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特表2023-506247磁気ミニチュアデバイスおよびそれを遠隔操縦するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】磁気ミニチュアデバイスおよびそれを遠隔操縦するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20230208BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20230208BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B34/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536549
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 US2020065207
(87)【国際公開番号】W WO2021126905
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/948,472
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519392030
【氏名又は名称】バイオナット ラブス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロス、フローレント
(72)【発明者】
【氏名】シュピゲルマッハー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キセリョフ、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、ダレル
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】サルキシャン、ホヴハンネス
(57)【要約】
外部磁場による操作下で患者内で操縦され、事前定義された機能を選択的に実行するように構成されたミニチュアデバイスが提供されている。ミニチュアデバイスは、内部に内部空洞を画定するシェルと、空洞内に配置された磁気装置と、を備える。ミニチュアデバイスは、磁気装置が、回転磁場内で、患者内のミニチュアデバイスの機能および推進の実行のうちの一方をもたらし、磁場勾配内で、患者内のミニチュアデバイスの機能および推進の実行のうちの他方をもたらすように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部磁場による操作下で患者体内で操縦され、事前定義された機能を選択的に実行するように構成されたミニチュアデバイスであって、
内部に内部空洞を画定するシェルと、
前記空洞内に配置された磁気装置と、を備え、
前記磁気装置は、
回転磁場内では、前記患者体内の前記ミニチュアデバイスの前記機能および推進の実行のうちの一方をもたらし、
磁場勾配内では、前記患者体内の前記ミニチュアデバイスの前記機能および推進の実行のうちの他方をもたらすように構成されている、ミニチュアデバイス。
【請求項2】
ペイロードをさらに備え、
前記機能の前記実行は、前記ペイロードの放出を含む、請求項1に記載のミニチュアデバイス。
【請求項3】
ツールをさらに備え、
前記機能の前記実行は、前記ツールを作動させることを含む、請求項2に記載のミニチュアデバイス。
【請求項4】
前記磁気装置は、
回転磁場内では、前記患者体内の前記ミニチュアデバイスの前記推進をもたらし、
磁場勾配内では、前記機能の前記実行をもたらすように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のミニチュアデバイス。
【請求項5】
前記シェルは、駆動軸に沿って延在する細長い部材として形成され、前記駆動軸の周りにらせん状に前記シェルの外表面に形成された駆動ねじ山を備え、
前記磁気装置は、前記磁気装置の内表面に堅固に接続され、前記磁気装置の磁気モーメントのベクトルが前記駆動軸に対して横方向に配置されるように配置された推進磁石を備える、請求項4に記載のミニチュアデバイス。
【請求項6】
前記駆動ねじ山は、前記ミニチュアデバイスの前部端部にテーパー状部分を備える、請求項5に記載のミニチュアデバイス。
【請求項7】
前記磁気装置は、前記内部空洞および出口内にスライド可能に配置可能な排出磁石をさらに備え、
前記ペイロードは、前記排出磁石と前記出口との間に配置されている、
請求項2に従属する場合の求項4~6のいずれか一項に記載のミニチュアデバイス。
【請求項8】
駆動磁石と前記排出磁石との間に配置されたスペーサーをさらに備える、請求項7に記載のミニチュアデバイス。
【請求項9】
前記磁気装置は、
磁場勾配内では、前記患者体内の前記ミニチュアデバイスの前記推進をもたらし、
回転磁場内では、前記機能の前記実行をもたらすように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のミニチュアデバイス。
【請求項10】
前記シェルは、前部端部と後部端部との間の駆動軸に沿って延在する細長い部材として形成され、
前記ミニチュアデバイスは、前記機能の前記実行を容易にするように構成された作動機構をさらに備える、請求項9に記載のミニチュアデバイス。
【請求項11】
前記作動機構は、前記患者体内の前記ミニチュアデバイスの前記推進を容易にするようにさらに構成されている、請求項10に記載のミニチュアデバイス。
【請求項12】
前記作動機構は、
