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特表2023-506571バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御するための方法および使用される装置
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  • 特表-バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御するための方法および使用される装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御するための方法および使用される装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20230209BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B19/05 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537827
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2020085618
(87)【国際公開番号】W WO2021122333
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19217653.5
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501186645
【氏名又は名称】エッペンドルフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】シュトロイレ,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】エルテル,グイド
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA01
5H220AA10
5H220BB09
5H220BB17
5H220CC07
5H220CC09
5H220CX09
5H220HH04
5H220JJ12
5H220JJ24
5H220JJ26
5H220JJ51
5H220KK06
5H220MM07
(57)【要約】
本発明は、バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御する方法、および、バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置に関する。方法は、第1機能要素を提供することであって、第1機能要素がメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含む、第1機能要素を提供することと、第2機能要素を提供することと、第1機能要素および第2機能要素を制御ユニットに接続させることと、第1機能要素から要素情報の項目を読み出すことと、第2機能要素から読み出した要素情報の項目を用いて、および/または、制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、第1機能要素の読み出した要素情報の項目の確認を行うことと、確認に応じて、および/または、要素情報の項目に応じて、第1機能要素および第2機能要素の少なくとも1つを制御することと、処理情報の項目を第1機能要素のメモリに記憶することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御するための方法であって、
第1機能要素を提供することであって、第1機能要素がメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含む、第1機能要素を提供することと、
第2機能要素を提供することと、
第1機能要素および第2機能要素を制御ユニットに接続させることと、
第1機能要素から要素情報の項目を読み出すことと、
第2機能要素から読み出した要素情報の項目を用いて、および/または、制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、第1機能要素の読み出した要素情報の項目の確認を行うことと、
確認に応じて、および/または、要素情報の項目に応じて、第1機能要素および第2機能要素の少なくとも1つを制御することと、
処理情報の項目を第1機能要素のメモリに記憶することと、
を含む、
方法。
【請求項2】
第1機能要素および/または第2機能要素は、
センサ、および/または、
アクチュエータ、および/または、
装置部品
を含むグループから選ばれるものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2機能要素がメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、第2機能要素の種類および機能に関する規格を含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数の更なる機能要素を提供することであって、好ましくは、1つ、複数、および全部の更なる機能要素のそれぞれがメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、それぞれの機能要素の種類および機能に関する規格を含む、更なる機能要素を提供すること、および/または、
第2機能要素から要素情報の項目を読み出すこと、および/または、
1つ、複数、および全部の更なる機能要素から要素情報の項目を読み出すこと、
をさらに含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
確認を行うときに、第2機能要素から、および/または、1つ、複数、および全部の更なる機能要素から読み出された要素情報の項目は考慮される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
機能要素の種類に関する規格は、それぞれの機能要素が、センサ、アクチュエータ、または、装置部品として設計されているか否かを含み、および/または、
機能要素の種類に関する規格は、それぞれの機能要素のシリアル番号を含み、および/または、それぞれの機能要素の品番を含み、および/または、それぞれの機能要素の種類規格を含み、および/または、それぞれの機能要素の製造に関する規格を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
機能要素の機能に関する規格は、
それぞれの機能要素の動作パラメータに関する規格、および/または、
それぞれの機能要素と更なる機能要素との互換性に関する規格、および/または、
様々な処理におけるそれぞれの機能要素の使用性に関する規格、および/または、
それぞれの機能要素のキャリブレーションに関する規格、および/または、
それぞれの機能要素のCE識別に関する規格、および/または、
