(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20230209BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20230209BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20230209BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20230209BHJP
C08L 75/00 20060101ALI20230209BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J133/00
C08G18/00 C
C08L33/00
C08L75/00
B65D33/25 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521119
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 CN2019114657
(87)【国際公開番号】W WO2021081879
(87)【国際公開日】2021-05-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】パイ、チェンイェン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、イン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チエンリャン
(72)【発明者】
【氏名】イン、レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シンホン
【テーマコード(参考)】
3E064
4J002
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
3E064AA05
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(57)【要約】
接着剤組成物が提供される。成分として、(a)ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンとの混合物であって、ポリウレタン分散液は、ポリウレタン分散液の総乾燥重量に基づいて、30乾燥重量%から50乾燥重量%のモノメリックジイソシアネートと、45乾燥重量%から69乾燥重量%のポリメリックポリオールと、1乾燥重量%から15乾燥重量%のイオン性界面活性剤との反応生成物を含み、ポリウレタン分散液のTgが-15℃~15℃であり、アクリルエマルジョンのTgが-10℃~25℃であり、ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンとの重量比が15:85から85:15である、混合物と、(b)ポリイソシアネートとを含む、ジッパーバッグ用途のための接着剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分として、
(a)ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンの混合物であって、
前記ポリウレタン分散液は、前記ポリウレタン分散液の総乾燥重量に基づいて、30乾燥重量%から50乾燥重量%のモノメリックジイソシアネートと、45乾燥重量%から69乾燥重量%のポリメリックポリオールと、1乾燥重量%から15乾燥重量%のイオン性界面活性剤との反応生成物を含み、前記ポリウレタン分散液のTgが-15℃~15℃であり、前記アクリルエマルジョンのTgが-10℃~25℃であり、前記ポリウレタン分散液と前記アクリルエマルジョンとの重量比が15:85から85:15である、混合物と、
(b)ポリイソシアネートとを含む、ジッパーバッグ用途のための接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、水分散性脂肪族ポリイソシアネートである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記水分散性脂肪族ポリイソシアネートが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン、4,4´-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、及びそれらの任意の組み合わせから選択される脂肪族モノメリックジイソシアネートの三量体である、請求項2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートの含有量が、ポリウレタンとアクリルエマルジョンとの混合物の総重量に基づいて1%から10%である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記アクリルエマルジョンが、前記アクリルエマルジョンの総乾燥重量に基づいて、50乾燥重量%から70乾燥重量%のBAと、35乾燥重量%から50乾燥重量%のスチレンと、1乾燥重量%から5乾燥重量%のアクリル酸との反応生成物を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記ポリウレタン分散液と前記アクリルエマルジョンとの重量比が15:85から45:55である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
