(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】光マルチセル通信システムのための高速ハンドオーバ
(51)【国際特許分類】
H04W 36/16 20090101AFI20230209BHJP
H04W 48/10 20090101ALI20230209BHJP
H04W 36/08 20090101ALI20230209BHJP
H04W 60/00 20090101ALI20230209BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20230209BHJP
【FI】
H04W36/16
H04W48/10
H04W36/08
H04W60/00
H04W48/16 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551586
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2021054489
(87)【国際公開番号】W WO2021170603
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】サラス モレノ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ハヤ トマス
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ゴメス オクタヴィオ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA15
5K067DD17
5K067DD19
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ39
(57)【要約】
LiFi等、データの通信を可能にする、光ワイヤレス通信システム、光ワイヤレス通信システムで使用するための方法及び装置において、高速ハンドオーバが、近隣のアクセスポイント(AP1、AP2)が非常に短いフレームを使用して自身をアナウンスし、斯かるフレームは、ユーザデバイス(EP1)によってピックアップされ、ユーザデバイス(EP1)は、ネイバアクセスポイント(AP2)のアイデンティティを検出し、これを現在のアクセスポイント(AP1)に伝達して、ユーザデバイス(EP1)に関する情報をネイバアクセスポイント(AP2)と共有することにより、ネイバアクセスポイント(AP2)が、リソースを割り当てる及び/又は同期するために事前コンフィギュレーションされることができるようにして実現されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光マルチセル通信システムにおける高速ハンドオーバのためのシステムであって、当該システムは、
リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分においてペイロード部を含まない短縮フレームを送信することによって自身の存在をアドバタイズするように構成される複数のアクセスポイントであって、前記短縮フレームの各々は、それぞれのアドバタイズするアクセスポイントの識別子を含む、複数のアクセスポイントと、
前記共通チャネルにおけるアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために前記複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチする、及び、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信するように構成される、少なくとも1つのエンドポイントと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記複数のアクセスポイントのうちの第1のアクセスポイントは、フレームサイクルごとに前記短縮フレームを送信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のアクセスポイントのうちの第1のアクセスポイントは、エンドポイントから受ける事前登録要求に応答して、前記エンドポイントを事前登録する、前記エンドポイントのために前記第1のアクセスポイントの送信リソースを予約する、及び、前記予約された送信リソースのタイミング情報及びエンドポイント識別子を含む受入メッセージを前記エンドポイントに送信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のアクセスポイントは、前記第1のアクセスポイントに既に登録されているエンドポイント及び前記第1のアクセスポイントのドメインへのエントリを要求する非登録エンドポイントに高い優先度、及び、エンドポイントの事前登録に低い優先度を割り当てることによってリソースの予約を優先付けるように構成され、高い優先度が、古い事前登録要求よりも新しい事前登録要求に割り当てられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
光マルチセル通信システムにおける高速ハンドオーバのための装置であって、当該装置は、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルにおいてアクセスポイントに割り当てられる共通チャネルの事前定義された部分におけるペイロード部を含まないアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチする、及び、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信するように構成される、装置。
【請求項6】
当該装置は、関連するローカルアクセスポイントに検出された近隣のアクセスポイントを報告する、及び、前記ローカルアクセスポイントを介して前記近隣のアクセスポイントに事前登録を送信するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
当該装置は、あり得る高速ハンドオーバにおいて前記検出された近隣のアクセスポイントへの高速同期を可能にするために、前記事前登録要求に応答した受入メッセージにおいて前記検出されたアクセスポイントから受ける送信機会のタイミング情報を記憶するように構成される、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
当該装置は、定期的に事前登録を更新するように構成される、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
当該装置は、決定された信号品質パラメータに基づいて、当該装置が事前登録されるアクセスポイントへのハンドオーバを決定するように構成される、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記短縮フレームは、プリアンブル、及び、アドバタイズするアクセスポイントの識別子を含むヘッダに限定される、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記短縮フレームの共通チャネルは、前記フレームサイクルにおいて通常のデータトラフィックから分離される、請求項5乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
光マルチセル通信システムにアクセスするためのエンドポイントであって、当該エンドポイントは、請求項5乃至11のいずれか一項に記載の装置を含む、エンドポイント。
【請求項13】
光マルチセル通信システムにおいて高速ハンドオーバを可能にする方法であって、当該方法は、
複数のアクセスポイントの存在を、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分においてペイロード部を含まない短縮フレームを前記複数のアクセスポイントから送信することによってアドバタイズすることであって、前記短縮フレームの各々は、それぞれのアドバタイズするアクセスポイントの識別子を含む、ことと、
エンドポイントにより、前記共通チャネルにおけるアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために前記複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチすることと、
前記エンドポイントにより、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信することと、
を含む、方法。
【請求項14】
光マルチセル通信システムにおいてエンドポイントのための高速ハンドオーバを可能にする方法であって、当該方法は、
前記エンドポイントにより、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルにおいてアクセスポイントに割り当てられる共通チャネルの事前定義された部分におけるペイロード部を含まないアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチすることと、
前記エンドポイントにより、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信することと、
を含む、方法。
【請求項15】
