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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】医薬組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/29 20060101AFI20230209BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230209BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230209BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230209BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230209BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230209BHJP
   C07K 14/02 20060101ALI20230209BHJP
   C12N 15/117 20100101ALI20230209BHJP
   C12N 15/51 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
A61K39/29
A61P37/04
A61P31/20
A61P1/16
A61K39/39
A61P35/00
C07K14/02 ZNA
C12N15/117 Z
C12N15/51
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535199
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2020135570
(87)【国際公開番号】W WO2021115408
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】201911279536.0
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521271680
【氏名又は名称】遠大賽威信生命科学(南京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】GRAND THERAVAC LIFE SCIENCE (NANJING) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 30, No. 699-18, Xuanwu Avenue, Xuanwu District Nanjing, Jiangsu 210042 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】李建強
(72)【発明者】
【氏名】葛君
(72)【発明者】
【氏名】孫嬌嬌
(72)【発明者】
【氏名】周童
(72)【発明者】
【氏名】任蘇林
(72)【発明者】
【氏名】譚昌耀
(72)【発明者】
【氏名】顧月
(72)【発明者】
【氏名】黄紅穎
(72)【発明者】
【氏名】王世偉
(72)【発明者】
【氏名】陳曉曉
(72)【発明者】
【氏名】黄精俸
(72)【発明者】
【氏名】王曉東
(72)【発明者】
【氏名】陳悦
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA89
4C085BB11
4C085BB23
4C085CC21
4C085DD86
4C085EE06
4C085FF14
4C085FF18
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA02
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
4H045GA05
4H045GA10
4H045GA21
(57)【要約】
バイオ医薬品分野に属し、具体的には、医薬組成物に関する。前記医薬組成物はB型肝炎表面抗原と、B型肝炎コア抗原と、免疫刺激性組成物とを含み、前記免疫刺激性組成物はサポニンとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとを含み、又は前記免疫刺激性組成物はサポニンを含むアジュバントとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)B型肝炎表面抗原、前記抗原の活性フラグメント、前記抗原の変異体、又はそれらの少なくとも2つの混合物と、
ii)B型肝炎コア抗原、前記抗原の活性フラグメント、前記抗原の変異体、又はそれらの少なくとも2つの混合物と、
iii)サポニンとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとを含み、又はサポニンを含むアジュバントとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとからなり、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチド配列は2つ又は2つ以上のコピーの5’-TTCGTT-3’モチーフ又は5’-TCGTCGTCG-3’モチーフを有する免疫刺激性組成物とを含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドの配列は、
CpG T1:TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT(配列番号6)、CpG T2:TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT CGT T(配列番号7)、CpG T3:TCG TCG TCG TCG TCG TCG TCG(配列番号8)から選ばれるいずれか1つであり、
好ましくは、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドの配列はCpG T1:TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT(配列番号6)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記サポニンはキラヤサポニン、ギンセノシド、プラチコジン、アストラガロシド、ノトギンセノシド、グリチルリチン、ジュリブロシド、オフィオポゴニン、サイコシド又はチクセツサポニンから選ばれる1つ又は複数である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記キラヤサポニンはQS-7、QS-17、QS-18又はQS-21であり、好ましくは、前記キラヤサポニンはQS-21であり、前記ギンセノシドはギンセノシドRg1、ギンセノシドRg3、ギンセノシドRb1又はギンセノシドReであり、前記プラチコジンはプラチコジンD、プラチコジンD2又はその両方の混合物であり、前記アストラガロシドはアストラガロシドA、アストラガロシドI、アストラガロシドII又はそれらの2つ若しくは2つ以上のサポニンモノマーの混合物であり、前記ノトギンセノシドはノトギンセノシドR1であり、前記オフィオポゴニンはオフィオポゴニンDであり、前記サイコシドはサイコシドa、サイコシドd又はその両方の混合物であり、前記ジュリブロシドはゴウカンヒの総サポニンであり、前記グリチルリチンはカンゾウの総サポニンであり、前記チクセツサポニンはチクセツニンジンの総サポニンである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
