(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】ヒスチジン、プリン経路代謝生成物およびプラスミドDNAの産生増強
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20230208BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20230208BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20230208BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20230208BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20230208BHJP
C12N 15/60 20060101ALI20230208BHJP
C12N 15/61 20060101ALI20230208BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230208BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230208BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230208BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230208BHJP
C12P 13/24 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
C12N15/54
C12N15/10 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12N15/53
C12N15/55
C12N15/60
C12N15/61
C12N15/10 200Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P13/24 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536706
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 US2020065286
(87)【国際公開番号】W WO2021126961
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516286741
【氏名又は名称】ギンゴー バイオワークス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ハジヴァシレイウ,アルキヴィアディス オルフェフス
(72)【発明者】
【氏名】キング,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マク,フェイ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】レンベック,エミリー イー
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AE26
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA10
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA17
(57)【要約】
本発明の態様は、宿主細胞におけるヒスチジンの生合成に関する。例えば、宿主細胞は、プロモーター;リボソーム結合部位(RBS);およびhisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;および/またはhisIを含む核酸を含み得る。宿主細胞は、野生型大腸菌RPPKの配列と比較してリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする核酸をさらに含み、所望により1以上のアミノ酸置換を含む。本発明の宿主細胞は、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする核酸を含み得る。本発明のさらなる態様は、宿主細胞におけるプリン経路代謝生成物および/またはプラスミドDNAの産生に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然に存在しない核酸であって:
a)配列番号1または2と少なくとも90%同一である配列を含むプロモーター;および
b)
i)hisG;
ii)hisD;
iii)hisC;
iv)hisB;
v)hisH;
vi)hisA;
vii)hisF;および/または
viii)hisI
を含む1以上の核酸
を含み、ここで、(a)および(b)が操作可能に結合される、核酸。
【請求項2】
天然に存在しない核酸がリボソーム結合部位(RBS)をさらに含む、請求項1の天然に存在しない核酸。
【請求項3】
天然に存在しない核酸がインスレーターリボザイムをさらに含む、請求項1または2の天然に存在しない核酸。
【請求項4】
a)インスレーターリボザイムが配列番号5と少なくとも90%同一である配列を含む;および/または
b)RBSが配列番号3または4と少なくとも90%同一である配列を含む、
請求項1~3の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項5】
a)hisGが配列番号7または9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードする;
b)hisDが配列番号11と少なくとも90%同一であるであるアミノ酸配列をコードする;
c)hisCが配列番号13と少なくとも90%同一であるであるアミノ酸配列をコードする;
d)hisBが配列番号15と少なくとも90%同一であるであるアミノ酸配列をコードする;
e)hisHが配列番号17と少なくとも90%同一であるであるアミノ酸配列をコードする;
f)hisAが配列番号19と少なくとも90%同一であるであるアミノ酸配列をコードする;
g)hisFが配列番号21と少なくとも90%同一であるであるアミノ酸配列をコードする;および/または
h)hisIが配列番号23と少なくとも90%同一であるミノ酸配列をコードする、
請求項1~4の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項6】
a)hisGが配列番号6または8と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;
b)hisDが配列番号10と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;
c)hisCが配列番号12と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;
d)hisBが配列番号14と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;
e)hisHが配列番号16と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;
f)hisAが配列番号18と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;
g)hisFが配列番号20と少なくとも90%同一である核酸配列を含む;および/または
h)hisIが配列番号22と少なくとも90%同一である核酸配列を含む、
請求項1~5の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項7】
hisGがhisG
(E271K)を含む、請求項1~6の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項8】
プロモーターおよびRBSが請求項1(b)の(i)~(viii)の1以上を含む核酸に操作可能に結合される、請求項2~7の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項9】
請求項1(b)における核酸が(i)~(viii)すべてを含む、請求項1~8の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項10】
請求項1(b)における核酸が(i)~(viii)を(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)および(viii)の順序で含む、請求項9の天然に存在しない核酸。
【請求項11】
(b)における核酸が配列番号24と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項10の天然に存在しない核酸。
【請求項12】
核酸が配列番号25または26と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項9~11の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項13】
配列番号24~26の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、天然に存在しない核酸。
【請求項14】
核酸がリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含み、ここで、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
b)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、請求項1~10の何れかの天然に存在しない核酸。
【請求項15】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項14の天然に存在しない核酸。
【請求項16】
野生型大腸菌RPPKの配列と比較して、RPPKが野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基にアミノ酸置換を含む、請求項14または15の天然に存在しない核酸。
【請求項17】
RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S、D115L;D115M;およびD115V、請求項16の天然に存在しない核酸。
【請求項18】
請求項1~17の何れかの天然に存在しない核酸を含む、宿主細胞。
【請求項19】
天然に存在しない核酸が全体としてまたは一部宿主細胞のゲノムに組み込まれる、請求項18の宿主細胞。
【請求項20】
宿主細胞がHTH型転写リプレッサーPurRの発現が減少するように修飾されている、請求項18または19の宿主細胞。
【請求項21】
修飾がPurR欠失を含む、請求項20の宿主細胞。
【請求項22】
配列番号1または2と少なくとも90%同一である配列を含むプロモーターおよびhisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;および/またはhisIの1以上を含む天然に存在しない核酸の1以上を含む、宿主細胞。
【請求項23】
天然に存在しない核酸の1以上がリボソーム結合部位(RBS)をさらに含む、請求項22の宿主細胞。
【請求項24】
天然に存在しない核酸の1以上が宿主細胞のゲノムに組み込まれる、請求項22または23の宿主細胞。
【請求項25】
宿主細胞が細菌細胞である、請求項18~24の何れかの宿主細胞。
【請求項26】
細菌細胞が大腸菌細胞である、請求項25の宿主細胞。
【請求項27】
宿主細胞が対照宿主細胞と比較して、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍または100倍多くヒスチジンを産生でき、ここで、対照宿主細胞が野生型大腸菌細胞である、請求項18~26の何れかの宿主細胞。
【請求項28】
宿主細胞がHTH型転写リプレッサーPurRの発現が減少するように修飾されている、請求項22~27の何れかの宿主細胞。
【請求項29】
修飾がPurR欠失を含む、請求項28の宿主細胞。
【請求項30】
宿主細胞がリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含み、ここで、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;
b)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
c)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、請求項22~29の何れかの宿主細胞。
【請求項31】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項30の宿主細胞。
【請求項32】
リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする天然に存在しない核酸であって、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
b)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、天然に存在しない核酸。
【請求項33】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較してRPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項32の天然に存在しない核酸。
【請求項34】
天然に存在しないリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)であって、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
b)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、RPPK。
【請求項35】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項34のRPPK。
【請求項36】
請求項32または33の天然に存在しない核酸を含む、宿主細胞。
【請求項37】
請求項18~31または36の何れかの宿主細胞を培養することを含む、ヒスチジンを産生する方法。
【請求項38】
宿主細胞が5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸をさらに含む、請求項18~31または36の何れかの宿主細胞。
【請求項39】
宿主細胞がMTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む、請求項38の宿主細胞。
【請求項40】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸が宿主細胞の染色体に組み込まれる、請求項38または39の宿主細胞。
【請求項41】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸が合成プロモーターの制御下に発現される、請求項38~40の何れかの宿主細胞。
【請求項42】
合成プロモーターが構成的である、請求項41の宿主細胞。
【請求項43】
MTHFDC酵素が配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項38~42の何れかの宿主細胞。
【請求項44】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項41の宿主細胞。
【請求項45】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む、請求項44の宿主細胞。
【請求項46】
核酸が配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項38~45の何れかの宿主細胞。
【請求項47】
宿主細胞がMTHFDC酵素をコードする核酸を2コピー以上含まない宿主細胞と比較して、増加した量のヒスチジンを産生する、請求項39~46の何れかの宿主細胞。
【請求項48】
a)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含むプロモーター;および
b)5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする遺伝子
を含む天然に存在しない核酸であって、
(a)および(b)が操作可能に結合される、天然に存在しない核酸。
【請求項49】
MTHFDC酵素の配列が配列番号36と少なくとも90%同一である、請求項48の天然に存在しない核酸。
【請求項50】
MTHFDC酵素をコードする遺伝子が配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項48または49の天然に存在しない核酸。
【請求項51】
請求項48~50の何れかの天然に存在しない核酸を含む、宿主細胞。
【請求項52】
宿主細胞が2コピー以上のMTHFDC酵素をコードする遺伝子を含む、請求項51の宿主細胞。
【請求項53】
MTHFDC酵素をコードする遺伝子の1コピーがその天然プロモーターの制御下に、細胞で内因性に発現される、請求項52の宿主細胞。
【請求項54】
宿主細胞天然に存在しない核酸を含まない宿主細胞と比較して増加した量のヒスチジンを産生する、請求項51の宿主細胞。
【請求項55】
請求項38~47および51~54の何れかの宿主細胞を培養することを含む、ヒスチジンを産生する方法。
【請求項56】
5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸を含む宿主細胞であって、ここで、異種核酸が合成プロモーターの制御下に発現され、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加した量のプリン経路代謝生成物を産生する、宿主細胞。
【請求項57】
プリン経路代謝生成物がイノシン、グアノシン、キサントシン、アデノシン、ヒポキサンチン、グアニン、キサンチン、アデニン、イノシン一リン酸(IMP)、キサントシン一リン酸(XMP)、グアノシンリン酸(例えばGMP、GDPおよびGTP)および/またはアデノシンリン酸(例えばAMP、ADPおよびATP)である、請求項56の宿主細胞。
【請求項58】
宿主細胞が異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較してGTPからリボフラビンへの変換の増加を示す、請求項56または57の宿主細胞。
【請求項59】
宿主細胞が異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加したフラボノイド補因子フラビンモノヌクレオチド(FMN)および/またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を産生する、請求項56~58の何れかの宿主細胞。
【請求項60】
宿主細胞が異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較してキサンチンから尿酸への変換の増加を示す、請求項56~59の何れかの宿主細胞。
【請求項61】
MTHFDC酵素が配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項56~60の何れかの宿主細胞。
【請求項62】
プロモーターが構成的である、請求項56~61の何れかの宿主細胞。
【請求項63】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項56~62の何れかの宿主細胞。
【請求項64】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む、請求項63の宿主細胞。
【請求項65】
異種核酸が配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項56~64の何れかの宿主細胞。
【請求項66】
宿主細胞がMTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む、請求項56~65の何れかの宿主細胞。
【請求項67】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸が宿主細胞の染色体に組み込まれる、請求項56~66の何れかの宿主細胞。
【請求項68】
宿主細胞がHTH型転写リプレッサーPurRの発現が減少するように修飾されている、請求項56~67の何れかの宿主細胞。
【請求項69】
修飾がPurR欠失を含む、請求項68の宿主細胞。
【請求項70】
宿主細胞がリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含み、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;
b)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
c)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、請求項56~69の何れかの宿主細胞。
【請求項71】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項70の宿主細胞。
【請求項72】
宿主細胞が細菌細胞である、請求項56~71の何れかの宿主細胞。
【請求項73】
細菌細胞が大腸菌細胞である、請求項72の宿主細胞。
【請求項74】
請求項56~73の何れかの宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項75】
5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸を含む宿主細胞であって、異種核酸が合成プロモーターの制御下に発現され、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加した量のプラスミドDNA(pDNA)を産生する、宿主細胞。
【請求項76】
宿主細胞が合成プロモーターの制御下に、1以上のプリン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む、請求項75の宿主細胞。
【請求項77】
1以上のプリン生合成酵素をコードする異種遺伝子の1以上がpurA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBまたはadkである、請求項76の宿主細胞。
【請求項78】
宿主細胞がHTH型転写リプレッサーPurRの発現が減少するように修飾されている、請求項75~77の何れかの宿主細胞。
【請求項79】
修飾がPurR欠失を含む、請求項78の宿主細胞。
【請求項80】
宿主細胞が1以上のピリミジン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む、請求項75~79の何れかの宿主細胞。
【請求項81】
1以上のピリミジン生合成酵素をコードする異種遺伝子の1以上がcarAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHまたはpyrIである、請求項80の宿主細胞。
【請求項82】
宿主細胞がアルギニン応答性転写リプレッサーArgRの発現が低減するように修飾されている、請求項75~81の何れかの宿主細胞。
【請求項83】
修飾がargR欠失を含む、請求項82の宿主細胞。
【請求項84】
宿主細胞がリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含み、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;
b)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
c)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、請求項75~83の何れかの宿主細胞。
【請求項85】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項84の宿主細胞。
【請求項86】
宿主細胞がendA1、recAおよびrelAの1以上の発現が低減するように修飾されている、請求項75~85の何れかの宿主細胞。
【請求項87】
宿主細胞がrelAの発現が低減するように修飾されている、請求項86の宿主細胞。
【請求項88】
修飾がendA1、recAまたはrelA欠失の1以上を含む、請求項86の宿主細胞。
【請求項89】
修飾がrelA欠失を含む、請求項88の宿主細胞。
【請求項90】
宿主細胞hisGをコードする核酸を含み、a)hisGがhisG
(E271K)を含まない、請求項75~89の何れかの宿主細胞。
【請求項91】
宿主細胞がspoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGおよびptsHの1以上の発現が低減するように修飾されている、請求項75~90の何れかの宿主細胞。
【請求項92】
修飾がspoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGまたはptsH欠失の1以上を含む、請求項91の宿主細胞。
【請求項93】
宿主細胞がDNAポリメラーゼIII、DnaBヘリカーゼ、PEP非依存性糖パーミアーゼ、アンモニア輸送体、グルタミンシンターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびグルタミン酸シンターゼの1以上をコードする異種遺伝子をさらに含む、請求項75~92の何れかの宿主細胞。
【請求項94】
(i)PEP非依存性糖パーミアーゼをコードする遺伝子がgalPまたはmglBACであり;
(ii)アンモニア輸送体をコードする遺伝子がamtであり;
(iii)グルタミンシンターゼをコードする遺伝子がglnAであり;そして
(iv)グルタミン酸シンターゼをコードする遺伝子がgltDBである、
請求項93の宿主細胞。
【請求項95】
宿主細胞がpriA、zwfおよびrpiAの1以上を含む異種ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項75~94の何れかの宿主細胞。
【請求項96】
宿主細胞がバチルスgapB遺伝子をさらに含む、請求項75~95の何れかの宿主細胞。
【請求項97】
宿主細胞が枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素をコードする異種遺伝子をさらに含む、請求項75~96の何れかの宿主細胞。
【請求項98】
MTHFDC酵素が配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項75~97の何れかの宿主細胞。
【請求項99】
プロモーターが構成的である、請求項75~98の何れかの宿主細胞。
【請求項100】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項75~99の何れかの宿主細胞。
【請求項101】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む、請求項100の宿主細胞。
【請求項102】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸を含む異種核酸が配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項75~101の何れかの宿主細胞。
