IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カービクリート インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-506421プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図3
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図4
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図5
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図6
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図7
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図8
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図9
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図10
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図11
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図12
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図13
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図14
  • 特表-プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/24 20060101AFI20230209BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B28B11/24
C04B40/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534257
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 CA2020051702
(87)【国際公開番号】W WO2021113976
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/945,936
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520431166
【氏名又は名称】カービクリート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】メールダッド マホーティアン
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ヴェンディッティ
【テーマコード(参考)】
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
4G055AA01
4G055BA02
4G112RA02
(57)【要約】
キャビティを有するコンクリート製品を硬化させる方法が記載されており、該方法は、コンクリート製品をベース上に配置すること、カバープレートを使用してキャビティへの開口部を密閉すること、コンクリート製品の炭酸化を実行するためにキャビティに二酸化炭素(CO2)ガスを導入すること、およびコンクリート製品が目標仕様に到達することに応答して、開口部を密閉解除することを含む。また、プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムも記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品内にキャビティを有し、該キャビティへの開口部を有するコンクリート製品を硬化させる方法であって、
コンクリート製品をベース上に位置決めすること、
カバープレートを用いて開口部を密閉すること、
コンクリート製品の炭酸化を実行するために、二酸化炭素(CO2)ガスをキャビティに導入すること、および
コンクリート製品が目標仕様に到達するのに応じて、開口部を密閉解除すること、
を含む方法。
【請求項2】
CO2ガスをキャビティに導入することが、キャビティを第1の時間の間、第1の圧力に加圧し、その後、キャビティ内の圧力を第2の時間の間、第2の圧力に上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CO2ガスをカバープレートおよび/またはコンクリート製品を通して導入することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
開口部がコンクリート製品の開放された上端部および開放された下端部の一方であり、位置決めすることが、開放された上端部および開放された下端部の他方を密閉するようにベース上に開放された上端部および開放された下端部の他方を配置することをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1および第2の圧力が存在する間、カバープレートが開口部を密閉し続けるように、第1および第2の圧力をカバープレートで均衡させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
コンクリート製品を位置決めする前に、コンクリート製品を打設および脱型することをさらに含み、コンクリート製品を位置決めするステップとCO2ガスを導入するステップとが、脱型するステップの後で、脱型するステップに時間的に近接して実行される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
コンクリート製品を位置決めするステップとCO2を導入するステップが、脱型のステップの直後に実行される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
CO2を導入するステップの前に、コンクリート製品に対して、固化、水和、および前処理の少なくとも1つのステップを実行することをさらに含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
CO2ガスを導入するステップの完了後に、コンクリート製品を水和させることをさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
CO2ガスの所定の圧力までキャビティを加圧することをさらに含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
CO2ガスの所定の圧力を変化させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コンクリート製品の炭酸化中にCO2ガスの少なくとも一部がキャビティから逃げるように開口部を密閉することをさらに含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
打設が、ゼロスランプコンクリート、ウェットコンクリート、自己充填コンクリート、ポルトランドセメント、およびスラグのうちの1つまたは組み合わせを使用して実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
打設がドライキャスティングおよびウェットキャスティングのうちの1つとして実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
CO2ガスの導入が、5質量%以上99.5質量%以下のCO2濃度でCO2を含むガスを導入することにより実行される、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
その中にキャビティを有するプレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムであって、該キャビティは、開放されている下端および上端を有し、該システムが、
プレキャストコンクリート製品をその上に受け、キャビティの下端を覆う大きさのベース、
プレキャストコンクリート製品の上に受けられ、キャビティの上端を覆う大きさのカバープレート、
二酸化炭素(CO2)ガス源、および
CO2源に流体的に接続され、キャビティに流体的に接続するように構成されたCO2導管、
を備えるシステム。
【請求項17】
ベースとカバープレートとの間に接続され、カバープレートがキャビティの上端を覆う閉位置と、開位置との間でカバープレートを動かすように動作可能な高さ制御システムを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ベースとカバープレートとの間に接続されたフレームをさらに備え、カバープレートは、カバープレートがキャビティの上端を覆う閉位置と、開位置との間で移動するようにフレームにヒンジ止めされている、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか1項に記載のシステムであって、
CO2導管が、カバープレート、プレキャストコンクリート製品の壁、およびベースのうちの1つ以上を介してキャビティに流体的に接続し、かつ
CO2ガスの供給源は、キャビティを大気圧以上の少なくとも2つの異なる圧力に加圧するように構成される、システム。
【請求項20】
流量制御弁がCO2源と流体連通して配置され、流量制御弁は、キャビティ内へ供給されるCO2ガスの速度および/または圧力を制御するように構成される、請求項16から19までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
その中にキャビティを有するコンクリート製品を硬化させる方法であって、
キャビティを密閉すること、
密閉されたキャビティに二酸化炭素(CO2)ガスを導入することによってコンクリート製品の炭酸化を実行すること、および
コンクリート製品が目標仕様に到達したことに応答して、キャビティの密閉を解除すること、
を含む方法。
【請求項22】
キャビティを密閉する前に、少なくとも1つの容器をキャビティ内に配置することをさらに含み、少なくとも1つの容器は、その中に加圧されたCO2ガスを含み、CO2ガスをキャビティ内に導入することは、少なくとも1つの容器からキャビティ内へCO2ガスを放出することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
CO2ガスをキャビティに導入することが、キャビティを第1の時間の間、第1の圧力に加圧し、その後、キャビティ内の圧力を第2の時間の間、第2の圧力に上昇させることを含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの容器がタイヤチューブおよびタイヤの少なくとも一方を含み、CO2ガスをキャビティに導入することが、タイヤチューブおよびタイヤの少なくとも一方に流体的に接続された少なくとも1つの弁を操作することを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
キャビティを密閉することが、カバープレートを用いることをさらに含み、該カバープレートが、CO2ガスの圧力に釣り合うように加重されること、コンクリート製品に近接して配置された部材にヒンジで固定されること、および該部材に対して誘導されることのうちの1つ以上である、請求項21から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
キャビティを密閉する前にコンクリート製品を打設および脱型することをさらに含み、CO2ガスを導入するステップが、脱型するステップの後で、脱型するステップに時間的に近接して実行される、請求項21から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
CO2ガスを導入するステップが、脱型するステップの直後に実行される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
