のサンプルを取得する。
【0069】
本発明の実施例においては、生画像に対してスライディングウィンドウ処理を行うことによって複数のサンプルを取得し、生画像を複数のサンプルに分割してそれぞれ処理して、ニューラルネットワークモデルのディープラーニング効率を向上させる。
【0070】
<例示的な冠状動脈の分割方法>
図6は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法のフローチャートである。
図6に示すように、当該冠状動脈の分割方法は以下のステップを含む。
【0071】
ステップ601において、検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得する。領域内冠状動脈の示唆データは検出対象領域の分割に示唆を提供する。
【0072】
検出対象画像は様々な選択ルールによって複数の検出対象領域に分割されることができる。完全な分割プロセスは複数の検出工程を含むことができる。検出工程が分割プロセス全体における1つ目の検出工程であるとき、検出対象領域は冠状動脈起始領域となる。検出工程が分割プロセス全体における1つ目の検出工程ではないとき、検出対象領域は現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものである。領域内冠状動脈の示唆データは、冠状動脈の分割モデルが当該検出対象画像を分割するときに、検出対象領域に対応する分割結果が出力されるために示唆データを提供する。
【0073】
ステップ602において、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を、上述の任意の方法による訓練で得られた冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得する。
【0074】
上述の任意の方法によって訓練された冠状動脈の分割モデルは、部分的な領域の示唆に基づいて領域全体の冠状動脈の分割結果を取得する能力を既に具備している。そのため、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を冠状動脈の分割モデルに入力すると、検出対象領域に対応する領域内冠状動脈の分割データを取得することができる。領域内冠状動脈の分割データは検出対象領域に対応する出力結果である。
【0075】
ステップ603において、領域内冠状動脈の示唆データと領域内冠状動脈の分割データの対比結果を取得する。
【0076】
領域内冠状動脈の示唆データは部分的な示唆の結果であって、完全且つ正確なものではない。冠状動脈の分割モデルが出力する領域内冠状動脈の分割データは、妨害が排除され、偽陽性が除去され、且つより正確な分割結果である。一般には領域内冠状動脈の分割データがもっと正確であるが、画像での領域選定などの要因を考慮すると、領域内冠状動脈の示唆データと領域内冠状動脈の分割データとの対比結果を取得することによってより精度高い分割結果を選出する必要がある。
【0077】
ステップ604において、検出対象画像における検出対象領域を対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得して検出工程を完了する。
【0078】
対比結果で検出対象画像中の検出対象領域を置き換えて置換後の検出対象画像を取得し、置換後の検出対象画像から次の検出工程における検出対象領域を選定することによって、前の検出工程で得られた正確な分割結果の一部を次の工程における領域内冠状動脈の示唆データとして使用し、血管の連通性を活用して、高精度分割を実現し、分割作業のロバスト性を向上させる。
【0079】
ステップ605において、検出工程を繰り返す。ここで、検出対象画像に対応する複数の検出工程においては、1つの検出工程で得られた置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域を選定し、1つの検出工程で得られた対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとする。検出対象画像の全体が対比結果で置換終了後、冠状動脈の分割データを出力する。
【0080】
完全な分割プロセスは複数の検出工程を含むことができる。上述のステップ601ないしステップ604が1つの検出工程である。1つの検出工程で得られた置換後の検出対象画像から次の検出工程における検出対象領域を選定し、1つの検出工程で得られた対比結果を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとして使用する。血管の連通性を活用して、高精度分割を実現し、分割作業のロバスト性を向上させる。
【0081】
検出対象画像の全体が対比結果で置換終了後、最後の1つの検出工程で取得される置換後の検出対象画像を冠状動脈の分割データとして出力する。
【0082】
本発明の実施例に係る冠状動脈の分割方法は、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を上述の冠状動脈の分割モデルに入力して検出対象領域の領域内冠状動脈の分割データを取得し、領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データのいずれがより多くの分割領域を分割したかを対比して対比結果を取得し、対比結果で検出対象画像中の検出対象領域を置き換えて置換後の検出対象画像を取得して検出工程を完了し、検出工程を繰り返して、置換後の検出対象画像において新しい検出対象領域を選定し、1つの検出工程の対比結果の一部をその次の検出工程で用いられる領域内冠状動脈の示唆データとして確定し、検出対象画像の全体が領域内冠状動脈の分割データで置換されるまでに反復して、冠状動脈の分割結果を取得する。1つの検出工程で得られた分割結果の一部をその次の検出工程で用いられる領域内冠状動脈の示唆データとして、その次の検出工程における分割作業のために示唆を提供することによって、冠状動脈の血管形成の連通性を十分利用して、高精度分割を実現するとともに冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別でき、且つ、アーチファクトやプラークに対するロバスト性が高い。
【0083】
図7は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法において検出対象領域が冠状動脈起始領域である場合に検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得することのフローチャートである。
図7に示すように、検出対象領域が冠状動脈起始領域である場合、検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得することは以下のステップを含む。
【0084】
ステップ7011において、検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得する。
【0085】
具体的には、検出対象画像を訓練済みの起始分割モジュールに入力して、大動脈と冠状動脈の連結領域の分割結果を取得する。冠状動脈の起始部は構造が比較的に簡単であって偽陽性や分割失敗が発生する可能性が低いため、冠状動脈起始部の分割データは後工程における分割作業のために決定的な特徴を提供することができる。
【0086】
ステップ7012において、冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出する。
【0087】
冠状動脈起始部の分割データでは大動脈と冠状動脈は既に分割されているため、冠状動脈の輪郭及び延在方向を表す第1の骨部を抽出する。
【0088】
ステップ7013において、第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定する。
【0089】
具体的に、第1のプリセットのストライドは適用場面に応じて決められてもよく、本発明の実施例は第1のプリセットのストライドの値を規定しない。
【0090】
ステップ7014において、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第1のスタックトップシードノードを取得する。
