(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ステープラ装置および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20230209BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535523
(86)(22)【出願日】2020-12-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020064732
(87)【国際公開番号】W WO2021119567
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520286739
【氏名又は名称】ヴィアス,ディネシ
【氏名又は名称原語表記】VYAS,Dinesh
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス,ディネシ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス,アヌーシュカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス,アドヴィティヤ
(72)【発明者】
【氏名】ゴブロン,ステファン,エム.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC29
4C160GG02
4C160GG22
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK06
4C160KK15
4C160KK36
4C160KK38
4C160KK62
4C160NN02
(57)【要約】
ステープラ装置を使用して医療処置を行うための装置および方法が提供されており、ステープラ装置が、近位端および遠位端を有するシャフトを含む再利用可能なハンドル部分と、再利用可能なハンドルのシャフトの遠位端に取り付けられた使い捨てエンドエフェクタとを含み、エンドエフェクタが、1または複数のステープルを保持する。例えば、エンドエフェクタは、開位置と閉位置との間で互いに相対的に移動可能な第1および第2のジョーを含むことができ、第1のジョーが、1または複数のステープルを含むカートリッジを保持する。エンドエフェクタには、ドップラーセンサ、切断要素、熱要素および/または把持器を設けることができる。エンドエフェクタを患者の体内に導入し、組織をジョーの間に配置/ロックし、複数のステープルを組織内に展開する。ドップラーセンサを使用して、ステープル留めされた組織内の血流が停止したことを確認し、切断要素を作動させて、ステープル留めされた組織を切断する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置を実行するための装置であって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動し、第1のジョーが、第1の接触面から展開可能な1または複数のステープルを保持する、第1および第2のジョーと、
第1または第2の接触面のうちの一方にあるドップラーセンサと、
熱エネルギーを供給するために、第1または第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素と、
前記シャフトの近位端にあるハンドルであって、開位置と閉位置との間でジョーを選択的に動かすための第1のアクチュエータと、第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に第2のジョーに向けて1または複数のステープルを展開して1または複数のステープルを変形させるための第2のアクチュエータと、組織内の血流を検出するために前記ドップラーセンサを作動させるための第3のアクチュエータとを有するハンドルと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記第1および第2のジョーが、前記シャフトの遠位端に取り外し可能に結合されたエンドエフェクタに保持されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記第1のジョーに取り外し可能に受け入れられるカートリッジをさらに備え、前記カートリッジが、前記1または複数のステープルを保持することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のジョーが、前記シャフトに対して固定され、前記第2のジョーが、第1の接触面上に組織を配置することが可能な開位置と、組織を第1および第2の接触面の間に固定する閉位置との間で、前記第1のジョーに対して回動可能であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、
前記第1のアクチュエータが、前記第2のジョーを開位置から閉位置へと誘導して前記第1および第2の接触面の間で組織を固定するためのトリガーを含み、前記第2のアクチュエータが、前記第1のジョーから組織を通って前記第2のジョーの方に前記1または複数のステープルを駆動して組織をステープル留めするためのウェッジ機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記第1のアクチュエータが、前記第2のジョーを閉位置にロックするためのロック機構をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記ドップラーセンサに結合され、前記ドップラーセンサに接触している組織内の血流を識別するために前記ドップラーセンサから信号を受信するプロセッサと、前記プロセッサに結合され、組織内に血液が流れているか否かを示す出力を提供する出力デバイスとをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
遠位端に配置された切断要素をさらに備え、前記ハンドルが、前記切断要素を前記第1および第2のジョーの間で前進させてステープル留めされた組織を切断するための第4のアクチュエータを含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のジョーが、切断要素の両側に配置されたステープルの第1および第2のセットを含むカートリッジを保持することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記ステープルの第1および第2のセットが、長手方向軸と整列した列に配置され、前記切断要素が、長手方向軸と整列した後退位置から前進位置まで前進可能であることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、
前記熱要素が、ステープル留めされた組織に熱エネルギーを送達するために、前記ドップラーセンサとほぼ対向するように前記第1のジョーまたは第2のジョーの一方に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
前記熱要素が、前記第1のジョーに保持された電極を含み、電気エネルギー源が前記熱要素に結合され、前記ハンドルが、電気エネルギーを前記電極に供給して熱エネルギーをステープル留めされた組織に送達するためにエネルギー源を作動させるためのアクチュエータを含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、
前記第1および第2のジョーが導入される患者の体内の領域の撮像を容易にするために、遠位端にカメラおよび光源の一方または両方をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
ハンドルを含む近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを含むシャフトを含むステープラ装置用のエンドエフェクタであって、
前記エンドエフェクタを前記シャフトの遠位端に取り外し可能に接続するための1または複数のコネクタと、
第1および第2のジョーであって、前記ハンドル上の第1のアクチュエータを用いて開位置と閉位置との間で互いに対して相対的に移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および互いに近づく方向に移動し、第1および第2の接触面の間で組織を係合する第1および第2のジョーと、
前記第1のジョーによって保持される1または複数のステープルであって、前記ハンドル上の第2のアクチュエータの作動により、前記1または複数のステープルが前記第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に前記第2のジョーに向けて展開されて変形する、1または複数のステープルと、
組織内の血流を検出するために第1および第2の接触面のうちの一方にあるドップラーセンサと
を備えることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項15】
請求項14に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記第1のジョーに取り外し可能に受け入れられるカートリッジをさらに備え、前記カートリッジが、前記1または複数のステープルを保持することを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項16】
請求項14に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記カートリッジが前記シャフトの遠位端に接続される場合、前記第1のジョーが前記シャフトに対して固定され、前記第2のジョーが、前記第1のアクチュエータを使用して、組織を第1の接触面上に配置することが可能な開位置と、組織を係合する閉位置との間で前記第1のジョーに対して回動可能であり、前記エンドエフェクタが、前記第1のジョーから組織を通して前記1または複数のステープルを駆動するために前記第2のアクチュエータによって前進可能なウェッジ機構をさらに備えることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項17】
請求項14に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記1または複数のステープルが、前記シャフトの長手方向軸と整列した1または複数の列に配置されたステープルの第1および第2のセットを含み、前記エンドエフェクタが、前記長手方向軸と整列した後退位置から前進位置まで前進して前記ステープル留めされた組織を切断することができる切断要素をさらに含むことを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項18】
請求項17に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記ステープルの第1および第2のセットの各々が、長手方向軸と整列した1~5列を含むことを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項19】
請求項17に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記ステープルの第1および第2のセットが、前記切断要素の両側に列をなして配置されていることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項20】
請求項17に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記ステープルの第1のセットが、長手方向軸と整列した1または複数の列に配置された複数の第1のステープルを含み、前記ステープルの第2のセットが、長手方向軸と整列した1または複数の列に配置された複数の第2のステープルを含み、前記第2のステープルの少なくともいくつかが前記第1のステープルと異なるサイズであることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項21】
請求項17に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記ステープルの第1のセットが、一列に整列された複数の第1のステープルを含み、前記第1のステープルの少なくともいくつかが、他の第1のステープルと異なるサイズを有することを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項22】
請求項14に記載のエンドエフェクタにおいて、
ステープル留めされた組織に熱エネルギーを送達するために、前記第1および第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素をさらに備えることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項23】
請求項22に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記熱要素が、前記第1および第2のジョーのうちの一方に保持された電極を含み、電気エネルギーを前記電極に供給して熱エネルギーをステープル留めされた組織に送達するために、前記エンドエフェクタが前記シャフトの遠位端に接続されたときに、電気エネルギー源が前記熱要素に結合されることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項24】
請求項14に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記第1および第2のジョーが導入される患者の体内の領域の撮像を容易にするために、カメラおよび光源の一方または両方をさらに含むことを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項25】
医療処置を実行するための装置であって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動する、第1および第2のジョーと、
前記第1のジョーによって保持され、切断要素の両側に配置されたステープルの第1および第2のセットであって、ステープルの少なくともいくつかが他のステープルとは異なるサイズである、ステープルの第1および第2のセットと、
前記シャフトの近位端にあるハンドルであって、
前記第1および第2のジョーの一方または両方を閉位置に誘導して、第1および第2の接触面の間に組織を固定するための第1のアクチュエータと、
前記第1のジョーから固定された組織を介して前記第2のジョーに向けてステープルを展開してステープルを変形させるための第2のアクチュエータと、
長手方向軸と整列した後退位置から前進位置まで前記切断要素を前進させてステープル留めされた組織を切断するための第3のアクチュエータとを有するハンドルと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置において、
前記ステープルの第1および第2のセットが、前記第1のジョーのキャビティ内に取り外し可能に受け入れられるカートリッジ内に保持されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項25に記載の装置において、
前記第1および第2のジョーが、前記シャフトの遠位端から取り外し可能なエンドエフェクタ上にあることを特徴とする装置。
【請求項28】
医療処置を実行するための装置であって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動する、第1および第2のジョーと、
前記第1のジョーによって保持され、切断要素の両側に配置されたステープルの第1および第2のセットを保持するカートリッジであって、ステープルの少なくともいくつかが他のステープルとは異なるサイズである、カートリッジと、
前記シャフトの近位端にあるハンドルであって、
前記第1および第2のジョーの一方または両方を閉位置に誘導して、第1および第2の接触面の間に組織を固定するための第1のアクチュエータと、
前記第1のジョーから固定された組織を介して前記第2のジョーに向けてステープルを展開してステープルを変形させるための第2のアクチュエータと、
長手方向軸と整列した後退位置から前進位置まで前記切断要素を前進させてステープル留めされた組織を切断するための第3のアクチュエータとを有するハンドルと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置において、
前記第1および第2のジョーが、前記シャフトの遠位端から取り外し可能なエンドエフェクタに保持されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項28に記載の装置において、
前記カートリッジが、前記第1のジョーから取り外し可能であることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項28に記載の装置において、
前記カートリッジが、少なくとも部分的に第1の接触面を規定することを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項28に記載の装置において、
前記ステープルの第1および第2のセットが、長手方向軸と整列した列に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項32に記載の装置において、
前記ステープルの第1および第2のセットの各々が、長手方向軸と整列したステープルの1または複数の列を含むことを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項32に記載の装置において、
前記第1のセットのステープルすべてが、前記第2のセットのステープルすべてと異なるサイズであることを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項32に記載の装置において、
前記ステープルの第1のセットまたは第2のセットが、ステープルの第1のサブセットおよびステープルの第2のサブセットを含み、前記ステープルの第2のサブセットが、前記ステープルの第1のサブセットと異なるサイズであることを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項28に記載の装置において、
前記第1および第2の接触面の一方に設けられたドップラーセンサと、組織内の血流を検出するために前記ドップラーセンサを作動させるための第4のアクチュエータとをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項28に記載の装置において、
ステープル留めされた組織に熱エネルギーを供給するために、前記第1および第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項28に記載の装置において、
前記第1のジョーが、前記シャフトに対して固定され、前記第2のジョーが、接触面上に組織を配置することができる開位置と、前記第1および第2の接触面間に組織を固定する閉位置との間で、前記第1のジョーに対して回動可能であることを特徴とする装置。
【請求項39】
請求項38に記載の装置において、
前記第1のアクチュエータが、前記第2のジョーを開位置から閉位置へと誘導して前記第1および第2の接触面の間で組織を固定するためのトリガーを含み、前記第2のアクチュエータが、前記第1のジョーから組織を通って前記第2のジョーの方に前記1または複数のステープルを駆動して組織をステープル留めするために前記トリガーとは独立して作動可能であることを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項39に記載の装置において、
前記第1のアクチュエータが、前記第2のジョーを閉位置にロックするためのロック機構をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項41】
ハンドルを含む近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを含むシャフトを含むステープラ装置用のエンドエフェクタであって、
前記エンドエフェクタを前記シャフトの遠位端に取り外し可能に接続するための1または複数のコネクタと、
第1および第2のジョーであって、前記ハンドル上の第1のアクチュエータを使用して開位置と閉位置との間で互いに対して相対的に移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および互いに近づく方向に移動する、第1および第2のジョーと、
前記第1のジョーによって保持され、切断要素の両側に列で配置されたステープルの第1および第2のセットを含むカートリッジとを備え、前記ハンドル上の第2のアクチュエータの作動により、前記ステープルが第1および第2の接触面の間の組織に展開され、前記ステープルが前記第2のジョーに対して駆動されて1または複数のステープルが変形するようになっており、前記ステープルの少なくともいくつかが他のステープルとは異なるサイズであることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項42】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記カートリッジが、前記第1のジョーから取り外し可能であることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項43】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記カートリッジが、少なくとも部分的に前記第1の接触面を規定することを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項44】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
