(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電圧検知回路及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20230209BHJP
H05B 45/14 20200101ALI20230209BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/14
H02M3/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549956
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2021054112
(87)【国際公開番号】W WO2021165447
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/076184
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ミン ツァオミン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン フイ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ジウリャン
【テーマコード(参考)】
3K273
5H730
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA33
3K273BA37
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5H730AA13
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5H730XX09
5H730XX23
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5H730XX33
5H730XX42
(57)【要約】
電圧検知回路は、回路構成要素の両端の電圧を示す検知信号を供給するために分圧器を使用する。電流注入器が、検知端子に電流を注入するために使用される。故障の有無を決定するために、電流注入がない状態で検知信号が取得される。前記検知端子は、電圧クランプ構成要素を介して外部回路構成要素に結合される。前記電流の注入に応じて更なる検知信号が取得される。注入される前記電流に応じた前記検知信号と前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧とを比較することによって、前記故障が、前記回路構成要素によって引き起こされているのか前記分圧器によって引き起こされているのかが決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路構成要素の両端の電圧を検知するための電圧検知回路であって、
前記回路構成要素に接続するよう適合される第1端子及び第2端子と、
前記回路構成要素と並列に接続され、前記第1端子及び前記第2端子の間に接続される、直列の第1及び第2抵抗器を含む分圧器であって、前記第1及び第2抵抗器の間の検知端子が、前記回路構成要素の両端の電圧を示すことができる検知信号を供給するためのものである分圧器と、
前記検知端子から前記外部回路構成要素へ結合される電圧クランプ構成要素と、
前記検知端子に電流を注入するための電流注入器と、
前記検知信号を受信し、電流注入を制御するためのコントローラであって、
前記検知信号が故障を示す最小閾値未満に低下しているかどうかを検出し、それに応じて、前記検知端子に電流を注入するよう前記電流注入器を制御し、
前記電流の注入に応じた前記検知信号を検出し、それに応じて、注入される前記電流に応じた前記検知信号と、前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧とを比較することによって、前記故障が、前記回路構成要素によって引き起こされているのか前記分圧器によって引き起こされているのかを決定するよう適合されるコントローラとを有する電圧検知回路。
【請求項2】
前記コントローラが、前記検知信号の電圧が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に等しい場合には、前記故障が前記外部回路構成要素によって引き起こされていると決定し、前記検知信号が前記電圧クランプ構成要素の前記クランプ電圧と異なる場合には、前記故障が前記分圧器によって引き起こされていると決定するよう適合される請求項1に記載の電圧検知回路。
【請求項3】
前記電圧クランプ構成要素が、前記検知端子から前記第1端子へ順方向接続されるダイオードを有する請求項1又は2に記載の電圧検知回路。
