(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-17
(54)【発明の名称】階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ
(51)【国際特許分類】
E03C 1/29 20060101AFI20230210BHJP
【FI】
E03C1/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504544
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 KR2021012206
(87)【国際公開番号】W WO2022055246
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0115162
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0048348
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522029486
【氏名又は名称】ヤン,チョン ソク
【氏名又は名称原語表記】YANG, Jeong Seok
【住所又は居所原語表記】17-11, Singiljungang-ro 4-gil, Danwon-gu, Ansan-si, Gyeonggi-do 15398 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チョン ソク
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA00
2D061DA05
2D061DD06
2D061DD14
(57)【要約】
本発明は、カバーとアウターチャンバーとの結合構造及び排水ラインの内外部のそれぞれを二重構造などに改善することにより、カバーとアウターチャンバーとの間の結合及び分離が容易であり、悪臭や害虫だけでなく、COVID-19ウイルスなどの病原体が逆流することを最大限防止することができ、アパートなどの建物の階間を通じての病原体の伝播を遮断することができる階間病原体伝播遮断構造型排水トラップに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口(1)の配水管(2)に連結される中空円筒状のトップボティー(11)、及び前記トップボティー(11)の下端の周囲に沿って下方に延びる中空半球状のボトムボディー(12)からなるカバー(10)と、
前記カバー(10)のボトムボディー(12)の下側に配置され、上端開口型内部空間部(21)を有する円筒状のアウターチャンバー(20)と、
前記アウターチャンバー(20)の空間部(21)の底の中心領域を通過する形態に配置され、上部入口が前記空間部(21)内に配置され、前記空間部(21)の内壁に沿って離隔して環状の第1介在空間(S1)をなし、下部出口が外部に露出されるように配置される中空円筒状のインナーチャンバー(30)と、
下端が前記第1介在空間(S1)の周囲に沿って配置され、前記第1介在空間(S1)を上下に半分したとき、上側の第1介在空間(S1)を区画するように配置され、上端が前記アウターチャンバー(20)の上端に連結される二つ以上のミドル中継ロッド(41)によって前記アウターチャンバー(20)の空間部(21)の上側中央領域に配置され、下端開口型内部収容部(42)を有する円筒状のミドルチャンバー(40)と、
前記カバー(10)と前記アウターチャンバー(20)とを互いに結合及び分離させるためのホルディング手段(70)と、
前記カバー(10)のボトムボディー(12)と前記アウターチャンバー(20)との間の接触面に配置される環状の水密部材(80)と、
を含んでなることを特徴とする、階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項2】
前記インナーチャンバー(30)の内部中心領域を通過する形態に配置され、上端が前記インナーチャンバー(30)の上端より低く位置し、前記インナーチャンバー(30)の内壁に沿って離隔して環状の第2介在空間(S2)をなし、下端が前記インナーチャンバー(30)に連結されるフランジ(51)によって前記インナーチャンバー(30)の内壁に沿って連結される中空円筒状のサブインナーチャンバー(50)と、下端が前記第2介在空間(S2)の周囲に沿って配置され、前記第2介在空間(S2)を上下に半分したとき、上側の第2介在空間(S2)を区画するように配置され、上端が前記インナーチャンバー(30)に連結される二つ以上のサブミドル中継ロッド(61)によって前記インナーチャンバー(30)の内部中央領域に配置され、下端開口型内部流通部(62)を有する円筒状のサブミドルチャンバー(60)とをさらに含み、
