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特表2023-506232バイオマーカーのアプタマー支援マイクロニードルに基づくモニタリングのためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】バイオマーカーのアプタマー支援マイクロニードルに基づくモニタリングのためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/151 20060101AFI20230208BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20230208BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20230208BHJP
   A61B 5/1486 20060101ALI20230208BHJP
   A61B 5/155 20060101ALI20230208BHJP
   A61B 5/157 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A61B5/151 210
G01N27/30 A
A61B5/1473
A61B5/1486
A61B5/155
A61B5/157
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536492
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 US2020064700
(87)【国際公開番号】W WO2021119546
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/947,399
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】506138351
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(71)【出願人】
【識別番号】522233005
【氏名又は名称】テウラニ,ファーシャド
(71)【出願人】
【識別番号】398076227
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】テイモリアン,ハズィール
(72)【発明者】
【氏名】アロヨ,ネッツ
(72)【発明者】
【氏名】ダッソー,エイアル
(72)【発明者】
【氏名】テウラニ,ファーシャド
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY04
4C038KY08
(57)【要約】
生物流体中のバイオマーカーの無標識の連続的なリアルタイムモニタリングのためのマイクロニードル支援アプタマーベースの電気化学センシングに関する方法、装置、システム及び方法を記載する。生物流体中の1つ以上の分析物の電気化学的モニタリングのためのデバイスの一例は、基材及び基材に連結された少なくとも2つのマイクロニードルを含む。少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルは突出したニードル構造及び電極プローブ構造を含む。少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び
基材に連結された少なくとも2つのマイクロニードル
を含むデバイスであって、
少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルが、
突出したニードル構造、及び
電極プローブ構造
を含み、
突出したニードル構造が基材の表面から外側へ延びている外壁を含み、外壁が、突出したニードル構造の内部体積を取り囲み、外壁の終端で頂部を形成し、
電極プローブ構造が、電極プローブ構造と接触する生物流体中の1つ以上の化学的又は生物学的物質に応答してシグナルを生成するように構成され、
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能であり、
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造が、電気化学的対電極又は電気化学的参照電極として動作可能である、
デバイス。
【請求項2】
電極プローブ構造が、突出したニードル構造に組み込まれるか、又はそれに取り付けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
アプタマー配列が5'-チオールを介して第1のマイクロニードルの電極プローブ構造につながれる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
アプタマー配列がレドックスレポーター分子で機能付与される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
レドックスレポーター分子がメチレンブルーである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
レドックスレポーター分子がアントラキノンである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
機能付与がアプタマー配列の3'末端においてである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項8】
機能付与がアプタマー配列の5'末端においてである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項9】
少なくとも2つの電気伝導チャネルを含み、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける各チャネルが、少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造に電気的に連結されて、電極プローブ構造からシグナルを送信するか、又は電極プローブ構造に制御シグナルを適用する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第3のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第2の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第3のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第2の電気化学的検出技法を使用する第2の分析物の検出のための作用電極として動作可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
第2の分析物が第1の分析物と異なる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
第2の電気化学的検出技法が第1の電気化学的検出技法と異なる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける少なくとも1つのマイクロニードルについて、マイクロニードルの突出したニードル構造の内部体積が内壁によって規定された中空内部を含み、マイクロニードルの突出したニードル構造の外壁が中空内部への開口を含み、マイクロニードルの電極プローブ構造が中空内部内に少なくとも部分的に配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造が金属膜を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
マイクロニードルの電極プローブ構造が金属ワイヤを含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
金属が金である、請求項14又は請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造が銀/塩化銀(Ag/AgCl)を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第4のマイクロニードルの電極プローブ構造が電極プローブ構造の表面にコーティングを含み、コーティングが第1の酵素で機能付与され、コーティングが第3の分析物と相互作用するように構成され、第4のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第3の電気化学的検出技法を使用する第3の分析物の検出のための作用電極として動作可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項19】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第5のマイクロニードルの電極プローブ構造が電極プローブ構造の表面にコーティングを含み、コーティングが第2の酵素で機能付与され、コーティングが第4の分析物と相互作用するように構成され、第5のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第4の電気化学的検出技法を使用する第4の分析物の検出のための作用電極として動作可能である、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
第2の酵素が第1の酵素と異なる、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第6のマイクロニードルの電極プローブ構造が電極プローブ構造の表面にコーティングを含み、コーティングがイオノフォア受容体で機能付与され、コーティングが第5の分析物と相互作用するように構成され、第6のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第5の電気化学的検出技法を使用する第5の分析物の検出のための作用電極として動作可能であり、第5の分析物が電解質である、請求項18又は請求項19に記載のデバイス。
【請求項22】
第1、第2、第3及び第4の電気化学的検出技法からの任意の電気化学的検出技法が、サイクリックボルタンメトリー技法、高速スキャンサイクリックボルタンメトリー技法、方形波ボルタンメトリー技法、電位差測定技法又はクロノアンペロメトリー技法のうちの1つである、請求項19に記載のデバイス。
【請求項23】
第5の電気化学的検出技法が、サイクリックボルタンメトリー技法、高速スキャンサイクリックボルタンメトリー技法、方形波ボルタンメトリー技法、電位差測定技法又はクロノアンペロメトリー技法のうちの1つである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
少なくとも2つのマイクロニードルにおける少なくとも1つのマイクロニードルの電極プローブ構造がコンフォーマルコーティングを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
コンフォーマルコーティングが電気絶縁性ポリマー又は誘電材料を含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
コンフォーマルコーティングが、ポリ(p-キシレン)ポリマー、ポリエチレンイミンポリマー又はSiO2のうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
第1の分析物がタンパク質である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
タンパク質がサイトカインである、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
タンパク質が、インスリン、インターロイキン-6タンパク質、腫瘍壊死因子タンパク質又はC反応性タンパク質のうちの1つである、請求項27に記載のデバイス。
【請求項30】
第3の分析物が小分子化合物である、請求項18に記載のデバイス。
【請求項31】
第4の分析物が小分子化合物である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項32】
小分子化合物が、ラクトース、乳酸、アルコール、グルコース、グルタミン酸又はケトン体のうちの1つである、請求項30又は請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
第1の分析物が薬剤である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項34】
第1の分析物がコルチゾールであり、第2の分析物がインスリンである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項35】
第1の酵素がグルコースオキシダーゼであり、第3の分析物がグルコースである、請求項18に記載のデバイス。
【請求項36】
