(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】化粧用の又は皮膚科学的な組成物であって特に皮膚及びその付属器における青色光の作用に働きかけるもの、並びに関連する使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20230208BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230208BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230208BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230208BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20230208BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/537 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/30 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20230208BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230208BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230208BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230208BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20230208BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20230208BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20230208BHJP
C07K 5/103 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/49
A61K8/64
A61Q19/00
A61K31/216
A61K31/352
A61K36/53
A61K36/899
A61K36/537
A61K36/534
A61K36/30
A61K36/23
A61K38/07
A61K38/08
A61P17/00
A61P17/16
A61P17/18
C07K7/06 ZNA
C07K5/103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536475
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020086037
(87)【国際公開番号】W WO2021122482
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503432445
【氏名又は名称】セダーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】モンドン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マルシャン,ティボー
(72)【発明者】
【氏名】ブラヒミ,サンドラ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
4C086
4C088
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC231
4C083AC272
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC442
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD092
4C083AD282
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE10
4C083EE12
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA16
4C084BA17
4C084CA59
4C084MA02
4C084MA28
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC75
4C088AB12
4C088AB38
4C088AB51
4C088AB73
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA02
4C088MA28
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB20
4C206DB54
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA50
4H045EA20
(57)【要約】
組成物は、クリシン、ロスマリン酸、少なくとも1つのペプチド又はその誘導体であって活性配列GQPRを備える4~10個のアミノ酸の配列を有するもの、及び、生理学的に許容される媒体、を備え又はからなる。誘導体は、N末端においてアシル(-CO-R1)、スルホニル(-SO2-R1)の基又はビオチニルの基により、及び/又は、C末端においてOR1、NH2、NHR1の基又はNR1R2により上記のペプチドを修飾したものに対応する。R1及びR2は、互いに独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、サッカリド及びアリールオキシの基から選択され、それらは、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよく、多環式であってもよく、不飽和であってもよく、水酸基を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよく、リン酸化されていてもよく及び/又は硫黄を含んでいてもよく、上記の基は、1~24個の炭素原子を有するものであり、その骨格にO、S及び/又はNであるヘテロ原子が1又は複数含まれていてもよいものである。上記の組成物は、皮膚及び/又はその付属器における光の作用に働きかけ、より具体的には青色光の作用に働きかける。このことは、有害な作用に対抗することに役立ち、特に有利な態様では、同時に、概日周期を再同期することによって有益な作用を増加させることに役立つ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用の又は皮膚科学的な組成物であって:
・クリシン;
・ロスマリン酸;
・少なくとも1つのペプチド又はその誘導体であって、活性配列GQPR(SEQ ID NO 1)を備える4~10個のアミノ酸の配列を有するもの;及び
・生理学的に許容される媒体、
を備え又はからなり、
前記少なくとも1つの誘導体は、
・N末端において、アシル(-CO-R
1)、スルホニル(-SO
2-R
1)又はビオチニルの基により;及び/又は
・C末端において、OR
1、NH
2、NHR
1又はNR
1R
2により;
前記ペプチドを修飾したものに対応し、
R
1及びR
2は、互いに独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、サッカリド及びアリールオキシの基から選択され、それらは、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよく、多環式であってもよく、不飽和であってもよく、水酸基を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよく、リン酸化されていてもよく及び/又は硫黄を含んでいてもよく、前記基は、1~24個の炭素原子を有するものであり、その骨格にO、S及び/又はNであるヘテロ原子が1又は複数含まれていてもよいものである、
組成物。
【請求項2】
前記クリシンは、前記組成物の総重量に対する重量にして、0.2~20000ppmの範囲の濃度で存在する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ロスマリン酸は、前記組成物の総重量に対する重量にして、0.1~10000ppmの範囲の濃度で存在する、
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ペプチドは、前記組成物の総重量に対する重量にして、0.5~50000ppmの範囲の濃度で存在する、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ロスマリン酸は、植物の抽出物の形態で取り込まれている、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記植物は、ローズマリー(ロスマリヌスオフィキナリス)、レモングラス、セージ、バジル、ミント、ペリラ、ブルネル、オルソサイフォン、ラベンダー、コンフリー、セイボリー、ホレハウンド、ヒソップ、モナルダ、シソ科に属する植物、ムラサキ科に属する植物及びセリ科に属する植物の中から選択される、
請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
R
1及び/又はR
2は、3~24個の炭素原子のアルキル鎖に対応する、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ペプチドの誘導体は、N末端位置に、アシル基-CO-R
1に対応する単一の修飾体を備える、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アシル基-CO-R
1は、オクタノイル(C
8)、デカノイル(C
10)、ラウロイル(C
12)、ミリストイル(C
14)、パルミトイル(C
16)、ステアロイル(C
18)、ビオチノイル、エライドイル、オレオイル及びリポイルの中から選択される、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ペプチド又はその誘導体は、GQPR配列(SEQ ID NO 1)に対応する4個のアミノ酸を備える、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、前記ペプチドの誘導体であるPal-GQPR(SEQ ID NO 2)を備えることを特徴とする、
先行する請求項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、クリシン、ロスマリヌスオフィキナリスの抽出物、及び、Pal-GQPR-OH(SEQ ID NO 2)を備える又はからなる、
先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