【請求項4】
前記コントローラが、前記電流の注入に応じた前記検知信号が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に実質的に等しい場合には、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定するよう適合される請求項3に記載の電圧検知回路。
【請求項5】
前記コントローラが、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定される場合には、それに応じて、ドライバが最小電流を供給するよう適合される短絡保護モードメッセージを生成するよう、又はそれに応じて、ドライバが停止されるよう適合される停止メッセージを生成するよう適合される請求項4に記載の電圧検知回路。
【請求項6】
前記コントローラが、前記電流の注入に応じた前記検知信号が上側閾値を超えている場合には、前記第1端子に接続される前記第1抵抗器がオープンであると決定するよう適合される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電圧検知回路。
【請求項7】
前記コントローラが、前記電流の注入に応じた前記検知信号が、下側閾値未満である、好ましくは、ゼロと等しい場合には、前記第2端子に接続される前記第2抵抗器が短絡されていると決定するよう適合される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電圧検知回路。
【請求項8】
前記コントローラが、前記第1抵抗器がオープンであると、又は前記第2抵抗器が短絡されていると決定される場合には、停止メッセージを生成するよう適合される、請求項6又は7に記載の電圧検知回路。
【請求項9】
前記検知端子における前記検知信号を決定するよう適合される電圧検出器を更に有し、
前記電圧検出器と、前記電流注入器と、前記コントローラとが、一緒に、集積回路の一部を形成する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電圧検知回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電圧検知回路と、
前記回路構成要素を含むLED装置とを有する照明デバイス。
【請求項11】
前記LED装置に印加される電圧を制御するための電圧レギュレータを更に有する請求項10に記載の照明デバイス。
【請求項12】
前記電圧検知回路が、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定される場合には、
最小電流の出力を可能にするよう前記電圧レギュレータを制御するために、前記電圧レギュレータに短絡保護モードメッセージを送信するよう、又は
完全に停止し、実質的に電流を出力しないよう前記電圧レギュレータを制御するために、前記電圧レギュレータに停止メッセージを送信するよう適合される請求項11に記載の照明デバイス。
【請求項13】
外部回路構成要素の両端の電圧を検知する電圧検知機能を有する集積回路であって、
前記外部回路構成要素と並列に接続される分圧器の検知端子に接続される検知入力であって、前記検知端子が、電圧クランプ構成要素を介して前記外部回路構成要素に結合される検知入力と、
前記検知入力における検知信号電圧を決定するよう適合される電圧検出器と、
前記検知信号電圧が、最小閾値未満であり、それによって、故障を示している場合には、前記検知端子に電流を注入する電流注入器であって、前記電圧検出器が、その場合、前記電流源からの注入される前記電流に応じた前記検知入力における検知信号電圧を決定するよう適合される電流注入器と、
前記注入される電流に応じた前記検知信号と前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧とを比較することによって、前記電流の注入に応じた前記検知信号電圧に基づいて、前記故障が、前記分圧器によって引き起こされているのか前記分圧器と並列に接続される前記外部回路構成要素によって引き起こされているのかを決定するコントローラとを有する集積回路。
【請求項14】
第1端子と第2端子との間の回路構成要素に関する電圧を検知するための電圧検知方法であって、
分圧器を形成する直列の第1及び第2抵抗器の間の検知端子から第1検知信号を受信するステップであって、前記第1検知信号が、検知されている回路構成要素の両端の電圧を示し、前記検知端子から前記回路構成要素へ結合される電圧クランプ構成要素が存在するステップと、
前記第1検知信号が最小閾値未満に低下しているかどうかを検出し、それに応じて、前記検知端子に電流を注入するよう電流注入器を制御するステップと、