サポニンを含む前記アジュバントはIscomアジュバントである、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドはホスホロチオエート結合を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドはチオオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドはペルチオオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドとサポニンの重量比は1~40:0.1~2であり、好ましくは、2~40:0.1~2である、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドとサポニンの重量比は2:1である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記B型肝炎表面抗原は、配列番号1に示す配列を含み、又はそれからなり、前記B型肝炎コア抗原は配列番号2に示す配列を含み、又はそれからなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記B型肝炎コア抗原の活性フラグメントは配列番号2における1位~X位の連続のアミノ酸を含み、又はそれからなり、Xは149~183との間の整数である、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記B型肝炎コア抗原の活性フラグメントは配列番号2における1位~X位の連続のアミノ酸を含み、又はそれからなり、Xは152~183との間の整数である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物の成分i)、ii)とiii)の重量比は4:2:1.1~42であり、好ましくは、4:2:2.1~42である、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物の成分i)、ii)とiii)の重量比は4:2:3である、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物はiv)薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、B型肝炎予防用ワクチン又はB型肝炎治療用ワクチン。
【請求項18】
B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患を予防及び/又は治療するための薬物の製造における請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物の用途。
【請求項19】
前記B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患はB型肝炎、肝硬変、肝がんから選ばれる、請求項18に記載の用途。
【請求項20】
対象においてB型肝炎ウイルスに対する体液性免疫及び/又は細胞性免疫応答を産生させるための薬物の製造における請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物の用途。
【請求項21】
対象におけるB型肝炎コア抗体にサブタイプを変換させるための薬物の製造における請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物の用途。
【請求項22】
対象においてB型肝炎ウイルスの免疫寛容を突破するための薬物の製造における請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物の用途。
【請求項23】
それを必要とする被験者に予防及び/又は治療有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患を予防及び/又は治療する方法。
【請求項24】
前記B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患はB型肝炎、肝硬変、肝がんから選ばれる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
それを必要とする被験者に有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、対象においてB型肝炎ウイルスに対する体液性免疫及び/又は細胞性免疫応答を産生させる方法。
【請求項26】
それを必要とする被験者に有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、対象におけるB型肝炎コア抗体にサブタイプを変換させる方法。
【請求項27】
それを必要とする被験者に有効量の請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、対象においてB型肝炎ウイルスの免疫寛容を突破する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ医薬品分野に属する。具体的には、本発明は、B型肝炎表面抗原と、B型肝炎コア抗原と、免疫刺激性組成物とを含む医薬組成物に関する。前記免疫刺激性組成物はサポニンとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとを含み、又は前記免疫刺激性組成物は、サポニンを含むアジュバントとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとからなり、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチド配列は2つ又は2つ以上のコピーの5’-TTCGTT-3’モチーフ又は5’-TCGTCGTCG-3’モチーフを有する。本発明は、さらに、B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患を治療するための前記医薬組成物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV)感染は世界で深刻な公衆衛生問題の1つである。HBV感染は慢性B型肝炎、肝硬変と肝細胞がんの重要な原因である(Fatt ovich G.J.Hepatol.2008;48:335-352)。慢性HBV感染の臨床治療によく使用する薬物には主にヌクレオシド類似体、インターフェロンがある。ヌクレオシド類似体は肝細細胞内のcccDNAを完全に除去できず、長期服用の場合に薬剤耐性変異体の発生や投与中止後のリバウンドが起こりやすい(Kwon H,Lok AS.Nat Rev Gastroenterol Hepatol.2011;8:275-284)。インターフェロンは無症候性HBV保因者に適さず、慢性HBV患者において、半年使用後のHBeAg血清変換率が33%にとどまり、しかもその大きな副作用により使用も制限されている(Tang SX,Yu GL.Lancet 1990;335(8684):302)。
【0003】
現在幅広く使用されるB型肝炎タンパク質ワクチンは、体液性免疫を誘導して、防御中和抗体を生じさせることで、予防目的を達成するものである。数多くの研究から分かるように、中和抗体が排除できるのは細胞外のウイルス粒子だけで、細胞内の感染ウイルスの除去は主に特異的な細胞性免疫応答や、ヘルパーT細胞、CD4+T細胞が生じたIFN-γなどのTh1サイトカイン、特にウイルス特異的細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte、略称CTL)に頼る(ChinR,Lacamini S.Rev Med Viorl.2003:13(4):255-72)。細胞性免疫応答の強さが直接的にB型肝炎の予後を決定している。したがって、治療用B型肝炎ワクチンとしては理想的なのは特異的な体液性免疫と細胞性免疫を同時に誘導して、B型肝炎の免疫寛容を突破する必要があるものである。例えば、中国特許CN104043120Bは、B型肝炎表面抗原(HBsAg)と、B型肝炎コア抗原(HBcAg)と、オリゴデオキシヌクレオチド(CpG)とを含む治療用B型肝炎ワクチンを提供し、それはB型肝炎の免疫寛容を突破でき、ウイルス性B型肝炎、特に慢性B型肝炎の治療に用いられる。
