(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】光源
(51)【国際特許分類】
G02F 1/365 20060101AFI20230208BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G02F1/365
H01S3/10 D
H01S3/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537099
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 DK2020050403
(87)【国際公開番号】W WO2021121530
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506179491
【氏名又は名称】エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、トマス ベスタガード
【テーマコード(参考)】
2K102
5F172
【Fターム(参考)】
2K102AA05
2K102AA32
2K102BA20
2K102BB03
2K102BC01
2K102BD09
2K102DA06
2K102DC08
2K102EB20
2K102EB22
5F172AM08
5F172DD06
5F172NN24
5F172NR21
5F172ZZ04
(57)【要約】
光源は、光パルスの第1シーケンス(13)を提供するためのパルス発生器(11)と、所定期間内に第1の数の光パルスを含む光パルスの第1シーケンス(13)と、光パルスの第1シーケンス(13)から光パルスの第2シーケンス(17)を生成するように構成されたマニピュレータ(15)と、所定期間内に第2の数の光パルスを有し、第1の数と異なる第2の数の光パルスを有する光パルスの第2シーケンス(17)と、光パルスの第2シーケンス(17)を受容するように配置された非線形光学素子(19)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パルスの第1シーケンス(13)を提供するためのパルス発生器(11)であって、光パルスの前記第1シーケンス(13)が所定期間内に第1の数の光パルスを含む、パルス発生器(11)と、
光パルスの前記第1シーケンス(13)から光パルスの第2シーケンス(17)を生成するように構成されたマニピュレータ(15)であって、光パルスの前記第2シーケンス(17)が前記所定期間内に第2の数の光パルスを有し、前記第2の数が前記第1の数と異なる、マニピュレータ(15)と、
光パルスの前記第2シーケンス(17)を受容するように配置された非線形光学素子(19)と、
を備える光源。
【請求項2】
前記マニピュレータ(15)が、光パルスの前記第1シーケンス(13)の単一パルス(29)から少なくとも2つのパルスを含むパルスのバースト(31)を生成するように構成されており、前記少なくとも2つのパルスの間には時間遅延がある、
請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記非線形光学素子(19)は、非線形光ファイバ(61)、特に微細構造光ファイバであって、
光パルスの前記第2シーケンスは、前記非線形光ファイバ(61)を伝搬するときに広帯域スペクトル又はスーパーコンティニウムを生成する、
請求項1又は2に記載の光源。
【請求項4】
光パルスの前記第2シーケンス(17)のパルスを前記非線形光学素子(19)に供給する前に増幅するために、前記マニピュレータ(15)と前記非線形光学素子(17)との間に少なくとも1つの増幅器(35)が配置されている、
請求項1、2又は3に記載の光源。
【請求項5】
前記マニピュレータ(15)は、
光パルスの前記第1シーケンスの各パルスを所与の数Nのパルスに分割し、それによって、光パルスの第1サブシーケンス(39)及びさらなるN-1個の光パルスのサブシーケンス(41,43,45)を含む光パルスのN個のサブシーケンス(39,41,43,45)を生成するように構成されたパルススプリッタ(37)であって、前記マニピュレータ(15)が、光パルスの前記第1サブシーケンス(39)に対して光パルスの前記N-1個のサブシーケンス(41,43,45)の各々を個別に遅延させるように構成された、パルススプリッタ(37)と、
光パルスの前記第1サブシーケンス(39)と個別に遅延された前記N-1個の光パルスのサブシーケンス(41,43,45)とを結合し、それによって光パルスの前記第2シーケンス(17)を生成するように構成されたパルス結合器(55)と、
を備える、
請求項1~4のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項6】
前記マニピュレータ(15)は、光学的長さが異なるN本の光学経路(47,49,51,53)を備え、
前記パルススプリッタ(37)は、前記N個の光パルスのサブシーケンス(39,41,43,45)の各々を前記N本の光学経路(47,49,51,53)のうちの1つに供給するように構成される、
請求項5に記載の光源。
【請求項7】
前記光学経路(47,49,51,53)が光ファイバにより形成されている、
請求項6に記載の光源。
【請求項8】
前記パルス発生器(11)が光ポンプ源(21)、特にパルスレーザーを備え、及び/又は、
少なくとも1つの増幅器(23)が前記パルス発生器(11)の光ポンプ源(21)と前記マニピュレータ(15)との間に配置され、及び/又は、
パルスピッカー(25)が前記パルス発生器(11)の光ポンプ源(21)と前記マニピュレータ(15)との間に配置されている、
請求項1~7のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項9】
前記光源は、前記非線形光学素子(19)に入力される前に、光パルスの前記第2シーケンス(17)の前記光パルスの少なくとも一部を検出するための、特にはサンプリングするための、検出器を備え、
光パルスの前記第2シーケンス(17)の少なくとも1つのパラメータが、前記検出器から得られた信号に基づいて制御される、
請求項1~8のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項10】
光パルスの前記第1シーケンス(13)又は光パルスの前記第2シーケンス(17)の一部の検出から得られた信号に基づいて、前記光源の少なくとも1つの制御可能な要素の動作を制御するコントローラをさらに備え、
前記制御可能な要素は、
前記パルス発生器(11)、
前記マニピュレータ(15)と前記非線形光学素子(17)との間に配置された増幅器(35)、
前記パルス発生器(11)の増幅器、
前記パルス発生器(11)の光ポンプ源(21)と前記マニピュレータ(15)との間に配置されたパルスピッカー(25)、のうちの1つである、
請求項1~9のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項11】
材料サンプルの分光分析のための装置であって、
請求項1~10のうち何れか一項に記載の光源(65)と、
積分時間中に材料サンプルからの光を検出する検出器(67)であって、前記材料サンプルが、前記光源(65)の前記非線形光学素子から出射された光により照射されることが可能であり、かつ、当該検出器(67)により前記材料サンプルからの光が検出可能であるように配置可能である、検出器(67)と、
を備える装置。
【請求項12】
前記検出器(67)の前記積分時間は、前記光源(65)によって生成されたパルスのバースト(31)の持続時間を超える、
請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、広帯域光源又はスーパーコンティニウム光源などの光源に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域光源とは、一般に、例えば50nm以上の広い波長帯域幅を有する光を出射する光源をいう。
広帯域光源は、例えば、白熱灯又は蛍光灯を含むことができ、典型的には400~1700nmの範囲の広いスペクトルを提供する。しかしながら、このような光源の場合、強度は、使用されるフィラメントの質又はガス励起の効率によって制限される。さらに、光は空間的にコヒーレントではないので、光をファイバに結合することは困難である可能性があり、その結果、低パワーで低輝度の光源となり、品質は中程度になる。前述の制限のうちの1以上は、多くの用途に対して最適ではない場合がある。
【0003】
スーパーコンティニウム生成は、上記制限の1以上を超える改善を提供することができる。スーパーコンティニウム生成は、非線形ファイバのような非線形素子を介した高パワー光、典型的にはパルスの伝搬による、広い、典型的には連続的なスペクトルの形成に関する。スーパーコンティニウムという用語は特定の現象をカバーするものではなく、むしろ、光学的パルスのかなりの広がりをもたらす、自己位相変調、ラマン散乱、位相整合、及びソリトン発生などの多数の非線形効果の少なくとも一部を含んでもよい。非線形光ファイバにおけるスーパーコンティニウム生成によって達成されるスペクトルは、典型的には、より広いスペクトル、例えば、いくつかの例では、白熱灯又は蛍光灯に関して400~2400nmの範囲の波長を有するスペクトルをカバーし、より高い強度、シングルモードビーム特性、優れた指向安定性、及びレーザーの輝度の1以上を提供することができる。