CO2ガスを導入する前に、コンクリート製品に対して、固化、水和、および前処理の少なくとも1つのステップを実行することをさらに含む、請求項21から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
CO2ガスを導入するステップの完了後に、コンクリート製品を水和させることをさらに含む、請求項21から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
キャビティの体積の10%から98%を占めるように少なくとも1つの容器をサイズ調整することをさらに含む、請求項21から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
コンクリート製品を硬化させる方法であって、
コンクリート製品の外表面を、コンクリート製品の外表面に少なくとも部分的に適合する形状を有するスリーブで囲むことであり、スリーブが外表面に近接して配置されるが外表面から離間して、外表面とスリーブとの間に空間を画定するように、コンクリート製品の外表面を囲むこと、
外表面とスリーブとの間の空間を密閉すること、
コンクリート製品の炭酸化を実行するために、二酸化炭素(CO2)ガスを外表面とスリーブとの間の空間に導入することであって、CO2ガスの少なくとも一部が製品の外表面を内側方向に通過すること、および
コンクリート製品が目標仕様を達成することに応答して、外表面とスリーブとの間の空間の密閉を解除すること、
を含む方法。
【請求項32】
コンクリート製品は、その中にキャビティと、キャビティへの開口部とを含み、コンクリート製品の外表面を囲むことは、開口部を密閉することを除く、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
コンクリート製品の外表面を囲むことは、開口部を開放されたままにする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
CO2ガスを空間に導入することが、スリーブを介して実行される、請求項31から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
コンクリート製品の外表面とスリーブとの間の空間を密閉することは、コンクリート製品の上にカバープレートを配置することを含み、カバープレートは、CO2の圧力のバランスをとるために加重されること、スリーブにヒンジで固定されること、およびスリーブに相対的に誘導されること、の内の1つ以上によって少なくともCO2ガスを導入するステップの間にスリーブに動作可能に接続される、請求項31から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
カバープレートがその中に開口部を含み、該開口部は、カバープレートがコンクリート製品の上に配置されたときにコンクリート製品のキャビティへの開口部と少なくとも部分的に整合する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
その中にキャビティを有するプレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムであって、キャビティは開放されている下端と上端とを有し、該システムが、
プレキャストコンクリート製品をその上に受け入れ、キャビティの下端を覆う大きさのベース、
その中にコンクリート製品を包含する大きさのスリーブであって、ベース上に配置され、ベースに対して密閉される下端を有するスリーブ、
プレキャストコンクリート製品の上に受け入れられ、キャビティの上端を覆う大きさのカバープレートであって、スリーブとコンクリート製品の外表面との間の空間を密閉するために、スリーブに動作可能に接続されており、それによって空間を密閉する、カバープレート、および
空間に流体接続された二酸化炭素(CO2)ガス源、
を備えるシステム。
【請求項38】
CO2ガス源が、スリーブとカバープレートとの少なくとも一方を介して空間に流体的に接続する、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
コンクリート製品がスリーブの中および外に変位可能な開位置、およびカバープレートがコンクリート製品とスリーブとの間の空間を密閉する閉位置の間で、カバープレートが、枢動可能にスリーブに蝶番されている、請求項37または38に記載のシステム。
【請求項40】
CO2ガス源が、キャビティを大気圧以上の少なくとも2つの異なる圧力に加圧するように構成されている、請求項37から39のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月10日に出願された米国特許出願第62/945,936号の優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本出願は、概して、プレキャストコンクリート製品に関するものであり、より詳細には、そのようなプレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
コンクリート製品は、世界の多くの地域の建築構造物において遍在している。したがって、プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法の改善は、常に望ましく、プレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムおよび方法の小さな改善でさえ、今日の建設業に広範な利点を提供し得る。
【発明の概要】
【0004】
パイプ、マンホール、カルバートなどのプレキャストコンクリート製品は、従来、密閉されたチャンバ、スペース、部屋または容器に入れられ、熱および蒸気、または二酸化炭素で硬化される。ケイ酸カルシウム相を含むカルシウムリッチな材料、例えば水硬性セメント、スラグ、非水硬性セメントは、水の存在下で二酸化炭素と反応し、炭酸カルシウムを含む強度寄与相に変換される。
【0005】
本明細書は、生コンクリートを二酸化炭素で硬化して強度を得るプレキャストコンクリート製品の製造方法に関するものである。脱型され、任意に前処理されたコンクリート製品の壁は、圧力を保持するための容器として機能する。特定の実施形態では、外部加圧容器も硬化室も、コンクリートを活性化するために利用されない。その代わりに、中空コンクリート製品の内部または外部空間がチャンバとして使用され、二酸化炭素がコンクリート壁を一定方向に貫通する。外部に気密性の高い筐体は、必要ない。この技術革新は、コンクリートパイプ、カルバートボックス、マンホール、箱桁および中空コアスラブを含むがこれらに限定されない、中空プレキャストコンクリート製品などのプレキャストコンクリート製品の生産に関するものである。
【0006】
一態様では、それに応じて、コンクリート製品内のキャビティとキャビティへの開口部とを有するコンクリート製品を、硬化させる方法が提供され、この方法は、コンクリート製品をベース上に位置付けることと、カバープレートを用いて開口部を密閉することと、二酸化炭素(CO2)をキャビティに導入してコンクリート製品の炭酸化を実行することと、コンクリート製品が目標強度(および/または他の目標仕様(複数可))に到達するのに応答して、開口部を密閉解除することとを含む。
【0007】
上記および本明細書に記載の方法は、全体的または部分的に、および任意の組み合わせで、以下の追加の特徴および/またはステップのうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、CO2をキャビティに導入することは、キャビティを第1の時間の間、第1の圧力に加圧し、その後、キャビティ内の圧力を第2の時間の間、第2の圧力に増加させることを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、CO2の導入は、カバープレートおよび/またはコンクリート製品を通して行われる。
【0010】
いくつかの実施形態において、開口部は、コンクリート製品の開放された上端およびコンクリート製品の開放された下端のうちの一方であり、位置決めは、開放された上端および開放された下端のうちの他方を密閉するように、開放された上端および開放された下端のうちの他方をベース上に配置することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1および第2の圧力が存在する間、カバープレートが開口部を密閉し続けるように、カバープレートで第1および第2の圧力を均衡させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本方法は、コンクリート製品を位置決めする前にコンクリート製品を打設および脱型することを含み、コンクリート製品を位置決めするステップおよびCO2を導入するステップは、脱型するステップの後で、脱型するステップに時間的に近接して実行されることを特徴とする。
【0013】
いくつかの実施形態では、コンクリート製品を位置決めするステップおよびCO2を導入するステップは、脱型するステップの直後に実行される。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2を導入するステップの前に、コンクリート製品に対して、固化、水和、および前処理ステップのうちの少なくとも1つを実行することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2を導入するステップの完了後に、コンクリート製品を水和させることを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2の所定圧力までキャビティを加圧することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2の所定圧力を変化させることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、所定圧力は、大気圧以上である。
【0019】
いくつかの実施形態において、開口部を密閉することは、コンクリート製品の炭酸化の間に少なくともいくつかのCO2がキャビティから逃げることを可能にするようなものである。
【0020】
いくつかの実施形態では、打設は、ゼロスランプコンクリート、ウェットコンクリート、および自己充填コンクリートのうちの1つまたは組合せを用いて実行される。
【0021】
いくつかの実施形態において、生コンクリートは、水硬性セメント、非水硬性セメント、スラグ、ポゾラン材料、フライアッシュ、シリカフューム、および水酸化カルシウムのうちの1つまたは組み合わせをバインダとして使用して製造される。
【0022】
いくつかの実施形態において、打設は、ドライキャスティングおよびウェットキャスティングのうちの1つとして実行される。
【0023】
いくつかの実施形態において、CO2を導入することは、5質量%以上99.5質量%以下のCO2の濃度でCO2を含むガスを導入することによって実行される。
【0024】
別の態様では、その中にキャビティを有するプレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムであって、該キャビティが開放された下端および開放された上端を有し、その上にプレキャストコンクリート製品を受け、キャビティの下端を覆う大きさのベース、プレキャストコンクリート製品の上に受けられ、キャビティの上端を覆う大きさのカバープレート、炭酸ガス(CO2)源、およびCO2源に流体接続されてキャビティと流体接続するよう構成されたCO2導管からなる、システムが提供される。
【0025】
上記および本明細書に記載のシステムは、全体的または部分的に、および任意の組み合わせで、以下の追加の特徴および/またはステップのうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、システムは、ベースとカバープレートとの間に接続され、カバープレートがキャビティの上端を覆う閉位置と開位置との間でカバープレートを動かすように動作可能である高さ制御システムを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、システムは、ベースとカバープレートとの間に接続されたフレームを備え、カバープレートは、カバープレートがキャビティの上端を覆う閉位置と、開位置との間で移動するようにフレームにヒンジで固定される。
