(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】吸入器システム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20230209BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G16H50/30
A61M11/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537299
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2020086732
(87)【国際公開番号】W WO2021122968
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2020/054059
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2020/054057
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2020/054056
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512297125
【氏名又は名称】ノートン (ウォーターフォード) リミテッド
【住所又は居所原語表記】Unit 301 IDA, Industrial Park, Cork Road, Waterford, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルトン‐エドワーズ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】サフィオーティ,ギルエルメ
(72)【発明者】
【氏名】ライヒ,マイケル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
少なくとも一つの吸入器を備えたシステムを提供する。少なくとも一つの吸入器のそれぞれが、対象者によるそれぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を決定するように構成された使用決定システムを備えている。システムは、さらにユーザインターフェースと処理モジュールとを備えている。ユーザインターフェースは、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標をユーザが入力できるように構成されている。処理モジュールは、少なくとも一つの値に基づいて指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの吸入器を備えたシステムであって、
少なくとも一つの吸入器のそれぞれが、対象者によるそれぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を決定するように構成された使用決定システムと、
前記対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標をユーザ入力できるように構成されたユーザインターフェースと、
前記少なくとも一つの値に基づいて前記指標を入力させるプロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールするように構成された処理モジュールとを有する。
【請求項2】
前記使用パラメータは、前記対象者による少なくとも一つの吸入器の使用を含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記使用決定システムは、前記対象者による吸入を検知するセンサおよび/または少なくとも一つの吸入器の使用前、使用中または使用後に起動するメカニカルスイッチを有する、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記処理モジュールは、少なくとも一つの吸入器の使用回数を記録するように構成されており、かつ、前記記録された使用回数と、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン使用回数との間の差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの吸入器は、レスキュー薬を送達するように構成されたレスキュー吸入器を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理モジュールは、レスキュー吸入器の所定の使用回数を超える記録された前記レスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールし、選択的に、前記レスキュー吸入器の所定の使用回数は、増悪のない期間中の前記対象者によるレスキュー吸入器の使用のベースライン数に対応している、
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つの吸入器は、メンテナンス薬を送達するように構成されたメンテナンス吸入器を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理モジュールは、メンテナンス吸入器の所定の使用回数未満である記録された前記メンテナンス吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールし、選択的に、前記メンテナンス吸入器の所定の使用回数は、治療レジメンによって指定されたメンテナンス吸入器の所定の回数に対応している、
請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記使用パラメータは、前記対象者が少なくとも一つの吸入器を用いた吸入中の気流に関するパラメータを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記使用決定システムは、前記パラメータを検知するセンサを備えている、
請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記ユーザインターフェースを介して入力された前記指標を記録するメモリを備えている、
請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理モジュールは、気流に関する前記パラメータと、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン気流パラメータとの間の差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、
請求項9から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記パラメータは、ピーク吸入流量、吸入量および吸入時間の少なくとも一つである、
請求項9から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記処理モジュールは、ピーク吸入流量のベースラインに対するピーク吸入流量の変化、吸入量のベースラインに対する吸入量の変化および/または吸入時間のベースラインに対する吸入時間の変化に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記ユーザインターフェースは、ユーザ選択可能な複数の呼吸器疾患ステータスオプションを提供し、前記指標は、前記ステータスオプションの少なくとも一つをユーザ選択によって定義される、
請求項1から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ユーザインターフェースは、選択可能なアイコン、チェックボックス、スライダーおよび/またはダイアルによって前記ステータスオプションを提供するように構成されている、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ユーザインターフェースは、少なくとも一つの吸入器と通信するユーザデバイスの第1のユーザインターフェースによって少なくとも部分的に定義されており、選択的に、前記ユーザデバイスは、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンから選択される少なくとも一つであり、および/または、前記処理モジュールは、少なくとも部分的に前記ユーザデバイスに含まれるプロセッサに含まれている、
請求項1から16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも一つの吸入器は、アルブテロール、ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、フォルモテロール、サルメテロール、インダカテロール、ビランテロール、チオトロピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム、グリコピロニウム、フルチカゾンと組み合わせたサルメテロール、アルブテロールと組み合わせたベクロメタゾン、およびホルモテロールと組み合わせたブデソニドから選択される薬剤を送達するように構成された、
請求項1から17のいずれか1項に含まれるシステム。
【請求項19】
対象者による少なくとも一つの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を受ける工程であって、関連する吸入器に含まれた使用決定システムによって前記少なくとも一つの値が決定される工程と、
前記対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程であって、前記プロンプトは前記少なくとも一つの値に基づいて発行される工程と、を有する、
方法。
【請求項20】
前記使用パラメータは、前記対象者による少なくとも一つの吸入器の使用を含む、
請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記吸入器の使用回数を記録する工程を有し、
前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、前記記録された使用回数と、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン使用回数との間の差に少なくとも部分的に基づいている、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つの吸入器は、レスキュー薬を送達するように構成されたレスキュー吸入器を含み、
選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、レスキュー吸入器の所定の使用回数を超える記録された前記レスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいている、
請求項19から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも一つの吸入器は、メンテナンス薬を送達するように構成されたメンテナンス吸入器を含み、
選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、メンテナンス吸入器の所定の使用回数未満である記録された前記メンテナンス吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいている、
請求項19から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記使用パラメータは、対象者が少なくとも一つの吸入器を用いた吸入中の気流に関するパラメータを含み、
選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、気流に関する前記パラメータと、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン気流パラメータとの間の差に少なくとも部分的に基づいている、
請求項19から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
適合されたコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項19から24のいずれか1項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入器システム、特に、対象者が罹患している呼吸器疾患のモニタリングを支援するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の多くの呼吸器疾患は、生涯にわたる病気であり、治療は患者の症状の管理と、回復不能な病変のリスクを減らすための薬剤の生涯にわたる投与とを含む。現在、喘息およびCOPDのような病気に対する治療法は存在しない。
【0003】
治療は2つの形態をとる。
第1に、メンテナンス見地の治療では、気道の炎症を減らし、その結果、将来的に症状をコントロールすることが意図されている。メンテナンス的治療は、典型的に、吸入コルチコステロイドを単独で、あるいは長時間作用性気管支拡張剤および/またはムスカリン拮抗薬と組み合わせて処方することによって行われる。
第2に、レスキュー見地(または救援)の治療もあり、この場合、患者は、喘息、咳、胸部圧迫および呼吸困難の激しい発作を緩和するための即効性の気管支拡張剤が投与される。
喘息またはCOPDのような呼吸器疾患を患った患者は、また、呼吸器疾患の症状をより悪化させる一時的な再燃あるいは増悪を経験するかもしれない。最悪の場合、増悪は患者の生命を脅かし得る。
【0004】
対象者の呼吸器疾患を監視することは、特に増悪が起こるリスクを最小限に抑えるという観点から、非常に重要である。一つの難しさは、患者が医師に尋ねられたときに症状を思い出すのが困難であることであり、特に症状を経験してから一週間以上経過した場合、困難である。
そのようなデータを監視して服薬順守を促進する方法で、対象の呼吸器疾患に関する関連情報を入手することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、少なくとも一つの吸入器を備えたシステムである。例示的なシステムとして、少なくとも1つの吸入器のそれぞれが、対象者によるそれぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を決定するように構成された使用決定システムを備えている。
【0006】
この例示的なシステムは、さらに、ユーザインターフェースと、処理モジュールとを備えている。このシステムにおけるユーザインターフェースは、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標をユーザ入力できるように構成されている。処理モジュールは、少なくとも1つの値に基づいて、指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【0007】
このようにして、対象者の吸入器の使用が、たとえば差し迫った増悪を予測するなど、対象者の呼吸器疾患を評価するために指標が必要である可能性があることを示した場合、ユーザはその指標を入力するように促される。
この指標のユーザ入力を促すアプローチは、例えば、吸入器の使用に関係なく定期的に入力の指示が求められるシナリオに比べて対象者の負担を軽減することができる。これにより、対象者はプロンプトに指示されたときに指標を入力することが可能となる。したがって、このシステムによって対象者の呼吸疾患のモニタリングを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次に、本発明を、限定することを意図していない添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【
図2】実施例による吸入器を用いたときの流量に対する時間のグラフである。
【
図4】実施例による吸入器の外観の正面図および背面図である。
【
図5】
図4に示す吸入器のトップキャップの最上面を示す。
【
図6】
図4に示す吸入器とユーザデバイスとのペアリングを概略的に示す。
【
図7A】実施例による方法のフローチャートを示す。
【
図7B】実施例による方法のグラフベースの描写を示す。
【
図8】他の実施例による方法に関連するフローチャートおよびタイムラインを示す。
【
図9】レスキュー薬の吸入を示すタイムラインを示す。
【
図10】喘息増悪からの日数に対するレスキュー吸入の平均回数のグラフを示す。
【
図11】喘息増悪からの日数に対するレスキュー吸入の平均回数の他のグラフを示す。
【
図12】喘息増悪からの日数に対するレスキュー吸入回数の変化率およびそれぞれのベースライン値に関連する気流に関連する様々なパラメータのグラフを4つ示す。
【
図13】喘息増悪の確率を決定するためのモデルの受信者動作特性(ROC)曲線分析を示す。
【
図14】COPD増悪からの日数に対するレスキュー吸入の平均回数のグラフを示す。
【
図15】COPD増悪からの日数に対するレスキュー吸入の平均回数の他のグラフを示す。
【
図16】COPD増悪からの日数に対する平均ピーク吸入流量(L/分)のグラフを示す。
【
図17】COPD増悪からの日数に対する平均ピーク吸入流量(L/分)の他のグラフを示す。
【
図18】COPD増悪からの日数に対する平均吸入量(L)のグラフを示す。
【
図19】COPD増悪からの日数に対する平均吸入量(L)の他のグラフを示す。
【
図20】COPD増悪からの日数に対する平均吸入時間(秒)のグラフを示す。
【
図21】COPD増悪からの日数に対する平均吸入時間(秒)の他のグラフを示す。
【
図22】切迫したCOPD増悪の確率を決定するためのモデルの受信者動作特性(ROC)曲線分析を示す。
【
図26】
図23に示す吸入器のトップキャップと電子モジュールの分解透視図を示す。
【
図27】
図23に示す吸入器の実施例からの空気流量と圧力のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
装置、システムおよび方法を例示しつつなされる詳細な説明および具体例は、単に本発明の説明を目的としたものであって、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システムおよび方法のそれらのおよび別の特徴、態様および長所が、明細書の以下の説明、添付の特許請求の範囲および図面からより良く理解されるだろう。図面は概略的なものにすぎず、実際の寸法に合わせて描かれていないことが理解されるべきである。また、全図面を通じて同一または類似の構成要素には同一の番号が付されていることが理解されるべきである。
【0010】
喘息およびCOPDは気道の慢性炎症性疾患である。それらは共に気道閉塞および気管支麻痺が変化しやすく、再発する症状によって特徴づけられる。症状は、喘鳴、咳、胸部圧迫および呼吸困難の発作を含んでいる。
【0011】
症状は、トリガーを回避することおよび薬剤、特に吸入薬を使用することによってコントロールされる。薬剤は、吸入コルチコステロイドおよび吸入気管支拡張剤を含んでいる。
【0012】
吸入コルチコステロイド(ICS)は、呼吸器疾患を長期間コントロールする場合に使用されるステロイドホルモン剤である。それらは、気道炎症を弱めることで機能する。吸入コルチコステロイドは、例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン(ジプロピオン酸)、フルチカゾン(プロピオン酸またはフランカルボン酸)、モメタゾン(フランカルボン酸)、シクレソニドおよびデクサメタゾン(ナトリウム)を含んでいる。括弧は、好ましい塩またはエステルの形態を表す。これらの中でブデソニド、ベクロメタゾンおよびフルチカゾンが好ましく、特に、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾンおよびフロ酸フルチカゾンについて言及する必要がある。
【0013】
分類が異なる気管支拡張剤は、気道内の異なる受容体をターゲットにしている。一般に使用される2つの分類は、β2刺激薬と抗コリン薬である。
【0014】
β2アドレナリン刺激薬(β2刺激薬)は円滑な筋肉弛緩を誘発するβ2アドレナリン受容体に作用し、気道を拡張させる。これらは作用の期間によって分類される傾向がある。
長時間作用性β2刺激薬(LABAs)は、例えば、ホルモテロール(フマル酸塩)、サルメテロール(キシナホ酸塩)、インダカテロール(マレイン酸塩)、バンブテロール(塩酸塩)、クレンブテロール(塩酸塩)、オロダテロール(塩酸塩)、カルモテロール(塩酸塩)、ツロブテロール(塩酸塩)およびビランテロール(トリフェニル酢酸塩)を含んでいる。
短時間作用性β2刺激薬(SABA)は、例えば、アルブテロール(硫酸塩)を含んでいる。これらの中で、ホルモテール、サルメテロール、インダカテロールおよびビランテロールが好ましく、特に、ホルモテールフマル酸塩、サルメテロールキシナホ酸塩、インダカテロールマレイン酸塩およびビランテロールトリフェニル酢酸塩について言及する必要がある。
【0015】
典型的に、短時間作用性気管支拡張剤は、急性気管支収縮からの迅速な救援を提供する(しばしば、「レスキュー薬」または「リリーバー薬」と呼ばれる)。一方、長時間作用性気管支拡張剤は、長時間にわたる症状のコントロールおよび予防を支援する。しかしながら、ホルモテロール(フマル酸塩)のような発現が早く、長時間作用性気管支拡張剤のいくつかは、レスキュー薬として使用され得る。すなわち、レスキュー薬は急性気管支収縮からの救援を提供する。レスキュー薬は必要に応じて服用される。レスキュー薬は、また、例えば、ICS-ホルモテロール(フマル酸塩)、典型的にはブデソニド・ホルモテロール(フマル酸塩)またはベクロメタゾン(ジプロピオネート)-ホルモテロール(フマル酸塩)のようなコンビネーション製品の形態をとり得る。こうして、レスキュー薬は、好ましくは、SABAまたは発現が速いLABA、より好ましくは、アルブテロール(硫酸塩)またはホルモテロール(フマル酸塩)、さらに好ましくは、アルブテロール(硫酸塩)からなっている。
【0016】
抗コリン作用薬(抗ムスカリン薬)は、神経伝達物質アセチルコリンを、神経細胞内のその受容体を選択的にブロックすることでブロックする。局所適用に際し、抗コリン作用薬は、主に、気道内に位置するM3ムスカリン授与体に作用し、円滑な筋肉弛緩を生じさせ、気管支拡張を生じさせる。
長時間作用性ムスカリン拮抗薬(LAMA)は、例えば、チオトロピウム(臭化物)、オキシトロピウム(臭化物)、アクリジニウム(臭化物)、ウメクリジニウム(臭化物)、イプラトピウム(臭化物)、グリコピロニウム(臭化物)、オキシブチニン(塩酸塩または臭化水素酸塩)、トルテロジン(酒石酸塩)、トロスピウム(塩化物)、ソリフェナシン(コハク酸塩)、フェソテロジン(フマル酸塩)およびダリフェナシン(臭化水素酸塩)を含んでいる。これらの中で、チオトロピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウムおよびグリコピロニウムが好ましく、特に、臭化チオトロピウム、臭化アクリジニウム、臭化ウメクリジニウム、臭化グリコピロニウムについて言及する必要がある。
【0017】
これまで、ドライパウダー吸入器(DPI)、圧力式定量吸入器(pMDI)およびネブライザー等を用いた吸入による投与のためにそれらの薬剤を準備し、処方するための多数のアプローチがなされてきている。
【0018】
GINA(Global Initiative for Asthma:喘息管理に関する国際指針)のガイドラインによれば、段階的アプローチが喘息の治療のためにとられる。
軽症型の喘息を表す第1段階では、患者は硫酸アルブテロール等の必要に応じたSABAを与えられる。患者は、また、SABAが処方されるときはいつも、必要に応じた低用量のICS-ホルモテロールまたは低用量のICSを与えられるかもしれない。第2段階では、通常の低用量のICSがSABAまたは必要に応じた低用量のICS-ホルモテロールと一緒に与えられる。第3段階では、LABAが加えられる。第4段階では、各薬剤の用量が増やされ、第5段階では、さらに、抗コリン作用薬または低用量の経口コルチコステロイド等の追加の治療が含まれる。つまり、各段階は治療計画とみなすことができ、治療はそれぞれ、呼吸器疾患の急性重症度の程度に応じて構成される。