【0004】
広帯域光源又はスーパーコンティニウム光源の一般的な形態は、スペクトルの赤外領域のポンプ波長で動作する超短パルス光ポンプ源と、特別に設計された分散特性を有する高度に非線形の微細構造化された光学とを含む。
【0005】
光源、特に、広帯域スーパーコンティニウム光を提供することができる光源は、多くの用途、例えば、生物医学画像化、成分特性評価、製造管理及び材料加工における理想的な光源である。広帯域光又はスーパーコンティニュウム源は、分光学、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)、計測学、科学計測、バイオイメージング、半導体検査などの分野での応用も可能である。
【0006】
いくつかの用途、例えば材料加工においては、高パワーで広帯域光又はスーパーコンティニウム光を提供することができる広帯域光源又はスーパーコンティニウム光源を有することも望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、比較的高パワーレベルで広帯域光又はスーパーコンティニウム光を供給することができる光源を提供することである。
本発明の目的はまた、広帯域又はスーパーコンティニウム生成に使用される非線形光学素子の光誘起劣化を回避又は少なくとも低減することができる光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、請求項1に記載の特徴を備える光源によって達成される。本発明に係る光源の好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
本発明によれば、光源は、光パルスの第1シーケンスを提供するためのパルス発生器を含み、光パルスの第1シーケンスは、所定期間内に第1の数の光パルスを含む。光源はまた、第1シーケンスの光パルスから第2シーケンスの光パルスを生成するように構成されたマニピュレータを含み、第2シーケンスの光パルスは、所定期間内に第2の数の光パルスを有し、第2の数の光パルスは、第1の数の光パルスとは異なる。光源はまた、光パルスの第2シーケンスを受容するように配置された非線形光学素子を含む。
【0009】
非線形光学素子は、特に、光パルスの第2シーケンスのパルスから広帯域光パルス又はスーパーコンティニウム光パルスを生成するように構成することができる。
光源は、広帯域光源又はスーパーコンティニウム光源を含んでもよい。
【0010】
マニピュレータは、所定期間内に光パルスの第1シーケンス中に存在する光パルスの数を変化させる光学装置、特に完全なファイバベースの光学装置とすることができる。特に、マニピュレータは、光パルスの第1シーケンス中に存在する数よりも多くなるようにパルスの数を増加させることができ、それにより、所定期間内に増加したパルスの数を有する光パルスの第2シーケンスを生成することができる。
【0011】
非線形光学素子を伝搬しながら広帯域スペクトルを生成するパルスに応答した非線形光学素子の劣化は、通常、連続的なプロセスである。高いピークパワー又は非線形光学素子を透過するパルスのエネルギーは、低いピークパワーを有するパルスよりも高い劣化を引き起こす。劣化率は非線形なこともあり、したがって、高いピークパワーは、非線形光学素子に深刻な損傷又は劣化を引き起こし得る。
【0012】
スーパーコンティニウム光源の出力パワーは、スーパーコンティニウムを生成するために非線形光学素子に供給されるパルスのパワーを増加させることによって増加させることができる。しかしながら、増加したパワー、特にパルスの増大したピークパワーによって、非線形光学素子における材料劣化が加速される。したがって、パルスのパワーを増大させると、非線形材料の寿命、ひいては光源の寿命が短くなる。したがって、ファイバを、ひいてはレーザー寿命を著しく減少させることなく、どの程度強力なスーパーコンティニウムを生成することができるかについては、しばしば限界がある。
【0013】
したがって、非線形光学素子の寿命、ひいてはレーザーの寿命を犠牲にすることなく高パワーを提供するスーパーコンティニュウムレーザーを提供することが問題である。本発明は、光パルスとして非線形光学素子に供給される光パワーが、増加したパルスの数にわたって分配され、それによって、パルスピークパワーを所定の最大レベル未満に維持しながら、非線形光学素子によって受容される総光パワーを増加させる解決策を提供する。このレベルは、例えば、パルスに応答して加速されたファイバ劣化の始まりから定義されてもよい。
【0014】
特に、光パルスの第2シーケンスにおける所定期間あたりのパルスの数を増加させることは、非線形光学素子によって受容されたパルスのピークパワーを所定の最大レベル以下に維持しながら、その期間中に非線形光学素子に入力されるより高い総光パワーを提供することを可能にする。これにより、非線形光学素子の材料の劣化を促進することなく、非線形光学素子からの光の高パワースーパーコンティニウム出力を得ることができる。さらに、得られたスーパーコンティニウム光は、高いスペクトルパワー密度及び/又は高いスペクトルエネルギー密度を有することができる。
【0015】
本発明の少なくともいくつかの実施形態及び複数のパルスにわたるパルスパワーの分布の利点は、非線形光学素子を極端なピークパワーを有する短い高強度パルスに曝露する必要なく、増加した累積パワーを所定期間内に非線形光学素子に送達することができ、これにより、非線形素子の材料の劣化の加速が防止されることである。増加した蓄積パワーは、パルストレイン内で連続して短時間に発生する複数のパルスによって供給することができる。このようなパルストレインの各パルスは、ピークパワーを有することができ、これは、非線形光学素子を損傷するには低すぎるが、非線形素子を通って伝搬するときにスーパーコンティニウムを生成するには十分に高い。スーパーコンティニウムスペクトルは、パルストレインの個々のパルスから生成される個々のスペクトルが分解できないように十分長い積分時間を有する検出器によって検出することができる。検出されたスーパーコンティニュウムスペクトルは、大きな波長範囲にわたって高いパワー及び/又は高いスペクトルパワー密度を有することができ、これは、例えば、完全な可視範囲にわたって広がることができる。
【0016】
その結果、光パルスの第2シーケンスは、光パルスの第1シーケンスよりも所定時間あたりのパルスの数が多いので、非線形光学素子の劣化を促進することなく、非線形光学素子から出力される光のパワーを高くすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、選択されたパルスのエネルギー又はピークパワーを制御することができる。例えば、非線形光学素子に供給されるパルスのピークパワー又はエネルギーは、所定の閾値レベル未満、すなわち所定の最大レベル未満のレベルに制御することができる。最大レベルは、非線形光学素子の損傷又は劣化が発生しないように、又は許容可能なレベルに低減されるように、選択することができる。換言すれば、所定の最大レベルは、このレベル未満のピークパワー及びエネルギーについて、非線形光学素子の劣化が、非線形光学素子、ひいては光源の長寿命を保証するのに十分低い大きさに維持されるように設定される。したがって、光パルスの第2シーケンスにおいて、所定の時間周期あたりの所定の最大レベルを下回るピークパワーを有するより多くのパルスを有することは、非線形光学素子の寿命を増加させ、非線形光学素子の損傷を回避するのに役立つ一方、高パワー出力及び/又は高スペクトルエネルギー密度を得ることができる。
【0018】
選択されたパルスのピークパワー又はエネルギーは、所定の最大レベルに対応し得る閾値を超えないように「固定(clamped)」されるように制御されてもよい。すなわち、ピークパワー又はパルスエネルギーは、例えば、単位時間あたりのパルスの数が変化する(ある程度まで、そのような変動は、パルスが増幅されるときが自然であり、単位時間あたりのパルスの数が少ないほど、1パルスあたりのエネルギーが多くなり、ひいてはピークパワーが大きくなる)ように変化し得るが、閾値を超えるように変化することは許されない。また、パルスのピークパワー又はエネルギーは、単位時間あたりのパルスの数が変化しても実質的に同じままであるように制御することができる。例えば、スーパーコンティニュウム生成はピークパワーに応答するので、ピークパワーを同じままにし、かつ非線形素子への損傷を低減するように選択された閾値未満に固定することが有利であり得、この場合、ピークパワー又はエネルギーを制御したり固定したりしないと、望ましくないほど大きくなる。
【0019】
マニピュレータは、第1繰り返し率を有する光パルスの第1シーケンスから、第1繰り返し率よりも高い第2繰り返し率を有する光パルスの第2シーケンスを生成するように構成されてもよい。マニピュレータは、例えば、光パルスの第1シーケンスにおけるパルスの繰り返し率に対して、光パルスの第2シーケンスにおけるパルスの繰り返し率を2倍にするように構成することができる。
【0020】
