(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(54)【発明の名称】1又は複数の受信機及び送信機の飛行時間を決定するシステム、装置及び/又は方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/06 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G01S5/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554271
(86)(22)【出願日】2021-02-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 IB2021051666
(87)【国際公開番号】W WO2021181190
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519095016
【氏名又は名称】ディーヨーク ロケイション テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】シュッパック エラン
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB05
5J062CC12
(57)【要約】
少なくとも1つの実施形態において、ワイヤレス通信のためのシステムが提供される。前記システムは、第1トランシーバと、第1モバイルデバイスを含む。前記第1モバイルデバイスは、前記第1トランシーバを含み、第1及び第2ワイヤレス信号を受信して、前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、当該第1及び第2ワイヤレス信号を処理するようにプログラムされている。前記第1モバイルデバイスは、前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して、第1到着時刻信号を提供し、前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して、第2到着時刻信号を提供するようにさらにプログラムされている。前記第1モバイルデバイスは、前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するようにさらにプログラムされている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランシーバと、
前記第1トランシーバを含む第1モバイルデバイスとを備え、
当該第1モバイルデバイスが、
第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
当該第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び第2ワイヤレス信号を処理し、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻(TOA)を決定して第1到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻(TOA)を決定して第2到着時刻信号を提供し、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するようにプログラムされている、ワイヤレス通信システム。
【請求項2】
第2モバイルデバイスをさらに含み、
当該第2モバイルデバイスが、
前記第1送信機から前記第1ワイヤレス信号を、前記第2送信機から前記第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
当該第2モバイルデバイスに関連付けられた、前記第1モバイルデバイスの前記第1内部クロックとは異なる第2内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するようにプログラムされている、請求項1記載のワイヤレス通信システム。
【請求項3】
前記第2モバイルデバイスが、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するようにさらにプログラムされている、請求項2記載のワイヤレス通信システム。
【請求項4】
前記第2モバイルデバイスが、
前記第3到着時刻信号と前記第4到着時刻信号の差分を取得して、前記第2内部クロックに依存しない第2到着時刻差信号を提供するようにさらにプログラムされている、請求項3記載のワイヤレス通信システム。
【請求項5】
前記第1モバイルデバイスから前記第1到着時刻差信号を受信し、かつ前記第2モバイルデバイスから前記第2到着時刻差信号を受信し、
前記第1到着時刻差信号と前記第2到着時刻差信号の差分を取得して、最終差分信号を提供するようにプログラムされたサーバを更に含む、請求項4記載のワイヤレス通信システム。
【請求項6】
前記サーバが、少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するようにさらにプログラムされている、請求項5記載のワイヤレス通信システム。
【請求項7】
前記サーバが、前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1モバイルデバイスの位置を特定するようにさらにプログラムされている、請求項6記載のワイヤレス通信システム。
【請求項8】
前記サーバが、少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するようにさらにプログラムされている、請求項5記載のワイヤレス通信システム。
【請求項9】
前記サーバが、前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1送信機の位置を特定するようにさらにプログラムされている、請求項8記載のワイヤレス通信システム。
【請求項10】
第1モバイルデバイスにおいて、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信するステップと、
前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するステップと、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して、第1到着時刻信号を提供するステップと、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して、第2到着時刻信号を提供するステップと、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するするステップとを含むワイヤレス通信方法。
【請求項11】
第2モバイルデバイスにおいて、前記第1送信機から前記第1ワイヤレス信号を、前記第2送信機から前記第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信するステップと、
前記第2モバイルデバイスに関連付けられた、前記第1モバイルデバイスの前記第1内部クロックとは異なる第2内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するするステップと、をさらに含む請求項10記載のワイヤレス通信方法。
【請求項12】
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供するステップとし、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するステップと、をさらに含む請求項11記載のワイヤレス通信方法。
【請求項13】
前記第3到着時刻信号と前記第4到着時刻信号の差分を取得して、前記第2内部クロックに依存しない第2到着時刻差信号を提供するステップをさらに含む、請求項12記載のワイヤレス通信方法。
【請求項14】
サーバにおいて、前記第1モバイルデバイスから前記第1到着時刻差信号を受信するとともに、前記第2モバイルデバイスから前記第2到着時刻差信号を受信するステップと、
前記第1到着時刻差信号と前記第2到着時刻差信号の差分を取得して、最終差分信号を提供するステップをさらに含む、請求項13記載のワイヤレス通信方法。
【請求項15】
少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するステップをさらに含む、請求項14記載のワイヤレス通信方法。
【請求項16】
前記サーバにおいて、前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1モバイルデバイスの位置を特定するステップをさらに含む請求項15記載のワイヤレス通信方法。
【請求項17】
少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するステップをさらに含む、請求項14記載のワイヤレス通信方法。
【請求項18】
前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1送信機の位置を特定するステップをさらに含む、請求項17記載のワイヤレス通信方法。
【請求項19】
少なくとも、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号の到着時刻の、離散的で大まかな推定、離散的で正確な推定、又は連続的で正確な推定の少なくとも1つを用いて、前記第1モバイルデバイスにおいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定するステップをさらに含む、請求項10記載のワイヤレス通信方法。
【請求項20】
ワイヤレス通信のためにプログラムされた非一時的コンピュータ可読媒体が実装されているコンピュータプログラム製品であって、
第1モバイルデバイスにおいて、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理し、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供し、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供する命令が実装されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項21】
第1モバイルデバイスと、第2モバイルデバイスと、サーバとを備え、
前記第1モバイルデバイスが、
第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
当該第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理し、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供するようにプログラムされており、
前記第2モバイルデバイスが、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するようにプログラムされており、
前記サーバが、
前記第1モバイルデバイスから送信された、前記第1到着時刻信号及び前記第2到着時刻信号に対応する第1情報を受信し、
前記第2モバイルデバイスから送信された、前記第3到着時刻信号及び前記第4到着時刻信号に対応する第2情報を受信し、