前記シェルの内表面にあるリニアギアと、
前記駆動軸に対して横方向の回転軸を有し、前記リニアギアと噛み合うピニオンギアとを備え、
前記ピニオンギアは、前記ピニオンギアに堅固に結合された前記磁気装置の磁石を備え、
前記磁石は、該磁石の磁気モーメントのベクトルが前記ピニオンギアの前記回転軸に対して横方向に配置され、
前記ピニオンギアの回転軸の周りの前記ピニオンギアの回転が、前記ピニオンギアと前記リニアギアとの間に相対的な線形運動を引き起こす、請求項10または11に記載のミニチュアデバイス。
【請求項13】
出口をさらに備え、
前記ペイロードは、前記ピニオンギアと前記出口との間に配置されている、請求項2に従属する場合の請求項12に記載のミニチュアデバイス。
【請求項14】
前記作動機構は、前記駆動軸に沿って前記ピニオンギアとともにほぼ直線的に移動するように前記ピニオンギアに結合された排出部材をさらに備える、請求項13に記載のミニチュアデバイス。
【請求項15】
前記作動機構は、前記排出部材を前記出口に向かって付勢するように構成されたばね要素をさらに備える、請求項14に記載のミニチュアデバイス。
【請求項16】
前記シェルは、前記駆動軸に沿って互いに対して移動可能な第1および第2のシェル部材を備え、
前記作動機構は、前記第1のシェル部材の内表面にある第1のリニアギアと、前記第2のシェル部材の内表面にある第2のリニアギアと、を備え、
前記ピニオンギアは、前記第1および第2のリニアギアと噛み合っており、
前記ピニオンギアの回転が、前記第1のリニアギアと前記第2のリニアギアとの間に相対的な線形運動を引き起こし、それにより、前記第1のシェル部材および前記第2のシェル部材を少なくとも部分的に分離する、請求項12に記載のミニチュアデバイス。
【請求項17】
前記ペイロードは、前記内部空洞内に配置され、
前記シェル部材の分離が、前記シェル部材からの前記ペイロードの放出を容易にする、請求項2に従属する場合の請求項16に記載のミニチュアデバイス。
【請求項18】
前記第2のシェル部材は、生分解性であり、かつ、前記ペイロードを備え、
前記作動機構は、前記第2のシェル部材を前記第1のシェル部材からおよび前記ピニオンギアから分離するのを容易にするように構成されている、請求項16または17記載のミニチュアデバイス。
【請求項19】
前記作動機構は、
磁気装置の磁石であって、前記磁石の磁気モーメントのベクトルが、前記駆動軸に対して横方向に配置されるように配置されている、磁石と、
前記磁石に結合され、前記駆動軸の周りで回転したときに前記機能の前記実行をもたらすように構成された作動部材と、を備える、請求項10または11記載のミニチュアデバイス。
【請求項20】
前記シェルは、前記端部の一方に出口を備え、
前記作動部材は、前記駆動軸の周りの前記作動部材の回転が、前記ペイロードを前記出口に向かって押しやり、それによって前記ペイロードの放出を容易にするように、前記駆動軸の周りにほぼらせん状にねじられた平面を備える、請求項2に従属する場合の請求項19に記載のミニチュアデバイス。
【請求項21】
前記磁石の両側で前記磁石に結合された2つの作動部材をさらに備え、
前記作動部材は、反対方向に前記駆動軸の周りでねじられ、前記シェルが、その端部の各々に出口を備える、請求項20に記載のミニチュアデバイス。
【請求項22】
前記磁気装置は、前記磁石のうちの2つを備え、
前記作動部材は、それらの間にまたがっている、請求項2に従属する場合の請求項19に記載のミニチュアデバイス。
【請求項23】
前記磁石の前記の各々は、尖った端部を有する支持要素の一部を構成し、
前記尖った端部の各々は、前記シェルの前記前部端部および前記後部端部の、前記シェルの対向する前記内表面の一部に実質的に接触している、請求項21に記載のミニチュアデバイス。
【請求項24】
前記シェルの側壁に形成された出口を備え、
前記作動部材は、前記駆動軸の周りにほぼらせん状にねじられ、前記磁石の間にまたがる平面を含む、請求項22または23に記載のミニチュアデバイス。
【請求項25】
前記作動機構は、
前記シェルの内表面に形成された駆動ナットと、
前記駆動軸に平行な回転軸を有し、前記駆動ナットと噛み合っている親ねじと、を備え、
前記親ねじに堅固に結合された前記磁気装置の磁石は、前記磁石の磁気モーメントのベクトルが前記親ねじの前記回転軸に対して横方向に配置され、
前記親ねじの回転軸の周りの前記親ねじの回転が、前記親ねじと前記駆動ナットとの間に相対的な線形運動を引き起こす、請求項10または11に記載のミニチュアデバイス。
【請求項26】
出口をさらに備え、
前記ペイロードは、前記親ねじと前記出口との間に配置されている、請求項2に従属する場合の請求項25に記載のミニチュアデバイス。
【請求項27】
前記ペイロードは、前記シェルの一部を構成し、
前記駆動ナットの一部は、前記ペイロードの内表面に形成され、