第2の酵素がβ-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼであり、第4の分析物がケトン体である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項37】
電解質が、ナトリウム、カリウム又はリチウムのうちの1つである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項38】
第3の分析物が第1の分析物と異なり、第3の分析物が第2の分析物と異なる、請求項18に記載のデバイス。
【請求項39】
第4の分析物が第1の分析物と異なり、第4の分析物が第2の分析物と異なり、第4の分析物が第3の分析物と異なる、請求項19に記載のデバイス。
【請求項40】
デバイスが人間の皮膚上に配置されるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項41】
電気化学センシングデバイスを製造する方法であって、
基材を準備するステップ、及び
少なくとも2つのマイクロニードルを基材に連結するステップ
を含み、
少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルが、
突出したニードル構造、及び
電極プローブ構造
を含み、
突出したニードル構造が基材の表面から外側へ延びている外壁を含み、外壁が、突出したニードル構造の内部体積を取り囲み、外壁の終端で頂部を形成し、
電極プローブ構造が、電極プローブ構造と接触する生物流体中の1つ以上の化学的又は生物学的物質に応答してシグナルを生成するように構成され、
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能であり、
少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造が、電気化学的対電極又は電気化学的参照電極として動作可能である、
方法。
【請求項42】
電気化学に基づくセンシングの方法であって、
請求項1~8又は10~40のいずれか一項に記載のデバイスを準備するステップであって、デバイスが少なくとも2つの電気伝導チャネルを含み、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける各チャネルが、少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造に電気的に連結されて、電極プローブ構造からシグナルを送信するか、又は電極プローブ構造に制御シグナルを適用する、ステップ、及び
少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける第1の電気伝導チャネルを使用して、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造からシグナルを送信するステップ
を含む、方法。
【請求項43】
電気化学に基づくセンシングの方法であって、
請求項1~8又は10~40のいずれか一項に記載のデバイスを準備するステップであって、デバイスが少なくとも2つの電気伝導チャネルを含み、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける各チャネルが、少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造に電気的に連結されて、電極プローブ構造からシグナルを送信するか、又は電極プローブ構造に制御シグナルを適用する、ステップ、
少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける第1の電気伝導チャネルを使用して、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造に第1の制御シグナルを適用するステップ、及び
少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける第2の電気伝導チャネルを使用して、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造からシグナルを送信するステップ
を含む、方法。
【請求項44】
第2のマイクロニードルの電極プローブ構造から送信されたシグナルを使用して分析物の濃度を決定するステップ
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1のマイクロニードル及び第2のマイクロニードルが、少なくとも2つのマイクロニードルにおける同じマイクロニードルを指す、請求項43又は請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第1のマイクロニードル及び第2のマイクロニードルが、少なくとも2つのマイクロニードルにおける異なるマイクロニードルを指す、請求項43又は請求項44に記載の方法。
【請求項47】
第1の電気伝導チャネル及び第2の電気伝導チャネルが、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける同じ電気伝導チャネルを指す、請求項43又は請求項44に記載の方法。
【請求項48】
第1の電気伝導チャネル及び第2の電気伝導チャネルが、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける異なる電気伝導チャネルを指す、請求項43又は請求項44に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける電気伝導チャネルが、導電性材料で作られたワイヤ又は回路基板上の微量の導電性材料である、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2019年12月12日に出願された「タンパク質バイオマーカーのアプタマー支援マイクロニードルに基づくモニタリングのためのデバイス及び方法(DEVICES AND METHODS FOR APTAMER-ASSISTED MICRONEEDLE-BASED MONITORING OF PROTEIN BIOMARKERS)」という名称の第62/947,399号の仮出願に基づく優先権を主張する。上述の仮出願の全内容は、本文書の開示の一部として参照により組み込まれる。
【0002】
本出願の主題は、一般に電気化学センシング、特に、生物流体中のバイオマーカーの無標識の連続的なリアルタイムモニタリングのための方法、システム、材料及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、例えば間質液(ISF)中のタンパク質バイオマーカーの侵襲の少ない又は非侵襲性の連続的なリアルタイムモニタリングのための利用可能なデバイスはなく、これらの非常に重要な診断マーカーのレベルを測定するために利用可能な唯一の方法は、皮下注射針を使用する血液のサンプリング、及びその後の集中型実験室における外部計測器/技法を使用するバイオマーカーの定量化の伝統的な方法に基づく。バイオマーカーの定量化のために典型的に使用されるELISA法は、非常に時間がかかり、高価である。バイオマーカーの定量化に対する伝統的な手法は、例えば患者の不快感、比較的高い試料体積の必要性、及び鋭利な廃棄物の発生を含む著しい不利益を有する。より重要なことには、それらはリアルタイムでのバイオマーカーのレベルの傾向及び変動を追跡することができず、そのため、バイオマーカーの濃度に関するリアルタイムの情報を提供することができない。したがって、ISF中のバイオマーカーレベルの連続的なリアルタイムモニタリングのための低コストのシステム、デバイス、材料及び方法を作製する必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される技法は、生物流体中のバイオマーカーの無標識の連続的なリアルタイムモニタリングのためのアプタマー支援マイクロニードルに基づく電気化学センシングに関するデバイス、システム及び方法を達成するために、様々な実施形態において実行することができる。
【0005】
開示される技術の一態様は、基材を含むデバイスに関する。デバイスは基材に連結された少なくとも2つのマイクロニードルも含む。少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルは突出したニードル構造及び電極プローブ構造を含む。突出したニードル構造は基材の表面から外側へ延びている外壁を含み、外壁は、突出したニードル構造の内部体積を取り囲み、外壁の終端で頂部を形成する。電極プローブ構造は、電極プローブ構造と接触する生物流体中の1つ以上の化学的又は生物学的物質に応答してシグナルを生成するように構成される。少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能である。少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造は、電気化学的対電極又は電気化学的参照電極として動作可能である。
【0006】
開示される技術の別の態様は、基材を準備するステップを含む電気化学センシングデバイスを製造する方法に関する。方法は、少なくとも2つのマイクロニードルを基材に連結するステップをさらに含む。少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルは突出したニードル構造及び電極プローブ構造を含む。突出したニードル構造は基材の表面から外側へ延びている外壁を含み、外壁は、突出したニードル構造の内部体積を取り囲み、外壁の終端で頂部を形成する。電極プローブ構造は、電極プローブ構造と接触する生物流体中の1つ以上の化学的又は生物学的物質に応答してシグナルを生成するように構成される。少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能である。少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造は、電気化学的対電極又は電気化学的参照電極として動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】少なくとも2つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイスの実施形態の例を表すブロック図を示す。
図2】電子デバイスと通信する図1の電気化学マイクロニードルセンサーデバイスの実施形態の例を表すブロック図を示す。
図3図2に示される電子デバイスの実施形態の例のブロック図を示す。
図4】マイクロニードルに基づく作用電極の少なくとも2つの群を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイスの実施形態の例を表すブロック図を示す。
図5】少なくとも3つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイスの実施形態の例を表すブロック図を示す。
図6】少なくとも4つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイスの実施形態の例を表すブロック図を示す。
図7】少なくとも4つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイスの実施形態の例の図を示す。
図8】電気化学センシングデバイスを製造する方法の実施形態の例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願は、例えば間質液(ISF)中の臨床的に重要なバイオマーカーのインビボの分析情報を提供する非侵襲性診断ツールとしての、タンパク質バイオマーカーを含むバイオマーカーの無標識で連続的なリアルタイムモニタリングのための装着型のマイクロニードルに基づくデバイスの設計及び製造を記載する。開発された診断のマイクロニードルに基づくデバイスは、個人の皮膚に容易に装着することができ、例えばタンパク質バイオマーカーを含む様々なバイオマーカーの濃度を、ISF内で直接、リアルタイム方式で測定することができる。
【0009】
分析は、アプタマー修飾電極において行われ、これはマイクロニードル(例えば、ポリマー中空マイクロニードル)の形態であり、電気化学センサーとして作用する。レドックスレポーター分子(例えば、メチレンブルー又はアントラキノン)によって機能付与されたアプタマーは、目的の分析物に特異的及び可逆的に結合し、電極に結合したアプタマーの立体構造のフォールディングが起こる。この結合が誘導するフォールディングは、標的バイオマーカーの濃度に対応し、電気化学技法、例えば方形波ボルタンメトリー(SWV)を使用して検出される、レドックス分子の電子移動特性の変化をもたらす。
【0010】
本文書は、モデル分析物としてコルチゾール及びインスリンのバイオマーカーのリアルタイムのアプタマー支援測定への開示される技術の適用を記載するが、本出願に開示される技術は、それらの関連するアプタマーに基づく生体認識要素への結合により、任意のバイオマーカー、例えばホルモン、及び目的のタンパク質などの連続的なモニタリングに容易に拡張可能である。