ジッパーバッグを製造する方法であって、
(a)フィルム基材を用意すること、
(b)請求項1に記載の接着剤組成物を用意すること、
(c)前記接着剤組成物を前記基材に塗布してラミネートを形成すること、
(d)前記ラミネートを硬化させること、及び
(e)前記ラミネートでポーチバッグを作り、ジッパーを挿入してジッパーバッグを形成すること、を含む、方法。
【請求項8】
本開示による方法によって調製されたジッパーバッグ。
【請求項9】
ジッパーバッグ用途のための本開示の接着剤組成物の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤組成物に関し、詳細には、ポリウレタン分散液とポリアクリレートエマルジョンとを含む接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
WB接着剤は、従来、柔軟な梱包材料に使用されていたが、WB接着剤は、一般的な性能用途にのみ使用されていた。ジッパーバッグ用途などの中程度の性能用途には、WB接着剤を塗布する必要がある。現在、ジッパーバッグ用途では、SL接着剤又はSB接着剤のいずれかしか使用することができず、WB接着剤はジッパーバッグ用途の要件を満たすことができない。
【0003】
一般に、ジッパーバッグの製造方法は、ジッパーを約210℃で溶融する工程を含み、したがって、接着剤組成物は、この高温に耐える必要がある。従来のWB接着剤はこのような高温に耐えられないため、ジッパー部分がトンネルを形成する。
【0004】
トンネルの問題がないジッパーバッグ用途のためのWB接着剤組成物を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ジッパーバッグを製造するための高温に耐えることができ、それによってジッパー領域のトンネルの問題を解決することができる、ジッパーバッグ用途のための接着剤組成物を提供する。
【0006】
本開示の第1の態様では、本開示は、以下の成分、すなわち、
(a)ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンの混合物であって、
ポリウレタン分散液は、ポリウレタン分散液の総乾燥重量に基づいて、30乾燥重量%から50乾燥重量%のモノメリックジイソシアネートと、45乾燥重量%から69乾燥重量%のポリメリックポリオールと、1乾燥重量%から15乾燥重量%のイオン性界面活性剤との反応生成物を含み、ポリウレタン分散液のTgが-15℃~15℃であり、アクリルエマルジョンのTgが-10℃~25℃であり、ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンとの重量比が15:85から85:15である、混合物と、
(b)ポリイソシアネートとを含む、ジッパーバッグ用途のための接着剤組成物を提供する。
【0007】
本開示の第2の態様では、本開示は、
(a)フィルム基材を用意すること、
(b)接着剤組成物を用意すること、
(c)接着剤組成物を基材に塗布してラミネートを形成すること、
(d)ラミネートを硬化させること、及び
(e)ラミネートでポーチバッグを作り、ジッパーを挿入してジッパーバッグを形成すること、を含む、ジッパーバッグを製造する方法を提供する。
【0008】
本開示の第3の態様では、本開示は、本開示による方法によって調製されるジッパーバッグを提供する。
【0009】
本開示の第4の態様では、本開示は、ジッパーバッグ用途のための本開示の接着剤組成物の使用法を提供する。
【0010】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0012】
本明細書で開示されるように、「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。特に記載がない限り、すべての範囲は端点を含む。
【0013】
本明細書に開示されるように、「組成物」、「配合物」、又は「混合物」という用語は、物理的な手段によって異なる成分を単に混合することによって得られる、異なる成分の物理的ブレンドを指す。
【0014】
本明細書に開示されるように、「ガラス転移温度」又は「Tg」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる。
【0015】
本明細書に開示されるように、「ジッパーバッグ」という用語は、ジッパーを有するバッグを意味し、その中で、バッグは、ジッパーによって開閉することができる。バッグは、ポリマーや紙などの任意の材料で作成することができる。ジッパーは、プラスチック(ポリエチレンやポリプロピレン素材を含む)などの素材でできており、溶融法により高温でバッグに接着することができる。
【0016】
本明細書に開示されるように、「ジッパー」は、何度も開閉することができる手段を指す。例えば、「ジッパー」という用語は、ジッパー、係合型シール機構などを含む。
【0017】