【0019】
COPDは世界中の主要な死因である。COPDは、慢性気管支炎や肺気腫、さらには狭気道を含む異質の長期間にわたる病気である。COPDを患った患者における病変は、主に、気道、肺実質および肺血管系に限定される。それらの病変は、肺のガスを吸い込み、吐き出す健全な能力を低下させる。
【0020】
気管支炎は長期間にわたる気管の炎症によって特徴づけられる。一般的な症状は、喘鳴、呼吸困難、咳および喀痰の喀出を含み、これらの症状はすべて患者の生活の質にとって厄介かつ有害である。気腫はまた長期間にわたる気管支炎症に関係し、この場合、炎症に対する反応によって、肺組織の破壊および進行性の気道狭窄が生じる。やがて、肺組織はその自然な弾力性を失い、拡張する。そうなると、ガス交換機能が低下し、呼吸されたガスがしばしば肺に閉じ込められる。これは、局所化された低酸素症を引き起こし、1回の吸気当たりに患者の血流中に供給される酸素量を減少させる。そして、患者は呼吸困難を経験する。
【0021】
COPDとともに生活する患者は、日々、それらの様々の症状を、一部かもしれないが経験する。病気の重症度は種々の要因によって決定されるが、最も一般的には、病気の進行度と相関がある。それらの症状は、病気の重症度とは無関係に、安定したCOPDを表し、この病状が維持され、種々の薬剤の投与を通じてコントロールされる。治療法は変更され得るが、しばしば、吸入気管支拡張剤、抗コリン作用薬、長時間作用性および短時間作用性β2刺激薬および吸入コルチコステロイドを含んでいる。薬剤はしばしば単一治療としてまたは併用治療として投与される。
【0022】
患者は、GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease、Inc.:慢性閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアティブ)ガイドラインに定められたカテゴリーを用いて、患者のCOPDの重症度によって分類される。カテゴリーはA~Dからなり、治療法の推奨される最初の選択肢はカテゴリー毎に変わる。患者グループAは、必要に応じて、短時間作用性ムスカリン拮抗薬(SAMA)または短時間作用性β2刺激薬(SABA)を処方される。患者グループBは、長時間作用性ムスカリン拮抗薬(LAMA)または長時間作用性β2刺激薬(LABA)を処方される。患者グループCは、吸入コルチコステロイド(ICS)+LABA、またはLAMAを処方される。患者グループDは、ICS+LABA、および/またはLAMAを処方される。
【0023】
喘息またはCOPD等の呼吸器疾患を患った患者は、日々の基本的な病状の変化の範囲を超えた周期的な増悪に苦しむ。増悪は、追加の治療、つまり維持管理的治療の範囲を超えてなされる治療を必要とする急性の病状悪化である。
【0024】
喘息については、中程度の増悪に対する追加の治療は、SABAおよび経口コルチコステロイドの反復投与および/またはコントロールされた酸素吸入(後者は入院を必要とする)からなる。重大な増悪に対しては、抗コリン作用薬(典型的にイプラトピウム臭化物)、噴霧SABAまたは硫酸マグネシウムが追加される。
【0025】
COPDについては、中程度の増悪に対する追加の治療は、SABA、経口コルチコステロイドおよび/または抗生物質の反復投与からなる。重大な増悪に対しては、コントロールされた酸素吸入および/または呼吸サポート(いずれも入院を必要とする)が加えられる。
【0026】
本明細書中では、用語「増悪」は中程度の増悪と重大な増悪の両方を含んでいる。
【0027】
少なくとも一つの吸入器を備えたシステムを提供する。少なくとも1つの吸入器のそれぞれが、対象者によるそれぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を決定するように構成された使用決定システムを備えている。さらに、システムは、ユーザインターフェースと、処理モジュールを備えている。ユーザインターフェースは、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標をユーザ入力できるように構成されている。処理モジュールは、少なくとも1つの値に基づいて指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【0028】
対象者の吸入器の使用が、たとえば差し迫った増悪を予測するなど、対象者の呼吸器疾患を評価するために指標が必要である可能性があることを示した場合、ユーザはその指標を入力するように促される。
【0029】
この指標のユーザ入力を促すアプローチは、例えば、吸入器の使用に関係なく定期的に入力の指示が求められるシナリオに比べて対象者の負担を軽減することができる。そして、このアプローチは、特に、対象者が調子のよいときに、対象者が指標を入力するのをやめるリスクを軽減する。これは、例えば、毎日、定期的に受け取ることの疲れ、毎日、例えば指標を入力するためのリマインダー等、対象者が定期的に指標を入力するのに疲れた結果として発生する可能性がある。
【0030】
少なくとも1つの値に基づいてプロンプトを発行することにより、対象者は、プロンプトが表示されたときに指標を入力する可能性が高くなる。したがって、対象者の呼吸器疾患の改善されたモニタリングがシステムによって可能になる。
【0031】
少なくとも1つの吸入器のそれぞれは、例えば、薬剤を含む薬剤リザーバを備えている。
【0032】
本開示の内容において必須ではないが、少なくとも1つの吸入器は、吸入器と少なくとも1つのさらなる吸入器を備えていてもよい。少なくとも1つのさらなる吸入器は、1つ以上のさらなる薬剤を対象者に送ることができるように構成されている。薬剤が吸入器を介して投与されるのと同じ対象者になる。少なくとも1つのさらなる吸入器のうちの1つまたは複数(またはそれぞれ)は、例えば、さらなる薬剤を含む薬剤リザーバを備えていてもよい。
【0033】
薬剤およびさらなる薬剤は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、通常、それらは互いに異なっている。
【0034】
限定されない例として、薬剤は必要に応じて対象者が使用するためのレスキュー薬であり、さらなる薬剤は、所定の治療レジメンに従って対象者によって使用されるメンテナンス薬である。
【0035】
レスキュー薬は、上記で定義された通りであり、通常、SABAまたはホルモテロール(フマル酸塩)などの急速に発現するLABAである。レスキュー薬は、組合せた製品の形態でもよい。例えば、ICS-ホルモテロール(フマル酸塩)、通常は、ブデソニドーホルモテロール(フマル酸塩)またはベクロメタゾン(ジプロピオン酸)ホルモテロール(フマル酸塩)が挙げられる。
【0036】
限定されない例として、薬剤は、アルブテロール(硫酸塩)、ブデソニド、ベクロメタゾン(ジプロピオン酸)、フルチカゾン(プロピオン酸またはフランカルボン酸)、ホルモテロール(フマル酸塩)、サルメテロール(キシナホエート)、インダカテロール(マレイン酸塩)、ビランテロール(トリフェニルアセテート)、チオトロピウム(臭化物)、アクリジニウム(臭化物)、ウメクリジニウム(臭化物)、グリコピロニウム(臭化物)、サルメテロール(キシナホエート) フロエート)、アルブテロール(硫酸塩)と組み合わせたベクロメタゾン(ジプロピオネート)、およびホルモテロール(フマル酸塩)と組み合わせたブデソニドから選択される。
【0037】
より一般的には、薬剤、さらなる薬剤、およびシステムの吸入器に含まれる任意の他の薬剤は、任意の適切な医薬品有効成分を含み得る。したがって、慢性呼吸器疾患を治療するための任意のクラスの薬物は、言い換えれば、システムに含まれる吸入器によって投与される。
【0038】
少なくとも1つ、たとえば システムに含まれる吸入器は、使用決定システムを備えている。使用決定システムは、それぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも1つの値を決定するように構成されている。
【0039】
使用パラメータは、例えば、対象者がそれぞれの吸入器を使用して実施する薬剤の吸入などの使用が含まれる。
【0040】
本発明の実施形態では、処理モジュールは、使用決定システムによって決定された少なくとも1つの吸入器の使用回数を記録するように構成されている。また処理モジュールは、記録された使用回数と、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン使用回数、例えば、事前に決定された閾値、との差に少なくとも部分的に基づいてプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【0041】
したがって、指標を入力させるプロンプトは、過剰な吸入器、例えば、レスキュー吸入器の使用に基づいて発行されることがある。
【0042】
代替的または追加で、プロンプトは、少なくとも1つの吸入器(例えば、レスキュー吸入器)の使用が使用決定システムによって決定される昼夜の時間に基づいて発行されてもよい。
【0043】
そのような例では、使用決定システムは、例えば、それぞれの吸入器の各使用にタイムスタンプを付けることができ、少なくとも1つの値は、使用のタイムスタンプを含んでもよい。例えば、夜間のレスキュー吸入器の使用は、本明細書で後述するように差し迫った増悪を示していることが見出された。したがって、夜間吸入器の使用回数の増加を決定することは、(少なくとも部分的に)ユーザに指標を入力するように促すための適切な測定基準を表示することとなる。
【0044】
使用決定システムは、例えば、対象者によって実行されるそれぞれの薬剤の吸入を検出するためのセンサ、および/またはそれぞれの吸入器の使用前、使用中または使用後に行動するように構成されたメカニカルスイッチが含まれている。この場合、使用決定システムは、吸入器の各使用または使用の試みの記録が可能となる。
【0045】
そのようなセンサは、例えば、絶対圧または差圧センサなどの圧力センサが含まれる。
【0046】
使用決定システムを介して吸入器の使用を決定することは、対象者の呼吸器疾患の状態に関連するデータを表すことがある。例えば、システムがレスキュー吸入器を含む場合、対象者は、状態が悪化するにつれて、例えば、増悪が近づくにつれてレスキュー吸入器をより多く使用する可能性があるため、レスキュー吸入の数は、対象者に対するリスクのレベルを決定する際の診断要因を表すことになる。
【0047】
したがって、本発明の実施形態では、処理モジュールは、レスキュー吸入器の所定の使用数を超える記録されたレスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて、ユーザ/対象者に指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【0048】
この評価は、レスキュー吸入器の使用回数がカウントされる特定の(最初の)期間に関して行うことができる。この最初の期間は、吸入回数がカウントされるサンプル期間に対応する。この最初の期間は、例えば、1日~15日であってもよい。このサンプル期間としては、指標となる数のレスキュー吸入が発生するであろう期間を選択できる。サンプル期間が短すぎると、十分な吸入データを収集できない可能性がある。一方、サンプル期間が長すぎると、平均化効果があり、診断的または予測的に重要な短期間の傾向を区別しにくくする可能性がある。
【0049】
所定数のレスキュー吸入器の使用は、例えば、悪化のない期間中に対象者によって行われたレスキュー吸入器の使用のベースライン数に対応させることができる。
【0050】
メンテナンス吸入器を使用したメンテナンス吸入の数は、代替的または追加的に、急性リスクのレベルを決定するための有用な情報を表すことがある。それは、メンテナンス吸入が少ないと(メンテナンス薬治療レジメンの遵守が不十分であることを示す)、対象者へのリスク、例えば、増悪のリスクが高まる可能性があるためである。
【0051】
したがって、本発明の実施形態では、処理モジュールは、記録されたメンテナンス吸入器の使用数が所定のメンテナンス吸入器の使用数未満であることに少なくとも部分的に基づいてプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成される。
【0052】
この評価は、上記のレスキュー吸入器の使用回数の例と同様に、メンテナンス吸入器の使用回数がカウントされる所定の期間に関して行うことができる。メンテナンス薬の投薬治療レジメンの順守を決定するための適切な期間は、例えば、1日から15日である。
【0053】
所定の数のメンテナンス吸入器の使用は、例えば、治療レジメンによって指定された所定の数のメンテナンス吸入器の使用に対応させることができる。
【0054】
代替的または追加的に、使用パラメータは、対象者によって実行される薬剤の吸入中の気流に関連するパラメータが含まれる。
【0055】
この目的のために、使用決定システムは、例えば、パラメータを感知するためのセンサを備えてもよい。この例では、パラメータを感知するためのセンサは、吸入器の使用を決定するための上記のセンサと同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
吸入中の気流に関連するパラメータは、対象者へのリスクのレベルの指標、例えば、差し迫った増悪の可能性を含む指標、を提供する場合がある。つまり、パラメータは、対象者の肺機能および/または肺の健康の代用として機能する可能性があるためである。
【0057】
本発明の実施形態において、処理モジュールは、気流に関するパラメータと、例えば、特定の閾値に達するかまたはそれを超えるベースライン気流パラメータとの差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【0058】
したがって、対象者の肺機能および/または肺の健康の増悪を示す気流に関連するパラメータの変化に基づいて、プロンプトを適切に(少なくとも部分的に)発行することができる。
【0059】
気流に関連する任意の適切なパラメータを考慮することができる。非限定的な例として、パラメータは、ピーク吸入流量、吸入量、ピーク吸入流量までの時間、および吸入時間のうちの少なくとも1つである。
【0060】
非限定的な例として、処理モジュールは、ピーク吸入流量のベースラインに対するピーク吸入流量の変化、吸入量のベースラインに対する吸入量の変化および/または吸入時間のベースラインに対する吸入時間の変化に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている。
【0061】
例えば、ピーク吸入流量のベースライン、吸入量のベースラインおよび吸入時間のベースライン等の気流に関するベースラインパラメータは、例えば、増悪のない期間中のそれぞれパラメータのベースライン値に対応させることができる。
【0062】
本発明の実施例として、使用決定システムは、対象者による吸入器の使用中の気流に関連するパラメータを決定するために、メカニカルスイッチと組み合わせてセンサを使用してもよい。
【0063】
吸入器は、例えば、ユーザが吸入を行うためのマウスピースと、マウスピースカバーを備えていてもよい。そのような実施例において、マウスピースカバーがマウスピースを露出させるために移動させられたときに起動するメカニカルスイッチが構成されていてもよい。
【0064】
より一般的に、システムは、少なくとも1つの値を受ける処理モジュールを備えている。処理モジュールは、ユーザ/対象者に、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標を入力するように促してユーザインターフェースをコントロールする。
【0065】
したがって、ユーザインターフェースは、指標のユーザ入力を可能とするように構成されており、さらに、そのプロンプトが出力できるように構成されている。
【0066】
ユーザインターフェースは、例えば、指標のユーザ入力を可能とするように構成された第1ユーザインターフェースと、処理モジュールによってコントロールされるプロンプトを出力するように構成された第2ユーザインターフェースとを備えていてもよい。
【0067】
第1および第2ユーザインターフェースは、例えば、同じユーザデバイスに含められていてもよい。
【0068】
非限定的な実施例において、ユーザインターフェースはタッチスクリーンを備えていてもよい。その場合、第2のユーザインターフェースはタッチスクリーンのディスプレイを備え、第1のユーザインターフェースはタッチスクリーンのタッチ入力システムを備えていてもよい。そのようなタッチスクリーンは、簡単なユーザ入力およびプロンプトを可能とする。したがって、使用パラメータによって示されるように、対象者が症状の増悪に苦しんでいるシナリオにおいて特に有益である。
【0069】
タッチスクリーンを介してプロンプトが発行される代替あるいは追加として、第2のユーザインターフェースは、処理モジュールによってコントロールされるときに、可聴プロンプトを発行するためのスピーカーを備えていてもよい。
【0070】
本発明の実施形態において、ユーザインターフェース、例えば、第1ユーザインターフェースは、ユーザ選択可能な複数の呼吸器疾患ステータスオプションを提供するように構成されてもよい。この場合、指標は、ステータスオプションの少なくとも一つをユーザが選択することによって定義される。
【0071】
ユーザインターフェースは、例えば、簡単なアンケートに回答するために、ポップアップ通知リンクを介してユーザまたは対象者に指標を提供するよう促してもよい。
【0072】
非限定的な実施例において、ユーザインターフェースには、回答が指標に対応する質問で構成されるアンケートが表示される。例えば、対象者または対象者の医療提供者からなるユーザは、ユーザインターフェースを使用して質問への回答を入力してもよい。
【0073】
本発明の実施形態では、システムは、ユーザインターフェースを介して入力された指標を格納するためにメモリ、例えば、処理モジュールに含まれたメモリを備えている。指標は、例えば、対象者とその医療提供者との間の対話を支援するために後に検索される。このように対象者の呼吸器疾患の以前の状態の記憶に頼る必要はない。
【0074】
アンケートは、対象者への負担を最小限に抑えるために、比較的短くても良い。つまり、質問は比較的少なくしてもよい。質問の数および性質は、それにかかわらず、指標が、例えば、対象者の増悪を経験する可能性を含み、対象者の臨床状態を確実に評価できるように、確実にするものである。この評価は、以下でより詳細に説明されるように、吸入器の使用法および気流に関連するパラメータを考慮に入れることができる。
【0075】
特に、6点/6問のアンケートの形で指標を入力することが挙げられる。それは、対象者が使用パラメータで示されているように、症状が悪化している可能性があるため、対象者に過度の負担をかけないようにすることとのバランスが取れていることが十分な臨床情報の要件であるためである。
【0076】
より一般的には、アンケートの目的は、対象者の健康な状態(彼らの呼吸疾患に関する)の「瞬間」を理解するために、同時または比較的最近(例えば、24時間以内)の指標を比較的に迅速に回答されるいくつかのタイムリーな質問で確認することである。アンケートは、対象者の言語に翻訳されてもよい。
【0077】
従来の対照アンケート、および、特に、最も確立されているのは、喘息のACQ/T(喘息コントロール質問票/テスト)、またはCOPDのCAT(COPD評価テスト)であり、過去の症状の患者の想起に焦点を当てる傾向がある。想起バイアス、そして現在ではなく過去に焦点を当てることは、予測分析の目的でそれらの価値に悪影響を与える可能性がある。
【0078】
次に、そのようなアンケートを、非限定的な例として提供する。対象者は、質問ごとに、次のステータスオプションから選択できる。
(5)常に、(4)ほとんどの場合、(3)時々、(2)少し、(1)無し。
1.息切れについて、どのくらい頻繁に起こりますか、または、どのように評価しますか。
2.堰について、どのくらい頻繁に起こりますか、または、どのように評価しますか。
3.喘鳴について、どのくらい頻繁に起こりますか、または、どのように評価しますか。
4.胸の圧迫感について、どのくらい頻繁に起こりますか、または、どのように評価しますか。
5.夜の症状/睡眠の影響について、どのくらい頻繁に起こりますか、または、どのように評価しますか。
6.職場、学校または学校での制限について、どのくらい頻繁に起こりますか、または、どのように評価しますか。
【0079】
次に、アンケートの例の代替を提供する。
1.いつもより呼吸器症状が多いですか(Y/N)。もし、そうなら:
2.いつもより胸の張りや息切れ(Y/N)
3.いつもより堰(Y/N)
4.いつもより喘鳴(Y/N)
5.あなたの睡眠を妨げていますか(Y/N)
6.家庭/仕事/学校での活動が制限されていますか(Y/N)
【0080】
さらにアンケートの例の代替を提供する。
1.いつもより胸の張りや息切れなどがありますか(Y/N)堰は(Y/N)喘鳴は(Y/N)
2.睡眠はとれていますか(Y/N)
3.日常の活動をなんらかの形で制限されていますか(Y/N)。
4.感染症またはアレルゲン(猫、花粉等)にさらされたことはありますか(Y/N)。
【0081】
さらにアンケートの例の代替を提供する。
1.次のような経験をしていますか。
いつもより胸の張りや息切れ(Y/N)
いつもより堰(Y/N)
いつもより喘鳴(Y/N)
2.睡眠はとれていますか(Y/N)
3.家庭/仕事/学校での活動を制限していますか(Y/N)
4.感染したことはありますか(Y/N)
もし、「はい」の場合、抗生物質やステロイドを服用しましたか(Y/N)
5.最近、アレルゲン(猫、花粉等)にさらされましたか(Y/N)
6.(オプション)最近の病院不安抑うつ尺度(HADS)スコアは何ですか。
【0082】
質問への回答は、例えば、スコアを計算するために使用される。このスコアは、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標に含められる、または、それに対応する。
【0083】
より一般的には、本発明において、システムに含められているメモリは、ユーザインターフェースを介して入力された指標、例えば、アンケートの回答および/またはスコアを格納するように構成されている。したがって、格納された指標は、患者から医療提供者への対話のために後日引き出すことができる。
【0084】
本発明において、ユーザインターフェースは、選択可能なアイコンの形式でステータスオプションを提供するように構成されている。アイコンとしては、例えば、絵文字形式のアイコン、チェックボックス、スライダーおよび/またはダイアルが挙げられる。このようにすることにより、ユーザインターフェースは、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標の簡単で直感的な入力方法を提供できる。このような直感的な入力は、対象者自身が指標を入力しているときに特に有利となる。比較的簡単なユーザ入力は、対象者の呼吸器疾患の悪化を最小限に抑えることができる可能性があるためである。
【0085】
対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標のユーザ入力を可能にする目的で、任意の適切なユーザインターフェースを使用することができる。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザデバイスの(第1の)ユーザインターフェースを備えている、またはそれから構成されてもよい。ユーザデバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータおよび/またはスマートフォンでありえる。もし、ユーザインターフェースがスマートフォンである場合、ユーザインターフェースは、例えば、スマートフォンのタッチスクリーンに対応させてもよい。
【0086】
