(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】サンプルのオフフォーカス顕微鏡画像
(51)【国際特許分類】
G01N 33/49 20060101AFI20230209BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20230209BHJP
G01N 15/00 20060101ALI20230209BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20230209BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230209BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230209BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20230209BHJP
【FI】
G01N33/49 A
G01N33/48 M
G01N33/48 Z
G01N15/00 B
G01N21/27 A
G01N21/64 E
G06T7/00 350B
G06V10/70
G01N33/49 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534230
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2020061728
(87)【国際公開番号】W WO2021116957
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522138250
【氏名又は名称】エス.ディー.サイト ダイアグノスティックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グラック,ダン
(72)【発明者】
【氏名】ザイティ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】フーリー ヤフィン,アーノン
(72)【発明者】
【氏名】ハルペリン,ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】エシェル,ヨーハイ シュロモ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィー,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ジョゼフ ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ペッカー,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーフィン,ペレツ
(72)【発明者】
【氏名】ベンバサット,ダナ
(72)【発明者】
【氏名】ブライロフスキー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】プメランツ,ウリヤ
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
2G059
5L096
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA03
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043EA01
2G043FA02
2G043KA02
2G043NA01
2G045AA25
2G045CA25
2G045FA16
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2G045JA01
2G059AA01
2G059AA05
2G059CC18
2G059EE01
2G059EE07
2G059EE11
2G059FF03
2G059GG02
2G059HH02
2G059KK04
2G059LL01
2G059MM01
2G059MM05
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA02
5L096DA02
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】 細胞を含む身体サンプルと共に用いる装置及び方法を提供することである。
【解決手段】 サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡(24)の焦点面が少なくともほぼ一致するように、顕微鏡(24)の焦点を合わせる。顕微鏡(24)の焦点面が前述のレベルとほぼ一致している状態で、サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像。顕微鏡の焦点面が前述のレベルに対してオフセットするように、顕微鏡(24)の焦点を合わせる。顕微鏡(24)の焦点面が前述のレベルに対してオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得する。オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、サンプルの少なくとも一部の特性を決定する。他の適用例も記載される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法であって、
前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、前記顕微鏡の焦点を合わせることと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルとほぼ一致している状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように、前記顕微鏡の焦点を合わせることと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの少なくとも一部の特性を決定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの少なくとも一部の特性を決定することは、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像を機械学習分類器に入力することを含み、前記機械学習分類器は、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの少なくとも一部の特性を決定するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの少なくとも一部の特性を決定することは、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像から1つ以上のパラメータを導出することと、前記1つ以上の導出したパラメータを機械学習分類器に入力することと、を含み、前記機械学習分類器は、前記導出したパラメータに少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの少なくとも一部の特性を決定するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、505nmから535nmの間の波長を有する光で前記サンプルを照明しながら前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、400nmから450nmの間の波長を有する光で前記サンプルを照明しながら前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、620nmから640nmの間の波長を有する光で前記サンプルを照明しながら前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルよりも前記顕微鏡の対物レンズの近くに前記顕微鏡の前記焦点面が設定されるように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルよりも前記顕微鏡の対物レンズから遠くに前記顕微鏡の前記焦点面が設定されるように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面が20ミクロンから100ミクロンだけオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面が前記顕微鏡の1から5焦点深度だけオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと前記顕微鏡の前記焦点面が少なくともほぼ一致するように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記顕微鏡の前記焦点面が前記単層焦点レベルと少なくともほぼ一致するように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、前記サンプル内の他の細胞は前記サンプル内の少なくとも1つの追加レベルで懸濁した状態であり、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと前記顕微鏡の前記焦点面が少なくともほぼ一致するように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプル内の前記他の細胞が懸濁している前記追加レベルと前記顕微鏡の前記焦点面が少なくともほぼ一致するように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像を相互に対して正規化することと、少なくとも部分的に前記正規化に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記血液サンプル内の1つ以上のエンティティを識別することを含み、前記1つ以上のエンティティは、血小板、白血球、リンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球、好酸球、好塩基球、及びマクロファージから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記血液サンプル内の芽細胞を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプル内の1つ以上のエンティティの輪郭を識別することを含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上のエンティティのパラメータを推定することを更に含み、前記パラメータは細胞面積及び細胞体積から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいてサンプルのパラメータを推定することを更に含み、前記少なくとも1つのパラメータは平均細胞面積及び平均細胞体積から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
細胞を含む身体サンプルと共に用いるための装置であって、
顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと前記顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、前記顕微鏡の焦点を合わせ、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルとほぼ一致している状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得するように前記顕微鏡を駆動し、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせ、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得するように前記顕微鏡を駆動し、
前記オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの少なくとも一部の特性を決定する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える装置。
【請求項21】
細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法であって、
前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面がオフセットするように、前記顕微鏡の焦点を合わせることと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、前記レベル内に配置されたエンティティを識別すること、前記レベル内に配置されたエンティティの輪郭を決定すること、前記レベル内に配置されたエンティティのパラメータを決定すること、前記サンプルのパラメータを決定すること、及びこれらの任意の組み合わせ、から成る群から選択される1つ以上の動作を実行することと、
を含む方法。
【請求項22】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上の動作を実行することは、前記オフフォーカス画像を機械学習分類器に入力することを含み、前記機械学習分類器は、前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上の動作を実行するように構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上の動作を実行することは、前記オフフォーカス画像から1つ以上のパラメータを導出することと、前記1つ以上の導出したパラメータを機械学習分類器に入力することと、を含み、前記機械学習分類器は、前記導出したパラメータに少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上の動作を実行するように構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、505nmから535nmの間の波長を有する光で前記サンプルを照明しながら前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、400nmから450nmの間の波長を有する光で前記サンプルを照明しながら前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、620nmから640nmの間の波長を有する光で前記サンプルを照明しながら前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルよりも前記顕微鏡の対物レンズの近くに前記顕微鏡の前記焦点面が設定されるように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルよりも前記顕微鏡の対物レンズから遠くに前記顕微鏡の前記焦点面が設定されるように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面が20ミクロンから100ミクロンだけオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されている前記レベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面が前記顕微鏡の1から5焦点深度だけオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記顕微鏡の前記焦点面が前記単層焦点レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、前記サンプル内の他の細胞は前記サンプル内の少なくとも1つの追加レベルで懸濁した状態であり、前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることは、前記サンプル内の前記他の細胞が懸濁している前記追加レベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面がオフセットするように前記顕微鏡の焦点を合わせることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オフフォーカス画像を別の画像に対して正規化することと、少なくとも部分的に前記正規化に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記血液サンプル内の1つ以上のエンティティを識別することを含み、前記1つ以上のエンティティは、血小板、白血球、リンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球、好酸球、好塩基球、及びマクロファージから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記サンプルは血液サンプルを含み、前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記血液サンプル内の芽細胞を識別することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプル内の1つ以上のエンティティの輪郭を識別することを含む、請求項21から36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上のエンティティのパラメータを推定することを更に含み、前記パラメータは細胞面積及び細胞体積から成る群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて前記サンプルの前記一部の前記特性を決定することは、前記識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいてサンプルのパラメータを推定することを更に含み、前記少なくとも1つのパラメータは平均細胞面積及び平均細胞体積から成る群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
