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特表2023-506670電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法
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  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図1
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図2
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図3A
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図3B
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図3C
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図4
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図5
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図6
  • 特表-電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】電気外科用器具、電気外科用電極、および、電気外科用器具用電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576417
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2020001063
(87)【国際公開番号】W WO2021123912
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/949,926
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519273267
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレーションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】バックリー,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】フォール,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン,ポール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK05
4C160KK14
4C160KK32
4C160KK38
4C160MM22
(57)【要約】
一例では、電気外科用器具の電気外科用電極は、電気外科用エネルギーを電気外科用器具から受けるように構成された近位端と、近位端の反対側の遠位端と、を含み得る。電気外科用電極は、近位端から遠位端に延在する切断電極部をさらに含み得る。切断電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている。さらに、電気外科用電極は、近位端から遠位端に延在する凝固電極部をさらに含み得る。凝固電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている。電気外科用電極は、切断電極部と凝固電極部との間に絶縁体をさらに含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用器具のための電気外科用電極であって、
電気外科用エネルギーを電気外科用器具から受けるように構成された近位端と、
前記近位端の反対側の遠位端と、
前記近位端から前記遠位端に延在する切断電極部であって、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して組織を切断するように構成されている、切断電極部と、
前記近位端から前記遠位端に延在する凝固電極部であって、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている、凝固電極部と、
前記切断電極部と前記凝固電極部との間の絶縁体と、
を備えた、電気外科用電極。
【請求項2】
前記切断電極部の表面積が、前記凝固電極部の表面積よりも小さい、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項3】
前記切断電極部の表面積が、前記凝固電極部の表面積の約5パーセント~約50パーセントである、請求項2に記載の電気外科用電極。
【請求項4】
長手方向軸が、前記近位端から前記遠位端に向かって延在し、
前記長手方向軸に沿って、前記切断電極部と前記凝固電極部とが、約0.1(mm)~約0.5(mm)離されている、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項5】
前記切断電極部が、前記近位端と前記遠位端との間の電気外科用電極の全長にわたって、前記凝固電極部から離されている、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項6】
前記近位端と前記遠位端との間に延在する第1の側部と、
前記近位端と前記遠位端との間に延在する第2の側部と、
前記第1の側部と前記第2の側部との間の第1の横接続部にある第1の縁部と、
前記第1の側部と前記第2の側部との間の第2の横接続部にある第2の縁部と、
をさらに備え、
前記第1の側部および前記第2の側部が、前記第1の縁部および前記第2の縁部を通って延在する中間面の両側にあり、
前記切断電極部が前記第1の縁部を含み、前記凝固電極部が前記第2の縁部を含み、前記第1の縁部が前記第2の縁部よりも薄い、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項7】
前記絶縁体が、プラスチック、セラミック、および、ほうろうからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項8】
前記切断電極部および前記凝固電極部が、シリコーン、シロキサン、および、テフロンから選択される少なくとも1つの材料を含む非付着性材料で被覆されている、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項9】
電気外科システムであって、
電気外科用エネルギーを電気外科用器具から受けるように構成された近位端と、
前記近位端の反対側の遠位端と、
前記近位端から前記遠位端に延在する切断電極部であって、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている、切断電極部と、
前記近位端から前記遠位端に延在する凝固電極部であって、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている、凝固電極部と、
前記切断電極部と前記凝固電極部との間の絶縁体と、
を備えた電気外科用電極、および、
遠位端および近位端を有する筐体と、
前記電気外科用電極を電気外科用発電機に結合するように構成された少なくとも1つの導電体と、
前記電気外科用電極の前記近位端に結合するように構成された前記遠位端に位置するレセプタクルと、
切断手術モードおよび凝固手術モード間を選択するように構成された少なくとも1つのユーザ入力装置と、
を備えた電気外科用器具、
を含み、
前記切断手術モードでは、前記電気外科用器具が、前記電気外科用エネルギーを、前記少なくとも1つの導電体から前記電気外科用電極の前記切断電極部に供給し、前記電気外科用電極の凝固電極部には供給せず、
前記凝固手術モードでは、前記電気外科用器具が、前記電気外科用エネルギーを、前記少なくとも1つの導電体から前記電気外科用電極の少なくとも前記凝固電極部に供給するように構成されている、電気外科システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのユーザ入力装置が、