非限定的な実施例において、システムは、吸入器の過度の使用、異常な時間帯、例えば、夜間の使用、および/または気流に関連するパラメータの変化のため、使用決定システムを介して継続的にモニターしてもよい。これらのいずれかに十分に大きな変化がある場合、処理モジュールは(自動的に)ユーザインターフェースをコントロールしてプロンプトを発行する。変化が十分に大きいかどうかは、前述のように、ベースラインまたは閾値を参照して評価する。プロンプトは、ユーザに、上記の単純な「はい/いいえ」の質問のようなアンケートを行うように促すことを含む。
【0087】
非限定的な実施例において、システムは、ユーザが指標を入力することを選択したときに、指標はユーザインターフェースを介して入力するように構成されてもよい。したがって、ユーザ、例えば、対象者は、指標の入力に(少なくとも一つの値に基づいて)プロンプトを待たなくてもよい。
【0088】
代替的にまたは追加的に、処理モジュールは、ユーザに所定の期間(例えば、7日などの5~14日)に指標を入力するように促さないとした使用パラメータの少なくとも一つに基づいてプロンプトを発行するように構成されてもよい。
【0089】
言い換えれば、指標を入力させるプロンプト(例えば、上述のアンケートに答える)は、対象者の状態の増悪を示すフラグが所定の期間中(例えば、7日間)にトリガーされない場合に発行される。
【0090】
これは、a)使用決定システム(使用および/または吸入パラメータ)が欠落しているという患者の症状がないこと:および/またはb)患者が健康であるかどうか(例えば、上記アンケートの回答が全て「いいえ」、したがって指標と使用パラメータ(使用および/または吸入パラメータ)の少なくとも一つの値が互いに一致しているかどうか:c)患者が回復しているかどうかおよびいつ回復しているかどうかを確認するのに役立つ。
【0091】
処理モジュールは、処理モジュールについて本明細書に記載の機能を実行するためにハードウエアおよび/またはソフトウエアを使用して構成されえる汎用プロセッサ、専用プロセッサ、DSP、マイクロコントローラ、集積回路を備えていてもよい。処理モジュールは、吸入器、ユーザデバイスおよび/またはサーバに部分的にまたは全体的に含まれていてもよい。
【0092】
処理モジュールは、電源、メモリおよび/またはバッテリを含んでいてもよい。
【0093】
非限定的な実施例において、処理モジュールは、少なくとも部分的に、ユーザデバイスに含まれる第1の処理モジュールに含まれる。他の非限定的な実施例において、処理モジュールはユーザデバイスに含まれていない。処理モジュール(または処理モジュールの少なくとも一部)は、例えば、サーバ(例えば、リモートサーバ)に提供されてもよい。例えば、処理モジュールは、吸入器、ユーザデバイスおよび/またはリモートサーバの任意の組み合わせで実装してもよい。したがって、処理モジュールに関して説明された機能または処理の任意の組み合わせは、吸入器、ユーザデバイスおよび/またはサーバの処理モジュールによって実行される。例えば、吸入器の使用決定システムは、吸入器での使用情報(例えば、ユーザによる吸入器の使用または操作(マウスピースカバーの開放および/またはスイッチの作動)および/または吸入器の使用中の気流に関連するパラメータ等)を取り込むことができる。一方、吸入器、ユーザデバイスおよび/またはサーバの任意の組合せにある処理モジュールは、吸入器の使用中の気流に関連するパラメータに基づいて吸入パラメータを決定し、および/または上記の使用および/または吸入パラメータに関連つけられたプロンプトなどの通知を決定することができる。
【0094】
さらに提供される方法は、対象者による少なくとも一つの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を受ける工程であって、関連する吸入器に含まれた使用決定システムによって前記少なくとも一つの値が決定される工程と、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程であって、前記プロンプトは前記少なくとも一つの値に基づいて発行される工程と、を有する。
【0095】
プロンプトは、前述のようにユーザインターフェースを使用して、ユーザ(例えば、対象者)に指標を入力させることができる。
【0096】
本発明の方法は、さらに、ユーザインターフェースを介して指標を格納する工程を有する。
【0097】
格納された指標は、例えば、対象者とその医療提供者との間の対話をサポートするために取り出し可能である。この場合、前述のように、対象者の呼吸器疾患の以前の状態の記憶を信頼する必要がない。このような対話は、対面で行われてもよく、リモートであってもよい。
【0098】
非限定的な実施例において、指標および使用パラメータ(例えば、使用の記録および気流に関するパラメータ)を、例えば、処理モジュール内のメモリに格納し、ダッシュボートに表示してもよい。このようなダッシュボートは、対象者の医療提供者が、例えば、さらなるユーザインターフェースを介して表示できる。
【0099】
指標および使用パラメータに基づいて決定された増悪確率、および/または指標に基づかない使用パラメータに基づいて決定された初期増悪確率も、特定の例では、ダッシュボードに表示してもよい。
【0100】
差し迫った増悪の確率の決定は、本明細書で以下により詳細に説明する。
【0101】
コンピュータプログラムも提供されている。このコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、方法を実施するように適合されたプログラムコードを含む。例えば、コンピュータコードは、部分的または全体的に(例えば、ユーザデバイス上に存在するモバイルアプリケーションとして)ユーザデバイスに存在させてもよい。
【0102】
システムについて本明細書に記載されている実施形態は、方法およびコンピュータプログラムに適用可能である。さらに、方法およびコンピュータプログラムについて説明した実施形態は、システムに適用可能である。
【0103】
図1は、非限定的な実施例である吸入器100のブロックダイアグラムを示す。吸入器100は、吸入器100の使用に関連する少なくとも一つの値の使用パラメータを決定する使用決定システム12を備えている。
【0104】
少なくとも一つの値は、任意な適切な方法で吸入器100から処理モジュール(
図1には図示せず)に伝達される。
【0105】
図1および
図3に示す非限定的な実施例において、少なくとも一つの値は、
図1の使用決定システム12を表すブロックと送信モジュール14を表すブロックとの間の矢印に示すように、送信モジュール14によって受信される。送信モジュール14は、少なくとも1つの値に基づいてデータを暗号化し、
図1の送信モジュール14を表すブロックから離れる方向を指す矢印に示すように、暗号化されたデータを送信する。送信モジュール14による暗号化されたデータの送信は、例えば、無線で行われる。
【0106】
使用決定システム12は、少なくとも一つの値を決定するために用いられる一つまたは複数の構成要素を有する。例えば、使用決定システム12は、例えば、それぞれの吸入器の使用前、使用中または使用後に作動するように構成されたメカニカルスイッチを備えている。
【0107】
使用パラメータは、例えば、対象者によって実行されるそれぞれの吸入器100の使用を含む。特に、非限定的な実施例として、少なくとも一つの値は、例えば、それぞれの吸入器100を使用する吸入が決定された場合の「真実」、または、それぞれの吸入器100の使用が決定されていない「間違い」を含む。
【0108】
非限定的な実施例として、吸入器100は、薬剤リザーバー(
図1に図示せず)と、リザーバーからの薬剤の容量を計量するように構成された用量計量アッセンブリ(
図1に図示せず)とを備える。使用決定システム12は、用量計量アッセンブリによる用量の計量を記録するように構成されてもよく、それにより、各計量は、吸入器100の使用(または使用の試み)を示す。用量計量アッセンブリの非限定的な例は、
図23から
図26を用いて詳述される。
【0109】
代替的にまたは追加的に、使用決定システム12は、異なる方法で、および/または追加または代替のフィードバックに基づいて、各吸入を登録してもよい。例えば、使用決定システム12は、適切なセンサ(
図1に図示せず)からのフィードバックが、対象者による吸入が発生したことを示している場合、対象者による吸入器の使用または使用の試みを登録するように構成される。例えば、圧力変化の測定値または流量が、吸入に関連する事前に定義された閾値を超えたとき、および/または、閾値を超える圧力変化の持続時間が、低い持続時間の吸入または良好な持続時間の吸入に関する事前に定義された時間の閾値を超える場合が挙げられる。
【0110】
吸入器の使用(各吸入器の使用)による気流に関するパラメータを決定させるべく例えば、圧力センサ等のセンサが、使用決定システム12に設けられてもよい。圧力センサが使用決定システム12に設けられている場合、圧力センサは、
図2および
図23から
図27において詳述するように、例えば、用量計量アッセンブリを介して計量された用量が対象者によって吸入されたことを確認するか、または、その程度を評価するために使用される。
【0111】
より一般的に、使用決定システム12は、対象者によって実行されるそれぞれの薬剤の吸入中の気流に関連するパラメータを検出するためのセンサを備えてもよい。言い換えると、使用パラメータは、吸入器を有する対象者によって実行される吸入中の気流に関するパラメータを有する。
【0112】
パラメータは、例えば、ピーク吸入流量、吸入量、ピーク吸入流量までの時間および吸入時間の少なくとも一つが含まれる。そのような例において、少なくとも1つの値は、ピーク吸入流量、吸入量、ピーク吸入流量までの時間、および/または吸入期間の数値が含まれる。
【0113】
対象者による吸入時の気流は、関連する圧力変化によって観測することができるため、圧力センサは、パラメータの測定に特に好ましい。
図23から
図27において詳述するように、圧力センサは、吸入中に対象者が空気と薬剤を引き込む流路内に配置させるか、流体と連通して配置させることができる。適切なフローセンサを介するなど、パラメータを測定する別の方法も使用される。
【0114】
吸入は、吸入が行われていないときと比較して、吸入器の気流チャンネル内の圧力の低下に関連している。圧力変化が最大となるポイントは、ピーク吸入流量に対応している。圧力センサは、吸入時のこのポイントを検出する。
【0115】
吸入に関する圧力変化は、代替的にまたは追加的に、吸入量を決定するためにも使用される。これは、例えば、圧力センサによって測定された吸入中の圧力変化を使用して、最初に吸入時間にわたる流量を決定し、そこから総吸入量を導き出すことによって達成することができる。
【0116】
吸入時の圧力変化は、代替的にまたは追加的に吸入時間を決定するのにも使用される。その時間は、例えば、吸入の開始と同時に圧力センサによって測定された圧力の最初の低下から、吸入が行われていないことに対応する戻った圧力まで記録される。
【0117】
吸入パラメータは、代替的にまたは追加的にピーク吸入流量までの時間が含まれる。このピーク吸入流量までの時間パラメータは、例えば、吸入の開始と同時に圧力センサによって測定された圧力の最初の低下から、ピークフローに対応する圧力の最小値に達するまで記録される。
【0118】
図2は、非限定的な例の吸入器100の使用中の流量16に対する時間18のグラフである。この例の使用決定システム12は、吸入器100のマウスピースカバーが開かれたときに作動するスイッチであって、機械的に作動するスイッチを備えている。マウスピースカバーは、グラフの符号20の点で開かれる。この例において、使用決定システム12は、さらに圧力センサを備えている。
【0119】
マウスピースカバーが開かれると、使用決定システム12は、省電力のスリープモードから起こされ、そして、新しい吸入イベントが登録される。吸入イベントには、吸入器100がスリープモードから復帰してから経過する時間(例えば、ミリ秒単位)に対応する開放時間が割り当てられる。グラフの点22は、キャップが閉じられたときまたは点20から60秒経過したことに対応する。点22において、検出が停止する。
【0120】
一度マウスピースカバーが開かれると、使用決定システム12は、圧力センサを用いて空気圧の変化を検知しようとする。空気圧変化の開始は、吸入イベント時間24として登録される。空気圧の変化が最大となる点は、ピーク吸入流量26に対応する。使用決定システム12は、このピーク吸入流量26を、毎分100mlの単位で測定される空気の流れとして記録し、この空気の流れは空気圧の変化から変換される。したがって、この例では、少なくとも1つの値は、毎分100mlの単位でのピーク吸入流量の数値が含まれる。
【0121】
ピーク吸入流量までの時間28は、吸入フロー26がピークに達するのにかかる時間(ミリ秒単位)に対応する。吸入時間30は、ミリ秒単位の吸入全体の持続時間に対応する。グラフ下の面積32は、ミリリットル単位の吸入量に対応する。
【0122】
非限定的な例において、吸入器100は、通常の吸入の場合、吸入の開始後約0.5秒で薬剤が分配されるように構成されている。対象者の吸入では、0.5秒を経過した後にのみピーク吸入流量に達し、約1.5秒後では、呼吸器疾患の制御が困難な対象者であることを部分的に示している可能性がある。ピーク吸入流量に到達する時間は、例えば、対象者、例えば、差し迫った増悪に直面している対象者に対する急性リスクのレベルの上昇を示す。したがって、ユーザが指標を入力するためのプロンプトは、例えば、ピーク吸入流量に到達するまでの所定の時間より、ピーク吸入流量に到達するまでの時間が長いということに基づいて適切(少なくとも部分的に)に発行されることになる。
【0123】
より一般的に、使用決定システム12は、吸入器の吸入/使用を登録し、吸入パラメータを検出するために、それぞれのセンサ(例えば、それぞれの圧力センサ)、または、吸入/使用を登録および吸入パラメータの検出機能の両方を満たすように構成された共通センサ(例えば、共通圧力センサ)を使用してもよい。
【0124】
1つまたは複数の圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、方向センサ、音響センサおよび/または光学センサなどの任意の適切なセンサを使用決定システム12は備えてもよい。圧力センサは、気圧センサ(例えば、大気圧センサ)、差圧センサ、絶対圧力センサなどが挙げられる。センサは、微小電気機械システム(MEMS)および/またはナノ電気機械システム(NEMS)技術を採用することができる。
【0125】
非限定的な例として、使用決定システム12は、差圧センサを備えてもよい。差圧センサは、例えば、対象者が吸入する起動のセクション全体の圧力差を測定するためのデュアルポートタイプのセンサが挙げられる。シングルポートゲージタイプのセンサを使用してもよい。後者は、吸入中と流れがないときの空気通路内の圧力差を測定することによって動作する。読み取り値の違いは、吸入に関連する圧力降下に対応する。
【0126】
さらに非限定的な他の例として、使用決定システム12は、音響センサを含む。この例の音響センサは、対象者がそれぞれの吸入器100を通して吸入するときに生成されるノイズを感知するように構成されている。音響センサは、例えば、マイクロフォンが挙げられる。それぞれの吸入器100は、例えば、対象が装置を通して吸入するときに回転するように配置されたカプセルを備えてもよい。カプセルの回転により、音響センサで検出するためのノイズが発生する。したがって、カプセルの回転は、少なくとも1つの値(例えば、使用および/または吸入のパラメータデータ)を導き出すための適切に解釈可能なノイズ(例えば、ガタガタさせる)を提供する。
【0127】
例えば、アルゴリズムを使用して音響データを解釈し、使用データおよび/または吸入中の気流に関連するパラメータを決定することができる。例えば、P. Colthorpe et al., “Adding Electronics to the Breezhaler: Satisfying the Needs of Patients and Regulators”, Respiratory Drug Delivery 2018, 1 , 71-80によって説明されているアルゴリズムを使用してもよい。生成された音が検出されると、アルゴリズムは生の音響データを処理して、使用および/または吸入パラメータデータに変換する。
【0128】
図3は、非限定的な実施例であるシステム10のブロックダイアグラム図である。システム10は、例えば、代替的に、吸入器アッセンブリと言ってもよい。
【0129】
図3に示すように、システム10は、第1使用決定システム12Aを備えた第1吸入器100Aと、第1送信モジュール14Aとを有する。このシステム10は、さらに、第2使用決定システム12Bを備えた第2吸入器100Bと、第2送信モジュール14Bを有する。第1吸入器は、第1薬剤を送達し、第2吸入器は、第1薬剤とは異なる第2薬剤を送達する。
【0130】
このシステム10は、
図3に示すように、さらに第3使用決定システム12Cを備えた第3吸入器100Cと、第3送信モジュール14Cを有する。第3吸入器100Cは、第1薬剤および第2薬剤とも異なる第3薬剤を送達する。他の実施例として、第3吸入器100Cが含まれないシステム100または第1吸入器100A、第2吸入器100Bおよび第3吸入器100Cに加えて第4、第5吸入器などの吸入器(図示せず)を含んだシステムが挙げられる。代替的または追加的に、システム10は、複数の第1の吸入器100A、複数の第2の吸入器100Bなどを含む。
【0131】
図3に示すように、処理モジュール34は、1つまたは複数の送信モジュール14A、14B、14Cのそれぞれから送信されたそれぞれの暗号化されたデータを受信するように構成されている。これは
図3に示すされるように、送信モジュール14A、14B、14Cに対応する各ブロックと処理モジュール34に対応するブロックとの間の矢印によって表される。第1、第2および/または第3の暗号化されたデータは、前述したように、ワイヤレスで処理モジュール34に送信される。したがって、処理モジュール34は、暗号化されたデータを受信するための適切な受信機またはトランシーバを備えている。処理モジュール34の受信機またはトランシーバは、送信モジュール14A、14B、14Cと同じ通信プロトコルが実装される。したがって、本明細書に記載されるように送信モジュール14A、14B、14Cと同様の通信ハードウェアおよびソフトウェアを含む。
【0132】
吸入器100A、100B、100Cのうちの1つまたは複数(それぞれ)と処理モジュール34との間のブルートゥース通信は、前者から後者へのデータの比較的迅速な送信を可能とする。例えば、データが処理モジュール34に送信されるのにかかる最長時間は、それぞれの吸入器100A、100B、100Cが処理モジュール34のブルートゥース範囲内にある場合、約3分である。
【0133】
処理モジュール34は、本明細書に記載の機能/方法を実行するように構成された適切なプロセッサおよびメモリを備えてよい。例えば、プロセッサは、処理モジュール34の機能を実装するためのコンピュータの実行が可能な命令でプログラムされた汎用プロセッサが挙げられる。またプロセッサは、処理モジュール34の機能を実行するように構成されたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを使用して実装することができる。プロセッサは、処理モジュール34の機能を実行するように構成された組み込みプロセッサまたはデジタル信号プロセッサを使用して実装することができる。一例としてプロセッサは、送信モジュール14A、14B、14Cと通信し、本明細書に記載の処理モジュール34の機能を実行することができるスマートフォンまたは他の家庭用電子機器に実装することができる。例えば、処理モジュール34は、スマートフォンまたは他の消費者向け電子デバイスのプロセッサに、本明細書で説明されるように処理モジュール34の機能を実行させるアプリケーション(例えば、アプリ)を含むスマートフォンまたは消費者向け電子デバイス上に実装されてもよい。
【0134】
システム10は、さらにユーザインターフェース38を備えている。ユーザインターフェース38は、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標の入力を可能にするように構成されている。さらに、ユーザインターフェース38は、前述のように、少なくとも1つの値に基づいて指標を入力するようにユーザ(対象者)にプロンプトを出すように、処理モジュール34によってコントロールされる。
【0135】
処理モジュール34を表すブロックからユーザインターフェース38を表すブロックを指す矢印は、制御信号を表すことを意図している。これにより、ユーザインターフェース38がプロンプトを発行する。この場合、ユーザインターフェース38は、プロンプトを表示することができる任意の適切なディスプレイ、画面、例えば、タッチスクリーンなどを備えている。代替的にまたは追加的に、プロンプトは、音声または音声メッセージを介してユーザインターフェース38によって提供されてもよい。この場合、ユーザインターフェースは、音声または音声メッセージを配信するための適切なラウドスピーカーを備える。プロンプトを発行する数多くの方法が使用される。
【0136】
図3に示される非限定的な例では、ユーザインターフェース38を表すブロックから処理モジュール34を表すブロックを指す矢印は、ユーザインターフェース38を介して入力される指標に関連するデータを受信する処理モジュール34を表す。
【0137】
他の例として、通知の発行と2番目の値の入力には、それぞれ異なるユーザインターフェースが使用される。
【0138】
送信モジュール14A、14B、14Cはそれぞれ、処理モジュール34に(暗号化された)データを送信するものとして
図3に示されている。しかし、これは、処理モジュール34から送信されたデータを受信するそれぞれの吸入器100A、100B、100C、またはその構成要素モジュールを除外することを意図するものではない。
【0139】
図3には示されていないが、処理モジュール34は、例えば、クロックモジュールを備えることができ、それぞれの吸入器100A、100B、100Cのそれぞれは、さらなるクロックモジュールを有してもよい。クロックモジュールによって提供される時間に従って、追加のクロックモジュールを同期させることができる。クロックモジュールは、例えば、処理モジュール34が配置されているタイムゾーンの時間を受信することができる。これは、対象者およびそれらのそれぞれの吸入器100A、100B、100Cの位置の時間に従って、それぞれの吸入器100A、100B、100Cを同期させることができる。そのような例では、処理モジュール34は、それぞれの吸入器100A、100B、100Cのさらなるクロックモジュールを同期させるように構成される。
【0140】
さらに、そのような同期は、例えば、臨床的関連性を有するそれぞれの吸入器100A、100B、100Cの使用の相対的なタイミングを決定することを可能にする基準点を提供する。例えば、このような同期により、対象者が定期的にメンテナンス薬を投与できなかったことと、同じ時にレスキュー吸入器の使用量が増加したこととの間に相関関係を描くことができる。
【0141】
そのような同期は、また、吸入器100の各使用の上記のタイムスタンプを容易にする。
【0142】
この実施形態において、処理モジュール34は、ユーザデバイス40に含まれる第1処理モジュールに少なくとも部分的に含まれる。ユーザデバイス40の第1処理モジュールにおいて、それぞれの吸入器100A、100B、100Cからの使用データの可能な限り多くの処理を実装することによって、それぞれの吸入器100A、100B、100Cの電池寿命は、有利に節約される。ユーザデバイス40は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、およびスマートフォンから選択される少なくとも1つである。
【0143】
代替的にまたは追加的に、ユーザインターフェース38は、ユーザデバイス40の第1のユーザインターフェースによって少なくとも部分的に定義される。ユーザデバイス40の第1のユーザインターフェースは、例えば、スマートフォン40のタッチスクリーンを含むか、またはそれによって定義される。