【請求項103】
宿主細胞がMTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む、請求項75~102の何れかの宿主細胞。
【請求項104】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸が宿主細胞の染色体に組み込まれる、請求項75~103の何れかの宿主細胞。
【請求項105】
宿主細胞が細菌細胞である、請求項75~104の何れかの宿主細胞。
【請求項106】
細菌細胞が大腸菌細胞である、請求項105の宿主細胞。
【請求項107】
宿主細胞がprs
L130Mまたはprs
D115Sを含み、relA、endA、recAおよびpurRの1以上の欠失をさらに含む、請求項75~106の何れかの宿主細胞。
【請求項108】
請求項75~107の何れかの宿主細胞を培養することを含む、プラスミドDNAを産生する方法。
【請求項109】
5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸を含む宿主細胞を培養することを含む、プラスミドDNAを産生する方法。
【請求項110】
宿主細胞が合成プロモーターの制御下に、1以上のプリン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む、請求項109の方法。
【請求項111】
1以上のプリン生合成酵素をコードする異種遺伝子の1以上がpurA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBまたはadkである、請求項110の方法。
【請求項112】
宿主細胞がHTH型転写リプレッサーPurRの発現が減少するように修飾されている、請求項109~111の何れかの方法。
【請求項113】
修飾がPurR欠失を含む、請求項112の方法。
【請求項114】
宿主細胞が1以上のピリミジン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む、請求項109~113の何れかの方法。
【請求項115】
1以上のピリミジン生合成酵素をコードする異種遺伝子の1以上がcarAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHまたはpyrIである、請求項114の方法。
【請求項116】
宿主細胞がアルギニン応答性転写リプレッサーArgRの発現が低減するように修飾されている、請求項109~115の何れかの方法。
【請求項117】
修飾がargR欠失を含む、請求項116の方法。
【請求項118】
宿主細胞がリボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含み、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが
d)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;
e)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または
f)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基
にアミノ酸置換を含む、請求項109~117の何れかの方法。
【請求項119】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項118の方法。
【請求項120】
宿主細胞がendA1、recAおよびrelAの1以上の発現が低減するように修飾されている、請求項109~119の何れかの方法。
【請求項121】
修飾がendA1、recAまたはrelA欠失の1以上を含む、請求項120の方法。
【請求項122】
修飾がrelA欠失を含む、請求項121の方法。
【請求項123】
宿主細胞がspoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGおよびptsHの1以上の発現が低減するように修飾されている、請求項109~122の何れかの方法。
【請求項124】
修飾がspoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGまたはptsH欠失の1以上を含む、請求項123の方法。
【請求項125】
宿主細胞がDNAポリメラーゼIII、DnaBヘリカーゼ、(i)PEP非依存性糖パーミアーゼ、アンモニア輸送体、グルタミンシンターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびグルタミン酸シンターゼをコードする異種遺伝子の1以上をさらに含む、請求項109~124の何れかの方法。
【請求項126】
(v)PEP非依存性糖パーミアーゼをコードする遺伝子がgalPまたはmglBACであり;
(vi)アンモニア輸送体をコードする遺伝子がamtであり;
(vii)グルタミンシンターゼをコードする遺伝子がglnAであり;そして
(viii)グルタミン酸シンターゼをコードする遺伝子がgltDBである、請求項125の方法。
【請求項127】
宿主細胞がpriA、zwfおよびrpiAの1以上を含む異種ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項109~126の何れかの方法。
【請求項128】
宿主細胞がバチルスgapB遺伝子をさらに含む、請求項109~127の何れかの方法。
【請求項129】
宿主細胞が枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素をコードする異種遺伝子をさらに含む、請求項109~128の何れかの方法。
【請求項130】
MTHFDC酵素が配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項109~129の何れかの方法。
【請求項131】
プロモーターが構成的である、請求項109~130の何れかの方法。
【請求項132】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項109~131の何れかの方法。
【請求項133】
プロモーターが配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む、請求項132の方法。
【請求項134】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸を含む異種核酸が配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項109~133の何れかの方法。
【請求項135】
宿主細胞がMTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む、請求項109~134の何れかの方法。
【請求項136】
MTHFDC酵素をコードする異種核酸が宿主細胞の染色体に組み込まれる、請求項109~135の何れかの方法。
【請求項137】
宿主細胞が細菌細胞である、請求項109~136の何れかの方法。
【請求項138】
細菌細胞が大腸菌細胞である、請求項137の方法。
【請求項139】
宿主細胞がprs
L130Mまたはprs
D115Sを含み、relA、endA、recAおよびpurRの1以上の欠失をさらに含む、請求項109~138の何れかの方法。
【請求項140】
リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子を含む宿主細胞であって、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;a)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/またはb)野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基のアミノ酸置換を含み、endA、recA、relAおよびpurRの1以上の発現が低減するように修飾されている、宿主細胞。
【請求項141】
宿主細胞がrelA、endA、recAおよびpurRの1以上の欠失を含む、請求項140の宿主細胞。
【請求項142】
野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、RPPKが次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M、請求項140または141の宿主細胞。
【請求項143】
宿主細胞が5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸をさらに含み、異種核酸が合成プロモーターの制御下に発現される、請求項140~142の何れかの宿主細胞。
【請求項144】
宿主細胞が細菌細胞である、請求項140~143の何れかの宿主細胞。
【請求項145】
細菌細胞が大腸菌細胞である、請求項144の宿主細胞。
【請求項146】
請求項140~145の何れかの宿主細胞を培養することを含む、プラスミドDNAを産生する方法。
【請求項147】
方法がpDNAの抽出をさらに含む、請求項108~139または146の何れかの方法。
【請求項148】
方法がpDNAの精製をさらに含む、請求項147の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Biosynthesis of Histidine」なる名称の2019年12月16日出願の米国仮出願62/948,730、「Biosynthesis of Histidine」なる名称の2020年3月26日出願の米国仮出願62/994,901および「Biosynthesis of Histidine」なる名称の2020年6月26日出願の米国仮出願63/044,925に基づく利益を、35 U.S.C. § 119(e)の下に主張し、これら各々の開示全体を、全体として引用により本明細書に包含させる。
【0002】
EFS-WEBによりTEXTとして提出した配列表の記載
本出願は、EFS-WebによりASCII形式で提出し、引用により全体として本明細書に包含させる配列表を含む。2020年12月14日に作成したASCIIファイルはG091970035WO00-SEQ-EAS.txtなる名称であり、83キロバイトサイズである。
【0003】
発明の分野
本発明は、ヒスチジンの産生、プリン経路代謝生成物の産生および/またはプラスミドDNAなどの核酸の産生に有用な核酸、細胞および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
ヒスチジンは、大部分の生物で、ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)およびATPの縮合から始まる、10工程の分岐のない酵素経路を介して合成される。ヒスチジンの生合成は、産生されるヒスチジンあたり約41のATPを必要とするエネルギー集約的過程であり、全タンパク新生アミノ酸で3番目にATP要求が高い。ヒスチジン生合成は、厳密な転写および翻訳制御ならびに酵素レベルの制御を受けている。このような多面的制御は、高レベルでヒスチジンを産生するための宿主細胞の操作を困難とする。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明の態様は、ヒスチジンの産生に有用な天然に存在しない核酸、細胞および方法を提供する。ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、(a)配列番号1または2と少なくとも90%同一であるプロモーター;および(b)hisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;および/またはhisIを含む1以上の核酸を含み、ここで、(a)および(b)は操作可能に結合される。
【0006】
ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、リボソーム結合部位(RBS)をさらに含む。ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、インスレーターリボザイム(insulator ribozyme)をさらに含む。ある実施態様において、インスレーターリボザイムは、配列番号5と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、RBSは、配列番号3または4と少なくとも90%同一である配列を含む。
【0007】
ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、配列番号7または9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisG;配列番号11と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisD;配列番号13と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisC;配列番号15と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisB;配列番号17と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisH;配列番号19と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisA;配列番号21と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisF;および/または配列番号23と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするhisIを含む。
【0008】
ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、配列番号6または8と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisG;配列番号10と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisD;配列番号12と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisC;配列番号14と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisB;配列番号16と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisH;配列番号18と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisA;配列番号20と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisF;および/または配列番号22と少なくとも90%同一である核酸配列を含むhisIを含む。
【0009】
ある実施態様において、hisGはhisG(E271K)を含む。ある実施態様において、プロモーター、RBSおよびhisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;および/またはhisIの1以上を含む核酸は操作可能に結合される。ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、hisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;およびhisIの全てを含む。ある実施態様において、天然に存在しない核酸は、hisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;およびhisIの全てを次の順番で含む:hisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;およびhisI。ある実施態様において、hisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;およびhisIを含む天然に存在しない核酸は、配列番号24と少なくとも90%同一である配列を含む。
【0010】
本発明の態様は、配列番号24~26の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む天然に存在しない核酸を含む。
【0011】
ある実施態様において、核酸は、リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:A132C;A132Q;L130I;およびL130M。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1個を含む:D115S、D115L;D115M;およびD115V。
【0012】
本発明のさらなる態様は、天然に存在しない核酸を含む、宿主細胞を提供する。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号1または2と少なくとも90%同一である配列を含むプロモーター;ならびにhisG;hisD;hisC;hisB;hisH;hisA;hisF;および/またはhisIの1以上を含む、天然に存在しない核酸の1以上を含む。ある実施態様において、天然に存在しない核酸の1以上は、RBSをさらに含む。ある実施態様において、天然に存在しない核酸の1以上は、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。ある実施態様において、宿主細胞は、細菌細胞である。ある実施態様において、細菌細胞は、大腸菌細胞である。ある実施態様において、宿主細胞は、対照宿主細胞と比較して、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍または100倍多くヒスチジンを産生できる。ある実施態様において、対照宿主細胞は、野生型大腸菌細胞である。ある実施態様において、宿主細胞は、HTH型転写リプレッサー(repressor)PurRの発現が減少するように修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、PurR欠失を含む。
【0013】
ある実施態様において、宿主細胞は、RPPKをコードする異種遺伝子を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M。
【0014】
本発明のさらなる態様は、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号27)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号27)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む、RPPKをコードする天然に存在しない核酸を提供する。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:A132C;A132Q;L130I;およびL130M。本発明のさらなる態様は、このようなRPPKをコードするこのような天然に存在しない核酸を含む宿主細胞に関する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む、天然に存在しないRPPKタンパク質を提供する。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:A132C;A132Q;L130I;およびL130M。本発明のさらなる態様は、このような天然に存在しないRPPKを含む宿主細胞に関する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸を含む、宿主細胞を提供する。ある実施態様において、宿主細胞は、MTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする異種核酸は、宿主細胞の染色体に組み込まれる。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする異種核酸は、合成プロモーターの制御下に発現される。ある実施態様において、合成プロモーターは構成的である。
【0017】
ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含むMTHFDC酵素をコードする異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む、プロモーターを含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含むプロモーターを含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、MTHFDC酵素をコードする核酸を2コピー以上含まない宿主細胞と比較して増加した量のヒスチジンを産生する。
【0018】
本発明のさらなる態様は、(a)配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む、プロモーター;および(b)MTHFDC酵素をコードする遺伝子を含み、ここで、(a)および(b)は操作可能に結合される、天然に存在しない核酸を含む。ある実施態様において、MTHFDC酵素の配列は、配列番号36と少なくとも90%同一である。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする遺伝子は、配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む。本発明のさらなる態様は、MTHFDC酵素をコードする遺伝子を2コピー以上含む、宿主細胞に関する。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする遺伝子の1コピーは、その天然プロモーターの制御下に、細胞で内因性に発現される。ある実施態様において、宿主細胞天然に存在しない核酸を含まない宿主細胞と比較して増加した量のヒスチジンを産生する。
【0019】
本発明のさらなる態様は、MTHFDC酵素をコードする異種核酸を含む宿主細胞であって、MTHFDCをコードする異種核酸が合成プロモーターの制御下に発現され、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加した量のプリン経路代謝生成物を産生するものである、宿主細胞を提供する。ある実施態様において、プリン経路代謝生成物は、イノシン、グアノシン、キサントシン、アデノシン、ヒポキサンチン、グアニン、キサンチン、アデニン、イノシン一リン酸(IMP)、キサントシン一リン酸(XMP)、グアノシンリン酸(例えばGMP、GDPおよびGTP)および/またはアデノシンリン酸(例えばAMP、ADPおよびATP)である。ある実施態様において、宿主細胞は、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加したGTPからリボフラビンへの変換を示す。ある実施態様において、宿主細胞は、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加したフラボノイド補因子フラビンモノヌクレオチド(FMN)および/またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を産生する。ある実施態様において、宿主細胞は、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加したキサンチンから尿酸への変換を示す。
【0020】
ある実施態様において、MTHFDC酵素は、配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは構成的である。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む。ある実施態様において、異種核酸は、配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、MTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする異種核酸は、宿主細胞の染色体に組み込まれる。
【0021】
ある実施態様において、宿主細胞は、HTH型転写リプレッサーPurRの発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、PurR欠失を含む。
【0022】
ある実施態様において、宿主細胞は、RPPKをコードする異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M。ある実施態様において、宿主細胞は、細菌細胞である。ある実施態様において、細菌細胞は、大腸菌細胞である。
【0023】
本発明のさらなる態様は、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸を含む、宿主細胞を提供する。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする異種核酸は、合成プロモーターの制御下に発現される。ある実施態様において、宿主細胞は、異種核酸を発現しない対照宿主細胞と比較して増加した量のプラスミドDNA(pDNA)を産生する。
【0024】
ある実施態様において、宿主細胞は、合成プロモーターの制御下に、1以上のプリン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、1以上のプリン生合成酵素は、purA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBまたはadkである。
【0025】
ある実施態様において、宿主細胞は、HTH型転写リプレッサーPurRの発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、PurR欠失を含む。
【0026】
ある実施態様において、宿主細胞は、1以上のピリミジン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、1以上のピリミジン生合成酵素は、carAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHまたはpyrIである。
【0027】
ある実施態様において、宿主細胞は、アルギニン応答性転写リプレッサーArgRの発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、argR欠失を含む。
【0028】
ある実施態様において、宿主細胞は、RPPKをコードする異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M。
【0029】
ある実施態様において、宿主細胞は、endA1、recAおよびrelAの1以上の発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞は、relAの発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、endA1、recAまたはrelA欠失を含む。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、relA欠失を含む。ある実施態様において、宿主細胞はhisGをコードする核酸を含み、ここで、hisGはhisG(E271K)を含まない。ある実施態様において、宿主細胞は、spoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGおよびptsHの1以上の発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞の修飾は、spoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGまたはptsH欠失を含む。
