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特表2023-506269リチウム補充材料及びその製造方法、負極、並びにリチウムイオン電池
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  • 特表-リチウム補充材料及びその製造方法、負極、並びにリチウムイオン電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】リチウム補充材料及びその製造方法、負極、並びにリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20230208BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20230208BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536819
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 CN2020128047
(87)【国際公開番号】W WO2021120927
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201911296454.7
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】梅日国
(72)【発明者】
【氏名】常▲曉▼雅
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼子文
(72)【発明者】
【氏名】潘▲儀▼
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA15
5H050BA17
5H050CB12
5H050DA09
5H050EA08
5H050EA10
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA17
(57)【要約】
リチウム補充材料及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池であり、該リチウム補充材料は、金属リチウム粒子(1)及び導電材料(2)を含み、前記導電材料(2)は、前記金属リチウム粒子(1)に埋め込まれた内蔵部分及び前記金属リチウム粒子(1)の外部に位置する露出部分を含み、前記導電材料(2)の電子伝導度は、100S/cmよりも大きい。前記リチウム補充材料は、導電材料(2)により金属リチウム粒子(1)と負極活物質(3)との電子伝導を実現することができ、電子伝導のチャネルを増加させると同時に、リチウムイオンの輸送に役立ち、リチウムイオンの迅速な吸蔵過程を実現することにより、リチウム補充効率を顕著に向上させ、デッドリチウムの形成を効果的に抑制し、デンドライトが電池のセパレータを突き通すことによる潜在的な安全上のリスクを回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属リチウム粒子及び導電材料を含むリチウム補充材料であって、
前記導電材料は、前記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分、及び、前記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、前記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きいことを特徴とする、リチウム補充材料。
【請求項2】
前記導電材料は、炭素材料であり、前記炭素材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びグラフェンから選択された少なくとも1つであり、好ましくは、前記炭素材料は、カーボンナノチューブであり、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、及び/又は、多層カーボンナノチューブであり、好ましくは、多層カーボンナノチューブである、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブは、チューブ径が5nm~100nmであり、好ましくは、10nm~30nmであり、前記カーボンナノチューブは、長さが10μm~80μmであり、好ましくは、30μm~50μmである、請求項2に記載のリチウム補充材料。
【請求項4】
100重量部の前記金属リチウム粒子に対して、前記導電材料の含有量は、0.1~3重量部であり、好ましくは、0.5~1重量部である、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項5】
前記金属リチウム粒子の平均粒径は、20μm~40μmである、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項6】
前記金属リチウム粒子の表面には、不動態化層があり、前記不動態化層は、炭酸リチウム、フッ化リチウム、及びパラフィンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項7】
前記不動態化層の厚さは、5nm~100nmである、請求項6に記載のリチウム補充材料。
【請求項8】
リチウム補充材料の製造方法であって、
溶融金属リチウムを含有する第1の分散液と、電子伝導度が100S/cmよりも大きい導電材料を含有する第2の分散液とを、金属リチウムの溶融温度で混合し、混合後の材料を得るS1と、
前記混合後の材料を金属リチウムが凝固するまで冷却し、固液分離を行い、リチウム補充材料を得るS2と、を含む、リチウム補充材料の製造方法。
【請求項9】
前記金属リチウムと前記導電材料との重量比は、100:(0.1~3)であり、好ましくは、100:(0.5~1)である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の分散液は、界面活性剤をさらに含み、
前記界面活性剤は、ポリビニルピロリドン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミドから選択された少なくとも1つであり、好ましくは、ポリビニルピロリドンである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属リチウムと前記界面活性剤との重量比は、1:(0.002~0.05)であり、好ましくは、1:(0.005~0.02)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の分散液及び前記第2の分散液の分散媒は、不活性有機溶媒であり、前記第1の分散液及び前記第2の分散液の分散媒は、それぞれ独立して、炭化水素、エステル、エーテル、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の分散液と前記第2の分散液との体積比は、1:(0.1~10)であり、好ましくは、1:(0.5~3)である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