各ステープルが、ベースの両端部から延びる第1および第2のタインを含み、前記ステープルの少なくともいくつかが、他のステープルと異なる長さのベースを含み、タインが互いに異なる距離だけ間隔が空けられていることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項45】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
各ステープルが、ベースの両端部から延びる第1および第2のタインを含み、前記ステープルの少なくともいくつかが、他のステープルと異なるタイン長さを有することを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項46】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
第1のタインが、1または複数のノッチを含み、第2のタインが、ステープルが変形したときに前記第2のタインの先端が前記1または複数のノッチに係合するのに十分な長さを有することを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項47】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
各ステープルが、ベースの両端部から延びる第1および第2のタインを含み、ステープルの少なくともいくつかが、他のステープルと異なる長さを持つ第2のタインを有することを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項48】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
ステープルの第1および第2のセットの各々が、長手方向軸に整列したステープルの1または複数の列を含むことを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項49】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記第1のセットのステープルのすべてが、前記第2のセットのステープルのすべてと異なるサイズであることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項50】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
ステープルの第1のセットが、ステープルの第1のサブセットおよびステープルの第2のサブセットを備え、ステープルの第2のサブセットが、ステープルの第1のサブセットと異なるサイズであることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項51】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
組織内の血流を検出するために、第1および第2の接触面のうちの一方にドップラーセンサをさらに備えることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項52】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
ステープル留めされた組織に熱エネルギーを送達するために、前記第1および第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素をさらに備えることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項53】
請求項52に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記熱要素が、前記第1のジョーに保持された電極を備え、前記電極に電気エネルギーを供給して熱エネルギーをステープル留めされた組織に送達するために、前記カートリッジが前記シャフトの遠位端に接続されるときに、電気エネルギー源が前記熱要素に結合されることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項54】
請求項41に記載のエンドエフェクタにおいて、
前記第1および第2のジョーが導入される患者の体内の領域の撮像を容易にするために、カメラおよび光源のうちの一方または両方をさらに備えることを特徴とするエンドエフェクタ。
【請求項55】
組織内へ送達するためのステープルであって、
第1および第2の端部を含むほぼ直線的なベース要素と、
前記第1の端部から前記ベースに対してほぼ垂直に延びる第1のタインであって、第1の長さを有し、かつ当該第1のタインの先端に隣接する1または複数のノッチを含む第1のタインと、
前記第2の端部から前記ベースに対してほぼ垂直に第2の先端まで延びる第2のタインであって、第2の長さを有し、この第2の長さが、前記第1の長さよりも長く、かつ当該第2のタインが前記ベースに隣接するように曲げられたときに、当該第2のタインの第2の先端が前記第1のタイン上に位置する前記1または複数のノッチと係合するように、前記直線的なベースの長さよりも長い、第2のタインとを備えることを特徴とするステープル。
【請求項56】
請求項55に記載のステープルにおいて、
前記ベースが、前記第1のタインと前記第2のタインとの間に第3の長さを含み、前記第2の長さは、前記第2の先端が前記1または複数のノッチ内に受け入れられるように、前記第3の長さよりも長いことを特徴とするステープル。
【請求項57】
請求項55に記載のステープルにおいて、
前記1または複数のノッチが、前記第1のタインの内側面に位置し、前記1または複数のノッチは、前記第2のタインの第2の先端が前記ノッチに受け入れられるときに、前記第2の先端が前記ノッチから上方に移動できないように、鈍形の上縁を含むことを特徴とするステープル。
【請求項58】
請求項57に記載のステープルにおいて、
前記第1のタインが単一のノッチを有することを特徴とするステープル。
【請求項59】
請求項57に記載のステープルにおいて、
前記第1のタインが、前記第1の長さ方向に沿って互いに間隔を空けて配置された複数のノッチを含み、前記ノッチの各々が、鈍形の上縁と、テーパーの付いた下縁とを含み、前記第2の端部が前記ノッチの中に順次下方に移動することを可能にするが前記第2の先端が前記ノッチの中から上方に移動することを防止するラチェットを提供することを特徴とするステープル。
【請求項60】
請求項55に記載のステープルにおいて、
前記ベース、第1のタインおよび第2のタインが、実質的に均一な断面を有することを特徴とするステープル。
【請求項61】
請求項60に記載のステープルにおいて、
前記断面が、矩形、長円形または扁平な円形のうちの一つであることを特徴とするステープル。
【請求項62】
請求項60に記載のステープルにおいて、
前記ベース、第1のタインおよび第2のタインが、ある平面内にあり、前記ステープルの断面が、前記平面に対して垂直な主寸法および前記平面内の副寸法を規定し、前記主寸法が前記副寸法よりも大きいことを特徴とするステープル。
【請求項63】
請求項55に記載のステープルにおいて、
前記ベースが、前記第1および第2の端部の間に延びる軸を規定し、前記ベースが、前記第1および第2の端部の間に、前記軸に対して横方向に延びる非線形の形状を含むことを特徴とするステープル。
【請求項64】
請求項63に記載のステープルにおいて、
非線形の要素が、前記軸から横方向に延びるバンプを含むことを特徴とするステープル。
【請求項65】
請求項55に記載のステープルにおいて、
前記ベースから前記第1および第2のタインに移行する前記第1および第2の端部におけるフィレット状の移行部をさらに備えることを特徴とするステープル。
【請求項66】
請求項65に記載のステープルにおいて、
前記ベースから前記第2のタインへのフィレット状の移行部が、前記ベースから前記第1のタインへのフィレット状の移行部よりも大きな曲率半径を有することを特徴とするステープル。
【請求項67】
患者の体内に1または複数の器具を導入するためのポートであって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端の間に延び、それらの間に長手方向軸を規定するルーメンとを含む細長い管状部材と、
ディスプレイと、
撮像デバイスを保持する前記遠位端に隣接する前記管状部材上の1または複数の展開アームとを備え、各展開アームが、前記管状部材に回動可能に結合された第1の端部と、第2の自由端部とを備え、前記第2の自由端部が、前記管状部材の壁と整列する格納位置と、前記ディスプレイ上に画像を表示するために前記長手方向軸に対して外側に移動する展開位置とから移動可能であることを特徴とするポート。
【請求項68】
請求項67に記載のポートにおいて、
前記1または複数の展開アームが、第1および第2のアームを含み、前記第1のアームが、その第2の端部に照明源を保持し、前記第2のアームが、その第2の端部に撮像要素を保持することを特徴とするポート。
【請求項69】
請求項68に記載のポートにおいて、
前記撮像要素が、前記第2のアームの第2の端部に保持されたレンズを含み、光ファイバ要素が、前記ポートの近位端に位置するカメラに画像を送るために、前記レンズから前記カメラまで延びることを特徴とするポート。
【請求項70】
請求項69に記載のポートにおいて、
前記カメラが、CCDまたはCMOSデバイスを含むことを特徴とするポート。
【請求項71】
請求項67に記載のポートにおいて、
前記ディスプレイが、前記管状部材の近位端に取り付けられていることを特徴とするポート。
【請求項72】
請求項69に記載のポートにおいて、
前記カメラが、前記ディスプレイを保持するハウジング内に配置されたプロセッサに結合され、前記プロセッサが、前記カメラからの信号を処理して、前記ディスプレイ上に表示するように構成されていることを特徴とするポート。
【請求項73】
請求項71に記載のポートにおいて、
前記ディスプレイが、前記管状部材の近位端にあるハブから取り外し可能であることを特徴とするポート。
【請求項74】
請求項71に記載のポートにおいて、
前記ディスプレイが、前記管状部材の近位端に恒久的に取り付けられていることを特徴とするポート。
【請求項75】
請求項67に記載のポートにおいて、
前記ディスプレイが、前記管状部材から分離されており、前記ポートが、前記撮像デバイスから前記ディスプレイに信号を送信するために前記管状部材によって保持される無線通信インターフェースをさらに含むことを特徴とするポート。
【請求項76】
請求項67に記載のポートにおいて、
前記1または複数の展開アームの第1の端部が、前記ルーメン内に延びる傾斜特徴部を含み、前記ルーメンを通して器具を導入すると、前記器具が前記傾斜特徴部に接触して、前記1または複数の展開アームを格納位置から展開位置に自動的に誘導することを特徴とするポート。
【請求項77】
請求項67に記載のポートにおいて、
前記1または複数の展開アームを格納位置と展開位置の間で選択的に誘導するためのアクチュエータを前記管状部材の近位端にさらに備えることを特徴とするポート。
【請求項78】
患者の体内に1または複数の器具を導入するためのポートであって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端の間に延び、その中に器具を受け入れるための一次ルーメンと、前記一次ルーメンの周りに配置され、近位端と遠位端の間に延びる複数の二次ルーメンとを備える細長い管状部材と、
ビデオモジュールとを備え、このビデオモジュールが、
ハブと、
ディスプレイと、
前記ハブに取り付けられ、前記管状部材のそれぞれの二次ルーメン内に同時に導入されるようなサイズの複数の細長い撮像要素であって、前記遠位端より先の画像を取得するために、当該撮像要素の遠位先端が前記管状部材の遠位端に隣接して配置される、複数の細長い撮像要素とを備えることを特徴とするポート。
【請求項79】
請求項78に記載のポートにおいて、
前記ディスプレイが、前記ハブに取り付けられ、前記ディスプレイが、前記ディスプレイ上の画像の表示のために、前記撮像要素に結合されていることを特徴とするポート。
【請求項80】
請求項78に記載のポートにおいて、
前記撮像要素の少なくとも1つが、前記管状部材の遠位端より先に光を送達するために、その遠位先端に照明源を備えることを特徴とするポート。
【請求項81】
請求項78に記載のポートにおいて、
前記撮像要素の少なくとも1つが、画像を取得するために、その遠位先端にレンズを備えることを特徴とするポート。
【請求項82】
請求項81に記載のポートにおいて、
前記レンズが、前記ハブ内のカメラに画像を伝送するために、前記ハブに延びる光伝導体に結合されていることを特徴とするポート。
【請求項83】
請求項82に記載のポートにおいて、
前記カメラが、画像を信号に変換するためのCCDまたはCMOSデバイスを含み、前記カメラが、取得した画像を表示するために信号を前記ディスプレイに伝達することを特徴とするポート。
【請求項84】
請求項83に記載のポートにおいて、
前記カメラが、1または複数のワイヤによって前記ディスプレイに結合されていることを特徴とするポート。
【請求項85】
請求項83に記載のポートにおいて、
前記ディスプレイが前記ハブから分離されており、前記カメラが、前記カメラからの信号を前記ディスプレイに無線で送信するために、前記ハブにより保持された通信インターフェースに結合されていることを特徴とするポート。
【請求項86】
医療処置を実行するための装置であって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動し、第1のジョーが、第1の接触面から展開可能な1または複数のステープルを保持する、第1および第2のジョーと、
前記シャフトの近位端にあるハンドルであって、開位置と閉位置との間でジョーを選択的に動かすための第1のアクチュエータと、第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に第2のジョーに向けて1または複数のステープルを展開して1または複数のステープルを変形させるための第2のアクチュエータとを有するハンドルと、
前記シャフトの周りに配置された撮像スリーブであって、前記シャフトの近位端に隣接するハブと、前記シャフトの遠位端に隣接するイメージャとを含む撮像スリーブと、
前記ハブに取り付けられたディスプレイとを備えることを特徴とする装置。
【請求項87】
請求項86に記載の装置において、
前記ディスプレイが、調節可能なマウントによって前記ハブに取り付けられていることを特徴とする装置。
【請求項88】
請求項87に記載の装置において、
前記マウントが、前記ハブと前記ディスプレイとの間に1または複数の玉継ぎ手を含むことを特徴とする装置。
【請求項89】
請求項87に記載の装置において、
前記マウントが、前記ハブと前記ディスプレイとの間にピン継ぎ手を含むことを特徴とする装置。
【請求項90】
請求項86に記載の装置において、
前記シャフトが、エンドエフェクタが前記イメージャの視野に対して相対的に回転され得るように、前記撮像スリーブに対して長手方向軸を中心に回転可能であることを特徴とする装置。
【請求項91】
請求項86に記載の装置において、
前記シャフトが、前記イメージャの視野を調整するために前記イメージャをエンドエフェクタに近づける方向および遠ざける方向に導くことができるように、前記撮像スリーブに対して長手方向軸に沿って軸方向に移動可能であることを特徴とする装置。
【請求項92】
請求項91に記載の装置において、
前記シャフトが、前記イメージャのズームおよび/またはフォーカスを調整するために軸方向に移動可能であることを特徴とする装置。
【請求項93】
請求項91に記載の装置において、
前記シャフトが、近位位置と遠位位置との間で移動可能であることを特徴とする装置。
【請求項94】
請求項91に記載の装置において、
前記ハブが、軸方向に互いに間隔を空けて配置された複数のガイドを備え、前記装置が、カプラをさらに備え、前記カプラが、前記ガイドおよび前記シャフトの一方にスライド可能に係合し、係合すると、回転運動を可能にしながら、前記シャフトの軸方向運動を防止するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項95】
請求項94に記載の装置において、
前記複数のガイドが、前記ハブの複数の周方向スロットを含み、前記カプラが、前記スロットの各々を通して前記シャフトの凹部に受け入れられる止めネジまたはピンを含み、前記止めネジまたはピンが、軸方向運動を防止しながら前記シャフトの回転運動を可能にするためにスロット内で周方向にスライド可能であることを特徴とする装置。
【請求項96】
請求項86に記載の装置において、
前記ジョーの間に切断要素をさらに含み、前記ハンドルが、前記切断要素を前進させて前記ジョーの間の組織を切断するための第3のアクチュエータを含むことを特徴とする装置。
【請求項97】
請求項86に記載の装置において、
第1または第2の接触面のうちの一方にあるドップラーセンサと、
熱エネルギーを供給するために前記第1のジョーまたは第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素とをさらに備え、
前記ハンドルが、組織内の血流を検出するために前記ドップラーセンサを作動させるための第3のアクチュエータを含むことを特徴とする装置。
【請求項98】
請求項86に記載の装置において、
前記イメージャが、
前記シャフトの遠位端に回転可能に取り付けられたハウジングと、
前記ハウジングから径方向に延びるアームと、
前記アームに保持された撮像要素とを備え、前記ハウジングの回転により前記撮像要素が軸の周りを移動することを特徴とする装置。
【請求項99】
請求項98に記載の装置において、
前記ハウジングの回転を制御するために前記ハウジングに結合された第3のアクチュエータをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項100】
請求項98または99に記載の装置において、
前記撮像要素が、前記アームに回転可能に取り付けられ、前記ディスプレイ上に表示される撮像要素によって取得された画像の所望の向きを維持するために、前記ハウジングが回転される方向と反対の方向に前記撮像要素を回転させるように前記撮像要素に結合されたアクチュエータを有することを特徴とする装置。
【請求項101】
請求項98に記載の装置において、
前記ハウジングが、前記シャフトの遠位端に対して軸方向に移動可能であり、それにより、例えば前記撮像要素の焦点距離を調整することが可能であることを特徴とする装置。
【請求項102】
請求項98に記載の装置において、
前記ディスプレイ上に表示するために前記撮像要素から信号を受信するプロセッサをさらに備え、前記プロセッサが、前記撮像要素の視野のズームまたは後退を可能にするように画像を補正するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項103】
請求項98に記載の装置において、
前記ディスプレイ上に表示するために前記撮像要素から信号を受信するプロセッサをさらに備え、前記プロセッサが、前記撮像要素の円運動を補償するために安定した視野を維持するように画像を補正するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項104】
医療処置を実行するための装置であって、
近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動し、第1のジョーが、第1の接触面から展開可能な1または複数のステープルを保持する、第1および第2のジョーと、
前記第1および第2のジョーの間に伸長可能な遠位端を備える把持器であって、その遠位端に、把持要素のペアを備える把持器と、
前記シャフトの近位端にあるハンドルであって、開位置と閉位置との間でジョーを選択的に動かすための第1のアクチュエータと、第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に第2のジョーに向けて1または複数のステープルを展開して1または複数のステープルを変形させるための第2のアクチュエータと、前記把持器を操作して、前記把持要素で組織を把持し、その組織を第1および第2のジョーの間に引っ張るための第3のアクチュエータとを有するハンドルとを備えることを特徴とする装置。
【請求項105】
請求項104に記載の装置において、
前記第3のアクチュエータが、前記把持要素が前記シャフト内に配置される近位位置と、前記把持要素が前記第1および第2のジョーを越えて遠位側に配置される遠位位置との間で前記把持器を移動させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項106】