【0030】
ある実施態様において、宿主細胞は、DNAポリメラーゼIII、DnaBヘリカーゼ、PEP非依存性糖パーミアーゼ、アンモニア輸送体、グルタミンシンターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびグルタミン酸シンターゼの1以上をコードする異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、PEP非依存性糖パーミアーゼをコードする遺伝子は、galPまたはmglBACである。ある実施態様において、アンモニア輸送体をコードする遺伝子は、amtである。ある実施態様において、グルタミン酸シンターゼをコードする遺伝子は、gltDBである。
【0031】
ある実施態様において、宿主細胞は、priA、zwfおよびrpiAの1以上をコードする異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、バチルスgapB遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素をコードする異種遺伝子をさらに含む。
【0032】
ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含むMTHFDC酵素を含む。ある実施態様において、プロモーターは構成的である。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む。ある実施態様において、異種核酸は、配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、MTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする異種核酸は、宿主細胞の染色体に組み込まれる。ある実施態様において、宿主細胞は、細菌細胞である。ある実施態様において、細菌細胞は、大腸菌細胞である。
【0033】
ある実施態様において、宿主細胞は、prsL130MまたはprsD115Sを含む。ある実施態様において、宿主細胞は、relA、endA、recAおよびpurRの1以上の欠失をさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、relAの欠失を含む。
【0034】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載する宿主細胞を培養することを含む、プラスミドDNAを産生する方法を提供する。ある実施態様において、方法は、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸を含む宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、方法は、合成プロモーターの制御下に、1以上のプリン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子を含む宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、1以上のプリン生合成酵素は、purA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBまたはadkである。
【0035】
ある実施態様において、プラスミドDNAを産生する方法は、HTH型転写リプレッサーPurRの発現が低減するように修飾されている宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、修飾は、PurR欠失を含む。ある実施態様において、方法は、1以上のピリミジン生合成酵素をコードする1以上の異種遺伝子をさらに含む宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、1以上のピリミジン生合成酵素は、carAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHまたはpyrIである。ある実施態様において、宿主細胞は、アルギニン応答性転写リプレッサーArgRの発現が低減するように修飾されている。ある実施態様において、修飾は、argR欠失を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする異種遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M。ある実施態様において、宿主細胞は、endA1、recAおよびrelAの1以上の発現が低減するように修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞は、relAの発現が低減するように修飾されている。ある実施態様において、修飾は、endA1、recAまたはrelA欠失の1以上を含む。ある実施態様において、修飾は、relAの欠失を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、spoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGおよびptsHの1以上の発現が低減するように修飾されている。ある実施態様において、修飾は、spoT、fruR、pgi、pykA、pykF、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGまたはptsH欠失の1以上を含む。
【0036】
ある実施態様において、プラスミドDNAを産生する方法は、DNAポリメラーゼIII、DnaBヘリカーゼ、PEP非依存性糖パーミアーゼ、アンモニア輸送体、グルタミンシンターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびグルタミン酸シンターゼの1以上をコードする異種遺伝子をさらに含む宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、PEP非依存性糖パーミアーゼをコードする遺伝子は、galPまたはmglBACである。ある実施態様において、アンモニア輸送体をコードする遺伝子は、amtである。ある実施態様において、グルタミン酸シンターゼをコードする遺伝子は、gltDBである。ある実施態様において、宿主細胞は、priA、zwfおよびrpiAの1以上を含む異種ポリヌクレオチドをさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、バチルスgapB遺伝子をさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素をコードする異種遺伝子をさらに含む。
【0037】
ある実施態様において、プラスミドDNAを産生する方法は、配列番号36と少なくとも90%同一である配列を含むMTHFDC酵素を含む宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、プロモーターは構成的である。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号45、配列番号46または配列番号47の配列を含む。ある実施態様において、異種核酸は、配列番号35と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、MTHFDC酵素をコードする異種核酸を2コピー以上含む。ある実施態様において、MTHFDC酵素をコードする異種核酸は、宿主細胞の染色体に組み込まれる。ある実施態様において、宿主細胞は、細菌細胞である。ある実施態様において、細菌細胞は、大腸菌細胞である。
【0038】
ある実施態様において、プラスミドDNAを産生する方法は、prsL130MまたはprsD115Sを含む宿主細胞を培養することを含む。ある実施態様において、宿主細胞は、relA、endA、recAおよびpurRの1以上の欠失をさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、relAの欠失を含む。
【0039】
本発明のさらなる態様は、RPPKをコードする異種核酸を含む宿主細胞を提供する。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のD115に対応する残基;野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のA132に対応する残基;および/または野生型大腸菌RPPK(配列番号28)のL130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、endA、recA、relAおよびpurRの1以上の発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞は、relAの発現が低減するようにさらに修飾されている。ある実施態様において、宿主細胞は、relA、endA、recAおよびpurRの1以上の欠失を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、relAの欠失を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の配列と比較して、次のアミノ酸置換の1以上を含む:D115S;D115L;D115M;D115V;A132C;A132Q;L130I;およびL130M。ある実施態様において、宿主細胞は、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)酵素をコードする異種核酸をさらに含み、ここで、異種核酸は、合成プロモーターの制御下に発現される。ある実施態様において、宿主細胞は、細菌細胞である。ある実施態様において、細菌細胞は、大腸菌細胞である。
【0040】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載する宿主細胞を培養することを含む、ヒスチジンを産生する方法を提供する。本発明のさらなる態様は、本明細書に記載する宿主細胞を培養することを含む、プリン経路代謝生成物を産生する方法を提供する。本発明のさらなる態様は、本明細書に記載する宿主細胞を培養することを含む、プラスミドDNA(pDNA)を産生する方法を提供する。ある実施態様において、方法は、pDNAの抽出をさらに含む。ある実施態様において、方法は、pDNAの精製をさらに含む。
【0041】
本発明の限定の各々は、本発明の種々の実施態様を含み得る。それ故に、ある一つの要素または複数要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々は、本発明の各態様に包含され得ることが予測される。本発明は、以下の記載に示すまたは図面に図説する構成要素の詳細な構成および配置にその適用を限定されない。本発明は、他の実施態様が可能であり、種々の方法で実施または実行が可能である。また、本明細書で使用する表現および用語は、説明の目的であり、限定とみなしてはならない。「含む」、「含有する」または「有する」、「包含する」、「関与する」およびそれらの変形は、その前に列記された項目およびその等価物ならびにさらなる項目を含むことを意味する。単数表現は、その主体の1以上をいう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
添付する図面は、縮尺どおりの記載を意図していない。図面において、種々の図に示される各同一またはほぼ同一の構成要素は、同種の番号で表す。明確にするために、全図で全構成要素が表示されていないかもしれない。図面は以下のとおりである。
【0043】
【
図1】
図1は、引用に全体として本明細書に包含させる、Winkler et al. (2009), EcoSal Plus Aug; 3(2), doi: 10.1128/ecosalplus.3.6.1.19からのヒスチジンオペロンの遺伝子成分を示す模式図である。
【0044】
【
図2】
図2A~2Bは、ヒスチジン生合成を示す模式図である。
図2Aは、Winkler et al. (2009), EcoSal Plus Aug; 3(2), doi: 10.1128/ecosalplus.3.6.1.19からの大腸菌ヒスチジン生合成経路を示す。四角内の数字は、生合成経路内の工程をいう。二官能性である酵素について、(C)はカルボキシル末端が反応を触媒することを示し、(N)はアミノ末端が活性を担うことを示す。
図2Bは、ヒスチジン生合成の制御を要約する。
【0045】
【
図3】
図3A~3Bは、異なる組み合わせのプロモーターおよびリボソーム結合部位(RBS)を有する宿主細胞におけるヒスチジン産生を示すグラフを示す。
図3Aは、異なる組み合わせのプロモーターおよびリボソーム結合部位(RBS)を有するWG1組み込み宿主株における、24時間(各株左側の棒)および48時間(各株右側の棒)のヒスチジン産生を示す。
図3Bは、異なる組み合わせのプロモーターおよびリボソーム結合部位(RBS)を有するMG1655組み込み宿主株における、24時間(各株左側の棒)および48時間(各株右側の棒)のヒスチジン産生を示す。
【0046】
【
図4】
図4は、Prs遺伝子の生成物であるRPPKの可視化を示す。大腸菌(PDB 4S2U)からの結晶構造は、変異された特定のアミノ酸残基の原子を球形で強調する。ADPを棒状で示し、触媒活性部位の位置を示す。
【0047】
【
図5】
図5は、prs変異体を発現する株におけるヒスチジン産生を示すグラフである。
【0048】
【
図6】
図6は、プラスミド上にフィードバック耐性prs変異を発現する株と比較した、染色体に組み込まれたフィードバック耐性prs変異体を含む株におけるヒスチジン産生を示すグラフである。
【0049】
【
図7】
図7は、中心的炭素代謝生成物ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)からのヒスチジン生合成およびPRPPからヒスチジンへの効率的変換を駆動するための5-アミノ-1-(5-ホスホ-β-D-リボシル)イミダゾール-4-カルボキサミド(AICAR)からアデノシン三リン酸(ATP)のリサイクルのための重要な変換を示す、模式図である。数字は、経路における化合物をいう:1=PRPP;2=PR-ATP;3=IGP;4=ヒスチジン;5=AICAR。反応工程は、次のとおり標識される:R1=酵素ATPホスホリボシルトランスフェラーゼ(HisG)により触媒される、ATPへのホスホリボシル転移;R2=ヒスチジン生合成酵素HisI、HisAおよびHisHFを使用するPR-ATPからAICARおよびIGPへの多工程変換;R3=ヒスチジン生合成酵素HisB、HisCおよびHisDを使用するIGPからヒスチジンへの多工程変換;R4=プリン生合成酵素PurHにより触媒される、IMPおよびTHFを生じる10-CHO-THFからAICARへのホルミル基転移;R5=酵素PurA、PurBおよびAdkを使用する、IMPからATPへの多工程変換;R6=glyA遺伝子によりコードされる大腸菌酵素セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼおよび遺伝子gcvHPTおよびlpdによりコードされるグリシン切断系を介する、THFから5,10-CH2-THFへのリサイクル;R7=大腸菌遺伝子folDによりコードされるMTHFDCにより触媒される5,10-CH2-THFから5,10-CH-THFおよびNADPHへの可逆性NADP(+)依存性酸化;R8=大腸菌遺伝子folDによりコードされるMTHFDCにより触媒される5,10-CH-THFから10-CHO-THFへの可逆性加水分解。
【0050】
【
図8】
図8は、folD発現系のプラスミド地図を示す。プラスミドは、種々のセットのIPTG誘導性プロモーターの制御下に、pSC101複製起点(ori)、カルベニシリン耐性遺伝子(bla)、構成的に発現されるlacO転写リプレッサー(lacI)および大腸菌folD遺伝子を含む(表4参照)。
【0051】
【
図9】
図9は、folDを発現するプラスミドを含まない対照株(大腸菌株t589797)と比較した、種々のプロモーターと共にプラスミド上に大腸菌遺伝子folDを過発現する宿主株におけるヒスチジン力価、速度および収量を示すグラフである。
【0052】
【
図10】
図10は、folDを過発現しない株(大腸菌株t589797)またはプラスミド上にfolDを発現する株(大腸菌株t731374)と比較した、染色体に組み込まれたfolDを含む株(大腸菌株t750340)におけるヒスチジン産生を示すグラフである。
【0053】
【
図11】
図11は、endAおよびrelA発現が欠損しているが、folDを過発現しない一般的プラスミド産生株大腸菌DH10b(株t816386)と比較した、relA(株t823010)またはendA(株t823012)にさらなるノックアウト変異を有する染色体に組み込まれたfolDを含む株(大腸菌株t816385)における大腸菌pBR322由来DNAプラスミドの産生を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な記載
本発明は、ある態様において、ヒスチジンの産生のために操作された宿主細胞を提供する。これらの操作された宿主細胞は、合成プロモーターの制御下に、ヒスチジンオペロン:hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよび/またはhisIの遺伝子を発現する。このような宿主細胞が、ヒスチジンの生合成に関連する先に報告された毒性および不安定性の問題を回避し、むしろ、驚くべきことに、対照と比較した増加したレベルのヒスチジンを産生することが実施例で示されている。ヒスチジン産生を増加させる、リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)酵素の新規変異の驚くべき同定も、実施例に記載される。合成プロモーターの制御下の、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)をコードする大腸菌folD遺伝子の過発現が、ヒスチジンの産生を増加させる、驚くべき発見も実施例に記載される。合成プロモーターの制御下に、MTHFDCをコードする大腸菌folD遺伝子の過発現が、プラスミドDNA(pDNA)レベルを上昇させる驚くべき発見も、実施例に記載される。
【0055】
本明細書に記載する宿主細胞は、過去のアプローチと比較して、増加した速度でヒスチジンおよび他の生成物を産生するために使用し得る。本発明はまた、ある態様において、pDNAの産生のために操作された宿主細胞を提供する。これらの操作された宿主細胞は、pDNAの生産性および力価の増加の支持に使用できる遺伝子を発現する。本発明の宿主細胞により産生されたpDNAは、mRNA、siRNA、shRNAおよびtRNAを含むRNAポリマーの産生が関与する治療目的のために、直接生成物としてまたは前駆体として使用され得る。pDNAはまた遺伝子療法などの治療適用のためのDNAポリマーの前駆体としても役立ち得る。さらに、本明細書に記載する宿主細胞により産生されたpDNAは、RNAまたはmRNAワクチン、DNAワクチン、タンパク質またはペプチドベースのワクチン、細菌ベクターワクチンおよびウイルスベクターワクチンを含む、ワクチン薬物生成物の前駆体としても役立ち得る。本明細書に記載する宿主細胞は、過去のアプローチと比較して、増加した速度でpDNAを産生するために使用し得る。
【0056】
ヒスチジン生合成遺伝子
ヒスチジン生合成は、複数酵素の多面的制御に依存する重要な細胞経路である。大腸菌細胞は、単一の多シストロン性mRNAとして転写される、8個のヒスチジン生合成遺伝子(hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよびhisI)を含むヒスチジンオペロンを含む(
図1)。ヒスチジン生合成の態様は、Winkler et al. (2009), EcoSal Plus Aug; 3(2), doi: 10.1128/ecosalplus.3.6.1.19, Cho et al. (2011) Nucleic Acids Research, 39(15):6456 - 6464, and Brenner et al. (1971) In Vogel HJ (ed). Metabolic Pathways, vol. 5. Academic Press, New York, NY, pp. 349-387に記載され、引用により包含させる。
【0057】
用語「ヒスチジンオペロン」および「hisオペロン」は本明細書では相互交換可能に使用して、一体となって単一の多シストロン性mRNAに転写される、2以上のヒスチジン生合成遺伝子を含む核酸をいう。ヒスチジンオペロンは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個または8個を超えるヒスチジン生合成遺伝子を含み得る。例えば、ヒスチジンオペロンは、hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよびhisIの2以上を含み得る。ある実施態様において、ヒスチジンオペロンは、hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよびhisI全て含む。他の実施態様において、ヒスチジンオペロンは、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよびhisIを含む。ヒスチジンオペロンは、さらなる構成要素も含み得る。
【0058】
ある実施態様において、本明細書に記載するヒスチジンオペロンは、配列番号25または26;表3内のヒスチジンオペロン配列;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるヒスチジンオペロン配列の何れかに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。
【0059】
ある実施態様において、hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよびhisIを含むヒスチジンオペロンの部分は、配列番号24;表3内のヒスチジンオペロン配列;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるヒスチジンオペロン配列の何れかに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である。
【0060】
HisG
HisGは、ヒスチジン生合成経路の第一工程を触媒するATPホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素である(
図2A)。経路のこの工程は、ヒスチジンによる強いフィードバック阻害を受ける。HisGの活性は、ppGpp;アデノシン一および二リン酸:AMPおよびADP;およびホスホリボシル-ATP(PR-ATP)の細胞レベルにも影響される。野生型大腸菌細胞において、HisG活性は、一般にヒスチジン生合成の律速である。その結果、HisGにおける変異は、ヒスチジンの産生の増加を可能とする、フィードバック耐性形態の酵素を産生するために、研究されている。例えば、HisG
E271Kと称される、野生型大腸菌タンパク質の残基271に対応するアミノ酸残基に置換を有するHisGタンパク質は、フィードバック耐性形態のHisGを表し、これは、Astvatsaturianz et al. (1988) Genetika 24(11):1928-1934;およびDoroshenko et al. (2013) Prikl Biokhim Mikrobiol. 49(2):149-154に記載され、引用により包含させる。
【0061】
本明細書で使用する用語「HisG」は、野生型バージョンのHisGを含み、フィードバック耐性バージョンのHisGを含む変異体またはバリアントバージョンのHisGも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は、野生型HisGタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は、フィードバック耐性HisGタンパク質を含む変異体またはバリアントバージョンのHisGをコードする核酸を含む。例えば、宿主細胞は、HisGE271Kをコードする核酸を含み得る。ある実施態様において、hisGは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisGは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisGは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0062】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisG酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号7または9;表3におけるHisG酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisG酵素の何れかと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisG酵素をコードする異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号6または8;表3におけるHisG酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisG酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0063】
HisD
HisDは、ヒスチジン生合成経路の最後の2工程を触媒するヒスチジノールデヒドロゲナーゼ酵素である(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisD」は野生型バージョンのHisDを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisDも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisDタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisDをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisDは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisDは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisDは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0064】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisD酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号11;表3におけるHisD酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisD酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisD酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号10;表3におけるHisD酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisD酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0065】