ステップS1では、前記第1の分散液と前記第2の分散液とを混合した後、二酸化炭素を導入するステップをさらに含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
負極は、集電体、負極活物質、及び請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウム補充材料を含むことを特徴とする、リチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウムイオン電池の分野に関し、具体的には、リチウム補充材料及びその製造方法、負極、並びにリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2019年12月16日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201911296454.7、発明名称が「リチウム補充材料及びその製造方法、負極、並びにリチウムイオン電池」である特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
リチウムイオン電池は、比エネルギーが高く、サイクル寿命が長いなどの利点を有し、ノートパソコン、携帯電話などの様々な携帯型電子機器の分野に広く応用される。エネルギー問題と環境問題の深刻化に伴い、各国は、省エネルギー・排出削減に対する要求がますます高くなる。従来の内燃機関車は、石油のような埋蔵量が限られた化石エネルギーを消費するだけでなく、排気ガスの汚染が深刻であるため、電気自動車が登場した。リチウムイオン動力電池は、電気自動車の主なエネルギー貯蔵ユニットとしてますます広く注目され、発展が期待されている。人々の航続距離及び運転体験への要求が高まるにつれ、動力電池のエネルギー密度を向上させることは、特に重要であり、電池構造を最適化し、容量がより高い電極材料を使用し、電池の動作電圧を拡張するなどの手段により実現することができる。
【0004】
リチウムイオン電池の初回充電過程において、有機電解液は、黒鉛などの負極表面で還元分解され、固体電解質界面(SEI)膜を形成し、正極から放出したリチウムイオンを永久的に消費し、不可逆的な容量損失を引き起こし、初回充放電のクーロン効率とエネルギー密度を低下させる。従来の負極材料である黒鉛の理論比容量は、372mAh/gであり、初回の不可逆的な容量損失は、5%~10%であり、シリコン、合金などの高容量の負極材料に対して、初回の不可逆的な容量はより高い。この問題を解決するために、研究者らは、プレリチウム化技術を提案した。プレリチウム化により材料がSEI膜を形成するときに消費されるリチウムイオンを相殺して、電池の総容量を向上させる。
【0005】
現在のプレリチウム化技術は、負極へのリチウム補充、正極へのリチウム補充、セパレータへのリチウム補充、及び電解液へのリチウム補充などに大別することができる。一般的な負極へのリチウム補充は、リチウム箔によるリチウム補充、リチウム粉末によるリチウム補充を含む。金属リチウムの電位は、全ての電極材料の中で最も低く、電位差の存在により、負極材料が金属リチウム箔又はリチウム粉末と接触するとき、電子が自発的に負極に移動することにより、リチウムイオンが負極に吸蔵される。しかしながら、リチウム補充材料を負極材料の表面に押圧するか、又は塗布してから、金属リチウムが黒鉛と接触しないか、又は負極材料に最も近いリチウム補充層が消費された後、デッドリチウムを形成しやすく、リチウム補充効率を大幅に低下させ、デンドライトを形成する可能性もあり、安全上の問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、リチウム補充効率が高く、かつデッドリチウムの形成によるデンドライト現象を回避するリチウム補充材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、リチウム補充材料を提供する。リチウム補充材料は、金属リチウム粒子及び導電材料を含み、前記導電材料は、前記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び前記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、前記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きい。
【0008】
好ましくは、前記導電材料は、炭素材料であり、前記炭素材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びグラフェンから選択された少なくとも1つであり、
好ましくは、前記炭素材料は、カーボンナノチューブであり、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブであり、好ましくは、多層カーボンナノチューブであり、及び/又は、前記カーボンナノチューブは、チューブ径が5nm~100nmであり、好ましくは、10nm~30nmであり、長さが10μm~80μmであり、好ましくは、30μm~50μmである。
【0009】
好ましくは、100重量部の前記金属リチウム粒子に対して、前記導電材料の含有量は、0.1~3重量部であり、好ましくは、0.5~1重量部である。
【0010】
好ましくは、前記金属リチウム粒子の平均粒径は、20μm~40μmであり、及び/又は、
前記金属リチウム粒子の表面には、不動態化層があり、前記不動態化層の厚さは、5nm~100nmであり、前記不動態化層は、炭酸リチウム、フッ化リチウム、及びパラフィンのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
本開示の第2の態様に係るリチウム補充材料の製造方法は、以下のステップS1~S2を含む。
【0012】
S1では、金属リチウムの溶融温度で、溶融金属リチウムを含有する第1の分散液と、導電材料を含有する第2の分散液とを混合し、十分に撹拌して混合後の材料を得て、前記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きく、
S2では、前記混合後の材料を金属リチウムが凝固するまで冷却し、固液分離を行う。
【0013】
好ましくは、ステップS1では、前記導電材料は、炭素材料であり、前記炭素材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びグラフェンから選択された少なくとも1つであり、好ましくは、前記炭素材料は、単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブであり、好ましくは、多層カーボンナノチューブであり、前記カーボンナノチューブは、チューブ径が5nm~100nmであり、好ましくは、10nm~30nmであり、長さが10μm~80μmであり、好ましくは、30μm~50μmであり、及び/又は、