皮膚及び/又はその付属器の非治療的化粧処置のための、先行する請求項の一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
光老化の作用を抑制又は対処するための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
抗酸化処置のための、請求項13又は14に記載の使用。
【請求項16】
青色光の有害な作用を抑制及び/又は対処するため、及び/又は、青色光の有益な作用を増加させるための、請求項13~15の一項に記載の使用。
【請求項17】
皮膚の水分補給、平滑性、輝き、及び/又は、色調を改善するための、請求項13~16の一項に記載の使用。
【請求項18】
前記処置は、局所的である請求項13~17の一項に記載の使用。
【請求項19】
局所的医療処置のための、請求項1~12の一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚及びその付属器における青色光の作用に働きかける化粧用の又は皮膚科学的な組成物、並びに関連する使用に関する。本発明は、特に、(人間及び動物用の)化粧品、皮膚科学的製品、衛生製品、及びパーソナルケア製品の産業を対象としている。
【背景技術】
【0002】
太陽光への曝露は、皮膚のしわ、加齢によるしみ、及びたるみのリスクを高める要因として、長い間認識されている。太陽により皮膚及びその付属器に与えられるダメージは、本質的に光化学的であり、例えばDNA、脂質、タンパク質、糖質等である生きた分子(living molecules)における生化学的障害を引き起こし、細胞器官にダメージを与える。近年までは、ほぼ、UVA(320~400nm)及びUVB(280~320nm)の作用のみが研究されていた。これは、これらの電磁波は、非常に高エネルギーであり、従って光反応性が比較的高いためである。これら2種類の電磁波(UV A及びB)は、生体に異なる形で働きかけることが知られている。可視光の作用には、特別な注意は払われていなかった。これは、比較的低エネルギーであるが故に危険性が低いと考えられていたためである。
【0003】
可視光は、太陽光スペクトルのうち400~700nmの範囲の領域である。青色光は、400~500nmの範囲であり、紫色、藍色及び青色を含む。青色光は、波長の点ではUVAに近いが、その働きは少なくとも部分的に異なる。青色光は、可視スペクトルにおける最も高エネルギーの部分であり、「高エネルギー可視光」と呼ばれる。青色光は、その波長が理由で、UVAよりも皮膚の深くにまで入っていく。
【0004】
可視光は、自然界で浴びる量では、生物に有益な作用を奏する。生物にとって、可視光は、リラックス効果のあるエンドルフィンを産生し、概日リズム(約24時間続く全ての周期的で生物学的な現象を含む)を日々再同期させるために必要である。この有益な作用は、特に、オプシン(OPN)のレベルでの働きによって現れる。オプシンは、光エネルギーを取り込む膜タンパク質であり、この取り込みにより励起して、メラトニンの産生を制御し、特に、PER2遺伝子によってコードされるPeriod2概日タンパク質の産生を制御する。女性の場合、表皮の基底部にOPN5が存在する。OPN5は、青色光によって刺激され、皮膚の概日遺伝子の同期において有益な役割を果たす。PER2遺伝子は、朝に増加し夜に減少するという波状の産生リズムを有する。この現象は、年配者では顕著に弱まる。現在、皮膚を効果的に機能させる上で、OPN5と、概日リズムを有するタンパク質であってOPN5によって産生が制御されるものとが決定的な役割を果たすことが知られている。この意味で知られた作用の中で、以下を例示することができる:含酸素ラジカル種(ROS)及び炎症性サイトカインの細胞内における産生の安定化、より効果的なバリア機能に関連する皮膚のより良い水分補給、及び、MMP1(主要なコラーゲン分解酵素)のレベル及び活性の低下。このことは、皮膚が高レベルのOPN5及びPeriod2概日タンパク質を有することが興味深いことであることを示している。
【0005】
しかし、上記の可視光は、過剰な量を浴びると、悪い作用も奏しうる。
【0006】
より一層繋がった世界では、人工的な青色光、特に画面により発せられる青色光に、我々は曝されるのであるが、青色光の量が新しい種類の汚染すなわちデジタル汚染となる。画面からの光で、疲れて目が細くなって顔をしかめ、これにより小じわが形成される。このことにより、顔色が鈍くなり、皮膚の老化が加速する。過度な曝露により、老化の兆候が加速し、小じわ改善により皮膚が縮んだ部分が増加し、皮膚の水分補給が減少し、微小炎症が生じ、皮膚のバリア及び下にある表皮が変質する。
【0007】
青色光の細胞レベルでの有害な作用の理解が深まり始めている。青色光は、ペルオキシソーム及びミトコンドリアによるH2O2及び含酸素フリーラジカル種(ROS)の産生を促進する。さらに、ミトコンドリアで生成されるエネルギーが低下することが認められている。線維芽細胞及びケラチノサイトの増殖能力が青色光により低下することも報告されている。表皮等価物に関する試験により、青色光への曝露が、ROS、MMP-1(コラーゲンIの分解に関与するプロテアーゼ)及び炎症誘発性インターロイキンの産生の増加を引き起こしたことが示されている。
【0008】
また、青色光の特に悪い作用の1つは、メラトニンに及ぼす作用である。メラトニンは、夜に皮膚によって産生される分子であり、その概日リズムを調整する作用(例えば、眠りにつくのを促進する)で知られている。過剰な青色光は、メラトニンの産生を妨げる。青色光に曝露された数時間後には、ボランティア内で循環するメラトニンが急激に低下する。
【0009】
しかし、メラトニンは、良い作用を奏する。メラトニンは、化学分子の毒性を低減する直接的な抗酸化作用を奏する。メラトニンは、ミトコンドリアの電子輸送鎖を刺激して関連するATPの産生を促進し、これにより、H2O2の産生が減少し、細胞の別の部分へのH2O2の漏出が減少するとともにH2O2のOH°への変換が減少する。さらに、メラトニンは、H2O2の無害化に関与するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ等の抗酸化酵素の活性を促進させることができる。さらに、メラトニンとその副産物は、ケラチノサイトにおいて分化活性を呈する。現時点において、このことは、バリアの構築、表皮のバランスの維持、及び、太陽に対する皮膚の保護に有利に寄与することが知られている。
【0010】
従って、メラトニンは、潜在的に老化防止剤である。これは、生体内で産生され外因的に供給されない場合には特に該当する。メラトニンの良好な皮膚レベルを保つことで、紫外光又は青色光による有害な産生物に対する局所的かつ効果的な働きかけが実現されうる。
【0011】
青色光の有害な作用に対する有効成分であって化粧品用のものは、既に提案されており、例えば、以下が挙げられる:
・Greentech社のPHYTOBIOACTIF SOLIBERINE(登録商標)(Buddleja officinalis)、これは、光線、特に青色光の有害な作用から皮膚を保護する。
・SOLABIA社のBLUESHIELD(登録商標)、これは、ペッパーに基づいたものであり、光受容体を光ストレスから保護する抗酸化活性物質である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、光の作用に働きかけることができる化粧用の又は皮膚科学的な組成物であって特に青色光の作用に働きかけることができるものを提供することである。
【0013】
この目的で、本発明は、化粧用の又は皮膚科学的な組成物であって:
・クリシン;
・ロスマリン酸;
・少なくとも1つのペプチド又はその誘導体であって、活性配列GQPR(SEQ ID NO 1)を備える4~10個のアミノ酸の配列を有するもの;及び
・生理学的に許容される媒体、
を備え又はからなり、
少なくとも1つの誘導体は、
・N末端において、アシル(-CO-R1)、スルホニル(-SO2-R1)又はビオチニルの基により;及び/又は
・C末端において、OR1、NH2、NHR1又はNR1R2により;
上記のペプチドを修飾したものに対応し、
・R1及びR2は、互いに独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、サッカリド及びアリールオキシの基から選択され、それらは、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよく、多環式であってもよく、不飽和であってもよく、水酸基を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよく、リン酸化されていてもよく及び/又は硫黄を含んでいてもよく、上記の基は、1~24個の炭素原子を有するものであり、その骨格にO、S及び/又はNであるヘテロ原子が1又は複数含まれていてもよいものである、
組成物を提供する。
【0014】
有利なことに、本発明者らは、本発明に係る組成物が、皮膚及び/又はその付属器における光の作用に働きかけること、より具体的には青色光の作用に働きかけることを示した。特に、青色光の有害な作用を抑制し該作用に対抗することが、本発明によって実現され、特に有利な態様では、同時に、青色光の有益な作用の増加が、特に概日周期を再同期することによって実現される。
【0015】
さらに、そして驚くべきことに、本発明に係る組成物の3つの成分間の相乗作用が、以下に記載される炎症マーカーの阻害試験において示された。
【0016】
より具体的には、以下に記載の試験によって示されているように、本発明に係る組成物によれば、例えば、オプシン5、オプシン5は上記で説明したように概日周期を同期させ表皮の恒常性を強化する青色光の光受容体の1つである、の合成を促進することにより、青色光の利益を皮膚が享受することが可能となる。
【0017】
さらに、本発明に係る組成物によれば、皮膚細胞においてメラトニンを産生するその能力により、皮膚は、青色光の有害な働き(酸化、炎症、皮膚分解、ミトコンドリアのレベルでの機能不全等)に対して効果的に対抗できる。
【0018】
細胞レベルでのこの働きにより、皮膚への高い曝露、特に青色光への曝露の作用が抑制され得る。作用として、鈍い顔色、皮膚の疲労、老化の加速が挙げられる。
【0019】
好ましい特徴によれば:
・クリシンは、組成物の総重量に対する重量にして、0.2~20000ppm、好ましくは2~2000ppmの範囲の濃度で存在する;
・ロスマリン酸は、組成物の総重量に対する重量にして、0.1~10000ppm、好ましくは1~1000ppmの範囲の濃度で存在する;及び/又は
・ペプチドは、組成物の総重量に対する重量にして、0.5~50000ppm、好ましくは5~5000ppmの範囲の濃度で存在する。
【0020】