【0028】
いくつかの実施形態では、CO2導管は、カバープレート、プレキャストコンクリート製品の壁、およびベースのうちの1つ以上を介してキャビティに流体接続し、CO2源は、キャビティを大気圧以上である少なくとも2つの異なる圧力に加圧するよう構成される。
【0029】
いくつかの実施形態において、流量制御弁がCO2源と流体連通して配置され、流量制御弁は、キャビティ内に供給されるCO2ガスの速度および/または圧力を制御するように構成される。
【0030】
別の態様では、その中にキャビティを有するコンクリート製品を硬化させる方法が提供され、この方法は、キャビティを密閉することと、キャビティに二酸化炭素(CO2)ガスを導入することによってコンクリート製品の炭酸化を実行することと、コンクリート製品が目標仕様(強度および/または他の目標仕様(複数可)等)を達成することに応答して、キャビティを密閉解除することと、を含む。
【0031】
上記および本明細書に記載の方法は、全体的または部分的に、および任意の組み合わせで、以下の追加の特徴および/またはステップのうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、本方法は、キャビティを密閉する前に少なくとも1つの容器をキャビティ内に配置することを含み、少なくとも1つの容器はその中に加圧されたCO2ガスを含み、CO2ガスをキャビティ内に導入することは、少なくとも1つの容器からキャビティ内にCO2ガスを放出させることを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、CO2をキャビティに導入することは、キャビティを第1の時間の間、第1の圧力に加圧し、その後、キャビティ内の圧力を第2の時間の間、第2の圧力に上昇させることを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの容器は、タイヤチューブおよびタイヤのうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、キャビティにCO2を導入することは、タイヤチューブおよびタイヤの少なくとも一方に流体接続された少なくとも1つの弁を動作させることを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、キャビティを密閉することは、カバープレートを用いて実行され、第1および第2の圧力が存在する間、カバープレートが開口部を密閉し続けるように、カバープレートで第1および第2の圧力を均衡させることを更に含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法は、キャビティを密閉する前にコンクリート製品を打設および脱型することを含み、CO2を導入するステップは、脱型するステップの後で、脱型するステップに時間的に近接して実行される。
【0038】
いくつかの実施形態では、CO2を導入するステップは、脱型するステップの直後に実行される。
【0039】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2を導入するステップの前に、コンクリート製品に対して、固化、水和、および前処理ステップのうちの少なくとも1つを実行することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2を導入するステップの完了後に、コンクリート製品を水和させることを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、本方法は、キャビティをCO2の所定圧力まで加圧することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、本方法は、CO2の所定圧力を変化させることを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、所定圧力は、大気圧以上である。
【0044】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つの容器を、キャビティの体積の10%から98%の間を占めるようにサイズ決定することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、タイヤチューブおよびタイヤのうちの少なくとも1つが使用される。
【0046】
いくつかの実施形態において、打設は、ドライキャスティングおよびウェットキャスティングのうちの1つとして実行される。
【0047】
いくつかの実施形態において、CO2を導入することは、5質量%から99.5質量%のCO2濃度でCO2を含むガスを導入することにより実行される。
【0048】
別の態様では、コンクリート製品を硬化させる方法が提供され、該方法は、コンクリート製品の外表面を、コンクリート製品の外表面に少なくとも部分的に適合する形状を有するスリーブで囲むことであって、該スリーブが、外表面に近接するが外表面から間隔を置いて配置されて外表面とスリーブとの間に空間を画定するように、コンクリート製品の外表面を囲むことと、外表面とスリーブとの間の空間を密閉することと、コンクリート製品の炭酸化を実行するために、二酸化炭素(CO2)ガスを外表面とスリーブとの間の空間に導入することであって、CO2ガスの少なくとも一部が製品の外表面を内向きに通過することと、コンクリート製品が目標仕様(強度および/または他の目標仕様(複数可)等)を達成することに応答して、外表面とスリーブとの間の空間を密閉解除することと、を含む。
【0049】
上記および本明細書に記載の方法は、全体的または部分的に、および任意の組み合わせで、以下の追加の特徴および/またはステップのうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、コンクリート製品は、その中にキャビティと、キャビティへの開口部とを含み、コンクリート製品の外表面を囲むことは、開口部を密閉することを除く。
【0051】
いくつかの実施形態では、コンクリート製品の外表面を囲むことは、開口部を開放されたままにする。
【0052】
いくつかの実施形態において、空間へのCO2ガスの導入は、スリーブを通して実行される。
【0053】
いくつかの実施形態において、コンクリート製品の外表面とスリーブとの間の空間を密閉することは、コンクリート製品の上にカバープレートを配置することを含み、カバープレートは、CO2の圧力のバランスをとるために加重されること、スリーブにヒンジで固定されること、およびスリーブに相対的に誘導されることのうちの1つ以上によって少なくともCO2ガス導入ステップの間にスリーブに動作可能なように接続されている。
【0054】
いくつかの実施形態において、カバープレートはその中に開口部を含み、該開口部は、カバープレートがコンクリート製品の上に配置されるとき、コンクリート製品のキャビティへの開口部と少なくとも部分的に合致している。
【0055】
別の態様では、その中にキャビティを有するプレキャストコンクリート製品を硬化させるためのシステムであって、キャビティが、開放された下端と開放された上端とを有する、システムが提供され、当該システムは、プレキャストコンクリート製品をその上に受け入れ、それによってキャビティの下端を覆う大きさのベースと、コンクリート製品をその中に包含する大きさのスリーブであり、ベース上に配置されベースに対して密閉された下端を有するスリーブと、プレキャストコンクリート製品の上に受け入れられ、それによってキャビティの上端を覆う大きさのカバープレートであり、カバープレートがスリーブとコンクリート製品の外表面との間の空間を密閉するようにスリーブに動作可能に接続され、それによって空間を密閉するカバープレートと、空間に流体的に接続されるように構成された炭酸ガス(CO2)供給源と、を備える。
【0056】
上記および本明細書に記載のシステムは、全体的または部分的に、および任意の組み合わせで、以下の追加の特徴および/またはステップのうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、CO2源は、スリーブおよびカバープレートの少なくとも1つを介して空間に流体的に接続する。
【0058】
いくつかの実施形態において、カバープレートは、コンクリート製品がスリーブに出入り可能な開位置と、カバープレートがコンクリート製品とスリーブとの間の空間を密閉する閉位置との間で枢動可能であるようにスリーブにヒンジで固定される。
【0059】
いくつかの実施形態では、CO2源は、キャビティを大気圧以上である少なくとも2つの異なる圧力に加圧するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
次に、添付の図を参照する。
図1図1は、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図2図2Aは、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。図2Bは、別の実施形態による、1つ以上のコンクリート製品のための密閉機構の概略図である。
図3図3は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図4図4は、図3のシステムの一部の模式的な断面図である。
図5図5は、図1のシステムの、カバープレートの代替の例の非限定的な実施形態の概略図、およびベースの概略図である。
図6図6は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図7図7は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図8図8は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図9図9は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図10図10は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図11図11は、別の実施形態による、コンクリート製品を硬化させるためのシステムの概略図である。
図12図12は、本明細書に記載された、いくつかの実施形態によるシステムの様々な密閉部分の概略図である。
図13図13は、コンクリート製品を硬化させる方法を示す。
図14図14は、コンクリート製品を硬化させる別の方法を示す。
図15図15は、コンクリート製品を硬化させる別の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
(詳細な説明)
プレキャストコンクリート製品、例えばパイプ、マンホール、カルバートは、従来、熱および蒸気を用いて硬化している。プレキャストコンクリート製品は、密閉されたチャンバ、空間、部屋または容器に配置された二酸化炭素で硬化させることもできる。ケイ酸カルシウム相を含むカルシウムリッチな材料、例えば水硬性セメント、スラグ、非水硬性セメントは、水の存在下で二酸化炭素と反応し、炭酸カルシウムを含む強度寄与相に変換される。
【0062】
本明細書は、生コンクリートがその強度を得るために二酸化炭素(CO2)で硬化されるプレキャストコンクリート製品(P)を製造するシステムおよび方法に関するものである。いくつかの実施形態では、脱型された、いくつかの実施形態では前処理されたコンクリート製品(P)の壁は、CO2圧力を含み保持するように作用し、それによって硬化時間およびコストを削減するのに役立つ。本技術により、コンクリートパイプ、カルバートボックス、マンホール、箱桁および中空コアスラブを含むプレキャストコンクリート製品などの中空コンクリート製品(P)の製造の少なくともいくつかの態様が改善され得る。
【0063】
上記を念頭に置いて、本明細書は、まず、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステムの非限定的な実施形態を説明し、次に、システムに関連付けることができる様々な候補材料および打設方法の非限定的な実施例を説明し、そして、例えば、システムの例示した実施形態のうちの1つ以上を用いて実行することができるコンクリートの硬化の種々の可能な方法の非限定的な例を説明する。