請求項104に記載の装置において、
前記第1および第2のジョーに隣接する前記シャフトの遠位端から展開可能な第2の把持器をさらに備え、前記第2の把持器が、組織を把持および操作するために前記第2の把持器を操作するための第4のアクチュエータを含むことを特徴とする装置。
【請求項107】
請求項106に記載の装置において、
前記第2の把持器が、前記シャフトの補助ルーメン内にスライド可能に受け入れられることを特徴とする装置。
【請求項108】
請求項107に記載の装置において、
前記第4のアクチュエータが、前記把持要素が前記補助ルーメン内に配置される近位位置と、前記把持要素が前記第1および第2のジョーを越えて遠位側に配置される遠位位置との間で前記第2の把持器を移動させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項109】
請求項107に記載の装置において、
前記第2の把持器が、前記補助ルーメンから完全に取り外し可能であることを特徴とする装置。
【請求項110】
請求項104に記載の装置において、
前記シャフトが、補助ルーメンを含み、前記補助ルーメンが、1または複数の器具をスライド可能に受け入れるために、前記ハンドルから前記シャフトの遠位端のポートまで延びていることを特徴とする装置。
【請求項111】
請求項110に記載の装置において、
前記補助ルーメン内にスライド可能に受け入れられる器具をさらに備え、処置を実行するために前記器具のアクティブ端部が前記ポートから展開可能であることを特徴とする装置。
【請求項112】
請求項104に記載の装置において、
前記把持器が、前記ハンドルから前記シャフトの遠位端まで延びるルーメン内にスライド可能に受け入れられることを特徴とする装置。
【請求項113】
請求項112に記載の装置において、
前記把持器が、前記ルーメンから完全に取り外し可能であることを特徴とする装置。
【請求項114】
請求項113に記載の装置において、
前記把持器が取り外されたときに前記ルーメン内にスライド可能に受け入れられる器具をさらに備え、前記器具のアクティブ端部が前記第1および第2のジョーを越えて遠位側に展開可能であることを特徴とする装置。
【請求項115】
請求項114に記載の装置において、
前記器具が、レーザーデバイスを含むことを特徴とする装置。
【請求項116】
請求項104に記載の装置において、
第1または第2の接触面のうちの一方にあるドップラーセンサと、
熱エネルギーを供給するために前記第1のジョーまたは第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素とをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項117】
請求項116に記載の装置において、
前記ドップラーセンサに結合され、前記ドップラーセンサから信号を受信して前記ドップラーセンサに接触する組織中の血流を識別するためのプロセッサと、前記プロセッサに結合され、組織中に血液が流れているか否かを示す出力を提供する出力デバイスとをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項118】
請求項104に記載の装置において、
前記第1および第2のジョーが、前記シャフトの遠位端に取り外し可能に結合されたエンドエフェクタに保持されることを特徴とする装置。
【請求項119】
請求項104に記載の装置において、
前記第1のジョーに取り外し可能に受け入れられるカートリッジをさらに備え、前記カートリッジが、1または複数のステープルを保持することを特徴とする装置。
【請求項120】
請求項104に記載の装置において、
遠位端に配置された切断要素をさらに備え、前記ハンドルが、前記切断要素を前記第1および第2のジョーの間で前進させてステープル留めされた組織を切断するためのアクチュエータをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項121】
医療処置を実行するための装置であって、
ロボット制御システムに接続可能な近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動し、第1のジョーが、第1の接触面から展開可能な1または複数のステープルを保持する、第1および第2のジョーと、
第1および第2の接触面のうちの一方にあるドップラーセンサと、
熱エネルギーを供給するために前記第1のジョーまたは第2のジョーのうちの一方に配置された熱要素とを備え、
前記シャフトの近位端が前記ロボット制御システムに結合される場合、第1のアクチュエータは、開位置と閉位置との間でジョーを選択的に動かすために使用することができ、第2のアクチュエータは、前記第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に前記第2のジョーに向けて1または複数のステープルを展開して1または複数のステープルを変形させるために使用することができ、第3のアクチュエータは、組織中の血流を検出するために前記ドップラーセンサを作動させるために使用することができることを特徴とする装置。
【請求項122】
医療処置を実行するための装置であって、
ロボット制御システムに接続可能な近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動する、第1および第2のジョーと、
前記第1のジョーによって保持され、切断要素の両側に配置されたステープルの第1および第2のセットであって、ステープルの少なくともいくつかが、他のステープルとは異なるサイズである、ステープルの第1および第2のセットとを備え、
前記シャフトの近位端が前記ロボット制御システムに結合される場合、
第1のアクチュエータは、前記第1および第2のジョーの一方または両方を閉位置に移動させて、第1および第2の接触面の間に組織を固定するために使用することができ、
第2のアクチュエータは、前記第1のジョーから固定した組織を通って前記第2のジョーに向けてステープルを展開させてステープルを変形するために使用することができ、
第3のアクチュエータは、長手方向軸と整列した後退位置から前進位置に前記切断要素を前進させて、ステープル留めされた組織を切断するために使用することができることを特徴とする装置。
【請求項123】
医療処置を実行するためのシステムであって、
ロボット制御システムと、
前記ロボット制御システムに結合された請求項121または122に記載の装置とを備え、前記ロボット制御システムが前記アクチュエータを含むことを特徴とするシステム。
【請求項124】
患者の体内で外科的処置を実行するための方法であって、
請求項1~13、25~40、86~123の何れか一項に記載の装置を患者の体内に導入するステップと、
前記装置を使用して、卵管結紮術、胆嚢切除術、卵巣摘出術、子宮摘出術、腎摘出術、脾摘出術、肺生検および切除術、肥満外科手術、結腸および腸の外科手術、並びに、血管外科手術のうちの1または複数を実行するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項125】
患者の体内で外科的処置を実行するための方法であって、
シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーを患者の体内の領域に導入するステップと、
前記ジョーが開位置にある状態で、前記第1および第2のジョーの接触面間に前記領域内の組織を配置するステップと、
前記第1および第2のジョーの一方または両方を作動させて接触面間に組織を固定するステップと、
1または複数のステープルを前記第1のジョーから組織を通して前記第2のジョーに向けて展開して、前記1または複数のステープルを変形させて組織をステープル留めするステップと、
接触面の一方にあるドップラーセンサを作動させて、ステープル留めされた組織内の血流を検出するステップと、
血流が検出された場合、熱エネルギーをステープル留めされた組織に送達して血流を停止させるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項126】
請求項125に記載の方法において、
切断要素を作動させて、前記領域において隣接する組織からステープル留めされた組織を切断するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項127】
請求項125に記載の方法において、
熱エネルギーを送達することが、前記第1および第2のジョーのうちの一方にある熱要素を作動させて、熱エネルギーをステープル留めされた組織に送達することを含むことを特徴とする方法。
【請求項128】
請求項127に記載の方法において、
血液がステープル留めされた組織内に流れていないことを前記ドップラーセンサが確認するまで、熱エネルギーが送達されることを特徴とする方法。
【請求項129】
請求項127に記載の方法において、
前記熱要素が電極を含み、電気エネルギーが前記電極に供給されて、熱エネルギーがステープル留めされた組織に送達されることを特徴とする方法。
【請求項130】
請求項126に記載の方法において、
前記第1のジョーが、前記切断要素の両側に配置されたステープルの第1および第2のセットを保持し、アクチュエータが、ステープルの第1および第2のセットの各々からの1または複数のステープルを組織内に送達することを可能にすることを特徴とする方法。
【請求項131】
請求項130に記載の方法において、
ステープルの第1および第2のセットが、前記シャフトの長手方向軸と整列した複数の列に配置され、前記切断要素が、組織内に送達されたステープル間にステープル留めされた組織を切断するために、長手方向軸と整列した後退位置から前進位置まで進められることを特徴とする方法。
【請求項132】
請求項130に記載の方法において、
ステープルの第1および第2のセットの各々が、長手方向軸と整列したステープルの1または複数の列を含み、第2のアクチュエータが作動されるとき、列の各々からの1または複数のステープルが組織内に送達されることを特徴とする方法。
【請求項133】
請求項125に記載の方法において、
処置中における前記領域の撮像を容易にするために、前記シャフトまたはエンドエフェクタの遠位端にある光源から光を供給するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項134】
請求項125に記載の方法において、
処置の実行を容易にするために、前記シャフトまたはエンドエフェクタの遠位端にある対物レンズを使用して前記領域の画像を取得するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項135】
請求項125に記載の方法において、
組織が、虫垂を含むことを特徴とする方法。
【請求項136】
患者の体内で虫垂切除術を実行するための方法であって、
シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーを患者の腹腔内に導入するステップと、
前記ジョーが開位置にある状態で、前記第1および第2のジョーの接触面間に腹腔内の虫垂および虫垂動脈を配置するステップと、
前記第1および第2のジョーの一方または両方を作動させて接触面間に虫垂および動脈を固定するステップと、
1または複数のステープルを前記第1のジョーから虫垂および動脈を通して前記第2のジョーに向けて展開して、前記1または複数のステープルを変形させて虫垂および動脈をステープル留めするステップと、
接触面の一方にあるドップラーセンサを作動させて、ステープル留めされた虫垂および動脈の血流を検出するステップと、
血流が検出された場合、熱要素を作動させて熱エネルギーを送達して血流を停止させるステップと、
切断要素を作動させて虫垂および動脈を同時に切断するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項137】
請求項136に記載の方法において、
虫垂および動脈のうちの一方が、接触面間で他方よりも遠位側に配置されることを特徴とする方法。
【請求項138】
請求項136に記載の方法において、
血流が停止するまで、前記ドップラーセンサおよび熱要素を交互に作動させて、熱エネルギーを送達した後、生じる血流を検出することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療処置を実行するための装置、システムおよび方法に関し、より詳細には、例えば対象者の虫垂の切除等を実施するために、腹腔鏡手術または他の低侵襲手術、例えば、虫垂切除術、卵管結紮術、胆嚢切除術、卵巣摘出術、子宮摘出術、腎摘出術、脾摘出術、肺生検、肥満外科手術、結腸および腸の外科手術、および血管外科手術を実行するためのステープラ装置、並びに、そのような装置を使用するシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願データ
本出願は、2020年5月14日に出願された同時係属中の出願第16/874,618号の一部継続出願であり、その利益と、2019年12月13日に出願された同時係属中の米国仮出願第62/947,903号の利益とを主張するものであり、それらの開示全体は、引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
虫垂炎は、生涯で人口の約5~10%に見られる。1983年以降、腹腔鏡下虫垂切除術が治療の主流となっている。虫垂を切除する従来の手術の一例では、以下のステップが実行される。先ず、例えば中虫垂と呼ばれる組織のひだにある、虫垂とその血管が最初に確認される。対象者の体内にウィンドウまたは術野が形成され、その後、ステープラ装置が使用されて、例えば、最初に術者に最も近い構造がステープル留めおよび分離された後、残りの構造がステープル留めおよび分離される。
【0004】
例えば、
図1は、虫垂の例示的な解剖学的構造を示すものであり、虫垂は、腸に対する様々な向きのうちの1つ、最も一般的には虫垂後方(64%)または骨盤(32%)にあるが、図示のように、あまり一般的ではない位置にも遭遇することがある。虫垂動脈および他の血管(図示せず)は、血液を虫垂に送るもので、その腸に対する位置も、虫垂の向きに応じて異なることがある。虫垂および動脈は、脂肪および/または他の組織によって分離される場合がある。このため、処置中、腹腔にアクセスすると、術者は、虫垂を除去する前に、虫垂と血管の相対的な位置を特定する必要がある。特定後、術者は、例えば、虫垂とその血管の術中状態または位置関係を特定し、すなわち、虫垂が術者に近く、血管が遠くに位置しているか否か、またはその逆であるかを識別し、近い方の構造を順次ステープル留めおよび分離し、その後、遠い方の構造をステープル留めおよび分離することができる。
【0005】
腹腔鏡手術または開腹手術を行うために、例えば、ステープラを導入および使用して虫垂を除去するときに、側方から手術空間および解剖学的構造を視覚化できるように、ステープラから独立したカメラを搭載したデバイスを導入することができる。既存の腹腔鏡ステープラは、一般に、ナイフの両側に均等に配置されたステープルの複数の列を有するカートリッジを含む。
【0006】
そのような手術による最も一般的な合併症の1つは、術後の出血である。出血は、一般に約15%の患者において準臨床的出血であり、約5%の患者において臨床的出血、すなわち更なる介入を必要とするものである。出血の大部分は、腸壁内の個々の血管のステープルラインから発生する。例えば、「B」字状のクリップは、タイン間にルーメンを形成し、血液や他の流体を逃がす可能性がある。他の合併症としては、腸管腔からの腸液の漏出が含まれる。
【0007】
このため、腹腔鏡手術、例えば虫垂を除去するための腹腔鏡手術を容易にする装置および方法が有用であろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、医療処置を行うための装置、システムおよび方法を対象とし、より詳細には、例えば対象者の虫垂の切除、他の腸の手術、血管手術、肺の手術等を実施するために、腹腔鏡手術または他の低侵襲手術などの手術、例えば、虫垂切除術、卵管結紮術、胆嚢切除術、子宮摘出術、腎摘出術、脾摘出術、卵巣摘出術、肺生検、肥満外科手術、結腸および腸の外科手術、および血管外科手術を実行するためのステープラ装置、並びに、そのような装置を使用するシステムおよび方法を対象とする。
【0009】
例示的な一実施形態によれば、医療処置を実行するための装置が提供され、この装置が、患者の体内に導入するためのサイズの近位端および遠位端を含むシャフトと、シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動し、第1のジョーが、第1の接触面から展開可能な1または複数のステープルを保持する、第1および第2のジョーと、第1または第2の接触面のうちの一方にあるドップラーレーダーまたは他のセンサと、シャフトの近位端にあるハンドルであって、接触面間の組織を捕捉するために、ジョーを開閉するための第1のアクチュエータ、例えば第1のジョーに隣接する第2のジョーを閉じるトリガーと、例えば、トリガーまたは別個のロック機構を使用して閉じたジョーをロックした後に、第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に1または複数のステープルを展開するための第2のアクチュエータと、ドップラーまたは他のセンサを作動させて組織内の血流を検出するための第3のアクチュエータとを有するハンドルとを備える。
【0010】
例示的な一実施形態では、第1および第2のジョーが、シャフトの遠位端に取り外し可能に結合されたエンドエフェクタに保持され得る。第1のジョーは、ステープルの第1および第2のセットを保持することができ、例えば各セットが互いに隣接する列に配置され、任意選択的には交換可能なカートリッジ内に配置される。切断要素は、遠位端に配置することができ、例えばステープルの第1および第2のセット間で移動可能であり、例えば、ハンドル上の第4のアクチュエータを使用して、切断要素を前進させて、ステープル留めされた組織を切断することができる。追加的または代替的には、熱要素または他の止血要素も、第1および第2のジョーの一方、例えば、ドップラーセンサの反対側に設けることができ、ハンドルは、止血要素を作動させて熱エネルギーをステープル留めされた組織に送達するための第5のアクチュエータを含むことができる。任意選択的には、ハンドルは、1または複数の追加のアクチュエータ、例えば、シャフトまたはエンドエフェクタの遠位端に保持されたライトおよび/またはカメラを位置決めおよび/または作動させるための1または複数の制御装置を含むことができる。
【0011】
別の実施形態によれば、ハンドルを含む近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端とを有するシャフトを含むステープラ装置用のエンドエフェクタが提供される。このエンドエフェクタは、エンドエフェクタをシャフトの遠位端に取り外し可能に接続するための1または複数のコネクタと、任意選択的には、一方のジョーの凹部に挿入可能なカートリッジとを含むことができる。第1および第2のジョーは、開位置と閉位置との間で互いに対して相対的に移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの接触面がそれぞれ互いに離れる方向および互いに近づく方向に移動する。例えば、第1のジョーは固定され、第2のジョーは、第1のジョーに対して相対的に開閉するように回動可能に取り付けられ、それにより、例えば接触面の間で組織を捕捉することができる。1または複数のステープルは、例えば交換可能なカートリッジ内で、第1のジョーにより保持されており、ハンドル上のステープルアクチュエータの作動により、1または複数のステープルが第1のジョーから接触面間の組織内に第2のジョーに向けて展開されて1または複数のステープルが変形される。任意選択的には、ドップラーレーダーセンサおよび/または止血要素を、組織内の血流を検出するために接触面のうちの一方に提供することができる。
【0012】
さらに別の実施形態によれば、患者の体内で外科的処置を行うための方法が提供され、この方法が、シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーを患者の体内の領域に導入するステップと、ジョーが開位置にある状態で、第1および第2のジョーの接触面間に領域内の組織を配置するステップと、ジョーを閉じて組織を係合するステップと、ステープルアクチュエータを作動させて1または複数のステープルを第1のジョーから組織内に第2のジョーに向けて展開して、1または複数のステープルを変形させることにより、組織を固定するステップとを含む。例えば、第2のジョーは、接触面の間で組織を圧迫するために閉じることができ、任意選択的には、閉位置でロックすることができる。その後、ステープルアクチュエータを使用して1または複数のステープルを第1のジョーから展開することができ、それらステープルを、組織に通して、第2のジョー上のアンビルまたは整形面と係合させて1または複数のステープルのタインを変形させることができる。接触面の一方にあるドップラーまたは他のセンサを作動させて、ステープル留めされた組織内の血流を検出することができ、ステープル留めされた組織内の血流が停止したことを確認した後に、切断要素を作動させて、上記領域で隣接する組織からステープル留めされた組織を切断することができる。
【0013】