エンドポイントのコンピュータデバイスで実行された場合、請求項14のステップを行うためのコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭、オフィス、小売、ホスピタリティ及び産業のための様々な異なるアプリケーションで使用するための、限定されるものではないが、LiFiネットワーク等、光ワイヤレスネットワークにおける通信の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(Wi-Fi(登録商標)ネットワークと名前が似ている)LiFiネットワーク等のワイヤレス光ネットワークは、ラップトップ、タブレット、スマートフォン等の(以下でエンドポイント(EP)と呼ばれる)モバイルユーザデバイスがインターネットにワイヤレスで接続することを可能にする。Wi-Fi(登録商標)は無線周波数を使用してこれを実現するが、LiーFiは、これまでにないデータ転送速度及び帯域幅を可能にし得る光スペクトルを使用してこれを実現する。さらに、Li-Fiは、電磁干渉を受けやすいエリアで使用されることができる。ワイヤレスデータは、伝統的なコネクテッドデバイスのみではなくそれ以上のために必要とされていることを考慮することが重要である。今日、テレビ、スピーカ、ヘッドフォン、プリンタ、バーチャルリアリティ(VR)ゴーグル、さらには冷蔵庫さえ、ワイヤレスデータを使用して接続し、本質的な通信を実行する。Wi-Fi(登録商標)等の無線周波数(RF)技術は、このデジタル革命をサポートするためのスペクトルを使い果たしており、LiFiは、次世代の没入型コネクティビティ(immersive connectivity)を動かす(power)のに役立つことができる。
【0003】
変調に基づいて、コード化光の情報は、任意の適切な光センサを使用して検出されることができる。これは、専用のフォトセル(ポイントディテクタ)、場合によってはレンズ、リフレクタ、ディフューザ又は蛍光体コンバータを備えたフォトセルのアレイ、又はフォトセル(ピクセル)のアレイ及びアレイに像を形成するためのレンズを含むカメラであることができる。例えば、光センサは、エンドポイントにプラグインするドングルに含まれる専用のフォトセルであってもよく、又は、センサは、エンドポイントの汎用(可視又は赤外光)カメラ若しくは例えば3D顔認識のために当初設計されている赤外線ディテクタであってもよい。どちらにしても、これにより、エンドポイント上で動作するアプリケーションは、光を介してデータを受信することが可能になる。
【0004】
通信信号は、日常照明器具(everyday luminaire)、例えば、室内照明又は屋外照明等、アクセスデバイスの照明源によって発せられる光信号に埋め込まれることができ、斯くして、照明器具からの照明を情報のキャリアとして使用することを可能にする。斯くして、光は、部屋等の対象環境を照らすための可視照明寄与(典型的には、光の主要な目的)と、環境に情報を提供するための埋め込まれた信号(典型的には、光の副次的な機能と考えられる)との両方を含む。このような場合、変調は、典型的には、人間の知覚を超えるように十分に高い周波数で、又は、少なくとも、目に見える一時的な光アーティファクト(例えば、フリッカ及び/又はストロボアーティファクト等)が、人間が気づかない若しくは少なくとも人間が許容できるように十分に高い周波数で十分に弱くなるように行われる。斯くして、埋め込まれた信号は、主要な照明機能に影響を与えない。すなわち、ユーザは、全体的な照明を知覚するだけで、当該照明に変調されているデータの効果は知覚しない。
【0005】
米国特許出願US2019/0261239 A1は、LiFiアクセスポイントとユーザ機器との間の通信を制御するためのコーディネーションノードによる方法を開示している。方法は、少なくとも部分的にオーバーラップしたカバレッジエリアを有するLiFiアクセスポイントからピア接続性レポートを受信することと、ピア接続性レポートに基づいて、他の識別子LiFiアクセスポイントからの通信ハンドオーバを受けることができるLiFiアクセスポイントを識別する、ハンドオーバ経路データ構造を構築することとを含む。方法は、ユーザ機器にサービスを提供する第1のアクセスポイントの識別子を決定することと、第1のアクセスポイント識別子を使用してデータ構造にアクセスし、サービスを提供する役割をハンドオーバする第2のLiFiアクセスポイントを決定することとを伴う。
【0006】
国際特許出願WO2011/137100 A1は、2つ以上のデバイス間の通信カップリングを提供する視覚光通信媒体を開示している。通信カップリングは、2つ以上のデバイス間の媒体のシームレスな転送を含む様々な機能をサポートする。
【0007】
以下では、用語「アクセスポイント(access point)」は、1つ以上の物理アクセスデバイス(physical access device)(例えば、トランシーバ)に接続されることができる論理アクセスデバイス(logical access device)を示すために使用される。このような物理アクセスデバイスは、典型的には、照明器具に位置してもよく、論理アクセスポイントは、1つ以上の照明器具に各々位置する1つ以上の物理アクセスデバイスに接続されてもよい。しかしながら、RF技術と比較して、各アクセスポイントの範囲は小さく、アクセスデバイスのより高密度を可能にする。このような密なネットワークでは、アクセスポイントのオーバーラップしたエリアがうまく組織されない(not well organized)場合、干渉処理(interference handling)が複雑になり得る。アクセスポイントごとの小さなカバレッジエリアに起因して及びアクセスポイント間の過度の干渉(too much interference)を防ぐ必要性に起因して、このようなシステムにおけるオーバーラップしたエリアは小さい。それゆえ、このようなネットワークにおいて移動するエンドポイント(end point)は、アクセスポイントあたりのカバレッジエリアが大きく、オーバーラップしたエリアが大きいRFネットワーク又は他のタイプのセルラーネットワークの場合よりもかなり速いアクセスポイント間の移行(例えば、ハンドオーバ)が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アクセスポイント間のより速い移行(transition)を可能にする光マルチセル通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載のシステム、請求項5に記載の装置、請求項12に記載のエンドポイント、請求項13又は14に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0010】
第1の態様によれば、光マルチセル通信システムにおける高速ハンドオーバ(fast handover)のためのシステムであって、当該システムは、
リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分においてペイロード部を含まない短縮フレームを送信することによって自身の存在をアドバタイズするように構成される複数のアクセスポイントであって、短縮フレームの各々は、それぞれのアドバタイズするアクセスポイント(respective advertising access point)の識別子を含む、複数のアクセスポイントと、
共通チャネルにおけるアドバタイズされた短縮フレーム(advertised shortened frame)を検出することによって来るべきハンドオーバ(upcoming handover)を予期する(anticipate)ために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチする、及び、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイント(neighboring access point)に事前の登録(preliminary registration)のための事前登録要求(pre-registration request)を送信するように構成される、少なくとも1つのエンドポイントと、
を含む、システムが提供される。
【0011】
従って、ペイロード部を含まない専用の短縮フレームが、ネイバ検出(neighbor detection)及び検出されたネイバへの高速アクセスのために専用の共通チャネルで提供される。これらの短縮フレームは、近隣のアクセスポイントのアイデンティティを検出するためにエンドポイントによってピックアップされることができるので、近隣のアクセスポイントは、リソースを割り当て、後の時点における高速ハンドオーバを可能にするように事前コンフィギュレーション(pre-configure)されることができる。
【0012】
第1の態様の第1のオプションによれば、複数のアクセスポイントのうちの第1のアクセスポイントは、フレームサイクルごとに短縮フレームを送信するように構成されてもよい。これにより、シグナリングフレーム(signaling frame)の単一サイクル内における近隣のアクセスポイントの非常に高速な検出が実現されることができる。
【0013】
第1の態様の第1のオプションと組み合わされてもよい、第1の態様の第2のオプションによれば、複数のアクセスポイントのうちの第1のアクセスポイントは、共通チャネルで短縮フレーム、及び、フレームサイクルの異なるチャネルで媒体アクセスプランニング(medium access planning)のためのアクティブフレーム(active frame)が後続する媒体アクセスプランニングのためのデフォルトフレーム(default frame)を送信するように構成されてもよい。これは、デフォルト及びアクティブ媒体アクセスプランニングフレーム(例えば、MACプロトコルのMAP-D及びMAP-Aフレーム)を有する既存のシグナリング構造が、所望の高速ハンドオーバを実施するために使用されることができるという利点を提供する。
【0014】
第1の態様の第1又は第2のオプションと組み合わされてもよい、第1の態様の第3のオプションによれば、フレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分は、第1のアクセスポイントのために予約されてもよい。これにより、デフォルトのシグナリング容量が各アクセスポイントに割り当てられ、個々のアドバタイズメントがブロックされないようにすることができる。
【0015】
第1の態様の第1乃至第3のオプションのいずれかと組み合わされてもよい、第1の態様の第4のオプションによれば、第1のアクセスポイントは、エンドポイントから受ける事前登録要求に応答して、エンドポイントを事前登録する、エンドポイントのために第1のアクセスポイントの送信リソースを予約する、及び、予約された送信リソースのタイミング情報を含む受入メッセージ(acceptance message)をエンドポイントに送信するように構成されてもよい。これにより、ハンドオーバ前にリソースが事前予約され、これにより、後の時点における高速ハンドオーバを可能にすることができる。