前記電流の注入に応じた第2検知信号を検知するステップと、
注入される前記電流に応じた前記第2検知信号と前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧とを比較することによって、前記第2検知信号に基づいて、前記故障が、前記回路構成要素によって引き起こされているのか前記分圧器によって引き起こされているのかを決定するステップとを有する電圧検知方法。
【請求項15】
前記コントローラが、前記第2検知信号の電圧が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に等しい場合には、前記故障が前記外部回路構成要素によって引き起こされていると決定し、前記第2検知信号が前記電圧クランプ構成要素の前記クランプ電圧と異なる場合には、前記故障が前記分圧器によって引き起こされていると決定するよう適合され、
前記電圧クランプ構成要素が、前記検知端子から前記第1端子へ順方向接続されるダイオードであり、前記方法が、
前記第2検知信号が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に実質的に等しい場合には、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定するステップ、及び/又は
前記第2検知信号がより高い閾値を超えている場合には、前記第1端子に接続される前記第1抵抗器がオープンであると決定するステップ、及び/又は
前記第2検知信号が、より低い閾値未満である、好ましくは、ゼロである場合には、前記第2端子に接続される前記第2抵抗器が短絡されていると決定するステップを有する請求項14に記載の電圧検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回路構成要素の制御のためにフィードバック信号を生成する目的のための、回路構成要素の両端の電圧の検知に関する。例えば、本発明は、電圧レギュレータを制御するための、LED装置における電圧のフィードバック制御に関する。
【背景技術】
【0002】
LED装置の形態の負荷に提供される電圧及び/又は電流供給を変化させるために、制御可能なLEDドライバが使用されることがある。このようなLEDドライバの制御は、例えば、LED装置における電流又は電圧をフィードバックするフィードバックループに基づく。本発明は、例えば、LED装置の両端の電圧を表す電圧フィードバック信号を利用するLEDドライバに関する。
【0003】
電圧フィードバック信号は、例えば、抵抗分圧器によって、分圧器の電圧検出抵抗器の両端の電圧を測定することによって生成される。電圧検出抵抗器が開回路で故障する場合には、電圧制御回路は、検出抵抗器からのフィードバック信号がないため、適切に動作することができない。電圧検出抵抗器が閉回路で故障する場合には、電圧制御回路は、電圧がないことを示すフィードバック信号を受信するので、それに応じて電圧を(継続的に)増加させようとし、このことは、安全性の問題をもたらす可能性がある。
【0004】
LEDドライバは、例えば、単一の構成要素が故障(開回路又は短絡)した場合にドライバは依然として安全でなければならないことを意味する単一故障安全要件を満たさなければならない。電圧フィードバックシステムが故障する場合には、上記で説明したような安全性の問題が生じる可能性がある。
【0005】
この問題に対する通常の解決策は、バックアップ回路として第2電圧検出抵抗器及び関連する制御回路を使用するものである。これは、回路の複雑性を増加させ、回路の電力損失を増加させる。
【0006】
回路故障の原因を特定することができることも望ましいだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、個々の構成要素の故障を検出する、改良された電圧検知装置に対するニーズがある。
【0008】
US20170248641A1も、電流源及び分圧器を有するが、データピンD-に接続される外部デバイスの故障を検出するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
回路故障を特定し、回路故障の原因も特定するために、2つの電圧フィードバック測定を実施することが、本発明の概念である。第1フィードバック測定は、分圧器からなされる。検出されるフィードバック電圧がゼロであるなどの故障が検出される場合には、分圧器に電流を追加注入して第2フィードバック測定がなされる。この第2フィードバック測定が、回路故障の原因、即ち、外部回路構成要素と分圧器とのうちのどちらが故障を引き起こしているのかを特定することを可能にする。
【0010】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0011】