さらに別の実施形態によれば、患者の体内で虫垂切除術を行うための方法が提供され、この方法が、シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーを患者の腹腔内に導入するステップと、第1および第2のジョーの接触面の間に腹腔内の虫垂および虫垂動脈を配置するステップと、第1および第2のジョーの一方または両方を作動させて接触面の間に虫垂および動脈を固定するステップと、1または複数のステープルを第1のジョーから虫垂および動脈を通して展開して虫垂および動脈をステープル留めするステップとを含む。その後、接触面の一方にあるドップラーセンサを作動させて、ステープル留めされた虫垂および動脈の血流を検出することができ、血流が検出された場合、熱要素を作動させて熱エネルギーを送達して血流を停止することができ、例えば、検出と組織の焼灼を交互に行うことができる。血流が停止したら、切断要素を作動させて、虫垂および動脈を同時に切断することができる。
【0014】
別の実施形態によれば、医療処置を実行するための装置が提供され、この装置が、近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを有するシャフトと、シャフトの遠位端にある第1および第2のジョーであって、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および近づく方向に移動し、第1のジョーが、切断要素の両側に配置されたステープルの第1および第2のセットを保持し、ステープルの少なくともいくつかが、他のステープルとは異なるサイズである、第1および第2のジョーと、シャフトの近位端にあるハンドルとを備える。例えば、ステープルの各セットは、長手方向軸に沿って整列された1~5列のステープルを含むことができ、各列には2~50個のステープルが含まれる。各セットおよび/または各列のステープルは、遭遇する解剖学的構造に依存して様々なサイズを有することができる。例えば、装置は、複数の利用可能なカートリッジを含むことができ、各々がステープルの様々な配置構成を含み、それらが選択されて、第1のジョーのキャビティ内に挿入され得る。ハンドルは、第1のジョーから第1および第2の接触面間の組織内に第2のジョーに向けてステープルを駆動してステープルを変形させるための第1のアクチュエータと、長手方向軸と整列した後退位置から前進位置に切断要素を前進させて、ステープル留めされた組織を切断するため第2のアクチュエータとを含む。
【0015】
さらに別の実施形態によれば、ハンドルを含む近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸とを含むシャフトを有するステープラ装置のためのエンドエフェクタが提供される。エンドエフェクタは、エンドエフェクタをシャフトの遠位端に取り外し可能に接続するための1または複数のコネクタと、第1および第2のジョーであって、ハンドルの第1のアクチュエータを使用して開位置と閉位置との間で互いに対して相対的に移動可能であり、それによって第1および第2のジョーの第1の接触面がそれぞれ互いに離れる方向および互いに近づく方向に移動する、第1および第2のジョーと、第1のジョーによって保持され、切断要素の両側に列で配置されたステープルの第1および第2のセットを含むカートリッジとを含むことができ、ハンドルの第2のアクチュエータの作動により、ステープルが第1および第2の接触面の間の組織内に展開され、ステープルが第2のジョーに対して駆動されて1または複数のステープルが変形し、ステープルの少なくともいくつかが他のステープルとは異なるサイズである。
【0016】
さらに別の実施形態によれば、組織内へ送達するためのステープルが提供され、このステープルが、第1および第2の端部を含むほぼ直線的なベース要素と、第1の端部からベースに対してほぼ垂直に延びる第1のタインであって、第1の長さを有し、かつ当該第1のタインの先端に隣接する1または複数のノッチを含む第1のタインと、第2の端部からベースに対してほぼ垂直に第2の先端まで延びる第2のタインとを含み、第2のタインが第2の長さを有し、この第2の長さが、第1の長さよりも長く、かつ第2のタインがベースに隣接するように曲げられたときに、第2のタインの第2の先端が第1のタイン上に位置する1または複数のノッチと係合するように、直線的なベースの長さよりも長い。
【0017】
別の実施形態によれば、患者の体内に1または複数の器具を導入するためのポートが提供され、このポートが、近位端、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端、および近位端と遠位端の間に延び、それらの間に長手方向軸を規定するルーメンを含む細長い管状部材と、ディスプレイと、撮像デバイスを保持する遠位端に隣接する管状部材上の1または複数の展開アームとを含み、各展開アームが、管状部材に回動可能に結合された第1の端部と、第2の自由端部とを備え、第2の自由端部が、管状部材の壁と整列する格納位置と、ディスプレイ上に画像を表示するために長手方向軸に対して外側に移動する展開位置とから移動可能である。
【0018】
さらに別の実施形態によれば、1または複数の器具を患者の体内に導入するためのポートが提供され、このポートが、細長い管状部材およびビデオモジュールを備え、細長い管状部材が、近位端と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端と、近位端と遠位端の間に延び、その中に器具を受け入れるための一次ルーメンと、一次ルーメンの周りに配置され、近位端と遠位端の間に延びる複数の二次ルーメンとを備える。ビデオモジュールは、ハブと、ディスプレイと、ハブに取り付けられ、管状部材のそれぞれの二次ルーメン内に同時に導入されるようなサイズの複数の細長い撮像要素とを含むことができ、遠位端より先の画像を取得するために、撮像要素の遠位先端が管状部材の遠位端に隣接して配置されている。
【0019】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて以下の説明を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の図面は、本発明の例示的な実施形態を示している。
【
図1】
図1は、腸に対して様々な向きを有し得る虫垂の例示的な解剖学的構造を示す詳細図である。
【
図2】
図2Aは、ハンドルから延びるシャフトを含む再利用可能な部分と、シャフトに結合された使い捨てのエンドエフェクタとを含むステープラ装置の例示的な一実施形態の側面図である。
図2Bおよび
図2Cは、それぞれ、再利用可能な部分にディスプレイを有する
図2Aの装置の側面図および斜視図である。
図2Dは、装置の近位端に結合されたロボット制御システムを含むステープラ装置の代替的な実施形態の斜視図である。
図2Eは、
図2Dに示すようなロボット制御システムにステープラ装置を接続するために使用され得るロボットアダプタ/エクステンダデバイスの斜視図である。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ、
図2Aの装置のシャフトに結合され得るエンドエフェクタの例示的な一実施形態の斜視図および側面図であり、エンドエフェクタが、カートリッジ内に複数のステープルを保持する第1のジョーと、開位置(
図3A)と閉位置(
図3B)との間で第1のジョーに対して回動可能な第2のジョーとを含む。
図3Cは、ジョーが互いに離間した状態の、
図3Aおよび
図3Bのエンドエフェクタの断面図である。
図3Dは、ブレードまたは切断要素を有しないエンドエフェクタの代替的な実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4Aは、ステープルを保持するカートリッジがジョーのキャビティ内に受け入れられた、
図3Aおよび
図3Bに示すエンドエフェクタの第1(底部)のジョーの上面図である。
図4Bおよび
図4Cは、様々なサイズのステープルおよびレセプタクルを含む、提供され得る第1のジョーおよびカートリッジの代替的な実施形態の上面図である。
【
図5】
図5A~
図5Cは、ジョーの異なる位置にドップラーセンサおよび/または熱要素を含むジョーおよびカートリッジの代替的な実施形態を示す断面図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、それぞれ、格納構成および展開構成における、展開アームに保持された展開可能な撮像システムを含むアクセスポートの例示的な一実施形態の斜視図である。
図6Cは、撮像システムの展開アームの詳細を示すために管状シャフトの一部分を取り除いた、
図6Aおよび
図6Bのアクセスポートの斜視図である。
図6Dおよび
図6Eは、それぞれ、撮像システムの展開アームの詳細を示すために管状シャフトの一部分を取り除いた、
図6Aおよび
図6Bのアクセスポートの上面図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、本明細書中のステープラ装置を使用して送達され得るステープルまたはクリップの例示的な一実施形態の斜視図である。
図7Cは、
図7Aおよび
図7Bのステープルの側面図である。
図7Dは、
図7Aおよび
図7Bのステープルの側面図であり、ステープルの第1のタインが変形して、ステープルの第2のタインと係合している様子を示している。
【
図8】
図8A~
図8Eは、本明細書中のステープラ装置を使用して送達され得るステープルまたはクリップの代替的な実施形態の側面図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、それぞれ、使い捨ての管状部材と、管状部材に結合され得る再利用可能なビデオモジュールとを含むアクセスポートの別の例示的な実施形態の斜視図および側面図である。
図9Cは、ビデオモジュールの撮像要素が作動された、
図9Aおよび
図9Bのアクセスポートの斜視図である。
【
図11】
図11は、管状部材の対応するルーメンに受け入れ可能な細長い撮像スリーブを含むビデオモジュールの斜視図である。
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、ビデオモジュールの撮像スリーブを管状部材の二次ルーメンに挿入する前および挿入した後の、
図10の管状部材の遠位端の詳細図である。
【
図13】
図13Aは、ステープラ装置が管状部材の一次ルーメンを通して挿入された、
図9A~
図9Cのアクセスポートの斜視図である。
図13Bは、ステープラ装置のエンドエフェクタを示す、
図13Aのアクセスポートの遠位端の詳細図である。
【
図14】
図14は、ディスプレイと、装置のハンドルから延びてエンドエフェクタ(図示せず)に挿入可能な複数の撮像スリーブとを含む一体型ビデオモジュールを含むステープラ装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図15】
図15A~
図15Dは、エンドエフェクタのジョーに受け入れられたカートリッジからステープルを展開するためのウェッジ作動機構を示す詳細図である。
【
図16】
図16は、本明細書中の装置を使用して虫垂切除術を行うための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、アクセスポートおよびステープラを使用して外科的処置を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図19】
図19Aおよび
図19Bは、それぞれ、把持器を含むステープラ装置のエンドエフェクタの斜視図および側面図である。
【
図20】
図20は、
図19Aおよび
図19Bに示す把持器およびステープラ装置を使用して卵管結紮術を行うための方法を示す、対象者の解剖学的構造の詳細図である。
【
図21】
図21Aは、ステープラ装置のシャフトに取り付けられた把持器を含むステープラ装置の別の例の側面図である。
図21Bおよび
図21Cは、
図21Aのステープラ装置の上面図であり、それぞれ、格納位置および展開位置における把持器を示している。
【
図22】
図22Aおよび
図22Bは、把持器のペア含むステープラ装置の斜視図である。
図22Cは、例えば
図22Aおよび
図22Bの把持器のような1または複数の補助器具をスライド可能に受け入れるために、装置のシャフトに提供され得る補助ルーメンの例を含むステープラ装置の遠位領域の断面図である。
【
図23】
図23は、腹腔鏡外科手術を行うために提供され得るアクチュエータおよびエンドエフェクタの組合せの例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、説明する特定の実施形態に限定されるものではなく、よって当然のことながら、変更し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0022】
値の範囲を与える場合、他のことを明示する記載がない限り、その範囲の上限値と下限値との間の、下限値の単位の10分の1までの各介在する値も、具体的に開示されていると理解されたい。記載した範囲内の任意の記載した値または介在値と、その記載した範囲内の任意の他の記載した値または介在値との間のより小さい各範囲は、本発明に包含される。より小さい上記範囲の上限値および下限値は、独立して、その範囲内に含まれてもよいし、除外されてもよく、何れか一方の範囲、どちらか一方の範囲、または両方の範囲がより小さい範囲内に含まれている各範囲もまた、記載した範囲内の任意の具体的に除外された限界値に従って、本発明に包含される。記載した範囲が限界値の一方または両方を含む場合には、含まれるそれらの限界値の一方または両方を除外した範囲もまた、本発明に包含される。
【0023】
他に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用することができるが、いくつかの潜在的で例示的な方法および材料をここで説明する。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲においては、他のことを明示する記載がない限り、単数形の「a」、「an」および「the」は複数の指示対象を含むことに留意されたい。このため、例えば、「化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「ポリマー」への言及は、当業者に知られている1または複数のポリマーおよびその同等物への言及を含む。
【0025】
図面に目を向けると、
図2Aは、医療処置中、例えば、患者の虫垂(図示せず)を除去する腹腔鏡手術中に使用され得るステープラ装置8の例示的な一実施形態を示している。概して、装置8は、シャフト20およびハンドル30を含む再利用可能なシャフト/ハンドル部分またはハンドピース10と、例えば、以下にさらに説明するように、処置の前または間にシャフト20に取り外し可能に結合され得る単回使用のカートリッジ(図示せず)を受け入れるように構成された、使い捨ての単回使用部分またはエンドエフェクタ40とを含む。代替的には、例えば、装置8全体が使い捨てとなるように、または処置の間に洗浄されて再利用されるように、エンドエフェクタ40のコンポーネントの少なくとも一部を再利用可能な部分10に恒久的に組み込むようにしてもよい。
【0026】
図示のように、シャフト20は、細長い部材、例えば、近位端22および遠位端24を含み、それらの間に延びる長手方向軸26を規定する、実質的に剛性の管状部材である。シャフト20は、例えば、本明細書中の他の箇所に記載されているように、アクチュエータ要素、ワイヤおよび/または他のコンポーネントを受け入れるための、近位端および遠位端22、24の間に延びる1または複数のルーメンまたは通路(図示せず)を含むことができる。シャフト20の少なくとも遠位端24は、患者の体内に導入するためのサイズであり、例えば、患者の体内の腹腔鏡手術空間への導入を可能にするためにポートまたはカニューレを通して受け入れられるのに十分小さい直径を有する。
【0027】
任意選択的には、シャフト20の少なくとも一部分は、可鍛性であってよく、例えば、シャフト20の少なくとも遠位領域が患者の体外で所望の形状に変形され、シャフト20が導入中にそれを維持することができる。代替的には、シャフト20および/またはエンドエフェクタ40の少なくとも遠位領域は、例えば、血管、GI通路などの身体通路への導入のために、導入中に遠位領域が通路に追従するように、可撓性を有することができる。任意選択的には、この代替例では、シャフト20が、例えば、患者の体内の所望位置への導入および/または操作を容易にするために、シャフト20の形状を変えるように作動され得る1または複数のステアリングワイヤまたは他の要素(図示せず)をその中に含むことができる。
【0028】
ハンドル30は、例えば、使用中に装置8を保持および/または操作するのを容易にする形状および/または他の方法で構成されたハンドグリップ32を含むことができる。さらに、ハンドル30は、例えば、ステープラアセンブリ40上の機械的および/または電気的コンポーネントを操作するための1または複数のアクチュエータを含むことができる。例えば、ジョー46、47を引っ張るかまたは他の方法で作動させることができるトリガーまたは他のジョーアクチュエータ34を、例えば、ハンドグリップ32に隣接して提供することができ、また、ステープラアセンブリ40から1または複数のステープル(図示せず)を展開するために別のアクチュエータ(図示せず)を提供することができる。例えば、トリガー34は、例えば、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、接触面46a、48aの間で組織を係合するために、第1のジョー46にすぐ隣接する第2のジョー48を閉じるために引かれるものであってもよい。任意選択的には、トリガー34は、例えば解放機構が作動するまで、組織をジョー46、48の間に圧迫するために、開放を防止しながら第2のジョー48が第1のジョー46に向かって移動することを可能にするラチェット機構を含むことができる。代替的には、別個のロック機構をハンドル30に設けることができ、このロック機構を、本明細書中の他の箇所で説明するように、第2のジョー48をロックおよび解放するために選択的に作動させることができる。追加的または代替的には、いくつかの他のアクチュエータが、ハンドル30またはシャフト20 10に含まれ、エンドエフェクタの種々の機能/部分の独立した作動を達成することができ、そのようなアクチュエータには、例えば、1または複数のステープルを展開するために前進および/または後退されるステープルアクチュエータ、ブレード作動(前進および後退)のための切断アクチュエータ、ドップラーセンサトリガー、電気焼灼器電源スイッチ、および/またはエンドエフェクタの向きを制御するためのアクチュエータなどがある。
【0029】
任意選択的には、
図2Bおよび
図2Cに示すように、例えば、処置の観察または他の監視を容易にするために、ディスプレイまたは他の出力デバイス38をハンドル30に設けることができる。本明細書中の他の箇所にさらに説明するように、例えば、カメラ、ライトおよび/または他の撮像デバイス(図示せず)をステープラアセンブリ40および/またはシャフト20の遠位端24に設けることができ、それらを使用して、ステープラアセンブリ40が導入される手術空間の画像を取得することができる。一実施形態では、ディスプレイ38を、ハンドル30に取り外し可能に取り付けることができ、このディスプレイは、ハンドル30の対応するコネクタに結合され得る1または複数のコネクタまたはケーブル(図示せず)を含むことができ、それらが、ステープラアセンブリ40の撮像デバイスに延びる1または複数のワイヤに結合される。代替的には、ディスプレイ38を、ハンドル30に恒久的に取り付けることができ、1または複数のワイヤまたは他の要素は、撮像デバイスと通信することができる。別の代替例では、装置8とは別個のディスプレイ(図示せず)を設けることができ、装置8は、通信インターフェース、例えば、無線送信機を含むことができ、この無線送信機は、例えば、Bluetoothまたは他の通信プロトコルを使用して、撮像デバイスから信号を無線送信し、画像をディスプレイ上に表示することができる。
【0030】
例えば、CMOS、CCDまたは他の撮像要素(図示せず)をシャフト20の遠位端24(または代替的にはエンドエフェクタ40)に設けることができ、それを、ステープラアセンブリ40より先の領域の画像および/またはエンドエフェクタ40のジョー46、48の間の画像を取得するように向けることができる。1または複数のワイヤおよび/または光ファイバは、ディスプレイ38に信号を送信することができ、ディスプレイは、信号を処理して、ディスプレイ38の画面上に画像を表示するためのプロセッサを含むことができる。追加的または代替的には、1または複数のLEDまたは他の光源を、シャフト20の遠位端24(または代替的にはエンドエフェクタ40)に、例えば、画像に照明を提供するために撮像要素に隣接して設けることができる。例えば、1または複数のライト、例えば、200~2500Wで動作する円形のキセノンLEDランプ(図示せず)をシャフト20の遠位端24に周方向に配置することができ、それにより、近くの組織を損傷し得る熱エネルギーを生成することなく(ランプの内部反射により)分散した照明を提供することができる。代替的には、1または複数のLEDまたは他の光源(図示せず)をハンドル30に設けることができ、光ファイバまたは透明プラスチックなどの光伝導性材料を使用して光を伝送することにより、遠位端24に照明を与えることができる。ハンドル30および/またはディスプレイ38は、例えば、1または複数の照明源および/または1または複数の撮像要素を必要に応じてオフおよびオンに切り替えるために1または複数の制御装置(図示せず)を含むことができる。任意選択的には、1または複数の撮像要素および/または1または複数の照明源は、エンドエフェクタ40に対して移動可能であってよく、例えば、長手方向軸26を中心に回転するようにしてよく、その場合、処置中にそれらの位置を回転または他の方法で調整するために、1または複数のアクチュエータ(図示せず)をハンドル30に設けることができる。さらなる代替例では、装置8が、本明細書中の他の実施形態と同様に、ディスプレイを保持する一体型撮像スリーブを含むことができる。任意選択的には、複数のCMOSチップまたは他の撮像要素を、複数の画像が様々な角度から取得され得るように互いに間隔を空けて、遠位端24および/または一体型撮像スリーブ(図示せず)に設けることができる。プロセッサは、複数の撮像要素から同時に信号を受信し、それらを処理して、視野の三次元構造を含む単一の結合画像を提供することができる。
