(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】注入装置
(51)【国際特許分類】
B65D 25/48 20060101AFI20230209BHJP
B65B 69/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B65D25/48 B
B65B69/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531639
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 FR2020052507
(87)【国際公開番号】W WO2021123645
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506261567
【氏名又は名称】ルサッフル・エ・コンパニー
【氏名又は名称原語表記】LESAFFRE ET COMPAGNIE
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ガッティ アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ギヨト マチュー
(72)【発明者】
【氏名】デュピール クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ズィマネク エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ゴセリン イヴ
【テーマコード(参考)】
3E058
3E062
【Fターム(参考)】
3E058AA04
3E058BA03
3E058CA07
3E058CA10
3E058EA09
3E062AA01
3E062AA04
3E062AA06
3E062AB08
3E062KA03
3E062KB02
3E062KC01
3E062KC02
(57)【要約】
本発明は、粒状材料を収容した真空封止パッケージ(P)を穿孔して空にするのに適した注入装置(1)であって、第1端部に位置する入口開口部(21)から第2端部に位置する粒状材料の出口開口部(22)まで延在する材料の流れ用のダクト(20)を有する筒状体(2)と、尖った先端部(30)で終わる遠位端、及び近位端にある拡幅されたベース(31)を有し、筒状体に強固に接続される中空穿孔工具(3)とを含む注入装置(1)に関する。装置は、パッケージの壁部に当接して、穿孔工具(3)によって壁部が穿孔される場合に注入装置を停止させる止め部としての肩部(4)と、場合によっては穿孔工具の中空部を脱出した粒状材料を重力で中空部の内部に流入させるように構成されるボウル部(5)とを更に含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状材料を収容した真空封止パッケージ(P)を穿孔して空にするのに適した注入装置(1)であって、
筒状体(2)であって、前記筒状体(2)の第1端部に位置する入口開口部(21)から前記筒状体(2)の第2端部に位置する前記粒状材料の出口開口部(22)まで延在する材料の流れ用のダクト(20)を有する筒状体(2)と、
尖った先端部(30)で終わる遠位端、及び近位端にある拡幅されたベース(31)を有し、前記筒状体の第1端部で前記筒状体に強固に接続される、中空穿孔工具(3)であって、前記穿孔工具の拡幅されたベースから前記穿孔工具の長さに沿って延在し、前記穿孔工具(3)の中空部の外部から内部に材料を注入させるように構成される、前記穿孔工具の長さに沿う少なくとも1つの側方開口部(32)を有し、前記穿孔工具(3)の拡幅されたベース(31)の中空部が前記筒状体(2)の入口開口部(21)に連通する、中空穿孔工具(3)と、
前記穿孔工具の拡幅されたベース(31)の周囲に配置される前記筒状体(2)の第1端部によって形成され、前記パッケージの壁部に当接して、前記側方開口部(32)が前記パッケージの内部に延在する位置で前記穿孔工具(3)によって前記壁部が穿孔される場合に前記注入装置を停止させるように構成される、周辺止め部としての肩部(4)と、を含み、
縦向きに配置され、尖った先端部が上方を向き、前記粒状材料が、前記真空封止パッケージ内に流入する空気とは逆方向に沿って、重力で前記側方開口部(32)を介して前記入口開口部(21)を通過して、前記出口開口部(22)に流入する場合、前記真空封止パッケージ内の内容物が連続的に取り出されて空にされることを保証するように構成される、注入装置(1)。
【請求項2】
前記周辺止め部としての肩部(4)は、前記パッケージの壁部に当接して、前記側方開口部(32)が、前記パッケージの内部の長さの第1部(L1)と、前記側方開口部が吸気口を形成する前記パッケージの外部の長さの第2部(L2)とに沿って延在する位置で、前記穿孔工具(3)によって前記壁部が穿孔される場合に前記注入装置を停止させるように構成され、前記肩部は、前記穿孔工具の拡幅されたベース(31)から径方向に離間し、前記注入装置は、前記筒状体(2)の第1端部に形成され、前記穿孔工具(3)の周囲に沿って配置され、前記肩部(4)と前記穿孔工具の拡幅されたベース(31)との間に位置するボウル部(5)を含み、前記ボウル部の傾斜面は、前記穿孔工具(3)に向かって傾斜し、前記穿孔工具が縦向きに配置され、前記穿孔工具の前記尖った先端部(30)が上方を向く場合、前記側方開口部(32)の長さの第2部(L2)を通過して、前記穿孔工具の中空部を脱出した粒状材料を重力で前記中空部の内部に流入させるように構成される、請求項1に記載の注入装置(1)。
【請求項3】
