(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電子膨張弁の制御方法、装置、電子機器、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
F25B1/00 304Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535162
(86)(22)【出願日】2020-09-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 CN2020118177
(87)【国際公開番号】W WO2021114827
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】201911258668.5
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522229031
【氏名又は名称】北京京儀自動化装備技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING JINGYI AUTOMATION EQUIPMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】常▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】胡文達
(72)【発明者】
【氏名】李文博
(72)【発明者】
【氏名】▲ろい▼守禎
(72)【発明者】
【氏名】何茂棟
(72)【発明者】
【氏名】曹小康
(57)【要約】
本願は、電子膨張弁の制御方法及び制御装置が提供される。前記制御方法は、制御対象の実際温度値、圧縮機(COMP1)の吸気温度値、及び排気温度値を取得すること、前記実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定すること、前記目標温度値、前記冷凍能力出力パーセンテージ、前記吸気温度値、及び前記排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算することを含み、前記制御方法は、電子膨張弁の開放度の自動制御を実現し、確実な運転を確保することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の実際温度値、圧縮機の吸気温度値、及び排気温度値を取得するステップと、
前記実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定するステップと、
前記目標温度値、前記冷凍能力出力パーセンテージ、前記吸気温度値、及び前記排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算するステップと、
を含む
ことを特徴とする冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法。
【請求項2】
自動計算ロジックにより電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算し、前記最小開放度値及び前記最大開放度値に基づいて自動開放度値を取得するステップと、
補正計算ロジックにより前記電子膨張弁の補正開放度値を計算するステップと、
前記自動開放度値及び前記補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得するステップと、
をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法。
【請求項3】
前記自動計算ロジックは、
前記目標温度値を複数の温度値区間に分割し、それぞれの前記温度値区間に対応する電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算することと、
第1の温度閾値及び中間冷凍計算量パーセンテージを設定し、前記目標温度値≧前記第1の温度閾値である場合、前記中間冷凍計算量パーセンテージが前記冷凍能力出力パーセンテージに等しく、前記目標温度値<前記第1の温度閾値である場合、中間冷凍計算量パーセンテージ=100%-冷凍能力出力パーセンテージであることと、
前記自動開放度値=前記中間冷凍計算量パーセンテージ×(前記最大開放度値-前記最小開放度値)+前記最小開放度値であることと、
を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法。
【請求項4】
前記補正計算ロジックは、
第2の温度閾値を設定し、前記目標温度値≧前記第1の温度閾値、且つ前記吸気温度値≧前記第2の温度閾値である場合、予め設定された時間をおいて、補正値を累加することと、
第3の温度閾値を設定し、前記目標温度値<前記第1の温度閾値、且つ前記排気温度値≧前記第3の温度閾値である場合、予め設定された時間をおいて、補正値を累加することと、
第4の温度閾値を設定し、前記目標温度値≧前記第1の温度閾値、且つ前記吸気温度値<前記第4の温度閾値である場合、予め設定された時間をおいて、補正値を累減することと、
前記補正開放度値=補正値の累加又は補正値の累減であることと、
を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法。
【請求項5】
前記補正開放度値=補正値である場合、前記吸気温度値は、前記第2の温度閾値と前記第4の温度閾値の間にあり、前記排気温度値<第3の温度閾値である
ことを特徴とする請求項4に記載の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法。
【請求項6】
前記した、前記自動開放度値及び前記補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得するステップは、