本発明は、クリシン(5,7-ジヒドロキシフラボン)の使用に関する。クリシンは、クリシンの類似体及び誘導体も包含する。フラボノイド構造又はフラボン構造、好ましくは置換フラボン-5,7構造(特に、ケルセチン、アピゲニン、ルテオリン又はジオスメチン)、を有するクリシン類似体が含まれる。誘導体として、テクトクリシン及び5-メチルエーテルクリシンを例示することができる。クリシン又はその類似体又はその誘導体の1つは、植物の抽出物の形態で与えられていてもよい。植物の抽出物の形態は、例えば、ソリザヤノキ(Oroxylum indicum)の抽出物であり得る。
【0021】
また、ロスマリン酸は、植物の抽出物の形態で与えられてもよく、具体的には、ローズマリー(ロスマリヌスオフィキナリス(Rosmarinus officinalis))、レモングラス、セージ、バジル、ミント、ペリラ、ブルネル、オルソサイフォン、ラベンダー、コンフリー、セイボリー、ホレハウンド、ヒソップ、モナルダ、多くの植物であってシソ科(特に)、ムラサキ科及びセリ科に属するものから選択されてもよく、好ましくはロスマリヌスオフィキナリスの抽出物の形態である。
【0022】
クリシン及びロスマリン酸は、特に化粧品では、抗酸化特性及び抗炎症特性で知られている。
【0023】
他の好ましい特徴によれば:
・ペプチド又はその誘導体は、4~8個のアミノ酸、好ましくは4~6個のアミノ酸、より好ましくは配列GQPR(SEQ ID NO 1)に対応する4個のアミノ酸を備え、GQPR配列(SEQ ID NO 1)外のアミノ酸は、存在する場合には、好ましくは20種類の天然アミノ酸の中から選択される;及び/又は
・R1及び/又はR2は、3~24個の炭素原子のアルキル鎖に対応する;及び/又は
・誘導されたペプチドは、N末端位置に、アシル基CO-R1に対応する単一の修飾体を備える;及び/又は
・アシル基-CO-R1は、オクタノイル(C8)、デカノイル(C10)、ラウロイル(C12)、ミリストイル(C14)、パルミトイル(C16)、ステアロイル(C18)、ビオチノイル、エライドイル、オレオイル及びリポイルから選択される。
【0024】
本発明に係るペプチドは、光学的に純粋であってもよく、L異性体若しくはD異性体であってもよく、それらの混合物であってもよい。天然状態で存在するL異性体が好ましい場合があり得る。ペプチドは、オプションでは、塩、特に塩酸塩又は酢酸塩の形態であり得る。
【0025】
ペプチドは、抽出及び精製によって得られた天然ペプチドであってもよく、化学合成によって得られたものであってもよく、又は、微生物、特に遺伝子組換え微生物、例えば微細藻類を介した生合成によって得られたものであってもよい。また、本発明は、上記のペプチド又は誘導体の、金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム等)等の他の種との錯体を包含する。
【0026】
また、本発明に係るペプチドは、カプセル、スフィア、リポソーム、オレオソーム、カイロミクロン、スポンジのようなマクロ粒子、ミクロ粒子若しくはナノ粒子に(on/to)、ミクロエマルジョン若しくはナノエマルジョンの形態で、結合され、取り込まれ、若しくは吸着されることによって、又は、例えば、有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイト、胞子若しくはエキシン、その他の無機支持体若しくは有機支持体上に吸着されることによって、ベクター化された形態で使用されてもよい。
【0027】
好ましくは、組成物は、市販の誘導体ペプチドPal-GQPR(SEQ ID NO 2);INCI名:Palmitoyl Tetrapeptide-7を備え、より好ましくは、本発明に係る組成物は、クリシン、ロスマリヌスオフィキナリスの抽出物、及び、Pal-GQPR(SEQ ID NO 2)を備える又はからなる。
【0028】
インビトロ試験の結果を、以下で説明する。結果は、本発明に係る3つの有効成分の組み合わせの作用を、以下により示す:
・基礎状態又は青色光照射後のヒトケラチノサイト(HK)におけるOPS5の産生の促進;
・基礎状態のHKにおけるPeriod2タンパク質の産生の促進;
・基礎状態又は青色光照射後のHKにおけるメラトニンの産生の促進;
・青色光照射後のHKにおけるミトコンドリア膜電位の維持;
・基礎状態又は青色光照射後のHKにおけるATP合成能力の維持又は促進;
・青色光に曝露された脂質膜の実験モデルにおける抗酸化作用;
・青色光照射後のHKにおけるMMP-1の産生の減少;
・2つの炎症マーカー、すなわち青色光照射後のKHにおけるPGE-2及びIL-6、の減少;及び
・青色光照射後のヒト線維芽細胞(HF)におけるコラーゲンゲルを収縮させる能力の維持。
【0029】
さらに、画面から青色光を毎日浴びることにより顔の皮膚の質が影響されたボランティアのパネルに対して実施されたインビボ試験により、本発明に係る組成物を含むクリームの、ボランティアの皮膚の水分補給、平滑性、輝き及び色調を改善する作用が示された。
【0030】
また、本発明は、皮膚及び/又はその付属器の非治療的化粧処置(treatment)、特に光老化の作用を抑制又は対処する(treating)ための処置(treatment)のための本発明に係る組成物の使用を提案する。
【0031】
より具体的には、本発明に係る組成物の使用は、青色光の有害な作用を抑制及び/又は対処するため、及び/又は、青色光の有益な作用を増加させるために提案される。処置は、皮膚の水分補給、平滑性、輝き、及び/又は色調を改善する。処置は、局所的であることが好ましい。
【0032】
「生理学的に許容される媒体」とは、本発明では、限定されるものではないが、水溶液若しくは水-アルコール溶液、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、ミクロエマルジョン、水性ゲル、無水ゲル、セラム、ベシクル分散液、又は粉末を意味する。
【0033】
「生理学的に許容される」とは、組成物が、毒性、非親和性、不安定性、アレルギー反応等のリスクなしで、皮膚に摂取又は注入されうるものであり、哺乳類、特にヒトの粘膜、付属器(爪、髪)、頭皮及び皮膚と接触させての局所的又は経皮的使用に適していることを意味する。この「生理学的に許容される媒体」は、一般に組成物の賦形剤と呼ばれるものを形成する。
【0034】
当業者に知られている任意の種類の生理学的に許容される媒体は、活性剤を溶解し、本発明に係る成分を配合することが想定され得る。例を挙げると:水溶液、アルコール溶液若しくは含水アルコール溶液、グリコール溶液若しくは含水グリコール溶液、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、ミクロエマルジョン、水性ゲル、無水ゲル、セラム、ベシクル分散液、又は粉末である。
【0035】
さらに、本発明に係る組成物は、カプセル、スフィア、リポソーム、オレオソーム、カイロミクロン、スポンジのようなマクロ粒子、ミクロ粒子若しくはナノ粒子に(on/to)に、ミクロエマルジョン若しくはナノエマルジョンの形態で、結合され、取り込まれ、若しくは吸着されて、又は、例えば、有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイト、胞子若しくはエキシン、その他の無機支持体若しくは有機支持体上に吸着されて、ベクター化された形態で使用されてもよい。
【0036】
本発明に係る組成物は、任意のガレノス製剤の形態(例は、以下の説明で示される)で提供されてもよく、また、皮膚の接触/織物によって化粧作用又は皮膚科学的作用を発現し連続的な局所的伝達を可能にするように、天然繊維若しくは合成繊維、羊毛、又は皮膚に接触して使用することに適した任意の材料製の織物支持体を介して搬送されてもよく、昼若しくは夜の下着等の衣服、ハンカチ、若しくは生地に使用されてもよい。
【0037】
特定の有利な形態において、本発明によれば、組成物は、活性を補強するように働くように適合された、及び/又は1又は複数の他の活性に対して相補的に働くように適合された、1又は複数の追加の活性剤を備えていてもよい。
【0038】
この目的のための様々な追加の活性剤は、以下の詳細な説明において例示されている。
【0039】
本発明によれば、さらに、上述したような本発明に係る化粧用の又は皮膚科学的な組成物を有効な量で皮膚に局所的に適用すること(topical application)を備えた、皮膚及びその付属器の美的外観を改善する方法が提供される。
【0040】
本発明では、「局所的処置」又は「局所的使用」とは、それが適用される場所:皮膚、粘膜、付属器で働くことが意図される適用を意味する。
【0041】
本発明に係る組成物は、対象領域に局所的に適用することができる。
【0042】
「有効な」量は、年齢、患者の状態、障害又は病理の重症度、適用様式等の様々な因子に依存する。有効な量は、所望の作用を得るのに十分な非毒性量を意味する。
【0043】
本明細書で使用される全てのパーセンテージ及び比は、組成物全体の重量によるものであり、他に指定がない限り、全ての測定は、25℃で行われる。
【0044】
例えば、顔の化粧処置について、欧州化粧品指令(the European Cosmetics Directive)は、1人当たり2.72mg/cm2/日のクリームの標準適用量、及び1人当たり0.5mg/cm2/日のボディーローションの標準適用量を設定している。
【0045】
他の具体的な特徴によれば、本発明に係る化粧処置方法は、例えば、光療法、熱療法、振動療法、電気療法、マイクロニードルパッチ又はアロマセラピー処置等の皮膚を対象とする1又は複数の他の処置方法と組み合わされてもよい。
【0046】
本発明によれば、上記に記載の方法を適用するための、複数の区画を有するデバイス又はキットであって、例えば、限定されないが、第1の区画に本発明に係る活性成分を、第2の区画に別の活性成分及び/又は賦形剤を含ませることができるものを提案できる。この場合、上記の第1の区画及び第2の区画に含まれる組成物は、特に、上記の処置方法の1つにおいて、時間的に、同時の、別々の又は段階的な使用のための組み合わせの組成物と扱われる。
【0047】
また、本発明に係る組成物は、適切な用量での皮膚の治療的処置に適している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、以下の実施形態の説明とインビトロ試験及びインビボ試験とを参照して、よりよく理解されるであろう。
【0049】
A/ ガレノス製剤(段落D/参照)を製造することを目的とする、本発明に係る3つの活性成分の組み合わせである濃縮成分を形成する、本発明に係る好ましい組成物の調整例
【0050】
成分は、以下を備える:
・クリシン:
起源:合成、少なくとも94%の純度
組成物におけるクリシンの最終濃度:200ppm
・ロスマリン酸:
起源:少なくとも6%のロスマリン酸を備えるロスマリヌスオフィキナリス(ローズマリー)の葉の抽出物
組成物におけるロスマリン酸の最終濃度:60ppm
・パルミトイル-GQPR-OH(SEQ ID NO:2)、少なくとも99%の純度
起源:合成
組成物におけるパルミトイル-GQPR-OH(SEQ ID NO:2)の最終濃度:750ppm
・賦形剤:グリコール酸類。
【0051】