前記親ねじは、前記ペイロードの前記内表面に形成された前記駆動ナットの前記一部と部分的に噛み合っている、請求項2に従属する場合の請求項25に記載のミニチュアデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示されている主題は、患者内をナビゲートしてその中の所定の場所にペイロードを送達するように構成されたシステムおよびミニチュアデバイス、特に磁場を使用して患者内のミニチュアデバイスの動作を指示するそのようなシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の内部を移動する医療デバイスの遠隔制御は、治療用ペイロードの送達、診断、または外科的処置を含む、様々な目的に有用であり得る。このようなデバイスには、マイクロスケールまたはナノスケールのロボット、医療ツール、「スマートピル」などが含まれ得る。このようなデバイスは、自己推進または外部推進機構のいずれかを介して体内を移動できる場合がある。このようなデバイスの正確な場所および追跡は、正しい解剖学的場所での適切な機能、より具体的には治療用ペイロードおよび/または診断物質の正確な送達を確実にするために必要であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ここで開示されている主題の態様によれば、外部磁場による操作下で患者内で操縦され、事前定義された機能を選択的に実行するように構成されたミニチュアデバイスであって、内部に内部空洞を画定するシェルと、空洞内に配置された磁気装置と、を備え、磁気装置が、回転磁場内で、患者内のミニチュアデバイスの機能および推進の実行のうちの一方をもたらし、磁場勾配内で、患者内のミニチュアデバイスの機能および推進の実行のうちの他方をもたらすように構成されている、ミニチュアデバイスが提供される。
【0004】
ミニチュアデバイスは、ペイロードをさらに備え得、機能の実行は、ペイロードの放出を含む。
【0005】
ミニチュアデバイスは、ペイロードをさらに備え得、機能の実行は、ツールを作動させることを含む。
【0006】
ミニチュアデバイスは、磁気装置が、回転磁場内で、患者内のミニチュアデバイスの推進をもたらし、磁場勾配内で、機能の実行をもたらすように構成され得る。
【0007】
シェルは、駆動軸に沿って延在する細長い部材として形成され得、駆動軸の周りにらせん状にシェルの外表面に形成された駆動ねじ山を備え、磁気装置は、磁気装置の内表面に堅固に接続され、磁気装置の磁気モーメントのベクトル、すなわち、そのN極およびS極の配向が、駆動軸に対して横方向(例えば、実質的に垂直)に配置されるように配置された推進磁石を備える。
【0008】
駆動ねじ山は、ミニチュアデバイスの前部端部にテーパー状部分を備え得る。
【0009】
磁気装置は、磁気勾配によって内部空洞および出口内にスライド可能に配置可能な排出磁石をさらに備え、ペイロードが、排出磁石と出口との間に配置されている。
【0010】
ミニチュアデバイスは、駆動磁石と排出磁石との間に配置されたスペーサーをさらに備え得る。
【0011】
ミニチュアデバイスは、磁気装置が、磁場勾配内で、患者内のミニチュアデバイスの推進をもたらし、回転磁場内で、機能の実行をもたらすように構成され得る。
【0012】
シェルは、前部端部と後部端部との間の駆動軸に沿って延在する細長い部材として形成され得、ミニチュアデバイスは、機能の実行を容易にするように構成された作動機構をさらに備える。
【0013】
作動機構は、患者内のミニチュアデバイスの推進を容易にするようにさらに構成され得る。
【0014】
作動機構は、
・シェルの内表面にあるリニアギアと、
・駆動軸に対して横方向の回転軸を有し、リニアギアと噛み合っているピニオンギアであって、ピニオンギアに堅固に結合された磁気装置の磁石を、磁石の磁気モーメントのベクトルがピニオンギアの回転軸に対して横方向に配置されるように備え、ピニオンギアの回転軸の周りのピニオンギアの回転は、ピニオンギアとリニアギアの間に相対的な線形運動を引き起こす、ピニオンギアと、を備え得る。
【0015】
ピニオンギアの磁石への結合は、それとともに移動する非磁性ピニオンギアへの磁石の取り付けを含み得、回転磁場の適用によりピニオンギアが回転することを前提として、磁石は、ピニオンギアなどとして形成される。
【0016】
ミニチュアデバイスは、出口をさらに備え得、ペイロードは、ピニオンギアと出口との間に配置され、すなわちピニオンギアの移動が、出口に向かってペイロードを押し、それによりそれを排出する。
【0017】
作動機構は、駆動軸に沿ってピニオンギアとともにほぼ直線的に移動するようにピニオンギアに結合された排出部材をさらに備え得る。作動機構は、排出部材を出口に向かって付勢するように構成されたばね要素をさらに備え得る。
【0018】
シェルは、駆動軸に沿って互いに対して移動可能な第1および第2のシェル部材を備え得、作動機構は、第1のシェル部材の内表面にある第1のリニアギアと、第2のシェル部材の内表面にある第2のリニアギアと、を備え、ピニオンギアは、第1および第2のリニアギアと噛み合っており、ピニオンギアの回転は、例えば、駆動軸に沿って、第1のリニアギアと第2のリニアギアとの間に相対的な線形運動を引き起こし、それにより、第1および第2のシェル部材を少なくとも部分的に分離する。
【0019】
ペイロードは、内部空洞内に配置され得、シェル部材の分離は、シェル部材からのペイロードの放出を容易にする。
【0020】
第2のシェル部材は、生分解性であり得、ペイロードを備え、作動機構は、第2のシェル部材を第1のシェル部材からおよびピニオンギアから分離するのを容易にするように構成されている。
【0021】
作動機構は、
・磁気装置の磁石であって、磁石の磁気モーメントのベクトルが駆動軸に対して横方向に配置されるように配置されている、磁石と、
・磁石に結合され、駆動軸の周りに回転したときに、機能の実行をもたらすように構成された作動部材と、を備え得る。
【0022】
シェルは、端部の一方に出口を備え得、作動部材は、駆動軸の周りの作動部材の回転が、ペイロードを出口に向かって押しやり、それによってペイロードの放出を容易にするように、駆動軸の周りにほぼらせん状にねじられた平面を備える。
【0023】
ミニチュアデバイスは、磁石の両側で磁石に結合された2つの作動部材をさらに備え得、作動部材は、反対方向に駆動軸の周りでねじられ、シェルは、その端部の各々に出口を備える。
【0024】
