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特表2023-506486多官能性プローブを使用する生物発光検出用組成物及び生物発光検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】多官能性プローブを使用する生物発光検出用組成物及び生物発光検出方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/46 20060101AFI20230209BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20230209BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230209BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230209BHJP
   C12Q 1/34 20060101ALI20230209BHJP
   C07D 493/10 20060101ALI20230209BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20230209BHJP
   C12N 9/14 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
C07D207/46
C12N5/09 ZNA
C12Q1/02
C12N5/071
C12Q1/34
C07D493/10 E CSP
G01N33/48 M
C12N9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535705
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020064047
(87)【国際公開番号】W WO2021119149
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/946,237
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】593089149
【氏名又は名称】プロメガ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ヴィデュギリーネ ジョランタ
(72)【発明者】
【氏名】ホフスティーン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】カリ ジェームズ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】デュエルマン サラ
(72)【発明者】
【氏名】ワン フイ
(72)【発明者】
【氏名】カラッシナ ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウェンフイ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B050
4B063
4B065
4C071
【Fターム(参考)】
2G045CB01
2G045FB13
4B050CC03
4B050CC04
4B050DD02
4B050KK03
4B050LL03
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ05
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QQ08
4B063QQ09
4B063QQ30
4B063QQ79
4B063QR10
4B063QR55
4B063QS28
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065BD25
4B065BD44
4B065CA46
4C071AA04
4C071AA07
4C071BB01
4C071BB07
4C071CC12
4C071DD40
4C071EE05
4C071FF17
4C071HH09
4C071HH18
4C071HH28
4C071JJ01
4C071JJ05
4C071KK14
4C071LL01
(57)【要約】
本明細書では、二官能性プローブを使用して生物発光アッセイを実施するための材料及び方法が提供される。詳細には、本開示は、生体分子を検出及び/もしくは定量化するための、及び/または上記生体分子に結合し、生物発光シグナル及び/または蛍光シグナルを生成することが可能である二官能性プローブを使用して、上記生体分子に関連する細胞プロセスをアッセイするための組成物ならびに方法を提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
A-X-B (I)
(式中、
Aは捕捉因子であり、
Xはリンカーであり、
Bは生体分子反応性基である)
の化合物またはその塩。
【請求項2】
Aが酵素の共有結合性基質である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
Aがハロアルキル基を含む、請求項2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
Aが式-(CH2n-X
(式中、
nは4、5、6、7、もしくは8であり、
Xはハロゲンである)
を有する、請求項3に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
Aが式-(CH26-Clを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
Bがタンパク質上のアミノ基と共有結合を形成することが可能であるタンパク質反応性基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
Bが、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
Bがスクシンイミジルエステルである、請求項7に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
前記リンカーが、アルキレン基、アリーレン基、-O-基、-NH-基、カルバミン酸エステル基、及び-C(O)-基から独立に選択される1種以上の基を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項10】
前記リンカーが式:
の基を含む、請求項9に記載の化合物またはその塩。
【請求項11】
前記リンカーが、第2の捕捉因子A’で置換された炭素もしくは窒素原子を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
A’が第2のリンカー(リンカー’)によって前記炭素原子または窒素原子に結合している、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記リンカー’が、アルキレン基、アリーレン基、-O-基、-NH-基、カルバミン酸エステル基、及び-C(O)-基から独立に選択される1種以上の基を含む、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
A’がハロアルキル基を含む、請求項11~13のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項15】
A’が式-(CH26-Clを有する、請求項14に記載の化合物またはその塩。
【請求項16】
前記リンカーがフルオロフォアで置換された炭素原子もしくは窒素原子を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項17】
前記フルオロフォアがリンカー(リンカー”)によって前記炭素原子または窒素原子に結合している、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
リンカー”が、アルキレン基、アリーレン基、-O-基、-NH-基、カルバミン酸エステル基、及び-C(O)-基から独立に選択される1種以上の基を含む、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
細胞透過性である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項20】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項21】
細胞不透過性である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項22】
細胞の標識方法であって、前記細胞を有効量の請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物と接触させることを含み、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成し、それによって前記細胞を標識する前記方法。
【請求項23】
有効量の請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物で標識された細胞。
【請求項24】
癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、脳もしくは脊髄の腫瘍、胚細胞腫瘍、神経内分泌腫瘍、またはカルチノイド腫瘍に由来する、請求項23に記載の細胞。
【請求項25】
(a)細胞を、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞を、一組の捕捉/検出試薬であって、
第1の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の一方と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含み、
第2の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の他方と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤、または前記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤の1つと
を含む、前記一組の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(c)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(d)生物発光をモニターする及び/または検出することと
を含む方法。
【請求項26】
前記細胞との接触物から未結合のプローブを除去するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記未結合のプローブが、前記細胞を洗浄することによって前記細胞との接触物から除去される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記未結合のプローブが、遠心分離によって前記細胞との接触物から除去される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記未結合のプローブが、ステップ(a)と(b)との間で前記細胞との接触物から除去される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
刺激または条件によって、前記細胞が細胞死する及び/または透過性となる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞が、ステップ(a)と(b)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞が、ステップ(b)と(c)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞が、ステップ(c)と(d)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記捕捉/検出試薬を、前記細胞上のもしくは前記細胞から放出される任意の生体分子上に提示される前記捕捉因子に結合させる、及び/または前記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合させるステップをさらに含み、前記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬が、隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することにより、前記生物発光複合体が形成されることとなる、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
前記プローブが細胞透過性であり、前記細胞内の生体分子を標識することが可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
前記プローブが細胞不透過性であり、前記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
第1の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含み、
第2の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
第1の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含み、
第2の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の他方と、
(ii)前記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤と
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記結合剤が抗体または抗体フラグメントである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記結合剤が生体分子または小分子である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記結合剤がアネキシンVである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含み、
第2の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分またはペプチド成分の他方と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤、前記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤、及びフルオロフォアの1種と
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項46】
前記捕捉因子がハロアルキル基であり、前記捕捉剤がハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である、請求項25に記載の方法。
【請求項47】
前記生体分子反応性基が、前記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである、請求項25に記載の方法。
【請求項48】
前記プローブが細胞透過性である、請求項25に記載の方法。
【請求項49】
前記修飾デハロゲナーゼ酵素が、配列番号16に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項51】
前記相補的ペプチド成分が、配列番号10に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
相補的な系が2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上が捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項53】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、共に配列番号14に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号12に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、配列番号11及び13に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いに接触させることによる、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することを介する促進がない場合には、生物発光複合体を効率的に形成することがない、請求項50及び51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記生物発光複合体が、適宜の基質の存在下で、個々のペプチド成分及びポリペプチド成分のいずれか、ならびにペプチド成分及びポリペプチド成分の任意の対の、前記適宜の基質の存在下での生物発光と比較した場合に、生物発光の有意な増大を示す、請求項25~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記生物発光複合体の前記基質がセレンテラジンまたはセレンテラジン類似体である、請求項25に記載の方法。
【請求項58】
前記刺激または条件が、治療剤、免疫療法剤、または化学療法剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項59】
生物発光がルミノメーターを使用してモニターされる、請求項25に記載の方法。
【請求項60】
(a)細胞を、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞との接触物から未結合のプローブを除去することと
を含む方法。
【請求項61】
前記未結合のプローブが前記細胞を洗浄することによって前記細胞との接触物から除去される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記未結合のプローブが遠心分離によって前記細胞との接触物から除去される、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
(c)前記細胞を、一組の捕捉/検出試薬であって、
第1の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の一方と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含み、
第2の捕捉/検出試薬が、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の他方と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤、前記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤の1つと
を含む、前記一組の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(d)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(e)生物発光をモニターする及び/または検出することと
をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
刺激または条件によって、前記細胞が細胞死する及び/または透過性となる、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記捕捉/検出試薬を、前記細胞上のもしくは前記細胞から放出される任意の生体分子上に提示される前記捕捉因子に、及び/または前記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合させるステップをさらに含み、前記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬が、隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することにより、前記生物発光複合体が形成されることとなる、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記プローブが細胞透過性であり、前記細胞内の生体分子を標識することが可能である、請求項60に記載の方法。
【請求項70】
前記プローブが細胞不透過性であり、前記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である、請求項60に記載の方法。
【請求項71】
前記捕捉因子がハロアルキル基であり、前記捕捉剤が、ハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能である修飾デハロゲナーゼ酵素である、請求項60に記載の方法。
【請求項72】
前記生体分子反応性基が、前記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである、請求項60に記載の方法。
【請求項73】
前記プローブが細胞透過性である、請求項60に記載の方法。
【請求項74】
前記修飾デハロゲナーゼ酵素が、配列番号16に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項60に記載の方法。
【請求項76】
前記相補的ペプチド成分が、配列番号10に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
相補的な系が2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上が捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項60に記載の方法。
【請求項78】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、共に配列番号14に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号12に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、配列番号11及び13に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いに接触させることによる、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することを介する促進がない場合には、生物発光複合体を効率的に形成することがない、請求項60~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記生物発光複合体が、適宜の基質の存在下で、個々のペプチド成分及びポリペプチド成分のいずれか、ならびにペプチド成分及びポリペプチド成分の任意の対の、前記適宜の基質の存在下での生物発光と比較した場合に、生物発光の有意な増大を示す、請求項60~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記生物発光複合体の前記基質がセレンテラジンまたはセレンテラジン類似体である、請求項60に記載の方法。
【請求項83】
前記刺激または条件が、治療剤、免疫療法剤、または化学療法剤である、請求項60に記載の方法。
【請求項84】
生物発光がルミノメーターを使用してモニターされる、請求項60に記載の方法。
【請求項85】
(a)細胞を、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞を、
(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(c)前記細胞を、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることであって、前記ポリペプチド成分及び前記ペプチド成分が、これらを互いに近接させた場合に、生物発光複合体を形成することが可能である、前記接触させることと、
(d)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(e)生物発光をモニターする及び/または検出することと
を含む方法。
【請求項86】
前記細胞との接触物から未結合のプローブを除去することをさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記未結合のプローブが、前記細胞を洗浄することによって前記細胞との接触物から除去される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記未結合のプローブが、遠心分離によって前記細胞との接触物から除去される、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記未結合のプローブが、ステップ(a)と(b)との間で前記細胞との接触物から除去される、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項92】
刺激または条件によって、前記細胞が細胞死する及び/または透過性となる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記細胞が、ステップ(a)と(b)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記細胞が、ステップ(c)と(d)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記細胞が、ステップ(d)と(e)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記細胞が細胞死する及び/または透過性となることによって、前記細胞から生体分子が曝露される及び/または放出される、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬が隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することによって、前記生物発光複合体が形成されることとなる、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する、請求項85に記載の方法。
【請求項99】
前記プローブが細胞透過性であり、前記細胞内の生体分子を標識することが可能である、請求項85に記載の方法。
【請求項100】
前記プローブが細胞不透過性であり、前記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である、請求項85に記載の方法。
【請求項101】
前記捕捉因子がハロアルキル基であり、前記捕捉剤が、ハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である、請求項85に記載の方法。
【請求項102】
前記生体分子反応性基が、前記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである、請求項85に記載の方法。
【請求項103】
前記修飾デハロゲナーゼ酵素が、配列番号16に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項85に記載の方法。
【請求項105】
前記相補的ペプチド成分が、配列番号10に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
相補的な系が2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上が捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項85に記載の方法。
【請求項107】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、共に配列番号14に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号12に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、配列番号11及び13に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
(a)細胞を、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞を、
(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分または相補的ペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(c)前記細胞を、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と、
(ii)前記細胞上の生体分子に直接結合することが可能な結合剤と
を含む第2の非共有結合性結合/検出試薬と接触させることであって、前記ポリペプチド成分及び前記ペプチド成分が、これらを互いに近接させた場合に、生物発光複合体を形成することが可能である、前記接触させることと、
(d)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(e)生物発光をモニターする及び/または検出することと
を含む方法。
【請求項110】
前記細胞との接触物から未結合のプローブを除去することをさらに含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記未結合のプローブが、前記細胞を洗浄することによって前記細胞との接触物から除去される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記未結合のプローブが、遠心分離によって前記細胞との接触物から除去される、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記未結合のプローブが、ステップ(a)と(b)との間で前記細胞との接触物から除去される、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
前記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む、請求項109に記載の方法。
【請求項115】
前記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む、請求項109に記載の方法。
【請求項116】
刺激または条件によって、前記細胞が細胞死する及び/または透過性となる、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記細胞が、ステップ(a)と(b)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞が、ステップ(c)と(d)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記細胞が、ステップ(d)と(e)との間で前記刺激または条件に曝露される、請求項115に記載の方法。
【請求項120】
前記細胞が細胞死する及び/または透過性となることによって、前記細胞から生体分子が曝露される及び/または放出される、請求項116に記載の方法。
【請求項121】
前記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬及び非共有結合性結合/検出部分が、隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することによって、前記生物発光複合体が形成されることとなる、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する、請求項109に記載の方法。
【請求項123】
前記プローブが細胞透過性であり、前記細胞内の生体分子を標識することが可能である、請求項109に記載の方法。
【請求項124】
前記プローブが細胞不透過性であり、前記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である、請求項109に記載の方法。
【請求項125】
前記結合剤が抗体または抗体フラグメントである、請求項109に記載の方法。
【請求項126】
