(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】互いに相対的に可動の2つの家具部分を解除可能にロックするためのロック装置
(51)【国際特許分類】
E05C 19/02 20060101AFI20230208BHJP
E05D 15/26 20060101ALI20230208BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20230208BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
E05C19/02 A
E05D15/26
E06B3/48
A47B55/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537847
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 AT2020060453
(87)【国際公開番号】W WO2021119691
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン フィンク
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ブルーム
【テーマコード(参考)】
2E015
2E034
3B067
【Fターム(参考)】
2E015AA02
2E015BA10
2E015CA01
2E015CB01
2E015DA05
2E015DA22
2E015EA04
2E015FA01
2E034JA01
2E034JB01
2E034JD01
2E034KA02
3B067AA05
3B067AA11
(57)【要約】
互いに相対的に可動の2つの家具部分(2)を蓄力器(3)の力に抗して解除可能にロックするためのロック装置(1)であって、ハート凹部(5)を有するハートカム状のロック輪郭部(4)と、このハートカム状のロック輪郭部(4)に対して相対的に可動の、特にピン状の少なくとも1つのロック要素(6)であって、ロック位置(V)でハートカム状のロック輪郭部(4)のハート凹部(5)内に配置可能である少なくとも1つのロック要素(6)とを備え、この少なくとも1つのロック要素(6)は、ロック位置(V)から過剰押圧位置(U)への運動によって、ハート凹部(5)から解除位置(F)に可動であり、ロック装置(1)は、少なくとも1つのロック要素(6)を配置することができる、ハート凹部(5)と別個の押通し凹部(7)と、この押通し凹部(7)からハート凹部(5)内への少なくとも1つのロック要素(6)の運動を妨げる少なくとも1つの逸らし輪郭部(8)とを有する、ロック装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対的に可動の2つの家具部分(2)を蓄力器(3)の力に抗して解除可能にロックするためのロック装置(1)であって、前記ロック装置(1)は、ハート凹部(5)を有するハートカム状のロック輪郭部(4)と、該ハートカム状のロック輪郭部(4)に対して相対的に可動の、特にピン状の少なくとも1つのロック要素(6)であって、ロック位置(V)で前記ハートカム状のロック輪郭部(4)の前記ハート凹部(5)内に配置可能である少なくとも1つのロック要素(6)とを備え、該少なくとも1つのロック要素(6)は、前記ロック位置(V)から過剰押圧位置(U)への運動によって、前記ハート凹部(5)から解除位置(F)に可動であり、
前記ロック装置(1)は、前記少なくとも1つのロック要素(6)を配置することができる、前記ハート凹部(5)と別個の押通し凹部(7)と、該押通し凹部(7)から前記ハート凹部(5)内への前記少なくとも1つのロック要素(6)の運動を妨げる少なくとも1つの逸らし輪郭部(8)とを有する
ことを特徴とする、ロック装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの逸らし輪郭部(8)は、前記少なくとも1つのロック要素(6)を前記押通し凹部(7)内への配置から出発して前記解除位置(F)の方向に押し退けることができる少なくとも1つの逸らし傾斜部(9)を有する、請求項1記載のロック装置(1)。
【請求項3】
前記ロック装置(1)は、前記少なくとも1つのロック要素(6)を前記ハート凹部(5)の脇を通して前記押通し凹部(7)内に運動させることができる少なくとも1つのバイパス通路(10)を有する、請求項1または2記載のロック装置(1)。
【請求項4】
前記ロック装置(1)は、前記少なくとも1つのロック要素(6)用の少なくとも1つの入口開口(11)を有し、前記ハートカム状のロック輪郭部(4)と前記少なくとも1つの逸らし輪郭部(8)とは、前記少なくとも1つの入口開口(11)と前記押通し凹部(7)との間に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のロック装置(1)。
【請求項5】
少なくとも、前記ハートカム状のロック輪郭部(4)と、前記押通し凹部(7)と、前記少なくとも1つの逸らし輪郭部(8)とは、1つの共通のベース(12)に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のロック装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのロック要素(6)は、好ましくは、互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のロック装置(1)。
【請求項7】
可動の家具部分(2)用の突き出し装置(20)であって、前記突き出し装置(20)は、互いに相対的に可動の少なくとも2つの構成部分(21)と、該少なくとも2つの構成部分(21)の間で有効である少なくとも1つの蓄力器(3)とを備え、
前記突き出し装置(20)は、請求項1から5までのいずれか1項記載の少なくとも1つのロック装置(1)を有し、前記ハートカム状のロック輪郭部(4)は、前記互いに相対的に可動の少なくとも2つの構成部分(21)のうちの一方に配置されていて、前記少なくとも1つのロック要素(6)は、前記互いに相対的に可動の少なくとも2つの構成部分(21)のうちの他方に配置されている
ことを特徴とする、突き出し装置(20)。
【請求項8】
可動の家具部分(2)用の突き出し装置(20)であって、前記突き出し装置(20)は、互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバー(22)と、荷重が加えられた状態で開放旋回位置(G)に向かって前記少なくとも2つのレバー(22)に力を加える少なくとも1つの蓄力器(3)と、前記少なくとも2つのレバー(22)を閉鎖位置(S)において、荷重が加えられた前記蓄力器(3)の前記力に抗して解除可能にロックするための少なくとも1つのロック装置(1)とを備え、
前記少なくとも1つのロック装置(1)は、前記少なくとも2つのレバー(22)が、前記閉鎖位置(S)での前記レバー(22)の角度(23)よりも小さい角度(23)を成す押通し位置(D)においてロックされずに互いに相対的に自由に可動であるように構成されている
ことを特徴とする、突き出し装置(20)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのロック装置(1)は、請求項1から5までのいずれか1項の記載に従って形成されており、前記ハートカム状のロック輪郭部(4)は、前記互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方に配置されていて、前記少なくとも1つのロック要素(6)は、前記互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバー(22)のうちの他方に配置されている、請求項8記載の突き出し装置(20)。
【請求項10】
- 前記少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方は、前記突き出し装置(20)を前記可動の家具部分(2)に固定するための固定手段(24)を有し、かつ/または