特に明記しない限り、本明細書中で言及されるすべての百分率は、重量基準であり、温度は℃である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル又はメタクリレートを指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アクリルモノマー」という用語は、アクリロニトリル(AN)、アクリルアミド(AM)及びそのN置換型誘導体、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、及びそれらのエステル、並びにイタコン酸(IA)を意味する。AA及びMAAのエステルとしては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸ブチル(BMA)、メタクリル酸エチルヘキシル(EHMA)、メタクリル酸ラウリル(LMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル(IBA)、アクリル酸エチルヘキシル(EHA)及びアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)、並びにAA又はMAAの他のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「スチレンモノマー」という用語は、芳香族基、好ましくはスチレン(Sty)及び置換スチレン、例えばα-メチルスチレン(AMS)で置換されたエチレン性不飽和モノマーを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「エマルジョン」「ラテックス」又は「ラテックス組成物」という用語は、例えば、乳化重合などの従来の重合技術によって調製され得る水不溶性ポリマーの分散液をいう。
【0022】
本開示の第1の態様では、本開示は、以下の成分、すなわち、
(a)ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンの混合物であって、
ポリウレタン分散液は、ポリウレタン分散液の総乾燥重量に基づいて、30乾燥重量%から50乾燥重量%のモノメリックジイソシアネートと、45乾燥重量%から69乾燥重量%のポリメリックポリオールと、1乾燥重量%から15乾燥重量%のイオン性界面活性剤との反応生成物を含み、ポリウレタン分散液のTgが-15℃~15℃であり、アクリルエマルジョンのTgが-10℃~25℃であり、ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンとの重量比が15:85から85:15である、混合物と、
(b)ポリイソシアネートとを含む、ジッパーバッグ用途のための接着剤組成物を提供する。
【0023】
接着剤組成物は、水性であり、好ましくは有機溶媒を含まない、すなわち、接着剤組成物は、接着剤組成物の総乾燥重量に基づいて、4乾燥重量%未満、好ましくは2乾燥重量%未満、及びより好ましくは1乾燥重量%未満の有機溶媒しか含まない。
【0024】
ポリウレタン分散液
ポリウレタン分散液は、ポリウレタン分散液の総乾燥重量に基づいて、30乾燥重量%から50乾燥重量%、好ましくは35乾燥重量%から45乾燥重量%、より好ましくは37乾燥重量%から42乾燥重量%のモノメリックジイソシアネートと、45乾燥重量%から69乾燥重量%、好ましくは50乾燥重量%から65乾燥重量%、より好ましくは54乾燥重量%から60乾燥重量%のポリメリックポリオールと、1乾燥重量%から15乾燥重量%、好ましくは1.5乾燥重量%から10乾燥重量%、より好ましくは2乾燥重量%から8乾燥重量%のイオン性界面活性剤との反応生成物(例えば、ポリウレタンプレポリマー)を含む。
【0025】
モノメリックジイソシアネートは、好ましくは、500g/モル未満、好ましくは300g/モル未満、より好ましくは275g/モル未満の分子量Mwを有する。
【0026】
好ましいモノメリックジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、ヘテロ芳香族ジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。好ましい脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレン-ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい芳香族ジイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、及びそれらの組み合わせから選択される。TDIは、一般に、一般的に利用可能な任意の異性体分布で使用することができる。最も一般的に利用可能なTDIの異性体分布は、2,4-異性体80%、2,6-異性体20%である。他の異性体分布を有するTDIを使用することもできる。MDIがポリウレタンプレポリマーの調製に使用される場合、MDIは、一般に、純粋な4,4´-MDI又はMDI異性体の任意の組み合わせである。より好ましくは、それは純粋な4,4´-MDI、及び4,4´-MDIと他のMDI異性体との任意の組み合わせである。4,4´-MDIと他のMDI異性体の組み合わせを使用する場合、4,4´-MDIの好ましい濃度は、すべてのMDI異性体の25%から75%である。
【0027】
ポリメリックポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリシロキサンポリオール、及び任意の他の適切なポリメリックポリオールを含む。ポリメリックポリオール(ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを含む)の分子量Mwは、400から4000g/モル、好ましくは750から3500g/モル、より好ましくは800から3000g/モルである。ポリメリックポリオール(ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを含む)は、1.8から4、好ましくは1.9から3、より好ましくは2から2.5の官能性を有する。
【0028】
ポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、及びブチレンオキシドの付加重合生成物及びグラフト生成物、多価アルコールの縮合生成物、並びにこれらの任意の組み合わせである。ポリエーテルポリオールの好適な例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましくは、ポリエーテルポリオールは、PEGと、上記の付加重合及びグラフト生成物、並びに縮合生成物から選択される少なくとも1つの別のポリエーテルポリオールとの組み合わせである。より好ましくは、ポリエーテルポリオールは、PEGと、PPG、ポリブチレングリコール、及びPTMEGのうちの少なくとも1つとの組み合わせである。
【0029】
ポリエステルポリオールは、ジオールと、ジカルボン酸及びその誘導体との縮合生成物又はそれらの誘導体である。
【0030】
ジオールの好適な例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、及びこれらの任意の組み合わせである。より大きいポリオール官能性を達成するために、トリオール及び/又はテトラオールもまた使用することができる。そのようなトリオールの好適な例としては、トリメチロールプロパン及びグリセロールが挙げられる。そのようなテトラオールの好適な例としては、エリスリトール及びペンタエリスリトールが挙げられる。
【0031】
ジカルボン酸は、芳香族酸、脂肪族酸、及びこれらの組み合わせから選択される。芳香族酸の好適な例は、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸であり、一方、脂肪族酸の好適な例は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、及び2,2-ジメチルコハク酸である。これらの酸の無水物も同様に使用することができる。したがって、本発明では、無水物は、用語「酸」の表現に包含されている。好ましくは、脂肪族酸及び芳香族酸は、飽和であり、それぞれアジピン酸及びイソフタル酸である。安息香酸及びヘキサンカルボン酸などのモノカルボン酸は、最小限に抑えるか又は排除しなければならない。
【0032】
ポリエステルポリオールはまた、ジオール、トリオール、及び/又はテトラオールを用いてラクトンを付加重合させることによって調製することができる。ラクトンの好適な例としては、カプロラクトン、ブチロラクトン、及びバレロラクトンが挙げられる。ジオールの好適な例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、及びそれらの任意の組み合わせである。トリオールの好適な例としては、トリメチロールプロパン及びグリセロールが挙げられる。テトラオールの好適な例としては、エリスリトール及びペンタエリスリトールが挙げられる。
【0033】
ポリカーボネートポリオールは、2から50個の炭素原子を有する1つ以上のアルカンジオールに由来する繰り返し単位を含み得る。ポリカーボネートポリオールは、約500から約5,000、好ましくは約500から約3,000、より好ましくは約1,000から約2500の数平均分子量を有し得る。1つ以上のポリカーボネートポリオールは、平均して約22から約220mgのKOH/g、例えば、約45から150mgのKOH/gのヒドロキシル価を有し得る。
【0034】
ポリウレタンプレポリマーの調製は、当業者に周知の任意の方法であり、縮合重合を含む。ポリウレタンプレポリマーは、好ましくは、NCO基末端プレポリマーである。有機溶剤は、好ましくはポリウレタンプレポリマーの調製には使用されない。
【0035】
本発明のポリウレタン分散液を調製する実施においては、好ましくは、水を添加する前にイオン性界面活性剤をポリウレタンプレポリマーに導入するが、ポリウレタンプレポリマーを添加する前に界面活性剤を水に投入することは、本発明の範囲外ではない。
【0036】
イオン性界面活性剤は、好ましくは、アニオン性であり、内部アニオン性界面活性剤及び外部アニオン性界面活性剤を含む。内部界面活性剤の好適な例としては、2,2-ジメチロールプロピオン酸及びその誘導体が挙げられる。外部界面活性剤の好適な例としては、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましくは、外部界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、n-デシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、イソプロピルアミンドデシルベンゼンスルホン酸塩、及びヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩である。より好ましくは、外部界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0037】