【0091】
ステップ7015において、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を検出対象領域として選定する。
【0092】
具体的に、第1のプリセットサイズの大きさは検出対象画像のサイズに基づいて決められる。例えば、検出対象画像のサイズが512×512×512ピクセルである場合、第1のプリセットサイズは128×128×128ピクセルであってもよい。
【0093】
具体的に、第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選出し、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得し、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を検出対象領域として選定する。上述の操作によって検出対象領域を取得する。
【0094】
ステップ7016において、第1の領域における冠状動脈起始部の分割データを領域内冠状動脈の示唆データとして確定する。
【0095】
具体的に、冠状動脈起始部の分割データには一部の冠状動脈の分割結果が含まれているので、第1の領域における冠状動脈起始部の分割データは、検出対象領域が分割されるときに示唆を提供することができる。それによって、冠状動脈の分割モデルは血管の連通性を十分考慮して、検出対象領域に対応する正確な領域内冠状動脈の分割データを出力することができる。
【0096】
本発明の実施例においては、起始分割モジュールを用いて冠状動脈と大動脈の連結部の分割結果を取得し、第1のシードノードを生成してシードノードのスタックにプッシュする。その後、第1のスタックトップシードノードをポップし、取得した第1の領域と、第1の領域における冠状動脈起始部の分割データとに基づいて新しい分割を予測して、冠状動脈の分割モデルが血管の連通性を十分考慮して検出対象領域に対応する正確な領域内冠状動脈の分割データを出力するようにする。領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データのいずれがより多くの分割領域を分割したかを対比して、対比結果を取得する。対比結果を用いて検出対象画像における検出対象領域を置き換えて、置換後の検出対象画像を取得し、置換後の検出対象画像から新しい検出対象領域を選定し、1つの検出工程における対比結果の一部を次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとして確定し、検出工程を繰り返す。
【0097】
図8は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法において検出対象領域が現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像である場合に検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得することのフローチャートである。検出対象領域は現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものである。
図8に示すように、検出対象領域及び領域内冠状動脈の示唆データを取得することは以下のステップを含む。
【0098】
ステップ8061において、1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得する。
【0099】
具体的に、1つ前の検出工程における領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データの対比結果から、増分の冠状動脈の分割データを取得する。増分の冠状動脈の分割データは、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べて新たに分割された領域である。
【0100】
ステップ8062において、増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出する。
【0101】
具体的に、増分の冠状動脈の分割データは血管の連通性が考慮されたうえで取得された新たな分割結果であるため、増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出すると、その後に取得される検出対象領域は、一部が既に得られた分割結果に属するとともに、もう一部が血流の流れる方向に沿って延在する、分割される必要がある新しい領域に属する。増分の冠状動脈データにおける冠状動脈の輪郭及び延在方向に基づいて、第2の骨部を抽出する。
【0102】
ステップ8063において、第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選出する。
【0103】
ステップ8064において、第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第2のスタックトップシードノードを取得する。
【0104】
ステップ8065において、第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から、第2のプリセットサイズを有する第2の領域を検出対象領域として選定する。第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする。
【0105】
具体的に、ステップ8063、ステップ8064及びステップ8065において第2のシードノードに基づいて第2の領域を取得する方法は、第1のシードノードに基づいて第1の領域を取得する方法に類似するため、説明を省略する。ただし、第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする必要がある。このような設定を採用することによって、1つ前の検出工程で得られた分割結果の一部を冠状動脈の分割モデルに入力して検出のために示唆を提供することができる。
【0106】
ステップ8066において、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程で得られた対比結果を、領域内冠状動脈の示唆データとして確定する。
【0107】
具体的に、第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーするので、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程の対比結果は、1つ前の検出工程の正確な出力として、現在の検出対象領域の分割のために示唆を提供する。
【0108】
1つの更なる実施例において、シードノードのスタック中のシードノードがなくなると、検出対象画像の全体が対比結果により置換終了したと理解されればよく、冠状動脈の分割データを出力する。
【0109】
図9は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法において対比結果を取得することのフローチャートである。
図9に示すように、領域内冠状動脈の示唆データと領域内冠状動脈の分割データの対比結果を取得することは以下のステップを含む。
【0110】
ステップ9031において、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定する。又は、
ステップ9032において、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する。
【0111】
具体的に、上述の訓練方法により訓練された冠状動脈の分割モデルにより分割された領域内冠状動脈の分割データはより高い正確度を有するが、領域の血管及びモデルなどの要素が存在するため、領域内冠状動脈の分割データと冠状動脈の示唆データとが同一になる可能性もある。領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定する。領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する。
【0112】
