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特表2023-506505安定化冠状静脈洞カテーテルハンドル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】安定化冠状静脈洞カテーテルハンドル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20230209BHJP
   A61B 18/04 20060101ALI20230209BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20230209BHJP
   A61M 25/00 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
A61B5/287 100
A61B18/04
A61B5/367
A61M25/00 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536783
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 US2020070906
(87)【国際公開番号】W WO2021127689
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/948,626
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/111,621
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハイスミス・デビー
(72)【発明者】
【氏名】バル-タル・メイル
(72)【発明者】
【氏名】ピンジャラ・モハメド
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C127LL08
4C160KK03
4C160MM43
4C267AA09
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB26
4C267BB52
4C267CC19
4C267EE03
4C267GG23
4C267GG24
4C267HH30
(57)【要約】
記憶形状部分を有する近位部分及び遠位部分と、記憶形状部分の遠位の先端とを有する、安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。本体、先端撓みアクチュエータ、記憶形状部分展開アクチュエータ、及び軸を有する、ハンドル。先端は軸と一直線上にあり、先端撓みアクチュエータは第1の位置にある。先端撓みアクチュエータが第2の位置にあるとき、先端は、軸との整列から外れて撓む。第3の位置は、記憶形状部分及び先端が軸と一直線上にある、送達構成である。記憶形状部分展開アクチュエータは、第1の場所にある。展開構成は、記憶形状部分展開アクチュエータが第2の場所にあるとき、記憶形状部分が冠状静脈洞の形状に一致する所定の形状を形成することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化冠状静脈洞カテーテルシステムであって、
冠状静脈洞カテーテルであって、
近位部分と、
遠位部分であって、
記憶形状部分と、
前記記憶形状部分の遠位の遠位先端と、を含む、遠位部分と、を含む、冠状静脈洞カテーテルと、
前記近位部分の近位に配置されたハンドルであって、
中心軸を画定する本体と、
遠位先端撓みアクチュエータであって、前記中心軸に沿って第1の位置、第2の位置、又は第3の位置のうちの1つにあるように構成され、その結果、
(a)前記アクチュエータの前記第1の位置において、前記遠位先端は前記中心軸とほぼ一直線上にあり、
(b)前記遠位先端の撓みのための前記アクチュエータの前記第2の位置において、前記遠位先端は前記中心軸との整列から外れており、
(c)送達のための前記アクチュエータの前記第3の位置において、前記記憶形状部分及び前記遠位先端は、前記中心軸とほぼ一直線上にある、遠位先端撓みアクチュエータと、
記憶形状部分展開アクチュエータであって、前記中心軸に対して第1の場所及び第2の場所のうちの1つにあるように構成され、その結果、前記記憶形状部分展開アクチュエータは、前記先端の送達又は撓み中に前記第1の場所にあり、前記冠状静脈洞の形状にほぼ一致する所定の形状を形成する前記記憶形状部分の展開のための前記第2の場所にある、記憶形状部分展開アクチュエータと、を含む、ハンドルと、
を備える、安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項2】
プルワイヤを更に含み、前記プルワイヤは、
前記遠位先端に固定された第1の端部と、
前記本体に固定された第2の端部と、を含み、
前記遠位先端撓みアクチュエータは、前記プルワイヤに取り付けられ、
前記第2の位置は、前記プルワイヤを変位させる、請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項3】
前記遠位先端は、ほぼ0°~ほぼ180°の撓み角度を含むことを更に含む、請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項4】
前記冠状静脈洞カテーテルは、
中間剛性を含む、前記近位部分の遠位の中間部分を更に含み、
前記近位部分は近位剛性を含み、かつ
前記遠位先端は、前記近位剛性、前記中間剛性、及び形状記憶部分の剛性よりも大きい可撓性を含む、
請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項5】
ほぼ前記遠位先端に配置された単軸位置センサ、を更に備える、請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項6】
撓みアクチュエータロックを更に備え、前記撓みアクチュエータロックは、
前記遠位先端撓みアクチュエータが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動することを可能にするロック解除位置と、
前記遠位先端撓みアクチュエータが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動することを防止するロック位置と、を含む、
請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項7】
形状記憶部分に沿って配置され、前記本体に固定された一端を含む形状記憶合金と、
前記形状記憶合金の一部分の上に配置され、前記記憶形状部分展開アクチュエータに固定された記憶形状部分展開端を含むカバーチューブと、を更に備え、
送達構成において、前記カバーチューブは、前記形状記憶合金を拘束し、かつ
展開構成において、前記形状記憶合金は、前記カバーチューブによって拘束されない、請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項8】
前記第1の場所にある前記記憶形状部分展開アクチュエータは、前記カバーチューブを前記形状記憶合金上に維持し、前記形状記憶合金が前記所定の形状に戻ることを防止し、
前記第2の場所にある前記記憶形状部分展開アクチュエータは、前記カバーチューブを前記形状記憶合金から引き抜き、前記形状記憶合金が前記所定の形状に戻ることを可能にする、請求項7に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項9】
形状記憶部分の前記所定の形状は、ほぼ螺旋形状を含む、請求項1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項10】
前記形状記憶部分の前記所定の形状は、
ほぼ8.5mm~ほぼ9.5mmの近位部分曲げ半径と、
ほぼ7.0mm~ほぼ8.0mmの遠位部分曲げ半径と、
ほぼ110°~ほぼ120°の近位部分螺旋角と、
ほぼ150°~ほぼ160°の遠位部分螺旋角と、
ほぼ42.5mm~ほぼ44.5mmの形状記憶部分の長さと、
ほぼ14.0mm及びほぼ16.0mmの第1の螺旋コイルの大径と、
ほぼ3.5°~ほぼ5.5°のテーパ角度と、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【請求項11】