【0011】
ISF中に存在する標的分析物のインビボの安定な電気化学的検出は、マイクロニードル電極又はヒドロゲルコーティングの表面において有効な抗生物付着性の自己集合単分子層を使用することにより、表面付着なしで、本明細書に開示される技術により達成することができる。さらにまた、アプタマーは、所望の濃度域で分析物の検出を実行するために、インビトロで合理的に操作することができる。
【0012】
マイクロニードルに基づく酵素センシングとは異なって、開示される技術は、マイクロニードルセンサーの能力を拡張して、検出することができるバイオマーカーの範囲を広くする。そのようなバイオマーカーのセンシングは、通常、マイクロニードルチップで行うことが常に実現可能ではないイムノアッセイに依拠する。
【0013】
開示される技術の別の非常に重要な態様は、アプタマーに基づく電気化学センシングと酵素センシングとの、複数のバイオマーカーの同時の連続的なリアルタイムの可逆的モニタリングに対する単一のマイクロニードルアレイデバイスにおける統合である。
【0014】
現在、様々なバイオマーカーの侵襲の少ない又は非侵襲性の連続的なモニタリングのための利用可能なデバイスはなく、バイオマーカーを測定するために利用可能な唯一の方法は、皮下注射針を使用する血液のサンプリング、それに続く集中型実験室における外部計測器/技法を使用する定量化の伝統的な方法に基づく(ほとんどは、非常に時間がかかり、高価なELISA法を使用する)。そのような方法は、患者の不快感、比較的高い試料体積についての必要性、及び鋭利な廃棄物の発生を含む著しい不利益を有する。より重要なことには、それらは、バイオマーカーのレベルの傾向及び変動を追跡することができず、そのため、バイオマーカーの濃度に関するリアルタイムの情報を提供することができない。
【0015】
現在、異なるバイオマーカーの濃度に関するリアルタイムのオンボディ(on-body)の情報を提供するための実行可能な技術はなく、異なる疾患マーカーの動的に変化するレベルを同時に連続してモニタリングすることができる装着型の多重センサーの開発は、疾患の診断、予後及び処置のために非常に重要なものであろう。
【0016】
インビトロで生理学的に関連するバイオマーカーを検出する多くのセンサーの例があるが、ISFバイオマーカーのインビボ検出のためのバイオセンサーの例はまだない。装着型のオンボディのバイオセンシングは、個別化医療を可能にすることによって、健康管理に大変革をもたらす可能性を有する。装着型の非侵襲性センサーを使用する連続的な基盤における臨床的に関連する健康情報を提供することにより、個人の健康状態を十分に理解し、疾患の診断、予後及び管理に対するプラットフォームを提供することができる。本文書は、伝統的なイムノアッセイに基づく手法の費用及び複雑さを除去する、様々なバイオマーカーの連続的なリアルタイムモニタリングのための装着型のオンボディのセンサーデバイスの例を示す。本出願に開示される技術に基づくマイクロニードルデバイスの例は、異なるバイオマーカー、例えば糖尿病患者のためのコルチゾール、インスリン、ケトン体及びグルコースなどの多重モニタリングのために使用することができる。そのようなデバイスは、自己モニタリングのために使用され得る、及び/又は健康管理の提供者によって使用され得る、完全に統合された装着型のマイクロニードルパッチの形態であり得る。本明細書に記載されるアプタマーに基づくマイクロニードルセンシングのプロトコールは、他の目的のバイオマーカーの検出に容易に拡張することができる。これは、疾患の診断及び個別化健康管理の分野において飛躍を遂げる。
【0017】
本明細書に記載されるマイクロニードルのアプタマーに基づく電気化学センシングデバイスは、電気化学的なアプタマーに基づくセンシングを診断適用のためのマイクロニードルデバイスと組み合わせる最初の実証である。この新規な電気化学プラットフォームは、ISF中の異なるバイオマーカーを非侵襲的にモニタリングすることができる装着型のオンボディのパッチの最初の例でもある。
【0018】
本出願に開示される技術によるマイクロニードルに基づくセンサーデバイスの様々な実施形態は、4つの重要な糖尿病関連分析物、即ち、コルチゾール、インスリン、ケトン体及びグルコースの同時検出の例について本明細書に示されるように、アプタマーを使用するバイオマーカーのセンシングを、単一のマイクロニードルアレイプラットフォーム上での重要な代謝産物バイオマーカーの酵素的検出を含むがそれらに限定されない、他のセンシングの様式及び/又は戦略と統合する。
【0019】
診断及びモニタリングの目的のためのマイクロニードルの適用は、間質液中に含有される豊富な分子情報により、この10年間にわたって多くの注目を集めている。しかしながら、マイクロニードルチップでのISFマーカーの直接センシングは、通常、酵素で修飾されたマイクロニードル電極トランスデューサーを使用して行われる。これらは、対応する基質の可逆的な生体触媒反応に依拠する。
【0020】
対照的に、マイクロニードルチップでの通常の生体親和性(bioaffinity)アッセイ、例えばイムノアッセイの実行は、標的抗原と捕捉抗体との間の強い相互作用による障害に直面し、これは、数回の洗浄及びインキュベーションステップに対する必要性と共に、抗体受容体の再生を極めて困難にする。そのようなアッセイは、多くの場合、競合的アッセイ又はサンドイッチアッセイを行うための関連するタグ化試薬との追加のインキュベーションステップも必要とし、これは、マイクロニードルのチップで行うことが常に実現可能ではない。
【0021】
マイクロニードル支援の抗体に基づくバイオマーカー分析に関する唯一の報告は、バイオマーカーを含むISFのサンプリング、又はマイクロニードルの表面の機能付与された抗体へのそれらの結合による特異的バイオマーカーの選択的捕捉と、それに続くオフボディ(off-body)での分析手順に基づく。これらの報告は、マイクロニードルチップでの直接的なバイオマーカーの連続的なモニタリングに適応する能力を有していない。結果として、マイクロニードルISFセンサーの使用は、ISFバイオマーカーのインビボの生体親和性モニタリングについて報告されておらず、様々なマーカーのISFモニタリングに向けたマイクロニードルチップにおけるインサイチュのリアルタイムの生体親和性アッセイの実現は、重要な課題として残されている。
【0022】
本文書は、可逆的に結合する立体構造依存的なアプタマーの使用によるマイクロニードルチップ電極におけるリアルタイムの生体親和性アッセイの実現を記載する。
【0023】
アプタマーは、最近、電気化学的手法を使用する生きている動物における治療薬のリアルタイムで連続的なモニタリングのために非常に有効であることが示されている。しかしながら、これらのアプタマーは、薬剤及び他の小さな分析物の連続的なモニタリングに対してのみ報告されており、それらはより高分子量の分析物(例えば、タンパク質など)のインビボのモニタリングのためには使用されていない。また、それらは、例えば18ゲージのカテーテルを使用する侵襲性の方法により適用されている。
【0024】
開示される技術においてマイクロニードル及びアプタマーに基づく電気化学センシングを組み合わせることによって、本発明者らは、非侵襲性の方法でバイオマーカー(タンパク質バイオマーカーを含む)のインサイチュの生体親和性に基づくモニタリングの最初の例を実証する。開示される技術は、対応するアプタマーの生体認識要素に関連して、目的の任意のバイオマーカーの高感受性で安定なリアルタイムモニタリングのために使用することができる。
【0025】
本出願に開示される技術の別の固有の特徴は、単一のマイクロニードルアレイプラットフォーム内の非アプタマー物質(例えば、酵素基質)を使用するバイオマーカー(例えば、代謝産物)の同時多重検出である。様々なマーカーのオンボディの連続的なモニタリングに対する異なる表面化学及びセンシング様式の組合せは、長年の目標である。本明細書に開示される技術によるデバイスにおいて用いられる異なる表面化学の高性能な構築は、これらの様々なセンシングのフォーマットの多重の装着型の組合せに対するユーザーフレンドリーな手法を可能にする。コルチゾール、インスリン、グルコース及びケトン体の多重検出のための本明細書に報告されるデバイス及び方法は、目的の他のバイオマーカー(例えば、タンパク質//代謝産物/薬剤/電解質)をカバーするように、適用/拡張することができる。また、本出願に開示される技術は、様々なバイオマーカー(疾患関連、又はその他)の濃度を連続してモニタリングすることができる閉鎖ループシステムを設計すること、及び測定されたバイオマーカーの濃度に基づいて治療薬の送達を調節することを可能にする。
【0026】
本出願に開示される技術によるデバイス、システム及び方法のこれらの特徴の例及び他の特徴の例を下記に記載する。
【0027】
図1は、本技術による2つの異なる分析物のセンシングのための少なくとも2つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の実施形態の例を表すブロック図を示す。デバイス100において、少なくとも2つのマイクロニードルに基づく作用電極は、マイクロニードルに基づく参照電極及び/又は対電極に近接した基材上に配置される。図1におけるブロック図に示されるように、デバイス100は、第1の分析物及び第2の分析物の両方の電気化学センシングのために、参照電極RE及び/又は対電極CEとして構成される第1のマイクロニードル電極110を含むことができる。電極110は基材105上に配置される。デバイス100は、第1の作用電極WE-1として構成される第2のマイクロニードル電極120、及び第2の作用電極WE-2として構成される第3のマイクロニードル電極130を含むことができる。電極120及び130は、同様に、基材105上に配置される。電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100のマイクロニードル電極110、120及び130は、マイクロニードル構造及び電極プローブ構造を含む。図1は、マイクロニードル電極110、120及び130のマイクロニードル構造113、123及び133をそれぞれ示す。マイクロニードル構造は、例えば、ベース表面から外側に広がり(例えば、ベース表面は基材105の表面に位置し得る)、外壁の終端で頂部を形成する外壁を含むことができる。例えば、外壁の一部に、内壁によって規定されるニードル構造の中空内部(又は空洞)に入る開口が存在し得る。いくつかの実施形態において、マイクロニードル構造はピラミッド形の形状(例えば、3つの外壁を有する三角形のピラミッド形又は4つの外壁を有する四角形のピラミッド形)を有することができる。他の実施形態において、マイクロニードル構造は円錐形の形状を有することができる。さらに他の実施形態の例において、デバイス100の少なくとも2つのマイクロニードル構造は異なる形状を有することができる。例えば、デバイス100の実施形態において、電極110のマイクロニードル構造は円錐形の形状を有することができ、電極120のマイクロニードル構造は三角形のピラミッド形の形状を有することができ、電極130のマイクロニードル構造は四角形のピラミッド形の形状を有することができる。
【0028】
様々な実施形態の例において、電極プローブ構造は、例えばそれぞれのマイクロニードル構造の内部又は空洞内に配置される(完全に又は部分的に)。他の実施形態の例において、電極プローブ構造は、それぞれのマイクロニードル構造に組み込まれるか、又はそれに取り付けられ、それぞれのマイクロニードル構造の内部又は空洞の外側に位置する(完全に又は部分的に)。さらに他の実施形態の例において、電極プローブ構造は、それぞれのマイクロニードル構造に組み込まれるか、又はそれに取り付けられ、それぞれのマイクロニードル構造は言及された内部又は空洞を有さない。図1は、マイクロニードル電極110、120及び130の電極プローブ構造117、127及び137をそれぞれ示す。例えば、マイクロニードルセンサーデバイス100の電極の電極プローブ構造は、銀(Ag)、金(Au)又は白金(Pt)のワイヤ若しくは膜、及び/又はカーボンペースト(CP)を含むことができる。
【0029】
電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の実施形態の例において使用される基材105は、電気絶縁材料、例えばプラスチック材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)など)などを含むことができる。基材105は、可撓性及び/若しくは屈曲性及び/若しくは伸縮性であり得、並びに/又は基材105は、例えば対象の皮膚への取り付けを介して、デバイス100の対象への取り付けを可能にするために、基材105の少なくとも片面上に接着剤を含むことができる。
【0030】
