(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】工作機械及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/54 20060101AFI20230209BHJP
B24B 41/02 20060101ALI20230209BHJP
B24B 19/06 20060101ALI20230209BHJP
B23Q 1/48 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B23Q1/54
B24B41/02
B24B19/06
B23Q1/48 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535191
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 GB2020053138
(87)【国際公開番号】W WO2021116668
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522190605
【氏名又は名称】フィブ・ランディス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FIVES LANDIS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,マシュー
【テーマコード(参考)】
3C034
3C048
3C049
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034BB15
3C034BB37
3C034BB72
3C034CB01
3C048BC02
3C048BC04
3C048DD16
3C048DD22
3C049AA03
3C049AA12
3C049AA13
3C049AB01
3C049CA01
3C049CB01
(57)【要約】
工作機械は、平行であり、且つ基部に対して固定された位置で基部に取り付けられる第1及び第2の回転機械軸(10、16)と、第1の回転機械軸によって担持される線形機械軸(8)と、線形機械軸によって担持される回転位置決め機構(30)とを含み、回転位置決め機構は、第1及び第2の回転機械軸に平行な支持体回転基準軸(32)を中心とした回転を提供する。さらなる工作機械は、線形機械軸によって担持される線形位置決め機構(40)であって、線形機械軸に平行な線形移動を提供する線形位置決め機構(40)を含む。回転及び/又は線形位置決め機構は、工作機械の作業領域が拡張及び/又は再構成されることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、
機械基準面を有する機械基部と、
前記基部に対して調整不可能な位置で前記基部に取り付けられる第1及び第2の回転機械軸であって、平行であり、離間されており、且つ前記機械基準面に対して垂直なそれぞれの第1及び第2の回転基準軸を有する第1及び第2の回転機械軸と、
前記第1の回転機械軸によって担持される線形機械軸であって、前記機械基準面に平行な線形駆動基準軸を有する線形機械軸と、
前記線形機械軸によって担持され、且つ回転可能な支持体及び回転位置決め機構基部を含む回転位置決め機構であって、前記回転可能な支持体は、前記第1及び第2の回転基準軸に平行な支持体回転基準軸を中心として前記回転位置決め機構基部に対して回転可能である、回転位置決め機構と
を含む工作機械。
【請求項2】
前記線形機械軸によって担持され、且つ摺動可能な支持体及び線形位置決め機構基部を含む線形位置決め機構を含み、前記摺動可能な支持体は、前記線形駆動基準軸に平行な線形摺動基準軸に沿って前記線形位置決め機構基部に対して摺動可能であり、
前記回転位置決め機構は、前記摺動可能な支持体によって担持される、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記回転可能な支持体によって担持され、工具又はワークピースを受けるためのマウントを有し、及びスピンドル基準軸であって、前記機械基準面に平行であり、且つ前記線形駆動基準軸に非平行なスピンドル基準軸を中心として前記マウントを回転させるように動作可能な駆動スピンドルを含む、請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スピンドル基準軸は、前記線形駆動基準軸に対して垂直である、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記回転可能な支持体は、前記回転位置決め機構基部に対して手動で回転可能であり、且つ前記回転位置決め機構基部に対する前記回転可能な支持体の位置を選択的にロックするためのロック機構を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記回転位置決め機構は、前記回転可能な支持体を前記回転位置決め機構基部に対して回転させるための回転駆動部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項7】