【0144】
他の非限定的な実施例では、処理モジュールはユーザデバイスに含まれない。処理モジュール34(または処理モジュール34の少なくとも一部)は、例えば、サーバ(リモートサーバ)に提供される。
【0145】
図4は、非限定的な実施例である吸入器100の外部の正面図および背面図である。吸入器100は、トップキャップ102、メインハウジング104、マウスピース106、マウスピースカバー18および空気弁126を有する。マウスピースカバー108は、ハウスピース106および通気孔126を露出させるために開閉できるようにメインハウジングにヒンジで留められている。この吸入器100は、メカニカル用量カウンタ111を含み、この用量カウントを使用して、処理モジュールによって決定された残りの用量回数(使用前に吸入器100に含まれる用量の総数に基づいて、および使用決定システム12によって決定された使用に基づいて)をチェックすることができる。
【0146】
図4に示す非限定的な実施例では、吸入器100には、バーコードが印刷されている。この例のバーコード42は、トップキャップ102の最上面に印刷されたクイックリファレンス(QR)コードである。使用決定システム12および/または送信モジュール14は、例えば、電子モジュール(
図4には見えない)の構成要素として、例えば、トップキャップ102内に少なくとも部分的に配置される。吸入器100の電子モジュールは、
図23から
図26を参照して説明される。
【0147】
QRコードは、
図5でより明確に見ることができ、
図4に示される吸入器100のトップキャップ102の真上からの美観を提供する。QRコード42は、それぞれの吸入器100を処理モジュール34とペアリングする容易な方法を提供することができる。例えば、ユーザデバイス40は、QRコードを読み取るためのカメラなどの適切な光学リーダーを含む。
図6は、ユーザデバイス40(この特定の例ではスマートフォン)に含まれるカメラを使用して、吸入器100を処理モジュール34とペアリングするユーザを示している。
【0148】
他の非限定的な例では、処理モジュール34は、例えば、ユーザインターフェース(タッチスクリーン)を介したそれぞれの識別子を含む英数字キーの手動入力によって、それぞれの吸入器100と対にしてもよい。
【0149】
そのようなバーコード42、例えば QRコードは、吸入器100のそれぞれの薬剤に割り当てられる識別子を含む。表Aは、様々な吸入器100のQRコード42に含まれる識別子の非限定的な例を提供する。
【0150】
【0151】
より一般的には、処理モジュール34は、処理モジュール34とそれぞれの吸入器100とのペアリングが成功した後、ユーザインターフェース38を制御して、ある時点でプロンプトが発行され得ることをユーザに通知するように構成される。例えば、ユーザインターフェース38は、以下のメッセージを発行するように制御される。「いつでも簡単なアンケートが送られる可能性があります。正直に記入してください。」
【0152】
図7Aは、実施例の方法50のフローチャートを提供する。方法50は、対象者による少なくとも一つの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を受け取る工程52を含む。少なくとも1つの値は、前述したように、それぞれの吸入器に含まれる使用決定システムによって決定される。方法50は、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標を入力するためのプロンプトを発行するようにユーザインターフェースを制御する工程を含む。前述したように、発行されるプロンプトは、少なくとも1つの値に依存する。
【0153】
この方法50は、例えば、上記システム10の処理モジュール34に実装されてもよい。いくつかの非限定的な例において、方法50は、スマートフォンまたはタブレットなどのユーザデバイスの処理モジュール34によって実装される。
【0154】
図7Bは、非限定的な例の方法50のグラフベースの描写を示す。吸入器の使用、例えば マウスピースカバーを開くことによって決定されるように、1日あたりに受信したカウントを52Aに示す。ピーク吸入流量、例えば1日あたりの平均ピーク吸入流量を52Bに示す。吸入量、例えば1日あたりの平均吸入量を52Cで示す。
【0155】
図7Bの矢印54は、52A、52B、および/または52Cに基づいてプロンプトを発行するようにユーザインターフェースを制御していることを表している。プロンプトは、例えば、上述したように単純なはい/いいえの質問の1つなどのアンケートに記入することによって、指標を入力するようにユーザに促すことを含む。
【0156】
十分な臨床情報の要件は、対象者に過度の負担をかけないようにすることとバランスが取れていることであるため、特に彼/彼女は症状の増悪に苦しんでいる可能性があるため、上に例示したように、6~9ポイント/6~9質問のアンケートの形式で指標を入力することに特に言及する。
【0157】
図8は、例示的な方法に関連するフローチャートとタイムラインを組み合わせたものを示す。タイムライン(横軸)には、予測される増悪の日(「Day 0」)、増悪の5日前(「Day [-5]」)、および増悪の10日前(「Day [-10]」)が表示されている。
【0158】
図8に示すブロック222は、吸入器使用通知を表す。これは、レスキュー薬および/またはメンテナンス薬の使用に関する通知でもある。ブロック224は、吸入中の気流に関連するパラメータに対応する流量通知である。ブロック225は、「使用」および「フロー」通知を表す。これは、吸入器の使用および吸入パラメータに基づく複合通知でもある。
【0159】
ブロック226は、プロンプトを表す。このプロンプトは、少なくとも一つの値に基づいている。非限定的な例として、プロンプトは、以下でより詳細に説明するように、差し迫った増悪の初期確率決定に基づかせてもよい。
【0160】
図8では、増悪の10日前のブロック223でのアンケートの開始を示している。この開始は、ユーザにアンケートを介して指標を入力するよう求めるプロンプトの発行を伴ってもよい。
【0161】
非限定的な例において、入力された指標に基づいて増悪のリスクが残ると算出された場合、アンケートはブロック230で継続される、または、ユーザは指標を再度入力するよう求められる、または、対象者の呼吸器疾患の状態に関する情報をさらに入力するように求められる。ブロック231は、アンケートの継続、アンケートの繰り返し、またはさらなる入力の受信後でも増悪のリスクが残り、ブロック233において警告または通知が開始される(またはそのような警告または通知がブロック223で開始されている場合は維持される)シナリオを表している。
【0162】
ブロック228は、ブロック223のプロンプトに続いて、ユーザが入力した指標に基づいて増悪リスクがベースラインに戻るシナリオを表している。リスクの警告または通知は、ブロック229で対応されて終了する。
【0163】
同様に、ブロック232は、ブロック230での継続的/更なる入力に続いて、増悪のリスクがベースラインに戻るシナリオを示す。表現を簡単にするために
図8に示されていないが、警告または通知は、ブロック232のベースラインに少なくとも一つの値または増悪のリスク戻った後に終了させてもよい。
【0164】
適合されたコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、前述した方法を実施するコンピュータプログラムが提供される。好ましい形態では、コンピュータプログラムは、例えば、タブレットコンピュータまたはスマートフォンのモバイルデバイスなどのユーザデバイス40用のアプリの形を取る。
【0165】
より一般的には、本開示または、呼吸器疾患の悪化を予測して、患者の治療において早期介入を可能にする治療アプローチに関する。これによって、患者の転帰を改善する。
【0166】
この目的のために、対象者の呼吸器疾患の増悪の確率(または可能性)を決定するためのシステムが提供される。このシステムは、対象者に薬剤を送達するための吸入器アレンジメントを含む。薬剤は、例えば、レスキュー薬またはメンテナンス薬である。レスキュー薬は、例えば、薬剤の吸入時に気管支と細気管支の急速な拡張をもたらすことによって、呼吸器症状の悪化した状態を治療するのに適している。吸入器アレンジメントは、吸入器アレンジメントを使用して対象者によって実行された吸入を決定するように構成された使用決定システムを有する。センサシステムは、吸入中の気流に関連するパラメータを測定するように構成されている。ユーザインターフェースは、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標のユーザ入力を可能とする。処理モジュールは、使用検出システムからの記録された吸入パラメータ、センサシステムから樹脂されたパラメータ、およびユーザインターフェースから受信された指標に基づいて呼吸疾患の悪化の確率を決定するように構成されている。このシステムに関して議論された任意の好ましい実施形態は、本開示の他のシステムおよび方法に適用され得、逆もまた同様である。
【0167】
吸入器アレンジメントは、対象者にレスキュー薬を部分配するための第1の吸入器を含む。したがって、使用検出システムは、レスキュー薬の吸入を決定するように構成されている。
【0168】
代替的にまたは追加的に、吸入器アレンジメントは、対象者にメンテナンス薬を分配するための第2の吸入器を含む。したがって、使用検出システムは、メンテナンス薬の吸入を決定するように構成されている。
【0169】
センサシステムは、レスキュー薬および/またはメンテナンス薬の吸入中にパラメータを測定するように構成することができる。
【0170】
使用検出システムおよびセンサシステムは、例えば、上記の使用決定システムに含まれる。
【0171】
例えば、使用検出システムおよびセンサシステムは、
図1に示される吸入器100の使用決定システム12、または、
図3に示されるシステム10の吸入器100A、100B、100Cの使用決定システム12A、12B、12Cのいずれかに含まれる。
【0172】
レスキュー薬は、上記で定義された通りであり、典型的には、SABAまたはホルモテロール(フマル酸塩)などの急速に発症するLABAである。メンテナンス薬は、例えば、ICS-ホルモテロール(フマル酸塩)、通常はブデソニド-ホルモテロール(フマル酸塩)のコンビネーション製品の形態である。
【0173】
システムは、吸入の数(例えば、最初の期間中)を決定または記録するように構成された処理モジュールをさらに含む。したがって、レスキュー吸入の数および/またはメンテナンス吸入の数を決定することができる。増悪が近づくにつれて、対象者は最初の吸入器をより多く使用する可能性があるため、レスキュー吸入の数は、増悪を予測する要因となる。
【0174】
メンテナンス吸入が少ないと(メンテナンス投薬レジメンのコンプライアンスが不十分であることを示し)、増悪のリスクが高まる可能性があるため、メンテナンス吸入の数は、代替的または追加的に、増悪を予測するための有用な情報を表す。
【0175】
非限定的な例として、最初の吸入器を使用したレスキュー吸入の数の増加(対象者のベースライン期間と比較して)および/または2番目の吸入器を使用した吸入の数の減少(治療レジメンの順守が低いことを示す)は、肺機能の悪化を示す吸入パラメータとともに、呼吸器疾患の増悪の可能性が高くなる可能性がある。
【0176】
非限定的な特別な例において、プロンプトは、過去2週間(例えば、過去2週間の平均吸入量および/または20日間使用しなかった後、2回以上のレスキュー吸入器を使用した最初の日および/または過去7日間のそれぞれについて毎日1回の吸入による使用の毎日の増加)と比較して過去2日間の吸入量が20%減少したことに基づいて発行される。
【0177】
吸入中の気流に関連するパラメータは、対象者の肺機能および/または肺の健康の代用として機能し得るので、このパラメータは、差し迫った増悪の指標の提供となる。
【0178】
より一般的に、使用パラメータの少なくとも1つの値(例えば、吸入器の使用および/または気流に関連するパラメータ)と同様に、プロンプトは、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのさらなる要因に基づいて発行されてもよい。そのような要因は、例えば、対象者の睡眠パターンに関連する睡眠指標、対象者の活動レベルに関連する活動指標、および対象者の位置の天気のうちの1つまたは複数を含む。活動指標は、例えば、対象者が毎日とる歩数を含む。
【0179】
対象者が罹患した呼吸器疾患の状態は、有用な診断情報を提供する。例えば、対象者が同時に罹患している呼吸器疾患の状態は、他の要因(例えば、吸入回数および/または吸入パラメータ)によって示される増悪のリスクが適切に決定されていることの確認を提供する。このように、呼吸器疾患の状態の指標は、例えば、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態を無視した吸入数および吸入パラメータに基づく予測と比較して増悪予測の精度を向上させる可能性がある。
【0180】
喘息やCOPD増悪など、差し迫った呼吸器疾患の増悪のリスクを、対象者に関連するさまざまな環境要因を監視することによって評価する試みがなされてきている。どの要因を考慮に入れるべきか、そしてどの要因を無視するかに関して、課題に直面している。リスク決定に最小限またはごくわずかな影響しか及ぼさない要因を無視することで、たとえば、処理リソース、バッテリ電力、メモリ要件などのより少ない計算リソースを使用して、リスクをより効率的に決定できる。より重要なのは、差し迫った呼吸器疾患の増悪を判断する精度を向上させるための要件である。より正確なリスク決定は、より効果的な警告システムを促進し、適切な臨床的介入が対象者に提供されることである。したがって、増悪のリスクのより正確な評価は、急性リスクのある対象者への介入を導く可能性を秘めている。
【0181】
増悪の可能性を高めるために、治療レジメンの段階の変更は、例えば、より大きな急性リスクのある対象者のために構成されたレジメンに修正される。あるいは、長期間にわたる増悪の可能性が低い場合、確率決定精度の向上は、既存の治療レジメンの格下げまたは除去を正当化するためのガイダンスとして使用することができる。これは、例えば、対象者が、呼吸器疾患の状態にもはや釣り合っていない高用量の薬剤を服用する必要がなくなったことを意味する。
【0182】
本発明者らは、以下により詳細に説明される広範な臨床研究を実施することから、呼吸器疾患の増悪の確率を決定する際の精度の向上は、対象者によって実行された薬剤の吸入の数、および薬剤の吸入中の気流に関連するパラメータの両方による増悪確率の計算に基づくモデルを採用することによって達成できることを見出した。
【0183】
吸入の数は、例えば、最初の期間にわたって記録される。
【0184】
吸入回数とパラメータの両方を使用すると、たとえば、これらの要因のいずれかを無視するモデルよりも正確な予測モデルが得られる。呼吸器疾患の種類に応じて、例えば 喘息またはCOPDの場合、以下でより詳細に説明するように、吸入の数は、吸入パラメータよりも増悪確率の決定において多かれ少なかれ重要である。
【0185】
臨床研究から、レスキュー吸入器の使用に関連する傾向を含むレスキュー吸入の数は、吸入中の気流に関連するパラメータよりも喘息の確率決定においてより重要であることがわかっている。パラメータは、喘息の増悪の可能性を決定する上で依然として重要な要因である可能性があるが、レスキュー吸入の数よりも確率への全体的な影響は少ない。したがって、確率決定の精度のさらなる向上は、レスキュー吸入の数がパラメータよりも確率決定においてより重要であるように予測モデルに重みを付けることによって行うことができる。
【0186】
喘息モデルは、例えば、レスキュー吸入の数に関連する第1の重み係数およびパラメータに関連する第2の重み係数を有する。レスキュー吸入の数(またはレスキュー薬剤の使用の関連する傾向)とパラメータを定量化するために使用されるさまざまな単位を説明するために標準化された場合、最初の重み係数は2番目の重み係数よりも大きくなる。これにより、喘息の確率の決定において、レスキュー吸入の数がパラメータよりも重要になることが保証される。
【0187】
確率の決定は、部分的にレスキュー吸入の数に基づいている。レスキュー吸入の数に基づいて決定することは、モデルが最初の期間中のレスキュー吸入の絶対数および/またはレスキュー吸入の数に基づく1つまたは複数の傾向を使用することを意味する。このような傾向は、レスキュー吸入の数自体ではなく、レスキュー吸入の数の変動である。
【0188】
レスキュー吸入の数に基づく傾向には、たとえば、1日の特定の期間に実行された吸入の数が含まれる。したがって、夜間の吸入の数は、例えば、吸入の数の要因として含まれる。処理モジュールは、例えば、そのような時刻のレスキュー薬の使用を記録するために、適切な時計機能を備えていてもよい。
【0189】
第1の重み係数は、レスキュー吸入の絶対数および/またはレスキュー吸入の数に基づく1つまたは複数の傾向に重みを付けることができる。
【0190】
より一般的な喘息増悪予測の場合、レスキュー吸入の数(例えば、関連する傾向を含む)は、モデル内で(他の要因と比較して)40%から95%、好ましくは55%から95%、より好ましくは60%から85%、最も好ましくは60%から80%(約60%または約80%)の重要性(例、重み付け)を有する。
【0191】
喘息増悪確率の決定は、レスキュー吸入中の気流に関連するパラメータ、および/または、存在する場合、第2の吸入器を使用する通常の吸入中のパラメータに基づくことができる。パラメータは、吸入中の気流に関連する単一の要因に基づかせても、複数の要因に基づかせてもよい。例えば、パラメータは、ピーク吸入流量、吸入量、吸入時間および吸入速度のうちの少なくとも一つでもよい。吸入流量がピークに達するまでの時間は、例えば、吸入速度の尺度を提供する。
【0192】
パラメータに基づく喘息増悪確率の決定は、モデルが吸入中の気流に関連する1つまたは複数の要因および/またはそれぞれの要因に関連する1つまたは複数の傾向を使用することを意味する。このような傾向は、それぞれの事実の変動に対応する。
【0193】
第2の重み係数は、吸入中の気流に関連する1つまたは複数の要素および/またはそれぞれの要素に関連する1つまたは複数の傾向に重みを付けてもよい。
【0194】
より一般的に、吸入パラメータ(それに関連する傾向を含む)は、モデルにおいて2%から49%または2%から30%、好ましくは2%から45%、より好ましくは5%から40%、最も好ましくは10%から35%の重要性/重要性(例えば、重み付け)を有する。
【0195】
喘息増悪の確率は、最初の期間に続く増悪期間内に発生する差し迫った喘息増悪の確率であってもよい。したがって、モデルは、吸入データ、すなわちレスキュー吸入の数およびパラメータデータが収集される最初の期間に続く「増悪期間」と呼ばれる所定の期間中に喘息増悪が発生する確率の決定を可能にする。増悪期間は、例えば、1日から10日、例えば5日である。増悪期間は、そのような期間内の増悪を予測するモデルの能力に基づいて選択することができ、同時に、必要に応じて、適切な治療工程を実行するための適切で十分な所定の期間を保証する。
【0196】
いくつかの実施例では、その精度をさらに改善するために、生体認証パラメータを喘息悪化確率モデルに含めることができる。そのような実施形態では、処理モジュールは、例えば、生体認証パラメータを受け取るように構成される。データ入力ユニットは、例えば、対象者および/または医療提供者が生体認証パラメータを入力できるようにするためにシステムに含まれる。
【0197】
喘息増悪確率モデルは、例えば、生体認証パラメータが確率決定におけるレスキュー吸入の数よりも低い有意性を有するように重み付けされてもよい。言い換えれば、第3の重み係数は、バイオメトリックパラメータ(またはバイオメトリックパラメータ)に関連付けられ、その第3の重み係数は、レスキュー吸入の数に関連付けられた第1の重み係数よりも小さくする。第3の重み係数は、気流に関連するパラメータに関連する第2の重み係数よりも大きくても小さくてもよい。
【0198】
好ましくは、喘息悪化確率モデルの場合、第3の重み係数は、第2の重み係数よりも小さい。したがって、予測力の順に、レスキュー薬の使用が最大の影響を及ぼし、次に吸入パラメータ、次に生体認証パラメータとなる。
【0199】
生体測定パラメータは、例えば、体重、身長、肥満度指数、収縮期および/または拡張期血圧を含む血圧、性別、人種、年齢、喫煙歴、睡眠/活動パターン、悪化歴、対象に投与される他の治療または薬物などから選択される1つまたは複数が挙げられる。一つの実施例において、生体認証パラメータは、年齢、肥満度指数、および悪化の履歴を含む。好ましい実施例では、生体測定パラメータの悪化および病歴、体重指数、および血圧、例えば収縮期および/または拡張期血圧を含む。
【0200】
より一般的に喘息増悪確率の決定の場合、生体認証パラメータは、モデルにおいて1%から15%、好ましくは1%から12%、より好ましくは3%から10%、最も好ましくは4%から10%、例えば、約5%または約8%の有意性/重要性(例えば、重み付け)を有する。
【0201】
非限定的な実施例において、喘息増悪予測の場合、レスキュー吸入の数(関連する傾向を含む)は、モデルにおいて(他の要因と比較して)40%から95%、好ましくは55%から90%、より好ましくは60%から85%、そして最も好ましくは60%から80%の重要性/重要性(例えば、重み付け)を持っている。吸入パラメータ(例えば、関連する傾向を含む)は、モデルにおいて2%から49%、好ましくは2%から45%、より好ましくは5%から40%、そして最も好ましくは10%から35%(例えば、約10%または約35%)の重要性/重要性(例えば重み付け)を持っている。さらに、生体認証パラメータは、モデルにおいて1%から15%、好ましくは1%から12%、より好ましくは3%から10%、最も好ましくは4%から10%(例えば、約5%または約8%)の重要性/重要性(例えば、重み付け)を持っている。
【0202】
より一般的には、天候または汚染レベルに関連する環境データなど、追加のデータソースを喘息悪化予測モデルに追加することもできる。そのような追加のデータは、レスキュー吸入の数よりも確率決定において重要性が低く、任意選択で吸入パラメータデータよりも重要性が低いように重み付けすることができる。
【0203】
一般的に、喘息増悪確率の決定の場合、レスキュー吸入の数(例えば、レスキュー吸入の数の関連する傾向を含む)が確率決定の最も重要な要因である。
【0204】
特定の例において、メンテナンス薬レジメンの順守が80%から55%に減少し、レスキュー吸入器の使用が67.5%増加し、ピーク吸入流量が34%減少し、吸入量が23%減少し(すべて患者のベースラインからの変化)、前年の2つの増悪、および28を超えるBMIは、ROC-AUCが0.87(
図13および22の説明を参照)で、今後5日間で喘息増悪の可能性がある。
【0205】
COPD増悪予測に目を向けると、レスキュー吸入の数とパラメータの両方を使用すると(喘息増悪の場合と同様に)、たとえば、これらの要因のいずれかを無視するモデルよりも正確な予測モデルが得られる。さらに、さらなる臨床研究から、パラメータに関連する傾向を含む吸入中の気流に関連するパラメータが、レスキュー吸入の数よりもCOPD増悪確率の決定においてより重要であることが見出された。レスキュー吸入の数は、増悪の確率を決定する上で依然として重要な要因であるが、パラメータよりも確率に与える全体的な影響は少ない可能性がある。したがって、確率決定の精度のさらなる向上は、パラメータがレスキュー吸入の数よりも確率決定においてより重要であるようにモデルに重みを付けることで可能となる。
【0206】
COPD増悪予測モデルは、例えば、パラメータに関連付けられた第1の重み係数および吸入の数に関連付けられた第2の重み係数を有する。レスキュー吸入の数(またはレスキュー医薬品の使用の関連する傾向)とパラメータを定量化するために使用されるさまざまな単位を説明するために標準化する場合、第1の重み係数は、第2の重み係数よりも大きくてもしてもよく、これにより、COPD増悪確率の決定において、レスキュー吸入の数よりもパラメータの方が重要であることが保証される。