前記電気外科用発電機に前記電気外科用エネルギーを前記切断電極部に供給させるように動作可能な第1のユーザ入力装置と、
前記電気外科用発電機に前記電気外科用エネルギーを前記凝固電極部に供給させるように動作可能な第2のユーザ入力装置と、を含む、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの導電体が、
前記切断電極部を前記電気外科用発電機に結合するように構成された第1の導電体と、
前記凝固電極部を前記電気外科用発電機に結合するように構成された第2の導電体と、を備える、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項12】
前記レセプタクルが、摩擦嵌合連結によって、前記電気外科用電極の前記近位端に取り外し可能に連結するように構成されている、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項13】
前記切断電極部の表面積が、前記凝固電極部の表面積よりも小さい、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項14】
前記切断電極部の表面積が、前記凝固電極部の表面積の約5パーセント~約35パーセントである、請求項13に記載の電気外科システム。
【請求項15】
長手方向軸が、前記近位端から前記遠位端に向かって延在し、
前記長手方向軸に沿って、前記切断電極部と前記凝固電極部とが、約0.1(mm)~約0.5(mm)離されている請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項16】
前記切断電極部が、前記近位端と前記遠位端との間の電気外科用電極の全長にわたって、前記凝固電極部から離されている、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項17】
前記近位端と前記遠位端との間に延在する第1の側部と、
前記近位端と前記遠位端との間に延在する第2の側部と、
前記第1の側部と前記第2の側部との間の第1の横接続部にある第1の縁部と、
前記第1の側部と前記第2の側部との間の第2の横接続部にある第2の縁部と、
をさらに備え、
前記第1の側部および前記第2の側部が、前記第1の縁部および前記第2の縁部を通って延在する中間面の両側にあり、
前記切断電極部が前記第1の縁部を含み、前記凝固電極部が前記第2の縁部を含み、前記第1の縁部が前記第2の縁部よりも薄い、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項18】
前記絶縁体が、プラスチック、セラミック、および、ほうろうからなる群から選択される材料を含む、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項19】
前記切断電極部および前記凝固電極部が、シリコーン、シロキサン、および、テフロンから選択される少なくとも1つの材料を含む非付着性材料で被覆されている、請求項9に記載の電気外科システム。
【請求項20】
電気外科用器具のための電気外科用電極の製造方法であって、
切断電極部を形成するステップと、
凝固電極部を形成するステップと、
前記切断電極部および前記凝固電極部の間に絶縁体を配置するステップと、
前記切断電極部を前記凝固電極部に、前記切断電極部および前記凝固電極部の間の前記絶縁体と共に連結するステップと、を含み、
前記切断電極部が、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されており、
前記凝固電極部が、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている、方法。
【請求項21】
電気外科システムであって、
電気外科用エネルギーを電気外科用器具から受けるように構成された近位端と、
前記近位端の反対側の遠位端と、
前記近位端から前記遠位端に延在する切断電極部であって、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている、切断電極部と、
前記近位端から前記遠位端に延在する凝固電極部であって、前記電気外科用器具から受けた前記電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている、凝固電極部と、
前記切断電極部と前記凝固電極部との間の絶縁体と、
を備えた、電気外科用電極、
遠位端および近位端を有する筐体と、
前記電気外科用電極を電気外科用発電機に結合するように構成された少なくとも1つの導電体と、
前記電気外科用電極の前記近位端に結合するように構成された前記遠位端に位置するレセプタクルと、
切断手術モードおよび凝固手術モード間を選択するように構成された少なくとも1つのユーザ入力装置と、を備え、
前記切断手術モードでは、前記電気外科用器具が、前記電気外科用エネルギーを、前記少なくとも1つの導電体から前記電気外科用電極の前記切断電極部に供給し、前記電気外科用電極の凝固電極部には供給せず、
前記凝固手術モードでは、前記電気外科用器具が、前記電気外科用エネルギーを、前記少なくとも1つの導電体から前記電気外科用電極の少なくとも前記凝固電極部に供給するように構成されている、電気外科用器具、および、
前記電気外科用器具に結合された電気外科用発電機であって、電気外科用エネルギーを前記電気外科用器具に供給するように構成されている、電気外科用発電機、
を含み、
前記電気外科用発電機が、
前記切断電極部と前記凝固電極部との間の電気的特性のうちの少なくとも1つを測定し、
前記電気的特性のうちの前記少なくとも1つに基づいて、前記電気外科用電極が前記電気外科用エネルギーを印加した組織の特性を決定するように構成されている、
電気外科システム。
【請求項22】
前記電気外科用発電機が、前記切断電極部と前記凝固電極部との間で測定された抵抗または電圧のうちの少なくとも1つに基づいて、前記電気外科用器具に供給される前記電気外科用エネルギーの出力または波形のうちの少なくとも1つを変更するように構成されている、請求項21に記載の電気外科システム。
【請求項23】
前記電気的特性が、インピーダンス、電圧、容量、および、インダクタンスからなる群から選択される少なくとも1つの電気的特性である、請求項21に記載の電気外科システム。
【請求項24】
前記組織の前記特性が、前記組織のインピーダンス、前記組織の含水量、前記組織の密度、前記組織の脂肪含量、および、前記組織の温度からなる群から選択される少なくとも1つの特性である、請求項21に記載の電気外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月18日に提出された米国仮特許出願第62/949,926号の利益を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書により組み込まれている。
【0002】
本開示は、一般に、電気エネルギーを伝達するための方法および装置に関し、より詳細には、選択された手術のモードに従って、電気外科用電極の選択部分をアクティブにすることができる電気外科用器具および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気外科は、生物学的組織に高周波(RF)電流(電気外科用エネルギーとも呼ばれる)を印加して、電気外科的処置中に生物学的組織を切断、凝固、または修正するものである。具体的には、電気外科用発電機が発電し、電流をアクティブな電極に供給し、この電極が、電流(および、したがって電力)を組織に印加する。電流は、組織を通過し、戻り電極(「分散電極」とも呼ばれる)を介して発電機に戻る。電流が組織を通過するとき、組織のインピーダンスが、電流の一部を熱エネルギーに変換し(例えば、抵抗発熱の原理により)、これが組織の温度を上昇させ、組織への変更(例えば、組織を切断、凝固、切除、および/または、封鎖する)を誘起する。
【0004】