マニピュレータは、光パルスの第1シーケンスの単一パルスから、パルス間に時間遅延を有する2以上のパルス又はパルスのバーストを生成するように構成されてもよい。したがって、マニピュレータは、光パルスの第1シーケンスの単一パルスから複数のパルスを生成することができる。複数の光パルスは、連続するパルスの間に非常に短い時間遅延を有してもよい。このようなパルスのシーケンスは、非線形素子を介して送られると、高パワーの発生をもたらす可能性がある。
【0021】
非線形光学素子の劣化が少ない広帯域又はスーパーコンティニウム出力を提供する一方で、出力光は、大きな波長領域、例えば、可視領域にわたって広がる波長領域にわたって高いスペクトルパワー密度を有する高パワー広帯域又はスーパーコンティニウムパルスを提供することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、バースト内のパルス間のパルス間時間的間隔は、200ピコ秒未満、例えば100ピコ秒未満、例えば10ピコ秒であってもよい。パルス間時間的間隔は、バースト内のパルスの幅の1.5倍より大きくてもよく、例えばバースト内のパルスの幅の5倍、例えばバースト内のパルスの幅の10倍、例えばバースト内のパルスの幅の20~25倍であってもよい。
【0023】
マニピュレータは、光パルスの第1シーケンスの各パルスを所与の数のN個のパルスに分割し、それによって、光パルスの第1サブシーケンス及び光パルスのN-1個のさらなるサブシーケンスを含む、光パルスのN個のサブシーケンスを生成するように構成されたパルススプリッタを含んでもよく、また、マニピュレータは、光パルスの第1サブシーケンスに対して光パルスのN-1個のサブシーケンスの各々を個別に遅延させるように構成されてもよい。数Nは自然数であってもよい。Nは2以上であってもよい。
【0024】
マニピュレータは、光パルスの第1サブシーケンスと光パルスの個々に遅延したN-1個のサブシーケンスとを結合し、それにより光パルスの第2シーケンスを生成するように構成されたパルス結合器を含んでもよい。したがって、光パルスの第2シーケンスは、光パルスのN-1個のサブシーケンスが光パルスの第1サブシーケンスに対して遅延された後に、光パルスのN個のサブシーケンスの組み合わせ又は重ね合わせによって生成することができる。
【0025】
マニピュレータは、異なる光学的長さのN本の光学経路を含むことができ、パルススプリッタは、光パルスのN個のサブシーケンスの各々をN本の光学経路のうちの1つに供給するように構成される。これにより、光パルスのN個のサブシーケンスの各々は、光学経路の1つに沿って進む。経路の異なる光学的長さにより、N-1個のサブシーケンスの各々は、最短光学経路に供給され得る光パルスの第1サブシーケンスに対して個別に遅延される。
【0026】
光学経路は、光ファイバによって形成されてもよい。光ファイバの各々は、それぞれのファイバを通って進むパルスに所定の時間遅延を生じさせる所定長さを有してもよい。
パルス発生器は、光ポンプ源、例えばパルスレーザーを含んでもよい。ポンプ源から出力されるパルスは、ナノ秒、ピコ秒又はフェムト秒パルスとすることができる。パルスの中心波長は、赤外、例えば、少なくとも約1064nmの波長とすることができる。いくつかの実施形態では、パルスの中心波長は1020nmから1080nmの範囲である。いくつかの実施形態では、中心波長は1550nm±40nmの波長である。いくつかの実施形態では、中心波長は1850nmから2050nmの範囲である。
【0027】
パルス発生器は、少なくとも1つの増幅器を含んでもよい。増幅器は、光ポンプ源によって出射された光パルスを増幅する役割を果たしてもよい。
パルス発生器は、パルスピッカーを含んでもよい。例えば、音響光学変調器又は電気光学変調器をパルスピッカーとして使用してもよい。パルス選択器は、パルスを選択的に選択するように構成してもよく、それによって、パルス発生器の光ポンプ源によって出射される光パルスの初期シーケンスの繰り返し率を低減することができる。パルスピッカーは、光パルスの初期シーケンスから光パルスの第1シーケンスを生成するのに有利であり得る。光パルスの第1シーケンスにおける繰り返し率を減少させることによって、光パルスの第1シーケンスに基づいて生成される、光パルスの第2シーケンスにおける異なるパルスバースト間の十分な又は所望の時間間隔を確保することができる。
【0028】
光パルスの第2シーケンスのパルスを増幅するために、非線形光学素子の前に少なくとも1つの増幅器を配置することができる。したがって、非線形光学素子に提供される光パルスの第2シーケンスのパルスは、増幅されたパルスであってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、増幅器は、非線形素子に供給されるパルスのピークパワーが所定のパワー閾値レベル未満にとどまるように、パルスの第2シーケンスのパルスを増幅するように構成される。レベルは、非線形光学素子の損傷を回避又は低減できるように設定することができる。第2シーケンスにおけるパルスの数の増加と組み合わせて、この増幅は、所定のパワー閾値レベルを超えるピークパワーを有するパルスを回避しながら、非線形光学素子によって受容される総蓄積光パワーが増加し、それによって生成されたスーパーコンティニウムのパワーが増加することを提供する。これにより、寿命を維持した高パワーのスーパーコンティニウム光源を実現することができる。さらに、高パワーのスーパーコンティニウム光は、例えば、完全な可視範囲にわたって広がることができる、大きな波長領域にわたって高いスペクトルパワー密度を有することができる。
【0030】
前述のように、いくつかの実施形態では、パルスのピークパワー又はエネルギーは、実質的に同じままであるように、及び/又は、選択された閾値を超えないように制御することができる。制御は、本発明のように、単位時間あたりのパルスの数が変化し得る場合に望ましい。例えば、本発明は、1以上の増幅器を含んでもよい。増幅器は、典型的には、信号を増幅するために光信号に伝達するエネルギーを提供するために、レーザーダイオードなどによって光学的にポンピングされる。単位時間あたりに増幅されるパルスの数を非常に頻繁に減少させると、時間間隔にわたって送達される光ポンプパワーのエネルギー量がより少ない増幅パルスに分配されるので、パルスあたりのエネルギー又はピークパワーが増加する傾向がある。
【0031】
したがって、増幅器自体による変動を補償するためであれ、又は他の考慮事項に応答するためであれ、パルスの光エネルギー又はピークパワーを制御する1つの方法は、例えば、ポンプレーザー又は増幅器を励起するレーザーを制御するなど、増幅プロセスを制御することである。例えば、増幅されるパルスエネルギー又はピークパワーの典型的な増加を補償するために、より少ないパルスが増幅されるとき、光ポンプパワーを低減することができる。いくつかの実施形態では、パルスのピークパワー又はエネルギーを制御するために、AOM(音響光学変調器)又はEOM(電気光学変調器)などの可変光減衰器又は変調器を使用してもよい。AOM又はEOMの制御は、増幅の制御と併せて行うことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、光源は、非線形光学素子に入力される前に、光パルスの第2シーケンスの光パルスの少なくとも一部を検出するための検出器、特にサンプリングを含む。
【0033】
光パルスの第2シーケンスの少なくとも1つのパラメータは、検出器から得られた信号に基づいて制御することができる。例えば、第2シーケンスにおけるパルスのピークパワーは、検出器信号に基づいて制御することができる。したがって、光源は、例えば検出器を用いて、パルスをサンプリングするように構成することができる。非線形素子に送達されるパルスは、それらの送達の前にサンプリングすることができ、制御は、サンプリングされたパルスエネルギー又はパルスのピークパワー又はパルスのバースト(例えば、検出器が個々のパルスに応答しない場合)に応答することができる。ルックアップテーブルに応答して、又は公式又はアルゴリズムに応答して、又は光源の選択された動作に応答して、パルスのピークパワー又はエネルギーを制御することも可能である。このような制御は、検出器を用いた前述のフィードバック制御と併用してもよいし、それとは独立して行ってもよい。
【0034】
光源の動作に関して、パルスは、選択されたパルスをピッキングするパルスに応答するなど、マニピュレータ又は変調器の動作に応答して制御することができる。用途に応じて、光源の任意のパルスは、例えば、発光源からのパルス、パルスの初期シーケンス、パルスの第1又は第2シーケンスなどのように、サンプリング及び/又は制御されてもよい。光源は、所望の制御を提供するために、前述の要素又は構成要素のうちの1以上と適切に連通するコントローラ(図示せず)を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、光源は、広帯域又はスーパーコンティニウム光を生成する広帯域光源又はスーパーコンティニウム光源を含む。
光源は、光パルスの第1シーケンス又は光パルスの第2シーケンスの一部の検出から得られる信号に基づいて、光源の少なくとも1つの制御可能な要素の動作を制御するコントローラを含んでもよい。制御可能な要素は、パルス発生器、マニピュレータと非線形光学素子との間の増幅器、パルス発生器の増幅器、パルス発生器の光ポンプ源とマニピュレータとの間のパルスピッカーのうちの1つであってもよい。また、本発明は光源キットに関し、光源キットは、マニピュレータが、光源から取り外し可能な第1モジュール内に配置された第1マニピュレータである本発明に係る光源を含み、光源キットは、光パルスの第1シーケンスから光パルスの第3シーケンスを生成するように構成された少なくとも第2マニピュレータをさらに含み、第2マニピュレータは、光源から第1モジュールを取り外した後に第1モジュールと交換するように構成された第2モジュール内に配置される、光源キットに関する。