図10は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割方法のフローチャートである。
【0113】
1枚の心臓CT画像を検出対象画像として選んで、検出対象画像を訓練済みの起始分割モジュールに入力し、大動脈と冠状動脈の連結領域を分割し、冠状動脈起始部の分割データを取得する(
図10のステップ10011を参照)。冠状動脈起始部の分割データから、冠状動脈の輪郭及び延在方向を表す第1の骨部を抽出する(
図10のステップ10012を参照)。第1の骨部において、第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選出し、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得し、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を第1の検出対象領域として選定する(
図10のステップ10013、ステップ10014及びステップ10015を参照)。第1の領域における冠状動脈起始部の分割データを第1の領域内冠状動脈の示唆データとして確定する(
図10のステップ10016を参照)。領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を冠状動脈の分割モデルに入力して、検出対象領域に対応する第1の領域内冠状動脈の分割データを取得する(
図10のステップ1002を参照)ことができる。第1の領域内冠状動脈の分割データが第1の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、第1の領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定する(
図10のステップ9031を参照)か、又は、第1の領域内冠状動脈の分割データが第1の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、第1の領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する(
図10のステップ9032を参照)。対比結果で検出対象画像中の第1の検出対象領域を置き換えて、置換後の検出対象画像を取得して(
図10のステップ1004を参照)第1の検出工程を完了する。
【0114】
1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得する(
図10のステップ10061を参照)。増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出する(
図10のステップ10062を参照)。第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選出し、第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第2のスタックトップシードノードを取得し、第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像において、第2のプリセットサイズを有する第2の領域を第2の検出対象領域として選定する(
図10のステップ10063、ステップ10064及びステップ10065を参照)。ここで、第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする。第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする必要があるため、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程で得られた対比結果を、第2の領域内冠状動脈の示唆データとして確定し(
図10のステップ10066を参照)、第2の領域内冠状動脈の示唆データを有する第2の検出対象領域を冠状動脈の分割モデルに入力して、第2の領域内冠状動脈の分割データを取得し(
図10のステップ1002を参照)、第2の領域内冠状動脈の分割データが第2の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、第2の領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定する(
図10のステップ9031を参照)か、又は、第2の領域内冠状動脈の分割データが第2の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、第2の領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する(
図10のステップ9032を参照)。対比結果で検出対象画像中の第2の検出対象領域を置き換えて、置換後の検出対象画像を取得して(
図10のステップ1004を参照)、第2の検出工程を完了する。
【0115】
上述の第2の検出工程を繰り返して反復し、検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後、冠状動脈の分割データを出力する(
図10のステップ1005を参照)。
【0116】
<例示的な冠状動脈の分割モデルの訓練装置>
図11は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練装置の構造模式図である。
図11に示すように、当該冠状動脈の分割モデルの訓練装置1100は、サンプル取得モジュール1101、拡張モジュール1102、示唆取得モジュール1103及びラベリングモジュール1104を備える。
【0117】
サンプル取得モジュール1101はサンプルを取得するように構成される。サンプルは認識対象領域の血管データと、冠状動脈のラベルデータとを含む。拡張モジュール1102は認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するように構成される。示唆取得モジュール1103は冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するように構成される。冠状動脈の示唆データは、認識対象領域の血管データのラベリング時に示唆を提供する。ここで、冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定することを含む。ラベリングモジュール1104は、認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、冠状動脈のラベルデータを出力目標として、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるように、ニューラルネットワークモデルを訓練するように構成される。
【0118】
本発明の実施例においては、拡張モジュール1102によってサンプルの認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得し、示唆取得モジュール1103によってサンプルの冠状動脈のラベルデータを処理して、分割時に認識対象領域の血管データに示唆を提供する冠状動脈の示唆データを取得し、ラベリングモジュール1104によって認識対象血管の拡張データ、冠状動脈の示唆データ及び冠状動脈のラベルデータを有するサンプルをニューラルネットワークモデルに入力して訓練を行って、ニューラルネットワークモデルがサンプルの冠状動脈の示唆データによるヒントに基づいて冠状動脈のラベルデータを出力できるようにする。認識対象血管の拡張データに妨害データが存在するため、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが妨害性を区別することを学習して高精度の分割を実現するようにすることができる。冠状動脈の示唆データは一部の示唆を提供している。冠状動脈の連通性を考慮すると、当該サンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練することによって、ニューラルネットワークモデルが部分的な示唆に基づいて全体の冠状動脈の分割結果を取得することを学習できるように、実現することができる。
【0119】