前記第1の分散液は、界面活性剤をさらに含み、前記界面活性剤は、ポリビニルピロリドン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミドから選択された少なくとも1つであり、好ましくは、ポリビニルピロリドンであり、前記金属リチウムと前記界面活性剤との重量比は、1:(0.002~0.05)であり、好ましくは、1:(0.005~0.02)であり、及び/又は、
前記第1の分散液及び前記第2の分散液の分散媒は、不活性有機溶媒であり、前記第1の分散液及び前記第2の分散液の分散媒は、それぞれ独立して、炭化水素、エステル、エーテル、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも1つであり、及び/又は、
前記第1の分散液と前記第2の分散液との体積比は、1:(0.1~10)であり、好ましくは、1:(0.5~3)であり、前記金属リチウムと前記導電材料との重量比は、100:(0.1~3)であり、好ましくは、100:(0.5~1)である。
【0014】
好ましくは、該方法は、ステップS1では、前記第1の分散液と前記第2の分散液とを均一に混合した後、二酸化炭素を導入するステップを含む。
【0015】
本開示の第3の態様に係るリチウム補充材料は、本開示の第2の態様に係る方法で製造される。
【0016】
本開示の第4の態様に係るリチウムイオン電池の負極は、集電体、負極活物質、及びリチウム補充材料を含み、前記リチウム補充材料は、本開示の第1の態様及び本開示の第3の態様のいずれか1つに係るリチウム補充材料である。
【0017】
本開示の第5の態様に係るリチウムイオン電池は、本開示の第4の態様に係るリチウムイオン電池負極を含む。
【発明の効果】
【0018】
上記技術手段により、本開示のリチウム補充材料は、導電材料により金属リチウム粒子と負極活物質との電子伝導を実現することができ、電子伝導のチャネルを増加させると同時に、リチウムイオンの輸送に役立ち、リチウムイオンの迅速な吸蔵過程を実現することにより、リチウム補充効率を顕著に向上させ、デッドリチウムの形成を効果的に抑制し、デンドライトがセパレータを突き通すことによる潜在的な安全上のリスクを回避する。
【0019】
本開示の他の特徴及び利点については、以下の具体的な実施形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面は、本開示のさらなる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を説明するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0021】
図1】本開示のリチウム補充材料をリチウムイオン電池負極に応用するときのリチウム補充の原理概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0023】
本開示の第1の態様に係るリチウム補充材料は、金属リチウム粒子及び導電材料を含み、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、上記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きい。具体的な一実施形態では、上記導電材料は、電子伝導度が100S/cmよりも大きい一次元材料及び/又は二次元材料であってもよい。
【0024】
本開示では、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、様々な形態で実施することができ、例えば、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に挿通することができ、一実施形態では、上記導電材料の長さが長く、その長さが上記金属リチウム粒子の粒径よりも大きい場合、上記導電材料は、1つ以上の上記金属リチウム粒子を貫通する可能性があり、この場合、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた複数の内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する複数の露出部分を含み、かつ上記導電材料は、湾曲することができ、別の実施形態では、上記導電材料の長さが短く、その長さが上記金属リチウム粒子の粒径よりも小さい場合、上記導電材料の一部のみが上記金属リチウム粒子に埋め込まれる可能性があり、この場合、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた1つの内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する1つの露出部分のみを含む。上記導電材料に埋め込まれた、上記の金属リチウム粒子の上記内蔵部分の数は、特に限定されない。
【0025】
本開示の発明者らは、リチウム補充材料における導電材料の一部が金属リチウム粒子に埋め込まれる場合、上記リチウム補充材料とリチウムが補充されていない負極シートとをロールプレスすることにより、導電材料が負極活物質と緊密に接触して、垂直な三次元導電ネットワークを形成することができ、金属リチウム粒子と負極材料の固相界面との電子伝導を実現するだけでなく、導電材料により金属リチウム粒子の内部と負極活物質との電子伝導を実現でき、電子伝導のチャネルを増加させると同時に、リチウムイオンの輸送に役立ち、リチウムイオンの迅速な吸蔵過程を実現することにより、リチウム補充効率を顕著に向上させ、デッドリチウムの形成を効果的に抑制し、デンドライトがセパレータを突き通すことによる潜在的な安全上のリスクを回避することを見出した。
【0026】
本開示では、上記導電材料は、本分野の既知の炭素材料であってもよく、例えば、上記炭素材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びグラフェンから選択された少なくとも1つであってもよく、好ましい一実施形態では、上記炭素材料は、カーボンナノチューブであってもよく、カーボンナノチューブは、電子を高速伝導可能な一次元のチューブ状構造を有するため、優れた電子伝導度を有し、金属リチウム粒子は、体積が大きく、直径が数十ミクロンのレベルであるため、カーボンナノチューブが湾曲巻回した形状は、挿通して導電ネットワークを形成することに有利である。
【0027】
本開示では、上記カーボンナノチューブは、本分野で既知のものであり、例えば、上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブの少なくとも1つであってもよく、その導電性能を向上させるために、好ましい一実施形態では、上記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであってもよい。上記カーボンナノチューブは、サイズに特別な要求がなく、具体的な一実施形態では、上記カーボンナノチューブは、チューブ径が5nm~100nmであってもよく、好ましくは、10nm~30nmであり、長さが10μm~80μmであってもよく、好ましくは、30μm~50μmである。
【0028】