【0207】
COPD増悪確率の決定は、レスキュー吸入中の気流に関連するパラメータに基づいてもよく、および/または、存在する場合は第2の吸入器を使用する通常の吸入中の気流に関連するパラメータに基づいてもよい。パラメータは、吸入中の気流に関連する単一の要素に対応させてもよく、または複数のそのような要素を含めてもよい。例えば、パラメータは、ピーク吸入流量、吸入量、吸入持続時間、および吸入速度のうちの少なくとも1つが挙げられる。吸入流量がピークに達するまでの時間は、例えば、吸入速度の尺度を提供する。
【0208】
パラメータに基づく決定は、モデルが吸入中の気流に関連する1つまたは複数の要素および/またはそれぞれの要素に関連する1つまたは複数の傾向を使用することを意味する。このような傾向は、それぞれの要因の変動に対応している。
【0209】
第1の重み係数は、吸入中の気流に関連する1つまたは複数の要素、および/またはそれぞれの1つまたは複数の要素に関連する1つまたは複数の傾向に重きを置いてもよい。
【0210】
より一般的には、COPD増悪確率の決定のために、レスキュー吸入中および/または通常の吸入中の気流に関連するパラメータ(例えば、関連する傾向を含む)は、モデルにおいて(他の要因と比較して)55%から95%、好ましくは65%から90%、最も好ましくは75%から85%(例えば、約80%)の重要性/重要性(例えば重み付け)を有する。
【0211】
COPD増悪確率の決定は、レスキュー吸入の数に部分的に基づいていてもよい。レスキュー吸入の数に基づいて決定することは、モデルが最初の期間中のレスキュー吸入の絶対数および/またはレスキュー吸入の数に基づく1つまたは複数の傾向を使用することを意味する。このような傾向は、レスキュー吸入の数自体ではなく、レスキュー吸入の数の変動である。
【0212】
第2の重み係数は、レスキュー吸入の絶対数および/またはレスキュー吸入の数に基づく1つまたは複数の傾向に重みを付けてもよい。
【0213】
レスキュー吸入の数に基づく傾向には、たとえば、1日の特定の期間に実行された吸入の数が含まれる場合がある。したがって、夜間の吸入の数は、例えば、吸入の数の要因として含まれる。
【0214】
より一般的には、COPD増悪予測の決定では、レスキュー吸入の数(関連する傾向を含む)は、モデルで2%から30%、好ましくは5%から25%、そして最も好ましくは10%から20%(例えば、約15%)の重要性/重要性を有する。
【0215】
COPD増悪の確率は、最初の期間に続く増悪期間内に発生する差し迫ったCOPD増悪の確率であってもよい。したがって、モデルは、吸入データ、すなわちレスキュー吸入の数およびパラメータデータが収集される最初の期間に続く「増悪期間」と呼ばれる所定の期間中に発生するCOPD増悪の確率を決定する。増悪期間は、例えば、1日から10日、例えば5日である。増悪期間は、そのような期間内の増悪を予測するモデルの能力に基づいて選択することができ、同時に、必要に応じて、適切な治療工程を実行するための適切で十分な所定の期間を保証する。
【0216】
いくつかの実施形態では、生体認証パラメータをCOPD増悪予測モデルに含めて、その精度をさらに改善することができる。そのような実施形態では、処理モジュールは、例えば、生体認証パラメータを受け取るように構成される。データ入力ユニットは、例えば、対象および/または医療提供者が生体認証パラメータを入力できるようにするためにシステムに含まれる。
【0217】
COPD増悪予測モデルは、例えば、生体認証パラメータが確率決定におけるレスキュー吸入の数よりも低い有意性を有するように重み付けされてもよい。言い換えれば、第3の重み係数は、バイオメトリックパラメータ(またはバイオメトリックパラメータ)に関連付けられ、その第3の重み係数は、レスキュー吸入の数に関連付けられた第1の重み係数よりも小さくする。第3の重み係数は、気流に関連するパラメータに関連する第2の重み係数よりも大きくても小さくてもよい。
【0218】
好ましくは、COPD増悪予測のために、第3の重み係数は、第2の重み係数よりも小さい。したがって、予測力の順に、吸入中の気流に関連するパラメータが最大の影響を及ぼし、次にレスキュー吸入の数、次に生体認証パラメータとなる。
【0219】
喘息俗悪の予測において前述したように、生体測定パラメータは、例えば、体重、身長、肥満度指数、収縮期および/または拡張期血圧を含む血圧、性別、人種、年齢、喫煙歴、睡眠/活動パターン、悪化歴、対象に投与される他の治療または薬物などから選択される1つまたは複数が挙げられる。好ましい実施例において、生体認証パラメータは、年齢、肥満度指数、および悪化の履歴を含む。
【0220】
より一般的には、COPD増悪予測の場合、生体認証パラメータは、モデルにおいて1%から12%、好ましくは3%から10%、最も好ましくは4%から6%(例えば、約5%)で有意性/重要性(例えば、重み付け)を有する。
【0221】
気象や汚染レベルに関連する環境データなど、追加のデータソースをCOPD増悪予測モデルに追加してもよい。そのような追加のデータは、吸入パラメータデータよりも確率決定において重要性が低く、任意選択でレスキュー吸入データの数よりも重要性が低いように重み付けすることができる。
【0222】
呼吸器疾患に関係なく、モデルは線形モデルでも非線形モデルでもかまわない。モデルは、例えば、機械学習モデルであってもよい。たとえば、教師あり機械学習モデルなどの教師ありモデルを使用できる。採用されたモデルの特定のタイプに関係なく、モデルは、前述のように呼吸器疾患に応じて、吸入回数または吸入パラメータに対してより敏感になるように、すなわち応答するように構築される。加重モデルの「重み付け」に対応するのは、この感度である。
【0223】
非限定的な例では、モデルはデシジョンツリーテクニックを使用して構築される。ニューラルネットワークまたは深層学習モデルを構築するなどの他の適切な技術もまた、当業者によって企図される。
【0224】
予測される呼吸器疾患の増悪に関係なく、システムの処理モジュールは、吸入の数、吸入パラメータ、および対象者が経験している呼吸器疾患の状態の指標に基づいて、増悪の確率を決定する。予測に指標を含めると、予測の精度が向上させることができる。これは、ユーザ入力の指標が、例えば、そのようなユーザ入力の指標なしでの吸入数および吸入パラメータの考慮から得られるものと比較して、確率評価の予測値を検証または強化するのに役立つためである。
【0225】
一つの実施形態として、処理モジュールは、記録された1つまたは複数の吸入、および受信した1つまたは複数の吸入パラメータに基づいて、呼吸器疾患の増悪の初期確率を決定するが、指標には基づいていない。初期確率は、例えば、上述の喘息増悪予測やCOPD増悪の予測のように加重モデルと使用して計算される。次に、確率、すなわち全体的な確率は、吸入、パラメータ、および対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の受け取った指標に基づいて決定する。例えば、全体的な確率は、初期確率および受信された指標に基づいて決定される。
【0226】
初期確率は、例えば、その後の10日間の増悪のリスクを決定する。対象者が罹患している呼吸器疾患の状態を示す全体的な確率は、例えば、その後の5日間の増悪のリスクを決定する。したがって、確率の決定に指標を含めることで、より正確な短期予測が可能になる。
【0227】
確率決定にユーザ入力の指標を含めることにより、正と負の予測値、予測の感度(つまり、リスクのある人を正しく識別するシステム/メソッドの機能(真の陽性率))、予測の特異性(つまり、リスクのないもの(真の陰性率)を正しく識別するシステム/メソッドの機能))のうちの1つまたは複数を強化することができる。
【0228】
吸入および吸入パラメータデータは、例えば、増悪の10日前という早い時期に対象者のベースラインからの逸脱を示している可能性がある。後続の予測にユーザ入力の指標を含めることにより、正と負の予測値、および予測システム/方法の感度と特異性を向上させることができる。
【0229】
処理モジュールは、例えば、ユーザが指標を入力するようにユーザにプロンプトを発行するようにユーザインターフェースを制御する。プロンプトは、記録された吸入および吸入パラメータから決定された初期確率に基づいて、すなわち、上記の使用パラメータの少なくとも1つの値に基づいて発行される。
【0230】
非限定的な実施例として、プロンプトはメッセージを含む。そのようなメッセージは、例えば、ユーザインターフェースに含まれるディスプレイを介してユーザに表示される。メッセージとしては、たとえば、次のように「今後10日以内に喘息/COPDの増悪を経験するリスクがある可能性があります。次の簡単な質問に答えることで、リスクのレベルをより適切に評価できます。」と記載する。
【0231】
例えば、プロンプトは、所定の閾値に到達するかまたはそれを超える初期確率に基づいて発行されてもよい。このようにして、ユーザは、潜在的な差し迫った増悪を示す初期確率に基づいて指標を入力するようにシステムによって促される。そして、ユーザが指標を入力することにより、指標も考慮に入れた(全体の)確率は、初期確率を確認または検証するのに役立つ。
【0232】
この場合、最初の増悪確率の決定は、例えば、喘息およびCOPD増悪確率の決定に関して上記のタイプの加重モデルに基づくことができる。
【0233】
これは、たとえば、表示の「分析データ駆動型」の使用、つまり、吸入および/または吸入パラメータデータが対象者の呼吸器疾患の増悪の可能性を示している場合、ユーザ入力はユーザインターフェースを介して促される、と見なすことができる。
【0234】
このプロンプトがいつ提供されるかを決定する論理(例えば、ポップアップ通知)は、例えば、前述のように、レスキューおよび/またはコントローラ吸入の数および/または時間の変化、ならびに吸入パラメータなどの主要な変数のシフトによって駆動される。
【0235】
代替的にまたは追加的に、システムは、ユーザがユーザインターフェースを介して指標を入力することを選択したときに表示を受信するように構成されてもよい。たとえば、医療提供者が、その適応症が初期確率の決定を有効に強化する可能性があると判断した場合がある。これは、たとえば、表示の「要求に応じた」使用、つまり、患者またはその医師によって行われている要求(医療専門家による評価の前または最中)と見なすことができる。
【0236】
このようにして、システムおよび/または医療提供者によってこれが必要であるとみなされた場合にのみ、ユーザは指標を入力するように促される。これは、対象者への負担を有利に軽減し、対象者がそうするように求められたときまたは促されたとき、すなわち、対象者の呼吸器疾患のモニタリングに関してそのような入力が望ましい場合に、対象者が指標を入力する可能性を高める。したがって、これらの実施形態における指標の入力の順守は、対象者が指標を入力するように日常的に促されるシナリオよりも可能性が高い。
【0237】
代替的にまたは追加的に、アラートは、所定の閾値に到達するかまたはそれを超える決定された初期および/または全体の確率に基づいて、ユーザインターフェースによって発行されてもよい。アラートは、例えば、対象が彼らのヘルスケア専門家(HCP)またはケアマネージャーに連絡するためのメッセージを含む。
【0238】
非限定的な例では、アラートは、「HCPまたはケアマネージャーにできるだけ早く連絡してください」というメッセージおよび/または「HCPが合意したアクションプランの手順に従ってください」というメッセージがある。
【0239】
他の例では、アラートは次に示すように、「過去X日間に、吸入器の使用量の変化(増加/減少)が検出されました(多すぎる、夜間....)。喘息コントロールのレベルとそれを改善する機会について話し合うために医師に連絡してください。」のメッセージがある。
【0240】
通知は、例えば、使用パラメータ(例えば、吸入器の使用および/または気流に関連するパラメータ)の少なくとも1つの値がベースラインに戻ったことを対象に通知するために発行されてもよい。このような通知には、たとえば、「使用パターンがベースラインレベルに戻っています」というメッセージがある。
【0241】
より一般的には、ユーザインターフェースによるそのようなアラートの発行は、例えば、前述のように、吸入器の使用パターンおよび/または吸気流特性に関して、患者のベースラインおよび/または臨床ガイドラインからの検出された逸脱(偏差)に基づくことができる。
【0242】
このような逸脱(偏差)は、最初に使用パラメータ(吸入器の使用および/または気流に関連するパラメータ)の少なくとも1つの値を決定し、オプションで少なくとも 1つのさらなる要因(上記の睡眠インジケーター、活動インジケーター、および/または対象者の場所の天気など)を考慮して検出される。
【0243】
対象者における呼吸器疾患の増悪の確率を決定するための方法が提供される。この方法は、対象者が行った薬剤の吸入または吸入を記録する工程:吸入または吸入中に感知された気流に関連するパラメータを受信する工程:対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標の入力を受け取る工程:記録された1つまたは複数の吸入、1つまたは複数のパラメータ、および受け取った指標に基づいて、呼吸器疾患の増悪の可能性を判断する工程を有する。
【0244】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると、上記の方法を実施するように適合されたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムも提供される。好ましい実施形態では、コンピュータプログラムは、例えば、タブレット コンピュータやスマートフォンなどのモバイル デバイス用のアプリなどのアプリの形をとる。
【0245】
さらに提供されるのは、対象者における呼吸器疾患の増悪を治療するための方法である。この方法は、上記で定義した方法を実行する方法であり、確率が所定の上限閾値に達するか超えるかどうかを判断する工程;または、確率が所定の下限閾値に達するか、それよりも低いかどうかを判断する工程;および所定の上限閾値に到達または超える確率に基づいて、呼吸器疾患の増悪を治療する工程;または、所定の下限閾値に到達するか、それよりも低い確率に基づいて、呼吸器疾患の増悪を治療する工程を有する。
【0246】
治療は、例えば、確率が所定の上限閾値に達するか、またはそれを超えたときに吸入器を使用して対象者にレスキュー薬を送達する。
【0247】
治療は、既存の治療を修正することを含み得る。既存の治療は、第1の治療レジメンを含んでもよい。そして、既存の喘息の治療を変更する方法として、所定の上限閾値に達するかまたは超える可能性に基づいて、第1の治療レジメンから第2の治療レジメンに変更することを含んでもよい。ここで、第2の治療レジメンは、第1の治療レジメンよりも呼吸器疾患増悪のリスクが高くなるように構成されている。
【0248】
加重モデルを使用したより正確なリスク決定は、より効果的な警告システムを容易にし、適切な臨床的介入を対象者に提供できる。したがって、増悪のリスクをより正確に評価することで、急性リスクのある対象者への介入を導く可能性がある。特に、介入は、第2の治療計画を実施することを含む。これには、たとえば、GINAまたはGOLDガイドラインで指定されているより高いステップに対象者を進めることが含まれる。そのような予防的介入は、第2の治療レジメンへの進行が正当化されるために、対象者が増悪に苦しみ、関連するリスクにさらされる必要がないことを意味する。
【0249】
一実施形態では、第2の治療レジメンは、生物学的薬剤を対象に投与することを含む。生物学的製剤のコストが比較的高いということは、生物学的薬剤の投与を含むように対象者の治療を強化するには、慎重な検討と正当化を必要とする。本開示によるシステムおよび方法は、生物学的薬剤の投与を正当化するために、対象者が増悪を経験するリスクに関して信頼できる測定基準を提供することができる。例えば、決定された確率が、所定の最小回数で増悪のリスクが高いことを示す上限閾値に達するか、または超える場合、生物学的製剤の投与は量的に正当化され、それに応じて生物学的薬剤を投与することができる。
【0250】
より一般的に、生物学的薬剤は、オマリズマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ、およびデュピルマブのうちの1つ以上を含む。
【0251】
既存の呼吸器疾患の治療を変更する方法として、所定の下限閾値に到達するかまたはそれよりも低い確率に基づいて、第1の治療レジメンから第3の治療レジメンに変更することを含んでもよい。ここで、第3の治療レジメンは、第1の治療レジメンよりも呼吸器疾患増悪のリスクが低くなるように構成されている。
【0252】
たとえば、比較的長期にわたる増悪の可能性が低い場合、確率決定の精度の向上は、既存の治療レジメンの格下げまたは削除を正当化するためのガイダンスとして使用できる。特に、対象者は、第1の治療レジメンから、第1の治療レジメンよりも呼吸器疾患の増悪のリスクが低くなるように構成された第3の治療レジメンに移されてもよい。これは、例えば、GINAまたはGOLDガイドラインで指定されたより低いステップに対象者を進めることが含まれる。
【0253】
呼吸器疾患の増悪を診断する方法が提供される。この方法は、上記で定義された対象者における喘息増悪の確率を決定するための方法を実行する工程;確率が、呼吸器疾患の増悪を示す所定の上限閾値に達するか、または超えるかどうかを決定する工程;所定の上限閾値に到達するかまたは超える確率に基づいて、呼吸器疾患の増悪の診断する工程を含む。
【0254】
対象者における呼吸器疾患の急性重症度を診断するための方法も提供される。この方法は、上記で定義した対象における呼吸器疾患増悪の確率を決定するための方法の実行する工程;確率が、呼吸器疾患がより重症であることを示す所定の上限閾値に達するか、または超えるかどうかを決定する工程;または、確率が、喘息の重症度が低いことを示す所定の下限閾値に達するか、またはそれよりも低いかどうかを決定する工程;および所定の上限閾値に達するか超える確率に基づいて、より高い重大度の診断をする工程;または所定の下限閾値に達するか、またはそれよりも低い確率に基づいて、より低い重大度の診断をする工程を含む。
【0255】
さらに提供されるのは、対象の部分母集団を区別するための方法である。この方法は、対象集団の各対象について上記で定義された方法を実行し、それによって、集団の各対象についての呼吸器疾患の増悪の確率を決定する工程;母集団の残りについて決定された確率から部分母集団について決定された確率を区別する閾値確率または確率の範囲を提供する工程;閾値確率または確率の範囲を使用して、母集団の残りの部分から部分母集団を区別する工程を含む。
【0256】
喘息増悪の可能性に影響を与える要因を評価するために、臨床研究が実施されている。以下は、説明的で非限定的な例である。
【0257】
この12週間の非盲検試験において、Teva Pharmaceutical Industries が販売する ProAir Digihaler を使用してアルブテロールが投与された。しかし、この試験の結果は、他の種類のデバイスを使用して送達される他のレスキュー薬にも一般的に適用できる。
【0258】
増悪しやすい喘息の患者(18歳以上)が研究に参加した。患者は、必要に応じて ProAir Digihaler (アルブテロール90megをラクトース キャリアと共に硫酸塩として、4時間ごとに1~2回吸入)を使用した。
【0259】
Digihaler の電子モジュールは、各使用、つまり各吸入、および各吸入中の気流に関連するパラメータ(最大吸気流量、吸入量、最大流量までの時間、および吸入持続時間)を記録した。吸入器からデータをダウンロードし、臨床データとともに機械学習アルゴリズムを適用して、差し迫った増悪を予測するモデルを開発した。
【0260】
この例における臨床的喘息増悪(CAE)の診断は、米国胸部学会/欧州呼吸器学会の声明に基づいている (H.K. Reddel et al., Am J Respir Crit Care Med. 2009, 180(1), 59-99)。これには、「重度のCAE」または「中等度のCAE」の両方が含まれる。
【0261】
重度のCAEは、少なくとも3日間の経口ステロイド(プレドニゾンまたは同等物)および入院を必要とする喘息の増悪を伴うCAEとして定義される。中程度のCAEは、少なくとも3日間または入院のために経口ステロイド(プレドニゾンまたは同等物)が必要と定義される。
【0262】
図13を参照してより詳細に説明されるように、生成されたモデルは、受信者動作特性(ROC)曲線分析によって評価された。
【0263】
この研究の目的と主要評価項目は、Digihaler によって取得されたアルブテロール使用のパターンと量を、単独で、および吸入中の気流、身体活動、睡眠、睡眠中等やCAEの前の気流に関連するパラメータなどの他の研究データと組み合わせて調査することである。この研究は、統合センサを搭載し、吸入パラメータを測定できるレスキュー薬吸入器デバイスの使用に由来するCAEを予測するモデルを開発する最初の成功した試みを表す。
【0264】
図9は、それぞれのDigihalerによって3人の異なる患者について記録された異なる吸入パターンを示す3つのタイムラインを示す。最上部のタイムラインは、問題の患者が一度に1回吸入することを示す。一番下のタイムラインは、問題の患者が1回のセッションで2回以上連続して吸入したことを示す。「セッション」という用語は、この文脈では、連続する吸入の間が60秒以内の一連の吸入として定義される。中央のタイムラインは、問題の患者がさまざまなパターンで息を吸っていることを示す。したがって、Digihalerは、レスキュー吸入回数を記録するだけでなく、使用パターンを記録するように構成される。
【0265】
360人の患者がDigihaler から有効な吸入を1回以上実行したことがわかった。これらの360人の患者が分析に含まれる。これらのうち、64人の患者が合計78件のCAEを経験した。
図10は、レスキュー吸入の平均回数(縦軸)対喘息増悪からの日数(横軸)のグラフ330を示す。
図10は、増悪が起こる日の前後14日間のリスク期間中のデータを示す。ライン332は、リスク期間中のレスキュー吸入の1日平均回数に対応する。ライン332は、ライン334で表される、リスク期間外のベースライン平均1日あたりのレスキュー吸入回数よりもy軸上で高くなっている。参考までに、
図10は、ライン336で表される、増悪を経験しなかった患者のベースラインの1日あたりのレスキュー吸入数をさらに提供する。
【0266】
図11は、レスキュー吸入の平均回数(縦軸)対喘息増悪からの日数(横軸)の別のグラフ330を示す。
図11は、増悪が起こった日の前後 50日間のデータを示す。
図11は、ライン334で表される、リスク期間外のベースライン平均1日あたりのレスキュー吸入数と比較して、増悪が起こる日が近づくにつれてレスキュー吸入器の使用が著しく増加することを示す。
【0267】
図12は、喘息増悪からの日数(横軸)に対する、それぞれのベースライン値に対するレスキュー吸入回数および気流に関する様々なパラメータの変化率(%)(縦軸)を示す4つのグラフを示す。
【0268】
グラフ340は、喘息増悪からの日数(横軸)に対するベースライン(リスク期間外)に対するレスキュー吸入回数の変化率(%)(縦軸)をプロットしている。レスキュー吸入の回数は、増悪直前のベースラインと比較して90% 増加することがわかった。
【0269】
グラフ342は、喘息増悪からの日数(横軸)に対するベースラインに対する毎日の最小ピーク吸入流量の変化率(%)(縦軸)をプロットしている。グラフ342は、増悪に至るまでの数日間、毎日の最小ピーク吸入流量が一般に減少することを示している。増悪直前のベースラインと比較して、毎日の最小ピーク吸入流量が12%減少することがわかった。
【0270】
グラフ344は、喘息増悪からの日数(横軸)に対するベースラインに対する1日の最小吸入量の変化率(%)(縦軸)をプロットしている。グラフ344は、毎日の最小吸入量が一般に増悪に至るまでの数日間減少することを示している。1日の最小吸入量は、増悪直前のベースラインと比較して20%減少することがわかった。