前記穿孔工具の拡幅されたベースは、前記穿孔工具の軸線(A)に対して外半径R1を有し、前記ボウル部(5)の下部は、前記筒状体(2)のダクト(20)に連通する前記ボウル部(5)の壁部の更なる深さで前記側方開口部(32)において凹部(50)を有し、前記凹部は、前記入口開口部(21)を、前記穿孔工具の拡幅されたベース(31)の半径R1よりも外側で、少なくとも前記少なくとも1つの側方開口部(32)の位置まで径方向に延在させるように構成される、請求項2に記載の注入装置(1)。
【請求項4】
前記入口開口部(21)は、前記穿孔工具の軸線Aに対して、前記穿孔工具(3)の拡幅されたベース(31)の外半径R1よりも大きい半径R2まで前記側方開口部(32)の位置まで延在する、請求項3に記載の注入装置。
【請求項5】
前記穿孔工具(3)は、各々が前記穿孔工具(3)の拡幅されたベース(31)から前記穿孔工具(3)の尖った先端部(30)まで延在して合流するオジーブアーチ(33)を含むオジーブの形状を有し、前記少なくとも1つの側方開口部(32)は、連続する2つの前記オジーブアーチ(33)の間で前記拡幅されたベース(31)から前記尖った先端部の方向において前記穿孔工具の長さの全部又は一部にわたって延在する複数の側方開口部(32)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の注入装置。
【請求項6】
前記穿孔工具(3)は、前記パッケージ(P)の壁縁を直接又は前記パッケージ(P)の壁部に強固に接続される環状リング(B)を介して間接的に受けるための係止溝(34)を含み、前記係止溝(34)は、前記穿孔工具(3)によって前記パッケージが穿孔されると、前記穿孔工具を保持するように構成され、前記穿孔工具(3)の軸線Aに対して同一半径位置にある複数の切欠部(35)によって形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の注入装置。
【請求項7】
前記切欠部(35)は、前記軸線Aの前記方向に沿って前記穿孔工具の前記拡幅されたベース(31)から離れて、前記穿孔工具の前記軸線Aの方向に沿って前記軸線Aに応じて前記肩部(4)と同一平面に位置し、それにより、前記係止溝(34)の前記切欠部(35)によって前記パッケージの前記壁部が係止されるときに、前記側方開口部(32)は、前記尖った先端部(30)と前記係止溝(34)との間に位置する前記穿孔工具(3)の長さ(L1)の前記第1部にある前記パッケージの内部において、前記粒状材料を前記穿孔工具の内部に注入させるように上方に延在する一方、前記係止溝(34)と前記拡幅されたベース(31)との間に位置する前記穿孔工具(3)の長さ(L2)の前記第2部にある前記パッケージの外部において、前記側方開口部が前記吸気口を形成するように上方に延在する、請求項2及び6に記載の装置。
【請求項8】
前記筒状体(2)と前記穿孔工具(3)との組立体は、真空封止パッケージを手動で穿孔して前記粒状材料を取り出して空にするように構成される手動操作による携帯型ハンドツールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の注入装置(1)。
【請求項9】
筐体(70)と、前記筐体(70)又はパイプ(71)に強固に取り付けられる請求項1~7のいずれか一項に記載の注入装置(1)とを含む製造ユニット(7)であって、前記穿孔工具が縦向きに配置され、尖った先端部が上方を向き、前記注入装置が、真空封止パッケージに収容された粒状材料を前記筐体(70)に直接又は前記パイプを介して間接的に移送するように構成される、製造ユニット(7)。
【請求項10】
前記注入装置の筒状体は、前記出口開口部(22)が前記筐体(70)の内容積に連通するように前記筐体(70)に強固に密封接続され、前記筐体(70)の上部に配置される前記注入装置は、前記粒状材料が重力で前記出口開口部から前記筐体(70)の内部に流入するように構成される、請求項9に記載の製造ユニット。
【請求項11】
前記筐体(70)は、前記パイプ(71)によって製品が圧送され、前記注入装置の筒状体は、前記粒状材料が前記製品と混合しながら、前記製品とともに前記筐体(70)内にルーティングされる前に前記パイプ(71)内に流入するように、前記パイプ(71)に直接又は移送系を介して間接的に密封結合される、請求項9に記載の製造ユニット。
【請求項12】
前記筐体(70)は発酵タンクである、請求項9~11のいずれか一項に記載の製造ユニット。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の注入装置(1)又は請求項9~12のいずれか一項に記載の製造ユニットの注入装置と、前記筒状体の第1端部に密封協働して前記穿孔工具、場合によっては前記ボウル部を覆って、流体用密閉室(60)を形成するカバー(6)とを含み、前記流体用密閉室(60)が、前記カバー(6)と、前記穿孔工具(3)と、前記肩部(4)と、場合によっては前記ボウル部(5)との間で画定される一方、前記少なくとも1つの側方開口部を介して前記筒状体のダクト(20)に連通する、設備機器。
【請求項14】
請求項13に記載の設備機器の前記注入装置(1)の前記穿孔工具及び前記筒状体のダクトの内面と、前記穿孔工具、場合によっては前記ボウル部の外面とを洗浄及び消毒する方法であって、
前記カバー(6)は、所定位置に配置され、前記穿孔工具、前記肩部(4)、場合によっては前記ボウル部(5)を覆って前記流体用密閉室(60)を形成し、前記密閉室は、前記カバーと、前記穿孔工具(3)と、前記肩部(4)、場合によっては前記ボウル部(5)との間で画定される一方、前記少なくとも1つの側方開口部(32)を介して前記筒状体のダクト(20)に連通し、
前記出口開口部(22)を通過して消毒液を注入することにより、前記消毒液は、前記ダクト(20)及び前記穿孔工具の中空部に流入して前記ダクト(20)及び前記穿孔工具(3)の中空部の内壁に当接する一方、前記密閉室(60)に流入して、前記穿孔工具(3)、場合によっては前記ボウル部(5)の外壁に当接する、方法。
【請求項15】