本開示では、100重量部の上記金属リチウム粒子に対して、上記導電材料の含有量は、一定の範囲内で変化することができ、導電材料の最適な性能を発揮するために、適切な割合の導電ネットワークを提供し、上記導電材料の含有量は、0.1~3重量部であってもよく、好ましい一実施形態では、上記導電材料の含有量は、0.5~1重量部であってもよい。
【0029】
本開示では、上記金属リチウム粒子の平均粒径は、広い範囲内で変化することができ、好ましくは、平均粒径は、20μm~40μmであってもよい。上記金属リチウム粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡により任意の100個の金属リチウム粒子をランダムに観察して、粒径値を個別に測定し、粒径の平均値は、即ち金属リチウム粒子の平均粒径である。
【0030】
本開示では、内部の金属リチウムと空気中の酸素、二酸化炭素、及び水分などと接触してさらに反応することを効果的に阻止するために、上記金属リチウム粒子の表面には、さらに一層の不動態化層があり、上記不動態化層は、化学的安定性を有する炭酸リチウム層、フッ化リチウム層、及びパラフィン層のうちの少なくとも1つであってもよく、上記不動態化層の厚さは、広い範囲で変化することができ、例えば、上記不動態化層の厚さは、5~100nmであってもよく、好ましい一実施形態では、上記不動態化層の厚さは、10~30nmであってもよい。
【0031】
本開示の第2の態様に係るリチウム補充材料の製造方法は、具体的には、以下のステップS1~S2を含む。
【0032】
S1では、金属リチウムの溶融温度で、溶融金属リチウムを含有する第1の分散液と、導電材料を含有する第2の分散液とを混合し、十分に撹拌して混合後の材料を得て、上記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きく、
S2では、上記混合後の材料を金属リチウムが凝固するまで冷却し、固液分離を行う。
【0033】
本開示では、ステップS1では、上記導電材料は、本分野の既知の炭素材料であってもよく、例えば、上記炭素材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びグラフェンから選択された少なくとも1つであってもよく、好ましい一実施形態では、上記炭素材料は、カーボンナノチューブであってもよく、カーボンナノチューブは、電子を高速伝導可能な一次元のチューブ状構造を有するため、優れた電子伝導度を有し、金属リチウム粒子は、体積が大きく、直径が数十ミクロンのレベルであるため、カーボンナノチューブが湾曲巻回した形状は、挿通して導電ネットワークを形成することに有利である。
【0034】
本開示では、上記カーボンナノチューブは、本分野で既知のものであり、例えば、上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブの少なくとも1つであってもよく、その導電性能を向上させるために、好ましい一実施形態では、上記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであってもよい。上記カーボンナノチューブは、サイズに特別な要求がなく、具体的な一実施形態では、上記カーボンナノチューブは、チューブ径が5nm~100nmであってもよく、好ましくは、10nm~30nmであり、長さが10μm~80μmであってもよく、好ましくは、30μm~50μmである。
【0035】
本開示では、ステップS1では、上記第1の分散液は、界面活性剤をさらに含有してもよく、上記界面活性剤は、本分野で既知のものであり、例えば、上記界面活性剤は、ポリビニルピロリドン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミドから選択された1つ以上であってもよく、好ましい一実施形態では、上記界面活性剤は、ポリビニルピロリドンであってもよい。上記金属リチウムと上記界面活性剤との重量比は、一定の範囲内で変化することができ、例えば、上記金属リチウムと上記界面活性剤との重量比は、1:(0.002~0.05)であってもよく、好ましくは、1:(0.005~0.02)である。
【0036】
本開示では、上記第1の分散液及び上記第2の分散液の分散媒は、本分野の一般的な不活性有機溶媒であり、上記第1の分散液及び上記第2の分散液の分散媒は、それぞれ独立して、炭化水素、エステル、エーテル、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも1つであってもよく、例えば、上記第1の分散液及び上記第2の分散液の分散媒は、本分野の一般的な炭化水素オイル、ホワイトオイル、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも1つであってもよく、好ましい形態では、上記第1の分散液及び上記第2の分散液の分散媒は、一般的なメチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、メチルエトキシシリコーンオイルなどのシリコーンオイルであってもよく、ここでは説明を省略する。
【0037】
本開示では、上記第1の分散液と上記第2の分散液との体積比は、広い範囲内で変化することができ、例えば、上記第1の分散液と上記第2の分散液との体積比は、1:(0.1~10)であってもよく、好ましくは、1:(0.5~3)である。上記金属リチウムと上記導電材料との重量比は、広い範囲内で変化することができ、例えば、上記金属リチウムと上記導電材料との重量比は、100:(0.1~3)であってもよく、好ましくは、100:(0.5~1)である。
【0038】
本開示では、該方法は、二酸化炭素を導入して不動態化層を形成するステップをさらに含んでもよく、例えば、ステップS1では、上記第1の分散液と上記第2の分散液を混合した後、二酸化炭素を含有する不活性ガスを導入する。均一で緻密な不動態化層を得るために、好ましい一実施形態では、上記ガスは、高純度の二酸化炭素であってもよい。
【0039】
本開示の第3の態様に係るリチウム補充材料は、本開示の第2の態様に係る方法で製造される。
【0040】
本開示の第4の態様に係るリチウムイオン電池負極は、集電体、負極活物質、及びリチウム補充材料を含み、上記リチウム補充材料は、本開示の第1の態様及び本開示の第3の態様のいずれか1つに係るリチウム補充材料である。
【0041】
本開示では、負極集電体は、打ち抜き金属、金属箔、網状金属、発泡状金属などのリチウムイオン電池における従来の負極集電体であってもよい。負極活物質は、バインダをさらに含んでもよく、その種類は、本分野の一般的なものであってもよく、ここでは説明を省略する。
【0042】
本開示のリチウムイオン電池負極の製造方法は、特別な要求がなく、従来の技術を参照して行うことができ、例えば、本開示のリチウムイオン電池負極の製造方法は、負極活物質及びバインダを含有する負極スラリーを負極集電体に塗布及び/又は充填し、さらに乾燥させ、ロールプレスするステップを含んでもよい。具体的な操作方法及び条件は、本分野の一般的なものであってもよく、ここで特に限定されない。
【0043】