磁気装置は、磁石のうちの2つを備え得、作動部材は、それらの間にまたがっている。
【0025】
磁石の各々は、尖った端部を有する支持要素の一部を構成し得、尖った端部の各々は、その前部および後部端部の一方と反対側のシェルの内表面の一部に実質的に接触する。
【0026】
ミニチュアデバイスは、シェルの側壁に形成された出口を備え得、作動部材は、駆動軸の周りにほぼらせん状にねじられ、磁石の間にまたがる平面を含む。
【0027】
作動機構は、
・シェルの内表面に形成された駆動ナットと、
・駆動軸に平行な回転軸を有し、駆動ナットと噛み合っている親ねじであって、親ねじに堅固に結合された磁気装置の磁石を、磁石の磁気モーメントのベクトルが親ねじの回転軸に対して横方向に配置されるように含む親ねじと、を備え得、親ねじのその回転軸の周りの回転は、それと駆動ナットとの間に相対的な線形運動を引き起こす。
【0028】
親ねじと磁石の結合は、それとともに移動する非磁性親ねじへの磁石の取り付けを含み得、回転磁場の印加により親ねじが回転することを前提として、磁石は、親ねじなどとして形成される。
【0029】
ミニチュアデバイスは、出口をさらに備え得、ペイロードは、親ねじと出口との間に配置されている。
【0030】
ペイロードは、シェルの一部を構成し得、駆動ナットの一部は、ペイロードの内表面に形成され、親ねじは、ペイロードの内表面に形成された駆動ナットの一部と部分的に噛み合っている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実行され得るかを例示するために、ここで、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【0032】
図1】患者内でミニチュアデバイスを遠隔操縦するためのここで開示されている主題によるシステムを概略的に図解している。
図2図1に図解されているシステムのミニチュアデバイスの一例の断面図である。
図3A図1に図解されているシステムのミニチュアデバイスの別の例の断面図である。
図3B図3Aに図解されているミニチュアデバイスの変形の断面図である。
図4A】閉位置および開位置における、図1に図解されているシステムのミニチュアデバイスの別の例の断面図である。
図4B】閉位置および開位置における、図1に図解されているシステムのミニチュアデバイスの別の例の断面図である。
図5A図1に図解されているシステムのミニチュアデバイスの別の例の断面図である。
図5B図5Aに図解されているミニチュアデバイスの変形例の断面図である。
図5C図5Aに図解されているミニチュアデバイスの変形例の断面図である。
図6A図1に図解されているシステムのミニチュアデバイスの別の例の断面図である。
図6B図6Aに図解されているミニチュアデバイスの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に図解されるように、患者内で磁気デバイス、特にミニチュアデバイスを遠隔操縦するため、および事前定義された機能を実行するため、例えば、ペイロードを放出するため、および/または患者の所定の場所でツールを操作するため、概して10で示されるシステムが提供される。それらペイロードは、例えば、医学的、診断的、評価的、および/または治療的関連性の1つ以上の化合物、1つ以上の小分子、生物、細胞、1つ以上の放射性同位元素、1つ以上のワクチン、1つ以上の機械的デバイスなどを備え得る。
【0034】
システムは、WO19/213368、WO19/213362、WO19/213389、WO20/014420、WO20/092781、WO20/092750、WO18/204687、WO18/222339、WO18/222340、WO19/212594、WO19/005293、PCT/US20/58964、およびPCT/US20/60677のいずれか1つ以上に記載されるように提供され得、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
システム10は、磁気誘導装置20と、ペイロードを運び、磁気誘導装置によって制御されるように構成されたミニチュアデバイス30と、を備える。以下の説明は、ペイロードおよび/またはその送達/放出に言及しているが、これは便宜上のものであり、制限として解釈されるべきではなく、ここで開示されている主題は、ツールおよび/またはその送達/動作、および/または必要な変更を加えて他の任意の事前定義された機能の実行にも同様に適用されることが理解されよう。
【0036】
磁気誘導装置20は、回転磁場および磁場勾配の一方または両方を選択的に生成するように動作するように構成される。これらの場の適用は、患者40内のミニチュアデバイス30を制御するために、すなわち、それを操縦し、そしてそれに事前定義された機能を実行させるために使用され得る。以下に説明するように、ミニチュアデバイスは、これらの磁場のうちの一方(すなわち、回転磁場または磁場勾配のいずれか)内で操縦され、これらの磁場の他方の下で事前定義された機能を実行するように構成される。
【0037】
回転磁場は、特に(排他的ではないが)磁石の磁気ベクトルに実質的に垂直な軸の周りに、その中の双極子磁石をスピンさせる任意の磁場であり得る。したがって、回転磁場は、その磁気ベクトルに垂直な軸の周りを回転する磁石、時変磁場などによって生成されるものであり得る。
【0038】
磁場勾配は、その中の磁石が移動する任意の磁場であり得る。したがって、それは、変化する磁場を生成するように動作する1つ以上のコイルによって、患者の周りを移動する1つ以上の磁石などによって生成されるものであり得る。
【0039】