消毒液を注入して前記注入装置(1)の前記穿孔工具及び前記筒状体のダクトの内面と、前記穿孔工具、場合によっては前記ボウル部、及び前記肩部の外面とを消毒する工程が、前記製造ユニットの内面を同時に洗浄する注入工程である、請求項9~12のいずれか一項に記載の製造ユニットの注入装置を含む設備機器において実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
粒状材料と、請求項6又は7に記載の注入装置(1)の係止溝(34)に係止されるように構成され、パッケージの壁部に強固に接続される環状リング(B)とを収容する、真空封止パッケージ(P)。
【請求項17】
前記真空封止パッケージの環状リング(B)における封止壁の穿孔対象となる外面は、穿孔前に除去対象となる剥離シート(Pel)によって外部汚染から浄化され隔離される、請求項16に記載のパッケージ。
【請求項18】
請求項1~8に記載の注入装置(1)又は請求項9~12のいずれか一項に記載の製造ユニット(7)に属する注入装置(1)の使用、又は活性乾燥酵母を収容した真空封止パッケージを空にする請求項13に記載の設備機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状材料を収容する容器を本質的に重力現象によって穿孔して空にするための特別な用途がある注入装置に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、パッケージの内部の真空、及び大気圧よりも低いパッケージの内圧とパッケージの外部の大気圧との圧力差により粒状材料が圧縮された真空封止パッケージを空にすることに関する。
【0003】
本発明は更に、本発明に係る注入装置を含み、真空封止パッケージから発酵タンクへの粒状材料の無菌移送を可能にするように構成される、発酵タンク付き発酵ユニットに関する。
【0004】
本発明は更に、本発明に係る注入装置を含む設備機器、及びその設備機器を用いる注入装置を消毒する方法に関する。
【0005】
本発明は更に、具体的には注入装置と協働するように構成される真空封止パッケージに関する。
【0006】
本開示に係る注入装置は、真空封止パッケージに収容された粒状材料の無菌移送、特に、真空封止パッケージに収容された乾燥酵母の発酵タンク等の設備機器、特に工業設備機器への無菌移送において特に重要な用途がある。
【0007】
本開示は、粉末状乾燥酵母等の乾燥粒状材料の真空封止包装の分野、及び包装に収容された粒状材料の所定の設備機器への無菌移送についての技術手段に関する。
【0008】
ビール製造の分野において、いくつかの製造工程で乾燥酵母を添加することが必要な場合が極めて多い。例えば、上記添加は、タンク内での発酵を実現するために、破砕された穀物粒と水との混合物を濾過して得られた麦汁を冷却した後に行われることが極めて多い。
【0009】
活性乾燥酵母は、典型的に、保管中に酸素及び水分から保護されるために、真空封止パッケージ内に収容される。このパッケージは、マンホールを介して発酵タンクに手動で注入する目的で開封される。この操作は、可能な限り、無菌手段で行わなければならず、そうでなければ、雑菌、細菌又は真菌がタンクに移送されて発酵中に成長し、飲料の官能特性を低下させる可能性がある。タンク内に雑菌が移送されることを防止するために、真空封止パッケージを穿孔する前に、パッケージを開封するための工具(ハサミ等)を消毒し、またパッケージの外面を消毒してもよい。
【0010】
真空封止パッケージを開封すると、オペレータは、マンホールの上方でパッケージを反転させるだけで、発酵タンク内のワークに酵母を注入することができる。
【0011】
本発明者らの知見によれば、このような実施方式は十分ではなく、そのいくつかの理由を以下に示す。
典型的に炎又は消毒液を用いて行われる工具(ハサミ等)の消毒は、煩雑であり、かつ操作の成功は、基本的にこの操作を行う際のオペレータの注意に依存する。
マンホールを介したパッケージの手動注入は、多くの場合、例えばタンクにパッケージが落下する等、危険な落下という無視できないリスクを伴う煩雑な操作であり、特に、
酵母の注入に必要なマンホールの開口部自体は、未殺菌空気を大量にタンク内に流入させ、空気に浮遊する細菌及び真菌がタンク内に入り、麦汁を汚染する恐れがあるため、タンクの無菌状態を悪化させるリスクを伴う。
【背景技術】
【0012】
従来、例えば、特許文献1に開示されるように、衛生製品の移送を目的としてパッケージを穿孔して空にするのに適した装置が知られている。特許文献1に開示された装置は、ソース又は飲料等の液体の袋を空にすることを目的とし、黙示的に吸引の利用を必要とする。この技術手段は、真空封止パッケージから粒状材料を取り出して空にするのに効果的でも機能的でもない。
【0013】
また、例えば、特許文献2から、所定量の粒状材料(微粉等)を取り出して空にする専用設計の装置が知られている。この装置は、オジーブのベースに設けられた肩部が容器の壁部に当接するまで容器の壁部を穿孔するためのオジーブの形状を有する穿孔工具を含む。穿孔工具は、中空であり、肩部が壁部に当接すると、完全に容器の内部に位置するための側方開口部を含む。側方開口部により、材料は、穿孔工具の本体内に移送された後、出口孔に向かってオジーブのベースに流入する。この装置は、容器を反転させる毎に、中空部の容積に応じた量の材料を送出するように設計される。
【0014】
いかなる場合においても、また本発明者らの知見によれば、特許文献2に開示されたこの装置は、静止位置に保持されるパッケージ、特に真空封止パッケージの場合には、パッケージ全体を穿孔して完全かつ迅速に空にすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】EP 1201598
【特許文献2】GB 719054
【発明の概要】
【0016】