前記結合剤が生体分子または小分子である、請求項109に記載の方法。
【請求項127】
前記結合剤がアネキシンVである、請求項126記載の方法。
【請求項128】
前記捕捉因子がハロアルキル基であり、前記捕捉剤がハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である、請求項109に記載の方法。
【請求項129】
前記生体分子反応性基が、前記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである、請求項109に記載の方法。
【請求項130】
前記修飾デハロゲナーゼ酵素が、配列番号16に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項109に記載の方法。
【請求項132】
前記相補的ペプチド成分が、配列番号10に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
相補的な系が2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上が捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項109に記載の方法。
【請求項134】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、共に配列番号14に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号12に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分が、配列番号11及び13に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
(a)細胞集団を、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)未結合のプローブ及び死細胞を標識された生細胞の集団から除去することと、
(c)前記標識された生細胞の集団を固定化する及び透過性にすることと、
(d)固定化された及び透過性になった細胞集団を、
(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、
(ii)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
を含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(e)前記固定化された及び透過性になった細胞集団を、
(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分と、
(ii)フルオロフォアと
を含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることであって、前記ポリペプチド成分及び前記ペプチド成分が生物発光複合体を形成することが可能である、前記接触させることと、
(f)発光及び/または蛍光を検出することと
を含む方法。
【請求項137】
発光及び/または蛍光が、蛍光撮像、フローサイトメトリー、及び/または発光測定によって検出される、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記捕捉因子がハロアルキル基であり、前記捕捉剤がハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
前記生体分子反応性基が、前記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである、請求項136に記載の方法。
【請求項140】
前記修飾デハロゲナーゼ酵素が、配列番号16に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項141】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項136に記載の方法。
【請求項142】
前記相補的ペプチド成分が、配列番号11に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、前記相補的ポリペプチド成分が、配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物と、一組の捕捉/検出試薬とを含む多官能性プローブを備えるキットであって、
それぞれの捕捉/検出試薬が、
(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、
(ii)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と
の融合物を含む前記キット。
【請求項144】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17の配列に対する70%以上の配列同一性を含む、請求項143に記載のキット。
【請求項145】
第1の捕捉/検出試薬が、配列番号11に対する70%以上の配列同一性を含む相補的ペプチドを含み、第2の捕捉/検出試薬が、配列番号13に対する70%以上の配列同一性を含む相補的ペプチドを含む、請求項144に記載のキット。
【請求項146】
前配列番号12または19に対する70%以上の配列同一性を含む相補的ポリペプチドをさらに備える、請求項143に記載のキット。
【請求項147】
前記捕捉剤が、配列番号16に対する70%以上の配列同一性を含む、請求項143に記載のキット。
【請求項148】
セレンテラジン基質またはセレンテラジン類似体基質をさらに備える、請求項143に記載のキット。
【請求項149】
(a)(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、
(ii)相補的ポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能なペプチド成分と
の融合物を含む第1の捕捉/検出試薬と、
(b)(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、
(ii)前記ペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能なポリペプチド成分と
の融合物を含む第2の捕捉/検出試薬と
を備えるキット。
【請求項150】
前記捕捉剤が配列番号16に対する70%以上の配列同一性を含む、請求項149に記載のキット。
【請求項151】
前記ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17の配列に対する70%以上の配列同一性を含む、請求項149に記載のキット。
【請求項152】
セレンテラジン基質またはセレンテラジン類似体基質をさらに備える、請求項151に記載のキット。
【請求項153】
前記ペプチドが配列番号10に対する70%以上の配列同一性を含み、前記相補的ポリペプチドが配列番号9に対する70%以上の配列同一性を含む、請求項151に記載のキット。
【請求項154】
(a)(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、
(ii)相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能な第1のペプチド成分と
の融合物を含む第1の捕捉/検出試薬と、
(b)(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、
(ii)相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能な第2のペプチド成分と
の融合物を含む第2の捕捉/検出試薬と
を備えるキットであって、
前記第1のペプチド成分及び第2のペプチド成分は共に、配列番号14に対する少なくとも70%の配列同一性を含み、前記ポリペプチド成分は、配列番号12または19に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、前記キット。
【請求項155】
前記捕捉剤が配列番号16に対する70%以上の配列同一性を含む、請求項154に記載のキット。
【請求項156】
(a)細胞を、請求項21に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞の表面上の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞を、
(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
(ii)生物発光複合体の第1の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と
を含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(c)前記細胞を、
(i)第2の生体分子に安定的に結合することが可能な第2の生体分子反応性基と、
(ii)前記生物発光複合体の第2の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と
を含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(d)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(e)前記細胞を刺激または条件に曝露することと、
(f)前記捕捉/検出試薬をそれぞれ前記捕捉因子及び第2の生体分子に結合させることであって、隣接する位置にある捕捉/検出試薬が結合することにより、前記生物発光複合体が形成されることとなる、前記結合させることと、
(g)生物発光基質の存在下で生物発光をモニターする及び/または検出することであって、生物発光の量が、前記細胞の外表面上の生体分子の量に比例する、前記モニターする及び/または検出することと
を含む方法。
【請求項157】
(a)細胞を、請求項21に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞の表面上の生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞を洗浄して、前記細胞から未結合のプローブを除去することと、
(c)前記細胞を、
(i)前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と
(ii)生物発光複合体の第1の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と
を含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(d)前記細胞を、
(i)第2の生体分子に安定的に結合することが可能な第2の生体分子反応性基/結合基と、
(ii)前記生物発光複合体の第2の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と
を含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることと、
(e)前記細胞を刺激または条件に曝露することと、
(f)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(g)前記捕捉/検出試薬をそれぞれ前記捕捉因子及び第2の生体分子に結合させることであって、隣接する位置にある捕捉/検出試薬が結合することにより、前記生物発光複合体が形成されることとなる、前記結合させることと、
(h)生物発光基質の存在下で生物発光をモニターする及び/または検出することと
を含む方法。
【請求項158】
前記捕捉因子がハロアルキル基であり、前記捕捉剤が、ハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である、請求項156または157に記載の方法。
【請求項159】
前記生体分子反応性基が、前記細胞の細胞外生体分子上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである、請求項156または157に記載の方法。
【請求項160】
前記修飾デハロゲナーゼ酵素が配列番号16に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項156または157に記載の方法。
【請求項162】
相補的な系が2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上が捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項156または157に記載の方法。
【請求項163】
前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分が共に、1種以上の、さらなる捕捉剤に融合したさらなるペプチドまたはポリペプチド成分と共に、配列番号17に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である、請求項156または157に記載の方法。
【請求項164】
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いに接触させることによる、前記捕捉剤が前記捕捉因子に結合することを介する促進がない場合には、生物発光複合体を効率的に形成することがない、請求項162または163に記載の方法。
【請求項165】
前記生物発光複合体が、適宜の基質の存在下で、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の任意の組み合わせの、前記適宜の基質の存在下での生物発光と比較した場合に、生物発光の有意な増大を示す、請求項157~164のいずれか1項に記載の方法。
【請求項166】
前記生物発光複合体の前記基質がセレンテラジンまたはセレンテラジン類似体である、請求項156または157に記載の方法。
【請求項167】
前記刺激または条件によって、前記細胞から前記第2の生体分子が放出される、請求項156または157に記載の方法。
【請求項168】
前記刺激または条件によって、細胞死、膜透過性化、能動輸送機序、免疫応答、拡散の促進、前記細胞からの分泌、または小胞中での放出が生じる、請求項156または157に記載の方法。
【請求項169】
生物発光がルミノメーターを使用してモニターされる、請求項156または157に記載の方法。
【請求項170】
(a)細胞を、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物であって、前記生体分子反応性基が、前記細胞上または前記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する前記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、
(b)前記細胞を、前記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分とを含む捕捉/検出試薬と接触させることと、
(c)前記細胞を、生物発光複合体の前記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分の他方に連結したフルオロフォアを含む検出試薬と接触させることと、
(d)前記細胞を前記生物発光複合体の基質と接触させることと、
(e)前記捕捉/検出試薬を前記捕捉因子に結合させること、及び前記検出試薬に前記捕捉/検出試薬との生物発光複合体を形成させることと、
(f)前記フルオロフォアからの蛍光及び/または、生物発光基質の存在下での、前記生物発光複合体からの生物発光をモニターする及び/または検出することと
を含む方法。
【請求項171】
前記相補的ペプチドが配列番号11に対する少なくとも70%の配列同一性を含み、前記相補的ポリペプチドが配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記細胞を、細胞死させることが可能である刺激または条件に曝露することをさらに含む、請求項170に記載の方法。
【請求項173】
(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、
(b)生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、
(c)生物発光複合体のペプチド成分に融合した第2の捕捉剤または生体分子結合剤と、
(d)前記生物発光複合体の基質と
を備えるキットであって、
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、これらを互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、前記捕捉剤が隣接する捕捉因子に結合することにより、生物発光複合体を形成し、
前記生物発光複合体が前記基質の存在下で発光を生じる、
前記キット。
【請求項174】
細胞または細胞を含む試料を、請求項173に記載のキットの構成要素と接触させることを含む方法。
【請求項175】
(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、
(b)生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、
(c)生物発光複合体のペプチド成分に連結したフルオロフォアと、
(d)前記生物発光複合体の基質と
を備えるキットであって、
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、これらを外部からの促進なしに互いに共局在化させた場合に、前記生物発光複合体を形成し、
前記生物発光複合体が前記基質の存在下で発光を生じる、
前記キット。
【請求項176】
前記ペプチド成分が配列番号11に対する少なくとも70%の配列同一性を含み、前記ポリペプチド成分が配列番号9に対する少なくとも70%の配列同一性を含む、請求項175に記載のキット。
【請求項177】
細胞または細胞を含む試料を、請求項175に記載のキットの構成要素と接触させることを含む方法。
【請求項178】
(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、
(b)生物発光複合体のポリペプチドまたはペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、
(c)生物発光複合体の前記ポリペプチドまたはペプチド成分の他方に融合した標的特異的結合剤と、
(d)前記生物発光複合体の基質と
を備えるキットであって、
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、これらを互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、前記捕捉剤及び標的特異的結合剤が隣接する捕捉因子及び標的に結合することにより、前記生物発光複合体を形成し、
前記生物発光複合体が前記基質の存在下で発光を生じる、
前記キット。
【請求項179】
細胞または細胞を含む試料を、請求項178に記載のキットの構成要素と接触させることを含む方法。
【請求項180】
(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、
(b)生物発光複合体の第1のペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、
(c)生物発光複合体の第2のペプチド成分に融合した第2の捕捉剤と、
(d)生物発光複合体のポリペプチド成分と、
(e)前記生物発光複合体の基質と
を備えるキットであって、
前記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、前記ペプチド成分を互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、前記捕捉剤が隣接する捕捉因子に結合することにより、前記生物発光複合体を形成し、
前記生物発光複合体が前記基質の存在下で発光を生じる、
前記キット。
【請求項181】
細胞または細胞を含む試料を、請求項180に記載のキットの構成要素と接触させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月10日出願の米国仮特許出願第62/946,237の優先権を主張し、上記出願は本記述をもって、その全体が援用される。
【0002】
本明細書では、多官能性プローブ(例えば、二官能性、三官能性など)を使用して生物発光アッセイを実施するための材料及び方法が提供される。詳細には、本開示は、生体分子を検出及び/もしくは定量化するための、及び/または上記生体分子に結合し、生物発光シグナル及び/もしくは蛍光シグナルを生成することが可能である多官能性プローブを使用して、上記生体分子に関連する細胞プロセスをアッセイするための組成物ならびに方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
細胞ベースのアッセイは、簡素、効率的、且つ費用効果の高い動物実験の代替手段を提供することから、特に創薬の文脈において、さまざまな環境刺激に対する細胞応答の評価の不可欠な部分である。細胞ベースのアッセイの結果は通常、薬物、化合物、外部刺激などに対する細胞応答に依存しているため、一貫性のある正確な実験結果を生み出すための重要な要素は、培養細胞の使用である。現在、細胞ベースのアッセイの大部分は、平坦で剛直な基板上で培養された従来の2次元(2D)単層細胞を使用している。2D細胞培養は細胞ベースの研究にとって価値のある方法ではあるが、いくつかの制限がある。例えば、インビボ環境のほとんどすべての細胞は、3次元(3D)の様式で他の細胞及び細胞外マトリクス(ECM)に囲まれていることから、2D細胞培養では細胞の天然の3D環境を十分に考慮しているとはいえない。しかしながら、2D及び3D細胞培養形式の両方における共培養細胞を使用して実施される実験は、環境刺激に対する当該細胞の応答を反映する正確なデータを生み出すために、1つの細胞集団及び/または1組の細胞タンパク質を特異的に標識するという技術的な難題によって妨げられる。例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を有する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)またはナチュラルキラー(NK)細胞によって生じる標的がん細胞の死を測定するなどの、細胞の不均一な混合物内の特定の細胞集団の応答を測定することは有益である。多くの場合、生細胞から標識プローブが非特異的に放出されることにより、これらの形態の検討の有用性が、生理学的により妥当なタイムスケールではなく、短期間の測定のみに制限される。したがって、共培養環境の文脈内で細胞及び/またはタンパク質の特異的な標識が容易になる細胞ベースのアッセイ及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、本明細書では、式(I):
A-X-B (I)
(式中、Aは捕捉因子であり、Xはリンカーであり、Bは生体分子反応性基である)の化合物またはその塩を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、Aは酵素の共有結合性基質である。いくつかの実施形態において、Aはハロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Aは式-(CH2n-X(式中、nは4、5、6、7、または8であり、Xはハロゲンである)を有する。いくつかの実施形態において、Aは式-(CH26-Clを有する。いくつかの実施形態において、Bはタンパク質上のアミノ基と共有結合を形成することが可能であるタンパク質反応性基である。いくつかの実施形態において、Bは、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルから選択される。いくつかの実施形態において、Bはスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、Bはマレイミドである。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、アルキレン基、アリーレン基、-O-基、-NH-基、カルバミン酸エステル基、及び-C(O)-基から独立に選択される1種以上の基を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは式:
【化1】
の基を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、第2の捕捉因子A’で置換された炭素原子または窒素原子を含む。いくつかの実施形態において、A’は第2のリンカー(リンカー’)によって上記炭素原子または窒素原子に結合している。いくつかの実施形態において、上記リンカー’は、アルキレン基、アリーレン基、-O-基、-NH-基、カルバミン酸エステル基、及び-C(O)-基から独立に選択される1種以上の基を含む。いくつかの実施形態において、A’はハロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、A’は式-(CH26-Clを有する。いくつかの実施形態において、上記リンカーはフルオロフォアで置換された炭素原子もしくは窒素原子を含む。いくつかの実施形態において、上記フルオロフォアはリンカー(リンカー”)によって上記炭素原子または窒素原子に結合している。いくつかの実施形態において、リンカー”は、アルキレン基、アリーレン基、-O-基、-NH-基、カルバミン酸エステル基、及び-C(O)-基から独立に選択される1種以上の基を含む。いくつかの実施形態において、上記化合物は細胞透過性である。いくつかの実施形態において、上記化合物は、
【化2】
から選択される。いくつかの実施形態において、上記化合物は細胞不透過性である。
【0005】
いくつかの実施形態において、本明細書では、細胞の標識方法であって、上記細胞を有効量の本明細書の多官能性プローブと接触させることを含み、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成し、それによって上記細胞を標識する上記方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、本明細書では、有効量の本明細書の多官能性プローブで標識された細胞が提供される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、脳もしくは脊髄の腫瘍、胚細胞腫瘍、神経内分泌腫瘍、またはカルチノイド腫瘍に由来する。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、本明細書の多官能性プローブであって、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する上記多官能性プローブを含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞を、一組の捕捉/検出試薬であって、第1の捕捉/検出試薬が、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の一方と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含み、第2の捕捉/検出試薬が、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の他方と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤、または上記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤の1つとを含む、上記一組の捕捉/検出試薬と接触させることと、(c)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(d)生物発光をモニターする及び/または検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞との接触物から未結合のプローブを除去するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、上記細胞を洗浄することによって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、遠心分離によって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、ステップ(a)と(b)との間で上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む。いくつかの実施形態において、刺激または条件によって、上記細胞は細胞死する及び/または透過性となる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(a)と(b)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(b)と(c)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(c)と(d)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、方法は、上記捕捉/検出試薬を、上記細胞上のもしくは上記細胞から放出される任意の生体分子上に提示される上記捕捉因子に結合させる、及び/または上記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合させるステップをさらに含み、上記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬が、隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することにより、上記生物発光複合体が形成されることとなる。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞透過性であり、上記細胞内の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞不透過性であり、上記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1の捕捉/検出試薬は、(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含み、第2の捕捉/検出試薬は、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1の捕捉/検出試薬は、(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含み、第2の捕捉/検出試薬は、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の他方と、(ii)上記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤とを含む。いくつかの実施形態において、上記結合剤は抗体または抗体フラグメントである。いくつかの実施形態において、上記結合剤は生体分子または小分子である。いくつかの実施形態において、上記結合剤はアネキシンVである。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1の捕捉/検出試薬は、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含み、第2の捕捉/検出試薬は、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分またはペプチド成分の他方と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤、上記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤、及びフルオロフォアの1種とを含む。いくつかの実施形態において、上記捕捉因子はハロアルキル基であり、上記捕捉剤はハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞透過性である。いくつかの実施形態において、上記修飾デハロゲナーゼ酵素は、配列番号16に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分は、配列番号10に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、相補的なシステムは2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上は捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、1種以上の、捕捉剤に融合していないさらなるペプチド成分及びポリペプチド成分と共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、共に配列番号14に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号12または19に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、配列番号11及び13に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いに接触させることによる、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することを介する促進がない場合には、生物発光複合体を効率的に形成することがない。いくつかの実施形態において、生物発光複合体の効率的な形成は、バックグラウンドレベルを超える生物発光を生じさせる複合体を含む。いくつかの実施形態において、生物発光複合体形成(及び検出可能な生物発光シグナル)の量は、上記ペプチド成分とポリペプチド成分を互いに接触させることにより、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することを介して増加する。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体は、適宜の基質の存在下で、個々のペプチド成分及びポリペプチド成分のいずれか、ならびにペプチド成分及びポリペプチド成分の任意の対の、前記適宜の基質の存在下での生物発光と比較した場合に、生物発光の有意な増大を示す。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体の上記基質はセレンテラジンまたはセレンテラジン類似体である。いくつかの実施形態において、上記刺激または条件は、治療剤、免疫療法剤、または化学療法剤である。いくつかの実施形態において、生物発光はルミノメーターを使用してモニターされる。