- 前記少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方は、自由端部(25)を有し、該自由端部(25)には、前記レバー(22)を当接面(27)に支持するための回転可能に支持された少なくとも1つの転動体(26)を有し、かつ/または
- 前記少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方は、自由端部(25)を有し、該自由端部(25)には、少なくとも1つのスペーサ(28)が配置されており、好ましくは、該少なくとも1つのスペーサ(28)は、前記自由端部(25)に対して相対的にそれぞれ異なる位置に配置可能である、
請求項8または9記載の突き出し装置(20)。
【請求項11】
前記突き出し装置(20)は、保持装置(30)の第1の部分(29a)を有し、該第1の部分(29a)は、前記保持装置(30)の、家具(40)に配置可能な第2の部分(29b)に作用結合可能であり、好ましくは、
- 前記保持装置(30)の両方の前記部分(29a,29b)のうちの一方は、永久磁石(31)を有し、前記両方の部分(29a,29b)のうちの他方は、少なくとも部分的に金属で形成されており、かつ/または
- 前記保持装置(30)の前記第1の部分(29a)は、前記突き出し装置(20)の外面(32)に配置されている、
請求項8から10までのいずれか1項記載の突き出し装置(20)。
【請求項12】
前記少なくとも2つのレバー(22)の間に少なくとも1つの拡開要素(33)が配置されており、少なくとも1つの別の蓄力器(34)が設けられており、前記少なくとも2つのレバー(22)には、前記少なくとも1つの別の蓄力器(34)によって前記少なくとも1つの拡開要素(33)を介して力を加えることができる、請求項8から11までのいずれか1項記載の突き出し装置(20)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの蓄力器(3)および/または前記少なくとも1つの別の蓄力器(34)は、少なくとも1つのばね(35)の形態で形成されている、請求項12記載の突き出し装置(20)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの別の蓄力器(34)は、不動に配置された蓄力器保持体(36)と、該蓄力器保持体(36)に対して相対的に可動の蓄力器保持体(37)との間に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つの別の蓄力器(34)は、前記少なくとも1つの拡開要素(33)に結合された少なくとも1つの横方向ステー(38)に配置されており、好ましくは、該少なくとも1つの横方向ステー(38)は、前記少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方に沿って運動するための少なくとも1つの転がり要素(39)を備える、請求項12または13記載の突き出し装置(20)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの拡開要素(33)は、前記少なくとも1つの横方向ステー(38)および/または前記少なくとも2つのレバー(22)のうちの一方に枢動自在に結合されている、請求項12から14までのいずれか1項記載の突き出し装置(20)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの蓄力器(3)および/または前記少なくとも1つの別の蓄力器(34)には、前記少なくとも2つのレバー(22)のうちの少なくとも一方の運動によって荷重を加えることができる、請求項12から15までのいずれか1項記載の突き出し装置(20)。
【請求項17】
家具(40)であって、家具キャビネット(41)と、該家具キャビネット(41)に対して相対的に可動の少なくとも1つの家具部分(2)とを備える、家具(40)において、
前記家具(40)は、請求項7から16まで記載の少なくとも1つの突き出し装置(20)を有することを特徴とする、家具(40)。
【請求項18】
- 前記少なくとも1つの可動の家具部分(2)は、互いに枢動自在に結合された少なくとも2つのプレート(42)を有し、該少なくとも2つのプレート(42)は、該少なくとも2つのプレート(42)が実質的に同一の平面内に配置されている共平面の位置(K)と、前記少なくとも2つのプレート(42)が互いに実質的に平行に配置されている平行位置(P)との間で可動であり、
- 前記少なくとも1つの突き出し装置(20)は、請求項8から16までのいずれか1項の記載に従って形成されていて、前記少なくとも2つのプレート(42)のうちの一方に配置されており、
- 前記少なくとも2つのレバー(22)は、前記少なくとも2つのプレート(42)が前記共平面の位置(K)にあるときには、ロックされた前記閉鎖位置(S)で配置されていて、前記少なくとも2つのプレート(42)が前記平行位置(P)にあるときには、ロックされていない前記押通し位置(D)で配置されている、
請求項17記載の家具(40)。
【請求項19】
前記少なくとも2つのプレート(42)の前記平行位置(P)で配置された前記少なくとも1つの可動の家具部分(2)を収容するための、好ましくは前記家具キャビネット(41)の側方に配置された少なくとも1つの収容ポケット(43)が設けられている、請求項17または18記載の家具(40)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの突き出し装置(20)は、前記少なくとも2つのプレート(42)への加圧によって、ロックされた前記閉鎖位置(S)から前記開放旋回位置(G)に移行可能であり、好ましくは、前記加圧は、前記少なくとも2つのプレート(42)が互いに枢動自在に結合されている領域で実施可能であることが特定されている、請求項17から19までのいずれか1項記載の家具(40)。
【請求項21】
好ましくは水平に配置された少なくとも1つのレール(44)に沿って走行可能な少なくとも1つの走行キャリッジ(45)が設けられており、該少なくとも1つの走行キャリッジ(45)は、好ましくは少なくとも1つのヒンジ(46)によって前記少なくとも2つのプレート(42)のうちの一方に連結可能であり、好ましくは、前記少なくとも1つの走行キャリッジ(45)は、前記可動の家具部分(2)と共に前記少なくとも1つの収容ポケット(43)内に格納可能であり、かつ/または前記走行キャリッジ(45)は、前記少なくとも1つのレール(44)に沿った運動時に少なくとも1つのガイドローラ(47)を介してガイド(48)に支持されており、かつ/または前記少なくとも1つの拡開要素(33)の運動は、前記少なくとも1つの走行キャリッジ(45)によって阻止可能であることが特定されている、請求項17から20までのいずれか1項記載の家具(40)。
【請求項22】
前記少なくとも2つのプレート(42)を前記少なくとも1つの収容ポケット(43)から突き出すための少なくとも1つの突き出し機構(49)が設けられている、請求項17から21までのいずれか1項記載の家具(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに相対的に可動の2つの家具部分を蓄力器の力に抗して解除可能にロックするためのロック装置であって、ハート凹部を有するハートカム状のロック輪郭部と、このハートカム状のロック輪郭部に対して相対的に可動の、特にピン状の少なくとも1つのロック要素であって、ロック位置でハートカム状のロック輪郭部のハート凹部内に配置可能である少なくとも1つのロック要素とを備え、この少なくとも1つのロック要素は、ロック位置から過剰押圧位置への運動によって、ハート凹部から解除位置に可動である、ロック装置に関する。さらに、本発明は、可動の家具部分用の突き出し装置であって、互いに相対的に可動の少なくとも2つの構成部分と、これら少なくとも2つの構成部分の間で有効である少なくとも1つの蓄力器とを備える、突き出し装置に関する。さらに、本発明は、可動の家具部分用の突き出し装置であって、互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバーと、荷重が加えられた状態で開放旋回位置に向かって少なくとも2つのレバーに力を加える少なくとも1つの蓄力器と、少なくとも2つのレバーを閉鎖位置において、荷重が加えられた蓄力器の力に抗して解除可能にロックするための少なくとも1つのロック装置とを備える、突き出し装置に関する。さらに、本発明は、家具であって、家具キャビネットと、この家具キャビネットに対して相対的に可動の少なくとも1つの家具部分とを備える、家具に関する。