【0004】
本発明者は従来の技術について踏み入った研究を行ったところ、アジュバントが治療用B型肝炎ワクチンの治療効果に重要な役割を果たすことを見出した。アジュバントとしてよく使用されるオリゴデオキシヌクレオチド(CpG)は免疫刺激性組成物として、その化学的本質がシトシングアニンジヌクレオチドを含むオリゴデオキシヌクレオチドで、天然のCpGパターン認識受容体と似ている免疫応答を有し、細胞膜におけるToll様受容体と結合して、TLR9シグナル伝達経路を介して哺乳類において効果的に免疫応答を誘発することができる。サポニンアジュバントはトリテルペン又はスピロステラン系化合物をアグリコンとするグリコシドで、植物由来のアジュバントに属する。その中で、キラヤサポニン(QS)はキラヤから抽出されるサポニンであり、QSシリーズにおいてQS-21はこれまで関連の報告が最も多いアジュバントであるが、細胞の溶血を誘発する可能性があり、全身的・局所的な毒性副作用がある。Alvingら(ALVING CR,MATYAS G,BECK Z,et al.Revue Roumaine de Chimie,2016,61(8):631-635.)の研究により、ALFリポソームがアジュバントとしてMPLAとQS-21と結合してHIVgp140タンパク質に対抗する場合に血清中の抗体価を効果的に高められることが分かった。Ngら(NG H,FERNANDO G J P,DEPELSENAIRE A C I,et al.Scientific Reports,2016,6(1):228-230.)は皮下送達技術としてナノパッチを用いて、QS-21とアジュバント複合体を構成する。結果からは、従来の筋肉内注射と比べ、ナノパッチが抗原とQS-21の用量を明らかに減らし、より高いIgG力価を誘導できることが判明した(韓子怡,曾忠良,現代農業科技,2019(14):220-221.)。
【0005】
従来の技術(WO2001051083A3)にはサポニンとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとを含む免疫刺激性組成物が報告され、そのなか、CpGアジュバントがCpG1826、CpG7909に関する。しかし、CpGオリゴデオキシヌクレオチドの構造の多様性により、異なる配列のCpGアジュバントは効果が大きく異なる。
【0006】
したがって、今は免疫効果のより強いアジュバントとB型肝炎治療薬が要望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は従来技術の欠点について、多くの研究を行ったところ、思いがけずも、免疫効果のより強い免疫刺激性組成物、前記免疫刺激性組成物を含む医薬組成物を発見した。本発明に係る医薬組成物は二重アジュバントを含み、且つその中のサポニンとCpGオリゴデオキシヌクレオチドが効率的な相乗効果を表すため、より強い免疫応答を媒介することができる。本発明は、さらに、B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患を治療するための前記医薬組成物の用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は下記の技術的解決手段により達成される。
本発明は、一態様において、
i)B型肝炎表面抗原、前記抗原の活性フラグメント、前記抗原の変異体、又はそれらの少なくとも2つの混合物と、
ii)B型肝炎コア抗原、前記抗原の活性フラグメント、前記抗原の変異体、又はそれらの少なくとも2つの混合物と、
iii)サポニンとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとを含み、又はサポニンを含むアジュバントとCpGオリゴデオキシヌクレオチドとからなり、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチド配列は2つ又は2つ以上のコピーの5’-TTCGTT-3’モチーフ又は5’-TCGTCGTCG-3’モチーフを有する免疫刺激性組成物とを含む、医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明に係る医薬組成物において、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドの配列は、
CpG T1:TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT(配列番号6)、CpG T2:TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT CGT T(配列番号7)、CpG T3:TCG TCG TCG TCG TCG TCG TCG(配列番号8)から選ばれるいずれか1つであり、
好ましくは、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドの配列はCpG T1:TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT(配列番号6)である。
【0010】
本発明に係る医薬組成物において、前記サポニンはキラヤサポニン、ギンセノシド、プラチコジン、アストラガロシド、ノトギンセノシド、グリチルリチン、ジュリブロシド、オフィオポゴニン、サイコシド又はチクセツサポニンから選ばれる1つ又は複数であってもよい。好ましくは、前記サポニンはキラヤサポニン、ギンセノシド、プラチコジン又はアストラガロシドAであり、より好ましくは、前記キラヤサポニンはQS-7、QS-17、QS-18又はQS-21であり、さらに好ましくは、前記キラヤサポニンはQS-21であり、前記ギンセノシドはギンセノシドRg1、ギンセノシドRg3、ギンセノシドRb1又はギンセノシドReであってもよく、前記プラチコジンはプラチコジンD、プラチコジンD2又はその両方の混合物であってもよく、前記アストラガロシドはアストラガロシドA(アストラガロシドIV)、アストラガロシドI、アストラガロシドIIなどのモノマー又はそれらの2つ若しくは2つ以上のサポニンモノマーの混合物であってもよく、前記ノトギンセノシドはノトギンセノシドR1であってもよく、前記オフィオポゴニンはオフィオポゴニンDなどであってもよく、前記サイコシドはサイコシドa、サイコシドd又はその両方の混合物であってもよく、前記ジュリブロシドはゴウカンヒの総サポニンなどであってもよく、前記グリチルリチンはカンゾウの総サポニンであってもよく、前記チクセツサポニンはチクセツニンジンの総サポニンであってもよい。
【0011】
本発明に係る医薬組成物において、サポニンを含む前記アジュバントは免疫刺激性複合体アジュバント(Iscomアジュバント)である。
【0012】
本発明に係る医薬組成物において、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドはホスホロチオエート結合を含んでもよく、好ましくは、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドはチオオリゴデオキシヌクレオチドであり、より好ましくは、ペルチオオリゴデオキシヌクレオチドである。
【0013】