【0031】
図2Aに戻ると、シャフト20の遠位端24のエンドエフェクタ40は、通常、1または複数のステープル(図示せず)を保持する第1および第2のジョー46、48と、任意選択的には、処置中に使用するための1または複数の追加のコンポーネントとを含む。例えば、
図3A~
図3Cに示すように、エンドエフェクタ40は、第1のジョー46の凹部、トラックまたは他のキャビティ46c内に受け入れられる取り外し可能なカートリッジ50を含むことができる。エンドエフェクタ40は、例えば、ハウジング40の近位端44および/またはシャフト20の遠位端24の1または複数の戻り止め、ラッチ、ソケット、ネジおよび/または他のコネクタ(図示せず)を使用して、シャフト20の遠位端24に接続され得る近位端44を含む第1のジョー46が延在する管状ハウジング42も含むことができる。エンドエフェクタ40が1または複数のコネクタによってシャフト20に機械的に接続される場合、追加のコネクタは、当業者によって理解されるように、例えば、エンドエフェクタ40上の作動可能なコンポーネントをシャフト20内の作動要素に機械的に結合するために、かつ/またはエンドエフェクタ40上の電気的コンポーネントをシャフト20の対応するワイヤ(図示せず)に電気的に結合するために、自動的に係合することができる。例えば、ウェッジ機構(図示せず、例えば、
図15A~
図15Dを参照)は、本明細書中の他の箇所で説明するように、シャフト20内のアクチュエータシャフト(同様に図示せず)に結合され得る第1のジョー46に隣接して、ハウジング42内に設けることができ、それによって、ハンドル30のステープルアクチュエータの作動により、アクチュエータシャフトおよびウェッジを前進および後退させて、ステープルを送達することができる。
【0032】
図示のように、例えば、第1のジョー46が使用中にシャフト20の軸26と整列したままとなるように、第1のジョー46をハウジング42と一体的に形成することができ、または他の方法で相対的に固定することができる。第2のジョー48は、例えば
図3Aに示すような開位置と、例えば
図3Bに示すような閉位置との間で第2のジョー48が回動可能となるように、例えば1または複数のヒンジまたは他の特徴(図示せず)によって、ハウジング42に移動可能に取り付けることができる。開位置では、ジョー46、48の接触面46a、48aが互いに間隔を置いて配置され、それにより例えば、組織構造をジョー46、48の間、例えば、第1の接触面46a上に配置することが可能であり、一方、閉位置では、接触面461、48bが、
図3Bに示すように互いにすぐ隣接し、例えば、互いに実質的に平行であってよい。例えば、閉位置では、接触面46a、48aが、ジョー46、48の間に配置された組織を圧迫、固定および/または他の方法で係合するために、それらの間に十分なクリアランスを有することができる。
【0033】
ジョー46、48は、開位置および閉位置のうちの一方に付勢されるものであってもよく、または開位置および閉位置の間で作動可能であってもよい。例えば、ジョー46、48は、例えば、患者の体内への導入を容易にするために、最初は閉位置に提供されるようにしてもよく、その後、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、ロックまたは他の機構が解放された後、第2のジョー48が自動的に開位置に移動し、ハンドル30のアクチュエータ34がアクティブになり、ステープルを展開し、かつ/または第2のジョー48を閉じることができる。代替的には、ハンドル30のトリガー34は、例えば、スイッチまたは他の制御装置が作動してステープルの展開を始動するまで、カートリッジ40の導入および/または操作を容易にするために、ステープルを展開させることなく、第2のジョー48を開閉するために引いたり解放したりすることができる。第2のジョー48が解放されるまで開くのを防止するために、ロック機構、例えば、ラチェットまたは他のロック(図示せず)を設けることができる。
【0034】
図3Aを特に参照すると、第1のジョー46は、使い捨てカートリッジ50を受け入れることができ、この使い捨てカートリッジは、カートリッジ50の露出面50aが第1の接触面46aを規定するように、第1のジョー46のキャビティ46c内に受け入れられる。カートリッジ50は、例えば、シャフト20の軸26と整列した複数の列に配置された、複数のステープル(図示せず)を保持することができる。例えば、図示の実施形態では、カートリッジ50の接触面50aが、3列52a、52b、52cに配置された凹部またはレセプタクル52を含み、そこからステープルが同時にかつ/または間断なく展開され得る。
【0035】
任意選択的には、カートリッジ50または第1のジョー46は、ステープルの列に隣接する第1の表面46a上に熱要素56を含むことができる。例えば、カートリッジ50は、熱要素56を挟んで互いに反対側に配置されたステープルのセットを含むことができ、例えば、セットは、シャフト20の軸26と整列される。代替的には、
図5A~
図5Cに示すように、必要に応じて、熱要素をジョー/カートリッジから省略することができる。ステープルが、第1のジョー46から取り外し可能なカートリッジ50によって保持されるときには、例えば、カートリッジ50が第1の接触面46aを提供する場合に、熱要素56をカートリッジ50の露出面に取り付けることができる。代替的には、熱要素56が、第1のジョー46に恒久的に取り付けられ、カートリッジ50が、熱要素56の両側に第1の接触面46aの一部分を規定するようにしてもよい(図示せず)。
【0036】
図3Aおよび
図4Aに示す例では、ステープルレセプタクルの第1の列またはセット52aが、(装置8のハンドル30を保持するユーザの視点から見て)熱要素56の右側に配置され、ステープルレセプタクルの第2および第3の列またはセット52b、52cが、熱要素56の左側に配置されている。例えば、この構成では、ステープルの第1のセットが、除去される虫垂の中に送達され、ステープルの第2のセットが、腸の中に送達されて、虫垂を除去した後に患者の体内に残るようにしてもよい。代替的には、レセプタクル52の配置を、必要に応じて逆にしてもよく、例えば、虫垂が(装置8のオペレータの視点から見て)左側にあり、無傷の腸が右側にある場合のアプローチのために、第1のセットを左側に、第2のセットを右側に配置することができる。図示のように、レセプタクルの第2のセット52b、52cは、例えば、本明細書中の他の箇所で説明するように、ジョー46、48に捕捉された組織構造のステープル留めを強化するために、軸26に沿って互い違いに配置された2列のステープルを含むことができる。
【0037】
図3Aおよび
図4Aに示す実施形態では、レセプタクル52が、同様の寸法、例えば、軸26と整列した同じ長さを有し、レセプタクル52から展開可能なステープルが、同じ寸法を有することができる。代替的には、レセプタクルの寸法、よってステープルの寸法が、本明細書中の他の箇所でさらに記載するように、各列に沿って、かつ/または異なる列において異なるものであってもよい。
【0038】
例えば、
図4Bは、ステープルレセプタクル152の列が、異なるサイズを有するレセプタクルの第1または近位セット153aおよびレセプタクルの第2または遠位セット153bを含むことを除いて、(ジョー46とほぼ類似の)第1のジョー146の代替的な実施形態を示している。例えば、図示のように、(近位セット153aにおける)各列152の最初の2つのレセプタクルは、(遠位セット153bにおける)残りの5つのレセプタクルより大きい。この代替例では、ステープルが展開されるときに、例えば、ステープルアクチュエータ(例えば、ピストンおよび/またはスレッジ、図示せず)が前進し、ステープルを第2のジョー48(同様に、図示せず)に押し付けて、展開されたステープルを変形させる際に、大きい方の近位のステープルが最初に展開され、続いて小さい方の遠位のステープルが展開される。
【0039】
代替的には、
図4Cに示すように、異なるサイズのステープルを、第1のジョー246の1または複数の列に提供することができる。例えば、図示のように、第1の列は、第2および第3の列のレセプタクル252b、252cよりも大きいレセプタクル252aを含むことができる。その結果、レセプタクルの第1の列252aから他の列よりも大きなステープルを展開することができる。例えば、虫垂をステープル留めするためにより大きなステープルを使用し、一方、虫垂に血液を供給する血管をステープル留めするためにより小さなステープルを使用することが望ましい場合がある。多くの小さいステープルは、血管への血流を遮断することを強化し、虫垂が切断されて除去されるときのその後の出血のリスクを低減することができる。このため、遭遇する実際の解剖学的構造に基づいて適切なカートリッジが選択されてハンドピース30に接続されるように、カートリッジは、切断要素60の左側または右側の何れかに複数の列を備え、他方の側に大きなステープルを備えることができる。任意選択的には、ステープルの1または複数の追加の列またはセットを、第1、第2および/または第3の列に隣接して提供することができる。例えば、ステープルの複数のセット(例えば、1~5)を、除去される虫垂内および/または腸内に送達することができる。
【0040】
図3Aに戻ると、第2のジョー48の接触面48aは、対応する凹部54を含むことができ、例えば、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、レセプタクル52から展開されたステープルを変形および/または他の方法で閉鎖するために、例えば、閉位置において凹部54がそれぞれのレセプタクル52の真上に配置されるように、凹部が、レセプタクル52と対向して列状に配置されている。例えば、凹部54は、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、ステープルが展開される際に、ステープルのタインの一方または両方を変形させるための傾斜した表面、アンビルおよび/または他の特徴部を含むことができる。
【0041】
任意選択的には、第2のジョー48は、例えば、熱要素56とほぼ対向するように第2の接触面48a上に配置された、ドップラーレーダーまたは他のセンサ58を含むことができる。例えば、ドップラーセンサ58は、第2の接触面56に取り付けられ、(第2のジョー48が閉じられたときに)軸26に沿って整列される細長い結晶要素であってもよい。ドップラーセンサ58は、レーダー信号を送信し、ジョー46、48の間に捕捉された組織からの反射を受信して、例えば、当技術分野で既知のシステムおよび方法を使用して、血液が組織内を流れているか否かを識別するように構成され得る。
【0042】
図3Cに見られるように、熱要素56およびドップラーセンサ58は、ステープルレセプタクル52および凹部54の列の間に、第1および第2のジョー46、48上にそれぞれ互いに対向して配置されるようにしてもよい。この構成は、ジョー46、48の間に捕捉された組織内の血流を識別し、その後、本明細書中の他の箇所で述べるように、熱エネルギーを供給して組織を焼灼、切除または壊死させて、例えば、その後の血流を停止させることを容易にし得る。
【0043】
例示的な実施形態では、熱要素が、1または複数の電極、例えば、第1の接触面46aに沿って軸方向に延びる単一の細長い電極56を含むことができ、これは、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、ハンドル30内の電気エネルギー源、例えば、発電機(図示せず)、および/またはハンドル30に接続された電気エネルギー源に接続することができる。例えば、
図3Cに示すように、電極56は、例えば、セラミックおよび/または導電性でない他の材料から形成された断熱ブロック56aと、例えば、電極56からエンドエフェクタ40の他のコンポーネントへの伝導を防止するために、かつ/または電極要素56bに直接接触しない組織へエネルギーを送達するためにブロック56aによって支持される電極要素56bとを含むことができる。図示の実施形態では、接触した組織を焼灼するために単極構成で高周波エネルギーを送達するために、本明細書中の他の箇所で説明するように、例えば、Bovie(登録商標)デバイスと同様の単一の電極56を提供することができる。代替的には、第1の接触面46a上に互いに間隔を空けて配置される複数の電極を提供することができ、それらを、双極構成でRFエネルギーを送達するために使用することができる。さらなる代替例では、接触した組織を焼灼するために、他の形態のエネルギー、例えば、レーザーエネルギーを送達するために、他の要素を提供することができる。
【0044】
代替的には、熱要素56およびドップラーセンサ58の位置は、必要に応じて逆にすることもでき、例えば、熱要素を第2の接触面上に、ドップラーセンサを第1の接触面(図示せず)上に配置することもできる。さらなる代替例では、熱センサを完全に省略し、ドップラーセンサ58のみをジョーの一方、例えば
図5Aに示すように、第2のジョー48上に設けることもできる。このため、この代替例では、第1のジョー46’が熱要素を含まない。
【0045】
さらに別の代替例では、ドップラーセンサを、それら実施形態の何れかの第2の接触面上の他の位置に設けることができる。例えば、
図5Bに示すように、ドップラーセンサ58を、第2のジョー48の一側に沿って、すなわち、ステープルレセプタクルの第3の列52cに対向する凹部の第3の列54cに隣接して、設けることができる。
【0046】
図3C、
図5Aおよび
図5Bに示す実施形態では、ドップラーセンサが、第2の接触面に対して実質的に垂直に向けられる。この構成では、送信されるレーダー信号の中心線も、第2の接触面に対して垂直になる。代替的には、ドップラーセンサを接触面に対して垂直ではない角度で向けることが望ましい場合もある。例えば、
図5Cに示すように、センサが第2の接触面58a’’’に対してある角度を規定するように、ドップラーセンサ58’’’を第2のジョー48’’’に取り付ける別の例が示されている。このため、この代替例では、送信されるレーダー信号の中心線を、第2の接触面58a’’’から斜めに向けることができる。このような構成は、例えば、レーダー信号を特に関心のある組織構造、例えば、虫垂の血管に向けて、例えば、血流の方向に対して垂直ではなく、血流の方向に対してある角度を規定するために有用であり得る。
【0047】
図3A~
図3Cに戻ると、エンドエフェクタ40は、ジョー46、48に対してスライド可能に配置されたブレードまたは他の切断要素60も含むことができる。例えば、第1および第2のジョー46、48は、軸26と整列したそれぞれのスロットまたは溝62、64を含むことができ、このスロットまたは溝は、ブレードが、例えば接触面46a、48aに隣接してハウジング42内に受け入れられる後退位置(図示せず)から、ブレード60の鋭利な刃60aがジョー46、48の遠位先端46b、48bに向けてスロット62、64に沿って遠位方向に前進した前進位置へと進められるときに(
図3Aではブレード60が部分的に進められた状態で示されている)、ブレード60を受け入れることができる。
図3Bに示すように、ブレード60は、ジョー46、48の接触面46a、48aの間に延び、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、閉位置において、刃60aが、ジョー46、48の間に位置する組織(図示せず)を切断するか、または他の方法で切ることができる。代替的には、
図3Dに示すように、ブレードを省略することができ、切断要素のないハウジング142によって保持されるジョー146、148を含むエンドエフェクタ140を提供することができる。この代替例では、ジョー146、148が、本明細書中の他の実施形態と同様に、ステープル(図示せず)用のレセプタクル152および凹部の任意の配置構成を含むことができる。図示していないが、エンドエフェクタ140は、ドップラーセンサおよび/または熱要素を含むことができ、あるいは、それらコンポーネントの一方または両方を省略することもできる。
【0048】
任意選択的には、カートリッジ40は、処置中に使用するための1または複数の追加のコンポーネントを含むことができる。例えば、処置中に装置8の撮像および/または監視使用を容易にするために、例えば、照明源および/または撮像要素をハウジング42に取り付けることができる。例示的な実施形態では、CMOS、CCDまたは他の撮像要素、および/または1または複数のLEDまたは他の光源(図示せず)を、例えば第2のジョー48が回動する第1のジョー46の近位端に隣接して、エンドエフェクタ40に設けることができ、ステープラアセンブリ40より先の領域の画像を取得するために遠位方向に向けることができる。例えば、撮像要素の視野は、第1のジョー46の第1の接触面46aを含むことができ、それにより術者が、第2のジョー48を閉じるように作動させる前に、接触面46a上に所望の組織構造を配置しかつ/または方向付けるために画像を使用することができる。
【0049】
装置8は、医療処置中、例えば、虫垂切除術など腹腔鏡外科処置中、組織にステープルを送達するために使用することができる。しかしながら、装置8(および本明細書中の他の実施形態)は、卵管結紮術、胆嚢切除術、子宮摘出術、腎摘出術、脾摘出術、卵巣摘出術、肺生検、肥満外科手術、結腸および腸の外科手術、並びに、血管外科手術などの種々の低侵襲外科的処置に使用できることが理解されよう。先ず、除去が指示された虫垂などの所望の組織構造にアクセスするために、例えばトロカールおよび/またはカニューレデバイス(図示せず)を、患者の皮膚および介在組織を通して標的領域、例えば、患者の腹腔に導入して、空間を膨らませるか他の方法で開くことにより、手術空間を作成することができる。
【0050】
エンドエフェクタ40およびカートリッジ50は、患者の体内に導入する前に選択して、シャフト20の遠位端24に接続することができる。例えば、遭遇した解剖学的構造に基づいて、術者は、ステープルの特定の配置構成を含むカートリッジ50、例えば、本明細書中の他の箇所で説明するように、均一サイズのステープルまたは異なるサイズのステープルを含むカートリッジを選択し、例えば、エンドエフェクタ40をシャフト20に接続する前または後に、カートリッジ50を第1のジョー46のキャビティ46cに挿入することができる。装置8の準備ができたら、ジョー46、48が手術空間に位置するまで、エンドエフェクタ40を保持するシャフト20の遠位端24を、例えばカニューレまたは他のポート(図示せず)を介して手術空間内に導入することができる。例えば、最初に、例えば患者の皮膚および介在組織を介して腹腔内に穿刺されて虫垂に接近する、針、トロカールおよび/または拡張器デバイスを使用して、手術空間にアクセスすることができ、穿刺を通してカニューレを位置決めすることができる。カニューレまたは他のデバイスを通してガスを送達して、手術キャビティまたは空間を膨らませて形成することができる。
【0051】
その後、選択されたエンドエフェクタ40および/またはカートリッジ50を保持するシャフト40の遠位端24を、カニューレを介して手術空間内に導入することができる。例えば、カニューレを介した導入を容易にするために、ジョー46、48を最初は閉位置にロックすることができ、次いで、手術空間内に配置されたら解放し、その後、第2のジョー48を開くことができる。代替的には、第2のジョー48を、開くように付勢することができるが、カニューレを介した挿入を可能にするために、手動または他の方法で閉じることもできる。
【0052】
手術空間内でジョー46、48が開位置にある状態で、領域内の組織、例えば、患者の虫垂を、第1のジョー46の接触面46a上に配置し、かつ/またはジョー46、48の間に配置することができる。例えば、虫垂および虫垂動脈の両方を、ジョー46、48の間に配置することができ、例えば、虫垂の向きに応じて一方が他方に対して遠位側となるように位置決めすることができる。
【0053】
要求通りに組織が位置決めされると、トリガーアクチュエータ34を操作することにより、第2のジョー48を閉じて、接触面46a、48aの間の定位置に組織をロックすることができる。例えば、トリガー34は、第2のジョー48が再び開くことを防止しながら閉じることを可能にするラチェット機構を含むことができ、または、第2のジョー48が閉じて組織と係合したら、別個のロック機構(図示せず)を作動させることができる。その後、別個のステープルアクチュエータ(図示せず)を使用して、1または複数のステープルを第1のジョー46から組織内に、そして組織を通って第2のジョー48に向けて展開し、1または複数のステープルを変形させて組織に係合させることができる。