また、前記アウターチャンバー(20)の空間部(21)の内壁と前記ミドルチャンバー(40)の外壁との間の領域に配置され、渦流を引き起こす螺旋状アウターガイド(90A)と、前記インナーチャンバー(30)の内壁と前記サブミドルチャンバー(60)の外壁との間の領域に配置されて渦流を引き起こす螺旋状インナーガイド(90B)とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項3】
前記ミドルチャンバー(40)の外壁を取り囲む形態に前記ミドルチャンバー(40)に嵌合されるハウジング(101)と、
前記ハウジング(101)の外周面の周囲に沿って等間隔で配置される多数の連結片(102)と、
前記各連結片(102)の端部を互いに連結する円形リング(103)と、
前記円形リング(103)の外周面に沿って設けられ、前記アウターチャンバー(20)の空間部(21)の内壁に接触するアウターブラシ(104)と、
前記ハウジング(101)の下端内壁に沿って凹んでいるリセス(105)と、
前記リセス(105)に沿って設けられ、前記ミドルチャンバー(40)の外壁に接触するインナーブラシ(106)と、
前記ハウジング(101)の上側に配置され、前記ミドルチャンバー(40)の外壁を取り囲む環状の浮力体(107)と、
前記ハウジング(101)の上部から上方に延び、前記浮力体(107)を取り囲む固定体(108)と、
を含んでなるスクラバー(100)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項4】
前記ミドルチャンバー(40)の外壁には、前記スクラバー(100)の上下移動距離を制限する環状のストッパー(43)が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項5】
前記ミドルチャンバー(40)の上部中央領域に上下に貫設される中央ホール(201)と、
前記中央ホール(201)に装着され、前記ミドルチャンバー(40)の収容部(42)に配置され、内部に殺菌洗浄剤が収容される貯蔵空間(202a)及びこれと連通する上部入口(202b)及び下部出口(202c)を有する箱体(202)と、
前記箱体(202)の下部出口(202c)の下側に配置され、下部出口(202c)を塞げる開閉ヘッド(203a)、その上側の前記箱体(202)の貯蔵空間(202a)側に配置される支持体(203b)、前記箱体(202)の上部入口(202b)の上側に配置されるプッシングヘッド(203c)、前記開閉ヘッド(203a)、前記支持体(203b)及び前記プッシングヘッド(203c)を互いに連結し、前記上部入口(202b)を通過する昇降ロッド(203d)、及び前記昇降ロッド(203d)に外挿され、前記支持体(203b)と前記下部出口(202c)との間に介在され、前記支持体(203b)側に弾性を発揮する弾性スプリング(203e)を有する開閉部材(203)と、
を含んでなる殺菌洗浄モジュール(200)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項6】
排水口(1)に着座されるものであって、下端に配水管(2)が差し込まれる排水管差込溝(13)が設けられるカバー(10)’と、前記カバー(10)’上に着座されるアウターチャンバー(20’)と、前記アウターチャンバー(20’)上に着座されるインナーチャンバー(30’)とを含み、
前記アウターチャンバー(20’)及びインナーチャンバー(30’)は上部開放型の円筒状容器の形態に形成され、
前記アウターチャンバー(20’)の直径はインナーチャンバー(30’)の直径より大きく、
前記アウターチャンバー(20’)の本体長(L1)はインナーチャンバー(30’)の本体長(L2)より大きく、
前記アウターチャンバー(20’)の上側には円周方向に沿って複数の透水孔(24)が設けられることにより、
前記インナーチャンバー(30’)の中心に流入した下水は前記透水孔(24)を通して配水管(2)に排出され、
水が前記アウターチャンバー(20’)の底から透水孔(24)まで満たされることにより、匂いを含めて各種のウイルス及び細菌が上下に通過することができないようにすることを特徴とする、階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項7】
水と接触する前記アウターチャンバー(20’)及びインナーチャンバー(30’)の表面には抗菌素材がコーティングまたは接着で付着されていることを特徴とする、請求項6に記載の階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【請求項8】