細胞を含む身体サンプルと共に用いるための装置であって、
顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して前記顕微鏡の前記焦点面がオフセットするように、前記顕微鏡の焦点を合わせ、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットしている状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得するように前記顕微鏡を駆動し、
前記オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、前記レベル内に配置されたエンティティを識別すること、前記レベル内に配置されたエンティティの輪郭を決定すること、前記レベル内に配置されたエンティティのパラメータを決定すること、前記サンプルのパラメータを決定すること、及びこれらの任意の組み合わせ、から成る群から選択される1つ以上の動作を実行する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える装置。
【請求項41】
細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法であって、
前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、前記顕微鏡の焦点を合わせることと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルとほぼ一致している状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように、前記顕微鏡の焦点を合わせることと、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
前記オンフォーカス画像及び前記オフフォーカス画像を分析することによって、前記オンフォーカス画像において前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルと一致していることを検証することと、
を含む方法。
【請求項42】
細胞を含む身体サンプルと共に用いるための装置であって、
顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
前記サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと前記顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、前記顕微鏡の焦点を合わせ、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルとほぼ一致している状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得するように前記顕微鏡を駆動し、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対してオフセットするように、前記顕微鏡の焦点を合わせ、
前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態で、前記サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得するように前記顕微鏡を駆動し、
前記オンフォーカス画像及び前記オフフォーカス画像を分析することによって、前記オンフォーカス画像において前記顕微鏡の前記焦点面が前記レベルと一致していることを検証する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える装置。
【請求項43】
血液サンプルと共に用いるための方法であって、
NRBC/白血球候補が、NRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示す特徴を有することに基づいて、前記血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内で前記NRBC/白血球候補を識別することと、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内で前記NRBC/白血球候補を識別することと、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された前記顕微鏡画像内の前記NRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することと、
前記NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への前記分類に少なくとも部分的に基づいて出力を生成することと、
を含む方法。
【請求項44】
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内で前記NRBC/白血球候補を識別することは、400nmから450nmの波長範囲内の紫色光による照明のもとで取得された紫色顕微鏡画像内で前記NRBC/白血球候補を識別することを含み、
前記NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、400nmから450nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された前記紫色顕微鏡画像内の前記NRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、前記紫色顕微鏡画像に強度閾値を適用することと、前記候補の前記強度が前記閾値を超えていることに基づいて前記NRBC/白血球候補を白血球に分類することと、を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記NRBC/白血球候補を検出したことに応答して、前記NRBC/白血球候補が存在する撮像フィールドの前記紫色顕微鏡画像を取得することを選択することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、前記候補の大きさ、前記候補の核の大きさ、蛍光画像内の前記候補の強度、前記候補の細胞質の強度、前記候補の細胞質の面積、前記候補の楕円率、前記候補の核の楕円率、前記候補の核の真円度、及びこれらの組み合わせ、から成る群から選択される前記候補の1つ以上の追加の特徴を分析することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が閾値を超えていることに応答して、NRBC検出の感度を増大させるように、前記血液サンプル内のNRBCを検出するための検出閾値を調整することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が閾値を超えていることに応答して、前記血液サンプル内のNRBC以外の1つ以上のエンティティを検出するための検出閾値を調整することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共に前記サンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、前記NRBC/白血球候補の少なくともいくつかを再分析することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共に前記サンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、NRBCカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共に前記サンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、白血球カウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共に前記サンプル内の所与のタイプの白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、前記所与のタイプの白血球のカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
血液サンプルと共に用いるための装置であって、
前記血液サンプルの顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
NRBC/白血球候補が、NRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示す特徴を有することに基づいて、前記血液サンプルの顕微鏡画像のうち1枚以上内で前記NRBC/白血球候補を識別し、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内で前記NRBC/白血球候補を識別し、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された前記顕微鏡画像内の前記NRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類し、
前記NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への前記分類に少なくとも部分的に基づいて出力を生成する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、双方とも「Distinguishing between NRBCs and leukocytes」と題する、2019年12月12日に出願されたGluck等に対する米国仮特許出願第US62/946,985号及び2020年7月7日に出願されたGluck等に対する米国仮特許出願第US63/048,692号の優先権を主張する。これらは双方とも援用により本願に含まれる。
【0002】
ここに開示される主題のいくつかの適用例は、一般に身体サンプルの分析に関し、具体的には、血液サンプルに実行される光学密度測定及び顕微鏡下の測定に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの光学に基づく方法(例えば診断法及び/又は分析法)では、光学測定を実行することによって、血液サンプル等の生物サンプルの特性が決定される。例えば、顕微鏡画像内の成分をカウントすることにより、成分の密度(例えば単位体積当たりの成分の数)を決定することができる。同様に、サンプルに光吸収、透過率、蛍光、及び/又は発光の測定を行うことにより、成分の濃度及び/又は密度を測定することができる。典型的には、サンプルをサンプルキャリアに載せ、サンプルキャリアのサンプルチャンバ内に含まれているサンプルの部分に対して測定を実行する。サンプルキャリアのサンプルチャンバ内に含まれているサンプルの部分に実行される測定は、サンプルの特性を決定するため分析される。
【0004】
哺乳類の赤血球(red blood cell)(すなわち赤血球(erythrocyte))は、身体の酸素キャリアである。成熟過程の間、赤血球は脱核(de-nucleation)する。すなわち、細胞から核が完全に除去される。通常、成人患者の末梢血では有核赤血球(NRBC:nucleated red blood cell)は検出されない。しかしながら、いくつかの条件(新生児、がん患者、貧血患者等)では、末梢血でNRBCが検出される。
【発明の概要】
【0005】
背景技術のセクションで述べたように、哺乳類の赤血球は身体の酸素キャリアである。成熟過程の間、赤血球は脱核する。すなわち、細胞から核が完全に除去される。通常、成人患者の末梢血では有核赤血球(NRBC)は検出されない。しかしながら、いくつかの条件(新生児、がん患者、貧血患者等)では、末梢血でNRBCが検出される。NRBCは、いくつかの白血球と(特にリンパ球と)大きさ及び核含有量が類似しているので、通常、NRBCと白血球を区別することは困難である。本発明のいくつかの適用例では、血液サンプルに対して全血球計算を実行する。全血球計算の状況では、典型的に、(特に白血球数が少ない患者で)白血球をカウントし過ぎるのを回避するため、また、NRBCの存在(基礎疾患を示す可能性がある)を検出するため、NRBCと白血球を区別することが重要である。
【0006】
本発明のいくつかの適用例によれば、白血球(例えばリンパ球)とNRBCを区別するため(例えば、NRBC/白血球の候補(すなわち、NRBC又は白血球のいずれかである可能性がある候補)が検出された状況で)、ヘモグロビンが高い吸収レベルを有する波長の光によってサンプルを照明しながら、顕微鏡画像を取得する。典型的には、紫色光、例えば400nm超及び/又は450nm未満(例えば400~450nm)の範囲内の波長を有する光を用いる。(文献内で、紫色範囲内にあると言及される波長範囲に関して多少の変動があることに留意するべきである。本出願の目的のため、紫色光は400~450nmの範囲内の光を含むものと解釈するべきである。)この波長範囲内では、可視スペクトル内の他の波長に比べ、ヘモグロビンの吸収は比較的高い。典型的に、NRBCはヘモグロビン含有量が多く(細胞当たり30ピコグラムのオーダー)、白血球はヘモグロビンを含有しない。従って、紫色光照明のもとで取得される画像内で、通常NRBCは光を吸収するのに対し、白血球は光を吸収しない。
【0007】
典型的には、紫色光照明のもとで取得される画像内のNRBC/白血球候補の強度に少なくとも部分的に基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類する。いくつかの適用例では、紫色照明条件のもとで取得される画像に(及び/又はその所与の領域もしくは画素に)強度閾値を適用し、NRBC/白血球候補の強度がこの閾値を超えているか否かに基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類する。
【0008】
いくつかの適用例では、上述したものと概ね同様の技法を実行するが、500nm超及び/又は600nm未満(例えば500~600nm)の波長を有する光を用いる。この波長範囲内では、可視スペクトル内の他の波長に比べ、カルバミノヘモグロビンの吸収が比較的高い。
【0009】
本発明のいくつかの適用例によれば、細胞懸濁液を含む血液サンプルの一部をキャリアのサンプルチャンバ内に配置する。サンプルチャンバは、ベース面を含むキャビティである。典型的に、サンプルチャンバのベース面上に細胞懸濁液中の細胞を沈降させて、サンプルチャンバのベース面上に細胞の単層を形成する。サンプルチャンバのベース面上に細胞を(例えば既定の時間間隔だけ沈降させたままにすることによって)沈降させたままにした後、典型的に、細胞の単層の少なくとも一部の少なくとも1枚の顕微鏡画像を取得する。
【0010】