いくつかの実行例において、マイクロニードル構造の高さ(例えば、ベースから頂部)は、1mm~2mmの範囲、例えば、好ましくは約1.5mmであり得る。いくつかの実行例において、マイクロニードル構造の直径又は幅は200μm~500μmであり得る。マイクロニードル構造は、様々な間隔及び配置で間隔を空けることができ、これはマイクロニードルセンサーデバイス100の適用に基づいて選択することができる。いくつかの実行例において、マイクロニードル構造は、ベースからベースが数十ミクロン又は数百ミクロン離れて配置され、例えば、いくつかの実行例において、マイクロニードル構造は、頂部から頂部が約1mm離れて配置される。いくつかの実行例において、マイクロニードル構造は、直線状の配列で基材105上に配置されるが、いくつかの実行例において、マイクロニードル構造は、円形の配列、長方形の配列、三角形の配列又は任意の他のパターン若しくはパターンなしの配置で基材105上に配置される。
【0031】
マイクロニードル構造及び電極は、例えば、本出願の開示の一部としてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,737,247号に記載されるような他の配置で構成することができる。
【0032】
いくつかの実施形態の例において、特定の作用電極で適用される電気化学センシング技法に応じて、第2のマイクロニードル電極120及び第3のマイクロニードル電極130は1つ以上の機能付与材料を含むことができる。図1において、第2のマイクロニードル電極120は、電極プローブ構造127の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料125を含む。いくつかの実施形態において、機能付与材料125で機能付与された電極プローブ構造127は、マイクロニードル構造123の開口又は空洞内に位置することができる(例えば、少なくとも部分的に)。同様に、いくつかの実施形態において、第3のマイクロニードル電極130は、電極プローブ構造137の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料135を含む。いくつかの実施形態において、機能付与材料135で機能付与された電極プローブ構造137は、マイクロニードル構造133の開口又は空洞内に位置することができる。
【0033】
例えば、いくつかの実施形態において、同じ種類又は異なる種類の材料を、例えば異なる検出目的のために、マイクロニードル電極110、120及び130の電極プローブ構造117、127及び137をそれぞれ製造するために使用することができる。例えば、電極プローブ構造117は、マイクロニードル電極110のマイクロニードル構造113の内部内に組み込まれた金属のAg/AgClワイヤ(例えば、約500ミクロンの直径)を含むことができ、REの機能を果たすことができる。例えば、電極プローブ構造127は、マイクロニードル電極120のマイクロニードル構造123の空洞内に組み込まれた金ワイヤ(例えば、約500ミクロンの直径)を含むことができ、例えば、タンパク質バイオマーカーの検出のためのWEとして用いることができる。電極プローブ構造127の金ワイヤは、例えばパリレン(ポリ(パラ-キシレン)ポリマー)のコンフォーマルコーティングで絶縁され得る。パリレンコーティングは、Auワイヤのための、非常に均一で、ピンホールがなく、化学的耐性のある、例えば約30ミクロンの厚さのコーティングを作り出すことができる。パリレンコーティングは、例えばワイヤの電気的絶縁、化学的分離及び機械的保護を含む複数の目的を果たすことができる。電極プローブ構造127の金ワイヤのパリレンコーティングは、電気化学的測定の伝導のためのワイヤの再現可能な表面積を露出させるように構成することができる。
【0034】
標的分析物に特異的である(例えば可逆的な方法で、例えば標的分析物(例えば、バイオマーカー、例えばインスリン)に結合することができる)指数関数的富化(SELEX)手法によるリガンドの例えば系統的進化を使用して開発された高親和性のアプタマー配列は、例えば5'-チオール連結を介して、電極プローブ構造127のAuワイヤにつなぐことができる。アプタマー配列は、アプタマー配列の3'末端又は5'末端で、レドックスレポーター分子、例えばメチレンブルー又はアントラキノンで機能付与され得、その結果、標的バイオマーカーのアプタマー配列への選択的結合が、レドックスレポーターを電極プローブ構造127のAuワイヤの表面により近づけて、レポーター分子と電極プローブ構造127との間の電子移動を容易にするであろう。
【0035】
レドックスレポーター分子(例えば、メチレンブルー又はアントラキノン)によって機能付与されたアプタマーは、目的の化合物に特異的及び可逆的に結合することができ、電極に結合したアプタマーの立体構造のフォールディングが起こる。この結合が誘導するフォールディングは、目的の標的化合物の濃度に対応し、センサーデバイス100のアプタマー機能付与電極について実行される電気化学的検出技法、例えば方形波ボルタンメトリー(SWV)を使用して検出される、レドックス分子の電子移動特性の変化をもたらすことができる。異なるバイオマーカーの多重検出は、異なるレドックス特性を有する異なるレドックスレポーターでアプタマーを標識することにより、又は単一のレドックスタグの電流シグナルの空間的に局在化された測定によって、達成することができる。
【0036】
方形波ボルタンメトリー以外の電気化学的な検出様式又は測定技法を、センサーデバイス100のマイクロニードル作用電極120又は130のいずれかでの標的分析物の検出のために用いることができる。センサーデバイス100によって用いられ得る可能性がある電気化学的測定技法の中でも、以下のものを挙げることができる。
【0037】
電位差測定技法は、電気化学セルの開回路電位が直接測定されるものである。この電位は、参照電極(例えば、センサーデバイス100の参照電極110)と作用電極(例えば、センサーデバイス100の作用電極120又は作用電極130)との間で測定され得る。
【0038】
電位差測定技法は、セルの電位を制御しながら電流を測定する電流測定のファミリーの測定と対比される。例えば、クロノアンペロメトリーは、拡散律速反応を測定するための強力なツールである。クロノアンペロメトリーにおいて、電位は、測定の開始時に段階的であり、次いで、測定の間中、一定に保たれる。この刺激から生じる電流は時間の関数としてプロットされる。
【0039】
ボルタンメトリー技法は時間の関数として電位を変化させる。得られる電流は電位の関数としてプロットされる。例えば、サイクリックボルタンメトリー(CV)は、ある電圧範囲にわたって直線的にセルの電位をスイープするが、高速スキャンCV(FSCV)技法はこれを高速で行う。方形波ボルタンメトリー(SWV)は、階段関数にわたって重ね合わされた方形波を使用して、電位ごとに2つのサンプリングインスタンスを提供する走査測定を提供する。このサンプリング技法の結果として、非感応電流から生じる総電流への寄与が最小化される。CVのように、電流は電位の関数としてプロットされる。
【0040】
いくつかの実施形態において、マイクロニードル電極130の電極プローブ構造137は、マイクロニードル電極120の電極プローブ構造127と同じ又は同様の方法で、構造化することができる。電極プローブ構造137のAuワイヤにつながれたアプタマー配列は、電極プローブ構造127のAuワイヤにつながれたアプタマー配列に特異的である標的分析物と異なる分析物に結合するようなものにすることができる。例えば、電極プローブ構造137のAuワイヤにつながれたアプタマー配列はコルチゾールに結合するように構成することができる。インスリンと同様に、コルチゾールが重要な糖尿病関連バイオマーカーであることに留意されたい。そのため、デバイス100のマイクロニードル電極120は、第1の分析物(例えば、インスリン)を検出するように構成することができ、一方デバイス100のマイクロニードル電極130は、第1の分析物と異なる第2の分析物(例えば、コルチゾール)を検出するように構成することができる。
【0041】
デバイス100のある特定の実施形態において、電極プローブ構造127のアプタマー配列は、第1の種類のレドックスレポーター分子(例えば、メチレンブルー)で機能付与され得、一方電極プローブ構造137のアプタマー配列は、第1の種類のレドックスレポーター分子と異なる第2の種類のレドックスレポーター分子(例えば、アントラキノン)で機能付与され得る。他の実施形態において、電極プローブ構造127のアプタマー配列及び電極プローブ構造137のアプタマー配列は両方とも、同じ種類のレドックスレポーター分子(例えば、メチレンブルー又はアントラキノンのうちの1つ)で機能付与され得る。アプタマー配列に機能付与するために使用される異なる種類のレポーター分子は、異なる標的化合物の多重(同時又はその他の)測定を行うために使用することができる異なるレドックス特性を提供することができる。
【0042】
複雑な媒体、例えばISF中で作用する場合のデバイス100の可能性のある高い生物付着は、マイクロニードルセンサーデバイス100のマイクロニードル電極の電極プローブ構造に(外側の)ポリマー膜コーティング(例えば、ポリスルホン又は双性イオンポリマーコーティング)を適用することにより回避することができる。
【0043】
図2は、本技術による電子デバイス200と通信する図1の電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の実施形態の例を表すブロック図を示す。
【0044】
説明の簡素化のために、同じ参照番号が異なる図における一部の要素を特定するために使用されるが(例えば、図1及び2における電極110、120及び130)、これらの指定がこれらの要素が同一であることを必ずしも意味しないことが理解されることに留意すべきである。特に、要素の1つ以上の特性(例えば、物理的、化学的、電気化学的、材料、寸法など)が、本出願に開示される技術によるマイクロニードルセンサーデバイスの特定の構成に基づいて、及び/又はその所望の性能特性に基づいて、改変されることが企図される。
【0045】
様々な実施形態において、例えば、電子デバイス200は、センサーデバイス100の操作に関連するセンサーデバイス100の他の機能の中でも、制御、測定、及びモニタリング機能に影響を与え得る。いくつかの実行例において、電子デバイス200は、センサーデバイス100を組み込むか、又はそうでなければ、センサーデバイス100とインターフェース接続する、装着型の医療デバイスの電子ユニットに含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態において、電子ユニット200は、センサーデバイス100と同じ基材105上で構成され、それぞれの分析物の検出のための異なる電極又は異なる電極群を使用する標的分析物の多重(同時(並行)又は順次)検出を使用して、標的分析物(例えば、インスリン及びコルチゾール)の濃度を正確に検出するために実行されるオールインワンのセンサーパッチを可能にする。
【0046】
例えば、いくつかの実施形態において、電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100は、パッチ上に構成され、これは、モバイルのリモートのモニタリング適用のためにユーザーの皮膚に取り付け及び適合される。パッチは、センサーデバイス100、及び単一の基材(例えば、基材105)又は単一の転換可能なプラットフォーム上の電子デバイス200を統合し得る。
【0047】