少なくとも前記第1情報及び前記第2情報と、少なくとも前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいた前記第1モバイルデバイスの位置と、少なくとも前記第1情報及び前記第2情報と、少なくとも前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいた前記第1送信機の位置のうち、少なくとも一方を特定するようにプログラムされている、ワイヤレス通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される態様は、一般に、ワイヤレス通信を提供するためのシステム、装置及び方法に関するものである。具体的には、本明細書に開示される実施形態は、一般に、モバイル送信機の巡回遅延ダイバーシティ飛行時間(TOF)を決定するように構成された1つ又は複数のモバイルデバイスに関するものである。それら及びその他の態様は、より本明細書でより詳細に議論する。
【背景技術】
【0002】
Sethらの米国公開第2017/0367065号(”Seth”)には、ネットワークアーキテクチャにおけるワイヤレスノードの位置を決定するためのシステム及び方法が開示されている。一例では、非同期システムは、第1パケットを有する第1RF(Radio Frequency)信号を含むワイヤレスネットワークアーキテクチャにおいて、送受信を行う1つ又は複数の処理ユニットとRF回路を備えたワイヤレスデバイスを有する第1ワイヤレスノードを含む。このシステムはまた、第2パケットを有する第2RF信号を含むワイヤレスネットワークアーキテクチャにおいて、第1ワイヤレスノードとの双方向通信を可能にする送受信機を備えたワイヤレスデバイスを有する第2ワイヤレスノードを含む。第1ワイヤレスノードの1つ又は複数の処理ユニットは、第1及び第2ワイヤレスノードのチャネル情報を使用して、第1及び第2パケットの飛行時間の粗い推定値及び細かい推定値を決定する命令を実行するように構成されている。
【0003】
Schleiferらの米国特許第6,587,811号(”Schleifer”)には、デジタル遅延線における個々の遅延ステージの実遅延値を検証する際に有用なテスト信号を生成する回路が開示されている。遅延線の累積遅延は、一般に、零点が遅延線の始点に固定された時間窓を定義する。連続する遅延ステージは、時間窓全体に含まれた連続する時間ビンに対応する。テスト信号は、テストサイクルを開始するために使用される基準信号に対して、既知の線形比で時間シフトする。基準信号は、テスト信号のサンプリングを時間窓の始点に同期させる。テスト信号のサンプルは、連続する遅延ステージにおける実時間遅延によって決定されるサンプル点から取得される。時間窓全体にわたって観測されるテスト信号のエッジの分布は、遅延線の実際の遅延間隔を決定するために使用されてもよい。
【0004】
Gumbmannらのドイツ公開DE102017101854A1(”Gumbmann”)には、照射されたパルスレーダー信号を検査対象である衣服に当てて、その反射を検出する方法が開示されている。パルスレーダー信号は、中心周波数が異なる少なくとも2つのパルス信号から構成されている。また、パルスレーダー信号の反射スペクトルを検出して評価する。さらに、衣服の反射を検出するためのデバイスについて説明されている。
【0005】
Joshiらの米国公開第2017/0090026号(”Joshi”)には、RF信号を使用するモーショントレースデバイスのための技術が開示されている。モーショントレースデバイスは、WiFiなどのRF信号を利用して、移動物体を識別し、その動きをトレースする。複数のWiFi後方散乱信号を測定し、その中で移動物体に対応するものを識別することができる方法とデバイスが定義されている。さらに、複数の移動物体の動きを検出し、あらかじめ定義された時間だけトレースすることができる。
【発明の概要】
【0006】
少なくとも1つの実施形態において、ワイヤレス通信のためのシステムが提供される。当該システムは、第1トランシーバと、第1モバイルデバイスを含む。当該第1モバイルデバイスは、前記第1トランシーバを含み、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するようにプログラムされている。前記第1モバイルデバイスは、前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻(Time of Arrival)信号を提供し、前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供するようにさらにプログラムされている。前記第1モバイルデバイスは、前記第1到着時刻信号と第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するようにさらにプログラムされている。
【0007】
少なくとも別の実施形態において、ワイヤレス通信のための方法が提供される。当該方法は、第1モバイルデバイスにおいて、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信するステップと、前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するステップを含む。前記方法は、前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供し、前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供するステップをさらに含む。前記方法は、前記第1到着時刻信号と第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するステップをさらに含む。
【0008】
少なくとも別の実施形態において、ワイヤレス通信のためにプログラムされた非一時的コンピュータ可読媒体が実装されているコンピュータプログラム製品が提供される。当該コンピュータプログラム製品は、第1モバイルデバイスにおいて、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理する命令が実装されている。前記コンピュータプログラム製品は、前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供し、前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供する命令がさらに実装されている。前記コンピュータプログラム製品は、前記第1到着時刻信号と第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供する命令がさらに実装されている。
【0009】
少なくとも別の実施形態において、ワイヤレス通信のための別のシステムが提供される。当該システムは、第1モバイルデバイスと、第2モバイルデバイスと、サーバを含む。前記第1モバイルデバイスは、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供するようにプログラムされている。前記第1モバイルデバイスは、前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供するようにさらにプログラムされている。前記第2モバイルデバイスは、前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供し、前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するようにプログラムされている。前記サーバは、前記第1モバイルデバイスから送信された第1到着時刻信号及び第2到着時刻信号に対応する第1情報と、前記第2モバイルデバイスから送信された第3到着時刻信号及び第4到着時刻信号に対応する第2情報を受信するようにプログラムされている。前記サーバは、少なくとも前記第1情報及び前記第2情報と、前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置に基づいて、前記第1モバイルデバイスの位置を特定するようにさらにプログラムされている。前記サーバは、少なくとも前記第1情報及び前記第2情報と、前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置に基づいて、前記第1送信機の位置を特定するようにさらにプログラムされている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施形態は、付随する特許請求の範囲において具体的に定められている。しかしながら、様々な実施形態の他の特徴は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて参照することによって、より明確に理解されるであろう。
【
図1】一実施形態に係る、ワイヤレス通信システムの一例を示す。
【
図2】一実施形態に係る、
図1のワイヤレス通信システムに実装されうるデバイスを示す。
【
図3】一実施形態に係る、いずれか1つのモバイルデバイスのアクセスポイントに対する位置を決定するための第1システムを概略的に示す。
【
図4】一実施形態に係る、TОAを決定するための第1システムに関連する別の態様を概略的に示す。
【
図5】一実施形態に係る、複数の双曲線に関連する受信機の位置を概略的に示す。
【
図6】一実施形態に係る、受信機の位置を決定するための方法を示す。
【
図7】一実施形態に係る、いずれか1つの送信機のモバイルデバイスに対する位置を決定するための第2システムを示す。
【
図8】巡回遅延ダイバーシチを用いた、所定の送信機への2アンテナ実装を示す。
【
図10】一実施形態に係る、大まかな検出及び正確な検出の実行に関連する少なくとも1つの態様を示す。
【
図11】一実施形態に係る、正確な時間検出方式に関連付けられた飛行時間(TOF)値及び出発方向(DOD)角のための2つの任意のシナリオを示す。
【
図12】一実施形態に係る、正確な時間検出方式に関連付けられた飛行時間(TOF)値及び出発方向(DOD)角のための2つの任意のシナリオを示す。
【
図13】一実施形態に係る、1つ又は複数の受信機で受信された信号の正確な到着時刻を決定するために補間を行う方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示するが、開示された実施形態は、様々な代替形態で実装されうる本発明の単なる例示に過ぎない。図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴が誇張又は矮小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造的及び機能的な詳細は、限定的に解釈されるものではなく、単に、本発明を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるものである。
【0012】
本明細書に開示される少なくとも1つのコントローラは、様々なマイクロプロセッサ、集積回路、メモリデバイス(例えば、FLASH、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programable Read Only Memory)又はその他の適切なバリエーション)、及び本明細書に開示される操作を行うために互いに協働するソフトウェアを含んでもよい。加えて、本明細書に開示される少なくとも1つのコントローラは、1つ以上のマイクロプロセッサを利用して、開示される任意の数の機能を実行するようにプログラムされた非一時的コンピュータ可読媒体に実装されるコンピュータプログラムを実行する。さらに、本明細書に開示されるコントローラは、ハウジングと、ハウジング内に配置された複数のマイクロプロセッサ、集積回路及びメモリデバイス(例えば、FLASH、RAM、ROM、EPROM、EEPROM)を含む。また、開示されるコントローラは、本明細書で述べるように、他のハードウェアベースのデバイスとの間でデータを送受信するためのハードウェアベースの入出力を含む。