いくつかの適用例において、顕微鏡は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルとほぼ一致するように設定して画像を取得する(このような画像を本明細書では「オンフォーカス(on-focus)」画像と称する)ことに加えて、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して光軸に沿ってオフセットするように設定して画像を取得する(このような画像を本明細書では「オフフォーカス(off-focus)」画像と称する)。典型的には、このようなオフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルよりも顕微鏡の対物レンズの近くに設定して取得されるが、本発明の範囲は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルよりも顕微鏡の対物レンズから遠くに設定してオフフォーカス画像を取得することを含む。いくつかの適用例では、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して20ミクロン超及び/又は100ミクロン未満、例えば20~100ミクロンのオフセットに設定して取得される。代替的に又は追加的に、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して顕微鏡の焦点深度の1倍超及び/又は顕微鏡の焦点深度の5倍未満、例えば顕微鏡の1焦点深度から5焦点深度のオフセットに設定して取得される。
【0011】
本出願の発明者らは、このようなオフフォーカス顕微鏡画像がサンプルに関する重要なデータを生成できることを見出した。具体的に述べると、オフフォーカス画像は典型的に、細胞の輪郭を識別するため及び/又はサンプル内の特定のエンティティを識別するため用いられる。これらのエンティティは例えば、白血球、白血球のタイプ(例えば、リンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球(banded neutrophil)、好酸球、好塩基球、マクロファージ、及び/又は芽細胞)、赤血球、赤血球のタイプ(例えば、成熟赤血球、NRBC、ウニ状赤血球、鎌状赤血球、涙滴状赤血球)、及び/又は血小板である。いくつかの適用例では、オフフォーカス画像を用いて、他のエンティティに対するこのようなエンティティの可視性を向上させて、より高い確度で識別可能とする。代替的に又は追加的に、オフフォーカス画像を用いて、他の場合は混同される可能性のある他のエンティティからこのようなエンティティを容易に区別できるようにする。いくつかの適用例では、オフフォーカス画像を用いて、赤血球のヘモグロビン含有量、赤血球の他の成分、及び/又は細胞(好中球等)の成熟度のような細胞の特徴を示す。
【0012】
従って、本発明のいくつかの適用例によれば、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、顕微鏡の焦点を合わせることと、
顕微鏡の焦点面がレベルとほぼ一致している状態で、サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように、顕微鏡の焦点を合わせることと、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの少なくとも一部の特性を決定することと、
を含む。
【0013】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、顕微鏡の焦点面がレベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0014】
いくつかの適用例において、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの少なくとも一部の特性を決定することは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像を機械学習分類器に入力することを含み、機械学習分類器は、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの少なくとも一部の特性を決定するように構成されている。
【0015】
いくつかの適用例において、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの少なくとも一部の特性を決定することは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像から1つ以上のパラメータを導出することと、1つ以上の導出したパラメータを機械学習分類器に入力することと、を含み、機械学習分類器は、導出したパラメータに少なくとも部分的に基づいてサンプルの少なくとも一部の特性を決定するように構成されている。
【0016】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、505nmから535nmの間の波長を有する光でサンプルを照明しながらサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0017】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、400nmから450nmの間の波長を有する光でサンプルを照明しながらサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0018】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、620nmから640nmの間の波長を有する光でサンプルを照明しながらサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0019】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルよりも顕微鏡の対物レンズの近くに顕微鏡の焦点面が設定されるように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0020】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルよりも顕微鏡の対物レンズから遠くに顕微鏡の焦点面が設定されるように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0021】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して顕微鏡の焦点面が20ミクロンから100ミクロンだけオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0022】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して顕微鏡の焦点面が顕微鏡の1から5焦点深度だけオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0023】
いくつかの適用例において、方法は、サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように顕微鏡の焦点を合わせることは、顕微鏡の焦点面が単層焦点レベルと少なくともほぼ一致するように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0024】
いくつかの適用例において、サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、サンプル内の他の細胞はサンプル内の少なくとも1つの追加レベルで懸濁した状態であり、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプル内の他の細胞が懸濁している追加レベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0025】
いくつかの適用例において、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像を相互に対して正規化することと、少なくとも部分的に正規化に基づいてサンプルの一部の特性を決定することと、を含む。
【0026】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて血液サンプル内の1つ以上のエンティティを識別することを含み、1つ以上のエンティティは、血小板、白血球、リンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球、好酸球、好塩基球、及びマクロファージから成る群から選択される。
【0027】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて血液サンプル内の芽細胞を識別することを含む。
【0028】
いくつかの適用例において、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプル内の1つ以上のエンティティの輪郭を識別することを含む。
【0029】
いくつかの適用例において、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいて1つ以上のエンティティのパラメータを推定することを更に含み、パラメータは細胞面積及び細胞体積から成る群から選択される。
【0030】
いくつかの適用例において、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいてサンプルのパラメータを推定することを更に含み、少なくとも1つのパラメータは平均細胞面積及び平均細胞体積から成る群から選択される。
【0031】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための装置が提供される。この装置は、
顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、顕微鏡の焦点を合わせ、
顕微鏡の焦点面がレベルとほぼ一致している状態で、サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得するように顕微鏡を駆動し、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせ、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得するように顕微鏡を駆動し、
オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの少なくとも一部の特性を決定する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える。
【0032】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して顕微鏡の焦点面がオフセットするように、顕微鏡の焦点を合わせることと、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、レベル内に配置されたエンティティを識別すること、レベル内に配置されたエンティティの輪郭を決定すること、レベル内に配置されたエンティティのパラメータを決定すること、サンプルのパラメータを決定すること、及びこれらの任意の組み合わせ、から成る群から選択される1つ以上の動作を実行することと、
を含む。
【0033】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、顕微鏡の焦点面がレベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0034】
いくつかの適用例において、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の動作を実行することは、オフフォーカス画像を機械学習分類器に入力することを含み、機械学習分類器は、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の動作を実行するように構成されている。
【0035】
いくつかの適用例において、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて1つ以上の動作を実行することは、オフフォーカス画像から1つ以上のパラメータを導出することと、1つ以上の導出したパラメータを機械学習分類器に入力することと、を含み、機械学習分類器は、導出したパラメータに少なくとも部分的に基づいて1つ以上の動作を実行するように構成されている。
【0036】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、505nmから535nmの間の波長を有する光でサンプルを照明しながらサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0037】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、400nmから450nmの間の波長を有する光でサンプルを照明しながらサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0038】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態でサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することは、620nmから640nmの間の波長を有する光でサンプルを照明しながらサンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することを含む。
【0039】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルよりも顕微鏡の対物レンズの近くに顕微鏡の焦点面が設定されるように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0040】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルよりも顕微鏡の対物レンズから遠くに顕微鏡の焦点面が設定されるように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0041】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して顕微鏡の焦点面が20ミクロンから100ミクロンだけオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0042】
いくつかの適用例において、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して顕微鏡の焦点面が顕微鏡の1から5焦点深度だけオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0043】
いくつかの適用例において、方法は、サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、顕微鏡の焦点面が単層焦点レベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0044】
いくつかの適用例において、方法は、サンプル内のいくつかの細胞を単層焦点レベルで単層を形成するよう沈降させることを更に含み、サンプル内の他の細胞はサンプル内の少なくとも1つの追加レベルで懸濁した状態であり、顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることは、サンプル内の他の細胞が懸濁している追加レベルに対して顕微鏡の焦点面がオフセットするように顕微鏡の焦点を合わせることを含む。
【0045】
いくつかの適用例において、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オフフォーカス画像を別の画像に対して正規化することと、少なくとも部分的に正規化に基づいてサンプルの一部の特性を決定することと、を含む。
【0046】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて血液サンプル内の1つ以上のエンティティを識別することを含み、1つ以上のエンティティは、血小板、白血球、リンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球、好酸球、好塩基球、及びマクロファージから成る群から選択される。
【0047】
いくつかの適用例において、サンプルは血液サンプルを含み、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて血液サンプル内の芽細胞を識別することを含む。