図12は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割モデルの訓練装置の構造模式図である。
図12に示すように、拡張モジュール1102は、認識対象領域の血管データにノイズデータを付加するように構成されるノイズ拡張サブモジュール11021と、認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するように構成される偽陽性拡張サブモジュール11022とを備える。ここで、ノイズデータはプラークデータ及びアーチファクトデータを含む。
【0120】
1つの実施例において、示唆取得モジュール1103はさらに、冠状動脈のラベルデータの一部を冠状動脈の示唆データとして選定するように構成される。
【0121】
1つの実施例において、
図12に示すように、ラベリングモジュール1104は、認識対象血管の拡張データ及び冠状動脈の示唆データを有するサンプルを用いてニューラルネットワークモデルを訓練して冠状動脈の分割データを取得するように構成される出力サブモジュール11041と、冠状動脈の分割データ及び冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するように構成されるロスサブモジュール11042と、ロス結果に基づいてニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するように構成される調整サブモジュール11043と、を備える。
【0122】
1つの実施例において、
図12に示すように、当該サンプル取得モジュール1101は、認識対象血管及び冠状動脈ラベルを備える生画像を取得するように構成される生画像取得サブモジュール1105と、生画像をスライディングウィンドウ処理して複数のサンプルを取得するように構成される前処理サブモジュール1106と、を更に備える。
【0123】
<例示的な冠状動脈の分割装置>
図13は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割装置の構造模式図である。
図13に示すように、当該冠状動脈の分割装置1300は、分割取得モジュール1301、分割モジュール1302、対比判断モジュール1303、置換モジュール1304及び出力モジュール1305を備える。分割取得モジュール1301は、検出対象領域と領域内冠状動脈の示唆データとを取得するように構成される。前記領域内冠状動脈の示唆データは検出対象領域の分割に示唆を提供する。分割モジュール1302は、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を、上述の任意の冠状動脈の分割モデルの訓練方法により訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得するように構成される。対比判断モジュール1303は、領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得するように構成される。置換モジュール1304は、検出対象画像における検出対象領域を対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得して検出工程を完了するように構成される。出力モジュール1305は検出工程を繰り返すように構成される。ここで、検出対象画像に対応する複数の検出工程において、1つの検出工程で得られた置換後の検出対象画像から次の検出工程の検出対象領域が選出され、1つの検出工程で得られた対比結果の一部が次の検出工程における領域内冠状動脈の示唆データとして使用される。検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後、出力モジュール1305は冠状動脈の分割データを出力する。
【0124】
本発明の実施例において、冠状動脈分割モジュール1302は、領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を上述の冠状動脈の分割モデルに入力することによって、検出対象領域の領域内冠状動脈の分割データを取得する。対比判断モジュール1303は、領域内冠状動脈の分割データと領域内冠状動脈の示唆データのいずれがより多くの分割領域を分割したかを対比することによって、対比結果を取得する。置換モジュール1304は、対比結果を用いて検出対象画像中の検出対象領域を置き換えて、置換後の検出対象画像を取得する。出力モジュール1305は、検出工程を繰り返して、検出対象画像の全体が領域内冠状動脈の分割データにより置換終了されるまでに反復を行って、冠状動脈の分割結果を取得する。
【0125】
本発明の実施例に係る冠状動脈の分割装置は、1つの検出工程の分割結果の一部を次の検出工程で用いられる領域内冠状動脈の示唆データとすることによって、次の検出工程で行われる分割作業のために示唆を提供し、冠状動脈血管の連通性を十分利用することによって、高精度分割を実現するとともに冠状動脈と静脈偽陽性を効果的に区別でき、且つ、アーチファクトやプラークに対するロバスト性が高い。
【0126】
図14は本発明の一実施例に係る冠状動脈の分割装置の構造模式図である。
図14に示すように、検出対象領域は冠状動脈起始領域である。分割取得モジュール1301は、検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得するように構成される起始分割サブモジュール13011と、冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するように構成される第1の抽出サブモジュール13022と、第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するように構成される第1のシードノード選定サブモジュール13023と、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得するように構成される第1のスタックトップシードノード取得サブモジュール13024と、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を、検出対象領域として選出するように構成される第1の領域取得サブモジュール13025と、第1の領域における冠状動脈起始部の分割データを領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第1の示唆取得サブモジュール13026と、を備える。
【0127】
1つの実施例において、
図14に示すように、検出対象領域は現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものである。分割取得モジュール1301は、1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するように構成される増分取得サブモジュール13061と、増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するように構成される第2の抽出サブモジュール13062と、第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するように構成される第2のシードノード選定サブモジュール13063と、第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第2のスタックトップシードノードを取得するように構成される第2のスタックトップシードノード取得サブモジュール13064と、第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、置換後の検出対象画像において第2のプリセットサイズを有し且つ対比結果の一部をカバーする第2の領域を次の検出工程における検出対象領域として選出するように構成される第2の領域取得サブモジュール13065と、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程で得られた対比結果を、領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第2の示唆取得サブモジュール13066と、を更に備える。