本発明に係る医薬組成物において、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドとサポニンの重量比は1~40:0.1~2であり、好ましくは、2~40:0.1~2である。
【0014】
好ましくは、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドとサポニンの重量比は1:0.1、1:1、1:2、2:0.1、2:1、40:0.1、40:1又は20:1であり、好ましくは、1:1、2:1、40:0.1、40:1又は20:1であり、より好ましくは、2:1である。
【0015】
本発明に係る医薬組成物において、前記B型肝炎表面抗原は、配列番号1に示す配列を含み又はそれからなる。
【0016】
本発明に係る医薬組成物において、前記B型肝炎コア抗原は配列番号2に示す配列を含み、又はそれからなり、好ましくは、前記B型肝炎コア抗原の活性フラグメントは配列番号2における1位~X位の連続のアミノ酸を含み、又はそれからなり、Xは149~183との間の整数であってもよく、より好ましくは、Xは152~183との間の整数である。
【0017】
本発明に係る医薬組成物において、前記医薬組成物の成分i)、ii)とiii)の重量比は4:2:1.1~42であり、好ましくは、4:2:2.1~42である。
【0018】
さらに好ましくは、前記医薬組成物の成分i)、ii)とiii)の重量比は4:2:1.1、4:2:2、4:2:3、4:2:2.1、4:2:40.1、4:2:41又は4:2:42であり、好ましくは、4:2:2、4:2:3、4:2:40.1、4:2:41又は4:2:42であり、より好ましくは、4:2:3である。
【0019】
本発明に係る医薬組成物において、前記医薬組成物は、iv)薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0020】
本発明は、別の態様において、前記医薬組成物を含むB型肝炎予防用ワクチン又はB型肝炎治療用ワクチンを提供し、好ましくは、前記ワクチンはB型肝炎治療用ワクチンである。
【0021】
本発明は、更なる態様において、B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患を予防及び/又は治療するための薬物の製造における前記医薬組成物の用途を提供し、好ましくは、前記B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患はB型肝炎、肝硬変、肝がんから選ばれる。
【0022】
本発明は、更なる態様において、対象においてB型肝炎ウイルスに対する体液性免疫及び/又は細胞性免疫応答を産生させるための薬物の製造における前記医薬組成物の用途を提供する。
【0023】
本発明は、更なる態様において、対象におけるB型肝炎コア抗体にサブタイプを変換させるための薬物の製造における前記医薬組成物の用途を提供する。
【0024】
本発明は、更なる態様において、対象においてB型肝炎ウイルスの免疫寛容を突破するための薬物の製造における前記医薬組成物の用途を提供する。
【0025】
本発明は、更なる態様において、それを必要とする被験者に予防及び/又は治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患を予防及び/又は治療する方法を提供し、好ましくは、前記B型肝炎ウイルス感染及び/又はB型肝炎ウイルス媒介性疾患はB型肝炎、肝硬変、肝がんから選ばれる。
【0026】
本発明は、別の態様において、それを必要とする被験者に有効量の医薬組成物を投与することを含む、対象においてB型肝炎ウイルスに対する体液性免疫及び/又は細胞性免疫応答を産生させる方法を提供する。
【0027】
本発明は、別の態様において、それを必要とする被験者に有効量の医薬組成物を投与することを含む、対象におけるB型肝炎コア抗体にサブタイプを変換させる方法を提供する。
【0028】
本発明は、別の態様において、それを必要とする被験者に有効量の医薬組成物を投与することを含む、対象においてB型肝炎ウイルスの免疫寛容を突破する方法を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る医薬組成物は二重アジュバントを含み、予期しえぬ技術的効果を有し、より強い免疫応答を媒介することができる。CpG T1、CpG T2、CpG T3単独使用の免疫刺激効果はCpG1018、CpG7909、CpG1826などより弱いが、QS21と併用すると、前記アジュバントが予期しえぬ相乗効果を表し、免疫効果が明らかに増強する。当該免疫刺激性組成物を含むB型肝炎治療用ワクチンは遺伝子改変マウスの免疫寛容を突破して、力価の高い抗HBsAg抗体、抗HBcAg抗体、中和抗体を産生させることができる。いずれの検出結果からも示すように、当該ワクチンは複数回の免疫化により遺伝子改変マウスの体内のB型肝炎ウイルスを明らかに除去でき、免疫化プロセスの終了後、HBsAbレベルがほぼ飽和となり、安定した長期の免疫効果を保つことができ、HBsAgの平均低下率が約92%に維持される。同時に、前記免疫刺激剤を含むB型肝炎ワクチンは比較的強いHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルを誘導産生させることができ、免疫効果が単独のアジュバントより明らかに優れ、他のCPGアジュバントとQS21の組み合わせより明らかに優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、各図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1】異なるCPGオリゴデオキシヌクレオチドのHBsAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図2】異なるCPGオリゴデオキシヌクレオチドのHBcAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図3】本発明に係る異なる免疫刺激性組成物のHBsAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図4】本発明に係る異なる免疫刺激性組成物のHBcAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図5】本発明に係る異なる用量の免疫刺激性組成物のHBsAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図6】本発明に係る異なる用量の免疫刺激性組成物のHBcAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図7】本発明に係る免疫刺激性組成物を含むB型肝炎ワクチンの血清中のHBsAgレベルに対する影響を示す。
図8】本発明に係る免疫刺激性組成物を含むB型肝炎ワクチンの血清中のHBsAbレベルに対する影響を示す。
図9】本発明に係る免疫刺激性組成物を含むB型肝炎ワクチンのHBsAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図10】本発明に係る免疫刺激性組成物を含むB型肝炎ワクチンのHBcAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図11】本発明に係る免疫刺激性組成物を含むB型肝炎ワクチンのマウス血清中のHBsAg抗原特異的IgG抗体及びそのサブタイプレベルに対する影響を示す。 図中、パネルAは各群のマウスの血清HBsAb IgGレベルである。パネルBは各群のマウスの血清HBsAb IgG1レベルである。パネルCは各群のマウスの血清HBsAb IgG2aレベルである。パネルDは各群のマウスの血清HBsAb IgG2aとIgG1の比の値である。