【0048】
いくつかの適用例において、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプル内の1つ以上のエンティティの輪郭を識別することを含む。
【0049】
いくつかの適用例において、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいて1つ以上のエンティティのパラメータを推定することを更に含み、パラメータは細胞面積及び細胞体積から成る群から選択される。
【0050】
いくつかの適用例において、オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいてサンプルの一部の特性を決定することは、識別した輪郭に少なくとも部分的に基づいてサンプルのパラメータを推定することを更に含み、少なくとも1つのパラメータは平均細胞面積及び平均細胞体積から成る群から選択される。
【0051】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための装置が提供される。この装置は、
顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対して顕微鏡の焦点面がオフセットするように、顕微鏡の焦点を合わせ、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得するように顕微鏡を駆動し、
オフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、レベル内に配置されたエンティティを識別すること、レベル内に配置されたエンティティの輪郭を決定すること、レベル内に配置されたエンティティのパラメータを決定すること、サンプルのパラメータを決定すること、及びこれらの任意の組み合わせ、から成る群から選択される1つ以上の動作を実行する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える。
【0052】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、顕微鏡の焦点を合わせることと、
顕微鏡の焦点面がレベルとほぼ一致している状態で、サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように、顕微鏡の焦点を合わせることと、
顕微鏡の焦点面がレベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得することと、
オンフォーカス画像及びオフフォーカス画像を分析することによって、オンフォーカス画像において顕微鏡の焦点面がレベルと一致していることを検証することと、
を含む。
【0053】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための装置が提供される。この装置は、
顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと顕微鏡の焦点面が少なくともほぼ一致するように、顕微鏡の焦点を合わせ、
顕微鏡の焦点面がレベルとほぼ一致している状態で、サンプルの少なくとも1枚のオンフォーカス顕微鏡画像を取得するように顕微鏡を駆動し、
顕微鏡の焦点面がレベルに対してオフセットするように、顕微鏡の焦点を合わせ、
顕微鏡の焦点面がレベルに対して所定のオフセットだけオフセットしている状態で、サンプルの少なくとも1枚のオフフォーカス顕微鏡画像を取得するように顕微鏡を駆動し、
オンフォーカス画像及びオフフォーカス画像を分析することによって、オンフォーカス画像において顕微鏡の焦点面がレベルと一致していることを検証する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える。
【0054】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、血液サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
NRBC/白血球候補が、NRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示す特徴を有することに基づいて、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することと、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することと、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内のNRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することと、
NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への分類に少なくとも部分的に基づいて出力を生成することと、
を含む。
【0055】
いくつかの適用例において、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することは、400nmから450nmの波長範囲内の紫色光による照明のもとで取得された紫色顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することを含み、
NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、400nmから450nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された紫色顕微鏡画像内のNRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することを含む。
【0056】
いくつかの適用例において、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、紫色顕微鏡画像に強度閾値を適用することと、候補の強度が閾値を超えていることに基づいてNRBC/白血球候補を白血球に分類することと、を含む。
【0057】
いくつかの適用例において、方法は、NRBC/白血球候補を検出したことに応答して、NRBC/白血球候補が存在する撮像フィールドの紫色顕微鏡画像を取得することを選択することを更に含む。
【0058】
いくつかの適用例において、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、候補の大きさ、候補の核の大きさ、蛍光画像内の候補の強度、候補の細胞質の強度、候補の細胞質の面積、候補の楕円率、候補の核の楕円率、候補の核の真円度、及びこれらの組み合わせ、から成る群から選択される候補の1つ以上の追加の特徴を分析することを更に含む。
【0059】
いくつかの適用例において、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が閾値を超えていることに応答して、NRBC検出の感度を増大させるように、血液サンプル内のNRBCを検出するための検出閾値を調整することを更に含む。
【0060】
いくつかの適用例において、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が閾値を超えていることに応答して、血液サンプル内のNRBC以外の1つ以上のエンティティを検出するための検出閾値を調整することを更に含む。
【0061】
いくつかの適用例において、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、NRBC/白血球候補の少なくともいくつかを再分析することを更に含む。
【0062】
いくつかの適用例において、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、NRBCカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む。
【0063】
いくつかの適用例において、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、白血球カウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む。
【0064】
いくつかの適用例において、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の所与のタイプの白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、所与のタイプの白血球のカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む。
【0065】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、血液サンプルと共に用いるための装置が提供される。この装置は、
血液サンプルの顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡と、
コンピュータプロセッサであって、
NRBC/白血球候補が、NRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示す特徴を有することに基づいて、血液サンプルの顕微鏡画像のうち1枚以上内でNRBC/白血球候補を識別し、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別し、
400nmから450nm及び/又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内のNRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類し、
NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への分類に少なくとも部分的に基づいて出力を生成する、
ように構成されたコンピュータプロセッサと、
を備える。
【0066】
従って、本発明のいくつかの適用例によれば、血液サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
NRBC/白血球候補が、NRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示す特徴を有することに基づいて、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することと、
400nmから450nmの波長範囲内の紫色光による照明のもとで取得された紫色顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することと、
紫色顕微鏡画像内のNRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することと、
NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への分類に少なくとも部分的に基づいて出力を生成することと、
を含む。
【0067】
いくつかの適用例では、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、紫色顕微鏡画像に強度閾値を適用することと、候補の強度が閾値を超えていることに基づいてNRBC/白血球候補を白血球に分類することと、を含む。
【0068】
いくつかの適用例では、方法は、NRBC/白血球候補を検出したことに応答して、NRBC/白血球候補が存在する撮像フィールドの紫色顕微鏡画像を取得することを選択することを更に含む。
【0069】
いくつかの適用例では、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することは、候補の大きさ、候補の核の大きさ、蛍光画像内の候補の強度、候補の細胞質の強度、候補の細胞質の面積、候補の楕円率、候補の核の楕円率、候補の核の真円度、及びこれらの組み合わせ、から成る群から選択される候補の1つ以上の追加の特徴を分析することを更に含む。
【0070】
いくつかの適用例では、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が閾値を超えていることに応答して、NRBC検出の感度を増大させるように、血液サンプル内のNRBCを検出するための検出閾値を調整することを更に含む。
【0071】
いくつかの適用例では、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が閾値を超えていることに応答して、血液サンプル内のNRBC以外の1つ以上のエンティティを検出するための検出閾値を調整することを更に含む。
【0072】
いくつかの適用例では、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、NRBC/白血球候補の少なくともいくつかを再分析することを更に含む。
【0073】
いくつかの適用例では、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、NRBCカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む。
【0074】
いくつかの適用例では、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、白血球カウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む。
【0075】
いくつかの適用例では、方法は、血液サンプル内で検出されるNRBCの濃度が第1の閾値を超えていると共にサンプル内の所与のタイプの白血球のカウント数が第2の閾値未満であることに応答して、所与のタイプの白血球のカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成することを更に含む。
【0076】
本発明のいくつかの適用例によれば、血液サンプルと共に用いるための方法が更に提供される。この方法は、
400nmから450nmの波長範囲内の紫色光によるサンプルの照明のもとでサンプルの少なくとも1枚の紫色顕微鏡画像を取得することと、
サンプルの少なくとも1枚の紫色顕微鏡画像内で赤血球を識別することと、
サンプルの少なくとも1枚の紫色顕微鏡画像内で識別した赤血球に基づいて、サンプルの統計的ヘモグロビン関連特性を決定することと、
サンプルの決定された統計的ヘモグロビン関連特性に少なくとも部分的に基づいて出力を生成することと、
を含む。
【0077】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、血液サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
NRBC/白血球候補が、NRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示す特徴を有することに基づいて、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することと、
500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得された顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別することと、
顕微鏡画像内のNRBC/白血球候補による光吸収レベルに少なくとも部分的に基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類することと、
NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への分類に少なくとも部分的に基づいて出力を生成することと、
を含む。
【0078】
更に、本発明のいくつかの適用例によれば、血液サンプルと共に用いるための方法が提供される。この方法は、
500nmから600nmの波長範囲内の光によるサンプルの照明のもとでサンプルの少なくとも1枚の顕微鏡画像を取得することと、
サンプルの少なくとも1枚の顕微鏡画像内で赤血球を識別することと、
サンプルの少なくとも1枚の顕微鏡画像内で識別した赤血球に基づいて、サンプルの統計的ヘモグロビン関連特性を決定することと、
サンプルの決定された統計的ヘモグロビン関連特性に少なくとも部分的に基づいて出力を生成することと、
を含む。
【0079】