図3は、電子デバイス200の実施形態の例のブロック図を示す。例えば、電子デバイス200は、センサーデバイス100の少なくとも1つの電極(又は、電極プローブ構造)に電気的に連結されるように構成することができる。例えば、電子デバイス200は、デバイス100の少なくとも1つの電極(又は、電極プローブ構造)にわたってシグナル(例えば、電圧及び/又は電流)を供給するように構成することができる。電子デバイス200は、例えば、センサーデバイス100の少なくとも1つの電極(又は、電極プローブ構造)によって生成した電気シグナル(例えば、電圧、電流)を受け取り及び処理するように構成することもできる。電子デバイス200は、デバイス100の1つ以上の電極(又は電極プローブ構造)からデバイス200によって得られるシグナルに基づいて、センサーデバイス100の少なくとも1つの電極(又は、電極プローブ構造)と接触しているISF及び/又は他の流体及び/又は身体組織中に存在する1つ以上の標的分析物の濃度を決定するようにさらに構成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、第1の標的分析物と異なる第2の標的分析物を検出するように構成されたデバイス100の電極(例えば、コルチゾールを検出するように構成された電極130)とは独立して、第1の標的分析物を検出するように構成されたデバイス100の電極(例えば、インスリンを検出するように構成された電極120)に対処する(例えば、これらの電極にわたってシグナルを適用するか、若しくはこれらの電極からシグナルを取得する、又はその両方)ことができる。例えば、電子デバイス200は、第1の標的分析物を検出するように構成されたデバイス100の電極に電気的接続を提供することができ、これらの接続は、第2の標的分析物を検出するように構成されたデバイス100の電極に電子デバイス200によって提供された電気的接続と独立するようにし得る。例えば、電子デバイス200は、同じ時(同時)ではあるが、異なる分析物に対応する電極に適用される、及び/又はそれから取得される電気シグナルが互いと混合されないような方法で、異なる分析物を検出するように構成される(異なる分析物に対応する)デバイス100の電極に対処することができる。あるいは、または言及したデバイス100の電極に対処する方法に加えて、電子デバイス200は、異なる分析物に対応するシグナルの混合物を提供し、次いでシグナルの混合物を処理してそれぞれの個々の分析物に対応する構成要素にそれを分離する方法で、異なる分析物に対応するデバイス100の電極からの電子シグナルを取得することができる。いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、第1の標的分析物に対応する電極が最初に対処され(例えば、これらの電極にわたって適用されるシグナル、若しくはこれらの電極から取得されるシグナル、又はその両方)、それに続いて第2の標的分析物に対応する電極が対処される(例えば、これらの電極にわたって適用されるシグナル、若しくはこれらの電極から取得されるシグナル、又はその両方)場合、順次、異なる分析物に対応するデバイス100の電極に対処することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、電子デバイス200の単一のシグナル源を使用して、異なる分析物に対応するデバイス100の電極にわたってシグナルを適用することができる。例えば、電子デバイス200の単一のシグナル源を使用して、第1の標的分析物(例えば、インスリン)に対応するデバイス100の1つ以上の電極にわたってシグナルを適用することができ(例えば、直接的に、又は例えば、レジスタ、コンデンサ、トランジスタ、ダイオードなどの1つ以上の受動的若しくは能動的電気素子により)、単一のシグナル源を使用して、第2の標的分析物(例えば、コルチゾール)に対応するデバイス100の1つ以上の電極にわたって同じ又は異なるシグナルを適用することもできる。いくつかの実行例において、電子デバイス200の単一のシグナル源は、異なる標的分析物に対応する電極を含むデバイス100の1つ以上の電極に同時に提供される(例えば、直接的に、又は1つ以上の受動的若しくは能動的電気素子により)シグナルを発生することができる。別の例として、電子デバイス200の単一のシグナル源は、第1の標的分析物を検出するように構成された電極に対応するシグナルを最初に発生し、次いで第2の標的分析物を検出するように構成された電極に対応するシグナルを発生することができる。他の実施形態において、電子デバイス200は、複数のシグナル源を含むことができ、異なるシグナル源を使用する異なる分析物に対応するデバイス100の電極にわたり、並行の方法で(例えば、実質的に同時に)、又は順次の方法で、シグナルを適用することができる。
【0050】
同様に、電子デバイス200は、デバイス100の電極から電気シグナルを取得するために使用することができる単一のデータ取得要素(例えば、アナログ-デジタルコンバーター(ADC))又は複数のデータ取得要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、第1の標的分析物に対応するデバイス100の電極から電気シグナルを取得するように構成された第1のデータ取得要素を含むことができ、電子デバイス200は、第2の標的分析物に対応するデバイス100の電極から電気シグナルを取得するように構成された第2のデータ取得要素を含むことができる。いくつかの実行例において、電子デバイス200は、第2のデータ取得要素を使用して第2の標的分析物に対応するデバイス100の電極からのシグナル取得を行うのと同時に(又は、いくつかの実行例において、実質的に同時に)、第1のデータ取得要素を使用して第1の標的分析物に対応するデバイス100の電極からのシグナル取得を行うことができる。他の実行例において、電子デバイス200は、データ取得要素を使用して第1の標的分析物に対応するデバイス100の電極からのシグナル取得を行い、それに続いて同じデータ取得要素を使用して第2の標的分析物に対応するデバイス100の電極からのシグナル取得を行うことができる。さらに他の実行例において、電子デバイス200は、データ取得要素を使用して第2の標的分析物に対応するデバイス100の電極からのシグナル取得を行うのと同時に、同じデータ取得要素を使用して第1の標的分析物に対応するデバイス100の電極からのシグナル取得を行うことができる。
【0051】
上記の例は、2つの異なる標的分析物を検出するように構成されたデバイス100の電極を含むが、本出願に開示される技術は、任意の数の標的分析物の検出に適用することができる。したがって、デバイス100は、任意の数の標的分析物を検出するように構成された任意の数の電極を有することができる。
【0052】
様々な実行例において、電子デバイス200は、ソフトウェアアプリケーション及びアルゴリズムを保存及び実行して、センサーデバイス100から電子デバイス200によって得られるシグナルを処理し、センサーデバイス100の様々な制御、例えばセンサーデバイス100の1つ以上の電極にわたる様々な電圧波形の適用等を実行するように動作可能である。様々な実施形態において、電子デバイス200は、携帯型のコンピューターデバイス、例えばモバイル通信デバイス、例えばスマートフォン、タブレット若しくはスマートウォッチ、グラスなどのような装着型デバイスとして実行することができ、及び/又は電子デバイス200は、固定されたコンピューターデバイス、例えばデスクトップコンピューターとして実行することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、データを処理するように構成されたプロセッサ220、データを保存するように構成されたプロセッサ220と通信するメモリ210、並びに電子デバイス200の他の要素、並びに例えばデバイス100及び/又は外部コンピューターデバイス、データストレージデバイス又は通信デバイスを含む様々なモジュール、ユニット又はデバイスにプロセッサ220及び/又はメモリ210をインターフェース接続するように構成されたインプット/アウトプット(I/O)通信インターフェース(又はユニット)230を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、I/Oユニット230は、デバイス100の少なくとも1つの電極と電気的にインターフェース接続される。いくつかの実行例において、I/O 230は、デバイス100の電極からI/O 230によって受信した電気シグナル(例えば、電流又は電圧)をプロセッサ220及び/又はメモリ210の内部のストレージによる処理に適切なデジタル形式に変換する、アナログ-デジタル(ADC)コンバーターを含む。いくつかの実行例において、I/O 230は、例えば、電極を使用して、上記に記載される電気化学的測定技法又は任意の他の電気化学的な測定若しくは検出技法のうちの1つを実行するために、メモリ210からプロセッサ220によって得られたデジタル波形をデバイス100の電極にわたって適用される電圧波形に変換する、デジタル-アナログ(DAC)コンバーターを含む。いくつかの実施形態において、I/Oユニット230は、プロセッサ220及び/又はメモリ210を、他の外部コンピューターデバイスを含む他のモジュール、ユニット又はデバイスにインターフェース接続することができる。
【0055】
例えば、プロセッサ220は、中央演算処理ユニット(CPU)又はマイクロコントローラユニット(MCU)又はグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含むことができる。例えば、メモリ210は、プロセッサ220によって実行される時に、様々な操作、例えば情報、コマンド及び/又はデータを受信する、情報、コマンド及び/又はデータを処理する、並びに情報、コマンド及び/又はデータを電子デバイス200の別の要素及び/又は電子デバイス200の外部の別のデバイスに送信又は提供するなどを行うように電子デバイス200を構成するプロセッサ実行コードを含み、保存することができる。
【0056】
いくつかの実行例において、電子デバイス200は、生データ又は処理データ(例えば、デバイス100の1つ以上の電極から電子デバイス200によって捕捉された電圧プロファイル)を、1つ以上のリモートコンピューター処理デバイス(例えば、サーバー)を含み得、かつ通信ネットワーク、例えばインターネット(そのようなコンピューターシステム又はネットワークは「クラウド内」に位置すると称される場合がある)を介してアクセス可能であり得るコンピューターシステム又はコンピューターネットワークに送信することができる。
【0057】
電子デバイス200の様々な機能をサポートするために、メモリ210は、情報及びデータ、例えば指示、ソフトウェア、値、電圧又は電流プロファイル、及びプロセッサ220によって処理又は参照される他のデータを保存することができる。例えば、様々な種類のランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、リードオンリーメモリ(ROM)デバイス、フラッシュメモリデバイス及び他の適切なストレージ媒体を使用して、メモリ210のストレージ機能を実行することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、I/Oユニット230は、無線通信インターフェース231、例えば保存及び/若しくは処理されたデータを送信するように構成された無線送信機、又はデータを送信及び受信するように構成された無線送受信機(Tx/Rx)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、I/Oユニット230は、例えば電子デバイス200の要素の間、及び電子デバイス200とデバイス100との間で電気シグナルを交換するために使用することができる無線通信インターフェース232を含むこともできる。I/Oユニット230は、典型的なデータ通信標準と適合する様々な種類の有線又は無線インターフェースを利用することができ、例えば、これは、Bluetooth、低エネルギーBluetooth、Zigbee、IEEE 802.11、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、無線広域ネットワーク(WWAN)、WiMAX、IEEE 802.16(ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX))、3G/4G/LTE/5Gセルラー通信方法、NFC(近距離無線通信)、及びパラレルインターフェースを含むが、それらに限定されない電子デバイス200の通信において使用することができる。いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、別のデバイスへのデータ転送の目的のため、及び別のデバイスからデータ(例えば、その操作の間にセンサーデバイス100の1つ以上の電極にわたって適用される電圧プロファイル)を受信するために、I/Oユニット230を使用する。
【0059】
いくつかの実施形態において、電子デバイス200は、表示ユニット240を含むか、又はそうでなければそれとインターフェース接続され、表示ユニットは、画像表示、例えば表示画面、聴覚表示、例えばスピーカー、又は任意の他の種類の表示、又はその組合せを含むことができる。
【0060】
電子デバイス200のI/Oユニット230は、プロセッサ220によって処理されるか、メモリ210に保存されるか、又は電子デバイス200若しくは外部デバイスのアウトプットユニット(例えば、表示ユニット240)において示され得るデータ及び情報を受信及び転送するために、他の外部インターフェース、データ源、データストレージデバイス及び/又は画像若しくは聴覚表示デバイスなどとのインターフェース接続され得る。例えば、表示ユニット240は、ソフトウェアアプリケーションのユーザーインターフェースを生じる画像表示、聴覚表示及び/又は他の感覚表示を提供するために、例えばI/Oユニット230を介して電子デバイス200とデータ通信するように構成することができる。いくつかの例において、表示ユニット240は、例えば、発光ダイオード(LED)、又は液晶ディスプレイ(LCD)モニター若しくはスクリーン、画像表示としてのブラウン管(CRT)、聴覚表示としての音声シグナルトランスデューサー装置、及び/或いはトナー、液体インクジェット、固体インク、昇華型染料、インクレス(例えば、熱又はUVなど)の印刷装置などを含むがそれらに限定されない、様々な種類のスクリーン表示、スピーカー又は印刷インターフェースを含むことができる。
【0061】