図12】本発明に係る免疫刺激性組成物を含むB型肝炎ワクチンのマウス血清中のHBcAg抗原特異的IgG抗体及びそのサブタイプレベルに対する影響を示す。 図中、パネルAは各群のマウスの血清HBcAb IgGレベルである。パネルBは各群のマウスの血清HBcAb IgG1レベルである。パネルCは各群のマウスの血清HBcAb IgG2aレベルである。パネルDは各群のマウスの血清HBcAb IgG2aとIgG1の比の値である。
図13】異なるサポニンを含む免疫刺激性組成物のHBsAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
図14】異なるサポニンを含む免疫刺激性組成物のHBcAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルに対する影響を示す。
【0031】
「定義」
特に定義がない限りは、本明細書で使用する全ての技術用語は当業者が理解しているのと同じ意味である。本分野の定義と用語に関して、当業者はCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel)を参照することができる。アミノ酸残基の略号は本分野で通常の20のL-アミノ酸の1つを指す標準的な3文字及び/又は1文字コードである。
【0032】
本発明において広い範囲で数値範囲とパラメータの近似値を示しているが、具体例で数値はなるべく正確に記載する。しかし、いずれの数値もその測定に標準偏差があるため、程度の差こそあれ必ず誤差が含まれる。また、本明細書において開示される範囲はいずれも、その中に含まれる任意の又は全ての部分範囲をカバーしていると理解される。例えば、「1.1~42」と記載される範囲は最小値1.1と最大値42の間(端点を含む)の任意の又は全ての部分範囲であって、つまり、全ての、最小値1.1又はそれより大きい数値から始まる部分範囲(例えば、1.1~6.1)と最大値42又はそれより小さい数値で終わる部分範囲(例えば、5.5~42)を含むと見なされる。また、参照文献が「本明細書に組み込まれる」とは、全体として組み込まれると理解される。
【0033】
なお、本明細書で使用する単数形は、1つの指示対象との明確な限定がない限りは、指示対象の複数形を含む。用語「又は」は、文脈において明示がない限り、用語「及び/又は」と入れ替えて使用される。
【0034】
本明細書で用語「医薬組成物」、「組み合わせ薬物」と「薬物組み合わせ」は、組み合わせて特定の目的を達成する少なくとも1つの薬物と任意選択での薬学的に許容される賦形剤又は添加物との組み合わせを表すように入れ替えて使用される。一部の実施形態において、前記医薬組成物は、共に機能して本発明の目的を達成できるものであれば、時間的及び/又は空間的に分離した組み合わせを含む。例えば、前記医薬組成物に含まれる成分(例えば、HBsAg、HBcAg、QS-21、CpGオリゴデオキシヌクレオチド)は全体として対象に投与されてもよいし、又は別々に対象に投与されてもよい。前記医薬組成物に含まれる成分が別々に対象に投与される場合に、前記成分は同時に又は順次対象に投与されることができる。
【0035】
本明細書で使用する用語「CpGオリゴデオキシヌクレオチド」又は「CpG-ODN」とは、1つ又はそれ以上の「CpG」単位を含む、短い一本鎖合成DNA分子を指し、ここでCはシトシンを、Gはグアニンを、pはホスホジエステル結合を表す。特に、前記CpGオリゴデオキシヌクレオチドはメチル化されていない。一部の実施形態において、前記CpG-ODNはホスホロチオエート結合又はホスホロチオエート骨格を含む。つまり、一部の実施形態において、前記CpG-ODNはホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(即ちチオオリゴデオキシヌクレオチド)である。好ましくは、前記CpG-ODNにおいてヌクレオチド同士の結合は全てホスホロチオエート結合であり、つまり前記CpG-ODNはペルチオオリゴデオキシヌクレオチドである。他の一部の実施形態において、前記CpG-ODNは2つ又は2つ以上のコピーの5’-TTCGTT-3’モチーフ又は5’-TCGTCGTCG-3’モチーフを含む。特に、前記CpG-ODNは、TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT(配列番号6)、TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT CGT T(配列番号7)、TCG TCG TCG TCG TCG TCG TCG(配列番号8)から選ばれる配列を有し、好ましくは、TCG TTC GTT CGT TCG TTC GTT(配列番号6)である。
【0036】
本明細書で使用する「ギンセノシド、プラチコジン、アストラガロシド、ノトギンセノシド、グリチルリチン、ジュリブロシド、オフィオポゴニン、サイコシド又はチクセツサポニン」とは対応の植物に存在する活性成分を指し、例えば、ギンセノシドは主にジンセン属生薬に存在するステロール化合物であり、ジンセンにおける活性成分である。一部の実施形態において、前記ギンセノシドは、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRg3、ギンセノシドRb1、ギンセノシドReなどのモノマー又はそれらの2つ若しくは2つ以上のサポニンモノマーの混合物であることが好ましく、プラチコジンはプラチコジンD、プラチコジンD2又はその両方の混合物であることが好ましく、アストラガロシドはアストラガロシドA(アストラガロシドIV)、アストラガロシドI、アストラガロシドIIなどのモノマー又はそれらの2つ若しくは2つ以上のサポニンモノマーの混合物であることが好ましく、ノトギンセノシドはノトギンセノシドR1などであることが好ましく、オフィオポゴニンはオフィオポゴニンDなどであることが好ましく、サイコシドはサイコシドa、サイコシドd又はその両方の混合物であることが好ましく、ジュリブロシドはゴウカンヒの総サポニンなどであることが好ましく、グリチルリチンはカンゾウの総サポニンなどであることが好ましく、チクセツサポニンはチクセツニンジンの総サポニンなどであることが好ましい。
【0037】
本明細書で使用される「Iscomアジュバント」は免疫刺激性複合体アジュバントであり、具体的には、抗原を含まないIscomマトリックス(ISCOM MATRIX)で、リン脂質、サポニン、コレステロールからなるケージ様構造のアジュバントである。
【0038】
本明細書で使用する「治療有効量」又は「有効量」とは、投与対象にメリットを表すのに十分な用量を指す。投与に係る実際の用量、投与速度と持続時間は治療対象自身の状況と疾患の程度により決定される。治療処方(例えば、用量の決定など)は最終的には一般開業医又は他の医師が責任を持って決定を下し、一般に考慮するのは治療の対象疾患、患者個体の状況、送達部位、投与方法、医師にとって既知の他の要因である。
【0039】
本明細書で使用する用語「哺乳類」とはヒトを指し、他の動物、例えば、野生動物(例えば、アオサギ、コウノトリ、ツルなど)、家畜(例えば、アヒル、ガチョウなど)又は実験動物(例えば、オランウータン、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、マーモット、ジリスなど)であってもよい。
【0040】
他の一部の実施形態において、本発明に係る組成物は薬学的に許容される担体又は添加物など他の添加物を含んでもよく、特に、薬物製剤として存在する場合はそうである。
【0041】