本発明は、実施形態の以下の詳細な説明を図面と共に検討することから、いっそう充分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本発明のいくつかの適用例に従った生物サンプル分析システムのコンポーネントを示すブロック図である。
【
図2A】本発明のいくつかの適用例に従った光学測定ユニットの概略図である。
【
図2B】本発明のいくつかの適用例に従った光学測定ユニットの概略図である。
【
図2C】本発明のいくつかの適用例に従った光学測定ユニットの概略図である。
【
図3A】本発明のいくつかの適用例に従って顕微鏡下の測定と光学密度測定の双方を実行するために用いられるサンプルキャリアの各ビューの概略図である。
【
図3B】本発明のいくつかの適用例に従って顕微鏡下の測定と光学密度測定の双方を実行するために用いられるサンプルキャリアの各ビューの概略図である。
【
図3C】本発明のいくつかの適用例に従って顕微鏡下の測定と光学密度測定の双方を実行するために用いられるサンプルキャリアの各ビューの概略図である。
【
図4A】本発明のいくつかの適用例に従った、NRBC/白血球候補であるエンティティの顕微鏡画像である。
【
図4B】本発明のいくつかの適用例に従った、紫色照明条件のもとで取得されるNRBCの顕微鏡画像である。
【
図4C】本発明のいくつかの適用例に従った、紫色照明条件のもとで取得される白血球の顕微鏡画像である。
【
図5】本発明のいくつかの適用例に従った、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内で識別されるNRBC/白血球候補に対して実行される方法のステップを示すフローチャートである。
【
図6A】本発明のいくつかの適用例に従った、赤色照明条件のもとで取得される赤血球の顕微鏡画像である。
【
図6B】本発明のいくつかの適用例に従った、緑色照明条件のもとで取得される赤血球の顕微鏡画像である。
【
図6C】本発明のいくつかの適用例に従った、紫色照明条件のもとで取得される赤血球の顕微鏡画像である。
【
図7】本発明のいくつかの適用例に従った、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内で識別される赤血球に対して実行される方法のステップを示すフローチャートである。
【
図8】本発明のいくつかの適用例に従った、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図9A】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して紫色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図9B】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して紫色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図9C】本発明のいくつかの適用例に従って、血小板が蛍光発光するようにサンプルをアクリジンオレンジ及びヘキスト試薬で染色してUV光で励起した後の、
図9A及び
図9Bに示されているのと同じサンプル部分の蛍光顕微鏡画像である。
【
図10A】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して紫色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図10B】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して紫色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図11A】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図11B】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図12A】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図12B】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【
図12C】本発明のいくつかの適用例に従って、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
これより、本発明のいくつかの適用例に従った生物サンプル分析システム20のコンポーネントを示すブロック図である
図1Aを参照する。典型的には、サンプルキャリア22内に生物サンプル(例えば血液サンプル)が配置される。サンプルがサンプルキャリアに置かれている間に、1つ以上の光学測定デバイス24を用いてサンプルに光学測定を実行する。例えば光学測定デバイスは、顕微鏡(例えばデジタル顕微鏡)、分光光度計、光度計、分光計、カメラ、スペクトルカメラ、ハイパースペクトルカメラ、蛍光光度計、蛍光分光計、及び/又は光検出器(フォトダイオード、フォトレジスタ、及び/又はフォトトランジスタ等)を含み得る。いくつかの適用例では、光学測定デバイスは、専用の光源(発光ダイオード、白熱光源等)、及び/又は、集光及び/又は発光を操作するための光学要素(レンズ、散光器、フィルタ等)を含む。
【0082】
典型的には、コンピュータプロセッサ28が、光学測定デバイスによって実行された光学測定を受信し処理する。更に典型的には、コンピュータプロセッサは、1つ以上の光学測定デバイスによって実行された光学測定の取得を制御する。コンピュータプロセッサはメモリ30と通信する。ユーザ(例えば検査技師、又はサンプルが採取された個人)は、ユーザインタフェース32を介してコンピュータプロセッサに命令を送信する。いくつかの適用例では、ユーザインタフェースは、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーンデバイス(スマートフォン又はタブレットコンピュータ等)、タッチパッド、トラックボール、音声コマンドインタフェース、及び/又は当技術分野において既知である他のタイプのユーザインタフェースを含む。典型的に、コンピュータプロセッサは出力デバイス34を介して出力を生成する。更に典型的には、出力デバイスはモニタ等のディスプレイを含み、出力はディスプレイに表示される出力を含む。いくつかの適用例では、プロセッサは、例えばスピーカ、ヘッドフォン、スマートフォン、又はタブレットコンピュータ等、異なるタイプの視覚、テキスト、グラフィック、触覚、聴覚、及び/又はビデオ出力デバイス上で出力を生成する。いくつかの適用例では、ユーザインタフェース32は入力インタフェース及び出力インタフェースの双方として機能する、すなわち入出力インタフェースとして機能する。いくつかの適用例では、プロセッサは、ディスク又は携帯型USBドライブ等のコンピュータ可読媒体(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)上で出力を生成する、及び/又はプリンタで出力を生成する。
【0083】
これより、本発明のいくつかの適用例に従った光学測定ユニット31の概略図である
図2A、
図2B、及び
図2Cを参照する。
図2Aは、完全に組み立てたデバイスの外観の斜視図を示し、
図2B及び
図2Cは、カバーを透明にしてデバイス内部のコンポーネントを見えるようにしたデバイスの斜視図を示す。いくつかの適用例では、光学測定ユニット31内に、1つ以上の光学測定デバイス24(及び/又はコンピュータプロセッサ28及びメモリ30)が収容されている。サンプルに光学測定を実行するため、光学測定ユニット内にサンプルキャリア22が配置される。例えば、光学測定ユニットはスロット36を画定することができ、これを介してサンプルキャリアは光学測定ユニット内へ挿入される。典型的に、光学測定ユニットは、光学測定ユニット内でサンプルキャリア22を支持するように構成されているステージ64を含む。いくつかの適用例では、光学測定ユニットのカバー上のスクリーン63(例えば図示されている光学測定ユニットの前面カバー上のスクリーン)は、ユーザインタフェース32及び/又は出力デバイス34として機能する。
【0084】
典型的に、光学測定ユニットは、サンプルの一部分の顕微鏡撮像を実行するように構成された顕微鏡システム37(
図2Bから
図2Cに図示されている)を含む。いくつかの適用例では、顕微鏡システムは、光源セット65(典型的に、サンプルの明視野撮像のために使用されるよう構成された明視野光源(例えば発光ダイオード)のセット、サンプルの蛍光撮像のために使用されるよう構成された蛍光光源(例えば発光ダイオード)のセットを含む)と、サンプルを撮像するよう構成されたカメラ(例えばCCDカメラ又はCMOSカメラ)と、を含む。典型的に、光学測定ユニットは、サンプルの第2の部分に光学密度測定(例えば光吸収測定)を実行するように構成された光学密度測定ユニット39(
図2Cに示されている)も含む。いくつかの適用例において、光学密度測定ユニットは、サンプルに光学密度測定を実行するために構成された光学密度測定光源(例えば発光ダイオード)及び光検出器のセットを含む。いくつかの適用例では、前述の光源セットの各々(すなわち、明視野光源セット、蛍光光源セット、及び光学密度測定光源セット)は、複数の光源(例えば複数の発光ダイオード)を含み、それらの光源の各々は、各波長で又は各波長帯で発光するように構成されている。
【0085】
これより、本発明のいくつかの適用例に従ったサンプルキャリア22の各ビューの概略図である
図3A及び
図3Bを参照する。
図3Aはサンプルキャリアの上面図であり(説明の目的のため、
図3Aではサンプルキャリアの上部カバーは不透明なものとして図示されている)、
図3Bは下面図である(
図3Aに示されているビューに対してサンプルキャリアは短い縁部を中心に回転している)。典型的に、サンプルキャリアは、サンプルに顕微鏡分析を実行するため用いられる1つ以上のサンプルチャンバの第1のセット52と、サンプルに光学密度測定を実行するため用いられるサンプルチャンバの第2のセット54と、を含む。典型的に、サンプルキャリアのサンプルチャンバは、サンプル入口孔38を介して血液等の身体サンプルが充填される。いくつかの適用例では、サンプルチャンバは1つ以上の出口孔40を画定する。出口孔は、サンプルチャンバ内に存在する空気をサンプルチャンバから解放することによって、サンプルチャンバへの身体サンプルの充填を容易にするよう構成されている。典型的には、図示されているように、出口孔は(サンプルキャリアのサンプルチャンバに関して)入口孔の長手方向反対側に配置されている。いくつかの適用例では、出口孔はこれによって、入口孔のより近くに配置された場合に比べて、より効率的な空気逃し機構を提供する。
【0086】
本発明のいくつかの適用例に従ったサンプルキャリア22の分解組立図を示す
図3Cを参照する。いくつかの適用例では、サンプルキャリアは少なくとも3つのコンポーネントを含む。すなわち、成形コンポーネント42、ガラス層44(例えばガラスシート)、及び、ガラス層を成形コンポーネントの下側に付着するよう構成された接着層46である。成形コンポーネントは典型的に、所望の幾何学的形状を有するチャンバを提供するために(例えば射出成形によって)成形されるポリマー(例えばプラスチック)で作製される。例えば、図示されているように、成形コンポーネントは典型的に、入口孔38と、出口孔40と、各サンプルチャンバの中央部を取り囲む溝48と、を画定するように成形される。溝は典型的に、空気を出口孔へ流すことによって、及び/又は身体サンプルをサンプルチャンバの中央部の周りに流すことによって、サンプルチャンバへの身体サンプルの充填を容易にする。
【0087】
いくつかの適用例では、
図3Aから
図3Cに示されているようなサンプルキャリアは、血液サンプルの全血球計算を実行する場合に使用される。いくつかのそのような適用例では、サンプルキャリアは、
図2Aから
図2Cを参照して大まかに図示及び説明したように構成された光学測定ユニット31と共に用いられる。いくつかの適用例では、サンプルチャンバの第1のセット52(例えば、顕微鏡システム37(
図2Bから
図2Cに示されている)を用いてサンプルに顕微鏡分析を実行するため用いられる)内に血液サンプルの第1の部分を配置し、サンプルチャンバの第2のセット54(例えば、光学密度測定ユニット39(
図2Cに示されている)を用いてサンプルに光学密度測定を実行するため用いられる)内に血液サンプルの第2の部分を配置する。いくつかの適用例では、図示されているように、サンプルチャンバの第1のセット52は複数のサンプルチャンバを含み、サンプルチャンバの第2のセット54は1つだけのサンプルチャンバを含む。しかしながら、本発明の範囲は、サンプルチャンバの第1のセット内もしくはサンプルチャンバの第2のセット内のどちらかで任意の数のサンプルチャンバ(例えば単一のサンプルチャンバもしくは複数のサンプルチャンバ)を用いること、又はこれらの任意の組み合わせを含む。血液サンプルの第1の部分は、典型的に、血液サンプルの第2の部分に対して希釈されている。例えば希釈剤は、pH緩衝液、染料、蛍光染料、抗体、球状化剤(sphering agent)、溶解剤(lysing agent)等を含み得る。典型的に、サンプルチャンバの第2のセット54内に配置される血液サンプルの第2の部分は、天然の希釈されていない血液サンプルである。代替的に又は追加的に、血液サンプルの第2の部分は、例えば希釈(例えば制御された方法での希釈)、成分もしくは試薬の追加、又は分別のうち1つ以上を含む何らかの変更が行われたサンプルであってもよい。
【0088】
いくつかの適用例では、サンプルを顕微鏡で撮像する前に、1つ以上の染色物質を用いて血液サンプルの第1の部分(チャンバの第1のセット52内に配置される)を染色する。例えば染色物質は、他の細胞成分の染色よりもDNAを優先的に染色するよう構成され得る。あるいは染色物質は、他の細胞成分の染色よりも全ての細胞核酸を優先的に染色するよう構成され得る。例えばサンプルは、アクリジンオレンジ試薬、ヘキスト試薬、及び/又は、血液サンプル内のDNA及び/又はRNAを優先的に染色するよう構成された他の任意の染色物質によって染色され得る。任意選択的に、染色物質は全ての細胞核酸を染色するように構成されるが、例えばアクリジンオレンジについて既知であるように、一定の照明及びフィルタ条件のもとではDNA及びRNAのそれぞれの染色がいっそう顕著に視認できる。細胞の検出を可能とする撮像条件(例えば明視野)及び/又は染色された部分の可視化を可能とする撮像条件(例えば適切な蛍光照明)を用いて、サンプルの画像を取得することができる。典型的に、サンプルの第1の部分はアクリジンオレンジ及びヘキスト試薬によって染色される。例えば、血液サンプルの第1の(希釈された)部分は、Pollakに対する米国特許第US9,329,129号(援用により本願に含まれる)に記載されているような技法を用いて調製すればよい。米国特許第US9,329,129号は、分析のために血液サンプルを調製する方法を記載し、この方法は、サンプルの顕微鏡画像内の成分の識別及び/又はカウントを容易にする希釈ステップを含む。いくつかの適用例では、例えば上記で説明されているような明視野撮像条件下で及び/又は蛍光撮像条件下でサンプル内の血小板を可視化する1つ以上の染料を用いて、サンプルの第1の部分を染色する。例えば、サンプルの第1の部分は、メチレンブルー及び/又はロマノフスキー染料(Romanowsky stain)を用いて染色され得る。
【0089】
再び
図2Bから
図2Cを参照すると、典型的に、サンプルキャリア22は光学測定ユニット内でステージ64によって支持される。更に典型的には、ステージは分岐状設計を有するので、サンプルキャリアはエッジの周りでステージによって支持されるが、光学測定デバイスによるサンプルキャリアのサンプルチャンバの可視性をステージが妨げないようになっている。いくつかの適用例では、サンプルキャリアの成形コンポーネント42がガラス層44よりも上方に配置されると共に、光学測定ユニットの顕微鏡ユニットの対物レンズ66がサンプルキャリアのガラス層よりも下方に配置されるように、サンプルキャリアはステージ内に保持される。典型的には、サンプルに実行される顕微鏡測定中に用いられる少なくともいくつかの光源65(例えば明視野撮像中に用いられる光源)が、成形コンポーネントの上方からサンプルキャリアを照明する。更に典型的には、少なくともいくつかの追加光源(図示せず)が、サンプルキャリアの下方から(例えば対物レンズを介して)サンプルキャリアを照明する。例えば、蛍光顕微鏡検査中にサンプルを励起するため用いられる光源は、サンプルキャリアの下方から(例えば対物レンズを介して)サンプルキャリアを照明することができる。
【0090】