【0011】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、本明細書に記載の多官能性プローブであって、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する上記多官能性プローブを含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞との接触物から未結合のプローブを除去することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは上記細胞を洗浄することによって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは遠心分離によって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、(c)上記細胞を、一組の捕捉/検出試薬であって、第1の捕捉/検出試薬が、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の一方と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含み、第2の捕捉/検出試薬が、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分の他方と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤、上記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合することが可能な結合剤の1つとを含む、上記一組の捕捉/検出試薬と接触させることと、(d)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(e)生物発光をモニターする及び/または検出することとをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む。いくつかの実施形態において、刺激または条件によって、上記細胞は細胞死する及び/または透過性となる。いくつかの実施形態において、方法は、上記捕捉/検出試薬を、上記細胞上のもしくは上記細胞から放出される任意の生体分子上に提示される上記捕捉因子に、及び/または上記細胞上の細胞関連生体分子に直接結合させるステップをさらに含み、上記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬は、隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することにより、上記生物発光複合体が形成されることとなる。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞透過性であり、上記細胞内の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞不透過性であり、上記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記捕捉因子はハロアルキル基であり、上記捕捉剤は、ハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能である修飾デハロゲナーゼ酵素である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のチオールと共有結合を形成することが可能なマレイミドである。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞透過性である。いくつかの実施形態において、上記修飾デハロゲナーゼ酵素は、配列番号16に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分は、配列番号10に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、相補的なシステムは2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上が捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的なペプチド成分及び相補的なポリペプチド成分は共に、1種以上の、捕捉剤に融合していないさらなるペプチド成分及びポリペプチド成分と共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、共に配列番号14に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号12または19に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、配列番号11及び13に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いに接触させることによる、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することを介する促進がない場合には、生物発光複合体を効率的に形成することがない。いくつかの実施形態において、生物発光複合体の効率的な形成は、バックグラウンドレベルを超える生物発光を生じさせる複合体を含む。いくつかの実施形態において、生物発光複合体形成(及び検出可能な生物発光シグナル)の量は、上記ペプチド成分とポリペプチド成分を互いに接触させることにより、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することを介して増加する。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体は、適宜の基質の存在下で、個々のペプチド成分及びポリペプチド成分のいずれか、ならびにペプチド成分及びポリペプチド成分の任意の対の、前記適宜の基質の存在下での生物発光と比較した場合に、生物発光の有意な増大を示す。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体の上記基質はセレンテラジンまたはセレンテラジン類似体である。いくつかの実施形態において、上記刺激または条件は、治療剤、免疫療法剤、または化学療法剤である。いくつかの実施形態において、生物発光はルミノメーターを使用してモニターされる。
【0012】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、本明細書に記載の多官能性プローブであって、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する上記多官能性プローブを含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞を、(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、(c)上記細胞を、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることであって、上記ポリペプチド成分及び上記ペプチド成分が、これらを互いに近接させた場合に、生物発光複合体を形成することが可能である、上記接触させることと、(d)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(e)生物発光をモニターする及び/または検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞との接触物から未結合のプローブを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、上記細胞を洗浄することによって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、遠心分離によって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、ステップ(a)と(b)との間で上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記刺激または条件によって、上記細胞は細胞死する及び/または透過性となる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(a)と(b)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(c)と(d)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(d)と(e)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞が細胞死する及び/または透過性となることによって、上記細胞から生体分子が曝露される及び/または放出される。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬が隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することによって、上記生物発光複合体が形成されることとなる。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞透過性であり、上記細胞内の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞不透過性であり、上記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記捕捉因子はハロアルキル基であり、上記捕捉剤は、ハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外生体分子(例えばタンパク質)上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外生体分子(例えばタンパク質)上のチオールと共有結合を形成することが可能なマレイミドである。いくつかの実施形態において、上記修飾デハロゲナーゼ酵素は、配列番号16に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分は、配列番号10に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、相補的なシステムは2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上は捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、1種以上の、捕捉剤に融合していないさらなるペプチド成分及びポリペプチド成分と共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、共に配列番号14に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号12または19に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、配列番号11及び13に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、本明細書に記載の多官能性プローブであって、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する上記多官能性プローブを含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞を、(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分または相補的ペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、(c)上記細胞を、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分と、(ii)上記細胞上の生体分子に直接結合することが可能な結合剤とを含む第2の非共有結合性結合/検出試薬と接触させることであって、上記ポリペプチド成分及び上記ペプチド成分が、これらを互いに近接させた場合に、生物発光複合体を形成することが可能である、上記接触させることと、(d)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(e)生物発光をモニターする及び/または検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞との接触物から未結合のプローブを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、上記細胞を洗浄することによって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、遠心分離によって上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、上記未結合のプローブは、ステップ(a)と(b)との間で上記細胞との接触物から除去される。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を非標識細胞との混合細胞集団中に入れることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を刺激または条件に曝露することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記刺激または条件によって、上記細胞は細胞死する及び/または透過性となる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(a)と(b)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(c)と(d)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ステップ(d)と(e)との間で上記刺激または条件に曝露される。いくつかの実施形態において、上記細胞が細胞死する及び/または透過性となることによって、上記細胞から生体分子が曝露される及び/または放出される。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体の相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分を含む捕捉/検出試薬及び非共有結合性結合/検出部分が、隣接する捕捉因子及び/または生体分子に結合することによって、上記生物発光複合体が形成されることとなる。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と非特異的に共有結合を形成する。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞透過性であり、上記細胞内の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記プローブは細胞不透過性であり、上記細胞の表面上の生体分子を標識することが可能である。いくつかの実施形態において、上記結合剤は抗体または抗体フラグメントである。いくつかの実施形態において、上記結合剤は生体分子または小分子である。いくつかの実施形態において、上記結合剤はアネキシンVである。いくつかの実施形態において、上記捕捉因子はハロアルキル基であり、上記捕捉剤はハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のチオールと共有結合を形成することが可能なマレイミドである。いくつかの実施形態において、上記修飾デハロゲナーゼ酵素は、配列番号16に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分は、配列番号10に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、相補的なシステムは2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上は捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分1種以上の、捕捉剤に融合していないさらなるペプチド成分及びポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、共に配列番号14に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号12または19に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及びさらなるペプチド成分は、配列番号11及び13に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞集団を、本明細書に記載の多官能性プローブであって、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する上記多官能性プローブを含む有効量のプローブと接触させることと、(b)未結合のプローブ及び死細胞を標識された生細胞の集団から除去することと、(c)上記標識された生細胞の集団を固定化する及び透過性にすることと、(d)上記固定化された及び透過性になった細胞集団を、(i)生物発光複合体の相補的ポリペプチド成分と、(ii)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤とを含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、(e)上記固定化された及び透過性になった細胞集団を、(i)生物発光複合体の相補的ペプチド成分と、(ii)フルオロフォアとを含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることであって、上記ポリペプチド成分及び上記ペプチド成分が生物発光複合体を形成することが可能である、上記接触させることと、(f)発光及び/または蛍光を検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、発光及び/または蛍光は、蛍光撮像、フローサイトメトリー、及び/または発光測定によって検出される。いくつかの実施形態において、上記捕捉因子はハロアルキル基であり、上記捕捉剤はハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞内または細胞外タンパク質上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、上記修飾デハロゲナーゼ酵素は、配列番号16に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分は、配列番号11に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、上記相補的ポリペプチド成分は、配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書では、本明細書に記載の多官能性プローブと、一組の捕捉/検出試薬とを含む多官能性プローブを備えるキットであって、それぞれの捕捉/検出試薬が、(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、(ii)生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分との融合物を含む、上記キットが提供される。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17の配列に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、第1の捕捉/検出試薬は、配列番号11に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む相補的ペプチドを含み、第2の捕捉/検出試薬は、配列番号13に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む相補的ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、キットは、配列番号12または19に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む相補的ポリペプチドをさらに備える。いくつかの実施形態において、上記捕捉剤は、配列番号16に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、キットは、セレンテラジン基質またはセレンテラジン類似体基質をさらに備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、(ii)相補的ポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能なペプチド成分との融合物を含む第1の捕捉/検出試薬と、(b)(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、(ii)上記ペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能なポリペプチド成分との融合物を含む第2の捕捉/検出試薬とを備えるキットが提供される。いくつかの実施形態において、上記捕捉剤は配列番号16に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17の配列に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、キットは、セレンテラジン基質またはセレンテラジン類似体基質をさらに備える。いくつかの実施形態において、上記ペプチドは配列番号10に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含み、上記相補的ポリペプチドは配列番号9に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、(ii)相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能な第1のペプチド成分との融合物を含む第1の捕捉/検出試薬と、(b)(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、(ii)相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能な第2のペプチド成分との融合物を含む第2の捕捉/検出試薬とを備えるキットであって、上記第1のペプチド成分及び第2のペプチド成分は共に、配列番号14に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含み、上記ポリペプチド成分は、配列番号12または19に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む、上記キットが提供される。いくつかの実施形態において、上記捕捉剤は配列番号16に対する70%以上(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、請求項21に記載の化合物であって、上記生体分子反応性基が、上記細胞の表面上の生体分子と共有結合を形成する上記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞を、(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と(ii)生物発光複合体の第1の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分とを含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、(c)上記細胞を、(i)第2の生体分子に安定的に結合することが可能な第2の生体分子反応性基と、(ii)上記生物発光複合体の第2の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分とを含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることと、(d)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(e)上記細胞を刺激または条件に曝露することと、(f)上記捕捉/検出試薬をそれぞれ上記捕捉因子及び第2の生体分子に結合させることであって、隣接する位置にある捕捉/検出試薬が結合することにより、上記生物発光複合体が形成されることとなる、上記結合させることと、(g)生物発光基質の存在下で生物発光をモニターする及び/または検出することであって、生物発光の量が、上記細胞の外表面上の生体分子の量に比例する、上記モニターする及び/または検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、請求項21に記載の化合物であって、上記生体分子反応性基が、上記細胞の表面上の生体分子と共有結合を形成する上記化合物を含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞を洗浄して、上記細胞から未結合のプローブを除去することと、(c)上記細胞を、(i)上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と(ii)生物発光複合体の第1の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分とを含む第1の捕捉/検出試薬と接触させることと、(d)上記細胞を、(i)第2の生体分子に安定的に結合することが可能な第2の生体分子反応性基/結合基と、(ii)上記生物発光複合体の第2の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分とを含む第2の捕捉/検出試薬と接触させることと、(e)上記細胞を刺激または条件に曝露することと、(f)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(g)上記捕捉/検出試薬をそれぞれ上記捕捉因子及び第2の生体分子に結合させることであって、隣接する位置にある捕捉/検出試薬が結合することにより、上記生物発光複合体が形成されることとなる、上記結合させることと、(h)生物発光基質の存在下で生物発光をモニターする及び/または検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、上記捕捉因子はハロアルキル基であり、上記捕捉剤は、ハロアルカン基質と共有結合を形成することが可能な修飾デハロゲナーゼ酵素である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞外生体分子上のアミンと共有結合を形成することが可能なスクシンイミジルエステルである。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、上記細胞の細胞外生体分子上のチオールと共有結合を形成することが可能なマレイミドである。いくつかの実施形態において、上記修飾デハロゲナーゼ酵素は配列番号16に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、相補的なシステムは2種のペプチド成分及び1種のポリペプチド成分を含み、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分の1種以上は捕捉剤に融合しておらず、共に配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、1種以上の、捕捉剤に融合していないさらなるペプチド成分及びポリペプチド成分と共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分は共に、1種以上の、さらなる捕捉剤に融合したさらなるペプチドまたはポリペプチド成分と共に、配列番号17に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する配列を含み、これらを互いに接触させると、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することにより、促進された生物発光複合体を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いに接触させることによる、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することを介する促進がない場合には、生物発光複合体を効率的に形成することはない。いくつかの実施形態において、生物発光複合体の効率的な形成は、バックグラウンドレベルを超える生物発光を生じさせる複合体を含む。いくつかの実施形態において、生物発光複合体形成(及び検出可能な生物発光シグナル)の量は、上記ペプチド成分とポリペプチド成分を互いに接触させることにより、上記捕捉剤が上記捕捉因子に結合することを介して増加する。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体は、適宜の基質の存在下で、前記ペプチド成分及びポリペプチド成分の任意の組み合わせの、前記適宜の基質の存在下での生物発光と比較した場合に、生物発光の有意な増大を示す。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体の上記基質はセレンテラジンまたはセレンテラジン類似体である。いくつかの実施形態において、上記刺激または条件によって、上記細胞から上記第2の生体分子が放出される。いくつかの実施形態において、上記刺激または条件によって、細胞死、膜透過性化、能動輸送機序、免疫応答、拡散の促進、上記細胞からの分泌、または小胞中での放出が生じる。いくつかの実施形態において、生物発光はルミノメーターを使用してモニターされる。