ポリウレタン分散液は、好ましくは25%から60%、好ましくは30%から55%、より好ましくは35%から50%の固形分を有する。
【0038】
一般に、ポリウレタン分散液は、-15℃~15℃、好ましくは-10℃~15℃、より好ましくは-5℃~15℃、さらにより好ましくは-5℃~5℃のTgを有する。
【0039】
アクリルエマルジョン
アクリルエマルジョンはラテックスであり、不飽和アクリルモノマーのポリマーの粒子の水系分散液である。アクリルモノマー及びスチレンモノマー以外に、好適なモノマーとしては、例えば、ビニル(例えば、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルなどの酢酸塩;アルコール;ポリ二塩化ビニル、ポリ塩化ビニルなどの塩化物)が挙げられる。ラテックスは典型的には、25℃で、約10~1000cps、より好ましくは、20~500cpsの範囲の粘度を示す。ラテックス中の固形分は、5から95%の範囲であり得る。より好ましくは20から80%の範囲であり、さらにより好ましくは30から70%の範囲であり、さらにより好ましくは40から60%の範囲である。一実施形態では、ラテックスのポリマーは、5000~2,000,000、より好ましくは、100,000~2,000,000の重量平均分子量を有する。
【0040】
このポリマーは、少なくとも1つのスチレンモノマーの35~50%、好ましくは46%以下の残基を有する。本開示の一実施形態では、ポリマーは、少なくとも1つのスチレンモノマー、好ましくは、スチレンの35~46%の残基を有する。ポリマーは、少なくとも1つのアクリルモノマーの40~80%の残基を有する。好ましくは、ポリマーは、少なくとも一つのC4~C12アクリル酸アルキルエステルモノマーの50~70%の残基を有する。ある好ましい実施形態では、C4~C12アクリル酸アルキルエステルモノマーは、そのBA、EHA、IBA、LMA、又はそれらの組み合わせである。
【0041】
ポリマーは1~5%の(メタ)アクリル酸の残留物を有する。好ましくは、ポリマーは、1~4%の(メタ)アクリル酸の残基を有し、そして最も好ましくは、1.5~3%の残留物を有する。好ましくは、ポリマー中の(メタ)アクリル酸残基は、アクリル酸の残基である。
【0042】
ポリマーは、0.5%未満のヒドロキシル含有モノマーの残基を有する。好ましくは、ポリマーは、0.3%未満のそのような残基を有し、より好ましくは0.2%未満の残基を有し、最も好ましくは、ポリマーはヒドロキシル含有モノマーの残基を実質的に含まない。ヒドロキシル含有モノマーの例としては、例えば、HEMA、HEA、ビニルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)及びアクリル酸ヒドロキシプロピルが挙げられる。好ましくは、ポリマーは、アミノ含有モノマーを実質的に含まない。好ましくは、ポリマーは、カルボン酸基以外に、0.5%未満のイソシアネート反応性基を有し、より好ましくは0.2%未満のイソシアネート反応性基を有し、最も好ましくは、カルボン酸基以外にイソシアネート反応性基を実質的に含まない。
【0043】
ラテックスは、ヒドロキシル官能価を得るために水分散性ポリオールと混合される。水分散性ポリオールは、1~50%の範囲の任意の量を撹拌した場合に、室温の水中で溶液又はエマルジョンを形成するものである。ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオール又はそれらの混合物であり得る。ポリオールは、複数のヒドロキシル官能価を有し、ひいては少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。好ましいポリオールは、ジオール、トリオール又はそれらの混合物から選択される。ポリオールは十分に不揮発性であるため、混合工程において、イソシアネートとの反応のためにそれを完全に又は少なくとも部分的に利用可能である。ポリオールはまた、水溶性又は水分散性である。好ましくは、ポリオールは、100から7500、より好ましくは150から5000、さらにより好ましくは200から1000の数平均分子量を有する。一実施形態では、分子量は1500未満であり、さらにより好ましくは600未満である。非常に好ましいポリオールの例は、ポリプロピレングリコール(PPG)、例えば、400MWのポリプロピレングリコールである。ポリオールは、第1の成分の固形部分の0.1~10%の量で与えられる。好ましくは、ポリオールの量は、5%以下、より好ましくは3%以下、さらにより好ましくは2%以下、そして最も好ましくは1.5%以下である。好ましくは、ポリオールの量は、少なくとも0.3%、より好ましくは少なくとも0.4%、そして最も好ましくは少なくとも0.6%である。成分の固形部分は不揮発性部分であり、典型的にはポリマー及び他の不揮発性添加剤、例えば界面活性剤、顔料、難燃剤を含み、水及び他の溶剤を含まない。
【0044】
