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特表2023-506508高ハードセグメント含有量の造形材料を使用した付加製造法
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  • 特表-高ハードセグメント含有量の造形材料を使用した付加製造法 図1
  • 特表-高ハードセグメント含有量の造形材料を使用した付加製造法 図2
  • 特表-高ハードセグメント含有量の造形材料を使用した付加製造法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】高ハードセグメント含有量の造形材料を使用した付加製造法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20230209BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230209BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20230209BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230209BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/153
B29C64/118
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536794
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020085928
(87)【国際公開番号】W WO2021122429
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19216846.6
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アクテン,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ビュスゲン,トマス
(72)【発明者】
【氏名】マットナー,マサイアス
(72)【発明者】
【氏名】メットマン,ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ガルスカ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェルト,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】プレンヴェイユ,トマス
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA31
4F213AR06
4F213AR15
4F213AR17
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL23
4F213WL96
(57)【要約】
構築材料から付加製造法により物体を製造する工程を含む物体の製造方法である。前記構築材料は、元素分析によって決定されるNに対するOの重量パーセンテージ比が≧2~≦2.5であり、元素分析によって決定されるCに対するNの重量パーセンテージ比が≧0.1~≦0.25であり、動的示差走査熱量測定DSC(加熱速度20K/分での第2の加熱)によって決定される溶融ピークの半値全幅が≦20Kであり、20K/分の加熱および冷却速度での動的示差走査熱量測定DSC(加熱速度20K/分での第2の加熱)によって決定される溶融温度と再結晶温度の差が≧5Kおよび≦100Kである第1のポリウレタンポリマーを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材料から付加製造法により物品を製造する工程を含む、物品の製造方法であって、
前記造形材料は、元素分析によって決定されるNに対するOの重量パーセント比が≧2~≦2.5であり、元素分析によって決定されるCに対するNの重量比が≧0.1~≦0.25であり、示差走査熱量測定(DSC;加熱速度5K/分での第2の加熱)によって決定される融解ピークの半値全幅が≦20Kであり、および20K/分の加熱および冷却速度で示差走査熱量測定(DSC;第2の加熱)によって決定される融解温度と再結晶温度の差が≧5Kおよび≦100Kである第1のポリウレタンポリマーを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%~≦100重量%のハードセグメントの割合を含み、前記ハードセグメントの割合は、ポリウレタンポリマーの総重量に対する分子中に3つ以下の繰り返し単位を有するツェレビチノフ活性化合物およびそれに結合したイソシアネート単位から誘導される成分の合計の重量比として表されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分の反応から得られていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の直鎖状脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分および≧80重量%の直鎖状脂肪族ポリオールを含むイソシアネート反応性成分の反応から得られていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の1つの直鎖状脂肪族イソシアネート成分を含む直鎖状ジイソシアネート成分および≧80重量%の1つの直鎖状脂肪族ポリオール成分を含む直鎖状ジオール成分の反応から得られていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記造形材料は、示差走査熱量測定(DSC;加熱速度20K/分での第2の加熱)によって決定される融点が≧120℃~≦189℃であり、前記造形材料の融点ピークの半値全幅(示差走査熱量測定、DSC;加熱速度5K/分での第2の加熱)が≧5K~≦20Kであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記造形材料が、1000時間のSAE J 1960 CAM 180 ウェザリングの後に、b値において≦50の色数増加を示すことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プレート/プレートレオメーターによって1/s、0.1%振幅および200℃で決定された溶融した前記造形材料の複素粘度が、それぞれの場合において1分後に測定され、依然として190℃で測定された溶融した前記造形材料の複素粘度の≧50%であり、240℃で測定された溶融した前記造形材料の複素粘度は、190℃で測定された溶融した前記造形材料の複素粘度の≦15%にすぎないことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
240℃での溶融した前記造形材料の複素粘度が、190℃に冷却した後、1分後に、ISO 6721-10:2015-09に従って1/s、0.1%変形および190℃で決定された出発粘度の≧50%を回復することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記付加製造法による物品の製造が、
- 前記造形材料を含む粒子の層をターゲット表面に適用する工程;
- 任意に、前記層の選択された部分に放射エネルギー吸収材料および/または放射エネルギー反射材料を印刷し、前記層にエネルギーを与える工程であって、前記層の選択された部分は、好ましくは、エネルギーのより高いまたはより低い吸収を示し、その結果、前記選択された部分の粒子または前記選択された部分を取り囲む粒子は、物品の断面に従って結合される工程;
- 物品の断面に対応する前記層の選択された部分にエネルギーを与えて、前記選択された部分において粒子を結合させる工程;
- 適用する工程およびエネルギーを与える工程を繰り返して、複数の層が隣接する層の結合部分と結合して物品を形成する工程;
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記付加製造法による物品の製造が、
- 少なくとも部分的に溶融した造形材料のフィラメントをキャリアに適用して、物品の第1の選択された断面に対応する造形材料の層を得る工程;
- 任意に、造形材料の先に適用された層に、少なくとも部分的に溶融した造形材料のフィラメントを適用して、物品のさらなる選択された断面に対応し、前記先に適用された層に結合される造形材料のさらなる層を得る工程;
- 任意に、物品が形成されるまで、造形材料の先に適用された層に少なくとも部分的に溶融した造形材料のフィラメントを適用する工程を繰り返す工程;
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、造形スペース内で実施され、前記造形スペースの温度が、前記造形材料の融解温度Tm(20℃/分の加熱速度でDIN EN ISO 11357-1:2017-02に従い示差走査熱量測定DSCによって決定される)よりも≧5℃低いことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法によって得られる物品であって、前記物品が、元素分析によって決定されるNに対するOの重量パーセント比が≧2~≦2.5であり、元素分析によって決定されるCに対するNの重量比が≧0.1~≦0.25であり、示差走査熱量測定(DSC;加熱速度20K/分での第2の加熱)によって決定される溶融ピークの半値全幅が≦20Kであり、20K/分の加熱および冷却速度での示差走査熱量測定(DSC;第2の加熱)によって決定される溶融温度と再結晶温度の差が≧5Kおよび≦100Kである第1のポリウレタンポリマーを含む造形材料から製造され、ここで、前記物品は、その製造において使用された付加製造法の造形方向における引張強度(ISO 527:2012)が、同一の造形材料から作られた射出成形試験片の引張強度(ISO 527:2012)の≧20%~≦100%であることを特徴とする、前記物品。
【請求項14】
前記第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%~≦100重量%のハードセグメントの割合を含み、前記ハードセグメントの割合は、ポリウレタンポリマーの総重量に対する分子中に3つ以下の繰り返し単位を有するツェレビチノフ活性化合物およびそれに結合したイソシアネート単位から誘導される成分の合計の重量比として表されることを特徴とする、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の直鎖状脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分および≧80重量%の直鎖状脂肪族ポリオールを含むイソシアネート反応性成分の反応から得られていることを特徴とする請求項12、13または14に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー中のハードセグメントの割合が高い造形材料(build material)を使用する付加製造法に関する。本発明はさらに、この方法によって得られる物品に関する。
【背景技術】
【0002】
用語「付加製造法(additive manufacturing process)」は、物品を層状に構築するプロセスを指す。したがって、それらは、旋削(turning)、フライス削り(milling)、または掘削(drilling)などの物品を製造する他のプロセスとは著しく異なる。後者のプロセスでは、材料の除去によって最終形状をとるように物品が処理される。
【0003】
付加製造法は、異なる材料および加工技術を使用して、物品を1層ずつ構築する。例として溶融堆積モデリング(FDM)として知られているものでは、熱可塑性ワイヤが液化され、ノズルの助けを借りて、可動構築プラットフォーム上に層状に堆積される。物品の層状構造を達成するために熱可塑性粉末を利用する付加製造法も存在する。この場合、粉末の薄層がいわゆるコーターによって塗布され、次いで、エネルギー源によって選択的に溶融される。ナイロン-12(PA12)は、粉末ベースの付加製造法、例えばレーザー焼結で現在最も一般的に使用されている材料である。
【0004】
それらの優れた物理的特性のために、ポリウレタン、特に熱可塑性ポリウレタンは、長年、多種多様な最終用途に使用されてきた。ポリウレタンの幅広い使用可能性にもかかわらず、入手可能な好適な物理的特性を有するポリウレタンがほとんどないか、またはこれらを提供することが困難であるために、他のプラスチック、例えばポリアミドプラスチックが使用される用途の分野がある。特定の例は、≧70ショアD硬度が必要とされる場合の付加製造法における使用であり、そのようなものは、例えば、ポリアミドまたはポリエーテルエーテルケトンを介して容易に得ることができる。対照的に、この用途分野のポリウレタンは典型的には≦70ショアD硬度に限定され、典型的にはかなり可撓性の熱可塑性エラストマーとして使用される。
【0005】
≧70ショアD硬度を有する広範な熱可塑性ポリウレタンは、これまで、高ハードセグメント含有量のMDIベースのTPUのみを含んでいた。しかしながら、これらは高い加工温度および≧200℃の融点を特徴とし、これは特に粉末焼結プロセスにおいて、材料の分解および変色の点で主要な問題につながる。これは、この場合、熱可塑性ポリウレタンが一般に熱および/または色安定でない融点に近い焼結粉末温度が必要とされるからである。
【0006】
高ハードセグメント含有量の熱可塑性ポリウレタンの別の群は、それらの以前の名称Durethan Uで知られている脂肪族ジイソシアネートをベースとするポリウレタンである。
【0007】
O.Bayer(Angew.Chem.1947,59,257-288)は、バッチ式方法による脂肪族ジイソシアネートおよび脂肪族ジオールからのポリウレタンの調製、特にヘキサメチレンジイソシアネートおよびブタン-1,4-ジオールから形成されるポリウレタン(Perlon U、Igamid U)のバッチ式方法による調製を開示しており、これはジクロロベンゼン中での沈殿重合から微細な砂状粉末として得られる。
【0008】
DE 728981およびUS 2,511,544は、ジイソシアネートをジオールおよび/またはジアミンと反応させて、溶媒を含有するかまたは溶媒を含まない方法でポリウレタンまたはポリウレアを得るバッチ式方法を開示している。高ハードセグメント含有量のポリウレタンを調製するためのさらなる例示的な方法は、Korschakらによって記載されている:
Korshak,V.V.,10-Experimental Methods of Solution Polimerization.Comprehensive Polymer Science and Supplements,1989.第5巻:Step Polymerization:143-165頁.