図4は、本明細書に開示される技術による2つの異なる分析物のセンシングのためのマイクロニードルに基づく作用電極の少なくとも2つの群を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の実施形態の例を表すブロック図を示す。図4に示されるように、電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100は、作用電極120(図4における「WE-1」)の群122を有することができ、群122における各電極は、例えばアプタマー支援電気化学的検出方法を使用して、ISF中の第1の標的分析物(例えば、インスリン)の濃度を測定するように構成される。また図4において示されるように、電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100は、作用電極130(図4における「WE-2」)の群132を有することができ、群132における各電極は、例えばアプタマー支援電気化学的検出方法を使用して、ISF中の第1の標的分析物と異なる第2の標的分析物(例えば、コルチゾール)の濃度を測定するように構成される。図4においてさらに示されるように、電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100は電極110の群112を有することができ、群112における各電極は、電極122又は132の群のいずれかにおける任意の電極又は複数の電極と協力して、参照電極(RE)として又は対電極(CE)として使用されるように構成することができる。電極群112、122又は132は、図4に示されるこれらの群における電極の数と異なり得る任意の数の対応する電極を有することができる。
【0062】
図5は、本技術による異なる標的分析物の多重センシングのための少なくとも3つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の別の実施形態の例を表すブロック図を示し、ここで3つのマイクロニードルに基づく作用電極は、マイクロニードルに基づく参照電極及び/又は対電極に近接して基材上に配置される。図5におけるブロック図に示されるように、デバイス100は、1つ以上の分析物の電気化学センシングのために、参照電極RE及び/又は対電極CEとして構成される第1のマイクロニードル電極110を含むことができ、ここで電極110は基材105上に配置される。デバイス100は、基材105上にそれぞれ配置される、第1の作用電極WE-1として構成される第2のマイクロニードル電極120、第2の作用電極WE-2として構成される第3のマイクロニードル電極130、及び第3の作用電極WE-3として構成される第4のマイクロニードル電極140を含むことができる。電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100のマイクロニードル電極110、120、130及び140のそれぞれは、以前に記載したように、マイクロニードル構造及び電極プローブ構造を含む。図5は、マイクロニードル電極110、120、130及び140のマイクロニードル構造113、123、133及び143をそれぞれ示す。様々な実施形態の例において、電極110、120、130又は140のいずれかの電極プローブ構造は、それぞれの電極のマイクロニードル構造の内部内又は開口若しくは空洞内に配置され得る(例えば、少なくとも部分的に)。他の実施形態において、電極110、120、130又は140のいずれかの電極プローブ構造は、開口又は空洞を有していない対応する電極のマイクロニードル構造に取り付けられ得るか、又はそうでなければそれに組み込まれ得る。図5は、マイクロニードル電極110、120、130及び140の電極プローブ構造117、127、137及び147をそれぞれ示す。
【0063】
いくつかの実施形態において、例えば、特定の作用電極で適用される電気化学センシング技法に応じて、第2のマイクロニードル電極120、第3のマイクロニードル電極130及び第4のマイクロニードル電極140は1つ以上の機能付与材料を含むことができる。図5において、第2のマイクロニードル電極120は、電極プローブ構造127の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料125を含む。同様に、いくつかの実施形態において、第3のマイクロニードル電極130は、電極プローブ構造137の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料135を含む。また、いくつかの実施形態において、第4のマイクロニードル電極140は、電極プローブ構造の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料145を含む。
【0064】
例えば、いくつかの実行例において、機能付与材料125は、アプタマー-分析物結合複合体が、電気シグナルとして電極120で検出される機能付与材料125の立体構造の変化を引き起こすような、生物流体中の分析物、例えばISF中のインスリンを受け取ることができる立体構造を有するように設計されたアプタマーを含むことができる。機能付与材料125は、例えばレドックスレポーター分子、例えばメチレンブルー又はアントラキノンを含むことができる。検出された電気シグナルの処理は、生物流体(例えば、ISF)中の分析物(例えば、インスリン)の濃度又はレベルについての情報を提供することができる。同様に、いくつかの実行例において、機能付与材料135は、アプタマー-分析物結合複合体が、電気シグナルとして電極130で検出される機能付与材料135の立体構造の変化を引き起こすような、生物流体中の別の分析物、例えばISF中のコルチゾールを受け取ることができる立体構造を有するように設計されたアプタマーを含むことができる。機能付与材料135は、例えば機能付与材料125中に含まれるものと同じ種類のレドックスレポーター分子(例えば、メチレンブルー又はアントラキノン)を含むことができ、又は機能付与材料135は、異なる種類のレドックスレポーター分子を含むことができる。
【0065】
例えば、いくつかの実行例において、マイクロニードル電極140の電極プローブ構造147は、生体触媒145、例えば酵素、例えばグルコースオキシダーゼ(GOx)、又は例えば電解ポリマー(electropolymeric)封入を介して電極140に取り付けられ得る他のもので機能付与され得る。酵素(例えば、GOx)は、生物流体(例えば、ISF又は血液)又は身体組織中に存在する標的分析物(例えば、グルコース)に特異的であるように構成することができる。そのような実施形態において、例えば標的分析物(例えば、グルコース)の酵素に基づく検出は、機能付与されたマイクロニードル電極140を使用して行うことができる。他の実行例において、標的分析物の非酵素検出は、例えば電極プローブ構造147がグラフェン膜機能付与材料145によって少なくとも部分的に覆われた金属(例えば、金)ワイヤを含む電極140を使用して行うことができる。さらに他の実施形態において、電極140の機能付与材料145は、電極140でケトン体の検出を可能にするβ-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBD)酵素を含むことができる。別の例として、機能付与材料145は、バインダー(例えば、油)、及び標的分析物(例えば、グルコース又はケトン体)に特異的である酵素と一緒に、カーボン(例えば、グラファイト)粉末を含むことができる。さらに別の例として、機能付与材料145は、標的分析物の非酵素型の検出を使用して検出シグナルを増強するようにそこに埋め込まれた触媒の金属ナノ粒子を有するカーボンペーストに基づく機能付与材料を含むことができる。図5に表されるマイクロニードルセンサーデバイス100の機能付与材料125、135及び145は、前に記載された機能付与材料、又は上記に記載された電気化学的測定技法のいずれかを使用する機能付与された電極120、130及び/又は140のいずれかでの標的分析物の検出に適切な任意の他の機能付与材料のいずれかを含むことができる。
【0066】
上記で言及された標的分析物が、ある特定の疾患、例えば糖尿病に関連するバイオマーカー、又は身体の1つ以上の生理学的システム及び/若しくは器官の状態を示す共通の性質を共有することができることに留意されたい。
【0067】
図6は、本出願に開示される技術による異なる標的分析物の多重センシングのための少なくとも4つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の別の実施形態の例を表すブロック図を示し、ここで4つのマイクロニードルに基づく作用電極は、マイクロニードルに基づく参照電極及び/又は対電極に近接した基材上に配置される。図6の図に示されるように、デバイス100は、標的分析物の電気化学センシングのために、参照電極RE及び/又は対電極CEとして構成される第1のマイクロニードル電極110を含むことができ、ここで電極110は基材105上に配置される。デバイス100は、基材105上にそれぞれ配置される、第1の作用電極WE-1として構成される第2のマイクロニードル電極120、第2の作用電極WE-2として構成される第3のマイクロニードル電極130、第3の作用電極WE-3として構成される第4のマイクロニードル電極140、及び第4の作用電極WE-4として構成される第5のマイクロニードル電極150も含むことができる。電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100のマイクロニードル電極110、120、130、140及び150のそれぞれは、以前に記載したように、マイクロニードル構造及び電極プローブ構造を含むことができる。図6に示されるマイクロニードル電極110、120、130、140及び150は、マイクロニードル構造113、123、133、143及び153をそれぞれ有する。様々な実施形態の例において、電極プローブ構造は、それぞれのマイクロニードル構造の内部内又は開口若しくは空洞内に配置され得る。図6に示されるマイクロニードル電極110、120、130、140及び150は、電極プローブ構造117、127、137、147及び157をそれぞれ有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、例えば、特定の作用電極で適用される電気化学センシング技法に応じて、第1の作用電極120、第2の作用電極130、第3の作用電極140及び第4の作用電極150は1つ以上の機能付与材料を含むことができる。図6において、第1の作用電極120は、電極プローブ構造127の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料125を含む。同様に、いくつかの実施形態において、第2の作用電極130は、電極プローブ構造137の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料135を含む。また、いくつかの実施形態において、第3の作用電極140は、電極プローブ構造147の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料145を含む。同様に、いくつかの実施形態において、第4の作用電極150は、電極プローブ構造157の少なくとも一部に配置されたか、又はそれと統合された機能付与材料155を含む。
【0069】
図6に表されるマイクロニードルセンサーデバイス100の機能付与材料125、135、145及び155は、上記に記載された機能付与材料、又は標的分析物の検出に適切な任意の他の機能付与材料のいずれかを含むことができ、これは、上記で言及された電気化学的測定技法のいずれかを使用する機能付与された作用電極120、130、140及び/又は150のいずれかで身体のある特定の状態(例えば、糖尿病)を評価することに関する情報を提供することができる。例えば、電極140の機能付与材料145は、標的分析物(例えば、インスリン)の抗体に基づく検出を可能にすることができ、電極150の機能付与材料155は、同じ標的分析物(インスリン)のアプタマーに基づく検出を提供することができる。
【0070】
実行例において、機能付与材料145は、生物流体中の分析物の濃度を検出するための電気化学的イムノアッセイ(例えば、無標識イムノアッセイを含む)を容易にするように構成される。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物の多重センシングのために少なくとも3つ又は4つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100は、機能付与された電極プローブ構造147が電極140のマイクロニードル構造143の2つの開口の間に広がるチャネルとして形成される中空内部に配置されるマイクロニードル電極140を含む。チャネル内では、電極プローブ構造147は、電極プローブ構造147に連結された自己集合単分子層(SAM)に共有結合的に接続された捕捉抗体(例えば、抗分析物捕捉抗体及び/又は検出抗体)を含む機能付与材料145で機能付与される。チャネルは、流体(例えば、ISF)が、機能付与されたイムノアッセイ電極が検出可能な反応を容易にするために付随して存在するマイクロニードル構造の内部内でチャネルを通って流れることを可能にする。いくつかの実行例において、抗分析物抗体機能付与材料145は、(例えば、分析物(例えば、インスリン)の捕捉抗体への共有結合的な付着及び/又はその後の検出抗体の結合の後に)作用電極での検出のために標的分析物と相互作用することができる。イムノアッセイ反応は、電極140で検出される電気シグナルを引き起こすことができる。