いくつかの例によれば、ミニチュアデバイスは、回転磁場によって操縦されるように構成され得る、すなわち、回転磁場の選択的適用および/または変化が、患者内でミニチュアデバイスを推進するために用いられ得る。さらに、そのようなミニチュアデバイスは、磁場勾配の配向の下でペイロードを放出するように構成される、すなわち、磁場勾配の選択的適用および/または変化を用いて、ミニチュアデバイスによって運ばれるペイロードを放出し得る。
【0040】
図2に図解されるように、ミニチュアデバイス100は、その前部端部104と後部端部106との間に延在する駆動軸Xに沿って延在する細長い部材として形成されるシェル102を備え得る。シェル102は、内部に内部空洞108を画定する。シェル102の前部および/または後部端部104、106はテーパー状であり得る(非限定的な例として、前部端部のみが添付の図においてテーパー状として示されている)。いくつかの例によれば、駆動ねじ山110は、シェル102のテーパー状部分に部分的に形成され得る。
【0041】
ミニチュアデバイス100は、外部から適用される磁場、すなわち、ミニチュアデバイスの推進をもたらす回転磁場、およびペイロードの放出を容易にする磁場勾配と相互作用するように構成された磁気装置114をさらに備える。したがって、磁気装置114は、推進磁石114aおよび排出磁石114bを備える。
【0042】
推進磁石114aは、堅固に取り付けられている、すなわち、それは、シェル102の内表面116と一緒に移動し、その磁気モーメントのベクトルが、駆動軸Xに対して実質的に横方向に配置されるように、すなわち、そのN極およびS極が、示されるように、内表面116の反対側の細長い側面に隣接するように配向される。
【0043】
排出磁石114bは、駆動軸Xに沿って空洞内を自由にスライドする。それは,球形(図解のように)、または駆動軸Xに沿って自由にスライドできるその他の好適な形状、例えば、円筒形など、であり得る。スペーサー118は、推進磁石114aと排出磁石114bとの間に配置され、2つの磁石の間に形成された磁気がミニチュアデバイスの動作を妨げないようにサイズが決められている(例えば、以下に説明するように、排出磁石114bを推進磁石114aから離れる方向に動かすのに必要な力の量は、ミニチュアロボットをその場所から外すほど大きくはないなど)。したがって、スペーサー118は、任意の好適な非磁性材料で作製することができる(本明細書および添付の特許請求の範囲において、「非磁性」という用語は、測定可能であるが無視できる磁気特性を有する材料を含む)。
【0044】
ミニチュアデバイス100は、シェル102の一方の端部、例えばその後部端部106に形成された出口120をさらに備える。出口120のサイズは、排出磁石114bの直径よりも少なくともわずかに小さくなり得、それにより、使用中にそれがシェル102の内部空洞108から出るのを防ぐ。ペイロード122は、排出磁石114bと出口120との間に配置される。例えば、パラフィンなどの生体適合性材料で作製されたカバー(図解せず)は、出口120を遮断するように提供され得、それにより、ペイロード122とそれが放出される前の患者の外部環境との間の相互作用を防ぐ。
【0045】
使用中、好適に配向された回転磁場がミニチュアデバイス100に適用されると、それにより、推進磁石114a、したがってそれに堅固に取り付けられたシェル102が、駆動軸Xの周りを回転する。駆動ねじ山110と患者のその外部環境との相互作用により、ミニチュアデバイスがその中で推進される。いくつかの例によれば、ミニチュアデバイス100は、例えば肝臓内など、患者の軟組織を通って推進されるのに好適であり得る。ミニチュアデバイスの外部、例えば、そのサイズ、駆動ねじ山110の幾何形状などは、患者の特定の場所および/または器官内での使用に好適なように設計され得ることが理解されよう。
【0046】
ペイロード122を放出するために、磁場勾配が適用され、排出磁石114bを出口120に向かって促し、それによってペイロードを出口を通して押し、ミニチュアデバイス100の場所で患者に放出する。上述したように、出口120は、排出磁石114bの放出を防ぐように設計され得る。出口120にカバーが設けられている例によれば、排出磁石114bの出口への直線的な動きは、それを変位および/または破裂させ、それにより、ペイロード122は、それが上記のように放出されたときにのみ、患者の外部環境と相互作用することを可能にする。
【0047】
いくつかの例によれば、ミニチュアデバイスは、磁場勾配によって操縦されるように構成され得る、すなわち、磁場勾配の選択的適用および/または変化が、患者内でミニチュアデバイスを推進するために用いられ得る。さらに、そのようなミニチュアデバイスは、回転磁場の配向の下でペイロードを放出するように構成される、すなわち、回転磁場の選択的適用および/または変化を用いて、ミニチュアデバイスによって運ばれるペイロードを放出し得る。
【0048】
図3Aに図解されるように、ミニチュアデバイス200は、その前部端部204と後部端部206との間に延在する駆動軸Xに沿って延在する細長い部材として形成されるシェル202を備え得る。シェル202は、内部に内部空洞208を画定する。概して210で示される作動機構は、ペイロードの放出を容易にするように構成されたシェル202内に提供される。それは、本明細書で以下に記載されるように、患者内のミニチュアデバイス200の推進を容易にするようにさらに構成され得る。
【0049】
いくつかの例によれば、作動機構210は、リニアギア(すなわち、ラック)212およびピニオンギア214を備える。リニアギア212は、シェル202の内表面216上に配置され、例えば、駆動軸Xに平行に延在する。