前記実際開放度値=前記中間冷凍計算量パーセンテージ×(前記最大開放度値-前記最小開放度値)+前記最小開放度値+補正開放度値であることを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法。
【請求項7】
制御対象の実際温度値、圧縮機の吸気温度値、及び排気温度値を取得する取得モジュールと、
前記実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定する冷凍能力出力パーセンテージ計算モジュールと、
前記目標温度値、前記冷凍能力出力パーセンテージ、前記吸気温度値、及び前記排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算する計算モジュールと、
を備える
ことを特徴とする冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置。
【請求項8】
前記計算モジュールは、自動計算モジュール、補正計算モジュール、及び実際計算モジュールを備え、
前記自動計算モジュールは、自動計算ロジックにより電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算し、前記最小開放度値及び前記最大開放度値に基づいて自動開放度値を取得し、
前記補正計算モジュールは、補正計算ロジックにより前記電子膨張弁の補正開放度値を計算し、
前記実際計算モジュールは、前記自動開放度値及び前記補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得する
ことを特徴とする請求項7に記載の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置。
【請求項9】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを備える電子機器であって、前記プログラムが前記プロセッサによって実行されると、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御方法のステップが実現される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御方法のステップが実現される
ことを特徴とする非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2019年12月10日に提出された出願番号が201911258668.5であり、発明の名称が「電子膨張弁の制御方法、装置、電子機器、及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、冷凍システム分野に関し、特に、電子膨張弁の制御方法、装置、電子機器、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造の補助装置として、半導体温度制御装置は、ウェーハ製造プロセスにおいて異なる温度を出力する必要があると共に、温度を維持する過程中で、プロセスの熱負荷を相殺するように冷凍能力を制御する必要がある。そのためには、半導体温度制御装置が実際のプロセスで一定の出力温度を維持し、高温と低温の作動条件を満たすと共に十分な冷凍能力を確保する必要があると同時に、システムの安定した信頼性の高い動作を確保すると同時に、ウェーハ製造プロセスのニーズも満たす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、従来技術に存在している課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。このため、本願は、冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本願は、制御対象の実際温度値、圧縮機の吸気温度値、及び排気温度値を取得するステップと、前記実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定するステップと、前記目標温度値、前記冷凍能力出力パーセンテージ、前記吸気温度値、及び前記排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算するステップと、を含む冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法を提供する。
【0006】
1つの実施形態では、自動計算ロジックにより電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算し、前記最小開放度値及び前記最大開放度値に基づいて自動開放度値を取得するステップと、補正計算ロジックにより前記電子膨張弁の補正開放度値を計算するステップと、前記自動開放度値及び前記補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得するステップとをさらに含む。
【0007】
1つの実施形態では、前記自動計算ロジックは、前記目標温度値を複数の温度値区間に分割し、それぞれの前記温度値区間に対応する電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算することと、第1の温度閾値及び中間冷凍計算量パーセンテージを設定し、前記目標温度値≧前記第1の温度閾値である場合、前記中間冷凍計算量パーセンテージが前記冷凍能力出力パーセンテージに等しく、前記目標温度値<前記第1の温度閾値である場合、中間冷凍計算量パーセンテージ=100%-冷凍能力出力パーセンテージであることと、前記自動開放度値=前記中間冷凍計算量パーセンテージ×(前記最大開放度値-前記最小開放度値)+前記最小開放度値であることとを含む。
【0008】
1つの実施形態では、前記補正計算ロジックは、第2の温度閾値を設定し、前記目標温度値≧前記第1の温度閾値、且つ前記吸気温度値≧前記第2の温度閾値である場合、予め設定された時間をおいて、補正値を累加することと、第3の温度閾値を設定し、前記目標温度値<前記第1の温度閾値、且つ前記排気温度値≧前記第3の温度閾値である場合、予め設定された時間をおいて、補正値を累加することと、第4の温度閾値を設定し、前記目標温度値≧前記第1の温度閾値、且つ前記吸気温度値<前記第4の温度閾値である場合、予め設定された時間をおいて、補正値を累減することと、前記補正開放度値=補正値の累加又は補正値の累減であることとを含む。