【0013】
本明細書に開示される態様は、一般に、飛行時間(TOF)の原理に基づいて、WiFi及び/又は1つのLTE(5Gを含む)などの様々なワイヤレス通信プロトコルを用いたワイヤレスアクセスポイント(例えば、送信機)からの信号を受信するワイヤレスセンサ(例えば、モバイルデバイス、ロケーションタグ又は任意の他の適切なデバイス)の位置を正確に推定するデバイス(又は受信デバイス)、システム及び/又は方法を提供しうるが、これに限定されない。開示される受信デバイスは、受動型受信機であってもよく、ワイヤレス通信プロトコルを介して受動型受信機の情報を送信する送信機は、通信のために設計、製造及び配備されたアクセスポイント及び/又はモバイルデバイスであってもよい。送信機は、ハードウェア及びソフトウェアを介して形成される未修正のデバイスであってもよい。一般に、開示される受信デバイスは、ペアで動作してもよいが、例えば、互いに異なるチャネル上で、異なるプロトコルを用いて、送信機ペアからのパケットを受信する必要がある(例えば、プロトコルには(1)両方のプロトコルがWiFi、(2)一方がWiFi、他方がLTE、などがあるがこれらに限定されない)。受信デバイスは、低品質の可能性はあるが、バックホール接続を必要としてもよい。60cmだけ離れた場合の目標精度は、光速及び低品質なエンドポイントのクロック許容度(例えば、典型的には10-4)を考えると、一般的なチャネル(例えば、20MHz)の大きな無相関時間を超えうる。開示される受信デバイスは、(1)クロックスキュー及び/又はクロックドリフトの両方に対処しうる独自の伝搬時間測定方式、(2)時間及び周波数の解像度が高い、大まかな及び/又は正確な到着時刻推定を提供するが、これに限定されない。以下に記載される態様は、WiFi関連の用語に準拠することがあるが、本明細書に定める開示は、5Gを含むLTEにも適用されうる。
【0014】
図1は、一実施形態に係る、ワイヤレス通信システム100の一例を示している。
図1は、複数のアクセスポイント122、124、126が配置された、屋内又は都市環境102を例示しており、この複数のアクセスポイントは、しばしば異なるWLAN(Wireless Local Area Network)又はLTE所有者によって互いに独立となるように配置される。アクセスポイント122、124、126の数は変化してもよい。アクセスポイント122、124、126からの信号は、環境内を自由に動き回るユーザ132が操作するモバイルデバイス128、130によって受信されてもよい。また、図示された環境内のモバイルデバイス128、130の数は変化してもよい。
図1には明示的に図示されていないが、モバイルデバイス128は、携帯電話、タブレット、ラップトップなどのうちのいずれか1つ又は複数であってもよい。モバイルデバイス128は、オブジェクト129に取り付けるために配置されるワイヤレストランシーバを含むロケーションタグ131に対応してもよい。例えば、オブジェクト129は、女性用ハンドバッグ(又は財布)であってもよく、ロケーションタグ131は、ハンドバッグ129の位置を示す情報を提供してもよい。ロケーションタグ131は、オブジェクト129の位置に対応する情報を1つ以上のアクセスポイント122、124、126及び/又は少なくとも1つのサーバ140に送信してもよい。各モバイルデバイス128、130は、一般に、環境内の様々なアクセスポイント122、124、126とのワイヤレス通信を可能にするモデム又は他のデバイスを含む。
【0015】
例えば、システム100におけるアクセスポイント122、124、126が802.11n規格(WiFi規格)に準拠していると仮定する場合、アクセスポイント122、124、126はそれぞれ、アンテナ135を2つ以上含んでもよい。モバイルデバイス128、130はそれぞれ、単一の無指向性アンテナ136を有し、アクセスポイント122、124、126と通信すると仮定してもよい。一般に、モバイルデバイス128、130は、アンテナ135で受信した信号を処理して、アクセスポイント122、124、126のいずれか1つ以上の位置を決定してもよい。さらに、モバイルデバイス128、130は、ペアで動作して、アクセスポイント122、124、126に対する自身の位置を決定してもよい。
【0016】
モバイルデバイス128、130は、インターネット通信のために、アクセスポイント122、124、126のいずれか1つ以上と関連付けられてもよい。代わりに、又はさらに、モバイルデバイス128、130は、セルラーネットワーク又は他の接続を介してインターネットにアクセスしてもよい。いずれの場合も、モバイルデバイス128、130は、ネットワーク139を介して、アクセスポイント識別及び/又はアクセスポイント122、124、126のいずれか1つ以上の位置をマッピングサーバ140に転送してもよい。
【0017】
一例では、以下でより詳細に説明される到着時刻実装から分かるように、モバイルデバイス128、130は、アクセスポイント122、124、126又は基地局(図示せず)から送信され、サーバ140によって提供される信号に基づいて、アクセスポイント122、124、126及びマッピングサーバ140(又は基地局(図示せず))に自身の現在の位置座標を伝達してもよい。この情報は、モバイルデバイス128、130上のハードウェアで実行される適切なアプリケーションプログラム(app)によって自律的かつ自動的に収集されレポートされてもよい。サーバ140は、一般的には、プログラマブルプロセッサ142とメモリ144からなる汎用コンピュータで構成される。本明細書で説明するサーバ140の機能は、一般的には、プロセッサ142上で動作するソフトウェアに実装され、このソフトウェアは、光学、磁気又は電子メモリ媒体などの有形(tangible)で非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。
【0018】
プロセッサ142は、ネットワーク139を介してモバイルデバイス128、130により伝達された位置座標に基づいて、アクセスポイントの位置及び方向のマップをメモリ144にビルドしてもよい。より多くのモバイルデバイス128、130が採用される場合、そのようなモバイルデバイス128、130は、サーバ140に情報を伝達してもよい。この例では、マップは、ブートストラッププロセスによって、初期情報で与えられる初期ベース状態よりも、地理的範囲が広くなり、かつアクセスポイントデータの精度が高くなってもよい。任意の所定の時刻にモバイルデバイス128、130によって受信されたアクセスポイント信号に基づいて、アプリケーションプログラムが各モバイルデバイス128、130上で実行された場合に、サーバ140は、このアプリケーションプログラムを介して、ユーザ132にマップに基づいた位置及びナビゲーション情報を提供してもよい。
【0019】
システム100は、上記の到着時刻実装を利用することで、3つの送信機の位置が既知であれば(例えば、3つの送信機は、静止したアクセスポイント122、124、126や基地局のうちの2つと、モバイルデバイス128やロケーションタグ131のような静止していてもしていなくてもよい受信機1つに対応してもよい)、未知の受信機の位置を決定してもよい(例えば、ロケーションタグ131を含むモバイルデバイス128、130の位置を決定してもよい)。同様に、別の例では、システム100は、到着時刻を利用することで、未知の送信機の位置を決定してもよい。この場合、2つのモバイルデバイス128、130の位置と、アクセスポイント122、124、126のような静止した送信機のうち2つの位置が既知であれば、システム100は、別のアクセスポイント122、124、126又は別のモバイルデバイス128、130に対応する未知の送信機の位置を決定してもよい。
【0020】
図2は、一実施形態に係る、ロケーションタグを提供するために、
図1のワイヤレス通信システム100に実装されうる装置200を示している。説明のために、アクセスポイント122は、第1通信ネットワーク(例えば、WiFiネットワークA、チャネル1、2.4GHz)を介して、モバイルデバイス128(モバイルデバイス130やロケーションタグ131でもよいが、以下では簡潔のためモバイルデバイス128で代表させる)と通信すると仮定する。同様に、アクセスポイント124a及び124bは、第2通信ネットワーク(例えば、WiFiネットワークB、チャンネル6、2.4GHz)を介して、アクセスポイント126aは、第3通信ネットワーク(例えば、LTEネットワークA、1.9GHz)を介して、アクセスポイント126bは、第4通信ネットワーク(例えば、LTEネットワークB、1.9GHz)を介して、それぞれ、モバイルデバイス128と通信すると仮定する。
【0021】
モバイルデバイス128は、一般に、モデム(又はICチップのようなモデムチップ)201を含む。モデム201は、一般に、アクセスポイント122、124、126から受信したアナログ情報をデジタル情報への変換を促進する。モデム201は、トランシーバ202、ダウンコンバータ204、A/Dコンバータ206、メモリ208及び少なくとも1つの中央処理装置(CPU)(又は少なくとも1つのコントローラ)210を含む。モデム201に専用モデムチップ(又はサブモデム)212を設けてもよい。この場合、専用モデムチップ212は、例えば、LTEベースのモデムに対応していて、様々なLTEベースのネットワーク又はそこに関連付けられたアクセスポイントとの通信を可能にしてもよい。バス213は、A/Dコンバータ206、メモリ208、コントローラ210及び専用モデム212の間のデータ送信を容易にする。
【0022】
モデム201は、一般に、通信、例えば、任意の数の通信ネットワーク(例えば、WiFiやLTEベースのネットワーク)を容易にする。モバイルデバイス128は、一般に、
図2に示される追加の態様に従ってコントローラ210を利用し、以下に記載されるいずれか1つ以上の図に関連してより詳細に説明される到着時刻実装を行ってもよい。同様に、コントローラ210は、コントローラ210自身及び
図2に示される追加の態様を利用して、以下に記載されるいずれか1つ以上の図に開示される追加の態様を実行してもよい。
【0023】
●伝搬時間測定方式
・受信機の位置決定
図3は、一実施形態に係る、アクセスポイント122、124、126に対するモバイルデバイス128、130のどちらか一方の位置を決定するための第1システム300を概略的に示している。第1システム300で特定される例において、アクセスポイント122、124、126は、一般に、送信機122、124、126として定義されてもよく、モバイルデバイス128、130は、一般に、受信機128、130として定義されてもよい。受信機128、130のどちらか一方の位置と送信機122、124、126の位置は、受信機128、130の他方の位置決定に先立って既知である。モバイルデバイス128、130は、ペアで協働して、それぞれが対応する位置を決定する。モバイルデバイス128、130は、アクセスポイント122、124、126からの受信に基づいて単にそれぞれの位置を決定し、アクセスポイント122、124、126にデータを送信してそれぞれの位置を決定する必要がないという点において、受動的なものでであってもよい。
【0024】