それぞれの機能要素の遵守すべきサービス間隔および/または最大動作期間に関する規格
を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
制御ユニットに記憶された情報の項目は、
機能要素の互換性に関する規格、および/または、
様々な処理における機能要素の使用性に関する規格、および/または、
それぞれの処理の種類および/または期間などの、行う処理に関する規格、および/または、
処理において使用される処理パラメータの規格
を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
処理情報の項目は、
処理の種類および/または期間などの、行った処理に関する規格、および/または、
処理に使用される処理パラメータの規格、および/または、
処理において動作された、それぞれの機能要素および/または更なる機能要素に使用される動作パラメータの規格、および/または、
それぞれの機能要素とともに使用される更なる機能要素に関する規格、特に、更なる機能要素の要素情報の項目またはその一部、および/または、
処理結果および/または処理エラーに関する規格
を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
確認を行うことは、
機能要素の互換性を比較することであって、特に、その共同使用について、および/または、予定される処理においてその使用性について、および/または、予定される処理環境においてその使用性について、互換性を比較すること、
を含み、および/または、
方法は、
確認に応じて、第1機能要素および/または第2機能要素および/または1つまたは複数の更なる機能要素、および/または、行うべき処理を構成すること、および/または、
処理情報の項目を制御ユニットのメモリに記憶すること、および/または、
処理情報の項目を評価ユニットのメモリに記憶すること、および/または、
サービス情報の項目を、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリに記憶すること、および/または、
顧客情報の項目を、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリに記憶すること、および/または、
要素情報の項目を記憶すること、
をさらに含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、デジタル不揮発性メモリであり、特に、1線式EEPROM(One-Wire EEPROM)などのEEPROMであり、および/または、
第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、液密に製造され、および/または、
第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、滅菌され得て、好ましくは、高圧蒸気滅菌にされ得て、および/または、ベータ滅菌および/またはガンマ滅菌などの放射線滅菌にされ得て、および/または、
第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、100℃以上の耐熱性を有し、好ましくは110℃以上の耐熱性を有し、好ましくは120℃以上の耐熱性を有し、好ましくは130℃以上の耐熱性を有し、好ましくは150℃以上の耐熱性を有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の、バイオプロセス工学および/または医療技術における方法の使用。
【請求項13】
バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置であって、
第1機能要素であって、メモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含む、第1機能要素と、
第2機能要素と、
制御ユニットと、
を含み、
制御ユニットは、第1機能要素から要素情報の項目を読み出し、第2機能要素から読み出した要素情報の項目を用いて、および/または、制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、読み出した第1機能要素の要素情報の項目を確認するように設計されており、
制御ユニットは、確認に応じて、および/または、要素情報の項目に応じて、第1機能要素および第2機能要素の少なくとも1つを制御するように設計されており、
制御ユニットは、処理情報の項目を第1機能要素のメモリに記憶するように設計されている、
装置。
【請求項14】
請求項13に記載の、バイオプロセス工学および/または医療技術における装置の使用。
【請求項15】
機能要素であって、請求項14に記載のバイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置のための機能要素、および/または、請求項1~11の少なくとも1項に記載の方法のための機能要素であり、機能要素はメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目は、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含み、機能要素は、制御ユニットによって制御されるように設計されており、メモリは、制御ユニットおよび/または評価ユニットによって読み出されるように設計されており、メモリは、その中に処理情報の項目が制御ユニットおよび/または評価ユニットによって記憶可能であるように設計されている、機能要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプロセス工学(bioprocess engineering)および/または医療技術において、機能要素(functional element)を制御する方法、および、バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機能要素は、バイオプロセス工学および医療技術における複雑な処理で、多く使用される。処理の信頼性は、これらの適用分野で、特にユーザおよび/または患者の安全性、処理の再現性、および/または処理の結果全体で、特に重要である。バイオプロセス工学および/または医療技術は通常、監視された環境で行われる。特には、処理シーケンス(process sequence)および処理環境の品質管理のためのガイドラインも維持されるべき、当該ガイドラインは適正製造規範(Good Manufacturing Practice、GMP、「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」とも呼ばれている)と呼ばれる。
【0003】