水と接触する前記アウターチャンバー(20)、インナーチャンバー(30)及びミドルチャンバー(40)の表面には抗菌素材がコーティングまたは接着で付着されていることを特徴とする、請求項1に記載の階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水トラップに関し、特に排水トラップを成すカバーとアウターチャンバーとの間の結合構造をワンステップ方式で結合及び分離することができるように改善し、排水ラインを外側の二重構造と内側の二重構造とに構成して、水が溜まる領域を2ケ所に増やすことにより、悪臭や害虫だけでなく、病原体に対する逆流遮断性能を大幅向上させた階間病原体伝播遮断構造型排水トラップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に知られている排水トラップにはP型とS型とがあり、S形及びP形の曲管部に溜まっている水を用いて悪臭の逆流を防止する。このような逆流遮断機能を有する排水トラップに係る技術としては、韓国特許登録第10-1050739号(2011.07.14.登録、以下では、“特許文献1”と言う)の『悪臭防止用排水トラップ』が提示されている。
【0003】
特許文献1は、配水管を通して落下する流体の流速を相殺させるためのSGT(Sponge Ground Tissue)フィルターとSGTフィルターを通して落下する流体を配水管の内壁側に回転させて案内するために上面に案内突起が放射状に環設された拡開案内部とを一体に形成した流速案内分配板を備える排水トラップにおいて、配水管の連結部品の下端に設けられ、ロアハウジングの上部に結合され、上面には配水管の底部が挿入される第1結合溝及び配水管を通して外部の流体を排水させるために外部の流体が流入する流入口が形成されたアッパーハウジングと、配水管の連結部位の上端に設けられ、底面には配水管の上部に挿入される第2結合溝が形成され、SGTフィルターと流速案内分配板を内部に収容し、流入口を通して流入する流体に含まれた異物を濾過するための濾過網、及び濾過網を通過した流体をSGTフィルターの上面の方向に移送させる移送通路を備えるロアハウジングとを含み、アッパーハウジングは流入口を覆うカバーをさらに備えることにより、建物の配水管の間に簡単に設置され、配水管を通して落下する汚水と配水管の連結部位を通して外部から配水管に流入する汚水または流水とを同時に収容する二重構造の排水トラップ構造であり、配水管から発生して上昇する悪臭及び害虫の室内への流入を遮断するとともに、汚水の逆流を防止し、汚水を容易に排水させる悪臭防止用排水トラップに関する技術である。
【0004】
他の技術としては、韓国特許登録第10-1316846号(2013.10.02.登録、以下では、“特許文献2”という)の『ふろ場の排水トラップ』が提示されている。
【0005】
特許文献2は、浴槽や洗面器及びふろ場の底面から供給される汚水が支持部材の結合孔に結合された位置調節部材の回転半径を収容するように波形に形成される弁膜で区画された集水空間に集水された後、溢れて排水孔に排水されるようにする集水部材が備えられ、前記集水部材を閉鎖しながら位置調節部材が回転可能に装着される支持部材が備えられたハウジングと、前記ハウジングの支持部材に貫設された結合孔に回転可能に装着され、タイルと同一線上になるように位置を調節する位置調節部材と、前記集水空間に下端部が漬かるように位置調節部材の設置空間に着座され、汚水に含まれた異物を濾過する異物濾過部材と、前記異物濾過部材を保護しながら汚水の移動を案内するように位置調節部材に着座されるカバーとを含むことにより、汚水の逆流を遮断して安定的に使えるようにするとともに使用者に対する製品の信頼性を向上させるふろ場の排水トラップに関する技術である。
【0006】
さらに他の技術としては、韓国特許登録第10-1277772号(2013.06.17.登録、以下では、“特許文献3”と言う)の『洗面台用排水トラップ』が提示されている。
【0007】
特許文献3は、配水管が貫通する通孔を有する上端部の連結部の外周面にネジ部が形成されて洗面器に連結され、内側に空間を有し、一定の角度の傾斜角を形成する傾斜体の下端部内側の内周面には結合ネジ部が形成された排水誘導管と、前記排水誘導管の内部に挿入される挿入連結部の外周面には結合ネジ部に螺合されるネジ部が形成され、前記ネジ部から延び、傾斜体によって押圧される漏水防止押圧部が一体に形成された排水貯留管からなることにより、洗面器の底面に結合されている配水管に排水連結管と排水貯留管を結合するとき、排水連結管の内部傾斜角を有する押圧面によって、長さが伸ばされた排水貯留管の漏水防止部を押圧密着することにより、Oリングを設置しなくても漏水を防止することができるようにした洗面台用排水トラップに関する技術である。
【0008】