【0036】
本発明はまた、特に材料サンプルの光学的分析のための材料サンプルを照射するための装置に関し、当該装置は、本発明に係る光源と、材料サンプルのためのホルダとを含み、ホルダは、材料を保持するように構成され、光源の使用時に、材料サンプルは、光源の非線形光学素子から出射される広帯域光又はスーパーコンティニウム光で照射される。
【0037】
本発明はまた、サンプル上で分光を行うための分光システム及び/又は装置に関し、当該システム及び/又は装置は、広帯域光又はスーパーコンティニウム光でサンプルを照射するための本発明に係る光源と、サンプルからの光を検出するための少なくとも1つの検出器とを含む。検出器の積分時間は、パルス及び/又はパルスのバーストの持続時間を超えることが好ましい。検出器の積分時間は、所定の時間期間を超えることができる。したがって、検出器は、パルス又はバーストの構造を「見る」のではなく、バーストの複数のスーパーコンティニュウムパルスを1パルスとして検出する。したがって、バースト内の個々のパルスによって生成されたスーパーコンティニウムからの単一のスペクトルを、単一の高パワースーパーコンティニウムからのスペクトルとして、検出器が効果的に記録するように、バースト全体として提供される光パワーが検出可能である。これは、特に低パワー信号の検出に有利である。積分時間は、2以上のバーストを含まないことが好ましい。そして、少なくとも1つの検出器は、好ましくは、パルスのバーストを受容するときに検出器が活性化されるように、光源と同期して活性化される。
【0038】
いくつかの実施形態では、積分時間は、2以上のバーストを含むことができ、すなわち、2つのバースト間の時間よりも長くすることができる。あるいは、積分時間はパルスの持続時間を超えてもよく、パルスのバーストの持続時間より短くてもよい。
【0039】
分光システムは、例えば、高密度又は厚い材料を分析するために使用してもよい。多くの場合、このような材料は非常に強い吸収を有し、高パワー光源を用いて材料を照射しない限り、非常に弱い信号のみが材料を透過する。開示された光源を利用する分光システムは、レーザー劣化が加速されるモードで光源を動作させる必要なく、高密度材料を分析することができる。
【0040】
少なくともいくつかの実施形態では、生成されたスーパーコンティニウム光は、約350~850nmの可視波長範囲において少なくとも0.5W、1W、2W、5W、10Wの総パワーを含んでもよい。
【0041】
少なくともいくつかの実施形態では、「可視範囲」内の少なくとも10nmの範囲、特に350から850nmの間で測定された、例えば、1mW/nm、2mW/nm、5mW/nm、10mW/nm、又は20mW/nmの高パワースペクトル密度を有するスーパーコンティニウム光を提供することができる。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、スーパーコンティニウム光源は、少なくとも1200nmから少なくとも1300nmまで延びるスーパーコンティニュウムスペクトルの部分内の少なくとも10nmの範囲にわたって測定された、10mW/nmを超えるパワースペクトル密度、例えば20mW/nmを超えるパワースペクトル密度、例えば25mW/nmを超えるパワースペクトル密度、例えば50mW/nmを超えるパワースペクトル密度を提供することができる。
【0043】
本発明はまた、特に材料処理のための材料サンプルを照射するための装置に関し、当該装置は、本発明に係る光源と、材料サンプルのためのホルダとを備え、当該ホルダは、光源の使用時に、光源の非線形光学素子から出射される広帯域光又はスーパーコンティニウム光で材料サンプルが照射されるように材料を保持するように構成される。
【0044】
本発明はまた、物体の光学的分析のためのシステム、及び/又は、物体の少なくとも1つのパラメータの光学的測定のためのシステムに関する。
いくつかの実施形態では、光学的分析及び/又は測定のためのシステムは、
物体を照射するように配置されている、複数の実施形態のうちの1つに係る光源と、
照射された前記物体から受容された光を検出するための検出器と、
検出された光を分析し、それから前記物体の少なくとも1つのパラメータを導出するように構成された分析器と、を備える。
【0045】
スペクトル的に広い連続光源を提供する、スーパーコンティニウム光源のような広帯域光源は、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)、白色光干渉法、分光法、光周波数測定法、蛍光顕微鏡法、蛍光寿命測定(FLIM)、ハイパースペクトルイメージング、フローサイトメトリー、コヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)顕微鏡法及び二光子蛍光顕微鏡法のために構成されたシステムのような、光学的分析及び測定のための多くのシステムにおいて有用である。
【0046】
いくつかの実施形態では、システムは、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)などの白色光干渉法に基づくシステムなど、分析対象から反射された光を測定するように構成された反射モード測定システムである。有利には、システムは、時間領域、周波数領域又は掃引されたソースOCTに基づく。
【0047】
例えば、患者の皮膚又は眼のOCT分析のように、光が分析対象物の表面下領域を調べる用途では、より高いパワーであれば、対象物のより深い部分を同じ持続時間内に調べることができたり、より速く分析できたりする。
【0048】
一実施形態では、光学的分析のためのシステムは、ヒト又は動物の体の部分のインビボ、エクスビボ及び/又はインビトロ測定のために構成される。
本システムは、年齢関連黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症又は緑内障の診断のような、異なる眼科分析及び治療に応用できる。いくつかの実施形態において、本システムは、屈折眼の状態を補正するためのレーザー眼手術(LASIK)など、屈折眼の補正を行うための治療に関連した診断に使用される。いくつかの実施形態では、本システムは、人間の眼の内側のボーマン層の境界を測定するために使用される。
【0049】
いくつかの実施形態において、本システムは、製品の特性評価及び/又は仕分け及び/又は品質検査のために使用される。広帯域光源のより高いパワーは、製品のより大きな検査領域、及び/又は、深さ、及び/又は、より速い光学的分析から規定される、より大きな検査ボリュームを可能にする。
【0050】
一実施形態では、本測定システムは、半導体材料、例えば窒化物含有材料の分析及び品質検査に使用される。
本発明はまた、測定すべき物の少なくとも1つのパラメータを光学的に測定する方法に関する。いくつかの実施形態では、当該測定方法は、
実施形態の1つに係る測定システムを提供することと、
前記測定システムの光源から生成される広帯域スペクトルの少なくとも一部を分析すべき前記物に照射することと、
検出器によって前記物からの光を検出することと、
前記物の少なくとも1つのパラメータを導出するために検出された前記光を分析することと、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記照射ステップと前記検出ステップとは同時に実行される。これは、例えば、システムがOCT測定又は吸収分光法のために構成されていて、受容された光に対する物の光学的応答が瞬間的な場合である。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記検出ステップは、前記照射ステップの後に実行される。これは、例えば、システムが蛍光測定のために構成されていて、受容された光に対する物の蛍光応答がわずかに遅延されている場合である。
【0053】
本発明はまた、広帯域光又はスーパーコンティニウム光でサンプルを照射するための本発明に係る光源と、前記サンプルからの光を検出するための少なくとも1つの検出器とを含む、サンプル上で分光を行うための分光システム及び/又は装置に関する。検出器の積分時間は、パルス及び/又はパルスのバーストの持続時間を超えることが好ましい。したがって、検出器はパルス又はバーストの構造を「見る」ことはない。ただし、バーストは全体として検出可能である。これは、特に低パワー信号の検出に有利である。積分時間は、2以上のバーストを含まないことが好ましい。いくつかの実施形態では、積分時間は複数のバーストを含むことができ、すなわち、バースト間の時間より長くすることができる。積分時間はパルスの持続時間より長くてもよいが、パルスのバーストの持続時間より短くてもよい。
【0054】
分光システムは、例えば、高密度の材料又は厚い材料を分析するために使用することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を、例示としてのみ、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】一実施形態に係る光源の第1例を概略的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係る光源の第2例を概略的に示す図である。