【0002】
ハートカム状のロック輪郭部を有するロック装置と、このようなロック装置を備えた突き出し装置とは、先行技術に基づき公知である。しかしながら、このような突き出し装置には、ロック装置が突き出し装置の閉鎖位置で常にロックされているという問題がある。しかしながら、閉鎖位置に進入した際に自動的にロックも生じさせない突き出し装置が必要となる使用事例もある。例えば、先行技術に基づく突き出し装置とロック装置とは、例えば突き出し装置の相対的な位置に応じて閉鎖位置でロックを行うためには適していない。なぜならば、ロック装置が閉鎖位置のあらゆる位置でロックされてしまうからである。
【0003】
特開2011-162994号公報には、2つのプレートから成る可動の家具部分と、突き出し装置とを備えたドアフレームが記載されている。このドアフレームでは、可動の家具部分を閉鎖位置から開放位置に拡開するために、突き出し装置の1つのレバーが、中央でベースに配置された圧縮ばねを介してドアフレームのガイド条片に向かって押圧される。手動での可動の家具部分の閉鎖動作の際には、レバーが、ドアフレームのガイド条片内に再度係合し、可動の家具部分が閉鎖位置に移行し、このとき、圧縮ばねに力が加えられる。閉鎖位置では、突き出し装置がロック装置を介してロックされている。ロック装置は、フックへの係合によりロックを生じさせるグリッパから成っている。
【0004】
先行技術には、ただ1つのばねを介して回動軸を中心として可動の家具部分の拡開動作を生じさせるただ1つのレバーから成る突き出し装置の構造に起因して、別個に配置されたガイド条片が設けられているという欠点がある。この別個に配置されたガイド条片は、構造上のサイズによって、可動の家具部分のプレート同士の間に配置することができない。これによって、突き出し装置により、閉鎖位置と開放位置との間での移行しか可能とならない。さらに、ロック機構は、可動の家具部分のプレート同士の小さな開き角で突き出し装置をロックする。これによって、可動の家具部分を互いに折り合わされた位置から突き出し装置によって拡開する必要がなくなる。このことは、ロック装置の構造上の構成と、中央でベースに配置された圧縮ばねとによって生じる。この場合には、圧縮ばねが、レバーへの力伝達をベースに対して法線方向に生じさせ、プレート同士の小さな開き角を不可能にし、特に同じ機能のまま突き出し装置をレバーとベースとの間の小さな角度でロックすることなしに不可能にしてしまう。さらに、突き出し装置の力が、圧縮ばねによって急激に発生させられる。これによって、家具の使用における快適さが低下し、拡開動作に関与する構成要素の寿命が短くなってしまう。
【0005】
したがって、本発明の客観的な技術的な課題は、先行技術の欠点が少なくとも部分的に解消されており、ロックがロック装置の閉鎖の程度に選択的に関連している点で特に優れた、先行技術に比べて改善されたロック装置と、ロック装置を備えた突き出し装置と、このような突き出し装置を備えた家具とを提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1、請求項7、請求項8および請求項17の特徴によって解決される。
【0007】
したがって、本発明によれば、ロック装置は、少なくとも1つのロック要素を配置することができる、ハート凹部と別個の押通し凹部と、この押通し凹部からハート凹部内への少なくとも1つのロック要素の運動を妨げる少なくとも1つの逸らし輪郭部とを有することが特定されている。
【0008】
少なくとも1つのハート凹部によって、ロック状態が保証される。少なくとも1つの逸らし輪郭部は、ロック装置をロック状態から過剰に押圧した際に少なくとも1つのロック要素を押通し凹部内に案内する。少なくとも1つのロック要素が押通し凹部内に位置していると、少なくとも1つのロック要素は、ロック装置のより少なく過剰に押圧された位置への移行時に少なくとも1つの逸らし輪郭部を介してハート凹部の脇を通り、解除位置に移行される。
【0009】
ロック装置が解除位置にある場合には、ロック装置を常時加圧して、少なくとも1つのロック要素がハート凹部の脇を通り、押通し凹部内にガイドされる。加圧の終了後には、再度の解除位置への移行が可能となる。
【0010】
ロック装置への加圧が、主として、ハート凹部の上方への少なくとも1つのロック要素の上昇直後に終了されると、この少なくとも1つのロック要素が、ハート凹部内に配置され、ロック状態が生じる。
【0011】
これによって、ロック装置が、加圧推移に応じて、解除位置からロック状態に移行可能であり、このロック状態から解除位置に移行可能であり、この解除位置から、続くロックなしに、再度解除位置に移行可能であることが初めて可能となる。
【0012】
したがって、ロック装置によって、ハートカム状のロック輪郭部に対するロック要素の複数の可能な相対位置に応じて、選択的なロックが可能となる。
【0013】
さらに、本発明によれば、突き出し装置は、このような少なくとも1つのロック装置を有し、ハートカム状のロック輪郭部は、互いに相対的に可動の少なくとも2つの構成部分のうちの一方に配置されていて、少なくとも1つのロック要素は、互いに相対的に可動の少なくとも2つの構成部分のうちの他方に配置されていることが特定されている。
【0014】
これによって、突き出し装置への加圧時に少なくとも1つのロック要素がハート状のロック輪郭部内に位置することができ、突き出し装置が位置確実な閉鎖位置に移行可能であることが可能となる。
【0015】
さらに、本発明によれば、少なくとも1つのロック装置は、少なくとも2つのレバーが、閉鎖位置でのレバーの角度よりも小さい角度を成す押通し位置においてロックされずに互いに相対的に自由に可動であるように構成されていることが特定されている。
【0016】
少なくとも2つのレバーが、押通し位置において互いに相対的に自由に可動であることによって、ロック装置の少なくとも1つのロック要素が、少なくとも1つの逸らし輪郭部を介してハートカム状のロック輪郭部の脇を通ることができ、ひいては、開放旋回位置への突き出し装置の移行が保証されることが可能となる。
【0017】
突き出し装置が予め閉鎖位置にあるかまたは開放旋回位置にあるかに関係なく、閉鎖位置を越える加圧時には、押通し位置への突き出し装置の移行が保証され、加圧の終了時には、開放旋回位置への突き出し装置の移行が保証される。
【0018】
少なくとも1つの蓄力器の力は、閉鎖位置では、効果的なロックのために有効となり、押通し位置では、開放旋回位置への運動をアシストするために有効となる。
【0019】
さらに、本発明によれば、家具は、このような少なくとも1つの突き出し装置を有することが特定されている。
【0020】
これによって、少なくとも1つの突き出し装置が、共平面の位置から開放位置へ可動の家具部分の少なくとも2つのプレートの移行と、平行位置から拡開位置への少なくとも2つのプレートの移行とをアシストすることが可能となる。
【0021】
平行位置では、少なくとも1つの突き出し装置は押通し位置にある。突き出し装置に配置されたロック装置は過剰押圧位置にある。これによって、蓄力器の力が、平行位置からの運動時に作用することができ、少なくとも2つのプレートの展開を可能にする。
【0022】
共平面の位置では、少なくとも1つの突き出し装置は閉鎖位置にある。突き出し装置に配置されたロック装置はロック位置にある。これによって、蓄力器の力が抑制され、少なくとも2つのプレートが共平面の位置で不動のままとなる。押通し位置への少なくとも1つの突き出し装置の移行時には、ロック装置は過剰押圧位置にある。この場合、蓄力器の力が作用し、少なくとも2つのプレートの開放を可能にする。
【0023】
したがって、共平面の位置からの可動の家具部分の開放も、平行位置からの拡開も、少なくとも1つの突き出し装置によって保証される。
【0024】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に規定してある。