例示的な実施例に特徴的と考えられる新規な特徴が、添付の請求項に記載されている。しかしながら、よく使用される方法、さらなる目的およびその説明と共に、ここで添付図面と併せて読むとき、本開示の例示的な実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、例示的な実施例が、もっとも良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一例による、電気外科システムの簡略化されたブロック図である。
図2】一例による、電気外科用器具の斜視図である。
図3A】一例による、電気外科用電極の斜視図である。
図3B】一例による、図3Aで示されている電気外科用電極の分解図である。
図3C】一例による、図3Aで示されている電気外科用電極の断面図である。
図4】一例による、図1の電気外科システムの概略的な回路図である。
図5】別の例による、図1の電気外科システムの概略的な回路図である。
図6】別の例による、図1の電気外科システムの概略的な回路図である。
図7】一例による、電気外科用器具の電気外科用電極を製造する工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで、開示される実施例が、開示される実施例のすべてではなく、一部が示されている、添付図面を参照して、より完全に説明されることになる。実際、いくつかの異なる実施例が、説明され得るが、本明細書で表明された実施例に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施例は、本開示が完全かつ完成され、本開示の範囲を当業者に完全に伝達するように、説明される。
【0007】
「約」または「実質的に」という用語によって、本明細書で示されている量または測定値を参照して、記載された特性、パラメータ、または値は、正確に達成されないが、例えば、許容値、測定誤差、計測精度限界、および当業者に知られている他の因子を含む、偏差または変化量が、特性が提供されることが意図されていた、効果を妨げない量で発生し得る。
【0008】
上述したように、電気外科的処置中、電気外科用発電機は、発電し、電気外科用エネルギーを、電気外科用エネルギー(および、したがって電力)を患者の組織に印加する、電気外科用電極に供給する。一般に、電気外科用発電機は、電気外科用器具に印加される電気外科用エネルギーの出力および/または波形を変更し、種々の手術モードで、電気外科用器具を動作させる。
【0009】
従来の電気外科システムでは、電気外科用エネルギーは、すべての手術モードで、電気外科用電極の全体を介して導通される。本開示は、電気外科用器具が動作させられる手術モードに基づいて、電気外科用電極の異なる部分に電気外科用エネルギーを選択的に印加することによって、患者の組織に印加される電気外科用エネルギーの特性をさらに向上させ得る、電気外科システム、器具、電極、および方法を提供する。例の中でも、電気外科用電極の異なる部分が、目標組織に印加される電気外科用エネルギーの1つまたは複数の特性を向上させることを支援し得る、複数の異なるサイズおよび/または複数の異なる形状を有し得る。このようにして、電気外科用電極は、すべての手術モードに電気外科用電極の全体を介して電気外科用エネルギーを導通する、従来の電気外科用器具に対して、電気外科用器具の手術性能を向上および/または改善させ得る。
【0010】
一例では、電気外科用器具の電気外科用電極は、電気外科用エネルギーを電気外科用器具から受けるように構成された近位端と、近位端の反対側の遠位端と、を含み得る。電気外科用電極は、近位端から遠位端に延在する切断電極部をさらに含み得る。切断電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている。さらに、電気外科用電極は、近位端から遠位端に延在する凝固電極部をさらに含み得る。凝固電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている。電気外科用電極は、切断電極部と凝固電極部との間に絶縁体をさらに含み得る。
【0011】
別の例では、電気外科システムは、電気外科用電極および電気外科用器具を含む。電気外科用電極は、電気外科用エネルギーを電気外科用器具から受けるように構成された近位端と、近位端の反対側の遠位端と、を含む。電気外科用電極は、近位端から遠位端に延在する切断電極部と、近位端から遠位端に延在する凝固電極部と、切断電極部および凝固電極部の間の絶縁体と、をさらに含む。切断電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されており、凝固電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている。
【0012】
電気外科用器具は、遠位端および近位端を有する筐体と、近位端で電気外科用発電機に結合するように構成された少なくとも1つの導電体と、遠位端で電気外科用電極の近位端に結合するように構成されたレセプタクルと、切断手術モードおよび凝固手術モード間を選択するように構成された少なくとも1つのユーザ入力装置と、を含む。切断手術モードでは、電気外科用器具は、電気外科用エネルギーを、少なくとも1つの導電体から電気外科用電極の切断電極部に供給し、電気外科用電極の凝固電極部には供給しない。凝固手術モードでは、電気外科用器具は、電気外科用エネルギーを、少なくとも1つの導電体から電気外科用電極の少なくとも凝固電極部に供給する。
【0013】
別の例では、電気外科用器具の電気外科用電極を作成する方法が、切断電極部を形成するステップと、凝固電極部を形成するステップと、切断電極部および凝固電極部の間に絶縁体を配置するステップと、切断電極部を凝固電極部に、切断電極部および凝固電極部の間の絶縁体と共に連結するステップと、を含む。切断電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている。凝固電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている。
【0014】
ここで図1を参照すると、一例による、電気外科システム100が、示されている。図1に示されているように、電気外科システム100は、電気外科用発電機110および電気外科用器具112を含む。一般に、電気外科用発電機110は、患者に電気外科を遂行するのに好適な、電気外科用エネルギーを生成し得る。例えば、電気外科用発電機110は、系統電力を例えば、高周波(RF)出力電力などの電気外科用エネルギーに変換し得る、電力変換器回路114を含み得る。一例として、電力変換器回路114は、電気外科用エネルギーの電圧、電流、および/または、周波数を制御し得る、1つまたは複数の電気的構成要素(例えば、1つまたは複数の変圧器)を含み得る。
【0015】
例の中でも、電気外科用発電機110は、ユーザから1つまたは複数の入力を受け取る、かつ/または1つまたは複数の出力をユーザに供給する、ユーザインタフェース116を含み得る。例として、ユーザインタフェース116は、1つまたは複数のボタン、1つまたは複数のスイッチ、1つまたは複数のダイアル、1つまたは複数のキーパッド、1つまたは複数のタッチスクリーン、および/または、1つまたは複数のディスプレイスクリーンを含み得る。
【0016】
一例では、ユーザインタフェース116は、電気外科用発電機110の複数の手術モードの中から、手術モードを選択するように動作可能であり得る。例として、手術モードは、切断モード、凝固モード、切除モード、および/または、封鎖モードを含み得る。これらの波形の合成も、混合モードを生成するために形成され得る。ある実施態様では、手術モードは、電気外科用エネルギーのそれぞれの波形に対応し得る。そのため、この実施態様では、電気外科用発電機110が、ユーザインタフェース116を使用して選択された手術モードに少なくとも部分的に基づいて、複数の波形から選択された、波形を有する電気外科用エネルギーを生成し得る。
【0017】