【0064】
(システム100)
図1を参照すると、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステム100が示されている。システム100は、例えば床のようなベース102と、ベース102上に配置された下部シール104と、カバープレート108に係合した上部シール106とを含む。シール104、106は、ゴム製ガスケット、シーラー、エポキシ、Oリング、または任意の他の適切なシールであってもよい。シール104、106は、例えば図5に数字306´で示すように、スリーブのようなコンクリート製品(P)を包含していてもよい。そのようなスリーブ状のコンクリート製品(P)は、いくつかの実施形態において、コンクリート製品(P)の高さの約20%までを覆ってもよい。そのような構成は密閉の利点を提供し得るが、他の高さの割合も企図される。いくつかの実施形態において、下部シール104および/または上部シール106は、省略されてもよい。
【0065】
この実施形態では、シール104、106およびカバープレート108は、コンクリート製品(P)の対応する部分(複数可)に一致し、密閉するために環状であるが、例えばコンクリート製品(P)が異なる形状である場合などでは、他の形状およびシールが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、コンクリート製品(P)内に存在し得るガス圧と釣り合うカバープレートの重量を提供するように、カバープレート108は、寸法決めされおよび/またはその材料が選択される。以下により詳細に説明され、示されるように、その様々な実施形態および用途/システムにおいて、カバープレート108は、(例えば、カバープレート108に加えられる追加の機械力を必要とせずに、説明したように密閉されたコンクリート製品(P)を保持するために)重量を与えられてもよく、および/またはヒンジ式であってもよく、および/または1つ以上のロッド/支持体に誘導され、および/または自動的に(例えば、適切な従来の動力式作動機構を介して)並進可能にされてもよい。ベース102、シール104、106、およびカバープレート108は、少なくとも1つのサイズのプレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)を覆うようにサイズ設定される。いくつかの実施形態では、シール104、106およびカバープレート108は、以下に詳細に説明するように、多数の異なるサイズのプレキャストコンクリート製品(P)および/またはキャビティ(C)のうちの任意の1つを囲んで硬化できるように十分大きく作られている。
【0066】
システム100は、プレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)内にCO2を供給するように動作可能な二酸化炭素(CO2)源110と、キャビティ(C)内のガス圧力を監視するためにカバープレート108を介して取り付けられた圧力計112とを更に含む。図示されるように、いくつかの実施形態において、例えばパイプまたはダクトのような1つ以上の適切なCO2導管110Pは、二酸化炭素(CO2)源110に流体的に接続し、そこからCO2を受け取ることが可能である。CO2導管110Pは、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためにプレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)内にCO2を供給する目的で、カバープレート108を通過する。他の実施形態では、コンクリート製品(P)は、異なる形状を有していてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、CO2導管110Pとカバープレート108との間の界面(複数可)は、少なくとも実質的にガスに対して不透過であるように密閉されてもよい。いくつかの実施形態では、各所与のコンクリート製品(P)上のカバープレート108の移動を容易にするために、CO2導管(複数可)110Pの一部または全部が可撓性にされてもよい。他の実施形態では、CO2導管110Pは、剛性であって、および/または各所与のコンクリート製品(P)上のカバープレート108の移動を提供するために、クリップオンコネクタを介してなど、カバープレート108から取り外し可能であってよい。
【0068】
二酸化炭素(CO2)源110は、従来の二酸化炭素(CO2)源などの任意の適切な二酸化炭素(CO2)源であってよく、したがって、本明細書では詳細に説明されない。いくつかの実施形態では、二酸化炭素(CO2)源110は、プレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)内に供給されるCO2の速度および圧力を制御するように構成される。この目的のために、そして図1に示されるように、二酸化炭素(CO2)源110および/またはCO2導管110Pの1つ以上は、手動および/またはアクティブに制御される流量制御弁114を含んでもよい。流量制御弁114、およびそれらの関連する制御は、従来のものであってよく、したがって、本明細書では詳細に説明されない。
【0069】
本実施形態におけるカバープレート108は、適切な金属から作られ、硬化プロセス中にプレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)を少なくとも実質的に密閉した状態に維持するのに十分な重量を有するように寸法決めされている。二酸化炭素(CO2)源110がプレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)をCO2で加圧するように構成され得る圧力(複数可)に応じて、カバープレート108は、異なる重量を有するようにされてもよいことが理解されるであろう。すなわち、カバープレート108の重量は、シール104、108を十分に圧縮して、硬化プロセス中にプレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)を少なくとも実質的に密閉した状態に維持するように選択されてもよい。他の実施形態では、キャビティ(C)の形状および密閉され硬化されるプレキャストコンクリート製品(P)の形状に応じて、シール104、108およびカバープレート108は、異なる形状を有していてもよい。
【0070】
(システム200)
ここで図2Aを参照すると、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステム200が示されている。システム200は、システム100と同様であり、したがって、システム200の対応する部分には、システム100に関して使用されるのと同じ参照数字が付されている。
【0071】
システム100とシステム200との間の違いは、システム200が、高さ制御システム204に取り付けられるカバープレート108を含むことである。この実施形態では、高さ制御システム204は、例えば鋼棒のような、垂直方向に向いた支持部材206を含む。支持部材206は、その下端206Aにおいて、支持部材206とベース102との間の界面を介してキャビティ(C)からCO2が逃げるのを防止するための密閉接続などの適切な接続を介してベース102に接続される。その上端206Bにおいて、カバープレート108が適切な位置まで到達すると、支持部材206は、支持部材206の上端206Bの上に受けられる並進アセンブリ208を介してカバープレート108の中心に接続される。他の実施形態では、例えば、コンクリート製品が、支持部材206に近接し、いくつかの実施形態では支持部材206の上に水平に移動することによって支持部材206の周りに位置決め可能な形状であるとき、コンクリート製品(P)が所定の位置に配置されている間、カバープレート108は並進アセンブリ208に接続したままであってもよい。他の実施形態では、密閉機構の異なる構成が使用されてもよい。例えば、図2Bに示すように、密閉機構は、1つ以上の互いに距離を置いて配置された1つ以上のロッド206´を含むフレームなどの支持部材を有していてもよく、該ロッド206´は、カバープレート108´が1つ以上のロッド206´に移動可能/並進可能に接続されている間に1つ以上のコンクリート製品(P)がカバープレート108´の下で移動できるように選択される。位置が決まると、並進アセンブリ208´は、手動および/または自動にかかわらず、コンクリート製品(P)の内側(複数可)を密閉するためにカバープレート108´を所定の位置に移動させるように操作されてもよい。この目的のために、そして図2Bに両端矢印で示すように、並進アセンブリ208´は、上下に移動可能/並進可能であるように構成されてもよい。一実施形態において、カバープレート108´がコンクリート製品(P)を密閉すると、それは、自動または手動であってよい1つ以上の適切な機構(例えば、ボルト/ナット)を介して所定の位置に固定され得る。したがって、図2Bは、密閉機構の異なる実施形態を示し、密閉機構は図2AのCO2源などのCO2源に接続されてもよく、結果として、システム200の一部であってもよい。任意の数の密閉機構が、複数のコンクリート製品(P)を並行して硬化させるために使用されてもよい。任意の数のCO2源が、各コンクリート製品(P)および/または密閉機構に使用されてもよい。
【0072】
並進アセンブリ208は、支持部材206の上端206B上の対応するねじ山にねじ込まれてもよく、支持部材206に対してカバープレート108を上下に相対的に並進させるために2方向のうちの1方向に支持部材206に対してその回転によって手動で操作可能であってよい。限定されるものではないが、例えばコンピュータなどの適切なコントローラに動作可能に接続されてもよい電気モータなどの1つ以上の適切なアクチュエータを介して制御されてもよい能動的に作動する並進アセンブリ208等の、任意の他の適切な構造の並進アセンブリ208を使用してもよいことが企図される。これらの詳細は従来通りであってよいので、本明細書では詳細に説明しない。他の実施形態では、並進アセンブリ208は、本明細書に記載されるようなシステム200の機能性を提供するために動作可能な油圧および/または電気並進アセンブリなど、異なるタイプの並進アセンブリであってよい。
【0073】
(システム300)
ここで図3および図4を参照すると、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステム300が示されている。システム300は、システム100と同様であり、したがって、システム300の対応する部分には、システム100に関して使用されるのと同じ参照数字が付されている。
【0074】
システム100とシステム300との違いは、システム300が、カバープレート306を支持するフレームを形成する1つ以上のフレーム部材302を含むことである。1つ以上のフレーム部材302は、垂直に配置されてもよく、任意にベース102に接続されてもよい。別の例では、フレームは、床に取り付けられるか、または床上に配置され得る。いくつかの実施形態では、単一のフレーム部材302がフレーム302Fを形成してもよい。この実施形態におけるフレーム302Fは、図4に示すように、プレキャストコンクリート製品(P)の対向する横側面に開口しており、したがって、プレキャストコンクリート製品(P)の上にチャンバを形成することはない。他の実施形態では、フレーム302Fは異なるものであってもよい。フレーム/支持体302Fは、コンクリート製品(P)を包含するために、コンクリート製品(P)よりも大きなサイズであってもよい。フレーム/支持体302Fは、非限定的な例であるが、鋼鉄、鉄、ステンレス鋼、FRP、プラスチック、またはアルミニウムで作られてもよい。フレーム/支持体302Fは、覆われる必要がなく、および/または、1つ以上のメッシュを使用して作られてもよい。
【0075】
システム100とシステム300との間の別の違いは、システム300では、閉位置306Cと開位置306O(図3に破線で示す)との間で移動可能であるように、フレーム302Fの上部に、例えば1つ以上のヒンジ304を介して、カバープレート306が、ヒンジ止めされていることである。この実施形態では、また他の実施形態ではそうである必要はないが、閉位置306Cと開位置306Oとの間で1つ以上のヒンジ304を中心に、カバープレート306は、枢動可能である。