B/ 相乗作用試験
【0052】
プロトコル
HKを培地で培養する。PBSでリンスした後、細胞を、この同じバッファーに戻し、30.2J/cm2という細胞毒性のない線量の青色光に曝露する。曝露システムは、30cm2の平らな表面に広がる30個の青色LEDのセットである。光子束を細胞に垂直に到達させる。温度を制御し、全ての細胞を同じ封入体内に配置する(37℃/5%CO2)。発光スペクトルの中心は、420nmである。次に、細胞を、本発明の複数の化合物のそれぞれ(別々に準備)と又は本発明に係る組成物と、24時間接触させる。次に、培地を回収し、ELISA法によってIL-6濃度をアッセイする。細胞層のアッセイを行うと、細胞の数が減少する。
【0053】
結果
青色光照射後のHKにおけるIL-6の産生の変化;本発明に係る組成物の作用を、組成物の複数の化合物を別々に準備した場合の作用の合計と比較したもの。
【0054】
【0055】
上記の結果は、3つの化合物が試験において結合されていた場合(when the three compounds are combined here)の、青色光の作用に対抗することに関する相乗作用を示す。IL-6の産生の阻害の改善は、別々に試験された3つの化合物の合計と比較して、本発明に係るよる組成物では、46.2%(p<0.01)である。
【0056】
C/ 本発明に係る組成物のインビトロ有効性試験
【0057】
試験を、本発明に係る好ましい組成物の等価物すなわち以下について実施した:750ppmのパルミトイル-GQPR-OH(SEQ ID NO 2)、200ppmのクリシン及び1000ppmのローズマリー抽出物(組成物における60ppmのロスマリン酸に相当)。この等価物を、ヒト線維芽細胞(HF)における試験で0.5、1、又は2%で使用した。これらの濃度は、化粧品の有効成分を皮膚に適用するのに推奨される濃度の範囲内である。
【0058】
【0059】
ヒトケラチノサイト(HK)における試験では、本発明に係る組成物の等価物すなわち以下についてインビトロ試験を実施した:750ppmのパルミトイル-GQPR、80ppmのクリシン及び1000ppmのローズマリー抽出物(組成物における60ppmのロスマリン酸に相当)。この等価物を、0.5、1、又は2%で使用した。これらの濃度は、化粧用の組成物の有効成分を皮膚に適用するのに推奨される濃度の範囲内である。
【0060】
【0061】
クリシン及びPal-GQPRは、水性試験媒体に導入する前に、DMSOに(試験の最終濃度の1000倍に)予め可溶化した。ローズマリーの葉の抽出物は、水性媒体に直接溶解する。
【0062】
1/ 細胞内のラジカル種の減少
【0063】
プロトコル
正常ヒト線維芽細胞(HNF)を、培地でコンフルエントになるまで増殖させる。次に、細胞を本発明に係る組成物と24時間接触させ、次に、ROSの細胞内の産生をマーキングする蛍光プローブを得る。
【0064】
30分間の取り込み及びリンスの後、細胞に、本発明に係る組成物を再度与え、その後、何も与えないか又はROS(酸化ストレス)を産生することを意図した薬剤を与える。細胞内のROSの量を、蛍光測定値(励起光:490nm/蛍光:520nm)によって評価する。細胞数を、ヘキスト33258法(DNA染色)を用いて評価し、得られたデータを考察する。
【0065】
結果
酸化ストレスがある場合又はない場合のNHFにおけるROSの産生の変化(n=3)
【0066】
【0067】
上記の結果は、本発明に係る組成物によれば、基礎状態においても酸化ストレス条件下においても、ROSの細胞内含有量が減少することを示す。どちらの事例においても、ROSの細胞内含有量の減少は顕著かつ有意である。このことは、皮膚の老化への関与で知られる細胞内ROSの発生に対抗する点で本発明に係る組成物が興味深いものであることを示している。
【0068】
2/ オプシン-5(OPN5)の産生
【0069】
2.1/ qRT-PCRによるアッセイ(定量的リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)
【0070】
プロトコル
サブコンフルエントHKを、50%のセラムを含むDMEM培地に2時間触れさせることにより、同期させる(全てが、細胞周期の同じ位相となる)。PBSでリンスした後、細胞をこの同じバッファーに戻し、30.2J/cm2という細胞毒性のない線量の青色光に曝露する。曝露システムは、上記のB)で説明したものと同じである。曝露の終わりに、照射された又は照射されていない細胞を、本発明に係る組成物と3時間接触させる。次に、全てのRNAを抽出し、OPN5をコードする遺伝子の産生を、qRT-PCR分子生物学法によって評価する。
【0071】
結果
本発明に係る組成物と3時間接触した後のHKにおけるOPN5の産生の変化(n=3)
【0072】
【0073】
上記の結果は、青色光がインビトロで、HKにおけるOPN5タンパク質をコードする遺伝子の産生を有利に調節できることを明確に示している(コントロールでは+182%)。また、上記の結果は、本発明に係る組成物が、コントロールと比較して、青色光があってもなくても、OPN5遺伝子の産生を強く促進することを示している。
【0074】
2.2/ 免疫細胞化学によるアッセイ
【0075】
プロトコル
上記(2.1/)と同じ培養及び照射プロトコル(又は、非照射の場合はない)を、HKにおいて実行する。照射された場合も照射されていない場合も、細胞を、本発明に係る組成物と12時間接触させる(又は、コントロールでは何も接触させない)。次に、細胞層を抗OPN5タンパク質抗体で標識する。写真を撮影し、得られた画像を分析及び比較する。Hoescht 33258法(DNA染色)を用いた核のカウンターラベリングにより、細胞をカウントし、結果を考察する。
【0076】
結果
本発明に係る組成物と12時間接触した後のHKにおけるOPN5の産生の変化(事例毎に4つの培養物、培養物毎に16個の写真)。
【0077】
【0078】
上記の結果は、分子生物学で得られた以下のデータを確かめる:
・青色光への曝露により、コントロールにおけるOPN5の産生が増加する;及び
・照射があってもなくても、細胞を本発明に係る組成物と接触させると、コントロールと比較して、この産生が増加する。
【0079】
3/ 概日周期を有するタンパク質であるPeriod2の産生
【0080】
プロトコル
上記の2.1/で説明したものと同じである。(コントロールの事例のみにおいて)曝露の終わりに、照射されていない細胞を、本発明に係る組成物と接触させる(又は、コントロールでは何も接触させない)。全てのRNAを3時間で抽出し、PER2をコードする遺伝子の産生を、qRT-PCRによって評価する。
【0081】
結果
本発明に係る組成物と3時間接触した後のHKにおけるPER2の産生の変化(n=3)
【0082】
【0083】
上記の結果は、青色光が培養細胞におけるPER2の産生を促進することを示す。上記の結果により、上記の培養細胞が改変された発色団を有することが認められる。有利には、PER2はまた、細胞を本発明に係る組成物と接触させることによってその産生が促進されるが、青色光への曝露を必要としないことが分かる。
【0084】
4/ メラトニンの産生
【0085】
プロトコル
上記の2.1/で説明したものと同じである。曝露の終わりに、照射された又は照射されていない細胞を、本発明に係る組成物と接触させる(又は、コントロールでは接触はない)。全ての培養を、12時間後に停止する。培地を除去し、メラトニンの量をELISAでアッセイする。結果を、各サンプルの細胞層で検出したRNAの総量を用いて正規化する。
【0086】
結果
本発明に係る組成物と12時間の接触した後のHKにおけるメラトニンの産生の変化(n=3)
【0087】
【0088】
上記の結果は、選択した照射システムにおいて青色光によりメラトニンの産生が38%減少することを示す(p<0.02)。上記の結果は、この天然の抗酸化物質を「消費」する青色光によるROSの直接的又は間接的な細胞内での産生に関連するものと思われる。これに対し、本発明に係る組成物は、照射があってもなくても、この天然の老化防止分子の産生を促進する。促進はどちらの事例においても用量依存的であり、有意である。従って、本発明に係る組成物は、二重の効果を呈する:該組成物は、ROSに効果的に対抗し、また、細胞内抗酸化剤の産生を促進する。
【0089】
5/ ミトコンドリア膜電位
【0090】
プロトコル
HKを、培地でコンフルエントになるまで増殖させる。適切なバッファーに入れた後、(B/で)前述のように細胞を青色光に曝露する。次に、細胞を、本発明に係る組成物と25時間接触させて配置する。次に、生細胞におけるミトコンドリア膜電位を、2つの異なる波長でJC-10色素のモノマー細胞質(緑)及び凝集(赤黄色)ミトコンドリア形態を測定することにより、評価する。モノマー/凝集体の比の値が低いことは、ミトコンドリアの状態が良好であることを示す。Hoescht 33258法(DNA染色)を用いた核の染色により、細胞の数をカウントし、結果を考察する。
【0091】
結果
HKにおけるミトコンドリア膜電位の変化;本発明に係る組成物の作用(25時間の接触)
【0092】
【0093】
ミトコンドリア膜電位は、ミトコンドリアの機能に由来する電荷の勾配である。ミトコンドリア膜電位の擾乱は、ストレスを示し、障害及び疾患を引き起こしうる。結果は、青色光がHKにおけるミトコンドリア膜電位を有意に変化させることを示している。ミトコンドリアにおける擾乱を反映して、ポリマーに対してモノマーの形態は、急激に増加し、比率にして33%(p<0.01)の増加を示す。この照射後、本発明に係る組成物を使用することにより、ベースミトコンドリア膜電位を維持できる。
【0094】
6/ ミトコンドリアATPの合成
【0095】
プロトコル
5/と同じプロトコルに従う。本発明に係る組成物と25時間の接触した後(又は、コントロールの事例では接触はない)、細胞内ATPが、抽出され、生物発光によってアッセイされる。得られる信号は、細胞内のATPの量に比例する。Hoescht法(DNA染色)を用いて核を染色することにより、細胞の数をカウントし、結果を考察する。
【0096】
結果
HKにおけるATPプールの変化;本発明に係る組成物の作用(25時間の接触)。
【0097】
【0098】
ATPは、エネルギー源となる(energetic)生体の構成単位(building block)である。ATPによって、代謝は機能でき、タンパク質は製造される。老化した又はストレスによりダメージを受けたミトコンドリアでは、エネルギーの生成が低減される。結果は、細胞を青色光に曝露した後、ATPの産生が減少したことを示す。これは、知られたことともミトコンドリア電位の変化に関する観察結果とも一致している。本発明に係る組成物は、照射があってもなくても、コントロールの事例と比較して、ミトコンドリアにおけるエネルギーの生成を促進する。照射なしの場合、促進は、コントロールの+53%(p<0.01)に達した。照射ありの場合、促進は、照射されたコントロールと比較して+87%(p<0.01)に達する。
【0099】