Korshak,V.V.,Y.A.Strepikheev,およびA.F.Moiseev,Preparation of linear polyurethanes without a solvent.Reaction of hexamethylene diisocyanate with 1,4-buteanediol in a melt.Condensation polymers,1961:12-15頁.
Korshak,V.V.およびI.A.Gribova,Communication 66.Investigation of the Kinetics of Copolymerization of Diisocyanates with Glycols.High Molecular Compounds,1953:571-57頁.
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE 728981
【特許文献2】US 2,511,544
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Angew.Chem.1947,59,257-288
【非特許文献2】Comprehensive Polymer Science and Supplements,1989.第5巻:Step Polymerization:143-165頁.
【非特許文献3】Condensation polymers,1961:12-15頁.
【非特許文献4】High Molecular Compounds,1953:571-57頁.
【発明の概要】
【0011】
付加製造法、特に粉末焼結法において使用するための硬質熱可塑性ポリウレタンであって、≦189℃の温度範囲の融点および再結晶温度と組み合わされた高い硬度を特徴とし、その温度にてウレタンが少なくとも短時間安定であり、それ故に良好な機械的性質およびほんのわずかな変色を有する焼結製品を可能にする、硬質熱可塑性ポリウレタンを提供することが望ましい。
【0012】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を少なくとも部分的に克服することである。本発明のさらなる目的は、高ハードセグメント含有量のポリウレタン造形材料を処理することを可能にする付加製造法を特定することである。
【0013】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の方法および請求項12に記載の物品によって達成される。有利な展開は、従属請求項に特定されている。それらは、文脈から反対のことが明らかでない限り、所望に応じて組み合わせることができる。
【0014】
物品を製造するための方法は、造形材料から付加製造法によって物品を製造する工程を含む。造形材料は、元素分析によって決定されるNに対するOの重量パーセント比が≧2~≦2.5であり、元素分析によって決定されるCに対するNの重量比が≧0.1~≦0.25であり、示差走査熱量測定(DSC;加熱速度20K/分での第2加熱)によって決定される融解ピークの半値全幅が≦20K(好ましくは≦17K、より好ましくは≦15K、特に好ましくは≦12K)であり、および20K/分の加熱および冷却速度で示差走査熱量測定(DSC;第2の加熱)によって決定される融解温度と再結晶温度の差が≧5Kおよび≦100Kである第1のポリウレタンポリマーを含む。
【0015】
製造される物品は、それ自体が製造プロセスの対象であってもよい。あるいは製造される物品がより大きな複合体の一部であり、その製造は複合体の製造におけるコンポーネントステップを構成することが可能である。
【0016】
本発明によれば、物品は、付加製造法(「3D印刷」)によって、造形材料から製造される。付加製造法は、例えば、溶融コーティング法(溶解フィラメント製造(fused filament fabrication)、FFF、または溶融堆積モデリング(fused deposition modelling)、FDM)、選択的レーザー焼結(selective laser sintering)、選択的レーザー溶融(selective laser melting)、または高速焼結(high-speed sintering)、あるいは結合剤噴射(binder jetting)から選択され得る。
【0017】
用語「溶融層形成プロセス(melt-layering process)」は、付加製造法の分野からの製造プロセスを指し、それによって、ワークピースは、例えば、溶融可能なプラスチックから、層状の様式で形成される。プラスチックは、充填剤のようなさらなる添加の有無にかかわらず使用することができる。FDM/FFF用の機械は、3Dプリンターの機械クラスの一部を形成する。この方法は、加熱によるワイヤ形態のプラスチックまたはワックス材料の液化に基づく。材料は、最終冷却の過程で固化する。材料の適用は、製造平面に対して自由に移動可能な加熱ノズルを用いた押し出しによって行われる。ここで、製造平面を固定し、ノズルを自由に移動可能にするか、またはノズルを固定し、基材テーブル(製造平面を有する)を移動可能にするか、または両方の要素、ノズルおよび製造平面を移動可能にすることが可能である。基材とノズルとが互いに対して移動可能である速度は、好ましくは1~500mm/sの範囲内である。層厚は、用途に応じて0.01から5mmの範囲内であり;ノズルからの材料ジェットの出口の直径(ノズル出口直径)が通常、少なくとも0.01mmである。
【0018】
層状のモデリングにおいて、個々の層は、このように結合して複雑な部分を形成する。物品の構築は、通例、作業平面を1ラインずつ繰り返しトレースし(層を形成する)、次いで、作業平面を「積み重ね」様式で上方に移動させて(第1の層の上に少なくとも1つのさらなる層を形成する)、層状様式で形を形成することによって行われる。ノズルからの材料の混合物の出口温度は、例えば、80℃~420℃であってもよい。さらに、基材テーブルおよび/または任意に存在する造形スペースを、例えば20℃~250℃に加熱することが可能である。これは適用された層の過度に急速な冷却を防止することができ、その結果、その上に適用されたさらなる層は第1の層に十分に接合される。
【0019】
本発明の文脈における焼結プロセスは、特に物品の層状構造のために熱可塑性粉末を使用するプロセスである。これらにおいて、いわゆるコーターは、粉末の薄い層を適用し、次いで、それは、エネルギー源を使用して選択的に溶融される。周囲の粉末は、コンポーネントの幾何学的形状を支持する。従って、複雑な幾何学的形状が、FDMプロセスよりも経済的に製造することができる。さらに、異なる物品を、いわゆる粉末床に密に充填された様式で配置または製造することができる。これらの利点により、粉末ベースの付加製造法は、市場で最も経済的な付加製造法の一つになる。したがって、それらは、主に工業的使用者によって使用される。粉末ベースの付加製造法の例は、いわゆる選択的レーザー焼結(SLS)または高速焼結(HSS)である。これらは、選択的溶融のためのエネルギーをプラスチックに導入する方法の点で互いに異なる。レーザー焼結プロセスでは、エネルギー入力は偏向レーザービームを介して行われる。いわゆる高速焼結(HSS)プロセスでは、粉末床に選択的に印刷したIR吸収体と組み合わせて、赤外線(IR)源を介してエネルギーを導入する。いわゆる選択的熱焼結(SHS)は、熱可塑性粉末を選択的に溶融するために従来のサーマルプリンターの印刷ユニットを利用する。選択的レーザー焼結プロセス(SLS)は好適である。第1のポリウレタンポリマーに加えて、造形材料はまた、他の熱可塑性ポリマー、および充填剤、安定剤などの添加剤を含有することができる。造形材料中の添加剤の総含有量は、例えば≧0.1重量%~≦50重量%、好ましくは≧0.5重量%~≦30重量%であってよい。
【0020】
本発明によれば、第1のポリウレタンポリマーは、元素分析によって決定されるNに対するOの重量パーセント比が≧2~≦2.5であり、元素分析によって決定されるCに対するNの重量比が≧0.1~≦0.25であることが提供される。このような分析データを有するポリウレタンは、高ハードセグメント含有量を有し、すなわち分子中のウレタン基の割合が高い。それらは、しばしば、高い結晶化度を有し、そして隣接鎖のウレタン基間の多くの水素結合のために、比較的鋭く規定された融点および規定された再結晶挙動を有する。これはまた、示差走査熱量測定(DSC;加熱速度20K/分での第2加熱)によって決定される融解ピークの半値全幅が≦20K(好ましくは≦17K、特に好ましくは≦15Kおよびより好ましくは≦12K)であり、20K/分の加熱および冷却速度で示差走査熱量測定(DSC;第2の加熱)によって決定される融解温度と再結晶温度の差が≧5Kおよび≦100K(好ましくは≧7Kおよび≦60K、より好ましくは≧9Kおよび≦50Kおよび特に好ましくは≧10Kおよび≦25K)であるという要件によって表される。溶融温度と再結晶温度の評価は、それぞれの場合に、ピーク最大値を用いて行われる。溶融ピークの半値全幅を決定するために、突然の吸熱または発熱変化を示さない曲線の直線部分が基礎として使用され、半値全幅が最大ピーク高さの半分におけるピークの幅として定義されるように、DSC曲線が評価される。
【0021】
全体として、第1のポリウレタンポリマーは、PA12などのポリアミドの代わりに使用することができ、材料コストは、ポリアミドの材料コストよりも低い。
【0022】
したがって、短い持続時間、好ましくは≦60秒、特に好ましくは≦30秒の高温での高い流動性を、例えば、レーザーへの暴露中のSLSプロセスにおいて、またはノズルの前の加熱ブロックにおける加熱中のFDMプロセスにおいて、融点のすぐ上のより低い温度での急速な粘度増加と組み合わせることが特に有利に可能である。190℃から240℃への粘度ジャンプは、好ましくは可逆的であり、すなわち、240℃への1分以下の暴露時間の後、190℃での1分後に、1/sおよび0.1%の変形でのISO6721-10:2015-09による出発粘度の≧50%、好ましくは≧60%、より好ましくは≧70%を回復する。
【0023】
本発明による方法における第1のポリウレタンポリマーはイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分から得られ、ここで、イソシアネート反応性成分はツェレビチノフ(Zerewitinoff)活性H原子含有化合物だけでなく、さらなる、非反応性添加剤も含有し得る。
【0024】
イソシアネート成分は、特に脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジイソシアネートを含有することができ、モノマージイソシアネートが好ましい。適切な化合物は、例えば、≧140~≦400g/molの分子量であり、これらがホスゲン化によって得られたものであるか、ホスゲンを含まない方法によって得られたものであるかは重要ではない。
【0025】
適切な脂肪族ジイソシアネートの例は、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタンおよび1,10-ジイソシアナトデカンである。
【0026】
適切な脂環式ジイソシアネートの例は、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタンおよび1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタンである。
【0027】
適切な芳香脂肪族ジイソシアネートの例は、1,3-および1,4-ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート;XDI)、1,3-および1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)である。
【0028】
分子量が≧140~≦400g/molの脂肪族および脂環式ジイソシアネート、特に、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される脂肪族および脂環式ジイソシアネートの使用が好ましい。1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはそれらの少なくとも2つの混合物が好ましく、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタンおよび/またはそれらの少なくとも2つの混合物が、より好ましい。
【0029】
特定の実施形態では、イソシアネートとそれ自体および例えばCOとの反応生成物の二官能性ポリイソシアネートも使用可能であり、例えばHDIベースの(ポリ)ウレトジオンおよび例えばHDIベースの(ポリ)イソシアナト-[ポリ[3-ヘキシロキサジアンジン-2,4,6-トリオン]]-5-イソシアナトヘキシルなどである。
【0030】