【0076】
閉位置306Cでは、カバープレート306は、プレキャストコンクリート製品(P)内のキャビティ(C)を囲み、本明細書で以下に説明するようにCO2硬化プロセスが行われることを可能にする。開位置306Oでは、カバープレート306は、フレーム302Fの上部を十分に妨げず、硬化のためにプレキャストコンクリート製品(P)をフレーム302Fに挿入することができ、硬化後にプレキャストコンクリート製品(P)をフレーム302Fから取り外すことができる。ヒンジ304の代わりに、またはヒンジ304に加えて、並進ジョイントのような任意の他の可動接続部が使用され得ることが企図される。
【0077】
図3に示すように、この実施形態では、フレーム部材302の1つは、その上端部にねじが切られ、カバープレート306が閉位置306Cにあるときにカバープレート306のスロットまたは開口部を通過している。ボルトおよび/またはナット、ならびに/あるいは他の固定具は、そのフレーム部材302の上端に取り付けられることによってカバープレート306を閉位置306Cにロックし、および/またはカバープレート306による上部シール(複数可)106の圧縮を高めるために締め付けることができる。任意の適切な固定具が使用され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、固定具が省略されてもよい。
【0078】
ここで図4を参照すると、この実施形態に示すように、上部シール106は環状であり、プレキャストコンクリート製品(P)の壁よりも薄手である。少なくともいくつかの実施形態および用途において、これは、キャビティ(C)の囲い込みおよびシステム300へのプレキャストコンクリート製品(P)の配置を改善させるのに役立つ。いくつかの実施形態において、上部シール106は、異なる厚さおよび/または形状を有していてもよい。ここで図5を参照すると、いくつかの実施形態では、カバープレート306は異なる形状を有していてもよい。
【0079】
カバープレート306の1つの代替例は、図5の中央の図面に示され、306´としてラベル付けされている。依然として図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ベース102は、システム300の少なくとも一部が配置され得る床とは別個であってよく、異なる好適な形状を有していてよい。ベース102の1つの代替例は、図5の右図に示され、102´とラベル付けされている。例えば非限定的な代替実施形態102´のようないくつかの実施形態では、下部シール(複数可)104は、ベース102´の一部であってもよく、および/または省略されてもよい。
【0080】
(システム400)
ここで図6を参照すると、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステム400が示されている。システム400は、システム100と同様であり、したがって、システム300の対応する部分には、システム100に関して使用されるのと同じ参照数字が付されている。
【0081】
システム100とシステム400との間の違いは、システム400が、ベース402を有することであり、ベース402は、例えばコンクリートから打設されるか、さもなければ例えば床の一部とされてもよい(または別の例として床から分離されてもよい)ベース部分402Bと、ベース部分402B上に配置されたベースプレート402Pとを含む。いくつかの実施形態では、ベースプレート402Pは、ベース部分402Bの一体化した部分であってもよく、および/または省略されてもよい。図示のように、この実施形態では、下部シール104はベースプレート402Pと一体であるが、他の実施形態ではそうでない場合もある。
【0082】
図示されるように、CO2源110からのCO2導管110Pは、ベース402のベース部分402Bを通過し、プレキャストコンクリート製品(P)がシステム400に配置されたときに、CO2導管110Pの出口を越えてプレキャストコンクリート製品(P)のキャビティ(C)に開口するように配置される。いくつかの実施形態では、システム400は、1つ以上のキャビティ(C)を有し得るプレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるように構成されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、システム400は、例えば合計で3つ以上のCO2導管110Pのように、プレキャストコンクリート製品(P)の各キャビティ(C)に1つ以上のCO2導管110Pを有していてもよい。
【0083】
カバープレートの説明:カバープレートは、重りでも、ヒンジ式でも、ロッドに誘導されてもよい(100、200および300と同様のトップカバーシステム)。
【0084】
(システム500)
次に図7を参照すると、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステム500が示されている。システム500は、システム100と同様であり、したがって、システム500の対応する部分には、システム100に関して使用されるのと同じ参照数字が付されている。
【0085】
システム100とシステム500との間の違いは、図示されるように、システム500が、プレキャストコンクリート製品(P)の壁を横断する1つ以上のCO2導管110Pを有することである。この実施形態では、システム500は2つのCO2導管110Pを有するが、他の実施形態では、システム500は、硬化プロセス中にそのキャビティ(C)にCO2を注入するためにプレキャストコンクリート製品(P)の壁(複数可)を横断し対応するCO2導管(複数)110Pと1つ、または2つより多いCO2導管110Pを有していてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、システム500は、1つ以上のCO2導管110Pのそれぞれのための注入アセンブリ502を含んでもよく、これは、硬化プロセス中にキャビティ(C)の外へのCO2漏出を制限または防止するのに役立ち得る。ここで図7を参照すると、注入アセンブリ502の3つの非限定的な例が示されており、それぞれ502A、502B、502Cとラベル付けされている。注入アセンブリ502Aは、CO2導管110Pと、そこにCO2導管110Pを受け入れるプレキャストコンクリート製品(P)の壁を通して画定された開口部との間の界面に、エポキシまたは他の適切なシーラー504を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エポキシおよび/または他の適切なシーラー504は、例えば界面に注入されてもよいが、他の設置方法も使用され得る。
【0087】
注入アセンブリ502Bは、その中に画定された適切な1つ以上の開口部を有するゴム栓506を含んでもよく、これは、図示のように、CO2導管110Pの外側端部に取り付けられ、および/またはCO2導管110Pとその中にCO2導管110Pを受け入れるプレキャストコンクリート製品(P)の壁を通して画定された開口部との間の界面に挿入されてもよい。ゴム栓506は、使用され得る密閉部材506の一例である。他のシール部材(複数可)も企図される。
【0088】
例えば、注入アセンブリ502Cは、その中に画定された適切な1つ以上の開口部を有する膨張プラグ508を含んでもよく、これは、図示のように、CO2導管110Pの外端に取り付けまたは挿入され、および/またはCO2導管110Pとその中にCO2導管110Pを受け入れるプレキャストコンクリート製品(P)の壁を通して画定された開口部との間の界面に挿入され得る。膨張プラグ506は、使用され得る密閉部材506の別の例である。他の密閉部材(複数可)も企図される。
【0089】
(システム600)
ここで図8を参照すると、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるためのシステム600が示されている。システム600は、上記の通り、ベース102および1つ以上のシール104を使用することができる。しかしながら、この実施形態では、システム600は、カバープレート602を有していてもよく、カバープレート602は、コンクリート製品(P)内に存在し得るCO2含有ガス圧を釣り合わせるカバープレート602の重量をもたらすように選択された材料(複数可)から寸法決めされ、および/または作られる。システム600の他の実施形態では、カバープレート602は、例えば、本明細書に記載の他の実施形態と同様(例えば、100、200、および/または300のトップカバーシステムと同様)のロッド(複数可)上にヒンジ式または誘導式であってもよい。本実施形態におけるCO2含有ガスは、加圧されたCO2含有ガス(複数可)を含む1つ以上の容器604によって提供されてもよい。いくつかの実施形態では、容器(複数可)604は、図8に模式的に示すように、車両のタイヤおよび/またはタイヤチューブであってもよい。いくつかの実施形態では、廃棄物を減らすために、容器(複数可)604は、使用済みの車両のタイヤおよび/またはチューブであってもよい。容器(複数可)604は、本明細書に記載されているように、ガスを放出してコンクリート製品(P)の加圧をもたらすように構成された、受動式でも動力式でもよい従来の弁などの1つ以上の弁(複数可)606を後付けしてよい。いくつかの実施形態では、弁606の数を容器608当たり1つ未満に減らすように、1つ以上の容器が1つ以上の導管608を介して相互接続されてもよい。いくつかの実施形態では、そしてこれは他の実施形態では異なるかもしれないが、弁(複数可)606は、1分あたり30標準立方フィート未満であるガスの全体流量を提供するように構成されてもよい。これは、複数の容器604ごとに単一の弁606を有することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、容器(複数可)604内のCO2含有ガスは、5質量%から99.5質量%の間のCO2濃度を有していてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、容器(複数可)604は、キャビティ(C)の体積の10%から98%を占める大きさであってよく、キャビティ(C)を規定するコンクリート製品(P)の内壁(複数可)と接触しないようにそこに配置されてもよい。一態様において、これは、キャビティ(C)を充填するために必要なCO2体積/含有量を低下させ、キャビティ(C)の利用可能な自由体積がより小さくなるので、キャビティ(C)がより迅速にCO2によって充填されることを可能にし得る。また、炭酸化処理の終了時には、より少ない量のCO2がキャビティ(C)内に残存する。このため、炭酸ガスの排出工程が速くなり、炭酸化工程に使用するCO2量が少なくなる。製品(P)のコンクリート壁と容器(複数可)604との間に蓄積された圧力により、ガス/CO2はコンクリート壁に浸透し、CO2は水の存在下でコンクリート壁のバインダと反応し、それによって製品(P)の炭酸化/強度増加を可能にする。いくつかの用途において、および例えば使用に応じて、物体(複数可)604は、システム600を使用して炭酸化される各新しいコンクリート製品(P)ごとに再充填および再使用されてもよく、または再充填を必要とする前に2つより多くのコンクリート製品(P)を炭酸化するためにサイズ設定および/または加圧をされてもよい。
【0091】
(システム700)
ここで図9を参照すると、システム700のさらに別の実施形態が示されている。システム600と同様に、システム700は、1つ以上の物体702でキャビティ(C)のCO2充填可能体積を減少させるステップを含む。図示されるように、いくつかの実施形態において、物体(複数可)702は、ガスを含むバルーンであってもよく、すなわち、膨張可能なバッグ、膨張可能なプラスチックまたは膨張可能なゴムがキャビティ(C)内に配置され、キャビティ(C)の体積の10%から98%を占めるように膨らませることができ、上記のシステム600に関して記載したものと同様の目標および結果を有する。
【0092】
充填ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、酸素、または他の任意のガスとすることができる。ガスを保持する物体702は、プラスチックのような柔軟な材料で作ることができる。物体702の内部のガス圧は、キャビティ(C)に導入されるCO2の圧力よりも高くてもよい。さらに、物体702は、鋼鉄、鉄、アルミニウム、またはFRPで作られてもよい。物体702は、システム700を使用して炭酸化される新しい製品(P)ごとに再使用されてもよい。