【0128】
1つの実施例において、対比判断モジュール1302はさらに、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合に領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定するか、又は、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合に領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定するように構成される。
【0129】
<例示的な電子デバイス>
図15は本発明の一実施例に係る電子デバイスの構造模式図である。
図15に示すように、電子デバイス1500は1つ又は複数のプロセッサ1510と、メモリ1520とを備える。
【0130】
プロセッサ1510は中央処理ユニット(CPU)又はデータ処理能力及び/又は命令実行能力を有する他の形の処理ユニットであってもよく、且つ、電子デバイス1500における他のコンポーネントが期待される機能を実行するように制御することができる。
【0131】
メモリ1520は1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含むことができる。前記コンピュータプログラム製品は様々な形のコンピュータ読取可能な記憶媒体、例えば、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。前記揮発性メモリは例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は、キャッシュメモリ(cache)などを含むことができる。前記不揮発性メモリは例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含むことができる。前記コンピュータ読取可能な記憶媒体においては1つ又は複数のコンピュータプログラム命令が記憶されていてもよく、プロセッサ1510は前記プログラム命令を実行して、前述の本発明の各実施例による冠状動脈の分割モデルの訓練方法、冠状動脈の分割方法、及び/又は他の期待される機能を実現することができる。1つの例において、電子デバイス1500は入力装置1530及び出力装置1540を更に備えることができる。これらのコンポーネントはバスシステム及び/又は他の形の接続メカニズム(図示せず)により互いに接続することができる。
【0132】
例えば、当該入力装置1530は上述のマイクロフォン又はマイクロフォンマトリックスであってもよく、音源からの入力信号を捕獲するように構成される。当該電子デバイスが単体デバイスである場合、当該入力装置1530は通信ネットワーク接続器であってもよい。
【0133】
また、当該入力装置1530は医療画像採集装置などを含んでもよい。
【0134】
当該出力装置1540は外部に様々な情報(確定された徴候種類情報などを含む)を出力することができる。当該出力装置1540は、ディスプレイ、スピーカー、プリンター、通信ネットワーク及びそれが接続しているリモート出力デバイスなどを含んでもよい。
【0135】
もちろん、簡略化するために、
図15には当該電子デバイス1500中の、本発明と関連するコンポーネントのうちの一部のみを示しており、バス、入力/出力インタフェースなどのコンポーネントを省略した。また、実際の適用場面に応じて、電子デバイス1500は他の任意の適切なコンポーネントを備えることもできる。
【0136】
<例示的なコンピュータプログラム製品及びコンピュータ読取可能な記憶媒体>
上述の方法及びデバイス以外に、本発明の実施例はコンピュータプログラム命令を備えるコンピュータプログラム製品であってもよい。前記コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは本明細書に記載の「例示的な冠状動脈の分割モデルの訓練方法」及び「例示的な冠状動脈の分割方法」で説明された本発明の実施例による冠状動脈の分割モデルの訓練方法及び例示的な冠状動脈の分割方法のステップを実施する。
【0137】
前記コンピュータプログラム製品は1つ又は複数のプログラム設計言語の任意の組み合わせによって本発明の実施例による作業を実行するためのプログラムコードを編成することができる。前記プログラム設計言語は対象向けのプログラム設計言語、例えばJava、C++などを含み、一般の過程式のプログラム設計言語、例えば「C」言語又は類似のプログラム設計言語を更に含む。プログラムコードは、完全にユーザの計算デバイスで実行されるか、部分的にユーザデバイスで実行されるか、独立したソフトウェアパックとして実行されるか、一部がユーザの計算デバイスで実行されて一部がリモート計算デバイスで実行されるか、又は、完全にリモート計算デバイスで実行されることができる。
【0138】
また、本発明の実施例はコンピュータ読取可能な記憶媒体であってもよく、それにはコンピュータプログラム命令が記憶されている。前記コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは、本明細書に記載の「例示的な冠状動脈の分割モデルの訓練方法」及び「例示的な冠状動脈の分割方法」で説明された本発明の各実施例による冠状動脈の分割モデルの訓練方法及び冠状動脈の分割方法のステップを実施する。
【0139】
前記コンピュータ読取可能な記憶媒体は1つ又は複数の読取可能な媒体の任意の組み合わせであってもよい。読取可能な媒体は読取可能な信号媒体又は読取可能な記憶媒体であってもよい。読取可能な記憶媒体は例えば、電気、磁気、光、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置もしくはデバイス、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限られない。読取可能な記憶媒体の更に具体的な例(全体リストではない)としては、1つ又は複数の導線を有する電気接続、携帯式ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、書き込み及び消去可能なリードオンリーメモリ(EPROM又はキャッシュ)、光ファイバー、携帯式コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光メモリ部品、磁気メモリ部品、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含む。
【0140】
以上では具体的な実施例に基づいて本発明の基本的原理を説明した。ただし、本発明において言及された長所、利点、効果などは制限ではなくて例に過ぎず、これらの長所、利点、効果などは本発明のすべての実施例が具備しなければならないものとして理解されてはいけない。
【0141】
例示及び説明を目的として、以上の内容を開示した。また、以上の内容は本発明の実施例をここで開示された形に限るためのものではない。以上で既に複数の例示的な態様及び実施例を説明したが、当業者であれば、他の変形、変更、変化、追加及びサブ組み合わせを理解できるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象画像に対して検出工程を反復して実行するステップであって、前記検出工程は、
前記検出対象画像の一部である検出対象領域と、
前記検出対象領域に対応し且つ前記検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することと、前記領域内冠状動脈の示唆データを有する前記検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して、領域内冠状動脈の分割データを取得することと、前記領域内冠状動脈の分割データと前記領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得することと、前記検出対象画像における前記検出対象領域を前記対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得することと、前記置換後の検出対象画像から次
の検出対象領域を選出し、前記対比結果の一部を