イソシアネート成分はまた、≧2の平均官能価を有するポリイソシアネートを含有することができる。適切なポリイソシアネートの例は、トリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネートまたはイソシアナトメチルオクタン1,8-ジイソシアネート(TIN)である。特に、上記のジイソシアネートの誘導体を使用することも可能である。これらの例は、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンまたは2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの市販の三量体(ビウレット、ウレトジオン、アロファネートまたはイソシアヌレート)である。これらのポリイソシアネートは、最終生成物の熱可塑性特性が保持される量まで、例えば、イソシアネート成分の全重量を基準として≦2重量パーセント、好ましくは≦1重量パーセント、および特に好ましくは≦0.5重量パーセントまで添加することができる。
【0031】
イソシアネート反応性成分は1つ以上の二官能性アルコール、特に、210g/mol未満の分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式アルコールを含有することができる。これらには、例えば、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオールおよびプロパン-1,3-ジオール、ブタンジオールの異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、2-シクロヘキサン-1,4-ジオール、2-メチルシクロヘキサン-1,4-ジオール、2-エチルシクロヘキサン-1,4-ジオール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、シクロヘプタン-1,3-ジオール、シクロヘプタン-1,4-ジオール、2-メチルシクロヘプタン-1,4-ジオール、4-メチルシクロヘプタン-1,3-ジオール、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスシクロヘキサノール、シクロオクタン-1,3-ジオール、シクロオクタン-1,4-ジオール、シクロオクタン-1,5-ジオール、5-メチルシクロオクタン-1,4-ジオール、5-エチルシクロオクタン-1,4-ジオール、5-プロピルシクロオクタン-1,4-ジオール、5-ブチルシクロオクタン-1,4-ジオールが含まれ得る。上記アルコールの混合物を使用することも可能である。分子量が≦210g/mol、より好ましくは≦150g/mol、特に好ましくは≦120g/molの脂肪族、芳香脂肪族または脂環式アルコールを使用することが好ましい。末端OH基を有する直鎖状ポリオールを、ポリオール含有量に基づいて≧80%の重量分率で使用することが特に好ましい。
【0032】
特定の実施形態では、イソシアネート基に基づいて、20mol%までの水、好ましくは10mol%までの水、および特に好ましくは5mol%までの水が使用され、ここで、水の官能価は2である。この場合、重合プロセスは、ポリウレタンだけでなく、二酸化炭素の除去によって少量のポリウレアも生成する。
【0033】
特定の実施形態では、イソシアネート基に基づいて20mol%までのアンモニア、好ましくは10mol%までのアンモニア、および特に好ましくは5mol%までのアンモニアが使用され、ここで、アンモニアの官能価は2として計算される。この場合、重合プロセスは、ポリウレタンだけでなく、より少量のポリビウレットも生成する。
【0034】
第1のポリウレタンポリマーについては、成分1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,5-ジイソシアナトペンタンおよび/または1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオールおよび/またはヘキサン-1,6-ジオールが好ましい。
【0035】
イソシアネート反応性成分はまた、添加剤として、イソシアネート反応性成分の総重量を基準にして、≦2重量パーセント、好ましくは≦1重量パーセント、特に好ましくは≦0.5重量パーセントの割合で、例えば連鎖停止剤、補助剤または離型剤として、少量の慣用のイソシアネート反応性単官能性化合物、三官能性化合物または多官能性化合物を含有することができる。例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノールおよびステアリルアルコールなどのアルコールが挙げられる。適切なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適切な高官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。アミン、例えばブチルアミンおよびステアリルアミンまたはチオール。
【0036】
ポリオール反応性成分はまた、添加剤として、ポリオール反応性成分の総重量に基づいて2重量%以下の割合で、少量の一官能性、三官能性または多官能性イソシアネートを、例えば連鎖停止剤、補助剤または離型剤として含有することができる。
【0037】
また、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアミドポリオールまたは類似のアミン末端化合物をポリオール成分として、所望に応じて靭性および結晶化速度などの特定の効果に影響を与えるために、より少ない量(例えば、イソシアネート反応性成分の総重量に基づいて、≦10重量%、好ましくは≦5重量%)を用いることも可能である。
【0038】
イソシアネート反応性配合物はまた、添加剤として、少量のさらなるイソシアネート反応性成分、例えば、アミン、チオール、エポキシド、酸、酸無水物、ならびにモノ-、ジ-、トリ-または多官能性材料を、イソシアネート反応性配合物の総重量に基づいて、例えば≦10重量%、好ましくは≦5重量%、特に好ましくは≦2重量%の割合で含有することができる。
【0039】
付加製造法において本発明による使用のための熱可塑性ポリウレタンを調製するために、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を、任意に1以上の触媒、助剤および/または添加剤の存在下で反応させることができる。
【0040】
適切な触媒は、従来技術から知られている慣用の第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ-(2.2.2)-オクタンなどであり、特に、チタン酸エステル、鉄化合物、スズ化合物、例えば、二酢酸スズ、ジオクト酸スズ、ジラウリル酸スズ、またはジブチルスズアセテートまたはジブチルスズジラウレートなどの脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩などの有機金属化合物でもある。好ましい触媒は、有機金属化合物、特にチタン酸エステル、鉄化合物および/またはスズ化合物である。
【0041】
触媒は、一般に、イソシアネート成分に基づいて、0~2.0重量%、好ましくは0.005~1.0重量%、特に好ましくは0.01~0.1重量%の量で使用される。触媒は、そのままで、または例えばイソシアネート反応性成分に溶解して、または特定の実施形態では、イソシアネート成分に溶解して使用することができる。これは、その後に得られる熱可塑性ポリウレタンが、使用される触媒溶媒の結果として、不純物を全く含まないという利点を有する。触媒は、反応の全期間にわたって、例えば適切な計量ポンプの助けを借りて、1つ以上の部分で、または連続的に添加することができる。
【0042】
あるいは、1つまたは複数の触媒と触媒溶媒、好ましくは有機触媒溶媒との混合物を使用することも可能である。触媒溶液の希釈度は、非常に広い範囲内で自由に選択可能である。溶液は、0.01重量%の濃度以上で触媒活性である。
【0043】
適切な触媒溶媒は、例えば、イソシアネート基に対して不活性である溶媒であり、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、DMSO、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルおよびブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、3-メトキシ-n-ブチルジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよびε-メチルカプロラクトンなどのラクトン、ならびにN-メチルピロリドンおよびN-メチルカプロラクタム、1,2-プロピレンカーボネート、メチレンクロライド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリエチルなどの溶媒またはそのような溶媒の任意の所望の混合物である。
【0044】
しかしながら、イソシアネート反応性基を有し、ポリイソシアネートに組み込まれ得る触媒溶媒を使用することも可能である。このような溶媒の例は例えば、水、一価または多価単純アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたはグリセロール;エーテルアルコール、例えば、1-メトキシ-2-プロパノール、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールまたは他の液体高分子量ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、混合ポリエチレン/ポリプロピレングリコールおよびそれらのモノアルキルエーテル;エステルアルコール、例えば、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノラウレート、グリセロールモノ-およびジアセテート、グリセロールモノブチレートまたは2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチレート;不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール;芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール;N-モノ置換アミド、例えば、N-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、シアノアセトアミドまたは2-ピロリジノン、またはそのような溶媒の任意の所望の混合物である。
【0045】
さらに、補助剤および/または添加剤を使用することも可能である。これらは、例えば、染料、充填剤、繊維状充填剤、加工助剤、可塑剤、水、核形成剤、安定剤、難燃剤、脱型剤または補強添加剤などの熱可塑性プラスチック技術の分野における慣用の添加剤を含むことができる。言及された補助剤および添加剤についてのさらなる情報は、専門文献、例えば、J.H.SaundersおよびK.C.Frischによる論文「High Polymers」、第XVI巻、ポリウレタン、第1部および第2部、Interscience Publishers 1962/1964、R.GaechterおよびH.Muellerによる「Taschenbuch fuer Kunststoff-Additive」(Hanser Verlag Munich 1990)またはDE-A 29 01 774に見出され得る。同様に、複数のタイプの複数の添加剤を使用することが有利であり得ることは自明であろう。
【0046】
第1のポリウレタンポリマーの調製は、プレポリマーを介して行うこともできる。OH末端プレポリマーの調製には以下の組み合わせが好ましい:1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとオクタン-1,8-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとノナン-1,9-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとデカン-1,10-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2種の異性体の混合物、1,4-ジイソシアナトブタンと1,4-シクロヘキサンジメタノール;
1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとオクタン-1,8-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2種の異性体の混合物、1,5-ジイソシアナトペンタンと1,4-シクロヘキサンジメタノール;
1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘキサン-1,6-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘプタン-1,7-ジオール、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとエタン-1,2-ジオールおよび1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール。