【0019】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)細胞を、本明細書に記載の多官能性プローブであって、上記生体分子反応性基が、上記細胞上または上記細胞内の細胞関連生体分子と共有結合を形成する上記多官能性プローブを含む有効量のプローブと接触させることと、(b)上記細胞を、上記捕捉因子に安定的に結合することが可能な捕捉剤と、生物発光複合体の相補的ペプチド成分または相補的ポリペプチド成分とを含む捕捉/検出試薬と接触させることと、(c)上記細胞を、生物発光複合体の上記相補的ペプチド成分及び相補的ポリペプチド成分の他方に連結したフルオロフォアを含む検出試薬と接触させることと、(d)上記細胞を上記生物発光複合体の基質と接触させることと、(e)上記捕捉/検出試薬を上記捕捉因子に結合させること、及び上記検出試薬に上記捕捉/検出試薬との生物発光複合体を形成させることと、(f)上記フルオロフォアからの蛍光及び/または、生物発光基質の存在下での、上記生物発光複合体からの生物発光をモニターする及び/または検出することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、上記相補的ペプチドは配列番号11に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含み、上記相補的ポリペプチドは配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、方法は、上記細胞を、細胞死させることが可能である刺激または条件に曝露することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、(b)生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、(c)生物発光複合体のペプチド成分に融合した第2の捕捉剤または生体分子結合剤と、(d)上記生物発光複合体の基質とを備えるキットであって、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、これらを互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、上記捕捉剤が隣接する捕捉因子に結合することにより、生物発光複合体を形成し、上記生物発光複合体が上記基質の存在下で発光を生じる、上記キットが提供される。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書では、細胞または細胞を含む試料を、本明細書に記載のキットの構成要素と接触させることを含む方法が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、(b)生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、(c)生物発光複合体のペプチド成分に連結したフルオロフォアと、(d)上記生物発光複合体の基質とを備えるキットであって、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、これらを外部からの促進なしに互いに共局在化させた場合に、上記生物発光複合体を形成し、上記生物発光複合体が上記基質の存在下で発光を生じる、上記キットが提供される。いくつかの実施形態において、上記ペプチド成分は配列番号11に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含み、上記ポリペプチド成分は配列番号9に対する少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、(b)生物発光複合体のポリペプチド成分またはペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、(c)生物発光複合体の上記ポリペプチド成分またはペプチド成分の他方に融合した標的特異的結合剤と、(d)上記生物発光複合体の基質とを備えるキットであって、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、これらを互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、上記捕捉剤及び標的特異的結合剤が隣接する捕捉因子及び標的に結合することにより、上記生物発光複合体を形成し、上記生物発光複合体が上記基質の存在下で発光を生じる、上記キットが提供される。
【0024】
いくつかの実施形態において、本明細書では、(a)捕捉因子に連結した生体分子反応性基を含む多官能性プローブと、(b)生物発光複合体の第1のペプチド成分に融合した第1の捕捉剤と、(c)生物発光複合体の第2のペプチド成分に融合した第2の捕捉剤と、(d)生物発光複合体のポリペプチド成分と、(e)上記生物発光複合体の基質とを備えるキットであって、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分が、上記ペプチド成分を互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、上記捕捉剤が隣接する捕捉因子に結合することにより、上記生物発光複合体を形成し、上記生物発光複合体が上記基質の存在下で発光を生じる、上記キットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】本明細書に記載の多官能性プローブを使用して実施することができる細胞ベースアッセイの代表的な概略図である。細胞は、例えば、複数の細胞標的(生体分子)の共有結合による標識のためのスクシンイミジルエステル基及びクロロアルカンリガンド(HaloTagタンパク質への共有結合のための)を含む、細胞透過性または細胞不透過性の二官能性プローブで共有結合による標識がなされる。注:原形質膜タンパク質は全細胞タンパク質の5%未満に相当し、そのため、細胞透過性プローブのほとんどは細胞内標的に結合する。遠心分離により細胞を収取した後に上清を廃棄することにより、未結合の遊離プローブが除去される。標識細胞を非標識細胞と事前に混合すると、細胞死時の標識された生体分子の放出を測定する、または当該試料中残存する標識された生細胞の量を検出することにより、標識細胞の生死を詳細にモニターすることができる。例えば、標識された腫瘍細胞と標識されていないナチュラルキラー細胞の混合物では、NKに媒介される腫瘍細胞死がモニターされる。
図1B】本明細書に記載の多官能性プローブを使用して実施することができる細胞ベースアッセイの代表的な概略図である。細胞死時の標識された標的の検出(1)HaloTag-LgBiT及びHaloTag-SmBiTは、標識された標的上の露出したクロロアルカンリガンドに結合する。2種の補完するBiTパートナーが近接している場合、発光シグナルが発生する。(2)HaloTag-LgBiTは、標識された生体分子上の露出したクロロアルカンリガンドに結合する。特定の細胞生体分子(例えばタンパク質)へのSmBiTで標識された結合部分(例えば、抗体または生体分子の他の結合パートナー)が、HaloTag-LgBiTに極めて近接した上記生体分子に直接結合すると、発光基質(例えばフリマジン)の存在下で発光シグナルが発生する。(3)標識された生体分子上の露出したクロロアルカンリガンドにHaloTag-LgBiTが結合した1Bの(2)の特定の例。このケースでは、上記SmBiTで標識された結合部分はアネキシンV-SmBiTであり、このアネキシンV-SmBiTは、原形質膜において露出した生体分子であるホスファチジルセリン(PS)に非共有結合で結合している。HaloTag-LgBiTで標識された標的がアネキシン-V-SmBiTが結合したPSに極めて近接している場合には、発光シグナルは発光基質によって発生する。
図1C】本明細書に記載の多官能性プローブを使用して実施することができる細胞ベースアッセイの代表的な概略図である。
図2A】本開示の多官能性プローブによる標的細胞の標識化方法の代表的な概略図である。
図2B】上記多官能性プローブで標識されたさまざまな細胞型において、生物発光を検出するために実施された実験の結果の図である。
図3A】多官能性プローブで標識され、生物発光検出成分を使用して検出されたDaudi細胞において、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を試験するために実施された実験の代表的な結果を示す図である。
図3B】多官能性プローブで標識され、生物発光検出成分を使用して検出されたDaudi細胞において、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を試験するために実施された実験の代表的な結果を示す図である。
図3C】多官能性プローブで標識され、生物発光検出成分を使用して検出されたSKBR3細胞において、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を試験するために実施された実験の代表的な結果を示す図である。
図4】多官能性プローブで標識され、生物発光検出成分を使用して検出された細胞において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)を使用した標的細胞の溶解を試験するために実施された実験の代表的な結果を示す図である。
図5】多官能性プローブで標識され、生物発光検出成分を使用して検出されたDaudi細胞における抗体依存性細胞傷害(ADCC)動態を試験するために実施された実験(PBMCと共培養)の代表的な結果を示す図である。
図6A】内因性ホスファチジルセリン(PS)転座に基づく細胞死を評価するための、本開示の多官能性プローブの使用を示す代表的な概略図である。
図6B】相補的及び非相補的生物発光成分を使用した細胞の代表的な結果を示す図である。
図7A】多官能性クロロアルカンプローブで標識された細胞において、HaloTag-HiBiT及び蛍光タグ付きLgBiT(LgBiT-Dy605)を使用して、蛍光ならびに発光の両方を検出するために実施された実験の代表的な結果を示す図である。
図7B】多官能性クロロアルカンプローブで標識された細胞において、HaloTag-HiBiT及び蛍光タグ付きLgBiT(LgBiT-Dy605)を使用して、蛍光ならびに発光の両方を検出するために実施された実験の代表的な結果を示す図である。
図8】HaloTag結合のためのクロロアルカンリンカーを含むマレイミドリガンドを使用して標識された細胞チオール基の代表的な結果を含む図である。標識細胞を表示された割合で非標識細胞と混合し、HaloTag-HiBiT及びTAMRAをコンジュゲートしたLgBiTを使用して検出した。Aは、フローサイトメトリーによって測定された代表的なドットブロット(上;y軸=核+、x軸=TAMRA+)及びヒストグラム(下;y軸=細胞数、x軸=TAMRA+)を示す。Bは、予測された標識細胞の割合(x軸)と測定された標識細胞の割合(y軸)とを比較するXYプロットを示す。
図9】HaloTag-SmBiT及びHaloTag-LgBiTの存在下、5、10、及び20μMのマレイミド/クロロアルカン二官能性プローブで標識された肝細胞スフェロイドによって発生した相対発光量を示す図である。
図10】HaloTag-SmBiT及びHaloTag-LgBiTの存在下、異なる密度の、A549対照(標識されていない)細胞(明色の棒)または二官能性プローブで前標識された細胞(暗色の棒)で発生した相対発光量を示す図である。
図11】HaloTag-LgBiT、及びHaloTag-SmBiTで前標識された抗LDH抗体の存在下、異なる密度の、A549対照(標識されていない)細胞(明色の棒)または二官能性プローブで前標識された細胞(暗色の棒)で発生した相対発光量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施形態は、多官能性(例えば、二官能性、三官能性など)プローブを使用して生物発光アッセイを実施するための材料及び方法を提供する。詳細には、本開示は、生体分子を検出及び/もしくは定量化する、及び/または上記生体分子に結合し、生物発光シグナル及び/もしくは蛍光シグナルを発生させることが可能な多官能性(例えば、二官能性、三官能性など)プローブを使用して、上記生体分子に関連する細胞プロセスをアッセイするための組成物ならびに方法を提供する。
【0027】
本開示の発明の主題は、特に他の非標識細胞を含む共培養系において、特定の(例えば、前標識された)細胞集団の応答を検出するバイオアッセイ、システム、及び方法を提供するという、未だ対処されていないニーズに対処する。本開示のアッセイ、システム、及び方法により、特に細胞の混合集団内で、細胞プロセス/応答(及び/もしくは細胞プロセスに関連する生体分子)の測定ならびに/または定量化が容易になる。現在、細胞透過性の多官能性プローブを使用して生細胞中の細胞内タンパク質を共有結合で標識し、次いでそれらの放出を検出する(例えば、NanoLuc(登録商標)Binary Technology(NanoBiT)、NanoTrip(商標)Technology、HaloTag(登録商標)Technologyなどを使用することにより)、利用可能なバイオアッセイは存在しない。本開示のアッセイ、システム、及び方法の特徴としては、複数の細胞型に対する普遍性及び適応性;標準的なプレートリーダーを使用し、リアルタイムで変化を定量化する能力;ならびにアッセイ感度を低下させる成分の洗い流し(例えば、生物発光のバックグラウンドを低下させる)を必要としない、「添加して読み取るだけ」のアッセイ形式(例えば均一なアッセイ)で、検出試薬の添加を1回にすることができることによる小型化及び自動化への適応性が挙げられるが、これらに限定はされない。さらに、本開示の実施形態により、毒性の問題なしに、且つ標準的なプレートリーダーを使用して定量的な方法で細胞からのそれらの放出を検出するために必要な感度で、細胞内タンパク質を共有結合により標識することが可能になる。本開示の実施形態によりまた、生細胞からのプローブの非特異的な漏出性が最小限に抑えられ、長期間にわたって標識細胞のプロセス/応答を追跡するために必要な生物発光検出の感度及びロバスト性が与えられる。
【0028】
本節及び本明細書における開示全体で使用される節の見出しは、単に構成上の目的のためのものであり、限定することを意図したものではない。
【0029】
1.用語の定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む本文書が優先することとなる。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、本明細書に記載されているものと同様もしくは等価の方法及び材料を本開示の実施または試験に使用することができる。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は、それらの全体が援用される。本明細書に開示される材料、方法、及び例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0030】
本明細書で使用される用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))、及びそれらの変化形は、さらなる行為または構造の可能性を排除しない、開放型で移行性の句、用語、または語であることを意図する。単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって明確に別段の指示がなされない限り、複数形の対象物が包含される。本明細書における多くの実施形態は、開放型の「含む(comprising)」の言語を使用して記載される。かかる実施形態は、複数の閉鎖型の「からなる」及び/または「から本質的になる」の実施形態を包含し、該実施形態は代替的に、かかる言語を使用して権利請求されるまたは説明されてもよい。本開示は、明示的に記載されているか否かを問わず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる」、及び「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
【0031】
本明細書における数値範囲の列挙に関しては、それらの間に存在する同様の程度の精度のそれぞれの数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲については、6及び9に加えて、7及び8の数値が企図され、6.0~7.0の範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0の数値が明示的に企図される。
【0032】
本明細書で使用される用語「アルキル」とは、1~16個の炭素原子(C1~C16アルキル)、例えば1~14個の炭素原子(C1~C14アルキル)、1~12個の炭素原子(C1~C12アルキル)、1~10個の炭素原子(C1~C10アルキル)、1~8個の炭素原子(C1~C8アルキル)、1~6個の炭素原子(C1~C6アルキル)、または1~4個の炭素原子(C1~C4アルキル)を含む直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素鎖を意味する。アルキルの代表的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、及びn-ドデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用される用語「アルキレン」とは、1~10個の炭素原子(C1~C10アルキレン)、例えば1~6個の炭素原子(C1~C6アルキレン)の直鎖状または分岐鎖状炭化水素に由来する二価の基をいう。アルキレンの代表的な例としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH(CH3)-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH2CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-、-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2CH2-、及びCH(CH3)CH2CH2CH2CH2-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される用語「アリール」とは、フェニル基または二環式もしくは三環式芳香族縮合環系をいう。二環式縮合環系としては、親分子部分に付加し、フェニル基と縮合したフェニル基が例示される。三環系融合環系としては、親分子部分に付加し、他の2つのフェニル基と縮合したフェニル基が例示される。二環式アリールの代表的な例としてはナフチルが挙げられるが、これに限定されない。三環式アリールの代表的な例としてはアントラセニル及びフェナントレニルが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0035】
本明細書で使用される用語「アリーレン」とは、二価のアリール基、例えばフェニレン基をいう。
【0036】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0037】
本明細書で使用される用語「ハロアルキル」とは、1つ以上の水素原子がハロゲンで置換された、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8個の水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、すべての水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。ハロアルキルの代表的な例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2-フルオロ-2-メチルプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4-クロロブチル、5-クロロペンチル、6-クロロヘキシル、7-クロロヘプチル、及び8-クロロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
「生物発光」とは、酵素、タンパク質、タンパク質複合体、または他の生体分子(例えば、生物発光複合体)によって触媒される、またはそれらによって可能になる化学反応による光の発生及び放出をいう。通常の実施形態では、生物発光実体(例えば、生物発光タンパク質または生物発光複合体)の基質が該生物発光実体によって不安定な形態に変換され、それに続いて上記基質が発光する。
【0039】
本明細書で使用される「捕捉因子」とは、対応する「捕捉剤」と共有結合性のまたは安定な非共有結合性の相互作用(例えば結合)を形成する分子実体をいう。
【0040】
本明細書で使用される「生体分子反応性基」とは、生体分子(例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、ポリヌクレオチドなど)と非特異的に共有結合性のまたは安定な非共有結合性の相互作用(例えば結合)を形成する分子実体をいう。本明細書で使用される「タンパク質反応性基」とは、タンパク質と非特異的に共有結合性のまたは安定な非共有結合性の相互作用(例えば結合)を形成する(例えば、タンパク質のアイデンティティーを有意に優先することなくタンパク質側鎖に結合する)分子実体をいう。
【0041】
「相補的」とは、互いにハイブリダイズする、二量体化する、または他の形態で複合体を形成することが可能である2つ以上の構造因子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸、小分子など)の特徴をいう。例えば、「相補的ペプチド及びポリペプチド」は、一体となって複合体を形成することが可能である。相補的因子は、例えば、該因子を相補性のための適切な配座に配置するため、相補的因子を共局在化するため、補完のための相互作用エネルギーを低下させるためなど、複合体を形成するために(例えば、相互作用因子からの)支援を必要とする場合がある。
【0042】
「複合体」とは、互いに直接及び/または間接的に接触している分子(例えば、ペプチド、ポリペプチドなど)の集合体(assemblage)または集合体(aggregate)をいう。一態様において、「接触」、またはより詳細には「直接的な接触」とは、2つ以上の分子が十分に近接し、その結果、ファンデルワールス力、水素結合、イオン性相互作用、及び疎水性相互作用などの互いに引き付け合う非共有結合性相互作用が、上記分子の相互作用において優位を占めることを意味する。かかる態様において、分子(例えば、ペプチド及びポリペプチド)の複合体は、該複合体が熱力学的に有利であるような(例えば、その構成要素分子の集合体を形成していない、または複合体を形成していない状態と比較して)アッセイ条件下で形成される。本明細書では、用語「複合体」とは、別段の記載がない限り、2つ以上の分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)の集合体をいう。
【0043】
本明細書で使用される抗体の「誘導体」とは、純種の抗体または親抗体と比較した場合にそのアミノ酸配列に対する1つ以上の改変を有し、改変されたドメイン構造を示す抗体をいう場合がある。上記誘導体は、天然の抗体中に存在する一般的なドメイン構成のみならず、標的(抗原)に特異的に結合することができるアミノ酸配列を依然として取り入れることができる場合がある。抗体誘導体の一般的な例は、他のポリペプチドに結合した抗体、再構成された抗体ドメイン、または抗体のフラグメントである。上記誘導体はまた、共有結合または非共有結合によって連結されたタンパク質ドメインなどの少なくとも1種のさらなる化合物も含んでいてよい。上記連結は、当技術分野で公知の方法による遺伝子融合に基づくものであってよい。上記抗体を含む融合タンパク質中に存在するさらなるドメインは、好ましくは、柔軟なリンカー(ペプチドリンカーが有利)によって連結されていてもよく、上記ペプチドリンカーは、上記さらなるタンパク質ドメインのC末端と上記抗体のN末端との間、またはその逆の間の距離を繋ぐのに十分な長さの、複数の親水性のペプチド結合したアミノ酸を含む。上記抗体は、生物学的活性あるいは、例えば、固体担体、生物学的に活性な物質(例えば、サイトカインもしくは成長ホルモン)、化学薬品、ペプチド、タンパク質、または薬物に対する選択的結合に適した構造を有するエフェクター分子に連結していてもよい。
【0044】
「フラグメント」とは、より大きな実体全体(例えば、タンパク質、ポリペプチド、酵素など)の切断もしくは「断片化」に由来するペプチドまたはポリペプチド、あるいはそのようなものと同様の配列を有するように調製されたペプチドまたはポリペプチドをいう。したがって、フラグメントは、該フラグメントが作製及び/または設計される基となる実体全体(例えば、タンパク質、ポリペプチド、酵素など)の部分配列である。既存の全タンパク質の部分配列ではないペプチドまたはポリペプチドはフラグメントではない(例えば、既存のタンパク質のフラグメントではない)。「既存の生物発光タンパク質のフラグメントではない」ペプチドまたはポリペプチドは、(1)当該ペプチドまたはポリペプチドの設計及び/または合成の前に物理的に存在しており、且つ(2)実質的な生物発光活性を示すタンパク質(例えば、天然または合成)の部分配列ではないアミノ酸鎖である。
【0045】
本明細書では、用語「抗体フラグメント」とは、抗原結合領域または可変領域の少なくとも一部を含む、完全長抗体の一部をいう。抗体フラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、可変軽鎖、可変重鎖、ダイアボディ、及びインタクトな抗体の可変領域の少なくとも一部を保持する他の抗体フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Hudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134(その全体が本明細書に援用される)を参照されたい。特定の実施形態において、抗体フラグメントは、組換えDNA技法もしくは化学的ポリペプチド合成によって生成したインタクトな抗体の酵素的または化学的切断(例えば、抗体のパパイン消化及びペプシン消化)によって生成する。例えば、「Fab」フラグメントは、1つの軽鎖と、1つの重鎖のCH1及び可変領域とを含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することはできない。「Fab’」フラグメントは、1つの軽鎖と、CH1ドメインとCH2ドメインとの間に延在する更なる定常領域を含む1つの重鎖とを含む。Fab’フラグメントの2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成し、「F(ab’)2」分子を形成することができる。「Fv」フラグメントは、重鎖と軽鎖の両方由来の可変領域を含むが、定常領域が存在しない。単鎖Fv(scFv)フラグメントは、柔軟なリンカーによって連結された重鎖及び軽鎖の可変領域を含み、抗原結合領域を有する単一のポリペプチド鎖を形成する。例示的な一本鎖抗体は、WO88/01649ならびに米国特許第4,946,778号及び第5,260,203号に詳細に論じられており、上記特許文献はそれらの全体が本明細書に援用される。特定の例において、単一の可変領域(例えば、重鎖可変領域または軽鎖可変領域)は、抗原を認識して結合する能力を有している場合がある。当業者であれば、他の抗体フラグメントについて理解しよう。
【0046】
本明細書で使用される「単離ポリヌクレオチド」とは、その起源により、天然において当該単離ポリヌクレオチドと共に存在するポリヌクレオチドの全てまたは一部と結合していない;天然において当該単離ポリヌクレオチドが連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結している;または天然においてより大きな配列の一部として存在していないポリヌクレオチド(例えば、ゲノムの、cDNAの、または合成起源の、またはそれらの組み合わせの)を意味する場合がある。
【0047】
「非発光性」とは、(例えば、基質の存在下で)可視光スペクトルにおいて検出可能な量の光を放出しないという特徴を示す実体(例えば、ペプチド、ポリペプチド、複合体、タンパク質など)をいう。例えば、ある実体が、所与のアッセイにおいて検出可能な発光を示さない場合に、該実体は非発光性と呼ばれる場合がある。本明細書では、用語「非発光性」は用語「実質的に非発光性」と同義である。例えば、非発光性ポリペプチドは実質的に非発光性であり、例えば、上記ポリペプチドとその非発光性補体ペプチドとの複合体と比較して、10分の1未満(例えば、100分の1、200分の1、500分の1、1×103分の1、1×104分の1、1×105分の1、1×106分の1、1×107分の1など)への発光の低下を示す。いくつかの実施形態において、特定のアッセイに関して、バックグラウンドに干渉を生じない程度に、任意の発光が十分に小さい場合、実体は「非発光性」である。
【0048】
「非発光性ペプチド」及び「非発光性ポリペプチド」とは、実質的に発光を示さない(例えば、基質の存在下で)、またはノイズを下回る量、または、標準的な条件下(例えば、生理学的条件、アッセイ条件など)及び一般的な機器(例えばルミノメーターなど)を用いての有意なシグナル(例えば発光複合体)と比較した場合に、10倍以上(例えば、100倍、200倍、500倍、1×103倍、1×104倍、1×105倍、1×106倍、1×107倍など)を示すペプチドならびにポリペプチドをいう。いくつかの実施形態において、かかる非発光性ペプチド及びポリペプチドは、本明細書に記載の基準に従って集合して、生物発光複合体を形成する。本明細書では、「非発光因子」は、非発光性ペプチドまたは非発光ポリペプチドである。用語「生物発光複合体」とは、2つ以上の非発光性ペプチド及び/または非発光性ポリペプチドが集合した複合体をいう。上記生物発光複合体は、生物発光複合体の基質の不安定な形態への変換を触媒するまたは可能にし、続いて上記基質は発光する。複合体を形成しない場合、生物発光複合体を形成する2種の非発光因子は、「非発光性対」と呼ばれる場合がある。生物発光複合体が3種以上の非発光性ペプチド及び/または非発光性ポリペプチドによって形成される場合、上記生物発光複合体の複合体化されていない構成要素は、「非発光基」と呼ばれる場合がある。
【0049】
本明細書で使用される「細胞不透過性」とは、化合物または部分であって、有効量の上記化合物または部分が細胞内に送達される程度まで細胞膜を通過することができない上記化合物または部分をいう。
【0050】
本明細書で使用される「細胞透過性」とは、化合物または部分であって、有効量の上記化合物が細胞内に送達される程度まで細胞膜を通過することができる上記化合物または部分をいう。
【0051】
本明細書で使用される「セレンテラジン」とは天然に存在する(「天然の」)セレンテラジンをいう。本明細書では、用語「セレンテラジン類似体」または「セレンテラジン誘導体」とは、WO2003/040100;米国出願第12/056,073号(段落[0086]);米国特許第8,669,103号;WO2012/061529、米国特許公開2017/0233789、及び米国特許公開2018/0030059(それらの開示は、それらの全体が本明細書に援用される)に記載されるものに加えて、フリマジン、セレンテラジン-n、セレンテラジン-f、セレンテラジン-h、セレンテラジン-hcp、セレンテラジン-cp、セレンテラジン-c、セレンテラジン-e、セレンテラジン-fcp、ビス-デオキシセレンテラジン(「セレンテラジン-hh」)、セレンテラジン-i、セレンテラジン-icp、セレンテラジン-v、及び2-メチルセレンテラジンを含む、その合成(例えば、誘導体または変異体)及び天然類似体をいう。いくつかの実施形態において、セレンテラジン類似体としては、例えば、米国特許出願第12/056,073号、米国公開第2012/0707849号、米国公開第2014/0099654号(それらの全体が本明細書に援用される)に記載されるものなどのプロ基質が挙げられる。
【0052】
本明細書で使用される「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、別段の明示がない限り、ペプチドアミド結合(-C(O)NH-)によって主鎖を介して結合した2つ以上のアミノ酸のポリマー化合物をいう。用語「ペプチド」とは、通常短いアミノ酸ポリマー(例えば、25個未満のアミノ酸を有する鎖)をいう一方、用語「ポリペプチド」とは、通常より長いアミノ酸ポリマー(例えば、25個を超えるアミノ酸を有する鎖)をいう。
【0053】
「既存のタンパク質」とは、特定の事象または日付の前に物理的に存在していたアミノ酸配列をいう。「既存のタンパク質のフラグメントではないペプチド」は、当該ペプチドの設計及び/または合成の前に物理的に存在していたタンパク質(例えば、合成または天然に存在する)のフラグメントまたは部分配列ではない短いアミノ酸鎖である。
【0054】