以上の特許文献1~3は、流し台、洗面台などに設けられる排水トラップに係るものであり、長期間にわたって使用しないとき、溜まった水が蒸発することによって逆流遮断機能が解除され、COVID-19などのウイルスが流入及び伝播し得る問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1050739号公報
【特許文献2】韓国特許登録第10-1316846号公報
【特許文献3】韓国特許登録第10-1277772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、カバーとアウターチャンバーとの間の結合構造をワンステップ方式に改善して着脱容易になり、排水ラインを外部の二重構造と内部の二重構造とに構成して、逆流遮断のために水が溜まる地点を2区域に確張することにより、悪臭、害虫、及び病原体に対する逆流遮断性能を大幅向上させるとともに、溜まった水の蒸発時間を遅延させるようにした階間病原体伝播遮断構造型排水トラップに係る技術である。
【0011】
また、本発明は、排水される水の圧力及び浮力体によって上下に移動するスクラバーを備えることにより、排水ラインの内外壁に吸着された異物を効果的に除去するとともに、供給された殺菌洗浄剤及び水が効率的に混合及び化学反応するようにした階間病原体伝播遮断構造型排水トラップに関する技術である。
【0012】
さらに、本発明は、排水される水の圧力によって下降して開いた出口を通して殺菌洗浄剤を供給する殺菌洗浄モジュールを備えることにより、排水される水だけでなく、逆流遮断用の溜まった水を殺菌し、排水ラインを洗浄するようにした階間病原体伝播遮断構造型排水トラップに関する技術である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような解決課題を解決するために、本発明による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップは、排水口の配水管に連結される中空円筒状のトップボティー、及び前記トップボティーの下端の周囲に沿って下方に延びる中空半球状のボトムボディーからなるカバーと、前記カバーのボトムボディーの下側に配置され、上端開口型内部空間部を有する円筒状のアウターチャンバーと、前記アウターチャンバーの空間部の底の中心領域を通過する形態に配置され、上部入口が前記空間部内に配置され、前記空間部の内壁に沿って離隔して環状の第1介在空間をなし、下部出口が外部に露出されるように配置される中空円筒状のインナーチャンバーと、下端が前記第1介在空間の周囲に沿って配置され、前記第1介在空間を上下に半分したとき、上側の第1介在空間を区画するように配置され、上端が前記アウターチャンバーの上端に連結される二つ以上のミドル中継ロッドによって前記アウターチャンバーの空間部の上側中央領域に配置され、下端開口型内部収容部を有する円筒状のミドルチャンバーと、前記カバーと前記アウターチャンバーとを互いに結合及び分離させるためのホルディング手段と、前記カバーのボトムボディーと前記アウターチャンバーとの間の接触面に配置される環状の水密部材とを含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップは、カバーとアウターチャンバーとの間の結合及び分離が容易であり、悪臭や害虫だけでなく、COVID-19ウイルスなどの病原体が逆流することを最大限に防止することができ、アパートなどの建物の階間の病原体伝播を遮断することができる最大の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップを示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の排水トラップが排水口の配水管に設置された状態を示す断面図である。
【
図5】サブインナーチャンバー及びサブミドルチャンバーを示すための一部拡大概略断面図である。
【
図6】アウターガイド及びインナーガイドを示すための一部拡大概略断面図である。
【
図7】スクラバー及び殺菌洗浄モジュールを示すための一部拡大概略断面図である。
【
図9】スクラバーの開閉部材の作動過程を示すための一部拡大断面図である。
【
図10】本発明の他の実施例による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップの斜視図である。
【
図11】本発明のさらに他の実施例による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップの分解斜視図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施例による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップの断面図である。