【0050】
シェル202の内表面216は、リニアギア212を構成する好適な歯で形成され得るか、またはリニアギアを備える別個の要素が内表面に取り付けられ得る。
【0051】
ピニオンギア214は、リニアギア212と噛み合うように内部空洞208内に配置され、その回転軸Xが、ミニチュアデバイス200の駆動軸Xに対して横方向、例えば、実質的に垂直になるように配設される。それは、ピニオンギア214が磁石とともに移動するように、ピニオンギア214に堅固に結合された磁石218をさらに備える。これは、例えば、磁石218が非磁性ギアハウジング220に形成されたソケット内に受け入れられるように示されるように達成され得る。代替的に、磁石218は、ピニオンギア214を構成し得る。
【0052】
磁石218は、その磁気モーメントのベクトルが、ピニオンギア214の回転軸Xに対して実質的に横方向に配置されるように、すなわち、そのN極およびS極が、示されるように、ピニオンギアの円周の反対側に隣接するように配置される。
【0053】
ミニチュアデバイス200は、シェル202の一方の端部、例えばその後部端部206に形成された出口222をさらに備える。出口222のサイズは、ピニオンギア214の直径よりも少なくともわずかに小さくなり得、それにより、使用中にそれがシェル202の内部空洞208から出るのを防ぐ。ペイロード224は、ピニオンギア214と出口222との間に配置される。例えば、パラフィンなどの生体適合性材料で作製されたカバー(図解せず)は、出口222を遮断するように提供され得、それにより、ペイロード224とそれが放出される前の患者の外部環境との間の相互作用を防ぐ。
【0054】
使用中、好適に配向された磁場勾配がミニチュアデバイス200に適用されると、それは、磁石218を引き、それによって患者内のミニチュアデバイスを推進する。
【0055】
ペイロード224を放出するために、回転磁場が適用され、磁石218、したがってピニオンギア214を回転軸Xの周りで回転させ、それにより、リニアギア212への噛み合わせの結果として、それを駆動軸Xに沿って移動させる。それが出口222に向かって移動するような方向にそのように回転すると、それはペイロード224を出口に向かってそしてそこを通して押し、それによってそれをミニチュアデバイス200の場所で患者に放出する。出口222にカバーが設けられている例によれば、それは変位および/または破裂し、それにより、ペイロード224は、上記のように放出されたときにのみ、患者の外部環境と相互作用することを可能にする。
【0056】
図3Bに図解されるように、ミニチュアデバイス200は、修正された作動機構210を備え得、これは、ピニオンギア214に結合された排出部材226をさらに備え、駆動軸Xに沿って実質的にタンデムに移動する。いくつかの例によれば、ピニオンギア214は、直径が減少した開口部230を有するノッチ228を備え得る。排出部材226は、ペイロード224に隣接して配置されたヘッド232を備えたピストンとして形成され得、そのシャフト234は、ピニオンギア214に形成されたノッチ228内に保持されたフック236を備えて形成される。
【0057】
作動機構は、排出部材226を出口222の方向にあるペイロード224に向かって付勢するように構成されたばね要素238をさらに備え得る。ばね要素238は、排出部材226のヘッド232を一方の側で、および例えば、反対側のシェル202の内表面216に形成された突起240に対して支える。ピニオンギア214に形成されたノッチ228内の排出部材226のシャフト234のフック236の受け取りは、排出部材226が駆動軸Xに沿って出口222に向かって移動する程度を制御する。
【0058】
本明細書で使用される「ピストン」という用語は、排出部材の一般的な形状を説明するものであり、必要な変更を加えて、液密性などを含むがこれに限定されない、ここで開示されている主題によれば、ピストンに典型的であるが不必要な特徴に限定されると理解されるべきではない。
【0059】
使用中、例えば、図3Aを参照して上記で説明したように、患者内でそれを推進するために、好適に配向された磁場勾配をミニチュアデバイス200に適用し得る。
【0060】
ペイロード224を放出するために、回転磁場が適用され、磁石218、したがってピニオンギア214を回転軸Xの周りで回転させ、それにより、リニアギア212への噛み合わせの結果として、それを駆動軸Xに沿って移動させる。それが出口222に向かって移動するような方向にそのように回転すると、排出部材226のヘッド232に対するばね要素238のベアリングがそれを押し、したがって、ペイロード224は、出口に向かって、そしてそこを通り、それによって、ミニチュアデバイス200の場所で患者に放出される。出口222にカバーが設けられている例によれば、それは変位および/または破裂し、それにより、ペイロード224は、上記のように放出されたときにのみ、患者の外部環境と相互作用することを可能にする。
【0061】
図4Aおよび図4Bに図解されるように、ミニチュアデバイス300は、第1および第2のシェル部材303a、303bを備えるシェル302を備え得、これは、駆動軸Xに沿って延在する細長い部材として形成され、その前部304とその後部端部306との間に延在している。(本明細書および添付の特許請求の範囲において、基本参照番号および末尾の文字によって指定される同様の要素は、要素名の一般的な形式によって集合的に設計され、および/またはそれに沿って基本参照番号によって集合的に指定され得る。例えば、第1および第2のシェル部材303a、303bは、本明細書では、集合的に「シェル部材」と称され、および/または参照番号303を使用して集合的に指定され得る。)シェル部材303は、駆動軸Xに沿って互いに対して移動するように構成され得る。シェル302は、その中にペイロード(図解せず)が配置されている内部空洞308を画定している。概して310で示される作動機構は、ペイロードの放出を容易にするように構成されたシェル302内に提供される。それは、本明細書で以下に記載されるように、患者内のミニチュアデバイス300の推進を容易にするようにさらに構成され得る。