【0054】
例えば、ステープラアクチュエータが押されると、シャフト20内の作動シャフト(図示せず)が、カートリッジ50またはエンドエフェクタ40内のウェッジまたは他のステープル作動要素(図示せず)を前進させて、第1のジョー46の第1の接触面50a/46aから第2のジョー48に向けて上方にレセプタクル52からステープルを展開し始め、それによりステープルの1または複数のタインが第2の接触面48aの対応する凹部54に接触して変形し、組織をステープル留めすることができる。
図15A~
図15Dは、カートリッジ50の通路53内でスライド可能なウェッジアクチュエータ66の例示的な実施形態を示し、このウェッジアクチュエータは、本明細書中の他の箇所に記載するように、角度を有する又は傾斜する遠位面66aを含み、この遠位面が、それぞれのレセプタクル52内のピストン(1つのピストン68が示されている)の対応する傾斜面68aを上方に押して、対応するステープル90を第2のジョー48(
図15A~
図15Dには示されていない)に向けて押圧することができ、それによりステープル90のタインが対応する凹部54内で変形される。例えば、ウェッジ66は、ステープラアクチュエータシャフト(図示せず)に結合することができ、このステープラアクチュエータシャフトは、通路53内で前進および後退して、例えば、ウェッジ66を前進させ、それにより、
図15B~
図15Dに示すように、ウェッジ66の傾斜面66aをピストン68の傾斜面68aにスライド可能に係合させて、ピストン68をそれぞれのレセプタクル52内で上方に導くことができる。その後、
図15Aに示す位置まで、ウェッジ66を後退させることができる。なお、米国特許第4,608,981号、第4,633,874号、第5,104,025号、第5,307,976号、第5,709,680号および欧州特許第1,157,666号に開示されるものなど、他のステープラ機構を代わりに使用することが可能であり、それら特許の開示全体は、引用により明示的に本明細書中に援用されるものとする。
【0055】
ステープルの展開は、各セット内で順次行われるものであってもよく、例えば、第1のジョー46の近位端でセット52a~52cの各々から同時に第1のステープルを送達し、トリガー34が引き続けられると、追加のステープルがステープル留めの望ましい長さになるまで展開され、その後、作動が中止されると、第1のジョー46の遠位先端46aに最も近い1または複数のステープルを未展開のままにしておくことができる。こうして、術者は、ステープルアクチュエータが引かれる程度に基づいて、展開されるステープルの数を制御することができる。代替的には、アクチュエータ34が二値的であり、すなわち、トリガ34が最初に引かれると、第1のジョーのステープルすべてが、間断なく展開されるものであってもよい。
【0056】
装置8が、例えば第2のジョー48に、ドップラーセンサ58を含む場合、例えばハンドル30上のレーダーアクチュエータ(図示せず)を使用して、ドップラーセンサ58を作動させることにより、ステープル留めされた組織中の血流を検出することができる。例えば、センサ58からの信号は、例えばシャフト20内の1または複数のワイヤ(図示せず)を介して、ハンドル30内のプロセッサに送信され、プロセッサは、信号を分析して、ステープル留めされた組織内で血流が途絶えたか否かを確認することができる。装置8は、血流が停止したことの肯定的な表示を提供する出力デバイス、例えば、インジケータライト、スピーカなど(図示せず)を、例えばハンドル30に含むことができる。その後、術者は、ハンドル30の別のアクチュエータ、例えば、スライダ、ダイヤルなど(図示せず)を操作して、ブレード60を前進させて、ステープル留めされた組織を隣接する組織から切り離すことができる。
【0057】
ステープル留めされた組織内を血液がまだ流れていることを出力デバイスが示す場合、組織を焼灼し、かつ/または血流を停止するために、追加の動作を実行することができる。例えば、装置8が熱要素56を含む場合、術者は、熱要素を作動させて、熱エネルギーをステープル留めされた組織に供給することができる。例えば、ハンドル30上のボタンまたはスイッチ(図示せず)を作動させて、シャフト20内の1または複数のワイヤ(図示せず)を介して、ハンドル30に結合された電源から第1のジョー46の1または複数の電極56aにRFエネルギーを送達して、ステープル留めされた組織を焼灼することができる。血流が停止したという確認を出力デバイス/ドップラーセンサ58が与えるまで、エネルギーを送達することができ、その後、ブレード60を前進させて組織を切断すること、例えば、虫垂および虫垂動脈を同時に切断することができる。
【0058】
任意選択的には、組織を切断する前に、第2のジョー48を解放して開き、ジョー46、48をステープル留めされた組織に対して再配置し、その後、再配置後の1または複数の位置で閉じてロックし、例えば、ドップラーセンサ58を使用して、血流が止まったことを確認し、かつ/または組織を焼灼するためにさらなる熱エネルギーを供給することができる。必要に応じて、ブレード60を使用して、組織を切断することができる。
【0059】
その後、装置8を手術空間から除去し、従来の方法を使用して処置を完了することができる。例えば、ブレード60を格納し、ドップラーセンサ58および/または止血要素56を、(まだであれば)作動停止させることができる。エンドエフェクタ40は、切除した組織を除去するために第2のジョー48をロックした状態のまま、患者の体から除去することができる。
【0060】
任意選択的には、本明細書中の他の箇所で説明するように、エンドエフェクタ40および/またはシャフト20上の照明源および/または撮像要素を用いて、処置を照明および/または監視することができる。追加的または代替的には、処置を監視するために、他の光源および/または撮像デバイスを設けることができる。例えば、装置8を導入するために使用されるカニューレとは異なるカニューレまたはポート(図示せず)を介して、別個の内視鏡を手術空間内に導入することもできる。
【0061】
図2Dに目を向けると、エンドエフェクタ40を保持するシャフト20’を含むステープラ装置8’の代替的な実施形態が示されており、この実施形態は、全体として、本明細書中の他の箇所に記載の実施形態の何れかと類似している。この装置8’は、
図2Aに示す装置8とは異なり、シャフト20’の近位端22’に結合されたロボット制御システム10’を含む。制御システム10’は、例えば、シャフト20’の遠位端24’を前進および/または後退させるために、かつ/またはシャフト20’を長手方向軸26’の周りで回転させるために、1または複数の電気的および/または機械的アクチュエータを含むことができる。さらに、制御システム10’は、エンドエフェクタ40上のコンポーネントを制御するために、ジョー48を開閉するために、ブレード(図示せず)を前進および/または後退させるために、ドップラーセンサおよび/または熱要素(同様に図示せず)を作動させる等のために、1または複数のアクチュエータ(図示せず)を含むことができる。
図2Eは、
図2Dの装置8’などの装置のシャフトを制御システム10’に結合するために使用され得るロボットアダプタ/エクステンダ11’の一例を示している。
【0062】
この代替例は、例えば、患者と同じ場所で手術空間の外にいる外科医または他の術者によって、または遠隔地から、処置を遠隔で実行することを可能にし得る。例えば、術者は、有線または無線通信を介して制御システム10’のアクチュエータを制御することができる手術空間のすぐ外側にある制御パネル(図示せず)を操作することができる。代替的には、術者が遠隔地にいて、制御システムが、例えば、電話回線網および/またはインターネットなどの有線または無線通信網を含むネットワークを介して送信されるコマンドによって、操作されるものであってもよい。エンドエフェクタ40および/またはシャフト20の遠位端24’および/またはステープラ8’が導入されるポートまたは他のデバイスの撮像デバイスからの画像は、同じネットワークを介して、1または複数のディスプレイ(図示せず)に伝送され、それを術者が見て、本明細書中の他の箇所で説明されるものと同様の処置を実行することができる。
【0063】
別の代替例では、1または複数の照明および/または撮像要素を含むカニューレまたはアクセスポートを提供することができ、アクセスポートを使用して装置8または8’(または本明細書中の他の実施形態)を導入することができる。例えば、
図6A~
図6Eに目を向けると、アクセスポート70の例示的な実施形態が示されており、このアクセスポートは、概して、近位端74と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端76と、近位端および遠位端74、76の間に少なくとも部分的に延びる1または複数のルーメンまたは通路78とを含む細長い管状本体72を備える。例えば、管状本体72は、本明細書中の他の箇所に記載のステープラ装置の何れかのように、近位端74の出口から遠位端76の出口まで延びる、1または複数の器具をその中に受け入れるようなサイズの一次ルーメン78aを含むことができる。さらに、管状本体72は、本明細書中の他の箇所で説明するように、例えばアクチュエータ要素、ワイヤおよび/または他のコンポーネントを受け入れるために、例えば近位端74から遠位端76に向けて少なくとも部分的に延びる、1または複数の二次ルーメン(図示せず)を含むことができる。管状本体72は、実質的に剛性であってもよく、代替的には、管状本体72の少なくとも一部分、例えば遠位部分が、可鍛性または可撓性であってもよい(図示せず)。
【0064】
例えば、使用中にアクセスポート70の操作を容易にするために、ハンドルまたはハブ80を近位端74に設けることができる。ハブ80は、1または複数のバルブまたはシール(図示せず)を含むことができ、それにより、一次ルーメン78aを密閉しながらも一次ルーメン78a内への器具の挿入を容易にし、例えば、器具の周りに実質的に液密のシールを提供することができる。これにより、1または複数のシールは、本明細書中の他の箇所で説明するように、例えばアクセスポートが患者の体内に導入されるときに、注入ガスまたは他の流体が一次ルーメン78aを通って逃げるのを防止することができる。
【0065】
さらに、例えばアクセスポート80の1または複数の撮像デバイスを用いて処置の観察または監視を容易にするために、ディスプレイまたは他の出力デバイス82をハブ80に提供することができる。例えば、管状本体72の遠位部分は、管状本体72に回動可能に結合された第1の端部84aと、以下でさらに説明するように、1または複数のカメラ、光源および/または他の撮像デバイスを搭載し得る第2の端部または自由端部84bとを含む展開可能アーム84のペアを含むことができる。
【0066】
一実施形態では、ディスプレイ82が、ハブ80に取り外し可能に取り付けられるとともに、ハブ80の対応するコネクタに結合される1または複数のコネクタまたはケーブル(図示せず)を含むことができ、ハブの対応するコネクタが、アーム84上の1または複数の撮像デバイスに伸びる1または複数のワイヤに結合される。このため、この代替例では、ディスプレイ82が再利用可能であり、管状本体72が使い捨て/単回使用であってよい。代替的には、ディスプレイ82が、ハブ80に恒久的に取り付けられ、1または複数のワイヤまたは他の要素が1または複数の撮像デバイスと通信することができる。このため、この代替例では、アクセスポート80全体が洗浄されて再利用されるようにしても、あるいは単回使用であってもよい。さらなる代替例では、アクセスポート80が、例えばBluetoothまたは他の通信プロトコルを使用して、撮像デバイスから信号を無線で送信する通信インタフェースを含むことができ、それにより、画像を遠隔ディスプレイ上に表示することができる。
【0067】
例示的な実施形態では、CMOS、CCDまたは他の撮像要素(図示せず)を、アーム84の一方の自由端部84bに設けることができ、1または複数のLEDまたは他の光源を、他方のアーム84の自由端部84bに設けることができる。代替的には、例えばディスプレイ82に複数の画像を同時に表示するために、両アームに別個の光源および撮像要素を設けることができる。さらなる代替例では、必要に応じて、自由端部に1または複数の光源および/または撮像要素を含む1つのアームのみを提供することができる。
【0068】
これらの実施形態の何れかにおいて、1または複数のワイヤは、1または複数の撮像要素からディスプレイ82に信号を送信することができ、ディスプレイは、信号を処理してディスプレイ82の画面上に画像を表示するプロセッサを含むことができる。1または複数の撮像要素は、例えば遠位端76を越えた領域内に展開された器具を照明および/または撮像するために、管状本体72の遠位端76を越えて遠位側に向けられた視野を含むことができる。
【0069】
アーム84は、例えば、患者の体内への導入を容易にする
図6Aおよび
図6Dに示すような格納構成と、例えば、
図6B、
図6Cおよび
図6Eに示すような展開構成との間で移動可能であり、展開構成では、処置中に画像を取得するために撮像デバイスを使用することができる。一実施形態では、アーム84を、格納構成に付勢することができるが、以下でさらに説明するように、器具が一次ルーメン78a内に挿入されたときに展開構成とすることができる。代替的には、アーム84は、必要に応じて、格納構成と展開構成との間でユーザによって選択的に作動(または移動)されるものであってもよい。
【0070】
例えば、特に
図6Dおよび
図6Eを参照すると、アーム84の第1の端部84aが、一次ルーメン78aの中に部分的に延びる傾斜部または他の特徴部84cを含むことができる。その結果、器具がルーメン78a内に挿入されるとき、器具が傾斜部84cに接触し、それによってアーム84を展開構成に外向きに偏向させることができる。
図6Eに見られるように、展開構成において、傾斜部84cが器具の操作に干渉しないように、傾斜部84cが管状本体72の壁と実質的に同一平面上に位置することができる。器具が取り外されると、アーム84は、格納構成に向かって自動的に戻ることができる。代替的には、アーム84は、作動されるまで、またはアクセスポート70が取り外されるまで、展開されたままであってもよく、例えば、出口経路に沿って組織に接触したときに、アームが内側に折り畳まれるようにしてもよい。別の代替例では、円形のキセノンLEDランプ(図示せず)などの周方向の光源を、アームの代わりにアクセスポートの遠位端に設けることができる。
【0071】
図7A~
図7Dに目を向けると、本明細書中のステープラ装置の何れかを使用して送達され得るステープルまたはクリップ90の例示的な一実施形態が示されている。通常、ステープル90は、ベース92、例えば、実質的に直線状のセグメントを含み、そこから、第1および第2のタイン94、96が、例えば、ベース92に対して実質的に垂直に延びている。タイン94、96は、実質的に真っ直ぐであり、それぞれの先端95、97で終端となる。このため、例えば、ベース92およびタイン94、96は、実質的に矩形の「U」字形を規定することができ、例えば、ベース92とタイン94、96との間に丸みを帯びた移行部を有する。図示のように、第1のタイン94は、第2のタイン96よりも実質的に短い長さを有する。さらに、第2のタイン96は、ベース92からその先端97までの長さが、ベース92の長さよりも長くなっている。その結果、第2のタイン96は、例えば、
図7Dに示すように、第1のタイン94に向けて曲げるか、または他の方法で変形させることができる。
【0072】
図示の例では、ステープル90が、ステープル90の長さ方向に沿って、例えば、第1のタイン94の長さ方向に沿って、ベース92に沿って、かつ第2のタイン96に沿って、実質的に均一な断面を有する。例えば、ステープルは、実質的に矩形(鋭い角を有する又は有さない矩形)、長円形または他の全体的に扁平な断面を有することができ、例えば、
図7A~
図7Dに示すように、厚さ「t」よりも大きい幅「w」を有する。
【0073】
さらに、第1のタイン94は、その先端95に隣接するノッチ98を含み、このノッチが、第2のタインが変形したときに第2のタイン96の先端97を受け入れるように構成されている。例えば、図示のように、第2のタイン97は、先端97が第1のタイン94に向かって先細になるように先端97が傾斜しており、それにより先端97がノッチ98によりよくロックされる。代替的には、
図8Aに示すように、第2のタイン96aの先端97aは、反対方向に、すなわち、第1のタイン92aから離れる方向に傾斜するものであってもよい。追加的または代替的には、ステープルは、異なる厚さの圧縮のための異なる隆起を含むことができる。
【0074】
任意選択的には、
図8Cに示すように、第1のタイン94cは、第1のタイン94cの長さ方向に沿って互いに間隔を空けた複数のノッチ98cを含むことができる。このため、この実施形態では、第2のタイン96cの先端97cが、ノッチ98cと一方向に順次噛み合い、例えば、単に最上部のノッチ98cにロックされるか、または第1のタイン94cのさらに下方のノッチの1つに下がる。
図8Cには3つのノッチ98cが示されているが、第1のタイン94cに任意の所望数(2以上)のノッチを設けることができることが理解されよう。代替的には、第1のタインは、ノッチなしで提供することができ(図示せず)、ステープラアクチュエータは、(第2のタインが曲げられた後に)第1のタインの先端を第2のタイン上で曲げるか、または変形させるように構成されるものであってもよい。
【0075】
図8Bに示す別の選択肢では、ベース92bと第2のタイン96eとの間の移行部の半径を、例えば
図7Cに示すステープル90と比較して大きくすることができ、それにより、使用中に第2のタイン96eを曲げる力を減少させることができる。
図8Dに示すさらに別の選択肢では、第1のタイン94dの先端95dが、(
図7Cに示すステープル90のように、第2のタイン96から離れる方向に向けられるのとは反対に)第2のタイン96dの方に向けられた傾斜を含むことができる。
図8Eに示すさらに別の選択肢では、ベース92eにバンプ93eを含むステープル90eを提供することができ、それにより、ステープル内に取り込まれる組織の挟み込み/閉じ込めを強化するように構成することができる。これらの選択肢は何れも、本明細書中の他の箇所で説明されるステープラ装置の何れかに含まれるステープルの1または複数に含まれ得ることが理解されよう。
【0076】
図3A~
図3Cをさらに参照すると、
図7A~
図7Dに示すステープル90(または代替物の何れか)のような複数のステープルを、第1のジョー46のレセプタクル52の各々に提供することができる。レセプタクル52がシャフト20の軸26に沿って整列された状態で、各ステープル90のベース92を、それぞれのレセプタクルの底部に載置することができ、その際に、第1のタイン94を第1のジョー46の遠位先端46bに近く、第2のタイン96を近位ハウジング42に近くに(またはその逆に)配置することができる。その結果、ステープルがレセプタクル52から上方に展開されるとき、両方のタイン94、96が、第1のジョー46の接触面46aに隣接する組織を通って駆動され、その後、ステープルが第2のジョー48に向かって上方に押されると、第2のタイン96が、第2のジョー48のそれぞれの凹部54内に受け入れられる。この動作により、第2のタイン96を第1のタイン94に向けて遠位方向に曲げるのが容易になる。このため、第2のタイン96の先端97がそれぞれのノッチ98に受け入れられるまで、第2のタイン96は、第1のタイン94の先端93に向かって組織の上方で曲げられるか又は変形され、それによりステープル90をロックし、捕捉した組織を圧縮することができる。
【0077】
図9~
図12を参照すると、アクセスポート170の別の例示的な実施形態が示されており、このアクセスポートは、細長い管状本体172と、ビデオモジュール180とを含み、このビデオモジュールは、管状本体172に結合されて、それにより、例えば、本明細書中の他の実施形態とほぼ同様に、手術空間内の画像を取得しながら、ポート170を通して患者の体内の手術空間内に1または複数の器具を導入することを可能にする。
図10に示すように、管状本体172は、近位端174と、患者の体内に導入するためのサイズの遠位端176と、近位端および遠位端174、176の間に延びる1または複数のルーメンまたは通路178とを含む。例えば、管状本体172は、
図13Aおよび
図13Bに示すステープラ装置8および/または本明細書中の他の箇所に記載のステープラ装置など、1または複数の器具をその中に受け入れるようにサイズ設定された一次ルーメン178aを含むことができる。さらに、管状本体172は、例えば一次ルーメン178aの周りの管状本体172の側壁内に配置された、1または複数の二次ルーメン178bを含む。例えば、
図12Aおよび
図12Bに最もよく見られるように、3つの二次ルーメン178bが一次ルーメン178aの一方の側に一緒に配置され、4つ目の二次ルーメン178bが一次ルーメン178aの反対側に提供されて、本明細書中の他の箇所でさらに説明するように、2セットの画像を同時に取得することができる。遠位端176における二次ルーメン178bの出口179bは、開放されるようにしても、あるいは、体液または他の物質が遠位端176から二次ルーメン178b内に入るのを防ぐために透明カバーや膜など(図示せず)を含むことができる。管状本体172は、実質的に剛性であってもよく、代替的には、管状本体172の少なくとも一部分、例えば遠位部分が、可鍛性または可撓性であってもよい(図示せず)。