【0093】
(システム800)
ここで図10を参照すると、システム800のさらに別の実施形態が示されている。システム700と同様に、システム800は、1つ以上の物体802でキャビティ(C)のCO2充填可能体積を減少させるステップを含む。図示するように、いくつかの実施形態では、物体(複数可)802は、中空マニホールド、ブラダー、チューブなどであってもよい。
【0094】
(システム900)
ここで図11を参照すると、システム900のさらに別の実施形態が示されている。システム900は、コンクリート製品(P)の外壁に近接して配置され、1つ以上のCO2源110からCO2を受け取る外部スリーブ902を含む。スリーブ902は、鋼鉄、鉄、アルミニウム、FRP、プラスチック、または他の任意の適切な材料で作られることが好ましい。スリーブ902は、ガスが逃げるのを防ぐ不浸透性材料で作られてもよい。したがって、スリーブ902に導入されると、CO2は製品(P)の壁の外表面で加圧されるため、図11に矢印で示すように、壁を内側に貫通してキャビティ(C)に入る。スリーブ902は、形状が製品(P)の形状に対応していてもよく、一端(例えば底部)でベース102およびシール(複数可)104によって囲まれてもよく、上端では、カバープレート904が、キャビティ(C)と流体連通するように配置された開口部906を含むことを除いて上記の実施形態のいずれか1つと同様に実施されてもよいカバープレート904によって、スリーブ902が囲まれて/密閉されてもよい。開口部906は、製品(P)の壁を通過した後にCO2がキャビティ(C)を脱出することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、開口部906は、製品(P)の壁にわたってより大きな圧力差を生じさせ、それによって壁を通るCO2の浸透を増加させるように、キャビティ(C)を減圧するために使用されてもよい。場合によっては、これは炭酸化プロセスを速めるのに役立つことがある。キャビティ(C)を減圧するために、1つ以上の従来のファン、ポンプ、真空など、任意の適切な手段を使用することができる。
【0095】
一例として、システム900は、本明細書に記載されるような製品(P)の任意の前処理の後、製品(P)がスリーブ902によって包含される炭酸化工程を実行するために使用されてもよい。製品とスリーブ902との間の隙間は、全ての側面/エッジから1mmより大きくてもよい。製品(P)とスリーブ902との間の隙間に二酸化炭素ガスが導入される。注入される二酸化炭素の濃度は、5%より高くてもよい。コンクリート壁へのガスの浸透は、それによって、キャビティ(C)の内側へ一方向に実行される。ガスは、炭酸化処理中に一定流量で注入されてもよいし、可変流量で注入されてもよい。可変注入流量の場合、流量は、初期には、30標準立方フィート/分より低くてもよく、時間の経過とともに徐々に増加させてもよい。初期の低流量でのアプローチは、著しい漏出を引き起こすことなく、コンクリート製品(P)の空隙率を減少させるのに役立つ場合がある。炭酸カルシウムおよび他の炭酸化反応生成物が生成され、コンクリート製品(P)中の孔を部分的に満たすとき、より高い二酸化炭素の流量が適用されてもよい。この方法は、急速な初期強度の発現を助け、著しい漏出を減らすことができる場合がある。
【0096】
二酸化炭素圧力の造成速度は、ガスの注入速度、スリーブ902と製品との間の空間の体積、コンクリートの混合割合、コンクリートの透水性、気孔率、コンクリートの種類、および製品の形状に依存し得る。炭酸化反応は発熱反応であってもよい。炭酸化硬化工程に追加的かつ外部からの熱/温度は必要ない場合がある。活性化工程は、周囲温度および周囲湿度で実行されてもよい。コンクリート壁と外部スリーブ902との間の蓄積された圧力によって、ガスがコンクリート壁に浸透し、水の存在下で二酸化炭素がバインダと反応するようにしてもよい。この構成では、反応は、製品(P)の外表面から始まる。いくつかの実施形態において、ガス注入および炭酸化硬化工程は、少なくとも5分間継続されてもよい。
【0097】
製品(P)とスリーブ902との間の空間内のガスの一部は、コンクリート壁を通って、製品(P)の内層から出ることができる。炭酸化硬化工程の終了時に、一部の二酸化炭素が空間内部に残っている場合、製品(P)がシステム900から放出される前に、二酸化炭素が放出されることがある。別の構成では、スリーブ902は、製品(P)の内側のコンクリート壁を包含するようにキャビティ(C)内に配置される大きさであってもよく、したがって、COガスは、製品(P)の内層から外層に浸透してもよい。
【実施例
【0098】
(材料について)
上記のシステム100から900の様々な実施形態の説明で言及されるコンクリート製品(P)は、先行技術における任意の既知の従来方法を用いて先行技術のコンクリートから作られてもよい。いくつかの実施形態において、コンクリートは、主なセメント材料としてポルトランドセメントまたは他の水硬性セメントを含んでもよい。生コンクリートは、例えば、ゼロスランプコンクリート、ウェットコンクリート、または自己充填コンクリート(SCC)であってもよい。コンクリート製品は、ドライキャスト、ウェットキャストのいずれであってもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、コンクリートは、スラグベースのバインダを用いて製造されてもよい。スラグベースのコンクリートの製造における主なバインダは、鉄鋼およびステンレス鋼工場からのスラグであってよい。亜鉛、鉄、銅、汚泥などの他の副産物材料もバインダとして利用されてもよい。種々の製鉄方法を実践している鉄鋼工場から、様々な鉄鋼スラグが採取されることがある。スラグベースのコンクリートの製造において主なバインダとして配合されるスラグの種類としては、ステンレス鋼スラグ、還元鋼スラグ、酸化鋼スラグ、転炉鋼スラグ、電気炉スラグ(EAFスラグ)、基礎酸素炉スラグ(BOFスラグ)、取鍋スラグ、急冷鋼スラグ、および徐冷鋼スラグが考えられる。
【0100】
スラグの酸化カルシウム含有量は、10%超、15%超、およびいくつかの実施形態では20%超であってよい。シリカ酸化物含有量は、6%超、8%超、およびいくつかの実施形態では12%超であってよい。スラグの全酸化鉄含有量は、40%未満であってよく、いくつかの実施形態では30%未満である。鉄鋼スラグは、少なくとも20%の累積ケイ酸カルシウム含有量と、10%未満の遊離石灰濃度とを有していてもよい。上記の値は全て、スラグの質量/重量に基づくものである。いくつかの実施形態において、スラグの嵩密度は、1.0から2.0g/cmの範囲内に入ってよく、その見掛け密度は、2.0から6.0g/cmまで変化してよい。
【0101】
スラグは、コンクリートを製造するために混合物に組み込まれる前に、いくつかの実施形態においてより小さいサイズに粉砕されてもよい。スラグの粉砕は、ボールミル、ロッドミル、自生ミル、SAGミル、ペブルミル、高圧粉砕ロール、VSIまたはタワーミルなどの任意のメカニカルマシンで実行することができる。粉砕工程は、湿式または乾式のいずれでも実施することができる。スラグの粉砕に湿式を選択した場合、粉砕されたスラグは粉砕終了時に完全に乾燥させるか、半乾燥させるかのいずれかを選択することができる。スラグをふるいにかけることは、より小さな粒子径のスラグを得るための代替的な選択肢である。メッシュ#10(2000ミクロン)、メッシュ#50(297ミクロン)、メッシュ#200(74ミクロン)、メッシュ#400(37ミクロン)を通過したスラグをバインダとして使用することができる。粉砕後または粉砕前にスラグを選別するためにふるいを利用することができる。このように、適切な粒子径のスラグを得るために、粉砕方法およびスクリーニング方法のいずれか、または組み合わせを実行することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、スラグは、少なくとも150m/kg、および少なくとも200m/kgのブレーン粉末度までに粉砕および/またはスクリーニングされてもよい。いくつかの実施形態において、スラグベースのコンクリートにおいてスラグを使用するために、スラグの50%は、200ミクロン(D50=200)より小さい、150ミクロン(D50=150)より小さい、100ミクロン(D50=100)より小さい、50ミクロン(D50=50)より小さい、25ミクロン(D50=25)より小さい、およびいくつかの実施形態では10ミクロン(D50=10)より小さいものであってもよい。いくつかの実施形態では、スラグの遊離石灰含有量は、スラグの遊離石灰が混合物に組み込まれる前に、先行技術における任意の標準的な既知の方法を用いて低減されてもよい。他の実施形態では、スラグは、まず、その水酸化カルシウム含有量を低減するために熟成され、その後、混合物に組み込まれてもよい。スラグ含有量は、コンクリートの重量の5%以上であってよく、いくつかの実施形態では、コンクリートの重量の20%以上であってよい。
【0103】
天然または人工の通常重量および軽量骨材を含む様々な種類の骨材が、スラグベースのコンクリートの製造における充填材としてコンクリートに組み込まれてもよい。候補となる軽量骨材の例としては、天然軽量骨材(例えば軽石)、膨張粘土骨材、膨張頁岩骨材、再生プラスチック骨材、膨張鉄スラグ骨材が挙げられる。他の使用可能な骨材としては、砕石、製造砂、砂利、砂、再生骨材、花崗岩、石灰石、石英、チョーク粉、大理石粉、石英砂、人工骨材が挙げられる。これらの骨材は、細骨材および/または粗骨材として混合物に配合することができる。骨材の含有量は、コンクリート重量の90%程度とすることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、鉱物および化学混和剤が混合物に導入されてもよい。鉱物混和剤は、充填剤、補助的なセメント系材料、およびポゾラン系材料を含んでもよい。候補となる鉱物混和剤には、フライアッシュ、焼成頁岩、シリカフューム、ゼオライト、GGBF、石灰石粉末、水硬性セメントおよび非水硬性セメントの1つまたはその組み合わせが含まれる。一方、特定の特性を満足させるために、化学混和剤を混合することもある。候補となる化学混和剤としては、促進剤、遅延剤、粘度調整剤、空気連行剤(エアエンターテイナー)、発泡剤、ASR阻害剤、不分離剤、腐食防止剤、収縮低減剤、亀裂低減剤、可塑剤、超可塑剤、減水剤、撥水剤、風解制御剤および加工性保持剤などが挙げられるが、それらに限られない。スラグベースのコンクリートには、いくつかの実施形態において、繊維が添加されてもよい。セルロース繊維、ガラス繊維、マイクロ合成繊維、天然繊維、PP繊維、PVA繊維、およびスチール繊維のうちの1つまたは組み合わせが、混合物に配合されてもよい。
【0105】
スラグベースのコンクリート製品は、ドライキャストコンクリート、ウェットキャストコンクリートのいずれであってもよい。生スラグベースのコンクリートは、ゼロスランプコンクリート、ウェットコンクリートまたは自己充填コンクリート(SCC)として作製されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、自己充填コンクリート(SCC)の、スラグに対する水の質量比は、0.2超であってよい。いくつかの実施形態において、ウェットキャストコンクリートの、スラグに対する水の質量比は、0.1より高くてもよい。幾つかの実施形態では、ドライキャストコンクリートの、スラグに対する水の質量比は、0.5未満であってよい。
【0106】
(混合および製造)
上記のシステム100から900の様々な実施形態の説明で言及されたコンクリート製品(P)は、先行技術の混合方法を使用して製造されてもよい。いくつかの実施形態では、コンクリート製品(P)は、以下を含み得る全てのバッチ成分を均一に混合することによって製造されてもよい:バインダ、骨材、化学混和剤、鉱物混和剤、繊維、および水。例えば、1つのアプローチでは、乾燥成分を少なくとも1分間混合し、混合後に水および他の液体成分を添加する。別のアプローチでは、乾燥成分の混合中に水を徐々に添加してもよい。減水混和剤が配合されていない場合、ウェットキャストコンクリートおよび自己充填コンクリートの含水率は、ドライキャストまたはゼロスランプコンクリートの含水率よりも高くなる可能性がある。コンクリート製品(P)を製造するために先行技術で使用される任意の既存の方法、技術および装置は、ゼロスランプコンクリート、ウェットコンクリートおよび自己密集/固化する従来のコンクリートおよびスラグベースのコンクリートの製造に実施され得る。