典型的には、顕微鏡で撮像を行う前に、例えばPollakに対する米国特許第US9,329,129号(援用により本願に含まれる)に記載されているような技法を用いて、細胞の単層を形成するように血液の第1の部分(サンプルチャンバの第1のセット52に配置されている)を沈降させる。いくつかの適用例では、血液の第1の部分は細胞懸濁液であり、チャンバの第1のセット52に属するチャンバはそれぞれ、ベース面57(
図3Cに示されている)を含むキャビティ55を画定する。典型的に、キャリアのサンプルチャンバのベース面上に細胞懸濁液中の細胞を沈降させて、サンプルチャンバのベース面上に細胞の単層を形成する。サンプルチャンバのベース面上に細胞を(例えば既定の時間間隔だけ沈降させたままにすることによって)沈降させたままにした後、典型的に、細胞の単層の少なくとも一部の少なくとも1枚の顕微鏡画像を取得する。典型的には、単層の複数の画像を取得し、各画像は、単層の撮像面内の異なる各エリアに位置する撮像フィールドに対応する。典型的に、例えば、援用により本願に含まれるGreenfieldに対する米国特許第US10,176,565号で記載されているような技法を用いて、単層を撮像するために顕微鏡の焦点を合わせる最適深度レベルを決定する。いくつかの適用例では、各撮像フィールドは相互に異なる最適深度レベルを有する。
【0091】
なお、本出願の文脈において、単層という用語は、顕微鏡の単一の焦点レベル(本明細書では「単層焦点レベル」と称する)内に配置されるように沈降した細胞の層を表すために用いられる。単層内には多少の細胞の重複が存在することがあり、例えば特定エリア内に細胞の2つ以上の重複層が存在し得る。例えば、単層内で赤血球が相互に重複する、及び/又は単層内で血小板が赤血球と重複するか又は赤血球の上にあることがある。
【0092】
いくつかの適用例では、血液サンプルの第1の部分の顕微鏡分析は細胞の単層に対して実行される。典型的に、血液サンプルの第1の部分は明視野撮像のもとで、すなわち1つ以上の光源(例えば1つ以上の発光ダイオードであり、典型的にそれぞれのスペクトル帯で発光する)からの照明のもとで撮像される。いっそう典型的には、血液サンプルの第1の部分は更に蛍光撮像のもとで撮像される。典型的に、蛍光撮像を行うには、既知の励起波長(すなわち、これらの波長の光で励起された場合に、染色された物体(すなわち1又は複数の染料を吸収した物体)が蛍光光を発することが既知である波長)の光をサンプルの方へ誘導することによって、サンプル内の染色された物体を励起し、蛍光光を検出する。典型的に、蛍光撮像では、別個の光源セット(例えば1つ以上の発光ダイオード)を用いて既知の励起波長でサンプルを照明する。
【0093】
Pollakに対する米国特許出願公開第US2019/0302099号(援用により本願に含まれる)を参照して記載されているように、いくつかの適用例では、セット52(顕微鏡下の測定のために用いられる)に属するサンプルチャンバは相互に異なる高さを有する。これの目的は、各サンプルチャンバの顕微鏡画像を用いた異なる測定量の測定を容易にすること、及び/又は各サンプルタイプの顕微鏡分析のために異なるサンプルチャンバを使用することである。例えば、血液サンプル及び/又はサンプルによって形成された単層が比較的低い密度の赤血球を有する場合、高さが大きいサンプルキャリアのサンプルチャンバ(すなわち、比較的高さが小さい異なるサンプルチャンバに比べて高さが大きいサンプルキャリアのサンプルチャンバ)内で測定を実行することで、充分な密度の細胞が存在するように、及び/又はサンプルによって形成された単層内に充分な密度の細胞が存在するようにして、統計的に信頼性の高いデータを提供することができる。このような測定は例えば、赤血球の密度測定、他の細胞属性(異常な赤血球の数、細胞内小体(intracellular body)(例えば病原体、ハウエルジョリー小体)等を含む赤血球の数)の測定、及び/又はヘモグロビン濃度の測定を含み得る。逆に、血液サンプル及び/又はサンプルによって形成された単層が比較的高い密度の赤血球を有する場合、比較的小さい高さのサンプルキャリアのチャンバでそのような測定を実行することで、例えば、充分な希薄度(sparsity)の細胞が存在するように、及び/又はサンプルによって形成された細胞の単層内に充分な希薄度の細胞が存在するようにして、顕微鏡画像内で細胞を識別することができる。いくつかの適用例では、セット52に属するチャンバ間の高さの差異が正確に分かっていなくても、そのような方法が実行される。
【0094】
いくつかの適用例では、測定される測定量に基づいて、光学測定を実行するサンプルキャリア内のサンプルチャンバを選択する。例えば、高さの大きいサンプルキャリアのサンプルチャンバを用いて、白血球のカウント(例えば、浅い領域内で数が少ないことから発生し得る統計誤差を減らすため)、白血球の分化、及び/又はまれな形態の白血球の検出を実行することができる。逆に、平均赤血球ヘモグロビン(MCH:mean corpuscular hemoglobin)、平均赤血球容積(MCV:mean corpuscular volume)、赤血球分布幅(RDW:red blood cell distribution width)、赤血球形態学的特徴、及び/又は赤血球異常を決定するために、比較的小さい高さのサンプルキャリアのサンプルチャンバから顕微鏡画像を取得することができる。これは、そのようなサンプルチャンバでは細胞が領域のエリア内に比較的まばらに分布しているから、及び/又は細胞が比較的まばらに分布している単層を形成するからである。同様に、血小板のカウント、血小板の分類、及び/又は血小板の他のいずれかの属性(容積等)の抽出を行うために、比較的小さい高さのサンプルキャリアのサンプルチャンバから顕微鏡画像を取得することができる。これは、そのようなサンプルチャンバ内では顕微鏡画像において及び/又は単層において血小板と(完全に又は部分的に)重複する赤血球が少ないからである。
【0095】
上述の例によれば、サンプル(血液サンプル等)内のある測定量を測定するため光学測定を実行するには高さの小さいサンプルキャリアのサンプルチャンバを使用することが好ましいが、そのようなサンプル内の他の測定量を測定するため光学測定を実行するには高さの大きいサンプルキャリアのサンプルチャンバを使用することが好ましい。従って、いくつかの適用例では、サンプルキャリアのセット52に属する第1のサンプルチャンバ内に配置されたサンプルの部分に(例えばこの部分の顕微鏡画像を取得することで)第1の光学測定を実行することによってサンプル内の第1の測定量が測定され、サンプルキャリアのセット52の第2のサンプルチャンバ内に配置されたサンプルの部分に(例えばこの部分の顕微鏡画像を取得することで)第2の光学測定を実行することによって同じサンプルの第2の測定量が測定される。いくつかの適用例では、例えば、援用により本願に含まれるZaitに対する米国特許出願公開第US2019/0145963号に記載されているような技法を用いて、第1及び第2の測定量は相互に対して正規化される。
【0096】
典型的に、サンプルに光学密度測定を実行するため、光学測定を実行したサンプルの部分の光路長、容積、及び/又は厚さをできる限り精密に知ることが望ましい。典型的に、光学密度測定は、サンプルの第2の部分(典型的に、希釈されていない形態でサンプルチャンバの第2のセット54内に配置される)に対して実行される。例えば、サンプルに対して光吸収、透過率、蛍光、及び/又は発光の測定を実行することにより、成分の濃度及び/又は密度を測定することができる。
【0097】
再び
図3Bを参照すると、いくつかの適用例では、セット54に属するサンプルチャンバ(光学密度測定に用いられる)は典型的に、少なくとも第1の領域56(典型的に深い)及び第2の領域58(典型的に浅い)を画定する。第1の領域と第2の領域とで、サンプルチャンバの高さは既定されるように異なっている。これは例えば、援用により本願に含まれるPollakに対する米国特許出願公開第US2019/0302099号に記載されている。サンプルチャンバの第1の領域56及び第2の領域58の高さは、ガラス層が画定する下面及び成形コンポーネントが画定する上面によって画定される。第2の領域の上面は第1の領域の上面に対して段差がある。第1及び第2の領域の上面間の段差は、これらの領域間に既定の高度差Δhを与えるので、これらの領域の絶対高さが(例えば製造プロセスの公差のため)充分な精度で分かっていない場合であっても、本明細書に記載され、Pollakに対する米国特許出願公開第US2019/0302099号(援用により本願に含まれる)に記載されているような技法を用いて、サンプルのパラメータを決定するには充分な精度で高度差Δhが分かる。いくつかの適用例では、サンプルチャンバの高さは第1の領域56から第2の領域58へと変動し、第2の領域58から第3の領域59へと再び変動するので、サンプルチャンバに沿って、第1の領域56は最大高さ領域を画定し、第2の領域58は中間高さ領域を画定し、第3の領域59は最小高さ領域を画定する。いくつかの適用例では、サンプルチャンバの長さに沿って更に別の高さ変動が存在する、及び/又はサンプルチャンバの長さに沿って高さが漸進的に変動する。
【0098】
上述した通り、サンプルキャリアにサンプルが配置されている間に、1つ以上の光学測定デバイス24を用いてサンプルに光学測定を実行する。典型的に、サンプルはガラス層を介して光学測定デバイスによって調べられる。ガラスは、少なくとも光学測定デバイスが典型的に使用する波長に対して透明である。典型的に、光学測定を実行する間、サンプルキャリアは、光学測定デバイスを収容している光学測定ユニット31内に挿入される。典型的には、ガラス層の上方に成形層が配置されるように、かつ、サンプルキャリアのガラス層の下方に光学測定ユニットが配置され、光学測定ユニットがガラス層を介してサンプルに光学測定を実行できるように、光学測定ユニットはサンプルキャリアを収容する。サンプルキャリアは、ガラス層を成形コンポーネントに付着させることによって形成される。例えばガラス層及び成形コンポーネントは、(例えば熱接合、溶媒を用いた接合、超音波溶接、レーザ溶接、熱かしめ(heat staking)、接着剤、機械的クランプ、及び/又は追加の基板を用いて)製造又は組み立て中に相互に接合することができる。いくつかの適用例では、ガラス層及び成形コンポーネントは、接着層46を用いて製造又は組み立て中に相互に接合される。
【0099】
これより、本発明のいくつかの適用例に従って取得された顕微鏡画像である
図4Aから
図4Cを参照する。背景のセクションで述べたように、哺乳類の赤血球は身体の酸素キャリアである。成熟過程の間、赤血球は脱核する。すなわち、細胞から核が完全に除去される。通常、成人患者の末梢血では有核赤血球(NRBC)は検出されない。しかしながら、いくつかの条件(新生児、がん患者、貧血患者等)では、末梢血でNRBCが検出される。NRBCは、いくつかの白血球と(特にリンパ球と)大きさ及び核含有量が類似しているので、通常、NRBCと白血球を区別することは困難である。例えば
図4Aは、明視野顕微鏡画像に蛍光顕微鏡画像を重ね合わせた合成画像を示す。明視野画像は紫色照明条件のもとで取得され、明視野画像を取得する際に顕微鏡はサンプル内の細胞の単層に対してオフフォーカスであった。サンプルは、DNAに対して親和性を有するヘキスト試薬で染色し、蛍光画像の取得前にヘキスト試薬を励起させた。(上述した通り、典型的にはサンプルの追加の明視野画像及び/又は蛍光画像が取得される。例えば、サンプルをアクリジンオレンジで染色し、アクリジンオレンジが励起されている蛍光画像を取得するのが典型例である。)画像内でエンティティ60を視認することができ、このエンティティの大きさは、これがNRBC又は白血球のいずれかである可能性があることを示している。更に、このエンティティの中央部は蛍光発光し、核の存在を示しているが、これはエンティティがNRBCである場合又は白血球である場合の双方で予想される。
【0100】
上述したように、本発明のいくつかの適用例では、血液サンプルに対して全血球計算を実行する。全血球計算の状況では、典型的に、(特に白血球数が少ない患者で)白血球をカウントし過ぎるのを回避するため、また、NRBCの存在(基礎疾患を示す可能性がある)を検出するため、NRBCと白血球を区別することが重要である。
【0101】
本発明のいくつかの適用例によれば、白血球(例えばリンパ球)とNRBCを区別するため(例えば、NRBC/白血球の候補(すなわち、NRBC又は白血球のいずれかである可能性がある候補)が検出された状況で)、ヘモグロビンが高い吸収レベルを有する波長の光によってサンプルを照明しながら、顕微鏡画像を取得する。典型的には、紫色光、例えば400nm超及び/又は450nm未満(例えば400~450nm)の範囲内の波長を有する光を用いる。この波長範囲内では、可視スペクトル内の他の波長に比べ、ヘモグロビンの吸収は比較的高い。典型的に、NRBCはヘモグロビン含有量が多く(細胞当たり30ピコグラムのオーダー)、白血球はヘモグロビンを含有しない。従って、紫色光照明のもとで取得される画像内で、通常NRBCは光を吸収するのに対し、白血球は光を吸収しない。いくつかの適用例では、500nm超及び/又は600nm未満(例えば500~600nm)の波長を有する光を用いる。この波長範囲内では、可視スペクトル内の他の波長に比べ、カルバミノヘモグロビンの吸収が比較的高い。従って、上述した波長範囲内の照明のもとで取得される画像内で、通常NRBCは光を吸収するのに対し、白血球は光を吸収しない。
【0102】
次に
図4B及び
図4Cを参照すると、
図4Bは紫色光照明のもとで取得された画像内のNRBC62を示し、
図4Cは紫色光照明のもとで取得された画像内の白血球67を示す。図示のように、NRBC内のヘモグロビンによる光の吸収に起因してNRBCは全体が暗く見えるのに対し、白血球内にはヘモグロビンが存在しないので白血球の中央部は暗く見えない。従って、典型的には、紫色光照明のもとで取得される画像内のエンティティの強度に少なくとも部分的に基づいて、エンティティはNRBC又は白血球のいずれかに分類される。いくつかの適用例では、紫色照明条件のもとで取得される画像に(及び/又はその所与の領域もしくは画素に)強度閾値を適用し、エンティティの強度がこの閾値を超えているか否かに基づいて、エンティティをNRBC又は白血球のいずれかに分類する。
【0103】
典型的には、最初に、紫色波長以外の波長で取得される明視野画像に基づいて、及び/又は蛍光画像に基づいて、NRBC/白血球候補(すなわち、NRBC又は白血球のいずれかである可能性がある候補)であるエンティティを識別する。このような候補を識別したことに応答して、NRBCと白血球を区別するため、紫色照明条件のもとで取得される画像を(例えば上述した手法で)分析する。いくつかの適用例では、所与の撮像フィールド内で1つ以上(例えば所与の最小数)のNRBC/白血球候補が識別された場合、その撮像フィールドの画像のみを紫色照明条件のもとで取得する。すなわち、コンピュータプロセッサは、撮像フィールド内でNRBC/白血球候補(及び/又は所与の数もしくは濃度を超えるNRBC/白血球候補)を識別したことによって、その必要性を検出した場合にのみ、紫色照明のもとで画像を取得するよう顕微鏡を駆動する。
【0104】
いくつかの適用例では、追加の特徴を用いてNRBCと白血球を区別する。例えば、そのような追加の特徴は、細胞の大きさ、核の大きさ、蛍光強度、細胞質の強度、細胞質の面積、細胞の楕円率、核の楕円率、核の真円度、及び/又は上述した特徴の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの適用例では、例えば赤色光及び/又は緑色光のように異なる明視野照明条件のもとでNRBC/白血球候補の1枚以上の画像を取得し、この1枚以上の追加画像を分析することによって候補の分類を検証する。いくつかの適用例では、紫色照明条件のもとで取得される画像及び/又は1枚以上の追加画像はオフフォーカス明視野画像である。いくつかの適用例では、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類するため、NRBC/白血球候補の上述した特徴のうち1つ以上に対して、機械学習分類器(例えば、畳み込みニューラルネットワーク分類器、決定木分類器、回帰分析分類器、ベイジアンネットワーク分類器、及び/又はサポートネットワークベクトル分類器)を適用する。代替的に又は追加的に、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類するため、原画像(このような画像は典型的に紫色照明条件のもとで取得される画像を含む)に対して、ニューラルネットワーク分類器を適用する。
【0105】