心臓の電気的活動をマッピングするために冠状静脈洞カテーテルを使用する方法であって、前記冠状静脈洞カテーテルは、記憶形状部分と、前記記憶形状部分の遠位の遠位先端と、を含む遠位部分、前記近位部分の近位に配置されたハンドルであって、本体と、遠位先端撓みアクチュエータと、記憶形状部分展開アクチュエータと、前記記憶形状部分の一部分の上に配置されたカバーチューブと、中心軸と、を含む、ハンドル、を備え、
前記冠状静脈洞カテーテルの遠位部分が中心軸とほぼ一直線上にあるように、前記冠状静脈洞カテーテルを送達構成で前記冠状静脈洞に送達するステップと、
前記遠位先端撓みアクチュエータを作動させることによって、前記冠状静脈洞カテーテルを操縦するために、前記中心軸との整列から外れて前記遠位先端を撓ませるステップと、
前記冠状静脈洞に前記冠状静脈洞カテーテルの前記遠位部分の前記記憶形状部分を展開するステップであって、
前記カバーチューブを前記記憶形状部分から引き抜くステップと、
前記記憶形状部分を予め形成された形状に戻すステップと、を含む、展開するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記記憶形状部分が展開された状態で、前記冠状静脈洞に対して横方向の力を加えることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
安定化冠状静脈洞カテーテルであって、
主センサプローブであって、前記主センサプローブの第1の長さに沿って配置された複数の主センサを含む主センサプローブ、
複数の二次センサプローブであって、
前記第1の長さよりも短い第2の長さと、
前記遠位位置に配置された二次センサと、を各々含む、複数の二次センサプローブ、
前記主センサプローブ及び前記複数の二次センサプローブが通過するのを可能にするように構成された内腔を含むシースカテーテル、
被覆位置であって、
前記複数の二次センサプローブが、前記内腔内に封入されていることと、
前記主センサプローブの少なくとも一部分が、前記内腔の外側にあることと、を含む、被覆位置、
非被覆位置であって、
前記主センサプローブ及び前記複数の二次センサプローブの両方が、前記内腔の外側にあることと、
前記複数の二次センサプローブが、前記主センサプローブから離れるように傾斜し、前記冠状静脈洞に対して横方向の力を加えることと、を含む、非被覆位置、
を備える、安定化冠状静脈洞カテーテル。
【請求項14】
前記第2の長さは複数のサブ長さを含み、前記複数の二次センサプローブの一部分は各々、異なるサブ長さを有する、請求項13に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
【請求項15】
正中線軸を更に備え、
前記主センサプローブは、ほぼ前記正中線軸に沿って配置され、
前記複数の二次センサプローブは、前記被覆位置において前記正中線軸にほぼ平行であり、前記非被覆位置において前記正中線軸から離れる角度を形成する、請求項13に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
【請求項16】
二次センサプローブと前記正中線軸との間に形成された二次センサプローブ角度を更に含む、請求項15に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
【請求項17】
前記二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ90°である、請求項15に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
【請求項18】
前記二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ10°である、請求項15に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、CSカテーテルシステム用の制御ハンドルに関し、より詳細には、本開示は、片手で操作することができる操縦可能なカテーテル用の改良されたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気生理学的(electrophysiological、EP)心臓処置中、冠状静脈洞(coronary sinus、CS)カテーテルを心臓に挿入して、処置の基準を提供することができる。CSカテーテルは、その表面に電極を有し、電極によって取得された信号は、心臓チャンバのEPマッピングなどの処置で取得された他の信号の基準として使用される。良好な基準として作用するために、CSカテーテルはその保持チャンバ(CS)内で移動すべきではないか、又はいかなる移動も許容されなければならない。
【0003】
移動を可能にする方法は当技術分野で知られているが、CS留置カテーテルは定位置に固定されることが好ましい。追加的に、CSにおいてカテーテルを安定化させるために形状記憶特性を有するCSカテーテルを展開することが知られているが、先行技術は、カテーテル及び右心房に通じる下大静脈の両方に過度の応力をかける可能性がある。更に、カテーテルを冠状静脈洞に案内することも煩雑であり得る。
【0004】
既存のカテーテルは、操縦性及び撓み制御を有するものであっても、多くの場合、操縦能力に制限がある。これは、特に微細な移動制御が必要とされる処置に特に当てはまる。更に、既存の設計は、2つの手を必要とするか、又は制御が困難であり得る。手がどこに位置しているか、及びハンドルのどの部分を作動させる必要があるかを確認するために、診断ツールから繰り返し目を離さす必要がある医師は、手術処置にかなりの時間を追加する可能性がある。
【0005】
更に、電極カテーテルを使用して、心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動の部位をアブレーションする。使用にあたり、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿動脈の中に挿入され、次いで対象となる心臓のチャンバの中に案内される。心臓内では、カテーテル先端の正確な位置及び向きを制御する能力は重要である。したがって、電極カテーテルの不安定性は、関連する処置(例えば、心臓マッピングの信頼できない結果)の結果に影響を及ぼす可能性があり、したがって特定の処置の成功にとって重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、カテーテルの精密な操縦制御が可能でありながら、センサ固定コイルの拡張などの更なる機能を作動させることもできる制御ハンドルのための改善された装置、システム、及び方法が必要とされている。ハンドルの人間工学が操作者に疲労を与えないように、これらの機能の関節運動を片手で実行できることも非常に好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的のために、本開示は、記憶形状部分を有する近位部分及び遠位部分と、記憶形状部分の遠位の遠位先端とを有する安定化冠状静脈洞カテーテルシステムである。ハンドルは、本体、遠位先端撓みアクチュエータ、記憶形状部分展開アクチュエータ、及び中心軸を有し、近位部分の近位に配置することができる。遠位先端撓みアクチュエータは、遠位先端が中心軸とほぼ一直線上にある第1の位置を有する。これはまた、遠位先端撓みアクチュエータが第2の位置にあり、遠位先端が中心軸との整列から外れて撓んでいるときに撓み状態を有する。遠位先端撓みアクチュエータの第3の位置は、記憶形状部分及び遠位先端を、第1の場所において中心軸及び記憶形状部分展開アクチュエータとほぼ一直線にすることができる。更に、記憶形状部分展開アクチュエータが第2の場所にあるときに冠状静脈洞の形状にほぼ一致する所定の形状を形成するように、記憶形状部分を展開することができる。
【0008】
安定化冠状静脈洞カテーテルシステムは、第1の端部が遠位先端に固定され、第2の端部が本体に固定されたプルワイヤを更に有することができる。遠位先端撓みアクチュエータはプルワイヤに取り付けることができ、第2の位置はプルワイヤを変位させる。遠位先端は、ほぼ0°~ほぼ180°の撓み角度を有する。
【0009】
冠状静脈洞カテーテルは、近位部分の遠位の、中間剛性を有する中間部分を更に有し、近位部分は近位剛性を含み、遠位先端は、近位剛性、中間剛性、及び形状記憶部分の剛性よりも大きい可撓性を有する。単軸位置センサは、ほぼ遠位先端に配置することができる。