図1は、本開示のリチウム補充材料をリチウムイオン電池負極に応用するときのリチウム補充の原理概略図であり、カーボンナノチューブなどの導電材料2の一部が金属リチウム粒子1に埋め込まれる場合、導電材料2は、金属リチウム粒子1を貫通して巻回することができ、ロールプレスした後、湾曲巻回した導電材料2は、負極活物質3と緊密に接触して、垂直な三次元導電ネットワークを形成できることにより、金属リチウム粒子1と負極活物質3の固相界面との粒子伝導を実現するだけでなく、負極活物質3と接触していない金属リチウム粒子1が導電材料2により粒子を負極活物質3に伝達でき、金属リチウム粒子1は、導電材料2により負極活物質3との電子伝導過程を実現できると同時に、リチウムイオンの輸送に役立ち、リチウムイオンの迅速な吸蔵過程を実現することにより、デッドリチウムの形成を効果的に抑制し、リチウム補充効率を顕著に向上させ、デンドライトの形成による潜在的な安全上のリスクを回避する。
【0044】
本開示の第5の態様に係るリチウムイオン電池は、本開示の第4の態様に係るリチウムイオン電池負極を含む。
【0045】
本開示では、リチウムイオン電池は、正極、セパレータ、及び電解液をさらに含んでもよく、本開示は、正極、セパレータ、及び電解液を特に限定せず、本分野の一般的な種類のものであってもよく、該リチウムイオン電池も本分野の一般的な方法で製造することができ、例えば、セパレータを介して正極と本開示の上記負極を巻回して電極群を形成し、得られた電極群及び電解液を電池ケース内に密封すれば、本開示に係るリチウムイオン電池を得ることができる。正極と負極との間に位置するセパレータの巻回方法は、当業者には周知であり、ここでは説明を省略する。
【0046】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示は、これによって何ら限定されない。
【0047】
実施例及び比較例に使用される原料の性質は、以下のとおりである。
【0048】
多層カーボンナノチューブは、江蘇天奈科技股▲ふん▼公司から購入され、その電子伝導度が>150S/cmである。
【0049】
単層カーボンナノチューブは、江蘇天奈科技股▲ふん▼公司から購入され、その電子伝導度が>150S/cmである。
【0050】
炭素繊維は、江蘇天奈科技股▲ふん▼公司から購入され、その電子伝導度が>100S/cmである。
【0051】
グラフェンは、江蘇天奈科技股▲ふん▼公司から購入され、その電子伝導度が>100S/cmである。
【0052】
残りの原料は、特に説明しない限り、いずれも市販品である。
【実施例1】
【0053】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が10nmであり、長さが50μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A1を得る。
【0054】
実施例1のリチウム補充材料A1は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブの一部は、金属リチウム粒子に挿入され、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含んでもよく、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が27.8μmであり、炭酸リチウム層の厚さが21nmであることが分かった。
【実施例2】
【0055】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が10nmであり、長さが50μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A2を得る。
【0056】
実施例2のリチウム補充材料A2は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が42.2μmであり、炭酸リチウム層の厚さが27nmであることが分かった。
【実施例3】
【0057】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのセチルトリメチルアンモニウムブロミドを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が10nmであり、長さが50μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A3を得る。
【0058】
実施例3のリチウム補充材料A3は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が45.4μmであり、炭酸リチウム層の厚さが35nmであることが分かった。
【実施例4】
【0059】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が20nmであり、長さが30μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A4を得る。
【0060】
実施例4のリチウム補充材料A4は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が26.2μmであり、炭酸リチウム層の厚さが27nmであることが分かった。
【実施例5】
【0061】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が40nmであり、長さが20μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A5を得る。
【0062】
実施例5のリチウム補充材料A5は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が29.2μmであり、炭酸リチウム層の厚さが20nmであることが分かった。
【実施例6】
【0063】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が60nmであり、長さが20μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A6を得る。
【0064】
実施例6のリチウム補充材料A6は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が39.6μmであり、炭酸リチウム層の厚さが23nmであることが分かった。
【実施例7】
【0065】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が20nmであり、長さが30μmである0.08gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A7を得る。
【0066】
実施例7のリチウム補充材料A7は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が25.0μmであり、炭酸リチウム層の厚さが22nmであることが分かった。
【実施例8】
【0067】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が20nmであり、長さが30μmである0.1gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A8を得る。