安定性を提供するとともに、粒径を制御できるように、界面活性剤が、(例えば、乳化重合又は分散重合で使用するために)本発明の結合剤組成物中に必要に応じて使用され得ることが理解されよう。従来の界面活性剤としては、アニオン性又は非イオン性の乳化剤又はそれらの組み合わせが挙げられる。典型的なアニオン性乳化剤としては、アルカリ又はアンモニウムアルキル硫酸塩、アルカリ又はアンモニウムアルキルエーテル硫酸塩、アルカリ又はアンモニウムアルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸の塩、スルホコハク酸塩のエステル、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、及び複合有機リン酸エステルの塩又は遊離酸が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な非イオン性乳化剤としては、ポリエーテル、例えば、直鎖及び分岐鎖アルキル及びアルキルアリールポリエチレングリコール及び並びにポリプロピレングリコールエーテル及びチオエーテルを含む酸化プロピレンエチレン及び酸化プロピレン縮合物、約7~約18個の炭素原子を含むアルキル基を有するとともに、約4~約100個のエチレンオキシ単位を有するアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びソルビタン、ソルビド、マンニタン、及びマンニドを含むヘキシトールのポリオキシアルキレン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の発明のポリマー組成物において、界面活性剤は、最終組成物の総重量に基づいて、0.1から3重量%以上の濃度で使用され得る。
【0045】
アクリルエマルジョンのTgは、-10℃から25℃、好ましくは-5℃から20℃、より好ましくは0℃から15℃である。
【0046】
ポリウレタン分散液とアクリルエマルジョンとの重量比は、15:85から85:15、好ましくは15:85から60:40、より好ましくは15:85から50:50、最も好ましくは15:85から45:55である。
【0047】
ポリイソシアネート成分は、任意の適切なポリイソシアネートであり得るが、好ましくは、それは、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート又はそれらの混合物である。好ましくは、ポリイソシアネートは、ジイソシアネートである。好適なポリイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、それらの異性体又はそれらの混合物に基づくものが挙げられる。ポリイソシアネート及びポリオールのプレポリマーもまた、使用され得る。脂肪族ポリイソシアネートが特に好ましい。ポリイソシアネートは水溶性又は水分散性であり、すなわち、それは、1~50%の範囲の任意の量を撹拌した場合に、室温の水中で溶液又はエマルジョンを形成する。一実施形態では、ポリイソシアネートは、水分散性脂肪族ポリイソシアネートであり、これは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン、4,4´-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、及びそれらの任意の組み合わせから選択される脂肪族モノメリックジイソシアネートの三量体である。
【0048】
ポリイソシアネートの含有量は、ポリウレタンとアクリルエマルジョンの混合物の総重量に基づいて、1%から10%、好ましくは1%から8%、より好ましくは1.5%から6%、最も好ましくは1.5%から4%である。
【0049】
本開示の接着剤組成物の他の任意の成分としては、共溶剤、凝集剤、顔料又は他の着色剤、充填剤、強化剤(例えば繊維)、分散剤、湿潤剤、ワックス、触媒、発泡剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃剤、接着促進剤、酸化防止剤、殺生物剤、凝集剤、又は安定剤から選択される薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの任意の成分は(必要に応じて)、成分間に配合禁忌を生じさせない任意の添加順序で添加することができる。水性担体中に溶解しない成分(例えば、顔料や充填剤)は、ミキサー(任意選択で、高せん断ミキサー)を用いて、ラテックス若しくは水性担体又は共溶剤中に分散され得る。本組成物のpHは、撹拌しながら酸又は塩基を添加することによって調整することができる。塩基の例としては、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び酢酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。酸の例としては、酢酸、ギ酸、塩酸、硝酸、及びトルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本開示の第2の態様では、本開示は、
(a)フィルム基材を用意すること、
(b)接着剤組成物を用意すること、
(c)接着剤組成物を基材に塗布してラミネートを形成すること、
(d)ラミネートを硬化させること、及び
(e)ラミネートでポーチバッグを作り、ジッパーを挿入してジッパーバッグを形成すること、を含む、ジッパーバッグを製造する方法を提供する。
【0051】