本明細書で使用される「試料」、「試験試料」、「標本」、「対象由来の試料」、及び「患者試料」は同義で使用することができ、全血などの血液、組織、尿、血清、血漿、羊膜液、脳脊髄液、胎盤細胞もしくは胎盤組織、内皮細胞、白血球、または単球の試料であってよい。上記試料は、患者から得られたままの状態で直接使用してもよく、またはろ過、蒸留、抽出、濃縮、遠心分離、干渉成分の不活性化、試薬の添加などによって前処理して、本明細書で論じられる何らかの方法で、もしく当技術分野で公知の他の方法で当該試料の性質を改変してもよい。
【0055】
「配列同一性」とは、2種のポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が同一のモノマーサブユニットの配列組成を有する程度をいう。用語「配列類似性」とは、2種のポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が類似のポリマー配列を有する程度をいう。例えば、類似のアミノ酸は同様の生物物理学的特徴を共有し、ファミリー、例えば、酸性(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、及び非荷電極性(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)に分類することができる。「配列一致率」(または「配列類似率」)は、(1)比較のウィンドウにわたって最適に整列させた(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、指定されたウィンドウ)2種の配列を比較することと、(2)同一の(または類似の)モノマーを含む位置の数を決定し(例えば、同一のアミノ酸が両方の配列中に存在する、類似のアミノ酸が両方の配列中に存在する)、一致する位置の数を算出することと、(3)一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、指定されたウィンドウ)で除すことと、(4)上記の結果に100を乗じて配列一致率または配列類似率を算出することとによって計算される。例えば、ペプチドAとペプチドBの両方の長さが20アミノ酸であり、1つの位置を除いてすべて同一のアミノ酸を有する場合、ペプチドAとペプチドBの配列同一性は95%である。同一でない位置のアミノ酸が同様の生物物理学的特性を共有している場合(例えば、両方が酸性である)、ペプチドAとペプチドBとの配列類似性は100%である。別の例として、ペプチドCの長さが20アミノ酸であり、ペプチドDの長さが15アミノ酸であり、ペプチドDの15アミノ酸のうちの14アミノ酸がペプチドCの一部のアミノ酸と同一である場合、ペプチドCとペプチドDの配列同一性は70%である。但し、ペプチドDの、ペプチドCの最適な比較ウィンドウに対する配列同一性は93.3%である。本明細書では、「配列一致率」(または「配列類似率」)を計算する目的のためには、整列させた配列のいずれのギャップも、当該の位置において不一致として扱われる。
【0056】
本明細書において同義で使用される「対象」及び「患者」とは、哺乳動物及びヒトを含む、但しこれらに限定されない任意の脊椎動物をいう。いくつかの実施形態において、上記対象はヒトまたは非ヒトであってよい。上記対象または患者は、ある形態での治療を受けている場合がある。本明細書で使用される「哺乳動物」とは、ヒトならびにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長動物;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラマ、ラクダ、及びウマなどの家畜;イヌ及びネコなどの飼育哺乳動物;マウス、ラット、ウサギ、モルモットなどの齧歯動物を含む実験動物などを含む、但しこれらに限定されない、哺乳綱の任意の構成員をいう。この用語は特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成体及び新生の対象、ならびに胎児が、雌雄を問わずこの用語の範囲に包含されることを意図する。
【0057】
「部分配列」(subsequence)とは、別の、より大きなペプチドもしくはポリペプチドとの配列同一性が100%であるペプチドまたはポリペプチドをいう。上記部分配列はより大きなアミノ酸鎖の一部に対する完全な配列の一致である。
【0058】
本明細書で使用される「実質的に」とは、記載された特性、パラメータ、及び/または値が厳密に得られる必要はなく、例えば、公差、測定誤差、測定精度の制限、及び当業者に公知の他の要因を含む偏差または変動が、上記特性によって提供されることを意図した効果が排除されない量であれば、生じてもよいことを意味する。実質的に存在しない特性または特徴(例えば、実質的に非発光性)とは、ノイズの範囲内、バックグラウンドよりも低い、使用しているアッセイの検出能力を下回る、または有意な特性(例えば、生物発光タンパク質または生物発光複合体の発光強度)に対する小さな割合(例えば、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、0.00001%未満、0.000001%未満、0.0000001%未満)である特性または特徴であってよい。
【0059】
本明細書では、「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失、もしくは保存的置換によってアミノ酸配列は異なるが、少なくとも1種の生物学的活性を保持するペプチドまたはポリペプチドを記述するために使用される。「SNP」とは一塩基多型である変異体をいう。「生物学的活性」の代表的な例としては、特定の抗体と結合する能力、または免疫応答を促進する能力が挙げられる。本明細書では、変異体は、少なくとも1種の生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する基準タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を記述するためにも使用される。アミノ酸の保存的置換(例えば、アミノ酸を、親水性、荷電領域の程度及び分布などの、同様の特性の異なるアミノ酸で置換すること)は、当技術分野では一般に小さな変化を伴うものとして認識されている。これらの小さな変化は、当技術分野で理解されている、アミノ酸のハイドロパシー指数を考慮することによって部分的に特定することができる。上記アミノ酸のハイドロパシー指数は、上記アミノ酸の疎水性及び電荷を考慮することに基づく。類似のハイドロパシー指数のアミノ酸を置換することができ、なおもタンパク質の機能を保持することができることが当技術分野で知られている。一態様において、ハイドロパシー指数が±2であるアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いても、タンパク質の生物学的機能の保持に繋がる置換を明らかにすることができる。ペプチドの文脈で、アミノ酸の親水性を考慮することによって、当該ペプチドの最大の局所的平均親水性の計算が可能になり、これは、抗原性及び免疫原性との相関性がよいことが報告されている有用な尺度である。類似の親水性値を有するアミノ酸で置換することにより、当技術分野で理解されているように、ペプチドが生物学的活性、例えば免疫原性を保持することができる。置換は、親水性値が互いの±2以内であるアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性指数及び親水性値は共に、当該アミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。その観測と一致して、生物学的機能に適合するアミノ酸の置換は、当該アミノ酸の、特にこれらのアミノ酸の側鎖の、疎水性、親水性、電荷、大きさ、及びその他の特性によって明らかになる、相対的な類似性に依存すると考えられている。
【0060】
本明細書において別段の定義がなされていない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。例えば、本明細書に記載の、細胞培養及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学及びタンパク質化学及び核酸化学、及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法ならびにそれらの技法は当技術分野において周知であり、且つ一般的に使用されているものである。それらの用語の意味及び範囲は明確であることが必要であり、但し、何らかの潜在的なあいまいさが生じた場合は、本明細書に示された定義がいずれの辞書または外部の定義に対して優先される。さらに、文脈上別段の必要性がない限り、単数形の用語は複数形を包含し、複数形の用語は単数形を包含するものとする。
【0061】
生物学の分野では、細胞の不均一な混合物内の特定の細胞集団の生死を測定すること、特に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)またはナチュラルキラー(NK)細胞によって生じる標的がん細胞の死を測定することは有益である。かかる用途に広く使用されている方法の1つはクロム放出アッセイであり、これは、細胞に放射性クロムを負荷し、細胞死時の放出をモニターするものである。細胞に蛍光色素を前負荷し、細胞死時の培地への該色素の放出を測定することを含む方法などの、放射性物質の使用を回避するための類似した手法が開発されている。まとめると、かかる手法の主たる課題は、生細胞集団からの標識化プローブの非特異的な放出であり、これにより上記手法の使用が短期間の測定(例えば、2~4時間)に制限される。多くの場合、死細胞から放出された上記プローブを検出前に生細胞から分離する必要があり、これによって、これらの形式のアッセイをより高処理速度の「添加して読み取るだけ」の形式(例えば均一なアッセイ)に使用することが技術的に困難になり、上記形式ではアッセイの変動性が増加する可能性がある。これらの課題に対処するために、代替のアッセイ、例えば、目的の細胞中にレポーター遺伝子を導入することが開発されている。いくつかの例では、生物発光レポーターの導入によって、漏れの問題に対処し、且つ高感度の定量的手法が提供されるが、これも、時間を要し、且つ初代細胞を用いた作業の場合には困難となる可能性のある細胞工学を必要とする。したがって、細胞工学を必要とせずに、混合細胞培養物内の特定の細胞死の、均一に、高感度で、且つ定量的に検出する、漏れを最小限に抑えた、放射性物質を使用しない手法に対するニーズが依然として存在する。
【0062】
2.多官能性プローブ
本開示の実施形態は、対象とする生体分子(例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、ポリヌクレオチドなど)を検出するために使用することができる多官能性プローブを含む。いくつかの実施形態において、上記多官能性プローブは細胞透過性である(例えば、細胞外に与えられ、細胞内の生体分子に結合することができる)。いくつかの実施形態において、上記多官能性プローブは細胞不透過性である(例えば、細胞外に与えられた場合、細胞中に入ることができず、細胞外の生体分子にのみ結合することができる)。いくつかの実施形態において、上記多官能性プローブは生体分子に連結することが可能であり、該プローブの1種以上の生物発光が可能なペプチドまたはポリペプチドへの結合を介して、上記生体分子を容易に検出にすることができる。いくつかの実施形態において、上記生体分子が生物発光により検出されることは、生体分子の放出(例えば、細胞死またはアポトーシス)を含む細胞応答を示している。いくつかの実施形態において、上記多官能性プローブは生体分子に連結することが可能であり、該プローブの1種以上の生物発光が可能な蛍光標識ペプチドまたはポリペプチド(例えば、HiBiT蛍光標識ペプチド)への結合を介して、容易に蛍光による検出及び/または撮像をすることができる。いくつかの実施形態において、生物発光シグナル及び生物蛍光シグナルの両方を発生させることが可能な本開示の多官能性プローブの使用によって、とりわけ生物発光シグナル及び/もしくは生物蛍光シグナルの存在または非存在に基づく、1種の細胞型の識別が可能になり、これは特定の細胞応答を示している可能性がある。
【0063】
いくつかの実施形態において、多官能性プローブは、少なくとも1つの捕捉因子(例えば、クロロアルカン基、ビオチンなど)と、少なくとも1つの生体分子反応性基(例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、ヌクレオチドなどの生体分子と安定した(例えば、共有)結合を形成することが可能な官能基)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、多官能性プローブは、スクシンイミジルエステル部分またはマレイミド基などの、タンパク質と安定した(例えば、共有)結合を形成する(例えば、たんぱく質に(例えば、細胞環境または他の複雑な環境において)非特異的に結合する(例えば、標識化、タグ付けなど))ことが可能な、少なくとも1つのタンパク質反応性基を含む。いくつかの実施形態において、多官能性プローブは二官能性プローブであり、且つ1つの捕捉因子(例えば、クロロアルカン基)及び1つの生体分子反応性基(例えば、スクシンイミジルエステル部分などのタンパク質反応性基)を含む。いくつかの実施形態において、多官能性プローブは、1つの捕捉因子(例えば、クロロアルカン基)及び1つの生体分子反応性基に加えて、第2の捕捉因子、フルオロフォアなどのさらなる官能基をさらに含み、その場合には、かかるプローブは三官能性と見なすことができる。いくつかの実施形態において、本明細書のプローブの種々の官能基及び部分は、本明細書でより詳細に記載されるように、適宜のリンカーによって結合されている。
【0064】
いくつかの実施形態において、多官能性プローブは、直接(例えば、互いに共有結合した)またはリンカーを介して結合した2つの機能性因子(例えば、捕捉因子及び生体分子反応性基)を含む二官能性プローブである。いくつかの実施形態において、かかるリンカーは1つ以上の機能性置換基をさらに含み、その結果三官能性またはその他の多官能性プローブとなる。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書のプローブは二官能性プローブである。例えば、本開示の二官能性プローブは、スクシンイミジルエステル(SE)及びクロロアルカン(Cl)官能基を含んでいてもよい。生細胞中に導入されると、上記スクシンイミジルエステル部分は、生体分子(例えば、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、脂質など)上の遊離アミノ基に共有結合することができる。上記二官能性プローブで標識されたこれらの生体分子が生細胞から放出されると(例えば、細胞死時に)、例えば、前もって上記二官能性プローブ(例えば、米国特許第7,238,842号(その全体が本明細書に援用される)で提供されるHaloTag)で標識されたタンパク質上のクロロアルカン官能基に共有結合する修飾ハロアルカンデヒドロゲナーゼタンパク質を使用して、上記生体分子を検出することができる。いくつかの実施形態において、上記修飾ハロアルカンデヒドロゲナーゼタンパク質は、生物発光の検出が可能な1種以上のペプチドまたはポリペプチドに結合される。
【0066】
他の実施形態において、本開示の二官能性プローブは、ビオチン/ストレプトアビジンシステムを使用してもよい。例えば、二官能性プローブは、生体分子(例えば、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、脂質など)上の遊離アミノ基に共有結合することができるスクシンイミジルエステル(SE)基(または他の官能基)に結合したビオチンを含んでいてもよい。次いで、これらの生体分子は、生物発光が可能な1種以上のペプチドまたはポリペプチドに結合した相補的ストレプトアビジンに結合させることによって検出することができる。当業者であれば、本開示に基づいて認識しようが、相補的結合パートナーから構成される他のシステムも使用することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、本開示の多官能性プローブは、生体分子に連結することが可能であり、生物発光が可能な1種以上の蛍光標識ペプチドまたはポリペプチドに対する結合によって、蛍光による検出及び/または蛍光による撮像を容易にすることができる。例えば、NanoBiT(登録商標)システムの1つ以上の構成要素(例えば、SmBiT、HiBiT、LgBiT)は、蛍光タグまたはフルオロフォアで標識されている。これらの実施形態によれば、蛍光シグナルは、生物発光シグナルとは独立に検出することができる(例えば、生物発光複合体/相補性の形成時に発生)。生物発光シグナル及び蛍光シグナルを発生する能力によって、生体分子及び/または生体分子に関連する細胞の検出及び定量化の向上が容易になることが可能である。
【0068】
いくつかの実施形態において、本開示は、式(I):
A-X-B (I)
(式中、
Aは捕捉因子であり、
Xはリンカーであり、
Bは生体分子反応性基である)
の化合物またはその塩を提供する。
【0069】
式(I)の化合物において、Aは捕捉因子であり、該捕捉因子は、特定の捕捉剤と共有結合を形成するか、または特定の捕捉剤との安定した非共有相互作用を形成する分子実体である。いくつかの実施形態において、Aは、酵素の共有結合性基質(例えば、修飾酵素が、該基質の生成物への転化を触媒するのではなく、共有結合または他の安定な結合を形成する基質)である。いくつかの実施形態において、上記基質は変異酵素によって認識され、該酵素と共有結合を形成する。かかる実施形態において、上記基質と野生型バージョンの酵素との相互作用によって、生成物が形成され且つ上記野生型酵素が再生されるが、上記基質と上記変異体バージョンの酵素との相互作用により、上記酵素と上記基質の間の共有結合が形成される。上記基質は、通常は上記酵素によって一時的にのみ結合されるその基質と安定な結合または共有結合を形成するように改変された任意の変異酵素に適した任意の基質であってよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、Aはハロアルキル基(例えば、C2~C12ハロアルキル基)を含む。かかる実施形態において、Aは、デハロゲナーゼ、例えば、ハロアルカンデハロゲナーゼの基質である。変異ヒドロラーゼ(例えば、変異デハロゲナーゼ)であって、それらの基質(例えば、ハロアルキル基質)に共有結合する上記変異ヒドロラーゼを含むシステムが、例えば、米国特許第7,238,842号、米国特許第7,425,436号、米国特許第7,429,472号、米国特許第7,867,726号に記載され、これらの特許文献のそれぞれは、その全体が本明細書に援用される。HALOTAGは、そのハロアルキル基質と安定した(例えば、共有)結合(例えば、エステル結合)を形成する市販の修飾デハロゲナーゼ酵素であり、本明細書の実施形態において利用される。
【0071】
いくつかの実施形態において、Aは、式-(CH2n-Xを有し、式中、nは、4、5、6、7、または8であり、Xは、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、またはI)である。いくつかの実施形態において、XはClである。いくつかの実施形態において、nは6であり且つXはClであり、その結果Aは式-(CH26-C1を有する。いくつかの実施形態において、上記ハロアルキル基は、変異デハロゲナーゼとの相互作用を妨害しない置換基でさらに置換されていてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、捕捉因子は「親和性分子」であり、対応する捕捉剤は、かかる親和性分子と選択的に相互作用する「受容体」(例えば、小分子、タンパク質、抗体など)である。かかる対の例としては、上記捕捉因子としての抗原及び上記捕捉剤としての抗体;上記捕捉因子としての小分子及び上記捕捉剤としての、該小分子に対する高い親和性を有するタンパク質(例えば、ストレプトアビジン及びビオチン)などが挙げられることとなる。
【0073】
式(I)の化合物において、Bは生体分子反応性基である。いくつかの実施形態において、上記生体分子反応性基は、タンパク質、ペプチド、脂質、ポリヌクレオチドなどの対象となる生体分子と反応することができる基である。いくつかの実施形態において、生体分子反応性基は、1種以上の種類の生体分子(例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、ポリヌクレオチドなど)と非特異的に反応する。上記生体分子は、細胞内または細胞外生体分子などの、当該の細胞に関連する任意の生体分子であってよい。いくつかの実施形態において、Bはタンパク質反応性基である。いくつかの実施形態において、Bは、タンパク質(例えば、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質など)と共有結合を形成することが可能な官能基である。例えば、いくつかの実施形態において、Bは、アミノ酸側鎖と反応して共有結合を形成することが可能な官能基である。いくつかの実施形態において、Bは、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルから選択される。いくつかの実施形態において、Bは、スクシンイミジルエステルであり、これは、リシン側鎖のアミノ基などのタンパク質の遊離アミノ基と反応して、アミド結合を形成することができる。いくつかの実施形態において、Bは、脂質と共有結合を形成することが可能な官能基である。いくつかの実施形態において、Bは、酵素の自殺基質として作用する官能基であり、その結果、式(I)の化合物と当該酵素との間に共有結合が形成される。
【0074】
式(I)の化合物において、Xはリンカーである。式(I)の化合物には、多種多様なリンカーを使用することができる。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、アルキレン、アリーレン、-O-、-NH-、カルバミン酸エステル、及び-C(O)-基を含む。例えば、上記リンカーは、エステル(-C(O)O-)、アミド(-C(O)NH-)、カルバミン酸エステル(-NHC(O)O-)、尿素(-NHC(O)NH-)、フェニレン(例えば、1,4-フェニレン)、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン、ならびに/またはオリゴ及びポリエチレングリコール(-(CH2CH2O)x-)結合などを有するリンカーを与える、かかる基のさまざまな組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、2つ以上の原子(例えば、2~200原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200原子、またはそれらの間の任意の範囲(例えば、2~20、5~10、15~35、25~100など))を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、上記リンカーは、式:
【化3】
の基を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記リンカーは、適宜の置換基で置換された炭素原子または窒素原子を含む。いくつかの実施形態において、適宜の置換基は第3の官能基を含む(例えば、第3の官能基を含んでいなければ二官能性のプローブを三官能性にする)。例えば、いくつかの実施形態において、上記リンカーは、第2の捕捉因子A’で置換された炭素原子または窒素原子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、A’は、ハロアルキル基(例えば、式-(CH2n-X(式中、nは4、5、6、7、または8であり、XはClなどのハロゲンである)の基などのC2~C12ハロアルキル基)などの、基Aについて本明細書に記載された任意の基である。いくつかの実施形態において、A’は式-(CH26-Clを有する。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、フルオロフォアで置換された炭素原子または窒素原子を含む。好適なフルオロフォアとしては、フルオレセイン及びフルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアナートまたはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’-ジクロロ-2’、7’-ジメトキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン(例えばFAM));ローダミン色素(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンもしくはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、リサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、またはTMR);クマリン及びクマリン色素(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン及びアミノメチルクマリン、またはAMCA);Oregon Green色素(例えば、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514);Texas Red、Texas Red-X、SPECTRUM RED(商標)、SPECTRUM GREEN(商標)、シアニン色素(例えば、CY-3(商標)、CY-5(商標)、CY-3.5(商標)、CY-5.5(商標))、Alexa Fluor色素(例えば、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、及びAlexa Fluor 680);BODIPY色素(例えば、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665);IR色素(例えば、IRD 40、IRD 700、IRD 800)などが挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる他の好適な蛍光色素、及び蛍光色素をプローブなどのオリゴヌクレオチドに連結または組み込むための方法の例は、RP Haugland, “The Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals”, Molecular Probes, Inc., Eugene, Oreg. (June 1992)に記載されている。いくつかの実施形態において、上記フルオロフォアは、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)である。他の実施形態において、上記リンカーは、第2の生体分子反応性基(B’)で置換された炭素原子または窒素原子を含む。いくつかの実施形態において、B’は、SE基またはマレイミドなどの、基Bについて本明細書に記載される任意の基である。他の実施形態において、リンカーは、1種以上の更なるペプチド成分もしくはポリペプチド成分と生物発光複合体を形成することが可能なペプチドで置換された炭素原子または窒素原子を含む(例えば、NanoBiT(例えば、米国特許第9,797,889号(その全体が本明細書に援用される)を参照のこと)またはNanoTrip(商標)ペプチド(例えば、国際出願第PCT/US19/36844号(その全体が本明細書に援用される)を参照のこと)。さらに他の実施形態において、リンカーは、ハンドル、検出可能な部分、タグ、ペプチド、エピトープなどの、任意の好適な化学基の官能部分で置換された炭素原子または窒素原子を含む。
【0076】
好適な化合物は、上記のA、X、及びB(及び/またはA’、B’、またはさらなる部分(例えば、フルオロフォア))の任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記化合物は、
【化4】
から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は細胞透過性である。この特性により、例えば、式(I)の化合物を使用して生細胞中の細胞内タンパク質を共有結合により標識する方法などの、本明細書に記載の方法において上記化合物を使用することができる。
【0078】
式(I)の化合物は塩の形態であってもよい。上記塩は、上記化合物の最終的な単離及び精製中にもしくは別個に、例えば、上記化合物の塩基性基(例えばアミノ基)を適宜の酸と反応させることによって、または上記化合物の酸性基(例えばカルボン酸基)を適宜の塩基と反応させることによって調製することができる。
【0079】
酸性塩は、上記化合物の最終的な単離及び精製中にもしくは別個に、アミノ基などの上記化合物の適宜の基を適宜の酸と反応させることによって調製することができる。例えば、化合物を、メタノール及び水などの、但しこれらに限定されない適宜の溶媒に溶解してもよく、少なくとも1当量の塩酸などの酸で処理してもよい。生成した塩を沈殿させ、ろ過により単離し、減圧下で乾燥してもよい。あるいは、溶媒及び過剰な酸を減圧下で除去して、塩を得てもよい。代表的な塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、イセチオン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルタミン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。上記化合物のアミノ基は、塩化アルキル、臭化アルキル、及びヨウ化アルキル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルなど)で四級化されていてもよい。
【0080】
塩基性付加塩は、本開示の化合物の最終的な単離及び精製の間に、カルボキシル基の、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、もしくはアルミニウムなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩、あるいは有機第一級、第二級、または第三級アミンなどの適宜の塩基との反応によって調製することができる。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどから誘導されるものなどの、第四級アミンを調製してもよい。
【0081】
式(I)の化合物は、スキーム1に示される方法を含むさまざまな方法によって合成することができる。
スキーム1
【化5】
【0082】
反応条件の適切な操作、試薬及び合成経路の順序、反応条件に適合することができない任意の化学官能基の保護、及び上記方法の反応順序における適宜の時点での脱保護を含む日常の実験が、本開示の範囲に包含される。好適な保護基、及びかかる好適な保護基を使用して異なる置換基を保護及び脱保護するための方法は当業者に周知であり、それらの例は、PGM Wuts and TW Greene, in Greene’s book titled Protective Groups in Organic Synthesis (4th ed.), John Wiley & Sons, NY (2006)に記載されており、上記文献はその全体が本明細書に援用される。本開示の化合物の合成は、本明細書に記載の合成スキーム及び特定の実施例に記載されているものと類似の方法によって実現することができる。
【0083】
3.生物発光