【0071】
図7は、本出願に開示される技術による異なる標的分析物の多重センシングのための少なくとも4つのマイクロニードルに基づく作用電極を有する電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100の実施形態の例を図示する。図7に示されるデバイス100の4つのマイクロニードルに基づく作用電極は、基材上に配置され、やはり同じ基材上に配置されるマイクロニードルに基づく参照電極及び/又は対電極に近接して位置する。図7に示されるように、デバイス100は、1つ以上の標的分析物の電気化学センシングのために、参照電極RE及び/又は対電極CEとして構成される第1のマイクロニードル電極110を含み、ここで電極110は基材105上に配置される。デバイス100は、第1の作用電極WE-1として構成される第2のマイクロニードル電極120、第2の作用電極WE-2として構成される第3のマイクロニードル電極130、第3の作用電極WE-3として構成される第4のマイクロニードル電極140、及び第4の作用電極WE-4として構成される第5のマイクロニードル電極150も含む。マイクロニードル電極120、130、140及び150の各電極も基材105上に配置される。図7に示される電気化学マイクロニードルセンサーデバイス100のマイクロニードル電極110、120、130、140及び150のそれぞれは、マイクロニードル構造及び電極プローブ構造を含む。例えば、マイクロニードル構造及び/又は電極プローブ構造のいずれかは以前に記載されたもののいずれかであり得る。図7に示されるマイクロニードル電極110、120、130、140及び150は、マイクロニードル構造113、123、133、143及び153をそれぞれ有する。図7に示されるように、マイクロニードル電極110、120、130、140及び150の電極プローブ構造117、127、137、147及び157はそれぞれ、マイクロニードル構造の内部内、又はマイクロニードル構造113、123、133、143及び153の開口若しくは空洞内にそれぞれ配置される。
【0072】
いくつかの実施形態において、例えば、特定の作用電極で適用される電気化学センシング技法に応じて、第1の作用電極120、第2の作用電極130、第3の作用電極140及び第4の作用電極150は1つ以上の機能付与材料を含むことができる。図6において、第1の作用電極120は、電極プローブ構造127の少なくとも一部に配置されたか、若しくはそれと統合された、及び/又はマイクロニードル構造123の開口若しくは空洞内に少なくとも部分的に配置された、機能付与材料125を含む。同様に、いくつかの実施形態において、第2の作用電極130は、電極プローブ構造137の少なくとも一部に配置されたか、若しくはそれと統合された、及び/又はマイクロニードル構造133の開口若しくは空洞内に少なくとも部分的に配置された、機能付与材料135を含む。また、いくつかの実施形態において、第3の作用電極140は、電極プローブ構造147の少なくとも一部に配置されたか、若しくはそれと統合された、及び/又はマイクロニードル構造143の開口若しくは空洞内に少なくとも部分的に配置された、機能付与材料145を含む。同様に、いくつかの実施形態において、第4の作用電極150は、電極プローブ構造157の少なくとも一部に配置されたか、若しくはそれと統合された、及び/又はマイクロニードル構造153の開口若しくは空洞内に少なくとも部分的に配置された、機能付与材料155を含む。
【0073】
図7に表されるマイクロニードルセンサーデバイス100の機能付与材料125、135、145及び155は、上記に記載された機能付与材料、又は標的分析物の検出に適切な任意の他の機能付与材料のいずれかを含むことができ、これは、上記で言及された電気化学的測定技法のいずれかを使用する機能付与された作用電極120、130、140及び/又は150のいずれかで身体のある特定の状態(例えば、糖尿病)に関する情報を提供することができる。
【0074】
図7に示されるマイクロニードルセンサーデバイス100の実施形態は、全てが基材105に組み込まれている単一のマイクロニードルアレイパッチにおいて、コルチゾール、インスリン、グルコース及びケトン体のリアルタイム測定のために構成される。最初の2つの分析物(コルチゾール及びインスリン)の濃度は、立体構造依存性アプタマーの可逆的結合により追跡され、残りの2つの分析物であるグルコース及びケトン体の濃度は、それぞれ、グルコースオキシダーゼ(GOx)及びβ-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBD)の酵素の存在下でこれらの分子の特異的な生体触媒レドックス反応を使用してモニターされる。4つの重要な糖尿病関連マーカーのそのような多重同時モニタリングは、単一のマーカーのモニタリングと比較して、増強された血糖管理に向けて患者の健康状態のより包括的な理解を提供することができる。デバイス100の他の実施形態は、代謝産物、例えばアルコール、グルタミン酸、乳酸などと組み合わせて、並びに様々な電解質、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどの電位差測定に基づく検出と組み合わせて、例えばインターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF)、C反応性タンパク質(CRP)などのタンパク質を含む他の疾患バイオマーカーの測定を提供することができる。
【0075】
図7に示されるマイクロニードルセンサーデバイス100は、4つの中空のマイクロニードルに基づく作用電極120、130、140及び150を含む。右の2つのAuワイヤ統合マイクロニードル電極120及び130は、それぞれ、コルチゾール特異的アプタマー及びインスリン特異的アプタマーで機能付与され、左の2つの中空のマイクロニードル電極140及び150は、カーボンペーストマトリックスで充填され、それぞれケトン体及びグルコースのための作用電極として作用する。Ag/AgClワイヤ統合マイクロニードルに基づく電極110は共通の(common)参照電極である。電極110は、作用電極の間の中央に示される。センサーデバイスの電極の他の相対的な配置も同様に可能である。
【0076】
図7に示されるケトン体の濃度をモニタリングするためのカーボンペーストで満たされたマイクロニードル電極140は、適切なメディエーターのカーボンペースト中への組み込み、それに続いて安定なHBD/NAD+酵素/補因子の閉じ込め、及びケトン体の連続的なモニタリングを可能にする外側のポリマー膜の液滴キャスティングにより構築され得る。
【0077】
同様に、図7に示され、グルコース濃度のモニタリングのために使用されるカーボンペーストで満たされたマイクロニードル電極150は、固定化されたグルコースオキシダーゼ(GOx)酵素、及びプルシアンブルー(PB)で修飾されたグラファイト/鉱油カーボンペースト上に生成した過酸化水素(H2O2)の還元に依拠する。GOx酵素及びPBは、流体マトリックス中で長時間使用される間の浸出の問題なく、カーボンペースト中に容易に組み込むことができる。
【0078】
図8は、電気化学センシングデバイスを製造する方法200の実施形態の例を図示する。方法200は基材を準備するステップ210を含む。方法200は、少なくとも2つのマイクロニードルを基材に連結するステップ220をさらに含む。
【0079】
開示される技術の一態様は、基材及び基材に連結された少なくとも2つのマイクロニードルを含むデバイスであって、少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルが、突出したニードル構造及び電極プローブ構造を含み、突出したニードル構造が基材の表面から外側へ延びている外壁を含み、外壁が、突出したニードル構造の内部体積を取り囲み、外壁の終端で頂部を形成し、電極プローブ構造が、電極プローブ構造と接触する生物流体中の1つ以上の化学的又は生物学的物質に応答してシグナルを生成するように構成され、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能であり、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造が、電気化学的対電極又は電気化学的参照電極として動作可能である、デバイスに関する。
【0080】
いくつかの実施形態の例において、電極プローブ構造は、突出したニードル構造に組み込まれるか、又はそれに取り付けられる。ある特定の実施形態の例において、アプタマー配列は5'-チオールを介して第1のマイクロニードルの電極プローブ構造につながれる。他の実施形態の例において、アプタマー配列はレドックスレポーター分子で機能付与される。ある特定の実施形態の例によれば、レドックスレポーター分子はメチレンブルーである。他の実施形態の例によれば、レドックスレポーター分子はアントラキノンである。実施形態の例において、機能付与はアプタマー配列の3'末端においてである。別の実施形態の例において、機能付与はアプタマー配列の5'末端においてである。
【0081】
いくつかの実施形態の例において、デバイスは、少なくとも2つの電気伝導チャネルを含み、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける各チャネルは、少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造に電気的に連結されて、電極プローブ構造からシグナルを送信するか、又は電極プローブ構造に制御シグナルを適用する。他の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第3のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第2の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第3のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第2の電気化学的検出技法を使用する第2の分析物の検出のための作用電極として動作可能である。さらに別の実施形態の例において、第2の分析物は第1の分析物と異なる。実施形態の例によれば、第2の電気化学的検出技法は第1の電気化学的検出技法と異なる。
【0082】
ある特定の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおける少なくとも1つのマイクロニードルについて、マイクロニードルの突出したニードル構造の内部体積は内壁によって規定された中空内部を含み、マイクロニードルの突出したニードル構造の外壁は中空内部への開口を含み、マイクロニードルの電極プローブ構造は中空内部内に少なくとも部分的に配置される。さらに別の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造は金属膜を含む。いくつかの実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造は金属ワイヤを含む。ある特定の実施形態の例によれば、金属は金である。他の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造は銀/塩化銀(Ag/AgCl)を含む。
【0083】
さらに他の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第4のマイクロニードルの電極プローブ構造は電極プローブ構造の表面にコーティングを含み、コーティングは第1の酵素で機能付与され、コーティングは第3の分析物と相互作用するように構成され、第4のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第3の電気化学的検出技法を使用する第3の分析物の検出のための作用電極として動作可能である。いくつかの実施形態の例によれば、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第5のマイクロニードルの電極プローブ構造は電極プローブ構造の表面にコーティングを含み、コーティングは第2の酵素で機能付与され、コーティングは第4の分析物と相互作用するように構成され、第5のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第4の電気化学的検出技法を使用する第4の分析物の検出のための作用電極として動作可能である。ある特定の実施形態の例において、第2の酵素は第1の酵素と異なる。