工作機械であって、
機械基準面を有する機械基部と、
前記基部に対して調整不可能な位置で前記基部に取り付けられる第1及び第2の回転機械軸であって、平行であり、離間されており、且つ前記機械基準面に対して垂直なそれぞれの第1及び第2の回転基準軸を有する第1及び第2の回転機械軸と、
前記第1の回転機械軸によって担持される線形機械軸であって、前記機械基準面に平行な線形駆動基準軸を有する線形機械軸と、
前記線形機械軸によって担持され、且つ摺動可能な支持体及び線形位置決め機構基部を含む線形位置決め機構であって、前記摺動可能な支持体は、前記線形駆動基準軸に平行な線形摺動基準軸に沿って前記線形位置決め機構基部に対して摺動可能である、線形位置決め機構と
を含む工作機械。
【請求項8】
前記摺動可能な支持体は、前記線形位置決め機構基部に対して手動で摺動可能であり、且つ前記線形位置決め機構基部に対する前記摺動可能な支持体の位置を選択的にロックするためのロック機構を含む、請求項2若しくは7又は請求項2に従属する場合の請求項3~6のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項9】
前記線形位置決め機構は、前記摺動可能な支持体を前記線形位置決め機構基部に対して移動させるための線形駆動部を含む、請求項2、7若しくは8又は請求項2に従属する場合の請求項3~6のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の工作機械を用いてワークピースを機械加工する方法であって、
前記回転可能な支持体又は前記摺動可能な支持体によって担持されるワークピースマウントにワークピースを取り付けるステップと、
前記第2の回転機械軸によって担持される工具マウントに工具を取り付けるステップと、
前記ワークピース及び工具を接触させるステップと、
前記線形機械軸のみを使用して前記工具に向かって前記ワークピースを送ることにより、前記ワークピースを機械加工するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記機械加工ステップは、前記機械基準面に平行であり、且つ前記線形駆動基準軸に非平行なスピンドル基準軸を中心として前記ワークピースを回転させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スピンドル基準軸は、前記線形駆動基準軸に対して垂直である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の工作機械を用いてワークピースを機械加工する方法であって、
前記回転可能な支持体又は前記摺動可能な支持体によって担持されるワークピースマウントにワークピースを取り付けるステップと、
前記第2の回転機械軸によって担持される工具マウントに工具を取り付けるステップと、
前記ワークピース及び工具を接触させるステップと、
前記線形機械軸並びに前記第1及び第2の回転機械軸のみを使用して前記工具に対して前記ワークピースを移動させることにより、前記ワークピースを機械加工するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記工具は、前記線形駆動基準軸に垂直な方向において前記ワークピースに対して移動される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、研削盤などの工作機械及びその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
その回転軸が平行であり且つ離間された状態で、固定位置において機械基部上に取り付けられた2つの回転機械軸の提供を伴う工作機械の一群が本出願人によって開発された。このような機械は、例えば、英国特許出願公開第A-2456843号明細書、英国特許出願公開第A-2476468号明細書及び欧州特許出願公開第A-2684640号明細書に記載されている。これらの機械は、様々なワークピースの形状を(例えば、研削、旋盤又は研磨によって)機械加工することが可能である。いくつかの実装形態では、線形機械軸が回転軸の1つに取り付けられる。線形軸に取り付けられた工具又はワークピースは、他の回転軸に取り付けられたワークピース又は工具と接触される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、工作機械であって、
機械基準面を有する機械基部と、
基部に対して調整不可能な位置で基部に取り付けられる第1及び第2の回転機械軸であって、平行であり、離間されており、且つ機械基準面に対して垂直なそれぞれの第1及び第2の回転基準軸を有する第1及び第2の回転機械軸と、
第1の回転機械軸によって担持される線形機械軸であって、機械基準面に平行な線形駆動基準軸を有する線形機械軸と、