【
図3】
図2の光源の動作において生じる光パルスのシーケンスを概略的に示す。
【
図4】
図2の光源の動作において生じる光パルスのシーケンスを概略的に示す。
【
図5】
図2の光源の動作において生じる光パルスのシーケンスを概略的に示す。
【
図6】
図2の光源に使用されるマニピュレータの一例を示す図である。
【
図7】材料サンプルを照射するための装置の一例のブロック図を示す。
【
図8】本発明に係る光源の特定の実施により生じ得る光パルスのシーケンスを概略的に示す。
【
図9】本発明に係る光源の特定の実施により生じ得る光パルスのシーケンスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1の光源は、光パルスの第1シーケンス13を提供するためのパルス発生器11を含む。光パルスの第1シーケンス13は、所定期間内に第1の数の光パルスを含む。
図1の光源はまた、光パルスの第1シーケンス13を受容可能なマニピュレータ15を含む。マニピュレータ15は、光パルスの第1シーケンス13から光パルスの第2シーケンス17を生成するように構成される。光パルスの第2シーケンス17は、所定期間内に第2の数の光パルスを含む。第2の数は第1の数とは異なる。
【0057】
光パルスの第2シーケンス17は、非線形光学素子19に提供される。非線形光学素子19は、例えば、微細構造光ファイバのような非線形光ファイバとすることができ、非線形光学素子19は、光パルスの第2シーケンス17から広帯域又はスーパーコンティニウム光パルスのシーケンスを生成するように構成することができる。
【0058】
微細構造光ファイバは、当該技術分野において公知であり、微細構造ファイバは、一般に、長手方向に延びる特徴的な配列を含み、1以上の特徴は、特徴を取り囲む材料とは異なる屈折率を有する。この特徴的な配列は、ファイバによって伝搬される光をガイドするように作用する。微細構造光ファイバは、コア領域とクラッド領域とを含み、クラッド領域は典型的には特徴的な配列を含み、特徴は典型的にはボイドを含む。異なるタイプの微細構造ファイバは、異なる物理的メカニズムによって動作可能である。例えば、一部の微細構造ファイバでは、長手方向に延在する特徴的な配列は、光がクラッド内に存在できず、したがってコアに閉じ込められるようなフォトニックバンドギャップを提供し、他の微細構造ファイバにおいては、長手方向に延びる特徴的な配列は、従来のファイバの全内部反射と同様に、光をコアに閉じ込めるためのインデックスガイド機構を提供する。微細構造ファイバは他の機構にも依存する。微細構造ファイバは中空又は中実コアを有することができる。例えば、フォトニックバンドギャップ型微細構造ファイバは、中空コアを有することが多い。
【0059】
ガス充填中空コア微細構造ファイバ中を伝搬する光パルスにより、紫外(UV)領域内に延びるスーパーコンティニウムを生成できる。光パルスは主に固体材料のない領域で伝搬するので、強力なパルスピークパワーは、固体コアファイバと比較してファイバ材料の劣化にほとんど影響を与えない。しかしながら、ウィンドウは、ファイバ(コア)内にガスを収容するように配置されることが多く、このウィンドウもまた、高いピークパワーパルスによる劣化を受ける可能性がある。この劣化は、より多くのパルスにわたるパルスエネルギーの分布によっても低いレベルに維持され得る。
【0060】
光パルスの第1シーケンス13におけるパルスは、時間の経過とともに規則的に発生し得る。したがって、光パルスの第1シーケンス13のパルスは、パルス繰り返し率Rで発生してもよい。いくつかの例では、所定期間は、n*Tに等しくてもよい。ここで、nは、1,2,3,....のような自然数である。ここで、光パルスの第1シーケンスにおけるパルスは、時間にわたって規則的に発生する。Tは、光パルスの第1シーケンス13のパルスのパルス繰り返し率Rの逆数であってもよい。
【0061】
いくつかの例では、所定期間は、nが1より大きい場合、T/nに等しくてもよく、その結果、所定期間は、光パルスの第1シーケンス13の2つの連続するパルス間の時間間隔よりも短くなる。
【0062】
光パルスの第2シーケンス17は、より多くの光パルスが同じ期間内に発生するように生成することができる。したがって、光パルスの第2の数は、光パルスの第1の数よりも多くすることができる。光パルスの第2シーケンス17は非線形光学素子19に提供され、この非線形光学素子はパルスを拡大し、それにより非線形光学素子19からシーケンスの光パルスで出力される広帯域又はスーパーコンティニウム光パルスを生成する。
【0063】
光パルスの第2の数は、好ましくは、光パルスの第1の数よりも多いので、光パルスの第2シーケンス17を使用して非線形光ファイバ内に広帯域光又はスーパーコンティニウム光を生成することにより、光パルスの第2シーケンス内のパルスのピークパワーを、非線形光学素子19を損傷しないレベルに維持することができる一方で、非線形光学素子の広帯域光又はスーパーコンティニウム出力を依然として高パワーレベルにすることができるという利点が得られる。すなわち、所定期間内に非線形素子が受容する光パルスの第2シーケンスのパルスの数を増加させることにより、その期間内に非線形素子に送達される総光パワーを、個々のパルスのピークパワーを増加させる必要なく、増加させることができる。
【0064】
図2の光源はまた、パルス発生器11、マニピュレータ15、及び非線形光学素子19を含む。パルス発生器11は、レーザー発振器21と、増幅器23と、パルスピッカー25とを含む。
【0065】
レーザー発振器21は、規定された繰り返し率を有する光パルスの初期シーケンス27を生成するように構成することができる。
図3は、時間tにわたるパワーPの関数として、パルストレイン図における光パルスの初期シーケンス27の一部を概略的に示す。
【0066】
光パルスの初期シーケンス27は増幅器23によって増幅することができ、これにより、光パルスの初期シーケンス27におけるパルスのパワーレベルが増加する。増幅後、光パルスの初期シーケンス27は、光パルスの初期シーケンス27からパルスを選択的に取り出すことができるパルスピッカー25に提供される。パルスピッカー25は、例えば、音響光学変調器又は電気光学変調器であってもよい。
【0067】
パルスピッカー25によって出力される光パルスの第1シーケンス13の例が、
図4に、パルストレイン図の形で概略的に示されている。
図3と比較すると分かるように、パルスピッカー25は、光パルスの初期シーケンス27の5つのパルスのうちの1つだけをマニピュレータ15に供給するように構成されている。残りのパルスは、パルスピッカー25内に配置された光学ダンプに吸収されてもよい。したがって、記載された例では、光パルスの第1シーケンス13は、光パルスの初期シーケンス27の繰り返し率に関して5倍だけ減少した繰り返し率を有する。例えば、2、3又は4のような任意の因数による繰り返し率の低減も可能である。また、パルスピッカー25は、光パルスの初期シーケンス27から不規則にパルスを「取り出す(pick)」ように構成することも可能であり、それによって、規定の繰り返し率を持たない光パルスの第1シーケンス13を生成することができる。
【0068】
図4に関して見られるように、光パルスの第1シーケンス13は、所定期間T内に第1の数の光パルスを含む。例えば、所定期間は、光パルスの第1シーケンス13のパルスのパルス繰り返し率Rの逆数のn倍であると仮定することができる。
図4に示すように、n=1であれば、T=1/Rとなる。これは、
図4の例に係る光パルスの第1シーケンス13における期間T内に1つのパルスがあることを意味する。
【0069】
光パルスの第1シーケンス13は、光パルスの第1シーケンス13から光パルスの第2シーケンス17を生成するように構成されたマニピュレータ15に提供される。
図5も、
図4の光パルスの第1シーケンス13から生成される光パルスの第2シーケンス17の例を、パルストレイン図において概略的に示す。
図5に見られるように、マニピュレータ15は、第1シーケンス13におけるパルス29から、互いの間に短い時間遅延を有する2以上のパルスからなるパルスのバースト31を生成する。このような時間遅延は、バースト間パルス間隔とも呼ばれる。したがって、ある期間ごと、例えばTごとに、光パルスの第2シーケンス17における光パルスの数は、光パルスの第1シーケンス13における光パルスの数よりも大きい。このようなパルスのバースト31は、検出器がバースト31内の個々のパルスを分解できないように、バースト持続時間を超える積分時間を有する検出器で単一パルスとして検出することができる。
【0070】
バースト持続時間を超える積分時間を有する検出器を備える光学的分析のためのシステム、例えば分光法又は光コヒーレンストモグラフィーシステムにおいて、バースト持続時間内に分析されたサンプルから1つのスペクトルが記録される。したがって、光源は、分析されたサンプルに高パワーのスーパーコンティニウムを効果的に提供し、それを弱反射又は透過サンプルの分析における使用に適したものとする。
【0071】