【0107】
(補強)
例えば図2Aに示すように、上記システム100から900の様々な実施形態の説明で言及したコンクリート製品(P)は、例えば約1mmから350mmの壁厚を有してよく(同様に任意の他の壁厚が使用されてよいが)、炭素鋼、ステンレス鋼、および/またはFRP補強棒などの補強材(PR)で任意に補強してもよい。一実施形態では、コンクリート製品(P)を打設する前に、鋳型が準備され、いくつかの実施形態では、打設前に、鋳型の内部に補強材が配置される。いくつかの実施形態では、バー(PR)の直径は1mmから100mmまで変化してもよく、降伏強度は例えば100MPaから2100MPaの間である。いくつかの実施形態において、プレキャストコンクリート製品(P)の補強材(PR)は、プレキャストコンクリート製品(P)が設計され得る法域に適用され得るコードおよび基準に従って設計されてもよい。これらの特定の測定値および特性は、非限定的な例のみである。
【0108】
(打設および配置)
生コンクリートは、先行技術における任意の既知の方法を用いて、適切な従来の鋳型に打設することができる。生コンクリートは、ゼロスランプコンクリート(ドライコンクリート)、ウェットコンクリートまたは自己充填コンクリートであり得る。鋼鉄、鉄、アルミニウム、プラスチックまたはFRP製の鋳型は、脱型作業を容易にするために、打設前に潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。ウェットキャストコンクリートは、いくつかの実施形態および用途において、内部または外部バイブレータによって鋳型の内部を120秒以下振動させてもよい。ドライキャストコンクリートは、押圧/圧縮および振動の組み合わせで形成されてもよい。自己充填コンクリートには、内部または外部の振動は必要ない場合がある。成形されたコンクリートは、ドライキャストコンクリートでもウェットキャストコンクリートでもよい。コンクリート補強のため、例えば、鋳型の中に鋼鉄、FRPまたは他の種類のコンクリート補強材を打設前に入れておくことができる。
【0109】
(前処理)
所定の炭酸化活性化処理に先立ち、コンクリート製品(P)に前処理を施すことがある。前処理は任意であり、コンクリートの種類(従来型またはスラグベース)、コンクリート製品の種類(ドライキャストまたはウェットキャスト)および混合割合に依存する。特定の条件下では、前処理は必要ない。前処理の工程は、CO2硬化の前に、コンクリートの含水率を重量比で第2のバインダに対する水の比に減少させる。いくつかの実施形態では、前処理工程は、脱型の前または後のいずれかに実行されてもよい。
【0110】
いくつかの脱型されたコンクリート製品(P)(型落ち)の前処理において、また所定のコンクリート製品(P)を製造するために使用される方法および/または材料によっては、脱型後、コンクリート製品(P)製品はその含水量を減らし始め、コンクリート内部に余分な空隙を発生させることがある。脱型されたコンクリートの蒸発速度は、温度、相対湿度、初期含水率、製品の表面積、および型が風にさらされている場合には空気の流れに依存する。自然蒸発に加えて、好ましい実施形態では、蒸発速度を加速するために、以下の蒸発および/または加熱装置の1つまたは組み合わせを使用してもよい:加熱素子、ドラムヒーター、床加熱マット、ファン、ヒーター、送風機またはファンヒーター。
【0111】
加熱器具(例えば、エレメント/ワイヤまたは床暖房マットまたはドラムヒーター)は、脱型コンクリート製品(P)の外表面または内面を覆うように設置されてもよい。エレメントは、脱型されたコンクリート壁を加熱し、コンクリートの含水率を低下させるために蒸発プロセスを加速させてもよい。ファン、ヒーター、ファンヒーターおよび送風機は、中空の脱型コンクリート製品(P)の内部に配置されてもよく(内側から含水率を低下させるため)、外表面の前面に配置されてもよい(外側から含水率を低下させるため)。
【0112】
これらの前処理ステップは、質量に基づく初期のバインダに対する水の含有率が、最大で95%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または1%減少するまで継続してもよい。コンクリートにおける上記前処理方法のいずれかによって脱型されたコンクリート内に生じる体積で定義される空隙率の増加は、コンクリート体積の90%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または0.1%である。なお、前処理されたコンクリートのバインダに対する水の比は、重量比で第1のバインダに対する水の比未満であってもよい。
【0113】
鋳型内部のコンクリートの前処理は、所定のコンクリート製品(P)が脱型される前に行われてもよい。この場合、コンクリート製品(P)は、脱型される前に、鋳型の内部で前処理および/または固化されてもよい。例えば、ウェットキャストコンクリートおよび自己充填コンクリートの場合、前処理が必要であれば、コンクリートが前処理され、および/または鋳型の内側で固化されることが好ましい場合がある。
【0114】
鋳型を常温・常湿に保ち、自由水を徐々に蒸発させるようにしてもよい。これにより、バインダの部分的または完全な水和および固化が可能になる場合がある。水和および固化の速度は、バインダの種類、バインダの化学組成およびコンクリートの混合割合に依存し得る。コンクリートが鋳型の内部に留まっている間にコンクリートの前処理および固化を促進するために、ファン、ヒーター、ファンヒーター、送風機、発熱体/電熱線、床加熱マットまたはドラムヒーターを利用してもよい。別の実施例では、コンクリート製品(P)は、上述の前処理方法のいずれかを実施することなく、完全にまたは部分的に固化するために鋳型の内部に留まっていてもよい。別の例では、前処理ステップの一部を鋳型の内部で行い、残りの部分を鋳型の外部で行ってもよい。
【0115】
(脱型)
コンクリート製品(P)は、打設後直ちに脱型してもよいし、または脱型前に例えば最大7日間、鋳型内部で固化/前処理/水和してもよい。別の例では、コンクリートは、打設後直ちに脱型され、炭酸化硬化に付されることができる。脱型は、所定の実施形態において、コンクリートの圧縮強度が0.01MPa以上である場合に実施することができる。これらの特定の測定値および特性は、非限定的な例のみである。
【0116】
(硬化/炭酸化の方法)
本明細書で説明したシステム100から900を念頭に置いて、次にコンクリート製品(P)を硬化させる方法を説明する。本技術の方法の非限定的な例である方法1000を、図13に示す。
【0117】
プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させる方法の1つの特定の実施形態では、ベース(複数可)102、カバープレート(複数可)108、シール(複数可)104、106および/または上記の注入アセンブリ(複数可)502を使用するなど、脱型したコンクリート製品を底部および上部、または側面から密閉する。上述したように、いくつかの実施形態では、密閉は、ゴムガスケット106、シーラー504、エポキシ504、Oリング106、または従来技術における任意の他の既知の密閉方法によって行われてもよい。これにより、コンクリート製品(P)のキャビティ(C)からCO2が漏れることを制限するか、または少なくとも実質的に防止することができる。別の例では、底部シーラー/シール104は、コンクリート製品(P)を打設する前に鋳型内に配置されてもよく、コンクリート製品(P)は、鋳型内に少なくとも部分的に存在しながら、本明細書に記載の1つ以上の方法に従って硬化させられてもよい。カバープレート108の重量のみを使用してコンクリート製品(P)の上部を密閉する例では、カバープレート108は、コンクリート製品(P)の上端からの最小のCO2漏れを確保するために、上部シール(複数可)106に圧力を加えることができる。
【0118】
カバープレート(複数可)108の重量は、コンクリート製品(P)に亀裂または損傷を与えないように選択することができる。カバープレート(複数可)108の重量および厚さは、カバープレート(複数可)108を所定の位置に維持するために加えられる力よりも多くなるように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、カバープレート(複数可)108の厚さは、1mm超であってもよい。いくつかの実施形態では、カバープレート(複数可)108は、鋼鉄、鉄、ステンレス鋼、FRP、プラスチック、またはアルミニウムで作られてもよい。上記システム100から900のいずれが使用されるかに応じて、カバープレート(複数可)108は、ベース102とどこかで接続されていても、接続されていなくてもよく、したがって、単にコンクリート製品(P)の上に載ってキャビティ(C)を覆っていてもよい。上記の通り、いくつかのそのような実施形態において、カバープレート(複数可)108は、1つ以上のCO2導管110Pを介して1つ以上のCO2源110に接続されている少なくとも1つの開口部を含む。いくつかの実施形態において、各そのような開口部の直径は、約1mmと500mmとの間であってよい。これらの特定の測定値および特性は、非限定的な例のみである。
【0119】
CO2は、純粋な形態で、または不活性ガスなどの適切なガスの一部として、カバープレート(複数可)108内の開口部(複数可)を介して、および/またはCO2導管(複数可)110Pを介して導入されてもよい。非限定的な一例は、任意に前処理されたコンクリート製品(P)を硬化させるためにキャビティ(C)に導入され得るCO2を含むガスが、例えば、5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、または99.5質量%のCO2の濃度で、周囲温度で導入されてもよいことである。
【0120】
COは、コンクリート製品(P)の内部のキャビティ(C)に充填するように注入されてもよい。いくつかのそのような実施形態において、COは、キャビティ(C)を大気圧または大気圧を超える1つ以上の圧力に充填するように注入されてもよい。いくつかの実施形態において、内部圧力は、カバープレート(複数可)108に設置された圧力計112で監視されてもよい。上記のように、いくつかの実施形態では、カバープレート(複数可)108に設置された圧力センサー(複数可)112を用いて、コントローラおよび流量制御弁(複数可)114を介して、内圧を監視および制御してもよい。
【0121】
いくつかの実施形態において、コンクリート製品(P)は、例えばCO2の濃度に応じて、例えば5分から15分の間の時間、CO2ガス下で炭酸化されてもよい。いくつかの実施形態では、CO2硬化プロセスは、最大72時間まで継続してもよい。これらの特定の測定値および特性は、非限定的な例のみである。
【0122】
コンクリート製品(P)のいくつかの実施形態では、炭酸化硬化プロセスの間、外部エネルギーまたは熱を必要としない場合がある。CO2活性化工程は、コンクリート製品(P)の温度を上昇させる発熱反応であってもよい。
【0123】
いくつかの実施形態において、炭酸化硬化プロセスは、活性化プロセスの間、大気圧で、または一定の二酸化炭素圧力下で、大気圧を超える、または様々なガス圧力下で実行されてもよい。いくつかの実施形態において、炭酸化硬化プロセスは、可変二酸化炭素圧のいずれかで実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、キャビティ(C)内のCO2の初期圧力は、コンクリート製品(P)の特定の組成に応じて、例えば、5分から15分の間、0から10psigにされてもよい。
【0124】
キャビティ(C)内のCO2の圧力は、その後、1つ以上のより高い圧力まで時間をかけて徐々に増加させてもよい。そのような初期の低圧のアプローチは、著しい漏出を引き起こすことなく、コンクリートの空隙率を減少させるのに役立つ場合がある。場合によっては、炭酸カルシウムおよび他の炭酸化反応生成物が生成され、それらがコンクリート中の孔を部分的に満たすとき、より高い二酸化炭素の圧力が適用され得る。このようなアプローチは、コンクリート製品(P)の急速な初期強度の発現に役立ち、漏れを低減するのに役立つ場合がある。