【0025】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの逸らし輪郭部は、少なくとも1つのロック要素を押通し凹部内への配置から出発して解除位置の方向に押し退けることができる少なくとも1つの逸らし傾斜部を有することが特定されている。
【0026】
逸らし傾斜部によって、押通し凹部内への少なくとも1つのロック要素の配置後、この少なくとも1つのロック要素が、ハートカム状のロック輪郭部の脇を通り、ロック装置が、ロック位置ではなく、解除位置に移行することが可能となる。
【0027】
本発明の一実施例では、ロック装置は、少なくとも1つのロック要素をハート凹部の脇を通して押通し凹部内に運動させることができる少なくとも1つのバイパス通路を有することが特定されている。
【0028】
少なくとも1つのバイパス通路によって、解除位置からハートカム状のロック輪郭部と少なくとも1つの逸らし輪郭部との脇を通り押通し凹部内への少なくとも1つのロック要素の移行が特にアシストされる。
【0029】
有利には、ロック装置は、少なくとも1つのロック要素用の少なくとも1つの入口開口を有し、ハートカム状のロック輪郭部と少なくとも1つの逸らし輪郭部とは、少なくとも1つの入口開口と押通し凹部との間に配置されていることが特定されている。
【0030】
少なくとも1つの入口開口を介して、少なくとも1つのロック要素は、解除位置からハートカム状のロック輪郭部および/または押通し凹部に到達することができる。
【0031】
少なくとも1つの逸らし輪郭部とハートカム状のロック輪郭部とが、押通し凹部と少なくとも1つの入口開口との間に配置されていることによって、解除位置からの過剰押圧の程度に応じて、ロック位置に続いて再度の解除位置を生じさせることができるかまたは中間的なロックなしに再度の解除位置を生じさせることができる。両方の変化形態では、解除前に少なくとも1つのロック要素が押通し凹部内に進入する。
【0032】
少なくとも、ハートカム状のロック輪郭部と、押通し凹部と、少なくとも1つの逸らし輪郭部とが、1つの共通のベースに配置されていると有利であると判った。
【0033】
これによって、保守手間が減じられ、耐用年数が引き延ばされる。なぜならば、ロック装置の別体の構成部材要素がより少なくなるからである。
【0034】
少なくとも1つのロック要素が、好ましくは、互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバーのうちの一方に配置されていると有利であると判った。
【0035】
これによって、少なくとも1つのロック要素が、第2の構成部分またはレバーに対して相対的な旋回可能なレバーの運動時にロック装置の少なくとも1つの入口開口内に進入することができる。
【0036】
有利な変化形態は、少なくとも1つのロック装置は、請求項1から5までのいずれか1項の記載に従って形成されており、ハートカム状のロック輪郭部は、互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバーのうちの一方に配置されていて、少なくとも1つのロック要素は、互いに相対的に旋回可能な少なくとも2つのレバーのうちの他方に配置されていることにある。
【0037】
これによって、少なくとも1つの入口開口と押通し凹部との間での少なくとも1つのロック要素の運動推移が特に好適に行われる。
【0038】
特に好適には、少なくとも2つのレバーのうちの一方は、突き出し装置を可動の家具部分に固定するための固定手段を有し、かつ/または少なくとも2つのレバーのうちの一方は、自由端部を有し、この自由端部には、レバーを当接面に支持するための回転可能に支持された少なくとも1つの転動体を有し、かつ/または少なくとも2つのレバーのうちの一方は、自由端部を有し、この自由端部には、少なくとも1つのスペーサが配置されており、好ましくは、この少なくとも1つのスペーサは、自由端部に対して相対的にそれぞれ異なる位置に配置可能である。
【0039】
固定手段によって、突き出し装置を組付け後に可動の家具部分に位置確実に位置固定することができることが保証される。
【0040】
自由端部に配置された転動体によって、突き出し装置と当接面との間の接触中の摩擦が減じられる。これによって、突き出し装置の耐用年数も当接面の耐用年数も引き延ばされる。当接面は、家具の別体の構成要素に配置されていてもよいし、家具の一体の構成部分であってもよい。特に好適には、当接面は、共平面の位置と開放位置との間の移行中には家具キャビネットによって形成され、平行位置と拡開位置との間の移行中には少なくとも、少なくとも2つのプレートのうちの一方によって形成される。
【0041】
自由端部に配置された少なくとも1つのスペーサによって、突き出し装置と当接面との間の距離を調整することができることにより、家具の構造上の構成に対応することができる。スペーサの調整に応じて、突き出し装置のロック装置は、使用者の加圧時により早くもしくはより遅く過剰押圧位置に移行される。さらに、少なくとも2つのレバーの間の予め設定された角度でロック位置を保証するために、スペーサを介して精密位置調整を行うことができる。
【0042】
突き出し装置が、保持装置の第1の部分を有し、この第1の部分が、保持装置の、家具に配置可能な第2の部分に作用結合可能であり、好ましくは、保持装置の両方の部分のうちの一方が、永久磁石を有し、両方の部分のうちの他方が、少なくとも部分的に金属で形成されており、かつ/または保持装置の第1の部分が、突き出し装置の外面に配置されていると有利であると判った。
【0043】
2つの部分から形成された保持装置によって、家具の構造上のサイズおよび/または組付け前の構造上の状況に対応することができる。
【0044】
保持装置は、ロック位置において、少なくとも1つのロック要素がハートカム状のロック輪郭部のハート凹部内に押圧されて、共平面の位置でのロックの望ましくない解除が阻止されるように、少なくとも1つの蓄力器をアシストする。
【0045】
さらに、好適には、少なくとも2つのレバーの間に少なくとも1つの拡開要素が配置されており、少なくとも1つの別の蓄力器が設けられており、少なくとも2つのレバーには、少なくとも1つの別の蓄力器によって少なくとも1つの拡開要素を介して力を加えることができることが特定されている。
【0046】
これによって、少なくとも1つの蓄力器に対して付加的に少なくとも1つの別の蓄力器によって少なくとも1つの拡開要素を介して少なくとも2つのレバーに力が加えられるという有利な効果が得られる。
【0047】
さらに、これによって、突き出し装置および/または家具の操作において、より多くの快適さが提供される。なぜならば、使用者がそれほど力を使う必要がなく、中実なかつ/またはより大きな可動の家具部分も突き出し装置によって軽い力で開放もしくは拡開することができるからである。
【0048】
さらに、可動の家具部分の運動中に少なくとも1つの突き出し装置の調和のとれた力推移が生じる。なぜならば、少なくとも1つの別の蓄力器が少なくとも1つの拡開要素の介在下で作用するからである。これによって、家具の構成要素が保護され、突き出し装置もしくは家具の使い勝手の良い取扱いが実現される。
【0049】
特に好適には、少なくとも1つの別の蓄力器は、少なくとも2つのレバーのうちの一方のレバーに対して実質的に平行に配置されている。
【0050】
これによって、突き出し装置の閉鎖位置において、少なくとも1つの拡開要素に実質的に力が作用しないことが可能となる。なぜならば、ロック状態では、少なくとも2つのレバーのうちの一方のレバーに対して少なくとも1つの別の蓄力器の間に実質的に死点位置が生じるからである。
【0051】
さらに、少なくとも2つのレバーへの少なくとも1つの別の蓄力器の特に有利な力伝達が行われる。これによって、穏やかで調和のとれた開放動作もしくは拡開動作ならびに少なくとも1つの別の蓄力器に荷重を加える動作が生じる。
【0052】
少なくとも1つの蓄力器および/または少なくとも1つの別の蓄力器が、少なくとも1つのばねの形態で形成されていると有利であると判った。
【0053】
ばねは生産および調達の点で有利であるので、これによって、コストを節約した突き出し装置を実現することができる。