【0010】
更に、システムは、遠位先端撓みアクチュエータが第1の位置と第2の位置との間を移動することを可能にするロック解除位置と、遠位先端撓みアクチュエータが第1の位置と第2の位置との間を移動することを防止するロック位置とを有する撓みアクチュエータロックを有する。
【0011】
形状記憶合金は、形状記憶部分に沿って配置することができ、本体内に一端が固定されている。カバーチューブは、形状記憶合金の一部分の上に配置され、記憶形状部分展開アクチュエータに固定された記憶形状部分展開端を有することができる。送達構成では、カバーチューブは形状記憶合金を拘束し、展開構成では、形状記憶合金はカバーチューブによって拘束されない。
【0012】
記憶形状部分展開アクチュエータが第1の場所にあるとき、それは、カバーチューブを形状記憶合金上に維持し、形状記憶合金が所定の形状に戻ることを防止する。記憶形状部分展開アクチュエータが第2の場所にあるとき、それは、カバーチューブを形状記憶合金から引き抜き、形状記憶合金が所定の形状に戻ることを可能にする。
【0013】
一例では、形状記憶部分の安定化冠状静脈洞カテーテルシステムの所定の形状は、ほぼ螺旋形状である。形状記憶部分の所定の形状は、
ほぼ8.5mm~ほぼ9.5mmの近位部分曲げ半径、
ほぼ7.0mm~ほぼ8.0mmの遠位部分曲げ半径、
ほぼ110°~ほぼ120°の近位部分螺旋角、
ほぼ150°~ほぼ160°の遠位部分螺旋角、
ほぼ42.5mm~ほぼ44.5mmの形状記憶部分の長さ、
ほぼ14.0mm及びほぼ16.0mmの第1の螺旋コイルの大径、並びに/又は
ほぼ3.5°~ほぼ5.5°のテーパ角度、のうちの少なくとも1つを有する。
【0014】
心臓の電気的活動をマッピングするために冠状静脈洞カテーテルを使用する方法であって、冠状静脈洞カテーテルは、記憶形状部分と、記憶形状部分の遠位の遠位先端と、を有する遠位部分を有する、方法。本体、遠位先端撓みアクチュエータ、記憶形状部分展開アクチュエータ、記憶形状部分の一部分の上に配置されたカバーチューブ、及び中心軸を有し、近位部分の近位に配置されたハンドルも含まれる。この方法は、冠状静脈洞カテーテルの遠位部分が中心軸とほぼ一直線上にあるように、冠状静脈洞カテーテルを送達構成で冠状静脈洞に送達するステップを含む。次いで、遠位先端撓みアクチュエータを作動させることによって、冠状静脈洞カテーテルを操縦するために、中心軸との整列から外れて遠位先端を撓ませるステップを含む。そして、その後、冠状静脈洞に冠状静脈洞カテーテルの遠位部分の記憶形状部分を展開し、カバーチューブを記憶形状部分から引き抜き、記憶形状部分を予め形成された形状に戻すステップを有する。記憶形状部分が展開された状態で、冠状静脈洞に対して横方向の力を加えるステップがある。
【0015】
安定化冠状静脈洞カテーテルの異なる例は、主センサプローブの第1の長さに沿って配置された複数の主センサを有する主センサプローブを有することができる。また、第1の長さよりも短い第2の長さ、及び遠位位置に配置された二次センサを各々有する複数の二次センサプローブを有することができる。主センサプローブ及び複数の二次センサプローブが通過するのを可能にするように構成された内腔を有するシースカテーテルがあり得る。被覆位置では、複数の二次センサプローブは内腔内に封入され、主センサプローブの少なくとも一部分は内腔の外側にある。非被覆位置では、主センサプローブ及び複数の二次センサプローブの両方が内腔の外側にあり、複数の二次センサプローブは主センサプローブから離れるように傾斜し、冠状静脈洞に対して横方向の力を加える。
【0016】
第2の長さは、複数のサブ長さを有し、複数の二次センサプローブの一部分は各々、異なるサブ長さを有する。更に含まれるのは、正中線軸であり、主センサプローブは、ほぼ正中線軸に沿って配置される。複数の二次センサプローブは、被覆位置において正中線軸にほぼ平行であり、非被覆位置において正中線軸から離れる角度を形成する。
【0017】
二次センサプローブ角度は、二次センサプローブと正中線軸との間に、ほぼ0°~ほぼ90°の角度で形成することができ、より好ましくは、二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ10°とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの例の側面図である。
図2A】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの遠位部分の例の側面図である。
図2B】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの遠位部分の例の側面図である。
図3】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの遠位部分の例の正面図である。
図4図3の安定化冠状静脈洞カテーテルの遠位端部の断面図である。
図5】冠状静脈洞を識別する心臓の画像である。
図6】冠状静脈洞に完全に展開された、本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの例の画像である。
図7A】撓み先端を有するハンドル及び螺旋部分の連続展開を示す。
図7B】撓み先端を有するハンドル及び螺旋部分の連続展開を示す。
図7C】撓み先端を有するハンドル及び螺旋部分の連続展開を示す。
図8】先端撓みに関与する要素を示す、本開示のハンドルの例の断面図である。
図9A】カテーテルの先端を撓ませるためのハンドルのピストン運動を示す。
図9B】カテーテルの先端を撓ませるためのハンドルのピストン運動を示す。
図10】本開示のハンドルの例の断面図であり、非展開位置に螺旋部分を展開することに関与する要素を示す。
図11図10の拡大断面A-Aであり、非展開位置にある記憶形状部分展開アクチュエータを示す。
図12】本開示のハンドルの例の断面図であり、展開位置に螺旋部分を展開することに関与する要素を示す。
図13図12の拡大断面B-Bであり、展開位置にある記憶形状部分展開アクチュエータを示す。
図14】追加の内腔を有する安定化冠状静脈洞カテーテルの断面図である。
図15】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの別の例の側面図である。
図16A】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの更なる例の側面図を示し、それぞれカテーテル冠状静脈洞内に展開されている。
図16B】本開示の安定化冠状静脈洞カテーテルの更なる例の側面図を示し、それぞれカテーテル冠状静脈洞内に展開されている。
図17】高度なハンドルを有する安定化冠状静脈洞カテーテルを展開する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、対象又は患者からの血管を含む「被験体」又は「患者」は、任意の該当するヒト患者、並びに任意の哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを指す。一例において、動物は、ヒトに類似したある特性を有するように特別に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、ウサギ、サルなど)であってもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「操作者」は、医師、外科医、又は本開示の(複数の)デバイスとともに使用される医療処置に関連する任意の他の個人若しくは器具を含んでもよい。
【0022】