特に複雑な処理および処理環境に対するGMPの要求は高く、実際にかかる費用は決して少なくはない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的の1つは、バイオプロセス工学および/または医療技術において、機能要素を制御するための改良された方法、および、使用されて改良された装置を提供することである。また、本発明の目的の1つは、バイオプロセス工学および/または医療技術において、機能要素を制御するための方法、および、使用される装置を提供することであり、当該方法および装置は、処理の信頼性を高め、および/またはGMPなどの品質ガイドラインの維持を容易にする。好ましくは、当該方法および装置は、この目的のために、効率的な解決策および/または費用対効果の高い解決策を提供する。
【0005】
この目的は、バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御する方法によって、本発明に基づいて達成される。当該方法は、第1機能要素を提供することであって、第1機能要素がメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含む、第1機能要素を提供することと、第2機能要素を提供することと、第1機能要素および第2機能要素を制御ユニットに接続させることと、第1機能要素から要素情報の項目を読み出すことと、第2機能要素から読み出した要素情報の項目を用いて、および/または、制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、第1機能要素の読み出した要素情報の項目の確認を行うことと、確認に応じて、および/または、要素情報の項目に応じて、第1機能要素および第2機能要素の少なくとも1つを制御することと、処理情報の項目を第1機能要素のメモリに記憶することと、を含む。
【0006】
ここで説明する方法において、第1機能要素、第2機能要素および制御ユニットが提供され、これらの機能要素がこの制御ユニットに接続されている。機能要素は、有線または無線の形式で接続され得る。第1機能要素はメモリを有し、メモリにこの第1機能要素上の要素情報の項目が記憶される。
【0007】
後にさらに詳細に説明するように、第2機能要素もメモリを有し、メモリにこの第2機能要素上の要素情報の項目が記憶される。それぞれの機能要素の要素情報の項目は、それぞれの機能要素の種類および機能に関する規格を含む。
【0008】
要素情報の項目は、制御ユニットによって第1機能要素から読み出される。読み出しは、有線または無線の形式で行ってもよい。
【0009】
ここで説明する方法に基づいて、読み出された第1機能要素の要素情報の項目についての確認は、第2機能要素から読み出された要素情報の項目を用いて、および/または、制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、行われる。例えば、確認は制御ユニットまたは評価ユニットに記憶された情報の項目を用いて行われる。好ましくは、評価ユニットは有線または無線の形式で制御ユニットに接続されている。よって、この場合において、特に第1機能要素の種類および機能に関する規格は、第2機能要素の種類及び機能と比較され得て、または、処理を成功に行うことに必要または有益な他の規格と比較され得る。これらの情報の項目は、第2機能要素から読み出された要素情報の項目であってもよく、制御ユニットに記憶された情報の項目であってもよい。
【0010】
確認の結果としては、例えば、特定の機能要素が互いに互換性がないこと、または、特定の条件下のみで互いに互換性があることであり得る。確認の結果の別例としては、機能要素が予定される処理に対して使用不可であることである。この場合において、好ましくは、これらの互換性がないまたは使用不可の機能要素は制御されるべきでない。この場合において、例えば、互換性または使用性の欠如を示す警告メッセージは生成されて出力され得る。確認の結果の別例としては、特定の機能要素またはその組み合わせが、特定の条件下のみで互いに互換性がある、および/または、特定のポート処理変形(port process variant)のみにおいて使用可能であることである。好ましくは、このような確認の結果は、後にそれぞれの機能要素を制御するときに考慮され、よって、それぞれの機能要素は互換性がある範囲のみで、例えば、特定の温度範囲ないで、動作することが保証される。
【0011】
そして、第1機能要素および/または第2機能要素は、この確認の結果および/または要素情報の項目に応じて制御される。例えば、第1機能要素の制御において、第1機能要素の機能要素の要素情報の項目と、確認時に得た結果および/または発見とが考慮され得る。例えば、仮に、要素情報の項目が第2機能要素から読み出されたため、または第2機能要素のこれらの要素情報の項目が制御ユニットに記憶されているため、要素情報の項目が第2機能要素に存在する場合、第2機能要素も、第2機能要素の要素情報の項目に応じて制御され得る。追加的にまたは代替的に、この場合において、第2機能要素は、確認および結果および/または生成された発見に応じて制御され得る。
【0012】
ここで説明する方法において、さらに、処理情報の項目が第1機能要素のメモリに記憶される。第2機能要素もメモリを有する場合、好ましくは、処理情報の項目が第1機能要素のメモリにも記憶される。
【0013】
説明される処理ステップは、必ずしも説明する順番で実行する必要がなく、合理的かつ実行可能であれば、別の順番で実行可能である。特に、確認を実行するステップ、第1機能要素および/または第2機能要素を制御するステップ、および/または、処理情報の項目を記憶するステップは、異なる順序で実行されてもよく、および/または任意の繰り返しで実行されてもよい。
【0014】
後にさらに詳細に説明するように、第1機能要素および第2機能要素に加えて、更なる機能要素も、ここで説明する方法において使用可能であり、および/または、ここで説明する装置の一部であり得る。好ましくは、第1機能要素および/または第2機能要素について説明する特性がこの場合に適用される。詳細および/または利点は、1つ、複数、または全部の更なる機能要素にも適用可能である。また、好ましくは、1つ、複数、または全部の更なる機能要素は、好ましくは有線または無線の形式で、制御ユニットおよび/または評価ユニットに接続される。1つ、複数、または全部の機能要素も、好ましくは有線または無線の形式で、互いに接続されている。
【0015】
好ましくは、以降、1つの機能要素について言及するとき、これらの規格は1つ、複数、または全部の機能要素にも適用される。また、複数形の機能要素について言及する規格は、単一の機能要素、例えば、第1機能要素および/または第2機能要素にも適用可能である。
【0016】
選択的な評価ユニットは、好ましくは有線または無線の形式で制御ユニットに接続されており、および/または、制御ユニットから空間的に離して配置され得て、または制御ユニットと一体的に形成され得る。
【0017】
ここで説明する方法は様々な利点をもたらす。第1機能要素がメモリを有し、且つ当該メモリが制御ユニットによって読み出され得る要素情報の項目を有するため、これらの要素情報の項目を手動に要求する必要がなくなる。逆に、簡略化された、好ましくは自動化された読み出し処理および/または情報交換を行うことが可能である。
【0018】