【0016】
第1の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされてもよい、第1の態様の第5のオプションによれば、受入メッセージは、第1のアクセスポイントによって割り当てられるエンドポイントのエンドポイント識別子を含んでもよい。この措置は、エンドポイントが後のハンドオーバプロセスにおいて識別されることができるのを保証する。
【0017】
第1の態様の第1乃至第5のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第1の態様の第6のオプションによれば、第1のアクセスポイントは、所定の時間期間(predetermined time period)後に第1のアクセスポイントにおけるエンドポイントの事前登録(pre-registration)を削除するように構成されてもよい。これにより、十分なリソースが新しい事前登録のために維持され、新しいエンドポイントのための高速ハンドオーバを可能にすることが保証され得る。
【0018】
第1の態様の第1乃至第6のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第1の態様の第7のオプションによれば、第1のアクセスポイントは、第1のアクセスポイントに既に登録されているエンドポイント及び第1のアクセスポイントのドメインへのエントリを要求する非登録エンドポイント(non-registered end point)に高い優先度、及び、エンドポイントの事前登録に低い優先度を割り当てることによって送信リソースの予約を優先付けるように構成され、高い優先度が、古い事前登録要求よりも新しい事前登録要求に割り当てられてもよい。斯くして、登録されたエンドポイント及び新たに入るエンドポイントに対して十分な送信リソースを維持する一方、高速ハンドオーバが提供されることができる。
【0019】
エンドポイントに関する第2の態様によれば、光マルチセル通信システムにおける高速ハンドオーバのための装置であって、当該装置は、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルにおいてアクセスポイントに割り当てられる共通チャネルの事前定義された部分におけるペイロード部を含まないアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチする、及び、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信するように構成される、装置が提供される。
【0020】
第2の態様の第1のオプションによれば、装置は、関連するローカルアクセスポイントに検出された近隣のアクセスポイントを報告する、及び、ローカルアクセスポイントを介して近隣のアクセスポイントに事前登録を送信するように構成されてもよい。この措置は、ローカルアクセスポイントを介した高速事前登録(fast pre-registration)を保証する。
【0021】
第2の態様の上記第1のオプションと組み合わされることができる、第2の態様の第2のオプションによれば、装置は、高速ハンドオーバのイベントにおいて検出された近隣のアクセスポイントへの高速同期(fast synchronization)を可能にするために、事前登録要求に応答した受入メッセージにおいて検出されたアクセスポイントから受ける送信機会(transmission opportunity)のタイミング情報を記憶するように構成されてもよい。
【0022】
第2の態様の第1又は第2のオプションと組み合わされてもよい、第2の態様の第3のオプションによれば、装置は、事前登録中に受入メッセージにおいて受けるタイミング又は同期情報を適用する、及び、デフォルト媒体アクセスプランニングフレーム(default medium access planning frame)をデコードして、デフォルト媒体アクセスプランニングフレームに後続する実際の媒体アクセスプランニングフレーム(actual medium access planning frame)をデコードするのを可能にする情報を導出し、高速ハンドオーバを行うために近隣のアクセスポイントによって事前割り当てされるリソースを得るように構成されてもよい。
【0023】
第2の態様の第1乃至第3のオプションと組み合わされてもよい、第2の態様の第4のオプションによれば、装置は、定期的に事前登録を更新する(renew)ように構成されてもよい。これにより、事前登録は所定のタイムアウト後にアクセスポイントによって削除され、新しい事前登録のためにリソースを解放することができる。
【0024】
第2の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされてもよい、第2の態様の第5のオプションによれば、装置は、複数の検出されたアクセスポイントに同時に事前登録するように構成されてもよい。この措置は、どの検出された近隣のアクセスポイントが後にハンドオーバのために選択されるかが事前登録の時点で明確でない場合でも、高速ハンドオーバが可能であることを保証する。
【0025】
第2の態様の第1乃至第5のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第2の態様の第6のオプションによれば、装置は、決定された信号品質パラメータに基づいて、装置が事前登録されるアクセスポイントへのハンドオーバを決定するように構成されてもよい。斯くして、最良の信号品質を有する検出された近隣のアクセスポイントが、高速ハンドオーバのために選択されることができる。
【0026】
第1及び第2の態様の任意のオプションと組み合わされることができるさらなるオプションによれば、短縮フレーム(shortened frame)は、プリアンブル、及び、アドバタイズするアクセスポイントの識別子を含むヘッダに限定されてもよい。これにより、短縮フレームの長さは最小限に抑えられ、共通チャネルにおいてアクセスポイントに割り当てられる利用可能なリソースを最大化することができる。
【0027】
第1及び第2の態様の任意のオプションと組み合わされることができるさらにさらなるオプションによれば、短縮フレームは、MACプロトコルの短縮デフォルト媒体アクセスプランニングフレーム(shortened default medium access planning frame)であってもよい。斯くして、MACプロトコルの既存のシグナリングフレームが、所望の高速ハンドオーバのために使用されることができる。
【0028】
第1及び第2の態様の任意のオプションと組み合わされることができるさらにさらなるオプションによれば、アクティブ媒体アクセスプランニングフレームは、送信機会のためのスケジューリング情報を含む。これにより、既存のアクティブ媒体アクセスプランニングフレームが、高速ハンドオーバのためのスケジューリング情報をシグナリングするために使用されることができる。
【0029】
第1及び第2の態様の任意のオプションと組み合わされることができるさらにさらなるオプションによれば、短縮フレームの共通チャネルは、フレームサイクルにおいて通常のデータトラフィックから分離されてもよい。この措置は、高速ハンドオーバが通常のデータトラフィックによってブロックされることができない又は干渉されることができないことを保証する。
【0030】
任意選択的に、第1の態様によるシステムにおけるアクセスポイントは、それぞれの照明器具に含まれる。
【0031】
第3の態様によれば、光マルチセル通信システムにアクセスするためのエンドポイントであって、当該エンドポイントは、第2の態様及び第2の態様の上記のオプションのいずれかによる装置を含む、エンドポイントが提供される。
【0032】
通信システムに関する第4の態様によれば、光マルチセル通信システムにおいて高速ハンドオーバを可能にする方法であって、当該方法は、
複数のアクセスポイントの存在を、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分においてペイロード部を含まない短縮フレームを複数のアクセスポイントから送信することによってアドバタイズすることであって、短縮フレームの各々は、それぞれのアドバタイズするアクセスポイントの識別子を含む、ことと、
エンドポイントにより、共通チャネルにおけるアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチすることと、
エンドポイントにより、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信することと、
を含む、方法が提供される。
【0033】
エンドポイントに関する第5の態様によれば、光マルチセル通信システムにおいて高速ハンドオーバを可能にする方法であって、当該方法は、
リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルにおいてアクセスポイントに割り当てられる共通チャネルの事前定義された部分におけるペイロード部を含まないアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチすることと、
ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信することと、
を含む、方法が提供される。
【0034】
第6の態様によれば、コンピュータデバイスで実行された場合、第5の態様による上記方法のステップを行うためのコード手段を含む、コンピュータプログラムプロダクトが提供されてもよい。
【0035】