本開示は、粒状材料を収容した真空封止パッケージを基本的に重力現象によって穿孔して空にするための特別な用途がある注入装置を提案することにより、このような状況を改善するものである。
【0017】
より詳細には、装置は、真空封止パッケージの粒状材料を、パッケージが静止位置にある状態で、すなわち、パッケージを反転させることなく、完全かつ迅速に取り出して空にする特別な用途がある。
【0018】
本発明の他の目的は、真空封止パッケージに収容された粒状材料を製造ユニットの発酵タンク等の筐体に無菌的に移送するように構成される注入装置を含む発酵ユニット等の製造ユニットを提案することである。
【0019】
本発明の他の目的は、本発明に係る注入装置と、閉鎖部材としての第1機能に加えて、粒状材料と当接する注入装置の内外面の洗浄消毒処理を好適に行うことができるシャッターとを含む設備機器を提案することである。
【0020】
本発明の他の目的は、本発明に係る設備機器を実現する洗浄消毒処理を提案することである。
【0021】
本発明の更なる他の目的は、本発明、少なくとも一実施形態に係る注入装置と協働するように特に構成される真空封止パッケージを提案することである。
【0022】
その他の目的及び利点については、情報を提供し、発明の範囲を限定することを意図しない以下の説明から明らかになる。
【0023】
第1態様によれば、粒状材料を収容した真空封止パッケージを穿孔して空にするのに適した注入装置が提案され、該注入装置は、
第1端部に位置する入口開口部から第2端部に位置する上記粒状材料の出口開口部まで延在する材料の流れ用のダクトを有する筒状体と、
先が細くなる遠位端、及び近位端にある拡幅されたベースを有し、上記筒状体の第1端部で上記筒状体と一体になる中空穿孔工具であって、上記穿孔工具の拡幅されたベースから上記穿孔工具の長さに沿って延在し、上記穿孔工具の中空部の外部から内部に材料を注入させるように構成される、上記穿孔工具の長さに沿う少なくとも1つの側方開口部を有し、上記穿孔工具の拡幅されたベースの中空部が上記筒状体の入口開口部に連通する中空穿孔工具と、
上記穿孔工具の拡幅されたベースの周囲に配置される上記筒状体の第1端部によって形成され、上記パッケージの壁部に当接して、上記側方開口部が上記パッケージの内部に延在する位置で、上記穿孔工具によって上記壁部が穿孔される場合に上記注入装置を停止させるように構成される周辺止め部としての肩部と、を含み、
縦向きに配置され、尖った先端部が上方を向き、上記粒状材料が、上記真空封止パッケージ内に流入する空気とは逆方向に沿って、重力で上記側方開口部を介して上記入口開口部を通過して、上記出口開口部に流入する場合、上記真空封止パッケージ内の内容物が連続的に取り出されて空にされることを保証するように構成される。
【0024】
一実施形態では、上記周辺止め部としての肩部は、上記パッケージの壁部に当接して、上記側方開口部が、パッケージの内部の長さの第1部と、上記側方開口部が吸気口を形成する上記パッケージの外部の長さの第2部とに沿って延在する位置で、上記穿孔工具によって上記壁部が穿孔される場合に上記注入装置を停止させるように構成され、上記肩部は、上記穿孔工具の拡幅されたベースから径方向に離間し、上記注入装置は、上記筒状体の第1端部に形成され、上記穿孔工具の周囲に沿って配置され、上記肩部と上記穿孔工具の拡幅されたベースとの間に位置するボウル部を含み、上記ボウル部の傾斜面は、上記穿孔工具に向かって傾斜し、上記穿孔工具が縦向きに配置され、上記穿孔工具の尖った先端部が上方を向く場合、上記側方開口部の長さの第2部を通過して、上記穿孔工具の中空部を脱出した粒状材料を重力で上記中空部の内部に流入させるように構成される。
【0025】
任意の特徴は、別々に又は組み合わせて用いられる。
上記穿孔工具の拡幅されたベースは、上記穿孔工具の軸線に対して外半径を有し、上記ボウル部の下部は、上記筒状体のダクトに連通する上記ボウル部の壁部の更なる深さで上記側方開口部において凹部を有し、上記凹部は、上記入口開口部を、上記穿孔工具の拡幅されたベースの半径R1よりも外側で、少なくとも上記少なくとも1つの側方開口部の位置まで径方向に延在させるように構成される。
上記入口開口部は、上記穿孔工具の軸線Aに対して、上記穿孔工具の拡幅されたベースの外半径R1よりも大きい半径R2まで上記側方開口部の位置まで延在する。
上記穿孔工具は、各々が上記穿孔工具の拡幅されたベースから上記穿孔工具の尖った先端部まで延在して合流するオジーブアーチを含むオジーブの形状を有し、上記少なくとも1つの側方開口部は、連続する2つの上記オジーブアーチの間で上記拡幅されたベースから上記尖った先端部の方向において上記穿孔工具の長さの全部又は一部にわたって延在する複数の側方開口部を含む。
【0026】
一実施形態では、上記穿孔工具は、上記パッケージの壁縁を直接又は上記パッケージの壁部に強固に接続される環状リングを介して間接的に受けるための係止溝を含み、上記係止溝は、上記穿孔工具によって上記パッケージが穿孔されると、上記穿孔工具を保持するように構成され、上記穿孔工具の軸線Aに対して同一半径位置にある複数の切欠部によって形成される。
【0027】
一実施形態では、上記切欠部は、上記軸線Aの方向に沿って上記穿孔工具の拡幅されたベースから離間する、上記穿孔工具の軸線Aの方向に沿う上記肩部と面一するように前記穿孔工具の前記軸線Aに沿って位置し、このようにして、上記係止溝の切欠部によって上記パッケージの壁部が係止されるときに、上記側方開口部は上方に延在して、上記尖った先端部と上記係止溝との間に位置する、上記パッケージの内部の上記穿孔工具の長さの第1部において、上記粒状材料を上記穿孔工具の内部に注入させる一方、上記係止溝と上記拡幅されたベースとの間に位置する、上記パッケージの外部の上記穿孔工具の長さの第2部において、上記吸気口を形成する。
【0028】
一実施形態では、上記筒状体と上記穿孔工具との組立体は、真空封止パッケージを手動で穿孔して上記粒状材料を取り出して空にするように構成される手動操作による携帯型ハンドツールである。