電気外科用発電機110は、電気外科用エネルギーおよび/または目標組織に関する1つまたは複数の状態を感知し得る、1つまたは複数のセンサ118をさらに含み得る。例として、センサ118は、1つまたは複数の電流センサと、1つまたは複数の電圧センサと、1つまたは複数の温度センサと、および/あるいは1つまたは複数の生体インピーダンスセンサと、を含み得る。例の中でも、電気外科用発電機110は、追加的または代替的に、ある量の電気外科用エネルギー(例えば、電力)および/またはセンサ118によって感知された状態に関する1つまたは複数のパラメータに基づく複数の波形の中から選択された波形を有する電気外科用エネルギーを生成し得る。
【0018】
ある例では、電気外科用エネルギーは、筋肉および/または目標組織近くの神経を刺激することを低減する(回避する)ために、約100キロヘルツ(kHz)よりも高い周波数を有し得る。別の例では、電気外科用エネルギーは、約300kHz~約500kHzの周波数を有し得る。
【0019】
図1では、電気外科用発電機110は、電気外科用発電機110を電気外科用器具112に結合することを支援し得る、コネクタ120をさらに含んでいる。例えば、電気外科用器具112は、電気外科用発電機110のコネクタ120のソケットに結合され得る、プラグを有する電源コード122を含み得る。この構成では、電気外科用発電機110は、電気外科用発電機110のコネクタ120と電気外科用器具112の電源コード122との間の結合を介して、電気外科用エネルギーを電気外科用器具112に供給し得る。
【0020】
図1で示されているように、電気外科用器具112は、内室を画定する筐体124と、筐体124から遠位方向に延在するシャフト126と、シャフト126に連結された電気外科用電極128と、を含み得る。一般に、筐体124は、ユーザが電気外科を遂行している間、電気外科用器具112を把持し操作することを支援するように構成され得る。例えば、筐体124は、ユーザが片手を使用して電気外科用器具112を操作することによって電気外科を遂行することを支援し得る、形状および/またはサイズを有し得る。ある実施態様では、筐体124は、ユーザが筆記用具の把持方法で、電気外科用器具112を保持することを支援する、形状および/またはサイズを有し得る(例えば、電気外科用器具112は、電気外科用ペンシルであり得る)。
【0021】
さらに、例えば、筐体124は、電気絶縁体(例えば、プラスチック材料)である1つまたは複数の材料から構成され得る。このことは、電気外科の遂行中に電気外科用器具112を流れる、電気外科用エネルギーからユーザを絶縁することを支援し得る。
【0022】
いくつかの実施態様では、シャフト126は、筐体124に固定的に連結され得る。いくつかの実施態様では、シャフト126は、筐体124に対して(伸縮筒方式で)伸縮動作可能であり得る。例えば、シャフト126は、筐体124によって画定される内部孔内を伸縮動作可能であり、シャフト126を遠位方向に延出し、シャフト126を筐体124に対して近位方向に収縮させ得る(例えば、電気外科用器具112の長手方向軸に沿って動作可能である)。上述したように、電気外科用電極128は、シャフト126に連結されているので、電気外科用電極128は、筐体124に対してシャフト126と共に移動する。このことは、電気外科用器具112の長さの調整を可能にし、これが組織内部の複数の異なる深さ(例えば、種々の解剖学的形状および/または患者のサイズにより)および/または複数の異なる角度で電気外科手術を遂行することを支援し得る。
【0023】
いくつかの実施例では、シャフト126は、追加的または代替的に、電気外科用器具112の長手方向軸に平行な回転軸の周りを回転可能であり得る。別の例では、電極128は、追加的または代替的に、シャフト126に対して回転可能であり得る。筐体124に対して回転するシャフト126および/または電気外科用電極128は、電気外科用器具112の1つまたは複数のユーザ入力装置130に対して、電気外科用電極128の角度を調整することを支援し得る。この構成では、例えばユーザが手術している手術部位のサイズおよび/または形状に基づいて、電気外科用電極128が筐体124に対する複数の回転位置から選択された回転位置で設定されている間、ユーザは、その指がユーザ入力装置130を快適に操作し得る位置で、筐体124を快適に把持し得る。
【0024】
ユーザ入力装置130は、電気外科用器具112および/または電気外科用発電機110の手術モードの間に選択され得る。例えば、ある実施態様では、ユーザ入力装置130は、切断手術モードおよび凝固手術モード間を選択するように構成され得る。電気外科用器具112のユーザ入力装置130の動作に応答して、電気外科用器具112は、(i)ユーザ入力装置130を介して選択された手術モードに対応する出力レベルおよび/または波形を有する電気外科用エネルギーを受け、(ii)電気外科用エネルギーを電気外科用電極128に供給し得る。
【0025】
図1では、電気外科用器具112は、電気外科用器具112が電気外科用発電機110から電気外科用電極128に受ける、電気外科用エネルギーを供給することを支援する、複数の電気的構成要素を含み得る。例えば、電気外科用器具112は、電気外科用エネルギーを電源コード122から電気外科用電極128に伝導させる回路を提供し得る、プリント配線基板132(例えば、フレキシブルプリント配線基板)、筐体導電体134、1つまたは複数の導電性リード136、および/または、レセプタクル137を含み得る。電気的構成要素のうちの任意の1つ以上は、筐体124によって画定された内部空間に配置され得る。
【0026】
例の中でも、ユーザ入力装置130は、筐体124の外面に1つまたは複数のボタンを含み得る。ユーザ入力装置130の各ボタンは、プリント配線基板132の複数のスイッチ138のうちのそれぞれ1つを動作させるように動作可能であり得る。一般に、スイッチ138および/またはプリント配線基板132は、電気外科用発電機110から電気外科用電極128への電気外科用エネルギーの供給を制御するように動作可能である。例えば、ある実施態様では、各ボタンが操作された(例えば、押下されたとき)とき、ボタンに関連付けられたそれぞれのスイッチ138は、プリント配線基板132に信号を電気外科用発電機110に送信させ、ボタンに関連付けられた手術モードに対応する出力レベルおよび/または波形を有する電気外科用エネルギーを、電気外科用発電機110に応答的に供給するように、動作させられ得る。別の実施態様では、ボタンを操作し、それによりボタンに関連付けられたそれぞれのスイッチ138を動作させることが、スイッチ138を閉じ、電気外科用発電機110への回路を完成させ、ボタンに関連付けられた手術モードに対応する出力レベルおよび/または波形を有する電気外科用エネルギーを、電気外科用発電機110に応答的に供給し得る。この実施態様のいくつかの実施例では、プリント配線基板132は、省略され得る。
【0027】
例示の実施態様の両方で、電気外科用発電機110によって供給される電気外科用エネルギーは、(i)電源コード122、プリント配線基板132、および/または、スイッチ138から(ii)電気外科用電極128に、筐体導電体134および導電性リード136によって供給され得る。図1で示されているように、プリント配線基板132は、電源コード122に連結され、筐体導電体134は、プリント配線基板132および導電性リード136に結合され、導電性リード136は、電気外科用電極128に(レセプタクル137を介して)結合され得る。この構成では、筐体導電体134は、電気外科用エネルギー(プリント配線基板132を介して筐体導電体134に供給された)を導電性リード136に導電し、導電性リード136およびレセプタクル137は、電気外科用エネルギーを電気外科用電極128に導電し得る。
【0028】
一般に、筐体導電体134は、電気外科用エネルギーを電気外科用電極128に供給する導電性バスを提供する、1つまたは複数の導電素子を含み得る。ある例では、筐体導電体134は、らせん状の形状に形成され得る。この構成では、筐体導電体134が、筐体124内におよび/または外に伸縮自在に動作し、筐体124に対して電気外科用電極128をそれぞれ収縮および/または拡張する、シャフト126を収容し得るように、筐体導電体134は、圧縮可能で拡張可能であり得る。別の例では、導電性リード136は、1つまたは複数のワイヤを含み得る。別の例では、導電性リード136は、例えば、スクリーン印刷、スパッタリング、電気めっき、導電性塗料、および/または、レーザアブレーションよって形成された、1つまたは複数の導電トレースを含み得る。