【0084】
他の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第6のマイクロニードルの電極プローブ構造は電極プローブ構造の表面にコーティングを含み、コーティングはイオノフォア受容体で機能付与され、コーティングは第5の分析物と相互作用するように構成され、第6のマイクロニードルの電極プローブ構造は、第5の電気化学的検出技法を使用する第5の分析物の検出のための作用電極として動作可能であり、第5の分析物は電解質である。いくつかの実施形態の例において、第1、第2、第3及び第4の電気化学的検出技法からの任意の電気化学的検出技法は、サイクリックボルタンメトリー技法、高速スキャンサイクリックボルタンメトリー技法、方形波ボルタンメトリー技法、電位差測定技法又はクロノアンペロメトリー技法のうちの1つである。ある特定の実施形態の例において、第5の電気化学的検出技法は、サイクリックボルタンメトリー技法、高速スキャンサイクリックボルタンメトリー技法、方形波ボルタンメトリー技法、電位差測定技法又はクロノアンペロメトリー技法のうちの1つである。
【0085】
他の実施形態の例において、少なくとも2つのマイクロニードルにおける少なくとも1つのマクロニードルの電極プローブ構造はコンフォーマルコーティングを含む。いくつかの実施形態の例によれば、コンフォーマルコーティングは電気絶縁性ポリマー又は誘電材料を含む。実施形態の例において、コンフォーマルコーティングは、ポリ(p-キシレン)ポリマー、ポリエチレンイミンポリマー又はSiO2のうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態の例において、第1の分析物はタンパク質である。実施形態の例によれば、タンパク質はサイトカインである。さらに別の実施形態の例において、タンパク質は、インスリン、インターロイキン-6タンパク質、腫瘍壊死因子タンパク質又はC反応性タンパク質のうちの1つである。いくつかの実施形態の例において、第3の分析物は小分子化合物である。他の実施形態の例において、第4の分析物は小分子化合物である。ある特定の実施形態の例によれば、小分子化合物は、ラクトース、乳酸、アルコール、グルコース、グルタミン酸又はケトン体のうちの1つである。他の実施形態の例において、第1の分析物は薬剤である。いくつかの実施形態の例において、第1の分析物はコルチゾールであり、第2の分析物はインスリンである。他の実施形態の例において、第1の酵素はグルコースオキシダーゼであり、第3の分析物はグルコースである。さらに他の実施形態の例において、第2の酵素はβ-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼであり、第4の分析物はケトン体である。ある特定の実施形態の例によれば、電解質は、ナトリウム、カリウム又はリチウムのうちの1つである。他の実施形態の例によれば、第3の分析物は第1の分析物と異なり、第3の分析物は第2の分析物と異なる。いくつかの実施形態の例において、第4の分析物は第1の分析物と異なり、第4の分析物は第2の分析物と異なり、第4の分析物は第3の分析物と異なる。他の実施形態の例において、デバイスはヒトの皮膚上に配置されるように構成される。
【0086】
開示される技術の別の態様は、電気化学センシングデバイスを製造する方法であって、基材を準備するステップ、及び少なくとも2つのマイクロニードルを基材に連結するステップを含み、少なくとも2つのマイクロニードルにおける各マイクロニードルが、突出したニードル構造、及び電極プローブ構造を含み、突出したニードル構造が基材の表面から外側へ延びている外壁を含み、外壁が、突出したニードル構造の内部体積を取り囲み、外壁の終端で頂部を形成し、電極プローブ構造が、電極プローブ構造と接触する生物流体中の1つ以上の化学的又は生物学的物質に応答してシグナルを生成するように構成され、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の分析物に特異的であるアプタマー配列を含み、第1のマイクロニードルの電極プローブ構造が、第1の電気化学的検出技法を使用する第1の分析物の検出のための作用電極として動作可能であり、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造が、電気化学的対電極又は電気化学的参照電極として動作可能である、方法に関する。
【0087】
開示される技術のさらに別の態様は、電気化学に基づくセンシングの方法であって、本出願に開示される技術によるデバイスを準備するステップであって、デバイスが少なくとも2つの電気伝導チャネルを含み、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける各チャネルが、デバイスの少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造に電気的に連結されて、電極プローブ構造からシグナル(センシングシグナル、例えば生物流体又は組織中の化合物に応答して発生するシグナル)を送信するか、又は電極プローブ構造に制御シグナルを適用するステップを含む方法に関する。方法は、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける第1の電気伝導チャネルを使用して、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造からシグナルを送信するステップをさらに含む。
【0088】
開示される技術の態様は、電気化学に基づくセンシングの方法であって、本出願に開示される技術によるデバイスを準備するステップであって、デバイスが少なくとも2つの電気伝導チャネルを含み、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける各チャネルが、デバイスの少なくとも2つのマイクロニードルにおけるマイクロニードルの電極プローブ構造に電気的に連結されて、電極プローブ構造からシグナル(例えば、センシングシグナル、例えば生物流体又は組織中の化合物に応答して発生するシグナル)を送信するか、又は電極プローブ構造に制御シグナルを適用するステップを含む方法に関する。方法は、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける第1の電気伝導チャネルを使用して、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第1のマイクロニードルの電極プローブ構造に第1の制御シグナルを適用するステップをさらに含む。方法は、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける第2の電気伝導チャネルを使用して、少なくとも2つのマイクロニードルにおける第2のマイクロニードルの電極プローブ構造からシグナルを送信するステップも含む。いくつかの実行例において、電気化学に基づくセンシングの方法は、第2のマイクロニードルの電極プローブ構造から送信されたシグナルを使用して分析物の濃度を決定するステップをさらに含む。
【0089】
電気化学に基づくセンシングの方法のいくつかの実施形態の例において、第1のマイクロニードル及び第2のマイクロニードルは、少なくとも2つのマイクロニードルにおける同じマイクロニードルを指す。方法の他の実施形態の例において、第1のマイクロニードル及び第2のマイクロニードルは、少なくとも2つのマイクロニードルにおける異なるマイクロニードルを指す。方法のさらに他の実施形態の例において、第1の電気伝導チャネル及び第2の電気伝導チャネルは、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける同じ電気伝導チャネルを指す。方法のある特定の実施形態の例において、第1の電気伝導チャネル及び第2の電気伝導チャネルは、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける異なる電気伝導チャネルを指す。方法のいくつかの実施形態の例によれば、少なくとも2つの電気伝導チャネルにおける電気伝導チャネルは、導電性材料で作られたワイヤ又は回路基板上の微量の導電性材料である。
【0090】
本明細書は、図面と一緒に、例示のみと見なされることが意図され、ここで、例示は例を意味する。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に他を指示しない限り、同様に複数形を含むことが意図される。加えて、「又は」の使用は、文脈が明確に他を指示しない限り、「及び/又は」を含むことが意図される。
【0091】
本出願は多くの詳述を含むが、これらは、任意の発明の範囲又は特許請求の範囲に記載され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈において本出願に記載されるある特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実行することもできる。反対に、単一の実施形態の文脈に記載される様々な特徴は、複数の実施形態で別個に、又は任意の適切な下位組合せで実行することもできる。また、特徴は、ある特定の組合せで作用するものとして上記に記載され、最初にそのように特許請求の範囲に記載さえされ得るが、特許請求の範囲に記載された組合せからの1つ以上の特徴は、いくつかの場合では、組合せから削除され得、特許請求の範囲に記載された組合せは、下位組合せ又は下位組合せの変更に対するものであってもよい。
【0092】
同様に、操作が図面において特定の順序で表されているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような操作が特定の示された順序又は順次的な順序で行われること、又はすべての図示された操作が行われることが必要であるとして理解されるべきではない。また、本出願に記載される実施形態における様々なシステムの構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離が必要であるとして理解されるべきではない。
【0093】
様々な開示される実施形態が、様々な光学的構成要素、電子機器並びに/又はソフトウェアモジュール及び構成要素で構成されるデバイスにおいて、個々に又は集合的に実行され得ることが理解される。例えば、これらのデバイスは、プロセッサ、メモリユニット、互いを通信可能に接続するインターフェースを含んでいてもよく、デスクトップ及び/又はラップトップコンピューターからモバイルデバイスなどまでの範囲であり得る。プロセッサ及び/又は制御装置は、ストレージ媒体に保存されたプログラムコードの実行に基づいて様々な開示される操作を行うことができる。プロセッサ及び/又は制御装置は、例えば、他の実体、デバイス及びネットワークとの通信回線を通して、少なくとも1つのメモリ、及びデータ及び情報の交換を可能にする少なくとも1つの通信ユニットと直接的又は間接的に通信することができる。通信ユニットは、1つ以上の通信プロトコールにより有線及び/又は無線通信能力を提供し得、したがって、これは、適した送信機/受信機アンテナ、電気回路及びポート、並びにデータ及び他の情報の適した送信及び/又は受理のために必要であり得る符号化/解読能力を含み得る。例えば、プロセッサは、記載されるセンサー(例えば、CMOSセンサー)から電気シグナル又は情報を受信するように、及び受信した情報を処理して目的の画像又は他の情報を生成するように、構成されていてもよい。
【0094】
本明細書に記載される様々な情報及びデータ処理操作は、一実施形態において、ネットワーク化された環境においてコンピューターによって実行されるコンピューター実行可能命令、例えばプログラムコードを含むコンピューター可読媒体に埋め込まれたコンピュータープログラム製品によって実行されてもよい。コンピューター可読媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)などを含むがそれらに限定されないリムーバブル及び非リムーバブルストレージデバイスを含み得る。したがって、本出願に記載されるコンピューター可読媒体は非一時的ストレージ媒体を含む。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを行うか、又は特定の抽象データ型を実行するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含んでいてもよい。コンピューター実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を表す。そのような実行可能命令又は関連するデータ構造の特定の配列は、そのようなステップ又はプロセスに記載される機能を実行するための対応する作用の例を表す。
【0095】
少数の実行及び例のみが記載されており、他の実行例、強化及び変形は、本明細書に記載及び図示されているものに基づいて行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】