他の利点は、第1機能要素から読み出された要素情報の項目が、更なる情報の項目を用いて確認可能であること、すなわち、第2機能要素から読み出された要素情報の項目を用いて、および/または制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、確認可能であることによってもたらされる。後に詳細に説明するように、例えば、互換性、および/または処理の信頼性に関連する他の確認は、この目的のために行うことができる。よって、第1機能要素および/または第2機能要素の制御を、この確認の結果および/または発見に応じて、および/または、それぞれの要素情報の項目に応じて、行うことができる。このようにすれば、例えば、特定の範囲のみで互いに互換性のある機能要素も、この互換性のある範囲(例えば、特定の温度範囲)のみで動作することが保証される。ここで説明する方法の他の利点は、情報の項目だけが第1機能要素のメモリから読み出し可能ではなく、情報の項目、すなわち、処理情報の項目も第1機能要素のメモリに記憶可能であることによって、もたらされる。よって、機能要素のライフサイクルにわたって処理情報の項目を機能要素のメモリに何度も記憶することができる。これらの処理情報の項目は、好ましくは制御ユニットによって読み出され得て、さらに、好ましくは確認を行うときに考慮され得る。このようにすれば、例えば、最大動作時間(maximum operating runtime)に達した機能要素を使用から除外することができる。
【0019】
好ましくは、第1機能要素および/または第2機能要素は、センサ、および/または、アクチュエータ、および/または、装置部品(apparatus component)を含むグループから選ばれるものである。
【0020】
よって、第1機能要素および/または第2機能要素は、例えば、センサ、アクチュエータ、または装置部品として設計され得る。センサとして設計された機能要素は、例えば、温度センサ、pHセンサ、または液位センサ(level sensor)であってもよい。アクチュエータとして設計された機能要素は、例えば、バイオリアクタ用の攪拌機(stirrer)、攪拌駆動(stirring drive)、温度制御ユニット (例えば、加熱スリーブ、冷却要素、または加熱要素)、またはガス供給要素(gassing element)であってもよい。装置部品として設計された機能要素は、例えば、バイオリアクタ容器などの容器、ヘッドプレート、特にバイオリアクタ用のヘッドプレート、またはホース、例えば。排気ホースまたはガス処理ホース(gassing hose)であってもよい。
【0021】
上述したように、好ましくは、第2機能要素もメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、当該要素情報の項目は、第2機能要素の種類および機能に関する規格を含む。
【0022】
好ましい改良例において、方法は、1つまたは複数の更なる機能要素を提供することを含み、好ましくは、1つ、複数、および全部の更なる機能要素のそれぞれがメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、それぞれの機能要素の種類および機能に関する規格を含む。更なる機能要素が提供される場合、さらに好ましくは、これらの1つ、複数、および全部の更なる機能要素のそれぞれはメモリを有し、メモリにそれぞれの機能要素上の要素情報の項目が記憶される。
【0023】
また、好ましくは、方法は、第2機能要素から要素情報の項目を読み出すこと、および/または、1つ、複数、および全部の更なる機能要素から要素情報の項目を読み出すことを含む。
【0024】
好ましくは、特に確認を行うときに、第2機能要素から、および/または、1つ、複数、および全部の更なる機能要素から読み出された要素情報の項目は考慮される。
【0025】
ここで説明する好ましい実施例のそれぞれは、個別に様々な利点をもたらすだけではなく、これらのそれぞれの可能な組み合わせにおいても様々な利点をもたらす。バイオプロセス工学および/または医療技術における複雑な処理には、大量の機能要素をよく要求する。それぞれの要素情報の項目を有するメモリを有するこれらの機能要素が多いほど、これらの要素情報の項目が、好ましくは制御ユニットによって読み出すことができ、確認を行うときに考慮され得る。そのため、例えば、処理の信頼性、およびGMPなどの品質ガイドラインの維持は、複雑な処理において、より強く支援され得るおよび/または簡素化され得る。
【0026】
1つの好ましい実施例に基づいて、機能要素の種類に関する規格は、それぞれの機能要素が、センサ、アクチュエータ、または、装置部品として設計されているか否かを含む。
【0027】
また、好ましくは、機能要素の種類に関する規格は、それぞれの機能要素のシリアル番号を含み、および/または、それぞれの機能要素の品番(article number)を含み、および/または、それぞれの機能要素の種類規格(type specification)を含み、および/または、それぞれの機能要素の製造に関する規格を含む。
【0028】
機能要素の種類規格は、機能要素の特定の種類をさらに特定してもよい。例えば、攪拌駆動について、上部駆動(overhead drive)および/または磁気駆動という種類規格に特定され得る。ホースに設計された装置部品について、例えば、その種類規格は、加熱可能な排気ホースであってもよい。機能要素のさらに好ましい種類規格は、例えば、バイオリアクタ容器および/またはヘッドプレートおよび/または更なる装置部品に対して、それが多目的の要素であるか否か、または一回使い捨ての要素であるか否かという規格である。機能要素のさらに好ましい種類規格は、機能要素の材料および/または材料の組み合わせ、例えば、バイオリアクタ容器がガラスまたはプラスチックで作られたか否かを含む。
【0029】
それぞれの機能要素の製造に関する規格は、例えば、材料および/または製造方法および/または製造時に用いられる道具を含む。また、好ましくは、製造の場所および/または時間および/または個別の製造ステップのパフォーマンスも含まれ得る。また、好ましくは、機能お要素の配送および/または保管に関する規格も含まれ得る。それぞれの機能要素の製造に関する規格によって、有益なことに、特定の製造パッチからの機能要素、または特定の製造履歴を有する機能要素を、例えば、リコールの状況において、迅速に識別することを可能となる。
【0030】
また、特に好ましくは、機能要素の機能に関する規格は、それぞれの機能要素の動作パラメータに関する規格、および/または、それぞれの機能要素と更なる機能要素との互換性に関する規格、および/または、様々な処理におけるそれぞれの機能要素の使用性(usability)に関する規格、および/または、それぞれの機能要素のキャリブレーションに関する規格、および/または、それぞれの機能要素のCE識別(CE identification)に関する規格、および/または、それぞれの機能要素の遵守すべきサービス間隔(service interval)および/または最大動作期間(maximum operating duration)に関する規格を含む。