7/ 脂質膜の過酸化
【0100】
原理
脂質膜は、細胞及びミトコンドリアの周囲にある。脂質膜は、ミトコンドリアにおいてミトコンドリア膜電位を能動的に維持する。膜の過酸化により、膜は弱められ、自己触媒作用によって酸素フリーラジカルが生じ、これによりダメージが増幅される。
【0101】
プロトコル
リポソーム類の脂質膜のモデルを、(B/における細胞について上記の条件に従って)青色光に曝露する。本発明に係る組成物を、照射後に添加する又は添加しない(コントロールの事例)。脂質の過酸化を、233nm(共役ジエンの吸収波長)での吸収によって測定する。
【0102】
結果
リポソーム(脂質膜のモデル)における脂質過酸化の測定;本発明に係る組成物の作用。
【0103】
【0104】
本発明に係る組成物は、脂質の過酸化を強くかつ用量依存的に低減させる。このことにより、脂質膜が、青色光による酸化的ダメージから保護される。
【0105】
8/ MMP-1の遺伝子の産生
【0106】
プロトコル
HKを、培地でコンフルエントになるまで増殖させる。適切なバッファーに入れた後、(B/で)前述のように細胞を青色光に曝露し、次に本発明に係る組成物と6時間接触させる。全てのRNAを抽出し、mRNAチップのトランスクリプトーム解析によって定量化及び分析する。mRNAチップにはMMP1遺伝子の検出プローブの10個のコピーが存在し、2つの生物学的レプリカが定量化される。つまり、1つのMMP1遺伝子の検出プローブに関し、条件毎にn=20である。
【0107】
結果
HKにおけるMMP-1遺伝子の産生の変化、本発明に係る組成物の作用(6時間の接触)。
【0108】
【0109】
上記の結果は、検討された照射システムにおいて、青色光が、名祖的な(eponymous)タンパク質をコードするMMP1遺伝子の産生の205%(p<0.01)の増加を引き起こすことを明確に示している。一方、本発明に係る組成物は、2%で、細胞に青色光を照射した後、細胞外マトリックスの分解の現象に強く関与するこの分子の産生を遅くする。
【0110】
9/ 炎症メディエーターの産生
【0111】
プロトコル
HKを、培地で培養する。適切なバッファーに入れた後、(B/で)前述のように細胞を青色光に曝露する。次に、細胞を、本発明に係る組成物と24時間接触させる。次に、培地を回収し、ELISA法によってIL-6の濃度とPGE2の濃度をアッセイする。細胞層のアッセイを行うと、細胞の数が減少する。
【0112】
結果
HKにおけるIL-6タンパク質の産生の変化;本発明に係る組成物の作用(24時間の接触)。
【0113】
【0114】
HKにおける炎症誘発性脂質PGE-2の産生の変化;本発明に係る組成物の作用(24時間の接触)。
【0115】
【0116】
上記の結果(表11及び12)は、青色光がサイトカインIL-6及びPGE2の合成をそれぞれ147%及び108%増加させる(両方ともp<0.01)ことを明確に示している。一方、本発明に係る組成物は、細胞に青色光を照射した後、上記の炎症誘発性分子の合成を阻害する。PGE2の場合、上記の阻害は有意であり、用量依存的である。
【0117】
10/ ストレス後の細胞の弾性
【0118】
プロトコル
NHFを、培地でコンフルエントになるまで培養する。次に、NHFを、(B/のように)青色光で照射し、次に、本発明に係る組成物と24時間接触させる。次に、細胞を分離し、コラーゲンゲルに含ませて、表皮等価物を形成する。細胞によるゲルの収縮を観察する。ゲルの面積を測定し、各条件についてT0に対する面積の変化(delta of the areas versus T0)を計算する。
【0119】
結果
HFによるコラーゲンゲルの収縮の変化;本発明に係る組成物の作用(24時間の接触)。
【0120】
【0121】
上記の結果は、青色光により、線維芽細胞がコラーゲンゲルを収縮させる能力が低下することを示している(-36%)。また、上記の結果は、本発明に係る組成物が、青色光の照射があっても、線維芽細胞の収縮力を維持することを示している。このことは、上記のストレスを受けたときに、皮膚がその弾性を維持する能力を示している。
【0122】
D/ ガレノス製剤/本発明に係る組成物の調製
【0123】
本発明に係る組成物は追加の化粧用有効成分を備え得るのであるが、これは、成分形態で、又は、消費者用の最終化粧用組成物の製造時に、支持体及び/又は活性補完物として導入され得る。この組成物は、顔、体、首のライン、頭皮、髪、まつげ、体毛、爪、唇に、任意の形態又は当技術分野で知られている媒体、特に溶液、分散液、エマルジョン、ペースト若しくは粉末の形態で、個別に、プレミックスとして、適用され得るし、又は、個別に若しくはプレミックスとして搬送され得る。
【0124】
化粧品では、特に顔、体、髪及び体毛のスキンケア分野と、メイクアップケア分野とに利用できる。
【0125】
上記の追加の活性剤は、活性剤の機能、適用場所(体、顔、首、胸、手、髪、まつげ、眉毛、体毛、爪、唇等)、望ましい最終作用、及び対象となる消費者に応じた任意のカテゴリのものであってもよく、カテゴリは、例えば、抗酸化、引き締め、保湿、栄養補給、保護、平滑化、リモデリング、ボリューム化(リポフィリング)、顔色の輝きへの働き、抗ダークスポット、抗くま、抗糖化、抗老化、抗しわ、痩せ、スージング、筋弛緩、抗レッドネス、抗ストレッチマーク、日焼け止め等であり得る。
【0126】
CTFA (≪ International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook ≫ (19th Ed. 2019) 発行元≪ the Personal Care Products council ≫, 旧≪ the Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.≫, Washington, D.C.)には、本発明に係る組成物における追加の成分として使用するのに適した、スキンケア産業で一般的に使用される非限定的で多種多様な化粧用成分及び医薬用成分が記載されている。
【0127】
以下から選択される少なくとも1つの化合物を例示できる:例えばナイアシンアミド又はトコフェロール等の化合物であるビタミンB3の化合物;例えばレチノール、ヘキサミジン、α-リポ酸、レスベラトロール又はDHEA等のレチノイド化合物;ヒアルロン酸;ペプチド、特にPal-KTTKS(SEQ ID NO 3)、N-アセチル-Tyr-Arg-O-ヘキサデシルエステル、Pal-VGVAPG(SEQ ID NO 4)、Pal-KTFK(SEQ ID NO 5)、Pal-GHK、Pal-KMO2K、及び/又はPal-K(P)HG(リシンにグラフトされたプロリンを有する)。これらは、局所的な化粧用又は皮膚医薬用の組成物で広く使用されている有効成分である。
【0128】
特に有用なさらなる追加のスキンケア有効物質については、Sedermaの商業文献及びウェブサイトwww.sederma.comを参照されたい。
【0129】
一般に、以下の市販の活性剤も例として挙げることができる。例えば、ベタイン、グリセロール、アクチモイストバイオ2(ActimoistBio2)(商標)(Active organics社)、アクアカクティーン(AquaCacteen)(商標)(Mibelle AG Cosmetics社)、アクアフィリン(Aquaphyline)(商標)(Silab社)、アクアグルK(AquaregulK)(商標)(Solabia社)、カリシリン(Carciline)(商標)(Greentech社)、コディアベレーン(Codiavelane)(商標)(Biotech Marine社)、ダーマフラックス(Dermaflux)(商標)(Arch Chemicals, Inc社)、ハイドラ’フロー(Hydra’ Flow)(商標)(Sochibo社)、ハイドロモイストL(Hydromoist L)(商標)(Symrise社)、レノブヒアル(RenovHyal)(商標)(Soliance社)、シーモス(Seamoss)(商標)(Biotech Marine社)、アルジルリン(Argireline)(商標)(Lipotec社のアセチルヘキサペプチド-3の商品名)、スピラントール(spilanthol)、又は、ガチュリンエクスプレッション(Gatuline Expression)(商標)の商品名で知られるオランダセンニチ(Acmella oleracea)の抽出物、ボスウェリン(Boswellin)(商標)の商品名で知られるボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)の抽出物、ディーパリンPVB(Deepaline PVB)(商標)(Seppic社)、シン-エイク(Syn-AKE)(商標)(Pentapharm社)、アメリオックス(Ameliox)(商標)、バイオキシリフト(Bioxilift)(商標)(Silab社)、フィトセルテック(PhytoCellTec)(商標)アルガン(Argan)(Mibelle社)、パピルアクチルD(Papilactyl D)(商標)(Silab社)、プレベンセリア(Preventhelia)(商標)(Lipotec社)、及び、Sederma社の以下のもの:サブリスキン(Subliskin)(商標)、ヴェニュセアンヌ(Venuceane)(商標)、モイスト24(Moist 24)(商標)、ベジソームモイスト24(Vegesome Moist 24)(商標)、エッセンスキン(Essenskin)(商標)、ジュビニティー(Juvinity)(商標)、リビラット(Revidrat)(商標)、レジステム(Resistem)(商標)、クロノディン(Chronodyn)(商標)、コンブチカ(Kombuchka)(商標)、クロモケア(Chromocare)(商標)、カルモセンシン(Calmosensine)(商標)、グリコカインファクターS(Glycokin factor S)(商標)、バイオブスチル(Biobustyl)(商標)、イデアリフト(Idealift)(商標)、セラミド2(Ceramide 2)(商標)、セラミドA2(Ceramide A2)(商標)、セラミドHO3(Ceramide HO3)(商標)、レガンス(Legance)(商標)、インテンスリム(Intenslim)(商標)、プロディジア(Prodizia)(商標)、ビューティーファイ(Beautifeye)(商標)、NG-シアバター不けん化物(天然グレード)、ジンガースリム(Zingerslim)(商標)、メイリテイジ(Meiritage)(商標)、セネステム(Senestem)(商標)、セブレス(Sebuless)(商標)、マジェステム(Majestem)(商標)、アピスカルプ(Apiscalp)(商標)、ルビステム(Rubistem)(商標)、シティステム(Citystem)(商標)、ネオニカ(Neonyca)(商標)、NG-シアバター不けん化物(NG Insaponifiables de Beurre de Karite)(商標)、マジェステム(Majestem)(商標)、ハイドロノネシス(Hydroonesis)(商標)、ポアテクト(Poretect)(商標)、クリスタライド(Crystalide)(商標)、アンバーステム(商標)、フェミネージ(商標)、又はそれらの混合物。