本発明の或る態様による例によれば、回路構成要素の両端の電圧を検知するための電圧検知回路であって、
前記回路構成要素に接続するよう適合される第1端子及び第2端子と、
前記回路構成要素と並列に接続され、前記第1端子(12)及び前記第2端子(14)の間に接続される、直列の第1及び第2抵抗器を含む分圧器であって、前記第1及び第2抵抗器の間の検知端子が、前記回路構成要素の両端の電圧を示すことができる検知信号を供給するためのものである分圧器と、
前記検知端子から前記外部回路構成要素へ結合される電圧クランプ構成要素(D1)と、
前記検知端子に電流を注入するための電流注入器と、
前記検知信号を受信し、電流注入を制御するためのコントローラであって、
前記検知信号が故障を示す最小閾値未満に低下しているかどうかを検出し、それに応じて、前記検知端子に電流を注入するよう前記電流注入器を制御し、
前記電流の注入に応じた前記検知信号を検出し、それに応じて、注入される前記電流に応じた前記検知信号と、前記電圧クランプ構成要素(D1)のクランプ電圧とを比較することによって、前記故障が、前記回路構成要素によって引き起こされているのか前記分圧器によって引き起こされているのかを決定するよう適合されるコントローラとを有する電圧検知回路が提供される。
【0012】
この電圧検知回路は、例えば短絡を示す、閾値未満に低下している検知信号に基づいて回路故障を検出する。この短絡は、前記回路構成要素(全体が短絡している前記分圧器)によって引き起こされている場合があり、又は一方の抵抗器における短絡故障、若しくは他方の抵抗器における開回路故障を有する前記分圧器の前記検知抵抗器によって引き起こされている場合がある。更に、これらの考えられる原因のうちのどれが原因であるかを決定するために、電圧クランプ構成要素が設けられ、前記故障の根本的原因を決定するために、更なる検知信号が、前記検知端子への電流注入中に取得され、前記クランプ電圧と比較される。
【0013】
より具体的には、前記コントローラは、前記検知信号の電圧が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に等しい場合には、前記故障が前記外部回路構成要素によって引き起こされていると決定し、前記検知信号が前記電圧クランプ構成要素の前記クランプ電圧と異なる場合には、前記故障が前記分圧器によって引き起こされていると決定するよう適合される。例えば、前記分圧器の前記抵抗器が短絡していない場合には、前記抵抗器の両端の電圧は増大し得るのに対して、前記抵抗器が短絡している場合には、前記電圧はゼロのままである。前記回路構成要素が短絡を有する場合には、前記分圧器の両端が短絡され、従って、前記検知端子への電流の注入は、その端子において前記クランプ電圧に等しい電圧を生成する。その結果、短絡されている検知信号の考えられる原因が識別されることができる。
【0014】
前記分圧器は、前記回路構成要素の両端の出力電圧を表す電圧を前記検知端子において生成するだけでなく、故障の識別に使用される検知信号も生成する。
【0015】
前記電圧クランプ構成要素は、前記検知端子から前記第1端子へ順方向接続される(forwarded)ダイオードを有する。従って、前記電圧クランプ構成要素は、前記分圧器の第1抵抗器と並列にあり、他の抵抗器は、前記検知抵抗器である。このクランプ構成要素は、或る特定の故障モードにおいて前記検知端子において認識可能な電圧が存在することを可能にする。更に、前記電圧クランプ構成要素は、前記第1端子から逆バイアスされていることから、全ての構成要素が無傷であるときには前記分圧器の正常な検知に影響を及ぼさず、電力損失をもたらさない。
【0016】
前記コントローラは、例えば、前記電流の注入に応じた前記検知信号が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に実質的に等しい場合には、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定するよう適合される。この場合には、前記電圧クランプ構成要素及び短絡されている前記回路構成要素を含む電流経路は、低いインピーダンスを有し、従って、電流はこの経路に流れ込み、それと同時に、前記検知端子においてクランプ電圧が生成される。
【0017】
前記コントローラは、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定される場合には、短絡保護モードメッセージを生成するよう、又は停止(shut down)メッセージを生成するよう適合されてもよい。
【0018】
このメッセージは、ドライバによって、(電流制御ループを使用して)最小電流を出力するために使用され得る、あるいは、ドライバによって、完全に停止するために使用され得る。