【0009】
1つの実施形態では、前記補正開放度値=補正値である場合、前記吸気温度値は、前記第2の温度閾値と前記第4の温度閾値の間にあり、前記排気温度値<第3の温度閾値である。
【0010】
1つの実施形態では、前記した、前記自動開放度値及び前記補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得するステップは、前記実際開放度値=前記中間冷凍計算量パーセンテージ×(前記最大開放度値-前記最小開放度値)+前記最小開放度値+補正開放度値であることを含む。
【0011】
本願の他の側面によると、制御対象の実際温度値、圧縮機の吸気温度値、及び排気温度値を取得する取得モジュールと、前記実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定する冷凍能力出力パーセンテージ計算モジュールと、前記目標温度値、前記冷凍能力出力パーセンテージ、前記吸気温度値、及び前記排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算する計算モジュールと、を備える冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置を提供する。
【0012】
1つの実施形態では、前記計算モジュールは、自動計算モジュール、補正計算モジュール、及び実際計算モジュールを備え、前記自動計算モジュールは、自動計算ロジックにより電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算し、前記最小開放度値及び前記最大開放度値に基づいて自動開放度値を取得し、前記補正計算モジュールは、補正計算ロジックにより前記電子膨張弁の補正開放度値を計算し、前記実際計算モジュールは、前記自動開放度値及び前記補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得する。
【0013】
本願の他の側面によると、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを備え、前記プログラムが前記プロセッサによって実行されると、前記のいずれか一項に記載の制御方法のステップが実現される電子機器を提供する。
【0014】
本願の他の側面によると、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、前記のいずれか一項に記載の制御方法のステップが実現される非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本願に係る冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法は、目標温度値、冷凍能力出力パーセンテージ、吸気温度値、及び排気温度値によって電子膨張弁の開放度を計算することにより、電子膨張弁の開放度の自動制御を実現して、高低区間の動作に適合させることができる。同時に、高低区間において戻り口の負荷に対して異なる冷凍能力を出力するという動作要件を満たすこともできる。また、電子膨張弁に対する制御により、吸気温度と排気温度の制御を実現し、それらを適切な範囲内に収めて、システムの信頼性ある動作を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本願の実施形態に係る自動開放度値のアルゴリズムの模式的なフローチャートである。
【
図2】
図2は本願の実施形態に係る補正開放度値のアルゴリズムの模式的なフローチャートである。
【
図3】
図3は本願の実施形態に係る冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置の模式的な原理図である。
【
図4】
図4は目標温度値が-42.55℃である場合、電子膨張弁の開放度値と実際温度値の模式的なグラフ図である。
【
図5】
図5は目標温度値が37.45℃である場合、電子膨張弁の開放度値と実際温度値の模式的なグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び実施形態を参照しながら、本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。下記の例は本願を説明するためのものであり、本願の範囲を制限するためのものではない。
【0018】
本願の実施形態の説明において、特に明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」などの用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続であってもよいし、直接連結、中間部材を介した間接連結、2つの素子の内部における連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0019】
図1~
図3に示すように、本願は、制御対象の実際温度値、圧縮機の吸気温度値、及び排気温度値を取得するステップと、実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定するステップと、目標温度値、冷凍能力出力パーセンテージ、吸気温度値、及び排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算するステップとを含む冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法を提供する。
【0020】