本開示は、共培養系(例えば、非標識細胞を含む)における特定の細胞集団(例えば、前もって標識した)の応答を検出及び/または測定するためのアッセイ、システム、ならびに方法を提供する。これらの実施形態によれば、本開示は、生体分子に、生物発光/蛍光ポリペプチド及び/または生物発光/蛍光複合体(ペプチドまたはポリペプチド成分の)を連結する多官能性(例えば二官能性)プローブを使用する、生体分子及び/または生体分子に関連する細胞応答の検出及び/または定量化のための材料ならびに方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記生体発光/蛍光ポリペプチド及び/または生体発光/蛍光複合体は、多官能性プローブに、上記生体分子に結合する上記多官能性プローブ上の官能基(例えば、ハロアルカン)に共有結合するタンパク質剤(例えば、修飾ハロアルカンデヒドロゲナーゼタンパク質(例えば、HaloTag)など)を使用して連結される。他の実施形態において、上記タンパク質剤は、上記生体分子の特異的結合パートナーまたはリガンド(例えば、細胞表面受容体に結合するリガンド)であってよく、これにより、当該生体分子のみを発現する細胞集団を標識するためのより高い特異性を付与することができる。いくつかの実施形態において、上記タンパク質剤は、細胞表面で相互作用する際に、その生体分子結合パートナーと共有結合を形成するように修飾されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態において、本明細書では、細胞から放出された生体分子の検出のためのバイオアッセイに関連する材料及び方法が提供される。細胞からの生体分子の放出は、刺激または刺激に対する細胞応答の結果として(例えば、それに反応して)生じる場合がある。いくつかの実施形態において、生体分子の放出は、細胞死、細胞毒性、膜透過性化(例えば、小分子、タンパク質/ペプチド、または電気的刺激によって起こる)、能動輸送機序、免疫応答、拡散の促進などの結果として生じる場合がある。いくつかの実施形態において、生体分子の放出は、細胞からの生体分子の分泌自体によって生じる。他の実施形態において、生体分子は、エクソソーム、リソソーム、微小胞、細胞外小胞などを含む、但しこれらに限定されない小胞中で放出される。いくつかの実施形態において、生体分子は、細胞から分泌された小胞から放出されるか、または生体分子は小胞膜の表面に存在する(細胞関連生体分子)。これらの実施形態によれば、上記生体分子は、小胞(例えばエクソソーム)中、小胞膜上に存在する、及び/もしくは小胞から排出されたタンパク質、脂質、ポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)、あるいはそれらの組み合わせであってよい。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態において、生体分子(例えば、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、脂質など)は、(i)生体分子反応性基(例えば、上記プローブを上記細胞内生体分子に結合させるための)及び(ii)捕捉因子を含む多官能性プローブで(非特異的に)標識されている(例えばアミノ基に)。標識された生体分子が上記細胞から放出される場合(例えば、細胞の透過化性化または細胞死に起因して)、上記捕捉剤は、細胞外捕捉因子による結合に利用可能になる。いくつかの実施形態において、生体分子が結合した捕捉因子への上記捕捉剤の結合によって、上記生体分子の検出及び上記細胞から上記生体分子の放出(例えば、細胞の透過性化、細胞死など)との相関付けが可能になる。
【0086】
いくつかの実施形態において、捕捉剤は、生物発光複合体のペプチド成分及び/またはポリペプチド成分に結合し(例えば、融合し)、その結果、捕捉剤が上記標識された生体分子上の捕捉因子に結合すると、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分から生物発光複合体が形成され、生物発光を検出することができる。いくつかの実施形態において、上記捕捉剤は細胞透過性ではなく、したがって生物発光は、標識されたタンパク質が細胞から漏れる際にのみ発生する。いくつかの実施形態において、生物発光のレベルは、刺激または細胞応答に比例する。いくつかの実施形態において、生物発光のレベルは、細胞死及び/または透過性化に比例する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本明細書では、多官能性(例えば二官能性)プローブならびに生物発光ポリペプチド及び/または、(構造的に、機能的になど)Oplophorus gracilirostrisのルシフェラーゼ、NanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ(Promega Corporation;米国特許第8,557,970号、米国特許第8,669,103号(それらの全体が本明細書に援用される)、NanoBiT(米国特許第9,797,889号(その全体が本明細書に援用される)、NanoTrip(米国仮出願62/684,014号(その全体が本明細書に援用される)、及び/または他の多分割生物発光技術(国際出願第PCT/US19/36844号(その全体が本明細書に援用される))に基づく、生物発光複合体(複合体形成時に大きな発光を示すペプチド成分(複数可)及び/またはポリペプチド成分の)を合体させるバイオアッセイである。本明細書に記載されるように、バイオアッセイは、市販のNanoLuc(登録商標)に基づく技術(例えば、NanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ、NanoBRET、NanoBiT、NanoTrip、NanoGloなど)を組み込むことができるが、他の実施形態において、市販のNanoLuc(登録商標)に基づく技術由来のさまざまな組み合わせ、変化形、または派生物が使用される。
【0088】
a. NanoLuc
PCT出願第PCT/US2010/033449号、米国特許第8,557,970号、PCT/2011/059018、及び米国特許第8,669,103号(これらのそれぞれは、その全体がすべての目的のために本明細書に援用される)は、生物発光ポリペプチドを含む組成物及び方法を記載する。かかるポリペプチドは、本明細書の実施形態に使用され、本明細書に記載の組成物、アッセイ、及び方法と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される組成物、アッセイ、及び方法は、配列番号5の、または配列番号5に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有する生物発光ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上述の生物発光ポリペプチドのいずれかが、修飾デハロゲナーゼ(例えば、HaloTag)に連結している(例えば、融合している、化学的に連結しているなど)か、または相補的結合パートナーから構成される別のシステムを利用する。
【0089】
b.生物発光複合体
天然のOplophorus gracilirostrisのルシフェラーゼ(OgLuc)及び市販のNANOLUCルシフェラーゼ(Promega Corporation)はそれぞれ、10種のβ(ベータ)鎖(β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、β9、β10)のポリペプチドを含む。米国特許第9,797,889号(その全体が本明細書に援用される)は、β1~9様ポリペプチド及びβ10様ペプチドを含む相補性システムの開発及び使用を記載する(米国特許第9,797,889号の実際のポリペプチド及びペプチドの配列はNANOLUC及び野生型天然OgLucにおける対応する配列と異なる)。
【0090】
多分割相補性システム(例えば、二分割、三分割など)は、これらのルシフェラーゼの10種のβ(ベータ)鎖の完全なセットに集合的に対応するペプチドとポリペプチドとを組み合わせることによって開発された。相補的なペプチドとポリペプチドの上記セットを組み合わせると、適宜の条件下で(例えば、上記相補性成分に融合した捕捉試薬の捕捉因子への結合によって促進される)、生物発光複合体が形成される。いくつかの実施形態において、上記生物発光複合体のペプチド成分及びポリペプチド成分は、本明細書の組成物及び方法によって標識されたタンパク質を検出するための検出試薬(例えば、捕捉剤に融合)としての用途がある(前記検出によって細胞死が検出される)。これらの多分割相補性システムは、例えば、PCT出願第PCT/US14/26354号、米国特許第9,797,889号、米国仮出願第62/684,014号、及び国際出願第PCT/US19/36844(これらの全体がすべての目的のために本明細書に援用される)に記載され、これらの技術の実施例が以下に記載される。
【0091】
1. NanoBiT及び関連する2分割技術
PCT出願第PCT/US14/26354及び米国特許第9,797,889号(これらのそれぞれはその全体がすべての目的のために本明細書に援用される)は、生物発光複合体のアセンブリのための組成物及び方法を記載しており、かかる複合体、ならびにそれらのペプチド成分及びポリペプチド成分は、本明細書の実施形態に使用され、本明細書に記載の組成物、アッセイ、及び方法と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、NanoBiT及び他の関連技術は、複合体にアセンブリされると、適宜の基質(例えば、セレンテラジンまたはセレンテラジン類似体)の存在下で、上記ペプチド成分及びポリペプチド成分単独と比較した場合に、有意な発光の増大(例えば、2倍、5倍、10倍、102倍、103倍、104倍、またはそれ以上)を示すペプチド成分及びポリペプチド成分を利用する。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号9に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するポリペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号5、及び/または列番号6に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号10に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号1、配列番号4、配列番号5、及び/または列番号8に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号11に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号1、配列番号4、配列番号5、及び/または列番号8に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、生物発光複合体の上述のペプチド成分またはポリペプチド成分のいずれかは、修飾デハロゲナーゼ(例えばHaloTag)に連結される(例えば、融合している、化学的に連結しているなど)か、または相補的な結合パートナーで構成される別のシステムを利用する。いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号10に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号1、配列番号4、配列番号5、及び/または列番号8に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、生物発光複合体の上述のペプチド成分またはポリペプチド成分のいずれかは、修飾デハロゲナーゼ(例えばHaloTag)に連結される(例えば、融合している、化学的に連結しているなど)か、または相補的結合パートナーからなる別のシステムを利用する。
【0093】
2.多分割NanoLuc(登録商標)及び関連する多分割技術
米国仮出願第62/684,014号及び国際出願第PCT/US19/36844(それらの全体がすべての目的のために本明細書に援用される)は、3種以上のペプチド成分及びポリペプチド成分から生物発光複合体をアセンブリするための組成物、システム、及び方法を記載する。かかる複合体、ならびにそれらのペプチド成分及びポリペプチド成分は、本明細書に記載の組成物、アッセイ、及び方法と組み合わせて使用することができる。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号12または19に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するポリペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号6、及び/または列番号9に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号11に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号1、配列番号4、配列番号5、及び/または列番号8に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。
【0096】
いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号13に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び/または列番号7に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。
【0097】
いくつかの実施形態において、本明細書では、配列番号14に対する少なくとも60%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれらの間の範囲)の配列同一性を有するペプチド成分が提供される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、及び/または列番号8に対する100%未満(例えば、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、上述のペプチド成分またはポリペプチド成分のいずれかは、修飾デハロゲナーゼ(例えばHaloTag)に連結される(例えば、融合している、化学的に連結しているなど)か、または相補的結合パートナーからなる別のシステムを利用する。
【0098】
c. NanoBRET
PCT出願第PCT/US13/74765号及び米国特許出願第15/263,416号(それらの全体がすべての目的のために本明細書に援用される)は、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)組成物、アッセイ、及び方法(例えば、NanoLuc(登録商標)に基づく技術を組み込む)を記載する。かかる組成物、アッセイ、及び方法、ならびに生物発光ポリペプチド及びそのフルオロフォアと結合した成分は、本明細書に記載の組成物、アッセイ、及び方法と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、NanoLuc(登録商標)に基づく、NanoBiT(登録商標)に基づく、及び/または多分割NanoLuc(登録商標)に基づくまたは関連するペプチド、ポリペプチド、複合体、融合物、及びコンジュゲートのいずれかが、本明細書に記載の組成物、アッセイ、及び方法を用いたBRETに基づく用途に使用することができる。
【0099】
本明細書では、用語「エネルギー受容体」とは、エネルギー吸収に応答して容易に検出可能なシグナルを発生する(例えば、共鳴エネルギー移動)任意の小分子(例えば発色団)、高分子(例えば、自己蛍光タンパク質、フィコビリタンパク質、ナノ粒子、表面など)、または分子複合体をいう。特定の実施形態において、エネルギー受容体は、フルオロフォアまたは他の検出可能な発色団である。好適なフルオロフォアとしては、キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、Oregon green、エオシン、Texas redなど)、シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニンなど)、ナフタレン誘導体(例えば、ダンシル及びプロダン誘導体)、オキサジアゾール誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサジアゾールなど)、ピレン誘導体(例えばカスケードブルー)、オキサジン誘導体(例えば、Nile red、Nile blue、クレシルバイオレット、オキサジン170など)、アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエローなど)、アリールメチン誘導体(例えば、オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーンなど)、テトラピロール誘導体(例えば、ポルフィン、フタロシアニン、ビリルビンなど)、CF色素(Biotium)、BODIPY(Invitrogen)、ALEXA FLuoR(Invitrogen)、DYLIGHT FLUOR(ThermoScientific、Pierce)、ATTO及びTRACY(Sigma Aldrich)、FluoProbes(Interchim)、DY及びMEGASTOKES(Dyomics)、SULFO CY色素(CYANDYE, LLC)、SETAU及びSQUARE DYES(SETA BioMedicals)、QUASAR及びCAL FLUOR色素(Biosearch Technologies)、SURELIGHT DYES(APC、RPE、PerCP、Phycobilisomes)(Columbia Biosciences)、APC、APCXL、RPE、BPE(Phyco-Biotech)、自己蛍光タンパク質(例えば、YFP、RFP、mCherry、mKate)、量子ドットナノクリスタルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、米国特許出願第13/682,589号(その全体が本明細書に援用される)に記載されるものなどのローダミン類似体(例えばカルボキシローダミン類似体)である。いくつかの実施形態において、多官能性プローブのフルオロフォアは、本明細書の技術のBRET用途における受容体である。
【0100】
e. 発光性基質
本開示のアッセイ及び方法は発光性基質の使用を含む。本明細書に記載の生物発光は一般に、酵素、タンパク質、タンパク質複合体、または他の生体分子(例えば生物発光複合体)によって触媒される、またはそれらによって可能になる化学反応による光の発生及び放出をいう。一般的な実施形態において、生物発光実体(例えば、生物発光タンパク質または生物発光複合体)の発光性基質は、生物発光実体によって不安定な形態に変換され、続いてその基質は発光する。検出試薬(例えば、生物発光複合体のポリペプチド成分(複数可))及び基質(例えば、セレンテラジンまたはセレンテラジン類似体)の存在下で、生物発光シグナルが発生する。本明細書では、セレンテラジンまたはその類似体もしくは誘導体などの発光性基質を含む組成物が提供される。例示的なセレンテラジン類似体としては、セレンテラジン-h、セレンテラジン-h-h、及びフリマジンが挙げられる。
【0101】
いくつかの実施形態において、上記基質は、以下の構造:
【化6】
を有するセレンテラジンである。
【0102】
いくつかの実施形態において、上記基質はセレンテラジン類似体または誘導体である。例示的なセレンテラジン類似体としては、セレンテラジン-h(2-デオキシセレンテラジン、すなわち、2,8-ジベンジル-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン)、セレンテラジン-h-h(ジデオキシセレンテラジン、すなわち、2,8-ジベンジル-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン)、及びフリマジン(8-ベンジル-2-(フラン-2-イルメチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン)が挙げられ、それらは以下の構造:
【化7】
を有する。
【0103】
更なる例示的なセレンテラジン類似体としては、セレンテラジン-n、セレンテラジン-f、セレンテラジン-hcp、セレンテラジン-cp、セレンテラジン-c、セレンテラジン-e、セレンテラジン-fcp、セレンテラジン-i、セレンテラジン-icp、セレンテラジン-v、2-メチルセレンテラジンなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記化合物は、WO2003/040100、米国出願第12/056,073号(段落[0086])、米国特許第8,669,103号;WO2012/061529、米国特許公開2017/0233789、及び米国特許公開2018/0030059(これらの開示は、それらの全体が本明細書に援用される)に記載のセレンテラジン類似体であってもよい。いくつかの実施形態において、セレンテラジン類似体または誘導体は、例えば、米国出願第12/056,073号、米国公開第2012/0707849号、米国公開第2014/0099654号(それらの全体が本明細書に援用される)に記載されているものなどのプロ基質を包含する。いくつかの実施形態において、上記化合物はフリマジンである。
【0104】
セレンテラジンならびにその類似体及び誘導体は、本明細書に記載の生物発光性法などの多くのアッセイに使用される、緩衝液系中でのそれらの再構成に関連する課題が問題となる場合がある。例えば、セレンテラジン、またはフリマジンなどのその類似体もしくは誘導体は、緩衝液への溶解が遅い及び/または溶解の一貫性がない場合がある(例えば、その固体物質の不均一な微結晶性に起因して)。緩衝液で希釈する前に有機溶媒に溶解すると、より速く且つより一貫した結果が得られる場合がある一方で、セレンテラジン化合物は、熱に対する不安定性及び光に対する不安定性の両方を含む、保存時の有機溶液中での不安定性が問題となる場合がある。いくつかの実施形態において、上記組成物はポリマーをさらに含む。本明細書でさらに説明されるように、上記ポリマーが存在することによって、上記化合物が分解に対して安定化する場合があり、且つ上記ポリマーが存在することによって、水または水溶液中での上記化合物の溶解度を向上させる可能性がある。
【0105】
上記ポリマーは、天然に存在する生体高分子または合成高分子であってよい。いくつかの実施形態において、上記ポリマーは、天然に存在する生体高分子である。好適な天然に存在する生体高分子は、二糖類(例えば、トレハロース及びマルトース)を含む炭水化物、及び多糖類(例えば、プルラン、デキストラン、及びセルロース)である。天然に存在する生体高分子の混合物も使用することができる。いくつかの実施形態において、上記ポリマーはプルランであり、プルランはマルトトリオース繰り返し単位を含む多糖である。マルトトリオースは、α-1,4グリコシド結合を介して結合した3つのグルコース単位を含む三糖である。上記プルランポリマー内の上記マルトトリオース単位は、α-1,6グリコシド結合を介して互いに結合している。
【0106】
いくつかの実施形態において、上記ポリマーは合成ポリマーである。合成ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、またはブロックコポリマー(例えば、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマーなど)であってよい。好適なポリマーの非限定的な例としては、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバミン酸エステル、ポリ尿素、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアナート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、及びポリアリラートが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なポリマーの非限定的な例としては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-共-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-共-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D、L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-共-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-共-カプロラクトン-共-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-共-PEO-共-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-共-PPO-共-D,L-ラクチド)、ポリシアノアクリル酸アルキル、ポリウレタン、ポリ-L-リシン(PLL)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボナート、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG))、ポリアルキレンテレフタラート(例えば、ポリ(エチレンテレフタラート)など)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル(例えばポリ(酢酸ビニル)など)、ポリビニルハライド(例えばポリ(塩化ビニル)(PVC)など)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、誘導体化セルロース(例えばアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、アクリル酸のポリマー(「ポリアクリル酸」)(例えばポリ((メタ)アクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ((メタ)アクリル酸エチル)、ポリ((メタ)アクリル酸ブチル)、ポリ((メタ)アクリル酸イソブチル)、ポリ((メタ)アクリル酸ヘキシル)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ((メタ)アクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリジオキサノン及びそのコポリマー(例えば、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリプロピレンフマラート)、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-共-カプロラクトン)、トリメチレンカーボナート、ならびにそれらの混合物及びコポリマーが挙げられる。
【0107】
上記化合物及び上記ポリマーに加えて、上記組成物は、緩衝液、界面活性剤、塩、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせなどのさらなる成分を含んでいてもよい。例えば、上記組成物は、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液、もしくはクエン酸緩衝液、またはビシン、トリシン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸(HEPES)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)などの他の一般的な緩衝液などの緩衝液を含んでいてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、上記組成物は界面活性剤を含んでいてもよい。例示的な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤が挙げられる。例えば、上記界面活性剤は、ソルビタン20などの非イオン性界面活性剤であってよい。いくつかの実施形態において、上記組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、上記組成物はタンパク質を含んでいてもよい。例えば、上記組成物は、下流のアッセイで添加される場合がある発光性酵素の表面吸着を防ぐための担体タンパク質を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、上記タンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)であってよい。
【0109】
4.検出アッセイ
本開示の実施形態は、多官能性(例えば、二官能性、三官能性など)プローブを使用して細胞を標識し、生物発光を使用して標識細胞を検出するための組成物、アッセイ、及び方法を包含する。特定の実施形態において、本明細書のアッセイは、細胞からの標識された細胞内タンパク質の漏れの検出を提供する。かかる漏れは、外部刺激の結果として、及び/または外部刺激に対する細胞応答の結果として生じる場合がある。これらの実施形態にしたがって、例示的なアッセイ及び本明細書に記載のさまざまな実施形態と共に使用するための方法が以下に記載される。以下のアッセイ及び方法は、本実施形態の全範囲を、本開示に記載されるものに限定すると見なされるべきものではない。
【0110】
図1A~1Bに示すように、生物発光アッセイは、NanoLuc(登録商標)Binary Technology(NanoBiT)の相補的成分と細胞透過性多官能性プローブを使用して実施することができる。図1Bに示すように、上記多官能性プローブは、例えば、細胞内タンパク質の共有結合による標識化のためのスクシンイミジルエステル基、及びHaloTag(登録商標)タンパク質に共有結合するためのクロロアルカンリガンドを含んでいてもよい。しかしながら、当業者であれば本開示に基づいて認識することとなるように、他の多官能性プローブも使用することができる。例えば、図1Aに示すように、細胞の集団を、該細胞内の、または該細胞の細胞外表面上に位置する生体分子(細胞関連生体分子)に結合することが可能な多官能性プローブを使用して標識することができる。上記生体分子は、上記細胞内に存在する、上記細胞の細胞外表面上に位置する、及び/または上記細胞に関連する小胞(例えばエキソソーム)中/上に存在するタンパク質、脂質、ポリヌクレオチド(例えば、DNAもしくはRNA)、またはそれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、上記標識細胞は、非標識細胞と混合されるか、または共培養されてもよい。いくつかの実施形態において、刺激は、上記標識細胞に直接印加される(例えば薬物治療)か、または間接的に印加され(例えば、非標識細胞が標識細胞に影響を与える)、これにより、当該細胞の1つ以上の状況及び/または該細胞中/細胞上の標識された生体分子に変化が生じ、これは細胞応答を示している可能性がある。
【0111】
これらの実施形態によれば、上記生体分子は上記細胞から放出され、この放出は、細胞死、細胞毒性、膜の透過性化(例えば、小分子、タンパク質/ペプチド、または電気的刺激によって起こる)、能動輸送機序、免疫応答、拡散の促進などの結果として生じる場合がある。いくつかの実施形態において、生体分子の放出は、当該細胞からの上記生体分子の分泌自体を介して生じる。図1Aに示すように、放出が生じると、上記生体分子は、生物発光複合体、蛍光タグ、もしくは両方の組み合わせを使用して検出及び/または定量化することができる。例えば、HaloTag(登録商標)タンパク質をLgBiT及びSmBiT(例えば、HaloTag-SmBiT及びHaloTag-LgBiT)に融合させてもよく、多官能性プローブを介して上記生体分子に結合すると、それらの相補性により、検出及び/または定量化することができる生物発光シグナルが発生する。さらに、NanoBiTシステムの1種以上の成分(例えばHiBiT)を蛍光タグまたはフルオロフォアで標識して、生物発光シグナルと蛍光シグナルの両方の検出を容易にし、それによってシグナルの検出と定量化を向上させることができる(図7A~7B)。さらに、NanoBiTシステムの相補性成分(例えばLgBiT)が抗体と同一の標的タンパク質に結合する場合、NanoBiTシステムの1種以上の成分(例えば、SmBiT)を特定の抗体で標識して、生体発光シグナルの検出を容易にすることができ、延いては、特定のタンパク質及び特定の細胞応答の両方を検出する(例えば、刺激に応答して免疫細胞から分泌されるサイトカインの検出)能力が提供される。当業者であれば本開示に基づいて認識することとなるように、上記検出アッセイのさまざまな態様は、互いに、及び細胞に基づく検出アッセイの他の態様と組み合わせることができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、図1Bに示すように、特定の細胞集団を、細胞内タンパク質の共有結合による標識化のためのスクシンイミジルエステル基、及びHaloTag(登録商標)タンパク質に共有結合するためのクロロアルカンリガンドを含む細胞透過性多官能性プローブで標識してもよい。上記スクシンイミジルエステルは、細胞の生体分子(例えば細胞内タンパク質)上の露出したアミン(例えばリシン残基の)と非特異的に反応する。次いで上記クロロアルカンリガンドがかかる生体分子の表面上に提示される。次に前標識された細胞を使用して、細胞集団(例えば、混合細胞集団)内の細胞特異的応答をモニターするか、または生体分子を検出/撮像することができる。標識された生体分子が上記細胞を放出すると、該生体分子上のクロロアルカンリガンドが修飾デハロゲナーゼ(HaloTagなど)による細胞外結合に利用可能になる。デハロゲナーゼが結合したタンパク質を検出/撮像することができ、上記標識された細胞集団からの生体分子放出の割合または量をモニター/定量化することができる。いくつかの実施形態において、上記細胞からのタンパク質放出の速度/量は、細胞透過性化及び/または細胞死の速度/量の尺度を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態において、上記捕捉剤(例えば、修飾デハロゲナーゼ(例えば、HaloTag))は、検出可能な部分に連結しているか、または検出可能な部分との融合物として提供される。いくつかの実施形態において、上記検出可能な部分は、上記捕捉剤がプローブで標識された生体分子に結合した場合に検出可能となる(またはそのシグナルが高められる)。いくつかの実施形態において、2つ以上の捕捉剤が生体分子上の隣接するまたは近接した部位に位置する捕捉因子に結合する場合に、上記検出可能な部分が検出可能となる(またはそのシグナルが高められる)。例えば、本明細書の特定の実施形態において、捕捉剤は、生物発光複合体を形成するために必要な複数のペプチド/ポリペプチド成分との融合物として提供される(例えば、NanoBiT、NanoLuc(登録商標)多分割成分、または他の多分割技術(米国仮出願第62/684,014号、国際出願第PCT/US19/36844号、PCT出願第PCT/US14/26354号、及び/または米国特許第9,797,889号(それらの全体が本明細書に援用される)を介して)。上記捕捉剤が標識されたタンパク質上に提示された隣接する捕捉因子に結合すると、上記成分の生物発光複合体が形成され、その結果発生する生物発光が読み取られ、それにより生体分子の放出、細胞の透過性化、及び/または細胞死が示される。いくつかの実施形態において、上記ペプチド/ポリペプチド成分は、促進させなければ(例えば、それらの成分が融合することになる上記デハロゲナーゼに近接させなければ)、生物発光複合体を効率的に形成することができない。