更に、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「被験体」という用語は、任意のヒト被験体又は動物被験体を指し、上述のシステム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図されていないが、ヒト患者における対象の本開示の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「コンピューティングシステム」という用語は、スタンドアロンの機械若しくは装置、並びに/又は機械、構成要素、モジュール、システム、サーバ、プロセッサ、メモリ、検出器、ユーザインタフェース、コンピューティングデバイスインタフェース、ネットワークインタフェース、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、ファームウェア要素、及び他のコンピュータ関連ユニットの組み合わせを含むことを意図されている。限定ではなく例として、コンピューティングシステムは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プロセッサ、ポータブル電子デバイス、ポータブル電子医療機器、据え置き型若しくは半据え置き型電子医療機器、又は他の電子データ処理装置のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「構成要素」、「モジュール」、「システム」、「サーバ」、「プロセッサ」、「メモリ」などの用語は、限定はしないが、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアなどの1つ又は2つ以上のコンピュータ関連ユニットを含むことを意図されている。例えば、構成要素は、プロセッサ上で実行されるプロセス、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであってもよいが、これらに限定されない。例示として、コンピューティング装置上で実行されているアプリケーション及びコンピューティング装置の両方を構成要素とすることができる。1つ又は2つ以上の構成要素は、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上に局在化されてもよく、及び/又は2つ又は3つ以上のコンピュータ間に分散されてもよい。更に、これらの構成要素は、様々なデータ構造が格納された様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。
【0025】
構成要素は、ローカルシステム、分散システム内の別の構成要素と対話する1つの構成要素からのデータ、及び/又は信号によって他のシステムとのインターネットなどのネットワークを介したデータなど、1つ又は2つ以上のデータパケットを有する信号に従ってなど、ローカル及び/又はリモートプロセスによって通信することができる。コンピュータ可読媒体は非一時的であり得る。用語「非一過性コンピュータ可読媒体」としては、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、電子的消去可能プログラマブルROM(electronically erasable programmable ROM、EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(compact disc ROM、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又はコンピュータ可読命令及び/若しくはデータを記憶するために使用することができる任意の他の有形の物理媒体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用される場合、「トレース」という用語は、プリント回路に一体化された経路、個々のワイヤ、リボンケーブル内の導体、又は本開示の教示に従って当業者によって認識及び理解される他のそのような構造などの電気回路内の導電経路を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、直円柱又は断面が厳密に円周である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されない。例えば、チューブ状構造又はチューブ状システムは、概して、実質的な直円柱構造として図示される。しかしながら、チューブ状システムは、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状外側表面、湾曲した外側表面、及び/又は部分的に平坦な外面を有し得る。
【0028】
ここで図1を参照すると、心臓10の冠状静脈洞20に入るように構成された冠状静脈洞カテーテル100を含む安定化冠状静脈洞カテーテルシステムが示されている(図5及び図6参照)。電気生理学的(EP)心臓処置中、冠状静脈洞(CS)カテーテル100を心臓10に挿入して、処置の基準を提供することができる。CSカテーテル100は、近位部分102、中間部分104、及び遠位部分106を有する。ハンドル300は、近位部分102の近位に配置されて、使用者がCSカテーテル100の特徴の動き及び展開を制御することを可能にすることができる。中間部分104は、近位部分102の遠位にあり得、中間剛性を有することができる。近位部分102は、近位剛性を有することができ、遠位先端202は、近位剛性、中間剛性、及び形状記憶部分200の剛性よりも大きい可撓性を有することができる。
【0029】
剛性は一般的な用語であるが、異なる剛性又は逆に可撓性を有するカテーテル部分102、104、106を形成する多くの方法がある。各部分は、1つ又は2つ以上のポリマー及び又は異なる硬度若しくはデュロメータを有する材料から形成することができる。追加的に、ブレード又は他の補剛材を、カテーテル部分102、104、106の内側、外側の周囲に使用するか、又は直接成形することができる。代替的又は追加的に、可撓性を高めるために、歪み緩和機能(物理的スコアリングなど)を追加することができる。
【0030】
図2A及び図2Bは、遠位部分106の特徴を示す。遠位部分106は、その表面に沿って電極又はセンサ208を有することができる。センサ208によって取得された信号は、心臓10のEPマッピングなどの処置で取得された他の信号の基準として使用される。良好な基準として作用するために、CSカテーテル100はその保持チャンバ(CS20)内で移動すべきではないか、又はいかなる移動も許容されなければならない。その目的のために、遠位部分106はまた、記憶形状部分200と、記憶形状部分200の遠位の遠位先端202とを含む。図2A及び図2Bは、展開構成における記憶形状部分200を示す。ここで、記憶形状部分200は、冠状静脈洞20の形状にほぼ一致する所定の形状を形成する。形状は、螺旋又はバスケットを含むことができる。記憶形状部分200が展開形状(及びこの例では螺旋形状)を取ると、電極208は、CS20壁と接触するように押される。壁内への記憶形状部分200の圧力は、カテーテル100を定位置にロックする。遠位先端202はまた、センサ208が展開される前に、それをCS20に案内するのを助けるための単軸位置センサ224を含むことができる。
【0031】
ロックの態様を容易にするために、記憶形状部分200は、近位端部206と、近位端部206から遠位先端202まで延びる遠位部分軸204とを有する。図2A図2B、及び図3に示される例では、形状記憶部分200の所定の形状は、テーパ状螺旋形状の場合にいくつかの例示的な測定値を有する。近位部分曲げ半径210は、ほぼ8.5mm~ほぼ9.5mmの寸法であることができ、遠位部分曲げ半径212は、ほぼ7.0mm~ほぼ8.0mmであることができる。近位部分螺旋角214は、ほぼ110°~ほぼ120°であり得る。遠位部分螺旋角216は、ほぼ150°~ほぼ160°であり得る。形状記憶部分は、ほぼ42.5mm~ほぼ44.5mmで展開されたときに、長さ218を有することができる。第1の螺旋コイルの大径220は、ほぼ14.0mmほぼ16.0mmとすることができ、ほぼ3.5°~ほぼ5.5°のテーパ角度222とすることができる。
【0032】
図4は、カテーテル100の断面の例を示す。この例では、カテーテル100がガイドワイヤ40に乗ることを可能にして、カテーテル100を挿入点(典型的には鼠径部穿刺)から心臓10まで案内するガイドワイヤ内腔108が存在し得る。CS20の近く又は中に入ると、ガイドワイヤ40を取り外してハンドル300の更なる機能を可能にすることができ、これについては以下でより詳細に説明する。センサワイヤ内腔110は、センサ208をシステムに接続してセンサからデータを読み取り、それをユーザに表示するセンサワイヤ50(図14参照)を含むことができる。一例では、遠位部分106に沿って展開された少なくとも40個のセンサ208が存在し得る。センサワイヤ50はまた、単軸位置センサ224から信号を伝送することができる。カテーテル100の動きは、CS20内の適切な配置を可能にするために、少なくとも単軸位置センサ224で追跡される。カテーテル100が適切に配置され、形状記憶部分200が展開されると、カテーテル100が追跡され、CSチャンバは、ユーザのマッピングシステムにおいて完全に実証される。カテーテル100の追跡は、CARTO(登録商標)などの任意の既知の追跡技術を使用することができる。