【0271】
グラフ346は、喘息増悪からの日数(横軸)に対するベースラインに対する毎日の最小吸入持続時間の変化率(%)(縦軸)をプロットしている。グラフ346は、毎日の最小吸入持続時間が増悪に至るまでの日数で一般に減少することを示している。1日の最小吸入時間は、増悪直前のベースラインと比較して15%から20%減少することが判明した。
【0272】
最初の加重予測モデルの構築において、特にCAEの5日前の期間中の喘息増悪の最も強力な予測因子は、1日あたりのレスキュー吸入の平均回数であることがわかった。気流に関連するパラメータ、つまり最大吸入流、吸入量、および/または吸入持続時間も、有意な予測値を持つことがわかった。
【0273】
最初の加重予測モデルでは、喘息増悪の確率を決定する際の最も重要な特徴は次のとおりであることがわかった。レスキュー吸入回数61%;吸入傾向16%;ピーク吸入流量13%;吸入量8%;および夜のアルブテロール使用2%。このような吸入機能は Digihaler によって収集され、最大吸入流量、最大吸入流量までの時間、吸入量、吸入時間、夜間の使用、およびこれらのパラメータの経時的な傾向が記録された。
【0274】
吸入傾向は、過去3日間と比較した今日の吸入量の変化率など、人為的に作成または「設計」されたパラメータである。もう1つの例は、過去3日間と比較した今日のレスキュー吸入数の変化である。それぞれの傾向は、これらの例では、吸入量またはレスキュー吸入の回数自体ではなく、これらのそれぞれの変動である。
【0275】
上記の結果に基づいて、最初の加重予測モデルが開発され、喘息増悪の確率が決定された。教師あり機械学習テクニック、Gragient Boosting Trees、を使用して、分類問題(次のx日間の悪化(悪化期間)のはい/いいえ)を解決した。
【0276】
Gragient Boosting Trees技術は、当技術分野で周知である(J.H. Friedman, Computational Statistics & Data Analysis 2002, 38(4), 367-378; およびJ.H. Friedman et al., The Annals of Statistics 2000, 28(2), 337-407 The Annals of Statistics 2000, 28(2), 337-407、参照)。基本予測モデルのアンサンブル (複数の学習アルゴリズム) の形で予測モデルを生成する。これは意思決定ツリー(意思決定とその結果のツリーのようなモデル)である。最適化アルゴリズムを使用して適切な損失関数(データのインスタンスの推定値と真の値の差の関数)を最小化することにより、単一の強力な学習者モデルを反復的に構築する。最適化アルゴリズムは、応答変数の既知の値(今後のx日間の悪化はあり/なし)とそれに対応する予測子の値(特徴と設計された特徴のリスト)のトレーニングセットを使用して、損失関数の期待値を最小化する。学習手順は、応答変数のより正確な推定値を提供するために、新しいモデルを連続的に適合させる。
【0277】
表Bは、第1の重み予測モデルに含まれる要因の例示的なリストを、それらの互いに対する相対的な重みとともに提供する。
【0278】
【表B】
※「正規化された」という用語は、それぞれのベースライン対して相対的であることを意味する。
【0279】
差し迫った喘息増悪の確率を決定するための予測モデルの重要な要因は、レスキュー吸入回数に関連する傾向を含むレスキュー吸入回数であるが、予測モデルは、吸入中の気流に関連するパラメータでこれを補足することによって強化されている。
図13は、モデルの受信者動作特性(ROC)曲線分析を示す。これは、偽陽性率(横軸)に対して真陽性率(縦軸)をプロットすることにより、モデルの品質を評価する。この最初の加重予測モデルは、上記の関連する特徴を使用して、その後5日間にわたる切迫した増悪をAUC値0.75で予測している。レスキュー吸入数のみに基づく機能を使用する場合、AUC値は0.69だった。
【0280】
したがって、吸入中の気流に関連するパラメータは、レスキュー吸入の回数よりも確率への全体的な影響が少ないにもかかわらず、レスキュー吸入の回数以外の要因と共通して、喘息増悪の確率を決定できる精度を改善する上で重要な要因を表す。
【0281】
最初の加重予測モデルを改善するために、同じデータを使用して2番目の加重予測モデルが開発された。モデリングには、生体認証パラメータが含まれている。具体的には、病歴、体格指数(BMI)、血圧などの症例報告書(CRF)データを Digihaler データと組み合わせ、予測モデルを改良するために機械学習アルゴリズムにかけた。
【0282】
アルゴリズムは、Digihaler から収集された患者固有の吸入情報、年齢、BMI、血圧、過去12か月間の増悪と入院の数に基づいてトレーニングされた。ベースラインの特徴と予測前の特徴、2つの比較、およびこれらの特徴の変化の傾向は、教師あり機械学習アルゴリズムにかけられた。パフォーマンス メトリックを比較するために4分割クロス検証手法が使用され、最適なアルゴリズムとして勾配ブースティングツリーが選択された。前述のように、生成されたモデルは、受信者動作特性曲線下面積 (ROC AUC)分析によって評価された。
【0283】
表Cは、第2の加重予測モデルに含まれる要因の例示的なリストを、それらの互いに対する相対的な重みとともに提供する。
【0284】
【0285】
この2番目の加重予測モデルは、その後5日間にわたる差し迫った増悪を予測し、AUC値は0.83であった。2番目の加重予測モデルの感度は68.8%、特異度は89.1%であった。したがって、この第2の加重予測モデルは、AUCが0.75であった上記の第1の加重予測モデルよりも改善された喘息増悪予測モデルを示した。第2の加重予測モデルのさらなる改良は、少なくとも部分的に、生体認証パラメータを含めることに帰することができる。
【0286】
より一般的には、レスキュー吸入回数が決定される最初の期間は、3日から8日などの1日から15日である。そのような最初の期間にわたるレスキュー吸入の数を監視することは、喘息増悪の確率の決定において特に効果的である。
【0287】
パラメータがピーク吸入流量を含む場合、方法は、第2の期間中に実行された吸入について測定されたピーク吸入流量から最小または平均ピーク吸入流量などのピーク吸入流量を決定することをさらに含ませることができる。第2の期間に関する「第2の」という用語は、ピーク吸入流量をサンプリングする期間を、レスキュー吸入数がサンプリングされる第1の期間と区別するためのものである。第2の期間は、第1の期間と少なくとも部分的に重なるか、または第1および第2の期間が同時であってもよい。
【0288】
したがって、喘息増悪の確率を決定するステップは、最小または平均ピーク吸入流量に部分的に基づくことができる。第2の期間は、例えば、1日などの1日から5日であり得る。第2の期間は、第1の期間に関して上で説明した考慮事項と同様の方法で、適切な指示値のピーク吸入流量データを収集するのに必要な時間に従って選択することができる。
【0289】
喘息増悪の確率を決定することは、例えば、
図12のグラフ342によるように、ベースラインピーク吸入流量に対する最小または平均ピーク吸入流量の変化に部分的に基づくことができる。
【0290】
増悪を予測する際の精度を向上させるために、ベースラインに対する最小または平均ピーク吸入流量の変化は、例えば、50%以上または90%以上など、10%以上である。ベースラインは、例えば、増悪が起こっていない期間、例えば1~20日間にわたって測定された毎日の最小ピーク吸入流量を使用して決定される。代替的または追加的に、最小または平均ピーク吸入流量は、絶対値に対して評価することができる。
【0291】
この方法は、第3の期間中に実行された吸入について測定された吸入量から、最小または平均吸入量などの吸入量を決定することをさらに含ませてもよい。第3の期間に関する「第3の」という用語は、吸入量をサンプリングするための期間を、レスキュー吸入回数がサンプリングされる期間の吸入中の第1の期間およびピーク吸入流量データがサンプリングされる期間の第2の期間から区別するためのものである。第3の期間は、第1の期間および/または第2の期間と少なくとも部分的に重複し得るか、または第3の期間は、第1の期間および第2の期間のうちの少なくとも1つと同時である。
【0292】
したがって、喘息増悪の可能性を決定するステップは、最小または平均吸入量に部分的に基づくことができる。第3の期間は、例えば、1日などの1日から5日である。第3の期間は、第1の期間に関して上で説明した考慮事項と同様の方法で、適切な指標値の最小吸入量データを収集するのに必要な時間に従って選択することができる。
【0293】
喘息増悪の確率を決定することは、例えば、
図12のグラフ344によるように、ベースライン吸入量に対する最小または平均吸入量の変化に部分的に基づくことができる。
【0294】
増悪を予測する際の精度を高めるために、ベースラインに対する最小または平均吸入量の変化は、例えば、10%以上、例えば50%以上または90%以上である。ベースラインは、例えば、増悪が起こっていない期間、例えば1~10日間にわたって測定された1日の最小吸入量を使用して決定される。代替的または追加的に、最小または平均吸入量は、絶対値に対して評価してもよい。
【0295】
この方法は、第4の期間にわたって吸入について測定された吸入持続時間から最小または平均吸入持続時間などの吸入持続時間の決定をさらに含んでもよい。第4の期間に関する「第4」という用語は、最小吸入持続時間をサンプリングするための期間を、レスキュー吸入回数がサンプリングされる間の第1の期間、ピーク吸入流量データがサンプリングされる間の第2の期間、および吸入量データがサンプリングされる間の第3の期間と区別するためのものである。第4の期間は、第1の期間、第2の期間、および/または第3の期間と少なくとも部分的に重複することができ、または、第4の期間は、第1の期間、第2の期間、および第3の期間のうちの少なくとも1つと同時であってもよい。
【0296】
したがって、喘息増悪の確率を決定するステップは、最小または平均吸入持続時間に部分的に基づくことができる。第4の期間は、例えば、1日などの1日から5日である。第4の期間は、第1の期間に関して上で説明した考察と同様の方法で、適切な指標値の最小吸入持続時間データを収集するのに必要な時間に従って選択される。
【0297】
喘息増悪の確率を決定することは、例えば、
図12のグラフ346によるベースライン吸入持続時間に対する最小または平均吸入持続時間の変化に部分的に基づくことができる。
【0298】
増悪を予測する際の精度を向上させるために、ベースラインに対する最小または平均吸入持続時間の変化は、例えば、10%以上、50%以上または90%以上などである。ベースラインは、例えば、増悪が起こっていない期間、例えば1~20日間にわたって測定された1日の最小吸入持続時間を使用して決定される。代替的または追加的に、最小または平均吸入持続時間は、絶対値に対して評価することができる。
【0299】
COPE増悪の予測に影響を与える要因をよりよく理解するために、さらなる臨床研究が行われた。以下は、説明的で非限定的な例である。
【0300】
この12週間の非盲検試験において、Teva Pharmaceutical Industries が販売する ProAir Digihaler を使用してアルブテロールが投与された。しかし、この試験の結果は、他の種類のデバイスを使用して送達される他のレスキュー薬にも一般的に適用できる。
【0301】
Digihalerにより、吸入の総数、最大吸入流量、最大吸入流量までの時間、吸入量、および吸入持続時間の記録が可能である。データは、調査の最後にDigihalerの電子モジュールからダウンロードされた。
【0302】
急性COPD増悪(AECOPD)は、この研究の主要な結果指標である。この研究において、AECOPDは「重度のAECOPE」または「中等度のAECOPED」のいずれかの発生である。「軽度のAECOPD」は、この研究ではAECOPDの指標として使用しなかった。
【0303】
重度のAECOPDは、呼吸器症状が少なくとも2日間連続して悪化し、全身性コルチコステロイド (SCS、ベースラインよりも少なくとも10mgプレドニゾン相当)および/または抗生物質の全身投与による治療、およびAECOPDによる入院が必要な事象として定義される。
【0304】
中等度のAECOPDは、少なくとも2日間連続して呼吸器症状が悪化し、SCS(ベースラインより少なくとも10mgプレドニゾン相当)および/または抗生物質の全身投与による治療、および入院ではないがAECOPDのための予定外の遭遇(電話、診療所訪問、緊急医療訪問、救急医療訪問など)を必要とする事象として定義される。
【0305】
COPD患者(40歳以上)が研究に参加した。患者は、必要に応じてProAir Digihaler (アルブテロール90megをラクトース キャリアと共に硫酸塩として、4時間ごとに1~2回吸入)を使用した。
【0306】
選択基準は、患者がSABAに加えて、LABA、ICS/LABA、LAMA、またはLABA/LAMAの少なくとも1つを使用していること;スクリーニング前の過去12か月間に、中等度または重度のAECOPDのエピソードが少なくとも1回発生していること;Digihaler からのアルブテロールの適切な使用を示すことができること;他のすべてのレスキューまたはメンテナンスSABAまたは短時間作用型抗ムスカリン剤を中止し、試験期間中、研究提供のDigihalerに置き換える意思があることである。
【0307】
研究者の意見により、COPD以外のその他の交絡の根底にある肺疾患;中止されてから5半減期以内、または通院2から1か月以内のいずれか長い方で、治験薬を使用した;うっ血性心不全があった;妊娠中または授乳中だった、または研究中に妊娠する計画があった場合、研究への参加を妨げる臨床的に重要な病状(治療済みまたは未治療)がある場合、患者は研究から除外された。
【0308】
100人の患者の2つのca.のサブセットは、身体活動(Total Daily Steps、TDS)を測定するために足首に、または睡眠障害(Sleep Disturbance Index、SDI)を測定するために手首に加速度計を装着する必要があった。
【0309】
レスキュー薬の使用に関連する一般的な要因は次のとおりである。
(1)AECOPDのピークに先立つ数日間の吸入の総数。
(2)アルブテロールの使用が増加したときのAECOPDのピークまでの日数。
(3)AECOPDに先立つ24時間のアルブテロール使用回数。
【0310】
約400人の患者が登録された。 これにより、366人の評価可能な患者が提供され、研究が完了した。Digihalerの336回の有効な吸入が記録された。この点に関するさらなる詳細を表1に示す。
【0311】
【0312】
研究を完了した患者のうち98人が AECOPDのイベントを起こし、Digihaler を使用した。合計121の中等度/重度のAECOPDのイベントが記録された。詳細については、表2に示す。
【0313】
【0314】
研究を完了した366人の患者の場合: 30人(8%)の患者は吸入器をまったく使用しなかった。268(73%)は1日平均最大5回の吸入があった。11(3%)は1日平均10回以上の吸入があった。
【0315】
図14は、COPD増悪からの日数(横軸)に対する対象者当たりのレスキュー吸入の平均数(縦軸)のグラフ330bを示す。
図14は、増悪が起こる日の前後14日間のリスク期間中のデータを示す。ライン332bは、リスク期間中のレスキュー吸入の1日平均回数に対応する。ライン332bは、ライン334bで表されるリスク期間外のベースライン平均1日あたりのレスキュー吸入回数よりもy軸上で高い。これは、増悪のリスクが増加するにつれて、レスキュー吸入の1日あたりの平均回数が増加することを示す。参考までに、
図14はさらに、ライン336bによって表される、増悪を経験しなかった患者についてのベースラインの1日あたりのレスキュー吸入数を提供する。
【0316】
図15は、COPD増悪からの日数(横軸)に対する対象者当たりのレスキュー吸入の平均数(縦軸)の別のグラフ330bを示す。
図15は、増悪が起こった日の前後30日間のデータを示す。
図15は、線334bによって表される、リスク期間外のベースライン平均毎日のレスキュー吸入回数と比較して、増悪が起こる日が近づくにつれてレスキュー吸入器の使用が著しく増加することを示している。
【0317】
データは、増悪の約2週間前にレスキュー薬の吸入回数が増加したことを示している。増悪の約1週間前に、さらに小さな増加がある。表3は、レスキュー薬の使用の増加とAECOPDとの関連性に関する詳細を示す。
【0318】
【0319】
「1」AECOPDのイベントを経験した患者の場合、アルブテロールの使用は、イベントの症状がピークに達する前であった。複数のイベントを経験した患者の場合、最初のイベントのみが分析に含まれている。ベースラインのアルブテロール使用量は、研究の最初の7日間の吸入の平均として定義される。最初の7日間に吸入が発生しなかった場合は、7日後に最初に利用可能な吸入が使用される。研究全体で吸入が発生しなかった場合、ベースラインは0(ゼロ)となる。
【0320】
「2」すべての推論統計、オッズ比、p値、適合度のC統計は、説明変数としてアルブテロール使用状況の増加とアルブテロール使用のベースラインを使用したロジスティック回帰モデルから推定されている。オッズ比が1より大きい場合、つまり、毎日のアルブテロール使用量がベースラインより20%以上多い患者は、アルブテロール使用量がベースラインより20% 以上多い患者よりもAECOPDのイベントを経験する可能性が高いことを示している。研究1日目から研究7日目までにAECOPDを経験した患者は、分析から除外されている。
【0321】
図16は、対象者毎の平均(平均)ピーク吸入流量(縦軸)対COPD増悪からの日数(横軸)のグラフ340bを示す。
図16は、増悪が起こる日の前後14日間のリスク期間中のデータを示す。ライン342bは、リスク期間中の平均ピーク吸入流量に対応する。ライン342bは、ライン344bで表されるリスク期間外のベースラインの平均ピーク吸入流量よりもy軸上でわずかに高くなっているが、この差は有意であるとは考えられていない。
図16はさらに、ライン346bによって表される、増悪を経験しなかった患者のベースライン平均ピーク吸入流量を提供する。
【0322】
図17は、対象者ごとの平均(平均)ピーク吸入流量(縦軸)対COPD増悪からの日数(横軸)の別のグラフ340bを示す。
図17は、増悪が起こった日の前後30日間のデータを示す。
図17は、増悪前の比較的安定した低い平均ピーク吸入流量を示している。
【0323】
図18は、COPD増悪からの日数(横軸)に対する対象者当たりの平均吸入量(縦軸)のグラフ360bを示す。
図18は、増悪が起こる日の前後14日間のリスク期間中のデータを示す。ライン362bは、リスク期間中の平均吸入量に対応する。ライン362bは、ライン364bで表されるリスク期間外のベースライン平均吸入量よりもy軸上で低くなっている。
図18はさらに、ライン366bによって表される、増悪を経験しなかった患者のベースライン平均吸入量を提供する。
【0324】
図19は、COPD増悪からの日数(横軸)に対する対象者当たりの平均吸入量(縦軸)の別のグラフ360bを示す。
図19は、増悪が起こった日の前後30日間のデータを示す。
【0325】
図20は、COPD増悪からの日数(横軸)に対する対象者当たりの平均吸入時間(縦軸)のグラフ370bを示す。
図20は、増悪が起こる日の前後14日間のリスク期間中のデータを示す。ライン372bは、リスク期間中の平均吸入時間に対応する。ライン372bは、ライン374bで表されるリスク期間外のベースラインの平均吸入時間よりもy軸上で低くなっている。
図20はさらに、ライン376bによって表される、増悪を経験しなかった患者のベースライン平均吸入持続時間を提供する。
【0326】
図21は、COPD増悪からの日数(横軸)に対する対象者当たりの平均吸入時間(縦軸)の別のグラフ370bを示す。
図21は、増悪が起こった日の前後30日間のデータを示す。
【0327】
図18~21は、AECOPD前の吸入量および持続時間の比較的長期にわたる(約30日にわたって明らかな)線形減少を明らかにする。
【0328】
表4は、±14日間のAECOPD期間中および期間外の患者、およびAECOPDを経験していない患者について記録された吸入パラメータとレスキュー薬の使用量を比較している。
【0329】
【0330】
ベースラインの平均1日アルブテロール吸入量は、非増悪患者と比較して増悪患者の方が高く、平均吸入量と平均吸入時間はわずかに低かった。±14日間のAECOPDのウィンドウの間、患者はベースラインよりも(±14日間のAECOPDのウィンドウの外側で)毎日のアルブテロール吸入量が多く、AECOPDを持たない患者と比較された。
【0331】
上記の喘息増悪予測モデルとは対照的に、COPD増悪の最も強い予測因子は、例えば、ピーク吸入流量、吸入量、および/または吸入持続時間の気流に関連するパラメータであることがわかった。レスキュー吸入の回数も、有意な予測値を持つことがわかった。
【0332】
上記の結果に基づいて、COPD増悪の確率を決定するための加重予測モデルが開発された。教師あり機械学習テクニック、Gragient Boosting Trees、を使用して、分類問題 (次のx日間の悪化 (悪化期間) のはい/いいえ)を解決した。使用されたGragient Boosting Trees技術は、喘息増悪予測モデルに関して上述したものと同じである。
【0333】
表5は、加重モデルに含めることができる因子の例示的なリストを、それらの相互の相対的な重みとともに提供する。
【0334】
【0335】
生成されたモデルは、受信者動作特性(ROC)曲線分析によって評価された。差し迫ったCOPD増悪の可能性を決定するための予測モデルの最も重要な要素は吸入パラメータであるが、予測モデルは、レスキュー吸入回数に関連するデータでこれを補足することによって強化されている。
図22は、モデルの受信者動作特性(ROC)曲線分析を示している。これは、偽陽性率に対して真陽性率をプロットすることによってモデルの品質を評価する。このモデルは、ROC曲線下面積(AUC)値が0.77で、その後5日間にわたる切迫した増悪を予測した。
【0336】
COPD増悪予測の場合、増悪の確率に対する全体的な影響は吸入パラメータよりも小さいにもかかわらず、レスキュー吸入の回数は、増悪の確率を決定する精度を向上させる上で重要な要因となる可能性がある。
【0337】
パラメータがピーク吸入流量を含む場合、方法は、第2の期間中に実行された吸入について測定されたピーク吸入流量から最小または平均ピーク吸入流量などのピーク吸入流量を決定することをさらに含ませてもよい。第2の期間に関する「第2の」という用語は、ピーク吸入流量をサンプリングする期間を、レスキュー吸入数がサンプリングされる第1の期間と区別するためのものである。第2の期間は、第1の期間と少なくとも部分的に重なるか、または第1および第2の期間が同時であってもよい。
【0338】
したがって、COPD増悪の確率を決定するステップは、最小または平均ピーク吸入流量に部分的に基づくことができる。第2の期間は、第1の期間に関して上で説明した考慮事項と同様の方法で、適切な指示値のピーク吸入流量データを収集するのに必要な時間に従って選択することができる。
【0339】
COPD増悪の確率を決定することは、例えば、
図16と17に示すように、ベースラインピーク吸入流量に対する最小または平均ピーク吸入流量の変化に部分的に基づくことができる。
【0340】
増悪を予測する際の精度を向上させるために、ベースラインに対する最小または平均ピーク吸入流量の変化は、例えば、10%以上、50%以上または90%以上などである。ベースラインは、例えば、増悪が起こっていない期間、例えば10日などの1から20日間にわたって測定された毎日の最小ピーク吸入流量を使用して決定される。代替的または追加的に、最小または平均ピーク吸入流量は、絶対値に対して評価することができる。
【0341】