送信機(例えば、アクセスポイント122、124、126)及び受信機(例えば、モバイルデバイス128、130)は、自律的で不正確なクロックを採用しうる。言い換えれば、送信機122、124、126及び受信機128、130はそれぞれ、異なるクロック(又は異なるクロックサイクル)で動作するコントローラ210を採用しうる。不正確なクロックに対処するために、受信機128、130はペアで動作し、それぞれが送信機122から第1パケット(例えば、PCK1)を受信して、送信機124から第2パケット(例えば、PCK2)を受信する。受信機128、130は、第1パケットPCK1を受信した直後に第2パケットPCK2を受信する。なお、以下の説明では情報を送信する送信機のペアを採用する。
図3では、計3つの送信機122、124、126が図示されている。したがって、送信機の各ペア(例えば、第1送信機ペア122、124、第2送信機ペア122、126、第3送信機ペア124、126)に、以下の処理が採用される。これについては、
図6に関連してより詳細に説明される。
【0025】
受信機128は、以下の式(1)に基づき、自身の内部クロックを利用して、第1パケットPCK1及び第2パケットPCK2の到着時刻を推定する。
【0026】
ここで、第1式が第1パケットPCK1、第2式が第2パケットPCK2に対応する。
【0027】
受信機128は、以下の式(2)に基づき、第1パケットPCK1と第2パケットPCK2の到着時刻の差(例えば、第1差分)を計算(又は決定)する。
【0028】
これは受信機128のローカルクロックt
Aに依存しない。cは光速度。
【0029】
同様に、受信機130は、以下の式(3)に基づき、自身の内部クロックを利用して、受信機128が受信したものと同一の第1パケットPCK1及び第2パケットPCK2の到着時刻を推定する。
【0030】
ここで第1式が第1パケットPCK1、第2式が第2パケットPCK2に対応する。
【0031】
受信機130は、以下の式(4)に基づき、第1パケットPCK1と第2パケットPCK2の到着時刻の差(例えば、第2差分)を計算(又は決定)する。
【0032】
これは受信機130のローカルクロックt
Bに依存しない。
【0033】
したがって、第1差分と第2差分の最終差分は、以下の式(5)で求めることができる。
【0034】
【0035】
図4は、一実施形態に係る、到着時刻を決定するための第1システム300に関連する別の態様を概略的に示している。
図4は、受信機130が送信機122と送信機124の中間地点に配置されている様子を示している。一般に、送信機122、124から受信機130までの伝搬遅延が概ね等しいため(例えば、D
1A=D
2A)、受信機128、130によって決定される第2差分(式(5)参照)は、送信された第1パケットと第2パケット(例えば、PCK1とPCK2)の時間差に概ね等しい。
図3に例示された実施形態は一般的なケースであり、
図4に例示された実施形態は特定のケースに対応するものである。
【0036】
受信機128は、送信された第1パケットと第2パケット(例えば、PCK1とPCK2)の時間差に対応する情報を、受信機130及び/又はサーバ140に送信する。一例では、受信機128は、低品質の可能性があるネットワークを介して、受信機130に上記の情報を送信する。言い換えれば、受信機128、130は、レイテンシが高くかつ予測不可能な可能性のあるバックホール上で、それぞれの値を共有する。一般に、第1システム300が意図した動作をするための、通常とは異なるバックホールからの要求はなくてもよい。例えば、NB-IoT(Narrowband Internet of Things)又はLTE(Long Term Evolution)データネットワークは、第1システム300において良好に動作しうる。送信機122、124からそれぞれ送信されたPCK1とPCK2が受信機に到着するときの時間差について、受信機130は、自身が測定した時間差から受信機128によってレポートされた時間差を差し引く。要約すると、受信機128、130によって計算される第1差分と第2差分はそれぞれ、受信機128、130に内在する未知のローカルクロックスキューを除去する。第3差分(又は第1差分と第2差分の差分)は、送信機122、124間の未知のクロックスキューを除去する。残差は伝搬遅延にのみ比例する。
【0037】
一般に、送信機122、124及び受信機128の位置が既知、すなわち、D2A-D1A及びDTra=D21が既知の場合、受信機128は、ΔtA(例えば、送信機124、126から送信され、受信機128で受信された第1パケット(PCK1)と第2パケット(PCK2)の時間差)を受信機130、又は受信機130へ値を転送するサーバ140へ送信する。受信機130は、ΔtB(例えば、送信機122、124から送信され、受信機130で受信された第1パケット(PCK1)と第2パケット(PCK2)の時間差)を測定し、式(5)のように計算する。
【0038】
【0039】
図5は、受信機130の位置が、送信機124、126の位置を焦点とし、以下の式(7)の値を離心率とする、特異双曲線上の点であってもよいことを概略的に示している。
【0040】
【0041】
ここで、DTraは、送信機124、126及び受信機128の位置が既知である場合の、送信機122と124(焦点間)の距離である。
【0042】
図5は、ある1点で交差する3つの双曲線を特定する様子を概略的に示している。各双曲線は、送信機のペア(例えば、送信機122と124、送信機122と126、送信機124と126)及び受信機128に関する位置情報に関連付けられている。双曲線及び送信機のペアについては、以下でより詳細に説明する。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態に係る、受信機130の位置を決定するための方法400を示している。方法400は、一般に、
図3~
図5で規定される上述の技術を採用している。方法400において、送信機122、124、126及び受信機128の位置は、サーバ140にとって既知である。方法400は、送信機122、124、126及び受信機128の位置を利用して、受信機130の位置を決定する。
【0044】
動作402、404、406、408、410、412、414、416、418において、方法400は、2つの送信機122、124及び受信機128の位置情報を利用して、第1双曲線を決定する。上述の動作402、404、406、408、410、412、414、416は、別の送信機のペア122、126及び124、126と同一の受信機128の位置情報を利用して、さらに2回再実行される。
【0045】
動作402において、第1送信機122は、データの第1パケット(例えば、WiFiベースの信号)を第1受信機128と第2受信機130に送信する。
【0046】
動作404において、第2送信機124は、データの第2パケット(例えば、WiFiベースの信号)を第1受信機128と第2受信機130に送信する。
【0047】
動作406において、第1受信機128は、ローカルクロック(式(1)参照)に基づいて、データの第1パケットの到着時刻と第2パケットの到着時刻を計算する。
【0048】
動作408において、第1受信機128は、受信機128自身のローカルクロックに依存しない、データの第1パケットの到着時刻と第2パケットの到着時刻の第1差分(式(2)参照)を計算する。
【0049】
動作410において、第2受信機130は、ローカルクロック(式(3)参照)に基づいて、データの第1パケットの到着時刻と第2パケットの到着時刻を計算する。
【0050】
動作412において、第2受信機130は、受信機130自身のローカルクロックに依存しない、データの第1パケットの到着時刻と第2パケットの到着時刻の第1差分(式(4)参照)を計算する。
【0051】
動作414において、第1受信機128は第1差分を、第2受信機130は第2差分を、それぞれサーバ140に送信する。第1受信機128は、代わりに、対応する第1差分を第2受信機130に送信してもよい。
【0052】
動作416において、サーバ140(又は第2受信機130)は、式(5)に基づいて、第2差分を計算する。
【0053】
動作418において、サーバ140(又は第2受信機130)は、式(7)に基づいて、離心率を計算する。
【0054】
動作420において、サーバ140(又は第2受信機130)は、動作418で計算される離心率と、双曲線の焦点である送信機122、124の位置に基づいて、第1双曲線401(
図5参照)を算出する。一般に、第1双曲線を決定するためには、送信機122、124の位置(焦点)に加えて、離心率が既知である必要がある。上述したように、送信機122、124の位置は既知である。したがって、送信機122、124の位置と距離を決定し、離心率eを計算することが可能である。
【0055】
動作422において、方法400は、動作402、404、406、408、410、412、414、416、418をさらに2回再実行する。上述したように、方法400が最初に実行された場合、送信機122、124の位置に対応する情報が利用された。しかしながら、受信機130の位置を決定するためには、送信機のペアを全て調べる必要がある。そのため、2回目の動作402、404、406、408、410、412、414、416、418が実行されると、送信機122、126の位置に対応する情報が利用される。さらに、3回目の動作402、404、406、408、410、412、414、416、418が実行されると、送信機124、126の位置に対応する情報が利用される。
【0056】
動作424において、サーバ140(又は第2受信機130)は、動作418で計算される離心率と、送信機122、126の位置に基づいて、第2双曲線403(
図5参照)を算出する。
【0057】
動作426において、サーバ140(又は第2受信機130)は、動作418で計算される離心率と、送信機124、126の位置に基づいて、第3双曲線405(
図5参照)を算出する。
【0058】
動作428において、サーバ140(又は第2受信機130)は、第1双曲線401、第2双曲線403、第3双曲線405が交差する点(又は交点)に対応する位置407を決定する(又は位置を特定する)。 サーバ140は、位置407を第2受信機130の位置として特定する。
【0059】
上述の解決策は、上述の不正確なWiFiクロックに耐える又は生き残る能力を有する双曲線航法TDOAファミリーの一部であってよい。各測定は、詳細に上述したように、対応する曲線又は双曲線を算出してもよい。このような3つの測定は、独自の解決策を提供する。以上で言及したように、同一の送信機の位置(軌跡)を起点とする直線を軌跡と定義する干渉法のような他の技術は、上記双曲線及び干渉線と交差するために使用され、かつ未知の受信機(及びデュアルコンステレーションで後述する未知の送信機)についてのロバストな位置推定を提供する。
【0060】
・送信機の位置決定
図7は、一実施形態に係る、受信機128、130、131に対する送信機122、124のどちらか一方の位置を決定するための第2システム450を概略的に示している。説明のために、送信機124及び受信機128、130、131の位置は既知であるとする。したがって、送信機122の位置を決定することが望ましい。
【0061】
図5及び
図6に詳述した第1システム300に関連して適用されたものと同様の分析が
図7に適用されてもよい。ただし、第1システム300では、第1受信機128、送信機122、124、126の既知の位置に基づいて、第2受信機130の位置を決定するように定められていたが、第2システム450は、代わりに、第2送信機122、第1受信機128、第2受信機130、第3受信機131の既知の位置に基づいて、第1送信機122の位置を決定する。
図7は、第2送信機124に対する第2送信機124及び第1受信機128、第2受信機130、第3受信機131の空間的配置を示す図である。
図5及び
図6に関連して定められるような開示及び様々な方程式は、