【0125】
いくつかの実施形態では、各圧力増分において、炭酸化硬化は、少なくとも5分間継続してもよい。この間隔のアプローチは、二酸化炭素が製品の外層を通って逃げるのを防ぐのに役立ち、早い時期にコンクリート製品(P)の完全性を保護するのにも役立ち得る。いくつかの実施形態では、キャビティ(C)が密閉解除される前にキャビティ(C)内に残る二酸化炭素の量を最小にするために、炭酸化活性化工程の終了時にキャビティ(C)内のCO2/ガスの圧力が下げられてよい。いくつかの実施形態において、残存ガスは、硬化工程の終了時に大気中に排気されてもよいし、リサイクルされてもよい。いくつかの実施形態において、リサイクルステップ(複数可)は、ガス圧を下げることなく実行されてもよい。このリサイクルされたガスは、次のバッチ製造のために使用されてもよい。
【0126】
キャビティ(C)内の気体の印加圧力は、コンクリート製品(P)の、壁の厚さ、空隙率、コンクリートの成熟度、コンクリート混合物の割合、形状、およびコンクリート成分、並びに/あるいはキャビティ(C)を密閉するために使用される密閉方法に依存して、大気圧から例えば100psigまで変化し得る。いくつかの実施形態では、キャビティ(C)は、完全に気密でなくてもよい。注入されたガスの一部は、製品の端部から漏れるようにしてもよく、または壁の厚さを完全に貫通し、最終的にコンクリート製品(P)の外層から放出されるようにしてもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、コンクリート製品(P)の目標強度(および/または他の目標仕様(複数可)であって、例えば、「The cured concrete product (P) should satisfy the minimum standard requirement described in ASTM/ACI/CSA/NBC, as may be applicable for one or more intended uses」に規定されているもの)が達成されると、上記の流量制御弁(複数可)114を介して等、キャビティ(C)への、CO2ガスの供給は遮断されてもよく、キャビティ(C)内の残りのガスは、リサイクルされてもよいし、単に大気中に排気されてもよく、キャビティ(C)は、上記のようにカバープレート(複数可)108を開位置306Oに移動することなどにより開放されてもよく、CO2導管(複数可)110Pは、(上記のようにそこに挿入されている場合)コンクリート製品(P)の壁から取り外されてよく、硬化コンクリート製品(P)はその後いずれか使用されたシステム100、200、300、400、500から取り出されてもよい。
【0128】
システムがヒンジ式および/または固定式のカバープレート108と共に使用されるいくつかの実施形態では、ヒンジ式および/または固定式は、それぞれ、システムを操作するのに必要な労力を減らすのに役立ち、および/または必要とされるカバープレート108の重量を減らすのに役立つ場合がある。システム200に関して上記のような、閉位置および開位置(306C、306O)の間でカバープレート(複数可)108を移動させるために自動ジャッキ/移動/持ち上げシステムが使用されない実施形態では、クレーン、フォークリフトまたは他の適切な機器によって、閉位置および開位置(306C、306O)の間でカバープレート(複数可)108が持ち上げられるかまたは他の方法で移動されてもよい。システム100、200、300、400、500から硬化コンクリート製品(P)を取り出すために、同じまたは類似の適切な機器を使用してもよい。
【0129】
硬化したコンクリート製品(P)が取り出された後、システム100、200、300、400、500は、次に、上記の方法のうちの1つ以上を用いて硬化させるための新しいプレキャストコンクリート製品(P)をシステム内に受け入れる準備が整っていてもよい。1つ以上のCO2導管(複数可)110Pがプレキャストコンクリート製品(P)の壁(複数可)を通して挿入される方法において、プレキャストコンクリート製品(P)が硬化/炭酸化され、CO2導管(複数可)110Pが壁から取り外された後、硬化後にコンクリート製品(P)に残る開口部(複数可)を、セメントペースト、グラウト、コンクリート、モルタル、ポリマーまたはエポキシで埋めるなどして適切な材料で埋めることができる。
【0130】
次に、図14を参照すると、その中にキャビティ(C)を有するコンクリート製品(P)を硬化させるためのさらに別の方法1100が示されている。方法1100は、加圧二酸化炭素(CO2)ガスを含む少なくとも1つの容器(例えば604)をキャビティ(C)内に配置すること、キャビティ(C)を密閉すること、少なくとも1つの容器からキャビティ(C)内にCO2を導入してコンクリート製品の炭酸化を実行すること、およびコンクリート製品が目標強度(および/または他の目標仕様(s))に到達したことに応答してキャビティ(C)を密閉解除することを含んでもよい。
【0131】
方法1100のいくつかの実施形態において、CO2をキャビティ(C)に導入するステップは、キャビティ(C)を第1の時間の間に第1の圧力に加圧し、その後、キャビティ(C)内の圧力を第2の時間の間に第2の圧力に増加させることを含んでもよい。方法1100のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの容器は、タイヤチューブおよびタイヤのうちの少なくとも1つを含んでもよい。方法1100のいくつかの実施形態において、CO2をキャビティ(C)に導入することは、タイヤチューブおよびタイヤの少なくとも一方に流体的に接続された少なくとも1つの弁を操作することを含んでもよい。方法1100のいくつかの実施形態において、キャビティを密閉することは、上記のカバープレートのうちの適切な1つなどのカバープレートを用いて実行されてもよく、第1および第2の圧力が存在する間にカバープレートが開口部を密閉し続けるように、カバープレートで第1および第2の圧力を均衡させることを更に含んでいてもよい。方法1100のいくつかの実施形態において、方法1100は、キャビティを密閉する前にコンクリート製品を打設および脱型することを含んでもよく、CO2を導入するステップは、脱型するステップの後で、脱型するステップに時間的に近接して、実行されてもよい。方法1100のいくつかの実施形態では、CO2を導入するステップは、脱型するステップの直後に実行されてもよい。
【0132】
方法1100のいくつかの実施形態において、方法1100は、CO2を導入するステップの前に、コンクリート製品に対して、固化、水和、および前処理ステップのうちの少なくとも1つを実行することも含んでいてよい。方法1100のいくつかの実施形態において、方法1100は、CO2を導入するステップの完了後にコンクリート製品を水和させることも含んでいてよい。方法1100のいくつかの実施形態において、方法1100はまた、CO2の所定の圧力までキャビティを加圧することも含んでいてよい。方法1100のいくつかの実施形態において、方法1100は、CO2の所定圧力を変化させることも含んでいてよい。方法1100のいくつかの実施形態では、所定の圧力は、大気圧以上であってよい。方法1100のいくつかの実施形態において、方法1100は、少なくとも1つの容器を、キャビティの体積の10%から98%の間を占めるようにサイズ設定することも含んでいてよい。方法1100のいくつかの実施形態では、タイヤチューブおよびタイヤのうちの少なくとも1つは、使用済みでもよい(すなわち、以前に使用された製品であり、それによって、環境に対する方法1100のフットプリントを低減することを可能にする)。方法1100のいくつかの実施形態において、製品(P)の打設は、ドライキャスティングおよびウェットキャスティングのうちの1つとして実行されてもよい。方法1100のいくつかの実施形態において、CO2を導入することは、5質量%から99.5質量%のCO2の濃度でCO2を含む気体を導入することによって実行されてもよい。
【0133】
図11を参照すると、コンクリート製品(P)を硬化させる方法1200も提供され、この方法は、例えば図11に示すように、コンクリート製品(P)の外表面(OS)に少なくとも部分的に適合する形状を有するスリーブ902で、コンクリート製品(P)の外表面を囲み、スリーブ902が、同じく図11に示すように近接して配置され、外表面(OS)が外表面(OS)およびスリーブ902の間に空間908を画定することと、外表面(OS)とスリーブ902との間の空間908を密閉することと、外表面(OS)とスリーブ902との間の空間908にCO2を導入してコンクリート製品(P)の炭酸化を実行するステップと、を含む。図示されるように、いくつかの実施形態において、CO2を導入するステップは、CO2の少なくとも一部が、内側方向(すなわち、スリーブ902からコンクリート製品(P)内への方向)に向かって製品の外表面(OS)を通過することを含んでいてよい。方法1200のいくつかの実施形態では、方法は、コンクリート製品(P)が目標強度(および/または他の目標仕様(s))を達成することに応答して、外表面(OS)とスリーブ902との間の空間908を密閉解除し、例えば、方法1200の実行に用いられるシステム900の特定の実施形態に応じて、コンクリート製品(P)からスリーブ902を取る、またはスリーブ902からコンクリート製品(P)を取り出すことも含んでいてよい。
【0134】
図11に見られるように、いくつかのそのような実施形態では、コンクリート製品(P)は、その中にキャビティ(C)と、キャビティ(C)への開口部とを含み、コンクリート製品(P)の外表面(OS)を囲むことは、キャビティ(C)への開口部(O)を密閉することを除く。さらに図11に見られるように、いくつかのそのような実施形態において、コンクリート製品(P)の外表面(OS)を囲むことは、例えば、コンクリート製品(P)の壁を通るCO2の通過を容易にするために、開口部(O)を開いたままにしてもよい。さらにいくつかのそのような実施形態において、空間へのCO2の導入は、スリーブ902を通して実行されてもよい。さらに図11に見られるように、いくつかのそのような実施形態において、外表面(OS)とスリーブ902との間の空間908を密閉することは、コンクリート製品(P)の上にカバープレート904を配置することを含み、カバープレート904は、少なくともCO2を導入するステップの間に、例えばそれに枢動可能に連結されることによって、または別の例として上記の実施形態のいずれかに記載されるようにスリーブ902に動作可能に連結される。図11に見られるように、いくつかのそのような実施形態において、カバープレート904はその中に開口部904´を含んでもよく、開口部904´は、カバープレート904がコンクリート製品(P)の上に配置されたときにコンクリート製品(P)のキャビティ(C)への開口部(O)と少なくとも部分的に整合していてもよい。
【0135】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、ASTM/ACI/CSA/NBCに記載された最低標準要件(複数可)を少なくとも満足し得るコンクリート製品(P)を製造するために使用されてもよい。本明細書に記載されたシステムおよび方法は、バインダとして水硬性セメント、非水硬性セメント、スラグ、ポゾラン材料、フライアッシュ、シリカフュームおよび水酸化カルシウムの1つまたは組み合わせを使用して作られ得るコンクリート製品(P)を製造するために使用されてもよい。上記の説明は例示的なものであることのみを意図しており、当業者は、本技術の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に変更を加え得ることを認識するであろう。例えば、プレキャストコンクリート製品(P)を硬化させるための所定のシステムは、上述した実施形態の1つ以上からの特徴の少なくとも一部の組合せを有することができる。本技術の範囲内に入るさらに他の修正は、本開示の検討に照らして、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】