【0054】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの別の蓄力器は、不動に配置された蓄力器保持体と、この蓄力器保持体に対して相対的に可動の蓄力器保持体との間に配置されており、かつ/または少なくとも1つの別の蓄力器は、少なくとも1つの拡開要素に結合された少なくとも1つの横方向ステーに配置されており、好ましくは、この少なくとも1つの横方向ステーは、少なくとも2つのレバーのうちの一方に沿って運動するための少なくとも1つの転がり要素を備えることが特定されている。
【0055】
不動に配置された蓄力器保持体によって、少なくとも2つのレバーのうちの一方を介して可動の家具部分ひいては家具への力伝達が可能となる。可動の蓄力器保持体によって、少なくとも1つの拡開要素を介して少なくとも2つのレバーへの力伝達が可能となる。
【0056】
可動の蓄力器保持体を少なくとも1つの横方向ステーに配置することによって、少なくとも1つの別の蓄力器のよりフレキシブルな組込み形態が可能となり、さらに、少なくとも1つの横方向ステーの延在長さに起因して、複数の別の蓄力器が収容可能となる。
【0057】
突き出し装置を拡開するかまたは突き出し装置に荷重を加える際に少なくとも1つの横方向ステーを運動させることによって、転がり要素が特に有利であると判った。なぜならば、少なくとも2つのレバーのうちの一方に対する摩擦が減じられ、少なくとも2つのレバーのうちの一方に対して転がり要素の半径の間隔を置いてガイドが行われるからである。
【0058】
本発明の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの拡開要素は、少なくとも1つの横方向ステーおよび/または少なくとも2つのレバーのうちの一方に枢動自在に結合されていることが特定されている。
【0059】
これによって、少なくとも1つの横方向ステーの、少なくとも1つの別の蓄力器により発生させられた運動を少なくとも1つの拡開要素の回動運動によって少なくとも2つのレバーに伝達することが可能となる。
【0060】
有利な変化態様は、少なくとも1つの蓄力器および/または少なくとも1つの別の蓄力器には、少なくとも2つのレバーのうちの少なくとも一方の運動によって荷重を加えることができることにある。
【0061】
これによって、少なくとも2つのレバーのうちの少なくとも一方の運動時に蓄力器に蓄えられたエネルギーが、次いで、可動の家具部分の運動のために提供され、この可動の家具部分の運動時に使用者をアシストすることが可能となる。
【0062】
特に好適には、少なくとも1つの可動の家具部分は、互いに枢動自在に結合された少なくとも2つのプレートを有し、これら少なくとも2つのプレートは、これら少なくとも2つのプレートが実質的に同一の平面内に配置されている共平面の位置と、少なくとも2つのプレートが互いに実質的に平行に配置されている平行位置との間で可動であり、少なくとも1つの突き出し装置は、請求項7または8から16までのいずれか1項の記載に従って形成されていて、少なくとも2つのプレートのうちの一方に配置されており、少なくとも2つのレバーは、少なくとも2つのプレートが共平面の位置にあるときには、ロックされた閉鎖位置で配置されていて、少なくとも2つのプレートが平行位置にあるときには、ロックされていない押通し位置で配置されている。
【0063】
少なくとも2つのプレートの共平面の位置でロックされた閉鎖位置にある突き出し装置によって、可動の家具部分の不本意な開放が阻止される。
【0064】
少なくとも2つのプレートの平行位置でロックされていない押通し位置にある突き出し装置によって、拡開が側方の収容ポケットまたは設けられた走行キャリッジ(所望されている)によって阻止されない限り、可動の家具部分の自動的な拡開が可能となる。
【0065】
本発明の好適な実施例によれば、少なくとも2つのプレートの平行位置で配置された少なくとも1つの可動の家具部分を収容するための、好ましくは家具キャビネットの側方に配置された少なくとも1つの収容ポケットが設けられていることが特定されている。
【0066】
可動の家具部分を側方の収容ポケット内に格納することによって、家具キャビネットへの自由なアクセスが可能となる。さらに、平行位置にある可動の家具部分が家具の手前側に配置されていないと、美的印象に優れた家具が得られる。
【0067】
少なくとも1つの突き出し装置が、少なくとも2つのプレートへの加圧によって、ロックされた閉鎖位置から開放旋回位置に移行可能であり、好ましくは、加圧が、少なくとも2つのプレートが互いに枢動自在に結合されている領域で実施可能であることが特定されていると有利であると判った。
【0068】
これによって、家具の操作者にとって、閉鎖位置にある少なくとも1つの突き出し装置の使い勝手の良い解除が可能となる。この場合には、少なくとも1つのロック要素がハートカムから押通し凹部内に搬送されて、ロック装置が解除位置に移行することができる。
【0069】
好ましくは水平に配置された少なくとも1つのレールに沿って走行可能な少なくとも1つの走行キャリッジが設けられており、この少なくとも1つの走行キャリッジが、好ましくは少なくとも1つのヒンジによって少なくとも2つのプレートのうちの一方に連結可能であり、好ましくは、少なくとも1つの走行キャリッジが、可動の家具部分と共に少なくとも1つの収容ポケット内に格納可能であり、かつ/または走行キャリッジが、少なくとも1つのレールに沿った運動時に少なくとも1つのガイドローラを介してガイドに支持されており、かつ/または少なくとも1つの拡開要素の運動が、少なくとも1つの走行キャリッジによって阻止可能であることが特定されていると有利であると判った。
【0070】
少なくとも1つの走行キャリッジによって、少なくとも2つのプレートの運動がガイドされる。これによって、家具キャビネットに沿った可動の家具部分の安定した運動が保証される。さらに、これによって、少なくとも2つのプレートのうちの一方の逸脱が阻止される。
【0071】
少なくとも1つのガイドローラによって、少なくとも1つのレールに沿った少なくとも1つの走行キャリッジの運動が容易になる。なぜならば、少なくとも1つの走行キャリッジと少なくとも1つのレールとの間の摩擦が減じられるからである。
【0072】
本発明の有利な実施形態によれば、少なくとも2つのプレートを少なくとも1つの収容ポケットから突き出すための少なくとも1つの突き出し装置が設けられていることが特定されている。
【0073】
少なくとも1つの突き出し装置によって、家具の使用者にとって、可動の家具部分を収容ポケット内の格納位置から搬送することが容易になる。この場合、少なくとも1つの収容ポケットの外側で少なくとも1つの突き出し装置によって少なくとも2つのプレートの拡開が行われる。
【0074】
本発明の更なる詳細および利点を、図面に示した実施例を参照しながら図面の説明に基づき以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1a】開放状態にある第1の好適な実施例による突き出し装置の斜視図である。
【
図1b】開放状態にある第1の好適な実施例による突き出し装置を側方から見た図である。
【
図2a】好適な実施例によるロック装置を明らかにするための切欠きを図中に示した、ロックされていない状態にある、
図1aに示した実施例による突き出し装置の斜視図である。
【
図2b】好適な実施例によるロック装置を明らかにするための切欠きを図中に示した、ロックされていない状態にある、
図1aに示した実施例による突き出し装置を側方から見た図である。
【
図3a】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3b】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3c】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3d】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3e】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3f】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3g】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図3h】