HisC
HisCは、ヒスチジン生合成経路の7番目の工程を触媒するヒスチジノールホスフェートアミノトランスフェラーゼ酵素である(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisC」は野生型バージョンのHisCを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisCも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisCタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisCをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisCは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisCは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisCは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0066】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisC酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号13;表3におけるHisC酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisC酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisC酵素をコードする、異種ポリヌクレオチドを含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号12;表3におけるHisC酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisC酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0067】
HisB
HisBは、ヒスチジン生合成経路の6番目(IGPデヒドラターゼ)および8番目(Hol-Pホスファターゼ)の工程を触媒する、二機能性酵素である(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisB」は野生型バージョンのHisBを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisBも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisBタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisBをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisBは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisBは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisBは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0068】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisB酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号15;表3におけるHisB酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisB酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisB酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号14;表3におけるHisB酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisB酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0069】
HisH
HisHタンパク質はHisFと二量体を形成し、その後、イミダゾールグリセロールホスフェート(IGP)シンターゼ酵素として機能し、ヒスチジン生合成の5番目の工程を触媒する(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisH」は野生型バージョンのHisHを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisHも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisHタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisHをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisHは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisHは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisHは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0070】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisH酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号17;表3におけるHisH酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisH酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisH酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号16;表3におけるHisH酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisH酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0071】
HisA
HisAは、ヒスチジン生合成経路の4番目の反応を触媒する、1-(5-ホスホリボシル)-5-[(5-ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール-4-カルボキサミドイソメラーゼ酵素である(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisA」は野生型バージョンのHisAを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisAも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisAタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisAをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisAは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisAは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisAは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0072】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisA酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号19;表3におけるHisA酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisA酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisA酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号18;表3におけるHisA酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisA酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0073】
HisF
HisFタンパク質はHisHと二量体を形成し、その後、イミダゾールグリセロールホスフェート(IGP)シンターゼ酵素として機能し、ヒスチジン生合成の5番目の工程を触媒する(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisF」は野生型バージョンのHisFを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisFも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisFタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisFをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisFは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisFは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisFは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0074】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisF酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号21;表3におけるHisF酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisF酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisF酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号20;表3におけるHisF酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisF酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0075】
HisI
HisIは、ヒスチジン生合成経路の2番目および3番目の工程を触媒する、二機能性酵素である(
図2A)。本明細書で使用する用語「HisI」は野生型バージョンのHisIを含み、変異体またはバリアントバージョンのHisIも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型HisIタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのHisIをコードする核酸を含む。ある実施態様において、hisIは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現される。他の実施態様において、hisIは、ヒスチジンオペロンの一部として宿主細胞で発現されない。例えば、hisIは、プラスミド上でまたは細胞の染色体に組み込まれて、ヒスチジンオペロンの他の構成要素無しに発現され得る。
【0076】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisI酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号23;表3におけるHisI酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisI酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisI酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号22;表3におけるHisI酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisI酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0077】
prs/RPPK
リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)はホスホリボシルピロリン酸シンターゼおよびリボースリン酸ジホスホキナーゼとしても知られ、prs遺伝子によりコードされ、ヒスチジン生合成に関与するさらなる酵素である。RPPKは、リボース5-リン酸からのホスホリボシルピロリン酸(PRPP)の合成を触媒する。
【0078】
ヒスチジン合成におけるRPPK活性は、フィードバック阻害に感受性である。従って、フィードバック耐性変異体が、ヒスチジン産生を増加させるために研究されている。例えば、野生型大腸菌RPPKの残基115および他のRPPKタンパク質における対応する残基のアスパラギン酸からセリン置換は、いくつかの細胞でフィードバック耐性に寄与するとして同定されている(Roessler (1993) J. Biol. Chem. 268(35):26476-81; Taira (1987) J. Biol. Chem. 262(31):14867-70)。また、最近公開されたRPPKの結晶構造は、酵素の活性部位またはアロステリック部位内に位置する数残基を同定した。Zhou et al. (2019) BMC Structural Biology 19(1), https://doi.org/10.1186/s12900-019-0100-4。実施例に記載するとおり、新規RPPKフィードバック耐性アミノ酸置換変異体が、本発明において驚くべきことに同定された。変異残基は、Zhou et al. が、解析された結晶構造に基づき、活性部位またはアロステリック部位内での結合に関与すると報告したのと同じ残基に対応しない。
【0079】
本明細書に記載する宿主細胞は、RPPK酵素および/またはこのような酵素をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号28;表3におけるRPPK酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるRPPK酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、RPPK酵素をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号27;表3におけるRPPK酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるRPPK酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種核酸を含む。
【0080】
RPPKタンパク質は、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含み得る。ある実施態様において、RPPKタンパク質は、対照配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40または40を超えるアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含む。ある実施態様において、RPPKタンパク質は、配列番号28の配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40または40を超えるアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含む。
【0081】
本明細書に記載するRPPKタンパク質は、フィードバック耐性に寄与する置換を含み得る。ある実施態様において、RPPKタンパク質は、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の残基D115に対応する残基にアミノ酸置換を含む。例えば、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)におけるD115S、D115L、D115MまたはD115V置換に対応する置換を含み得る。ある実施態様において、RPPKタンパク質は、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の残基A132に対応する残基にアミノ酸置換を含む。例えば、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)におけるA132CまたはA132Q置換に対応する置換を含み得る。ある実施態様において、RPPKタンパク質は、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の残基L130に対応する残基にアミノ酸置換を含む。例えば、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)におけるL130IまたはL130M置換に対応する置換を含み得る。ある実施態様において、RPPKタンパク質は、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)の残基D115、A132およびL130に対応する2以上の残基にアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)におけるD115S、D115L、D115M、D115V、A132C、A132Q、L130IおよびL130M置換に対応する2以上の置換を含む。
【0082】
ある実施態様において、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含むRPPKタンパク質を含むRPPKタンパク質をコードする異種核酸は、ヒスチジンオペロン内に発現される。他の実施態様において、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含むRPPKタンパク質を含むRPPKタンパク質をコードする異種核酸は、ヒスチジンオペロン内に発現されない。
【0083】
folD/MTHFDC
大腸菌folD遺伝子によりコードされる5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ/5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFDC)は、ヒスチジン生合成に関与するさらなる酵素である。MTHFDCは、大腸菌代謝生成物5,10-CH
2-THFから10-CHO-THFの2工程変換と、付随する補因子NADP(+)からNADPHへの還元を触媒する、二機能性酵素である(
図7、R7およびR8)。10-CHO-THFは、二機能性酵素ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキサミドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(PurH)の共基質であり、それは、AICARからイノシン一リン酸(IMP)への変換中、10-CHO-THFからプリン代謝生成物5-アミノ-1-(5-ホスホ-β-D-リボシル)イミダゾール-4-カルボキサミド(AICAR)へのホルミル炭素の転移を触媒する。AICARは、ヒスチジン産生の絶対的副生成物である。実施例に記載するとおり、種々の合成プロモーター制御下のMTHFDCの過発現は、驚くべきことにヒスチジン産生株の生産性および収量を改善した。
【0084】
本明細書で使用する用語「MTHFDC」は野生型バージョンのMTHFDCを含み、変異体またはバリアントバージョンのMTHFDCも含む。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は野生型MTHFDCタンパク質をコードする核酸を含み、一方他の実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は変異体またはバリアントバージョンのMTHFDCをコードする核酸を含む。
【0085】
本明細書に記載する宿主細胞は、MTHFDC酵素および/またはこのような酵素をコードする核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号36;表3におけるMTHFDC酵素;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるMTHFDC酵素の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、MTHFDC酵素をコードする核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号35;表3におけるMTHFDC酵素をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるMTHFDC酵素をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、核酸を含む。
【0086】
MTHFDCタンパク質は、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含み得る。ある実施態様において、MTHFDCタンパク質は、対照配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40または40を超えるアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含む。ある実施態様において、MTHFDCタンパク質は、配列番号36の配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40または40を超えるアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含む。
【0087】
ある実施態様において、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含むMTHFDCタンパク質を含むMTHFDCタンパク質をコードする核酸は、プラスミド上に発現される。他の実施態様において、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含むMTHFDCタンパク質を含むMTHFDCタンパク質をコードする核酸は、宿主細胞ゲノムに組み込まれる。ある実施態様において、宿主細胞は、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含むMTHFDCタンパク質を含むMTHFDCタンパク質をコードする核酸を2コピー以上含む。ある実施態様において、宿主細胞は、1以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加を含むMTHFDCタンパク質を含むMTHFDCタンパク質をコードする核酸を、3コピー以上、4コピー以上、5コピー以上、6コピー以上、7コピー以上、8コピー以上、9コピー以上または10コピー以上含む。
【0088】
ある実施態様において、宿主細胞は、MTHFDCタンパク質をコードするfolD遺伝子の内因性コピーを、その天然プロモーターの制御下に発現する。ある実施態様において、MTHFDCタンパク質をコードするfolD遺伝子の内因性コピーを、その天然プロモーターの制御下に発現する宿主細胞は、MTHFDCタンパク質をコードするさらなる核酸も1コピー以上発現する。ある実施態様において、MTHFDCタンパク質をコードするさらなる核酸の1コピー以上は、プラスミド上で発現されるかまたは宿主細胞のゲノムに組み込まれる。ある実施態様において、MTHFDCタンパク質をコードするさらなる核酸の1コピー以上は、1以上の合成プロモーターの制御下に発現される。
【0089】
本発明の態様は、folD遺伝子などのMTHFDCタンパク質をコードする1以上の遺伝子を過発現する宿主細胞に関する。folD遺伝子などのMTHFDCタンパク質をコードする遺伝子の発現を増加させるあらゆる機構が本発明により意図されることは、認められるべきである。例えば、宿主細胞は、folD遺伝子などのMTHFDCタンパク質をコードする遺伝子のコピー数が増加していてよいおよび/または遺伝子の1コピー以上が、その天然プロモーターと比較して遺伝子発現を増加させる強いプロモーターにより制御されていてよい。ある実施態様において、folD遺伝子などのMTHFDCタンパク質をコードする遺伝子のコピー数増加は、1以上のプラスミド上への1コピー以上の発現により達成される。他の実施態様において、folD遺伝子などのMTHFDCタンパク質をコードする遺伝子のコピー数増加は、遺伝子の1コピー以上の染色体への組み込みにより達成される。
【0090】
folD遺伝子などのMTHFDC酵素をコードする遺伝子を過発現する宿主細胞を、ヒスチジン以外の生成物および代謝生成物の産生にも使用し得る。ある実施態様において、本開示と関連する宿主細胞は、プリン経路代謝生成物の産生に使用される。プリン経路代謝生成物の非限定的例は、イノシン、グアノシン、キサントシン、アデノシン、ヒポキサンチン、グアニン、キサンチン、アデニン、イノシン一リン酸(IMP)、キサントシン一リン酸(XMP)、グアノシンリン酸(例えば、GMP、GDPおよびGTP)およびアデノシンリン酸(例えば、AMP、ADPおよびATP)を含む。ある実施態様において、folD遺伝子などのMTHFDC酵素をコードする遺伝子の過発現は、生合成のためにこれら代謝生成物を出発物質として利用する生成物の増加をもたらし得る。例えば、folDの過発現は、GTPからリボフラビンへの変換増加および/またはフラボノイド補因子フラビンモノヌクレオチド(FMN)および/またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の産生増加をもたらし得る。folDの過発現は、キサンチンから尿酸への変換増加ももたらし得る。ある実施態様において、本発明の宿主細胞は、さらにリボフラビン生合成オペロンの脱制御を含む。
【0091】
folD遺伝子などのMTHFDC酵素をコードする遺伝子を過発現する宿主細胞は、pDNAの産生のためにも使用し得る。ある実施態様において、本開示と関連する宿主細胞は、pDNAの産生に使用される。ある実施態様において、folD遺伝子などのMTHFDC酵素をコードする遺伝子の過発現は、プリン代謝生成物(例えば、アデニンおよびグアニン)増加ももたらし得る。ある実施態様において、本発明の宿主細胞は、pDNA生合成増加に関与する修飾をさらに含む。