検出器は、特に、複数の近接した間隔のパルスを含む場合には、バースト31を高エネルギーの比較的長い単一パルスとして検出してもよい。したがって、検出器の積分時間は、バースト31の持続時間より長くすることができるが、連続するバースト31間の時間Tよりも短い。
【0072】
バーストの持続時間の測度は、例えば、バースト31の強度又はパワー信号の全幅半値(FWHM)とすることができる。バースト31のFWHMは、例えば、バーストにおける第1パルスの前方側面の最大パワー又は強度値の半分と、最後のパルスの後方側面の最大パワー又は強度値の半分との間の持続時間に対応することができる。バースト持続時間はAt1として示される。
【0073】
自己相関/デコンボリューション技術は個々のパルスプロファイルを測定できる。
図5を参照すると、パルスバースト31の個々のパルス間の時間は、パルスバースト内のパルスのパルスピーク間の時間間隔であるAt2として示される。パルスバースト内のパルスが規則的に間隔を置いて配置されている場合、At2の逆数、すなわち1/At2はバースト内パルスの繰り返し率に対応する。
【0074】
パルスバースト31間の持続時間At3は、パルスバーストエンベロープ31のピーク間の時間間隔に対応することができ、これは原理的に、各パルスバースト31の第1パルスのピーク間の時間差に等しい。At3の逆数である1/At3は、パルスバーストが規則的に間隔を置いて配置されるパルスバースト繰り返し率に対応する。
【0075】
図5はまた、パルスバースト間の時間幅At4を示しており、これは「バースト間時間間隔」と呼ぶことができ、連続するバーストパルスエンベロープの対向する側面のFWHMs点間の時間差とみなすことができる。
【0076】
パルスバースト31は、「パワーサイクル」を有すると考えることができ、これは、At1をAt3で割った値(At1/At3)に対応することができる。パワーサイクルはパーセンテージで表すことができる。パワーサイクルの値は、各パルスバースト内のパルスの数に関連し、これは、当然のことながら、マニピュレータ15の構成に関連する。
【0077】
本発明の特定の実施形態では、パルスバーストパワーサイクルは、選択された値より小さいか、または選択された値以下であり、選択された値は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%であってもよい。
【0078】
本発明の特定の実施形態では、パルスバーストパワーサイクルは、選択された値より大きいか、又はそれ以上であり、選択された値は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%であってもよい。
【0079】
上記のすべての合理的な組み合わせは、本発明の範囲内で考慮される。例えば、パワーサイクルは80%以下及び50%以上にすることができる。
本発明の特定の実施形態において、
図4に示される第1シーケンスにおけるパルスの数に対する、
図5に示される第2シーケンスにおけるパルスの数の比は、選択された値以上であってもよく、選択された値は、2、4、6、8、10、20、50、100、又は500であってもよい。
【0080】
本発明の特定の実施形態では、比At3/At2は、5、10、25、50、100、又は1000などの選択された値以上であってもよい。
ここでも、選択された値及びそれらの範囲を記述する前述の実施形態のすべての理にかなった、すなわち物理的に無意味ではない組み合わせは、本発明の範囲内である。
【0081】
別の図示されていない例では、マニピュレータ15は、光パルスの第2シーケンス17が、第1シーケンス13におけるパルス29の第1繰り返し率よりも高い第2繰り返し率を有するように、光パルスの第2シーケンス17を生成するように構成されてもよい。例えば、繰り返し率は2倍又は4倍高くすることができる。
【0082】
例えば、マニピュレータ15は、
図5に示されている2つのパルスバースト31の間にパルスバースト31を挿入するように構成することができ、それによって、
図5に示されているものからパルスバーストの繰り返し率を増加させる。
【0083】
マニピュレータ15は、時間遅延装置33と増幅器35とを備える。時間遅延装置33の例示的な実施形態を、
図6に関して説明する。時間遅延装置33は、第1シーケンス13の各パルス29を所与の数Nのパルスに分割するように構成された光スプリッタ37を含む。説明された例では、Nは4に等しい。これにより、N=4の光パルスのサブシーケンス39,41,43,45が生成される。
【0084】
時間遅延装置33は、さらに、異なる光学的長さのN=4の光学経路を含む。パルススプリッタ37は、光パルスの4つのサブシーケンス39~45の各々を光学経路47~53の1つに供給するように構成されている。光学経路47~53は、光ファイバにより実現される。具体的には、本実施例では、各光学経路47~53は、光スプリッタ37の出力ポートと光結合器55の入力ポートとの間に延びる規定長さのファイバを含む。第1光学経路47には、追加の遅延線は挿入されない。第2光学経路49には、1つの追加の遅延線57が挿入される。遅延線57は、規定長さのファイバからなる。第3光学経路51には2つの遅延線57が挿入され、第4光学経路53には3つの遅延線57が挿入される。したがって、第2光学経路49は、第1光学経路47よりも遅延線57の長さの1倍長い。第3光学経路51は、第1光学経路47よりも遅延線57の長さの2倍長い。第4光学経路53は、第1光学経路47よりも遅延線57の長さの3倍長い。
【0085】
第1光学経路47に沿って進む光パルスの第1サブシーケンス39は、第2光学経路49を通って進む第2サブシーケンス41よりも早く光結合器55に到達する。第3光学経路51を通って進む光パルスの第3サブシーケンス43は、光パルスの第1及び第2サブシーケンスに対してさらに遅延される。さらに、光パルスの第4サブシーケンス45は、第4サブシーケンス45のパルスが3つの遅延線57を用いて第4光学経路53を進むにつれてさらに遅延される。
【0086】
結合器55は、異なる光学経路47~53に由来する光パルス39~45のサブシーケンスを結合し、それによって、異なる光学経路からの入力パルスが互いに遅延される光パルスの第2シーケンス17を生成し、その結果、第2シーケンス17は、パルスのバースト31(
図5も参照)を含んでもよい。光学経路の数及びそれらの長さを変化させることによって、異なるバースト51を生成するか、又は光パルスの第1シーケンス13の繰り返し率を増加させることが可能である。
【0087】
光パルスの生成された第2シーケンス17が増幅器35を通過した後、それは非線形性の高いファイバ61を含むか、又はそうしたファイバ61からなる非線形光学素子19に供給される。ファイバ61で発生する非線形効果により、パルスのスペクトル帯域幅が広がり、広帯域スペクトル又はスーパーコンティニュウムスペクトルが得られる。
【0088】
前述したように、光学経路47~53は、第2光学経路49に挿入された1つの遅延線と、第3光学経路51に直列に挿入された2つの遅延線57と、第4光学経路53に直列に挿入された3つの遅延線57とを有する、同じ長さの光ファイバによって形成することができる。
【0089】
あるいは、4つの光学経路47~53は、長さの異なる4つの光ファイバで形成してもよい。
本明細書で使用される用語「光」は、可視光だけでなく、例えば赤外(IR)又は紫外(UV)波長領域の光を含む、非可視波長領域の光も指す。
【0090】
非線形光学素子19によって生成される広帯域又はスーパーコンティニウム光スペクトルは、連続スペクトルを含んでもよいし、あるいは、非常に近接して間隔をあけられた波長の帯域を有するスペクトルを含んでもよい。
【0091】
非線形ファイバで生成される広帯域スペクトルは、スーパーコンティニュウムスペクトルであってもよい。
図2に示すように、光源の要素21~25,33~35,61を構成要素11,15,19に割り当てることは、形式的な観点から見ることができ、別のタイプの割り当てを行うこともできる。例えば、
図2の光源は、3つのモジュールを使用して実現することができる。第1モジュールは、レーザー発振器21を含んでもよい。
【0092】
増幅器又は前置増幅器モジュールと見なすことができる第2モジュールは、増幅器23及びさらなる増幅器などの1以上の増幅器を含み、2つの増幅器の間にパルスピッカー25及び/又は時間遅延装置33が挟まれている。いくつかの実施形態では、時間遅延装置33を1以上の増幅器の前に配置することもできる。パルスピッカー25は好ましくは2つの増幅器の間にある。好ましくは、パルスピッカー25と時間遅延装置33の両方を含む実施形態では、パルスピッカー25は時間遅延装置33の前に配置され、両方が2つの増幅器の間に配置される。
【0093】
第3モジュールは、ブースタモジュールとみなすことができ、増幅器35と非線形光学素子19とを含む。いくつかの実施形態では、前置増幅器を増幅器35の前に配置することができる。オプションとして、この前置増幅器が第3モジュール内に存在する場合、時間遅延装置33の後に第2モジュール内に配置される第2増幅器を省略することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、モジュールの各々は、別個のハウジングに収容される。ハウジングは、光ファイバを使用して各ユーザに接続することができる。