【0029】
或いは、上記注入装置は、製造ユニットの一体部品であってもよい。
【0030】
また、本発明は更に、発酵タンク等の筐体と、上記筐体又はパイプに固定されて一体化されるように設けられる注入装置とを含む、発酵ユニット等の製造ユニットに関し、上記穿孔工具は縦向きに配置され、尖った先端部は上方を向き、注入装置は、真空封止パッケージに収容された粒状材料を筐体に直接又はパイプを介して間接的に移送するように構成される。
【0031】
上記製造ユニットの一実施形態では、上記注入装置の筒状体は、上記出口開口部が上記筐体の内容積に連通するように上記筐体、特に発酵タンクに密封して一体化され、上記筐体の上部に配置される上記注入装置は、上記粒状材料が重力で上記出口開口部からタンクの内部に流入するように構成される。
【0032】
或いは、上記筐体、特に発酵タンクは、上記パイプによって製品が圧送され、上記注入装置の筒状体は、上記粒状材料が上記製品と混合しながら、上記製品とともに上記発酵タンク等の上記筐体内にルーティングされる前に上記パイプ内に流入するように、上記パイプに直接又は移送系を介して間接的に密封結合される。
【0033】
本発明は更に、本発明に係る注入装置又は本発明に係る発酵ユニットの注入装置と、筒状体の第1端部に密封協働して、流体用密閉室を形成することにより上記穿孔工具、場合によっては上記ボウル部を覆うシャッターとを含み、上記流体用密閉室が、上記シャッターと、上記穿孔工具と、上記肩部と、場合によっては上記ボウル部との間で画定される一方、上記少なくとも1つの側方開口部を介して上記筒状体のダクトに連通する、設備機器に関する。
【0034】
本発明は更に、本発明に係る設備機器の注入装置の上記穿孔工具及び上記筒状体のダクトの内面と、上記穿孔工具、ひいてはボウル部、ひいては肩部の外面とを洗浄及び消毒する方法に関し、
上記シャッターは、所定位置に配置され、上記穿孔工具、上記肩部、場合によっては上記ボウル部を覆って上記流体用密閉室を形成し、上記密閉室は、上記シャッターと、上記穿孔工具と、上記肩部と、場合によっては上記ボウル部との間で画定される一方、上記側方開口部を介して上記筒状体のダクトに連通し、
上記入口開口部を通過して消毒液を注入することにより、上記消毒液は、上記ダクト及び上記穿孔工具の中空部に流入して上記ダクト及び上記穿孔工具の中空部の内壁に当接する一方、上記密閉室に流入して、上記穿孔工具及び上記肩部、場合によっては上記ボウル部の外壁に当接する。
【0035】
本方法が、本発明に係る発酵ユニットの注入装置を含む設備機器によって実行される場合、上記注入装置の上記穿孔工具及び上記筒状体のダクトの内面と、上記穿孔工具、場合によっては上記ボウル部、及び上記肩部の外面とを消毒する消毒液注入工程は、発酵ユニットの内面を同時に洗浄及び/又は殺菌する注入工程であってもよい。このように、洗浄消毒方法は、好適には「cleaning in place:定置洗浄」(CIP)法である。
【0036】
本発明は更に、粒状材料と、一実施形態に係る注入装置の係止溝に係止するように構成され、上記パッケージの壁部と一体化される環状リングとを収容する真空封止パッケージに関する。
【0037】
一実施形態では、上記真空封止パッケージの環状リングにおける封止壁の穿孔対象となる外面は、穿孔前に除去対象となる剥離シートによって外部汚染から浄化され隔離されてもよい。
【0038】
最後に、本発明は更に、本発明に係る注入装置又は製造ユニット、特に本発明に係る発酵ユニットに属する注入装置の使用、又は、活性乾燥酵母を収容した真空封止パッケージを空にする本発明に係る設備機器に関する。
【0039】
以下に記載する特徴は、任意に実行可能である。これらの特徴は、1種単独で実行されてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
他の特徴、詳細及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面の解析から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図3】装置の縦軸に平行で、かつ縦軸から僅かにずれた鉛直面に沿う
図1に示す装置の断面図である。
【
図4】穿孔工具が真空封止パッケージの壁部を貫通し、パッケージの壁部の縁部が穿孔工具の係止溝に直接的に受けられ係止された状態で使用される装置の断面図である。
【
図5】前述の係止溝と協働するようにパッケージの壁部と一体化される環状リングと、環状リングにおいてパッケージの外面を局所的に外部汚染から隔離するための剥離性保護シートとを特に含む真空封止パッケージの図である。
【
図5a】パッケージの壁部、剥離シート及び中間環状リングを示す詳細断面図である。
【
図6】穿孔工具が真空封止パッケージの壁部を貫通し、環状リングが穿孔工具の係止溝に受けられて保持される状態で使用される装置の断面図である。
【
図7】
図1に示す装置とシャッターとを含み、注入装置の内外面の洗浄消毒方法を実行するための設備機器の断面図である。
【
図7a】製品の保留を防止する平坦部が存在している状態で尖った先端部での工具の中空部の下面を具体的に示す、縦軸を貫通する穿孔工具の部分断面図である。
【
図8】発酵ユニットに常設される
図1に示す注入装置の実現可能な複数の組み合わせを示す模式図である。
【
図9】パッケージの壁部の縁部を保持する係止溝が、省略されて穿孔工具から放射状に突出しネジ山に結合される止め部に置換される、
図1の代替としての第2実施形態に係る注入装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、粒状材料を収容した真空封止パッケージを穿孔して空にするのに適した注入装置1に関する。
【0043】
