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  • 特表-高圧処理袋の破損検知装置 図1
  • 特表-高圧処理袋の破損検知装置 図2
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  • 特表-高圧処理袋の破損検知装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】高圧処理袋の破損検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/16 20060101AFI20230208BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20230208BHJP
   B01J 3/03 20060101ALI20230208BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G01M3/16 Z
B01J3/02 101A
B01J3/03 A
B01J3/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557205
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 ES2019070804
(87)【国際公開番号】W WO2021105525
(87)【国際公開日】2021-06-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522206870
【氏名又は名称】ハイパーバリック,エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ロペス オンデビーリャ,ラウル
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ロマン,シロ
(72)【発明者】
【氏名】タラゴ ミンゴ,サンティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】エルナンド サイス,アンドレス,フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】エルナンド サイス,フランシスコ,ハビエル
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA47
2G067BB11
2G067BB22
2G067DD23
(57)【要約】
高圧処理袋の破損を検知する装置において、細長い電極(1)は、前記電極(1)の基端部分が、前記装置の複数のプラグ(5a、5b)のうちの一方のプラグの内部を部分的に通って延び、かつ、前記電極(1)の先端部分が、処理対象の製品の当該袋(6)内へと延びており、前記電極(1)は、前記袋(6)内に位置し前記製品と接触している部分を除いて、その全長に沿って絶縁体(2)により電気的に絶縁されており、前記プラグの外へ延びる前記電極(1)の基端部分は、電源、および、回路の電流、抵抗または静電容量を測定する装置に接続されており、もし前記袋が破損した場合、前記電極と加圧水との間の前記回路を閉じることによって電気的に接続される、装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、前記処理容器を閉じるための2つのプラグ(5a、5b)と、を有する、高圧処理袋の破損を検知する装置において、
電極(1)の基端部分が、複数の前記プラグ(5a、5b)のうちの一方のプラグの内部を部分的に通って延び、かつ、前記電極(1)の先端部分が、処理対象の製品を収容する当該袋(6)内へと延びるように適合された細長い前記電極(1)を備え、
前記電極(1)は、前記袋(6)内にある、前記製品と接触している部分を除いて、その全長に沿って絶縁体(2)により電気的に絶縁されており、
前記プラグの外へ延びるように意図された前記電極(1)の基端部分は、電源、および、回路の電流、抵抗または静電容量を測定する装置に接続されており、
前記電極と加圧水との間の前記回路を閉じることによって電気的に接続される、装置。
【請求項2】
前記電極(1)は、前記充填プラグ(5a)を通って延びている、請求項1に記載の高圧処理袋の破損を検知する装置。
【請求項3】
前記電極(1)は、前記プラグに対する前記電極のシールを補助する肥厚部およびキャップ(7)を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記電極(1)は、コネクタ(9)を通って前記袋(6)内へと延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記キャップ(7)と前記コネクタ(9)とがフランジ(12)により接合されている、請求項3および4に記載の装置。