【0130】
本発明のペプチドと組み合わせることができる植物の抽出物の中で、蔦(Ivy)、特にイングリッシュアイビー(English Ivy)(Hedera Helix)の抽出物、マンシュウサイコ(Bupleurum chinensis)の抽出物、ミシマサイコ(Bupleurum Falcatum)の抽出物、アルニカ(Arnica Montana L)の抽出物、ローズマリー(Rosmarinus officinalis N)の抽出物、マリーゴールド(Calendula officinalis)の抽出物、セージ(Salvia officinalis L)の抽出物、チョウセンニンジン(Panax ginseng)の抽出物、イチョウの抽出物、セントジョーンズワート(Hyperycum Perforatum)の抽出物、ナギイカダ(Ruscus aculeatus L)の抽出物、ヨーロピアンシモツケソウ(Filipendula ulmaria L)の抽出物、ビッグフラワージャワティー(Orthosiphon Stamincus Benth)の抽出物、藻類(Fucus Vesiculosus)の抽出物、カバノキ(Betula alba)の抽出物、緑茶の抽出物、コーラナッツ(cola nuts)(Cola Nipida)の抽出物、セイヨウトチノキの抽出物、竹の抽出物、ペガガ(Centella asiatica)の抽出物、ヘザー(heather)の抽出物、ヒバマタ(fucus)の抽出物、ヤナギの抽出物、ヤナギタンポポ(mouse-ear)の抽出物、エスシンの抽出物、カンズー(cangzhu)の抽出物、クリサンテルムインジクム(chrysanthellum indicum)の抽出物、アルメニアセア(Armeniacea)属の植物の抽出物、アトラクチロディスプラティコドン(Atractylodis Platicodon)属の植物の抽出物、シノメニウム(Sinnomenum)属の植物の抽出物、ファルビチジス(Pharbitidis)属の植物の抽出物、フレミンギア(Flemingia)属の植物の抽出物、コレウスの抽出物、ここでコレウスは例えば、C.フォルスコリ(C. Forskohlii)、C.ブルメイ(C. blumei)、C.エスキロリ(C. esquirolii)、C.スクテラリオイデス(C. scutellaroides)、C.キサンタンタス(C. xanthantu)及びC.バルバツス(C. Barbatus)であり、C.バルバツスの抽出物は例えばコレウス・バルバツス(Coleus barbatus)の根の抽出物である、バロッテ(Ballote)の抽出物、グイオア(Guioa)の抽出物、ダバリア(Davallia)の抽出物、ターミナリア(Terminalia)の抽出物、バリングトニア(Barringtonia)の抽出物、トレマ(Trema)の抽出物、アンチロビア(antirobia)の抽出物、セクロピア(cecropia)、アルガン(argania)、ディオスコレア(dioscoreae)、ここでディオスコレアは例えばディスコレアオッポシタ(Dioscorea opposita)又はメキシカンである、アンミビスナガ(Ammi visnaga)の抽出物、メナモミ(Siegesbeckia)の抽出物、ここでメナモミは特にツクシメナモミ(Siegesbeckia orientalis)である、ツツジ(Ericaceae)科の野菜抽出物であって特にコケモモ(bilberry)(Vaccinium angustifollium)の抽出物又はクマコケモモ(Arctostaphylos uva ursi)の抽出物、アロエベラ(aloe vera)の野菜抽出物、ステロール(例えば植物ステロール)を含む植物の野菜抽出物、マンジスタ(Manjistha)の野菜抽出物(アカネ(Rubia)属の植物、特にルビアコーディフォリア(Rubia Cordifolia)から抽出される)、及びグッガル(Guggal)の野菜抽出物(コンミフォラ(Commiphora)属の植物、特にグッグル(Commiphora Mukul)から抽出される)、コーラ(kola)の抽出物、カモミール(chamomile)、ムラサキツメクサ(red clover)の抽出物、カバ(Piper methysticum)の抽出物(カバカバ(Kava Kava)(商標)、Sederma社)、オトメアゼナ(Bacopa monieri)の抽出物(バコカルミン(Bacocalmine)(商標)、Sederma社)及びムチヤギ(sea whip)の抽出物、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)の抽出物、クワ(mulberry)の抽出物、コバノブラシノキ(melaleuca)(ティーツリー)の抽出物、ラレアディバリケータ(Larrea divaricata)の抽出物、ラブドシア・ルベッセンス(Rabdosia rubescens)の抽出物、ユーグレナグラシリス(Euglena gracilis)の抽出物、フィブラウレアレシサヒルディネア(Fibraurea recisa Hirudinea)の抽出物、シャラパルソルガム(Chaparral Sorghum)の抽出物、ヒマワリの抽出物、エナンチアクロランタ(Enantia chlorantha)の抽出物、ミトラカーパススケーパー(Mitracarpe of Spermacocea genus)の抽出物、ブチューバロマス(Buchu barosma)の抽出物、ヘンナL(Lawsonia inermis L)の抽出物、ホウライシダL(Adiantium Capillus-Veneris L)の抽出物、クサノオウ(Chelidonium majus)の抽出物、ヘチマ(Luffa cylindrica)の抽出物、ジャパニーズマンダリン(Japanese Mandarin)(Citrus reticulata Blanco var. unshiu) の抽出物、チャノキ(Camelia sinensis)の抽出物、チガヤ(Imperata cylindrica)の抽出物、ツノゲシ(Glaucium Flavum)の抽出物、サイプレス(Cupressus Sempervirens)の抽出物、ソロモンズシール(Polygonatum multiflorum)の抽出物、ラブリーヘムスレイア(loveyly hemsleya)の抽出物、セイヨウニワトコ(Sambucus Nigra)の抽出物、アオイマメ(Phaseolus lunatus)の抽出物、シマセンブリ(Centaurium)の抽出物、オオウキモ(Macrocystis Pyrifera)の抽出物、トゥルネラ・ディフサ(Turnera Diffusa)の抽出物、ハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)の抽出物、ヒメマツバボタン(Portulaca pilosa)の抽出物、ホップ(Humulus lupulus)の抽出物、アラビカコーヒーノキ(Coffea Arabica)の抽出物、イェルバマテ(Ilex Paraguariensis)の抽出物、グロブラリア・コルディフォリア(Globularia Cordifolia)の抽出物、ネムノキ(Albizzia julibrissin)の抽出物、オキシデンドラムアーボレウム(Oxydendron arboretum)の抽出物、ハナショウガ(Zingimber Zerumbet Smith)の抽出物、キバナオウギ(Astragalus membranaceus)の抽出物、オオバナオケラ(Atractylodes macrocephalae)の抽出物、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)の抽出物、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)の抽出物、セロリ(Apium graveolens)の抽出物、ホアハウンド(Marrubium vulgare)の抽出物、フサフジウツギ(Buddleja davidii Franch)の抽出物、コウキ(Engelhardia chrysolepis)の抽出物、ライラック(Syringa vulgaris)の抽出物、又は蘭の抽出物を、特に例示することができる。
【0131】
本発明の組成物は、1又は複数の追加のペプチドを含んでもよく、特に限定されないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、及びヘキサペプチド並びにこれらの誘導体を含んでいてもよい。特定の実施形態によれば、組成物中の追加のペプチドの濃度は、1×10-7重量%から20重量%の範囲であり、1×10-6重量%から10重量%の範囲が好ましく、1×10-5重量%から5重量%の範囲が好ましい。本明細書において、「ペプチド」という用語は、10個以下のアミノ酸を含むペプチド、これらの誘導体、同位体、及び、例えば金属イオン(銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム等)等の他の種との錯体を表す。「ペプチド」という用語は、天然ペプチド及び合成ペプチドの両方を示す。また、「ペプチド」という用語は、ペプチドを含む組成物であって自然界において見出される及び/又は商業上入手可能なものを示す。
【0132】
本明細書において、使用に適したジペプチドは、カルノシン(βAH)、YR、VW、NF、DF、KT、KC、CK、KP、KK、TT、PA、PM、又はPPを含むが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書において、使用に適したトリペプチドは、RKR、HGG、GKH、GHK、GGH、GHG、KGH、KHG、KFK、KAvaK、KβAK、KAbuK、KAcaK、KPK、KMOK、KMO2K(MO2は、二酸化スルホキシドメチオニンである)、KVK、PPL、PPR、SPR、QPA、LPA、SPA、K(Ac)HG、K(Ac)GH、K(Ac)はWO2017/216177に開示されているようにアセチル化された側鎖を有するアミン官能基を有するリジンである、K(P)HG、K(P)GH、K(P)はプロリンでグラフトされた側鎖を有するリジンである、K(Pyr)HG、K(Pyr)GH、K(Pyr)はピログルタミン酸でグラフトされた側鎖を有するリジンである、K(Hyp)HG、又は、K(Hyp)GH、K(Hyp)はWO2016/097965に開示されているようにヒドロキシプロリンでグラフトされた側鎖を有するリジンである、を含むが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書において、追加のペプチドとしての使用に適したテトラペプチドは、RSRK(SEQ ID NO:6)、KTFK(SEQ ID NO:7)、KTAK(SEQ ID NO:8)、KAYK(SEQ ID NO:9)又はKFYK(SEQ ID NO:10)を含むが、これらに限定されない。