線形機械軸によって担持され、且つ回転可能な支持体及び回転位置決め機構基部を含む回転位置決め機構であって、回転可能な支持体は、第1及び第2の回転基準軸に平行な支持体回転基準軸を中心として回転位置決め機構基部に対して回転可能である、回転位置決め機構と
を含む工作機械を提供する。
【0004】
このようにして、2つの回転機械軸及び1つの線形機械軸(好ましくはそれらの機械軸のみ)の公知の構成を有する工作機械の汎用性を大幅に向上させることができる。
【0005】
好ましい例では、工作機械は、線形機械軸によって担持され、且つ摺動可能な支持体及び線形位置決め機構基部を含む線形位置決め機構を含み、摺動可能な支持体は、線形駆動基準軸に平行な線形摺動基準軸に沿って線形位置決め機構基部に対して摺動可能であり、回転位置決め機構は、摺動可能な支持体によって担持される。
【0006】
本開示は、工作機械であって、
機械基準面を有する機械基部と、
基部に対して調整不可能な位置で基部に取り付けられる第1及び第2の回転機械軸であって、平行であり、離間されており、且つ機械基準面に対して垂直なそれぞれの第1及び第2の回転基準軸を有する第1及び第2の回転機械軸と、
第1の回転機械軸によって担持される線形機械軸であって、機械基準面に平行な線形駆動基準軸を有する線形機械軸と、
線形機械軸によって担持され、且つ摺動可能な支持体及び線形位置決め機構基部を含む線形位置決め機構であって、摺動可能な支持体は、線形駆動基準軸に平行な線形摺動基準軸に沿って線形位置決め機構基部に対して摺動可能である、線形位置決め機構と
を含む工作機械をさらに提供する。
【0007】
回転及び/又は線形位置決め機構を追加することにより、機械の作業領域を拡張及び/又は再構成して、機械の能力を向上させることができる。例えば、これは、部分半球、球面及び非球面ボア並びに薄い断面の軸受軌道及びその位置直径を含むが、これらに限定されない、高表面品質及び高精度ワークピースの機械加工を支援し得る。
【0008】
本明細書に記載される工作機械の例は、工作機械の能力を拡張することにより、超半球面の機械加工を容易にし得る。
【0009】
2つの回転機械軸及び1つの線形機械軸を含む上述した既存の機械構成において、線形軸は、比較的短いストローク(約100~200mm)を有する。そのため、機械加工可能な範囲が制限されることが分かっている。この形態の機械構成を
図1に示す。円筒状のワークピース2は、ワークピーススピンドル6に取り付けられたチャック4に保持されている。ワークピーススピンドル6は、第1の垂直回転機械軸10に取り付けられている短ストローク線形機械軸8の運動方向と平行な軸18を中心としてワークピース2を回転させるように配置されている。周辺研削砥石12は、第2の垂直回転機械軸16によって担持される工具スピンドル14に取り付けられる。このような構成を用いると、ワークピースにテーパ又は球面若しくは非球面が機械加工される可能性がある。しかしながら、それらの表面の範囲は、そのような構成を使用して利用可能な作業領域のサイズによって制限されることになる。そのような機械の作業領域は、本開示の例によれば、実質的に拡張することができる。
【0010】
回転位置決め機構を含む例において、本開示による工作機械は、回転可能な支持体によって担持され、工具又はワークピースを受けるためのマウントを有し、及びスピンドル基準軸であって、機械基準面に平行であり、且つ線形駆動基準軸に非平行なスピンドル基準軸を中心としてマウントを回転させるように動作可能な駆動スピンドルを含み得る。いくつかの実装形態では、スピンドル基準軸は、線形駆動基準軸に対して垂直である。
【0011】
回転可能な支持体は、回転位置決め機構基部に対して手動で回転可能であり得、且つ回転位置決め機構基部に対する回転可能な支持体の位置を選択的にロックするためのロック機構を含む。線形位置決め機構を含む例において、摺動可能な支持体は、線形位置決め機構基部に対して手動で摺動可能であり、且つ線形位置決め機構基部に対する摺動可能な支持体の位置を選択的にロックするためのロック機構を含み得る。手動で調整可能な要素は、使用前に機械操作者又は機械設定者によって位置決めされ得る。支持体は、調整され、その後、選択された位置において手動でロックされ得る。
【0012】
回転位置決め機構を含む例において、この機構は、回転可能な支持体を回転位置決め機構基部に対して回転させるための回転駆動部を含み得る。線形位置決め機構を含む例において、この機構は、摺動可能な支持体を線形位置決め機構基部に対して移動させるための線形駆動部を含み得る。
【0013】
位置決め機構は、例えば、電気的、油圧的又は空気圧的に駆動され得るアクチュエータを含み得る。アクチュエータは、工作機械の制御装置(コンピュータ数値制御システム(CNC)など)によって操作され得る。
【0014】
位置決め機構は、予め決定された位置の選択を容易にし得る。例えば、それは、2つ以上の割り出された又はくぼんだ位置を定め得る。
【0015】
位置決め機構は、好ましくは、サーボ駆動部を含む被駆動機械軸を含み得る。被駆動機械軸は、工作機械の制御装置によって操作され得る。
【0016】