【請求項6】
前記電極(1)は、前記袋(6)の前記充填プラグ(5a)とのコネクタ(14)を通じて、前記袋(6)内へと延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記電極(1)は、前記コネクタ(14)自体上または中央継手(15)上に位置する補助コネクタ(9´)によって、前記コネクタ(14)を通じて前記袋(6)内へと延びている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
単一の製品充填および排出プラグ(5a)と、前記充填および排出のための弁と、を有する高圧処理機械であって、
請求項6または7に記載の装置を備えており、
前記弁は、その雄型弁座(8)内のプラスチック膜(3)と、絶縁材料で作られた逆止弁(5)と、を備える、高圧処理機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧送可能な物質として知られる物質、特に飲料、化粧品等の流体(ただし、これらに限定されるものではない)に対する、高圧処理の装置および方法の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
高圧処理(High-Pressure Processing:HPP)は、4,000barを超える圧力を加えることで、処理対象の製品の特性を変質させることなく、微生物量をうまく減少させる技術である。最も普及したHPP機器の動作は、ボトル等の可撓性包装内にあらかじめ存在する製品を処理することによるものである。古典的な形式の高圧処理は、バッチにて行われる、すなわち、離散的で非連続なプロセスにより行われる。はじめに、可撓性の最終包装内部の製品は、(硬質プラスチック製の)入れ物内に充填され、この入れ物がスチール容器に導入される。次いで、当該スチール容器が水で満たされる。いったん容器が満たされると、当該容器は完全に閉じられ、4,000~6,000barに達するまで、1または複数の高圧増圧器を通じて、水が高圧にて圧送される。この圧力は、一定時間維持される。当該時間は、一般にレシピ(処方)と称されるものに応じて、数秒から数分まで変化し得る。
【0003】
高圧を利用して液体を処理する新しい方法は、処理容器の内部に位置する可撓性袋または可撓性膜の内部の液体に圧力を加えることに基づく。袋を充填する工程、および袋を排出する工程は、機械を開けることなく実行される、すなわち、楔またはプラグを動かすことなく実行される。この技術の一例を、出願PCT/ES2017/070600に見出すことができる。処理対象の製品は、単一の製品プラグを通して、導入され除去される。このプラグは、1つの製品用入口ダクトと、洗浄剤用のもう1つのダクトと、を有する。当該製品は、金属‐金属シート弁を通って、高圧チャンバまたは高圧容器の内部に配置された可撓性袋または可撓性膜内に入る。容器内に存在する空気は、同様の弁を有するが頂部に位置する通気プラグにより、排気される。いったん袋が充填されると、これらの弁は閉じられ、その他のダクトを通じて、水が高圧にて容器内に圧送され、袋の周りに高圧の水が導入される。最も一般的なレシピは、(処理対象の製品に応じて、)3分間または4分間で6,000barであり、その間に、製品ダクトが洗浄される。
【0004】
処理の間に、袋または膜が破損してしまう可能性がある。図1を参照すると、大容量HPP機器の一連の動作は、以下の工程からなる:
1.プラグ5aのダクト33´を通じて、圧送可能な物質で袋6を充填する工程。
【0005】
2.容器を加圧する工程:ダクト20を通じて、水を高圧で圧送する。加圧された水は、容器4の内部かつ袋6の外部に残る。
【0006】
3.容器4内部の圧力を、(レシピ選択時にオペレータが定める)所定の時間、維持する工程。
【0007】
4.減圧する工程:ダクト20内に位置する吐出弁を通じてチャンバ内部から外部へと水を放出することにより、圧力を解放する。
【0008】
5.袋を排出する工程。プラグ5a上の同じ充填弁、またはプラグのいずれかにおける作動可能であろう別の弁を通じて、この工程が行われる。
【0009】
6.以上の工程が、袋を交換するまで一定回数繰り返される。
【0010】