医薬担体として特に好ましいのは水、水系緩衝液であり、PBS(リン酸塩緩衝液)などの等張塩溶液、グルコース、マンニトール、デキストロース、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、炭酸マグネシウム、0.3%グリセリン、ヒアルロン酸、エタノール、又はポリアルキレングリコール(例えばポリプロピレングリコール)、トリグリセリドなどが好ましい。使用される医薬担体のタイプは、特に、本発明に係る組成物が経口、経鼻、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内投与用に製剤化されるかどうかにより決定される。本発明に係る組成物は、湿潤剤、乳化剤又は液体緩衝物質を添加物として含んでもよい。
【0042】
本発明に係る医薬組成物、ワクチン又は薬物製剤は、任意の適切な経路投与により、例えば、経口、経鼻、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内にて投与されることができる。
【0043】
以下、各図を参照して具体的な実施形態で本発明をさらに説明するが、これは本発明への限定ではない。当業者は本発明の趣旨に基づいて、様々な修正又は改善を行うことができ、本発明の趣旨から逸脱していなければ、本発明の範囲に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、特定の実施例を用いて本発明を説明する。これらの実施例が本発明を説明するものに過ぎず、何らかの形で本発明の範囲を限定するものではないことは、当業者にとって理解できるであろう。
【0045】
下記の実施例における実験方法は、特段の説明がない限り、いずれも従来の方法である。下記の実施例で使用する原料、試薬材料などは、特段の説明がない限り、いずれも市販品である。
【0046】
実施例1:免疫刺激性組成物のスクリーニング実験の準備
1.HBsAgストック溶液:HBsAgタンパク質のアミノ酸配列は配列番号1に示すとおりである。
【0047】
HBsAgタンパク質はHBsAg遺伝子組換え酵母細胞より調製され、酵母細胞の種類は、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)を含み、好ましくは、ハンセヌラ・ポリモルファである。調製ステップの詳細は中国特許出願CN108330145Aを参照し、HBsAg遺伝子組換えハンセヌラ・ポリモルファ細胞を発酵及び培養して、菌体を得た。菌体破砕処理とシリカゲル吸着、カラムクロマトグラフィー、TFFなどの精製ステップを行った。
【0048】
2.HBcAgストック溶液:HBcAgタンパク質のアミノ酸配列は配列番号2に示すとおりである。
【0049】
HBcAgタンパク質はHBcAg遺伝子組換え酵母細胞より調製され、酵母細胞の種類は、ハンセヌラ・ポリモルファ、出芽酵母、ピキア・パストリスを含み、好ましくは、ハンセヌラ・ポリモルファである。調製ステップの詳細は中国特許出願CN108047316Aを参照し、HBcAg遺伝子組換えハンセヌラ・ポリモルファ細胞を発酵及び培養して、菌体を得た。菌体破砕処理と硫酸アンモニウム、カラムクロマトグラフィー、TFFなどの精製ステップを行って、HBcAgストック溶液を得た。
【0050】
3.QS-21:BRENNTAG社より購入され、CAS番号はA010-023である。
【0051】
4.CPGオリゴデオキシヌクレオチド原料の調製方法:
オリゴデオキシヌクレオチドは合成的に調製されたオリゴデオキシヌクレオチド配列フラグメントで、1つ又は複数のCpGモチーフを含み、本実施例で使用するCPG配列は表1を参照する。
【0052】
【表1】
【0053】
調製方法の詳細は次のとおりである。従来の固相ホスホロアミダイトトリエステル法という化学合成法を用いて調製する。3’末端から開始し、1)脱保護基であって、次のステップの縮合反応への使用に備えるために、最初にトリクロロ酢酸でCpGと結合したヌクレオチドの保護基DMT(ジメトキシトリチル基)を除去して、遊離5’ヒドロキシ基を得た。2)活性化であって、ホスホロアミダイトで保護したヌクレオチドモノマーとテトラゾリウム活性化因子とを混合し合成カラムに入れて、ホスホロアミダイトテトラゾール活性中間体を生成し、当該中間体がCpGにおける脱保護されたヌクレオチドと縮合反応する。3)接続であって、ホスホロアミダイトテトラゾール活性中間体がCpGにおける脱保護されたヌクレオチドと遭遇すると、その5’ヒドロキシ基と求核反応を行い、縮合してテトラゾールを除去し、この時にオリゴヌクレオチド鎖が前方に1塩基延長した。4)酸化であって、縮合反応時はヌクレオチドモノマーが亜リン酸エステル結合を介してCpGと結合したオリゴヌクレオチドと接続するが、亜リン酸エステル結合が安定せず、酸又は塩基によって加水分解されやすいので、この場合にチオ試薬を使用してホスホロアミダイトを酸化して硫黄-リン二重結合リン酸トリエステルを得て、安定的なオリゴヌクレオチドを得た。5)ブロッキングであって、縮合反応後はCpGと結合した未反応の5’ヒドロキシ基が次の循環反応において伸長されることを防ぐために、一般にアセチル化によって当該末端ヒドロキシ基をブロッキングする。この5つのステップを経て、1つのデオキシヌクレオチドがCpGのヌクレオチドに接続される。上記の脱保護基、活性化、接続、酸化、ブロッキングのプロセスを繰り返すと粗DNAフラグメントを得ることができる。最後にそれに切断、脱保護基、精製、定量などの合成後処理を行って完了した。
【0054】
5.PBS溶液(Hyclone社より購入)を使用してHBsAgストック溶液、HBcAgストック溶液をそれぞれ200μg/ml、100μg/mlに希釈した。次のステップへの使用に備えるために、PBS溶液を使用して各CPG原料をそれぞれ溶解し100μg/mlに希釈した。
【0055】
実施例2:CPGオリゴデオキシヌクレオチドのスクリーニング実験
1.実験動物:C57BL/6(N)マウス、雄、4週齢、135匹、上海霊暢実験動物技術有限公司提供。
【0056】
2.実験群設定:表2を参照し、1回の注射量は100μL/匹であった。A群は陰性コントロールで、PBS溶液100μL/匹であった。
【0057】
【表2】
【0058】
3.実験ステップは次のとおりである。免疫後7日目にマウスから脾臓を摘出し、従来の方法で次のとおりに脾臓リンパ球を用意した。無菌操作による脾臓の摘出であって、滅菌鉗子とはさみで脾臓を取り出して、70μmセルストレーナーに入れ、2mlの予冷後の2%FBS(GIBCO社より購入)-PBSを含むプレートに置いた。乳棒で脾臓を研磨し、脾臓細胞がメッシュからプレートに入って、細胞懸濁液を得、パスツールピペットで懸濁液を40μmセルストレーナーで濾過した(BD社より購入)50ml滅菌遠心管に入れた。500×gで、4℃下5分間遠心分離した。上清を捨て、2mlの1×赤血球破壊剤(BD社より購入)を加えて細胞を再懸濁し、4℃下で暗所に5分間静置して、赤血球を破砕させた。10mlの2%FBS-PBSを加えて赤血球破壊反応を停止させた。500×gで、4℃下5分間遠心分離した。上清を捨て、5mlの2%FBS-PBSを加えて細胞を再懸濁しておいた。刺激剤としてHBsAg特異的ペプチドプールPS4、HBcAg特異的ペプチドプールPCPをそれぞれ使用して脾細胞を刺激した。キットの取扱説明書に従って、ELISPOTキット(BD社)を使用してHBsAgとHBcAg抗原特異的IFN-γの分泌レベルを検出した。ImmunoSPOT Series 3エリスポットアナライザーを用いてELISPOTキットで測定したスポット数を読み取った(操作ステップの詳細は中国特許CN104043120Bの実施例7を参照する)。
【0059】
HBsAg特異的ペプチドプール配列は中国特許CN104043120Bの実施例7を参照し、HBcAg特異的ペプチドプール配列は配列番号16~30を参照する。
【0060】