上記の装置は、ディスクリートハードウェアコンポーネント、組み込みチップ若しくはチップモジュールの配列を備えたディスクリートハードウェア回路に基づいて、又はメモリに格納された、コンピュータ読み取り可能媒体に書き込まれた若しくはインターネット等のネットワークからダウンロードされたソフトウェアルーチン若しくはプログラムによって制御される信号処理デバイス若しくはチップに基づいて実装されてもよいことに留意されたい。
【0036】
請求項1に記載のシステム、請求項5に記載の装置、請求項12に記載のエンドポイント、請求項13又は14に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムは、同様及び/又は同一の好適な実施形態、とりわけ、従属請求項に記載されるような実施形態を有し得ることを理解されたい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることも理解されたい。
【0038】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】様々な実施形態が実装され得るLiFiネットワークのブロック図を概略的に示す。
【
図2】様々な実施形態が実装され得る第1及び第2の平面エリアを有するLiFiインフラストラクチャを概略的に示す。
【
図3】
図2のLiFiインフラストラクチャの上面表現の図を概略的に示す。
【
図4】様々な実施形態による2つのアクセスデバイスのアラインされたフレームサイクルの一例を概略的に示す。
【
図5】
図5は、様々な実施形態による2つのアクセスデバイスのスロット割り当てを伴う共通チャネルの一例を概略的に示す。
【
図6】様々な実施形態によるアクセスデバイスの事前登録プロシージャのフロー図を示す。
【
図7】様々な実施形態によるユーザデバイスの事前登録及び高速ハンドオーバプロシージャのフロー図を示す。
【
図8】様々な実施形態によるLiFiネットワークにおける事前登録シグナリング及び処理シーケンスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで、本発明の様々な実施形態が、光マルチセル照明及び通信(LiFi)システムに基づいて述べられる。
【0041】
以下を通じて、アクセスポイントとしての照明器具(luminaire)は、照明及び/又は通信目的のための1つ以上の光源(可視又は非可視(赤外線(IR)又は紫外線(UV))光源を含む)及び任意選択的に、例えば光を分配するため、光源及びバラスト(該当する場合)を位置決め及び保護するため、並びに照明器具を電源に接続するため等、照明の適切な動作に必要な他の内部及び/又は外部部品を含む任意のタイプの照明ユニット又は照明具(lighting fixture)として理解されるべきである。照明器具は、埋め込み型又は表面取付け型の白熱、蛍光又は他の電気放電照明器具等、従来のタイプのものであることができる。また、照明器具は、一方の場所に光源があり、他方にファイバーコア又は「ライトパイプ(light pipe)」がある光ファイバ等、非従来のタイプのものであることもできる。
【0042】
図1は、様々な実施形態が実装され得るLiFiネットワークのブロック図を概略的に示している。
【0043】
LiFiネットワークは、スイッチ(例えば、Ethernetスイッチ)14を介して接続される、複数のアクセスポイント(AP)AP1~AP3 12、例えば、照明システムの照明器具を含み、これにより、各AP12は、エンドポイント(EP)EP1~EP4 10、例えば、モバイルユーザデバイスに向けた光通信のための1つ、又は複数のトランシーバ(TRX)11(すなわち、組合わせトランスミッタ(光エミッタ)及びレシーバ(光センサ))を制御する。TRX11によって生成され、EP10の平面上のカバレッジエリアを定義するそれぞれの光ビームは、
図1において破線の台形で示されている。
【0044】
AP12は、自身のカバレッジエリア内の(複数の)EP10と通信するためのタイムスロットスケジュールを適用してもよい。TRX11のカバレッジエリアが(
図1のEP1について示されるように)オーバーラップする場合、関連するTRX11が異なるAP12に属する場合、AP12の調整(coordination)が必要とされる。
【0045】
LiFiネットワークを管理するように構成されるLiFiコントローラ13は、スイッチ14に接続され、EP10の1つがAP12のオーバーラップしたカバレッジエリアに移動する及び該オーバーラップしたカバレッジエリアから移動する場合に干渉処理及びハンドオーバをサポートするための斯かる調整を提供することができる。コントローラ13は、スイッチ14を介して(複数の)AP12に接続される。スイッチ13は、同期管理のための同期サーバ16及びバックプレーン又はバックホールネットワーク(例えば、Ethernet)100に接続するためのルータ15に接続されてもよい。
【0046】
エンドポイント10のための媒体アクセスは、データリンク層プロトコルのフレームサイクルによってスケジューリングされてもよい。例示的な実施形態において、スケジューリングは、MACプロトコルのメディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)サイクルに基づいてもよい。これらのMACサイクルは、互いに連続的に続いており、2つ以上の時間間隔に分割され、そのうちの1つ以上はドメイン管理目的であり、他の時間間隔は異なるAP12又はそのグループに対する送信機会として割り当てられる。ドメイン管理目的で割り当てられる時間間隔のうちの少なくとも1つは、媒体アクセスプラン(MAP:medium access plan)の送信のために割り当てられてもよい。MAPフレームで送信されるドメイン管理情報は、MACサイクルの境界を識別し、後続するMACサイクルのうちの1つ以上のための割り当てられた送信機会(例えば、MACサイクルの専用時間チャネル)のリストを含む(例えば、サイクルNで送信されるMAPは、サイクルN+1のタイミング境界及び送信機会を記述することができる)。
【0047】
MACサイクルは、前のMAPフレームによって公開された時間に開始してもよく、MAPフレームで記述されるこのMACサイクルに対してスケジューリングされている最後の送信機会の終了時に終了してもよい。MACサイクルの内容は、通信のために異なるAP12によって必要とされる通信リソース及びパラメータに基づいて決定されてもよい。
【0048】
コントローラ13は、AP12がその存在を示すためのMACサイクルにおける提供を決定し、これによってEP10が近隣のAPのカバレッジエリアにいるかどうかを検出することを可能にしてもよい。EP10は、近隣のAPの検出をローカルAP(例えば、EP10が登録されているAP12)に報告する。ローカルAPは、これらの報告をコントローラ13に転送する。
【0049】
EP10から受けるネイバAP検出レポートに依存して、コントローラ13は、時分割アクセスによって干渉を処理するために各AP12のMACサイクルの使用に関する制限を決定してもよい。
【0050】
EP10が近隣のAPを検出し、受信信号強度に依存して、その登録を近隣のAPに移したい場合があり得る。IEEE802.11の仕様に類似し、この移行のための通信は、近隣のAPと直接、例えば、直接経路で(すなわち、「over-the-air」)、又はディストリビューションシステム(DS:distribution system)のローカルAPを介して(すなわち、「over-the-DS」)行われてもよい。さらに、EP10は、例えば、IEEE802.11(2016)仕様のセクション13(Fast BSS transition)に従った高速移行(FT:fast transition)リソース要求プロトコルに基づいて、移行前に近隣のAPにリソースを予約させることを望み得る。
【0051】
この目的のために、2つのFTプロトコルが定義されている。これらは、ターゲットAPへの移行が行われ、移行前にリソース要求が必要とされない場合に実行されるFTプロトコル、及び、移行前にリソース要求が必要とされる場合に実行されるFTリソース要求プロトコルである。
【0052】
FTプロトコルを利用したEP10のその現在のAPからターゲットAPへの高速移行/ハンドオーバのために、メッセージ交換が、over-the-airアプローチ(EP10がFT認証アルゴリズムによるIEEE802.11認証を使用してターゲットAPと直接通信する)又はover-the-DSアプローチ(EPがその現在のローカルAPを介してターゲットAPと通信する)を使用して実行されてもよい。EP10とターゲットAPとの間の通信は、EP10とその現在のローカルAPとの間のFTアクションフレームで行われてもよい。現在のAPとターゲットAPとの間では、通信は、例えば、IEEE802.11(2016)仕様のセクション13.10.3に述べられる等、カプセル化方法(encapsulation method)を介して実現されてもよい。現在のローカルAPは、2つのカプセル化の間で変換してもよい。
【0053】
図2は、様々な実施形態が実装され得る第1及び第2の平面エリア200、220を有するLiFiインフラストラクチャを概略的に示している。
【0054】
LiFiインフラストラクチャは、第1の平面エリア200(例えば、建物の天井壁)に位置するそれぞれのAP(例えば、照明システムの照明器具)の複数のLiFiインフラストラクチャTRX22を含む。LiFiインフラストラクチャTRX22の各々は、第2の平面エリア220(例えば、建物の1階)上に投影されるLiFi信号を送信及び受信するための光カバレッジエリアを有し、そのうちの2つの投影が、
図2にハッチングエリア及びグレーエリア222として示されている。
【0055】
さらに、LiFiインフラストラクチャは、第2の平面エリア220に位置するEPのLiFiデバイスTRX24を含む。LiFiデバイスTRX24は、矢印で示される方向に移動し、第1の平面エリア200上に投影されるLiFi信号を送信及び受信するための光カバレッジエリア242を有する。
【0056】
図2の例では、第1の平面エリア200及び第2の平面エリア220は平行であるものとされる。
【0057】
図3は、