図5の受信機128、130を
図7の送信機122、124に、
図5の送信機122、124、126を
図7の受信機128、130、131に置き換えることによって、第1送信機122の位置を決定する態様に転用される。
【0062】
図7は、第1送信機122に対する第2送信機124及び第1受信機128、第2受信機130、第3受信機131の配置となっていることを除いて、
図5に示したものと同様の空間配置関係となっている。例えば、
図7では、
図5の第1送信機122が第2受信機130に置き換えられ、
図5の第1受信機128が第2送信機124に置き換えられ、
図5の第2送信機124が第1受信機128に置き換えられ、
図5の第3送信機126が第3受信機131に置き換えられている。
図7は、簡潔さのために上述した方法で描かれており、対応する開示及び方程式は再掲しない。
【0063】
したがって、上述のような第1受信機128、第2受信機130及び第2送信機124の位置が既知である場合、以下のことが提供される。
【0064】
D
2A-D
2B及びD
Rec=D
ABが既知の場合(
図3参照)、第1受信機128がΔt
Aを第2受信機130にレポートし、第2受信機130がΔt
Bを測定して計算する。
【0065】
【0066】
第1送信機122の位置は、RecA、RecBの位置を焦点とし、以下の式(9)の値を離心率とする、特異双曲線上の点である。
【0067】
【0068】
サーバ140は、離心率を決定する計算を実行してもよい。さらに、上記と同様に、サーバ140は、受信機のペア(例えば、受信機128と130、受信機128と131、受信機130と131)について双曲線を算出してもよい。サーバ140は、式(9)で計算される離心率と、受信機128と130の距離に基づいて、第1双曲線501(
図7参照)を算出する。 一般に、第1双曲線を決定するためには、双曲線の焦点である受信機128、130の位置に関する知識に加えて、離心率を決定する必要がある。上述したように、受信機128、130の位置は既知である。
【0069】
サーバ140は、式(9)で計算される離心率と、受信機128、131の位置に基づいて、第2双曲線503(
図7参照)を算出する。サーバ140は、式(9)で計算される離心率と、受信機130、131の距離に基づいて、第3双曲線505(
図7参照)を算出する。サーバ140(又は第2受信機130)は、式(9)で計算される離心率と、受信機130、131の位置に基づいて、第3双曲線405(
図5参照)を算出する。
【0070】
サーバ140(又は第2受信機130)は、第1双曲線501、第2双曲線503、第3双曲線505が交差する点に対応する位置507を決定(又は特定)する。サーバ140は、位置507を第1送信機122の位置として特定する。
【0071】
●レポートプロトコル
図3-
図7に示される態様には、受信機128、130、131から、サーバ140又は送信機122、124、126のいずれか1つ以上にレポートされる時間測定結果を利用することが組み込まれていた。このような態様を実装するために、例えば、計5つの送信機と受信機があってもよい。一般に、受信機128、130、131によって作成される送信レポートはそれぞれ、以下の内容を含む。
(1)受信機128、130、131のユニークID(例えば、48ビットのMAC(Media Access Content)アドレス)。
(2)受信機128、130、131にデータを送信する第1送信機122、124、126の十分にユニークな送信ID αとその送信機ID。
(3)受信機128、130、131にデータを送信する第2送信機122、124、126の十分にユニークな送信ID βとその送信機ID。
(4)long unsigned int型で表現された合意済み時間単位(例えば、100ピコ(10
-10)秒)を使用する、高解像度のローカル受信タイムスタンプ。時刻ゼロは任意であり、所定のタイミング(例えば、受信機128、130、131のバッテリーが交換されたとき)で変更されてもよい。
【0072】
サーバ140は、受信機128、130、131により提供される送信メッセージ(例えば、ビーコン、データ、RTSなどのタイプのWiFiパケットに含まれる送信機アドレス(TA))から送信機IDを抽出してもよい。
【0073】
送信IDは、例えば、データの最初のNバイトのハッシュ、IEEE802.11の規格に従って送信機122、124、126により送信されるFCS(フレームチェックシーケンス)サフィックス、受信タイムスタンプ又は上記の組み合わせなど、明示的なものでなくてもよい。一方で、場合によっては、送信IDは、WiFiビーコンで送信された64ビットタイムスタンプ(TSF)のような明示的なものであってもよい。
【0074】
上記のレポートは、送信機により送信され、複数の受信機(例えば、受信機に加えて3つの送信機があってもよい)により測定される送信ペアα、βのマッチングを容易にするために使用されてもよい。
【0075】
例えば、受信機128は、サーバ140に、以下のことをレポートしてもよい。
【0076】
RxID=0x00607c07049A:
【0077】
TxID1=0x0014de098743 TxID2=0x0056e1098743 α=0x6f4e3a5e β=0xee437611 Δt=78.0769286
【0078】
レポート中のRxIDは、TxID1、TxID2から送信され、αとβによって識別される2つのパケットの受信に対応する情報を提供する。ここで、受信機128、130、131のローカルクロックの測定によれば、信号はΔt ms だけ間を空けて受信される。同一送信者(又は、送信機122、124、126)からのパケットのペア(すなわち、TxID1=TxID2)は、以下に述べるようにクロックドリフトを測定するために使用されてもよい。
【0079】
サーバ140には、受信機128、130、131が特定の送信(αとβ)を受信したときの時間差のレポートが蓄積されている。サーバ140は、このレポートに基づき、平面に描かれうる双曲線を算出してもよい。この手順を3回繰り返して、計3つの双曲線を算出してもよい。この場合、双曲線の交点は、未知の受信機の位置(又は、上述のように受信機130の位置)となる。
【0080】
・受信機同士のクロックドリフトを考慮したキャリブレーション
受信機又は送信機の位置を決定する前に、受信機128、130、131の間のクロックドリフトを考慮してキャリブレーションが生じる。受信機128、130に言及すると、受信機128、130によって測定された時間差(例えば、ΔtA、ΔtB)は、ローカルに計時されたものである。しかしながら、時間差は、受信機128に対応するローカルクロックと受信機130に対応するローカルクロックの間のローカルドリフトの影響を受ける可能性がある。例えば、受信機128と受信機130のクロックは互いに同期しておらず、そのような受信機128と130の間でクロックドリフトが発生する可能性がある。一例では、クロックドリフトが1時間あたり1秒である場合、受信機128のクロックが例えば1時間経過したとき、受信機128のクロックは受信機130のクロックより1秒だけ進んでいることになる。受信機128,130間のローカルクロックドリフトは、例えば、同一の送信機122から送信される2つのパケット送信α、βを用いることによって補償してもよい。代わりに、送信機124又は126を、この補償のために使用してもよい。2つのパケット送信α,βは、受信機128、130の双方により受信される。受信機128、130のそれぞれが、パケット到着時刻の時間差を計算するが、特定の受信機128又は130まで伝搬する距離はどちらのパケットであっても同じため、時間差は場所によらず不変である。受信機128、130は、パケット到着時刻の時間差をサーバ140にレポートする。
【0081】
サーバ140は、受信機130によって測定された時間差を補償するために、受信機128によって使用される比rを計算する。
サーバ140は、受信機128によって測定された時間差を補償するために、受信機130によって使用されるr
-1を計算する。サーバ140は、補償された値を受信機128及び受信機130に返す。
【0082】
次の例では、送信(又は信号)α、βが、送信機122により、Δt=103.461963msだけ間を空けて送信される場合を考える。どちらの送信も、例えば、送信機122の位置から受信機128の位置まで、及び送信機122の位置から受信機130の位置まで、同一の経路を伝搬するため、これらのイベントの時間差は場所に依存しない。したがって、理想的には、両受信機128、130は、同じ時間差Δtを推定する。受信機128、130のローカルクロックにはそれぞれズレがあるため、例えば、受信機128、130はそれぞれ、ΔtA
0=103.461531、ΔtB
0=103.461229を決定してもよい(すなわち、ΔtA
0は受信機128が測定するαとβの時間差、ΔtB
0は受信機130が測定するαとβの時間差に対応する)。したがって、受信機128は、(サーバ140を介して)受信機130から時間レポートを受信した場合に、(サーバ140を介して受信される受信機130からの)未来の送信におけるΔtB
1の値を、以下の式に基づいて、ローカルタイムベースに修正してもよい。
【0083】
【0084】
さらに、受信機130は、(サーバ140を介して)受信機128から時間レポートを受信した場合に、(サーバ140を介して受信される受信機128からの)さらなる未来の送信を、以下の式に基づき、修正してもよい。
【0085】
【0086】
●到着時刻の推定
受信機128、130は、送信機122、124、126から送信された信号(例えば、第1及び第2パケットPCK1、PCK2)から受信された、(例えば、WiFiベースの信号に関連する)ロング・トレーニング・フィールド(LTF)シンボルを自己相関することによって到着時刻を決定してもよい。LTFは、自己相関関数において、低いサイドローブと急峻なメインローブを提供する。しかしながら、関心のある特定のLTFシンボルに隣接するシンボルは非ゼロ信号であり、それによって合成相関関数に影響を与える。例えば、LTFは、2.5回の繰り返し(例えば、LTFの半分を送信し、次にLTFを送信し、そして再びLTFを送信する)で送信されることがある。合成自己相関は複数のピークからなる。
【0087】
WiFi信号の自由空間における無相関時間は、20MHzの帯域幅で50nsとなりうる。WiFi規格では、直交周波数分割多重方式(OFDM)ベースのビーコン(又はパケット)が20MHzの帯域幅で送信されてもよい。一般的なデジタル受信機は、20MHzの帯域幅、50nsの無相関時間において、20Ms/s(複素)で受信信号を処理してもよい。ここで、50nsの無相関時間は光速換算で約15mに相当する。一般に、64個の周波数ビンのうち52個が使用されてもよく、その結果、位置分解能は18.5mまで向上する可能性がある。
【0088】
図1に概略的に示されるように、送信機124、126はそれぞれ、パケット(例えば、WiFiやビーコン)を送信するために複数のアンテナ135を使用してもよい。また、送信機122、124、126はそれぞれ、単一のアンテナからパケットを送信するのとは対照的に、複数のアンテナからパケットをコヒーレントに送信する。空間コーディングは、ブラックスポット(例えば、破壊的な干渉が信号を消滅させる場所)に対処するために適用されてもよい。OFDMの様々なケースでは、巡回遅延ダイバーシチ(CDD)を使用して、複数のアンテナ135から同じ信号の異なるバージョンを送信してもよい。CDDは、一般に、マルチアンテナ伝送方式に適用される。受信機128、130のそれぞれで受信される(例えば、送信機122、124、126から受信される)重畳信号は、異なる方法で時間推定に影響を与える可能性がある。例えば、LTFの自己相関関数は、同じ高さの複数のピークからなっており、1つのピークが1つのアンテナ素子142に対応する。WiFiベースの信号(例えば、ビーコンやパケット)を送信する2つのアンテナ135を考えた場合、ピーク間の時間差は、CDDで適用される遅延(例えば、4つの50nsサンプル)に相当する。また、送信機122、124、126は、単一のアンテナ135を介して、パケット(例えば、WiFiビーコン)を送信してもよい。送信機122、124、126のいずれかが、単一のアンテナ135を介してデータパケットを送信する場合、CDDが適用されなくてもよい。