【
図13】本発明のさらに他の実施例による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップの分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0017】
説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用される用語や単語は通常的または辞書的意味に限定して解釈されてはいけなく、発明者は自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想に合う意味及び概念に解釈されなければならない。したがって、この明細書に記載した実施例及び図面に示した構成は本発明の最良の実施例に過ぎないだけで、本発明の技術的思想を全部代弁するものではないので、本出願の時点にこれらを代替することができた多様な均等物及び変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0018】
図1を基準に、カバーのトップボティー側を上部または上方、カバーのボトムボディー側を下部または下方と特定し、また
図2を基準に、アウターチャンバー側を外部または外方、インナーチャンバー側を内部または内方と特定することにする。
【0019】
図1~
図9に示すように、本発明による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップは、カバー10、アウターチャンバー20、インナーチャンバー30、ミドルチャンバー40、サブインナーチャンバー50、サブミドルチャンバー60、ホルディング手段70、及び水密部材80からなる。
【0020】
それぞれの構成について説明すると、前記カバー10は、
図1~
図4に示すように、排水口1の配水管2に連結される中空円筒状のトップボティー11、及び前記トップボティー11の下端周囲に沿って下方に延びる中空半球状のボトムボディー12を含んでなる。
【0021】
ここで、前記トップボティー11と前記ボトムボディー12とはそれぞれの内部空間が互いに連結された一体型構造を有する。また、前記トップボティー11は排水口1の配水管2に連結される。このために、前記トップボティー11の上端外壁に螺旋状の締結部が形成されて排水口1の配水管2と互いに締結されるか、別途のカップラーなどを介して互いに結合されるようにすることができる。
【0022】
そして、前記排水口1は流し台、洗面台などに形成された排水孔であり、前記配水管2は前記排水口1に着座される管体であり、上部に大粒径の異物(例えば、飲食物など)を濾過するための打孔板2aが着座されることができる。
【0023】
前記アウターチャンバー20は、
図1~
図4に示すように、前記カバー10のボトムボディー12の下側に配置されるものであり、上端開口型内部空間部21を含む円筒状構造を有する。ここで、前記空間部21は、上側から見たときは円形であり、側面から見たときは上下直線形の空間になる。
【0024】
前記インナーチャンバー30は、
図1~
図4に示すように、前記アウターチャンバー20の空間部21の底の中心領域を通過する形態に配置され、上部入口が前記空間部21内に配置され、前記空間部21の内壁に沿って離隔して環状の第1介在空間S1をなし、下部出口が外部に露出されるように配置される中空円筒状構造を有する。
【0025】
その結果、前記インナーチャンバー30は前記アウターチャンバー20内に配置され、前記アウターチャンバー20と互いに連結された一体型構造を有する。また、前記インナーチャンバー30の下端には最終配水管3の上端が差し込まれる管差込溝31が設けられる(
図2参照)。
【0026】
インナーチャンバー30と最終配水管3は、例えば螺旋状の締結部によって連結されることもできる。
【0027】
前記ミドルチャンバー40は、
図1~
図4に示すように、下端が前記第1介在空間S1の周囲に沿って配置され、前記第1介在空間S1を上下に半分したとき、上側の第1介在空間S1を区画するように配置され、上端が前記アウターチャンバー20の上端に連結される二つ以上のミドル中継ロッド41によって前記アウターチャンバー20の空間部21の上側中央領域に配置され、下端開口型内部収容部42を有する円筒状構造を有する。
【0028】
ここで、前記ミドル中継ロッド41は、一端が前記アウターチャンバー20の内側上端に設けられた挿入溝41aに挿入されるようにミドルチャンバー40の上端に一体に突設される。
【0029】
ミドル中継ロッド41は、上側から見たとき、前記ミドルチャンバー40の中心を基準に放射状に配置されることにより、前記配水管2を通して排水された水がそれぞれのミドル中継ロッド41の間に形成された通路を通過するようになる。