【0031】
それぞれの機能要素の動作パラメータに関する規格は、例えば、最大値、制限値、許容パラメータ(permissible parameter)、および/または許容動作モード(permissible operating mode)であってもよい。撹拌駆動に対して、例えば、許容速度範囲、特に最小速度および最大速度、許容電流や、許容電圧などに関する規格は記憶され得る。許容温度範囲、特に最低温度または最高温度は、例えば、多くの機能要素における好ましい動作パラメータである。
【0032】
それぞれの機能要素と更なる機能要素との互換性に関する規格は、例えば、特定の温度で制御ユニットがガラス製の容器としかともに使用されないか否か、および/または、例えば、プラスチック製または一回使い捨ての容器とともに使用される場合に特定の最高温度までしか操作できないか否かを含んでもよい。
【0033】
様々な処理におけるそれぞれの機能要素の使用性に関する規格は、例えば、特定の種類の攪拌機が、特定の生物工学の処理のみに使用可能で、他の生物工学の処理に使用不可であるか否かに関する情報の項目を含んでもよい。これによって、有益なことに、例えば、敏感な細胞培養物を完全に混合するとき、対応する形状の攪拌要素を有する攪拌機のみがこの目的に使用可能である。
【0034】
それぞれの機能要素のキャリブレーションに関する規格は、例えば、それぞれの機能要素においてどのキャリブレーションが行われたかに関する規格、および/または、どの時点および/またはどの間隔で、それぞれの機能要素のどのキャリブレーションが、どのように行われたかに関する規格を含んでもよい。
【0035】
それぞれの機能要素のCE識別に関する規格も、処理の信頼性の保証にも有益である。
【0036】
それぞれの機能要素の遵守すべきサービス間隔および/または最大動作期間に関する規格は、処理の信頼性を高める。それは、サービス間隔および/または最大動作期間の過ぎた機能要素が使用されるときに、好ましくは警告メッセージを出力するためである。好ましくは、最大動作期間は、最大の製品ライフサイクルという意味の最大総動作期間、および/または、特定の処理において機能要素が最大で連続して使用可能および/または操作可能な時間に関する規格を含んでもよい。
【0037】
後にも詳細に説明するように、機能要素の種類および/または機能に関する規格の一部または全部は、変更可能および/または補充可能である。有益なことに、特定の規格が変更禁止および/または書き込み禁止のように保護される場合、これらの規格は、機能要素の全ライフサイクルにわたって変更され得ない。一方、好ましくは、他の規格は、例えば、
行われた保守措置(maintenance measure)に注意するために、および/または、例えば、特定の理由に対して短縮された最大動作期間(最大稼働時間ともいう)に注意するために、および/または、新開発の機能要素の搭載時などのときに互換性に関する新しい発見を追加するために、補充され得るおよび/または変更され得る。
【0038】
好ましくは、変更可能および/または補充可能な規格は、様々な権限(authorization)の付与対象となり得る。よって、特定の規格は、この目的のために特定の権限によって、権限が付与された場合のみに行われ得る。
【0039】
さらに好ましい実施例において、制御ユニットに記憶された情報の項目は、機能要素の互換性に関する規格、および/または、様々な処理における機能要素の使用性に関する規格、および/または、それぞれの処理の種類および/または期間などの、行う処理に関する規格、および/または、処理において使用される処理パラメータの規格を含む。
【0040】
上述した、機能要素の互換性に関する規格は、制御ユニットにも記憶され得る。これによる利点として、例えば、新たに追加された機能要素などの様々な機能要素の互換性に関する多くの規格は、制御ユニットのアップデートと同時に記憶され得ることである。
【0041】
好ましくは、処理を行うことに求められる規格は、制御ユニットにも記憶され、特に行うべき処理の書類および/または期間、および/または、処理において使用される処理パラメータは制御ユニットにも記憶される。有益なことに、機能要素の種類及び機能に関する規格とともに、制御ユニットに記憶された情報の項目は、確認を行うときに用いられ、例えば、処理において使用される処理パラメータ、および/または、当該処理において使用される機能要素が、この目的に許容されて適しているか否かについて確認するために用いられる。
【0042】
さらに好ましい実施例において、処理情報の項目は、処理の種類および/または期間などの、行った処理に関する規格、および/または、処理に使用される処理パラメータの規格、および/または、処理において動作された、それぞれの機能要素および/または更なる機能要素に使用される動作パラメータの規格、および/または、それぞれの機能要素とともに使用される更なる機能要素に関する規格、特に、更なる機能要素の要素情報の項目またはその一部、および/または、処理結果および/または処理エラーに関する規格を含む。
【0043】
好ましくは、機能要素に記憶され得る処理情報の項目は、機能要素が、いつに、どこで(例えば、どの処理で)、どのように(例えば、どの他の機能要素とともに、および/または、どの動作および/または処理パラメータとともに)使用されたかに関する情報を提供可能な情報の項目を含む。これらの規格は、例えば、サービス間隔、および/または求められる保守措置、および/または最大動作期間の確認または変更に使用され得る。
【0044】
更なる実施例において、好ましくは、確認を行うことは、機能要素の互換性を比較することであって、特に、その共同使用について、および/または、予定される処理においてその使用性について、および/または、予定される処理環境においてその使用性について、互換性を比較することを含む。
【0045】
特に好ましくは、確認を行うときに、機能要素の、他の処理および/または特定の処理との互換性、および/または、特定の処理環境における互換性を確認する。この目的のために、好ましくは、この目的のために存在する情報の項目が、例えば、制御ユニットおよび/または評価ユニットにおいて比較される。さらに好ましくは、比較結果が評価される。
【0046】
確認の例示としては、処理が行うべきであるか否か、処理パラメータがその目的のために提供されるか否か、処理環境がその目的のために提供されるか否かを確認すること、この処理において使用されるために提供される機能要素が適切であるか否か、特に、これらの機能要素の種類および機能に関する規格について確認することであってもよい。例えば、好ましくは、一回使い捨ての容器における細胞培養物の培養について確認され得て、特には、全部の機能要素が一回使い捨ての容器での使用のために設計されているか否か、および、行うべき処理が、一回使い捨ての容器で遵守すべき最高温度を超えるか否かについて、確認され得る。また、例えば、使用のために提供される攪拌機は、細胞培養物の培養に適した攪拌要素の設計を有するか否かが確認され得る。同様な確認は、ガス供給、ガス処理ルーティング、媒体の供給または除去、温度監視、pH監視、およびその他の領域に対しても行い得る。