図2のLiFiインフラストラクチャの上面表現の図を概略的に示し、カバレッジエリア222の境界が、複数のLiFiインフラストラクチャTRX22の周囲に描かれたそれぞれの円で示されている。同様に、移動するEPのLiFiデバイスTRX24のカバレッジエリア242が、破線付きの円で示されている。
図3に示されるように、LiFiインフラストラクチャTRX22及びそのAPのカバレッジエリア222のオーバーラップしたエリアは、規則的なパターンでうまく組織される。
【0058】
APあたりの結果として小さなカバレッジエリア222に起因して、及び、AP間の過剰な干渉を防ぐために、LiFiインフラストラクチャにおけるオーバーラップしたエリアは小さい。斯くして、このようなLiFiインフラストラクチャにおける移動するEPは、APあたりのカバレッジエリアが大きく、オーバーラップしたエリアが大きい他のセルラーネットワーク(例えば、RFネットワーク)の場合よりもかなり速いAP間の移行を必要とすることになる。
【0059】
様々な実施形態によれば、AP間の移行のための時間は、来るべき移行(upcoming transition)を予期することによって減少され、好ましくは最小限に抑えられることができる。例として、これは、ローカルAPの受信信号強度の減少を検出すること、ネイバAP(neighbor AP)からの信号を検出すること、又はネイバAPの信号の増加を検出することのうちの少なくとも1つによって達成され得る。
【0060】
様々な実施形態において、移動するEPは、近隣のAPへの移行の決定を下す前に、実際の登録の準備をするために近隣のAPに自身を事前登録してもよい。斯かる事前登録は、EPが、近隣のAPの受信信号強度がそのローカルAPの信号強度よりも弱い場合であっても、近隣のAPを検出した場合に実行されてもよい。
【0061】
例として、APへの登録は、LiFiネットワークについて仕様ITU.G9960、G.9961、ITU.G.9991に定義されるステップに基づいて実行されてもよい。LiFiネットワークにおいて、APは常にドメインマスタ(DM:domain master)として機能するため、DMは、APと見なされることができる。DMは、同じネットワークドメインのすべての他のノードを管理(調整(coordinate))する(例えば、帯域幅リソースを割り当てる及びユーザ優先度を管理する)ノードであり、中継ノードとして機能してもよい。登録のために、EPは、潜在的なDM候補を検出し、適切なDM候補を選択し、粗同期及び初期ペイロード検出(coarse synchronization and initial payload detection)を行い、その後、媒体アクセスプランニングのためのアクティブ媒体アクセスプラン(MAP-A:Active Medium Access Plan)フレームの微同期及び受信(fine synchronization and reception)を行い、最後に、登録要求を発行し、受入(acceptance)を待ってもよい。
【0062】
EPが1つ以上のDM(すなわち、AP)に対して可視性を有する場合、EPはすべての潜在的なDM候補を識別する。これは、以前の情報が利用可能ではない他のドメイン又は同じドメインの任意のノードによって受信される必要があるフレームを送信するためにすべてのノードによって使用されるものである、デフォルトインジケータ又はシードを用いてレシーバをコンフィギュレーションすることによってなされてもよい。各DMは、その媒体タイプに関係なく、デフォルト媒体アクセスプラン(MAP-D:Default Medium Access Plan)フレーム送信のプリアンブルの生成にデフォルトシードを使用する。MAP-Dフレームは、媒体アクセスプランニングに使用され、ノード(例えば、EP)がドメインの残りのフレームを受信するように自身をコンフィギュレーションすることを可能にする基本情報を含む。このフェーズでは、ヘッダを受信するだけで十分であり、これは、可視DMのリストを作成するのに十分な情報を含むからである。
【0063】
最終的に登録するために選択されるAPは、例えば、技術の使用に依存する。一般に、EPは、ドメイン名がコンフィギュレーションされ、同じドメイン名でコンフィギュレーションされるAPをサーチする。この場合、EPは、APと同期し、ペイロードをデコードし、APのドメイン名を得ることができると、これが所要のものとマッチするかどうかをチェックする。マッチしない場合、プロセスが再開され、適切なものが見つかるまで別のAPが試行される。チェックされる必要がある異なるAPごとに、プロセスは長くなる。
【0064】
同期は、EPのローカルクロックをAPのローカルクロックに合わせるプロセスである。これらのクロックの相対周波数のわずかな変化は、信号対雑音比(SNR)を低下させるため、この同期はできるだけ早く実行され、継続的に追跡される必要がある。同期が悪いと、受信フレームの最後に向けてエラーを引き起こし、一般に性能の悪さにつながる。
【0065】
MAP-D及びMAP-A等のフレームは、ノード間の同期が粗くてもそのペイロードデコーディングを可能にするロバスト通信モードで送信されてもよい。例示的な実施形態では、ペイロードは、NREP 3及びFEC Rate 2/3のRCM(Robust Communication Mode)送信としてコード化されてよい(詳細については、G.9960 ITU規格を参照)。
【0066】
MAP-Dペイロードから得られるいくつかのフィールドは、MAP-Aフレームをデコードし、送信機会のスケジューリング等の追加情報を得るために使用されることができる。スケジューリング情報が得られると、MACプロトコルは、EPが、この時点まで許可されていなかった、フレームの送信を開始することを可能にする。
【0067】
EPは、送信することが許容されると、選択されたAPに登録要求(例えば、ADM_NodeRegistrRequest.reqメッセージ)を送信することができる。登録要求は、登録スロットが見つかると送信されることができる。このタイプのスロットは、すべてのMAPサイクルに存在しない可能性がある。この場合、メッセージ送信は、1つが見つかるまで遅延される。
【0068】
したがって、上記の登録プロシージャは、高速移行又はハンドオーバプロセスのためのいくつかのハードルを含む。
【0069】
高速ハンドオーバを可能にするための第1のハードルは、近隣のAPを検出するのに必要とされる時間であり、これは、斯かる近隣のAPからのMAP-Dフレームの受信に依存する。検出時間は、ITU.G.9961によれば、DMはMACサイクルごとにMAP-Dフレームを送信する必要がないという事実、近隣のAPのMAP-DフレームはローカルAPの進行中のデータに干渉する可能性があり、それゆえ認識されない可能性があるという事実、MAP-Dフレームの受信は、EPがAPに登録した際に使用しないデフォルトシードを必要とするという事実、ドメイン間通信チャネル(IDCC:inter-domain communication channel)は近隣のドメインを扱うための専用期間であり、APが互いに見えず、それゆえIDCC上での衝突(collision)に悩まされるため、LiFiネットワークに適さないコンテンションアクセス(contention access)に基づくという事実、及び、MAP-Dフレームのための無競合時間(contention-free time)の確保は、利用可能な時間の効率的な使用を減少させる可能性があるという事実に起因して大きくなる可能性がある。
【0070】
さらに、第2のハードルは、同期に関連する。EPは、フレームを交換することができる前にAPに同期する必要がある。EPは、MAP-Dフレームの正しい受信後にしか同期することができないが、前述のように時間がかかりすぎる可能性がある。
【0071】
最後に、第3のハードルは、登録に関連する。EPは、近隣のAPに登録することができる前に、MAP-Aフレームによって運ばれるスケジュール(送信機会)を知る必要がある。しかしながら、MAP-Aフレームの正しい受信は、MAP-Dフレームと同じ問題に悩まされる可能性がある。さらに、これはまた、MAP-Aフレームをデコードするのに必要とされる情報を得るために先ずMAP-Dフレームを受信することに依存する。
【0072】
様々な実施形態によれば、移行又はハンドオーバプロセスは、MACサイクルの専用部分において短縮MAP-Dフレーム(shortened MAP-D frame)(これは「SMAP-D」と呼ばれてもよい)をアドバタイズすることによって、及び、予期されるアクションに基づいて事前登録を行うことによって加速される。より具体的には、SMAP-Dは、MACサイクルの共通チャネル(CC:common channel)に位置してもよく、通常のMAP-D及びMAP-Aフレームは、MACサイクルのどこか他の場所に位置してもよい。SMAP-Dは、APの識別子を運ぶフレームヘッダのみを含んでもよい。ITU.G9960仕様の物理層(PHY:physical layer)フレームヘッダは、ソースノード識別子(SID:source node identifier)及び宛先ノード識別子(DID:destination node identifier)を含む。ドメイン識別子(DOD:domain identifier)と組み合わせて、ノードは、ローカルネットワーク内で十分に識別されることができる。それゆえ、このヘッダは、SMAP-Dとして適用されるのに適している。SMAP-Dは、例えば、近隣のAPとの最小の衝突確率で、MACサイクルごとに送信されてもよい。これにより、EPは、干渉処理及び事前登録のために近隣のAPを迅速に検出し報告することができる。
【0073】
MAP-Dフレームは、MAP-Aフレームをデコードするための情報を運ぶペイロードを含む。EPは、検出された近隣のAPに登録することができる前にMAP-Aフレームで提供される情報を必要とする。斯くして、高速登録のために、MAP-Aフレームだけでなく、MAP-DフレームもMACサイクルごとに送信される。MAP-Dフレームは、主にAPへの初期登録及びEPが接続を失った場合等の再登録のために必要とされる。
【0074】