【0078】
ビデオモジュール180は、通常、環状ハブ182を含み、この環状ハブから、複数の細長いスリーブ、チューブまたは他の撮像要素184が延び、それらが、例えば、管状本体172の二次ルーメン178bに対応する配置で提供される。撮像スリーブ184は、管状本体172の近位端174から同時に二次ルーメン178b内に挿入されるサイズであり、その遠位先端184bが管状本体172の遠位端176に隣接して配置されるが、例えば遠位端176より先の画像を取得するために出口184bから僅かに延出するようにしてもよい。
【0079】
任意選択的には、管状本体172の近位端174およびハブ182は、例えばアクセスポート170が単一デバイスとして操作され得るように、ハブ182を管状本体172に取り外し可能に結合するための協働コネクタ(図示せず)を含むことができる。
【0080】
さらに、管状本体172の近位端174およびハブ182の一方または両方は、1または複数のバルブまたはシール(図示せず)を含むことができ、それにより一次ルーメン178aをシールしながらも一次ルーメン178a内への器具の挿入を容易にすることができ、例えば器具の周りに実質的に液密なシールを提供することができる。こうして、本明細書中の他の箇所に記載されているように、1または複数のシールは、例えばアクセスポート170が患者の体内に導入されるときに、注入ガスまたは他の流体が一次ルーメン178aを通って逃げるのを防止することができる。
【0081】
さらに、例えばアクセスポート170上の1または複数の撮像デバイスを用いて処置を観察または他の方法で監視することを容易にするために、ディスプレイまたは他の出力デバイス186をハブ182に提供することができる。一実施形態では、ディスプレイ186が、ハブ182に取り外し可能に取り付けられ、ハブ182の対応するコネクタに結合され得る1または複数のコネクタまたはケーブル(図示せず)を含むことができる。代替的には、ディスプレイ186をハブ182に恒久的に取り付けることができる。さらなる代替例では、ディスプレイを、アクセスポート170とは別に設けることができ、本明細書中の他の実施形態と同様に、アクセスポート170から無線または有線接続を介して画像を送信することができる。
【0082】
各スリーブ184は、ステンレス鋼または他の金属、プラスチックおよび/または複合材料から形成された細長い管状本体を含むことができ、例えば1または複数の撮像コンポーネントを保持するためのルーメンを含むことができる。スリーブ184は、実質的に剛性であってもよく、代替的には、例えば管状本体172が可鍛性または柔軟性を有し非線形形状とされる場合に、ルーメン178bの形状に追従するのに十分な可撓性を有することができる。
【0083】
例示的な実施形態では、撮像スリーブ184の少なくとも1つが、画像を取得するために、その遠位先端184bにCMOS、CCDまたは他のカメラ(図示せず)を保持することができる。代替的には、遠位先端184bにレンズを提供することができ、光ファイバケーブルまたは他の光伝導体(同様に図示せず)を撮像スリーブ184を通って近位端184aまで延ばすことができ、そこで伝導体をカメラに結合して画像を取得することができる。
【0084】
同様に、撮像スリーブ184の少なくとも1つは、管状本体172の遠位端176より先に光を伝達するために、その遠位先端184bに照明源、例えば、LEDまたは他の光源を保持することができる。代替的には、LEDまたは他の光源を、ハブ180内に設けることができ、光伝導体を、撮像スリーブ184の近位端184aからそのディスプレイ先端184bまで延ばすことができる。図示の例では、ビデオモジュール180は、遠位先端184(1)にカメラを保持する一次ルーメン178aの両側にあるスリーブ184のペアと、遠位先端184(2)にLEDまたは他の照明源を保持する(またはカメラまたはLEDに結合したレンズを保持することができる)カメラスリーブのうちの1つの両側にあるスリーブ184のペアとを含み、例えば
図9Cに示すような視野を与える。この構成では、(
図13Bに示すように)エンドエフェクタ40の両側で両眼撮像を提供するために、反対側の遠位先端184b(l)から画像を実質的に同時に取得することができ、遠位先端184b(2)は、影を最小限に抑えるために軸外照明を提供するか、手術空間内の照明を強化することができる。
【0085】
使用中、撮像要素184は、遠位先端184bが管状本体172の遠位端176に隣接して配置されるまで、管状本体172の近位端174の入口175bから対応する二次ルーメン178b内に挿入することができ、例えば画像の取得を可能にするために、出口179bから望ましい距離だけ延出させることができる。任意選択的には、撮像要素184が完全に挿入されると、ハブ182および/または近位端174のコネクタが係合して、ビデオモジュール180を管状本体172に対して固定することができる。その後、本明細書中の他の実施形態と同様に、外科的処置の画像を取得しながら1または複数の器具を導入して外科的処置を実行することを可能にするために、組み立てたアクセスポート170を、患者の体内に導入することができる。例えば、
図13Aおよび
図13Bに示すように、ステープラ装置8のエンドエフェクタ40を、一次ルーメン178aを通して挿入し、本明細書中の他の箇所で説明するように、組織をステープル留めおよび/または除去することができる。
【0086】
処置の完了後、器具を一次ルーメン178aから取り外すことができ、従来の方法を使用してポート170を患者の体から取り外すことができる。ビデオモジュール180は、管状本体172から取り外された後、その後の処置で再び使用するために、洗浄、滅菌および/または他の方法で準備される。管状本体172は、単回使用であっても、あるいは処置後に廃棄されるものであってもよい。代替的には、管状本体172も、再利用のために洗浄、滅菌および/または他の方法で準備することができる。
【0087】
図14を参照すると、再利用可能なシャフト/ハンドル部分210と一体化されたビデオモジュール280を含むステープラ装置208の別の例示的な実施形態が示されている。本明細書中の他の実施形態と同様に、例えば使い捨てのエンドエフェクタ(図示せず)がシャフト220の遠位端224に結合されるように、ハンドル部分210は、通常、作動コンポーネント(図示せず)を含むハンドル230から延びるシャフト220を有する。
【0088】
前の実施形態とは異なり、複数の細長い撮像スリーブ284も、ハンドル部分210、例えばハブ282から延び、このハブからシャフト220も延びる。図示のように、撮像スリーブ284は、シャフト220の周りに放射状に配置することができ、撮像スリーブ284の遠位先端284bがシャフト220の遠位端224を越えて遠位方向に延びるように、シャフト220より長い長さを有することができる。ビデオモジュール280は、遠位先端184bより先の画像を取得するために使用される1または複数のカメラおよび/または照明源(図示せず)に結合されたハブ282(または必要に応じて、ハンドル部分210上の他の位置および/または装置280から離れた位置)に取り付けられたディスプレイ286も含むことができる。
【0089】
例えば、組織をステープル留め、焼灼および/または除去するために、他の実施形態とほぼ同様に、エンドエフェクタ(図示せず)をシャフト220の遠位端224に結合することができる。さらに、エンドエフェクタのハウジングは、例えば、
図13Bに示す構成と同様に、遠位先端284bがエンドエフェクタのジョーに隣接して配置されるように、撮像スリーブ284を受け入れることができる複数の二次ルーメン(同様に図示せず)を含むことができる。
【0090】
使用中、所望のエンドエフェクタが、撮像スリーブ284を通して受け入れられ、シャフトの遠位端224に結合され得る。任意選択的には、カートリッジ(図示せず)をエンドエフェクタのジョーの1つに装填し、その後、本明細書中の他の実施形態と同様に、外科的処置または他の医療処置を行うためにエンドエフェクタを患者の体内に導入することができる。この態様では、処置中に画像を取得するためにビデオモジュール280を使用することができる。処置の完了後、器具208は取り外すことができ、エンドエフェクタは取り外して、任意選択的に廃棄することができ、ハンドル部分210は、本明細書中の他の実施形態と同様に、別の処置で使用するために、洗浄および/または他の方法で準備することができる。
【0091】
図18Aを参照すると、再利用可能なシャフト/ハンドル部分310と一体化された撮像装置380を含むステープラ装置308のさらに別の例示的な実施形態が示されている。以下でさらに説明するように、装置308全体(撮像装置380、シャフト/ハンドル部分310およびエンドエフェクタ40を含む)を、一緒に患者の体内に導入することができ、撮像装置380は、エンドエフェクタ40の少なくとも一部分の操作を可能にしながら、実質的に静止した視野を提供することができる。
【0092】
通常、ハンドル部分310は、ハンドル330から延びるシャフト320を含み、本明細書中の他の実施形態と同様に、例えばシャフト320の遠位端に結合されたエンドエフェクタ40上のコンポーネントを作動させるための1または複数のアクチュエータ534を含む。例えば、処置の前に、使い捨てのエンドエフェクタ40をシャフト320の遠位端に接続することができるが、代替的には、恒久的なエンドエフェクタを代わりにシャフト320に設けることもできる(図示せず)。エンドエフェクタ40は、ジョー46、48と、任意選択的には、本明細書中の他の実施形態と同様に、1または複数の他のコンポーネント、例えば、ブレードまたは他の切断要素、把持器、ドップラーセンサおよび/または熱要素(図示略)などを含むことができる。
【0093】
図18D~
図18Fをさらに参照すると、撮像装置380は、スリーブ370を含み、その近位端372にある、例えばハンドル330に隣接するハブ382と、その遠位端374にある、例えばエンドエフェクタ40に近接するイメージャ384と、ハブ382に取り付けられたディスプレイ386とを含む。
図18Fに示すように、スリーブ370は、近位端および遠位端372、374の間に延在し、ハブ382のポートまたは開口部382aと連通するルーメン376を含む。任意選択的には、スリーブ370は、例えば、イメージャ384とディスプレイ386および/またはハンドル部分330内のプロセッサとの間に延びる1または複数のワイヤ、光ファイバケーブルなど(図示せず)を受け入れるための1または複数の二次ルーメンを含むことができる。
【0094】
スリーブ370に対してディスプレイ386を安定させるために、ハブ382は、マウント388に結合され、マウントは、ディスプレイ386に結合されている。例えば、
図18Fに最もよく見られるように、マウント388は、細長い本体388aを含み、その両端に、ボールまたは他の回転可能要素388cを受け入れることができるソケット388bを含み、それぞれのソケット388b内でボールまたは他の回転可能要素が回転または他の方法でスライドすることができる。各回転可能要素388cは、それぞれのソケット388bから延びるネジ付きニップルまたは他のファスナ388dを含み、これは、ハブ382およびディスプレイ386と係合することができる。例えば、
図18Fに示すように、ハブ382は、マウント388の一方のファスナ388dを受け入れるか、またはそれと係合するネジ付き開口または他のファスナ382bを含むことができ、ディスプレイ386のハウジング386aは、他のファスナ388dを受け入れるか、またはそれと係合するネジ付き開口または他のファスナ386bも含むことができる。
【0095】
マウント388は、ハブ382およびスリーブ370に対するディスプレイ386の位置を調整するために、1または複数の軸周りに調整可能であってよい。例えば、
図18Aに示すように、マウント388は、ディスプレイ386をエンドエフェクタ40に向けて遠位位置に配置するために、両方の関節の周りで調整可能であってよい。マウント388は、玉継ぎ手の柔軟性を考慮して、ディスプレイ386を様々な位置に、例えば、ハンドル330(図示せず)に対して近位側に、横方向にオフセットして配置するように調節可能であることが理解されよう。玉継ぎ手は、動きに対して十分な抵抗を有することができ、その結果、マウント388を調整することによってディスプレイ386を所望の位置に導くことができ、その後、継ぎ手がディスプレイ386をその位置に保持することができる。代替的には、継ぎ手は、1または複数の止めネジまたは他のロック機構(図示せず)を含むことができ、調節を可能にするために、それを解放することができ、その後、ディスプレイ386が所望の位置に配置されたときに、固定することができる。
【0096】
なお、所望の調整度を提供するために、ハブ382とディスプレイとの間に他のマウントを設けることができることが理解されよう。例えば、代替的な実施形態では、装置が、ディスプレイ全体を長手方向(または他の方向)に動かすことなく、ハブおよびスリーブに対するディスプレイの角度を変えるためにディスプレイを調整することを可能にする単純なピン継ぎ手(図示せず)を含むことができる。例えば、ハブは、ハブに固定されたフランジまたは他のヒンジ部材を含むことができ、それらを、ディスプレイのハウジングに設けられた凹部に、またはハウジングに固定された他の対応するヒンジ部材で受け入れることができる。このため、ディスプレイは、使用中に必要に応じて、長手方向軸に対するディスプレイの角度を増加または減少させるために、ピン継ぎ手を中心に回動させることができる。
【0097】
図18Aに戻り、さらに
図18Gおよび
図18Hを参照すると、イメージャ384は、例えば干渉嵌め、接着剤による結合、融着、協働コネクタなど(図示せず)のうちの1または複数によって、スリーブ370の遠位端374に固定されたイメージャハウジング384aと、遠位端374より先を撮像できるよう方向付けられた、例えばエンドエフェクタ40および/または遠位端374より先の手術空間の観察を可能にする、撮像要素384bとを含むことができる。例示的な実施形態では、撮像要素384bが、本明細書中の他の実施形態と同様に、処置中に画像を取得するために使用され得る、CCD、CMOSまたは他のカメラ、および1または複数の光源(図示せず)を含むことができる。
【0098】
任意選択的には、
図18Gおよび
図18Hに示す例示的な実施形態では、撮像要素384bを、回動接合部384dでハウジング384aに回動可能に取り付けられたアーム384c上に取り付けることができ、その結果、例えば撮像要素384bが、内側またはロープロファイルの向き(
図18G)と外側またはアクティブな向き(
図18H)との間で移動することができる。例えば、ロープロファイルの向きにおいて、スリーブ370のルーメン376内に延びるタブまたは他の要素384eを、回動接合部384dに設けることができる。本明細書中の他の箇所で説明するように、使用中、装置308を、ロープロファイルの向きで患者の体内に導入することができ、ステープラ装置または他のデバイス(図示せず)をルーメン376内に導入するとき、
図18Hに示すように、アーム384cを外側に向けるために、タブ384eを長手方向軸326から半径方向外側に向けることができる。代替的には、使用中に術者が撮像要素384bを必要に応じて選択的に半径方向外側または内側に向けることができるように、ハンドル330が、アーム384cに結合されるアクチュエータ(図示せず)を含むことができる。
【0099】
別の代替例では、装置308が、スリーブ370の遠位端374に対して固定された撮像要素を含むことができる。例えば本明細書中の他の箇所に記載のアクセスポートおよび他のデバイスと同様に、遠位端374より先の画像を取得するために、例えば、1または複数のカメラおよび/または光源(図示せず)を、遠位端374に隣接するスリーブ370の壁内または壁に取り付けることができる。
【0100】
図18Bおよび
図18Cに示すさらに別の代替例では、前の実施形態とほぼ同様に、例えばハンドル330に隣接する又はディスプレイ386を支持する、近位端372’にあるハブ382’と、遠位端374にあるイメージャ384’とを含むスリーブ370’を含む撮像装置380’を提供することができる。この代替例では、イメージャ384’が、アーム384c’上に撮像要素384b’を保持する回転可能なハウジング384a’を含む。ハウジング483a’は、スリーブ370’の遠位端374’に対して、軸326の周りの任意の所望の角度に回転可能であってよい。例えば、イメージャ384’は、ハンドル330上の制御装置に結合可能な1または複数のモータまたは他のアクチュエータ(図示せず)を含むことができ、それらは、ハウジング384a’を回転させるよう操作され、それにより、アーム384c’、ひいては撮像要素384b’をエンドエフェクタ40の周りの所望の位置に配置することができる。例えば、
図18Cに示すように、撮像要素384b’を、エンドエフェクタ40の右側に配置することができ(例えば、0度の角度または基点位置を規定し)、
図18Dでは、ハウジング384b’が回転されて、撮像要素384b’をエンドエフェクタ40の左側に配置することができる(例えば、軸326の周りで180°を規定する)。
【0101】
任意選択的には、ハウジング384a’は、スリーブ370’の遠位端374’に対して軸方向にも移動可能であり、それにより、例えば撮像要素384b’の焦点距離を調整することが可能である。ディスプレイ386に表示するために撮像要素384b’から信号を受信するプロセッサは、例えばソフトウェアにより、画像を補正して、撮像要素384b’の視野をズームまたは後退させることが可能である。
【0102】
さらに、任意選択的には、装置308’は、撮像要素384b’によって取得されたディスプレイ386上に表示される画像の所望の向きを実質的に維持するための1または複数の機能を含むことができる。例えば、一実施形態では、イメージャ484’のハウジング384a’に対して反対方向に回転する回転ベース(図示せず)に撮像要素384b’を取り付けることができ、例えば、撮像要素384b’をエンドエフェクタ40に対して「アップ」に向けて維持するために、アーム384c’の回転角度と同じ角度でオフセットする。これにより、ディスプレイ上の画像は、アーム384c’の移動に対応する円運動で移動するが、「トップアップ」のまま維持される。代替的には、ディスプレイ386上に表示するために撮像要素384b’から信号を受信するプロセッサは、画像を補正して、安定した視野を維持することができ、すなわち撮像要素384b’の円運動を補償することができる。
【0103】
別の実施形態では、撮像要素384b’をアーム384c’に対して固定することができ、ディスプレイ386上で表示するために撮像要素384b’から信号を受信するプロセッサは、画像を補正して、撮像要素384b’が「アップ」に向けられていなくても、安定した視野を維持することができ、すなわち「トップアップ」の視野を維持することができる。このため、アーム384c’の移動に伴って撮像要素484b’が回転すると、プロセッサは、画像を回転させてトップアップビューを維持することができる。
【0104】
図18Aに戻ると、スリーブ370、ハブ382およびイメージャ384を、装置308に恒久的に統合することができ、すなわち、スリーブ370およびハブ382を、ハンドル330に隣接するシャフト320に恒久的に取り付けることができる。一実施形態では、スリーブ370およびハブ382をシャフト320に固定することができ、それにより、スリーブ370およびハブ382が、例えばハンドル330を用いたシャフト320の導入中および/または操作中に、シャフト320と一体的に移動することができる。代替的には、スリーブ370およびハブ382を、シャフト320の動きから部分的に切り離すことができる。例えば、スリーブ370およびハブ382を、シャフト320に対して軸方向に固定するが、回転可能に切り離すことができ、それにより、シャフト320ひいてはエンドエフェクタ40が、スリーブ370に対して、よってイメージャ384に対して相対的に回転可能であってもよい。このため、処置中、例えばエンドエフェクタ40上のコンポーネントを作動させる前または作動中に、ディスプレイ386上に表示される視野内でエンドエフェクタ40を回転させることができる。
【0105】
代替的には、シャフト320(ひいてはエンドエフェクタ40)が、スリーブ370およびハブ382に対して軸方向にも移動可能であってもよい。例えば、スリーブ370がシャフト320よりも短く、それによりシャフト320が、例えばハブ382がハンドル330の一部分に接触し、かつイメージャ384がエンドエフェクタ40から最大距離だけ離間している第1の位置または遠位位置と、エンドエフェクタ40がイメージャ384にすぐ隣接する第2の位置または近位位置との間で移動することができる。任意選択的には、シャフト320は、長手方向の運動の範囲を制限するために、例えばエンドエフェクタ40に隣接する遠位端324に、1または複数の停止部を含むことができる。
【0106】