【0033】
図5及び図6に示される形状記憶部分200の例では、その螺旋構造はまた、CS20内の所定の位置にカテーテル100をロックする固定機構として機能する。これはまた、センサ208をCS20チャンバ壁内で連続的に接触させて、心拍及び呼吸などのアーチファクトのない安定した読み取りを提供する。これらは、従来技術のCSカテーテルに対する改善である。心電図(electrocardiogram、ECG)アーチファクトは、心臓の収縮中の電極とCS壁との間の動き及び呼吸関連の動きに関連する運動から生成される。
【0034】
形状記憶部分200がカテーテル100を固定するとき、中間部分104に続く遠位先端202は、歪み緩和として使用される。半径方向に柔らかいため、ガイドワイヤの後退は、形状記憶部分200に加えられる力を最小限に抑えて、右心房内で動作するこの部分を残すことができる。近位部分102は、ガイドワイヤが完全に引き込まれた後にそれを幾分前方に押すことによってより強固にすることができ、歪み緩和の部分を構築する。これにより、呼吸及び心拍による心臓の動きが形状記憶部分200に力を加えることを防止する。これは、CS20における形状記憶部分200の動きのリスクを更に防止することができる。カテーテル100がCS20でしっかりと安定している状態で、カテーテル100の任意の動きが監視され、マッピングシステム及びユーザに警告するために使用される。
【0035】
CS20チャンバを取り囲む多くのセンサ208(例えば、2~3mm間隔)を有することにより、心房活動又は心室活動を有するセンサ208の選択が可能になり、心房又は心室活動の選択的検出が可能になる。更に、左心房及び右心房解離の場合、各心房活動を独立して追跡することができる。センサ208は、遠位部分軸204に沿って及びそれに対して横方向の両方に敏感であるように配向することができ、任意の方向の活動の正確なビューを提供する。これは、最近傍電極だけでなく、減算するために広いバイポーラ信号を取ることによって達成することができる。CS20の完全な視野を有することにより、遠方場(CS20からの更なる活性)及び近接場(CS20の近くで発生したECGに関連する活性)の両方を表す活性化形態のより良好な追跡が提供される。この能力は、同様のECG活動の検出を可能にし、(LATマッピング中にCARTO(登録商標)によって使用されるように)マッピングカテーテルの異なる位置の縫合をサポートする、より強固な追跡ツールを提供する。頻脈のうちの一部は、CS20における活性化を伴う。CS20をマッピングすることは、活動が熱壁の近位側又は反対側にあり得るため、現在のツールでは困難である。形状記憶部分200が螺旋形状であることにより、CSにおける完全な活動マップが可能となる。
【0036】
カテーテル100の他の要素は、リードワイヤ内腔112及び形状記憶内腔114である。形状記憶内腔114は、形状記憶合金116を含む(図14を参照)。形状記憶合金116は、著しく歪んだ送達構成から解放されると、その形状を自動的に回復することができる材料から作製することができる。ニチノール又は類似の特性を有する合金などの超弾性の形状記憶材料が特に適している。これらの材料は、形状記憶部分200が送達構成において拘束されたときに弾性限界を超えないように十分な弾性歪み容量を有する。この弾性歪み容量により、展開時に形状記憶部分200が自己拡張することが可能になる。形状記憶内腔114は、カテーテル100の長さに延びることができるか、又は一例では、形状記憶部分200若しくは遠位部分106の長さのみである。
【0037】
カテーテル100はまた、プルワイヤ120を収容するプルワイヤ内腔118を含むことができる。プルワイヤ120は、遠位先端202を撓ませるために使用することができる。プルワイヤ120は、その近位端部でハンドルに固定することができる(以下でより詳細に説明する)。プルワイヤ120は、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の好適な金属で作製することができ、テフロン7又はプルワイヤ120に潤滑性を付与する任意の他のコーティングでコーティングすることが好ましい。
【0038】
図7A図13は、ハンドル300の異なる例を示す。ハンドル300は、本体301、遠位先端撓みアクチュエータ302、記憶形状部分展開アクチュエータ304、及び中心軸306を含むことができる。ハンドル300は、使いやすいように設計されている。図7Aは、中立位置及び送達構成におけるハンドル制御部302、304を示す。中立位置では、遠位先端202は、中心軸306とほぼ一直線上にあり得る。中立位置では、遠位先端撓みアクチュエータ302は、第1の位置にある。第1の位置は、遠位先端撓みアクチュエータ302の最も近位の位置である。図7Aはまた、記憶形状部分200及び遠位先端202が中心軸306とほぼ一直線にある送達構成を示す。ここで、記憶形状部分展開アクチュエータ304は、その最遠位位置にあり得る。遠位先端撓みアクチュエータ302は第1の位置にあり、記憶形状部分展開アクチュエータ304はその第1の場所にある。中立位置及び送達構成は、カテーテル100がガイドワイヤ40に乗り、遠位部分106をCS20に送達することを可能にする。
【0039】
図7Bは、ハンドル300及び撓み位置にあるカテーテル100を示す。ここで、ガイドワイヤ40は、完全に又は中間部分104内に取り外されており、遠位先端202は、中心軸306との整列から外れて撓んでいる。撓みは、遠位先端撓みアクチュエータ302が第1の位置よりも遠位の第2の位置に移動されることによって引き起こされ得る。図8図9A図9B、及び図13は、撓み機構を示す。プルワイヤ120は、遠位先端202に固定された第1の端部と、本体301内の固定点303(図示される張力ねじ)に取り付けられた第2の端部とを有する。遠位先端撓みアクチュエータ302は、中心軸306に沿った任意の動きがプルワイヤ120を変位させるように、プルワイヤ120に取り付けることができる。遠位先端撓みアクチュエータ302を延ばすことにより、遠位先端302をほぼ0°~ほぼ180°の撓み角度にわたって撓ませることができる。遠位先端202を撓ませることにより、遠位部分106をCS20内の適切な位置に向け、遠位先端202を下大静脈内に向けることができる(図6)。
【0040】
図9A及び図9Bは、撓みアクチュエータロック310のロック位置及びロック解除位置を示す。この例では、単純なひねりは、遠位先端202を撓ませる能力をロック及びロック解除することができる。したがって、撓みアクチュエータロック310は、遠位先端撓みアクチュエータ302が第1の位置(最近位)と第2の位置(最遠位)との間で移動することを可能にするロック解除位置を有する。また、ロック位置は、遠位先端撓みアクチュエータ310が第1の位置と第2の位置との間を移動するのを防止する。追加的に、ハンドル撓みブレーキ308は、異なる撓み角度で停止することがハンドル300上で明らかであり、ユーザがハンドル300を見て遠位先端202がどの程度撓んでいるかを決定することができる。遠位先端202は、形状記憶部分200が展開されていない、及び/又は送達構成にあるときに撓むことができる。
【0041】
図7C及び図10図13は、形状記憶部分200の展開構成を示している。形状記憶合金116は、上述したように、少なくとも形状記憶部分200に沿って配置することができ、本体301内に固定された一端を備える。形状記憶合金116は、冠状静脈洞カテーテル100の遠位部分106を冠状静脈洞20に固定するように構成された拡張形状に予め設定されている。図示のように、そのプリセット形状は中心軸306からオフセットされた螺旋であるが、非外傷性の、CS20の壁に適合することができる任意の形状を考慮することができる。
【0042】
送達及び展開構成を容易にするために、形状記憶部分200又は更には形状記憶合金116の一部分の上にカバーチューブ312を配置することができる。一例では、カバーチューブ312は、記憶形状部分展開アクチュエータ304に固定された記憶形状部分展開端314を有することができる。送達構成では、カバーチューブ312は形状記憶部分200/形状記憶合金116を拘束し、展開構成では、形状記憶部分200/形状記憶合金116はカバーチューブ312によって拘束されない。