4.実験結果:ELISPOTスポット結果を図1図2に示し、結果に示すように、配列の異なるタイプB CpGアジュバントは異なる免疫効果を有し、CpG T1~T3、CpG1018、CpG7909、CpG 1826、CpG 684は全体としてタイプA CpGアジュバント、タイプC CpGアジュバントより優れており、CpG1618、CPG D2は免疫効果が悪く、誘導産生されたHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルはいずれもタイプA CpGアジュバント、タイプC CpGアジュバントより低かった。
【0061】
実施例3:免疫刺激性組成物のスクリーニング実験
1.実験動物:C57BL/6(N)マウス:雄、4週齢、81匹、上海霊暢実験動物技術有限公司提供。
2.実験群設定:表3を参照し、1回の注射量は100μL/匹であった。A群は陰性コントロールで、PBS溶液100μL/匹であった。
【0062】
【表3】
【0063】
3.実験ステップ:実施例2と同じであった。
【0064】
4.実験結果:ELISPOTスポット結果を図3図4に示し、結果に示すように、CpG T1~T3はQS21と併用すると効率的な相乗効果が得られ、誘導産生されたHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルはCpG1018、CpG7909など他のいくつかのCpGアジュバントより明らかに高く、予期しなかった免疫効果がある。
【0065】
実施例4:含有量の異なるアジュバントの医薬組成物の免疫効果に対する影響
1.実験動物:C57BL/6(N)マウス、雄、4週齢、60匹、上海霊暢実験動物技術有限公司提供。
【0066】
2.試薬材料:
1)HBsAgタンパク質、HBcAgタンパク質、CpG T1はいずれも実施例1より調製した。
2)QS-21(CAS番号A010-023、BRENNTAG社より購入)
3)次のステップへの使用に備えるために、PBS溶液(Hyclone社より購入)を使用してHBsAgストック溶液、HBcAgストック溶液をそれぞれ200μg/ml、100μg/mlに希釈し、QS21をそれぞれ5μg/ml、50μg/ml、100μg/mlに希釈し、PBS溶液を使用してCpG T1を溶解しそれぞれ50μg/ml、100μg/ml、2mg/mlに希釈し、PBS溶液を使用してCPG7909を溶解し100μg/mlに希釈した。
【0067】
3.実験群設定:表4を参照し、1回の注射量は100μL/匹であった。A群は陰性コントロールで、PBS溶液100μL/匹であった。
【0068】
4.実験ステップ:実施例2と同じであった。
【0069】
5.実験結果:ELISPOTスポット結果は図5図6を参照し、結果に示すように、CpG T1とQS21の用量変化はいずれもワクチン組成物に明らかな影響があり、用量5の免疫刺激性組成物より高く、誘導産生されたHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルはCPG7909群より明らかに高く、しかし種間差異により、アジュバント用量がさらに増えると誘導効果には明らかな増加が認められず、その理由としてマウスにおいてはアジュバントの免疫力が正しく反映されないことが想定される。
【0070】
用量1、2、4はCPG7909群の免疫刺激効果と同等であるものの、アジュバントの使用量は同等なCPG7909群より低いため、利点はある。
【0071】
【表4】
【0072】
実施例5:B型肝炎ワクチンの実験群設定と免疫化プロセス
1.実験動物とモデル確立:
C57BL/6(N)マウス:雄、4週齢、81匹、上海霊暢実験動物技術有限公司提供、rAAV8-HBVアデノウイルス:北京五加和分子医学研究所有限公司より購入。C57BL/6(N)マウスにrAAV8-HBVアデノウイルスを尾静脈注射して、rAAV8-HBVがC57BL/6(N)を持続的に感染させるマウスモデルを確立した。
【0073】
2.試薬材料:
1)HBsAgタンパク質:実施例1より調製した。
【0074】
2)HBcAgタンパク質:実施例1より調製した。
【0075】
3)次のステップへの使用に備えるために、PBS溶液(Hyclone社より購入)を使用してHBsAgストック溶液、HBcAgストック溶液、QS-21をそれぞれ200μg/ml、100μg/ml、50μg/mlに希釈し、PBS溶液を使用してCpGを溶解し100μg/mlに希釈した。
【0076】
3.実験群設定:表5を参照し、各マウスへの1回の注射量は100μL/匹であり、A群は陰性コントロールで、PBS溶液を100μL/匹注射した。
【0077】
【表5】
【0078】
4.動物の免疫化:全ての群は2週間ごとに1回筋肉内注射を行い、接種部位は右後腿で、合計6回の投与とし、それぞれrAAV8-HBVウイルスの尾静脈注射後4週目、6週目、8週目、10週目、12週目、14週目に投与した。投与開始後に2週間ごとに1回採血し、採血時間はそれぞれ4週目、6週目、8週目、10週目、12週目、14週目、16週目、18週目、20週目、22週目であった。22週目に全てのマウスを殺した。
【0079】
実施例6:B型肝炎ワクチンの血清中のHBsAgレベルに対する影響
1.血清HBsAgの検出ステップ:検出の実施は南京鼓楼病院であった。
【0080】
2段階イムノアッセイを用い、最初に検出サンプルがB型肝炎表面抗体によってコーティングされた常磁性微粒子と結合し、洗浄して、アクリジニウムエステル標識B型肝炎表面抗体コンジュゲートを加え、また洗浄して、予備励起溶液と励起溶液を反応混合物に加え、検出サンプルの相対発光量(RLU)を測定し、サンプルにおけるHBsAg含有量がRLUと正の相関関係であり、生成されるARCHTITECT HBsAg標準曲線によりマウス血清サンプル中のHBsAg濃度を測定し、最終にマウス血清サンプル中のHBsAg濃度は測定値の50~200倍であった。
【0081】
2.結果分析(図7):本発明に係る免疫刺激剤を含むH群ワクチンは、対応するHBsAgレベルが明らかに低下する傾向であり、免疫化プロセス終了後(14週目より)は、安定した長期な免疫効果が保たれ、単独のCpG群(F群)とQS-21群(G群)と比べて、明らかな利点があった。H群はHBsAgレベルが最初に6350IU/mlを超えていて約50IU/mlに低下し、当該群は2回目の免疫後(6週目)にHBsAgレベルが30%以上低下し、3回目の免疫後(8週目)にHBsAgレベルが70%以上低下し、しかも14週目の免疫終了後に平均低下率は約92%と維持されていた。優れた免疫効果がある。二重アジュバントコントロール(I群)と比べ、H群は14週目の免疫終了後に依然として安定的免疫効果が維持され、免疫レベルが明らかにI群より優れている。
【0082】
実施例7:B型肝炎ワクチンの体液性免疫効果評価
1.血清HBsAbの検出ステップ:検出の実施は南京鼓楼病院であった。
【0083】
2段階イムノアッセイを用い、最初に検出サンプルが組換えHBsAg(rHBsAg)によってコーティングされた常磁性微粒子と混合し、洗浄して、アクリジニウムエステル標識rHBsAgコンジュゲートを加え、また洗浄して、予備励起溶液と励起溶液を反応混合物に加え、検出サンプルの相対発光量(RLU)を測定し、サンプルにおけるHBsAb含有量がRLUと正の相関関係であり、生成されるARCHTITECT HBsAb標準曲線によりマウス血清サンプル中のHBsAb濃度を測定し、最終にマウス血清サンプル中のHBsAb濃度は測定値の50~200倍であった。
【0084】
2.結果分析(図8):前記免疫刺激剤を含むH群ワクチンは2回目の免疫後(6週目)にHBsAb(10mIU/mlを超えている)を産生し始め、しかも免疫回数の増加につれて、HBsAbレベルは増加し続ける傾向であり、増加傾向が明らかに単独のCpG群(F群)とQS-21群(G群)より優れている。免疫終了2週後(16週目)にHBsAbレベルがほぼ飽和となり、4.0の対数値、即ち約10000mIU/mlのHBsAbレベルに達し、二重アジュバントコントロール(I群)と比べ、抗体産生レベルも明らかな優位性があった。