【0019】
前記コントローラは、前記電流の注入に応じた前記検知信号が上側閾値を超えている場合には、前記第1端子に接続される前記第1抵抗器がオープン(open)であると決定するよう適合されてもよい。これは、前記注入される電流が、通常の動作電圧を超える、前記第2抵抗器を通した電圧降下を引き起こすからである。この場合には、短絡していない前記回路構成要素プラス前記電圧クランプ構成要素は、前記第2抵抗器と同様に、依然として相対的な高インピーダンスであり、従って、前記検知端子には高い電圧が存在する。
【0020】
前記コントローラは、前記電流の注入に応じた前記検知信号が、下側閾値未満である場合には、前記第2端子に接続される前記第2抵抗器が短絡されていると決定するよう適合されてもよい。前記第2抵抗器は前記検知抵抗器であり、故に、前記第2抵抗器が短絡される場合には、前記電圧はゼロである。そうでなければ、前記電圧は、依然として前記クランプ電圧であり、前記故障は、前記回路構成要素の短絡である。
【0021】
前記コントローラは、前記第1抵抗器がオープンであると、又は前記第2抵抗器が短絡されていると決定される場合には、停止メッセージを生成するよう適合されてもよい。
【0022】
前記電圧検知回路は、前記検知端子における検知信号電圧を決定するよう適合される電圧検出器を更に有してもよく、前記電圧検出器、前記電流注入器及び前記コントローラは、一緒に、集積回路の一部を形成する。
【0023】
前記集積回路は、抵抗分割器からの信号分析を実施する。
【0024】
本発明は、
上記で規定されているような電圧検知回路と、
前記回路構成要素を含むLED装置とを有する照明デバイスも提供する。
【0025】
その場合、前記LED装置に印加される電圧を制御するための電圧レギュレータが設けられてもよい。
【0026】
前記電圧検知回路は、例えば、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定される場合には、
最小電流の出力を可能にするよう前記電圧レギュレータを制御するために、前記電圧レギュレータに短絡保護モードメッセージを送信するよう、又は
完全に停止し、実質的に電流を出力しないよう前記電圧レギュレータを制御するために、前記電圧レギュレータに停止メッセージを送信するよう適合されてもよい。
【0027】
本発明は、外部回路構成要素の両端の電圧を検知する電圧検知機能を有する集積回路であって、
前記外部回路構成要素と並列に接続される分圧器の検知端子に接続される検知入力であって、前記検知端子が、電圧クランプ構成要素を介して前記外部回路構成要素に結合される検知入力と、
前記検知入力における検知信号電圧を決定するよう適合される電圧検出器と、
前記検知信号電圧が、最小閾値未満であり、それによって、故障を示している場合には、前記検知端子に電流を注入する電流注入器であって、前記電圧検出器が、その場合、前記電流源からの注入される前記電流に応じた前記検知入力における検知信号電圧を決定するよう適合される電流注入器と、
前記注入される電流に応じた前記検知信号と前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧とを比較することによって、前記電流の注入に応じた前記検知信号電圧に基づいて、前記故障が、前記分圧器によって引き起こされているのか前記分圧器と並列に接続される前記外部回路構成要素によって引き起こされているのかを決定するコントローラとを有する集積回路も提供する。
【0028】
これは、前記分圧器から受け取られる電圧を処理するために使用される集積回路を提供する。
【0029】
本発明は、第1端子と第2端子との間の回路構成要素に関する電圧を検知するための電圧検知方法であって、
分圧器の直列の第1及び第2抵抗器の間の検知端子から第1検知信号を受信するステップであって、前記第1検知信号が、検知されている回路構成要素の両端の電圧を示し、前記検知端子から前記回路構成要素へ結合される電圧クランプ構成要素が存在するステップと、
前記第1検知信号が最小閾値未満に低下しているかどうかを検出し、それに応じて、前記検知端子に電流を注入するよう電流注入器を制御するステップと、
前記電流の注入に応じた第2検知信号を検知するステップと、
注入される前記電流に応じた前記第2検知信号と前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧とを比較することによって、前記第2検知信号に基づいて、前記故障が、前記回路構成要素によって引き起こされているのか前記分圧器によって引き起こされているのかを決定するステップとを有する電圧検知方法も提供する。
【0030】
電圧クランプ構成要素は、例えば、前記検知端子と前記第1端子との間にあり、前記方法は、