本願に係る冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法は、目標温度値、冷凍能力出力パーセンテージ、吸気温度値、及び排気温度値によって電子膨張弁の開放度を計算することにより、電子膨張弁の開放度の自動制御を実現して、高低区間の動作に適合させることができる。同時に、高低区間において戻り口の負荷に対して異なる冷凍能力を出力するという動作要件を満たすこともできる。また、電子膨張弁に対する制御により、吸気温度と排気温度の制御を実現し、それらを適切な範囲内に収めて、システムの信頼性ある動作を確保することができる。
【0021】
具体的には、本願の実施形態に係る冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法は、要約すると、実現するには、実際温度値及び制御対象の目標温度値によって冷凍能力出力パーセンテージを計算するステップと、自動計算ロジックにより電子膨張弁の自動開放度値を計算するステップと、補正計算ロジックにより電子膨張弁の補正開放度値を計算するステップと、開放度計算値によって電子膨張弁の実際開放度値を計算するステップとの4つのステップが必要である。
【0022】
目標温度値が-45℃~40℃であることを例とする。まず、冷凍能力出力パーセンテージを計算する時、目標温度値を事前に設定し、冷凍システムの制御対象の実際温度値を取得する必要がある。例えば、温度センサを使用して冷凍システム制御対象の実際温度値を取得することができる。
【0023】
目標温度値及び実際温度値がPLCに入力され、PLCにおけるPIDモジュールは、目標温度値及び実際温度値を演算することにより、半導体温度制御装置に必要な冷凍能力出力パーセンテージを取得することができ、冷凍能力出力パーセンテージの範囲は0-100%である。ここで、冷凍能力出力パーセンテージは、現在の実際温度値及び動作条件下で出力する必要がある冷凍能力のパーセンテージであり、PLCにおけるPIDモジュールによって実際温度値及び目標温度値に応じて自動的に計算されて得たものである。
【0024】
半導体温度制御装置に必要な出力冷凍能力を計算した後、自動計算ロジックにより電子膨張弁の自動開放度を計算する必要がある。
【0025】
具体的には、自動計算ロジックにより電子膨張弁の最小開放度値、最大開放度値、及び自動開放度値を計算する必要がある。ここで、自動計算ロジックは、目標温度値を複数の温度値区間に分割し、それぞれの温度値区間に対応する電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算することを含む。例えば、半導体温度制御装置の温度値の範囲が-45℃~40℃であるという全温度範囲にわたって、一定の温度を間隔とし、上記の温度範囲をいくつかの温度値区間に分割する。ここで、異なる温度値区間では、電子膨張弁の対応する最小開放度及び最大開放度は次の表に示される。
【0026】
10°Cの温度値範囲を例にとると、電子膨張弁の対応する最小開放度及び最大開放度は次の表に示される(開放度値の対応する単位は%である)。
[表1]
【0027】
また、高温状態と低温状態での、冷凍能力に対する電子膨張弁の影響の違いを考慮すると、低温で電子膨張弁の開放度を大きくすると冷凍能力が低下し、高温で冷凍能力が増加するには電子膨張弁の開放度を大きくする必要があり、冷凍システムにおける圧縮機の吸気温度値が適切な範囲内にあることを確保することで冷凍能力を確保する。
【0028】
ここで、第1の温度閾値及び中間冷凍計算量パーセンテージを設定することにより、電子膨張弁の自動開放度と出力冷凍能力との関係が比例または反比例するように制御する。
【0029】
図1に示すように、目標温度値≧第1の温度閾値である場合、中間冷凍計算量パーセンテージは冷凍能力出力パーセンテージに等しく、
目標温度値<第1の温度閾値である場合、中間冷凍計算量パーセンテージ=100%-冷凍能力出力パーセンテージである。
これにより、電子膨張弁の自動開放度値=中間冷凍計算量パーセンテージ×(最大開放度値-最小開放度値)+最小開放度値である。
【0030】
電子膨張弁の自動開放度値を計算した後、補正計算ロジックにより電子膨張弁の補正開放度値を計算する。
【0031】
補正計算ロジックにより補正開放度値を計算する場合、第2の温度閾値、第3の温度閾値、及び第4の温度閾値を設定する必要がある。
図2に示すように、目標温度値≧第1の温度閾値、且つ吸気温度値≧第2の温度閾値である場合、増加フラグをトリガーし、予め設定された時間、例えば1秒をおいて、補正値を累加し、
目標温度値<第1の温度閾値、且つ排気温度値≧第3の温度閾値である場合、増加フラグをトリガーし、予め設定された時間、例えば1秒をおいて、補正値を累加し、
目標温度値≧第1の温度閾値、且つ吸気温度値<第4の温度閾値である場合、低減フラグをトリガーし、予め設定された時間、例えば1秒をおいて、補正値を累減し、
なお、第5の温度閾値を設定してもよく、目標温度値≧第1の温度閾値、且つ吸気温度値≧第5の温度閾値である場合、急速増加フラグをトリガーし、予め設定された時間、例えば1秒をおいて、補正値を累加し、
第6の温度閾値を設定してもよく、目標温度値<第1の温度閾値、且つ排気温度値≧第6の温度閾値である場合、急速増加フラグをトリガーし、予め設定された時間、例えば1秒をおいて、補正値を累加し、
第7の温度閾値を設定してもよく、目標温度値≧第1の温度閾値、且つ吸気温度値<第7の温度閾値である場合、急速低減フラグをトリガーし、予め設定された時間、例えば1秒をおいて、補正値を累減する。
【0032】
ここで、第5の温度閾値>第2の温度閾値、第6の温度閾値>第3の温度閾値、第7の温度閾値<第4の温度閾値である。
【0033】
最後に、補正開放度値=補正値の累加又は補正値の累減であり、電子膨張弁の補正開放度により、吸気温度値が第2の温度閾値と第4の温度閾値の間にあるように制御し、排気温度値<第3の温度閾値であるように制御する。
【0034】
自動開放度値と補正開放度値を計算した後、さらに下記の式により電子膨張弁の開放度値を計算できる。
実際開放度値=中間冷凍計算量パーセンテージ×(最大開放度値-最小開放度値)+最小開放度値+補正開放度値。