【0068】
実施例8のリチウム補充材料A8は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が26.4μmであり、炭酸リチウム層の厚さが26nmであることが分かった。
【実施例9】
【0069】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が20nmであり、長さが30μmである0.2gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A9を得る。
【0070】
実施例9のリチウム補充材料A9は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が27.6μmであり、炭酸リチウム層の厚さが22nmであることが分かった。
【実施例10】
【0071】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が2nmであり、長さが30μmである0.05gの単層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、単層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A10を得る。
【0072】
実施例10のリチウム補充材料A10は、金属リチウム粒子、単層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該単層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が28.2μmであり、炭酸リチウム層の厚さが18nmであることが分かった。
【実施例11】
【0073】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が180nmであり、長さが20μmである0.05gの炭素繊維を25gのシリコーンオイルに添加し、炭素繊維が十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A11を得る。
【0074】
実施例11のリチウム補充材料A11は、金属リチウム粒子、炭素繊維、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該炭素繊維は、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が37.8μmであり、炭酸リチウム層の厚さが25nmであることが分かった。
【実施例12】
【0075】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、厚さが10nmであり、長さが8μmである0.05gのグラフェンを25gのシリコーンオイルに添加し、グラフェンが十分に分散するまで200℃で撹拌し、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A12を得る。
【0076】
実施例12のリチウム補充材料A12は、金属リチウム粒子、グラフェン、及び不動態化層(具体的には、炭酸リチウム層)を含み、該グラフェンは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、炭酸リチウム層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が41.0μmであり、炭酸リチウム層の厚さが24nmであることが分かった。
【実施例13】
【0077】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が10nmであり、長さが50μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A13を得る。
【0078】
実施例13のリチウム補充材料A13は、金属リチウム粒子及び多層カーボンナノチューブを含み、該多層カーボンナノチューブの一部は、金属リチウム粒子に挿入され、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含んでもよい。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が27.7μmであることが分かった。
【実施例14】
【0079】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、チューブ径が10nmであり、長さが50μmである0.05gの多層カーボンナノチューブを25gのシリコーンオイルに添加し、多層カーボンナノチューブが十分に分散するまで200℃で撹拌して、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、フッ素ガス含有の不活性ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、リチウム補充材料A14を得る。
【0080】
実施例14のリチウム補充材料A14は、金属リチウム粒子、多層カーボンナノチューブ、及び不動態化層(具体的には、フッ化リチウム層)を含み、該多層カーボンナノチューブの一部は、金属リチウム粒子に挿入され、該多層カーボンナノチューブは、金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含んでもよく、不動態化層は、金属リチウム粒子の表面に位置する。検出により、金属リチウム粒子の平均粒径が28μmであり、不動態化層の厚さが34nmであることが分かった。
(比較例1)
【0081】
-60℃の乾燥環境下で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌し、高速撹拌条件で二酸化炭素ガスを導入し、そして撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、比較用のリチウム補充材料D1を得る。
【0082】
該リチウム補充材料D1は、金属リチウム粒子と、金属リチウム粒子の表面に位置する炭酸リチウム不動態化層とを含み、金属リチウム粒子の平均粒径は24.8μmであり、炭酸リチウム層の厚さは19nmである。
(比較例2)
【0083】
比較例1のリチウム補充材料D1を原料として用い、それとカーボンナノチューブを重量比1:0.008に応じて物理的に混合し、上記カーボンナノチューブは、チューブ径が20nmであり、長さが30μmである多層カーボンナノチューブであり、比較用のリチウム補充材料D2を得る。
【0084】
比較例2のリチウム補充材料D2は、前述のリチウム補充材料D1及び多層カーボンナノチューブを含み、多層カーボンナノチューブとリチウム補充材料D1とは簡単な物理的混合関係のみであり、多層カーボンナノチューブの一部は、リチウム補充材料D1に挿入されていない。
(比較例3)
【0085】