【0089】
●到着時刻の大まかな推定
送信機124、126から受信される様々な信号の到着時刻を決定するために、受信機128、130は、一般に、異なる検出フェーズを経て、信号(又はパケット)の最終的な到着時刻を確定する。第1フェーズにおいて、受信機128、130はそれぞれ、LTFシンボルの自己相関の離散的なピークを分析することによって、大まかな到着時刻の推定を行う。例えば、自己相関の特定のピークは、一般に、互いに所定の時間間隔だけ離れている。さらに、そのような所定の時間間隔におけるピークの大きさは、LTFの既知の自己相関の包絡線に相当している。複数のピークの形状に時間的な曖昧さを生じさせる要因は3つありうる。
【0090】
(a)標準化されたLTFの線形自己相関は理想的でない場合がある。理想的な関数は、クロネッカーのデルタであってもよい。一般に、単一のLTFであっても、前後に仮想的なゼロがパディングされることによって、低いサイドローブが生じることがある。
【0091】
(b)送信機122、124、126から送信される信号中のLTFは、(例えば、WiFiプロトコル(又はIEEE802.11)に従って)繰り返し送信され、それによって、例えばIEEE802.11で規定される64サンプル間隔で、同じ強さの最大相関をもつ2つのピークと弱い相関をもついくつかのピークを生成する。
【0092】
(c)送信機122、124、126から送信される符号化信号は、各送信機122、124、126が2アンテナレガシーモードの場合に、
図8(要素350参照)に示されるように、例えば、200ns(50nsサンプルを4つ分)の負のオフセットにおいて、合成ピークの複製を提供する人工的な負の遅延を生成してもよい。CDDは、一般に、マルチアンテナ伝送に特有のものである。
【0093】
一般に、受信機128、130はそれぞれ、所定の時間間隔に含まれるN個(例えば、N=4)の強い自己相関ピークを所定時間だけ抽出するように構成される。これは、送信機122、124、126から送信されるWiFiベース信号中のショート・トレーニング・フィールド(STF)パターン360が検出された時刻に開始されてもよい。
図9は、一実施形態に係る、第1フェーズ検出(例えば、大まかな検出)を実行することに関連する少なくとも1つの態様を概略的に示している。
図9は、送信機122、124の単一のアンテナから送信される信号のSTFパターンを示している。
図6は、送信機122又は124に対応する2つのアンテナ135から送信される2つの信号と、それらに対応して信号を分離するために適用されるCDD(例えば、再び要素350参照)を概略的に示している。
【0094】
送信機122、124、126のそれぞれがアンテナ135を2つ用いる構成を利用したWiFiベース信号のレガシーLTFにおける所望のピークパターンは、送信機122、124、126からの受信信号上の各LTFシンボルを含んだものであり、例えば、任意のTに対してT+0、T+4、T+64、T+68の所定の時間間隔だけ互いに離れた最大ピークを含むものである。
図8に戻って、T+4及びT+68の所定のピーク(又は所定の時間間隔)は、マルチアンテナ伝送方式に特有のものであってもよい(例えば、単一の送信機122、124に対してアンテナ135を2つ利用してもよい)。本明細書で一般的に規定される受信機128、130は、付加的なチャネル効果(又は付加的なアンテナ効果(特定の送信機122、124、126に対してアンテナ135が2つ利用されるため))についての任意の推定の下でTを抽出してもよい。例えば、付加的なノイズは、信号の真のピークよりも強くなる(例えば、閾値がなく、ピークがソートされ、N個の最大ピーク(例えば、N=4)が選択される)ことにより、
図9に示すように、ノイズのないパターンとは多少異なるパターン394を生成する。一例では、2つの最大ピークは、T+0、T+4、T+50及び/又はT+68(例えば、64は十分に強くなく、50は信号と無関係な単なる付加的ノイズである)のいずれか1つ以上の所定の時間間隔だけ離れていてもよい。別の例では、2つの4つの最大ピークは、T+4、T+30、T+64及びT+68(例えば、T+0は十分に強くなく、T+30は単なる付加的なノイズである)のいずれか1つ以上の別の所定の時間間隔だけ離れていてもよい。
図8及び
図9はそれぞれ、送信アンテナが1つ使用され、ノイズが存在しない場合に、2つの最大ピークが、T+64(又は64サンプル)の所定の時間間隔だけ互いに離れていることを概略的に示している。したがって、受信機128、130は、これらの最大ピークを関心のあるピークとして選択し、ピーク間の所定の時間間隔に基づいたさらなる試験を行う。送信アンテナが2つの場合、受信機128、130は、例えば、4つの最大受信ピークのうちの1つがノイズであり、4つの送信ピークのうちの1つが存在しない(4つの最大ピークの中にない)可能性があると仮定してもよい。送信機122、124、126はそれぞれ、送信機122、124、126ごとに2つのアンテナ135を介して信号を送信するので、4つの送信ピークへの参照がなされる。
図8は、CDDを用いた所定の送信機122、124、126に2つのアンテナ135が実装された様子を概略的に示し、
図9は、所定の送信機122、124、126に単一のアンテナ135が実装された様子を概略的に示している。
図9における実装は、単なる例示のために提供される。上記のことは、上記エポック(到着時刻)「T」の大まかな推定を提供する。
【0095】
●離散的な到着時刻の正確な推定
送信機122、124、126から受信される様々な信号の到着時刻を決定するために、受信機128、130は、一般に、異なる検出フェーズを経て、信号(又はパケット)の最終的な(すなわち正確又は精密な)到着時刻を確定する。上述したように、受信機128、130はそれぞれ、大まかな時刻検出方式を実行してもよい。受信機128、130はそれぞれ、大まかな時刻検出方式が実行された後、受信信号の正確な時刻検出方式を実行してもよい。正確な到着時刻検出方式では、全体の解像度の向上は、例えば、最大で2桁の大きさまで起こる可能性があり、補間によって達成されてもよい。補間は、sinc関数サンプル(例えば、代わりにサンプルのFFTにゼロパディングすることによる)との畳み込みと、それに続く複素包絡線のピーク選択を用いてもよい。例えば、32倍補間は、約58cmの解像度をもたらす可能性がある。これらの方法は離散的であってもよく、例えば、データの長さを4倍にパディングすると、解像度が最大で4倍まで向上する可能性がある。通信複雑性は以下の式(12)に従って増す可能性がある(例ではn=4)。
【0096】
【0097】
チャネル遅延スプレッドが4×50=200ns(約67m)より小さい限り、2つのCDDのピークが重なることはない。単一送信機検出器の実装(例えば、受信機128、130のどちらか1つ)は、sLTF
*(t)と相関する(*は複素共役を表す)。2送信機検出器(例えば、受信機128、130)は、以下の式(13)と相関してもよい。
【0098】
【0099】
ここで、*は複素共役を表す。代わりに、時間窓が、(-100,50)(-∞,TCDD/2-TGI)又は(TCDD/2+TGI,∞)である単一の送信機要素(例えば、送信機122、124、126)に対する相関器が適用され、推定値を平均化してもよい。ここで、TCDDはアンテナ135間に導入される既知の遅延であり、ガードインターバルTGIは、例えば、TCDD/8に設定されてもよい。例えば、2アンテナベースのレガシーモードでは、遅延は4×50ns=200nsであり、TGIは、上述の窓サイズの選択で使用される、一方のアンテナ135と他方のアンテナ135間のスピルオーバーを防ぐために定義される時間量である。
【0100】
一般に、サンプル215において大まかなサンプルが見つかった場合、8つのサンプルからなる区間[212、213、...、219]は、時間領域において、50ns/32=1.5625nsの間隔で8×32=256点に補間されてもよい。この包絡線のピークが、正確な到着時刻推定値であってもよい。例えば、256個中143個目のサンプルにピークがあるとする。これは、{215+(143-128)/32}×50=10,773.4375nsの到着時刻に換算される。上記の式は、次のようにして求めることができる。例えば、212から219までに計8サンプルが含まれているため、時間が1/32サンプル、256区間に分割される。高解像度推定値は、その区間の開始から1/32サンプルがいくつ含まれているかを、0から255までの数で提供する。上記の例では、143番目のサンプルに関して、ns単位の時間推定値は、大まかな推定値(例えば215)に端数である15/32(=(143-128)/32)を加えて、サンプル数×50nsから換算したものである。なお、この例の大まかな推定値では、215×50=10,750.0000nsとなる。この例では、大まかな推定値と正確な推定値の差は、13.59mの距離に変換される(上述したように、1nsあたり58cm)。
【0101】
図10は、本発明の一実施形態に係る、到着時刻の大まかな決定(例えば、動作502-514参照)及び到着時刻の正確な決定(例えば、動作514-520参照)を実行する方法500を示している。
【0102】
動作502において、アンテナ135を1つ又は2つ含む第1送信機122は、CDDを用いたデータの再送(又は繰り返し)パケット(例えば、WiFiベース信号)を、(送信機122にアンテナ135を2つ採用した場合)第1送信機122の各アンテナ135から送信する。
【0103】
動作504において、第1受信機128は、WiFiベース信号の両方のセットを受信する(例えば、送信機122にアンテナ135を2つ使用した場合)。第1送信機122にアンテナ135を1つ採用した場合、1つのWiFiベース信号のみが受信される。
【0104】
動作506において、第1受信機128は、受信信号中の1つのLTFシンボルを監視し(例えば、再びアンテナ135を1つだけ実装することを仮定する)、複数のピーク(例えば、4つ又は5つのピーク)を提供する1つの受信LTFシンボルに対して自己相関の包絡線(例えば、実数)を実行する。言い換えれば、第1受信機128は、LTFシンボルの4つの最大ピークに対応する包絡線の自己相関を決定する。
【0105】
動作508において、第1受信機128は、前の動作から抽出された自己相関包絡線の4つの最大ピークパターンを照合して、予想されるピークパターン又はその両方を提供する。ノイズがない場合、第1送信機122の2つの送信アンテナ135に対して、予想されるピークパターンのピークはそれぞれ、所定の時間間隔(例えば、T+0、T+4、T+64、T+68)だけ離れていてもよい。自己相関の4つの最大ピークのうち、そのようなピークの1つが誤り(送信信号と無関係)又は完全に欠落している(例えば、4つの最大ピークのリストから除外される)可能性がある。
【0106】