一実施形態では、フィルム基材は、プラスチックや紙などの任意の適切な材料によって調製することができる。例えば、フィルム基材は、2つ以上のプラスチックフィルムのラミネートであり得る。一実施形態では、フィルム基材は、PET層を含むラミネートであり得る。
【0052】
一実施形態では、ジッパーは、ジッパー、係合型シール機構などを備える。ジッパーは、プラスチックなどの任意の適切な材料によって調製することができる。
【0053】
一実施形態では、ジッパーの挿入は、少なくとも160℃、好ましくは190℃、より好ましくは210℃の温度で実施される。好ましくは、この温度は400以下、より好ましくは300以下である。
【0054】
本開示の第3の態様では、本開示は、本開示による方法によって調製されるジッパーバッグを提供する。
【0055】
本開示の第4の態様では、本開示は、ジッパーバッグ用途のための本開示の接着剤組成物の使用法を提供する。
【0056】
一実施形態では、本使用法は、少なくとも160℃の温度で加熱される用途における本開示の接着剤組成物の使用法を指す。
【0057】
実施例
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例においてここに記載され、すべての部及びパーセンテージは、他に明記されない限り、重量基準である。ただし、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に記載される配合物に限定されない。それどころか、実施例は本開示の発明に関するものにすぎない。
【表1】
【0058】
実施例1:PUDの調製
PUD-1:
40gのVoranate T-80を35gのBester 1044、20gのEternacoll UP-100、及び5gのBis-MPAの混合物に添加し、次いでその混合物を65~90℃で4~5時間反応させた。次に、プレポリマーをプラスチックジャーに移し、TEAを高速(2000-3000rpm)で1~3分間撹拌しながらプラスチックジャーに加えた。186gの冷DI水(5℃)を高速撹拌しながらプラスチックジャーに加え、均一な水中油型分散が達成されたことを確認し、その分散液に、13.5gのEDA水溶液(20%)を1000~1500rpmで15~30分間撹拌しながら、ゆっくりと加えた。このようにして、3℃のTg値を有するPUD-1が得られた。
【0059】
PUD-2:
42gのDesmodur Wを、28gのVoranol 1010、28gのEternacoll UP-100、及び3gのBis-MPAの混合物に添加した。次に、その混合物を65~90℃で4~5時間反応させた。次に、プレポリマーをプラスチックジャーに移し、TEAを高速(2000~3000rpm)で1~3分間撹拌しながらプラスチックジャーに加えた。186gの冷DI水(5℃)を、高速撹拌下、プラスチックジャーに加えて、均一な水中油型分散が達成されたことを確認し、分散液に7.8gのEDA水溶液(20%)を1000~1500rpmで15~30分間撹拌しながら、ゆっくりと加えた。このようにして、5℃のTg値を有するPUD-2が得られた。
【0060】
PUD-3
37gのIsonate(商標)50 OPを、33gのBester(商標)648、21.6gのVoranol(商標)1010、及び5.4gのVoranol(商標)PEG1000の混合物に添加した。次に、その混合物を65~90℃で4~5時間反応させた。次に、プレポリマーをプラスチックジャーに移し、12.5gのRhodacal(商標)DS-4を、高速(2000-3000rpm)で1~3分間撹拌しながらプラスチックジャーに加えた。186gの冷DI水(5℃)を高速撹拌下でプラスチックジャーに加えて、均一な水中油型分散が達成されたことを確認し、その分散液に、7.9gのEDA水溶液(20%)を1000~1500rpmで15~30分間撹拌しながら、ゆっくりと分散液に加えた。このようにして、-5℃のTg値を有するPUD-3が得られた。
【0061】
PUD-4:
28gのVestanat IPDIを、35gのCapa220、35gのVoranol2020、及び5gのBis-MPAの混合物に添加した。次に、その混合物を65~90℃で4~5時間反応させた。次に、プレポリマーをプラスチックジャーに移し、TEAを高速(2000~3000rpm)で1~3分間撹拌しながらプラスチックジャーに加えた。186gの冷DI水(5℃)を高速撹拌下でプラスチックジャーに加えて、均一な水中油型分散が達成されたことを確認し、その分散液に、3.8gのEDA水溶液(20%)を1000~1500rpmで15~30分間撹拌しながら、ゆっくりと加えた。このようにして、-55℃のTg値を有するPUD-4が得られた。
【0062】
PUD-5:
26gのVestanat IPDIを、69gのBester121と5gのBis-MPAの混合物に添加した。次に、その混合物を65~90℃で4~5時間反応させた。次に、プレポリマーをプラスチックジャーに移し、TEAを高速(2000~3000rpm)で1~3分間撹拌しながらプラスチックジャーに加えた。186gの冷DI水(5℃)を高速撹拌下でプラスチックジャーに加えて、均一な水中油型分散が達成されたことを確認し、その分散液に、4.3gのEDA水溶液(20%)を1000~1500rpmで15~30分間撹拌しながら、ゆっくりと加えた。このようにして、-50℃のTg値を有するPUD-5が得られた。
【0063】
実施例2:PACの調製
PAC-1