【0030】
その結果、前記配水管2を通して排水された水は前記アウターチャンバー20と前記ミドルチャンバー40との間の領域を通過し、前記第1介在空間S1内で前記ミドルチャンバー40の下端によって方向が転換された後、オーバーフローすれば、前記インナーチャンバー30内に流入して排水される。
【0031】
前記サブインナーチャンバー50は、
図5~
図7に示すように、前記インナーチャンバー30の内部中心領域を通過する形態に配置され、上端が前記インナーチャンバー30の上端より低く位置し、前記インナーチャンバー30の内壁に沿って離隔して環状の第2介在空間S2を形成し、下端が前記インナーチャンバー30に連結されるフランジ51によって前記インナーチャンバー30の内壁に沿って連結される中空円筒状構造を有する。
【0032】
前記サブミドルチャンバー60は、
図5~
図7に示すように、下端が前記第2介在空間S2の周囲に沿って配置され、前記第2介在空間S2を上下に半分したとき、上側の第2介在空間S2を区画するように配置され、上端が前記インナーチャンバー30に連結される二つ以上のサブミドル中継ロッド61によって前記インナーチャンバー30の内部中央領域に配置され、下端開口型の内部流通部62を有する円筒状構造を有する。
【0033】
ここで、前記サブミドル中継ロッド61は、一端が前記インナーチャンバー30の上端に連結され、他端が前記サブミドルチャンバー60の上端に連結され、上側から見たとき、前記インナーチャンバー30の中心を基準に放射状に配置されることにより、前記ミドルチャンバー40の収容部42からオーバーフローする水がそれぞれのサブミドル中継ロッド61の間に形成された通路を通過するようになる。
【0034】
その結果、前記配水管2を通して排水された水は前記アウターチャンバー20と前記ミドルチャンバー40との間の領域を通過し、前記第1介在空間S1内で前記ミドルチャンバー40の下端によって方向転換されてからオーバーフローすれば、前記インナーチャンバー30内に流入する。この際、前記インナーチャンバー30と前記サブミドルチャンバー60との間の領域を通過し、前記第2介在空間S2内で前記サブミドルチャンバー60の下端によって方向転換されてからオーバーフローすれば、前記サブインナーチャンバー50内に流入して排水される。
【0035】
したがって、前記配水管2を通して排水される水は前記第1及び第2介在空間S1、S2を通過する排水の流れを有し、前記第1及び第2介在空間S1、S2内で適正高さに満たされて溜まることにより、悪臭だけでなく病原体などが前記配水管2に沿って上昇する逆流を遮断することができる。
【0036】
前記ホルディング手段70は、
図1~
図5に示すように、前記カバー10と前記アウターチャンバー20とを互いに結合及び分離させるためのものであり、前記カバー10のボトムボディー12の下端の周囲に沿って等間隔で配置され、上下に回動可能に連結され、端部にフック部711を有する二つ以上のホルダー71と、前記アウターチャンバー20の上側外壁の周囲に沿って形成され、下方に回動した前記各ホルダー71のフック部711と係合される段差部72とを含むことができる。
【0037】
その結果、上側に上げられていた二つ以上の前記ホルダー71を下方に回動させて前記段差部72に前記ホルダー71のフック部711を係合することにより、前記カバー10と前記アウターチャンバー20とが互いに結合される。
【0038】
ホルディング手段70は図示の方式以外に多様な方式を使うことができる。前述したようにフック部711を使うこともできるが、L字形溝とこの溝に結合する突起とから構成することができる(よって、押圧して挿入してから少し回すことによって締結することができる)。また、ネジ締結方式をホルディング手段70に採用することもできる。
【0039】
水密部材80は、
図1~
図3に示すように、前記カバー10のボトムボディー12と前記アウターチャンバー20との間の接触面に配置される環状構造を有する。その装着のために、前記カバー10のボトムボディー12の下面の周囲に沿って上方に凹設される環状の凹形溝121と、前記アウターチャンバー20の上面の周囲に沿って下方に凹設され、前記凹形溝121に対応する環状の対応凹溝22とが形成され、前記凹形溝121と前記対応凹溝221のそれぞれに前記水密部材80が装着される。
【0040】
その結果、前記ホルディング手段70によって前記カバー10と前記アウターチャンバー20とを互いに結合するとき、前記水密部材80が押圧されて断面積が拡張することにより、前記カバー10と前記アウターチャンバー20との間に隙間を無くして漏水を遮断することができる。
【0041】
一方、本発明による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップは、アウターガイド90A及びインナーガイド90Bをさらに含む。前記アウターガイド90Aは、