【0092】
本発明と関連する遺伝子の発現制御
本発明は、宿主細胞における核酸の異種発現を含む、方法を包含する。ある遺伝子を含む核酸またはプロモーターもしくはリボソーム結合部位などの制御領域を含む核酸などの核酸に関する用語「異種」は、用語「外因性」および用語「組み換え」と相互交換可能に使用され、生物系に人工的に供給されている核酸;生物系内で修飾されている核酸;または発現もしくは制御が生物系内で操作されている核酸をいう。宿主細胞に導入されたまたは宿主細胞で発現される異種核酸は、宿主細胞と異なる生物または種由来の核酸であってよくまたは合成核酸であってよくまたは宿主細胞と同じ生物または種で内因性にも発現される核酸であってよい。例えば、宿主細胞で内因性に発現される核酸は、宿主細胞で非天然に配置される;宿主細胞で安定にまたは一過性に組み換えにより発現される;宿主細胞内で修飾される;宿主細胞内で選択的に編集される;宿主細胞内で非天然コピー数で発現される;または核酸の発現を制御する制御領域の操作によるなど宿主細胞内で非天然の方法で発現されるとき、異種と見なされ得る。ある実施態様において、異種核酸は、宿主細胞で内因性に発現されるが、その発現が該核酸の発現を天然で制御しないプロモーターにより駆動される核酸である。他の実施態様において、異種核酸は、宿主細胞で内因性に発現され、その発現が該核酸の発現を天然で制御するプロモーターにより駆動されるが、該プロモーターまたは他の制御領域が修飾されている、核酸である。ある実施態様において、プロモーターは、組み換えにより活性化または抑圧される。例えば、遺伝子編集ベースの技術を使用して、内因性プロモーターを含むプロモーターからの、内因性核酸を含む核酸の発現を制御し得る。例えば、Chavez et al., Nat Methods. 2016 Jul; 13(7): 563-567参照。異種核酸は、野生型配列または対照核酸配列と比較して変異配列を含み得る。
【0093】
ある実施態様において、本明細書に記載されるタンパク質の何れかをコードする核酸は、制御配列の制御下にある。ある実施態様において、核酸は、プロモーターの制御下に発現される。ある実施態様において、プロモーターは異種である。プロモーターは、遺伝子の発現の通常の制御を提供する、天然プロモーター、例えば、遺伝子が内因性にある状況でのプロモーターであり得る。あるいは、プロモーターは、遺伝子の天然プロモーターと異なるプロモーターであってよく、例えば、プロモーターは、遺伝子が内因性にある状況でのプロモーターと異なる。ある実施態様において、異なるプロモーターは、天然プロモーターに比して強度が増加しており、例えば、強力なプロモーターは、その天然プロモーターによる遺伝子の制御と比較して、遺伝子の発現を増加させる。当業者は、当分野で知られる方法に基づき、プロモーター強度をどのように評価するか理解している。本発明の態様は、合成プロモーターの制御下のヒスチジン生合成遺伝子の発現に関する。本明細書で使用する「合成プロモーター」は、天然では存在が知られていないプロモーターをいう。実施例に示されるとおり、合成プロモーターの制御下の8個のヒスチジン生合成遺伝子hisGDCBHAFIを含むオペロンの発現は、ヒスチジン生合成に有効であった。同様に実施例に示されるとおり、合成プロモーターの制御下の大腸菌folD遺伝子の発現は、ヒスチジン生合成の増加に有効であった。
【0094】
ある実施態様において、プロモーターは、配列番号1に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号2に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号2と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。
【0095】
ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号37と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号38に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号38と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号39に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号39と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号40に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号40と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号41に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号41と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号42に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号42と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号43に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号43と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号44に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号44と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号45に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号45と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号46に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号46と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号47に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号47と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。
【0096】
ある実施態様において、プロモーターは、P(CP25)またはその機能的フラグメントまたはP(CP15)またはその機能的フラグメントである。ある実施態様において、プロモーターは、配列番号44またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(Bba_j23104)またはその機能的フラグメントである;プロモーターは、P(galP)またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(apFAB322)またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(apFAB29)またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(apFAB76)またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(apFAB339)またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(apFAB346)またはその機能的フラグメントである、プロモーターは、P(apFAB46)またはその機能的フラグメントである、プロモーターはP(apFAB101)またはその機能的フラグメントであるまたはプロモーターは、P(gcvTp)またはその機能的フラグメントである。核酸のフラグメントは、完全長核酸分子までの、しかしそれを含まない、部分をいう。本発明の核酸の機能的フラグメントは、核酸の生物学的活性部分をいう。プロモーターなどの遺伝子制御要素の生物学的活性部分は、完全長遺伝子制御要素の一部またはフラグメントを含み、完全長遺伝子制御要素と同じタイプの活性を有し得るが、遺伝子制御要素の生物学的活性部分の活性レベルは、完全長遺伝子制御要素の活性レベルと比較して変わり得る。
【0097】
合成プロモーターの他の非限定的例は、CP38、CP44、osmY、apFAB38、xthA、poxB、lacUV5、pLlacO1、pLTetO1、apFAB56、Trc、apFAB45、apFAB70、apFAB71、apFAB92、T7A1、badおよびrhaを含む。
【0098】
ある実施態様において、天然プロモーター(例えば、hisp1)を使用して、Winkler et al. (2009), EcoSal Plus Aug; 3(2), doi: 10.1128/ecosalplus.3.6.1.19に記載のかつ引用により本明細書に包含させる、ヒスチジンオペロンの1以上の構成要素の転写を駆動し得る。このような実施態様において、転写は、短オープンリーディングフレーム(ORF)およびリーダーペプチドを介して一次プロモーター(hisp1)から伸び得る。本明細書で使用する「hisL」は、多シストロン性ヒスチジンオペロンmRNAのリーダーペプチド/転写アテニュエータをコードする配列である。野生型HisLリーダーペプチドは、7連続Hisアミノ酸を含む、ヒスチジンに富むポリペプチドである。ある実施態様において、天然HisLは宿主細胞に存在する。ある実施態様において、天然HisL配列は、Panichkin et al. (2016) Applied Biochemistry and Microbiology, Vol. 52, No. 9, pp. 783-809に記載のとおり、宿主細胞から欠失され、TrpED翻訳共役接合部で置き換えられる。ある実施態様において、プロモーター後のORFは、下流にRho非依存性ターミネーターが続く。ある実施態様において、ヒスチジンオペロンからの転写の減弱は、hisL下流のRho非依存性ターミネーターでリードスルー(またはリードスルーの欠如)の関数として起こる。ターミネーターでのリードスルーは、細胞レベルの荷電tRNAHisにより制御され得る。
【0099】
本明細書に記載する宿主細胞は、HisLタンパク質および/またはこのようなタンパク質をコードする異種核酸を含み得る。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号34;表3におけるHisLタンパク質;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisLタンパク質の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)であるアミノ酸配列を含む、HisLタンパク質をコードする、異種核酸を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、配列番号33;表3におけるHisLタンパク質をコードする核酸;または本明細書に他に記載されたまたは当分野で知られるHisLタンパク質をコードする核酸の何れかに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である、異種ポリヌクレオチドを含む。ある実施態様において、HisLタンパク質は、配列番号34と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10以下のアミノ酸置換、挿入、付加または欠失を含む。
【0100】
ある実施態様において、天然プロモーター(例えば配列番号44)は、大腸菌folD遺伝子の転写の駆動に使用し得る。
【0101】
ある実施態様において、プロモーターは、真核生物プロモーターである。真核生物プロモーターの非限定的例は、当業者に知られるとおり、TDH3、PGK1、PKC1、PDC1、TEF1、TEF2、RPL18B、SSA1、TDH2、PYK1、TPI1、GAL1、GAL10、GAL7、GAL3、GAL2、MET3、MET25、HXT3、HXT7、ACT1、ADH1、ADH2、CUP1-1、ENO2およびSOD1を含む(例えば、Addgeneウェブサイト:blog.addgene.org/plasmids-101-the-promoter-region参照)。ある実施態様において、プロモーターは、原核生物プロモーター(例えば、バクテリオファージまたは細菌プロモーター)である。バクテリオファージプロモーターの非限定的例は、Pls1con、T3、T7、SP6およびPLを含む。細菌プロモーターの非限定的例は、Pbad、PmgrB、Ptrc2、Plac/ara、Ptac、CP6、CP25、CP38、CP44、CP43、CP31、CP24、CP18、CP27、CP37、CP17、CP2、CP4、CP45、CP1、CP22、CP19、CP34、CP20、CP11、CP26、CP3、CP14、CP13、CP40、CP8、CP28、CP10、CP32、CP30、CP9、CP46、CP23、CP39、CP35、CP33、CP15、CP29、CP12、CP41、CP16、CP42、CP7、Pm、PH207、PD/E20、PN25、PG25、PJ5、PA1、PA2、PL、Plac、PlacUV5、PtacIおよびPconを含む。原核生物プロモーターは、さらにJensen et al. (1998) Appl Environ Microbiol. 64:82-7, Kosuri et al. (2013) Proc Natl Acad Sci U S A. 110:14024-9およびDeuschle et al. (1986) EMBO J. 5:2987-94に記載され、引用により本明細書に包含させる。
【0102】
ある実施態様において、プロモーターは、誘導型プロモーターである。本明細書で使用する「誘導型プロモーター」は、ある分子の存在または非存在により制御されるプロモーターである。これは、例えば、酵素発現の制御可能な誘導のために使用され得る。ある実施態様において、誘導型プロモーターを使用して、ヒスチジンの産生の微調整のために、宿主細胞におけるヒスチジン生合成に必要な1以上の酵素の発現を制御し得る。誘導型プロモーターの非限定的例は、化学的に制御されたプロモーターおよび物理的に制御されたプロモーターを含む。化学的に制御されたプロモーターについて、転写活性は、アルコール、テトラサイクリン、ガラクトース、ステロイド、金属または他の化合物などの1以上により制御され得る。物理的に制御されたプロモーターについて、転写活性は、光または温度などの現象により制御され得る。テトラサイクリン制御プロモーターの非限定的例は、ヒドロテトラサイクリン(aTc)応答性プロモーターおよび他のテトラサイクリン応答性プロモーター系(例えば、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(tetR)、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)およびテトラサイクリントランスアクティベーター融合タンパク質(tTA))を含む。ステロイド制御プロモーターの非限定的例は、ラットグルココルチコイド受容体、ヒトエストロゲン受容体、ガのエクジソン受容体に基づくプロモーターおよびステロイド/レチノイド/甲状腺受容体スーパーファミリーからのプロモーターを含む。金属制御プロモーターの非限定的例は、メタロチオネイン(金属イオンと結合し、捕捉するタンパク質)遺伝子由来のプロモーターを含む。病因制御プロモーターの非限定的例は、サリチル酸、エチレンまたはベンゾチアジアゾール(BTH)により誘導されるプロモーターを含む。温度/熱誘導性プロモーターの非限定的例は、ヒートショックプロモーターを含む。光制御プロモーターの非限定的例は、植物細胞からの光応答性プロモーターを含む。ある実施態様において、誘導型プロモーターは、ガラクトース誘導性プロモーターである。ある実施態様において、誘導型プロモーターは、1以上の生理学的条件(例えば、pH、温度、放射線、浸透圧、食塩水勾配、細胞表面結合または1以上の外因性もしくは内因性誘導因子の濃度)により誘導される。外因性誘導因子または誘導剤の非限定的例は、アミノ酸およびアミノ酸アナログ、糖類および多糖、核酸、タンパク質転写アクティベーターおよびリプレッサー、サイトカイン、毒素、石油ベースの化合物、金属含有化合物、塩、イオン、酵素基質アナログ、ホルモンまたはあらゆる組み合わせを含む。
【0103】
ある実施態様において、プロモーターは、構成的プロモーターである。本明細書で使用する「構成的プロモーター」は、遺伝子の連続的転写を可能とする、制御されないプロモーターをいう。構成的プロモーターの非限定的例は、TDH3、PGK1、PKC1、PDC1、TEF1、TEF2、RPL18B、SSA1、TDH2、PYK1,TPI1、HXT3、HXT7、ACT1、ADH1、ADH2、ENO2およびSOD1を含む。
【0104】
当業者に知られ得る合成プロモーターを含む他の誘導型プロモーターまたは構成的プロモーターも意図される。ある実施態様において、本発明に包含される合成プロモーターは、天然プロモーターと比較して、強度が増加している。
【0105】
ヒスチジンオペロンをコードする核酸の発現は、少なくとも一部、インスレーターリボザイムの存在により増強され得る。本発明のある実施態様において、インスレーターリボザイムは、プロモーターの下流およびリボソーム結合部位(RBS)の上流に挿入される。ある実施態様において、インスレーターリボザイムは、ヒスチジンオペロンの発現を増加させる。ある実施態様において、インスレーターリボザイムは、Lou et al. (2012) Nat Biotechnol. November; 30(11):1137-1142, doi: 10.1038/nbt.2401およびClifton et al. (2018) J. Biol. Eng.; 12:23, doi: 10.1186/s13036-018-0115-6に記載のおよび引用により本明細書に包含させる、LtsvJ、SccJ、RiboJ、SarJ、PlmJ、VtmoJ、ChmJ、ScvmJ、SltJまたはPlmvJである。当分野で知られる他のインスレーターリボザイムも、本発明の態様に適用できることは、認められるべきである。ある実施態様において、インスレーターリボザイムは、配列番号5に70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、インスレーターリボザイムは、配列番号5と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。
【0106】
ヒスチジンオペロンの翻訳は、少なくとも一部、RBSの存在により増強され得る。本明細書で使用する「RBS」は、リボソーム動員に関与する、mRNAにおける開始コドン上流の制御核酸領域をいう。ある実施態様において、RBSは異種である。宿主細胞は、天然RBS、例えば、遺伝子またはオペロンの発現の通常の制御を提供するその内因性状況におけるRBSを発現できる。あるいは、RBSは、遺伝子またはオペロンと関連する天然RBSと異なるRBSであってよく、例えば、RBSは、その内因性状況における遺伝子またはオペロンのRBSと異なる。RBSは合成され得る。本明細書で使用する「合成RBS」は、天然に存在することが知られていないRBSをいう。合成RBSは、Salis et al. (2009) Nat. Biotechnol. 27, 946-950 (2009)にさらに記載され、引用により本明細書に包含させる。
【0107】
ある実施態様において、RBSは、配列番号3または4と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一または100%同一(間に入る全数値を含む)である配列を含む。ある実施態様において、RBSは、配列番号3または4と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28以下のヌクレオチド置換、挿入、付加または欠失を含む。
【0108】
ある実施態様において、RBSは、apFAB873、apFAB826、DeadRBS、apFAB871、BBa_J61133、BBa_J61139、apFAB843、BBa_J61124、apFAB864、apFAB964、BBa_J61101、BBa_J61131、salis-3-11、BBa_J61125、BBa_J61118、apFAB922、BBa_J61130、BBa_J61134、BBa_J61128、BBa_J61107、apFAB869、apFAB890、BBa_J61120、BBa_J61109、BBa_J61103、apFAB868、apFAB914、BBa_J61119、BBa_J61126、B0032_RBS、apFAB895、BBa_J61136、apFAB866、GSGV_RBS、apFAB918、BBa_J61129、apFAB867、apFAB903、apFAB872、BBa_J61137、BBa_J61111、apFAB821、apFAB844、BBa_J61110、BBa_J61112、BBa_J61104、BBa_J61122、apFAB854、BBa_J61127、BBa_J61113、GSG_RBS、apFAB892、BBa_J61115、apFAB927、BBa_J61108、Anderson_RBS、apFAB883、apFAB894、BBa_J61132、apFAB860、BBa_J61100、apFAB856、apFAB862、apFAB865、BBa_J61106、apFAB845、apFAB820、apFAB954、apFAB910、salis-4-10、apFAB901、salis-4-4、apFAB832、apFAB909、salis-4-7、apFAB861、apFAB876、apFAB827、salis-2-4、Alon_RBS、apFAB831、apFAB857、apFAB863、apFAB912、apFAB889、apFAB851、apFAB884、apFAB833、apFAB848、apFAB839、salis-1-21、apFAB923、Plotkin_RBS、apFAB842、salis-2-3、apFAB837、apFAB916、apFAB834、apFAB904、apFAB917、salis-1-10、Invitrogen_RBS、salis-1-1、salis-1-3、salis-3-3、salis-4-2、JBEI_RBS、salis-1-5、B0034_RBS、B0030_RBSまたはBujard_RBSであり、これらは、Kosuri et al. (2013) Proc Natl Acad Sci U S A. 110:14024-9にさらに記載され、引用により本明細書に包含させる。ある実施態様において、RBSはapFAB873またはapFAB826である。
【0109】
コード配列および制御配列は、コード配列と制御配列が共有結合で結合されおよび/またはコード配列の発現または転写が制御配列のまたは制御下にあるとき、「操作可能に連結」または「操作可能に結合」と言える。ある実施態様において、P(CP25)またはその機能的フラグメントまたはP(CP15)またはその機能的フラグメントなどのプロモーターは、hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよび/またはhisIを含む1以上のヒスチジン生合成遺伝子に操作可能に結合する。ある実施態様において、P(CP25)またはその機能的フラグメントまたはP(CP15)またはその機能的フラグメントなどのプロモーターおよび1以上のRBSは、hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよび/またはhisIを含む1以上のヒスチジン生合成遺伝子に操作可能に結合する。ある実施態様において、P(CP25)またはその機能的フラグメントまたはP(CP15)またはその機能的フラグメントなどのプロモーターおよび1以上のインスレーターリボザイムおよび/または1以上のRBSは、hisG、hisD、hisC、hisB、hisH、hisA、hisFおよび/またはhisIを含む1以上のヒスチジン生合成遺伝子に操作可能に結合する。ある実施態様において、配列番号44またはその機能的フラグメント、P(Bba_j23104)またはその機能的フラグメント、P(galP)またはその機能的フラグメント、P(apFAB322)またはその機能的フラグメント、P(apFAB29)またはその機能的フラグメント、P(apFAB76)またはその機能的フラグメント、P(apFAB339)またはその機能的フラグメント、P(apFAB346)またはその機能的フラグメント、P(apFAB46)またはその機能的フラグメント、P(apFAB101)またはその機能的フラグメントまたはP(gcvTp)またはその機能的フラグメントなどのプロモーター能的フラグメントまたはP(gcvTp)またはその機能的フラグメントは、大腸菌folD遺伝子に操作可能に結合する。
【0110】
本明細書に記載する核酸は、当分野で知られる何れかの方法により、何れかの適切なベクターに取り込まれ得る。例えば、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクター)、一過性発現に適するあらゆるベクター、構成的発現に適するあらゆるベクターまたは誘導型発現に適するあらゆるベクター(例えば、ガラクトース誘導性またはドキシサイクリン誘導性ベクター)を含むが、これらに限定されない発現ベクターであり得る。本明細書に記載するベクターは、当分野で知られる何れかの方法を使用して、適当な宿主細胞に導入され得る。
【0111】
ある実施態様において、ベクターは、細胞で自律的に複製する。ある実施態様において、ベクターは、細胞内の染色体に組み込まれる。ベクターは、細胞で複製可能な組み換えベクターを産生するために、本明細書に記載する遺伝子を含む核酸を挿入およびライゲートするための制限エンドヌクレアーゼにより切断される、1以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含み得る。ベクターは、概してDNAからなるが、RNAベクターも利用可能である。クローニングベクターは、プラスミド、フォスミド、ファージミド、ウイルスゲノムおよび人工染色体を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用する用語「発現ベクター」または「発現構築物」は、宿主細胞における特定の核酸の転写を可能とする、一連の特定した核酸要素を有する、組み換えまたは合成により産生した核酸構築物をいう。ある実施態様において、本明細書に記載する遺伝子の核酸配列を、制御配列に操作可能に連結し、ある実施態様において、RNA転写物として発現されるように、クローニングベクターに挿入する。ある実施態様において、ベクターは、組み換えベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を同定するための、本明細書に記載する選択可能マーカーなどの1以上のマーカーを含む。ある実施態様において、本明細書に記載する遺伝子の核酸配列が再コードされる。再コードは、再コードされない対照配列と比較して、遺伝子生成物の産生を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%(間に入る全数値を含む)増加させ得る。宿主細胞における1以上の遺伝子の発現の誘導に適する1以上の適切なベクターの選択および設計は、当業者の能力の範囲内である。発現に必要な要素を含む発現ベクターは商業的に入手可能であり、当業者に知られる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2012参照)。