【0043】
図10及び図11は、形状記憶合金116がその所定の形状に戻るのを防止する形状記憶部分200/形状記憶合金116上にカバーチューブ312を維持する、最遠位の位置(その第1の場所)にある記憶形状部分展開アクチュエータ304を示す。記憶形状部分展開アクチュエータ304を近位位置(その第2の場所)に移動させると、カバーチューブ312が形状記憶部分200/形状記憶合金116から引き抜かれ、形状記憶合金116が所定の形状に戻ることが可能になる。この位置は、図12及び図13に示されている。
【0044】
言い換えると、一例では、カバーチューブ312は、ハンドル300から遠位先端202の直前までカテーテル100のほぼ全体を覆う。カバーチューブ312は、ニチノール、ステンレス鋼、又は半剛性ポリマーから作製された可撓性であり得、チューブはまた、更なる可撓性を可能にするためにレーザ切断され得る。カバーチューブ312は、形状記憶部分200/形状記憶合金116がその予め形成された形状に戻るのを抑制するのに十分な剛性であるが、カテーテル100がCS20内に展開される血管を横断することを可能にするのに十分な可撓性である必要がある。形状記憶合金116は、本体301の内側の一端に固定され、その上にカバーチューブ312が展開される。カバーチューブ312は、カテーテル100全体の外側にあってもよく、又は形状記憶内腔114の内側で同軸であってもよい。カバーチューブ312は、形状記憶合金116よりも長さが短く、記憶形状部分展開アクチュエータ304が第1の場所で遠位にあるとき、カバーチューブ312は形状記憶部分200を覆い、拘束する。記憶形状部分展開アクチュエータ304が第2の場所に移動されることによってカバーチューブ312が引き戻されると、長さの差により、形状記憶合金116はここで拘束されず、その予め設定された形状に戻ることができる。
【0045】
追加的に、処置中又は処置後に、形状記憶合金116を再拘束するために記憶形状部分展開アクチュエータ304を遠位(すなわち、第1の場所に戻る)に移動させることができ、カテーテル100をその送達構成に戻して血管から除去する。形状記憶合金116はまた、何らかの理由で処置中に形状記憶部分200を再配置する必要がある場合に再拘束することもできる。
【0046】
図15及び図16は、冠状静脈洞カテーテルの他の例を示す。図15は、プルワイヤ120を使用して遠位先端202を偏向させ、次いで形状記憶部分200をその展開構成に撓ませるために追加の力で引っ張ることができる例を示す。この例では、形状記憶合金116は、直線状になるように予め設定することができ、張力は合金を、例えば、螺旋形状に「異形」に引っ張る。図示の例では、プルワイヤ120は、中間部分104までのみプルワイヤ内腔118内にある。次いで、プルワイヤ120は、遠位先端202まで内腔の外側にある。これにより、遠位部分106が張力下で変形することが可能になる。
【0047】
図16A及び図16Bは、主センサプローブ402を有する更に別の安定化冠状静脈洞カテーテル400を示す。主センサプローブ402は、カテーテル400を案内するために少なくとも単軸位置センサ424を有する上記遠位先端202と同様に作用することができ、主センサプローブ402の長さに沿って配置された複数の主センサ406を含むことができる。しかしながら、本例は、形状記憶部分200に代えて、複数の二次センサプローブ404を有する。複数の二次センサプローブ404は、第1の長さよりも短い第2の長さと、遠位位置/先端に配置された少なくとも1つの二次センサ406とを有する。第2の(より短い)長さは、複数の異なるサブ長さとすることができ、二次センサプローブ404のうちの1つ又は2つ以上は、異なるサブ長さを有することができる。
【0048】
シースカテーテル450は、主センサプローブ402及び複数の二次センサプローブ404が通過するのを可能にするように構成された内腔を有することができる。送達中、被覆位置は、内腔内に封入された複数の二次センサプローブ404と、内腔の外側の主センサプローブ402の少なくとも一部分とを有することができる。これにより、コンパクトな送達プロファイルが、カテーテル400を血管を通してCS20に移動させることを可能にする。CS20に入ると、カテーテル400を抜き取ることができ、非被覆位置は、内腔の外側に主センサプローブ402及び複数の二次センサプローブ404の両方を有することができる。更に、複数の二次センサプローブ404は、主センサプローブ402から離れるように角度αで傾斜し得、冠状静脈洞20に対して横方向の力を加え得る。この横方向の力は、上記の全ての理由で、CS20内のカテーテル400を安定させるための固定力として作用する。
【0049】
別の言い方をすれば、カテーテル400は、正中線軸408を有することができ、主センサプローブ402は、ほぼ正中線軸408に沿って配置される。次いで、複数の二次センサプローブ404は、被覆位置において正中線軸408とほぼ平行であり、非被覆位置において正中線軸から離れる角度αを形成することができる。具体的には、二次センサプローブ角度αは、二次センサプローブ404のうちの少なくとも1つと正中線軸408との間に形成される。二次センサプローブ角度αは、ほぼ0°~ほぼ90°、より具体的にはほぼ0°~ほぼ10°であり得る。二次センサプローブ404は、形状記憶合金又はそれらを遠ざけるための何らかの他の形態のバイアスを有するため、正中線軸408から離れるように傾斜することができる。バイアスはまた、薄い形状のばね鋼又は他の金属から形成され得る。
【0050】
図17は、心臓10の電気的活動をマッピングするために冠状静脈洞カテーテル(すなわち100、400)を使用する方法を示す。冠状静脈洞カテーテル100、400は、記憶形状部分200を有する遠位部分106と、記憶形状部分200の遠位にある遠位先端202とを含むことができる。ハンドル300はカテーテルの近位部分102の近位に配置され、本体301、遠位先端撓みアクチュエータ302、記憶形状部分展開アクチュエータ304、記憶形状部分200の一部分の上に配置されたカバーチューブ312、及び中心軸306を含む。ステップの例は、冠状静脈洞カテーテルの遠位部分が中心軸とほぼ一直線上にあるように、冠状静脈洞カテーテルを送達構成で冠状静脈洞に送達することを含むことができる(1700)。遠位先端402は、遠位先端撓みアクチュエータ302を作動させることによって冠状静脈洞カテーテル100を操縦するために、中心軸306との整列から外れて撓むことができる(1702)。遠位部分106の記憶形状部分200は、冠状静脈洞20に展開することができる(1704)。記憶形状部分200を展開することは、カバーチューブを記憶形状部分から引き抜き(1706)、記憶形状部分を予め形成された形状に戻す(1708)追加のステップを有することができる。追加的に、方法は、展開された記憶形状部分200を用いて冠状静脈洞20に対して横方向の力を加えることを含み得る(1710)。
【0051】
一般的な開示の特定の態様は、一方が直線状であり、他方が螺旋形状を有する2つの構成を含むことができる。螺旋形状は、形状記憶合金(ニチノール)の事前に形成されたワイヤで作成される。構成は、カテーテルシャフトの内部にチューブを伸縮させることによって切り替えられる。操縦性のための撓み可能な先端がある。複数のセンサは、マッピングシステムにおける視覚化を可能にする。ロックリングは、チューブを伸縮する間に望ましくない撓みを防止するために、プランジャ/遠位先端撓みアクチュエータ上に配置される。例えば、電線、ニチノール及びチューブなどの構成要素を分離した状態に保つために、多内腔プラスチック押出成形を使用することができる。螺旋長さにわたる電極は、複数周の心臓情報を可能にする。
【0052】
ハンドル内の取り付け点に関して、プラ-ワイヤは、撓み可能な先端の遠位領域で遠位に、かつハンドル本体の近位領域内のシャフトに対して近位に固定され得る。プルワイヤの近位固定点は、組み立て中にワイヤ内の張力を調整することを可能にする。予め形成された螺旋形状を有するニチノールワイヤは、螺旋形状の遠位で、カテーテル先端に遠位に固定され得る。ニチノールワイヤは、プランジャ部品の近位端部で近位に更に固定され得る。これにより、ニチノールワイヤの全長が、先端撓み中にシャフトとともに移動することを可能にする。チューブの遠位端部は、カテーテル内腔に自由に浮いており、ハンドルに配置されたスタッドに固定されている。