【0029】
例の中でも、導電性リード136は、筐体導電体134から電気外科用電極128に延在し得る。ある例では、導電性リード136は、1つまたは複数のワイヤを含み得る。別の例では、導電性リード136は、例えば、スクリーン印刷、スパッタリング、電気めっき、導電性塗料、および/または、レーザアブレーションよって形成された、1つまたは複数の導電トレースを含み得る。導電性リード136は、シャフト126の内部管路内に配置されてもよく、シャフト126の外面は、電気的絶縁体から構成されてもよい。これは、電気外科用電極128までの電気外科用エネルギーの損失の低減(または防止)を支援し得る。
【0030】
レセプタクル137は、電気外科用電極128を電気外科用器具112に結合し得る。一例として、レセプタクル137および電気外科用電極128は、互いに摩擦嵌合により連結するように構成され得る。したがって、レセプタクル137および電気外科用電極128は、電気外科用電極128がレセプタクル137に挿入されたとき、レセプタクル137と電気外科用電極128との間を連結する摩擦嵌合を提供する、それぞれのサイズおよび/またはそれぞれの形状を有し得る。これが、電気外科用電極が電気外科用器具112に取り外し可能に結合されることを可能にし、これが複数の電気外科用電極128の電気外科用器具112による可換性を支援し得る。レセプタクル137および電気外科用電極128は、正しい電気的接続がなされたことを保証するために、機械的に固定され得る。他の実施例では、電気外科用電極128は、別のタイプの取り外し可能な連結(例えば、ねじ連結)または取り外し可能でない連結(例えば、溶接および/またははんだ付けにより)によってレセプタクル137に結合され得る。
【0031】
例の中でも、レセプタクル137は、電気外科用電極128を、電気外科用発電機110によって電気外科用器具112に供給される電気外科用エネルギーに電気的に結合し得る、導電体をさらに含み得る。例えば、レセプタクル137は、導電性リード136(例えば、導電性材料による)に電気的に結合され得る。
【0032】
図1で示されているように、電気外科用器具112は、光を放出するように構成された光源140をさらに含み得る。図1の例では、光源140は、光源140によって放出された光を受け、光を手術部位に向かって遠位方向に伝送し、電気外科用電極128を使用して電気外科を遂行中に手術部位を照明するように構成された、光導波路142に光学的に結合され得る。例の中でも、光導波路142は、光を遠位方向に全内部反射を介して伝送し得る。例えば、光導波路は、光導波路142の外面に、被覆材および/または空隙を含み得る。いくつかの実施態様では、光導波路142は、単一の一体構造として形成され得る。別の例では、電気外科用器具112は、光導波路142を省略し、光導波路142を通して光を伝送せずに、その代わり光を光源140から直接外科領域に放出し得る。
【0033】
図1では、光源140がシャフト126に連結されている。そのため、光源140も、筐体124に対してシャフト126と共に伸縮自在に動作し得る。しかしながら、他の例では、光源140は、筐体124に連結され得る。例として、光源140は、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、光ファイバ、非ファイバ光導波路、および/または、レンズを含み得る。
【0034】
光導波路142は、シャフト126の遠位端に存在し得る。いくつかの実施例では、電気外科用電極128は、光導波路142の中央部分から延在し得る。そのため、光導波路142は、電気外科用電極128を一周取り囲み、光を遠位に電気外科用電極128の全側部周りに放出し得る。このことは、陰影を軽減し、筐体124に対するシャフト126および/または目標組織に対する電気外科用器具112の、すべての回転方向の位置調整において、より良好な照度均一性を提供することを支援する。
【0035】
光源140を含む実施態様では、ユーザ入力装置130、プリント配線基板132、スイッチ138、筐体導電体134、および/または、導電性リード136が、電力を直流(DC)電源144から光源140にさらに供給し得る。ある例では、DC電源144は、筐体124に配置された電池および/または電源コード122のプラグを含み得る。電気外科用器具112は、図1では、DC電源144を含んでいるが、DC電源144は、他の例では、電気外科用器具112から分離され別個であり得る。例えば、別の例では、電気外科用発電機110が、DC電源144を含み得る。
【0036】
さらに、光源140を含む実施態様では、ユーザ入力装置130は、光源140に光を放出させるように操作可能であり得る。ある例では、ユーザ入力装置130は、電気外科用器具112の電気外科手術モードを制御するボタンとは別個の、光源140を単独で制御する、ボタンを含み得る。別の例では、ユーザ入力装置130およびプリント配線基板132は、電気外科手術モードを制御するボタンの操作が、同時に光源140の動作を制御するように構成され得る(例えば、光源140は、電気外科用電極128で電気外科用エネルギーを印加するように操作されたとき、光を放出するように、自動的に動作させられ得る)。
【0037】
図1で示されているように、ユーザ入力装置130の光源140を動作させる操作に応答して、DC電源144が、電力(例えば、DC電圧)を光源140に、プリント配線基板132、筐体導電体134、および/または、導電性リード136を介して、供給し得る。この実施態様では、筐体導電体134の導電素子のうちの1つまたは複数は、電力をDC電源144から光源140へ供給し、および/または、電力を光源140からDC電源144へ戻すように構成され得る。したがって、筐体導電体134は、追加的または代替的に、シャフト126および光源140が筐体124に対して伸縮自在に動作するとき、DC電源144と光源140との間の電気的伝達を供給することを支援し得る。
【0038】
上述したように、電気外科用器具112は、目標組織から手術場所の外部に外科的煙を排出することを提供する、特徴をさらに含み得る。外科的煙は、様々な外科的処置の副生成物である。例えば、外科的処置中、外科的煙は、電気外科用ユニット(ESU)、レーザ、電気焼灼装置、超音波装置、および/または、他の電動外科用器具(例えば、骨用のこぎりおよび/またはドリル)の副生成物として生成され得る。いくつかの例では、外科的煙は、組織の破壊に由来する有毒ガスおよび/または生物学的生成物を含み得る。さらに、外科的煙は、不快な臭気を含み得る。これらおよび他の理由により、多くの指針が、外科関係者の外科的煙への曝露を低減または最小化すべきことを示している。
【0039】
外科的煙への曝露を低減(または最小化)するために、煙排出システムが、外科的処置中使用され得る。一般に、煙排出システムは、手術部位からでる外科的煙を引き寄せるのに、十分な吸引および/または真空圧力を発生させ得るポンプ146を含み得る。いくつかの実施態様では、煙排出システムは、外科的煙を手術室の外に排気する、排気システム(例えば、内壁排気システム)に連結され得る。他の実施態様では、煙排出システムは、外科的煙を含む空気をフィルタリングし、空気を手術室に戻し得る。例の中でも、ポンプ146および電気外科用発電機110は、個別の装置として提供され得る、または単一の装置に統合され得る(例えば、共通の筐体内に)。
【0040】
図1で示されているように、シャフト126は、シャフト126の遠位端に煙排出チャネル148を含み得る。一例では、煙排出チャネル148は、シャフト126の遠位端で、光導波路142の周りを一周延在し得る。煙排出流路148は、シャフト126の遠位端で、光導波路142の周りを一周延在する煙入口をさらに含み得る。この構成では、煙排出流路の煙入口は、筐体124に対するシャフト126および/または目標組織に対する電気外科用器具112のすべての回転方向の位置調整において、外科的煙を煙排出流路148内に受けることを支援し得る。しかしながら、別の例では、煙排出流路148は、光導波路142および/または電気外科用電極128の周りを一周延在しない1つまたは複数の煙入口を含み得る。