前記第2検知信号が前記電圧クランプ構成要素のクランプ電圧に実質的に等しい場合には、前記第1端子及び前記第2端子が前記回路構成要素により短絡されていると決定するステップ、及び/又は
前記第2検知信号がより高い閾値を超えている場合には、前記第1端子に接続される前記第1抵抗器がオープンであると決定するステップ、及び/又は
前記第2検知信号が、より低い閾値未満である場合には、前記第2端子に接続される前記第2抵抗器が短絡されていると決定するステップを有する。
【0031】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について詳細に説明する。
【
図1】回路構成要素とフィードバック制御目的のための電圧検知回路とを有する既知の電子装置を示す。
【
図2】本発明の例による修正された電圧検知回路を使用する電子装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図を参照して本発明について説明する。
【0034】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0035】
本発明は、回路構成要素の両端の電圧を示す検知信号を供給するために分圧器を使用する電圧検知回路を提供する。電流注入器が、検知端子に電流を注入するために使用される。故障の有無を決定するために、電流注入がない状態で検知信号が取得される。電流の注入に応じて更なる検知信号が取得される。次いで、故障が、回路構成要素によって引き起こされているのか分圧器によって引き起こされているのかが決定されることができる。
【0036】
本発明は、任意の構成要素の、構成要素の両端の電圧を示す電圧のフィードバックに基づく制御に適用され得る。
【0037】
図1は、概略的に負荷抵抗器Rloadとして表されている回路構成要素10を有する既知の電子装置を示している。平滑コンデンサC1は、負荷と並列にある。
【0038】
電圧レギュレータの形態のドライバ11は、第1端子12と第2端子14との間に調整出力電圧Voutを供給する。回路構成要素10は、第1端子12と第2端子14との間に接続される。
【0039】
ドライバは、直接的には固定電圧を生成しない。その代わりに、ドライバは負荷に電流を供給する。電流は、測定され、フィードバック信号として供給される、負荷の両端の電圧Voutをもたらす。フィードバック信号は、電流を適合させ、それによって、電圧を所望のレベルに調整するよう、(周波数又はデューティサイクルなどの)電圧レギュレータの動作パラメータを制御するために使用される。要するに、電流源は、(開回路による)過電圧又は(短絡による)不足電圧などの発生を防止するための電圧調整機能も有する。
【0040】
回路構成要素は、概略的に抵抗器として表されているが、任意の形態をとり得る。とりわけ興味深い或る例においては、回路構成要素は、LED装置であり、ドライバ11は、電圧制御LEDドライバである。
【0041】
分圧器16は、直列の第1及び第2抵抗器R1、R2を含む。検知端子18は、第1及び第2抵抗器の間に規定され、通常動作において、回路構成要素の両端の電圧を示す検知信号Vsenseを供給する。検知信号は、とりわけ、第2抵抗器R2の両端の電圧であり、出力電圧Voutの一定割合である。第1抵抗器R1は、第1端子と検知端子との間に接続し、第2抵抗器R2は、第2端子と検知端子との間に接続する。
【0042】
検知信号Vsenseは、コントローラ20に供給され、コントローラ20は、ドライバ11を制御するための駆動信号を、それによって、検知信号に依存して出力電圧を調整するために生成する。
【0043】
個々の回路構成要素のいずれかが故障する場合には、フィードバックシステムは機能しなくなる。回路構成要素10は、開回路又は短絡になる可能性があり、分圧器の各抵抗器R1、R2は、開回路又は短絡になる可能性がある。以下の実施形態は、主に、回路構成要素が短絡になり、R1が開回路になり、R2が短絡になることに関係する。回路構成要素がオープンになる場合、ドライバが電流源である場合には、検知信号は非常に高くなり、故に、この故障は特定されることができる。R2が開回路である、又はR1が短絡である場合には、検知信号はドライバの総出力電圧と等しくなり、故に、この故障も特定されることができる。
【0044】
図1の回路は、これらの異なる回路故障を識別することはできない。
【0045】
図2は、本発明による修正された電圧検知回路を使用する電子装置を示している。
【0046】
図1と同じ構成要素には、同じ参照符号が付与されており、説明は繰り返さない。
【0047】