図2aに示した実施例による突き出し装置の側方から見た、解除位置からロック位置、そして、ロック位置から過剰押圧位置を介して解除位置へのそれぞれ異なる位置を時系列で示す第1の好適な実施例によるロック装置を示す図である。
【
図4】側方の収容ポケットと、
図1aに示した実施例による突き出し装置と、共平面の位置にある2つのプレートとを備えた好適な実施例による家具を上方から見た図ならびに共平面の位置にある制限要素および過剰押圧位置にある制限要素の2つの詳細図である。
【
図5a】スペーサの2つの異なる位置で家具キャビネットに接触している、
図1aに示した実施例による突き出し装置を示す図である。
【
図5b】スペーサの2つの異なる位置で家具キャビネットに接触している、
図1aに示した実施例による突き出し装置を示す図である。
【
図6a】側方に配置された収容ポケット内で2つのプレートが平行位置にある、
図4に示した実施例による家具を示す図である。
【
図6b】側方に配置された収容ポケット内で2つのプレートが平行位置にある、
図4に示した実施例による家具を示す図である。
【
図7】
図1aに示した実施例による突き出し装置の個別構成要素の斜視的な分解図である。
【
図8a】側方の収容ポケットを備えた家具の可動の家具部分と家具キャビネットとの間に設けられていて、第2の好適な実施例によるロック装置を備えた、可動の家具部分の共平面の位置と開放位置との間のそれぞれ異なる位置にある第2の好適な実施例による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図8b】側方の収容ポケットを備えた家具の可動の家具部分と家具キャビネットとの間に設けられていて、第2の好適な実施例によるロック装置を備えた、可動の家具部分の共平面の位置と開放位置との間のそれぞれ異なる位置にある第2の好適な実施例による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図8c】側方の収容ポケットを備えた家具の可動の家具部分と家具キャビネットとの間に設けられていて、第2の好適な実施例によるロック装置を備えた、可動の家具部分の共平面の位置と開放位置との間のそれぞれ異なる位置にある第2の好適な実施例による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図8d】側方の収容ポケットを備えた家具の可動の家具部分と家具キャビネットとの間に設けられていて、第2の好適な実施例によるロック装置を備えた、可動の家具部分の共平面の位置と開放位置との間のそれぞれ異なる位置にある第2の好適な実施例による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図9a】
図8aに示した実施例による家具の可動の家具部分の2つのプレートの間に設けられた、可動の家具部分の平行位置と拡開位置との間のそれぞれ異なる位置にある
図8aに示した実施形態による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図9b】
図8aに示した実施例による家具の可動の家具部分の2つのプレートの間に設けられた、可動の家具部分の平行位置と拡開位置との間のそれぞれ異なる位置にある
図8aに示した実施形態による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図9c】
図8aに示した実施例による家具の可動の家具部分の2つのプレートの間に設けられた、可動の家具部分の平行位置と拡開位置との間のそれぞれ異なる位置にある
図8aに示した実施形態による突き出し装置を上方から見た図である。
【
図10a】押通し位置にある
図8aに示した実施例による突き出し装置の側方からの拡大図である。
【
図10b】開放旋回位置にある
図8aに示した実施例による突き出し装置の側方からの拡大図である。
【
図11a】
図8aに示した実施例による突き出し装置の拡大斜視図である。
【
図11b】
図8aに示した実施例による突き出し装置の拡大斜視図である。
【
図12a】側方の収容ポケットと、
図8aに示した実施例による突き出し装置と、走行キャリッジを介してガイドされる可動の家具部分のそれぞれ異なる位置とを有する別の好適な実施例による家具の斜視図である。
【
図12b】側方の収容ポケットと、
図8aに示した実施例による突き出し装置と、走行キャリッジを介してガイドされる可動の家具部分のそれぞれ異なる位置とを有する別の好適な実施例による家具の斜視図である。
【
図12c】側方の収容ポケットと、
図8aに示した実施例による突き出し装置と、走行キャリッジを介してガイドされる可動の家具部分のそれぞれ異なる位置とを有する別の好適な実施例による家具の斜視図である。
【
図13】
図8aに示した実施例による突き出し装置の個別構成要素の分解図である。
【
図14a】構成部分輪郭部の図と、ロック状態にある別の好適な実施例によるロック機構の詳細図とを含む
図8aに示した実施例による突き出し装置を閉鎖位置で示す図である。
【
図14b】構成部分輪郭部の図と、解除位置にある別の好適な実施例によるロック機構の詳細図とを含む
図8aに示した実施例による突き出し装置を閉鎖位置で示す図である。
【
図15】2つの蓄力器と2つの別の蓄力器とを備えた別の好適な実施例による突き出し装置のモーメント推移を示す図である。
【0076】
図1aには、可動の家具部分2(解りやすくするため明示せず)用の突き出し装置20が示してある。この突き出し装置20は、互いに相対的に可動の2つの構成部分21と、ばね35(ねじりコイルばね)の形態の2つの蓄力器3とを備えている。これら2つの蓄力器3は、2つの構成部分21の間で有効である。これら2つの構成部分21は、2つのレバー22の形態で形成されている。
【0077】
突き出し装置20はロック装置1を有している。このロック装置1では、互いに相対的に可動の2つの構成部分21のうちの一方にハートカム状のロック輪郭部4が配置されていて、互いに相対的に可動の2つの構成部分21のうちの他方にロック要素6が配置されている。
【0078】
図1bには、互いに相対的に旋回可能な2つのレバー22と、荷重が加えられた状態で開放旋回位置Gに向かって2つのレバー22に力を加える2つの蓄力器3と、2つのレバー22を閉鎖位置Sにおいて、荷重が加えられた蓄力器3の力に抗して解除可能にロックするためのロック装置1とを備えた突き出し装置20が示してある。
【0079】
ロック装置1は、2つのレバー22が、閉鎖位置Sでのレバー22の角度23よりも小さい角度23を成す押通し位置Dにおいてロックされずに互いに相対的に自由に可動であるように構成されている。
【0080】
図2aもしくは
図2bでは、
図1aもしくは
図1bと異なり、2つのレバー22が、開放旋回位置Gから閉鎖位置Sの方向に旋回させられていて、解除位置Fにあるロック装置1を明らかにするために、図面では両方のレバー22に切欠きを有している。
【0081】
図3aには、互いに相対的に可動の2つの家具部分2を蓄力器3(詳細部分には明示せず)の力に抗して解除可能にロックするためのロック装置1が拡大図で示してある。
【0082】
ロック装置1は、ハート凹部5を有するハートカム状のロック輪郭部4と、このハートカム状のロック輪郭部4に対して相対的に可動のロック要素6とを備えている。
【0083】
ロック要素6は、ガイドを介して両方のレバー22のうちの一方に配置されていてよい。ロック要素6は、例えば、レバーの長手延在の方向に移動可能である。ロック要素6は、
図2aにおいて明らかなように、旋回可能に支持されていてもよく、こうして、ロック装置1の輪郭部に追従することができる。
【0084】
ロック装置1は、ロック要素6がハート凹部5内に配置されておらず、このハート凹部5を(本図では上向きに)越えて、例えばバイパス通路10内または押通し凹部7内にも配置されていないため、解除位置Fにある。ロック要素6は、この位置でロック装置1の入口開口11内に進入する。
【0085】
ハートカム状のロック輪郭部4と、逸らし輪郭部8とは、入口開口11と押通し凹部7との間に配置されている。
【0086】