動作510において、第1受信機128は、予想されるピークパターン内の欠落したピーク又は異常値ピーク(又は両方)に関して異常を修正する。第1受信機128は、所定の時間間隔に用いられる時刻「T」を決定し、算出されたピークパターンを確立する。例えば、第1受信機128が、Tが70に対応すると決定した場合、算出されるピークパターンは(70、74、134、138)である。これは、一般に、ノイズのないピークパターンに相当する。しかしながら、上述したように、より測定されやすいピークパターンは、例えば、誤った値(例えば、1つのピークが誤っていてもよい)及び欠落値(例えば、1つのピークが検出されたLTFシンボルから欠落していてもよい)を含む可能性がある。例えば、予想されるピークパターンは、(70、90(誤った値)、134、138)となる可能性がある。第1受信機128は、欠落したピークを埋め、受信したピークパターンから誤ったピークを破棄し、(70、74、134、138)を補償ピークパターン(又は算出ピークパターン)として提供してもよい。第1受信機128は、ピークT+64=134を大まかなピークとして選択してもよい。また、ピーク134は、誤った又は欠落したピークではなく、したがって、そのようなピークは、さらなる試験及び追加の分析を行うのに適している。一方、上記の例では、T+4=74は欠落しており(すなわち、存在しない)、位置特定に使用することはこれ以上不可能である。
【0107】
動作512において、第1受信機128は、1つ以上の最大ピークを関心のあるピークとして算出ピークパターンから選択する。動作510で述べたように、予想されるピークパターンが(70、74、134、138)であると仮定すると、第1受信機128は、大まかな決定を行った結果としてピーク134を関心のあるピークに選択する。第1受信機128は、予想されるピークパターンに初めから存在すると特定されたピークの中から1つ以上のピークを選択していることは言うまでもない。ピーク134は存在するため、このピークが選択される。さらに、第1受信機128は、一般に、最大ピークに関心がある。一般に、70、74、134、138のピークパターンは同等の強さであってもよく、これらより前に受信されたものは弱いと考えられる(例えば、
図9の394の左側のピークを参照)。LTFが2回半繰り返される場合、1回半繰り返した時点で、ピークパターン70、74、134、138のノイズがなくなり、強さが等しくなったものと考えてもよい。上記のように認識されたパターンは、先に到着する弱いピークを無視して、N個の最大ピークを選択する。一般に、1つ以上の最大ピークは、より後に生じる。提供された例に示されるように、最大ピークの両方が存在する場合、第1受信機128は、そのような値の平均タイミング推定値をとってもよい。ここでも、第1受信機128は、誤推定をもたらすような、誤り又は欠落していると判断されるピークをとることはない。
【0108】
動作514において、到着の正確な推定が始まる。動作514において、第1受信機128は、関心のあるピークの前後の値も含むピークサンプルの所定区間を選択する。関心のあるピーク(例えば、134)について、第1受信機128は、正確な推定処理のために、計64個のLTFサンプル(事前自己相関)に対して、[131-138]の区間を選択する。
【0109】
動作516において、第1受信機128は、ピークサンプルの所定区間に対して補間を行う(例えば、高速フーリエ変換(FFT)に基づく補間を適用する)。この場合、第1受信機128は、周波数領域でFFT、ゼロパディング(例えば、16倍補間を行い、(16-1) ×64=960個のゼロをパッディング)、時間領域で16×64=1024複素サンプルをもたらす逆高速フーリエ変換(IFFT)を実行する。1024サンプルの補間を行った合成LTFは、16倍にデシメートされた新たな(合成)LTF信号(64×16サンプル長のLTFX16)と相関し、LTF自己相関信号の高い時間分解能(この例では、1サンプルあたり50/16=3.125ns)を提供する。LTFX16(16×k)=LTF(k)(k=0, 1, 2, …, 63)、0(otherwise)。一般に、補間度が高いほど解像度が高くなるが、その分通信複雑性も高くなる。この分解能には、物理限界がある。アプリケーションの観点からは、32又は高々64補間(それぞれ、47cm、23cmに相当する)を目指すことが好ましい。一般に、1nsは30cmに相当する。
【0110】
動作520において、第1受信機128は、複素包絡線をIFFTによる出力として、実包絡線を得る。このような出力は、大まかな決定の間に決定された最大ピークのうち、2つの最大ピーク(例えば、およそ134又は138)を提供する。この場合、第1受信機128は、(IFFTを実行することによって提供される)128個のサンプルのうち最大ピークを選択しており、そのピーク値は134.25に対応する(例えば、これは134の4サンプル後(例えば、4/16=0.25)である)。方法500は、サンプルの1/16の精度を提供し、これは、改善をもたらす。一般に、このようなサンプルの1/16の精度は、50×16/0.3m=0.94mに相当する。
【0111】
●連続的な到着時刻の正確な推定
連続時間推定は、受信LTFにFFTを実行した場合の、位相対周波数の線形成分を推定することによって達成されてもよい。これは一般に、離散的で大まかな到着時刻を実装する必要なしに、上述の離散的で正確な到着時刻の代替実施形態として機能する。送信アンテナ135が1つ(又は送信機122、124、126)の場合、位相の傾きは、遅延に比例する(FFTの64ビンにわたる2πの傾斜は、ちょうど1サンプル50nsに相当する)。送信機122、124それぞれに送信アンテナ135が2つ実装される場合、信号はより複雑になるが、抽出することができる(16ビンごとにとられたサンプルの傾きは、同様に遅延に比例し、それによってCDDの効果を排除してもよい)。16個の初期位相(又はビン)はそれぞれ、正確な時間推定を実行する受信機128、130の推定器の品質に寄与してもよい。ここで、16個の初期位相(又はビン)は、すべてが互いに不偏であってもよい(又は16個の推定器の平均が同じ結果を提供してもよい)。
【0112】
図11及び
図12は、正確な時間検出方式に関連付けられた2つの任意のシナリオ(例えば、飛行時間(TOF)値と出発方向(DOD)角)を示している。
図11及び
図12に示された波形は、どちらもTOF値及びDOD角を例示している。フレーム開始時の大まかな推定が依然として必要とされることを通して、
図11及び
図12に関連する正確な時間検出方式を実行する前に大まかな検出方式を実行することは、一般に必要ではない。さらに、送信アンテナが1つの場合と2つの場合では、適用される勾配法が異なる。上述したようなパターンマッチングの態様は、一般に、送信アンテナが1つであるか2つであるかを識別することに等しく長けている。一般に、TOFは、線形位相の傾き700に影響を与える(例えば、
図12の傾きは、
図11の傾きより小さい)。64ビンにわたる+2*¶の傾きは、1サンプル50nsの遅延に等しい。傾き(傾き700)に関わらず、鋸歯波形のシフトは、DOD角の直接的な結果である。一般に、
図11及び
図12は、(この例では)2つの異なる傾き(傾き700)を有する2つの異なるDOD角である。DODは、位相がπラジアンだけステップダウンする4つの周波数ビン702a-702dに影響を与える。DODは、
図11に対する
図12の水平方向の周期的なシフトに相当する。4(=64ビン/16ビン)サンプルの標準化されたCDD遅延を含むWiFiパケット(又はビーコン)を送信する送信機122、124のそれぞれにアンテナ135が2つ実装される場合に、位相ステップダウン+π/2->π/2は、4回繰り返される。
【0113】
図13は、一実施形態に係る、受信機128、130、131のうちの1つ又は複数で受信された信号の(連続的な)到着時間の正確な決定を推定するために補間を実行する方法900を示している。
【0114】
動作902において、受信機128、130、131は、送信機122、124、126のいずれか1つ以上から受信したWiFi信号中のLTFフレーム(又はLTFシンボル)を選択する。LTFシンボルがどこから始まり、どこで終わるかは既知であることが好ましい(例えば、64サンプル(又は3.2μs)分の持続時間を有するIEEE802.11を介して定義される)。
【0115】
動作904において、受信機128、130、131は、64サンプルにFFTを適用して、周波数領域で64複素ビンを提供する。
【0116】
動作906において、受信機128、130、131は、64個の複素ビンの位相の線形近似を実行して、傾き700を推定する(
図11及び
図12参照)。
図11及び
図12に戻って参照すると、傾き700は、FFTの実行に応じて得られた結果の64サンプル(例えば、0から63)を考慮することが示されている。傾き700は、ローカルクロックに対する高分解能の到着時間推定に相当する。
【0117】
特に、傾き700は、送信機122、124、126からWiFiベース信号を受信する際の受信機128、130、131に対する遅延に比例する。一般に、傾き700は、受信したLTFシンボルの鋸歯状パターンに加えられる合成位相を示すものである。受信機128、130、131は、LTFシンボルをサンプリングし、FFTを計算して、送信アンテナが2つの場合の
図11及び
図12に示すような傾斜した鋸歯状パターンを取得する。そこから、受信機128、130、131は、任意の初期ビンにおいて16のデシメーションによって傾斜700を推定する(鋸歯状パターンには3つの未知パラメタが存在する:最初の位相ステップが発生するビン、傾き及び鋸歯状波が差し引かれた後の位相のオフセット)。ビンのデシメーション(例えば、ビン1、17、33、49をとる)が、鋸歯状波を除去する。最適な直線を見つける(例えば、最小二乗法を使用する)ことは、直線のオフセットと傾きを得ることを意味する。オフセットは無視してもよく、傾きは、ビンの傾き(ビンあたりのラジアン)に(64/2π)×50nsを乗じることによって、ローカルクロックに対する遅延に変換される。また、傾き700は、ローカルクロックを使用することにより、受信機128、130、131がWiFiベース信号を受信する時間に対する遅延を提供する。
【0118】
例示的な実施形態が上述されたが、これらの実施形態が本発明のすべての可能な形態を説明することは意図されない。本明細書で使用される言葉は、限定というよりもむしろ説明のための言葉であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更がなされうることが理解される。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-08
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランシーバと、
第1内部クロックと、前記第1トランシーバを含む第1モバイルデバイスと
、
当該第1モバイルデバイスの前記第1内部クロックと同期していない第2内部クロックを含み、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間にドリフトを引き起こす第2モバイルデバイスとを備え、
当該第1モバイルデバイスが、
第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
当該第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び第2ワイヤレス信号を処理し、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻(TOA)を決定して第1到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻(TOA)を決定して第2到着時刻信号を提供し、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するようにプログラムされて