図7は、材料サンプルを分析するための装置63の一例のブロック図を示す。装置63は、材料サンプルを照射するための、特に本発明の実施形態に係る、光源65と、照射された材料サンプルから散乱された、又は照射された材料サンプルを透過した光を検出するための検出器67とを含む。検出器67は、光源65によって提供されるバーストの持続時間よりも長く、2つの連続するバースト間の時間スパンよりも小さい積分時間を有することが好ましい。
【0095】
図8(a)は、例として、パルス発生器から発生された2つの連続するパルスを示す。
図8(b)に示すように、第1マニピュレータのいくつかのアームとそのアームによって提供される遅延を使用することによって、各トレインが所定期間内にパルスを有する連続したパルストレインを得ることができる。次いで、これらのパルスは、
図8(c)に示すように、第1マニピュレータの後に配置された1以上の増幅器を用いて増幅され、その間、ピークパワーは所定の最大レベル以下に維持され、特に、非線形光学素子の劣化の加速を避けながら、送達される総パワーを増加させる。増幅は、非線形光学素子に提供される総光パワーが、
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、パルストレインに対して増加され得ることを提供することができる。これにより、非線形光学素子を急速に劣化させるような非常に高いピークパワーを使用することなく、高パワーのスーパーコンティニュウムパルスを生成することができる。
【0096】
図8(c)に示すように、増幅されたパルストレインから生成されるスーパーコンティニュウムパルスを検出するために使用され得る検出器は、所定の時間間隔よりも長い積分時間を有することができ、したがって、積分時間はパルストレインの時間長よりも長くすることができる。検出器は、パルストレイン内の各パルスが個々のスーパーコンティニュウムパルスを発生し得る間に、1つのスーパーコンティニュウムパルスを検出する。したがって、検出されたスーパーコンティニュウムパルスは、個々のスーパーコンティニュウムパルスによって提供される寄与を含み、検出されたスーパーコンティニュウムパルスは、したがって、高い総パワー及び大きなスペクトルパワー密度又はスペクトルエネルギー密度を有することができる。
【0097】
図9は、
図8(c)に示されたトレインパルスを生成する別の方法を示している。すなわち、
図9(a)に示された光パルスの初期シーケンスは、
図9(b)に示されたように、パルス発生器の後でかつ第1マニピュレータの前に配置された増幅器によって増幅することができる。そのようなシーケンスは、予め定義された最大レベル、すなわち非線形光学素子の損傷閾値を超えるピークパワーを有するが、これは、
図9(c)に示される光パルスの初期シーケンスの繰り返し率を増加させるマニピュレータの後の場合ではない。
【0098】
いくつかの実施形態では、前述の実施形態は、非線形素子を含まず、そのようなパルス又はパルスのバーストは、非線形素子によってスペクトル的に広がることなく出力される。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態及び追加の特徴は、以下の項目のリストに要約される。
1.光パルスの第1シーケンスを提供するためのパルス発生器であって、光パルスの前記第1シーケンスが所定期間内に第1の数の光パルスを有する、パルス発生器であって、当該パルス発生器が、
光学的パルスを発生させるための発光源と、
前記所定期間内に前記パルス発生器によって供給される前記第1の数の光パルスを増加又は減少させるために前記発光源と連通する変調器と、
前記パルス発生器の光学的な下流にあって前記パルス発生器と光学的に連通しているマニピュレータであって、光パルスの前記第1シーケンスから光パルスの前記第2シーケンスを生成するように構成され、光パルスの前記第2シーケンスは、前記所定期間内に増加した第2の数の光パルスを有し、前記第2の数が前記第1の数よりも大きい、マニピュレータと、を備え、
前記マニピュレータで動作するパルス発生器に応答して、光パルスの前記第2シーケンスは、バースト間に時間間隔TBを有する光パルスのバーストを含み、あるバーストは、間に時間TBPを有する連続したパルスを含み、TBP<TBであり、好ましくはTBP<TB/2である、光源。
【0100】
2.光パルスの前記第1シーケンスは、間に時間Tを有する連続したパルスを含み、TBP<TB<Tである、項目1の光源。
3.前記マニピュレータの下流で前記マニピュレータと光学的に連通する非線形光学素子をさらに含み、パルスを受容してスペクトル的に広げるためにスペクトル的に広がったパルスのバーストを生成する、項目1又は2のうち何れかの光源。
【0101】
4.前記光源が、TBが変化してもTBPがと実質的に同じに維持できるように構成されている、項目1~3のうち何れかに記載の光源。
5.前記変調器は光変調器を含み、当該光変調器は、前記発光源と光学的に連通するとともに、前記発光源の光学的な下流に位置する、項目1~4のうち何れかに記載の光源。
【0102】
6.前記変調器が音響光学変調器を含む、項目5に記載の光源。
7.前記変調器が前記発光源を電気的に変調する、項目1~4のうち何れかに記載の光源。
【0103】
8.前記発光源は、パルスを生成するためのレーザーダイオードを含む、項目1~7のうち何れかに記載の光源。
9.前記発光源は、モードロックファイバレーザーを含む、項目1~7のうち何れかに記載の光源。
【0104】
10.前記パルス発生器は、最大繰り返し率RMAX及びパルス間の対応する時間TMINを有する光パルスを提供することができ、前記光源は、TBP<TMINであるパルスの前記バーストを生成することができる、項目1~9のうち何れかに記載の光源。
【0105】
11.前記マニピュレータが、受容したパルスをN個の分割パルスに分割するように構成されたパルススプリッタを備え、
前記マニピュレータは、前記N個の分割光パルスの少なくともいくつかに異なる時間遅延を与えるように構成されている、項目1~10のうち何れかに記載の光源。
【0106】
12.前記マニピュレータが、分割パルスを結合するように構成されたパルス結合器(55)を含む、項目11に記載の光源。
13.前記マニピュレータが異なる光学的長さのN本の光学経路を備え、前記パルススプリッタは、光パルスの前記N個の分割パルスの各々を前記N本の光学経路のうちの1つに供給するように構成される、項目11又は12に記載の光源。
【0107】
14.前記パルス発生器の前記発光源と前記マニピュレータとの間に光学的に配置された少なくとも1つの増幅器を含む、項目1~13のうち何れかに記載の光源。
15.前記非線形光学素子に供給される前に前記パルスを増幅するために、前記マニピュレータと前記非線形光学素子との間に光学的に配置された少なくとも1つの増幅器を含む、項目3~14のうち何れかに記載の光源。
【0108】
16.前記光源が、前記増幅されたパルスの前記ピークパワーが所定のパワー閾値レベル未満に留まるようにパルスを増幅するように構成され、前記閾値レベルが前記非線形素子に対する光学的損傷を低減するように選択される、項目15に記載の光源。
【0109】
17.前記光源は、増幅されたパルスの前記ピークパワーが実質的に同一であるようにパルスが増幅されるように構成され、あるいは、同一でない場合には、TBPの値が異なるパルス及び/又はTBの値が異なるバーストのパルスを含めて、パルスが閾値レベル、特に所定の最大レベルを下回るように制御され、制御がない場合にはパルスが増幅される、項目14又は15に記載の光源。
【0110】
18.前記非線形光学素子が非線形光ファイバ、特に微細構造光ファイバである、項目3~17のうち何れかに記載の光源。
19.繰り返し率Rで、かつ、パルス間の対応する時間Tで、パルスを提供するための発光源と、
パルスを受容して低減された繰り返し率RREDを有するパルスを提供するために、前記発光源の光学的な下流にあって前記光源と光学的に連通しているパルスピッカーであって、RRED<Rである、パルスピッカーと、
前記繰り返し率RREDを有するパルスを受容して増加した繰り返し率RINCを有するパルスを提供するために、前記パルスピッカーの光学的な下流にあって前記パルスピッカーと光学的に連通しているマニピュレータであって、RRED>Rである、マニピュレータと、
を備える光源であって、
前記マニピュレータで作動中の発光源に応答して、前記光源が、パルスのバースト、特に前記マニピュレータから受容されたパルスのバーストを出力し、前記バースト間の時間TBを有し、バーストは、前記バーストの前記パルス間の時間TBPを有するパルスを含み、TBP<TB<Tであり、好ましくはTBP<TBである、光源。
【0111】
20.前記繰り返し率RINCを有するパルスを受容してそのようなパルスをスペクトル的に広げるために、前記マニピュレータの光学的な下流にあって前記マニピュレータと光学的に連通している非線形光学素子をさらに含み、パルスの前記生成されたバーストはスペクトル的に広がったパルスのバーストである、項目19に記載の光源。
【0112】
21.前記マニピュレータが、前記光源から着脱可能な第1モジュール内に配置された第1マニピュレータである、項目1~20のうち何れかに記載の光源を備える光源キットであって、
前記光源キットは、光パルスの前記第1シーケンスから光パルスの第3のシーケンスを生成するように構成された少なくとも1つの第2マニピュレータをさらに備え、