粒状材料は、ビール製造等の発酵を目的とする活性乾燥酵母等の乾燥物であることが好ましい。粒状材料は、真空封止パッケージ内に収容される。真空、並びに大気圧未満の内圧と外圧、すなわち大気圧との圧力差により、材料及びパッケージが圧縮される。
【0044】
本発明者らが行った予備試験によれば、例えば特許文献2に開示される従来技術から知られているような、パッケージを穿孔して従来のパッケージ(真空無し)から液体又は粒状材料を取り出して空にするように動作させる注入装置は、真空封止パッケージから圧縮された粒状材料を取り出して空にするためには十分ではない。このような真空封止パッケージと共にこれらの装置を使用すると、流れがなくなる前に粒状材料を取り出して空にすることを始める。これらの注入装置は、パッケージ内の粒状内容物を迅速に取り出して空にすることができない。言い換えれば、粒状内容物を取り出して空にするのに必要な空気が流れの逆方向に流れると、還流が発生して粒状材料を損失し、穿孔箇所で装置外に脱出する恐れがある。
【0045】
発明者らの知見による本開示、少なくとも一つの実施形態では、従来の注入装置は、真空封止パッケージを穿孔して空にするために使用される場合、材料の流れる間に部分的真空が発生し、粒状材料の流れと逆となる空のパッケージの内部の真空が維持される傾向がある。更に、空にするのに必要な空気が粒状材料の逆方向のみに流れると、その空気が還流して製品の損失を引き起こす可能性がある。
【0046】
本開示の少なくとも一つの実施形態では、発明者らは、単に重力で粒状材料を注入するための注入装置を設計し、注入装置が実質的に静的な位置に保持された状態で、パッケージの穿孔された開口部から空気の混入を促進し、また還流しても製品の損失を引き起こす恐れがないようにこの課題に対処した。
【0047】
好適に、このような装置は、真空封止パッケージに収容される全ての粒状材料を迅速かつ連続的に取り出して空にすることができる。
【0048】
また、非限定的な例である図面に示すように、粒状材料を収容した真空封止パッケージPを穿孔して空にする注入装置は、
第1端部に位置する入口開口部21から第2端部に位置する粒状材料の出口開口部22まで延在する材料の流れ用のダクト20を有する筒状体2と、
尖った先端部30で終わる遠位端、及び近位端にある拡幅されたベース31を有し、筒状体の第1端部で筒状体に強固に接続される中空穿孔工具3であって、穿孔工具の拡幅されたベース31から穿孔工具の長さに沿って延在し、穿孔工具3の中空部の外部から内部に材料を注入させるように構成される、前記穿孔工具の長さに沿う少なくとも1つの側方開口部32を有し、前記穿孔工具3の拡幅されたベース31の中空部が筒状体2の入口開口部21に連通する中空穿孔工具3と、
穿孔工具の拡幅されたベース31の周囲に配置される筒状体2の第1端部によって形成され、パッケージの壁部に当接して、側方開口部32がパッケージの内部に延在する位置で穿孔工具によって壁部が穿孔される場合に注入装置を停止させるように構成される周辺止め部としての肩部4と、を含む。
【0049】
一般に、穿孔工具の軸線Aとダクト20の軸線とは略同一であることが好ましく、ダクト20は、穿孔工具が縦向きに配置される場合に穿孔工具の鉛直方向に延伸し、尖った先端部30は上方を向くことに留意されたい。
【0050】
一般に、穿孔工具は、穿孔工具の軸線Aの周りに分布する複数の側方開口部32を含むことができ、例えば、4つの開口部が角度セクタ、特に90°未満の角度で延在することに留意されたい。
【0051】
これにより、
図4に示すように、このような注入装置は、肩部4がパッケージの外面に当たって停止するまで、穿孔工具でパッケージの壁部を穿孔することによって使用される。注入は、穿孔工具の軸線が略垂直で尖った先端部30が上方を向いた位置で装置が保持される場合に行われ、粒状材料は、パッケージから、穿孔工具3の中空部にある側方開口部及び入口開口部21を通過して、粒状材料が脱出する出口開口部22に流入する。
【0052】
少なくとも一つの実施形態では、粒状内容物を急速に取り出して空にすることを防止する傾向があるパッケージ内の真空を考慮するために、注入装置1は、次の特徴を含む。
【0053】
止め部としての肩部4は、パッケージの壁部に当接して、特に、側方開口部32が、パッケージの内部の長さの第1部L1と、側方開口部が吸気口を形成するパッケージの外部の長さの第2部L2とに沿って延在する位置で、穿孔工具3によって壁部が穿孔される場合に注入装置を停止させるように構成される。
【0054】
これにより、
図4に示すように、各側方開口部は、側方開口部が穿孔工具の中空部に粒状材料を進入させる側方開口部32の長さの第1部L1によってパッケージを貫通し、側方開口部が吸気口を形成するパッケージの外部の長さの第2部L2に沿って延在することが分かる。
【0055】
図4に示すように、かつ1本線の矢印で表されるように、側方開口部の長さの第2部L2は、2本線の矢印に示すように、筒状体2の第1端部で、重力で流入する粒状材料とは逆方向となる横方向の空気流入を提供する。この横方向の空気流入は好適に、筒状体のダクト20を通過して出口開口部22から軸方向に発生する可能な空気流入に加えて存在するものである。
【0056】
一例として、L2/L1という比率は、0.05~0.25、例えば0.1であり得る。
【0057】
側方開口部32によって形成される側方吸気口は、真空封止パッケージ内に流入する空気の量を実質的に増加させるとともに、粒状材料の流れによる真空の発生を回避して真空封止パッケージからの材料の流れを促進させるものであり、該流れは、実質的により良好であり、注入装置が静止し、先端部が上方を向いた状態であっても、真空封止パッケージ内の粒状内容物を迅速に取り出して空にすることができる。
【0058】
しかし、時々、軸方向において粒状材料とは逆方向に流入する空気は、パッケージの外部の長さの第2部L2にある(各)側方開口部32から横方向に脱出する粒状材料の還流を引き起こす可能性があることに留意されたい。本発明者らは、粒状材料を重力で装置に戻すことにより、この課題を改善した。