-60℃の乾燥環境で、10gの金属リチウムインゴットを25gのジメチルシリコーンオイルに添加して200℃まで昇温し、金属リチウムインゴットが完全に溶融した後に0.1gのポリビニルピロリドンを添加し、金属リチウムインゴットが完全に溶解するまで撹拌して第1の分散液を得て、電子伝導度が<100S/cmの0.05gのアセチレンブラックを25gのシリコーンオイルに添加し、200℃で十分に分散するまで撹拌し、第2の分散液を得て、高速撹拌条件で、第2の分散液を第1の分散液にゆっくりと添加して均一に混合し、二酸化炭素ガスを導入し、撹拌及び加熱を停止し、室温まで冷却した後に固体生成物を収集して乾燥させ、比較用のリチウム補充材料D3を得る。
(試験例)
【0086】
実施例1~14で得られたリチウム補充材料A1~A14と比較例1~3で得られたリチウム補充材料D1、D2、D3とをそれぞれリチウムイオン電池に製造し、製造方法は以下のとおりである。
【0087】
黒鉛:導電剤:バインダ=96:2:2の重量比に応じて混合して負極スラリーを得て、それを銅箔に塗布して乾燥させ、ロールプレスした後にリチウムが補充されていない電極シートを得て、上記リチウム補充材料を、揮発しやすいNMP溶媒に溶解し、前述のリチウムが補充されていない負極シートに均一に印刷するか又は塗布し、同じ厚さとなるまでロールプレスし、シートを裁断して秤量してボタン電池の正極とし、リチウムシートを負極としてボタン電池AS1~AS14及び比較用のボタン電池DS1~DS3を製造する。
【0088】
上記得られたリチウムイオン電池を12h静置した後にリチウム補充効率の試験を行い、リチウム補充効率の試験条件は、以下のとおりである。常温条件下で武漢藍電電子有限公司により製造されたLAND電池試験システムを用いて、0.01Cの電流を利用して3Vとなるまで定電流充電し、充電容量に基づいて、実際のリチウム補充効率を算出する。試験結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1のデータから分かるように、本開示の実施例のリチウム補充材料は、優れたリチウム補充効率を有し、導電材料がドープされていないリチウム補充材料(比較例1)と、導電材料及び金属リチウム粒子を簡単に混合して製造されたリチウム補充材料(比較例2)と比較して、本開示の実施例のリチウム補充材料を含有するリチウムイオン電池は、充電グラム容量、リチウム補充効率がいずれもより高い。その原因としては、本開示の方法で製造されたリチウム補充材料における導電材料の一部が金属リチウム粒子に埋め込まれ、上記リチウム補充材料とリチウムが補充されていない負極シートをロールプレスした後、導電材料が負極活物質と緊密に接触して、垂直な三次元導電ネットワークを形成することができ、金属リチウム粒子と負極活物質の固相界面との電子伝導を実現するだけでなく、導電材料により金属リチウム粒子内部と負極活物質との電子伝導を実現でき、電子伝導のチャネルを増加させると同時に、リチウムイオンの輸送に役立ち、リチウムイオンの迅速な吸蔵過程を実現することにより、リチウム補充効率を顕著に向上させ、デッドリチウムの形成を効果的に抑制すると考えられる。また、表1における本開示の実施例1~14と比較例3とのデータを比較して分かるように、リチウム補充材料における導電材料の電子伝導度が小さすぎると、金属リチウム粒子の内部と負極活物質との間の電子伝導を大幅に低下させ、さらに電池のリチウム補充効率を低下させる。
【0091】
さらに、表1における実施例1と実施例11~12とのデータを比較して分かるように、導電材料がカーボンナノチューブである場合、ボタン電池は、高い充電容量及びリチウム補充効率を有する。表1における実施例1と実施例4~6とのデータを比較して分かるように、リチウム補充材料における多層カーボンナノチューブは、チューブ径が10~30nmであり、長さが30~50μmである場合、ボタン電池は、より高い充電容量及びリチウム補充効率を有する。表1における実施例1と実施例13とのデータを比較して分かるように、リチウム補充材料に不動態化層がない場合(実施例13)、金属リチウムが空気中の酸素、二酸化炭素、水分などと反応しやすいため、活性リチウムの一部が消費され、電池のリチウム補充効率の低下をもたらす。
【0092】
以上、図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的概念の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0093】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意の適当な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0094】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の構想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容と見なすべきである。
【符号の説明】
【0095】
1 金属リチウム粒子、2 導電材料、3 負極活物
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属リチウム粒子及び導電材料を含むリチウム補充材料であって、
前記導電材料は、前記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分、及び、前記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、前記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きいことを特徴とする、リチウム補充材料。
【請求項2】
前記導電材料は、炭素材料であり、前記炭素材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びグラフェンから選択された少なくとも1つである、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項3】
前記炭素材料は、カーボンナノチューブであり、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、及び/又は、多層カーボンナノチューブである、請求項2に記載のリチウム補充材料。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、チューブ径が5nm~100nmであり、前記カーボンナノチューブは、長さが10μm~80μmである、請求項2または3に記載のリチウム補充材料。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブは、チューブ径が10nm~30nmであり、前記カーボンナノチューブは、長さが30μm~50μmである、請求項2または3に記載のリチウム補充材料。
【請求項6】
100重量部の前記金属リチウム粒子に対して、前記導電材料の含有量は、0.1~3重量部である、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項7】