【0114】
いくつかの実施形態において、本開示の二官能性プローブ及び生物発光複合体は、混合細胞培養物内の標的細胞集団の細胞死/アポトーシスを測定するために使用される。上記標的細胞内の生体分子(例えばタンパク質)は、細胞透過性の多官能性(例えば二官能性)プローブで標識することができる。標識タンパク質が培地中に放出されると(例えばタンパク質の漏出)、NanoBiTの成分、NanoLuc(登録商標)の多分割成分、及び/またはHaloTag(登録商標)タンパク質に融合した関連する多分割技術の成分(成分1及び2)が、当該生体分子上のクロロアルカンリガンドに結合し、それらを極めて近接させると、活性なルシフェラーゼ複合体が生成する。適宜の基質(例えば、セレンテラジン、セレンテラジン類似体、NanoGloなど)を添加すると、発生する光は、死細胞から放出される生体分子の量に正比例する(図1A)。
【0115】
図1Bに示すように、いくつかの実施形態において、上記多官能性(例えば二官能性)プローブは、スクシンイミジルエステル(SE)及びクロロアルカン(Cl)官能基を含む。生細胞中に導入されると、スクシンイミジルエステル部分は生体分子(例えば細胞内タンパク質)上の遊離アミノ基に共有結合する。これらの標識された生体分子が細胞死時に生細胞から放出されると、前もって二官能性プローブで標識されたタンパク質のクロロアルカン官能基に共有結合するHaloTag(登録商標)タンパク質(修飾ハロアルカンデヒドロゲナーゼ)を使用して検出することができる。一実施形態において、放出された標識された生体分子の定量的検出では、HaloTag(登録商標)-SmBiT及びHaloTag(登録商標)-LgBiT融合タンパク質が使用される。2つのスクシンイミジルエステル-クロロアルカンリガンドが、極めて近接して配置されるタンパク質上のアミノ基に非選択的に結合すると、検出が容易になる。当該タンパク質に対する上記2つのスクシンイミジルエステル-クロロアルカンリガンドの位置によって、HaloTag(登録商標)-SmBiT成分と相補的なHaloTag(登録商標)-LgBiT成分とが十分に極めて近接し、相補的な生物発光ペプチド/ポリペプチド複合体が生成する。ルシフェラーゼ基質の存在下では、死細胞または瀕死の細胞から放出された標識タンパク質の量に正比例して光が発生し、これは死んだまたは瀕死の標的細胞の数に正比例する。十分に高い標識密度では、高感度の検出に必要な程度まで生物発光の補完が起こることとなる。
【0116】
限定はされないが、標的細胞としては、本明細書で提供される材料及び方法を使用して標識することが可能な任意の供給源由来の任意の細胞を挙げることができる。いくつかの実施形態において、標的細胞は患者に由来する。いくつかの実施形態において、標的細胞は、細胞培養実験及び/または臨床環境において一般的に使用される細胞型の細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、脳もしくは脊髄の腫瘍、胚細胞腫瘍、神経内分泌腫瘍、またはカルチノイド腫瘍に由来する。いくつかの実施形態において、標的細胞は任意のがん性または非がん性の初代細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、骨髄、胚性芽球嚢胞もしくは卵嚢、脾臓、末梢血及び臍帯血を含む血液、脂肪組織、ならびにその他の組織及び器官を含む、但しこれらに限定されない、さまざまな異なる供給源に由来する、幹細胞または幹細胞に由来する細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、造血幹細胞、内皮前駆細胞、胚性幹細胞、または間葉系幹細胞である。
【0117】
本開示の細胞透過性二官能性プローブによって、細胞を遺伝子操作することを必要とせずに、初代細胞または患者の試料から単離された細胞を含む、但しこれらに限定されない、目的の特定の細胞型を前標識する能力が付与される。このタイプの特定の細胞標識化により、高感度で定量的な生物発光手法を使用して、標識された細胞集団の生死を追跡することが可能になる。高処理速度で、且つ多くの異なるアッセイプラットフォームに適した便利な「添加して読み取るだけ」の形式を使用して、終点としてまたはリアルタイムで変化を測定することができる。
【0118】
本明細書の実施形態は、図1Bに示すHaloTag、SmBiT、及びLgBiT成分に限定されない。むしろ、他の捕捉剤(例えば、他の修飾デハロゲナーゼ(例えば、米国特許第7,238,842号、米国特許第7,425,436号、米国特許第7,429,472号、米国特許第7,867,726号(これらのそれぞれの全体が本明細書に援用される)を参照されたい)及び相補的検出システム(例えば、他の二分割、三分割、及び多分割生物発光複合体システム(例えば、米国仮出願第62/684,014号、国際出願第PCT/US19/36844号、PCT出願第PCT/US14/26354、及び/または米国特許第9,797,889号(それらの全体が本明細書に援用される)を参照のこと)も、本明細書の実施形態で使用される。捕捉試薬は、蛍光タンパク質または蛍光タンパク質のフラグメントもしくは相補性により蛍光部分を形成する非蛍光サブユニットも含む場合がある。例えば、蛍光タンパク質または蛍光タンパク質のフラグメントもしくは非蛍光サブユニットとしては、Feng et al., (Nature Communications, vol. 8, “Improved split fluorescent proteins for endogenous protein labeling” (2017)), Foglieni et al., (Scientific Reports, vol. 7, “Split GFP technologies to structurally characterize and quantify functional biomolecular interactions of FTD-related proteins” (2017)),及びKoraichi et a., (Journal of Cell Science, vol. 131, “High-content tripartite split-GFP cell-based assays to screen for modulators of small GTPase activation” (2018))に開示のものを挙げることができる。
【0119】
当業者であれば本開示に基づいて認識することとなるように、本明細書の方法及びアッセイは、直接または間接的に、細胞からの細胞内生体分子の放出につながる、及び/または、細胞の細胞外表面上の生体分子(細胞関連生体分子)の検出を伴う、任意の細胞応答を検出することが可能である。いくつかの実施形態において、上記細胞応答は、細胞自体が生理学的刺激に応答する結果として起こる(例えば、CAR T細胞によって誘導されるアポトーシス)。他の実施形態において、上記細胞応答は、細胞から生体分子を放出させるための実験的操作の結果として起こる(例えば、細胞透過性化剤による処理)。いくつかの実施形態において、生体分子の放出または曝露は、細胞死、細胞毒性、膜透過性化(例えば、小分子、タンパク質/ペプチド、または電気的刺激によって起こる)、能動輸送機序、免疫応答、拡散の促進などの結果として生じる場合がある。いくつかの実施形態において、生体分子の放出または曝露は、細胞からの生体分子自体の分泌を介して生じる。他の実施形態において、生体分子は、エクソソーム、リソソーム、微小胞、細胞外小胞などを含む、但しこれらに限定されない小胞中で放出される。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書の方法、アッセイ、材料、及び試薬は、異常細胞(例えば、がん細胞、腫瘍細胞など)を殺滅するための特定の治療薬または療法剤の有効性を判定するためのアッセイの用途がある。例えば、本明細書では、生検腫瘍細胞の化学療法剤に対する感受性のアッセイ方法が提供される。標的細胞型(例えば、混合細胞集団内の)のインビトロでの薬物感受性及び/または化学療法剤感受性の判定方法も提供される。いくつかの実施形態において、細胞の標的集団の生体分子(例えばタンパク質)が本明細書に記載の多官能性試薬で標識される。標識細胞が治療薬または療法剤に供され、本明細書のアッセイを使用して、標的細胞の殺滅における当該療法剤の有効性をモニターする。いくつかの実施形態において、アッセイでは、患者に特異的な細胞(例えば、生検によって得られる)を使用して、特定の患者に対する治療薬/療法剤の有効性を判定する。他の実施形態において、アッセイでは、細胞株または他のモデル細胞集団を使用して、治療薬/療法剤の概括的な有効性を試験する。いくつかの実施形態において、上記標的細胞は、治療薬/療法剤の投与の前に、他の非標識細胞と混合及び/または培養される。いくつかの実施形態において、本明細書のアッセイによって、他の非標的細胞の存在下で(例えば、細胞培養物中で、インサイチュで、インビトロでなど)標的細胞の細胞死をモニタリングすることが可能になる。
【0121】
いくつかの実施形態において、本明細書の方法、アッセイ、材料、及び試薬は、細胞集団に対する特定の薬剤または条件の毒性を判定するためのアッセイの用途がある。例えば、特定の化学物質の毒性をアッセイして、該化学物質の安全性を判定することができ、治療薬/療法剤の毒性を、治療部位に隣接する細胞型(例えば、腫瘍に隣接する細胞)、または疾患もしくは疾病を治療するための治療薬/療法剤の投与の結果として、該治療薬/療法剤に曝露されることとなる細胞型に対してアッセイすることができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、上記標的細胞は、研究者、臨床医、または他のユーザーがその死をモニターすることを望む任意且つ適宜の型の細胞であってよい。細胞は、固形腫瘍細胞(例えば、細胞培養物由来、対象からの生検によるものなど)、非固形がん細胞、非がん細胞であってよい。健康なヒト細胞、モデル動物由来の細胞、細胞株など。
【0123】
いくつかの実施形態において、本明細書の方法、アッセイ、材料、及び試薬は創薬の用途がある。いくつかの実施形態において、潜在的薬物を1種以上の細胞型に対して試験して、それらの毒性(例えば、非標的細胞に対する)及び/またはそれらの有効性(例えば、標的細胞の殺滅における)を判定する。本明細書の方法は、例えば、細胞を殺滅するための薬剤のライブラリーの能力を試験するための高処理速度のアッセイに適している。いくつかの実施形態において、本明細書の方法の1つ以上のステップが、ロボットまたは他の方法で自動化されたシステムによって実施される。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法、アッセイ、材料、及び試薬を使用して、標的細胞(例えばがん細胞)に対する潜在的な治療薬の有効性を評価することができる。例えば、エフェクターB細胞、エフェクターT細胞(例えば、細胞毒性Tリンパ球)、ナチュラルキラー(NK)細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)などのエフェクター細胞を、前標識した腫瘍細胞と共培養してもよく、これらのエフェクター細胞の上記前標識した腫瘍細胞を標的とする能力を、上記エフェクター細胞の活性化(例えば、ADCCを誘導するための抗体による処理)時、及びその後の腫瘍細胞の溶解(例えばアポトーシス)時に発生する生物発光シグナルを測定/定量化することによって評価することができる。これらの効果を実証する代表的な結果を本開示の図3~5に示す。これらの実施形態によれば、本明細書で提供される方法、アッセイ、材料、及び試薬を使用して、標的細胞におけるADCCを促進する新規な治療用抗体を特定することができる。
【0125】
いくつかの実施形態において、標的細胞のアポトーシスの誘導に関するエフェクター細胞の有効性を評価することは、治療(例えばT細胞療法)の潜在的基盤として対象から直接標的細胞及び/またはエフェクター細胞を得ることを含んでいてもよい。例えば、対象由来の腫瘍細胞を本開示の多官能性プローブで前標識し、次いで患者から単離されたT細胞と共培養してもよい。いくつかの実施形態において、上記T細胞は、上記腫瘍細胞を認識するように操作される(例えば、上記腫瘍細胞の表面で発現される抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作される)。共培養が実施された時点で、上記操作されたT細胞の、腫瘍細胞を標的化し、且つ腫瘍細胞を溶解する能力を、アポトーシスを起こした腫瘍細胞から発生する生物発光シグナルの量に基づいて測定/定量化することができる。いくつかの実施形態において、上記T細胞は対象から単離されるのではなく、健康なドナーから単離される(例えば、同種異系T細胞治療)。これらの実施形態によれば、本明細書で提供される方法、アッセイ、材料、及び試薬を使用して、対象のがん細胞を標的化するために使用することができる新規な治療用T細胞治療薬を特定することができる。
【0126】
5.キット
本開示の実施形態は、本明細書に記載のさまざまな構成要素を備えるキットも含む。本開示の実施形態は、多官能性プローブ(例えば、二官能性プローブ、三官能性プローブ、四官能性プローブなど)と、生物発光複合体の1種以上の成分(例えば、捕捉剤に融合または連結した各成分)を備えるキットを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、上記キットは発光性基質も備えていてよい。キットは容器及び/または説明書を備えていてもよい。キットは、DNA分子、RNA分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせまたは誘導体のうちの少なくとも1種も備えていてよい。いくつかの実施形態において、上記キットは、ペプチドもしくはポリペプチド(例えば、HiBiT、LgBiT)または修飾デハロゲナーゼタンパク質(例えばHaloTag)をコードする配列を含むドナーDNAテンプレートを備える。
【0127】
いくつかの実施形態において、本キットは、多官能性プローブ(例えば、二官能性プローブ、三官能性プローブ、四官能性プローブなど)を収納した容器、生物発光複合体の第1の成分(例えば、捕捉剤(例えば、HaloTag)に融合した)を収納した容器、生物発光複合体の第2の成分(例えば、捕捉剤(例えば、HaloTag)に融合した)を収納した容器、及び、場合により、生物発光複合体の第3の成分(例えば、捕捉剤(例えば、HaloTag)に融合した)を収納した容器を含む、但しこれらに限定されないさまざまな検出試薬を備えていてもよい。いくつかの実施形態において、生物発光複合体の上記成分は、単一の容器または別個の容器に提供される。上記キットはまた、発光基質(例えば、Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質)及びジギトニンも備えていてよい。上記キットはまた、生物発光バイオアッセイを実施するために必要なさまざまな緩衝液及びその他の試薬も備えていてよい。
【0128】
6.構成要素のモジュール性
本明細書の実施形態の開発中に実施した実験、ならびに本明細書のアッセイ、キットなどの構成要素のいくつかに関する以前の研究から、さまざまな構成要素のモジュール性が実証されている。例えば、上記生体分子反応性基(例えば、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルなど)を、(例えば、直接、さまざまな異なるリンカーなどによって)さまざまな捕捉剤(例えばハロアルキル基)に結合させることができる。同様に、上記捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的もしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ)を、該捕捉剤の機能を変化させることなく、本明細書のアッセイ及びキットの他のさまざまな構成要素(例えば、生物発光ポリペプチド、多分割相補性システムのペプチドもしくはポリペプチド成分(例えば、二分割(例えばNanoBiT)、三分割(例えばNanoTrip)など)、フルオロフォアなど)に融合または連結させることができる。多分割相補性システムの上記ペプチドまたはポリペプチド成分(例えば、二分割(例えばNanoBiT)、三分割(例えばNanoTrip)など)を、フルオロフォア、捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的もしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ)、及び活性な生物発光複合体を形成する能力を保持する抗体または抗体フラグメントなどのさまざまな他の構成要素に融合あるいは連結させることができる。
【0129】
本明細書に記載の構成要素のモジュール性に照らして、かかる構成要素の任意の組み合わせ(例えば、キット、アッセイの両方において、融合物として、連結された対としてなど)が企図され、且つこれらは本明細書の範囲内である。
【0130】
いくつかの実施形態において、キットは、捕捉因子(例えばハロアルキル基)に連結した生体分子反応性基(例えば、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルなど)を含む多官能性プローブ;生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的にもしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ);ならびに生物発光複合体のペプチド成分(例えば、上記ポリペプチド成分に対してより低い親和性を示す(例えば、複合体形成の促進を必要とする)ペプチド)に融合した捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的にもしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ)を備え;上記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、生物発光複合体を形成する。いくつかの実施形態において、キットは、生物発光複合体の基質をさらに備える。いくつかの実施形態において、上述の構成要素を利用するアッセイが提供される。
【0131】
いくつかの実施形態において、キットは、捕捉因子(例えばハロアルキル基)に連結した生体分子反応性基(例えば、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルなど)を含む多官能性プローブ;生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的にもしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ);ならびに生物発光複合体のペプチド成分(例えば、上記ポリペプチド成分に対して高い親和性を示すペプチド)に連結したフルオロフォアを備え;上記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、共局在化させると、生物発光複合体を形成する。いくつかの実施形態において、キットは、生物発光複合体の基質をさらに備える。いくつかの実施形態において、上述の構成要素を利用するアッセイが提供される。
【0132】
いくつかの実施形態において、キットは、捕捉因子(例えばハロアルキル基)に連結した生体分子反応性基(例えば、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルなど)を含む多官能性プローブ;生物発光複合体のポリペプチド成分に融合した捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的にもしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ);ならびに生物発光複合体のペプチド成分(例えば、上記ポリペプチド成分に対してより低い親和性を示す(例えば、複合体形成の促進を必要とする)ペプチド)に融合した抗体(もしくは抗体フラグメントまたは他の適宜の特異的結合部分、アプタマーなど)を備え;上記ペプチド成分及びポリペプチド成分は、これらを互いにしかるべく近接させた/配置した場合に、生物発光複合体を形成する。いくつかの実施形態において、キットは、生物発光複合体の基質をさらに備える。いくつかの実施形態において、上述の構成要素を利用するアッセイが提供される。
【0133】
いくつかの実施形態において、キットは、捕捉因子(例えばハロアルキル基)に連結した生体分子反応性基(例えば、スクシンイミジルエステル、マレイミド、イソシアナート、イソチオシアナート、ペンタフルオロフェニルエステル、及びテトラフルオロフェニルエステルなど)を含む多官能性プローブ;生物発光複合体の第1のペプチド成分に融合した捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的にもしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ);生物発光複合体の第2のペプチド成分に融合した捕捉剤(例えば、HaloTagまたは構造的にもしくは機能的に関連するデハロゲナーゼ);ならびに上記生物発光複合体のポリペプチド成分を備え;上記捕捉剤が捕捉因子に結合し、その結果、上記ペプチド成分が互いにしかるべく近接し/配置された場合に、上記第1のペプチド成分、第2のペプチド成分、及び上記ポリペプチド成分は生物発光複合体を形成する。いくつかの実施形態において、キットは、生物発光複合体の基質をさらに備える。いくつかの実施形態において、上述の構成要素を利用するアッセイが提供される。
【実施例
【0134】
本明細書に記載の本開示の方法の他の適宜の改変及び適合化は、容易に適用可能かつ認識可能であり、本開示または本明細書に開示の態様及び実施形態の範囲から逸脱することなく、適宜の等価物を使用して行うことができることは、当業者であれば容易に明らかであろう。ここまで本開示を詳細に説明してきたが、以下の実施例を参照することにより、本開示がより明確に理解されよう。但し、以下の実施例は、単に本開示のいくつかの態様及び実施形態を例証することのみを意図しており、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきものではない。本明細書で参照されるすべての論文誌の引用文献、米国特許、及び刊行物の開示は、本記述をもってそれらの全体が援用される。
【0135】
本開示は、以下の非限定的な実施例によって例証される複数の態様を有する。
【0136】
実施例1
化合物の合成
4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸
【化8】
テレフタル酸(2.97g、17.9mmol)の無水DMF(40ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(12.5ml、71.5mmol)、続いてHATU(ヘキサフルオロホスファートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム、3.40g、8.94mmol)を添加した。この溶液を10分間撹拌し、2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(2.0g、8.94mmol)をゆっくりと添加した。次いで得られた反応混合物を終夜撹拌した。この溶液を酢酸エチル及び酢酸溶液(2M)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で脱水した後、有機溶媒を留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.11 (m, 2H), 7.85 (m, 2H), 6.83 (s, 1H), 3.70-3.59 (m, 8H), 3.52-3.45 (m, 4H), 1.75-1.69 (m, 2H), 1.58-1.54 (m, 2H), 1.43-1.33 (m, 4H);MS m/z 371 [M + H]。
【0137】
4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸2,5-ジオキソピロリジン-1-イル
【化9】
4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸(1.02g、2.76mmol)のジクロロメタン溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.96ml、5.51mmol)を添加した。続いて、TSTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート、0.91g、3.03mmol)を添加し、この反応混合物を20分間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.84 (t, J = 8.0Hz, 1H), 8.20 (m, 2H), 8.08 (m, 2H), 3.62-3.54 (m, 6H), 3.50-3.43 (m, 4H), 3.38-3.30 (m, 2H), 2.91 (s, 4H), 1.71-1.64 (m, 2H), 1.49-1.42 (m, 2H), 1.39-1.22 (m, 4H);MS m/z 468 [M + H]。
【0138】
2,N6-ビス(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾイル)リシン
【化10】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸(0.1lg、0.23mmol)の無水DMF溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.09g、0.7mmol)を添加した。続いてL-リシン(0.017g、0.12mmol)のPBS緩衝液(100mM、pH7.4)溶液を添加し、この反応混合物を終夜撹拌した。得られた溶液を分取HPLCにより精製して生成物を得た。MS m/z 854 [M+H]。
【0139】
2,N6-ビス(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾイル)リシン2,5-ジオキソピロリジン-1-イル
【化11】
2,N6-ビス(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾイル)リシン(31mg、0.036mmol)の無水DMF溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.014g、0.11mmol)を添加した。続いて、TSTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート、0.013g、0.043mmol)を添加し、この反応混合物を20分間撹拌した。次いで得られた溶液を分取HPLCにより精製して、上記生成物を得た。MS m/z 951 [M+H]。
【0140】
N-(4-アミノブチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1-9’-キサンテン]-5-カルボキサミド
【化12】
5-カルボキシテトラメチルローダミン(72.8mg、169.1μmol)の無水DMF(10mL)溶液にジイソプロピルエチルアミン(60μL、338.2μmol)を添加した。続いてTSTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート、56.01mg、186.0μmol)を添加し、この反応混合物を20分間撹拌した。ジアミノブタン(14.87mg、168.7μmol)をゆっくりと添加し、この反応混合物を20分間撹拌した。この反応混合物を、分取HPLCを使用して精製した。MS m/z 501 [M+H]。
【0141】
6-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ベンゾイル)リシン
【化13】
4-(tert-ブトキシカルボニル)安息香酸(500mg、2.3mmol)の無水DMF(20mL)溶液にTSTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート、677.3mg、2.25mmol)を添加した。続いてジイソプロピルエチルアミン(883.8μL、6.75mmol)をゆっくりと添加し、この反応混合物を15分間撹拌した。N6-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)リシン(994.69mg、2.70mmol)を添加し、次いで得られた反応混合物を終夜撹拌した。この溶液を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で脱水した後、有機溶媒を留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.62 (s, 1H), 8.72-8.79 (d, 1H), 7.98 (s, 4H), 7.84-7.91 (d, 2H), 7.64-7.71 (d, 2H), 7.36-7.41 (t, 2H), 7.26-7.35 (m, 3H), 4.32-4.42 (m, 1H), 4.23-4.31 (m, 2H), 4.15-4.23 (m, 1H), 3.18 (d, 2H), 1.71-1.88 (m, 2H), 1.57 (s, 9H), 1.35-1.50 (m, 3H), 1.34-1.14 (m, 1H);MS m/z 573 [M + H]。
【0142】
2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ベンゾイル-N6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンゾイル)リシン
【化14】
6-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N2-(4-(tert-ブトジカルボニル)ベンゾイル)リシン(599.0mg、1.05mmol)の無水DMF(10mL)溶液に3,4,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(625.7μL、4.18mmol)を添加した。この反応混合物を30分間撹拌した。続いてこの反応混合物に、別個の4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)安息香酸2,5-ジオキソピロリジン-1-イル(490.5mg、1.05mmol)の無水DMF(2mL)溶液を滴加し、2時間撹拌した。この反応混合物を、分取HPLCを使用して精製した。MS m/z 704 [M+H]。