この方法は、第3の期間中に実行された吸入について測定された吸入量から、最小または平均吸入量などの吸入量を決定することを含むことができる。第3の期間に関する「第3の」という用語は、吸入量をサンプリングするための期間を、レスキュー吸入回数がサンプリングされる間の第1の期間およびピーク吸入流量データが収集される間の第2の期間と区別するためのものである。第3の期間は、第1の期間および/または第2の期間と少なくとも部分的に重複し得るか、または第3の期間は、第1の期間および第2の期間のうちの少なくとも1つと同時である。
【0342】
したがって、COPD増悪の可能性を決定するステップは、最小または平均吸入量に部分的に基づくことができる。第3の期間は、第1の期間に関して上で説明した考慮事項と同様の方法で、適切な指標値の最小吸入量データを収集するのに必要な時間に従って選択することができる。
【0343】
COPD増悪の可能性を決定することは、例えば、
図18と19に示すように、ベースライン吸入量に対する最小または平均吸入量の変化に部分的に基づくことができる。
【0344】
増悪を予測する際の精度を高めるために、ベースラインに対する最小または平均吸入量の変化は、例えば、10%以上、50%以上または90%以上である。ベースラインは、例えば、増悪が起こっていない期間、例えば10日などの1から20日間にわたって測定された1日の最小吸入量を使用して決定される。代替的または追加的に、最小または平均吸入量は、絶対値に対して評価することができる。
【0345】
この方法は、第4の期間にわたって吸入について測定された吸入持続時間から最小または平均吸入持続時間などの吸入持続時間を決定することを含むことができる。第4の期間に関する「第4の」という用語は、吸入期間をサンプリングするための期間を、レスキュー吸入数がサンプリングされる第1の期間、ピーク吸入流量データがサンプリングされる第2の期間、および吸入量データがサンプリングされる第3の期間と区別するためのものである。第4の期間は、第1の期間、第2の期間および/または第3の期間と少なくとも部分的に重なることができ、または第4の期間は、第1の期間、第2の期間および/または第3の期間のうちの少なくとも1つと同時であってもよい。
【0346】
したがって、COPD増悪の可能性を決定するステップは、最小または平均吸入持続時間に部分的に基づくことができる。第4の期間は、第1の期間に関して上で説明した考察と同様の方法で、適切な指標値の最小吸入持続時間データを収集するのに必要な時間に従って選択され得る。
【0347】
COPD増悪の可能性を決定することは、例えば、
図20と21に示すように、ベースライン吸入持続時間に対する最小または平均吸入持続時間の変化に部分的に基づくことができる。
【0348】
増悪を予測する際の精度を向上させるために、ベースラインに対する最小または平均吸入持続時間の変化は、例えば、10%以上または50%以上、90%以上などである。ベースラインは、例えば、増悪が起こっていない期間、例えば10日などの1から20日間にわたって測定された平均吸入持続時間を使用して決定される。代替的または追加的に、最小または平均吸入持続時間は、絶対値に対して評価することができる。
【0349】
図23~26は、システム10に含まれ得る吸入器100の非限定的な例を提供する。
【0350】
図23は、非限定的な例による吸入器100の正面斜視図を提供する。吸入器100は、例えば、呼吸作動吸入器であってもよい。吸入器100は、トップキャップ102、メインハウジング104、マウスピース106、マウスピースカバー108、電子モジュール120、および通気孔126を含む。マウスピースカバー108は、マウスピース106を露出させるために開閉できるように、メインハウジング104にヒンジで取り付けられてもよい。ヒンジ接続として示されているが、マウスピースカバー106は、他のタイプの接続を介して吸入器100に接続されてもよい。さらに、電子モジュール120は、メインハウジング104の上部でトップキャップ102内に収容されるように示されているが、電子モジュール120は、吸入器100の本体104内に統合および/または収容されてもよい。
【0351】
電子モジュール120は、例えば、上述の使用決定システム12および送信モジュール14を含む。例えば、電子モジュール120は、プロセッサ、使用決定システム12および/または送信モジュール14の機能を実行するように構成されたメモリを含む。電子モジュール120は、スイッチ、センサ、スライダー、および/または本明細書に記載の吸入器使用情報を決定するように構成された他の器具または測定装置を含む。電子モジュール120は、送信モジュール14の送信機能を実行するように構成されたトランシーバおよび/または他の通信チップまたは回路を含む。
【0352】
図24は、例示的な吸入器100の断面内部斜視図を提供する。メインハウジング104の内部で、吸入装置100は、薬剤リザーバ110および用量送達機構を含む。例えば、吸入器100は、薬剤リザーバ110(例えばホッパー)、ベローズ112、ベローズばね114、ヨーク(見えない)、投薬カップ116、投薬チャンバ117、解凝集器121、および 流路119を含む。薬剤リザーバ110は、対象者への送達のための乾燥粉末薬剤などの薬剤を含んでもよい。ベローズ112、ベローズばね114、ヨーク、投薬カップ116、投薬チャンバ117、および解凝集器121の組み合わせとして示されているが、用量送達機構は、記載された構成要素のサブセットを含んでもよく、および/または吸入装置100は、(例えば、吸入装置のタイプ、薬剤のタイプなどに基づいて)異なる用量送達機構を含んでもよい。例えば、いくつかの例では、薬物はブリスターストリップおよび用量送達機構に含まれてもよい。これらは、1つまたは複数のホイール、レバーおよび/またはアクチュエータを含んでもよい。アクチュエータは、ブリスターストリップを前進させ、投薬量を含む新しいブリスターを開き、その投薬量の投薬を、使用者による吸入のために投薬チャンバおよび/またはマウスピースに利用可能にするように構成されている。
【0353】
マウスピースカバー108が閉位置から開位置に動かされたとき、吸入器100の用量送達機構は、薬剤の用量を準備する。
図24の図示の例では、マウスピースカバー108が閉位置から開位置に移動されると、ベローズ112が圧縮されて、投薬リザーバ110から投薬カップ116にある用量の投薬物が送達される。その後、対象者は、投薬量の薬物を受け取るために、マウスピース106を通して吸入することができる。
【0354】
対象者の吸入によって生成された気流は、デアグロメレーター121が、投与カップ116内の薬剤の凝集体を分解し、薬剤の投与量をエアロゾル化させる。デアグロメレーター121は、流路119を通る気流が特定の速度を満たすか超えるか、または特定の範囲内にあるときに、薬剤をエアロゾル化するように構成される。エアロゾル化されると、投薬量は、投薬カップ116から流路119を通って投薬チャンバ117に入り、マウスピース106から対象者に流れる。流路119を通る気流が特定の速度を満たしていないか超えていない場合、または特定の範囲内にない場合、薬剤は投薬カップ116内に留まる。投薬カップ116内の薬剤がデアグロメレーター121によってエアロゾル化されていない場合、次にマウスピースカバー108が開かれても、別の用量の薬剤が薬剤リザーバ110から送達されない。したがって、単回投与の薬剤は、その投与量が解凝デアグロメレーター121によってエアロゾル化されるまで、投与カップ内に留まる。ある用量の薬剤が送達されると、用量確認は、用量確認情報として吸入器100のメモリに記憶される。
【0355】
対象者がマウスピース106を通して吸入すると、空気が通気孔に入り、対象者に薬剤を送達するための空気の流れを提供される。流路119は、投薬チャンバ117からマウスピース106の端部まで延びることができ、投薬チャンバ117およびマウスピース106の内部部分を含む。投薬カップ116は、投薬チャンバ117内に、または投薬チャンバ117に隣接して存在する。さらに、吸入器100は、薬剤リザーバ110内の薬剤の総投与量の数に最初に設定され、かつ、マウスピースカバー108が閉位置から開位置に移動するたびに1ずつ減少するように構成された投与量カウンタ111を含む。
【0356】
トップキャップ102は、メインハウジング104に取り付けることができる。例えば、トップキャップ102は、メインハウジング104のくぼみに係合する1つまたは複数のクリップを使用することによって、メインハウジング104に取り付けることができる。トップキャップ102は、接続されたとき、例えば、実質的に空気圧シールがトップキャップ102とメインハウジング104との間に存在するように、ウジング104の一部と重なることができる。
【0357】
図25は、電子モジュール120を露出させるためにトップキャップ102が取り外された、例示的な吸入器100の分解斜視図である。
図25に示されるように、メインハウジング104の上面は、1つまたは複数(例えば、2つ)のオリフィス146を含む。オリフィス146のうちの1つは、スライダー140を受け入れるように構成されている。例えば、トップキャップ102がメインハウジング104に取り付けられている場合、スライダー140は、オリフィス146の1つを介してメインハウジング104の上面を通って突出する。
【0358】
図26は、例示的な吸入器100のトップキャップ102および電子モジュール120の分解斜視図である。
図26に示されるように、スライダー140は、アーム142、ストッパー144、および遠位端145と規定することができる。遠位端145は、スライダー140の底部である。スライダー140の遠位端145は、メインハウジング104内に存在するヨークに隣接するように構成される(例えば、マウスピースカバー108が閉じた位置または部分的に開いた位置にあるとき)。遠位端145は、ヨークが任意の半径方向にあるときにヨークの上面に隣接するように構成される。例えば、ヨークの上面は、複数の開口(図示せず)を含み、スライダー140の遠位端145は、アパーチャの1つがスライダー140と整列しているかどうかに関わらず、例えば、ヨークの上面に隣接するように構成される。
【0359】
トップキャップ102は、スライダースプリング146を受け入れるように構成されているスライダーガイド148およびスライダー140を含む。スライダースプリング146は、トップキャップ102の内面に係合することができ、スライダースプリング146は、スライダー140の上部(例えば、近接端)に係合する(例えば、隣接する)。スライダー140がスライダーガイド148内に取り付けられるとき、スライダーばね146は、スライダー140の上部とトップキャップ102の内面との間で部分的に圧縮される。例えば、スライダースプリング146は、マウスピースカバー108が閉じられたときにスライダー140の遠位端145がヨークと接触したままであるように構成される。マウスピースカバー108が開いている間または閉じている間、スライダー145の遠位端145はまた、ヨークと接触したままである。スライダー140のストッパー144は、例えば、スライダー140がマウスピースカバー108の開閉を通してスライダーガイド148内に保持されるように、またその逆も同様に、スライダーガイド148のストッパーと係合する。ストッパー144およびスライダーガイド148は、スライダー140の垂直方向(例えば、軸方向)の移動を制限するように構成される。この制限は、ヨークの垂直方向の移動量よりも小さくてもよい。したがって、マウスピースカバー108が完全に開いた位置に動かされるとき、ヨークは、マウスピース106に向かって垂直方向に動き続ける。しかし、ストッパー144は、スライダー140の遠位端145がもはやヨークと接触しないように、スライダー140の垂直移動を停止する。
【0360】
より一般的には、ヨークは、マウスピースカバー108に機械的に接続され、マウスピースカバー108が閉位置から開かれるときにベローズスプリング114を圧縮するように移動し、次に、マウスピースカバーが完全に開いた位置に達したときに圧縮されたベローズスプリング114を解放する。それにより、ベローズ112に、投薬リザーバ110から投薬カップ116に用量が送達される。マウスピースカバー108が閉位置にあるとき、ヨークはスライダー140と接触する。スライダー140は、マウスピースカバー108が閉位置から開かれるときにヨークによって動かされ、マウスピースカバー108が完全に開いた位置に達するとヨークから分離される。マウスピースカバー108を開くと薬剤の用量の計量が行われるので、この配置は、前述の用量計量アセンブリの非限定的な例と見なすことができる。
【0361】
用量測定中のスライダー140の動きは、スライダー140を係合させ、スイッチ130を作動させる。スイッチ130は、電子モジュール120をトリガーして、用量計測を登録することができる。したがって、スライダー140およびスイッチ130は、電子モジュール120と共に、上記の使用決定システム12に含まれる。スライダー140は、この例では、使用決定システム12が、用量計量アセンブリによる用量の計量を記録する手段と見なすことができる。それにより、各計量は、吸入器100を使用して対象者によって実行された吸入を示す。
【0362】
スライダー140によるスイッチ130の作動は、また、例えば、電子モジュール120を第1の電力状態から第2の電力状態に遷移させ、マウスピース106からの対象者による吸入を感知させることができる。
【0363】
電子モジュール120は、プリント回路基板(PCB)アセンブリ122、スイッチ130、電源(例えば、電池126)、および/または電池ホルダー124を含む。PCBアセンブリ122は、例えば、センサシステム128、無線通信回路129、スイッチ130、および/または1つまたは複数の発光ダイオード(LED)などの1つまたは複数のインジケータ(図示せず)などの表面実装された構成要素を含む。電子モジュール120は、コントローラ(例えば、プロセッサ)および/またはメモリを含む。コントローラおよび/またはメモリは、PCB122の物理的に別個の構成要素であってもよい。あるいは、コントローラおよびメモリは、PCB122に取り付けられた別のチップセットの一部であってもよく、例えば、無線通信回路129は、電子モジュール120のためのコントローラおよび/またはメモリを含んでもよい。電子モジュール120のコントローラは、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または任意の適切な処理デバイスまたは制御回路を含む。
【0364】
コントローラは、メモリからの情報にアクセスし、メモリにデータを格納する。メモリは、取り外し不可能なメモリおよび/または取り外し可能なメモリなど、任意のタイプの適切なメモリを含む。取り外し不可能なメモリには、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、またはその他のタイプのメモリストレージデバイスが含まれる。リムーバブルメモリは、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含む。メモリはコントローラの内部にあってもよい。コントローラはまた、サーバまたはスマートフォンなど、電子機器モジュール120内に物理的に配置されていないメモリからのデータにアクセスし、データを格納することができる。
【0365】
センサシステム128は、1つまたは複数のセンサを含む。センサシステム128は、例えば、上記の使用決定システム12に含まれる。センサシステム128は、例えば、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、配向センサ、音響センサ、および/または光学センサなどの1つまたは複数であるがこれらに限定されない異なるタイプの1つまたは複数のセンサを含むことができる。1つまたは複数の圧力センサは、気圧センサ(例えば、大気圧センサ)、差圧センサ、絶対圧力センサなどを含む。センサは、微小電気機械システム(MEMS)および/またはナノ電気機械システム(NEMS)技術を採用することができる。センサシステム128は、電子モジュール120のコントローラに瞬間的な読み取る(例えば、圧力読み取り)および/または時間の経過に伴う集約された読み取る(例えば、圧力読み取り)ように構成される。
図24および25に示すように、センサシステム128は、吸入器100の流路119の外側に設けてもよいが、流路119に空気的に連通させる。
【0366】
電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128からの測定に対応する信号を受信する。コントローラは、センサシステム128から受信した信号を使用して、1つまたは複数の気流メトリックを計算または決定する。気流測定基準は、吸入器100の流路119を通る気流のプロファイルを示す。例えば、センサシステム128が0.3キロパスカル(kPa)の圧力の変化を記録する場合、電子モジュール120は、その変化が流路119を通る約45リットル/分(Lpm)の空気流量に対応すると決定することができる。
【0367】
図27に、空気流量(横軸)と圧力(縦軸)のグラフを示す。
図27に示される気流速度およびプロファイルは単なる例であり、決定される速度は、吸入装置100およびその構成要素のサイズ、形状、および設計に依存する。
【0368】
処理モジュール34は、例えば、吸入器100がどのように使用されているか、および/またはその使用が全用量の薬物の送達をもたらす可能性が高いかどうかの評価の一部として、センサシステム128から受信した信号および/または決定された気流メトリックを1つまたは複数の閾値または範囲と比較することによって、パーソナライズされたデータをリアルタイムで生成することができる。例えば、決定された気流メトリックが特定の閾値未満の気流速度での吸入に対応する場合、処理モジュール34は、吸入器100のマウスピース106からの吸入がなかったか、または不十分な吸入があったと決定することができる。決定された気流メトリックが特定の閾値を超える気流速度を伴う吸入に対応する場合、処理モジュール34は、マウスピース106からの過剰な吸入があったと決定することができる。決定された気流メトリックが特定の範囲内の気流速度を伴う吸入に対応する場合、処理モジュール34は、吸入が「良好」であるか、または全用量の薬剤が送達される結果となる可能性が高いと判断する。
【0369】
圧力測定値および/または計算された気流測定基準は、吸入器100からの吸入の質または強さを示す。たとえば、特定の閾値または値の範囲と比較した場合、測定値および/または測定基準を使用して、良好な吸入イベント、低吸入イベント、吸入なしイベント、または過剰吸入イベントなどと吸入を特定のタイプのイベントとして分類することができます。吸入の分類は、対象者の個人化されたデータとして保存された使用パラメータである。
【0370】
吸入なしまたは低吸入イベントは、30Lpm以下の気流速度など、特定の閾値を下回る圧力測定値および/または気流メトリックに関連付けられる。マウスピースカバー108を開いた後、および測定サイクル中に、対象がマウスピース106から吸入しない場合、吸入イベントは発生しない。例えば、吸気による気流がデアグロメレーター121を活性化するのに不十分で、したがって投薬カップ116内の薬剤をエアロゾル化も不十分である場合など、対象者の吸気努力が流路119を介した薬物の適切な送達を確実にするのに不十分である場合にも、吸入なしまたは低吸入のイベントが発生する。
【0371】
適正な吸入イベントは、30Lpmを超え45Lpm以下の気流速度など、特定の範囲内の圧力測定値および/または気流メトリックに関連付けることができる。適正な吸入イベントは、対象者がマウスピースカバー108を開いた後にマウスピース106から吸入し、対象者の吸気努力により、薬物の少なくとも部分的な用量が流路119を介して送達されるときに発生する。すなわち、吸入は、薬剤の少なくとも一部が投薬カップ116からエアロゾル化されるように、デアグロレレーター121を活性化するのに十分である。
【0372】
良好な吸入イベントは、45Lpmより大きく200Lpm以下の気流速度など、低吸入イベントを超える圧力測定値および/または気流メトリックに関連付けることができる。良好な吸入イベントは、対象者がマウスピースカバー108を開いた後にマウスピース106から吸入し、例えば、吸気努力が十分な気流を生成してデアグロメーター121を活性化し、投薬カップ116内の全用量の薬剤をエアロゾル化するときなど、対象者の吸気努力が流路119を介した薬物の適切な送達を確実にするのに十分である場合に起こる。
【0373】
過剰な吸入イベントは、200Lpmを超える気流速度など、良好な吸入イベントを超える圧力測定値および/または気流メトリックに関連つけることができる。対象者の吸気努力が吸入器100の通常の動作パラメータを超えると、過度の吸入イベントが発生する。対象者の吸気努力が正常範囲内であっても、使用中にデバイス100が適切に配置または保持されていない場合にも、過度の吸入イベントが発生する。例えば、対象者がマウスピース106から吸入している間に通気孔が(例えば、指または親指によって)遮断または閉塞された場合、計算された気流速度は200Lpmを超える可能性がある。
【0374】
特定のイベントを分類するために、任意の適切な閾値または範囲が使用できる。一部またはすべてのイベントが使用されてもよい。例えば、吸入なしのイベントは、45Lpm以下の気流速度に関連付けられ、良好な吸入イベントは、45Lpmより大きく200Lpm以下の気流速度に関連付けられてもよい。そのため、場合によっては、低または適正な吸入イベントがまったく使用されないことがある。
【0375】
圧力測定値および/または計算された気流メトリックはまた、吸入器100の流路119を通る流れの方向を示す。例えば、圧力測定の読み取り値が圧力の負の変化を反映する場合、読み取り値は、流路119を介してマウスピース106から流出する空気を示す。圧力測定の読み取り値が圧力の正の変化を反映している場合、読み取り値は、流路119を介してマウスピース106に流入する空気を示す。したがって、圧力測定の読み取り値および/または気流メトリックを使用して、対象者がマウスピース106に息を吐いているかどうかを決定することができ、これは、対象者がデバイス100を適切に使用していないことを示す。
【0376】
吸入器100は、肺機能測定基準の測定を可能にするための肺活量計または同様に動作する装置を含んでもよい。例えば、吸入器100は、対象者の肺活量に関連する測定基準を取得するために測定を実行することができる。肺活量計または同様に動作する装置は、対象によって吸入および/または吐き出される空気の量を測定することができる。肺活量計または同様に動作する装置は、圧力変換器、超音波、または水位計を使用して、吸入および/または吐き出される空気の量の変化を検出することができる。
【0377】
吸入器100の使用から収集された、またはそれに基づいて計算された個人化データ(例えば、圧力測定基準、気流測定基準、肺機能測定基準、用量確認情報など)は、外部デバイス(例えば、 部分的または完全に)を介して計算および/または評価することもできる。具体的には、電子モジュール120内の無線通信回路129は、送信機および/または受信機(例えば、トランシーバ)、ならびに追加の回路を含む。無線通信回路129は、吸入器100の送信モジュール14を含むか、または定義することができる。
【0378】
例えば、無線通信回路129は、ブルートゥースチップセット(例えば、ブルートゥース低エネルギーチップセット)、ジグビーチップセット、スレッドチップセットなどを含む。したがって、電子モジュール120は、圧力測定、気流測定基準、肺機能測定基準、用量確認情報、および/または吸入器100の使用に関連する他の条件などの個人化されたデータを無線で、スマートフォン40に含まれる処理モジュール34などの外部処理モジュール34へ提供することができる。個人化されたデータは、使用時間、吸入器100がどのように使用されているか、および対象者の肺機能および/または治療に関連するリアルタイムデータなどの対象者に関する個人化されたデータを示す吸入器100からのリアルタイムデータに基づく急性リスクレベル決定を可能にするために、外部デバイスにリアルタイムで提供される。外部デバイスは、受信した情報を処理し、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して対象にコンプライアンスおよびアドヒアランスフィードバックを提供するためのソフトウェアを含む。グラフィカルユーザインターフェースは、システム10に含まれるユーザインターフェース38に含まれるか、またはそれを定義することができる。