【0047】
情報および/または規格のそれぞれの項目を考慮して確認をすることによって、特には、この確認の結果は、1つまたは複数の機能要素の制御のために考慮され得る。例えば、撹拌駆動のための最大速度は、細胞培養物の培養などの特定の処理において予め決定され得る。当該駆動は制御ユニットによって適切に制御され、そのため、駆動の最大の許容速度が当該駆動よりも超えているにもかかわらず、当該駆動は処理によって予め決定されたその最大速度を超えない。また、例えば、仮に温度制御ユニットが非常に高い加熱能力を有しても、温度制御ユニットは、処理に対して最大で許容される特定の温度を超えないように、例えば、細胞培養物に害しない温度を超えないように動作してもよい。
【0048】
さらに好ましい実施例は、確認に応じて、第1機能要素および/または第2機能要素および/または1つまたは複数の更なる機能要素、および/または、行うべき処理を構成することに特徴がある。当該構成は、好ましくは、1つまたは複数の機能要素を制御ユニットに接続させた後に、さらに好ましくは、要素情報の項目の読み出しの後に、さらに好ましくは、確認を行った後に、構成される。当該構成は、好ましくは、機能要素の制御前にまたはそれと同時に、構成される。
【0049】
好ましくは、機能要素および/または処理の構成は、動作パラメータの選択および/または設定、および/または、処理パラメータ、および/または、設定オプションなどを含んでもよい。例えば、機能要素は異なる動作モードまたは設定オプションを有してもよく、および/または、行うべき処理は異なる可能な変形例において実行され得る。好ましくは、使用すべき機能要素の集合(constellation)および行うべき処理が、機能要素の、特定の種類または様々な処理、および/または、特定の設定、および/または、動作パラメータを必要とするが確認に応じて示される場合、これらの機能要素は制御ユニットによって適切に構成される。
【0050】
方法のさらに好ましい実施例において、処理情報の項目を制御ユニットのメモリに記憶し、および/または、処理情報の項目を評価ユニットのメモリに記憶する。
【0051】
好ましくは、処理情報の項目は、1つまたは複数の機能要素のメモリにも、制御ユニットおよび/または評価ユニットのメモリにも記憶され得る。このようにすれば、処理情報の項目は、更なる確認および/または評価に対しても使用可能である。制御ユニットのメモリおよび/または評価ユニットのメモリに記憶された情報の項目は、1つまたは複数の機能要素に記憶された情報の項目と同じであってもよく、異なってもよい。
【0052】
さらに好ましい実施例において、サービス情報の項目を、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリに記憶し、および/または、 顧客情報の項目を、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリに記憶する。
【0053】
サービス情報の項目は、例えば、機能要素の保守および/または実行可能性(feasibility)に関する規格を含んでもよい。好ましくは、特定の権限のみが、例えば、適したサービス技術者が、機能要素のメモリにおけるサービス情報の項目の記憶の開始に対して権限が付与される。顧客情報の項目は、例えば、顧客個別の要素指定、顧客のところで機能要素の使用場所などのユーザ固有情報(user-specific information)の項目を含んでもよい。好ましくは、機能要素のメモリにおける顧客情報の項目の記憶は、顧客によって開始される。例えば、顧客は、機能要素のメモリにおける顧客情報の項目以外の他の情報の項目の記憶を開始する権限を有しないことが好ましい。サービス情報の項目および/または顧客情報の項目は、要素情報の項目の一部を形成してもよく、要素情報の項目は、複数の機能要素のメモリに別々に記憶されてもよい。
【0054】
方法のさらに好ましい実施例において、要素情報の項目が記憶される。
【0055】
機能要素のメモリに処理情報の項目を記憶することに加えて、機能要素のメモリに要素情報の項目を記憶することも好ましい。この場合において、例えば、存在する要素情報の項目は、上書きなどによって変更され得る。要素情報の項目は補充もされ得る。このようにすれば、要素情報の項目に対して、要素情報の項目の変更、または追加の情報の項目が求められる場合、特に重要な項目などの要素情報の項目、例えば、処理信頼性は常に最新に維持可能となるという利点をもたらす。
【0056】
さらに好ましい実施例において、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、デジタル不揮発性メモリであり、特に、1線式EEPROM(One-Wire EEPROM)などのEEPROMである。これらのメモリの好ましい変化例は、費用対効果が高く、ロバストで、信頼性の高い解決策であると同時に、エネルギ効率も高いという利点をもたらす。
【0057】
また、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、液密に製造され、好ましくは、気密および/または液密に製造される。有益なことに、この実施例によれば、機能要素は、機能要素またはそのメモリが処理媒体の処理対象になり得る処理に対して特に適している。
【0058】
方法のさらに好ましい実施例において、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、滅菌され得て、好ましくは、高圧蒸気滅菌(autoclaved sterilization、オートクレーブ滅菌、AC滅菌ともいう)にされ得て、および/または、ベータ滅菌および/またはガンマ滅菌などの放射線滅菌にされ得る。特に機能要素が多目的の要素である場合、機能要素が滅菌可能および/または高圧蒸気滅菌可能であることが有益となる。
【0059】
特に好ましいことに、第1機能要素および/または第2機能要素および/または更なる機能要素のメモリは、100℃以上の耐熱性を有し、好ましくは110℃以上の耐熱性を有し、好ましくは120℃以上の耐熱性を有し、好ましくは130℃以上の耐熱性を有し、好ましくは150℃以上の耐熱性を有する。
【0060】
これらの好ましい耐熱性によれば、機能要素は大範囲の処理温度に適しており、よって、機能要素はこのような温度、例えば、滅菌または高圧蒸気滅菌の処理対象になり得る。
【0061】
ここで説明する好ましい特徴および詳細は、有益な実施例において、それぞれに分別されてもよく、組み合わせられてもよい。
【0062】
本発明の更なる概念に基づいて、最初に言及した目的は、前述した、バイオプロセス工学および/または医療技術における方法の使用によって達成される。
【0063】