【0041】
いくつかの実施態様では、煙排出流路148および光導波路142は、同軸であり得る。例えば、煙排出流路148および光導波路142は、シャフト126の中心軸にアライメントされた長手方向軸を各々有し得る。他の実施態様では、煙排出チャネル148および光導波路142は、各々に対しオフセットしたそれぞれの長手方向軸を有し、その結果、煙排出チャネル148および光導波路142は、同軸でない。
【0042】
一例では、煙排出流路148は、空隙によって光導波路142から分離された外管を含み得る。例えば、シャフト126は、外管と光導波路142との間の空隙を提供するために、光導波路142と煙排出チャネル148の外管との間に延在する、複数の支持棒を含み得る。ある実施態様では、光導波路142は、光導波路142および支持棒が単一の一体構造を形成するように、支持棒を含み得る。別の実施態様では、支持棒は、煙排出チャネル148の外管を有する単一の一体構造として形成され得る。別の実施態様では、支持棒は、煙排出チャネル148の外管および光導波路142から分離され得る。
【0043】
一例では、シャフト126の煙排出流路148が、煙流路の第1の部分を画定し、筐体124の内室が、煙流路の第2の部分を画定する。この構成では、外科的煙は、手術部位からシャフト126の煙排出流路148内に受け入れられ、近位に煙排出流路148に沿って筐体124の内室へと流れ得る。筐体124の内室では、煙は、筐体124の近位端に連結され、煙を筐体124からポンプ146に輸送するように構成された、煙管150にさらに流れ得る。
【0044】
ここで図2を参照すると、一例による電気外科用器具112の実施態様の斜視図が示されている。図2で示されているように、電気外科用器具112は、筐体124と、筐体124の内室で伸縮自在に動作可能なシャフト126と、シャフト126に結合された電気外科用電極128と、を含み得る。しかしながら、上述したように、他の例では、シャフト126は、筐体124に対して動作不可能なように固定的に連結され得る。
【0045】
さらに、図2では、光導波路142は、シャフト126の遠位端252にある。この配置では、光導波路142は、筐体124に対して、シャフト126と共に伸縮自在に動作し得る。図2では、光導波路142は、電気外科用電極128の周りに延在している。このことが、手術部位に対する光導波路142および電気外科用電極128の向きによる陰影を低減する(または回避する)ことによって、比較的均一な方法で光を放出することを支援し得る。しかしながら、他の例では、光導波路142は、シャフト126の遠位端252で電気外科用電極128の周り全体に延在せず、かつ/または光導波路142は、シャフト126および/または筐体124の異なる位置にあり得る。
【0046】
いくつかの実施例では、電気外科用器具112は、筐体124の近位端にカラー254を含み得る。カラー254は、筐体124に対して回転可能であり、シャフト126の外面とカラー254の内面との間の摩擦を増大および/または減少させ得る。このようにしてカラー254は、筐体124に対するシャフト126の軸の伸縮自在の動作および/または回転方向の動作を許容および/または阻止することになる。
【0047】
図2に示されているように、電気外科器具112は、電源コード122を含む。電源コード122の近位端256で、電源コード122は、電気外科用発電機110のコネクタ120に結合するように構成されたプラグ258を含む。電源コード122の遠位端は、筐体124の内部空胴内でプリント配線基板132に結合されている。この構成では、電源コード122は、筐体124からプラグ258に近位に延在する。
【0048】
さらに、図2で示されているように、ユーザ入力装置130は、筐体124の外面に第1のボタン230A、第2のボタン230B、および第3のボタン230Cを含む。ある実施態様では、第1のボタン230Aは、電気外科用器具112を切断手術モードで操作するために動作させられ、第2のボタン230Bは、電気外科用器具112を凝固手術モードで操作するために動作させられ、第3のボタン230Cは、光源140を操作する(すなわち、光源140に光を放出させるまたは光放出を終了させる)ために動作させられ得る。上述のように、ユーザ入力装置130は、他の例では、種々に構成され得る。例えば、電気外科用器具112は、手術モードのより少ない熱量で、手術モードのより大きい熱量で、および/または、他の例では種々の手術モード(例えば、上述した例示の手術モード)で動作可能であり得る。さらに、例えば、少なくとも1つのユーザ入力装置130は、電気外科用発電機110のユーザインタフェース116および/または1つまたは複数の手術モードで電気外科用器具112を操作するための別の外部デバイス(例えば、フット・スイッチ)を追加的または代替的に備え得る。
【0049】
例の中でも、電気外科用電極128は、電気外科用器具112が操作される手術モードに基づいて、電気外科用エネルギーを電気外科用電極128の異なる部分に選択的に印加することを提供し得る。電気外科用電極128の異なる部分が、目標組織に印加される電気外科用エネルギーの1つまたは複数の特性を向上させることを支援し得る、複数の異なるサイズおよび/または複数の異なる形状を有し得る。このようにして、電気外科用電極128は、すべての手術モードに電気外科用電極128の全体を介して電気外科用エネルギーを導通する、従来の電気外科用器具に対して、電気外科用器具112の手術性能を向上および/または改善させ得る。
【0050】
図3A~3Cは、一例による電気外科用電極128を示している。具体的には、図3Aは、電気外科用電極128の部分的斜視図を示しており、図3Bは、電気外科用電極128の分解図を示しており、図3Cは、図3Aの線3Cを通る電気外科用電極128の断面図を示している。
【0051】
図3A~3Cで示されているように、電気外科用電極128は、電気外科用エネルギーを電気外科用器具112から受けるように構成された近位端360と、近位端360の反対側の遠位端362と、を含む。近位端360は、以下で詳細に説明するように、電気外科用エネルギーを電気外科用器具112から受けることができる。遠位端362は、電気外科用エネルギーを使用して組織を切断および凝固させるように構成された、作業端を画定し得る。
【0052】
図3A~3Cで示されているように、電気外科用電極128は、近位端360から遠位端362に延在する切断電極部364と、近位端360から遠位端362に延在する凝固電極部366と、切断電極部364および凝固電極部366の間の絶縁体368と、をさらに含む。切断電極部364および凝固電極部366は、近位端360で電気外科用器具112から受けた電気外科用エネルギーを遠位端362に伝導するための、導電性材料(例えば、ステンレス鋼)を含み得る。以下でさらに詳細に説明するように、切断電極部364および凝固電極部366は、選択された手術モードに従って、電気外科用エネルギーを目標組織に印加するために選択的に通電され得る、電気外科用電極128の個別の部分を画定し得る。
【0053】
絶縁体368は、電気外科用電極128の全長370にわたって、電気外科用電極128の長手方向軸に平行な方向に、切断電極部364を凝固電極部366から電気的に分離し得る。絶縁体368は、切断電極部364と凝固電極部366との間を電気外科用エネルギーが伝導することを阻止し得る、電気的絶縁体を含み得る。このようにして、絶縁体368は、切断電極部364または凝固電極部366のうちの1つを通して電気外科用エネルギーを伝導させることを、切断電極部364または凝固電極部366のうちのもう1つを通して伝導させられる電気外科用エネルギーを無視できるようにまたはなくして、支援し得る。
【0054】
例えば、絶縁体368は、プラスチック、セラミック、およびほうろうからなる群から選択される材料を含み得る。さらに、例えば、絶縁体368は、切断電極部364の厚さおよび/または凝固電極部366の厚さに等しいまたはよりも厚い、厚さを有し得る。ある例では、絶縁体368は、約0.1ミリメートル(mm)~約0.5mmの幅を有し得る。このことは、切断電極部364および凝固電極部366を互いに電気的に絶縁することを支援し得る。切断電極部364および凝固電極部366を絶縁体364によって分離することは、有益であるが、別の例では、切断電極部364および凝固電極部366は、空隙によって分離され得る。