【0379】
気流測定基準は、吸入/呼気の平均流量、吸入/呼気のピーク流量(例えば、受け取った最大吸入)、吸入/呼気の量、吸入/呼気のピークまでの時間、および /または吸入/呼気の持続時間のうちの1つまたは複数などのリアルタイムで吸入器100から収集される個人化されたデータを含む。気流測定基準はまた、流路119を通る流れの方向を示す。すなわち、圧力の負の変化は、マウスピース106からの吸入に対応し、一方、圧力の正の変化は、マウスピース106への呼気に対応する。気流メトリックを計算するとき、電子モジュール120は、環境条件によって引き起こされる歪みを排除または最小化するように構成される。例えば、電子モジュール120は、気流メトリックを計算する前または後の大気圧の変化を説明するために再ゼロ化してもよい。1つまたは複数の圧力測定値および/または気流メトリックは、タイムスタンプが付けられ、電子モジュール120のメモリに格納される。
【0380】
気流メトリックに加えて、吸入器100または別のコンピュータデバイスは、気流メトリックを使用して、追加の個人化されたデータを生成することができる。例えば、吸入器100の電子機器モジュール120および/または処理モジュール34のコントローラは、気流メトリックを、たとえば、最大吸気流量メトリック、最大呼気流量メトリック、および/または1秒あたりの強制呼気量(FEV1)などの開業医に理解されている対象者の肺機能および/または肺の健康を示す他のメトリックに変換することができる。吸入器100の処理モジュール34および/または電子モジュール120は、回帰モデルなどの数学的モデルを使用して、対象の肺機能および/または肺の健康の測定値を決定することができる。数学的モデルは、吸入の総量とFEV1の間の相関関係を特定することができる。数学的モデルは、ピーク吸気流量とFEV1の間の相関関係を特定することができる。数学的モデルは、吸入の総量と最大呼気流量との間の相関関係を特定することができる。数学的モデルは、最大吸気流量と最大呼気流量の間の相関関係を特定することができる。
【0381】
電池126は、PCB122の構成要素に電力を供給する。電池126は、例えば、コイン電池など、電子モジュール120に電力を供給するための任意の適切な供給源である。電池126は、再充電可能または再充電不可能である。電池126は、電池ホルダー124によって収容される。バッテリホルダー124は、電池126がPCB122との連続的な接触を維持するように、および/またはPCB122の構成要素と電気的に接続されるように、PCB122に固定される。電池126は、電池126の寿命に影響を及ぼし得る特定の電池容量を有する。以下でさらに議論されるように、電池126からPCB122の1つまたは複数の構成要素への電力の分配は、電池126が吸入器100および/またはそこに含まれる薬の耐用年数にわたって電子モジュール120に電力を供給できることを保証するように管理される。
【0382】
接続状態では、通信回路およびメモリの電源がオンになり、電子モジュール120は、スマートフォンなどの外部デバイスと「ペアリング」される。コントローラは、メモリからデータを取得し、そのデータを外部デバイスにワイヤレスで送信することができる。コントローラは、現在メモリに格納されているデータを取得して送信することができる。コントローラはまた、現在メモリに格納されているデータの一部を取得および送信することができる。例えば、コントローラは、どの部分がすでに外部デバイスに送信されているかを決定し、次に、以前に送信されていない部分を送信することができる。あるいは、外部デバイスはコントローラに、特定の時間の後、または外部デバイスへの最後の送信後に電子モジュール120によって収集されたデータなどの特定のデータを要求することができる。コントローラは、必要であれば、メモリから特定のデータを取得し、特定のデータを外部デバイスに送信することができる。
【0383】
電子モジュール120のメモリに記憶されたデータ(例えば、スイッチ130によって生成された信号、感覚システム128によって取られた圧力測定値、および/またはPCB122のコントローラによって計算された気流メトリック)は、外部デバイスに送信され、外部デバイスは、データを処理および分析して、吸入器100に関連する使用パラメータを決定してもよい。さらに、モバイルデバイス上に存在するモバイルアプリケーションは、電子モジュール120から受信したデータに基づいて、ユーザのためのフィードバックを生成してもよい。例えば、モバイルアプリケーションは、日次、週次、または月次のレポートを生成し、エラーイベントまたは通知の確認を提供し、対象者に有益なフィードバックを提供し、および/または同様の情報を提供する。
【0384】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲から、特許請求の範囲の発明を実施する当業者によって理解および実施することができる。請求項において、「含む」という語は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞は、複数を除外しない。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。クレーム内の参照記号は、範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0385】
このアプリケーションには、以下の実施形態も含まれる。
【0386】
「1」少なくとも一つの吸入器を備えたシステムであって、少なくとも一つの吸入器のそれぞれが、対象者によるそれぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を決定するように構成された使用決定システムと、前記対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標をユーザ入力できるように構成されたユーザインターフェースと、
前記少なくとも一つの値に基づいて前記指標を入力させるプロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールするように構成された処理モジュールとを有する。
「2」前記使用パラメータは、前記対象者による少なくとも一つの吸入器の使用を含む、「1」に記載されたシステム。
「3」前記使用決定システムは、対象者による吸入を検知するセンサおよび/または少なくとも一つの吸入器の使用前、使用中または使用後に起動するメカニカルスイッチを有する、「2」に記載されたシステム。
「4」前記処理モジュールは、少なくとも一つの吸入器の使用回数を記録するように構成されており、かつ、前記記録された使用回数と、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン使用回数との間の差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、「1」から「3」のいずれか1つに記載のシステム。
「5」前記少なくとも一つの吸入器は、レスキュー薬を送達するように構成されたレスキュー吸入器を含む、「1」から「4」のいずれか1項に記載のシステム。
「6」前記処理モジュールは、レスキュー吸入器の所定の使用回数を超える記録された前記レスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されており、選択的に、前記レスキュー吸入器の所定の使用回数は、増悪のない期間中の前記対象者によるレスキュー吸入器の使用のベースライン数に対応している、「5」に記載のシステム。
「7」前記少なくとも一つの吸入器は、メンテナンス薬を送達するように構成されたメンテナンス吸入器を含む、「1」から「6」のいずれか1項に記載のシステム。
「8」前記処理モジュールは、メンテナンス吸入器の所定の使用回数未満である記録された前記メンテナンス吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールし、選択的に、前記メンテナンス吸入器の所定の使用回数は、治療レジメンによって指定されたメンテナンス吸入器の所定の回数に対応している、「7」に記載のシステム。
「9」前記使用パラメータは、対象者が少なくとも一つの吸入器を用いた吸入中の気流に関するパラメータを含む、「1」から「8」のいずれか1項に記載のシステム。
「10」前記使用決定システムは、前記パラメータを検知するセンサを備えている、
「9」に記載のシステム。
「11」前記システムは、前記ユーザインターフェースを介して入力された前記指標を記録するメモリを備えている、「1」から「10」のいずれか1項に記載のシステム。
「12」前記処理モジュールは、前記気流に関するパラメータと、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン気流パラメータとの間の差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、「9」から「11」のいずれか1項に記載のシステム。
「13」前記パラメータは、ピーク吸入流量、吸入量および吸入時間の少なくとも一つである、「9」から「12」のいずれか1項に記載のシステム。
「14」前記処理モジュールは、ピーク吸入流量のベースラインに対するピーク吸入流量の変化、吸入量のベースラインに対する吸入量の変化および/または吸入時間のベースラインに対する吸入時間の変化に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、「13」に記載のシステム。
「15」前記ユーザインターフェースは、ユーザ選択可能な複数の呼吸器疾患ステータスオプションを提供し、前記指標は、前記ステータスオプションの少なくとも一つをユーザが選択することによって定義される、「1」から「14」のいずれか1項に記載のシステム。
「16」前記ユーザインターフェースは、選択可能なアイコン、チェックボックス、スライダーおよび/またはダイアルによって前記ステータスオプションを提供するように構成されている、「15」に記載のシステム。
「17」前記ユーザインターフェースは、少なくとも一つの吸入器と通信するユーザデバイスの第1のユーザインターフェースによって少なくとも部分的に定義されており、選択的に、前記ユーザデバイスは、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンから選択される少なくとも一つであり、および/または、前記処理モジュールは、少なくとも部分的に前記ユーザデバイスに含まれるプロセッサに含まれている、「1」から「16」のいずれか1項に記載のシステム。
「18」前記少なくとも一つの吸入器は、アルブテロール、ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、フォルモテロール、サルメテロール、インダカテロール、ビランテロール、チオトロピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム、グリコピロニウム、フルチカゾンと組み合わせたサルメテロール、アルブテロールと組み合わせたベクロメタゾン、およびホルモテロールと組み合わせたブデソニドから選択される薬剤を送達するように構成された、「1」から「17」のいずれか1項に含まれるシステム。
「19」対象者による少なくとも一つの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を受ける工程であって、関連する吸入器に含まれた使用決定システムによって前記少なくとも一つの値が決定される工程と、対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標を入力させるプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程であって、前記プロンプトは前記少なくとも一つの値に基づいて発行される工程と、を有する、方法。
「20」前記使用パラメータは、前記対象者による少なくとも一つの吸入器の使用を含む、「19」に記載の方法。
「21」前記吸入器の使用回数を記録する工程を有し、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、前記記録された使用回数と、特定の閾値に達するかまたはそれを超えるベースライン使用回数との間の差に少なくとも部分的に基づいている、「20」に記載の方法。
「22」前記少なくとも一つの吸入器は、レスキュー薬を送達するように構成されたレスキュー吸入器を含み、選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、レスキュー吸入器の所定の使用回数を超える記録された前記レスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいている、「19」から「21」のいずれか1項に記載の方法。
「23」前記少なくとも一つの吸入器は、メンテナンス薬を送達するように構成されたメンテナンス吸入器を含み、選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、メンテナンス吸入器の所定の使用回数未満である記録された前記メンテナンス吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいている、、「19」から「22」のいずれか1項に記載の方法。
「24」前記使用パラメータは、対象者が少なくとも一つの吸入器を用いた吸入中の気流に関するパラメータを含み、選択的に、前記プロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールする工程が、気流に関する前記パラメータと、所定の閾値に達するかまたはそれを超えるベースライン気流パラメータとの間の差に少なくとも部分的に基づいている、「19」から「23」のいずれか1項に記載の方法。
「25」適合されたコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、「19」から「24」のいずれか1項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの吸入器を備えたシステムであって、
少なくとも一つの吸入器のそれぞれが、対象者によるそれぞれの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を決定するように構成された使用決定システムと、
前記対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標をユーザ入力できるように構成されたユーザインターフェースと、
前記少なくとも一つの値に基づいて前記指標の入力を促すプロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールするように構成された処理モジュールとを有
し、
前記使用パラメータは、前記対象者が少なくとも一つの吸入器を用いたときの吸入中の気流に関するパラメータを含む。
【請求項2】
前記使用パラメータは、前記対象者による少なくとも一つの吸入器の使用を含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記使用決定システムは、前記対象者による吸入を検知するセンサおよび/または少なくとも一つの吸入器の使用前、使用中または使用後に起動するメカニカルスイッチを有する、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記処理モジュールは、少なくとも一つの吸入器の使用回数を記録するように構成されており、かつ、前記記録された使用回数と、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン使用回数との間の差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの吸入器は、レスキュー薬を送達するように構成されたレスキュー吸入器を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理モジュールは、レスキュー吸入器の所定の使用回数を超える記録された前記レスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するように前記ユーザインターフェースをコントロールし、選択的に、前記レスキュー吸入器の所定の使用回数は、増悪のない期間中の前記対象者によるレスキュー吸入器の使用のベースライン数に対応している、
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つの吸入器は、メンテナンス薬を送達するように構成されたメンテナンス吸入器を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理モジュールは、メンテナンス吸入器の所定の使用回数未満である記録された前記メンテナンス吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールし、選択的に、前記メンテナンス吸入器の所定の使用回数は、治療レジメンによって指定されたメンテナンス吸入器の所定の回数に対応している、
請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記使用決定システムは、前記
気流に関するパラメータを検知するセンサを備えている、
請求項
1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記ユーザインターフェースを介して入力された前記指標を
保存するメモリを備えている、
請求項1から
9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理モジュールは、気流に関する前記パラメータと、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン気流パラメータとの間の差に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、
請求項
1から
10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記パラメータは、ピーク吸入流量、吸入量および吸入時間の少なくとも一つである、
請求項
1から
11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記処理モジュールは、ピーク吸入流量のベースラインに対するピーク吸入流量の変化、吸入量のベースラインに対する吸入量の変化および/または吸入時間のベースラインに対する吸入時間の変化に少なくとも部分的に基づいて前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールするように構成されている、
請求項
12記載のシステム。
【請求項14】
前記ユーザインターフェースは、ユーザ選択可能な複数の呼吸器疾患ステータスオプションを提供し、前記指標は、前記ステータスオプションの少なくとも一つをユーザ選択によって定義される、
請求項1から
13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ユーザインターフェースは、選択可能なアイコン、チェックボックス、スライダーおよび/またはダイアルによって前記ステータスオプションを提供するように構成されている、
請求項
14記載のシステム。
【請求項16】
前記ユーザインターフェースは、少なくとも一つの吸入器と通信するユーザデバイスの第1のユーザインターフェースによって少なくとも部分的に定義されており、選択的に、前記ユーザデバイスは、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンから選択される少なくとも一つであり、および/または、前記処理モジュールは、少なくとも部分的に前記ユーザデバイスに含まれるプロセッサに含まれている、
請求項1から
15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一つの吸入器は、アルブテロール、ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、フォルモテロール、サルメテロール、インダカテロール、ビランテロール、チオトロピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム、グリコピロニウム、フルチカゾンと組み合わせたサルメテロール、アルブテロールと組み合わせたベクロメタゾン、およびホルモテロールと組み合わせたブデソニドから選択される薬剤を送達するように構成された、
請求項1から
16のいずれか1項に含まれるシステム。
【請求項18】
対象者による少なくとも一つの吸入器の使用に関連する使用パラメータの少なくとも一つの値を受ける工程であって、
それぞれの吸入器に含まれた使用決定システムによって前記少なくとも一つの値が決定される工程と、
前記対象者が罹患している呼吸器疾患の状態の指標の入力を促すプロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程であって、前記プロンプトは前記少なくとも一つの値に基づいて発行される工程と、を有し、
前記使用パラメータは、前記対象者が前記吸入器を用いたときの吸入中の気流に関するパラメータを含む
、方法。
【請求項19】
前記使用パラメータは、前記対象者による少なくとも一つの吸入器の使用を含む、
請求項
18記載の方法。
【請求項20】
前記吸入器の使用回数を記録する工程を有し、
前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、前記記録された使用回数と、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン使用回数との間の差に少なくとも部分的に基づいている、
請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも一つの吸入器は、レスキュー薬を送達するように構成されたレスキュー吸入器を含み、
選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、レスキュー吸入器の所定の使用回数を超える記録された前記レスキュー吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいている、
請求項
18から
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つの吸入器は、メンテナンス薬を送達するように構成されたメンテナンス吸入器を含み、
選択的に、前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、メンテナンス吸入器の所定の使用回数未満である記録された前記メンテナンス吸入器の使用回数に少なくとも部分的に基づいている、
請求項
18から
21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記プロンプトを発行するようにユーザインターフェースをコントロールする工程が、気流に関する前記パラメータと、所定の閾値に達するかまたは超えるベースライン気流パラメータとの間の差に少なくとも部分的に基づいている、
請求項
18から
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
適合されたコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項
18から
23のいずれか1項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】