【0135】
ペンタペプチドの適切な非限定的な例は、KTTKS(SEQ ID NO:11)であり、ヘキサペプチドの適切な例は、GKTTKS(SEQ ID NO:12)及びVGVAPG(SEQ ID NO:13)である。
【0136】
本発明に係る使用に適した他のペプチドは、以下の中から選択することができるが、このリストは限定的なものではない:ペプチドの親油性誘導体、好ましくはパルミトイル(Pal)誘導体又はミリストイル(Myr)誘導体、及び上記の金属錯体(例えば、トリペプチドHGG又はGHKの銅錯体)。好ましいジペプチドは、例えば、N-パルミトイル-β-Ala-His、N-アセチル-Tyr-Arg-ヘキサデシルエステル(カルモセンシン(Calmosensine)(商標)、イデアリフト(Idealift)(商標)、Sederma社)、Pal-RT又はPal-KT(Sederma社)を含む。好ましいトリペプチド誘導体は、例えば、Pal-GKH及びPal-GHK(Sederma社)、HGGの銅誘導体(ラミン(Lamin)(商標)、Sigma社)、リポスポンディン(Lipospondin)(N-エライドイル-KFK)及びその保存的置換をした類似体、N-アセチル-RKR-NH2(ペプチドCK+)、N-Biot-GHK(Sederma社)、Pal-KAvaK、Pal-KβAlaK、Pal-KAbuK、Pal-KAcaK、又はPal-KMO2K(マトリキシル(Matrixyl)(登録商標)シンセ’6(Synthe’ 6)(登録商標)、Sederma社)、Pal-KVK(シン-コル(Syn-Coll)(商標)、DSM社)、及びこれらの誘導体を含む。
【0137】
本明細書では、WO2015181688出願に記載されている一般式がX-Pro*-Pro*-Xaa-Yである抗老化トリペプチドが例示される。Xaaは、Leu、Arg、Lys、Ala、Ser、及びAspから選択される。N末端において、Xは、H、-CO-R1及びSO2-R1から選択される。C末端において、Yは、OH、OR1、NH2、NHR1又はNR1R2から選択される。R1及びR2は、互いに独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ及びアリロキシの基から選択され、それらは、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよく、環状であってもよく、多環状であってもよく、不飽和であってもよく、水酸基を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよく、リン酸化されていてもよく及び/又は硫化されていてもよい。上記の基の骨格にヘテロ原子、特にO、S及び/又はNが含まれていてもよい。Pro*は、プロリン、その類似体又はその誘導体に対応する;例えば、一般式X-Pro*-Pro*-Xaa-Yは、Myr-PPL-OH及びMyr-PPR-OHを備える。
【0138】
本明細書では、さらに、WO2014/080376に開示されている一般式がX-(Xaa1)n-Pro*-Xaa2-Yである着色促進及び/又はmec促進のジペプチド及びトリペプチド(propigmenting and/or pro-mec dipeptides and tripeptides)を例に挙げることができる。n=0、1又は2である。Xaa1は、Ala、Val、Met、Leu、Iso、Phe、及びPro並びにそれらの類似体及び誘導体から選択される疏水性アミノ酸であり;又は、Ser、Thr、Tyr、Asp、及びGlu並びにそれらの類似体及び誘導体から選択される極性アミノ酸である;n=2の場合、2つのアミノ酸Xaa1は、同じ又は異なる;Xaa2は、Ala、Val、Met、Leu、Iso、及びPhe、並びにそれらの類似体及び誘導体から選択される疎水性アミノ酸であり、又は、Arg、Lys、及びHis、並びにそれらの類似体及び誘導体から選択される塩基性アミノ酸である;N末端において、Xは、H、-CO-R1及びSO2-R1から選択される;C末端において、Yは、OH、OR1、NH2、NHR1又はNR1R2から選択される;R1及びR2は、互いに独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ及びアリールオキシの基から選択され、それらは、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよく、環状であってもよく、多環状であってもよく、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、水酸基を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよく、リン酸化されていてもよく及び/又は硫化されていてもよい。上記の基の骨格にO、S及び/又はNであるヘテロ原子が含まれる又は含まれない。Pro*は、プロリン、その類似体又はその誘導体に対応する;例えば、一般式X-(Xaa1)n-Pro*-Xaa2-Yは、以下のペプチド:Pal-SPR-OH、Pal-PPR-OH、Pal-QPA-OH、Pal-LPAOH、Myr-SPA-OH、Pal-PM-OH、Pal-PA-OH及びPal-PP-OHを備える。
【0139】
本発明に係る追加のペプチドとしての使用に適したテトラペプチド誘導体は、Pal-KTFK(SEQ ID NO:5)、Ela-KTFK(SEQ ID NO: 14)、Ela-KTAK(SEQ ID NO:15)、Ela-KAYK(SEQ ID NO:16)又はEla-KFYK(SEQ ID NO:17)を含むが、これらに限定されない。本明細書において、追加のペプチドとしての使用に適したペンタペプチド誘導体は、Pal-KTTKS(SEQ ID NO:3)(Sederma社からマトリキシル(Matrixyl)(登録商標)として入手可能)、XaaがLeu又はProであるPal-YGGFXaa(SEQ ID NO:18)、又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0140】
本明細書において、使用に適したヘキサペプチド誘導体は、Pal-VGVAPG(SEQ ID NO:4)、Pal-GKTTKS(SEQ ID NO:19)、Pal-HLDIIXaaであってXaaがTrp、Phe、Tyr、Tic、7-ヒドロキシ-Tic又はTpiであるもの(SEQ ID NO:20)、及びそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。また、Pal-GHK及びPal-GQPR(SEQ ID NO:2)(マトリキシル(Matrixyl)(登録商標)3000、Sederma社)の混合物も例示され得る。
【0141】
追加の活性成分とともに、以下の市販されているペプチドも例示することができる:
・Pentapharm社から販売されている、バイアロックス(Vialox)(商標)(INCI名=Pentapeptide-3(アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、及びプロリンを備える合成ペプチド))、シン-エイク(Syn-Aake)(商標)(β-Ala-Pro-Dab-NH-Bzl)又はシン-コル(Syn-Coll)(商標)(Pal-Lys-Val-Lys-OH);
・Lipotec社から販売されている、アルジルリン(Argireline)(商標)(Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH2(INCI名=Acetyl Hexapeptide-3)(SEQ ID NO:21)、ルーファシル(Leuphasyl)(商標)(Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu)(SEQ ID NO:22)、アルデニン(Aldenine)(商標)(Gly-His-Lys)、トリラーゲン(Trylagen)(商標)(INCI名=Pseudoalteromonas Ferment Extract、Hydrolyzed Wheat Protein、Hydrolyzed Soy Protein、Tripeptide-10 Citrulline(シトルリンとトリペプチド-10(アスパラギン酸、イソロイシン、及びリジンにより構成された合成ペプチド)の反応生成物)、Tripeptide-1)、アイセリル(Eyeseryl)(商標)(Ac-β-Ala-His-Ser-His)(SEQ ID NO:23)、セリレシン(Serilesine)(商標)(Ser-Ile-Lys-Val-Ala-Val)(SEQ ID NO 24)又はデコリニル(Decorinyl)(商標)(INCI名:Tripeptide-10 Citrulline=シトルリンとトリペプチド-10(アスパラギン酸、イソロイシン、リジンにより構成された合成ペプチド)の反応生成物);
・Vincience社から販売されている、コラキシル(Collaxyl)(商標)(Gly-Pro-Gln-Gly-Pro-Gln(SEQ ID NO 25))又はクインテスシン(Quintescine)(商標)(Cys-Gly);
・Les Laboratoires Serobiologiques/Cognis社から販売されている、サイトキノール(Cytokinol)(商標)LS(カゼイン加水分解物);
・欧州生物学研究所(L'Institut Europeen de Biologie Cellulaire)から販売されている、コラレン(Kollaren)(商標)(Gly-His-Lys)、IP2000(商標)(Pal-Val-Tyr-Val)又はメディプレン(Meliprene)(商標)(INCI名=Monofluoroheptapeptide-1:酢酸と、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン、ノルロイシン、p-フルオロフェニルアラニン及びトリプトファンを備える合成ペプチドとの反応生成物);
・Introvations社から販売されている、ニュートラゼン(Neutrazen)(商標)(Pal-His-D-Phe-Arg-NH2);又は
・lnfinitec Activos社から販売されているボント-L-ペプチド(BONT-L-Peptide)(商標)(INCI名=Palmitoyl Hexapeptide-19:パルミチン酸とヘキサペプチド-19(アスパラギン、アスパラギン酸、リジン及びメチオニンにより構成された合成ペプチド)との反応生成物)、Timp-ペプチド(Timp-Peptide)(商標)(INCI名=Acetyl Hexapeptide-20:ヘキサペプチド-20(アラニン、グリシン、リジン、バリン及びプロリンにより構成された合成ペプチド)のアセチル化によって得られた反応生成物))、又はECMモジューリン(ECM Moduline)(商標)(INCI名=Palmitoyl Tripeptide-28:パルミチン酸とトリペプチド-28(アルギニン、リジン及びフェニルアラニンにより構成された合成ペプチド)との反応生成物))。