ロック要素6は、互いに相対的に旋回可能な2つのレバー22のうちの一方に配置されている。ハートカム状のロック輪郭部4は、互いに相対的に旋回可能な2つのレバー22のうちの一方に配置されていて、ロック要素6は、互いに相対的に旋回可能な2つのレバー22のうちの他方に配置されている。
【0087】
図3bには、ロック装置1がまだ解除位置Fで示してある。この解除位置Fでは、両方のレバー22が、
図3aに対してさらに互いに旋回させられている。
【0088】
図3cには、ロック装置1が過剰押圧位置Uで示してある。この過剰押圧位置Uでは、2つのレバー22が押通し位置Dで配置されている。この押通し位置Dでは、ロック要素6がハート凹部5よりも上方に配置されている。なぜならば、本発明の範囲内では、ロック要素6の、ロック装置1の入口開口11内に進入した端部が考察されるからである。
【0089】
図3dには、ロック装置1がロック位置Vで示してある。このロック位置Vでは、ロック要素6が、ハートカム状のロック輪郭部4のハート凹部5内に配置されている。
【0090】
図3eには、ロック装置1が過剰押圧位置Uで示してある。この過剰押圧位置Uでは、ロック要素6がバイパス通路8内に配置されている。レバー22は押通し位置Dにある。
【0091】
図3fには、ロック装置1が過剰押圧位置Uで示してある。この過剰押圧位置Uでは、ロック要素6が押通し凹部7内に配置されている。レバー22は、この位置で完全に互いに相対的に旋回させられていて、互いに実質的に平行な位置にある。
【0092】
図3gには、ロック装置1が、過剰押圧位置Uと解除位置Fとの間の経路上にて示してある。この経路上では、ロック要素6が、押通し凹部7から逸らし輪郭部8の逸らし傾斜部9に衝突し、ロック要素6が、本図でバイパス通路10の左方に押し退けられる。
【0093】
ロック要素6が逸らし傾斜部9を通過した後、ロック要素6は、ハートカム状のロック輪郭部4の脇を通り、入口開口11を介して進出することができる。このことは、通常、逸らし輪郭部8の接触の終了後にまたはロック要素6に(本図では左側の方向へ)加えられている予荷重を介して自動的に生じさせることができる。
【0094】
図3hには、ロック装置1が、再度解除位置Fに移行された位置で示してある。説明したサイクルは再度実施することができる。ロック要素6は、ハート凹部5内での停止なしに押通し凹部7内に直接押圧され、これによって、ロック位置Vを生じさせることなしに、再度解除位置Fに移行させられてもよい。
【0095】
ロック要素6は、ロック位置Vでハートカム状のロック輪郭部4のハート凹部5内に配置されており、ロック要素6は、ロック位置Vから過剰押圧位置Uへの運動によってハート凹部5から解除位置Fに可動となる。
【0096】
ロック装置1は、ハート凹部5と別個の押通し凹部7を有していて、この押通し凹部7内でロック要素6が過剰押圧位置Uに可動となる。ロック装置1は、押通し凹部7からハート凹部5内へのロック要素6の運動を妨げる逸らし輪郭部8を有している。
【0097】
逸らし輪郭部8は、ロック要素6を押通し凹部7内への配置から出発して解除位置Fの方向に押し退ける逸らし傾斜部9を有している。
【0098】
バイパス通路10によって、ロック要素6はハート凹部5の脇を通り、押通し凹部7内に運動させられる。
【0099】
図4には、家具キャビネット41と、この家具キャビネット41に対して相対的に可動の家具部分2とを備えた家具40が示してある。この家具40は突き出し装置20を有している。
【0100】
可動の家具部分2は、互いに枢動自在に結合された2つのプレート42を有している。これら2つのプレート42は、少なくとも2つのプレート42が同一の平面内に配置されている共平面の位置Kと、少なくとも2つのプレート42が互いに平行に配置されている(2つのプレート42が収容ポケット43内に配置されている場合の)平行位置Pとの間で可動である。
【0101】
突き出し装置20は、2つのプレート42のうちの一方に配置されている。2つのレバー22は、ロックされた閉鎖位置Sで配置されている。なぜならば、2つのプレート42が共平面の位置Kにあるからである。
【0102】
突き出し装置20は、2つのプレート42への加圧によって、ロックされた閉鎖位置Sから開放旋回位置Gに移行可能である。このとき、加圧は、2つのプレート42が互いに枢動自在に結合されている領域で実施可能である。加圧が終了した後、2つのプレート42は開放位置に移行する。
【0103】
第1の詳細図には、ヒンジ46が拡大図で示してある。2つのプレート42は共平面の位置Kに配置されている。中央で枢動軸には、組み付けられた状態で家具キャビネット41の方向に突き出ている制限要素50が配置されている。この制限要素50によって、2つのプレート42が互いに共平面の位置Kにあるときに、2つのプレート42の折曲運動が、家具キャビネット41の奥行きの方向で制限可能となる。
【0104】
2つのプレート42の共平面の位置Kでは、制限要素50は、家具キャビネット50から僅かに、例えば約3mm離間させられている。
【0105】
制限要素50を介して、1つには、2つのプレート42の過度に強い過剰押圧が阻止され、もう1つには、突き出し装置20に対する規定の解除ストロークが付与される。
【0106】
第2の詳細図には、ヒンジ46が拡大図で示してある。2つのプレート42は、共平面の位置Kから家具キャビネット41の方向に過剰押圧された位置において。
【0107】
2つのプレート42が、互いに共平面の位置Kから出発して、2つのプレート42を互いに結合する軸の領域で家具キャビネット41の奥行きの方向に押し込まれると、制限要素50が家具キャビネット50に当接し、これによって、家具キャビネット41の奥行きの方向への2つのプレート42の更なる折曲運動を阻止する。
【0108】
こうして、タッチラッチ機能を有する突き出し装置20に対する可変に調整可能な規定の解除ストロークも提供することができる。この場合、2つのプレート42は、突き出し装置20によって共平面の位置Kから出発して一部区間を介して平行位置Pの方向に突き出し可能となる。
【0109】
図5aには、突き出し装置20が示してある。2つのレバー22のうちの一方が、突き出し装置20を可動の家具部分2に固定するための固定手段24を有している。
【0110】
第2のレバー22は自由端部25を有している。この自由端部25には、レバー22を当接面27に支持するための回転可能に支持された2つの転動体26が配置されている(第2の転動体26は、側面図に基づき、第1の転動体26によって隠れている)。当該レバー22には、1つのスペーサ28が配置されている。この1つのスペーサ28は、自由端部25に対して相対的にそれぞれ異なる位置に配置可能である。
【0111】
図5bには、突き出し装置20が示してある。この突き出し装置20は、保持装置30の第1の部分29aを有している。この第1の部分29aは、保持装置30の、家具キャビネット41に配置された第2の部分29bに作用結合される。保持装置30の部分29aは、永久磁石31を有しており、他方の部分29bは、部分的に金属で形成されている。保持装置30の第1の部分29aは、突き出し装置20の外面32に配置されている。
【0112】
図6aには、家具40が示してある。突き出し装置20は、ロックされていない押通し位置Dにある。なぜならば、2つのプレート42が平行位置Pにあるからである。
【0113】
家具キャビネット41の側方に配置された収容ポケット43は、可動の家具部分2を平行位置Pで収容するために設けられている。
【0114】
2つのプレート42が収容ポケット43から引き出されると、突き出し装置20が、過剰押圧位置Uにあるロック装置1によって平行位置Pを終了し、2つのプレート43が拡開位置に移行する。
【0115】
2つのプレート42を収容ポケット43から突き出すために、突き出し機構49が設けられている。
【0116】
図6bには、
図6aのうちの一部が拡大して示してある。突き出し装置20は、押通し位置Dにあり、突き出し装置20に配置されたロック装置1は、過剰押圧位置Uにある。
【0117】
図7には、突き出し装置20がその個別構成要素で示してある。ロック要素6は、曲げられたバーとして存在している。しかしながら、ピン状のロック要素6もまた可能である。
【0118】
ばね35の形態の蓄力器3は、軸に配置されている。この場合、両方の軸のうちの一方である対称軸が、突き出し装置20のレバー22の回動軸を規定している。