【0053】
ニチノール及びチューブはまた、ニチノールワイヤがその上を通過するチューブのガイド及び支持面として作用する例示的な挙動を有する。チューブは2つの部分を有し、遠位部分は、螺旋形状の上での運動を容易にするために、及び解剖学的構造を介してより可撓性である。近位部分は、より剛性であり、より高い力の伝達を可能にする。チューブ伸縮中の摩擦を低減するために、ニチノールワイヤとチューブとの界面に潤滑剤を使用する。潤滑剤はまた、チューブとカテーテル内腔との間に使用することができる。チューブアセンブリは、チューブの伸縮中の摩擦を低減するために、遠位先端を含む遠位長さに沿って離間した、外周の周りに滑らかな輪郭(「ビーズ」)を有する突起を有することができる。プランジャ及びハンドルは、チューブ固定スタッドがこれらの構成要素に対するチューブの移動を可能にするためのクリアランスを有する。
【0054】
ハンドルが、組み立て中に許容可能なプルワイヤの撓みの調整を可能にするストローク制限機構を有することを含む、先端撓みに関する例。ワイヤコイルは、先端撓みを改善する剛性をカテーテルに付加するために、螺旋領域ではなく螺旋領域のすぐの近位及び遠位のシャフト部分で使用することができる。しかしながら、遠位の撓み可能な先端は柔らかいが撓みを可能にする。
【0055】
遠位歪み緩和を有する安定化冠状静脈洞カテーテルの他の特徴は、近位剛性を含む近位部分、中間剛性を含む近位部分の遠位、及び中間部分、中間部分の遠位の遠位部分を有する。遠位部分は、記憶形状部分と、記憶形状部分の遠位の遠位先端と、形状記憶部分に沿って配置された形状記憶内腔と、形状記憶内腔に配置された形状記憶合金とを含むことができる。中心軸とほぼ一致する記憶形状部分及び遠位先端を含む送達構成、並びに冠状静脈洞の形状にほぼ一致する形状を形成する記憶形状部分を含む展開構成が存在し得る。遠位先端は、近位剛性、中間剛性、及び形状記憶合金の剛性よりも大きい可撓性を含むことができる。
【0056】
安定化冠状静脈洞カテーテルは、展開構成にあるときに右心房に垂れ下がるように構成された遠位先端を有することができる。形状記憶部分の形状は、ほぼ螺旋形状を有し、冠状静脈洞に横方向の力を加えるように構成され得る。また、螺旋は、中心軸からオフセットされた遠位部分軸に沿って形成することができる。複数のセンサは、遠位部分に沿って配置され得、中に配置されたセンサケーブルを含むセンサワイヤ内腔は、複数のセンサを接続することができる。
【0057】
ガイドワイヤ内腔は、近位部分から遠位部分に更に配置することができ、その結果、送達構成は、ガイドワイヤ内腔に配置されたガイドワイヤの形状に適合する遠位部分を更に有する。次いで、ガイドワイヤがガイドワイヤ内腔から部分的に除去されると、展開構成が生じる。プルワイヤ内腔は、近位部分から遠位先端まで追加的に配置することができ、プルワイヤ内腔にプルワイヤを配置することができる。中立位置は、中心軸とほぼ一直線にある遠位先端と、遠位先端が中心軸との整列から外れて移動する状態でプルワイヤを変位させる撓み位置とを含むことができる。
【0058】
別の安定化冠状静脈洞カテーテルシステムは、近位部分、遠位部分(記憶形状部分と、記憶形状部分の遠位の遠位先端とを含む)、形状記憶部分に沿って配置された形状記憶内腔、及び形状記憶内腔に配置された形状記憶合金を有する冠状静脈洞カテーテルを有することができる。ハンドルは、近位部分の近位に配置され得、遠位先端撓みアクチュエータ、記憶形状部分展開アクチュエータ、及び中心軸を含む。中立位置は、第1の位置において中心軸とほぼ一直線にある遠位先端及び遠位先端撓みアクチュエータとを含むことができ、撓み位置は、第2の位置において中心軸及び遠位先端撓みアクチュエータとの整列から外れて移動する遠位先端を含む。次に、送達構成は、第3の位置で中心軸及び記憶形状部分展開アクチュエータとほぼ一直線にある記憶形状部分及び遠位先端と、第4の位置で冠状静脈洞の形状にほぼ一致する形状を形成する記憶形状部分及び記憶形状部分展開アクチュエータを含む展開構成とを含むことができる。
【0059】
プルワイヤ内腔は、近位部分から遠位先端まで配置することができ、プルワイヤ内腔にプルワイヤを配置することができる。遠位先端撓みアクチュエータはプルワイヤに取り付けることができ、第2の位置はプルワイヤを変位させる。ガイドワイヤ内腔は、近位部分から遠位部分に配置される。
【0060】
近位部分の遠位の中間部分は、中間剛性を含むことができ、近位部分は、近位剛性を含み、遠位先端は、近位剛性、中間剛性、及び形状記憶合金の剛性よりも大きい可撓性を含む。複数のセンサは、遠位部分に沿って配置され得、センサワイヤ内腔は、複数のセンサを接続する、中に配置されたセンサケーブルを有する。
【0061】
冠状静脈洞カテーテルを使用して、心臓の電気的活動をマッピングする方法は、冠状静脈洞カテーテルの遠位部分が中心軸とほぼ一直線上にあるように、冠状静脈洞カテーテルを送達構成で冠状静脈洞に送達するステップを含む。冠状静脈洞に冠状静脈洞カテーテルの遠位部分の記憶形状部分を展開し、記憶形状部分が展開されたときに右心房内に遠位部分の遠位先端をぶら下げる。この方法は、記憶形状部分が展開されたときに、冠状静脈洞に対して横方向の力を加えることを更に含む。
【0062】
更なる安定化冠状静脈洞カテーテルは、主センサプローブの第1の長さに沿って配置された複数の主センサ及び複数の二次センサプローブを含む主センサプローブを含む。二次センサプローブは各々、第1の長さよりも短い第2の長さ、及び遠位位置に配置された二次センサを含む。シースカテーテルは、主センサプローブ及び複数の二次センサプローブが通過するのを可能にするように構成された内腔を有することができる。被覆位置は、内腔内に封入され、主センサプローブの少なくとも一部分は内腔の外側にある複数の二次センサプローブを有することができる。非被覆位置は、内腔の外側にある主センサプローブ及び複数の二次センサプローブの両方と、主センサプローブから離れるように傾斜し、冠状静脈洞に対して横方向の力を加える複数の二次センサプローブとを含む。
【0063】
安定化冠状静脈洞カテーテルの第2の長さは複数のサブ長さを有し、複数の二次センサプローブの一部分は各々、異なるサブ長さを有する。正中線軸が含まれ、主センサプローブは、ほぼ正中線軸に沿って配置される。また、複数の二次センサプローブは、被覆位置において正中線軸にほぼ平行であり、非被覆位置において正中線軸から離れる角度を形成する。二次センサプローブ角度は、二次センサプローブと正中線軸との間に形成され得る。ここで、二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ90°であり得る。より具体的には、二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ10°であり得る。
【0064】
本明細書に含まれる記述は、本開示の実施形態の例であり、本開示の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本開示は、代替的な数の電極、代替的な電極の組み合わせ、別個の図に示される構成要素の組み合わせ、代替的な材料、代替的な構成要素の幾何学的形状、及び代替的な構成要素の配置を含む、アブレーションツール及び診断ツールの多くの変形及び修正を企図する。本開示の教示に従って当業者に明らかな修正及び変形は、以下の特許請求の範囲内にあることを意図されている。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 安定化冠状静脈洞カテーテルシステムであって、
冠状静脈洞カテーテルであって、
近位部分と、
遠位部分であって、
記憶形状部分と、
前記記憶形状部分の遠位の遠位先端と、を含む、遠位部分と、を含む、冠状静脈洞カテーテルと、
前記近位部分の近位に配置されたハンドルであって、
中心軸を画定する本体と、
遠位先端撓みアクチュエータであって、前記中心軸に沿って第1の位置、第2の位置、又は第3の位置のうちの1つにあるように構成され、その結果、
(a)前記アクチュエータの前記第1の位置において、前記遠位先端は前記中心軸とほぼ一直線上にあり、
(b)前記遠位先端の撓みのための前記アクチュエータの前記第2の位置において、前記遠位先端は前記中心軸との整列から外れており、