【0062】
作動機構310は、第1および第2のリニアギア312a、312b、およびピニオンギア314を備え得る。リニアギア312a、312bの各々は、シェル部材303a、303bのうちの1つの内表面316a,316b上に配置され、例えば、駆動軸Xに平行に延在する。内表面316は、リニアギア312を構成する好適な歯で形成され得るか、またはリニアギアを備える別個の要素が内表面に取り付けられ得る。
【0063】
ピニオンギア314は、リニアギア312a、312bと噛み合うように内部空洞308内に配置され、その回転軸Xが、ミニチュアデバイス300の駆動軸Xに対して横方向、例えば、実質的に垂直になるように配設される。それは、ピニオンギア314が磁石とともに移動するように、ピニオンギア314に堅固に結合された磁石318をさらに備える。これは、例えば、磁石318が非磁性ギアハウジング320に形成されたソケット内に受け入れられるように示されるように達成され得る。代替的に、磁石318は、ピニオンギア314を構成し得る。
【0064】
磁石318は、その磁気モーメントのベクトルが、ピニオンギア314の回転軸Xに対して実質的に横方向に配置されるように、すなわち、そのN極およびS極が、示されるように、ピニオンギアの円周の反対側に隣接するように配置される。
【0065】
使用中、好適に配向された磁場勾配がミニチュアデバイス300に適用されると、それは、磁石318を引き、それによって患者内のミニチュアデバイスを推進する。
【0066】
ペイロードを放出するために、回転磁場が適用され、磁石318、したがってピニオンギア314が回転軸Xの周りを回転し、それにより、リニアギア312a、312bが駆動軸Xに沿って反対方向に移動する。これにより、シェル部材303a、303bは、すなわち、図4Aに図解される閉位置から図4Bに図解される開位置に分離し、それにより、ペイロードを内部空洞308からミニチュアデバイス300の場所で患者に放出する。
【0067】
変形例によれば、シェル部材303a、303bのうちの1つは生分解性であり、ペイロードを含み得る。いくつかの例によると、それ自体がペイロードである。そのような例によれば、作動機構310は、第1および第2のシェル部材303a、303bの分離をもたらすように構成され得、それにより、必要な変更を加えて、ペイロードを備えるシェル部材を捨てる。
【0068】
図5Aに図解されるように、ミニチュアデバイス400は、その前部端部404と後部端部406との間に延在する駆動軸Xに沿って延在する細長い部材として形成されるシェル402を備え得る。シェル402は、内部に内部空洞408を画定する。
【0069】
ミニチュアデバイス400は、磁石412およびそれらが互いにタンデムに動くように、それに堅固に取り付けられた作動部材414を備える作動機構410をさらに備える。作動機構410は、以下に説明するように、外部から適用された磁場と相互作用するように、すなわち、ミニチュアデバイス400の推進をもたらす磁場勾配、および内部空洞408内からペイロード(図解せず)を放出することを容易にするための回転磁場と相互作用するように構成されている。
【0070】
磁石412は、その磁気モーメントのベクトルが、駆動軸Xに対して実質的に横方向に配置されるように、すなわち、そのN極およびS極が、示されるように、シェル402の内表面418の反対側の細長い側面に隣接するように配向される。
【0071】
作動部材414は、駆動軸の周りの作動部材のその回転が、ペイロードをシェル402に形成された出口420に向かって押しやり、それによってペイロードの放出を容易にするように、駆動軸Xの周りにほぼらせん状にねじられた平面により形成され得る。同時に、作動部材414の回転は、流体を、ミニチュアデバイス400を取り巻く環境から、入口422を介してシェル402の内部空洞408に引き込む。
【0072】
図5Bに図解されるように、いくつかの例によれば、作動機構410は、2つの作動部材414を備え、各々は、磁石412の反対側に配置され、各々は、他の作動部材とは反対方向に駆動軸Xの周りにねじれている。シェルは、前部および後部端部404、406の各々に出口420、および、例えば、磁石412に隣接するシェル402の中央に入口422を備え得る。したがって、ペイロードは、各々が出口420の1つを介して送達される2つの別個の部分として提供され得る。
【0073】
図5Cに図解されるように、作動機構410は、それらの間にまたがっている作動部材414を有する2つの磁石412を備え得る。磁石412の各々は、尖った端部426を有する支持要素424の一部を構成し得、その各々は、その前部および後部端部404,406の一方と反対側のシェル402の内表面418の一部に実質的に接触する。いくつかの例によれば、支持要素424の各々は、その中に受け入れられた磁石412のうちの1つを備えたハウジング426を備え、他の例によれば、各磁石412は、支持要素424の1つを構成する。
【0074】