【0047】
造形材料が、第1のポリウレタンポリマーに加えて、さらなるポリウレタンポリマーを含むことも可能である。
【0048】
好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーは、≧80重量%~≦100重量%のハードセグメントの割合を含み、ここで、ハードセグメントの割合は、ポリウレタンポリマーの総重量に対する分子中に3つ以下の繰り返し単位を有するツェレビチノフ活性化合物およびそれに結合したイソシアネート単位から誘導される成分の合計の重量比として表される。≧90重量%~≦99重量%の割合が好ましい。典型的な繰り返し単位は、この場合、例えばアミノまたはOH末端ポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネート中の繰り返し単位を意味すると理解されるべきである。
【0049】
さらに好ましい実施形態において、第1のポリウレタンポリマーは、≧50重量%のイソシアネートから誘導される化合物の割合を含む。この割合は、好ましくは≧55重量%、より好ましくは≧60重量%である。NCO成分の重量分率は、ポリウレタンの調製に使用される反応混合物から容易に計算される。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分の反応から得られている。好ましくは≧90重量%の脂肪族イソシアネートであり、より好ましくは≧95重量%の脂肪族イソシアネートである。さらに好ましい実施形態では、少量の芳香族ジイソシアネートが、例えば、イソシアネート成分の総重量に基づいて2重量%までの割合で添加される。適切な芳香族ジイソシアネートの例には、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、ならびに1,5-ジイソシアナトナフタレンおよびO-トリジンジイソシアネート(TODI)が含まれる。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の直鎖状脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分および≧80重量%の直鎖脂肪族ポリオールを含むイソシアネート反応性成分の反応から得られている。第1のポリウレタンポリマーは、特に好ましくは≧90重量%のヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートまたはペンタメチレンジイソシアネートを含むイソシアネート成分および≧90重量%のブタン-1,4-ジオールまたはプロパン-1,3-ジオールまたはペンタン-1,5-ジオールまたはヘキサン-1,6-ジオールを含むイソシアネート反応性成分から得られるポリウレタンポリマーである。
【0052】
本方法のさらに好ましい実施形態では、ポリウレタンポリマーが、≧80重量%、好ましくは≧90重量%、および特に好ましくは≧95重量%の1つの直鎖状脂肪族イソシアネートを含む直鎖状ジイソシアネート成分および≧80重量%、好ましくは≧90重量%、および特に好ましくは≧95重量%の1つの直鎖状脂肪族ポリオールを含む直鎖状ジオール成分の反応から得られている。1つの直鎖状ジイソシアネートがヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートまたは1,5-ペンタンジイソシアネートであり、1つの直鎖状ジオールがプロパン-1,3-ジオールまたはブタン-1,4-ジオールまたはペンタン-1,5-ジオールまたはヘキサン-1,6-ジオールである場合が、特に好ましい。しかし、特に好ましくは、ブタン-1,4-ジオールまたはブタン-1,6-ジオールである。
【0053】
さらに特に好ましい実施形態では、主脂肪族ジイソシアネート成分中の炭素原子数および主脂肪族ジオール成分中の炭素原子数の合計を2で割ったものが、実数である。偶数番号(それらの炭素原子に関して)のイソシアネートおよびジオールの組み合わせは、特に良好に結晶化し、3D印刷での使用に有利であるユニットをもたらすことが見出された。
【0054】
さらなる好ましい実施形態において、造形材料は、示差走査熱量測定(DSC;20K/分の加熱速度での第2の加熱)で決定される融点が≧120℃~≦189℃であり、かつ造形材料の融点ピークの半値全幅(示差走査熱量測定、DSC;20K/分の加熱速度での第2の加熱)が≧5K~≦20Kである。融点が≧140℃~≦187℃であり、融点ピークの半値全幅が≧5K~≦17Kである場合が好ましい。融点が≧150℃~≦185℃であり、融点ピークの半値全幅が≧5K~≦15Kである場合が非常に特に好ましい。
【0055】
さらなる好ましい実施形態において、造形材料は、示差走査熱量測定(DSC;20K/分の加熱速度での第2の加熱)によって決定されるガラス転移点が≧0℃~≦50℃である。
【0056】
さらなる好ましい実施形態において、造形材料は、1000時間のSAE J 1960 CAM 180 ウェザリング(Farbe & Lack、09/2007発行、46頁、Kuerzer in der Klimakammerも参照)の後に、b値において≦50、好ましくは≦30、特に好ましくは≦20、非常に特に好ましくは≦10の色数増加を示す。
【0057】
さらなる好ましい実施形態では、ISO 6721-10:2015-09によってプレート/プレートレオメーターを介して1/s、0.1%変形および200℃で測定された溶融造形材料の複素粘度が、それぞれの場合において1分後に測定され、依然として190℃で測定された溶融造形材料の複素粘度の≧50%である。特に好ましい実施形態では、240℃で測定された溶融造形材料の複素粘度は、対照的に、190℃で測定された溶融造形材料の複素粘度の≦15%、好ましくは≦10%、非常に特に好ましくは≦5%にすぎない。>>200℃を超える温度での本発明による造形材料の溶融粘度の例外的に高い低下と組み合わされた、溶融物中の高分子量ポリマーに典型的である溶融温度より上での溶融粘度のゆっくりとした低下は、高温に短時間で到達することができ、処理されるポリマーは典型的には熱分解を受け、材料は良好な流動性を有するSLSおよびFDMプロセスにおける3D印刷プロセスにおいてコンポーネントの特性を構成するのに特に有利であり、なぜなら、単純な温度上昇により本発明によるポリマーの溶融特性および流動特性を広い範囲で正確に制御することを可能にし、したがって、材料の流れと多孔性のターゲットを絞った構成が可能になるからである。
【0058】
したがって、ほんの短い持続時間、好ましくは≦60秒、特に好ましくは≦30秒の高温での高い流動性を、例えば、レーザーへの暴露中のSLSプロセスにおいて、またはノズルの前の加熱ブロックにおける加熱中のFDMプロセスにおいて、融点のすぐ上のより低い温度での急速な粘度増加と組み合わせることが特に有利に可能である。190℃から240℃への粘度ジャンプは好ましくは可逆的であり、すなわち、1分以内での240℃への暴露時間の後、190℃での1分後に、1/sおよび0.1%変形でのISO 6721-10:2015-09による出発粘度の≧50%、好ましくは≧60%、より好ましくは≧70%を回復する。
【0059】
さらなる好ましい実施形態では、240℃での溶融造形材料の複素粘度が、190℃に冷却した後、1分後に、1/sおよび0.1%変形で、190℃でのISO 6721-10:2015-09による出発粘度の≧50%を回復する。
【0060】
さらなる好ましい実施形態では、付加製造法による物品の製造が以下の工程を含む:
- 造形材料を含む粒子の層をターゲット表面に適用する工程;
- 物品の断面に対応する層の選択された部分にエネルギーを与えて、選択された部分の粒子を結合させる工程;
- 適用する工程およびエネルギーを与える工程を繰り返して、複数の層が隣接する層の結合部分と結合して物品を形成する工程。
【0061】
この実施形態は、粉末焼結または粉末溶融プロセスに関する。適用および照射の繰り返し回数が十分に少ない場合、構築される物品はまた、二次元物品と呼ばれてもよい。このような二次元物品は、コーティングとして特徴付けることもできる。その構築は、適用および照射の、例えば≧2~≦20回の繰り返しを行うことを含んでもよい。これは、粉末焼結に基づくコーティングプロセスにとって特に有利である。
【0062】
粒子の少なくとも90重量%が≦0.5mm、好ましくは≦0.3mm、特に好ましくは≦0.15mmの粒径を有することが好ましい。粒子を結合するためのエネルギー源は電磁エネルギー、例えば、UVからIR光であってもよい。電子ビームも考えられる。粒子層の照射された部分における粒子の結合は、典型的には(半)結晶性材料の(部分的)溶融および冷却の過程における材料の結合を通して行われる。
【0063】
さらなる好ましい実施形態では、選択された部分における粒子が結合されるように、物品の断面に対応する層の選択された部分にエネルギーを与えることは、以下のステップを含む:
層の選択された部分に放射エネルギー吸収材料および/または放射エネルギー反射材料を印刷し、層にエネルギーを与える工程であって、層の選択された部分は、好ましくは、エネルギーのより高いまたはより低い吸収を示し、その結果、選択された部分における粒子または選択された部分を取り囲む粒子は、物品の断面に従って結合される工程。
【0064】
このプロセスの形態は、選択的焼結プロセス、特に選択的レーザー焼結プロセス(SLS)、またはマルチジェット溶融レーザー焼結プロセスとみなすことができる。粒子を結合するためのエネルギービームは電磁エネルギーのビーム、例えば、UVからIR光の「光ビーム」であってもよい。エネルギービームは、好ましくはレーザービームであり、より好ましくは600nm~15μmの波長を有する。レーザーは、半導体レーザーまたはガスレーザーの形態をとることができる。電子ビームも考えられる。エネルギーを与えることは、好ましくはIRレーザーによって行われ、したがって、本発明に従って想定される600nm~1700nmの間の波長範囲の赤外線への造形材料の少なくとも断続的な暴露も、それによって実現される。マルチジェット融合プロセスでは、例えば、IR放射を全領域に照射し、選択された領域のみを焼結することも可能である。
【0065】
さらなる好ましい実施形態では、付加製造法による物品の製造が以下の工程を含む:
- 少なくとも部分的に溶融した造形材料のフィラメントをキャリアに適用して、物品の第1の選択された断面に対応する造形材料の層を得る工程;
- 任意に、造形材料の先に適用された層に、少なくとも部分的に溶融した造形材料のフィラメントを適用して、物品のさらなる選択された断面に対応し、先に適用された層に結合される造形材料のさらなる層を得る工程;
- 任意に、物品が形成されるまで、造形材料の先に適用された層に少なくとも部分的に溶融した造形材料のフィラメントを適用する工程を繰り返す工程。
【0066】
この実施形態は、溶融コーティングまたは溶融堆積モデリング(FDM)プロセスである。適用の繰り返し回数が十分に少ない場合、構築される物品は、二次元物品と呼ばれることもある。このような二次元物品は、コーティングとして特徴付けることもできる。例えば、その構築は、適用を≧1から≦20回繰り返して実行することを含んでもよい。
【0067】
適用される個々のフィラメントは、≧30μm~≦5000μm、好ましくは≧40μm~≦2000μm、特に好ましくは≧50μm~≦1000μmの直径を有することができる。
【0068】
本方法のこの実施形態の第1の工程は、キャリア上の第1の層の構築に関する。その後、造形材料の先に適用された層にさらなる層が適用される第2の工程が、物品の形態の所望の最終結果が得られるまで実行される。少なくとも部分的に溶融した造形材料は、材料の既存の層と結合してz方向の構造を構築する。しかし、造形材料のただ1つの層がキャリアに適用されることが可能である。
【0069】
さらに好ましい実施形態では、本方法は造形スペース内で実施され、造形スペースの温度は、造形材料の融解温度Tm(20℃/分の加熱速度でDIN EN ISO 11357-1:2017-02に従い示差走査熱量測定DSCによって決定される)より≧5℃、好ましくは≧10℃、極めて特に好ましくは≧15℃低く、造形材料のTg(20℃/分の加熱速度でDIN EN ISO 11357-1:2017-02に従い示差走査熱量測定DSCによって決定される)より好ましくは≧5℃、特に好ましくは≧20℃、極めて特に好ましくは≧50℃高い。特に、製造時間が長い複雑で大型の部品の場合、これは、部品の著しく低い熱応力およびより良い寸法精度に関連する。粉末焼結プロセスでは、粉末は著しく低い造形スペース温度で処理されてもよい。これにより、(活性化)表面下での粉末の不要な焼結を回避することができる。
【0070】