【0035】
ここで、補正値の初期値は0であり、相応する条件に応じて異なる補正値が計算されて、補正開放度値が得られる。
【0036】
言い換えれば、本願の実施形態における自動開放度値及び補正開放度値は、いずれも実際温度値及び実際の動作条件に応じてリアルタイムで変更し、従って、電子膨張弁の開放度の計算もリアルタイムで変更されるため、電子膨張弁の開放度のリアルタイム制御が実現される。
【0037】
図4と
図5に示すように、目標温度値概略線3が常に-42.55℃に制御されている場合、実際温度値曲線2は-42.4℃~-42.6℃の間に制御され、電子膨張弁の開放度値曲線1は3.1~3.7ほどに制御される。目標温度値概略線3が常に37.45℃に制御されている場合、実際温度値曲線2は37.35℃~37.55℃の間に制御され、電子膨張弁の開放度値曲線1は18~21ほどに制御される。
【0038】
本願の他の側面によると、制御対象の実際温度値、圧縮機の吸気温度値、及び排気温度値を取得する取得モジュールと、実際温度値及び制御対象の目標温度値に応じて、冷凍能力出力パーセンテージを決定する冷凍能力出力パーセンテージ計算モジュールと、目標温度値、冷凍能力出力パーセンテージ、吸気温度値、及び排気温度値に応じて、電子膨張弁の開放度を計算する計算モジュールと、を備える冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置を更に提供する。
【0039】
ここで、計算モジュールは、自動計算モジュール、補正計算モジュール、及び実際計算モジュールを備え、自動計算モジュールは、自動計算ロジックにより電子膨張弁の最小開放度値及び最大開放度値を計算し、最小開放度値及び最大開放度値に基づいて自動開放度値を取得し、補正計算モジュールは、補正計算ロジックにより電子膨張弁の補正開放度値を計算し、実際計算モジュールは、自動開放度値及び補正開放度値に基づいて実際の開放度値を取得する。
【0040】
言い換えれば、本願の実施形態に係る冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置は、前述の冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法に一対一対応するものである。つまり、前述の実施形態における冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御方法によって達成できる技術的効果は、冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置においても達成することができ、ここでは説明が繰り返されない。
【0041】
具体的には、
図3に示すように、左側はPCWプラント水、右側は循環システム、中央は冷凍システムである。冷凍システムのハードウェアは、主に、COMP1圧縮機、INV電力インバータ電源、CON1凝縮器、EEV1主回路電子膨張弁、EVA1蒸発器、HE1再熱器、EEV2ホットガスバイパス電子膨張弁、EEV3コールドバイパス電子膨張弁、EEV4液体噴射電子膨張弁、SV3ホットバイパス、PS1排気圧センサ、PS2吸気圧センサ、TS1排気温度センサ、TS2蒸発温度センサ、TS3吸気温度センサからなる。ここで、循環システムの外部には負荷が接続されており、当該冷凍システムの電子膨張弁開放度調整の制御装置は、実際温度値(即ち、TS6での温度値)を特定の温度範囲に維持するように制御する必要がある。
【0042】
さらに、本願の実施形態は、非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されるコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令がコンピュータによって実行されると、コンピュータは、上記の各方法の実施形態に係る方法を実行することができるコンピュータプログラム製品を開示する。
【0043】
なお、本願の実施形態は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上記の各実施形態に係る伝送方法が実行される非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供する。
【0044】
上記の装置の実施形態は、単なる例示的なものであり、ここでは分離した構成部品として説明したユニットは、物理的に分離されているものでもよく、物理的に分離されているものでなくてもよく、ユニットとして示した部品は、物理的なユニットであってもよく、物理的なユニットでなくてもよく、即ち、1つの場所に位置していてもよく、複数のネットワークユニットに分散していてもよい。本実施形態の技術案の目的は、実際のニーズに応じて、モジュールの一部またはその全部を採用することにより達成することができる。当業者であれば、創造的な労働を要しない前提で、本願に開示された技術案を理解して実施することができる。
【0045】
上記の実施形態の説明から当業者にとって明らかなように、各実施形態は、必要となる共通のハードウェアプラットフォームとソフトウェアを組み合わせることにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよいことが理解できる。このような理解に基づいて、上記の技術案は、本質的または先行技術に貢献する部分がソフトウェア製品の形で具体化することができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、1つのコンピュータ機器(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置など)に各実施形態または実施形態のいくつかの部分に記載された方法を実行させるためのいくつかの命令を含む。
【0046】
上記実施形態は、本願の好ましい実施形態に過ぎず、本願を限定するためのものではない。本願の精神と原則の範囲内で行われた変更、同等の交換、改善などは、本願の保護範囲に含まれるものとされる。
【国際調査報告】