上述の通り、通常、NRBCは健常成人の血液に存在しないので、NRBCの存在は基礎にある臨床症状を示す。被験者の血液中に1つ以上のNRBCが存在することは、血液サンプル内の別のエンティティが、(血液中に常に存在する)白血球でなく、NRBCである可能性が高いことを示し得る。いくつかの適用例では、NRBCを1つでも検出したことに応答して(及び/又は、所与の数のもしくは所与の濃度のNRBCを検出したことに応答して)、エンティティをNRBCとして識別するため用いられる1つ以上の閾値を調整することで、NRBCに対するコンピュータプロセッサの感度を増大させる。典型的には、1つ以上のNRBCを識別したことに応答して(例えば、所与の数を超える及び/又は所与の濃度を超えるNRBCを識別したことに応答して)、NRBCが識別されたことを通知する及び/又は識別されたNRBCの濃度もしくは相対濃度を示す出力をユーザに対して生成する。
【0106】
いくつかの適用例では、所与の数を超える及び/又は所与の濃度を超えるNRBCを検出したことに応答して、コンピュータプロセッサは、他のエンティティを検出するため用いられる閾値を調整する、及び/又は他のエンティティのカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成する。いくつかの適用例では、白血球の比較的小さいカウント数と共にNRBCの比較的大きいカウント数を検出したことに応答して、コンピュータプロセッサはこれを、いくつかのNRBC/白血球候補が間違って分類されたことを示すものとして解釈する。これに応答して、コンピュータプロセッサは典型的に、候補のうち少なくともいくつかを再分析する、及び/又は、NRBCのカウント数及び/又は白血球のカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成する。いくつかの適用例では、コンピュータプロセッサは、所与の1つのタイプ(又は所与の複数のタイプ)の白血球のみが低い濃度を有することを検出し、このタイプ(又はこれらのタイプ)の白血球がNRBCと間違って区別されたことを示す。これに応答して、コンピュータプロセッサは典型的に、この所与の1つのタイプ(又は複数のタイプ)の白血球のカウント数が誤っている可能性があることを示す出力を生成する。
【0107】
これより、本発明のいくつかの適用例に従った、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内で識別されるNRBC/白血球候補に対して実行される方法のステップを示すフローチャートである
図5を参照する。
図4Aから
図4Cを参照して上述され、
図5のフローチャートに示されているように、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内でNRBC/白血球候補を識別し(ステップ100)、次いで、400nmから450の波長範囲内の照明のもとで又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで取得した顕微鏡画像内で、NRBC/白血球候補を識別する(ステップ102)。次いで、顕微鏡画像内のNRBC/白血球候補による光吸収レベルに基づいて、NRBC/白血球候補をNRBC又は白血球のいずれかに分類し(ステップ104)、NRBC/白血球候補のNRBC又は白血球への分類に基づいて出力を生成する(ステップ106)。
【0108】
これより、本発明のいくつかの適用例に従った、赤色、緑色、及び紫色の照明条件のもとでそれぞれ取得される赤血球70の顕微鏡画像である
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照する。典型的に、紫色光範囲(例えば400nm超及び/又は450nm未満(例えば400nmから450nmの間))のヘモグロビン変異体(hemoglobin variant)の吸収は、可視スペクトル内の他の波長における吸収に比べて1桁から3桁大きい。
図6Aから
図6Cで観察できるように、
図6Cにおける赤血球と背景とのコントラストは、
図6A(赤色照明のもとで取得された)及び
図6B(緑色照明のもとで取得された)よりも著しく大きい。
【0109】
従っていくつかの適用例では、血液サンプルのヘモグロビン関連特性を決定するため、紫色照明条件のもとで血液サンプルを撮像する。例えば、紫色光の吸収を測定することによって、単一の赤血球のヘモグロビン含有量を決定できる。いくつかの適用例では、紫色照明条件のもとで実行される吸収測定を、異なる照明条件(例えば赤色又は緑色照明条件)のもとで実行される追加の吸収測定と組み合わせて実行する。典型的に、これを複数の細胞に実行し、例えば平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、ヘモグロビン分布幅のような、サンプルの統計的ヘモグロビン関連特性を決定する。いくつかの適用例では、更に細胞体積データを決定する。例えば、個々の細胞の体積、及び/又はサンプル内の赤血球の平均細胞体積を決定することができる。平均赤血球ヘモグロビン及び細胞体積データに基づいて、コンピュータプロセッサは、サンプルの平均赤血球ヘモグロビン濃度を決定する。いくつかの適用例では、500nm超及び/又は600nm未満(例えば500~600nm)の波長を有する光を用いる。この波長範囲内では、可視スペクトル内の他の波長に比べ、カルバミノヘモグロビンの吸収が比較的高い。
【0110】
いくつかの適用例では、赤血球集団を、網状赤血球、NRBC、及び/又は特定の形態学的特徴を有する細胞(例えば鎌状赤血球、卵形細胞、標的細胞、ウニ状赤血球等)のような亜集団に分類する。いくつかの適用例では、赤血球亜集団のいくつかのうち1つで、上述したサンプルの統計的ヘモグロビン関連特性を決定する。例えば、コンピュータプロセッサは、平均網状赤血球ヘモグロビン、又は平均鎌状赤血球ヘモグロビン、平均ウニ状赤血球ヘモグロビン濃度等を決定することができる。
【0111】
これより、本発明のいくつかの適用例に従った、血液サンプルの1枚以上の顕微鏡画像内で識別される赤血球に対して実行される方法のステップを示すフローチャートである
図7を参照する。
図6Aから
図6Cを参照して上述され、
図7のフローチャートに示されているように、400nmから450nmの波長範囲内の光による照明のもとで又は500nmから600nmの波長範囲内の光による照明のもとで、血液サンプルの顕微鏡画像を取得し(ステップ110)、この顕微鏡画像内で赤血球を識別する(ステップ112)。識別された赤血球に基づいて血液サンプルのヘモグロビン関連特性を決定し(ステップ114)、決定されたヘモグロビン関連特性に基づいて出力を生成する(ステップ116)。
【0112】
上述したように、いくつかの適用例では、キャリア22のサンプルチャンバのベース面上に細胞懸濁液中の細胞を沈降させて、サンプルチャンバのベース面上に細胞の単層を形成する。サンプルチャンバのベース面上に細胞を(例えば既定の時間間隔だけ沈降させたままにすることによって)沈降させたままにした後、典型的に、細胞の単層の少なくとも一部の少なくとも1枚の顕微鏡画像を取得する。上記したように、本出願の文脈において、単層という用語は、顕微鏡の単一の焦点レベル(本明細書では「単層焦点レベル」と称する)内に配置されるように沈降した細胞の層を表すために用いられる。いくつかの適用例において、顕微鏡は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルとほぼ一致するように設定して画像を取得する(このような画像を本明細書では「オンフォーカス」画像と称する)ことに加えて、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して光軸に沿ってオフセットするように設定して画像を取得する(このような画像を本明細書では「オフフォーカス」画像と称する)。典型的には、このようなオフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルよりも顕微鏡の対物レンズの近くに設定して取得されるが、本発明の範囲は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルよりも顕微鏡の対物レンズから遠くに設定してオフフォーカス画像を取得することを含む。典型的に、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して所定のオフセットに設定して取得される。いくつかの適用例では、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して20ミクロン超及び/又は100ミクロン未満、例えば20~100ミクロンのオフセットに設定して取得される。代替的に又は追加的に、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡焦点面を単層焦点レベルに対して顕微鏡の焦点深度の1倍超及び/又は顕微鏡の焦点深度の5倍未満、例えば顕微鏡の1から5焦点深度のオフセットに設定して取得される。
【0113】
本出願の発明者らは、このようなオフフォーカス顕微鏡画像がサンプルに関する重要なデータを生成できることを見出した。具体的に述べると、オフフォーカス画像は典型的に、細胞の輪郭を識別するため及び/又はサンプル内の特定のエンティティを識別するため用いられる。これらのエンティティは例えば、白血球、白血球のタイプ(例えば、リンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球、好酸球、好塩基球、マクロファージ、及び/又は芽細胞)、赤血球、赤血球のタイプ(例えば、成熟赤血球、NRBC、ウニ状赤血球、鎌状赤血球、涙滴状赤血球)、及び/又は血小板である。いくつかの適用例では、オフフォーカス画像を用いて、他のエンティティに対するこのようなエンティティの可視性を向上させて、より高い確度で識別可能とする。代替的に又は追加的に、オフフォーカス画像を用いて、他の場合は混同される可能性のある他のエンティティからこのようなエンティティを容易に区別できるようにする。いくつかの適用例では、オフフォーカス画像を用いて、赤血球のヘモグロビン含有量、赤血球の他の成分、及び/又は細胞(好中球等)の成熟度のような細胞の特徴を示す。
【0114】
最初に、本発明のいくつかの適用例に従った、細胞を含む身体サンプルと共に用いるための方法のステップを示すフローチャートである
図8を参照する。上述され、
図8のフローチャートで示されているように、顕微鏡の「オンフォーカス」焦点面に顕微鏡の焦点を合わせる(ステップ120)。「オンフォーカス」焦点面では、顕微鏡の焦点面が、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルと少なくともほぼ一致する。次いで、焦点面が「オンフォーカス」であり、顕微鏡の焦点面が、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルとほぼ一致している状態で、オンフォーカス顕微鏡画像を取得する(ステップ122)。更に、顕微鏡の「オフフォーカス」焦点面に顕微鏡の焦点を合わせる(ステップ124)。「オフフォーカス」焦点面では、顕微鏡の焦点面が、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対してオフセットしている(すなわち、「オンフォーカス」焦点面に対してオフセットしている)。次いで、顕微鏡の焦点面が、サンプルの一部である少なくともいくつかの細胞が少なくとも部分的に配置されているレベルに対してオフセットしている状態で、オフフォーカス顕微鏡画像を取得する(ステップ126)。次いで、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、サンプルの少なくとも一部の特性を決定する(ステップ128)。
【0115】
なお、典型的に、オフフォーカス画像は、ヘモグロビンによる光吸収が小さい波長(例えば約620~640nmの波長範囲内の光のような赤色光)だけでなく、ヘモグロビンによる光吸収が軽度である(mild)波長(例えば505~535nm又は520~530nmの波長範囲内の光のような緑色光)でも、又は、ヘモグロビンによる光吸収が大きい波長(例えば400nm超及び/又は450nm未満(例えば400~450nm)の波長範囲内の光のような紫色光)でも取得される。以下で
図9Aから
図12Cを参照して、そのような画像のいくつかの使用例を記載する。
【0116】
これより、本発明のいくつかの適用例に従って、紫色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である
図9A及び
図9Bを参照する。これらの図はそれぞれ、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して(
図9A)、また、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して(
図9B)取得した。オンフォーカス画像(
図9A)では、赤血球80及びウニ状赤血球82を視認することができる。更に、明るいエリア84を観察できる。明るいエリアは血小板である。しかしながら、この未加工のオンフォーカス画像に基づいて血小板を識別することは難しい可能性があり、血小板を他のエンティティ(赤血球内寄生虫又は白血球等)と区別することも難しい可能性がある。また、観察できるように、オフフォーカス画像(
図9B)では明るいエリアはあまりよく見えない。いくつかの適用例では、コンピュータプロセッサは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に基づいて正規化を実行する(例えば、画像の一方を他方から減算することによって、又は画像の一方を他方で除算することによって)。典型的には、正規化に基づいて、明るいエリアはいっそう明確に視認可能となり、コンピュータプロセッサは、未加工のオンフォーカス画像のみに基づく場合に可能であるよりも高い確度で明るいエリアを血小板として識別できる。(なお、いくつかの適用例において、実際にはこれら2つの画像は相互に対して正規化されず、これらの画像又は画像の部分を相互に対して正規化することと同等である処理ステップをコンピュータプロセッサによって実行する。)次に、
図9Cを参照する。
図9Cは、本発明のいくつかの適用例に従って、血小板が蛍光発光するようにサンプルをアクリジンオレンジ及びヘキスト試薬で染色してUV光で励起した後の、
図9A及び
図9Bに示されているのと同じサンプル部分の蛍光顕微鏡画像である。この画像では、血小板は明確に視認可能であり、周囲のエンティティから区別できる。
図9A及び
図9Bで示されているように、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に基づいて正規化を実行することは、血小板の可視性を向上させる代替的な又は追加的な方法である。
【0117】
これより、本発明のいくつかの適用例に従って、紫色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例である
図10A及び
図10Bを参照する。これらの図はそれぞれ、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して(
図10A)、また、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して(
図10B)取得した。オンフォーカス画像(
図10A)では、円形状の明るいエンティティ90を視認することができる。このエンティティは白血球である。しかしながら、この未加工のオンフォーカス画像に基づいて白血球を識別することは難しい可能性があり、白血球を他のエンティティ(血小板又は血小板クラスタ)と区別することも難しい可能性がある。また、観察できるように、オフフォーカス画像(
図10B)では明るいエンティティはあまりよく見えない。更に、白血球を特定のタイプの白血球(例えばリンパ球、顆粒球、単球、好中球、縞状好中球、好酸球、好塩基球、マクロファージ、及び/又は芽細胞)に分類することは難しい可能性がある。いくつかの適用例では、コンピュータプロセッサは、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に基づいて正規化を実行する(例えば、画像の一方を他方から減算することによって、又は画像の一方を他方で除算することによって)。典型的には、正規化に基づいて、明るいエンティティはいっそう明確に視認可能となり、コンピュータプロセッサは、未加工のオンフォーカス画像のみに基づく場合に可能であるよりも高い確度で、明るいエンティティを白血球として識別すること、及び/又は白血球を特定のタイプの白血球に分類することができる。(なお、いくつかの適用例において、実際にはこれら2つの画像は相互に対して正規化されず、これらの画像又は画像の部分を相互に対して正規化することと同等である処理ステップをコンピュータプロセッサによって実行する。)