第1修正点は、検知端子18に電流を注入するために電流注入器30が設けられることである。第2修正点は、電圧クランプ構成要素D1が検知端子18から第1端子12へ順方向接続されることである。とりわけ、電圧クランプ構成要素は、検知端子から第1端子への順方向にある。従って、電流が電圧クランプ構成要素を順方向に流れるとき、検知端子は、第1端子における電圧より高い固定電圧(又は少なくとも実質的に固定電圧)においてクランプされる。
【0048】
コントローラ20は、
図1の例と同様に検知信号を受信するためのものであり、更に、電流注入を制御するためのものである。
【0049】
(電流注入がない状態で)最小閾値未満に低下している検知信号が検出される場合には、これは短絡故障を示す。しかしながら、故障の原因を決定するために、次いで、電流注入器が、検知端子18に電流を注入するよう制御される。次いで、電流の注入に応じて更なる(即ち、第2)検知信号が取得される。次いで、故障が、回路構成要素によって引き起こされているのか分圧器によって引き起こされているのかが決定されることができる。
【0050】
図3は、考えられる回路故障モードを示すために使用されている。
【0051】
図3Aは、回路構成要素の短絡を示している。この場合には、出力電圧はゼロにプルダウンされる。
【0052】
注入電流がない状態で、第1検知信号はV=0である。分圧器の端部は両方とも0Vにあり、従って、検知端子はV=0にある。実際の実施例においては、50mV未満の電圧は、V=0の故障とみなされ得る。
【0053】
検知端子18に電流I1が注入される場合には、電流は、(接地と並列にある)ダイオードD1並びに抵抗器R1及びR2の各々を通って接地へ流れ、検知端子における電圧を上昇させる。しかしながら、分圧器の抵抗器の抵抗は、通常、非常に大きい。その結果、検出端子における電圧は、ダイオードD1によってクランプされ、故に、0.7Vのダイオード順方向電圧のようなクランプ電圧において安定する。ダイオード、又はツェナーダイオード、又はトランジスタ、又は任意のクランプ構成要素が使用され得る。正しい検出を確実にするために、このような電圧の複数回の検出が行われることができる。
【0054】
図3Bは、抵抗器であって、前記抵抗器の両端の電圧が測定される抵抗器である第2抵抗器R2の短絡を示している。この場合には、検知端子における電圧はゼロにプルダウンされる。この場合も先と同様に、50mV未満の電圧は、R2の短絡とみなされ得る。正しい検出を確実にするために、このような電圧の複数回の検出が行われることができる。
【0055】
注入電流がない状態で、第1検知信号はV=0である。
【0056】
検知端子18に電流I1が注入される場合、電流は接地に短絡され、電圧はV=0のままである。
【0057】
【0058】
注入電流がない状態では、検知端子は、抵抗器電流がない(従って、電圧降下がない)状態で接地に結合されることから、第1検知信号はV=0である。
【0059】
検知端子18に電流I1が注入される場合、電流は、抵抗器R2を通した電圧降下を生じさせる。この電圧は、電流レベルに依存して、回路の通常動作中に見られる電圧よりも高くなるよう選択され得る。電流が、電圧クランプ構成要素の閾値電圧に達するのに十分である場合には、電圧は、V=Vout+0.7又はI1×r2(ここで、r2は抵抗器R2の抵抗値である)である。いずれの場合も、電圧は、0Vより高い。より具体的な実施例においては、I1×r2は、ダイオードD1のクランプ電圧0.7Vと明確に区別するために、5Vのような、0.7Vよりはるかに高い電圧として選択される。例えば、I1は0.7mAであり、r2は7.2キロオームより大きい。正しい検出を確実にするために、このような電圧の複数回の検出が行われることができる。
【0060】
第1検知信号の検知電圧が第1閾値未満である(例えば、V=0にある)ときには、注入電流を使用した第2測定が、回路構成要素の短絡と、R1の開回路と、R2の短絡との識別を可能にすることが分かる。
【0061】
電流調整前に回路故障の原因を検出することによって、危険な回路動作が防止されることができる。
【0062】
検知は、故障が検出される過程にある間に出力電圧又は電流が高くなりすぎないことを確実にするよう、フィードバック制御ループの速度より速い速度で実施される。
【0063】
第1検知信号をより低い閾値未満に低下させない、
図3D乃至3Fにおいて示されている3つの更なる回路状態がある。
【0064】
図3Dは、第1抵抗器R1の短絡を示している。この場合には、検知端子における電圧はVoutにプルハイ(pull high)される。
【0065】
注入電流がない状態で、第1検知信号は、V=Voutであり、従って、通常動作中に生じるVoutの前記割合よりも高い。このより高い検知信号から、故障が特定されることができる。これは、フィードバック制御が出力を低減させることから、安全性の問題を引き起こさない。
【0066】
従って、この故障状態は、電流注入を伴う更なる検知測定を必要としない。