工具、プローブ又はゲージのための工具マウントは、第1及び第2の回転機械軸の一方によって担持され得、ワークピースを受けるためのワークピースマウントは、他方によって担持され得る。工作機械の制御装置は、線形、第1の回転及び/又は第2の回転機械軸を用いた機械加工動作中、工具マウント及びワークピースマウントの相対的な向き及び位置を制御するように構成され得る。
【0017】
本開示は、本明細書に記載の工作機械を用いてワークピースを機械加工する方法をさらに提供し、この方法は、
回転可能な支持体又は摺動可能な支持体によって担持されるワークピースマウントにワークピースを取り付けるステップと、
第2の回転機械軸によって担持される工具マウントに工具を取り付けるステップと、
ワークピース及び工具を接触させるステップと、
線形機械軸のみを使用して工具に向かってワークピースを送ることにより、ワークピースを機械加工するステップと
を含む。
【0018】
いくつかの実装形態において、機械加工ステップは、機械基準面に平行であり、且つ線形駆動基準軸に非平行なスピンドル基準軸を中心としてワークピースを回転させることを含み得る。例えば、スピンドル基準軸は、線形駆動基準軸に対して垂直であり得る。
【0019】
本開示は、本明細書に記載の工作機械を用いてワークピースを機械加工する方法も提供し得、本方法は、
回転可能な支持体又は摺動可能な支持体によって担持されるワークピースマウントにワークピースを取り付けるステップと、
第2の回転機械軸によって担持される工具マウントに工具を取り付けるステップと、
ワークピース及び工具を接触させるステップと、
線形機械軸並びに第1及び第2の回転機械軸のみを使用して工具に対してワークピースを移動させることにより、ワークピースを機械加工するステップと
を含む。
【0020】
このような方法の例では、工具は、線形駆動基準軸に垂直な方向においてワークピースに対して移動され得る。
【0021】
ここで、既知の工作機械及び本開示の例を、添付の概略図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本開示の一例による工作機械の構成の平面図である。
【
図3】本開示の一例による工作機械の回転機械軸アセンブリの斜視図である。
【
図4】本開示による工作機械の構成のさらなる例の平面図である。
【
図5】本開示の一例による工作機械の回転機械軸アセンブリの別の斜視図である。
【
図7】リング軸受の研削を説明するための本開示による工作機械の構成例の平面図である。
【
図8】リング軸受の研削を説明するための本開示による工作機械の構成例の平面図である。
【
図9】リング軸受の研削を説明するための本開示による工作機械の構成例の平面図である。
【
図10】リング軸受の研削を説明するための本開示による工作機械の構成例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に従って修正された工作機械の一例が
図2に示されている。これは、線形機械軸8によって担持される回転位置決め機構30を含む。回転位置決め機構は、回転可能な支持体と、回転位置決め機構基部とを含む。回転可能な支持体は、第1及び第2の回転機械軸10及び16の第1及び第2の回転基準軸20及び22に平行な支持体回転基準軸32を中心として基部に対して回転可能である。基部に対する回転可能な支持体の位置は、ロック機構(図面に示されていない)を用いて選択的に固定、クランプ又はロックされ得る。
【0024】
駆動スピンドル6は、回転位置決め機構30の回転可能な支持体上に取り付けられている。
【0025】
図2に示す構成では、スピンドル基準軸34が線形駆動基準軸18に対して垂直になるように、駆動スピンドル6は、回転位置決め機構30を用いて線形機械軸に対して回転されていることが分かる。駆動スピンドル6のチャック4には、半球面を有するワークピース2’が取り付けられている。ワークピースの球面が駆動スピンドル6によって回転される間、ワークピースの球面を研削砥石が機械加工できるように、ワークピースの表面は、2つの回転機械軸及び1つの線形機械軸の運動を制御することによって機械加工される。工具(この例では研削砥石12)とワークピースとの接触点において、工具(この例では研削砥石の平面)が球面上を移動しながらワークピース表面に対して垂直となるように工具を制御することができる。
【0026】
図2において、支持体回転基準軸32は、第1の回転基準軸20から離間されている。回転位置決め機構は、線形機械軸8に対するワークピース駆動スピンドル65の向きを2つ以上の予め定められた位置間で変更するための割り出し機構を提供し得る。
【0027】
図3は、本開示の一例による工作機械の回転機械軸アセンブリを示す。回転位置決め機構30に加えて、線形位置決め機構40が含まれる。線形位置決め機構は、線形機械軸8によって担持され、線形位置決め機構は、回転位置決め機構30を担持する。線形位置決め機構は、摺動可能な支持体と、線形位置決め機構基部とを含む。摺動可能な支持体は、線形駆動基準軸18に平行な線形摺動基準軸に沿って線形位置決め機構基部に対して摺動可能である。線形位置決め機構を追加することで、工作機械の作業領域がさらに拡大される。これにより、摺動可能な支持体は、基準軸18に沿った2つ以上の割り出し位置間で並進させることができる。摺動可能な支持体は、ロック機構(図面に示されていない)を使用して、その基部に対して選択された位置に固定、クランプ又はロックされ得る。