100重量部の前記金属リチウム粒子に対して、前記導電材料の含有量は、0.5~1重量部である、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項8】
前記金属リチウム粒子の平均粒径は、20μm~40μmである、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項9】
前記金属リチウム粒子の表面には、不動態化層があり、前記不動態化層は、炭酸リチウム、フッ化リチウム、及びパラフィンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のリチウム補充材料。
【請求項10】
前記不動態化層の厚さは、5nm~100nmである、請求項に記載のリチウム補充材料。
【請求項11】
リチウム補充材料の製造方法であって、
溶融金属リチウムを含有する第1の分散液と、電子伝導度が100S/cmよりも大きい導電材料を含有する第2の分散液とを、金属リチウムの溶融温度で混合し、混合後の材料を得るS1と、
前記混合後の材料を金属リチウムが凝固するまで冷却し、固液分離を行い、リチウム補充材料を得るS2と、を含む、リチウム補充材料の製造方法。
【請求項12】
前記金属リチウムと前記導電材料との重量比は、100:(0.1~3)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の分散液は、界面活性剤をさらに含み、
前記界面活性剤は、ポリビニルピロリドン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミドから選択された少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の分散液は、界面活性剤をさらに含み、
前記界面活性剤は、ポリビニルピロリドンである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記金属リチウムと前記界面活性剤との重量比は、1:(0.002~0.05)である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記金属リチウムと前記界面活性剤との重量比は、1:(0.005~0.02)である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の分散液及び前記第2の分散液の分散媒は、不活性有機溶媒であり、前記第1の分散液及び前記第2の分散液の分散媒は、それぞれ独立して、炭化水素、エステル、エーテル、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の分散液と前記第2の分散液との体積比は、1:(0.1~10)である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の分散液と前記第2の分散液との体積比は、1:(0.5~3)である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ステップS1では、前記第1の分散液と前記第2の分散液とを混合した後、二酸化炭素を導入するステップをさらに含む、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
負極は、集電体、負極活物質、及び請求項1~10のいずれか一項に記載のリチウム補充材料を含むことを特徴とする、リチウムイオン電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様は、リチウム補充材料を提供する。リチウム補充材料は、金属リチウム粒子及び導電材料を含み、前記導電材料は、前記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び前記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、前記導電材料の電子伝導度は、100S/cmよりも大きい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本開示では、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する露出部分を含み、様々な形態で実施することができ、例えば、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に挿通することができ、一実施形態では、上記導電材料の長さが長く、その長さが上記金属リチウム粒子の粒径よりも大きい場合、上記導電材料は、1つ以上の上記金属リチウム粒子を貫通する可能性があり、この場合、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた複数の内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する複数の露出部分を含み、かつ上記導電材料は、湾曲することができ、別の実施形態では、上記導電材料の長さが短く、その長さが上記金属リチウム粒子の粒径よりも小さい場合、上記導電材料の一部のみが上記金属リチウム粒子に埋め込まれる可能性があり、この場合、上記導電材料は、上記金属リチウム粒子に埋め込まれた1つの内蔵部分及び上記金属リチウム粒子の外部に位置する1つの露出部分のみを含む。上記金属リチウム粒子に埋め込まれた、上記導電材料の上記内蔵部分の数は、特に限定されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
図1は、本開示のリチウム補充材料をリチウムイオン電池負極に応用するときのリチウム補充の原理概略図であり、カーボンナノチューブなどの導電材料2の一部が金属リチウム粒子1に埋め込まれる場合、導電材料2は、金属リチウム粒子1を貫通して巻回することができ、ロールプレスした後、湾曲巻回した導電材料2は、負極活物質3と緊密に接触して、垂直な三次元導電ネットワークを形成できることにより、金属リチウム粒子1と負極活物質3の固相界面との電子伝導を実現するだけでなく、負極活物質3と接触していない金属リチウム粒子1が導電材料2により電子を負極活物質3に伝達でき、金属リチウム粒子1は、導電材料2により負極活物質3との電子伝導過程を実現できると同時に、リチウムイオンの輸送に役立ち、リチウムイオンの迅速な吸蔵過程を実現することにより、デッドリチウムの形成を効果的に抑制し、リチウム補充効率を顕著に向上させ、デンドライトの形成による潜在的な安全上のリスクを回避する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
黒鉛:導電剤:バインダ=96:2:2の重量比に応じて混合して負極スラリーを得て、それを銅箔に塗布して乾燥させ、ロールプレスした後にリチウムが補充されていない電極シートを得て、上記リチウム補充材料を、揮発しやすいNMP溶媒に溶解し、前述のリチウムが補充されていない電極シートに均一に印刷するか又は塗布し、同じ厚さとなるまでロールプレスし、シートを裁断して秤量してボタン電池の正極とし、リチウムシートを負極としてボタン電池AS1~AS14及び比較用のボタン電池DS1~DS3を製造する。
【国際調査報告】