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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】脱水素化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 403/14 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
C07C403/14 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532090
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2020086170
(87)【国際公開番号】W WO2021130057
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】19219361.3
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, マーク‐アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ウェステンベルグ, ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン, ヴィクター
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC12
4H006BB11
4H006BC10
4H006UC12
(57)【要約】
本発明は、新規な化合物及びレチナールを生成するためのその化合物の脱水素化に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物。
【請求項2】
式(I)
【化2】

の化合物の、式(II)
【化3】

の化合物への、式(III)
【化4】

(式中、
は、CN、Cl又はFであり、
は、CN、Cl又はFであり、
は、H、CH、Cl又はFであり、及び
は、H、CH、Cl又はFである)
の少なくとも1種の酸化反応剤の存在下における脱水素化。
【請求項3】
式(III)の前記酸化反応剤は、式(IIIa)、(IIIb)及び(IIIc)
【化5】

の化合物からなる群から選択される、請求項2に記載の脱水素化。
【請求項4】
前記酸化反応剤は、式(IIIc)
【化6】

の化合物である、請求項2に記載の脱水素化。
【請求項5】
式(III)の前記酸化反応剤の量は、(式(I)の化合物に対して)0.5モル当量~5モル当量までである、請求項2~4の何れか一項に記載の脱水素化。
【請求項6】
式(III)の前記酸化反応剤の量は、(式(I)の化合物に対して)0.5モル当量~3モル当量までである、請求項2~4の何れか一項に記載の脱水素化。
【請求項7】
少なくとも1種の付加化合物の存在下で行われる、請求項2~6の何れか一項に記載の脱水素化。
【請求項8】
前記付加化合物は、トリエタノールアミン、ピリジン、ブチルヒドロキシルトルエン、ヒドロキノン及びトリエトキシアミンからなる群から選択される、請求項7に記載の脱水素化。
【請求項9】
前記付加化合物は、(式(I)の化合物に対して)0.001~1モル当量の量で添加される、請求項7又は8に記載の脱水素化。
【請求項10】
前記付加化合物は、(式(I)の化合物に対して)0.003~1モル当量の量で添加される、請求項7又は8に記載の脱水素化。
【請求項11】
少なくとも1種の不活性溶媒の存在下で行われる、請求項2~10の何れか一項に記載の脱水素化。
【請求項12】
前記溶媒は、芳香族炭化水素(即ちベンゼン若しくはトルエン)、酢酸エチル、THF、2-メチルテトラヒドロフラン又は1,4-ジオキサンからなる群から選択される、請求項11に記載の脱水素化。
【請求項13】
0℃~150℃の温度で行われる、請求項2~11の何れか一項に記載の脱水素化。
【請求項14】
6℃~150℃の温度で行われる、請求項7又は8に記載の脱水素化。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、レチナールの(脱水素化による)生成方法において有用である新規な化合物に関する。
【0002】
レチナールは、そのままで使用され得るか、又はビタミンAの他の誘導体(即ちエステル等)を生成するために使用され得る重要な化合物である。
【0003】
その重要性のため、レチナールを得るための新規且つ改良された方法が常に必要とされている。
【0004】
本発明の目的は、レチナールを得るための新規且つ改良された方法を見出すことであった。
【0005】
新規に見出された方法は、穏やかな反応条件下において、1工程で2つの二重結合を導入することを可能にすることが見出された。
【0006】
新規な方法は、式(I)
【化1】

の化合物を出発物質として使用する。
【0007】
式(I)の化合物は、4つの可能性のある異性体立体配置の何れか1つであり得る。
【0008】
式(I)の化合物は、新規な化合物である。
【0009】
従って、本発明は、式(I)
【化2】

の化合物に関する。
【0010】
式(I)の化合物は、先行技術から知られている方法によって容易に生成することができる。式(I)の化合物の合成を以下に開示する。
【0011】
上述したように、式(I)の化合物は、式(II)
【化3】

の化合物であるレチナールの合成において極めて適合する化合物である。
【0012】
式(I)の化合物に関して、式(II)の化合物は、任意の異性体立体配置であり得る。
【0013】
本発明による新規な脱水素化方法は、1工程で2つの二重結合を導入することを可能にする。
【0014】
従って、本発明は、以下の式(I)
【化4】

の化合物の、式(II)
【化5】

の化合物への、式(III)
【化6】

(式中、
は、CN、Cl又はFであり、
は、CN、Cl又はFであり、
は、H、CH、Cl又はFであり、及び
は、H、CH、Cl又はFである)
の少なくとも1種の酸化反応剤の存在下における脱水素化(DH)にも関する。
【0015】
式(III)の好ましい酸化反応剤は、以下の式(IIIa)、(IIIb)及び(IIIc)
【化7】

の酸化反応剤である。
【0016】
極めて好ましいのは、式(IIIc)の化合物である。
【0017】
従って、本発明は、脱水素化(DH)であり、酸化反応剤が、式(IIIa)、(IIIb)及び(IIIc)
【化8】