提案される高速ハンドオーバプロセスのために、EPは、近隣のAPのSMAP-Dフレームを検出してもよい。しかしながら、EPは、そのローカルAPとの潜在的な干渉に起因して近隣のAPのMAP-D及び/又はMAP-Aフレームをまだ検出できない可能性がある。事前登録後、ハンドオーバすることを決定したEPは、事前登録から導出されるタイミング又はスケジューリング情報を使用して、MAP-D及びMAP-Aフレームを直ちにデコードすることができる。一方、近隣のAPの検出についてEPから報告を受けたLiFiコントローラは、EPがそのローカルAPと干渉することなく近隣のAPのMAP-D及びMAP-Aフレームを受信することができるようにAPを調整している。
【0075】
その結果、短縮フレーム(すなわち、SMAP-Dフレーム)は、近隣のAPの時間効率の良い検出を可能にする。短縮フレームは、分離された共通チャネルにおいて、最小限の干渉で送信されることができ、時間を無駄にしすぎないような短さである。さらに、提案される事前登録(すなわち、ハンドオーバ前の事前の登録)は、EPが近隣のAPに登録することを決定すると(必要とされるスケジューリング情報を含む)MAP-D及びMAP-Aフレームを直ちにデコードすることを可能にするタイミング情報を提供する。
【0076】
図4は、様々な実施形態による2つのAP(すなわち、AP1及びAP2)のアラインされたフレームサイクル(すなわち、MACサイクル)の一例を概略的に示している。
【0077】
図4の例では、MACサイクル(MAC-c)は、登録チャネル(Reg:registration channel)、4つの送信チャネル(すなわち、時間チャネルTC1~TC4)、及び共通チャネル(CC)を含む。協調時分割アクセス(coordinated time division access)によって干渉を処理するために、LiFiシステムにおけるAPは、アラインされた(aligned)MACサイクルを有する。共通チャネル(CC)は、APが自身の存在をアドバタイズするためにMACサイクルの一部として予約される。これは、各連続するMACサイクルで提供されることができる。
【0078】
MACサイクルの残りの部分については、LiFiコントローラが各APに時間チャネル(TC:time channel)を割り当てる。この割り当ては、近隣のAPが異なる時間チャネルを有するようにLiFiコントローラによって制御されることができる。
【0079】
さらに、例として、LiFiコントローラは、各APが割り当てられた時間チャンネルでしか通信できないように制限してもよいが、これはそれほど効率的ではないであろう。
【0080】
他の例として、より先進的なアプローチによれば、第1のAP(例えば、AP1)に関連付けられているEPが第2のAP(例えば、AP2)のカバレッジエリア内にある場合、第1のAPは、第1のAPの割り当てられた時間チャネルにEPとの通信を制限し、第2のAPは、第1のAPに割り当てられた時間チャネルを除外して、その関連付けられているEPとの通信を制限する。
【0081】
図4に示される例示的なMACサイクルにおいて、LiFiコントローラは、第1のAP(AP1)に第1の時間チャネル(TC1)を割り当て、第2のAP(AP2)に第2の時間チャネル(TC2)を割り当てている。第1のEPが第1のAPに登録され、第2のEPが第2のAPに登録されていると仮定すると、LiFiコントローラは、第1のEPとの通信を第1の時間チャネルに制限するように第1のAPを制御してもよく、第1の時間チャネルを除外して第2のEPとの通信を制限するように第2のAPを制御してもよい。
【0082】
近隣のAPの検出をスピードアップするために、APは、MACサイクルごとに共通チャネル(CC)で短いMAP-Dフレーム(short MAP-D frame)(SMAP-D)を用いて自身の存在をアドバタイズしてもよい。これは、より良好に干渉処理すること(better interference handling)(例えば、通常のデータと管理情報のインターミキシング(intermixing)がない)、及び、EPが適切なタイミングでSMAP-Dフレームを受信するためのデフォルトシードを適用できることを可能にする。MACサイクルで利用可能な時間を効率的に使用するために、SMAP-Dは、プリアンブル、及び、APの識別子を含むヘッダに限定されることができる。
【0083】
図5は、様々な実施形態による2つのAPの例示的なスロット割り当てを伴う共通チャネル(CC)の一例を概略的に示している。斯くして、共通チャネルの時間期間内で、LiFiコントローラは、アドバタイズメントの衝突を減らすために各APにサブ期間を割り当ててもよく、APは、自身の割り当てられたサブ期間内で、いつ、例えばランダムな時間に、自身のアドバタイズメントメッセージを送出することを決定してもよい。
【0084】
図5に示される例では、共通チャネルは8つのタイムスロットCC-S1~CC-S8を含み、最初の2つのタイムスロットCC-S1及びCC-S2が第1のAP(AP1)に割り当てられ、続く2つのタイムスロットCC-S3及びCC-S4が第2のAP(AP2)に割り当てられている。この図は一例を示すにすぎないことに留意されたい。どのAPにいくつ、どのスロットを割り当てるかは、例えば、LiFiコントローラが決めることであり、割り当てられたスロットのどれで短縮SMAP-Dフレームを送信するかは、APが決めることである。
【0085】
図6は、様々な実施形態によるAPの事前登録プロシージャのフロー図を示している。
【0086】
ステップS600におけるプロシージャの開始後、APは、ステップS601において、MACサイクルごとに通常のデータトラフィックから分離される共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分における短いSMAP-Dフレーム(ショートメッセージ)を用いることによって自身の存在をアドバタイズする。これにより、EPは、データトラフィックとの干渉を受けることなく単一のMACサイクルで近隣のAPを検出することができる。
【0087】
衝突を緩和する及びMACサイクルにおける利用可能な時間の効率的な使用を可能にするために、MAP-Dフレームは、プリアンブル及び物理層(PHY)ヘッダのみを含むSMAP-Dフレームに短縮される。PHYヘッダは、APの識別子を運ぶ。
【0088】
ステップS602において、APは、事前登録要求が受信されたか否かをチェックする。そうでない場合、プロシージャは、ステップS601に戻る。そうではなく、ステップS602において事前登録要求が受信された場合、APは、ステップS603において、事前登録要求を受け入れることができるか否か(例えば、要求するEP(requesting EP)のために十分なリソースが利用可能であるか否か、及び/又はハンドオーバ処理を行うことが可能であるか否か)をチェックする。そうでない場合、プロシージャはステップS604に分岐し、拒絶メッセージ(reject message)が要求するEPに送信される。そうではなく、ステップS603において事前登録要求が受け入れられることができると判断される場合、プロシージャはステップS605に進み、要求するEPのためにリソース(例えば、事前割り当てされたタイムスロット)が予約される。その後、ステップS606において、予約されたリソースのタイミング情報を含む受入メッセージがEPに送信される。最後に、プロシージャはステップS601に戻り、再び開始する。
【0089】
斯くして、成功裏の事前登録の場合、近隣のAPは、タイミング情報を受入メッセージに含める。受入メッセージに含まれ得る他の情報は、近隣のAPが割り当てる、EPの識別子、並びに、シード及び/又はプリアンブルコーディングのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0090】
例として、EPは、ローカルAPを介して検出された近隣のAPに事前登録してもよく、これにより、近隣のAPは、要求するEPのために対応するリソースを予約する。さらに、EPは、近隣のAPのタイミング情報について知らされ、近隣のAPへの高速同期の準備を行う。
【0091】
例として、ITU.G.9961仕様によれば、APは、短縮MAP-Dフレームをn個のMACサイクルごとに1回、及びMAP-AフレームをMACサイクルごとにブロードキャストしてもよい。登録のプロセスをスピードアップするために、APは、MACサイクルごとにMAP-Aフレームが直接後続するMAP-Dフレームを送信してもよい。
【0092】
図7は、様々な実施形態によるEPの事前登録及び高速ハンドオーバプロシージャのフロー図を示している。
【0093】
ステップS700におけるプロシージャの開始後、EPは、ステップS702及びS701のループにおいて、MACサイクルの共通チャネルにおけるショートメッセージ(すなわち、SMAP-Dフレーム)を監視することによって近隣のAPを継続的にサーチする。ステップS702において近隣のAPを検出する場合、EPは、ステップS703において、この検出を自身のローカルAP(すなわち、EPが登録されているAP)に報告する。その後、ローカルAPは、それに応じてLiFiコントローラを更新し、これに応答して、LiFiコントローラは、時間チャネルの割り当て及び共通チャネルにおけるスロットの割り当て等、干渉を処理するためにAPの制限を更新してもよい。
【0094】
その後、ステップS704において、EPは、ローカルAPを介して近隣のAPに事前登録を要求する。ローカルAPは、当該事前登録要求を直接近隣のAPに又はLiFiコントローラを介して中継してもよい。近隣のAPは、ローカルAPを介してEPに対して受入メッセージ又は拒絶メッセージで返信する。受け入れる場合、近隣のAPは、EPのための対応するリソースを予約する。近隣のAPは、直接ローカルAPに又はLiFiコントローラを介して受入メッセージ又は拒絶メッセージを送信してもよい。いずれにせよ、ローカルAPは、このメッセージをEPに転送する。
【0095】