【0112】
さらなる細胞修飾
ヒスチジンの生合成、プリン経路代謝生成物の生合成および/またはプラスミドDNA(pDNA)の産生のための本明細書に記載する宿主細胞は、さらなる修飾を含み得る。
【0113】
ヒスチジンオペロンの発現は、プリンヌクレオチドのデノボ合成に関与する遺伝子の主リプレッサーである、HTH型転写リプレッサーPurRの発現により影響され得る。本発明のある実施態様において、ヒスチジンオペロンを含む宿主細胞を含む宿主細胞は、purRを発現する。ある実施態様において、ヒスチジンオペロンを含む宿主細胞を含む宿主細胞は、対照と比較して、purR発現が減少している。例えば、purR遺伝子またはPurRタンパク質の発現は、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸置換、欠失、挿入または付加の作成などの当分野で知られるあらゆる手段により減少され得る。ある実施態様において、ヒスチジンオペロンを含む宿主細胞を含む宿主細胞は、purR欠失(ΔpurR)を有する。
【0114】
本発明の宿主細胞への他の非限定的修飾は当業者に知られ、ラムダ発現減少または欠失(Δλ);Fプラスミド発現減少または欠失(ΔF’);および/またはHisJ発現減少または欠失を含み得る。
【0115】
pDNAの産生のための本明細書に記載する宿主細胞は、さらなる修飾を含み得る。pDNA産生のための開始プリン代謝生成物(例えば、アデニンおよびグアニン)の発現は、purA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBおよびadkなどのデノボプリン生合成遺伝子の発現により影響され得る。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較してpurA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBおよびadkの1以上の発現増加を含む。例えば、purA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBおよびadk遺伝子またはPurA、PurB、PurC、PurD、PurE、PurF、PurH、PurK、PurL、PurN、PurM、PurT、GuaA、GuaBおよびAdkタンパク質の1以上の発現は、purA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBおよびadk遺伝子の1以上のコピー数増加、1以上のプラスミド上の1コピー以上の発現および/または染色体への1以上の遺伝子の1コピー以上の組み込みなど、当分野で知られるあらゆる手段により増加させ得る。
【0116】
pDNAの産生のための開始ピリミジン代謝生成物(例えば、オロト酸、シトシンおよびウラシル)の発現は、アルギニン応答性転写リプレッサーargRの発現および/またはcarAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHおよびpyrIなどのデノボピリミジン生合成酵素の発現により影響され得る。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、1コピー以上のargRを発現する。ある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較してargRの発現の減少を示す。例えば、argR遺伝子またはargR遺伝子によりコードされるアルギニンリプレッサータンパク質の発現は、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸置換、欠失、挿入または付加の作成などの当分野で知られるあらゆる手段により低減され得る。ある実施態様において、宿主細胞は、argRの欠失(ΔargR)を含む。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較してcarAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHおよびpyrI遺伝子の1以上の発現の増加を含む。例えば、carAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHおよびpyrI遺伝子またはCarAB、PyrB、PyrC、PyrD、PyrE、PyrF、PyrG、PyrHまたはPyrIタンパク質の1以上の発現は、1以上のプラスミド上への1コピー以上の発現および/または染色体への遺伝子の1以上の1コピー以上の組み込みによる、carAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHおよびpyrI遺伝子の1以上のコピー数増加などの、当分野で知られるあらゆる手段により増加させ得る。
【0117】
pDNAの産生およびpDNA品質増加のための炭素取り込みおよび利用は、細胞溶解後、プラスミド分解を阻止するための大腸菌エンドヌクレアーゼコード化遺伝子endA1の発現減少;pDNAの意図しない遺伝子組み換えおよび喪失もしくは分解を阻止するためのrecA発現減少;プラスミド複製機構の十分な存在を確実にするためのDNAポリメラーゼIIIおよびDnaBヘリカーゼの過発現;および/またはプラスミド増幅速度を改善するための遺伝子priAの過発現により影響され得る。ある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較して遺伝子endA1および/またはrecAの発現の減少を含む。例えば、endA1遺伝子またはEndA1タンパク質および/またはrecA遺伝子またはRecAタンパク質の発現は、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸置換、欠失、挿入または付加の作成などの当分野で知られるあらゆる手段により低減され得る。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、endA1欠失(ΔendA1)および/またはrecA欠失(ΔrecA)を含む。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較して、DNAポリメラーゼIII、dnaBヘリカーゼおよびpriAの1以上の発現増加を含む。例えば、DNAポリメラーゼIII、dnaBヘリカーゼおよびpriA遺伝子またはDNAポリメラーゼIII、DnaBヘリカーゼおよびPriAタンパク質の1以上の発現は、1以上のプラスミド上への1コピー以上の発現および/または染色体への1以上の遺伝子の1コピー以上の組み込みによる、DNAポリメラーゼIII、dnaBヘリカーゼおよびpriA遺伝子の1以上のコピー数増加など、あらゆる手段により増加できる。
【0118】
pDNAの産生に関する中心的炭素代謝は、緊縮性/飢餓応答を低減し、pDNA収量を改善するためのspoTおよびrelA遺伝子の発現減少;中心的炭素代謝への異化制御応答を減少するための遺伝子fruRの発現減少;ヌクレオチド前駆体産生のためのペントースリン酸経路に向けた流動を改善するためのzwfまたはrpiA両者の過発現およびpgi、pykAまたはpykFの減弱;および/またはpDNA前駆体代謝生成物への流動再指示のための酢酸産生を減少させるためのackA、eutD、ptaまたはpoxBの不活性化により影響され得る。ptsGまたはptsH遺伝子の発現減少またはgalPなどのPEP非依存性糖パーミアーゼ過発現などの炭素輸送のエネルギー効率を増加させるまたは宿主細胞の成長速度を低減させる修飾は、pDNAの収量および生産性を改善できる。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較して、spoT、relA、fruR、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGまたはptsHの発現の減少を含む。例えば、spoT、relA、fruR、ackA、eutD、pta、poxB、ptsGまたはptsH遺伝子またはSpoT、RelA、FruR、AckA、EutD、Pta、PoxB、PtsGまたはPtsHタンパク質の発現は、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸置換、欠失、挿入または付加の作成などの当分野で知られるあらゆる手段により低減され得る。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、spoT欠失(ΔspoT)、relA欠失(ΔrelA)、fruR欠失(ΔfruR)、ackA欠失(ΔackA)、eutD欠失(ΔeutD)、pta欠失(Δpta)、poxB欠失(ΔpoxB)。ptsG欠失(ΔptsG)またはptsH欠失(ΔptsH)を含む。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、relAの欠失(ΔrelA)を含む。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較して、zwf、rpiA、mglBACまたはgalPの1以上の発現増加を含む。例えば、zwf、rpiA、mglBACおよびgalP遺伝子またはZwf、RpiA、MglBACおよびGalPタンパク質の1以上の発現は、1以上のプラスミド上への1コピー以上の発現および/または染色体への1以上の遺伝子の1コピー以上の組み込みによる、zwf、rpiA、mglBACおよびgalP遺伝子の1以上のコピー数増加などの、当分野で知られるあらゆる手段により増加させ得る。
【0119】
pDNA産生改善のための窒素輸送および同化は、アンモニア輸送体(amt)、グルタミンシンターゼ(glnA)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(gdhA)およびグルタミン酸シンターゼ(gltDB)の発現により影響され得る。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較してamt、glnA、gdhAおよび/またはgltDBの発現増加を含む。例えば、amt、glnA、gdhAおよびgltDB遺伝子またはAmt、GlnA、GdhAおよびGltDBタンパク質の1以上の発現は、1以上のプラスミド上への1コピー以上の発現および/または染色体への遺伝子の1以上の1コピー以上の組み込みによる、amt、glnA、gdhAおよびgltDB遺伝子の1以上のコピー数増加など、当分野で知られるあらゆる手段により増加させ得る。
【0120】
PDNA産生のためのNADP+プール増加のためのNADPH再生または大腸菌NADキナーゼ(nadK)共発現は、天然大腸菌gapA遺伝子を、バチルス種(例えば、枯草菌またはバチルス・アミロリケファシエンス)からのgapBに置換することによりおよび/または枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素の過発現により、影響され得る。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、天然大腸菌gapA遺伝子の代わりにバチルス種(例えば、枯草菌またはバチルス・アミロリケファシエンス)からのgapB遺伝子を含む。本発明のある実施態様において、宿主細胞は、対照と比較して枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素の発現増加を含む。例えば、枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子またはタンパク質の発現は、1以上のプラスミド上への1コピー以上の発現および/または染色体への遺伝子の1コピー以上の組み込みによる枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数増加などの、当分野で知られるあらゆる手段により増加させ得る。
【0121】
当業者に知られるpDNAの産生を増加するための本発明の宿主細胞の他の非限定的修飾も意図される。
【0122】
ある実施態様において、本発明に関連する宿主細胞は、少なくとも200mg/L、205mg/L、210mg/L、215mg/L、220mg/L、225mg/L、230mg/L、235mg/L、240mg/L、245mg/L、250mg/L、255mg/L、260mg/L、265mg/L、270mg/L、275mg/L、280mg/L、281mg/L、282mg/L、283mg/L、284mg/L、285mg/L、286mg/L、287mg/L、288mg/L、289mg/L、290mg/L、291mg/L、292mg/L、293mg/L、294mg/L、295mg/L、296mg/L、297mg/L、298mg/L、299mg/L、300mg/L、305mg/L、310mg/L、315mg/L、320mg/L、325mg/L、330mg/L、335mg/L、340mg/L、345mg/L、350mg/Lまたは350mg/Lを超えるpDNA(間に入る全数値を含む)を産生する。
【0123】
本明細書に記載する宿主細胞は、記載する遺伝子の何れかの内因性コピーを含んでも、含んでいなくてもよい。宿主細胞は、ヒスチジンオペロンの内因性コピーを含み得る。ある実施態様において、ヒスチジンオペロンの内因性コピーは変異または欠失される。
【0124】
ヒスチジン産生
本明細書に記載する核酸、タンパク質、宿主細胞および方法の何れもヒスチジンおよびヒスチジン前駆体の産生に使用され得る。一般に、用語「産生」は、例えば、特定の基質または反応物からの1以上の生成物(例えば、目的の生成物および/または副生成物/オフプロダクト)の産生をいうために使用される。産生量は、当業者に周知の計量を使用する、最終生成物または中間生成物などの経路の1以上の工程のいずれかで評価し得る。例えば、産生量は、単一酵素反応について評価され得る(例えば、HisGにより触媒されるヒスチジン生合成経路の第一工程)。それとは別にまたはそれに加えて、産生量は、一連の酵素反応について評価され得る(例えば、
図2Aおよび/または
図2Bに示すヒスチジン生合成経路)。産生は、当分野で知られるあらゆる計量により、例えば、1以上の生成物(例えば、目的の生成物および/または副生成物/目的外生成物)の容積測定生産性、酵素速度論/反応速度、特異的生産性、バイオマス特異的生産性、力価、収量および総力価の評価により、評価できる。
【0125】
ある実施態様において、産生を測定するための計量は、連続的過程がモニターされるか
または特定の最終生成物が測定されるかに依存し得る。例えば、ある実施態様において、連続的過程による産生モニターに使用する計量は、容積測定生産性、酵素速度論および反応速度を含み得る。ある実施態様において、特定の生成物の産生モニターに使用する計量は、1以上の生成物(例えば、目的の生成物および/または副生成物/目的外生成物)の特異的生産性、バイオマス特異的生産性、力価、収量および総力価を含み得る。用語「容積測定生産性」または「産生速度」は、時間単位あたりに溶媒体積当たりに形成された生成物の量をいう。容積測定生産性は、時間あたりリットルあたりグラム(g/L/h)で報告され得る。
【0126】
生成物の「特異的生産性」なる用語は、単位体積または質量またはバイオマスにより正規化した生成物の形成速度をいい、単位質量または体積あたり単位時間あたり物質の量の物理的デイメンションを有する[M・T-1・M-1またはM・T-1・L-3、ここでMは質量またはモルであり、Tは時間であり、Lは長さである]。
【0127】
用語「バイオマス特異的生産性」は、時間あたり細胞乾燥重量(CDW)のグラムあたりの生成物のグラム(g/g CDW/h)または時間あたり細胞乾燥重量(CDW)のグラムあたり生成物のmmol(mmol/g CDW/h)での特定の生産性をいう。ある微生物についてOD600に対するCDWの相関を使用することにより、特異的生産性はまた時間あたり600nmでの培養液の光学密度(OD)あたり培養培地リットルあたりの生成物のグラム(g/L/h/OD)としても表し得る。また、バイオマスの要素的組成が知られているならば、バイオマス特異的生産性は、時間あたりバイオマスのC-mol(炭素モル)あたり生成物のmmol(mmol/C-mol/h)としても表され得る。
【0128】
用語「収量」は、ある基質の単位重量あたり得られた生成物の量をいい、g基質あたりg生成物(g/g)または基質モルあたりの生成物のモル(mol/mol)として表わされ得る。収量はまた理論的収量のパーセンテージとしても表され得る。「理論的収量」は、生成物の産生に使用される代謝経路の化学量論により導かれるある量の基質あたり産生され得る最大量の生成物として定義され、g基質あたりg生成物(g/g)または基質モルあたりの生成物のモル(mol/mol)として表わされ得る。
【0129】
用語「力価」は、溶液の強度または溶液中の物質の濃度をいう。例えば、発酵ブロス中の目的の生成物(例えば、小分子、ペプチド、合成化合物、燃料、アルコールなど)の力価は、発酵ブロスまたは無細胞ブロスリットルあたり溶液中の目的の生成物のg(g/L)または発酵ブロスまたは無細胞ブロスkgあたり溶液中の目的の生成物のg(g/Kg)として記載される。
【0130】
用語「総力価」は、過程の初期体積または過程の操作体積に対する、溶液中の目的の生成物、妥当ならばガス相中の目的の生成物および過程から除去されかつ回収された何れかの目的の生成物を含むが、これらに限定されない、過程において産生された全目的の生成物の合計をいう。例えば、発酵ブロス中の目的の生成物(例えば、小分子、ペプチド、合成化合物、燃料、アルコールなど)の総力価は、発酵ブロスまたは無細胞ブロスリットルあたり溶液中の目的の生成物のg(g/L)または発酵ブロスまたは無細胞ブロスkgあたり溶液中の目的の生成物のg(g/Kg)として記載される。
【0131】
ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50g/Lのヒスチジンの力価を産生し得る。ある実施態様において、本明細書に記載する宿主細胞は、ヒスチジンの産生について少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4または1.5g/L/hの産生速度を示す。ある実施態様において、力価は約40g/Lである。ある実施態様において、産生速度は約1.09g/L/hである。ある実施態様において、宿主細胞は、対照宿主細胞と比較して、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍または100倍多くヒスチジンを産生できる。ある実施態様において、対照宿主細胞は、1以上のヒスチジン生合成遺伝子を異種性に発現しない細胞である。ある実施態様において、対照宿主細胞は、野生型大腸菌細胞などの野生型細胞である。ある実施態様において、対照宿主細胞は、試験細胞と同じヒスチジン生合成遺伝子を含むが、ヒスチジン生合成遺伝子の1以上の発現を制御する異なる制御配列を含む。ある実施態様において、対照宿主細胞は、ヒスチジンオペロンを、その内因性プロモーターおよび/またはRBSの制御下に発現する。
【0132】
バリアント
本発明の態様は、ポリペプチドをコードする核酸を含む核酸に関する。本明細書に記載する核酸およびポリペプチドのバリアントも、本発明により包含される。バリアントは、対照配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%配列同一性を共有し得る(間に入る全数値を含む)。
【0133】
特に断らない限り、用語「配列同一性」は、当分野で知られるとおり、配列比較(アラインメント)により決定した、2個のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列間の相関をいう。ある実施態様において、配列同一性は、対照配列などの配列の完全長にわたり決定され、一方他の実施態様において、配列同一性は、配列の領域にわたり決定される。ある実施態様において、配列同一性を、配列の領域(例えば、アミノ酸または核酸の区間、例えば、活性部位にわたる配列)にわたり決定する。例えば、ある実施態様において、配列同一性を、対照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%に対応する領域または100%にわたり決定する。
【0134】
同一性は、特定の数学的モデル、アルゴリズムまたはコンピュータープログラムにより対処される、ギャップアラインメント(あるならば)を有する2以上の配列の小さいほうの同一マッチのパーセントを測定する。
【0135】
関連ポリペプチドまたは核酸配列の同一性は、当業者に知られる方法の何れかにより容易に計算され得る。2個の配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)のパーセント同一性は、例えば、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77, 1993におけるように改変された、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズムを使用して、決定され得る。このようなアルゴリズムは、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990のNBLAST(登録商標)およびXBLAST(登録商標)プログラム(version 2.0)に組み込まれている。BLAST(登録商標)タンパク質サーチを、例えば、XBLASTプログラムで、スコア=50、ワード長=3を使用して実施し、本明細書に記載されるタンパク質に相同であるアミノ酸配列を得ることができる。2個の配列間にギャップが存在するとき、Gapped BLAST(登録商標)を、例えば、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402, 1997に記載のとおり利用できる。BLAST(登録商標)およびGapped BLAST(登録商標)プログラムを使用するとき、各プログラムのデフォルトパラメータ(例えば、XBLAST(登録商標)およびNBLAST(登録商標))を使用できまたはパラメータを、当業者により理解されるとおり適当に調節できる。
【0136】
私用され得る他の局所アラインメント技術は、例えば、Smith-Watermanアルゴリズム(Smith, T.F. & Waterman, M.S. (1981) “Identification of common molecular subsequences.” J. Mol. Biol. 147:195-197)に基づく。使用し得る一般的包括的アラインメント技術は、例えば、動的プログラミングに基づく、Needleman-Wunschアルゴリズム((Needleman, S.B. & Wunsch, C.D. (1970) “A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J. Mol. Biol. 48:443-453)である。
【0137】
さらに最近、Fast Optimal Global Sequence Alignment Algorithm(FOGSAA)が開発され、これは、Needleman-Wunschアルゴリズムを含む他の最適包括的アラインメント方法より速く核酸およびアミノ酸配列の包括的アラインメントを作成すると言われる。ある実施態様において、2個のポリペプチドの同一性を、2個のアミノ酸配列を整列させ、同一アミノ酸数を計算し、アミノ酸配列の一方の長さで除すことにより計算する。ある実施態様において、2個の核酸の同一性を、2個のヌクレオチド配列を整列させ、同一ヌクレオチドを計算し、核酸の一方の長さで除すことにより計算する。
【0138】
複数配列アラインメントについて、Clustal Omega (Sievers et al., Mol Syst Biol. 2011 Oct 11;7:539)を含むコンピュータープログラムが使用され得る。
【0139】
好ましい実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77, 1993におけるように改変された、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズムを使用して配列同一性を決定したとき、本明細書に開示するおよび/または特許請求の範囲に引用する配列などの対照配列に対して特定のパーセント同一性を有することが判明する(例えば、BLAST(登録商標)、NBLAST(登録商標)、XBLAST(登録商標)またはGapped BLAST(登録商標)プログラムで、各プログラムのデフォルトパラメータを使用)。
【0140】
ある実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Smith-Watermanアルゴリズム(Smith, T.F. & Waterman, M.S. (1981) “Identification of common molecular subsequences.” J. Mol. Biol. 147:195-197)またはNeedleman-Wunschアルゴリズム((Needleman, S.B. & Wunsch, C.D. (1970) “A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J. Mol. Biol. 48:443-453)を使用して、デフォルトパラメータを使用して配列同一性を決定したとき、本明細書に開示するおよび/または特許請求の範囲に引用する配列などの対照配列に対して特定のパーセント同一性を有することが判明する。
【0141】
ある実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Fast Optimal Global Sequence Alignment Algorithm(FOGSAA)を使用して、デフォルトパラメータを使用して配列同一性を決定したとき、本明細書に開示するおよび/または特許請求の範囲に引用する配列などの対照配列に対して特定のパーセント同一性を有することが判明する。
【0142】
ある実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Clustal Omega (Sievers et al., Mol Syst Biol. 2011 Oct 11;7:539)を使用して、デフォルトパラメータを使用して配列同一性を決定したとき、本明細書に開示するおよび/または特許請求の範囲に引用する配列などの対照配列に対して特定のパーセント同一性を有することが判明する。
【0143】
配列「X」における本明細書で使用する残基(例えば核酸残基またはアミノ酸残基)は、配列「X」における残基が、配列「Y」における「n」の対応部分位置であり、配列XおよびYを当分野で知られるアミノ酸配列アラインメントツールを使用してアラインしたとき、異なる配列「Y」における位置または残基(例えば核酸残基またはアミノ酸残基)「n」に対応するという。
【0144】
バリアント配列は相同配列であり得る。本明細書で使用する相同配列は、あるパーセント同一性(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のパーセント同一性(間に入る全数値を含む)を共有する配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)である。相同配列は、パラロガス配列、オーソロガス配列または収斂進化に起因する配列を含むが、これらに限定されない。パラロガス配列は、ある種のゲノム内の遺伝子複製に起因し、一方オーソロガス配列は、種形成事象後分岐する。2個の異なる種は、独立して進化し得るが、各々収斂進化の結果として他の種の配列とあるパーセント同一性を共有する配列を含み得る。