【0118】
図9Aから
図9B及び
図10Aから
図10Bの上記の記載によれば、いくつかの適用例において、コンピュータプロセッサは、サンプル内の細胞の単層のオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、サンプル内の1つ以上のエンティティを識別する(例えば、1つ以上のエンティティを他のエンティティと区別することによって)。いくつかのそのような適用例では、オンフォーカス及びオフフォーカス画像に基づいて正規化を実行し、コンピュータプロセッサは、正規化に基づいてサンプル内の1つ以上のエンティティを識別する(例えば、1つ以上のエンティティを他のエンティティと区別することによって)。
図9Aから
図9B及び
図10Aから
図10Bに示されている例は血小板及び白血球に関連するが、いくつかの適用例では、概ね同様の技法を用いて、異常白血球、循環腫瘍細胞、赤血球、網状赤血球、ハウエルジョリー小体、鎌状赤血球、涙滴状赤血球のような他のエンティティを識別する。
【0119】
再び
図9Aから
図9B及び
図10Aから
図10Bを参照すると、オフフォーカス画像では、細胞(特に、赤血球、ウニ状赤血球、及び他の赤血球タイプ)の輪郭がオンフォーカス画像よりも明確に視認可能であることが更に観察できる。いくつかの適用例において、オフフォーカス画像でこれらの輪郭がより明確に視認できる理由は、オンフォーカス画像に比べて一部の屈折及び/又は回折効果が低減しているからである。
図11Aから
図12Cに、これの別の例がいくつか示されている。
【0120】
次に
図11Aから
図11Bを参照すると、これらの図は、本発明のいくつかの適用例に従って、緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例であり、それぞれ、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して(
図11A)、また、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して(
図11B)取得した。観察できるように、緑色照明のもとで取得されるオフフォーカス画像においても、細胞(特に、赤血球、ウニ状赤血球、及び他の赤血球タイプ)の輪郭がオンフォーカス画像よりも明確に視認可能である。
【0121】
次に
図12Aから
図12Cを参照すると、これらの図は、本発明のいくつかの適用例に従って、緑色照明を用いて取得した血液サンプルの細胞の単層の明視野顕微鏡画像の例であり、それぞれ、顕微鏡焦点面を細胞の単層と一致するように設定して(
図12A)、また、顕微鏡焦点面を細胞の単層に対してオフフォーカスとなるように設定して(
図12B及び
図12C)取得した。
図12Bは、顕微鏡の焦点面を細胞の単層よりも顕微鏡の対物レンズの近くに設定して取得したのに対し、
図12Cは、顕微鏡の焦点面を細胞の単層よりも顕微鏡の対物レンズから遠くに設定して取得した。観察できるように、顕微鏡の焦点面を細胞の単層よりも顕微鏡の対物レンズの近くに又は細胞の単層よりも顕微鏡の対物レンズから遠くに設定して取得されるオフフォーカス画像では、細胞(特に、赤血球、ウニ状赤血球、及び他の赤血球タイプ)の輪郭はオンフォーカス画像よりも明確に視認可能である。
【0122】
図9Aから
図9B、
図10Aから
図10B、及び
図11Aから
図12Cの上記の説明に従って、本発明のいくつかの適用例においてコンピュータプロセッサは、オフフォーカス画像に基づいて血液サンプル内の1つ以上のエンティティの輪郭を決定する。いくつかの適用例において、コンピュータプロセッサは、決定した輪郭に基づいて1つ以上のエンティティの追加のパラメータを決定する。例えばコンピュータプロセッサは、決定した輪郭に基づいて、細胞体積、細胞面積、平均細胞体積、及び/又は平均細胞面積を決定することができる。
【0123】
いくつかの適用例において、コンピュータプロセッサは、例えばニューラルネットワーク(畳み込みニューラルネットワーク等)のような機械学習分類器を用いて、サンプルの(及び/又はサンプル内に配置されているエンティティの)1つ以上のパラメータを決定する。いくつかの適用例では、1つ以上のオフフォーカス画像から導出されるパラメータを機械学習分類器の入力として使用し、これに応じて、サンプルの(及び/又はサンプル内に配置されているエンティティの)パラメータを決定する。例えば、細胞ヘモグロビン、細胞体積、平均細胞ヘモグロビン、平均細胞体積、及び/又は追加のパラメータを推定する分類器の入力として、オフフォーカス画像から導出されるパラメータを使用することができる。
【0124】
たいていの場合、本明細書に記載されている技法を用いて単層を形成するように血液サンプルを沈降させたままにした後であっても、血液サンプル内の血小板の全てが単層内に沈降するわけではなく、一部の細胞は細胞溶液中で懸濁し続ける。いくつかの適用例では、サンプル内の血小板の数を正確に推定するため、単層焦点レベル内の血小板を識別することに加えて、細胞溶液中に懸濁している血小板を識別する。典型的に、このような血小板を識別するには、細胞の単層を撮像するため顕微鏡の焦点を合わせる1又は複数の深度レベルに対する追加の深度レベルに顕微鏡の焦点を合わせ、これらの追加深度レベルで画像を取得する。典型的に、追加深度レベルで取得される画像内の血小板を識別してカウントし、更に、それらの画像内の血小板のカウント数に基づいて、細胞溶液中に懸濁している血小板の総カウント数を推定する。
【0125】
いくつかの適用例では、追加深度レベルの各々でオンフォーカス画像を取得することに加えて、追加深度レベルのオフフォーカス画像(すなわち、追加深度レベルの焦点面に対して光軸に沿ってオフセットしている画像)を取得する。典型的に、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡の焦点面を追加深度レベルに対して所定のオフセットに設定して取得される。いくつかの適用例では、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡の焦点面を追加深度レベルに対して20ミクロン超及び/又は100ミクロン未満、例えば20~100ミクロンのオフセットに設定して取得される。代替的に又は追加的に、オフフォーカス顕微鏡画像は、顕微鏡の焦点面を追加深度レベルに対して顕微鏡の焦点深度の1倍超及び/又は顕微鏡の焦点深度の5倍未満、例えば顕微鏡の1から5焦点深度のオフセットに設定して取得される。いくつかのそのような適用例では、例えば上述した技法に従って、追加深度レベルのオフフォーカス画像に少なくとも部分的に基づいて、追加深度レベルで血小板を識別する。
【0126】
上述の記載によれば、単層の所与の領域のオンフォーカス画像を同じ領域のオフフォーカス画像と比較した場合、典型的には、特定の効果が予想される。いくつかの適用例では、単層の所与の領域のオンフォーカス画像が単層に対して最適な焦点にあることを検証するため、その領域のオフフォーカス画像を取得する(典型的に、顕微鏡の焦点面をオンフォーカス画像に対して所定のオフセットに設定する)。次いで、オフフォーカス画像及びオンフォーカス画像を分析し、この分析に少なくとも部分的に基づいて、コンピュータプロセッサは、オンフォーカス画像が単層に対して真に最適な焦点にあるか否かを判定する。例えば、オフフォーカス画像と同程度にオンフォーカス画像でも細胞の輪郭を明確に視認できないと検出されたことに応答して、コンピュータプロセッサは、オンフォーカス画像が単層に対して最適な焦点にないと判定できる。これに応答して、コンピュータプロセッサは、別のオンフォーカス画像を取得する前に再び顕微鏡の焦点を合わせることができる。
【0127】
いくつかの適用例では、本明細書で記載されているサンプルは、血液又はその成分を含むサンプル(例えば希釈されたかもしくは希釈されていない全血サンプル、主に赤血球を含むサンプル、又は主に赤血球を含む希釈サンプル)であり、例えば血小板、白血球、異常白血球、循環腫瘍細胞、赤血球、網状赤血球、ハウエルジョリー小体等、鎌状赤血球、涙滴状赤血球のような、血液の成分に関するパラメータが決定される。
【0128】
いくつかの適用例では、本明細書に記載されている装置及び方法は、必要な変更を加えて、唾液、精液、汗、痰、膣液、排泄物、母乳、気管支肺胞洗浄液、胃洗浄液、涙液、及び/又は鼻汁等、血液以外の生物サンプルに適用される。生物サンプルは任意の生き物から採取することができ、典型的に温血動物からのものである。いくつかの適用例では、生物サンプルは哺乳動物からの、例えば人体からのサンプルである。いくつかの適用例では、サンプルは、限定ではないがイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、及びヒツジを含む、飼われている動物、動物園の動物、及び家畜から採取される。代替的に又は追加的に、生物サンプルは、シカ又はネズミを含む病原媒介者として機能する動物から採取される。
【0129】
いくつかの適用例では、本明細書に記載されている装置及び方法は非身体サンプル(non-bodily sample)に適用される。いくつかの適用例では、サンプルは、必要な変更を加えた、水(例えば地下水)サンプル、表面スワブ、土壌サンプル、大気サンプル、又はそれらの任意の組み合わせ等の環境サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、肉サンプル、乳製品サンプル、水サンプル、洗液サンプル、飲料サンプル、及び/又はそれらの任意の組み合わせ等の食品サンプルである。
【0130】
本明細書に記載されている本発明の適用例は、コンピュータ又はコンピュータプロセッサ28のような任意の命令実行システムによって又はこれらと関連付けて用いるためのプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この記載の目的のため、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はこれらと関連付けて用いるためのプログラムを含有、記憶、通信、伝搬、又は転送できる任意の装置とすることができる。この媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、もしくは半導体のシステム(もしくは装置もしくはデバイス)、又は伝搬媒体とすることができる。典型的に、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ使用又はコンピュータ可読媒体である。
【0131】
コンピュータ可読媒体の例には、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、着脱可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、及び光ディスクが含まれる。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、コンパクトディスクリード/ライト(CD-R/W)、及びDVDが含まれる。
【0132】
プログラムコードの記憶及び/又は実行に適したデータ処理システムは、システムバスを介してメモリ要素(例えばメモリ30)に直接又は間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサ(例えばコンピュータプロセッサ28)を含む。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリと、大容量記憶装置と、実行中に大容量記憶装置からコードを検索しなければならない回数を減らすために少なくともいくつかのプログラムコードの一時記憶装置を提供するキャッシュメモリと、を含み得る。システムは、プログラム記憶デバイス上の本発明の命令を読み取り、これらの命令に従って本発明の実施形態の方法を実行することができる。
【0133】
プロセッサにネットワークアダプタを結合して、プライベートネットワーク又はパブリックネットワークを介してプロセッサを他のプロセッサ又は遠隔のプリンタもしくは記憶デバイスに結合することを可能とする。現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの数例として、モデム、ケーブルモデム、及びイーサネットカードが挙げられる。
【0134】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及びCプログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続きプログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書くことができる。
【0135】
本明細書に記載されているアルゴリズムがコンピュータプログラム命令によって実施され得ることは理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを生成し、これによって、コンピュータのプロセッサ(例えばコンピュータプロセッサ28)又は他のプログラマブルデータ処理装置によって実行される命令が、本出願に記載されているアルゴリズムに規定された機能/作用を実施するための手段を生成することができる。また、これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読媒体(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶することができ、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置に特定の方法で機能するように指示することで、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートのブロック及びアルゴリズムに規定された機能/行為を実施する命令手段を含む製造品(article of manufacture)を生成するようになっている。また、コンピュータプログラム命令を、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードして、そのコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実施プロセスを生成することができ、これによって、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行する命令が、本出願で記載されているアルゴリズムに規定された機能/行為を実施するためのプロセスを提供するようになっている。
【0136】
コンピュータプロセッサ28は典型的に、専用コンピュータを生成するようにコンピュータプログラム命令を用いてプログラムされたハードウェアデバイスである。例えば、本明細書に記載されているアルゴリズムを実行するようにプログラムされた場合、コンピュータプロセッサ28は典型的に、専用のサンプル分析コンピュータプロセッサとして機能する。典型的に、コンピュータプロセッサ28によって実行される本明細書に記載された動作は、実際の物理的物品であるメモリ30の物理的状態を変化させて、使用されるメモリの技術に応じて異なる磁気極性や電荷等を有するようにする。
【0137】
本明細書に記載されている装置及び方法は、以下の特許又は特許出願(全てが援用により本願に含まれる)のうちいずれか1つに記載されている装置及び方法と関連付けて用いることができる。
Bacheletに対する米国特許第US9,522,396号
Greenfieldに対する米国特許第US10,176,565号
Pollakに対する米国特許第US10,640,807号
Pollakに対する米国特許第US9,329,129号
Pollakに対する米国特許第US10,093,957号
Yorav Raphaelに対する米国特許第US10,831,013号
Bacheletに対する米国特許第US10,843,190号
Yorav Raphaelに対する米国特許第US10,482,595号
Eshelに対する米国特許第US10,488,644号
Eshelに対する国際公開第WO17/168411号
Pollakに対する米国特許出願公開第US2019/0302099号
Zaitに対する米国特許出願公開第US2019/0145963号
Yorav-Raphaelに対する国際公開第WO19/097387号
【0138】
本発明が具体的に図示し上述したものに限定されないことは、当業者によって認められよう。本発明の範囲は、前述の記載を読んだ当業者に想起される、上述した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーション(subcombination)の双方、並びに、従来技術に存在しないそれらの変形及び変更を含む。
【国際調査報告】