本発明のさらなる態様は、本発明による方法によって得られる物品であり、ここで、物品は、元素分析によって決定されるNに対するOの重量パーセント比が≧2~≦2.5であり、元素分析によって決定されるCに対するNの重量比が≧0.1~≦0.25であり、示差走査熱量測定(DSC;20K/分の加熱速度での第2の加熱)によって決定される溶融ピークの半値全幅が≦20Kであり、20K/分の加熱および冷却速度での示差走査熱量測定(DSC;第2の加熱)によって決定される溶融温度と再結晶温度の差が≧5Kおよび≦100Kである第1のポリウレタンポリマーを含む造形材料から製造され、ここで、物品は、その製造において使用された付加製造法の造形方向における引張強度(ISO 527:2012)が、同一の造形材料から作られた射出成形試験片の引張強度(ISO 527:2012)の≧20%~≦100%である。したがって、付加製造された物品におけるこれらの引張強度は、造形材料の個々の層の互いに対する接着に関連する。
【0071】
物品の好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーは、≧80重量%~≦100重量%のハードセグメントの割合を含み、ここで、ハードセグメントの割合は、ポリウレタンポリマーの総重量に対する分子中に3つ以下の繰り返し単位を有するツェレビチノフ活性化合物およびそれに結合したイソシアネート単位から誘導される成分の合計の重量比として表される。≧90重量%~≦99重量%の割合が好ましい。
【0072】
物品のさらに好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーは、≧50重量%のイソシアネートから誘導される化合物の割合を含む。この割合は、好ましくは≧55重量%、より好ましくは≧60重量%である。NCO成分の重量分率は、ポリウレタンの調製に使用される反応混合物から容易に計算される。
【0073】
物品のさらに好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分の反応から得られている。好ましくは≧90重量%の脂肪族イソシアネートであり、より好ましくは≧95重量%の脂肪族イソシアネートである。さらに好ましい実施形態では、少量の芳香族ジイソシアネートが、例えば、イソシアネート成分の総重量に基づいて2重量%までの割合で添加される。適切な芳香族ジイソシアネートの例には、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、ならびに1,5-ジイソシアナトナフタレンおよびO-トリジンジイソシアネート(TODI)が含まれる。
【0074】
物品のさらに好ましい実施形態では、第1のポリウレタンポリマーが、≧80重量%の直鎖状脂肪族イソシアネートを含むイソシアネート成分および≧80重量%の直鎖脂肪族ポリオールを含むイソシアネート反応性成分の反応から得られている。第1のポリウレタンポリマーは、特に好ましくは≧90重量%のヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを含むイソシアネート成分および≧90重量%のブタン-1,4-ジオールを含むイソシアネート反応性成分から得られたポリウレタンポリマーである。
【0075】
第1のポリウレタンポリマーに関しては、繰り返しを避けるために、本発明による方法に関する前述のこと、また、さらなる好ましい実施形態に関することが参照される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】温度制御された重合反応器および押出機中での反応によってプレポリマーの2段階連続調製を実施するためのセットアップを示す。
図2】ループ反応器および押出機中での反応によってプレポリマーの2段階連続調製を実施するためのセットアップを示す。
図3】ループ反応器中での反応によってプレポリマーの1段階連続調製を実施するためのセットアップを示す。
【実施例
【0077】
本発明は以下の図面および実施例を参照してより詳細に説明されるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
図1は、温度制御された重合反応器および押出機中での反応によってプレポリマーの2段階連続調製を実施するためのセットアップを示す。
【0079】
図2は、ループ反応器および押出機中での反応によってプレポリマーの2段階連続調製を実施するためのセットアップを示す。
【0080】
図3は、ループ反応器中での反応によってプレポリマーの1段階連続調製を実施するためのセットアップを示す。
【0081】
分析方法:
MnおよびMwを決定するためのGPC方法:
数平均および重量平均モル質量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。この目的のために、分析されるサンプルを、400cmのヘキサフルオロイソプロパノール中の3gのトリフルオロ酢酸カリウムの溶液に溶解した(サンプル濃度約2mg/cm)。各GPCは、以下の構成要素を用いて1cm/分の流量で測定した:
ポンプ: 515 HPLCポンプ(Waters GmbH)
検出器: Smartline 2300 RI検出器(Knauer Wissenschaftliche Geraete GmbH)
カラム: 1つのプレカラム、1000Å PSS PFG 7μm、300ÅPSS PFG 7μm、100Å PSS PFG 7μm(この順で)(PSS Polymer Standards Service GmbH)
脱気: PSSデガッサ(PSS Polymer Standards Service GmbH)
注入容量: 100マイクロリットル
温度: 23℃-25℃
モル質量標準: ポリメチルメタクリレート標準キット(PSS Polymer Standards Service GmbH)。
【0082】
色価
CIE-Lab色空間における色価は、DIN EN ISO 11664-1(2011年7月)に準拠し、D 65イルミナント、10°オブザーバー付きのコニカミノルタCM5分光光度計で測定した。
【0083】
示差走査熱量測定(DSC)
融点は、DIN EN 61006(2004年11月)に従って、Mettler DSC 12E(Mettler Toledo GmbH、Giessen、DE)を用いたDSC(示差走査熱量測定)によって決定した。較正は、インジウムおよび鉛の溶融開始温度を介して行った。10mgの物質を標準カプセル中で秤量した。測定は、20K/分の加熱速度で-50℃から+200℃までの3回の加熱ラン(その後に20K/分の冷却速度で冷却)によって行った。冷却は、液体窒素によって行った。使用したパージガスは窒素であった。報告された値は、それぞれの場合において、第2の加熱曲線の評価に基づいている。
【0084】
示差熱分析(DTA)によるスクリーニング
エンタルピーデータは、スクリーニングDTAによって確認し、ISO 17025認定実験室で実施した。サンプルをガラスアンプル中で秤量し、気密に封止し、測定装置中で3K/分で-50~+450℃に加熱した。熱電対を使用して、サンプル温度と不活性基準(酸化アルミニウム)の温度との間の差を測定した。サンプル重量は20~30mgであった。全ての測定は、DIN 51007(1994年6月)に従って行った。
【0085】
最大曲げ応力の決定:
曲げ応力は、DIN EN ISO 178(2013年9月)に準拠した室温でのゆっくりとした3点曲げ試験によって、試験片(80mm×10mm×4mmのロッド)について決定され、Instron 5566万能試験機を用いて、5mm/分の速度、5mmのフィン径、および64mmの支持間隔で実施された。
【0086】
最大引張応力の測定:
引張試験は、試験片(80mm×10mm×4mmのロッド)について決定した。10mm/分の速度でZwick Z010ユニバーサルテスターで実施した室温での緩やかな引張試験。
【0087】
複素粘度の測定:
複素粘度は、ISO 6721-10:1999に従い、TA Instruments製のARES-G2振動式レオメーターを用いて測定した。この目的のために、サンプルを最初に真空オーブン中、40℃で少なくとも4日間乾燥させ、次いで190℃で30秒間にわたって直径25mmまたは35mmのシートにプレスした。これらのサンプルを、測定温度に予熱されたレオメーターのオーブンに入れた。サンプルが測定温度に達したら、窒素雰囲気下でプレート-プレート形状の振動測定を開始した。貯蔵および損失せん断弾性率を測定温度で100Hz~0.01Hzの範囲で決定した。
【0088】
元素分析:
CONH分析は、Currenta GmbH & Co.OHG in Leverkusen、DEで行った。
【0089】
イソシアネート滴定:
Metrohm、751 GPD titrino 685 Dosimatおよび728 撹拌機を用いて、イソシアネート溶液にアミンを過剰に添加した後、ブチルアミンを0.1N塩酸で逆滴定する。
【0090】
印刷試験:
3D印刷焼結材料としての適合性を試験するための印刷試験をFarsoon F 251 P装置で実施した。S2引張試験棒は(可能ならば)レーザー焼結により製造した。それぞれの粉末/粉末混合物のそれぞれの5つの引張試験片を、DIN 53504に準拠した引張試験で試験した。得られた結果の平均を表2に報告する。
【0091】
使用された原材料:
ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)およびキシリレンジイソシアネート(XDI)はCovestro AGから入手した。
【0092】
ブタン-1,4-ジオール(BDO)は、Ashlandから供給された。プロパン-1,3-ジオール(PDO)、ヘキサン-1,6-ジオール(HDO)およびシクロヘキサン-1,4-ジメタノールは、Sigma-Aldrichから入手した。各原料の純度は≧99重量%であった。
【0093】
BASFから入手したPoly-THF(登録商標)100
Merckから入手した分析グレードのアセトン
Merckから入手した分析グレードのクロロベンゼン
Wittig-Umweltchemieから入手した脱イオン水
Farsoonから入手したFarsoon FS 3300PA (PA12粉末)
Desmopan 3660 DU:Covestroから入手した熱可塑性ポリウレタン。
【0094】
実施例1:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
アンカー撹拌機、底部出口および内部温度計を取り付けた窒素不活性化5l圧力タンクに、最初にブタン-1,4-ジオール(1.35kg)を窒素(1バール)下で充填し、これを90℃の内部温度に達するまで撹拌した。次いで、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの総量を、2時間にわたって圧力タンク(2.5kg)に連続的に計量供給し、同時に、反応器温度を190℃に連続的に上昇させ、ここでは、200℃の反応器温度を超えないことを確実にするように添加を行った。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの添加が完了したら、その混合物を190℃でさらに5分間撹拌し、約150℃に予熱されたNを使用して、底部出口を介して加圧下でポリマー溶融物を排出した。
【0095】
ポリマーの融点(TM)は、174.9℃(DSC、冷却後の20K/分での第2の加熱)であった。
【0096】
実施例2:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
アンカー撹拌機、底部出口および内部温度計を取り付けた窒素不活性化5l圧力タンクに、最初に、3kgのクロロベンゼン中のブタン-1,4-ジオール(0.3kg)を窒素(1バール)下で充填し、その混合物を120℃の内部温度に達するまで撹拌した。次いで、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの総量を圧力タンク(0.556kg)に2時間かけて連続的に計量供給し、同時に反応器温度を140℃に連続的に上昇させ、ここでは、160℃の反応器温度を超えないことを確実にするように添加を行った。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの添加が完了したら、その混合物を140℃でさらに2時間撹拌し、ポリマーは、白色の微細な固体粉末として沈殿し、23℃に冷却した後、前記粉末を濾過し、アセトンおよび水で洗浄し、水ジェットポンプ真空下、真空乾燥キャビネット内で12時間100℃で乾燥させた。
【0097】
調製したポリマーの融点(TM)は、180.2℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0098】
実施例3(図1):本発明に従って使用可能なポリマーの調製
図1は、高いハードセグメント含有量を有する熱可塑性ポリウレタンの2段階連続調製を実施するためのセットアップの概略図を示す。
【0099】