【0119】
ハートカム状のロック輪郭部4と、押通し凹部7と、逸らし輪郭部8とは、1つの共通のベース12に配置されている。
【0120】
図8aには、別の実施例による突き出し装置20が示してある。この突き出し装置20は、家具キャビネット41と、2つのプレート42から成る可動の家具部分2との間に配置されている。右側には、内在の輪郭部を有する突き出し装置20の詳細部分が示してある。
【0121】
突き出し装置20は閉鎖位置Sにある。この閉鎖位置Sでは、突き出し装置20に配置されたロック装置1が、ロック位置Vにある。したがって、2つのプレート42が共平面の位置Kにある。
【0122】
図8bには、突き出し装置20が押通し位置Dで示してある。この押通し位置Dでは、ロック装置1が過剰押圧位置Uにある。
【0123】
図8cには、共平面の位置Kと開放位置との間の2つのプレート42の位置が示してある。この位置では、転動体26が、家具キャビネットに支持されていて、2つのレバー22のうちの一方が、固定手段24を介して、可動の家具部分2に結合されている。
【0124】
図8dには、可動の家具部分2の開放位置が示してある。この開放位置では、可動の家具部分2に配置された突き出し装置20が、開放旋回位置Gにある。
【0125】
図9aには、側方の収容ポケット43内にある可動の家具部分2が示してある。2つのプレートは平行位置Pにあり、突き出し装置20は押通し位置Dにあり、ロック装置1は過剰押圧位置Uにある。
【0126】
図9bには、2つのプレート42が収容ポケット43から引き出されていて、突き出し装置20が2つのプレート42を拡開位置の方向に拡開する可動の家具部分2の位置が示してある。なぜならば、ロック装置1が、収容ポケット43内ではロック位置Vにないからである。
【0127】
図9cには、突き出し装置20が開放旋回位置Gにあり、丁度まだ両方のプレート42に接触している可動の家具部分2の位置が示してある。
【0128】
図10aには、突き出し装置20が拡大図で示してある。この拡大図では、ロック装置1と内在の構成要素とが図面において明らかになっている。
【0129】
図10bには、突き出し装置20が示してある。2つのレバー22の間に拡開要素33が配置されており、別の蓄力器34が設けられている。2つのレバー22には、別の蓄力器34によって拡開要素33を介して力が加えられる。
【0130】
蓄力器3と別の蓄力器34とは、ばね35の形態で形成されている。この場合、蓄力器3はねじりコイルばねとして存在していて、別の蓄力器34はコイルばねとして存在している。
【0131】
別の蓄力器34は、不動に配置された蓄力器保持体36と、この蓄力器保持体36に対して相対的に可動の蓄力器保持体37との間に配置されている。別の蓄力器34は、拡開要素33に結合された横方向ステー38に配置されている。この横方向ステー38は、可動の蓄力器保持体37の機能を同時に引き受ける。横方向ステー38は、一方のレバー22に沿って運動するための2つの転がり要素39を備えている。拡開要素33は、横方向ステー38とレバー22のうちの一方とに枢動自在に結合されている。
【0132】
蓄力器3と別の蓄力器34とには、2つのレバー22のうちの一方の運動によって荷重を加えることができる。
【0133】
図11aには、突き出し装置20が開放旋回位置Gで示してあり、
図11bには、突き出し装置20が押通し位置Dで示してある。
【0134】
図12aには、共平面の位置Kにある可動の家具2を備えた家具が示してある。
【0135】
図12bには、走行キャリッジ45を備えた家具が示してある。走行キャリッジ45は、水平に配置されたレール44に沿って走行可能である。走行キャリッジ45は、2つのプレート42のうちの一方に連結されている。2つのプレート42を互いに枢動自在に結合するために、ヒンジ46が設けられている。
【0136】
走行キャリッジ45は、可動の家具部分2と共に収容ポケット43内に格納可能である。走行キャリッジ45は、レール44に沿った運動時にガイドローラ47を介してガイド48に支持されている。拡開要素33の運動は、走行キャリッジ45によって阻止可能である。
【0137】
図12cでは、
図12bと異なり、見やすさの理由から、収容ポケット43の一方の側壁と、2つのプレート42のうちの一方とが取り除いてあり、これによって、突き出し装置20と構造上の構成とが明瞭になっている。
【0138】
図13には、
図8aに示した実施例による突き出し装置20がその個別構成要素に分解して示してある。この実施形態では、ロック要素6がピン状に形成されている。
【0139】
この実施例によるロック装置1は鏡像対称的に形成されている。この場合、2つのハートカム状のロック輪郭部4と、2つの逸らし輪郭部8と、2つの入口開口11と、2つの押通し凹部7と、2つのバイパス通路10とが存在している。
【0140】
図14aには、突き出し装置20が、内在の構成部分輪郭部およびロック装置1の拡大した詳細部分と共に閉鎖位置Sで示してある。ロック装置1はロック位置Vにある。
【0141】
図14bには、ロック装置1を備えた突き出し装置20が解除位置Fで示してある。
【0142】
図15には、2つの拡開要素33に連結された(例えば
図11a参照)2つのばね35(コイルばね)の形態の2つの別の蓄力器34と、1つの枢動軸に配置された2つのばね35(ねじりコイルばね)の形態の2つの蓄力器3とを備えた突き出し装置20のモーメント推移が示してある。
【0143】
突き出し装置20は対称的な構造を有しているので、コイルばねとねじりコイルばねとにより生じて拡開要素33に作用する力が、モーメント推移に線図の形態で示してある。考察は、コイルばねの形態の別の蓄力器34と、ねじりコイルばねの形態の蓄力器3とに限定されるものではない。
【0144】
横座標には、拡開要素33の運動により生じる両方のレバー22の間の角度βが[°]で示してある。縦座標には、拡開要素7を介してレバー22に作用する作用モーメントが[Nm]で示してある。
【0145】
方形のデータドットを有する特性線は、コイルばねにより生じる作用モーメントを表しており、明色の円形のデータドットを有する特性線は、ねじりコイルばねにより生じる作用モーメントを表している。暗色の円形のデータドットを有する特性線は、その下方に位置する2つの特性線の総和を表していて、角度βにわたって変化する、レバー22に加えられるモーメントを示している。
【0146】
共平面の位置Kおよび実質的に平行位置Pでは、レバー22に、コイルばねにより生じるモーメントは作用しない。共平面の位置Kと開放位置との間ならびに平行位置Pと拡開位置との間では、ねじりコイルばねの、小さくなっていく方の作用モーメントが、コイルばねの、大きくなっていく方の作用モーメントを部分的に補償する。これによって、レバー22に対して調和のとれたモーメント推移が生じる。
【0147】
さらに、突き出し装置20の閉鎖位置Sでは、コイルばねとレバー22との間の小さな角度βに基づき、ばね35のモーメントは、拡開要素33とレバー22とに実質的に作用しない。これによって、共平面の位置Kからの突き出し装置20による可動の家具部分2の穏やかな開放と、平行位置Pからの穏やかな拡開とが保証される。なぜならば、レバー22にばね35によって急激に力が加えられないからである。
【符号の説明】
【0148】
1 ロック装置
2 家具部分
3 蓄力器
4 ロック輪郭部
5 ハート凹部
6 ロック要素
7 押通し凹部
8 逸らし輪郭部
9 逸らし傾斜部
10 バイパス通路
11 入口開口
12 ベース
20 突き出し装置
21 構成部分
22 レバー
23 角度
24 固定手段
25 端部
26 転動体
27 当接面
28 スペーサ
29a 第1の部分
29b 第2の部分
30 保持装置
31 永久磁石
32 外面
33 拡開要素
34 別の蓄力器
35 ばね
36 不動の蓄力器保持体
37 可動の蓄力器保持体
38 横方向ステー
39 転がり要素
40 家具
41 家具キャビネット
42 プレート
43 収容ポケット
44 レール
45 走行キャリッジ
46 ヒンジ
47 ガイドローラ
48 ガイド
49 突き出し機構
50 制限要素
V ロック位置
U 過剰押圧位置
F 解除位置
G 開放旋回位置
S 閉鎖位置
D 押通し位置
K 共平面の位置
P 平行位置
【国際調査報告】