【0145】
ある実施態様において、ポリペプチドバリアントは、対照ポリペプチドと二次構造(例えば、アルファらせん、ベータシート)を共有するドメインを有する。ある実施態様において、ポリペプチドバリアントは、対照ポリペプチドと三次構造を共有する。非限定的例として、ポリペプチドバリアントは、対照ポリペプチドと比較して、一次配列同一性は低いが(例えば、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満配列同一性)、対照ポリペプチドと1以上の二次構造(例えば、ループ、アルファらせんまたはベータシートを含むが、これらに限定されない)を共有するかまたは同じ三次構造を有することがある。例えば、ループは、ベータシートとアルファらせんの間、2個のアルファらせんの間または2個のベータシートの間に位置し得る。相同性モデリングを使用して、2以上の三次構造を比較し得る。
【0146】
酵素の機能的バリアントは、本発明により包含される。例えば、機能的バリアントは、同じ基質の1以上に結合するまたは同じ生成物の1以上を形成することができる。機能的バリアントは、当分野で知られる何れかの方法を使用して、同定され得る。例えば、上記Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズムを使用して、既知機能を有する相同タンパク質を同定し得る。
【0147】
推定機能的バリアントも、機能的に注釈が付けられたドメインを有するポリペプチドのサーチによっても同定され得る。Pfam(Sonnhammer et al., Proteins. 1997 Jul;28(3):405-20)を含むデータベースを使用して、特定のドメインを有するポリペプチドを同定し得る。
【0148】
相同性モデリングも、機能に影響することなく変異させやすいアミノ酸残基の同定に使用され得る。このような方法の非限定的例は、位置特異的スコアリングマトリクス(PSSM)およびエネルギー最小化プロトコールの使用を含む。位置特異的スコアリングマトリクス(PSSM)は、コンセンサス配列(例えば、モチーフ)の同定のために位置加重マトリクスを使用する。PSSMは核酸またはアミノ酸配列で実施できる。配列は整列され、方法は、特定の位置での特定の残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)の観察頻度および分析する配列の数を考慮する。例えば、Stormo et al., Nucleic Acids Res. 1982 May 11;10(9):2997-3011参照。ある位置で特定の残基を観察する可能性を計算できる。特定の理論に拘束されないが、配列における高可変性の位置は、機能的ホモログを産生するために変異させやすい(例えば、PSSMスコア≧0)。
【0149】
PSSMを、野生型と単一点変異体の間の差異を決定するロゼッタエネルギー関数の関数と対合させ得る。ロゼッタエネルギー関数は、この差異を(ΔΔGcalc)として計算する。ロゼッタ関数を用いて、変異残基と周辺原子間の結合相互作用を使用して、変異がタンパク質安定性を増加または減少させるかを決定する。例えば、PSSMスコアにより好ましいと指定された変異(例えばPSSMスコア≧0)を、次いで、ロゼッタエネルギー関数を使用して分析して、タンパク質安定性に対する変異の影響の可能性を決定し得る。特定の理論に拘束されないが、安定化する可能性のある変異は、タンパク質工学(例えば、機能的ホモログの産生)で望ましい。ある実施態様において、安定化する可能性のある変異は、-0.1未満(例えば、-0.2未満、-0.3未満、-0.35未満、-0.4未満、-0.45未満、-0.5未満、-0.55未満、-0.6未満、-0.65未満、-0.7未満、-0.75未満、-0.8未満、-0.85未満、-0.9未満、-0.95未満または-1.0未満)ロゼッタエネルギー単位(R.e.u.)のΔΔGcalc値を有する。例えば、Goldenzweig et al., Mol Cell. 2016 Jul 21;63(2):337-346. Doi: 10.1016/j.molcel.2016.06.012参照。
【0150】
ある実施態様において、コード配列は、対照コード配列と比較して、1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、12箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所、19箇所、20箇所、21箇所、22箇所、23箇所、24箇所、25箇所、26箇所、27箇所、28箇所、29箇所、30箇所、31箇所、32箇所、33箇所、34箇所、35箇所、36箇所、37箇所、38箇所、39箇所、40箇所、41箇所、42箇所、43箇所、44箇所、45箇所、46箇所、47箇所、48箇所、49箇所、50箇所、51箇所、52箇所、53箇所、54箇所、55箇所、56箇所、57箇所、58箇所、59箇所、60箇所、61箇所、62箇所、63箇所、64箇所、65箇所、66箇所、67箇所、68箇所、69箇所、70箇所、71箇所、72箇所、73箇所、74箇所、75箇所、76箇所、77箇所、78箇所、79箇所、80箇所、81箇所、82箇所、83箇所、84箇所、85箇所、86箇所、87箇所、88箇所、89箇所、90箇所、91箇所、92箇所、93箇所、94箇所、95箇所、96箇所、97箇所、98箇所、99箇所、100箇所または100箇所を超える変異を含む。ある実施態様において、コード配列は、対照コード配列と比較して、コード配列の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個またはそれ以上のコドンに変異を含む。当業者により理解されるとおり、コドン内の変異は、遺伝子コードの縮重により、該コドンによりコードされるアミノ酸を変えるかもしれないし、変えないかもしれない。ある実施態様において、コード配列における1以上の変異は、対照ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、コード配列のアミノ酸配列を変えない。
【0151】
ある実施態様において、コード配列における1以上の変異は、対照ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、対応するポリペプチドのアミノ酸配列を変える。ある実施態様において、1以上の変異は、対照ポリペプチドのアミノ酸配列と比較してポリペプチドのアミノ酸配列を変え、対照ポリペプチドと比較してポリペプチドの活性を変える(増強または低減)。
【0152】
本明細書に記載するポリペプチド(例えば、HisG、HisD、HisC、HisB、HisH、HisA、HisFおよびHisIまたはRPPK)の何れかの活性(例えば、比活性)を、日常的方法を使用して、測定できる。非限定的例として、ポリペプチドの活性を、その基質特異性、産生される生成物、産生される生成物の濃度またはそれらのあらゆる組み合わせの測定により決定し得る。本明細書で使用する組み換えポリペプチドの「比活性」は、単位時間あたりある量(例えば、濃度)の組み換えポリペプチドで産生される特定の生成物の量(例えば、濃度)をいう。
【0153】
当業者はまたポリペプチドコード配列における変異が、前記ポリペプチドの機能的に等しいバリアント、例えば、ポリペプチドの活性を保持するバリアントを提供する保存的アミノ酸置換をもたらし得ることを認識する。保存的置換は、アミノ酸置換がなされるタンパク質の相対的電荷またはサイズ特性または機能的活性を変えない。
【0154】
いくつかの例において、アミノ酸はそのR基により特徴づけられる(例えば、表1参照)。例えば、アミノ酸は、非極性脂肪R基、正荷電R基、負荷電R基、非極性芳香R基または極性非荷電R基を含み得る。非極性脂肪R基を含むアミノ酸の非限定的例は、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、メチオニンおよびイソロイシンを含む。正荷電R基を含むアミノ酸の非限定的例は、リシン、アルギニンおよびヒスチジンを含む。負荷電R基を含むアミノ酸の非限定的例は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。非極性、芳香R基を含むアミノ酸の非限定的例は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンを含む。極性非荷電R基を含むアミノ酸の非限定的例は、セリン、スレオニン、システイン、プロリン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。
【0155】
ポリペプチドの機能的に等しいバリアントの非限定的例は、本明細書に開示するタンパク質のアミノ酸配列に保存的アミノ酸置換を含み得る。本明細書で使用する「保存的置換」は「保存的アミノ酸置換」と相互交換可能に使用され、表1に提供するアミノ酸置換のいずれかをいう。
【0156】
ある実施態様において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個または20個を超える残基を、バリアントポリペプチドを製造するとき変更し得る。ある実施態様において、アミノ酸は、保存的アミノ酸置換により置き換えられる。
【0157】
【0158】
所望の性質および/または活性を有するポリペプチドバリアントを産生するためのポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換は、ポリペプチドのコード配列の変更によりなし得る。同様に、ポリペプチドの機能的に等しいバリアントを産生するためのポリペプチドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、概して組み換えポリペプチドのコード配列の改変によりなされる。
【0159】
変異は、当業者に知られる多様な方法により、ヌクレオチド配列でなし得る。例えば、変異は、PCR指向変異、Kunkel(Kunkel, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 82: 488-492, 1985)の方法に従う部位特異的変異誘発、ポリペプチドをコードする遺伝子の化学合成、遺伝子編集アプローチまたはタグ(例えば、HISタグまたはGFPタグ)挿入などの挿入によりなし得る。変異は、当分野で知られる何れかの方法により産生される、例えば、置換、欠失、挿入、付加、選択的編集、短縮化および転座を含み得る。非限定的例として、遺伝子は、遺伝子交換(例えば、選択マーカーを含むマーカーとの)を介して欠失させ得る。遺伝子は、トランスポゾン系の使用を介して切断もし得る(例えば、Poussu et al., Nucleic Acids Res. 2005; 33(12): e104参照)。遺伝子は、CRISPRベースのテクノロジーなど当分野で知られる遺伝子編集テクノロジーの使用により編集もされ得る。変異を作成する方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Fourth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 2012, or Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New York, 2010などの参考書に見られ得る。
【0160】
ある実施態様において、バリアントを産生する方法は、円順列置換を含む(Yu and Lutz, Trends Biotechnol. 2011 Jan;29(1):18-25)。円順列置換において、ポリペプチドの線形一次配列を円形化し(例えば、配列のN末端およびC末端結合により)、ポリペプチドを異なる位置で機能させ得る(「破壊」)。故に、新規ポリペプチドの線形一次配列は、線形配列アラインメント方法(例えば、Clustal OmegaまたはBLAST)で決定したより低い配列同一性(例えば、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満(間に入る全数値を含む)を有する。しかしながら、2個のタンパク質の形態的分析は、2個のポリペプチドの三次構造が類似するまたは類似しないことを確認し得る。特定の理論に拘束されないが、対照ポリペプチドの円順列置換を介して作製され、対照ポリペプチドと類似する三次構造を有するバリアントポリペプチドは、類似する機能的特性(例えば、酵素活性、酵素速度論、基質特異性または生成物特異性)を共有し得る。いくつかの例において、円順列置換は二次構造、三次構造または四次構造を変え、異なる機能的特性(例えば、増加または減少した酵素活性、異なる基質特異性または異なる生成物特異性)の酵素を産生し得る。例えば、Yu and Lutz, Trends Biotechnol. 2011 Jan;29(1):18-25参照。
【0161】
円順列置換に付されたタンパク質において、タンパク質の線形アミノ酸配列は、円順列置換に付されていない対照タンパク質と異なることは、認められるべきである。しかしながら、当業者は、円順列置換に付されたタンパク質におけるどの残基が、順列置換に付されていない対照タンパク質のある残基に対応するかを、例えば、配列を整列させ、保存的モチーフを検出することによりおよび/または例えば、相同性モデリングにより、タンパク質の構造または予測構造を比較することにより、容易に決定できる。
【0162】
ある実施態様において、目的の配列および本明細書に記載する対照配列の間のパーセント同一性を決定するアルゴリズムは、配列間の円順列置換の存在を説明する。円順列置換の存在は、例えば、RASPODOM(Weiner et al., Bioinformatics. 2005 Apr 1;21(7):932-7)を含む、当分野で知られる何れかの方法を使用して決定し得る。ある実施態様において、円順列置換の存在は、目的の配列および本明細書に記載する配列の間のパーセント同一性の計算前に補正される(例えば、少なくとも1配列におけるドメインが再配置される)。本出願の特許請求の範囲は、対照配列に対するパーセント同一性が、配列の円順列置換の可能性を考慮した後に計算された配列を包含すると解釈されるべきである。
【0163】
宿主細胞
開示されるヒスチジン生合成方法および宿主細胞は、大腸菌を用いて例示しているが、当業者により理解されるとおり、他の宿主細胞にも応用可能である。プリン経路代謝生成物およびpDNAの開示される生合成方法も、当業者により理解されるとおり、広範な宿主細胞に適用可能である。
【0164】
適当な宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、藻類細胞、植物細胞、真菌細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞を含む動物細胞を含むが、これらに限定されない。
【0165】
ある実施態様において、宿主細胞は、原核生物細胞である。適当な原核生物細胞は、グラム陽性、グラム陰性およびグラム不定性細菌細胞を含む。ある非限定的実施態様において、宿主細胞は、アグロバクテリウム属、アリサイクロバチルス属、アナベナ属、アナシスティス属、アシネトバクター属、アシドサーマス属、アルスロバクター属、アゾトバクター属、バシラス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、ブチリビブリオ属、ブクネラ属、カンペストリス属、カンピロバクター属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、クロマチウム属、コプロコッカス属、エシェリキア属、エンテロコッカス属、エンテロバクター属、エルウィニア属、フソバクテリウム属、フィーカリバクテリウム属、フランシセラ属、フラボバクテリウム属、ジオバシラス属、ヘモフィルス属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、イリオバクター属、マイクロコッカス属、マイクロバクテリウム属、メソリゾビウム属、メチロバクテリウム属、マイコバクテリウム属、ナイセリア属、パントエア属、シュードモナス属、プロクロロコッカス属、ロドバクター属、ロドシュードモナス属、ロセブリア属、ロドスピリルム属、ロドコッカス属、セネデスムス属、ストレプトマイセス属、ストレプトコッカス属、シネコッカス属、サッカロモノスポラ属、サッカロポリスポラ属、スタフィロコッカス属、セラチア属、サルモネラ属、シゲラ属、サーモアナエロバクター属、トロフェリマ属、ツラレンシス属、テメキュラ属、サーモシネココッカス属、サーモコッカス属、ウレアプラズマ属、キサントモナス属、キシレラ属、エルシニア属およびザイモモナス属の種である。ある実施態様において、宿主細胞は、コリネバクテリウム・グルタミクム細胞である。ある実施態様において、宿主細胞は、セラチア・マルセセンス細胞である。
【0166】
ある実施態様において、細菌宿主株は、工業用株である。多数の細菌工業用株が知られ、本明細書に記載する方法および組成物に適する。
【0167】
ある実施態様において、細菌宿主細胞は、アグロバクテリウム種(例えば、アグロバクテリウム・ラジオバクター、アグロバクテリウム・リゾゲネス、アグロバクテリウム・ルビ)、アルスロバクター種(例えば、アルスロバクター・オーレセンス、アルスロバクター・シトレウス、アルスロバクター・グロビフォルミス、アルスロバクター・ヒドロカーボグルタミカス、アルスロバクター・マイソレンシス、アルスロバクター・ニコチアナエ、アルスロバクター・パラフィネウス、アルスロバクター・プロトフォニアエ、アルスロバクター・ロゼオパラフィヌス、アルスロバクター・スルフレウス、アルスロバクター・ウレアファシエンス)またはバチルス種(例えば、バチルス・チューリンゲンシス、バチルス・アントラシス、バチルス・メガテリウム、バチルス・サブチリス、バチルス・レンタス、バチルス・サーキュラルス、バチルス・プミルス、バチルス・ロータス、バチルス・コアグランス、バチルス・ブレビス、バチルス・フィルムス、バチルス・アルカオフィウス、バチルス・リチェニフォルミス、バチルス・クラウジー、バチルス・ステアロサーモフィラス、バチルス・ハロデュランスおよびバチルス・アミロリクエファシエンス)である。具体的実施態様において、宿主細胞は、バチルス・サブチリス、バチルス・プミルス、バチルス・リチェニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・クラウジー、バチルス・ステアロサーモフィラスおよびバチルス・アミロリクエファシエンスを含むが、これらに限定されない工業用バチルス株である。ある実施態様において、宿主細は、工業用クロストリジウム種(例えば、クロストリジウム・アセトブチリクム、クロストリジウム・テタニE88、クロストリジウム・リツセブレンス、クロストリジウム・サッカロブチリクム、クロストリジウム・ファーフリンジェンス、クロストリジウム・ベイジェリンキー)である。ある実施態様において、宿主細胞は、工業用コリネバクテリウム種(例えば、コリネバクテリウム・グルタミナム、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用エシェリキア種(例えば、大腸菌)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用エルウィニア種(例えば、エルウィニア・ウレドヴォラ、エルウィニア・カロトヴォラ、エルウィニア・アナナス、エルウィニア・ハービコラ、エルウィニア・パンクタタ、エルウィニア・テレウス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用パントエア種(例えば、パントエア・シトレア、パントエア・アグロメランス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用シュードモナス種(例えば、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・アエルギノーザ、シュードモナス・メバロニイ)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用ストレプトコッカス種(例えば、ストレプトコッカス・エキシミレス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、ストレプトコッカス・ウベリス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用ストレプトマイセス種(例えば、ストレプトマイセス・アンボファシエンス、ストレプトマイセス・アクロモゲネス、ストレプトマイセス・アベルミチリス、ストレプトマイセス・コエリコロール、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス、ストレプトマイセス・アウレウス、ストレプトマイセス・フンギシディカス、ストレプトマイセス・グリセウス、ストレプトマイセス・リビダンス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業用ザイモモナス種(例えば、ザイモモナス・モビリス、ザイモモナス・リポリチカ)である。
【0168】
適当な酵母宿主細胞は、カンジダ、ハンゼヌラ、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、ピキア、クリベロマイセスおよびヤロウイアを含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、酵母細胞は、大腸菌、ハンゼヌラ・ポリモルファ、サッカロミセス・セレビシアエ、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス、サッカロミセス・ジアスタティカス、サッカロミセス・ノルベンシス、サッカロミセス・クルイベリ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ピキア・フィンランディカ、ピキア・トレハロフィラ、ピキア・コダマエ、ピキア・メンブラナエファシエンス、ピキア・オプンチアエ、ピキア・サーモトレランス、ピキア・サリクタリア、ピキア・ケルクム、ピキア・ピジペリ、ピキア・スティピティス、ピキア・メタノリカ、ピキア・アングスタ、クリベロマイセス・ラクティス、カンジダ・アルビカンスまたはヤロウイア・リポリチカである。
【0169】
ある実施態様において、酵母株は、工業用倍数体酵母株である。他の真菌細胞の非限定的例は、アスペルギルス種、ペニシリウム種、フサリウム種、リゾプス種、アクレモニウム種、ニューロスポラ種、ソルダリア種、マグナポルテ種、アロマイセス種、ウスチラゴ種、ボツリティス種およびトリコデルマ種から得られる細胞を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、アシュビア・ゴシッピ細胞である。
【0170】
ある実施態様において、宿主細胞は、クラミドモナス(例えば、コナミドリムシ)およびフォルミジウム(フォルミジウム種ATCC29409)などの藻類細胞である。
【0171】
本発明はまた哺乳動物細胞、例えば、ヒト(293、HeLa、WI38、PER.C6およびBowes黒色腫細胞を含む)、マウス(3T3、NS0、NS1、Sp2/0を含む)、ハムスター(CHO、BHK)、サル(COS、FRhL、Vero)、昆虫細胞、例えばツマジロクサヨトウ(Sf9およびSf21を含む)、カイコガ(BmNを含む)、キャベツルーパー(BTI-Tn-5B1-4を含む)およびキイロショウジョウバエ(Schneider 2を含む)およびハイブリドーマ細胞株を含む、多様な動物細胞型での使用にも適する。
【0172】
種々の実施態様において、本発明の実施に際して使用し得る株は、原核生物株および真核生物株の両方を含み、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection、Northern Regional Research Center(NRRL)などの多数の微生物株保存機関から容易に入手可能である。
【0173】
本明細書で使用する用語「細胞」は、単一細胞または同じ細胞株または株に属する細胞の集団などの細胞の集団をいう。単数での用語「細胞」は、細胞の集団ではなく、単一細胞であることを明示的にいうと解釈されてはならない。宿主細胞は、野生型対応物と比較して、遺伝子修飾を含み得る
【0174】
宿主細胞培養
本明細書に開示する細胞の何れも、核酸との接触および/または組込み前、間および/または後に、あらゆるタイプ(富または最小)およびあらゆる組成の培地で培養され得る。培養条件または培養過程は、当業者により理解されるとおり、日常的実験により最適化され得る。ある実施態様において、選択した培地に、種々の成分を補い得る。ある実施態様において、補足的成分の濃度および量を最適化する。ある実施態様において、培地および成長条件(例えば、pH、温度など)の他の態様を日常的実験により最適化する。ある実施態様において、培地に1以上の補足的成分を補う頻度および細胞を培養する時間を最適化する。
【0175】
本明細書に記載する細胞の培養を、当分野で知られ、使用される培養容器で実施できる。ある実施態様において、通気反応槽(例えば、撹拌装置付きタンクリアクター)を、細胞の培養に使用する。ある実施態様において、バイオリアクターまたは発酵槽を、細胞の培養に使用する。故に、ある実施態様において、細胞を発酵で使用する。本明細書で使用する用語「バイオリアクター」および「発酵槽」は、相互交換可能に使用され、生存生物、生存生物の一部および/または単離もしくは精製酵素が関与する生物学的、生物化学的および/または化学的反応が行われる、囲いまたは部分的囲いをいう。「大規模バイオリアクター」または「工業規模バイオリアクター」は、商業的または準商業的規模での生成物産生に使用するバイオリアクターである。大規模バイオリアクターは、概して数リットル、数百リットル、数千リットルまたはそれ以上の範囲の体積を有する。
【0176】
バイオリアクターの非限定的例は、撹拌タンク発酵槽、混合デバイス回転により撹拌するバイオリアクター、ケモスタット、デバイス振盪により撹拌するバイオリアクター、エアリフト発酵槽、充填層反応器、固定床反応器、流動床バイオリアクター、波誘発撹拌を用いるバイオリアクター、渦動バイオリアクター、ローラーボトルおよび中空ファイババイオリアクター、ローラー装置(例えばベンチトップ、トラック式および/または自動化種類)、垂直積層プレート、スピナーフラスコ、撹拌またはロッキングフラスコ、振盪多ウェルプレート、MDボトル、Tフラスコ、Rouxボトル、多表面組織培養プロパゲータ、修飾発酵槽および被覆ビーズ(例えば、細胞付着を阻止するため血清タンパク質、ニトロセルロースまたはカルボキシメチルセルロースで被覆されたビーズ)を含む。
【0177】
ある実施態様において、バイオリアクターは、宿主細胞が移動している液体および/または気泡と接触する、細胞培養系を含む。ある実施態様において、細胞または細胞培養物を、懸濁液で増殖させる。他の実施態様において、細胞または細胞培養物を固相担体に付着させる。担体系の非限定的例はマイクロ担体(例えば、多孔性でも非多孔性でもよいポリマー球体、マイクロビーズおよびマイクロディスク)、特異的化学基(例えば、3級アミン基)で荷電されている架橋ビーズ(例えば、デキストラン)、非多孔性ポリマー繊維に捕捉された細胞を含む2Dマイクロ担体、3D担体(例えば、担体繊維、中空繊維、多カートリッジリアクターおよび多孔性繊維を含み得る半透膜)、イオン交換能が低減されたマイクロ担体、封入セル、キャピラリーおよび凝集体を含む。ある実施態様において、担体は、デキストラン、ゼラチン、ガラスまたはセルロースなどの材料で作られる。
【0178】
ある実施態様において産業規模過程を、連続的、半連続的または非連続的モードで操作する。操作モードの非限定的例は、バッチ、流加バッチ、拡張バッチ、反復的バッチ、吸引/充填、回転壁、回転フラスコおよび/または灌流モードの操作である。ある実施態様において、バイオリアクターは、基質ストック、例えば炭水化物源の連続的または半連続的補給および/またはバイオリアクターからの生成物の連続的または半連続的分離を可能とする。