【0067】
図3Eは、第2抵抗器R2の開回路を示している。この場合には、検知端子における電圧は、抵抗器R1によってプルハイされる。
【0068】
注入電流がない状態で、第1検知信号はV=Voutである。このより高い検知信号から、故障が特定されることができる。この場合も先と同様に、これは、フィードバック制御が出力を低減させることから、安全性の問題を引き起こさない。
【0069】
従って、この故障状態は、電流注入を伴う更なる検知測定を必要としない。
【0070】
電圧が出力電圧Voutのレベルまで増加する場合には、抵抗分割器が故障の原因であることが分かる。
【0071】
【0072】
注入電流がない状態で、第1検知信号は、出力電圧から得られる分圧電圧であるV=V1である。負荷によって電流が引き出されないことにより、(ドライバが電流源である場合に)ドライバによって供給される電流は、全て、分圧器を流れ、電圧Voutの大きな増加をもたらし、従って、検知端子における電圧Vsense=V1の大きな増加をもたらす。
【0073】
従って、出力は、V1を下げるよう(出力電流を減らすことによって)調整される。
【0074】
従って、この故障状態は更なる検知測定を必要としない。
【0075】
この開回路負荷状態は、例えば、調整出力電圧のデューティサイクルが最小値未満に低下することから、検出され得る。従って、
図3D乃至3Fにおいて示されている故障モードの中から、分圧器が回路故障の原因であるのか回路構成要素が回路故障の原因であるのかを、単一の検知信号から決定することが可能である。
【0076】
従って、
図3において示されている6つの状態は、各々、異なる第1検知信号、又は注入電流を用いる検知信号及び注入電流を用いない検知信号の異なる組み合わせを与えることから、システムは、6つの状態全てを識別することができる。
【0077】
上記の故障検出は、一度に生じる故障は1つであるという仮定に基づいている。
【0078】
回路構成要素(負荷)における短絡があると決定される場合には、ドライバ11は、依然として、短絡保護モードで制御されてもよく、短絡保護モードの間、ドライバは、システム全体に害を及ぼさないように選択される最小電流を(図示されていない電流制御ループを使用して)供給し得る。これは、故障が除去されたときの迅速な再始動を可能にするために使用され得る。フィードバックループ(即ち、分圧器)が故障する場合には、ドライバは、その代わりに、過負荷の発生を防止するよう完全に停止されてもよく、又は200msより長いような相対的に長い時間停止し、再び再始動してもよい。
【0079】
図4は、
図2の電圧検知回路の実施例であって、コントローラ20が、(検知端子における第1及び第2検知信号電圧を決定するための)電圧検出器40と、電流源の形態の電流注入器30とを有する実施例を示している。電圧検出器は、比較器又は増幅器であってもよい。
【0080】
第1実施例においては、電圧検出器40は、検知信号がゼロである(又はゼロに近い)かどうかを検出するために、検知信号を低い閾値と比較する。次いで、電圧検出器40は、第2検知信号を測定することを可能にするために、検知端子18への電流の供給を実施するよう、スイッチ42を制御する。
【0081】
更なる修正例においては、電圧検出器はまた、
図3D及び3Eの故障モードを検出するために、検知信号が通常の動作電圧を超えているかどうかを検出するよう、検知信号を高い閾値と比較してもよい。
【0082】
電圧検出器40、電流注入器30及びコントローラ20は、一緒に、集積回路35を形成してもよく、又は集積回路35の一部を形成してもよい。集積回路35は、分圧器16の検知端子18に接続するための検知入力44を有する。
【0083】
本発明は、フィードバック制御を供給するために電圧検知を採用する如何なる制御システムにも適用され得る。
【0084】
LEDドライバは、例えば、スイッチモード電力変換器を利用してもよい。例えば、ドライバは、その場合、(2トランジスタインバータ段のような)スイッチング段を有し、スイッチングデューティサイクル及び/又は周波数が、フィードバック信号に依存して制御される。電力変換器は、バックコンバータ又はブーストコンバータ又はフライバックコンバータであってもよい。本発明は、共振コンバータに適用されてもよく、又は非共振コンバータに適用されてもよい。本発明は、絶縁ドライバに適用されてもよく、又は非絶縁ドライバに適用されてもよい。更に、本発明は、高周波スイッチングを用いないリニアドライバに適用されてもよい。
【0085】
従って、本発明は、抵抗性電圧検知回路を使用するあらゆる種類のドライバに適用可能である。
【0086】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】