【0142】
本発明に係る植物細胞を、1又は複数の環状ペプチドであって特に出願人の特許出願FR1850845に記載されている亜麻仁油から抽出されたもの、と組み合わせることも想定され得る。
【0143】
本発明に係る種々の組成物/配合物を、追加の有効成分のいくつかの例とともに以下に説明する。
【0144】
本発明に係る濃縮有効成分を形成する本発明に係る組成物は、上記のポイントA/に記載されている通りである。
【0145】
この成分は、一般に、0.1%から20%、好ましくは1から10%、より好ましくは2%から5%の範囲内で配合される。
【0146】
【0147】
【0148】
追加の成分の例:
以下のような敏感な皮膚のための鎮静成分:
・パシフィール(PACIFEEL)(商標)、Sederma社から販売され、オシロイバナ(Mirabilis Jalapa)の抽出物を備える。
以下のような水分補給成分:
・アクアランス(AQUALANCE)(商標)、Sederma社から販売され、水分補給活性を有する、ホマリン及びエリスリトールを含む浸透圧安定剤である。
・リバイドラット(REVIDRAT)(商標)、Sederma社から販売され、特に表皮の結合及び水分補給を改善する。
以下のような顔色の輝きに働きかける成分:
・エバーマット(EVERMAT)(商標)、Sederma社から販売され、プロトベルベリンを豊富に含むエナンチアクロランタ(Enantia chlorantha)の抽出物とオレイン酸との組み合わせを備え;毛穴のサイズ及びテカリを減少させ;にきびができやすい皮膚のキメを整える。
以下のような保湿/平滑化成分:
・オプティムヒアル(OPTIM HYAL)(商標)、Sederma社から販売され、ヒアルロン酸の断片に類似した構造を有するアセチル化グルクロン酸のオリゴ糖を含む。
・以下のような皮脂調製成分:
・セブレス(SEBULESS)(商標):Sederma社から販売され、インビトロ細胞培養により得られたライラック(Syringa vulgaris)の抽出物を備え、セボレギュレータ(sebo-regulator)をきれいにし、テカリを抑え、顔色をリフレッシュし、肌トラブルを目立たなくする。
・ポアテクト(PORETECT)(商標):Sederma社から販売され、亜麻仁の抽出物及びセロリの抽出物の組み合わせにセロリノペプチド(cylolinopeptides)及びセンキュノライド(senkyunolides)を滴定したものであり、皮膚に張り、色調、及び密度を与え、加齢とともに崩れていく毛穴を保持する構造を強化する。
以下のような皮膚/皮膚のバリアの弾性特性に働きかける成分:
・イデアリフト(IDEALIFT)(商標):Sederma社から販売され、リポジペプチドであるN-アセチル-チロシル-アルギニル-O-ヘキサデシルエステルを備え、特にエラスチンを刺激することにより、顔のたるみに対抗し、重力に対する抵抗力を改善する。
ダーマキシル(DERMAXYL)(商標):Sederma社から販売され、角質層(stratum corneum)の結合剤であるセラミド2と、パルミトイル配合のマトリカイン(palmitoylated matrikine)であるPal-Val-Gly-Val-Ala-Pro-Glyとを組み合わせたものであり、しわを平滑化し、皮膚のバリアを修復する。
以下のような抗疲労成分:
・プロディジア(PRODIZIA)(商標)、Sederma社から販売され、ネムノキ(Albizia julibrissin)の抽出物を含み、糖化によるダメージから皮膚を修復し保護することによって、疲労の兆候:くま、目の下のたるみ、顔色の鈍さ、及び形成されたしわ(drawn lines)の目に見える減少を促進する。
以下のような汚染防止成分:
・シティステム(CITYSTEM)(商標)、Sederma社から販売され、高濃度のホルシチアシドB(Forsythoside B)を有するホアハウンド(Marrubium vulgare)からインビトロで得られた植物細胞をベースにしたものであり;汚染に対抗して使用される:皮膚がより柔らかく、より平滑になり、皮膚のキメが細かくなり、にきびが見え難くなり、皮膚がその輝きを増しきれいになる。
【0149】
E/ インビボ試験
一般原理
本発明に係る組成物の作用の評価を、27人のボランティアについて実施した。ボランティアに何時間も青色光に曝露することはできない可能性がある(not possible)ため、特別な特性を有するパネリストを選んだ。これら全ての試験で、ボランティアがある程度の疲れを感じこの疲れが顔に現れるようにするために、ボランティアに、画面と毎日、相当程度向き合うことを強制した。特に、ボランティアは、鈍い顔色、肌トラブル、及び/又は、「疲れ/しわ」を呈し、顔の皮膚から水分が失われ、顔から色調及び輝きが失われることがあった。
【0150】
本発明の組成物の有益性の試験は、以下の観点で実施した:水分補給、平滑化、輝き、皮膚の色調及び皮膚の疲労。
【0151】
試験は、顔について8週間にわたって行った(T0週及びT8週において測定)。
【0152】
この試験では、ボランティアの顔の一方側に、朝にデイクリームを、夕方にナイトクリームを適用した(上記のガレノス製剤のD部の配合)。顔の他方側に、同様にして、プラセボデイクリーム及びナイトクリーム(有効成分なしの同じ配合)を適用した。ボランティアは、いずれのクリームが本発明に対応するかを知らなかった。
【0153】
統計的試験を、Student t-検定、又は必要に応じてノンパラメトリックWilcoxon検定により実施した。両側検定を、対の群について(on paired series)実施した。
【0154】
1/ 水分補給
【0155】
方法
この試験では、革新的装置であるイプシロン(Epsilon)(商標)を使用した。この装置は、水分補給の値ではなく水分補給の画像を提供する特徴を有する。この装置は、スキンチップ(Skinchip)(商標)のテクノロジーに基づいたものである。この装置には、76800ピクセルを備え深さ50μmまで測定するセンサが設けられている。各ピクセルは、皮膚の誘電率の値εを与える。このパラメータは、0から85の間で変化する(空気=1、水=80)。測定により、画像が得られる。画像により、皮膚の表面構造(topography)で試験された物質の作用を視覚的に評価することが可能となり、さらには水分補給が上記パラメータを改善することによる皮膚の均質性又は柔軟性を視覚的に評価することが可能となる。
【0156】
結果
皮膚の水分補給の変化;本発明に係るクリームの作用(N=27)
【0157】
【0158】
本発明に係るクリームを適用した2ヶ月後、皮膚はプラセボと比較してより水分補給されている(p<0.01)。プラセボには、有意な利点はない。
【0159】
2/ 皮膚の平滑化
【0160】
方法
この項目の評価のために、平滑化の観点の情報も提供できるイプシロン(Epsilon)(商標)を使用した。水分補給に関して得られたイメージネガにより、この項目の情報が得られる。画像内のピクセルが少ないことは、平滑化作用を示す。
【0161】
結果
皮膚の起伏の変化(増減した平滑性の外観(more or less smooth appearance));本発明に係るクリームの作用(N=27)。
【0162】
【0163】
上記の2つの試験の結果は、皮膚の平滑性の顕著な改善を示している。本発明に係るクリームにより、平滑性は、プラセボと比較して5.5%というように顕著に改善されている(p<0.05)。このパーセンテージは、皮膚が若返っておりほとんど見た目に現れないという改善(an improvement on skins that are relatively young and slightly marked)を明確に示している。
【0164】
3/ 皮膚の輝き
【0165】
方法
この試験は、C-キューブ(Cube)(商標)カラーカメラ(Pixience)を使用して実施した。このカメラは、テカリを避けるための偏光ありの一定の拡散LED照明を使用する。画像は自己校正され(self-calibrated)、均質化される。20μm未満の構造をズームで見ることができる。比色測定と分散分析を組み合わせたアルゴリズムにより、臨床評価方法CLCT(Color Luminosity Brighness Transparency)との相関を有する輝き指標が得られる。この指標は、生理学的な窓領域を有し、試験中にこの窓領域において35~70単位領域が設定される。適用後に測定された差分が、35単位領域における上記の生理学的な指標の%として表される(This index has a physiological window established, during the study, between 35 and 70 units. The deltas measured after application are expressed as a % of this physiological scale of 35 units.)。
【0166】
結果
皮膚の輝きの変化;本発明に係るクリームの作用(N=25)。
【0167】
【0168】
本発明のクリームを適用した後に皮膚の輝きが、プラセボ部位が平均で-2.7%で悪化したときに輝きが+4.4%で増加するというように、改善されていることに留意されたい。相違は、プラセボクリームと比較して本発明のクリームが有利であることを有意に示している(p<0.05)。
【0169】
4/ 皮膚の色調及び疲労
【0170】
方法
キュートメーター(登録商標)MPA580(C&K社)を慣習的な方法で用い、化粧品が奏する皮膚の粘弾性パラメータへの作用を試験する。キュートメーターは、機械的な吸引ストレスに曝された皮膚領域の変形及びその回復力を測定する。キュートメーターによれば皮膚の経時的な「疲労」を測定できるため、あり得る複数の連続的な変形を加えた(The possibility of applying several successive deformations was used)。伸展性(extensibility)(Uf)の評価により、皮膚の色調/硬さの指標が得られる。23~81歳の62人のボランティアを対象とした内部調査により、皮膚の疲れパラメータの年齢との相関関係を確立し、これにより理論的な年齢の増加を特定する(provide)ことが可能となった。
【0171】
結果
皮膚の疲労及び色調の変化;本発明に係るクリームの作用(N=27)。
【0172】
【0173】
【0174】
この表は、本発明の組成物の適用が、老化の兆候の1つである皮膚の伸びを有意に低下させることによって皮膚を5.6%「リラックス」させ、繰り返しの収縮時の皮膚の「疲労」を約12%というように有意に低下させ得ることを示している。
【0175】
上記のインビトロ及びインビボの結果の全ては、化粧用の又は皮膚科学的な処置のための本発明に係る組成物が疑いなく興味深いものであることを示している。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】