311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、レシーバー1からポンプ100(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)でミキサー100に搬送した。同時に、208.7g/hのブタン-1,4-ジオールを、ポンプ200(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)を使用して、レシーバー2からミキサー100にも搬送した。両方の材料流をミキサー100中、室温で混合した。使用したミキサーは、Ehrfeld Microtechnik BTS GmbH製のカスケードミキサーであった。その後、この混合物を190℃に温度制御された反応器100に通過させた(モデル:FluitecからのCSE-X/8G、形状G、内径=12.3mm、長さ=500mm、1ケルビン当たり1立方メートル当たり60キロワットの熱交換能力)。反応器中の滞留時間は5分であった。反応器100から連続的に出るプレポリマーを、200℃に加熱したパイプ導管を通して、2軸押出機(Miniextruder Process 11/Thermo Fisher)の第2のハウジングに移した。押出機をその全長にわたって200℃に加熱し、シャフトの速度は100rpmであった。次いで、70.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、ポンプ300(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)を使用して押出機のバレル3に導入した。得られた乳白色生成物を、押出機ノズルを通して排出し、ストランドとして取り出し、水浴中で冷却し、ペレット化した。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。
【0100】
調製したポリマーの融点(TM)は、182.9℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であり、硬度は、75ショアDを超えていた。
【0101】
実施例4:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
実施例3に記載の実験セットアップにおいて、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、273.7g/hのヘキサン-1,6-ジオールをポンプ200で計量供給し、70.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。
【0102】
調製したポリマーの融点(TM)は、168.6℃(DSC、冷却後の20K/分で第2の加熱)であった。
【0103】
実施例5:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
実施例3に記載した実験セットアップにおいて、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、240.2g/hのペンタン-1,5-ジオールをポンプ200で計量供給し、73.9g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。
【0104】
調製したポリマーの融点(TM)は、152.7℃(DSC、20K/分で第2の加熱)であった。
【0105】
実施例6:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
実施例3に記載の実験セットアップにおいて、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、176.1g/hのプロパン-1,3-ジオールをポンプ200で計量供給し、73.9g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。
【0106】
調製したポリマーの融点(TM)は、161.8℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0107】
実施例7:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
実施例3に記載した実験セットアップにおいて、285.7g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、176.2g/hのプロパン-1,3-ジオールをポンプ200で計量供給し、64.3g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。
【0108】
調製したポリマーの融点(TM)は、153.3℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0109】
実施例8:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
実施例3に記載した実験セットアップにおいて、285.7g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、208.7g/hのブタン-1,4-ジオールをポンプ200で計量供給し、67.8g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。
【0110】
調製したポリマーの融点(TM)は、160.9℃(DSC、冷却後の20K/分での第2の加熱)であった。
【0111】
実施例9(図2):本発明に従って使用可能なポリマーの調製
環状ギアポンプ2(HNP、MZR 7255)を使用して、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートのための250リットルのレシーバー1からヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aをスタティックミキサー7に搬送した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aの処理量を、質量流量計3(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量12kg/h)を用いて測定し、2.911kg/hの値に調整した。環状ギアポンプ5(HNP、MZR 7205)を使用して、ブタン-1,4-ジオール用の250リットルのレシーバー4からスタティックミキサー7にブタン-1,4-ジオール流Bを搬送した。ブタン-1,4-ジオール流の処理量を、質量流量計6(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量8kg/h)を用いて測定し、2.000kg/hの値に調整した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの温度は周囲温度、約25℃であった。ブタン-1,4-ジオールの温度は40℃であった。スタティックミキサー7(Sulzer SMX、直径6mm、長さ対直径比L/D=10)において、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aおよびブタン-1,4-ジオール流Bを互いに混合した。これが流れCである。
【0112】
混合され、分散された流れCを、スタティックミキサー8(Sulzer SMXと同等のスタティックミキサー、内径34mm、L/D=20)中で循環ポリマー流Dと回路中で混合し、流れHを得た。流れDの温度は182℃であった。
【0113】
混合され、すでに部分的に反応された流れHを、温度制御可能なスタティックミキサー9に通した。その中で反応は大部分が完了し、結果として生じる反応熱を除去した。温度制御可能なスタティックミキサー9は、内部交差チューブを有するSulzer SMR反応器と同様の構造であった。内容積1.9リットル、熱交換面積0.31平方メートル、熱交換能力98kW/立方メートル/ケルビンであった。それを伝熱油で加熱/冷却した。入口における加熱媒体温度は180℃であった。
【0114】
生成物流は、183℃の温度で大部分が反応した流れEとして温度制御可能なスタティックミキサー9を出た。分岐部11において、流れEは2つのサブストリームFおよびGに分割され、サブストリームFの圧力はギアポンプ10において増加された。サブストリームFは、ポンプの下流でサブストリームDとなった。
【0115】
ギアポンプ10(Witte Chem 25,6-3)は、1回転あたりの容積が25.6立方センチメートルで、1分あたりの速度が50回転であった。
【0116】
回路全体が満ちていた。したがって、流れGの質量流量は、流れCのものと同一であった。流れGがオリゴマーから構成されていた。
【0117】
回路全体は、熱油で加熱した二重壁パイプ導管と装置から成っていた。加熱媒体温度は182℃であった。
【0118】
圧力保持バルブ12の下流では、流れGは三方弁13を過ぎて流された。始動時および停止時、または故障の場合には、前記流れGを廃棄物容器14、抽出を伴う開放200リットル金属槽に流すことが可能であった。通常の操作では、流れGを押出機18に導いた。
【0119】
ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートレシーバー1からヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jを抜き取るために、マイクロ環状ギアポンプ15(HNP製MZR 6355)を使用した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jの処理量を、質量流量計16(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量2kg/h)を用いて測定し、0.784kg/時に調整した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jの温度も室温、約25℃であった。この流れを押出機18にも通した。
【0120】
押出機18は、Coperion製のZSK 26MCであり、温度200℃、速度66回転/分で作動させた。この押出機において、流れGは、周囲圧力に対して約1ミリバールの負圧で操作される通気装置17により、材料流AおよびBに同伴される不活性ガスおよび起こり得る揮発性の反応生成物を除去された。オリゴマー流Gの添加の下流に、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jを添加し、ポリマーを得る反応を行った。押出機の終了前に、得られたポリマー流から脱気19を介して揮発性成分を除去した。この脱気における圧力は、周囲圧力より200mbar低かった。ポリマー流Kを2つのノズルを通して圧搾し、脱塩水で満たした水浴中で冷却し、ペレタイザー21によりペレットに細断した。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は51分であった。
【0121】
ポリマーの融点(TM)は、185.2℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0122】
GPCによるポリマーの分子量は、Mn10880g/mol、Mw54200g/molであった。
【0123】
機械的性質:
・ Instron 5566ユニバーサルテスターを用いて、速度5mm/分、支持距離64mmで実施した室温での80x10x4mmロッドのゆっくりとした3点曲げ試験。
【0124】
・ 10mm/分の速度でZwick Z010ユニバーサルテスターで行った室温での緩やかな引張試験。
【0125】
・ 落下重量1.86kg、落下高さ50cm、ノッチ半径0.25mmの計装化落下試験機(高分子物理学独自の構造)で実施した、室温でシャルピーに基づく衝撃試験。
【0126】
曲げ弾性率[MPa]:1920±20;最大応力[MPa]:81.4±0.2;最大応力伸び[%]:7.8±0.1
引張試験:引張弾性率[MPa]2210±58;降伏応力[MPa]:9.62±0.4;降伏伸び[%]:37.6±29.8;最大引張応力[MPa]:62.9±1.4
ノッチ衝撃(RT):Ak/50cm/4mm[kJ/m]:2.4±0.4;破損のタイプ(n.b./p/c):c/c/c
破損のタイプ:ひび割れなし(n.b.)/ひび割れあり(p)/破損(c)。
【0127】
実施例10(図2):本発明に従って使用可能なポリマーの調製
実施例9に記載した実験セットアップにおいて、今回、レシーバー1からの2.711kg/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネート(流れA)およびレシーバー4からの2.000kg/hのブタン-1,4-ジオール(流れB)をスタティックミキサー7に搬送した。ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート流Jの処理量を0.677kg/時に調節した。
【0128】
原料の温度および他の材料流ならびにプラント部分および加熱媒体の温度は、実施例9に記載したものに対応した。押出機速度と脱気圧力も実施例9のものに対応した。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は53分であった。
【0129】