図6に示すように、前記アウターチャンバー20の空間部21の内壁と前記ミドルチャンバー40の外壁との間の領域に配置されて渦流を発生させる螺旋状構造を有する。
【0042】
前記インナーガイド90Bは、
図6に示すように、前記インナーチャンバー30の内壁と前記サブミドルチャンバー60の外壁との間の領域に配置されて渦流を発生させる螺旋状構造を有する。
【0043】
その結果、排水される水が前記アウターガイド90Aによって1次に渦流を形成し、さらに前記インナーガイド90Bによって2次に渦流を形成することにより、直線形の流れに比べて、水が通過する時間を伸ばすことができ、後述する殺菌洗浄モジュール200による殺菌洗浄の際、水と殺菌洗浄剤との間の効率的な化学反応を引き起こすのに役立つことができる。
【0044】
一方、本発明による階間病原体伝播遮断構造型排水トラップは、スクラバー100及び殺菌洗浄モジュール200をさらに含む。前記スクラバー100は、
図7及び
図8に示すように、前記ミドルチャンバー40の外壁を取り囲む形態に前記ミドルチャンバー40に嵌合されるハウジング101と、前記ハウジング101の外周面の周囲に沿って等間隔で配置される多数の連結片102と、前記多数の連結片102の端部を互いに連結する円形リング103と、前記円形リング103の外周面に沿って設けられ、前記アウターチャンバー20の空間部21の内壁に接触するアウターブラシ104と、前記ハウジング101の下端内壁に沿って凹んでいるリセス105と、前記リセス105に沿って設けられ、前記ミドルチャンバー40の外壁に接触するインナーブラシ106と、前記ハウジング101の上側に配置され、前記ミドルチャンバー40の外壁を取り囲む環状の浮力体107と、前記ハウジング101の上部から上方に延びて前記浮力体107を取り囲む固定体108とを含んでなる。
【0045】
その結果、前記配水管2を通して排水される水の圧力が前記各連結片102に加わることにより、前記スクラバー100が下降しながら前記スクラバー100のアウターブラシ及びインナーブラシ104、106が該当部位を掻いて異物などを除去することができるとともに、水と殺菌洗浄剤との間の効率的な化学反応を引き起こすのに一層役立つことができる。
【0046】
また、下降した前記スクラバー100は水の圧力と前記浮力体107の浮力との間の相互作用によって上下に振動し、水の流れがない場合、前記浮力体107によって水面に停止する。
【0047】
そして、
図4のように、前記ミドルチャンバー40の外壁には前記スクラバー100の上下移動距離を制限する環状のストッパー43が形成されることにより、上昇する前記スクラバー100が上側ストッパー43にかかって停止し、下降する前記スクラバー100が下側ストッパー43にかかって停止する。
【0048】
前記殺菌洗浄モジュール200は、
図7及び
図9に示すように、前記ミドルチャンバー40の上部中央領域に上下に貫設される中央ホール201と、前記中央ホール201に装着されて前記ミドルチャンバー40の収容部42に配置され、内部に殺菌洗浄剤が収容される貯蔵空間202a及びこれと連通する上部入口202b及び下部出口202cを有する箱体202と、前記箱体202の下部出口202cの下側に配置されて下部出口202cを塞げる開閉ヘッド203a、その上側に配置され、前記箱体202の貯蔵空間202a側に配置される支持体203b、前記箱体202の上部入口202bの上側に配置されるプッシングヘッド203c、前記開閉ヘッド203a、支持体203b及びプッシングヘッド203cを互いに連結し、前記上部入口202bを通過する昇降ロッド203d、及び前記昇降ロッド203dに外挿され、前記支持体203bと前記下部出口202cとの間に介在されて前記支持体203b側に弾性力を発揮する弾性スプリング203eを有する開閉部材203とを含んでなる。
【0049】
その結果、排水される水の圧力によって前記開閉部材203のプッシングヘッド203cが下方に押され、前記開閉ヘッド203aが一緒に下降することにより、前記開閉ヘッド203aによって塞がっていた前記下部出口202cが開放し、前記貯蔵空間202aに収容されていた殺菌洗浄剤が排出されて水と混合される。
【0050】
ここで、排水される水の流れが切れるか水の圧力が弱い場合、前記開閉部材203のプッシングヘッド203cが前記弾性スプリング203eの弾性復元力によって前記開閉ヘッド203aと一緒に上昇することにより、前記開閉ヘッド203aによって前記下部出口202cが閉鎖される。
【0051】
図面には示されていないが、前記箱体202は、外部から前記貯蔵空間202a内に殺菌洗浄剤を充填することができるようにする充電口、充電ホースなどを備えることができる。
【実施例】