更なる概念に基づいて、最初に言及した目的は、前述した、バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置によって達成される。当該装置は、第1機能要素であって、メモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶され、要素情報の項目が、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含む、第1機能要素と、第2機能要素と、制御ユニットと、を含む。制御ユニットは、第1機能要素から要素情報の項目を読み出し、第2機能要素から読み出した要素情報の項目を用いて、および/または、制御ユニットに記憶された情報の項目を用いて、読み出した第1機能要素の要素情報の項目を確認するように設計されている。制御ユニットは、確認に応じて、および/または、要素情報の項目に応じて、第1機能要素および第2機能要素の少なくとも1つを制御するように設計されている。制御ユニットは、処理情報の項目を第1機能要素のメモリに記憶するように設計されている。
【0064】
更なる概念に基づいて、最初に言及した目的は、前述した、バイオプロセス工学および/または医療技術における装置の使用によって達成される。
【0065】
更なる概念に基づいて、最初に言及した目的は、前述した、バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置のための機能要素、および/または、前述した方法のための機能要素によって達成される。機能要素はメモリを有し、メモリに要素情報の項目が記憶される。要素情報の項目は、第1機能要素の種類および機能に関する規格を含む。機能要素は、制御ユニットによって制御されるように設計されている。メモリは、制御ユニットおよび/または評価ユニットによって読み出されるように設計されている。メモリは、その中に処理情報の項目が制御ユニットおよび/または評価ユニットによって記憶可能であるように設計されている。
【0066】
好ましくは、ここで説明する方法およびその可能な改良は、特に、ここで説明する装置および/またはここで説明する機能要素およびそれぞれの可能な改例と共に使用することに適したものにする、特徴または方法ステップを有する。また、好ましくは、ここで説明する装置および/またはここで説明する機能要素およびそれぞれの可能な改良は、特にそれらを、ここで説明する方法およびその改良と共に使用することに適したものにする、特徴を有する。
【0067】
これらの特徴概念およびそれらのそれぞれの可能な改良の利点、実施例の変化例、および実施例の詳細についても、前述した、対応する方法特徴を参照するとよい。
【0068】
前述した装置および前述した方法および前述した機能要素は、特にバイオプロセス工学および/または医療技術における使用に適している。
【0069】
好ましい例示的な実施例は、添付図面をベースにする形式で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素を制御する方法の一例のフローチャートを示す略図
図2】バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置の一例の略図
図3】機能要素のメモリにおける要素情報の項目および処理情報の項目の一例の略図
図4】制御ユニットに記憶された情報の項目の一例の略図
【発明を実施するための形態】
【0071】
図面において、同じ要素または本質的かつ機能的に同じ要素に対して、同じ参照符号が付されている。一般的な説明は、違いが明示的に示されていない場合、一般的にはすべての実施形態を指す。
【0072】
図1は、バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340を制御する方法1000の一例のフローチャートの概略図を示す。図2は、バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置の一例を、ここではバイオリアクタ1の形態で、概略的に示す。図3および図4は、機能要素のメモリ701における要素情報の項目700および処理情報の項目900の一例を示し(図3)、制御ユニット100に記憶された情報の項目800の一例を示す(図4)。
【0073】
方法1000およびそのステップは、図2に示されている、バイオプロセス工学および/または医療技術において使用される装置である、かつ、ここではバイオリアクタ1の形態にしている一例を元に、以下に説明される。しかしながら、方法および装置は、ここで示される特徴の例示および組み合わせに限定されない。
【0074】
図2に一例として示されるバイオリアクタ1は、制御ユニット100および評価ユニット101に接続されている。バイオリアクタ1と評価ユニット101との間の接続は、制御ユニット100を介して直接的にまたは間接的に行ってもよい。また、バイオリアクタ1と制御ユニット100および評価ユニット101との間の接続は、有線または無線の形式で行ってもよい。
【0075】
バイオリアクタ1は、複数の機能要素を有し、具体的には、センサ、アクチュエータ、および装置部品を有する。
【0076】
装置部品として、バイオリアクタ1は、バイオリアクタ容器310と、ヘッドプレート320と、排気ホース330と、ガス供給ホース340とを有する。
【0077】
アクチュエータとして、バイオリアクタ1は、攪拌機210と攪拌駆動220とを有し、さらに、排気ホース330のための温度制御ユニット230と加熱スリーブ260とを有する。また、アクチュエータは、ガス供給プローブ250およびガス抜きパイプ240である。
【0078】
バイオリアクタ1はさらに、温度センサ110とpHセンサ120とを有し、当該センサらは、配線112、122を介して更なる部品、例えば、制御ユニット100および/または評価ユニット101に接続してもよい。
【0079】
好ましくは、排気ホース330および/またはガス供給ホース340は、媒体リザーバ(ここでは図示せず)または更なる部品にも接続してもよい。好ましくは、攪拌駆動220は、エネルギ源(図示せず)に接続される。
【0080】
図2に示された例示において、すべての機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340のそれぞれがメモリを有し、これらについては後に詳細に説明する。しかしながら、1つの機能要素のみ、2つの機能要素のみ、または複数の機能要素のそれぞれがメモリを有する実施形態も可能である。
【0081】
例えば、攪拌機210はメモリ211を有し、攪拌駆動220はメモリ221を有する。バイオリアクタ容器310はメモリ311を有し、ヘッドプレート320はメモリ321を有する。温度制御ユニット230はメモリ231を有する。境界プローブ250はメモリ251を有し、ガス供給プローブ250に接続されたガス供給ホース340はメモリ341を有する。ガス抜きパイプ240はメモリ241を有し、ガス抜きパイプ240に接続された排気ホース330はメモリ331を有する。排気ホース230のための加熱スリーブ260はメモリ261を有する。2つのセンサ110、120のそれぞれはメモリ111、121を有する。機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340のメモリ111、121、211、221、231、241、251、261、311、321、331、341のそれぞれは、図3に示されるメモリ701と類似にまたは同様に構築され得る。