前記次の
検出対象領域に対応する領域内冠状動脈の示唆データとすることと、を含むステップと、
前記検出対象画像の全体が対比結果により置換終了後、
最後の置換後の冠状動脈の分割データを出力するステップと、を含む
ことを特徴とする冠状動脈の分割方法。
【請求項2】
前記検出対象領域は冠状動脈起始領域であり、
前記の、
前記検出対象画像の一部である検出対象領域と、
前記検出対象領域に対応し且つ前記検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することは、
前記検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得するステップと、
前記冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するステップと、
前記第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するステップと、
前記第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第1のスタックトップシードノードを取得するステップと、
前記第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記検出対象画像から第1のプリセットサイズを有する第1の領域を前記検出対象領域として選出するステップと、
前記第1の領域における前記冠状動脈起始部の分割データを前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項3】
前記検出対象領域は現在の検出工程の1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものであり、
前記の、
前記検出対象画像の一部である検出対象領域と、
前記検出対象領域に対応し且つ前記検出対象領域の分割に示唆を提供する領域内冠状動脈の示唆データとを取得することは、
前記1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するステップと、
前記増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するステップと、
前記第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するステップと、
前記第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして、第2のスタックトップシードノードを取得するステップと、
前記第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から、第2のプリセットサイズを有する第2の領域を前記検出対象領域として選出するステップであって、前記第2の領域は前記1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーするステップと、
前記第2の領域に含まれている、前記1つ前の検出工程で得られた対比結果を、前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項4】
前記の、前記領域内冠状動脈の分割データと前記領域内冠状動脈の示唆データの対比結果を取得することは、
前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、前記領域内冠状動脈の分割データを前記対比結果として選定するステップ、又は、
前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、前記領域内冠状動脈の示唆データを前記対比結果として選定するステップ、を含む
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項5】
前記冠状動脈の分割モデルの訓練方法は、
サンプルを取得するステップであって、前記サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを備えるステップと、
前記認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するステップと、
前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するステップであって、前記冠状動脈の示唆データは、前記認識対象領域の血管データのラベリング時に、1つの正確な起始点を示唆としてニューラルネットワークモデルに提供するステップと、
前記認識対象血管の拡張データ、前記冠状動脈の示唆データ及び前記冠状動脈のラベルデータを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、
前記ニューラルネットワークモデルを訓練するステップと、を含み、
ここで、前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得する前記ステップは、
前記冠状動脈のラベルデータの一部を前記冠状動脈の示唆データとして選定するステップを含む
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項6】
前記認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得する前記ステップは、
前記認識対象領域の血管データにノイズデータを付加するステップと、
前記認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するステップと、を含み、
前記ノイズデータはプラークデータ及びアーチファクトデータを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項7】
前記認識対象血管の拡張データ、前記冠状動脈の示唆データ及び前記冠状動脈のラベルデータを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、前記ニューラルネットワークモデルを訓練する前記ステップは、
前記認識対象血管の拡張データ及び前記冠状動脈の示唆データを有する前記サンプルをニューラルネットワークモデルに入力して、
前記ニューラルネットワークモデルにより出力される冠状動脈の分割データを取得するステップと、
前記冠状動脈の分割データ及び前記冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するステップと、
前記ロス結果に基づいて前記ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項8】
サンプルを取得する前記ステップは、
生画像を取得するステップと、
前記生画像をスライディングウィンドウ処理して複数の前記サンプルを取得するステップと、を含み、
前記生画像は認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法。
【請求項9】
検出対象画像に対して共同で検出工程を反復して実行するように構成される分割取得モジュール、分割モジュール、対比判断モジュール、置換モジュール及び出力モジュールを備え、
前記分割取得モジュールは、検出対象領域と、
前記検出対象領域に対応する領域内冠状動脈の示唆データとを取得するように構成され、
前記検出対象領域は前記検出対象画像の一部であり、前記領域内冠状動脈の示唆データは前記検出対象領域の分割に示唆を提供し、
前記分割モジュールは、前記領域内冠状動脈の示唆データを有する前記検出対象領域を予め訓練された冠状動脈の分割モデルに入力して領域内冠状動脈の分割データを取得するように構成され、
前記対比判断モジュールは、前記領域内冠状動脈の示唆データと前記領域内冠状動脈の分割データの対比結果を取得するように構成され、
前記置換モジュールは、前記検出対象画像における前記検出対象領域を前記対比結果で置き換えて、置換後の検出対象画像を取得するように構成され、
前記出力モジュールは、前記置換後の検出対象画像から次の
検出対象領域を選出し、前記対比結果の一部を
前記次の
検出対象領域に対応する領域内冠状動脈の示唆データとするように構成され、