【0143】
4-((1-((4-(3’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1-9’-キサンテン]-5-カルボキサミド)ブチル)アミノ)-6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンズアミド)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)安息香酸tert-ブチル
【化15】
2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ベンゾイル-N6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバンモイル)ベンゾイル)リシン(44.0mg、62.48μmol)の無水DMF(10mL)溶液に、TSTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート(20.7mg、68.7μmol)を添加した。続いて、ジイソプロピルエチルアミン(32.7μL、187.4μmol)をゆっくりと添加し、この反応混合物を20分間撹拌した。N-(4-アミノブチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1-9’-キサンテン]-5-カルボキサミド(31.28mg、62.5μmol)を添加し、得られた反応混合物を1時間撹拌した。この反応混合物を、分取HPLCを使用して精製した。1H NMR (400 MHz, MeOD4) δ 8.54 (d, 1H), 8.04 (m, 1H), 8.01 (m, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.90-7.97 (m, 2H), 7.85 (s, 4H), 7.32 (dd, 1H), 7.23 (d, 2H), 6.96-7.03 (m, 2H), 6.89-6.93 (m, 2H), 4.54 (dd, 1H), 3.63-3.74 (m, 5H), 3.55-3.63 (m, 5H), 3.52-3.55 (m, 2H), 3.45-3.51 (m, 5H), 3.41 (t, 2H), 3.29 (s, 12H), 1.82-2.06 (m, 2H), 1.64-1.80 (m, 9H), 1.58-1.63 (m, 11H), 1.48-1.58 (m, 5H), 1.28-1.48 (m, 5H);MS m/z 1187 [M + H]。
【0144】
4-((1-((4-(3’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1-9’-キサンテン]-5-カルボキサミド)ブチル)アミノ)-6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンズアミド)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)安息香酸
【化16】
1:1のTFA:DCMの溶液(6mL)を調製し、4-((1-((4-(3’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-l-9’-キサンテン]-5-カルボキサミド)ブチル)アミノ)-6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンズアミド)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)安息香酸tert-ブチルをゆっくりと添加した。この反応混合物を40分間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、高真空下で終夜乾燥した。MS m/z 1130 [M+H]。
【0145】
4-((1-((4-(3’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-5-カルボキサミド)ブチル)アミノ)-6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンズアミド)-1-l-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)安息香酸2,5-ジオキソピロリジン-1-イル
【化17】
4-((1-((4-(3’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1-9’-キサンテン]-5-カルボキサミド)ブチル)アミノ)-6-(4-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)ベンズアミド)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバモイル)安息香酸(7.7mg、6.8μmol)の無水DMF(2mL)溶液に、TSTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート(2.1mg、6.8μmol)を添加した。続いてジイソプロピルエチルアミン(2.4μL、13.6μmol)をゆっくりと添加し、この反応混合物を10分間撹拌した。この反応混合物を、分取HPLCを使用して精製した。1H NMR (400 MHz, MeOD4) δ 8.55 (d, 1H), 8.13-8.19 (m, 2H), 7.99-8.07 (m, 3H), 7.86 (d, 4H), 7.34 (d, 1H), 7.21-7.26 (d, 2H), 6.97-7.02 (dd, 2H), 6.93 (t, 2H), 4.60 (s, 1H), 3.63-3.73 (m, 9H), 3.52-3.62 (m, 9H), 3.40-3.52 (m, 9H), 3.37-3.39 (m, 3H), 3.14-3.16 (m, 2H), 2.93 (s, 4H), 1.65-1.78 (m, 7H), 1.47-1.60 (m, 3H), 1.28-1.47 (m, 12H), 1.07-1.11 (dd, 2H), 0.83-1 (m, 4H);MS m/z 1227.6 [M + H]。
【0146】
実施例2
細胞の標識化及び検出方法
一般に、アッセイプロトコルには、生物発光手法を使用した、細胞の標識化と、死細胞からの標識タンパク質の放出の測定という2つの部分が含まれる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、0.1~100μM、場合によっては0.5~10μMの最終プローブ濃度で標識することができる。プローブ濃度がより高いと、一般的に標識化効率が向上するが、細胞に悪影響を与える可能性がある。細胞の生理学に大きな影響を与えることなく、必要なアッセイ性能(感度、直線性、及びアッセイウィンドウ)を達成するためには、標識化条件及びアッセイ装置を、細胞型及び実験条件に基づいて最適化する必要がある。最適化の例を後に表1に示す。
【0147】
次に、二官能性標識化プローブを室温で解凍し、混合した。このプローブは一般的にDMSO中に含まれていた。上記二官能性プローブを約0.5~10μMの最終濃度で細胞に添加した。次いで、細胞を穏やかにピペットで吸引/吐出することにより混合し、37℃で30分間インキュベートした。非反応性の遊離標識プローブを不活性化するために、10% FBSを含む10×容量の予備加温した(37℃)細胞培養培地を添加し、細胞をさらに5分間インキュベートした。次に、上記標識細胞を遠沈し、標識化培地を除去した。上記細胞を、実験に必要な濃度で、新たな細胞培養培地中に再懸濁させた。
【0148】
いくつかの実施形態において、NanoBiTシステムの1種以上の構成要素を、混合細胞培養物中の前標識された細胞集団の細胞死を測定するために使用することができる。ここで、96ウェルプレート中、100μL/ウェル、すなわち、50μlの試料+50μlの検出試薬+25μlのNano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質でこのアッセイを使用するための例示的なプロトコルについて説明する。
【0149】
標識細胞(1,250~10,000細胞/ウェル)を、50μlの適宜の培地中、実験的処理条件(例えば、薬物、エフェクター細胞など)と共に播種した。細胞を含まないウェルを、培地のバックグラウンド発光を測定するための陰性対照として含めた。標識タンパク質の最大放出量を測定するための、前標識された細胞を含む別個のウェルを含めた。検出試薬を構築した。すなわち、約1mlの検出試薬緩衝液(2×)を約1.25μlの検出成分1及び1.25μlの検出成分2と配合した。最大放出量の測定が必要な場合は、必要量の調製済み検出試薬(試料当り50μl)を抜き出し、0.12mg/mlの濃度のジギトニンを添加した(例えば、1mlの検出試薬に6μlを添加)。
【0150】
約50μlの調製した検出試薬をすべてのアッセイウェル及び陰性対照(培地)ウェルに添加した。最大放出量を測定するために、ジギトニンを含む検出試薬を対照ウェルに添加した。細胞を組織培養インキュベーター中に載置し、処理を最長で24時間続けた。Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質を、基質をアッセイ培地で希釈(1:50)することにより調製した。次いで、アッセイプレートを組織培養インキュベーターから取り出し、室温で約5分間平衡化した。約25μLの調製した基質をアッセイウェルに添加し、混合し、発光を読み取った。
【0151】
細胞毒性率(%)は、次の式:
細胞毒性率(%)=100×(実験のRLU-培地のバックグラウンド)/(最大細胞毒性[ジギトニン対照]-培地のバックグラウンド)
を使用して計算することができる。
【0152】
アッセイのバックグラウンド及び発光シグナルは、培地が異なると変化する。実験の大部分は10%血清を使用して実施した。血清を含まない培地では、場合によって、バックグラウンドが高くなる可能性があり、最終濃度0.1%のBSAを添加するとバックグラウンドが減少し、アッセイウィンドウが増加する可能性がある。
【0153】
本明細書に記載のアッセイ及び方法の非破壊的性格により、それらは他の複数の蛍光及び発光アッセイと互換性がある。さらに、これらのアッセイ及び方法は、さまざまな生存率/毒性、例えばCellTiter-Glo及びLDH-Glo、ならびにフロー分析を含む他の機能性アッセイと多重化することができる。
【0154】
ほとんどの標準的なプレートリーダーは、発光を測定するために設計されており、本明細書に記載のアッセイに好適である。ゲイン調整を必要としない機器がある一方で、感度及びダイナミックレンジを実現するためにゲイン設定の最適化を必要とする機器もある。不透明、白色の複数ウェルのプレートが一般的に使用され、これらのプレートはルミノメーターに対して適合する(例えば、Corning Costar(登録商標)商品番号391796のウェルまたはCostar(登録商標)商品番号3570384ウェルプレート)。光シグナルは黒色プレート中では減衰する。透明プレートは発光の読み取りには推奨されない。図に示される相対的発光量(RLU値)は、プレート及びルミノメーターによって変化することとなる。但し、シグナルが装置のバックグラウンドを上回り、且つ機器検出の線形範囲内にある場合、これがアッセイの性能に影響を与えることはない(生細胞対死細胞で、計算されるシグナルはアッセイのバックグラウンドを超える)。
【0155】
アッセイの最適化には、さまざまなプローブ濃度で細胞を標識化し、細胞漸増曲線を設定することが有利な場合がある。細胞生存率に対する標識化の効果を評価するために、さまざまな生存率/毒性アッセイを使用することもできる。ここでは、Raji細胞及びK562細胞を使用したアッセイ最適化の例を示す。表1に示すように、Raji細胞とK562細胞の両方が5μMで標識化され、細胞死時に光の出力の増加を示した。但し、標識化効率、毒性、アッセイの直線性、及びアッセイウィンドウは、細胞株及び標識化条件によって異なった。K562細胞は、2μMと比較して、5μMでよりロバストな標識化を示し、5,000細胞/ウェルまでアッセイの直線性を示した。2μMでK562を標識すると、アッセイの直線性の範囲が20,000細胞/ウェルまで拡大したが、アッセイウィンドウは18倍から7~8倍に減少した。重要なことに、CellTiter-Gloを用いると、細胞生存率の低下は測定されず、培地対照と比較した生細胞のアッセイの直線性範囲内での光の出力の増加は2倍未満であった(標的化が有毒ではないことの概括的な表示)。Raji細胞を5μMで標識化すると、CellTiter-Gloによって測定した細胞生存率は40%よりも大きく低下し(データ非表示)、これも、培地対照と比較して生細胞における発光シグナルが有意に増加したことに対応していた(培地のみの対照から2倍超の増加)。標識濃度を1μMに下げると、Raji細胞を、細胞生存率に有意な影響を与えることなく、5倍を超える許容可能なアッセイウィンドウ及び20,000細胞/ウェルまでの直線性で標識することができた。
【0156】
アッセイの最適化には、さまざまなプローブ濃度で細胞を標識化し、細胞漸増曲線を設定することが有利な場合がある。細胞生存率に対する標識化の効果を評価するために、さまざまな生存率/毒性アッセイを使用することもできる。ここでは、Raji細胞及びK562細胞を使用したアッセイ最適化の例を示す。表1に示すように、Raji細胞とK562細胞の両方が5μMで標識化され、細胞死時に光の出力の増加を示した。但し、標識化効率、毒性、アッセイの直線性、及びアッセイウィンドウは、細胞株及び標識化条件によって異なった。K562細胞は、2μMと比較して、5μMでよりロバストな標識化を示し、5,000細胞/ウェルまでアッセイの直線性を示した。2μMでK562を標識すると、アッセイの直線性の範囲が20,000細胞/ウェルまで拡大したが、アッセイウィンドウは18倍から7~8倍に減少した。重要なことに、CellTiter-Gloを用いると、細胞生存率の低下は測定されず、培地対照と比較した生細胞のアッセイの直線性範囲内での光の出力の増加は2倍未満であった(標的化が有毒ではないことの概括的な表示)。Raji細胞を5μMで標識化すると、CellTiter-Gloによって測定した細胞生存率は40%よりも大きく低下し(データ非表示)、これも、培地対照と比較して生細胞における発光シグナルが有意に増加したことに対応していた(培地のみの対照から2倍超の増加)。標識濃度を1μMに下げると、Raji細胞を、細胞生存率に有意な影響を与えることなく、5倍を超える許容可能なアッセイウィンドウ及び20,000細胞/ウェルまでの直線性で標識することができた。
【表1】
【0157】
表1に示すように、K562細胞及びRaji細胞を異なるプローブ濃度で標識した。毒性評価のための標識化なしの対照を含んでいた。標識化後に、細胞を適宜の培地中に再懸濁し、計数し、20,000細胞/ウェルから開始した2倍段階希釈で96ウェルプレートのウェルに播種した。ジギトニンを含むまたは含まない検出試薬を上記のように添加し、プレートを組織培養インキュベーター中に載置した。インキュベーション後に、Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質を上記試料に添加し、発光を読み取った。発光を読み取った後に、等量のCellTiter-Gloを上記試料に添加して、生存率の変化を測定した。データは、さまざまな細胞密度での生及び死(ジギトニン処理細胞)の生の相対的発光量(RLU)を示す。アッセイの直線範囲には下線を付している。死/生は、アッセイのバックグラウンド(培地対照)を差し引いた後に算出した、死細胞と生細胞の発光シグナルの間の比率である。
【表2】
【0158】
実施例3
二官能性プローブで標識された細胞の生物発光の検出
図2A~2Bに示すように、さまざまな細胞を本開示の二官能性プローブで標識した。図2Aは、図2Bで識別されるさまざまな標的細胞を標識するために使用される方法の代表的な概略図である。図2Bに示すように、本開示の細胞透過性二官能性プローブ(SE-Clプローブ)は、試験したすべての細胞によってうまく取り込まれた。NanoBiTシステムを使用して定量化した、細胞死後に放出された標識タンパク質からロバストな発光が検出された一方で、培地及び生細胞では発光はほとんど検出されなかった。
【0159】
これらの実験に従って、試験したさまざまな細胞型を、300gで5分間遠心分離し、続いて培地を吸引し、PBS中に再懸濁することによって収取した。次に、上記二官能性プローブを培地に添加し、37℃で30分間インキュベートした。次いで、10% 血清を含む予備加温した(37℃)完全培地を細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートした。次に、標識細胞を300gで5分間の遠心分離によって収取し、過剰な培地を除去し、次いで標識細胞を所望の培地中に再懸濁した。次にNanoBiT検出試薬を標識細胞に添加し、37℃で30分間インキュベートした後に発光(RLU)を読み取った。
【0160】
実施例4
抗体依存性細胞傷害を試験するための二官能性プローブ
図3A~3Cに示すように、本開示の二官能性プローブで標識したDaudi細胞(図3A~3B)及びSKBR3細胞(図3C)における抗体依存性細胞傷害(ADCC)を試験するための実験を実施した。Daudi細胞及びSKBR3細胞を、それぞれ1μM及び10μMの標識化プローブで標識し、末梢血単核細胞(PBMC;Cellular Technologies Limited)と20:1のE:T比(100,000のエフェクター対5,000の標的)で、表示した抗体の系列希釈液を用い、37℃で5時間共培養し、その後Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質を添加した。図3Aは、アッセイのバックグラウンド(培地+検出)、標識化標的細胞のみ(T)、エフェクター細胞と混合した標識化標的細胞(T+E)、リツキシマブを含むT+E、及び最大放出(MR)の平均の生の相対的発光量(RLU)を示す。図3B及び3Cの曲線は、アッセイのバックグラウンドを差し引いた(RLU[標的細胞+エフェクター細胞+検出成分]-RLU[培地+検出成分])後に、Prismにおいて4パラメータ可変勾配アルゴリズムを使用して作成した。計算されたEC50値は、リツキシマブ及びハーセプチンについてそれぞれ6.8ng/mL及び0.11μg/mLであった。
【0161】
実施例5
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)アッセイ
図4に示すように、標的細胞の溶解を試験するための実験を、二官能性プローブで標識した細胞において、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)を使用して実施し、生物発光検出成分を使用して検出した。BiTEは、上記T細胞の細胞傷害性活性を標的細胞(例えば、がん細胞)に向けるために使用されることから、抗がん剤としての使用が研究されている一群の人工二重特異性モノクローナル抗体である。示すように、Raji標的細胞(1.67μMの標識化プローブ)とTALL-104エフェクター細胞を96ウェルアッセイプレート中、2.5:1の比率(12,500のエフェクター対5,000の標的)で共培養した。Blincytoを表示した濃度に段階希釈し、アッセイプレートを37℃で6時間インキュベートした後に、Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質を添加した。上記のようにアッセイのバックグラウンドを差し引いた後に曲線を作成した。EC50=5.38pM。S/B=BiTE/BiTEなし。抗体依存性標的細胞溶解の割合(%)=100×(RLU[標的+エフェクター+抗体]-RLU[標的+エフェクター])/(RLU[標的+エフェクター+ジギトニン]-RLU[標的+エフェクター])。
【0162】
実施例6
ADCCアッセイの動力学
図5に示すように、二官能性プローブで標識したDaudi細胞における抗体依存性細胞傷害(ADCC)の動態を試験するための実験を実施し、生物発光検出成分を使用して(PBMCと共培養)検出した。標識したDaudi細胞を、PBMC(Cellular Technologies Limited)と20:1のE:T比(100,000のエフェクター対5,000の標的)で、表示した抗体の系列希釈液を用い、NanoGlo(登録商標)Vivazine(商標)生細胞基質の存在下で共培養した。アッセイプレートを37℃でインキュベートし、表示した時間で読み取った。曲線は、バックグラウンドを差し引くことなく、Prismにおいて4パラメータ可変勾配アルゴリズムを使用して作成した。
【0163】
実施例7
細胞死アッセイ
図6A~6Bに示すように、本開示の多官能性プローブを使用して、例えば、内因性ホスファチジルセリン(PS)転座に基づく細胞死(図6A)を含む、さまざまな細胞応答を検出及び/または定量化することができる。細胞を多官能性プローブで標識し、HaloTag-BiT及び相補的なアネキシンV-BiTと混合する。健康な細胞では、HaloTag-BiTは細胞の細胞外表面上に露出したクロロアルカン(CA)リガンド(標識生体分子)に結合する一方、上記PSはアネキシンV-BiTに結合しない。しかし、不健康な細胞では、PSは細胞膜の外側の小葉に転座し、これにアネキシンV-BiTが結合することが可能であり、そのため、アポトーシスの初期段階を示す。細胞膜が分解し始め、ギャップが生じると、アネキシンV-BiTが細胞に浸入し、内側の小葉のPSに結合することができる。2つの補完的なBiTパートナーが機能するように近接している場合(例えば、アネキシンV-LgBiTとHaloTag-SmBiT)、発光シグナルが発生する。図6Bは、非相補的(左から1番目及び2番目の棒)及び相補的(左から3番目及び4番目の棒)なBiT対を使用する、SE-CAで標識された生細胞ならびに死細胞における代表的なデータを含む。これらの結果は、生理学的に関連する応答に基づいて細胞集団を区別する本開示の多官能性プローブの能力を実証する。
【0164】
実施例8
蛍光及び発光の二重検出
図7A~7Bに示すように、本開示の多官能性プローブを使用して、蛍光及び発光の両方を検出するための実験を実施した。この実施形態においては、細胞を、表示した濃度の多官能性クロロアルカンプローブで標識し、フルオロフォア、Dy605(赤)でタグ付けしたHaloTag-HiBiT(高親和性)及びLargBiT(LgBiT)を使用して検出した。図7Aは、LgBiT-Dy605(上段)またはHaloTag-HiBiT+LgBiT-Dy605(下段)で染色した細胞の代表的な蛍光画像を含む。細胞核はHoechst(青)で共染色した。図7Bは、発光の相対的発光量に対応する代表的な定量的データを含む。
【0165】
実施例9
蛍光及び発光の二重検出
次の例では、細胞透過性の二官能性マレイミド-クロロアルカン標識化プローブ、PBI-8158を使用した。このプローブは、以前に開示された他のプローブのように遊離アミンに結合するのではなく、チオール基に不可逆的に結合する。細胞中のタンパク質を上記プローブで標識し、HaloTag-BiTを使用してタンパク質に結合したプローブの放出を検出する。
【化18】
【0166】
この実験では、標識細胞と非標識細胞をさまざまな割合(100、80、60、40、20、及び0%)で混合し、フローサイトメトリーを使用して混合集団中で標識細胞の画分を検出することができるかどうかを試験した。混合細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定化し、続いて0.1%トリトンを含むPBSで透過性化処理した。この透過性化ステップにより、BiTが細胞中に浸入することが可能になる。HaloTag-HiBiTを細胞に添加し、37℃で2時間、クロロアルカンリンカーに結合させた。その後、細胞を0.1% Tween20(PBST)を含むPBSで洗浄して、未結合のHiBiTを除去した。TAMRAに結合したLgBiTを細胞に添加し、室温で30分間インキュベートし、続いてPBSTで洗浄した。Hoechst(1:2500のPBS溶液)を使用して核を染色した。Hoechstに対して陽性の単一細胞をゲート制御し、BDLSRフォルテッササイトメーターを使用してTAMRA陽性細胞を検出した。図8は、HaloTag結合のためのクロロアルカンリンカーを含むマレイミドリガンドを使用して標識した細胞チオール基の代表的な結果を含む。
【0167】
実施例10
3D培養物中の前標識細胞における検出
初代肝細胞を収取し、HaloTagタンパク質を結合させるためのクロロアルカンリンカーと結合させたマレイミド部分を含む二官能性プローブで前標識した。肝スフェロイドを、超低付着性96ウェル組織培養プレート中で7日間にわたって形成させた。7日後に、培地を除去し、4%パラホルムアルデヒドを使用してスフェロイドを固定化した。その後、0.1% Triton X-100を含むPBSを使用して肝スフェロイドを透過性化処理し、続いて0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSで3回洗浄した。検出のために、HaloTag-SmBiT及びHaloTag-LgBiT(それぞれ50nMの、0.1% BSAを含むPBS溶液)を上記標識化スフェロイドに添加した。37℃で2時間インキュベートした後に、Nano-Glo(登録商標)生細胞アッセイシステムを添加し、GloMaxルミノメーターを0.5秒の積分で使用してプレートを読み取った。図9に示すデータは、5、10、及び20μMの二官能性プローブで標識した肝スフェロイドによって発生した相対的発光量である。
【0168】
実施例11
HaloTag-LgBiT及びHaloTag-SmBiTを使用して前標識した生細胞の検出
A549細胞を収取し、HaloTagタンパク質を結合させるためのクロロアルカンリンカーと結合させたスクシンイミジルエステル基(A)またはマレイミド部分(B)を含む二官能性プローブで前標識した。培地を除去して洗浄した後に、4%パラホルムアルデヒドを使用して生細胞を固定化し、その後0.1% Triton X-100を含むPBSを使用して透過性化処理した。検出のために、HaloTag-SmBiT及びHaloTag-LgBiT(それぞれ200nMの、0.1% BSAを含むPBS溶液)を上記標識細胞に添加した。37℃で2時間インキュベートした後に、Nano-Glo(登録商標)生細胞アッセイシステムを添加し、GloMaxルミノメーターを0.5秒の積分で使用してプレートを読み取った。図10のデータは、異なる密度のA549対照(非標識)細胞(明色の棒)または二官能性プローブで前標識した細胞(暗色の棒)において発生した相対的発光量を示す。
【0169】
実施例12
HaloTag-LgBiT及びSmBiTで前標識した特定の細胞タンパク質に対する抗体を使用した前標識した生細胞の検出
この例では、HaloTag-LgBiTは、標識した標的上の露出したクロロアルカンリガンドに結合する。SmBiTで前標識した特定の細胞タンパク質に対する抗体が、HaloTag-LgBiTに極めて近接した上記タンパク質に結合すると、発光シグナルが発生する。
【0170】
A549細胞を収取し、HaloTagタンパク質に結合させるためのクロロアルカンリンカーと結合したマレイミド部分を含む二官能性プローブで前標識した。培地を除去して洗浄した後に、4%パラホルムアルデヒドを使用して生細胞を固定化し、その後0.1% Triton X-100を含むPBSを使用して透過性化処理した。検出のために、HaloTag-LgBiT(200nM)及びHaloTag-SmBiT(2ug/ml)で前標識した抗LDH抗体を上記標識細胞に添加した。37℃で2時間インキュベートした後に、Nano-Glo(登録商標)生細胞アッセイシステムを添加し、GloMaxルミノメーターを0.5秒の積分で使用してプレートを読み取った。図11のデータは、異なる密度のA549対照(非標識)細胞(明色の棒)または二官能性プローブで前標識した細胞(暗色の棒)において発生した相対的発光量を示す。
【0171】
配列
WT OgLuc(配列番号1):MFTLADFVGDWQQTAGYNQDQVLEQGGLSSLFQALGVSVTPIQKVVLSGENGLKADIHVIIPYEGLSGFQMGLIEMIFKVVYPVDDHHFKIILHYGTLVIDGVTPNMIDYFGRPYPGIAVFDGKQITVTGTLWNGNKIYDERLINPDGSLLFRVTINGVTGWRLCENILA
WT OgLuc Lg(配列番号2):MFTLADFVGDWQQTAGYNQDQVLEQGGLSSLFQALGVSVTPIQKVVLSGENGLKADIHVIIPYEGLSGFQMGLIEMIFKVVYPVDDHHFKIILHYGTLVIDGVTPNMIDYFGRPYPGIAVFDGKQITVTGTLWNGNKIYDERLINPD
WT OgLuc β9(配列番号3):GSLLFRVTIN
WT OgLuc β10(配列番号4):GVTGWRLCENILA
NanoLuc(配列番号5):MVFTLEDFVGDWRQTAGYNLDQVLEQGGVSSLFQNLGVSVTPIQRIVLSGENGLKIDIHVIIPYEGLSGDQMGQIEKIFKVVYPVDDHHFKVILHYGTLVIDGVTPNMIDYFGRPYEGIAVFDGKKITVTGTLWNGNKIIDERLINPDGSLLFRVTINGVTGWRLCERILA
NanoLuc Lg(配列番号6):MVFTLEDFVGDWRQTAGYNLDQVLEQGGVSSLFQNLGVSVTPIQRIVLSGENGLKIDIHVIIPYEGLSGDQMGQIEKIFKVVYPVDDHHFKVILHYGTLVIDGVTPNMIDYFGRPYEGIAVFDGKKITVTGTLWNGNKIIDERLINPD
NanoLuc β9(配列番号7):GSLLFRVTINV
NanoLuc β10(配列番号8):GVTGWRLCERILA
LgBiT(配列番号9):MVFTLEDFVGDWRQTAGYNLDQVLEQGGVSSLFQNLGVSVTPIQRIVLSGENGLKIDIHVIIPYEGLSGDQMGQIEKIFKVVYPVDDHHFKVILHYGTLVIDGVTPNMIDYFGRPYEGIAVFDGKKITVTGTLWNGNKIIDERLINPDGSLLFRVTIN
SmBiT(配列番号10):VTGYRLFEEIL
HiBiT(配列番号11):VSGWRLFKKIS
LgTrip(3546)(配列番号12):MKHHHHHHVFTLDDFVGDWEQTAAYNLDQVLEQGGVSSLLQNLAVSVTPIMRIVRSGENALKIDIHVIIPYEGLSADQMAQIEEVFKVVYPVDDHHFKVILPYGTLVIDGVTPNKLNYFGRPYEGIAVFDGKKITTTGTLWNGNKIIDERLITPD
SmTrip9(配列番号13):GSMLFRVTINS
β9/β10ジペプチド(配列番号14):GSMLFRVTINSVSGWRLFKKIS
SmTrip10(配列番号15):VSGWRLFKKIS
HaloTag(配列番号16):MAEIGTGFPFDPHYVEVLGERMHYVDVGPRDGTPVLFLHGNPTSSYVWRNIIPHVAPTHRCIAPDLIGMGKSDKPDLGYFFDDHVRFMDAFIEALGLEEVVLVIHDWGSALGFHWAKRNPERVKGIAFMEFIRPIPTWDEWPEFARETFQAFRTTDVGRKLIIDQNVFIEGTLPMGVVRPLTEVEMDHYREPFLNPVDREPLWRFPNELPIAGEPANIVALVEEYMDWLHQSPVPKLLFWGTPGVLIPPAEAARLAKSLPNCKAVDIGPGLNLLQEDNPDLIGSEIARWLSTLEISG
生物発光複合体全体のベース配列(配列番号17):MVFTLDDFVGDWEQTAAYNLDQVLEQGGVSSLLQNLAVSVTPIMRIVRSGENALKIDIHVIIPYEGLSADQMAQIEEVFKVVYPVDDHHFKVILPYGTLVIDGVTPNKLNYFGRPYEGIAVFDGKKITTTGTLWNGNKIIDERLITPDGSMLFRVTINSVTGYRLFEEIL
WT鎖9-SmBiT(配列番号18):GSMLFRVTINSVTGYRLFEEIL
LgTrip 3546(1-8)(配列番号19):MVFTLDDFVGDWEQTAAYNLDQVLEQGGVSSLLQNLAVSVTPIMRIVRSGENALKIDIHVIIPYEGLSADQMAQIEEVFKVVYPVDDHHFKVILPYGTLVIDGVTPNKLNYFGRPYEGIAVFDGKKITTTGTLWNGNKIIDERLITPD
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2023506486000001.app
【国際調査報告】