【0055】
図3A~3Cでは、切断電極部364は、電気外科用器具112から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されており、凝固電極部366は、電気外科用器具112から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている。例えば、切断電極部364の表面積は、凝固電極部366の表面積よりも小さくてもよい。このことは、電気外科用エネルギーを切断電極部364に印加する場合、比較的大きな電気外科用エネルギー密度を実現し、電気外科用エネルギーを凝固電極部366に印加する場合、比較的小さな電気外科用エネルギー密度を実現することを支援し得る。比較的大きな電気外科用エネルギー密度が、切断手術中の性能改善を支援し、比較的小さな電気外科用エネルギー密度が、凝固手術中の性能改善を支援し、切断電極部364および凝固電極部366の相対的サイズが、電気外科用器具112の性能向上を支援し得る。
【0056】
ある例では、切断電極部364の表面積は、凝固電極部366の表面積の約5パーセント~約50パーセントである。別の例では、切断電極部364の表面積は、凝固電極部366の表面積の約5パーセント~約35パーセントである。別の例においては、切断電極部364の表面積は、凝固電極部366の表面積の約10パーセント~約25パーセントである。
【0057】
切断電極部364および凝固電極部366は、切断電極部364を使用して切断手術を、および/または、凝固電極部366を使用して凝固手術を改善するために、種々の形状を追加的または代替的に有し得る。例えば、図3Cで示されているように、電気外科用電極128は、近位端360と遠位端362との間に延在する第1の側部372と、近位端360と遠位端362との間に延在する第2の側部374と、第1の側部372と第2の側部374との間の第1の横方向界面に位置する第1の縁部376と、第1の側部372と第2の側部374との間の第2の横方向界面に位置する第2の縁部378と、を含み得る。第1の側部372および第2の側部374は、第1の縁部376および第2の縁部378を通って延在する中間面380の両側にある。切断電極部364は、第1の縁部376を含み、凝固電極部366は、第2の縁部378を含む。
【0058】
図3Cで示されているように、第1の縁部376は、第2の縁部378よりも薄く鋭利である。このことは、電気外科用エネルギーを切断電極部364に印加する場合、比較的大きな電気外科用エネルギー密度を実現し、電気外科用エネルギーを凝固電極部366に印加する場合、比較的小さな電気外科用エネルギー密度を実現することを追加的または代替的に支援し得る。このように、切断電極部364の第1の縁部376は、切断手術に、凝固電極部366の第2の縁部378よりも比較的良好な性能を達成することを支援し、凝固電極部366の第2の縁部378は、凝固手術に、切断電極部364の第1の縁部376よりも比較的良好な性能を達成することを支援し得る。
【0059】
上述したように、絶縁体368は、切断電極部364と凝固電極部366との間の電気的結合を分離し阻止する。一例では、長手方向軸が、近位端360から遠位端362に向かって延在し、長手方向軸に沿って、切断電極部364および凝固電極部366は、約0.1mm~約0.5mmで離されている。この分離距離は、切断電極部364と凝固電極部366との間の電気的結合を阻止することを支援し得る。
【0060】
例の中でも、切断電極部364および/または凝固電極部366は、シリコーン、シロキサン、および、テフロン(登録商標,PTFE)から選択される少なくとも1つの材料を含む、非付着性材料(比較的低い摩擦係数を有する材料)で被覆され得る。これは、組織の電気外科用電極128への付着を軽減することを支援し得る。組織が電気外科用電極に付着すると、組織は、電極の有効サイズおよび/または形状を変化させ得る。そのため、組織付着は、比較的狭い高精度な切開を行うことを害し、そのため、電気外科的処置の品質および/または速さに悪影響を与え得る。しかしながら、比較的低い摩擦係数を有する非付着性材料を用いた切断電極部364および凝固電極部366は、電気外科用電極128が、電気手術中に目標組織を貫通して移動するとき、電気外科用電極128への組織付着を軽減することを支援し、電気外科的処置の品質および/または速さを改善し得る。
【0061】
いくつかの実施例では、切断電極部364および/または凝固電極部366は、例えば、高分子材料および/またはフッ化炭素材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などの絶縁性材料で追加的または代替的に被覆され得る。一例では、絶縁性材料層は、コーティング(例えば、絶縁エナメル)であり得る。
【0062】
上述のように、電気外科用電極128の近位端360は、電気外科用エネルギーを電気外科用器具112から受けることができる。例えば、上述したように、電気外科用電極128は、取り外し可能な連結(例えば、摩擦嵌合またはねじ連結)または取り外し可能でない連結(例えば、溶接および/またははんだ付けにより)によってレセプタクル137に結合され得る。一実施態様では、レセプタクル137は、摩擦嵌合連結によって、電気外科用電極128の近位端360に取り外し可能に連結するように構成されている。
【0063】
例の中でも、電気外科用器具112および電気外科用電極128は、電気外科用エネルギーを、(i)切断電極部364のみに、(ii)凝固電極部366のみに、および/または、(iii)切断電極部364および凝固電極部366の両方に、選択的に印加する。このことは、切断電極部364および凝固電極部366を電気外科用発電機110に結合するための複数の電子回路を有する電気外科用器具112を提供することによって、達成され得る。
【0064】
図4は、一例による、電気外科システム100の概略的な回路図を示している。図4に示されている例では、電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が切断手術で運転されている場合、切断電極部364を通し、凝固電極部366を通さず伝導され、電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が凝固手術で運転されている場合、凝固電極部366を通し、切断電極部364を通さず伝導される。
【0065】
例えば、図4では、少なくとも1つのユーザ入力装置130は、電気外科用発電機110に電気外科用エネルギーを切断電極部364に供給させるように動作可能な、第1のユーザ入力装置430Aを含む。さらに、図4では、少なくとも1つのユーザ入力装置130は、電気外科用発電機110に電気外科用エネルギーを凝固電極部366に供給させるように動作可能な、第2のユーザ入力装置430Bを含む。第1のユーザ入力装置430Aは、(図2に示されている)第1のボタン230Aによって動作可能であり切断手術モードで電気外科用器具112を動作させる、第1のスイッチを含み、(図2に示されている)第2のボタン230Bによって動作可能であり凝固手術モードで電気外科用器具112を動作させる、第2のスイッチを含み得る。
【0066】
上述のように、電気外科用器具112は、電源コード122、筐体導電体134、および電気外科用電極128を電気外科用発電機110に結合するための導電性リード136から選択された少なくとも1つの導電体を含み得る。図4では、少なくとも1つの導電体は、切断電極部364を電気外科用発電機110に結合するように構成された第1の導電体482と、凝固電極部366を電気外科用発電機110に結合するように構成された第2の導電体484と、を含む。
【0067】
少なくとも1つの導電体は、電気外科用発電機110を第1のユーザ入力装置430Aの第1のスイッチに電気的に結合する第3の導電体486をさらに含む。第1のユーザ入力装置430Aの第1のスイッチは、開かれた状態と閉じられた状態との間を動作可能である。第1のスイッチの開かれた状態では、第3の導電体486は、第1の導電体482および切断電極部364から切り離されている。第1のスイッチの閉じられた状態では、第3の導電体486は、第1の導電体482および切断電極部364に結合されている。