前記出力モジュールはさらに、前記検出対象画像の全体が前記対比結果により置換終了後、
最後の置換後の冠状動脈の分割データを出力するように構成される
ことを特徴とする冠状動脈の分割装置。
【請求項10】
前記検出対象領域は冠状動脈起始領域であり、
前記分割取得モジュールは、
前記検出対象画像に基づいて冠状動脈起始部の分割データを取得するように構成される起始分割サブモジュールと、
前記冠状動脈起始部の分割データから第1の骨部を抽出するように構成される第1の抽出サブモジュールと、
前記第1の骨部において第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選定するように構成される第1のシードノード選定サブモジュールと、
前記第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得するように構成される第1のスタックトップシードノード取得サブモジュールと、
前記第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を前記検出対象領域として選出するように構成される第1の領域取得サブモジュールと、
前記第1の領域における前記冠状動脈起始部の分割データを前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第1の示唆取得サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項11】
前記検出対象領域は1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像から選出されたものであり、
前記分割取得モジュールは、
前記1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得するように構成される増分取得サブモジュールと、
前記増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出するように構成される第2の抽出サブモジュールと、
前記第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選定するように構成される第2のシードノード選定サブモジュールと、
前記第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第2のスタックトップシードノードを取得するように構成される第2のスタックトップシードノード取得サブモジュールと、
前記第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、前記1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像において第2のプリセットサイズを有し且つ前記1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする第2の領域を前記検出対象領域として選出するように構成される第2の領域取得サブモジュールと、
前記第2の領域に含まれている、前記1つ前の検出工程で得られた対比結果を、前記領域内冠状動脈の示唆データとして確定するように構成される第2の示唆取得サブモジュールと、を更に備える
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項12】
前記対比判断モジュールはさらに、前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合に前記領域内冠状動脈の分割データを前記対比結果として選定するか、又は、前記領域内冠状動脈の分割データが前記領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合に前記領域内冠状動脈の示唆データを前記対比結果として選定する、ように構成される
ことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項13】
サンプル取得モジュール、拡張モジュール、示唆取得モジュール及びラベリングモジュールを更に備え、
前記サンプル取得モジュールはサンプルを取得するように構成され、前記サンプルは認識対象領域の血管データ及び冠状動脈のラベルデータを含み、
前記拡張モジュールは、前記認識対象領域の血管データに妨害データを付加して認識対象血管の拡張データを取得するように構成され、
前記示唆取得モジュールは、前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得するように構成され、
前記冠状動脈の示唆データは前記認識対象領域の血管データのラベリング時に1つの正確な起始点を示唆としてニューラルネットワークモデルに提供し、
ここで、前記冠状動脈のラベルデータに基づいて冠状動脈の示唆データを取得することは、前記冠状動脈のラベルデータの一部を前記冠状動脈の示唆データとして選定することを含み、
前記ラベリングモジュールは、前記認識対象血管の拡張データ、前記冠状動脈の示唆データ及び前記冠状動脈のラベルデータを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、
前記ニューラルネットワークモデルを訓練するように構成される
ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項14】
前記拡張モジュールは、
前記認識対象領域の血管データにプラークデータ及びアーチファクトデータを含むノイズデータを付加するように構成されるノイズ拡張サブモジュールと、
前記認識対象領域の血管データに偽陽性データを付加するように構成される偽陽性拡張サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項15】
前記ラベリングモジュールは、
前記認識対象血管の拡張データ及び前記冠状動脈の示唆データを有する前記サンプルを前記ニューラルネットワークモデルに入力して、
前記ニューラルネットワークモデルにより出力される冠状動脈の分割データを取得するように構成される出力サブモジュールと、
前記冠状動脈の分割データ及び前記冠状動脈のラベルデータに基づいてロス結果を取得するように構成されるロスサブモジュールと、
前記ロス結果に基づいて前記ニューラルネットワークモデルのパラメータを調整するように構成される調整サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項16】
前記サンプル取得モジュールは、
認識対象血管及び冠状動脈ラベルを含む生画像を取得するように構成される生画像取得サブモジュールと、
前記生画像をスライディングウィンドウ処理して複数の前記サンプルを取得するように構成される前処理サブモジュールと、を備える
ことを特徴とする請求項13ないし15のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割装置。
【請求項17】
電子デバイスであって、
プロセッサ及びメモリを備えており、
前記メモリにはコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令が前記プロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは請求項1ないし8のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法を実施する
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項18】
コンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ読取可能な記憶媒体にはコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサは請求項1ないし8のいずれか一項に記載の冠状動脈の分割方法を実施する
ことを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