おり、
前記第1到着時刻差信号が、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間の未知のクロックスキューを少なくとも除去するワイヤレス通信システム。
【請求項2】
前記第2モバイルデバイスが、
前記第1送信機から前記第1ワイヤレス信号を、前記第2送信機から前記第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
当該第2モバイルデバイスに関連付けられた
前記第2内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するようにプログラムされている、請求項1記載のワイヤレス通信システム。
【請求項3】
前記第2モバイルデバイスが、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するようにさらにプログラムされている、請求項2記載のワイヤレス通信システム。
【請求項4】
前記第2モバイルデバイスが、
前記第3到着時刻信号と前記第4到着時刻信号の差分を取得して、前記第2内部クロックに依存しない第2到着時刻差信号を提供するようにさらにプログラムされて
おり、
前記第1到着時刻差信号及び前記第2到着時刻差信号が、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間の未知のクロックスキューを少なくとも除去する請求項3記載のワイヤレス通信システム。
【請求項5】
前記第1モバイルデバイスから前記第1到着時刻差信号を受信し、かつ前記第2モバイルデバイスから前記第2到着時刻差信号を受信し、
前記第1到着時刻差信号と前記第2到着時刻差信号の差分を取得して、最終差分信号を提供するようにプログラムされたサーバを更に含
み、
前記最終差分信号が、前記第1送信機(第1アクセスポイント)と前記第2送信機(第2アクセスポイント)との間の未知のクロックスキューを除去する請求項4記載のワイヤレス通信システム。
【請求項6】
前記サーバが、少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するようにさらにプログラムされている、請求項5記載のワイヤレス通信システム。
【請求項7】
前記サーバが、前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1モバイルデバイスの位置を特定するようにさらにプログラムされている、請求項6記載のワイヤレス通信システム。
【請求項8】
前記サーバが、少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するようにさらにプログラムされている、請求項5記載のワイヤレス通信システム。
【請求項9】
前記サーバが、前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1送信機の位置を特定するようにさらにプログラムされている、請求項8記載のワイヤレス通信システム。
【請求項10】
第1モバイルデバイスにおいて、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信するステップと、
前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するステップと、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して、第1到着時刻信号を提供するステップと、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して、第2到着時刻信号を提供するステップと、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するステップと
、
第2内部クロックを含む第2モバイルデバイスにおいて、前記第1送信機から前記第1ワイヤレス信号を、前記第2送信機から前記第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信するステップと、を含み、
第2内部クロックが、前記第1モバイルデバイスの前記第1内部クロックと同期しておらず、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間にドリフトを引き起こし、
前記第1到着時刻差信号が、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間の未知のクロックスキューを少なくとも除去するワイヤレス通信方法。
【請求項11】
前記第2モバイルデバイスに関連付けられた
前記第2内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理するステッ
プをさらに含む請求項10記載のワイヤレス通信方法。
【請求項12】
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供するステップとし、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するステップと、をさらに含む請求項11記載のワイヤレス通信方法。
【請求項13】
前記第3到着時刻信号と前記第4到着時刻信号の差分を取得して、前記第2内部クロックに依存しない第2到着時刻差信号を提供するステップをさらに含
み、
前記第1到着時刻差信号及び前記第2到着時刻差信号が、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間の未知のクロックスキューを少なくとも除去する請求項12記載のワイヤレス通信方法。
【請求項14】
サーバにおいて、前記第1モバイルデバイスから前記第1到着時刻差信号を受信するとともに、前記第2モバイルデバイスから前記第2到着時刻差信号を受信するステップと、
前記第1到着時刻差信号と前記第2到着時刻差信号の差分を取得して、最終差分信号を提供するステップをさらに含
み、
前記最終差分信号が、前記第1送信機と前記第2送信機との間の未知のクロックスキューを除去する請求項13記載のワイヤレス通信方法。
【請求項15】
少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するステップをさらに含む、請求項14記載のワイヤレス通信方法。
【請求項16】
前記サーバにおいて、前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1モバイルデバイスの位置を特定するステップをさらに含む請求項15記載のワイヤレス通信方法。
【請求項17】
少なくとも前記最終差分信号と、少なくとも前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいて、平面上に複数の双曲線を生成するステップをさらに含む、請求項14記載のワイヤレス通信方法。
【請求項18】
前記複数の双曲線により形成される交点に基づいて、前記第1送信機の位置を特定するステップをさらに含む、請求項17記載のワイヤレス通信方法。
【請求項19】
少なくとも、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号の到着時刻の、離散的で大まかな推定、離散的で正確な推定、又は連続的で正確な推定の少なくとも1つを用いて、前記第1モバイルデバイスにおいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定するステップをさらに含む、請求項10記載のワイヤレス通信方法。
【請求項20】
ワイヤレス通信のためにプログラムされた非一時的コンピュータ可読媒体が実装されているコンピュータプログラム製品であって、
第1モバイルデバイスにおいて、第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
前記第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理し、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供し、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供
し、
第2内部クロックを含む第2モバイルデバイスにおいて、前記第1送信機から前記第1ワイヤレス信号を、前記第2送信機から前記第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信する命令が実装されて
おり、
第2内部クロックが、前記第1モバイルデバイスの前記第1内部クロックと同期しておらず、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間にドリフトを引き起こし、
前記第1到着時刻差信号が、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間の未知のクロックスキューを少なくとも除去するコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
第1モバイルデバイスと、第2モバイルデバイスと、サーバとを備え、
前記第1モバイルデバイスが、
第1内部クロックを含み、かつ
第1送信機から第1ワイヤレス信号を、第2送信機から第2ワイヤレス信号をそれぞれ受信し、
当該第1モバイルデバイスに関連付けられた第1内部クロックに基づいて、前記第1ワイヤレス信号及び前記第2ワイヤレス信号を処理し、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第1到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第2到着時刻信号を提供
し、
前記第1到着時刻信号と前記第2到着時刻信号の差分を取得して、前記第1内部クロックに依存しない第1到着時刻差信号を提供するようにプログラムされており、
前記第2モバイルデバイスが、
当該第1モバイルデバイスの前記第1内部クロックと同期していない第2内部クロックを含み、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間にドリフトを引き起こすものであり、前記第1到着時刻差信号が、前記第1内部クロックと前記第2内部クロックとの間の未知のクロックスキューを少なくとも除去し、かつ当該第2モバイルデバイスが、
前記第1ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第3到着時刻信号を提供し、
前記第2ワイヤレス信号の到着時刻を決定して第4到着時刻信号を提供するようにプログラムされており、
前記サーバが、
前記第1モバイルデバイスから送信された、前記第1到着時刻信号及び前記第2到着時刻信号に対応する第1情報を受信し、
前記第2モバイルデバイスから送信された、前記第3到着時刻信号及び前記第4到着時刻信号に対応する第2情報を受信し、
少なくとも前記第1情報及び前記第2情報と、少なくとも前記第2モバイルデバイス、前記第1送信機及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいた前記第1モバイルデバイスの位置と、少なくとも前記第1情報及び前記第2情報と、少なくとも前記第1モバイルデバイス、前記第2モバイルデバイス及び前記第2送信機の既知の位置とに基づいた前記第1送信機の位置のうち、少なくとも一方を特定するようにプログラムされている、ワイヤレス通信システム。
【国際調査報告】