図6Aに図解されるように、ミニチュアデバイス500は、その前部端部504と後部端部506との間に延在する駆動軸Xに沿って延在する細長い部材として形成されるシェル502を備え得る。シェル502は、内部に内部空洞508を画定する。概して510で示される作動機構は、ペイロードの放出を容易にするように構成されたシェル502内に提供される。それは、本明細書で以下に記載されるように、患者内のミニチュアデバイス500の推進を容易にするようにさらに構成され得る。
【0075】
いくつかの例によれば、作動機構510は、シェル502の内表面514上に形成された駆動ナット512と、シェル502の駆動軸Xに平行な回転軸Xを有し、駆動ナットと噛み合わされている親ねじ516とを備える。
【0076】
シェル502の内表面514は、駆動ナット512を構成する好適な歯で形成され得るか、または駆動ナットを備える別個の要素が内表面に取り付けられ得る。いくつかの例によると、駆動ナット512および/または親ねじ516のねじ山は、シェル502に対する親ねじの任意の角度位置で、親ねじが必要な変更を加えて駆動ナットと十分に噛み合わされるように、それぞれ、シェル502の内表面514および/または親ねじの外表面の円周の一部にのみ形成されている。
【0077】
親ねじ516は、そこに堅固に結合された磁石を備える。これは、例えば、(図解されているように)親ねじ516を構成する磁石を提供することによって、またはその中に磁石が受け入れられた非磁性ハウジングを提供することによって達成され得る。磁石の磁気モーメントのベクトルは、親ねじ516の回転軸Xに対して横方向に配置され、すなわち、そのN極およびS極は、示されるように、親ねじの円周の反対側に隣接している。したがって、その回転軸Xの周りの親ねじ516の回転は、それと駆動ナット512との間に駆動軸に沿った相対的な線形運動を引き起こす。
【0078】
ミニチュアデバイス500は、シェル502の一方の端部、例えばその後部端部506に形成された出口518をさらに備える。出口518のサイズは、親ねじ516の直径よりも少なくともわずかに小さくなり得、それにより、使用中にそれがシェル502の内部空洞508から出るのを防ぐ。ペイロード520は、親ねじ516と出口518との間に配置される。例えばパラフィンなどの生体適合性材料で作製されたカバー(図解せず)は、出口518を遮断するように提供され得、それにより、ペイロード520とそれが放出される前の患者の外部環境との間の相互作用を防ぐ。
【0079】
使用中に、好適に配向された磁場勾配がミニチュアデバイス500に適用されると、それは、親ねじ516に関連する磁石(すなわち、親ねじ自体、または親ねじの一部を構成する磁石のいずれか)を引き、それによって、患者内でミニチュアデバイスを推進する。
【0080】
ペイロード520を放出するために、回転磁場が適用され、その磁石と一緒に移動する親ねじ516を回転軸Xの周りで回転させ、それにより、駆動ナット512への噛み合わせの結果として、それを駆動軸Xに沿って移動させる。それが出口518に向かって移動するような方向にそのように回転すると、それはペイロード520を出口に向かってそしてそこを通して押し、それによってそれをミニチュアデバイス500の場所で患者に放出する。出口518にカバーが設けられている例によれば、それは変位および/または破裂し、それにより、ペイロード520は、上記のように放出されたときにのみ、患者の外部環境と相互作用することを可能にする。
【0081】
変形によれば、例えば、図6Bに図解されるように、ペイロード520は、シェル502の一部を構成する。駆動ナット512は、ペイロード520上に形成される。したがって、ペイロード520を放出するために、親ねじ516は、それがペイロード520から脱係合するまで、図6Aを参照して上で説明したように、回転磁場の下でその回転軸Xの周りに回転される。
【0082】
上に開示された例のいずれかによれば、内部摩擦を低減し得る。したがって、以下の非限定的な例のいずれか1つ以上を用いて、内部摩擦を低減し得る。
・シェルの内表面は、摩擦を減らすように形成され得る。これは、内表面が非常に滑らかになるようにシェルを形成することによって達成され得る。いくつかの例によれば、例えば、作動機構の一部が駆動軸Xの周りを回転する場合、円周方向のマイクロ溝がシェルの内表面に形成され得る。
・シェルの内表面は、潤滑剤でコーティングされ得る。
・例えば、1つ以上の磁石の周りの摩擦を減らすために、磁性流体を内部空洞に設け得る。
・ミニチュアデバイスの構成要素の材料は、それらの間の摩擦を下げるように選択され得る。
【0083】
上に開示された例のいずれかによれば、外部摩擦(すなわち、ミニチュアデバイスと患者内の周囲環境との間)は、例えば、その構成要素がその内部で回転するときのシェルの回転を防ぐために増加され得る。したがって、以下の非限定的な例のいずれか1つ以上を用いて、外部摩擦を増加することができる。
・外部磁場を適用して、ミニチュアデバイスを患者の内部組織、たとえば軟組織に付勢させ得る。
・シェルの外表面には、非潤滑コーティングが適用され得る。
・シェルの外表面にぎざぎざをつけ得る。
【0084】
本明細書に記載の例、実施形態、変形、オプションなどは、包括的かつ非限定的であると解釈されるべきであること、すなわち、本明細書で別々に説明されている2つ以上の例などは、明示的に述べられている場合および/または他の方法で明確でない限り、互いに相互に排他的である、または他の方法で制限するものとして解釈されるべきでないことが認識されよう。本発明が関係する当技術分野の当業者は、ここで開示されている主題の範囲から逸脱することなく、必要な変更を加えて、多数の変更、変形、および修正を行うことができることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
【国際調査報告】