8.4gのRHODACAL(商標)DS-4界面活性剤を426グラムの脱イオン水に溶解した。乳化モノマー混合物を、28.3グラムの氷アクリル酸、847.7グラムのアクリル酸ブチル、536.9グラムのスチレンを撹拌された水/界面活性剤溶液にゆっくりと加えることによって調製した。
【0064】
次に、732グラムの脱イオン水を、熱電対、冷却コンデンサー、及び撹拌機を備えた5つ口の5リットル丸底フラスコに加えた。この水を窒素下で86℃に加熱した。30グラムの脱イオン水中の3.1グラムの過硫酸アンモニウム(「APS」)開始剤をフラスコに入れ、続いて28グラムのPRIMAL E-2086と10グラムの脱イオン水を入れた。次に、乳化モノマー混合物を215分でフラスコに入れ、その間に、APSの溶液(143グラムの脱イオン水に3.1グラムを溶解)を230分でフラスコに入れた。フラスコの内容物の温度を約85℃から約87℃に維持した。乳化モノマー混合物の添加が完了した後、乳化モノマー混合物が入った容器と、フラスコに通じる供給パイプを52グラムの脱イオン水ですすぎ、すすぎ液をフラスコに戻した。次いで、フラスコの内容物の温度を約86℃で30分間保持した。次に、t-BHPの溶液(70%、25グラムの脱イオン水に2.98グラムを溶解)とナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの溶液(28グラムの脱イオン水に1.71グラムを溶解)を45分かけてフラスコに入れた。次にフラスコの内容物を室温まで冷却した後、16.35グラムのアンモニア溶液を30分かけて加えた。次に、15.5グラムのPPG425を100グラムの脱イオン水が入ったフラスコに加えた。最後に、得られたアクリル分散液の固形分を脱イオン水で45%に希釈した。PAC-1のTg値は1℃である。
【0065】
PAC-2
8.4gのRHODACAL(商標)DS-4界面活性剤を426グラムの脱イオン水に溶解したことを除いて、PAC-1を生成する手順を繰り返し、28.3グラムの氷アクリル酸、734.7グラムのアクリル酸ブチル、649.9グラムのスチレンを撹拌した水/界面活性剤溶液にゆっくりと加えることによって乳化モノマー混合物を調製した。PAC-2のTg値は12℃である。
【0066】
PAC-3
8.4gのRHODACAL(商標)DS-4界面活性剤を426グラムの脱イオン水に溶解したことを除いて、PAC-1を生成する手順を繰り返し、28.3グラムの氷アクリル酸、791.2グラムのアクリル酸ブチル、593.4グラムのスチレンを撹拌した水/界面活性剤溶液にゆっくりと加えることによって乳化モノマー混合物を調製した。PAC-3のTg値は7℃である。
【0067】
実施例及び比較例:接着剤組成物の調製
以下の表1に記載されているPUD及びPACを、2%のポリイソシアネート成分CR3A(接着剤組成物の総重量に基づく)と混合して、接着剤組成物を形成した。
【表2】
【0068】
上記の値は、重量部を指した。
【0069】
上記で得られた接着剤組成物を、試験のためにPET/MPET/PE50のラミネートに塗布した。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0070】
表3から、PUDとポリアクリレートエマルジョンの両方を使用した実施例(IE.1-5)は、良好な接着強度及びヒートシール強度、並びにジッパーバッグ耐熱性の両方を備えている可能性があるのに対し、比較例(CE.1-7)は、性能の低下もジッパーバッグの耐熱性の低下も示さなかった。
【0071】
試験方法
結合強度(BS)
接着剤組成物、PET基材、及びPE50基材で調製したラミネートを、Instron Corporationから入手可能な5940 Series Single Column Table Top Systemを使用して、250mm/分のクロスヘッド速度下でのT型剥離試験のために、15mm幅のストリップに切断した。試験中、各ストリップの尾部を指で僅かに引っ張って、尾部が剥離方向に対して90度に維持されていることを確認した。各サンプルの3つのストリップを試験し、平均値を計算した。結果をN/15mmの単位で表した。値が高いほど、より良好な結合強度を表す。
【0072】
ヒートシール強度(HS)
接着剤組成物、PET基材、及びPE50基材で調製したラミネートを、Brugger Companyから入手可能なHSG-Cヒートシール機で、140℃のシール温度及び300Nの圧力で1秒間ヒートシールし、次いで冷却し、Instron Corporationから入手可能な5940 Series Single Column Table Top Systemを使用して、250mm/分のクロスヘッド速度下でのヒートシール強度試験のために、15mm幅のストリップに切断した。各サンプルの3つのストリップを試験し、平均値を計算した。結果をN/15mmの単位で表した。値が高いほど、より良好なヒートシール強度を表す。
【0073】
ガラス転移温度(Tg)
PUD又はPACの乾燥サンプルをアルミニウムるつぼに入れ、次いで、以下のこのプログラムでTA InstrumentsのDSC Q2000を用いてサンプルをテストした。
1.-80℃から120℃まで20℃/分で昇温して熱履歴を消去
2.-80℃まで冷却
3.-80℃から120℃まで10℃/分で昇温
転移の半分の高さの点を、ガラス転移温度(Tg)として決定した。
【国際調査報告】