【0179】
ある実施態様において、バイオリアクターまたは発酵槽は、反応パラメータを測定および/または調節するための、センサーおよび/または制御系を含む。反応パラメータの非限定的例は、生物学的パラメータ(例えば、成長速度、細胞サイズ、細胞数、細胞密度、細胞型または細胞状態など)、化学パラメータ(例えば、pH、酸化還元電位、反応基質および/または生成物濃度、酸素濃度およびCO2濃度などの溶解ガス濃度、栄養素濃度、代謝生成物濃度、オリゴペプチド濃度、アミノ酸濃度、ビタミン濃度、ホルモン濃度、添加物濃度、血清濃度、イオン強度、イオン濃度、相対湿度、モル濃度、浸透圧、他の化学物質濃度、例えば緩衝剤、アジュバントまたは反応副生成物)、物理的/機械的パラメータ(例えば、密度、伝導率、撹拌、圧力および流速の程度、剪断ストレス、剪断速度、粘性、色、濁度、光吸収、混合速度、変換速度ならびに温度、光強度/品質などの熱力学パラメータなど)を含む。本明細書に記載するパラメータを測定するためのセンサーは関係する機械および電気分野の当業者には周知である。本明細書に記載するセンサーからのインプットに基づきバイオリアクターのパラメータを調節する制御系は、バイオリアクター工学の当業者に周知である。
【0180】
ある実施態様において、方法は、バッチ発酵(例えば、振盪フラスコ発酵)を含む。バッチ発酵(例えば、振盪フラスコ発酵)における一般的考察は、酸素およびグルコースのレベルを含む。例えば、バッチ発酵(例えば、振盪フラスコ発酵)は、酸素およびグルコース限定的であり、よって、ある実施態様において、株がよく計画された流加バッチ発酵で実施する能力が少なく見積もられる。
【0181】
ある実施態様において、本発明の細胞は、インビボでヒスチジンまたはヒスチジン前駆体を産生するのに適する。ある実施態様において、細胞はヒスチジンを分泌するのに適する。
【0182】
精製およびさらなる処理
ある実施態様において、本明細書に記載する方法のいずれも、産生された(例えば、バイオリアクターで産生された)ヒスチジンおよび/またはヒスチジン前駆体の単離および/または精製を含み得る。例えば、単離および/または精製は、細胞溶解、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、結晶化および凍結乾燥の1以上を含み得る。
【0183】
本明細書に開示する組み換え細胞の何れかまたは本明細書に記載するインビトロ方法の何れかにより産生されたヒスチジンまたはヒスチジン前駆体を、当分野で知られる何れかの方法を使用して、同定および抽出し得る。マススペクトロメトリー(例えば、LC-MS、GC-MS)は、同定方法の非限定的例であり、目的の化合物の抽出に使用し得る。
【0184】
本発明を、限定的と解釈してはならない次の実施例でさらに説明する。本明細書を通して引用する引用文献(参考文献、公開特許、公開特許出願および同時継続特許出願を含む)を、引用により明示的に本明細書に包含させる。本明細書に包含させる引用文献が、本開示において定義した用語と調和しないまたは矛盾する同用語の定義を含むならば、本開示に記載する用語が支配する。本明細書で引用するあらゆる参考文献、論説、刊行物、特許、特許公報および特許出願は、それらが有効な先行技術を構築するまたは当業者の一般的技術常識のいびつを形成することを認めるまたは示唆するものではなく、かつそう解釈されてはならない。
【実施例】
【0185】
本明細書に記載する本発明がより完全に理解され得るように、次に実施例を示す。本明細書に記載する実施例は、本明細書に提供される系および方法の説明を提供するものであり、その範囲に限定されると解釈してはならない。
【0186】
実施例1:大腸菌ヒスチジン産生株の作成
大腸菌ヒスチジン産生株を開発するために、大腸菌WG1株を、まずF-プラスミド(ΔF’)および溶原性ラムダ(Δλ)で処置した。次のさらなる修飾を、該株に付した:hisオペロン欠失(Δhis-オペロン);purR遺伝子欠失(ΔpurR);および大腸菌ヒスチジンインポーターサブユニット欠失(ΔhisJ)。
【0187】
第二の大腸菌ヒスチジン産生株を、大腸菌MG1655株バックグラウンドで産生した。株を、hisオペロン欠失(Δhis-オペロン)およびpurR遺伝子欠失(ΔpurR)によりさらに修飾した。
【0188】
ヒスチジン産生株からのヒスチジンの産生を増加させることが可能であるか否かを決定するために、複数のプロモーターおよびRBSを、種々の組み合わせで、hisオペロン遺伝子(hisGE271KDCBHAFI)の発現を駆動する能力について試験した。最初に、23個の異なるプロモーターおよび3個の異なるRBSを、プラスミド発現構築物を使用して試験した。しかしながら、得られた構築物の毒性のため、計69個のプラスミド構築物中、33個しか合成されることができず、得られた形質転換体は、遺伝的に不安定であった。
【0189】
毒性および不安定性の問題が、染色体組込みにより対処できるかを決定するために、44個のdsDNA組込みカセットを含む染色体修飾を使用して、10個の異なるプロモーターおよび4個の異なるRBSから選択したプロモーターおよびRBSの複数の異なる組み合わせの制御下、ヒスチジンオペロン遺伝子(hisG
E271KDCBHAFI)を発現させた。44個のdsDNA組込みカセットを使用して、表2に示すとおり、34個の修飾が成功した株が得られた(17個の修飾WG1株および17個の修飾MG1655株)。
【表2】
【0190】
複数の異なる組み合わせのプロモーターおよびRBSの制御下にヒスチジンオペロン遺伝子(hisG
E271KDCBHAFI)を発現するWG1およびMG1655宿主細胞によるヒスチジン産生を試験した。細胞を、振盪フラスコ培地(20g/L Glc、3g/L (NH
4)
2SO
4、0.6g/L KH
2PO
4、2g/L YE、80mM MOPS、pH=7.4、0.1mg/L チアミン-HCl、0.1g/Lアデノシン、微量金属)で増殖させ、1mM IPTGで誘導し、24時間または48時間に細胞外ヒスチジンを試験した。
図3は、種々のプロモーター-RBS組み合わせを含むWG1株(
図3A)および種々のプロモーター-RBS組み合わせを含むMG1655株(
図3B)による24時間および48時間のヒスチジン産生を示す。WG1株t333139およびt333144は、他の15個の修飾WG1株および17個の修飾MG1655株のどれよりも、ヒスチジン産生について実質的により活性であった。
【0191】
従って、合成的に誘導したヒスチジンオペロンの発現に付随する相当な毒性および不安定性にも拘わらず、
図3に提供するデータは、特異的プロモーターおよびプロモーター-RBS組み合わせが、ヒスチジンオペロンからのヒスチジン産生を増加できることを示す。以前のアプローチとは対照的に、このアプローチは、ヒスチジン産生に影響する多数の個々の遺伝子を操作する必要がなく、ヒスチジン産生を増加させることを可能とする。
【0192】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【0193】
実施例2:新規prs変異体の同定
prs変異体のライブラリーを設計および合成するために、RPPKのADPアロステリック結合ループの部位特異的変異誘発を実施した(
図4)。残基52、115、129、130、132、133、182および190にアミノ酸置換を有するRPPKタンパク質をコードする約100個のprs変異体のライブラリーを産生した。約58個のprs変異体を合成し、大腸菌ベースの株に形質転換した。prs
D115Sを陽性対照として使用し、天然prsを陰性対照として使用した。
【0194】
プラスミド上にprs変異体を発現する宿主細胞によるヒスチジン産生を試験した。細胞を振盪フラスコ培地(20g/L Glc、3g/L (NH4)2SO4、2g/L YE、67mM MOPS、pH=7.4、0.1mg/L チアミン-HCl)で増殖させ、1mM IPTGで誘導し、24時間で細胞外ヒスチジンを試験した。
【0195】
この分析により、対照と比較してヒスチジン産生が改善した、4個の新規prs変異体の発見に至った:prs
A132C、prs
A132Q、prs
L130Iおよびprs
L130M(
図5)。これら新規prs変異体の同定は、変異残基が最近公開された結晶構造に基づき、活性部位またはアロステリック部位と関与すると報告されている残基に対応しなかったため、驚きであった。Zhou et al. (2019) BMC Structural Biology 19(1), https://doi.org/10.1186/s12900-019-0100-4。
【0196】
この分析により、RPPKの残基D115の変異が、prsD115S、prsD115L、prsD115MおよびprsD115Vを含む、対照と比較してヒスチジン産生を改善することも確認された。
【0197】
実施例3:プラスミド発現されたおよび染色体に組み込まれたprsフィードバック耐性変異体の比較
合成プロモーターおよびRBS制御下に染色体に組み込まれたフィードバック耐性prs変異(
図6で「t333144+prs
D115S(一コピー)」、「t333139+prs
L130M(一コピー)」または「t333139+prs
L130M(二コピー)と称する」)を発現する株を製造した。組み込み株は、一コピーまたは二コピーのprs変異を発現した。染色体組込みは、構成的prs発現をもたらした。これら株のヒスチジン産生および成長を対照株(
図6で「t333144+prs
D115S(プラスミド、約15コピー)と称する」)と比較した。対照株は、誘導型prs発現を伴うプロモーターIPTGの制御下に、約15プラスミドコピー数/細胞でプラスミド上にprs
D115S変異を発現した。
【0198】
2コピーのprs
L130M変異を有する染色体に組み込まれた株は、プラスミドベースの過発現を有する株と同等レベルの成長およびヒスチジン産生を示した(
図6)。染色体に組み込まれたprs変異体株を有するヒスチジンの産生は、プラスミドベースの過発現を超えるいくつかの利点をもたらした:1)抗生物質選択の必要性がなくなった;2)構築物は、プラスミド上で発現されるときと比較して、ゲノムに組み込まれたとき安定性が増加した;および3)prsは、染色体に統合されたとき、構成的に発現された。
【0199】
実施例4:MTHFDCの発現が増加した大腸菌ヒスチジン産生株によるヒスチジン産生増強
合成プロモーターの制御下、MTHFDC酵素によりコードされる天然大腸菌folD遺伝子の過発現が、高力価のヒスチジンを分泌するよう先に操作された株におけるヒスチジン産生を増大できるかを調査した。
【0200】
複数の合成IPTG誘導性プロモーター(表4)制御下に、約1~5プラスミドコピー数/細胞でプラスミド上に大腸菌folD遺伝子を発現する(
図8)宿主細胞によるヒスチジン産生を評価した。細胞を振盪フラスコ培地(20g/L Glc、3g/L (NH
4)
2SO
4、0.6g/L KH
2PO
4、2g/L YE、80mM MOPS、pH=7.4、0.1mg/L チアミン-HCl、0.1g/Lアデノシン、微量金属)で増殖させ、1mM IPTGで誘導した。株によるヒスチジン分泌を、0時間~50時間の間の種々の時点で細胞外ヒスチジン力価(gヒスチジン/L)、速度(gヒスチジン/L・h)および収量(gヒスチジン/gグルコース)について評価した(
図9)。
【0201】
folD発現株を、folDを発現するプラスミドを含まない対照株(表4に「t589797」として記載され、
図9に「対照」として示される)と比較した。比較成長プロファイルおよびヒスチジン分泌計量を、グルコース上の流加バッチ発酵で集めた。対照と比較して、プラスミド上にfolDを発現する株は、ヒスチジン力価、速度および収量の増加により証明されるとおり、ヒスチジン産生の増加を示した(表4および
図9)。
【0202】
【0203】
実施例5:プラスミド発現および染色体に組み込まれたfolDの比較
合成プロモーターの制御下にfolD遺伝子が染色体に組み込まれた株を産生した。株750340は、
図10に示すとおり、染色体に組み込まれたコピーのfolD遺伝子を、プロモーターapFAB46の制御下に発現し、それは構成的folD発現をもたらした。この株はまた内因性コピーのfolD遺伝子を、その天然プロモーターの制御下にも発現する。
【0204】
株750340のヒスチジン産生および成長を、対照株と比較した(
図10でそれぞれ株「589797」および「731374」と称する)。対照株t589797は、内因性コピーのfolDのみ発現した。対照株t731374は内因性コピーのfolDを発現し、またIPTGを使用して誘導した、誘導型プロモーターの制御下に、約5プラスミドコピー数/細胞でプラスミド上にfolDを発現した。染色体に組み込まれた株(株750340)は、プラスミド上にfolDを発現する株(株731374)と同等レベルの成長およびヒスチジン産生を示した(
図10)。
【0205】
染色体に組み込まれたfolD株でのヒスチジンの産生は、プラスミドベースの過発現を超えるいくつかの利点をもたらした:1)抗生物質選択の必要性がなくなった;2)構築物は、プラスミド上で発現されるときと比較して、ゲノムに組み込まれたとき安定性が増加した;および3)folDは、染色体に統合されたとき、構成的に発現された。
【0206】
実施例6:MTHFDCの発現が増加した大腸菌株によるプリン経路代謝生成物の産生増強
合成プロモーターの制御下の、MTHFDC酵素をコードする大腸菌folD遺伝子の過発現も、ヒスチジン以外の生成物および代謝生成物の産生増加をもたらし得る。このような生成物は、イノシン、グアノシン、キサントシン、アデノシン、ヒポキサンチン、グアニン、キサンチン、アデニン、イノシン一リン酸(IMP)、キサントシン一リン酸(XMP)、グアノシンリン酸(例えば、GMP、GDPおよびGTP)およびアデノシンリン酸(例えば、AMP、ADP、ATP、dAMP、dADP、dATP、dGMP、dGDPおよびdGTP)などのプリン経路代謝生成物を含む。このような生成物はまたRNA(例えば、mRNA、shRNA、siRNAおよびtRNA)およびDNA(例えば、プラスミドDNAおよび人工非環状DNA)などのプリン経路代謝生成物由来のポリマーも含む。folDの過発現はまた生合成の出発物質としてこれら代謝生成物を利用する生成物も増加させ得る。例えば、folDの過発現は、GTPからリボフラビンへの変換増加および/またはフラボノイド補因子フラビンモノヌクレオチド(FMN)および/またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の産生増加に至り得る。folDの過発現はまたキサンチンから尿酸への変換増加にも至り得る。
【0207】
上記実施例に記載した合成プロモーターの制御下に1以上の異種コピーのfolD遺伝子を含む枯草菌、バチルス・アミロリケファシエンス、大腸菌、アシュビア・ゴシッピ、セラチア・マルセッセンスおよび/またはコリネバクテリウム・グルタミクム細胞などの宿主細胞を産生する。
【0208】
プラスミド上にまたは細胞のゲノムに組み込まれた大腸菌folD遺伝子を発現する宿主細胞によるヒスチジン以外の生成物および代謝生成物の産生を評価する。例えば、folD遺伝子を、プラスミド上に、約1~5プラスミドコピー数/細胞で発現させ得る。folD遺伝子を、IPTG誘導性プロモーターなどの合成プロモーターの制御下に発現させ得る。細胞を、振盪フラスコ培地(例えば、20g/L Glc、3g/L (NH4)2SO4、0.6g/L KH2PO4、2g/L YE、80mM MOPS、pH=7.4、0.1mg/L チアミン-HCl、0.1g/Lアデノシン、微量金属)で増殖させ、1mM IPTGで誘導し得る。株により産生されたヒスチジン以外の生成物および代謝生成物を、0時間~80時間の間の種々の時点で細胞外生成物力価(g生成物/L)、速度(g生成物/L・h)および収量(g生成物/gグルコース)について評価する。株により産生されたリン酸化ヒスチジン以外の生成物および代謝生成物を、マススペクトロメトリーと組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-MS)方法により評価し得る。株により産生され得るある生成物(例えば、リボフラビン、FMNおよびFAD標的)を、UV-Visおよび/または蛍光スペクトロメトリーにより評価する。株により産生され得る他の生成物(例えば、ATPおよびGTP)を、酵素連動アッセイにより評価し得る。生成物および代謝生成物の産生の評価について当業者に知られる他の方法も意図される。
【0209】
folDを過発現する株を、folDを過発現しない対照株と比較し得る。比較成長プロファイルおよび種々の生成物計量を、例えば、グルコース上の流加バッチ発酵で集め得る。対照株と比較して、folDを過発現する株は、生成物および/または代謝生成物の力価、速度および/または収量の増加により証明されるとおり、ヒスチジン以外の生成物および代謝生成物の産生の増大を示し得る。
【0210】
実施例7:MTHFDCの発現が増加した大腸菌株によるプラスミドDNA産生の増大
合成プロモーターの制御下の、MTHFDC酵素をコードする大腸菌folD遺伝子の過発現は、プラスミドDNA(pDNA)の産生も増加させ得る。pDNA産生に必要な開始プリン代謝生成物の2種(アデニンおよびグアニン)は、MTHFDC酵素をコードする大腸菌folD遺伝子の過発現により増加し得るイノシン一リン酸に由来する。アデニンおよびグアニンなどのプリン代謝生成物の産生も、プリン転写リプレッサーpurR不活性化および/またはpurA、purB、purC、purD、purE、purF、purH、purK、purL、purN、purM、purT、guaA、guaBおよびadkなどのデノボプリン生合成遺伝子の過発現により増加させ得る。
【0211】
ピリミジン代謝生成物(例えば、オロト酸、シトシンおよびウラシル)のプールの増加も、pDNA生合成のさらなる出発代謝生成物の供給により、pDNA産生を支持し得る。オロト酸、シトシンおよびウラシル産生は、アルギニン応答性転写リプレッサーargR不活性化および/またはcarAB、pyrB、pyrC、pyrD、pyrE、pyrF、pyrG、pyrHおよびpyrIなどのデノボピリミジン生合成酵素過発現により、改善し得る。
【0212】
pDNAの産生は、プリンおよびピリミジン代謝生成物に至る前駆体代謝生成物の産生増加によりさらに支持され得る。例えば、前駆体代謝生成物ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)産生は、大腸菌酵素リボースリン酸ピロホスホキナーゼ(RPPK)をコードする遺伝子prsの過発現により改善し得る。PRPP産生は、D115、L130およびA132の1か所以上にアミノ酸修飾を含むRPPKバリアントなどのRPPKのフィードバック耐性バリアントの発現により、さらに増加し得る。ある実施態様において、RPPKは、野生型大腸菌RPPK(配列番号28)に対して、D115S、L130M、L130I、A132CまたはA132Qに対応する1以上のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、本発明で同定された新規prs変異体prsA132C、prsA132Q、prsL130IおよびprsL130Mの1以上を発現する。
【0213】
pDNAの産生および品質は、炭素取り込みおよび利用またはプラスミド産生および修復に関与する遺伝子の修飾によりさらに改善し得る。このような修飾は、細胞溶解後、プラスミド分解を阻止するための大腸菌エンドヌクレアーゼコード化遺伝子endA1の発現減少;pDNAの意図しない遺伝子組み換えおよび喪失もしくは分解を阻止するためのrecA発現減少;プラスミド複製機構の十分な存在を確実にするためのDNAポリメラーゼIIIおよびDnaBヘリカーゼの過発現;またはプラスミド増幅速度を改善するための遺伝子priAの過発現の1以上を含み得る。
【0214】
中心的炭素代謝への遺伝子変化および制御は、緊縮性/飢餓応答を低減し、pDNA収量を改善するためのspoTおよびrelA遺伝子の発現減少;中心的炭素代謝への異化制御応答を減少するための遺伝子fruRの発現減少;ヌクレオチド前駆体産生のためのペントースリン酸経路に向けた流動を改善するためのzwfまたはrpiA両者の過発現およびpgi、pykAまたはpykFの減弱;またはpDNA前駆体代謝生成物への流動再指示のための酢酸産生を減少させるためのackA、eutD、ptaまたはpoxBの不活性化を含み得る。
【0215】
炭素輸送のエネルギー効率を増加するまたは細胞の成長速度を減少する遺伝子修飾(例えば、遺伝子ptsGまたはptsHの不活性化またはgalPまたはmglBACなどのPEP非依存性糖パーミアーゼ過発現)もpDNAの収量および生産性を改善し得る。
【0216】
補因子再生酵素(例えば、アンモニア輸送体(amt)、グルタミンシンターゼ(glnA)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(gdhA)およびグルタミン酸シンターゼ(gltDB)などの窒素輸送および同化に関与する遺伝子の上方制御もpDNA産生および収量を増加させ得る。pDNA収量は、NADP+プールを増加さえるためのNADPH再生または大腸菌NADキナーゼ(nadK)共発現を改善するために、天然大腸菌gapA遺伝子をバチルス種(例えば枯草菌またはバチルス・アミロリケファシエンス)からのgapBで置き換えることにより、さらに改善し得る。枯草菌からのNADH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素の過発現は、pDNA産生および収量改善のための補因子平衡度も改善し得る。
【0217】
ある実施態様において、pDNAの産生に使用する株は、大腸菌folD遺伝子を過発現し、prsL130MまたはprsD115Sを発現し、ΔrelA、ΔendA、ΔrecAおよびΔpurRの1以上をさらに含む。
【0218】
folD遺伝子の過発現は、合成プロモーター制御下の該遺伝子の発現および/または多コピー染色体組込みを含む染色体組込みを介する1コピー以上のfolD遺伝子の発現および/または多コピープラスミドを含むプラスミド上への1コピー以上の発現を含み得る。
【0219】
prsL130MまたはprsD115Sなどのフィードバック耐性バリアントの発現を含む遺伝子prsの発現は、合成プロモーター制御下の該遺伝子の発現および/または多コピー染色体組込みを含む染色体組込みを介する1コピー以上のfolD遺伝子の発現および/または多コピープラスミドを含むプラスミド上への1コピー以上の発現を含み得る。
【0220】
上記実施例に記載した合成プロモーターの何れかの制御下に1以上の異種コピーのfolD遺伝子を含む枯草菌、バチルス・アミロリケファシエンス、大腸菌、アシュビア・ゴシッピ、セラチア・マルセッセンスおよび/またはコリネバクテリウム・グルタミクム細胞などの宿主細胞が産生される。
【0221】
プラスミド上または細胞のゲノムに組み込まれた大腸菌folD遺伝子を発現する宿主細胞によるpDNAの産生を評価する。例えば、folD遺伝子は、プラスミド上で、約1~5プラスミドコピー数/細胞で発現され得る。folD遺伝子は、IPTG誘導性プロモーターなどの合成プロモーターの制御下に発現され得る。細胞を、振盪フラスコ培地(例えば、20g/L Glc、3g/L (NH4)2SO4、0.6g/L KH2PO4、2g/L YE、80mM MOPS、pH=7.4、0.1mg/L チアミン-HCl、0.1g/Lアデノシン、微量金属)で増殖させ、1mM IPTGで誘導し得る。株により産生されたpDNAを、pDNA力価(g pDNA/L)について評価する。株により産生されたpDNAを、分光測色法(光学密度)、アガロースゲル電気泳動、定量的PCR(qPCR)、UV検出を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC-UV)または蛍光DNA結合色素の使用により評価し得る。pDNAの産生の評価について当業者に知られる他の方法も意図される。
【0222】
folDを過発現する株を、folDを過発現しない対照株と比較し得る。比較成長プロファイルおよび種々の生成物計量を、例えば、成長制限炭素源(例えば、グルコース、グリセロール、グルコン酸、スクロースまたは当分野で知られる他の一般的炭素源)を用いる流加バッチ発酵で集め得る。対照株と比較して、folDを過発現する株は、pDNAの力価、速度および/または収量の増加により証明されるとおり、pDNAの産生の増加を示し得る。
【0223】
実施例8:流加バッチ発酵での大腸菌プラスミドDNA産生
プリン前駆体代謝生成物が増加した株を、大腸菌pBR322由来複製起点を有するpDNAを高いレベルで産生する能力について試験した。プロモーターapFAB46制御下に染色体に組み込まれたコピーのfolD遺伝子および内因性コピーのfolD遺伝子をその天然プロモーターの制御下に発現する株t750340を、フィードバック阻害WT hisG(
図11において「816385」と称する)でのフィードバック耐性hisGアレルを回復させるためにさらに染色体修飾した。この親株を、天然エンドヌクレアーゼ遺伝子endA欠失によりプラスミド産生を改善するためにさらに修飾し、株t823012をもたらした(
図11で「823012」と称する)。親株は、天然relA遺伝子欠失により別に修飾して、株t823010を得た(
図11で「823010」と称する)。endAおよびrelA変異を発現するpDNA産生株大腸菌DH10bも、同一pBR322プラスミドで形質転換し(
図11で株「816386」と称する)、t750340由来の株と比較するため増殖させた。
【0224】
図11に示すとおり、4個のpDNA産生株を、pDNA力価および生産性を評価するため高光学密度まで流加バッチ発酵で増殖させた。株t816386は、40時間後228mg/L pDNAを産生し、最大生産性6.6mg/L/hに達した。his-親操作株t816385は、好成績の初期徴候を示し、わずか20時間で215mg/L pDNA力価に達したが(生産性10.7mg/L/h)、20時間を超える発酵でpDNAの消費または分解が観察された。endA欠失変異体株t823012は、親株t816385に類似するプロファイルを示したが、全体的生産性は低減した。対照的に、relA欠失変異体株t823010は、発酵時間の長い遅れの後、株t816386よりわずかに高いpDNA力価(281mg/L)で終章したにも関わらず、4個の株で最高の特異的生産性を示した。
【0225】
等価物
当業者は、ここに記載する本発明の特定の実施態様の等価物を認識するかまたは日常を超えない実験で確認できる。このような等価物は、添付する特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0226】
特許文書を含むすべての引用文献を、全体として引用により本明細書に包含させる。
【0227】
本明細書に開示する配列は、分泌シグナルを伴いまたは伴わずに記載され得ることは、認められるべきである。本明細書に開示される配列は、分泌シグナルを伴うまたは伴わないバージョンを包含する。本明細書に開示するタンパク質配列は、開始コドン(M)を伴いまたは伴わずに記載され得ることも、認められるべきである。本明細書に開示される配列は、開始コドンを伴うまたは伴わないバージョンを包含する。従って、いくつかの例においてアミノ酸ナンバリングは、開始コドンを含むタンパク質配列に対応してよく、一方他の例において、アミノ酸ナンバリングは、開始コドンを含まないタンパク質配列に対応してよい。本明細書に開示する配列は、停止コドンを伴いまたは伴わずに記載され得ることは、理解されるべきである。本明細書に開示する配列は、停止コドンを伴うまたは伴わないバージョンを包含する。本発明の態様は、本明細書に記載する配列およびそのフラグメントの何れかを含む宿主細胞を包含する。
【配列表】
【国際調査報告】