【0085】
実施例8:B型肝炎ワクチンの細胞性免疫効果評価
1.検出ステップ:実施例2と同じであった。実験群設定は表6を参照する。
【0086】
2.評価指標:コントロールウェルのスポット数が5SFC以下で、サンプルウェルのスポット数が10SFC以上である場合に、陽性とする。コントロールウェルのスポット数が5SFCを超えていて10SFC以下であり、サンプルウェルのスポット数/コントロールウェルのスポット数が2以上である場合に、陽性とする。コントロールウェルのスポット数が10SFCを超えており、サンプルウェルのスポット数/コントロールウェルのスポット数が3以上である場合に、陽性とする。
【0087】
【表6】
【0088】
3.実験結果:
細胞性免疫レベル検出結果:ELISPOTスポット結果は図9、10を参照し、分析結果に示すように、F群~I群においてHBsAg特異的IFN-γ陽転率はいずれも100%であり、HBcAg特異的IFN-γ陽転率はいずれも100%であった。前記免疫刺激剤を含むH群ワクチンは比較的高いHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルを誘導産生させることができ、それぞれが2350SFC/10脾細胞より大きく1250SFC/10脾細胞より大きく、単独のCpG群(F群)とQS-21群(G群)と比べて、明らかな差があった。H群と二重アジュバントコントロール(I群)を比べ、後者が誘導産生させるHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルは約1630SFC/10脾細胞、約750SFC/10脾細胞で、明らかにH群より低かった。
【0089】
実施例9:医薬組成物による血清中のHBsAgとHBcAg特異的抗体の検出
1.検出ステップ:精製したHBsAgとHBcAgで96ウェルマイクロプレートをコーティングして、固相抗原を形成し、ブロッキング処理をした後、被験血清を一定の開始希釈度から倍数希釈し、複数の希釈度を設定し、96ウェルマイクロプレートに倍数希釈後の血清サンプルを加え、次にHRP標識抗IgG/IgG1/IgG2a抗体と結合して、抗原-抗体(血清)-酵素標識抗体複合体を形成し、最後に基質TMBを加えて発色させ、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの波長における吸光度(OD値)を測定し、発色の濃淡は検出サンプルにおけるHBsAgとHBcAg特異的抗体IgG/IgG1/IgG2aレベルと正の相関であり、「吸光度OD値-血清サンプル希釈倍数(Log)」の関係曲線を当てはめして、抗体価を判定した。
【0090】
2.結果分析:
1)血清中のHBsAb IgG抗体とサブタイプの検出結果:
各群における異なる時間のELISA方法でのマウス血清中のHBsAb IgG抗体とサブタイプレベルの検出は図11に示すとおりである。前記免疫刺激剤を含むH群ワクチンは力価の比較的高い抗HBsAg特異的IgG/IgG1/IgG2a抗体を産生させ、しかも免疫回数の増加につれて、抗体レベルが増加し続け、6回目の免疫(14週目)に抗体レベルがほぼ飽和となり、特異的抗体価が5.4の対数値以上に達している。A群~D群では特異的抗体が検出されず、E群~G群ではHBsAg特異的IgG/IgG1/IgG2a抗体レベルは産生されるが、抗体レベルは明らかにH群より低く、二重アジュバントコントロール(I群)が産生する抗HBsAg特異的IgG抗体とIgG2a抗体レベルは明らかにH群より低かった。
【0091】
2)血清中のHBcAb IgG抗体とサブタイプの検出結果:
各群における異なる時間のELISA方法でのマウス血清中のHBcAb IgG抗体とサブタイプレベルの検出は図12に示すとおりである。前記免疫刺激剤を含むH群ワクチンは力価の比較的高い抗HBcAg特異的IgG/IgG1/IgG2a抗体を産生させ、しかも免疫回数の増加につれて、抗体レベルが増加し続け、6回目の免疫(14週目)に抗体レベルがほぼ飽和となり、特異的抗体価が4.8の対数値以上に達している。A群~D群では特異的抗体が検出されず、E群~G群ではHBcAg特異的IgG/IgG1/IgG2a抗体レベルは産生されるが、抗体レベルは明らかにH群より低かった。しかもH群はTh1経路となる傾向が高く、パネルDには特異的抗体IgG2aが明らかに上昇する傾向が見られることから分かるように、H群ワクチンは抗HBcAg抗体のサブタイプ変換を促進でき、しかも変換効率が明らかに二重アジュバントコントロール(I群)より高い。
【0092】
実施例10:異なるサポニンの医薬組成物の免疫効果に対する影響
1.実験動物:C57BL/6(N)マウス、雄、4週齢、40匹、上海霊暢実験動物技術有限公司提供。
【0093】
2.試薬材料:
1)HBsAgタンパク質、HBcAgタンパク質、CpG T1はいずれも実施例1より調製した。
2)QS-21(CAS番号A010-023、BRENNTAG社より購入)、ギンセノシドRg1(CAS:22427-39-0、南京春秋生物工程有限公司より購入)、アストラガロシドA(CAS:84687-43-4、南京春秋生物工程有限公司より購入)、プラチコジンD(CAS:58479-68-8、湖北雲▲ビ▼科技有限公司より購入)、Iscomアジュバント(上海熹垣生物科技有限公司より購入)。
【0094】
3)次のステップへの使用に備えるために、PBS溶液(Hyclone社より購入)を使用してHBsAgストック溶液、HBcAgストック溶液をそれぞれ200μg/ml、100μg/mlに希釈し、各サポニンをそれぞれ50μg/mlに希釈し、PBS溶液を使用してCpG T1を溶解し100μg/mlに希釈した。
【0095】
3.実験群設定:表7を参照し、1回の注射量は100μL/匹であった。A群は陰性コントロールであり、PBS溶液100μL/匹であった。
【0096】
4.実験ステップ:実施例2と同じであった。
【0097】
5.実験結果:ELISPOTスポット結果は図13図14を参照し、結果に示すように、CpG T1は各サポニンと併用するといずれも効率的な相乗効果が得られ、誘導産生されたHBsAgとHBcAg特異的IFN-γレベルは明らかに他のCpGとサポニンの組成物より高く、そのなか、QS21の効果が最も優れている。
【0098】
【表7】
【0099】
以上から分かるように、本発明に係る医薬組成物は2つのアジュバントの組み合わせを使用しており、単一のアジュバント、他のCPGアジュバントとQS21の組み合わせと比べ、本発明のCpG T1~T3は様々なアジュバント、特にQS-21と効率的な相乗効果を表しており、より強い免疫応答を媒介することができる。当該免疫刺激性組成物を含む医薬組成物は明らかな優位性を有し、効率的な免疫治療効果を表しており、臨床上の使用価値が高く幅広い市場が見込まれる。
【0100】
上記で本発明を詳細に説明しているが、当業者は、本発明の趣旨と範囲から逸脱しない限り本発明に様々な修正と変更を行うことが可能であると理解するべきである。本発明の保護範囲は上記の詳細な説明に限定されず、前記修正と変更も特許請求の範囲に属する。上記では例示的に本発明の特定の実施形態を説明しているが、これらは例を挙げて説明するものであり、本発明の保護範囲は特許請求の範囲により限定されることは当業者にとって明らかである。当業者は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、これらの実施形態に様々な変更と修正を行うことができ、このような変更と修正はいずれも本発明の保護範囲に入る。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
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【国際調査報告】