ステップS705において、EPは、所定の時間期間内に受入メッセージを受信したか否かをチェックする。そうでない場合、プロシージャはステップS701に戻り、新たな近隣のAPをサーチする。そうではなく、ステップS705において受入メッセージが受信された場合、EPは、あり得る後のハンドオーバ(possible later handover)における近隣のAPへの高速同期を可能にするために、ステップS706において、受入メッセージのタイミング情報を記憶する。
【0096】
その後、ステップS707において、EPは、ステップS708において、選択された近隣のAPにハンドオーバするかどうかを決定するために、例えば、MACサイクルの共通チャネルにおいて近隣のAPから受けるSMAP-Dフレームの受信信号強度インジケータ(RSSI:received signal strength indicator)又は別の品質若しくはエラーインジケータを比較することによって、近隣のAPの信号品質をチェックする。
【0097】
ステップS708において、EPが近隣のAPにハンドオーバすることを決定する場合、EPは、ステップS709において、事前登録時に受入メッセージで受けたタイミング又は同期情報を適用する。その後、ステップS710において、EPは、近隣のAPのMAP-Dフレームをシームレスにデコードすることができ、また、MAP-Dフレームに後続するMAP-Aフレームをデコードすることを可能にするシード情報を導出してもよい。その後、ステップS711において、EPは、高速ハンドオーバを実行するために当該EPのためにMACサイクルにおいて近隣のAPによって事前割り当てされるリソース(例えば、タイムスロット)の使用を開始することができる。
【0098】
さらに、EPは、近隣のAPによって割り当てられる新しい識別子、並びに、近隣のAPによって使用されるシード及び/又はプリアンブルコーディングを使用してもよい。近隣のAPは、フレームの転送をイネーブルにし、EPへの新しい経路を確立するためにLiFiネットワークのスイッチをトリガしてしてもよい。
【0099】
EPは、あり得るハンドオーバ(possible handover)を予期するためにすべての検出された近隣のAPに事前登録を試みてもよいことに留意されたい。EPは、同時に複数のAPに事前登録されてもよい。
【0100】
図8は、様々な実施形態によるLiFiネットワークにおけるシグナリング及び処理シーケンスに基づく事前登録プロセスを概略的に示している。
【0101】
図8のシグナリング及び処理シーケンス(signaling and processing sequence)において、上から下への垂直方向は時間軸に対応し、他のメッセージ又は処理時間/ステップの上に示されるメッセージ又は処理時間/ステップは、より早い時間に発生する。
【0102】
図8の上部に示されるように、処理時間及びメッセージは、LiFiコントローラ(LC)13、EP10及び2つのAP(AP1、AP2)12において又はこれらの間で発生する。
【0103】
シーケンスは、EP10が第1のAP(AP1)に登録される処理時間801で開始する。その後、処理時間802において、EP10は、第1のAP(すなわち、DM1)に登録されているが、近隣の第2のAP(AP2)についてはまだ知らない。さらに、処理時間803において、LiFiコントローラ13は、EP10が第1のAPに登録されていることについて知る。
【0104】
その後、処理時間804において、EP10は、近隣の第2のAPを検出する。これに応答して、EP10は、例えば、ITU-T G.9961仕様に定義されるコンフィギュレーション及び管理プロトコル(LCMP)を用いることによって(これは、外部のアプリケーションエンティティが1つ以上のITU-Tノードの管理(management)とインタラクトして、ノード内部のパラメータを読み/書きすることを可能にする)、近隣の第2のAPに対する事前登録要求メッセージ805(例えば、LIFI_FastHandoverPrepare.req)をLC13に送信する。その後、この要求メッセージは、LC13によって、検出された近隣のAP(AP2)に要求メッセージ806として中継される。
【0105】
処理ステップ807において、事前登録要求の受け入れ(acceptance)の場合、検出された近隣のAPは、新しいノードを受け入れるためにリソースを準備し、接続を事前確立する。この近隣のAPは、情報をローカルに追加してもよいが、(このノード(すなわち、要求するEP)はまだドメイン内にないため)この情報をトポロジパケットで送信することを回避してもよい。
【0106】
その後、近隣のAPは、EP10からの要求が受け入れられる(例えば、ドメインID(DOD)及び/又は宛先ID(DID)を割り当てる)か拒否されるかを示すために通知メッセージ808(例えば、LIFI_FastHandoverPrepare.cnf)をLC13に送信する。事前登録拒否(pre-registration denial)の場合、近隣のAPは、拒否理由(例えば、利用可能なリソースがない又はハンドオーバがサポートされていない(機能限定AP(function-limited AP)))について知らせるコードを送信する。
【0107】
LC13は、この受入又は拒否通知を通知メッセージ809として要求するEP10に中継する。受け入れられた場合、近隣のAPは、処理時間810において、EP10に対するハンドオーバのためのリソースを準備し、要求するEP10は、処理時間811において、あり得るリンクネゴシエーションのために必要なリソースを作成する。
【0108】
要求するEP10が、利用可能なリソースがないことを示す拒否を受信する場合、要求するEP10は、タイムアウト後に事前登録を再試行してもよい。そうではなく、拒否がハンドオーバがサポートされていない(すなわち、近隣のAPは機能限定APである)ことを示す場合、要求するEP10は、このAPをハンドオーバができないもの(non-capable for handover)としてマークしてもよい。
【0109】
しかしながら、要求するEP10は、所定の時間期間後事前登録要求に対する応答を受信しない場合、タイムアウト(例えば、200ms)後に事前登録を再試行してもよい。
【0110】
要求するEP10が、処理時間812において、任意の近隣のAPから受けるパワーが現在の近隣のAPのパワーよりも高いことを検出する場合、EP10は、処理ステップ813において、作成されたリソースを解放してもよく、EP10を既に事前登録している新しいAPをターゲットとするハンドオーバプロセスを開始してもよい。
【0111】
処理時間814における所定のタイムアウト後、選択された近隣のAPは、処理ステップ815において、エージング(ageing)に起因してEP10の事前登録を削除してもよい。これにより、キャンセルメッセージ(cancellation message)を発行する必要はない。しかしながら、このようなエージングオプションが実装される場合、要求するEP10は、定期的に事前登録を更新する(renew)ことを必要とし得る。
【0112】
(
図8に示されない)その後のハンドオーバプロセスにおいて、EPは、自身のコンフィギュレーション(例えば、DOD、DID、シード(Seed))を新たに選択されたAP(新しいLiFiドメイン)へ変更することを決定してもよい。それゆえ、EPは、新しいリソース(例えば、送信及び受信キュー)を作成し、新しいAPに合わせるために同期を変更し(ach APは、現在のAPと近隣のAPとの間のクロック偏差が計算されることができるようにそのMAP期間(duration)について知らせる)、伝送経路をイネーブルにし、同期フェーズ(synchronization phase)から追跡フェーズ(tracking phase)に変更してもよい。
【0113】
近隣のAPは、(事前登録フェーズ(pre-registration phase)から予め知られている)EPに接続されているデバイスのソースMACアドレスでフェイク(fake)送信パケット(例えば、Ethernet(登録商標)パケット)を送信し、スイッチがこれらのMACアドレスのポート位置を変更し得るようにしてもよい。APは、自身の現在のスレーブ(すなわち、APに既に登録されているEP)に最も高い優先度を割り当て、通常の登録(すなわち、ドメインに入ることを要求する登録されていないEP)に2番目に高い優先度を割り当て、事前登録に最も低い優先度を割り当てることによってリソース割り当てを優先付けてもよい。最も新しい事前登録要求は、最も低い優先度を有するノードの中で最も高い優先度を有してもよい。
【0114】
さらに、上述したように、すべての事前登録されたEPは、時々(from time to time)、事前登録を更新する必要があってもよい。APは、事前登録されたノードのリソースを解放する必要がある場合、最も古い事前登録タイムスタンプを有するものを優先して選択する。
【0115】
要約すると、(LiFi等)照明及びデータの通信の組み合わせを可能にする、通信システム、方法及び装置であって、高速ハンドオーバが、近隣のアクセスポイントが非常に短いフレームを使用して自身をアナウンスし、斯かるフレームは、ユーザデバイスによってピックアップされ、ユーザデバイスは、ネイバアクセスポイントのアイデンティティを検出し、これを現在のアクセスポイントに伝達して、ユーザデバイスに関する情報をネイバアクセスポイントと共有することにより、ネイバアクセスポイントが、リソースを割り当てる(及び/又は同期する)ために事前コンフィギュレーションされることができるようにして実現されることができる、通信システム、方法及び装置が述べられている。
【0116】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されてきたが、そのような例示及び説明は、図的又は例示的であって、限定的なものではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。提案される検出及び/又は選択プロシージャは、他のタイプのワイヤレスネットワークに、並びに、他のタイプのセル及び/又はリユースパターンと共に、適用されることができ、可能であれば標準化されることができる。
【0117】