(c)送達のための前記アクチュエータの前記第3の位置において、前記記憶形状部分及び前記遠位先端は、前記中心軸とほぼ一直線上にある、遠位先端撓みアクチュエータと、
記憶形状部分展開アクチュエータであって、前記中心軸に対して第1の場所及び第2の場所のうちの1つにあるように構成され、その結果、前記記憶形状部分展開アクチュエータは、前記先端の送達又は撓み中に前記第1の場所にあり、前記冠状静脈洞の形状にほぼ一致する所定の形状を形成する前記記憶形状部分の展開のための前記第2の場所にある、記憶形状部分展開アクチュエータと、を含む、ハンドルと、
を備える、安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(2) プルワイヤを更に含み、前記プルワイヤは、
前記遠位先端に固定された第1の端部と、
前記本体に固定された第2の端部と、を含み、
前記遠位先端撓みアクチュエータは、前記プルワイヤに取り付けられ、
前記第2の位置は、前記プルワイヤを変位させる、実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(3) 前記遠位先端は、ほぼ0°~ほぼ180°の撓み角度を含むことを更に含む、実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(4) 前記冠状静脈洞カテーテルは、
中間剛性を含む、前記近位部分の遠位の中間部分を更に含み、
前記近位部分は近位剛性を含み、かつ
前記遠位先端は、前記近位剛性、前記中間剛性、及び形状記憶部分の剛性よりも大きい可撓性を含む、
実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(5) ほぼ前記遠位先端に配置された単軸位置センサ、を更に備える、実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【0066】
(6) 撓みアクチュエータロックを更に備え、前記撓みアクチュエータロックは、
前記遠位先端撓みアクチュエータが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動することを可能にするロック解除位置と、
前記遠位先端撓みアクチュエータが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動することを防止するロック位置と、を含む、
実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(7) 形状記憶部分に沿って配置され、前記本体に固定された一端を含む形状記憶合金と、
前記形状記憶合金の一部分の上に配置され、前記記憶形状部分展開アクチュエータに固定された記憶形状部分展開端を含むカバーチューブと、を更に備え、
送達構成において、前記カバーチューブは、前記形状記憶合金を拘束し、かつ
展開構成において、前記形状記憶合金は、前記カバーチューブによって拘束されない、実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(8) 前記第1の場所にある前記記憶形状部分展開アクチュエータは、前記カバーチューブを前記形状記憶合金上に維持し、前記形状記憶合金が前記所定の形状に戻ることを防止し、
前記第2の場所にある前記記憶形状部分展開アクチュエータは、前記カバーチューブを前記形状記憶合金から引き抜き、前記形状記憶合金が前記所定の形状に戻ることを可能にする、実施態様7に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(9) 形状記憶部分の前記所定の形状は、ほぼ螺旋形状を含む、実施態様1に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
(10) 前記形状記憶部分の前記所定の形状は、
ほぼ8.5mm~ほぼ9.5mmの近位部分曲げ半径と、
ほぼ7.0mm~ほぼ8.0mmの遠位部分曲げ半径と、
ほぼ110°~ほぼ120°の近位部分螺旋角と、
ほぼ150°~ほぼ160°の遠位部分螺旋角と、
ほぼ42.5mm~ほぼ44.5mmの形状記憶部分の長さと、
ほぼ14.0mm及びほぼ16.0mmの第1の螺旋コイルの大径と、
ほぼ3.5°~ほぼ5.5°のテーパ角度と、
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様9に記載の安定化冠状静脈洞カテーテルシステム。
【0067】
(11) 心臓の電気的活動をマッピングするために冠状静脈洞カテーテルを使用する方法であって、前記冠状静脈洞カテーテルは、記憶形状部分と、前記記憶形状部分の遠位の遠位先端と、を含む遠位部分、前記近位部分の近位に配置されたハンドルであって、本体と、遠位先端撓みアクチュエータと、記憶形状部分展開アクチュエータと、前記記憶形状部分の一部分の上に配置されたカバーチューブと、中心軸と、を含む、ハンドル、を備え、
前記冠状静脈洞カテーテルの遠位部分が中心軸とほぼ一直線上にあるように、前記冠状静脈洞カテーテルを送達構成で前記冠状静脈洞に送達するステップと、
前記遠位先端撓みアクチュエータを作動させることによって、前記冠状静脈洞カテーテルを操縦するために、前記中心軸との整列から外れて前記遠位先端を撓ませるステップと、
前記冠状静脈洞に前記冠状静脈洞カテーテルの前記遠位部分の前記記憶形状部分を展開するステップであって、
前記カバーチューブを前記記憶形状部分から引き抜くステップと、
前記記憶形状部分を予め形成された形状に戻すステップと、を含む、展開するステップと、
を含む、方法。
(12) 前記記憶形状部分が展開された状態で、前記冠状静脈洞に対して横方向の力を加えることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 安定化冠状静脈洞カテーテルであって、
主センサプローブであって、前記主センサプローブの第1の長さに沿って配置された複数の主センサを含む主センサプローブ、
複数の二次センサプローブであって、
前記第1の長さよりも短い第2の長さと、
前記遠位位置に配置された二次センサと、を各々含む、複数の二次センサプローブ、
前記主センサプローブ及び前記複数の二次センサプローブが通過するのを可能にするように構成された内腔を含むシースカテーテル、
被覆位置であって、
前記複数の二次センサプローブが、前記内腔内に封入されていることと、
前記主センサプローブの少なくとも一部分が、前記内腔の外側にあることと、を含む、被覆位置、
非被覆位置であって、
前記主センサプローブ及び前記複数の二次センサプローブの両方が、前記内腔の外側にあることと、
前記複数の二次センサプローブが、前記主センサプローブから離れるように傾斜し、前記冠状静脈洞に対して横方向の力を加えることと、を含む、非被覆位置、
を備える、安定化冠状静脈洞カテーテル。
(14) 前記第2の長さは複数のサブ長さを含み、前記複数の二次センサプローブの一部分は各々、異なるサブ長さを有する、実施態様13に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
(15) 正中線軸を更に備え、
前記主センサプローブは、ほぼ前記正中線軸に沿って配置され、
前記複数の二次センサプローブは、前記被覆位置において前記正中線軸にほぼ平行であり、前記非被覆位置において前記正中線軸から離れる角度を形成する、実施態様13に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
【0068】
(16) 二次センサプローブと前記正中線軸との間に形成された二次センサプローブ角度を更に含む、実施態様15に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
(17) 前記二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ90°である、実施態様15に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
(18) 前記二次センサプローブ角度は、ほぼ0°~ほぼ10°である、実施態様15に記載の安定化冠状静脈洞カテーテル。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
【国際調査報告】