図18Fに示す別の実施形態では、ハブ382が、互いに軸方向に離間した複数のスロットまたはガイド382cを含むことができ、各スロット382cがルーメン376の外周の周りに少なくとも部分的に延びている。シャフト320の近位端322は、スロット382cのうちの1つと軸方向および/または回転方向に整列された開口またはレセプタクル323を含むことができ、止めネジ、ピンまたは他のカプラ383がスロット382cを通ってレセプタクル323内に導かれている。その結果、シャフト320は、スロット382cの周方向の長さによって制限される回転角で回転可能でありながら、スリーブ370に対して軸方向に固定され得る。必要に応じて、カプラ383をレセプタクル323から取り外し、シャフト320を他のスロット382cの1つに対して軸方向に移動させ、そこでカプラ383をレセプタクル323に再び係合させることができる。このため、イメージャ384とエンドエフェクタ40との間の軸方向距離は、使用中にエンドエフェクタ40から視野を近づけたり遠ざけたりするために変更され、シャフト320およびエンドエフェクタ40の継続した回転を可能にしながら軸方向距離を設定するためにガイドが使用されるようにしてもよい。
【0107】
使用中、患者の体内で1または複数の処置、例えば虫垂切除術を行うために、装置308(または上述した態様の何れか)を、本明細書中の他の実施形態と同様に使用することができる。最初に、処置中に装置308および/または他のデバイスの導入を可能にするために、例えば患者の皮膚を通して手術空間内にポート(図示せず)を埋め込むことができる。当技術分野で知られているように、ポートは、エンドエフェクタ40、シャフト320およびスリーブ370がポートを通して導入されるときに、例えば手術空間の注入を可能にするために、流体がポートを通して漏れるのを防止することができる1または複数のバルブまたはシール(同様に図示せず)を含むことができる。
【0108】
イメージャ384が手術空間内の所望の位置に配置されたとき、必要に応じて、ハンドル330を保持する術者がエンドエフェクタ40および手術空間を容易に見ることができるように、ディスプレイ386を配置することができる。任意選択的には、ディスプレイ386または撮像スリーブ370は、装置308および/または撮像要素384bの視野の安定化を助けるための1または複数の機能を含むことができる。例えば、格納可能な脚部のペア(図示せず)を、ディスプレイ386またはスリーブ370の底部または他の箇所に設けることができ、それらを、患者の身体に対して装置308を安定させるために展開することができる。任意選択的には、脚は調節可能であってもよく、例えば、装置308を導入した後に患者の胴体上の所望の位置に対して脚を配置するために長さおよび/または角度を調節することができる。代替的には、固定または可動フレーム(図示せず)を手術部位に設けて、それを、使用中に装置308を安定させるために、ディスプレイ386および/または撮像スリーブ370に結合することができる。
【0109】
シャフト320がスリーブ370に対して可動である場合、術者は、ハンドル330を操作して、エンドエフェクタを、例えばシャフト320とスリーブ370/ハブ38との間の接続に応じて、回転および/または軸方向に移動させることができる。その後、本明細書中の他の箇所で説明するように、術者は、例えばジョー46、48の間に組織を把持するために、ジョー48を開閉することができ、その後、例えばドップラーセンサおよび/または熱要素の使用と組み合わせて、1または複数のステープルを送達することができ、その後、ブレードを前進させて、組織を切断することができる。
【0110】
図19Aおよび
図19Bに目を向けると、本明細書中の他の箇所で説明されるステープラ装置の何れかとともに使用することができるエンドエフェクタ340の別の例示的な実施形態が示されている。通常、他の実施形態と同様に、エンドエフェクタ340は、シャフト20の遠位端24に接続され得るハウジング342(本明細書中の実施形態の何れか)を含むか、またはステープラ装置(図示せず)のシャフトに一体的に提供され得る。エンドエフェクタ340は、本明細書中の他の実施形態と同様に、1または複数のステープル(図示せず)を保持する第1および第2のジョー346、348と、任意選択的には、処置中に使用するための1または複数の追加のコンポーネント、例えば、ブレード60(
図19Aに示す)、ドップラーセンサおよび/または熱要素(図示せず)とを含む。エンドエフェクタ340が1または複数のコネクタ(図示せず)によってシャフト20に機械的に接続されるとき、当業者によって理解されるように、例えば、エンドエフェクタ340上の作動可能なコンポーネントをシャフト20内の作動要素に機械的に結合するために、かつ/またはエンドエフェクタ340上の電気的コンポーネントをシャフト20内の対応するワイヤ(図示せず)に電気的に結合するために、追加のコネクタを自動的に係合させることができる。
【0111】
本明細書における他の実施形態と同様に、第1のジョー346をハウジング342と一体的に形成するか、または他の方法でハウジング342に対して固定することができ、それにより、例えば第1のジョー346が使用中にシャフト20の長手方向軸26と整列したままとなる。第2のジョー348は、本明細書中の他の実施形態と同様に、第2のジョー348が開位置と閉位置との間で回動可能となるように、例えば1または複数のヒンジまたは他の特徴(図示せず)によって、ハウジング342に移動可能に取り付けられる。
図19Aに示すように、第1のジョー346は、使い捨てカートリッジ350を受け入れることができ、この使い捨てカートリッジは、例えば第1のジョー346のキャビティ内に受け入れられ、例えばシャフト20の軸26と整列した複数の列に配置された複数のステープル(図示せず)を保持することができる。例えば、図示の実施形態では、カートリッジ350の接触面350aが、3列に配置された凹部またはレセプタクル352を含むが、レセプタクルおよび/またはステープルは、本明細書中の他の箇所に記載される実施形態の何れかを含むことができることが理解されよう。
【0112】
前の実施形態とは異なり、エンドエフェクタ340は、ジョー346、348に対して移動可能な把持器360を含む。例えば、図示のように、把持器360は、シャフト20内のアクチュエータ(図示せず)に結合された近位端と、第1のジョー346に隣接して配置された遠位端364とを有する細長い管状本体362を含む。フィンガまたは他の把持要素368は、遠位端364から、例えば管状本体362の端部間に延びるルーメン366から遠位方向に延在することができる。図示のように、各把持要素368は、フック状の先端368aを含むことができるが、把持要素368の間で組織または他の構造を把持し易くするために他の先端を設けることができることが理解されよう。
【0113】
把持器360の管状本体362は、シャフト20の長手方向軸26と整列することができ、任意選択的には、例えば、把持要素368がジョー346、348の間または第1のジョー346の遠位先端346aのすぐ先に配置される近位位置と、把持要素368が遠位先端346aよりも遠位側に離れて配置される遠位位置との間で、第1のジョー346に対して軸方向に移動することができる。例えば、把持要素368は、把持器360全体がジョー346、348内に格納されるようにルーメン366内に完全に引き込み可能であってよく、かつ/またはジョー346、348は、把持器360がジョー346、348内に完全に引き込まれたときに把持要素368を受け入れるサイズの凹部(図示せず)を含むことができる。
【0114】
把持要素368は、本明細書中の他の実施形態と同様に、例えばシャフト20に結合されたハンドル上のアクチュエータ(図示せず)を使用して、作動するものであってもよく、例えば、把持要素368を開いて組織構造の周りに配置し、その後、少なくとも部分的に閉じてそれらの間に構造を固定することができる。例えば、把持要素368は、開位置に向けて付勢されるとともに、管状本体362のルーメン366内に延びるロッドまたはワイヤ(図示せず)に結合されるものであってもよく、その結果、把持要素368を少なくとも部分的にルーメン366内に引っ込めることにより、把持要素368を互いの方向に向けて移動させることができる。このため、ロッドまたはワイヤは、必要に応じて、管状本体362に対して軸方向に移動されて、把持要素368を展開および開放し、その後、それらを後退および閉鎖することができる。代替的には、他のアクチュエータ要素(図示せず)を把持要素368に結合して、それらを開閉することもできる。
【0115】
使用中、エンドエフェクタ340は、ステープラ装置のシャフト20(ハンドル/再利用可能な部分、および任意選択的には、本明細書中の他の実施形態と同様の撮像デバイスを含む)に接続されて、患者の体内で処置、例えば、
図20に示すような卵管結紮術を行うために使用することができる。例えば、ジョー346、348が閉じられ、把持器360が(例えば、ジョー346、348の間に、またはジョー346、348のすぐ遠位側に全体が)引っ込められた状態で、例えば患者の卵管4の1つにジョー346、348を隣接して配置するために、エンドエフェクタ340を、標的構造(図示せず)にすぐ隣接する手術空間内に導入することができる。図示のように、把持要素368が卵管4の周囲に配置されるまで、ジョー348を開き、把持器360を前進させることができる。その後、把持要素368を閉じ、かつ/または他の方法で卵管4を固定するように作動させることができ、その後、ジョー346、348の間に卵管4を配置するために、把持器360を後退させるか、またはエンドエフェクタ360を前進させることができる。本明細書中の他の実施形態と同様に、第2のジョー348を閉じて組織をクランプすることができ、1または複数のステープルを、卵管4を通して導くことができる。その後、ブレード60を前進させて、卵管4を切断することができる。その後、第2のジョー348および/または把持要素368は、卵管4の切断されてステープル留めされた端部を解放することができ、装置を取り外することができる。
【0116】
図21A~
図21Cに目を向けると、エンドエフェクタ440のジョー446、448に隣接して配置された把持器460を含むエンドエフェクタ440の別の例が示されている。本明細書における他の実施形態と同様に、エンドエフェクタ440は、ハンドル部分30のシャフト20に接続されるハウジング442(本明細書に記載の実施形態の何れか)と、組織を把持し、かつ/またはステープル(図示せず)を送達するためのジョー446、448のペアとを含む。任意選択的には、エンドエフェクタ440は、1または複数の他のコンポーネント、例えば、ブレードまたは他の切断要素、ドップラーセンサ、熱要素など(図示せず)のうちの1または複数を含むことができる。
【0117】
この実施形態では、把持器460が、ジョー346、348に隣接してハウジング442に、例えばジョー446、448の近位側のヒンジまたは接続点462で接続されている。把持器460は、把持要素468に結合される1または複数のリンケージ466を含む(2つ示されているが、それよりも少ないまたは多いリンケージを提供することができる)。リンケージ466は、ハウジング442およびシャフト20内のアクチュエータ(図示せず)に結合され、それにより、把持要素468が操作され、例えばハウジング442に対して横方向に移動され、かつ/または把持要素468を開閉することができる。例えば、把持器460は、最初はハウジング442およびジョー446、448にすぐに隣接して設けられ、手術空間内への導入を容易にするために、例えば、
図21Bに示すように、格納位置でシャフト20と実質的に軸方向に整列される。エンドエフェクタ440が手術空間内に配置されると、把持器460が作動されて、
図21Cに示すように、把持要素468をハウジング442から離すように移動させ、例えば先の実施形態と同様に、把持要素468が組織構造(図示せず)を取り囲んで保持することを可能にする。
【0118】
その後、把持器460は、組織構造をジョー446、448の間に引き込むように操作され、その後、ジョー448が閉じられ、組織構造の中にステープルが送達される。例えば、リンケージ466は、組織構造を掴むために横方向に移動しながらシャフトに対して把持要素468を軸方向に整列させるように構成され得る。把持器460が格納位置に向かって戻されるとき、組織構造は、ジョー446、448の間に引き込まれる。任意選択的には、エンドエフェクタ440がブレードまたは他の切断要素を含む場合、ステープルを送達した後、組織構造は切断され、その後、ジョー446、448および把持要素468が開いて、切断された組織構造を解放することができる。
【0119】
図22Aおよび
図22Bを参照すると、細長いシャフト520の遠位端524に取り付けられたエンドエフェクタ340を含むステープラ装置の別の代替的な実施形態が示されている。先の実施形態と同様に、エンドエフェクタ340は、1または複数のステープル(図示せず)を保持する第1および第2のジョー346、348と、任意選択的には、処置中に使用するための1または複数の追加のコンポーネント、例えば、ブレード60、ドップラーセンサおよび熱要素などを含む。さらに、エンドエフェクタ340は、先の実施形態と同様に、ジョー346、348に対して移動可能な把持器360を含む。図示のように、把持器360は、軸方向に、例えば、シャフト520内の格納位置(
図22B)から前進位置または展開位置(
図22A)まで移動可能であってよい。図示のように、把持器360は、細長い管状本体362と、管状本体362の遠位端364から遠位方向に延びるフィンガまたは他の把持要素368のペアとを含む。把持要素368は、本明細書中の他の実施形態と同様に、例えばシャフト520に結合されたハンドル(図示せず)上のアクチュエータを使用して、作動させることができる。
【0120】
さらに、管状本体562の遠位端564から延びるフィンガまたは把持要素568のペアを同様に含む第2の把持器560が提供される。把持器560は、エンドエフェクタ340に対して移動可能であってよく、例えば、
図22Cに示すように、シャフト520の壁内のルーメン528内で軸方向にスライド可能である。一実施形態では、把持器560を、ルーメン528内に後退させることができ、把持要素568をシャフト520内に引き込むことができる。任意選択的には、把持器560は、例えばシャフト520に結合されたハンドルのポートの外に、シャフト520から完全に取り外し可能であり、例えば、ルーメン528を介して把持器560を選択的に導入および/または除去することができる。追加的または代替的には、ルーメン528を介して他の補助器具(図示せず)を導入および/または除去することができる。
【0121】
使用中、エンドエフェクタ340を、シャフト520(ハンドル/再利用可能な部分と、任意選択的には、本明細書中の他の実施形態と同様の撮像デバイスとを含むステープラ装置のシャフト)に接続して、患者の体内で処置を行うために使用することができる。把持器360、560は、前進および/または他の方法で操作されることにより、把持要素368、568を使用して、必要に応じて組織構造を保持および/または操作し、例えばジョー346、348の間に組織構造を配置することができる。その後、本明細書における他の実施形態と同様に、第2のジョー348を閉じて組織をクランプし、1または複数のステープルを組織構造を通して送達し、かつ/またはその後、ブレード60を前進させて組織を切断することができる。その後、第2のジョー348および/または把持要素368、568が、組織の切断されてステープル留めされた端部を解放することができ、装置を取り外すことができる。
【0122】
図22Cを参照すると、把持器368、568を展開および/または格納するために提供され得るシャフト520’の例示的な詳細が示されている。図示のように、シャフト520’は、
図22Aおよび
図22Bに示す第1の把持器368をスライド可能に受け入れることができる中央ルーメン527’を含む。他の補助器具(図示せず)も、中央ルーメン527’を介して、例えばエンドエフェクタ340のジョー346、348の間に導入できることが理解されよう。必要に応じて、例えば組織を焼灼、切除または他の方法で処理するために、ジョー346、348の間にかつ/またはエンドエフェクタ340を越えて遠位側に、例えばレーザーまたは他の凝固デバイス(図示せず)を、ルーメン527’を介して導入することができる。
【0123】
さらに、
図22Cに示すように、第2の把持器568および/または他の器具を受け入れるために、1または複数の補助ルーメン528’(2つは、互いに108度オフセットして示されている)をシャフト520’の壁内に設けることができる。一実施形態では、補助ルーメン528a’が、シャフト520’から横方向外側に器具を導くための傾斜した出口529a’を含むことができ、または補助ルーメン528b’は、必要に応じて、1または複数の補助ルーメン528’を介して導入される1または複数の器具に応じて、エルボ出口529b’を含むことができる。
【0124】
図23を参照すると、本明細書中の他の箇所に記載されているように、例えば腹腔鏡で処置を行うための様々な装置を提供するために組み合わせることができるアクチュエータおよびエンドエフェクタの概要が示されている。例えば、アクチュエータは、シャフト20に結合されたハンドル30を含む、再利用可能なハンドル/シャフト部分10、または本明細書中の他の箇所に記載されているようなロボット制御システム10’を含むことができる。処置に応じて、所望のエンドエフェクタを選択してシャフト20、20’に結合し、その後、患者の体内に導入することができる。例えば、ジョー46、48の間に捕捉された組織構造をステープル留めするためにエンドエフェクタ40のハウジング42をシャフト20、20’に接続することができる。任意選択的には、エンドエフェクタ40は、特定の処置の必要性に応じて、本明細書中の他の実施形態と同様の1または複数のコンポーネント、例えば、ブレードまたは他の切断要素、把持器、ドップラーセンサおよび/または熱要素を含むことができる。
【0125】
代替的には、他のエンドエフェクタ240を、シャフト20、20’に接続して、例えばエンドエフェクタ40と交換することができる。例えば、エンドエフェクタ240aは、フック状の先端を有する把持要素248aのペアを含むことができ、一方、エンドエフェクタ240bは、ワニ口のジョー248bのペアを含むことができ、何れも作動させることにより開閉して、組織を把持および/または他の方法で操作することができる。エンドエフェクタ240cは、ループ248c内の組織構造を把持するために拡張および/または収縮され得るループ248cを含む。
【0126】
図24を参照すると、湾曲したベース192を含み、そのベースから両側のアーム194が延びて、例えば略「U」形状または「V」形状を規定するクリップまたはファスナ190の別の実施例が示されている。クリップ190は、本明細書における他のファスナと同様に、可鍛性を有するか変形可能なステンレス鋼または他の生体適合性材料から形成することができる。例えば、
図25に示すように、クリップ190は、本明細書に記載の実施形態の何れかであるエンドエフェクタ40のジョー46、48の間に保持され、例えばアーム194がジョー46、48の対向する接触面に沿って延びるようになっている。ジョー46、48は、クリップ190のベース192を保持および/または安定させるための凹部または他の特徴を含むことができる。
【0127】
使用中、エンドエフェクタ40は、本明細書中の他の実施形態と同様に、手術空間内に導入され、アーム194とジョー46、48との間に組織構造が配置され得る。例えば、第2のジョー48は、作動されることにより閉じて、本明細書中の他の実施形態と同様に、第1のジョー46に向かって回動し、それによりクリップ190のアーム194を互いの方に近付けて、例えば、組織構造の周りでアーム194をクランプすることができる。この動作により、クリップ190の少なくともベース192が塑性変形し、その後の第2のジョー48の開放によってクリップ190が組織構造の周りに固定されたままにすることができる。エンドエフェクタ40は、クリップ190を残して取り外することができ、かつ/または追加の処置を行うことができる。例えば、エンドエフェクタ40がブレードまたは他の切断要素を含む場合、ブレードを作動させることにより組織構造を切断することができ、かつ/またはエンドエフェクタ40が熱要素を含む場合、熱要素を作動させることにより、組織を焼灼することができる。
【0128】
代替的には、引用により本明細書中に援用される仮出願に記載されるものなど、本明細書中のステープラ装置の何れかを使用して他のステープルまたはクリップを送達できることが理解されよう。
【0129】
本明細書における任意の実施形態とともに示される要素またはコンポーネントは、特定の実施形態について例示的なものであり、本明細書に開示の他の実施形態で、またはそれらと組み合わせて使用され得ることが理解されよう。さらに、本明細書中の装置は、虫垂切除術中の特定の使用について説明してきたが、本明細書中の装置および方法は、例えば、患者の腸、肺、血管系および他の位置の標的組織をステープル留めして除去することが望まれる、例えば開放型手術、低侵襲手術、腹腔鏡下手術および他の処置を含む様々な外科的処置において使用され得ることが理解されよう。
【0130】
本発明は、様々な修正および代替的な形態が可能であるが、その特定の例が図面に示され、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるべきではなく、対照的に、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるすべての修正、均等物および代替物を包含するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】