【0059】
これにより、本開示のこの実施形態によれば、肩部は、穿孔工具の拡幅されたベース31から径方向に離間し、装置は、筒状体2の第1端部に形成され、穿孔工具3の周囲、特に穿孔工具3の360°の周囲に配置されるボウル部5を含む。ボウル部5は、肩部4と穿孔工具の拡幅されたベース31との間に位置し、ボウル部の傾斜面は、好適に穿孔工具3に向かって傾斜し、(穿孔工具が縦向きに配置され、穿孔工具の先端部30が上方を向く場合に)側方開口部32の長さの第2部L2を通過して、穿孔工具の中空部を脱出した粒状材料を重力で中空部の内部に流入させるように構成される。これにより、ボウル部5は好適に、側方開口部32から側方に脱出する粒状材料をダクト20に戻す機能を果たす。
【0060】
最終的に、注入装置は、注入装置が縦向きに配置され、尖った先端部が上方を向き、粒状材料が、空気とは逆方向に沿って、重力で側方開口部32を介して入口開口部21を通過して、特にダクト20により形成される軸方向の吸気口、場合によっては側方開口部32を貫通する側方吸気口を通過して重力で出口開口部22に流入する場合、真空封止パッケージ内の内容物を連続的に取り出して空にするように構成される。
【0061】
非限定的な例として、
軸線Aに沿う、肩部4から尖った先端部30までの穿孔工具の高さHは、25mm~40mmとすることができ、例えば30mm~40mm程度とすることができ、
穿孔工具の拡幅されたベースの直径Dは、15mm~25mmとすることができ、例えば20mmとすることができ、
ボウル部5の直径Dcは、穿孔工具の拡幅されたベース31の直径の120%~200%であり、例えば40mm~60mmである。
【0062】
図2に例示する一実施形態では、穿孔工具の拡幅されたベースは、穿孔工具の軸線Aに対して外半径R1を有し、ボウル部5の下部は、筒状体2のダクト20に連通するボウル部5の壁部の更なる深さで側方開口部32において凹部50を有する。
【0063】
凹部50は、特に、入口開口部21を、穿孔工具の拡幅されたベース31の半径R1よりも外側で、少なくとも該少なくとも1つの側方開口部32の位置まで径方向に延在させるように構成される。
【0064】
このような凹部50は、特に
図2に見られるように、ボウル部5から入口開口部21への粒状材料の戻しを更に促進して、穿孔工具3の外部でのボウル部5内の材料の集積を回避する。このような凹部50は、各側方開口部32に設けることができる。これにより、
図2に示すように、入口開口部21は、穿孔工具の軸線Aに対して、穿孔工具3の拡幅されたベース31の外半径R1よりも大きい半径R2まで側方開口部32の位置まで延在することができる。
【0065】
穿孔工具3は、各々が穿孔工具3の拡幅されたベース31から穿孔工具の尖った先端部30まで延在して合流するオジーブアーチ33を含むオジーブの形状を有する。少なくとも1つの側方開口部32は、複数の側方開口部32を含むことができる。各側方開口部32は、連続する2つのオジーブアーチ33の間で、拡幅されたベース31から穿孔工具の長さの全部又は一部にわたって尖った先端部30に向かって延在することが好ましい。例として、軸線Aの周りに、例えば90°毎に4つのオジーブアーチ33が分布する。
【0066】
一実施形態では、穿孔工具3は、パッケージPの壁縁を直接又はパッケージPの壁部に強固に接続される環状リングBを介して間接的に受けるための係止溝34を含む。係止溝34は、穿孔工具3によってパッケージが穿孔される場合に穿孔工具をパッケージに保持するように構成される。
【0067】
例えば、注入装置が取り外し可能な独立したハンドツールとして構成される場合に、オペレータが注入装置1を把持する必要がなく、係止溝34により、注入装置1は、パッケージの壁部に保持され、パッケージから吊り下げられる。
【0068】
図面に示すように、係止溝34は、例えば穿孔工具の軸線Aに対して同一半径位置にあるオジーブアーチ33にある複数の切欠部35によって形成される。切欠部35は、軸線Aの方向に沿って穿孔工具の拡幅されたベース31から離間する、穿孔工具の軸線Aの方向に沿う肩部4と面一するように穿孔工具の軸線Aに沿って位置し、このようにして、係止溝34の切欠部35によってパッケージの壁部が係止されるときに、側方開口部32は、尖った先端部30と係止溝34との間に位置する、パッケージの内部の穿孔工具3の長さの第1部L1に沿って上方に延在する一方、係止溝34と拡幅されたベース31との間に延在する、パッケージの外部の穿孔工具3の長さの第2部L2に沿って上方に延在する。この長さの第2部L2では、側方開口部は、側方吸気口を形成する。
【0069】
係止溝は、
図4に示すようにパッケージの壁縁に直接係止することができ、
図6に示すようにパッケージの壁部に強固に接続される環状リングBを介して間接的に係止することもできる。
【0070】
また、本発明は更に、粒状材料と、注入装置1の係止溝34に係止されるように構成され、パッケージの壁部に強固に接続される環状リングBとを含むパッケージPに関する。
【0071】
環状リングBの存在と組み合わせる(又は組み合わせない)別の可能性として、例えば環状リングBにおいて穿孔対象となる真空封止パッケージの封止壁の外面は、穿孔前に除去される剥離シートPelによって外部汚染から隔離される。この面は、剥離シートPelを設ける直前に、好ましくは、浄化又は殺菌することができる。
【0072】
図9の変形例は、(
図1の係止溝34の代わりに)穿孔工具から放射状に突出し、より具体的には穿孔工具の軸線Aに実質的に垂直なリング状に形成される止め部37を特に含む。このリングは、穿孔工具のオジーブアーチ33同士を接続する。この止め部37は、軸線Aに沿って、この軸線Aに沿って拡幅されたベース31から離間する肩部4と実質的に面一するように位置する。この止め部に先立って、穿孔工具のオジーブアーチ33同士を接続するネジ山38が設けられる。