調製したポリマーの融点(TM)は、159.0℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0130】
実施例11:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
アンカー撹拌機、底部出口および内部温度計および還流冷却器を取り付けた窒素不活性化10l圧力タンクに、最初に、4kgのアセトン中の0.1gのDBTLを含むブタン-1,4-ジオール(0.360kg)を窒素(1バール)下で装填し、混合物を50℃の内部温度が達成されるまで撹拌した。次いで、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの総量を、圧力タンク(0.672kg)に2時間かけて連続的に計量供給し、ここで、56℃の反応器温度を超えないことを確実にするように添加を実施し、これは、とりわけアセトンの蒸発冷却によって確実にした。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの添加が完了したら、アセトン溶液の滴定に従ったイソシアネート含有量が0%に低下するまで混合物を50℃でさらに5時間撹拌し、ポリマーが白色の微細な固体粉末として定量的に沈殿し、23℃に冷却した後、濾過し、水で洗浄し、乾燥キャビネット内で、100℃で12時間乾燥した。
【0131】
ポリマーの融点(TM)は、174.2℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0132】
比較例12:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
アンカー撹拌機、底部出口および内部温度計および還流冷却器を取り付けた窒素不活性化10l圧力タンクに、最初に、4kgのアセトン中の0.1gのDBTLを含むネオペンチルグリコール(0.416kg)を窒素(1バール)下で装填し、混合物を50℃の内部温度が達成されるまで撹拌した。次いで、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの総量を、圧力タンク(0.672kg)に2時間かけて連続的に計量供給し、ここで、56℃の反応器温度を超えないことを確実にするように添加を実施し、これは、とりわけアセトンの蒸発冷却によって確実にした。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの添加が完了したら、アセトン溶液の滴定によるイソシアネート含有量が0%に低下するまで、混合物を50℃でさらに5時間撹拌した。ポリマーはアセトンに可溶であり、アセトンを蒸留除去することによって100℃で乾燥させた。ポリマーは、高粘度の塊として蓄積する。
【0133】
ポリマーのガラス転移点(TG)は、5.5℃であり、融点は測定できなかった。(DSC、20K/分での第2の加熱)。GPCによるポリマーの分子量(THF、ポリスチレン標準に対する較正)は、Mw=23000g/molであった。
【0134】
比較例13:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
アンカー撹拌機、底部出口および内部温度計および還流冷却器を取り付けた窒素不活性化10l圧力タンクに、最初に、4kgのアセトン中の0.1gのDBTLを含むブタンジオール(0.360kg)を窒素(1バール)下で装填し、混合物を50℃の内部温度が達成されるまで撹拌した。次いで、H12-MDIの総量を、圧力タンク(1.040kg)に2時間にわたって連続的に計量供給し、ここで、56℃の反応器温度を超えないことを確実にするように添加を実施し、これは、とりわけアセトンの蒸発冷却によって確実にした。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの添加が完了したら、アセトン溶液の滴定によるイソシアネート含有量が0%に低下するまで、混合物を50℃でさらに5時間撹拌した。ポリマーは白色の微細な固体粉末として定量的に沈殿し、23℃に冷却した後、濾過し、水で洗浄し、乾燥キャビネット内で、12時間100℃で乾燥させた。ポリマーのガラス転移点(Tg)は、95℃であり、融点は決定できなかった(DSC、20K/分での第2の加熱)。
【0135】
比較例14:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
105℃に加熱したヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート64.4kg/h、および110℃に加熱した22.8kg/hのポリ-THFジオール(1000g/mol、BASF)と32.9kg/hのブタン-1,4-ジオールとの混合物を、二軸押出機(Werner&PfleidererからのZSK 53)のバレル1に計量供給した。押出機速度は270rpmであった。押出機中の滞留時間は約42秒であった。押出機出口で、メッシュサイズ200マイクロメートルの単層金属篩を通して溶融物を濾過し、ストランドとして取り出し、水浴中で冷却し、ペレット化した。
【0136】
調製したポリマーの融点(TM)は、182.0℃(DSC、20K/分での第2の加熱)であった。
【0137】
比較例15:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
HDI-BDO(NCO-INDEX:0.7)
100g(1.11mol)のブタン-1,4-ジオールを500mlフラスコ中に窒素下で最初に装填し、次いで100gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)を窒素下で迅速に加え、撹拌しながら油浴と共に塊を190℃にゆっくりと加熱する。
【0138】
残りの30.64g(全部で0.78モル)のHDIを、温度が200℃を超えないように一定に撹拌しながらゆっくりと添加する。添加が完了したら、混合物を200℃でさらに20分間撹拌し、生成物をアルミニウム皿に注ぎ、冷却させる。
【0139】
調製したポリマーの融点(TM)は、167.0℃(DSC、5K/分での第2の加熱)であった。半値全幅:17.1K;20K/分の加熱および冷却速度で決定した融解温度と再結晶温度の差は29.6℃である。
【0140】
元素分析(重量%):炭素(C):55.1;水素(H):8.9;窒素(N):9.3;酸素(O):27.0。O:N比=2.90;N:C比=0.169。
【0141】
比較例16:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
HDI-BDO(NCO-INDEX:0.8)
100g(1.11mol)のブタン-1,4-ジオールを500mlフラスコ中に窒素下で最初に装填し、次いで100gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)を窒素下で迅速に加え、撹拌しながら油浴と共に塊を190℃にゆっくりと加熱する。
【0142】
残りの49.2g(全部で0.89モル)のHDIを、温度が200℃を超えないように一定に撹拌しながらゆっくりと添加する。添加が完了したら、混合物を200℃でさらに20分間撹拌し、生成物をアルミニウム皿に注ぐ。
【0143】
調製されたポリマーの融点(TM)は、178.6℃(DSC、5K/分での第2の加熱)であった。半値全幅:15.1K;20K/分での加熱および冷却速度で決定した融解温度と再結晶温度の差は41.9℃である。
【0144】
元素分析(重量%):炭素(C):55.1;水素(H):8.9;窒素(N):9.8;酸素(O):26.5。O:N比=2.70;N:C比=0.178。
【0145】
比較例17:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
HDI-BDO(NCO-INDEX:1.2)
168g(1.0モル)のヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)を、最初に、窒素下(パージ)、500mlのフラスコに室温で装填し、次いで、50gのブタン-1,4-ジオール(BDO)を、窒素下で迅速に添加し、そしてこの塊を、撹拌しながら、油浴と一緒に、170℃にゆっくりと加熱する。
【0146】
残りの22g(全部で0.8モル)のBDOを、温度が180℃を超えないように一定に撹拌しながらゆっくりと添加する。添加が完了したら、混合物を180℃でさらに10分間撹拌し、生成物をプラスチックボトル(PP)/アルミニウムボトル(水浴中に静置)に注ぎ、放冷する。
【0147】
調製したポリマーの融点(TM)は、154.0℃(DSC、5K/分での第2の加熱)であった。半値全幅:23.2K;20K/分の加熱および冷却速度で決定した融解温度と再結晶温度の差は94.8℃である。
【0148】
元素分析(重量%):炭素(C):55.6;水素(H):8.7;窒素(N):11.5;酸素(O):24.4。O:N比=2.12;N:C比=0.21。
【0149】
比較例18:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
HDI-BDO(NCO-INDEX:0.81)
図3は、高ハードセグメント含有量を有する熱可塑性ポリウレタンの一段階連続調製を実施するためのセットアップの概略図を示す。
【0150】
環状ギアポンプ2(HNP、MZR 7255)を使用して、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートのための250リットルのレシーバー1からヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aをスタティックミキサー7に搬送した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aの処理量を、質量流量計3(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量12kg/h)を用いて測定した。環状ギアポンプ5(HNP、MZR 7205)を使用して、ブタン-1,4-ジオール用の250リットルのレシーバー4からスタティックミキサー7にブタン-1,4-ジオール流Bを搬送した。ブタン-1,4-ジオール流の処理量を、質量流量計6(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量8kg/h)を用いて測定した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの温度は室温であった。ブタン-1,4-ジオールの温度は、40℃であった。スタティックミキサー7(Sulzer SMX、直径6mm、長さ対直径比L/D=10)において、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aおよびブタン-1,4-ジオール流Bを互いに混合した。これが流れCである。
【0151】
混合され、分散された流れCを、スタティックミキサー8(Sulzer SMXと同等のスタティックミキサー、内径34mm、L/D=20)中で循環ポリマー流Dと回路中で混合し、流れHを得た。流れDの温度は、182℃であった。
【0152】
混合され、すでに部分的に反応された流れHを、温度制御可能なスタティックミキサー9に通した。その中で反応は大部分が完了し、結果として生じる反応熱を除去した。温度制御可能なスタティックミキサー9は、内部交差チューブを有するSulzer SMR反応器と同様の構造であった。それは、内容積1.9リットル、熱交換面積0.44平方メートルを有していた。それを伝熱油で加熱/冷却した。入口における加熱媒体温度は、180℃であった。
【0153】
生成物流は、183℃の温度で大部分が反応した流れEとして温度制御可能なスタティックミキサー9を出た。分岐11において、流れEは2つのサブストリームFとGに分割された。サブストリームFの圧力は、ギアポンプ10において増加された。サブストリームFは、ポンプの下流でサブストリームDとなった。
【0154】
ギアポンプ10(Witte Chem 25,6-3)は、1回転あたりの容積が25.6立方センチメートルで、速度が1分あたり50回転であった。
【0155】
回路全体は満ちており、ポリマーは大部分が非圧縮性であった。従って、流れGの質量流量は流れCの質量流量と同一であり、流れGは、所望のプレポリマーからなっていた。
【0156】
回路全体は、熱油で加熱した二重壁パイプ導管と装置から成っていた。加熱媒体温度は、182℃であった。
【0157】
圧力保持バルブ12を越えて、流れGは三方弁13を過ぎて流れた。始動および停止時または故障時に、前記流れGを廃棄容器14、抽出を伴う開放60リットル金属槽、または生成物収集容器15、抽出を伴う開放120リットル金属槽、に流すことが可能であった。
【0158】
使用したサンプルは、プロセスが完全に落ち着いた4時間後に採取した。
【0159】
平均分子量(GPC):Mw=19100g/mol。
【0160】