【0052】
以下、
図10~
図13を参照して本発明の他の実施例を説明する。本実施例は作用及び原理が前述したものと同様である。ただ、水の流れの方向が反対になっているだけである。
【0053】
カバー10’は排水口1に着座される。円筒状カバー10’の下端には配水管2が差し込まれる排水管差込溝13が設けられる。カバー10’の上端には、アウターチャンバー20’及びインナーチャンバー30’が着座されるチャンバー着座部14が設けられる。
【0054】
まず、アウターチャンバー20’がチャンバー着座部14に装着され、その上にインナーチャンバー30’が着座される。アウターチャンバー20’とインナーチャンバー30’の上端には外側に折り曲げられた着座部23、33がそれぞれ設けられる。
【0055】
アウターチャンバー20’とインナーチャンバー30’は上部開放型の円筒状容器の形態になっている。ただ、前者の直径が後者の直径より大きくなっている。アウターチャンバー20’の上側には円周方向に沿って複数の透水孔24が設けられている。アウターチャンバー20’の本体長L1はインナーチャンバー30’の本体長L2より大きくなることにより、設置の際、
図12に示すように、インナーチャンバー30’の下端がアウターチャンバー20’の底から離隔する。
【0056】
したがって、インナーチャンバー30’の中心に流入した下水は、
図12に矢印で示した方向に流れ、透水孔24を通して配水管2に排出される。
【0057】
すると、水はアウターチャンバー20’の底から透水孔24まで満たされ、これによって匂いを含めて各種のウイルス及び細菌が上下に通過することができなくなる。
【0058】
アウターチャンバー20’のフランジとインナーチャンバー30’のフランジとの間には水密部材80が介在される。
【0059】
カバー10’の内側壁の上端にはL字形の締結溝15が対称状に設けられ、インナーチャンバー30’のフランジの外側には前記締結溝15に結合可能な結合突起34が突設されている。この締結溝15に結合突起34が挿合されることにより、インナーチャンバー30’、アウターチャンバー20’及びカバー10’が一体に結合される。カバー10’は四角形になることもでき、円形になることもできる。設置位置も床の下水溝になることもでき、流し台の排水口になることもできる。
【0060】
一方、以上の実施例には
図6~
図9に示した各実施例を最大限同一に適用可能である。水の流れの方向のみ変わったものであるので、当業者によって容易に適用可能であろう。
【0061】
本発明のさらに他の特徴によれば、アウターチャンバー20、20’、インナーチャンバー30、30’、及びミドルチャンバー40の表面のうち水が接触する部位には抗菌または滅菌素材が設けられることができる。抗菌または滅菌素材はフィルム状を有することができ、コーティングまたは接着によってアウターチャンバー20、20’及びインナーチャンバー30、30’の表面の全部または一部に接着または付着されることができる。抗菌素材としては、銅箔または銅イオンが噴射されたフィルムを使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上で、本発明の説明において、添付図面に基づいて特定の形状及び構造を有する“階間病原体伝播遮断構造型排水トラップ”を主に説明したが、本発明は当業者によって多様な変形及び変更が可能であり、このような変形及び変更は本発明の保護範囲に属するものに解釈されなければならない。以上で開示したすべての実施例は多様に組み合わせて使うことができる。特に、
図6~
図9に示した実施例は
図1~
図6に示した実施例及び
図10~
図13に示した実施例の両方適用可能なものである。
【符号の説明】
【0063】
1 排水口
2 配水管
3 最終配水管
10(10’) カバー
11 トップボティー
12 ボトムボディー
13 排水管差込溝
14 チャンバー着座部
15 締結溝
20(20’) アウターチャンバー
21 空間部
22 対応凹溝
23 着座部
24 透水孔
30(30’) インナーチャンバー
33 着座部
34 結合突起
40 ミドルチャンバー
41 ミドル中継ロッド
42 収容部
43 ストッパー
50 サブインナーチャンバー
51 フランジ
60 サブミドルチャンバー
61 サブミドル中継ロッド
62 流通部
70 ホルディング手段
71 ホルダー
72 段差部
80 水密部材
90A アウターガイド
90B インナーガイド
100 スクラバー
101 ハウジング
102 連結片
103 円形リング
104 アウターブラシ
105 リセス
106 インナーブラシ
107 浮力体
108 固定体
200 殺菌洗浄モジュール
201 中央ホール
202 箱体
203 開閉部材
S1 第1介在空間
S2 第2介在空間
【国際調査報告】