前記第2マニピュレータは、前記光源から前記第1モジュールを取り外した後に前記第1モジュールと置き換わるように構成された第2モジュール内に配置され、
前記第2マニピュレータが前記第1マニピュレータと置き換わるとき、パルスの前記第3のシーケンスは、バースト間の前記時間TB及びバーストの前記連続するパルス間の前記時間TBPを有する、パルスの前記バーストを含む、光源キット。
【0113】
21.前記マニピュレータ(15)が、前記光源から着脱可能な第1モジュールに配置された第1マニピュレータである、項目1~20のうち何れかに記載の光源を備える光源キットであって、
前記光源キットは、光パルスの前記第1シーケンスから光パルスの第3シーケンスを生成するように構成された少なくとも1つの第2マニピュレータをさらに備え、
前記第2マニピュレータは、前記光源から前記第1モジュールを取り外した後に前記第1モジュールと置き換わるように構成された第2モジュール内に配置される、光源キット。
【0114】
22.材料サンプル、特に材料処理を照射するための装置であって、
項目1~20項のうち何れかに記載の光源、
材料サンプルのためのホルダであって、前記光源の前記非線形光学素子から出射された光が前記材料サンプルに照射されるように前記材料サンプルが保持される、ホルダ、及び/又は、
検出器であって、好ましくは、前記光源によって提供されるバーストの前記持続時間よりも長い積分時間を有する検出器と、を備える、装置。
【0115】
23.項目1~20のうち何れかに記載の光源の使用、又は、サンプル材料の分光分析などの光学的分析を行うための、項目1~10のうち何れか記載の光源の使用。
24.材料サンプルの分光分析を行う方法であって、
項目1~20のうち何れかの光源を使用すること、又は、材料サンプルを照射するために項目1~10のうち何れかに記載の光源を使用することと、
特に、前記光源によって提供されるパルス又はパルスのバーストの前記持続時間よりも長い積分時間を有する検出器を使用して、前記材料サンプルからの光を検出することと、を含む、方法。
【符号の説明】
【0116】
11:パルス発生器
13:光パルスの第1シーケンス
15:マニピュレータ
17:光パルスの第2シーケンス
19:非線形光学素子
21:レーザー発振器
23:増幅器
25:パルスピッカー
27:光パルスの初期シーケンス
29:パルス
31:パルスのバースト
33:時間遅延装置
35:増幅器
37:光スプリッタ
39:光パルスの第1サブシーケンス
41:光パルスの第2サブシーケンス
43:光パルスの第3サブシーケンス
45:光パルスの第4サブシーケンス
47:第1光学経路
49:第2光学経路
51:第3光学経路
53:第4光学経路
55:光結合器
57:遅延線
59:光ファイバ
61:非線形光ファイバ
63:機器
65:光源
67:検出器
T:期間
t:時間
P:パワー
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パルスの第1シーケンス(13)を提供するためのパルス発生器(11)であって、光パルスの前記第1シーケンス(13)が所定期間内に第1の数の光パルスを含む、パルス発生器(11)と、
光パルスの前記第1シーケンス(13)から光パルスの第2シーケンス(17)を生成するように構成されたマニピュレータ(15)であって、光パルスの前記第2シーケンス(17)が前記所定期間内に第2の数の光パルスを有し、
前記マニピュレータ(15)が、光パルスの前記第1シーケンス(13)の単一パルス(29)から少なくとも2つのパルスを含むパルスのバースト(31)を生成するように構成されており、前記少なくとも2つのパルスの間には時間遅延がある、マニピュレータ(15)と、
光パルスの前記第2シーケンス(17)を受容するように配置された非線形光学素子(19)と、
を備え
、
光パルスの前記第2シーケンスの前記光パルスは、前記非線形光学素子(19)を伝搬するときに広帯域スペクトル又はスーパーコンティニウムを生成する、光源。
【請求項2】
前記バースト内の前記少なくとも2つのパルスは、実質的に同じピークパワーを有する、
請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記バースト内の前記少なくとも2つのパルスの前記ピークパワーは、前記非線形光学素子の損傷閾値未満である、
請求項
2に記載の光源。
【請求項4】
前記非線形光学素子(19)は、非線形光ファイバ(61)、特に微細構造光ファイバである、
請求項1~3のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項5】
前記非線形光学素子(19)は、ガス充填中空コア微細構造ファイバ(61)を含み、
前記生成された広帯域スペクトル又はスーパーコンティニウムは、紫外(UV)領域内に延びる、
請求項4に記載の光源。
【請求項6】
前記光源が少なくとも1つの増幅器(35)を備える、
請求項1~5のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項7】
光パルスの前記第2シーケンス(17)のパルスを前記非線形光学素子(19)に供給する前に増幅するために、前記マニピュレータ(15)と前記非線形光学素子(17)との間に
前記増幅
器が配置されている、
請求項
6に記の光源。
【請求項8】
前記パルス発生器(11)が光ポンプ源(21)、特にパルスレーザーを備え
、
前記増幅
器が前記パルス発生器(11)の
前記光ポンプ源(21)と前記マニピュレータ(15)との間に配置さ
れている、
請求項
6に記載の光源。
【請求項9】
光パルスの前記第1シーケンス(13)は、前記所定期間内に第1の数の光パルスを有し、光パルスの前記第2シーケンス(17)は、前記所定期間内に第2の数の光パルスを有し、
前記第2の数は前記第1の数より大きく、
前記所定期間はT/nに等しく、Tは光パルスの前記第1シーケンス(13)の2つの連続するパルス間の時間間隔であり、nは1より大きい、
請求項1~8のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項10】
パルスピッカー(25)が前記パルス発生器(11)の光ポンプ源(21)と前記マニピュレータ(15)との間に配置されており、
前記光ポンプ源は、規定された繰り返し率を有する光パルスの初期シーケンスを生成するように構成され、
前記パルスピッカーは、光パルスの前記初期シーケンスの前記繰り返し率を低減させて、光パルスの前記第1シーケンスを形成するように構成される。
請求項1~9のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項11】
前記光源は、前記非線形光学素子(19)に入力される前に、光パルスの前記第2シーケンス(17)の前記光パルスの少なくとも一部を検出するための、特にはサンプリングするための、検出器を備え、
光パルスの前記第2シーケンス(17)の少なくとも1つのパラメータが、前記検出器から得られた信号に基づいて制御される、
請求項1~
10のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項12】
光パルスの前記第1シーケンス(13)又は光パルスの前記第2シーケンス(17)の一部の検出から得られた信号に基づいて、前記光源の少なくとも1つの制御可能な要素の動作を制御するコントローラをさらに備え、
前記制御可能な要素は、
前記パルス発生器(11)、
前記マニピュレータ(15)と前記非線形光学素子(17)との間に配置された増幅器(35)、
前記パルス発生器(11)の増幅器、
前記パルス発生器(11)の光ポンプ源(21)と前記マニピュレータ(15)との間に配置されたパルスピッカー(25)、のうちの1つである、
請求項1~
11のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項13】
バースト内の前記パルス間のパルス間時間的間隔(Δt
2
)は、200ピコ秒未満、例えば100ピコ秒未満、例えば10ピコ秒とすることができる、
請求項1~12のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項14】
バースト内の前記パルス間のパルス内時間的間隔(Δt
2
)とパルスの前記第2シーケンス内の連続するパルスバースト間の持続時間(Δt
3
)との比Δt
3
/Δt
2
が5以上であるか、または、
前記バーストの持続時間がΔt
1
であり、パルスの前記第2シーケンス内の連続するパルスバースト間の前記持続時間がΔt
3
であり、Δt
1
/Δt
3
として規定されるバーストパワーサイクルが50%未満である、
請求項1~13のうち何れか一項に記載の光源。
【請求項15】
材料サンプルの分光分析のための装置であって、
請求項1~1
4のうち何れか一項に記載の光源(65)と、
積分時間中に材料サンプルからの光を検出する検出器(67)であって、前記材料サンプルが、前記光源(65)の前記非線形光学素子から出射された光により照射される
ように配置可能であり、かつ、当該検出器(67)により前記材料サンプルからの光が検出可能であるように配置可能である、検出器(67)と、
を備え
、
前記検出器(67)の前記積分時間は、前記光源(65)によって生成されたパルスのバースト(31)の持続時間を超える、装置。
【国際調査報告】