【0028】
図4及び
図5に示す機械構成において、線形位置決め機構は、駆動スピンドル6を基準軸18の方向に変位させるために使用されている。
図1に関連して、駆動スピンドルは、研削砥石12によって機械加工される表面への所望のアクセスを容易にするために、90°を超える角度を通して回転位置決め機構を使用して線形機械軸に対して回転されている。
【0029】
本明細書に記載された回転位置決め機構及び/又は線形位置決め機構の位置制御は、較正方法を参照する工作機械の制御装置によって又は追加の位置変換器若しくはエンコーダを用いた直接測定によって達成することができる。
【0030】
図6は、本明細書に記載される例による工作機械を用いて機械加工され得る表面を有するワークピースの一例である薄型リング軸受を示す。外輪の外径50は、支持アセンブリの内径に正確に適合するように機械加工される必要がある。外輪の内径54は、外径50と同心になるように機械加工され、軸受ケージ58に保持された軸受56のための軌道を提供するように外形を作られる。内輪62の外径60も、同様に軸受の軌道を提供するために外形を作られる。内輪の内径64は、支持アセンブリのシャフトに正確に適合するように機械加工されなければならない。
【0031】
公知の軸受研削盤は、所望の機械軸運動を提供するために、機械基部に取り付けられた線形機械軸を含む複数の積層機械軸を使用する。しかしながら、このような構成は、機械加工ループ全体の剛性に有害であり、機械加工サイクル時間の延長と、低品質の表面完全性又は仕上げとの両方をもたらす。機械表面の精度は、工具とワークピースとの接触点が、線形軸を積み重ねる必要性によって引き起こされるオフセット誤差の影響を受けることによってさらに低下する。基部に対して調整不可能な位置に取り付けられた第1及び第2の回転機械軸と、単一の短ストローク線形位置決め機械軸とを含む、本明細書に記載された工作機械の例を使用して、既存の軸受研削盤の欠点を回避しながら、軸受軌道輪を研削することができる。必要な相対運動は、運動軸の数を最小限に抑え、2つの回転機械軸及び1つの線形機械軸の構成に関連する高いループ剛性を利用しながら達成することができる。
【0032】
図7~
図10に示される例では、ワークピースは、例として、軸受軌道70である。軌道は、その中心軸がスピンドル基準軸34と同軸になるように駆動スピンドル6に取り付けられている。スピンドル基準軸は、線形駆動基準軸18に対して垂直である。第2の回転機械軸16は、その基準軸22の周りに等間隔に離間された4つの工具スピンドル14を担持する。研削砥石12は、軸受軌道70の外径50に接触している。
【0033】
第1及び第2の回転機械軸10、16を静止させたまま、線形機械軸を用いて軌道70の外径50を研削砥石に送る。
図8は、線形機械軸によって担持される線形位置決め機構(図示せず)による線形機械軸8に対する駆動スピンドル6の変位を示す。機械軸は、
図8に示すように、研削砥石を、軸受軌道70の外径との接触から、その内径54との接触に移動させるように動作可能である。内径は、線形機械軸を使用して内径を研削砥石に向かって送ることにより、プランジ研削され得る。
【0034】
図9は、
図7に示す位置から駆動スピンドルのより小さい変位を用いて軌道70の内径54を研削する代替的な構成を示す。研削力の一貫性及びワークピースの位置を最適化するために、ワークピース及び/又は工具スピンドルの回転方向を逆転させることが好ましい場合がある。
【0035】
図10は、2つの回転機械軸及び1つの線形機械軸を同時に使用して、スピンドル基準軸34に平行な方向にワークピース70の表面にわたって研削砥石12を並進させることができる方法を示す。方向Aにおける線形機械軸の運動と、それぞれの方向B及びCの回転機械軸の回転とを組み合わせることにより、研削砥石を軸受軌道70の外径50にわたって並進させることができる。
【0036】
図面を参照して記載した実施例は、研削盤であるが、本開示に従って広範な機械作業が実施され得ることが理解されるであろう。研削作業に加えて、他の用途は、例えば、旋盤又は研磨及び機械部品の検査である。
【0037】
本明細書における垂直又は平行な相対的配向等への言及は、実用的な許容範囲内で構成要素間の直交又は平行関係を定義するものとして解釈され得ることが理解されるであろう。
【0038】
「機械軸」という用語は、基準軸とは対照的に、駆動される物理的な機械軸を示す。各機械軸は、基準軸を中心として又は基準軸に沿って互いに相対的に機械駆動される2つの部分を有する。機械軸は、工作機械の制御装置の制御下でサーボ駆動され得、静圧軸受又は転動体軸受を用いたガイドウェイを含み得る。本明細書に記載された例の好ましい実装形態において、言及された機械軸又は回転若しくは線形位置決め機構は、工作機械の唯一の自由度を提供し得る。
【国際調査報告】