の化合物からなる群から選択される、脱水素化(DH1)に関する。
【0018】
従って、本発明は、脱水素化(DH)であり、酸化反応剤が、式(IIIc)
【化9】

の化合物である、脱水素化(DH1)に関する。
【0019】
本発明による方法において使用される式(III)の酸化反応剤の量は、変動し得る。式(III)の酸化反応剤の量は、通常、(式(I)の化合物に対して)0.5モル当量~5モル当量までである。好ましくは、(式(I)の化合物に対して)0.5~3モル当量である。
【0020】
従って、本発明は、脱水素化(DH)又は(DH1)であり、式(III)の酸化反応剤の量が(式(I)の化合物に対して)0.5モル当量~5モル当量までである、脱水素化(DH2)に関する。
【0021】
従って、本発明は、脱水素化(DH)又は(DH1)であり、式(III)の酸化反応剤の量が(式(I)の化合物に対して)0.5モル当量~3モル当量までである、脱水素化(DH2’)に関する。
【0022】
本発明による方法は、少なくとも1種の付加化合物の存在下で行うこともできる。この付加化合物は、通常、トリエタノールアミン、ピリジン、ブチルヒドロキシルトルエン、ヒドロキノン及びトリエトキシアミンからなる群から選択される。
【0023】
付加化合物は、(式(I)の化合物に対して)0.001~1モル当量、好ましくは(式(I)の化合物に対して)0.003~1モル当量の量で添加される。
【0024】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)又は(DH2’)であり、少なくとも1種の付加化合物の存在下で行われる脱水素化(DH3)に関する。
【0025】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)又は(DH2’)であり、付加化合物が、トリエタノールアミン、ピリジン、ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン及びトリエトキシアミンからなる群から選択される、脱水素化(DH3’)に関する。
【0026】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)又は(DH2’)であり、付加化合物が、(式(I)の化合物に対して)0.001~1モル当量の量で添加される、脱水素化(DH3’’)に関する。
【0027】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)又は(DH2’)であり、付加化合物が(式(I)の化合物に対して)0.003~1モル当量の量で添加される、脱水素化(DH3’’’)に関する。
【0028】
反応は、通常、不活性溶媒中で行われる。溶媒は、通常、例えば芳香族炭化水素(即ちベンゼン若しくはトルエン)、酢酸エチル、THF、2-メチルテトラヒドロフラン又は1,4-ジオキサン等の非プロトン性溶媒である。
【0029】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)、(DH2’)、(DH3)、(DH3’)、(DH3’’)又は(DH3’’’)であり、少なくとも1種の不活性溶媒の存在下で行われる脱水素化(DH4)に関する。
【0030】
従って、本発明は、脱水素化(DH4)であり、溶媒がプロトン性溶媒である、脱水素化(DH4’)に関する。
【0031】
従って、本発明は、脱水素化(DH4)であり、溶媒が、芳香族炭化水素(即ちベンゼン若しくはトルエン)、酢酸エチル、THF、2-メチルテトラヒドロフラン又は1,4-ジオキサンからなる群から選択される、脱水素化(DH4’’)に関する。
【0032】
本発明による方法は、通常、昇温で行われる。通常、本発明による方法は、0℃~150℃、好ましくは30℃~150℃、より好ましくは60℃~150℃の温度で行われる。
【0033】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)、(DH2’)、(DH3)、(DH3’)、(DH3’’)、(DH3’’’)、(DH4)、(DH4’)又は(DH4’’)であり、0℃~150℃の温度で行われる脱水素化(DH5)に関する。
【0034】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)、(DH2’)、(DH3)、(DH3’)、(DH3’’)、(DH3’’’)、(DH4)、(DH4’)又は(DH4’’)であり、30℃~150℃の温度で行われる脱水素化(DH5’)に関する。
【0035】
従って、本発明は、脱水素化(DH)、(DH1)、(DH2)、(DH2’)、(DH3)、(DH3’)、(DH3’’)、(DH3’’’)、(DH4)、(DH4’)又は(DH4’’)であり、60℃~150℃の温度で行われる脱水素化(DH5’’)に関する。
【0036】
上述したように、式(I)の新規な化合物は、先行技術から知られている方法を使用することによって生成することができる。
【0037】
式(I)の化合物を生成するための好ましい方法は、以下である。
【0038】
式(IV)の化合物は、式(I)の化合物に酸化される。
【化10】
【0039】
J.M.Hoover,S.S.Stahl,J.Am.Chem.Soc.,2011,133,16901-16910に記載と同一の反応条件が使用される。
【0040】
式(IV)の化合物は、以下の反応スキーム:
【化11】

に従って得ることができる。
【0041】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つ。温度は、℃単位で示され、全ての百分率は、重量に関連する。
【0042】
[実施例]
[実施例1:]
(3E,6E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキス-1-エン-1-イル)ノナ-3,6-ジエナール(88mg、0.3mmol;1.0当量)、トリエタノールアミン(3.1mg、0.02mmol、0.07当量)及び無水トルエン(4.0mL)を、アルゴン雰囲気下のマグネチックスターラー及びコンデンサーを装備した無水の二ツ口丸底フラスコ内に配置した。1.0mLの無水トルエン中のDDQ(71mg、0.3mmol、1.0当量)の溶液を添加した。この反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を90℃に加熱し、1.0mLの無水トルエン中のDDQ(73mg、0.3mmol、1.0当量)の溶液を添加した。この反応液を90℃で30分間撹拌した。続いて、室温に冷却し、ガラス繊維フィルターに通して濾過した。全ての揮発性物質を減圧(40℃、5mbar)下で蒸発させて、濃赤色の油としての生成物を得た。
【国際調査報告】