調製したポリマーの融点(TM)は、175.9℃(DSC、5K/分での第2の加熱)であった。半値全幅:11.7K;20K/分の加熱および冷却速度で決定した融解温度と再結晶温度の差は、40.7℃である。
【0161】
元素分析(重量%):炭素(C):55.3;水素(H):9.4;窒素(N):9.8;酸素(O):25.8。O:N比=2.633;N:C比=0.177。
【0162】
比較例19:本発明に従っては使用できないポリマーの調製
HDI-BDO(NCO-INDEX:0.7)
図3は、高ハードセグメント含有量を有する熱可塑性ポリウレタンの一段階連続調製を実施するためのセットアップの概略図を示す。
【0163】
環状ギアポンプ2(HNP、MZR 7255)を使用して、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートのための250リットルのレシーバー1からのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aをスタティックミキサー7に搬送した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aの処理量を、質量流量計3(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量12kg/h)を用いて測定した。環状ギアポンプ5(HNP、MZR 7205)を使用して、ブタン-1,4-ジオール用の250リットルのレシーバー4からスタティックミキサー7にブタン-1,4-ジオール流Bを搬送した。ブタン-1,4-ジオール流の処理量を、質量流量計6(Bronkhorst、Mini Cori-Flow M1X、最大流量8kg/h)を用いて測定した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの温度は、室温であった。ブタン-1,4-ジオールの温度は、40℃であった。スタティックミキサー7(Sulzer SMX、直径6mm、長さ対直径比L/D=10)において、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aおよびブタン-1,4-ジオール流Bを互いに混合した。これが流れCである。
【0164】
混合され、分散された流れCを、スタティックミキサー8(Sulzer SMXと同等のスタティックミキサー、内径34mm、L/D=20)中で循環ポリマー流Dと回路中で混合し、流れHを得た。流れDの温度は、182℃であった。
【0165】
混合され、すでに部分的に反応された流れHを、温度制御可能なスタティックミキサー9に通した。その中で反応は大部分が完了し、結果として生じる反応熱を除去した。温度制御可能なスタティックミキサー9は、内部交差チューブを有するSulzer SMR反応器と同様の構造であった。それは、内容積1.9リットル、熱交換面積0.44平方メートルを有していた。それを伝熱油で加熱/冷却した。入口における加熱媒体温度は、180℃であった。
【0166】
生成物流は、183℃の温度で大部分が反応した流れEとして温度制御可能なスタティックミキサー9を出た。分岐部11において、流れEは2つのサブストリームFおよびGに分割され、サブストリームFの圧力はギアポンプ10において増加された。サブストリームFは、ポンプの下流でサブストリームDとなった。
【0167】
ギアポンプ10(Witte Chem 25,6-3)は、1回転あたりの容積が25.6立方センチメートルで、速度が1分あたり50回転であった。
【0168】
回路全体は満ちており、ポリマーは大部分が非圧縮性であった。従って、流れGの質量流量は流れCの質量流量と同一であり、流れGは、所望のプレポリマーからなっていた。
【0169】
回路全体は、熱油で加熱した二重壁パイプ導管と装置から成っていた。加熱媒体温度は182℃であった。
【0170】
圧力保持バルブ12を越えて、流れGは三方弁13を過ぎて流れた。始動および停止時または故障時に、前記流れGを廃棄容器14、抽出を伴う開放60リットル金属槽、または生成物収集容器15、抽出を伴う開放120リットル金属槽、に流すことが可能であった。
【0171】
使用した試料は、プロセスが完全に落ち着いた4時間後に採取した。
【0172】
平均分子量(GPC):Mw=6200g/mol。
【0173】
調製したポリマーの融点(TM)は、170.3℃(DSC、5K/分で第2の加熱)であった。半値全幅:14.4K;加熱および冷却速度20K/分で求めた融解温度と再結晶温度の差は、38.9℃である。
【0174】
元素分析(重量%):炭素(C):54.9;水素(H):9.6;窒素(N):9.2;酸素(O):26.5。O:N比=2.880;N:C比=0.168。
【0175】
実施例20:実施例3の繰り返しとして本発明に従って使用可能なポリマーの調製。
HDI-BDO(NCO-INDEX:0.98)
図1は、高ハードセグメント含有量を有する熱可塑性ポリウレタンの2段階連続調製を実施するためのセットアップの概略図を示す。
【0176】
311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、レシーバー1からポンプ100(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)で、ミキサー100に搬送した。同時に、208.7g/hのブタン-1,4-ジオールを、ポンプ200(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)を使用して、レシーバー2からミキサー100に搬送した。両方の材料流をミキサー100中で、室温で混合した。使用したミキサーは、Ehrfeld Microtechnik BTS GmbH製のカスケードミキサーであった。その後、この混合物を190℃に温度制御された反応器100に通過させた(モデル:FluitecからのCSE-X/8G、形状G、内径=12.3mm、長さ=500mm、1ケルビン当たり1立方メートル当たり60キロワットの熱交換能力)。反応器中の滞留時間は5分であった。反応器100から連続的に出るプレポリマーを、200℃に加熱したパイプ導管を通して、2軸押出機(Miniextruder Process 11/Thermo Fisher)の第2のハウジングに移した。押出機をその全長にわたって200℃に加熱し、シャフトの速度は100rpmであった。次いで、70.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、ポンプ300(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)を使用して押出機のバレル3に導入した。得られた乳白色生成物を、押出機ノズルを通して排出し、ストランドとして取り出し、水浴中で冷却し、ペレット化した。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。
【0177】
平均分子量(GPC):Mw=132000g/mol。
【0178】
調製したポリマーの融点(TM)は、181.1℃(DSC、5K/分での第2の加熱)であった。半値全幅:8.24K;20K/分の加熱および冷却速度で決定された融解温度と再結晶温度の差は、32.1℃である。
【0179】
元素分析(重量%):炭素(C):55.9;水素(H):9.0;窒素(N):10.3;酸素(O):25.1。O:N比=2.437;N:C比=0.184。
【0180】
硬度は、75ショアDを超えた。
【0181】
実施例21:本発明に従って使用可能なポリマーの調製
HDI-BDO(NCO-INDEX:0.95)
図1は、高ハードセグメント含有量を有する熱可塑性ポリウレタンの2段階連続調製を実施するためのセットアップの概略図を示す。
【0182】
311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、レシーバー1からポンプ100(HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたタイプ: SyrDos2)で、ミキサー100に搬送した。同時に、208.7g/hのブタン-1,4-ジオールを、ポンプ200(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)を使用して、レシーバー2からミキサー100に搬送した。両方の材料流をミキサー100中で、室温で混合した。使用したミキサーは、Ehrfeld Microtechnik BTS GmbH製のカスケードミキサーであった。その後、この混合物を190℃に温度制御された反応器100に通過させた(モデル:FluitecからのCSE-X/8G、形状G、内径=12.3mm、長さ=500mm、1ケルビン当たり1立方メートル当たり60キロワットの熱交換能力)。反応器中の滞留時間は5分であった。反応器100から連続的に出るプレポリマーを、200℃に加熱したパイプ導管を通して、2軸押出機(Miniextruder Process 11/Thermo Fisher)の第2のハウジングに移した。押出機をその全長にわたって200℃に加熱し、シャフトの速度は100rpmであった。次いで、58.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、ポンプ300(タイプ:HiTec Zangからの10mlシリンジを取り付けたSyrDos2)を使用して押出機のバレル3に導入した。得られた乳白色生成物を、押出機ノズルを通して排出し、ストランドとして取り出し、水浴中で冷却し、ペレット化した。全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。
【0183】
平均分子量(GPC):Mw=34000g/mol。
【0184】
調製したポリマーの融点(TM)は、181.4℃(DSC、5K/分での第2の加熱)であった。半値全幅:8.26K;20K/分の加熱および冷却速度で決定された融解温度と再結晶温度の差は、31.1℃である。
【0185】
元素分析(重量%):炭素(C):55.7;水素(H):9.2;窒素(N):10.5;酸素(O):25.6。O:N比=2.438;N:C比=0.189。
【0186】
硬度は、75ショアDを超えた。
【0187】
比較例22:TPU Desmopan 3660 DU
この熱可塑性ポリウレタンは、国際特許出願WO2018/197396の実施例においてTPU 3として言及された。
【0188】
TPU 3660の融点(TM)は、173.9℃であり、融点幅は24.32℃である。20K/分の第一加熱および冷却速度で決定した融解温度と再結晶温度の差は、25.8℃である。
【0189】
元素分析(重量%):炭素(C):64.4;水素(H):7.3;窒素(N):4.9;酸素(O):24.2。O:N比=4.939;N:C比=0.076。
【0190】
硬度は、60ショアDであった。
【0191】
表1:異なる温度での粘度比
測定前に、サンプルを40℃の減圧炉内で4日間乾燥させ、190℃で試験片にプレスし、N雰囲気下でARESレオメーター、システムPP35mmを用いて測定した。比較例として試験した材料Farsoon FS 2200 PAは、PA12材料であった。スペックηは複素粘度を示す。
【表1】
【0192】
TPUに基づいて、0.2重量%の疎水化ヒュームドシリカ流動促進剤(Evonik社のAerosil(登録商標)R972)を、実施例20および21ならびに比較例18および19で調製した材料に添加し、この混合物を、ピンドディスクミル中で低温条件(低温粉砕)下で粉末に機械的に加工し、次いで篩い分け機を使用して分級した。20および21からの組成物の90重量%は、140μm未満の粒子径を有していた(レーザー回折(HELOS粒度分析)によって測定)。この高い粉末収率は、著しく低い生成物収率がしばしば達成されるか、または生成物が十分な量で所望の特性を得るために繰り返し粉砕を必要とする従来のTPUから本発明の生成物を区別する。本発明ではない比較例18および19はまた、高い粉末収率を有するが、それらのより高い脆性のために、レーザー焼結の過程で顕著な粉末プルームを生じる顕著に高い微粉画分を有する。
【0193】
得られた材料を用いて、粉末焼結法によりS2試験棒を製造した。
【0194】
得られた粉末材料を、各焼結実験の前にふるい分けし、保護ガス雰囲気(窒素)下で使用した3D粉末プリンターのリザーバーに導入した。印刷操作全体の間、レシーバー、造形スペースおよびオーバーフローは保護ガス雰囲気下であった。造形スペースを造形スペース温度(表2を参照)に加熱し、造形タスク開始の約30分前に温度制御した。焼結パラメータは同様に、以下の表に見出すことができる。3D印刷の終了後、造形スペースを保護ガス雰囲気下でゆっくりと冷却させ、粉末ケーキを造形スペースから取り除いた。焼結された部分から、最初は粗雑に機械的手段によって、次に圧縮エアによって余分な粉末を除去した後、それらを機械的試験に供した。
【0195】
表2:硬質TPUの粉体印刷における印刷パラメータおよび印刷結果
本発明の例は、*で付けられている。
【表2】
図1
図2
図3
【国際調査報告】