【0082】
図1に示された、バイオプロセス工学および/または医療技術において機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340を制御する方法1000の例示では、ステップ1001aにおいて、まず、例えば、ここでバイオリアクタ容器310の形態にする第1機能要素が提供され、ステップ1001bにおいて、例えば、ここで攪拌機の形態にする第2機能要素が提供され、ステップ1001cにおいて、例えば、ここで更なる機能要素110、120、220、230、240、250、260、320、330、340の形態にする更なる機能要素が提供され、これらの更なる要素は図2において例示として言及される。
【0083】
ステップ1002において、機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340は、好ましくは有線または無線の形式で制御ユニット1000に接続される。
【0084】
ステップ1003aにおいて、要素情報の項目700は、バイオリアクタ容器310の形態にする第1機能要素のメモリ311からが読み出される。ステップ1003bにおいて、要素情報の項目は、第2機能要素のメモリ211から読み出される。ステップ1003cにおいて、更なる要素情報の項目は、更なる機能要素110、120、220、230、240、250、260、320、330、340のメモリ111、121、221、231、241、251、261、321、331、341から読み出される。
【0085】
ステップ1004において、様々な機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340から、またはそれらのメモリ111、121、211、221、231、241、251、261、311、321、331、341から読み出された要素情報の項目700に対して確認が行われ、および/または、制御ユニット100に記憶された情報の項目800を用いた確認が行われる。
【0086】
ステップ1005において、好ましくは、機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340のうちの1つまたは複数、および/または、行うべき処理は、ステップ1004で行われた確認に応じて構成される。
【0087】
続いて、ステップ1006において、機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340は、ステップ1004で行われた確認に応じて、および/または、機能要素700に応じて、制御され、特には制御ユニット100によって制御される。
【0088】
ステップ1007a、b、cにおいて、続いて、処理情報の項目900は、機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340のメモリ111、121、211、221、231、241、251、261、311、321、331、341に記憶される。
【0089】
好ましくは、ステップ1008aにおいて、処理情報の項目900は、制御ユニット100のメモリにも記憶され、および/または、ステップ1008bにおいて、処理情報の項目900は、評価ユニット101のメモリに記憶される。
【0090】
好ましくは、ステップ1008cにおいて、サービス情報の項目780および/または顧客情報の項目790は、1つまたは複数の機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340のメモリ111、121、211、221、231、241、251、261、311、321、331、341に記憶される。
【0091】
図3において例示として示されたメモリ701は、要素情報の項目700、処理情報の項目900、サービス情報の項目780、および顧客情報の項目790を含む。好ましくは、1つ、2つ、複数、またはすべての機能要素110、120、210、220、230、240、250、260、310、320、330、340のメモリ111、121、211、221、231、241、251、261、311、321、331、341は、図3において例示として示されたメモリ701のように設定されている。
【0092】
好ましくは、要素情報の項目700は、機能要素の種類に関する規格710および/または機能要素のオプションに関する規格720を含む。機能要素の種類に関する規格710は、例えば、シリアル番号711、物品番号712、または種類規格713を含んでもよい。機能要素の機能に関する規格720は、例えば、動作パラメータに関する規格721、互換性に関する規格722、様々な処理におけるそれぞれの機能要素の使用性に関する規格723、それぞれの機能要素のキャリブレーションに関する規格724、考慮される機能要素のCE識別に関する規格721、維持すべきサービス間隔および/または機能要素の最大動作期間に関する規格726を含んでもよい。
【0093】
好ましくは、処理情報の項目900は、行うべき処理に関する規格910、処理において使用される処理パラメータの規格920、処理において動作した機能要素に使用された動作パラメータの規格930、および/または、機能要素とともに使用される更なる機能要素に関する規格940、および/または、処理結果および/または処理エラーに関する規格950を含んでもよい。
【0094】
また、サービス情報の項目780および/または顧客情報の項目790はメモリ701に記憶され得る。
【0095】
制御ユニット100のメモリに記憶される情報項目800は、例えば、機能要素の互換性に関する規格810、様々な処理における機能要素の使用性に関する規格820、行うべき処理に関する規格830、および /または、処理において使用される処理パラメータの規格840を含んでもよい。
【0096】
好ましくは、要素情報700の項目、処理情報の項目900、サービス情報の項目780、および/または、機能要素のメモリ701における以下の情報の項目790のそれぞれは、補充および/または変更の目的のために付与された権限による場合のみ、補充および/または変更され得る。例えば、サービス情報の項目780を補充および/または変更するための権限は、この目的のために権限が付与されたサービス担当者に制限してもよい。一方、顧客情報の項目790は、例えば、顧客によっても変更または補充され得る。好ましくは、例えば、要素情報の項目700は、製造業者または製造業者によって権限が付与された担当者による場合のみ、補充および/または変更され得る。
【0097】
ここで説明する解決策を使用すると、特に、処理の信頼性を高め、GMPなどの品質ガイドラインの維持を容易にし、この目的に必要な書類をより簡単に作成することは、有利にかつ効率的に可能となる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】