例えば、多くのプロトコルにおいて、フレームサイクルの開始時にビーコンが送信される。ビーコンはフレームの開始を示すだけでなく、AP(例えば、IEEE802.15.7用語ではコーディネータ)の識別子並びにフレームの残りの部分の構成及び使用に関する情報等、他の情報も示し得る。
【0118】
とりわけ、本発明は、ITU-T G.9961、ITU-T G.9960、及びITU-T G.9991ネットワーク環境に限定されるものではない。提案される存在アドバタイズメントのための短縮フレームは、ビーコンフレームの概念がスーパーフレームの開始時に適用される、IEEE 802.15.7によるネットワーク環境においても同様に使用され得る。これらのビーコンフレームは、アドレスフィールド(addressing field)がソースアドレスを含む媒体アクセス制御ヘッダ(MHR:medium-access-control header)に限定されるように短縮されてもよい。一例として、短縮ビーコン(shortened beacon)(S-beacon)は、通常のビーコンに加えて使用されてもよい。短縮ビーコンは、上述した共通チャネル(CC)に対応する短縮ビーコン周期(S-beacon period)で生じてもよい。
【0119】
さらに、上記のサンプル実施形態は、利用可能なチャネルの時分割に基づいている。しかしながら、他のタイプのネットワーク環境において周波数分割が使用されてもよい。それゆえ、制御チャネルは、(ISDN(Integrated Services Digital Network)のDチャネル(D-channel)等)データに使用される周波数とは異なる周波数を使用することによっても確立され得る。したがって、原理的に、上記のサンプル実施形態に関連して述べられる共通チャネル(CC)は、異なる周波数(例えば、限られた帯域幅を有する帯域外(OOB:out-of-band)チャネル)においても生じ得る。
【0120】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。上記の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上記がテキストにどのように詳細に現れようとも、本発明は多くの方法で実施されることができ、したがって、開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明のある特徴又は態様を説明する際のある用語法(terminology)の使用は、用語法が、当該用語法が関連付けられている本発明の特徴又は態様の特定の特性を含むことに制限されるように本明細書において再定義されていることを意味すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0121】
単一のユニット又はデバイスが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0122】
図6及び7に示されるもの等の述べられた動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は、レシーバデバイス又はトランシーバデバイスの専用ハードウェアとして実装されることができる。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光マルチセル通信システムにおける高速ハンドオーバのためのシステムであって、当該システムは、
リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分においてペイロード部を含まない短縮フレームを送信することによって自身の存在をアドバタイズするように構成される複数のアクセスポイントであって、前記短縮フレームの各々は、それぞれのアドバタイズするアクセスポイントの識別子を含む、複数のアクセスポイントと、
前記共通チャネルにおけるアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために前記複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチする、及び、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信するように構成される、少なくとも1つのエンドポイントと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記複数のアクセスポイントのうちの第1のアクセスポイントは、フレームサイクルごとに前記短縮フレームを送信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のアクセスポイントのうちの第1のアクセスポイントは、エンドポイントから受ける事前登録要求に応答して、前記エンドポイントを事前登録する、前記エンドポイントのために前記第1のアクセスポイントの送信リソースを予約する、及び、前記予約された送信リソースのタイミング情報及びエンドポイント識別子を含む受入メッセージを前記エンドポイントに送信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のアクセスポイントは、前記第1のアクセスポイントに既に登録されているエンドポイント及び前記第1のアクセスポイントのドメインへのエントリを要求する非登録エンドポイントに高い優先度、及び、エンドポイントの事前登録に低い優先度を割り当てることによってリソースの予約を優先付けるように構成され、高い優先度が、古い事前登録要求よりも新しい事前登録要求に割り当てられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
光マルチセル通信システムにおける
、エンドポイントで使用するための、高速ハンドオーバのための装置であって、当該装置は、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルにおいてアクセスポイントに割り当てられる共通チャネルの事前定義された部分におけるペイロード部を含まないアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチする、及び、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信するように構成される、装置。
【請求項6】
当該装置は、関連するローカルアクセスポイントに検出された近隣のアクセスポイントを報告する、及び、前記ローカルアクセスポイントを介して前記近隣のアクセスポイントに事前登録を送信するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
当該装置は、あり得る高速ハンドオーバにおいて前記検出された近隣のアクセスポイントへの高速同期を可能にするために、前記事前登録要求に応答した受入メッセージにおいて前記検出されたアクセスポイントから受ける送信機会のタイミング情報を記憶するように構成される、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
当該装置は、定期的に事前登録を更新するように構成される、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
当該装置は、決定された信号品質パラメータに基づいて、当該装置が事前登録されるアクセスポイントへのハンドオーバを決定するように構成される、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記短縮フレームは、プリアンブル、及び、アドバタイズするアクセスポイントの識別子を含むヘッダに限定される、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記短縮フレームの共通チャネルは、前記フレームサイクルにおいて通常のデータトラフィックから分離される、請求項5乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
光マルチセル通信システムにアクセスするためのエンドポイントであって、当該エンドポイントは、請求項5乃至11のいずれか一項に記載の装置を含む、エンドポイント。
【請求項13】
光マルチセル通信システムにおいて高速ハンドオーバを可能にする方法であって、当該方法は、
複数のアクセスポイントの存在を、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルの共通チャネルの割り当てられた事前定義された部分においてペイロード部を含まない短縮フレームを前記複数のアクセスポイントから送信することによってアドバタイズすることであって、前記短縮フレームの各々は、それぞれのアドバタイズするアクセスポイントの識別子を含む、ことと、
エンドポイントにより、前記共通チャネルにおけるアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために前記複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチすることと、
前記エンドポイントにより、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信することと、
を含む、方法。
【請求項14】
光マルチセル通信システムにおいてエンドポイントのための高速ハンドオーバを可能にする方法であって、当該方法は、
前記エンドポイントにより、リンク層又は物理層プロトコルのフレームサイクルにおいてアクセスポイントに割り当てられる共通チャネルの事前定義された部分におけるペイロード部を含まないアドバタイズされた短縮フレームを検出することによって来るべきハンドオーバを予期するために複数のアクセスポイントのうちの近隣のアクセスポイントをサーチすることと、
前記エンドポイントにより、ハンドオーバを決定する前に、検出された近隣のアクセスポイントに事前の登録のための事前登録要求を送信することと、
を含む、方法。
【請求項15】
エンドポイントのコンピュータデバイスで実行された場合、請求項14のステップを行うためのコード手段を含むコンピュータプログラム。
【国際調査報告】