袋の充填工程中の問題によって、袋の完全性(破損のない状態)に影響が及ぶ可能性がある。導入されるリットル(容積)数が十分に制御されていない場合に、圧送の圧力により袋が破損する(破れる)可能性があるからである。また、破損は、チャンバを減圧する工程の間にも起こり得る。減圧工程の間、(6,000barであり得る)加圧した水は、吐出弁を開くことにより、チャンバ内部から瞬時に放出される。圧力が大気圧と等しくなるためには、圧送工程で導入したのと同量の水が放出されることが必要である。液体には、圧力のより高い領域から圧力のより低い領域へと移動する傾向があるため、水と圧送可能な物質との両方が同じ圧力を有すると仮定すれば、両流体は、弁が開いているときに外に出る傾向がある。その結果、容器外部の方へ移動しようとする際に、圧送可能な物質が、放出経路に沿って袋を引きずり、当該袋を破損させる可能性がある。吸入による損傷を袋が受ける可能性のある別の工程は、袋を排出する工程である。弁の流出経路に向かって袋が引きずられる可能性があるためである。現在の袋の漏れ検知システムは、袋が空になった際に(工程5)、袋の外部に空気または他の任意の気体の圧力を加え、その結果、袋の破損がある場合に、製品流出管路内で圧力が検知されることに基づいている。しかしながら、容器壁に対して及ぼされる圧力により、または袋の折り目により穴がシールされることがあるため、この検知システムの信頼性は十分ではない。加えて、この方法では袋を完全に空にする必要があるので、破損が検知された場合には、製品はすでに容器から排出されているだろうから、排出回路の一部を清浄にする必要があり、結果として、時間的な損失が生じる。最後の容積分は最初の容積分よりも排出速度が遅いため、袋が破損していない場合、袋を完全に空にするために長い時間がかかるという別の欠点がある。そのため、袋に破損がないことを確かめるために製品全体を取り出す必要性により、サイクル時間が長くなる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述した欠点を解決する、高圧処理装置の袋の破損を検知する装置を提供することである。これを達成するために、本発明は、請求項1に記載の装置を有し、当該装置は、袋の周囲の加圧水と内部の製品との間の電気的パラメータ(好ましくは、抵抗、静電容量または電流強度)を測定する手段を備える。袋の外部は処理容器と接触しており、両者の間には少量の水があるため、袋の内部と外部との間に接続点があれば、加圧水と製品との間で測定される電気的パラメータの値は、破損があるかどうかで変化するだろう。したがって、このパラメータを監視することにより、破損の有無を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の特徴をより十分に理解するのを助け、かつ、本明細書を補足するために、例示的だが限定的でない一式の図面が、説明における不可欠な一部として、本明細書に添付されている。
図1】従来技術に係る1つの機器内の圧送可能な物質に対するHPPの工程を示す。
図2】本発明の概略を示す。
図3】本発明の詳細を示す。
図4】既存の袋に対するコネクタを使用して袋内に電極を導入する、本発明の別の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2および図3を参照すると、容器と、当該容器を閉じる2つのプラグ(5aおよび5b)とを備える高圧処理機械において、本発明は、細長い電極1を備える。当該細長い電極1は、基端部分が、プラグ5aの内部を部分的に通って延び、さらに先端部分が、処理対象の製品を収容する袋に電極が導入されるよう延びている。図面に示す実施形態では、電極は、充填プラグ5aを通って延びているが、もう一方のプラグを通じて、容器内に導入することもできるだろう。プラグの内部に延びる基端部分において、電気ケーブル13は、それを電源に接続する。このとき、前記電極はカソードとして働く。プラグおよびその外部を通って袋の領域へと延びる区間において、電極は、絶縁体2(連続コーティングまたはプラスチック部品のセット)によって、電気的に絶縁されている。このように、電極は、プラグと加圧水10との両方から絶縁されている。電極は、その中間において、プラグとの機械的接触を確実にするための肥厚部を有していてもよい。電極を所定の位置に保持し、かつ上記機械的接触を確実にするために、キャップ7が電極上に配置されている。キャップ7が電極を押すことで、当該電極の雄型円錐形状は、プラグの雌型円錐形状に対してシールを形成する。処理対象の製品を含む袋6は、当該袋へのコネクタ9を有する。このことは好ましいものの、必ずしも必要ではない。電極は、当該袋へのコネクタ9を通じて、導入される(図3)。あるいは、袋から充填プラグへの同じ既存のコネクタ14により、袋のコネクタ14に取り付けられた補助コネクタ9´を用いて、電極を導入してもよい(図4)。好ましくは(必須ではないが)、それらの組み立てを容易にする中央継手15を用いてもよい。袋の内部にある電極の最終区間は、処理対象の製品と接触するため、絶縁材料を有しない。
【0014】
電極のコネクタ9が袋のコネクタ14から離隔した第1の実施形態において、コネクタ9とキャップ7とのアセンブリには、任意選択において、フランジ12が設けられる。フランジ12は、処理の全工程中において当該アセンブリのシールを確実にするように、全てをまとめて保持する。これにより、製品の汚染を招来するであろう、加圧水10と袋内部の処理対象の製品との間の連通が防止される。