1枚の心臓CT画像を検出対象画像として選んで、検出対象画像を訓練済みの起始分割モジュールに入力し、大動脈と冠状動脈の連結領域を分割し、冠状動脈起始部の分割データを取得する(
図10のステップ10011を参照)。冠状動脈起始部の分割データから、冠状動脈の輪郭及び延在方向を表す第1の骨部を抽出する(
図10のステップ10012を参照)。第1の骨部において、第1のプリセットのストライドに従って第1のシードノードを選出し、第1のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第1のスタックトップシードノードを取得し、第1のスタックトップシードノードの中心を中心として、検出対象画像において第1のプリセットサイズを有する第1の領域を第1の検出対象領域として選定する(
図10のステップ10013、ステップ10014及びステップ10015を参照)。第1の領域における冠状動脈起始部の分割データを第1の領域内冠状動脈の示唆データとして確定する(
図10のステップ10016を参照)。領域内冠状動脈の示唆データを有する検出対象領域を冠状動脈の分割モデルに入力して、検出対象領域に対応する第1の領域内冠状動脈の分割データを取得する(
図10のステップ1002を参照)ことができる。第1の領域内冠状動脈の分割データが第1の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、第1の領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定する(
図10のステップ
10031を参照)か、又は、第1の領域内冠状動脈の分割データが第1の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、第1の領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する(
図10のステップ
10032を参照)。対比結果で検出対象画像中の第1の検出対象領域を置き換えて、置換後の検出対象画像を取得して(
図10のステップ1004を参照)第1の検出工程を完了する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
1つ前の検出工程で得られた対比結果から増分の冠状動脈の分割データを取得する(
図10のステップ10061を参照)。増分の冠状動脈の分割データから第2の骨部を抽出する(
図10のステップ10062を参照)。第2の骨部において第2のプリセットのストライドに従って第2のシードノードを選出し、第2のシードノードをシードノードのスタックにプッシュして第2のスタックトップシードノードを取得し、第2のスタックトップシードノードの中心を中心として、1つ前の検出工程で得られた置換後の検出対象画像において、第2のプリセットサイズを有する第2の領域を第2の検出対象領域として選定する(
図10のステップ10063、ステップ10064及びステップ10065を参照)。ここで、第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする。第2の領域は1つ前の検出工程で得られた対比結果の一部をカバーする必要があるため、第2の領域に含まれている、1つ前の検出工程で得られた対比結果を、第2の領域内冠状動脈の示唆データとして確定し(
図10のステップ10066を参照)、第2の領域内冠状動脈の示唆データを有する第2の検出対象領域を冠状動脈の分割モデルに入力して、第2の領域内冠状動脈の分割データを取得し(
図10のステップ1002を参照)、第2の領域内冠状動脈の分割データが第2の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合、第2の領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定する(
図10のステップ
10031を参照)か、又は、第2の領域内冠状動脈の分割データが第2の領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合、第2の領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定する(
図10のステップ
10032を参照)。対比結果で検出対象画像中の第2の検出対象領域を置き換えて、置換後の検出対象画像を取得して(
図10のステップ1004を参照)、第2の検出工程を完了する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
1つの実施例において、対比判断モジュール1303はさらに、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割した場合に領域内冠状動脈の分割データを対比結果として選定するか、又は、領域内冠状動脈の分割データが領域内冠状動脈の示唆データに比べてより多くの分割領域を分割していない場合に領域内冠状動脈の示唆データを対比結果として選定するように構成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0129】
<例示的な電子デバイス>
図15は本発明の一実施例に係る電子デバイスの構造模式図である。
図15に示すように、電子デバイス1500は1つ又は複数のプロセッサ15
01と、メモリ15
02とを備える。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
プロセッサ1501は中央処理ユニット(CPU)又はデータ処理能力及び/又は命令実行能力を有する他の形の処理ユニットであってもよく、且つ、電子デバイス1500における他のコンポーネントが期待される機能を実行するように制御することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
メモリ1502は1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含むことができる。前記コンピュータプログラム製品は様々な形のコンピュータ読取可能な記憶媒体、例えば、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。前記揮発性メモリは例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は、キャッシュメモリ(cache)などを含むことができる。前記不揮発性メモリは例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含むことができる。前記コンピュータ読取可能な記憶媒体においては1つ又は複数のコンピュータプログラム命令が記憶されていてもよく、プロセッサ1501は前記プログラム命令を実行して、前述の本発明の各実施例による冠状動脈の分割モデルの訓練方法、冠状動脈の分割方法、及び/又は他の期待される機能を実現することができる。1つの例において、電子デバイス1500は入力装置1503及び出力装置1504を更に備えることができる。これらのコンポーネントはバスシステム及び/又は他の形の接続メカニズム(図示せず)により互いに接続することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
例えば、当該入力装置1503は上述のマイクロフォン又はマイクロフォンマトリックスであってもよく、音源からの入力信号を捕獲するように構成される。当該電子デバイスが単体デバイスである場合、当該入力装置1503は通信ネットワーク接続器であってもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0133
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0133】
また、当該入力装置1503は医療画像採集装置などを含んでもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
当該出力装置1504は外部に様々な情報(確定された徴候種類情報などを含む)を出力することができる。当該出力装置1504は、ディスプレイ、スピーカー、プリンター、通信ネットワーク及びそれが接続しているリモート出力デバイスなどを含んでもよい。
【国際調査報告】