【0073】
注入装置を設けることは、穿孔工具3の尖った先端部31によりパッケージの可撓壁を穿孔した後、パッケージの壁部が肩部4に当接する場合、可撓壁が止め部37を形成するリングとネジ山38の直接隣接する部分との間に挟まれるまで、ネジ山38をパッケージの可撓壁に螺合することにより行われる。
【0074】
第1可能性として、筒状体2と穿孔工具3との組立体は、真空封止パッケージを手動で穿孔して粒状材料を取り出して空にするように構成される手動操作による携帯型ハンドツールとして構成される。
【0075】
別の可能性として、注入装置は、製造ユニットに常設され、穿孔工具の尖った先端部が上方を向く製造ユニットの一体部品であってもよい。
【0076】
また、本発明は更に、発酵タンク等の筐体70と、筐体70に強固に取り付けられるか又はパイプ71に強固に接続される本発明に係る注入装置1とを含む、発酵ユニット等の製造ユニット7に関し、穿孔工具は縦向きに配置され、尖った先端部は上方を向き、注入装置は真空封止パッケージに収容された粒状材料を筐体70に直接又はパイプ71を介して間接的に移送するように構成される。
【0077】
そのため、筒状体の第2端部は、例えば、製造ユニットのネジ継手と螺合する出口開口部22の雌ネジ23によって、筐体70、特に発酵タンク又はパイプに密封固定される。任意の他の種類の継手、例えば、SMS規格に従う継手、及び「CLAMP継手」という名称で当業者に公知の継手等は、第2端部をタンク又はパイプに取り付けるために使用されてもよい。
【0078】
一実施形態では、注入装置の筒状体は、出口開口部22が発酵タンクの内容積に連通するように、筐体70に強固に密封接続される。注入装置は、タンクの上部に固定され、粒状材料が重力で出口開口部22から筐体70、特にタンクの内部に流入するように構成される。
【0079】
別の可能性として、筐体70、特に発酵タンク70は、パイプ71によって製品が圧送され、注入装置の筒状体は、粒状材料が製品と混合しながら製品とともに筐体70内にルーティングされる前にパイプ71内に流入するように、パイプ71に直接又は移送系を介して間接的に密封結合される。
【0080】
例えば、パイプ内の流体が通過するベンチュリ8等の移送系を使用してもよく、ベンチュリ8により発生される部分真空は、粒状材料を吸引してベンチュリ下流の流体と混合する。
【0081】
本開示は更に、本発明に係る注入装置1又は本発明に係る発酵ユニット7の注入装置と、筒状体の第1端部に密封係合されて穿孔工具及びボウル部を(密閉位置で)覆って、流体用密閉室60を形成するカバー6とを含む設備機器に関する。
【0082】
この密閉室は、カバー6の内壁と、穿孔工具3(場合によってはボウル部5)と、肩部4との間で画定される一方、少なくとも1つの側方開口部を介して筒状体のダクト20に連通する。このようなカバー6は、入口開口部を閉鎖する部品としての機能に加えて、洗浄消毒方法を好適に実施することができる。カバー6は、筒状体の第1端部で筒状体の雄ネジに螺合する雌ネジを有し、筒状体に螺合可能である。或いは、カバー6は、SMS継手又はCLAMP継手等の任意の継手によって装置の筒状体に取り付けることができる。
【0083】
また、本発明は更に、本発明に係る設備機器の注入装置1の穿孔工具及び筒状体のダクトの内面と、穿孔工具、ボウル部、場合によっては肩部の外面とを洗浄及び消毒する方法に関する。
この洗浄消毒方法は、以下の工程を含む。
カバー6は、所定位置に配置され、穿孔工具、肩部4(場合によってはボウル部5)を覆って流体用密閉室60を形成し、密閉室は、カバーと、穿孔工具3と、肩部4(場合によってはボウル部5)との間で画定される一方、少なくとも1つの側方開口部32を介して筒状体のダクト20に連通する。
出口開口部22を通過して消毒液を注入することにより、消毒液は、ダクト20及び穿孔工具の中空部に流入してダクト20及び穿孔工具3の中空部の内壁に当接する一方、密閉室60に流入して穿孔工具3及び肩部4、場合によってはボウル部5の外壁に当接する。
【0084】
図7aの詳細図に示すように、穿孔工具の中空部は、尖った先端部30に対向する穿孔工具の下面に、製品の保持を回避するための平坦部36を含んでもよい。
【0085】
注入装置が製造ユニットの一体部品として構成される場合、この洗浄消毒工程は、好適に製造ユニット7の洗浄消毒と同時に行うことができる。例えば、発酵ユニットについては、注入装置1の穿孔工具及び筒状体のダクトの内面と、穿孔工具、ボウル部及び肩部の外面とを消毒する消毒液注入工程は、発酵ユニットの内面を同時に洗浄する注入工程である。言い換えれば、発酵ユニットを洗浄する工程により、注入装置の消毒が同時に行われる。
【0086】
注入装置は、例えばビール製造において、活性乾燥酵母を収容した真空封止パッケージを空にするための特別な用途がある。
【符号の説明】
【0087】
1:注入装置
2:筒状体
20:ダクト
21:入口開口部
22:出口開口部
23:雌ネジ
3:穿孔工具
30:尖った先端部
31:拡幅されたベース
32:側方開口部
33:オジーブアーチ
34:係止溝
35:切欠部
36:穿孔工具の中空部の内側(尖った先端部とは反対側の下面)にある平坦部
4:止め部としての肩部
5:ボウル部
50:ボウル部の傾斜壁の更なる深さにある凹部
6:カバー
60:密閉室
7:発酵ユニット等の製造ユニット
70:発酵タンク等の筐体
71:パイプ
8:ベンチュリ
A:穿孔工具の軸線
B:環状リング
D:拡幅されたベースの直径
Dc:ボウル部の直径
H:肩部からの穿孔工具の高さ
P:真空封止パッケージ
Pel:剥離シート
L1:側方開口部の長さの第1部(パッケージの内部にする)
L2:側方開口部の長さの第2部(パッケージの内部にする)
R1:拡幅されたベースの外半径
R2:凹部が存在する入口開口部の半径
【国際調査報告】