【0015】
図4に示す第2の実施形態において、製品プラグ5aへの袋6のコネクタ14は、上述のようにコーティングされていない電極の先端部分を導入するための補助コネクタ9´を有する。当該補助コネクタ9´は、中央継手15内にあることが好ましいが、必須ではない。
【0016】
袋6、コネクタ9、9´、14、および中央継手15は、電気絶縁材料から作製する必要がある。
【0017】
ケーブル13と電極1とを接続する電源は、6V~60Vの直流、好ましくは約24Vの直流である。任意選択において、電極が十分長く作られている場合には電源には電極のみが接続される。電圧がより小さい場合には、システムの正確さはより小さくなる。だが、電圧がより大きい場合には、電極に電位差が加えられたときに、処理対象の製品内に電解現象が起こり得る。電極の断面積は、1mmよりも大きくすべきだろう。システムは、電極の断面積が大きいほど、より正確になる。
【0018】
アノードは、加圧水と電気的に接触している、第2の電極13´である。最も一般的な場合には、高圧機械は金属製であるため、単に加圧水と接触している処理容器の外側部分またはプラグ5aに電極を接続すれば十分である。
【0019】
出願PCT/ES2017/070600に記載されているタイプの高圧処理機械の場合、機器は、単一の製品充填および排出ダクトと、雄型弁座および雌型弁座が金属製である単一の弁と、を有する。したがって、上記の弁の雄型弁座8内に、袋6に最も近い先端領域内にプラスチック膜3が設けられる。この膜は、電気的接触がないことを確実にするように、絶縁材料で作られたロッドを通じて接続されている。しかしながら、袋の雌型コネクタ14はプラスチック製である。そのため、当該雌型コネクタは電気絶縁体である。したがって、雄型弁座8が閉じると、その移動によって、膜3が当該雄型弁座8と一体となっているために当該膜3が移動する。そして、膜3は、雄型弁8の袋6から、したがって加圧水10から、電気的に絶縁されるようになる。膜3と充填/排出弁8との間の圧送可能な物質の体積は、加圧中に減少する。そのため、膜3の両面上の圧力を等しくして圧送可能な物質が袋6の内部から通過するのを可能にし、部品11または14、および膜3自体が潰れるのを防ぐことを可能にするシステムを有する必要がある。この機能は、逆止弁5により実行される。当該逆止弁は、膜またはスプリングリターンを有するプラスチックボールであってもよい。逆止弁5は、常に電気絶縁材料で作られている必要がある。当該膜は、逆止弁との組み合わせにおいて、充填弁を通る電流の発生を防止し、電気回路が開いた状態を保つ。電極を絶縁する必要があるのとちょうど同じように、充填弁もまた、膜および逆止弁によって、絶縁する必要がある。
【0020】
電気的パラメータは、加圧サイクル全体を通してモニタリングされてもよい。最も一般的には、いったん加圧サイクルが完了して、加圧処理を受けた製品が大気圧に至ってから、袋が空になるまでに、当該電気的パラメータはモニタリングされるだろう。この目的のために、電圧が電極1に印加される。容器とプラグとの両方が金属(導電体)でできているので、袋が破損していた場合、袋の内部から、袋の外部へと、そして、加圧水を通って容器/プラグへと、電流が流れ、回路が閉じられるだろう。これにより、強度を測定できる電流が発生する。袋が破損のない状態を維持していれば、電気回路は、絶縁材料から作られているため、開いたままである。そのため、たとえプラグの電極に電圧が印加されても、回路が閉じていないので、電流は同じ経路を通って移動しないだろう。同様に、上記回路の静電容量または抵抗を、電流強度の代わりに測定することができる。
【0021】
本発明に係る装置は、処理袋が満杯であるときに、当該処理袋の小さな破損を検知することができる。これにより、陽性を検知した場合、タンクおよび処理される製品管路の汚染を回避することが可能になる。この方法は、高速であり、また、従来技術の場合のようにサイクル時間に不利が生じることがない。また、本発明に係る装置は、偽陽性または偽陰性を防止する。最後に、本発明に係る装置は、既存のシステムとの適合性があり、高圧制限に耐え、生産オペレータによる袋を変更する間の取り扱いおよび取り付けが容易である。
【0022】
本発明を、そのいくつかの好ましい実施形態にしたがって説明してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明の主題を超えることなく、かかる好ましい実施形態内に複数の変形を組み込むことができることを、本明細書および図面に基づいて、当業者ならば理解するだろう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】