【0068】
図4では、第3の導電体486は、電気外科用発電機110を第2のユーザ入力装置430Bの第2のスイッチにさらに電気的に結合する。第2のユーザ入力装置430Bの第2のスイッチは、開かれた状態と閉じられた状態との間を動作可能である。第2のスイッチの開かれた状態では、第3の導電体486は、第2の導電体484および切凝固電極部366から切り離されている。第2のスイッチの閉じられた状態では、第3の導電体486は、第2の導電体484および切断電極部364に結合されている。
【0069】
この構成では、ユーザ入力装置430Aの第1のスイッチが、閉じられた状態に動作させられ、第2のユーザ入力装置430Bの第2のスイッチが開かれた状態に留まっているとき、電気外科用発電機110は、電気外科用エネルギーを切断電極部364に供給し、凝固電極部366に供給しない。一方、第2のユーザ入力装置430Bの第2のスイッチが、閉じられた状態に動作させられ、第1のユーザ入力装置430Aの第1のスイッチが開かれた状態に留まっているとき、電気外科用発電機110は、電気外科用エネルギーを凝固電極部366に供給し、切断電極部364に供給しない。
【0070】
したがって、切断手術モードでは、電気外科用器具112は、電気外科用エネルギーを、少なくとも1つの導電体から電気外科用電極128の切断電極部364に供給し、電気外科用電極128の凝固電極部366には供給しない。一方、凝固手術モードでは、電気外科用器具112は、電気外科用エネルギーを、少なくとも1つの導電体から電気外科用電極128の凝固電極部366に供給し、電気外科用電極128の切断電極部364には供給しない。
【0071】
図4に示されているように、電気外科システム100は、分散電極488および分散電極488を電気外科用発電機110に連結する複数の戻り導電体490をさらに含み得る。分散電極488および戻り導電体490は、電流を患者から電気外科用発電機110に戻らせ得る。
【0072】
図4に示されている例では、電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が切断手術モードで運転されている場合、切断電極部364を通し、凝固電極部366を通さず伝導され、電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が凝固手術モードで運転されている場合、凝固電極部366を通し、切断電極部364を通さず伝導される。しかしながら、別の例では、電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が凝固手術モードで運転されている場合、凝固電極部366および切断電極部364の両方を通して伝導され得る。
【0073】
図5は、そのような一例による、電気外科システム100の概略的な回路図を示している。図5の概略的な回路図は、電気外科システム100が、第2のユーザ入力装置430Bの第2のスイッチが閉じられた状態に動作させられているとき、切断電極部364を電気外科用発電機110に電気的に結合することを提供する、第4の導電体592をさらに含むこと以外は、図4の概略的な回路図と実質的に同様または同一である。
【0074】
したがって、図5に示されている構成では、(i)電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が切断手術モードで運転されている場合、切断電極部364を通し、凝固電極部366を通さず伝導され、(ii)電気外科用エネルギーは、電気外科用器具112が凝固手術モードで運転されている場合、凝固電極部366をおよび切断電極部364を通して伝導される。このことは、電気外科用エネルギーを伝導する電気外科用電極128の表面積を増大させ、そのため、電気外科用器具112を凝固手術モードで使用する場合、電気外科用エネルギーの密度を減少させることを支援し得る。
【0075】
上述のように、切断電極部364と凝固電極部366との間に絶縁体368を配置することは、切断電極部364と凝固電極部366との間を電気外科用エネルギーが導電させられることを阻止することを支援し得る。このことは、種々の手術モードにより、電気外科用電極128の異なる部分を選択的に作動させることを可能にし得る。
【0076】
いくつかの実施例では、切断電極部364と凝固電極部366との間の絶縁体368は、電気外科手術に関する1つまたは複数の状態を感知し得るセンサの機能をはたす電気外科用電極128を追加的または代替的に提供し得る。例えば、一例では、電気外科用発電機110は、切断電極部364および凝固電極部366の電気特性を使用して目標組織のインピーダンスを測定し得る。図4を参照すると、ユーザ入力装置430Aが動作させられ、切断電極部364がアクティブになっている例では、第2の導電体484の高インピーダンスは、開回路ではないが、比較的少ない電流を切断電極部364から凝固電極部366へ通過させること許容するために使用され得る。上述のように、切断電極部364と凝固電極部366との間の絶縁体368をバイパスするために、電流は、切断電極部364および凝固電極部366に隣接する組織の一部を通過しなければならない。この比較的小さな電流は、組織を通過し、電気外科用発電機110に戻ることになる。
【0077】
電気外科用発電機110は、次に、この電流を、例えばインピーダンス、電圧、容量、および/または、インダクタンスなどの電気的特性を測定するために使用し得る。電気外科用発電機110は、測定された電気的特性に基づいて、電気外科用電極128が電気外科用エネルギーを印加した組織の特性(例えば、組織のインピーダンス、組織の含水量、組織の密度、組織の脂肪含量、および/または、組織の温度)を決定し得る。追加的または代替的に、電気外科用発電機110は、測定された電気的特性を使用して、電気外科用器具112に供給される電気外科用エネルギーの出力および/または波形を設定および/または修正し得る。このようにして、電気外科用電極128は、電気外科用装置112が使用されている間に、組織の測定機能を有利に提供し得る。
【0078】
別の例では、これまで同様、切断電極部364作動させて、第2の導電体484での高インピーダンスを使用するよりむしろ、電気外科用発電機110は、最小抵抗の経路が切断電極部364から隣接する組織を通り凝固電極部366へと絶縁層368をバイパスするように、2つの極の機能をはたす切断電極部364および凝固電極部366を含む回路を断続的に形成し得る。電気外科用発電機110は、この回路を使用して、電気的特性を測定し、電気的特性に基づいて、上述したような組織の特性を決定し得る。この測定は、切断性能が大幅に影響を及ぼされないように、ミリ秒オーダーでなされ得る。
【0079】
別の例では、電気外科用電極128のアクティブな部分(例えば、切断電極部364および/または凝固電極部366から選択された電気外科用エネルギーを供給されている部分)と、戻り電極488との間の電気的特性が、電気外科用発電機110内部で測定される。例えば、電極128に隣接する組織のインピーダンスが、電気外科用電極128のアクティブな部分と戻り電極488との間のインピーダンスに加えて、測定され得る。複数の測定を通して、電気外科用電極128のアクティブな部分から患者を通って戻り電極488戻る間のインピーダンスは平均化され、インピーダンスの識別可能な変化が電気外科用電極128のアクティブな部分に隣接する組織に明確に関連付けられる。
【0080】
図6は、そのような一例による、電気外科システム100の概略的な回路図を示している。図6の概略的な回路図は、電気外科システム100が、切断電極部364および凝固電極部366の両端間での電気的特性(例えば、インピーダンス、電圧、位相、容量、および/または、インダクタンス)を測定することを提供するセンサ694をさらに含む点が異なり、それ以外は、図4の概略的な回路図と実質的に同様または同一である。いくつかの実施態様では、センサ694は、電気外科用発電機110内に配置される。いくつかの実施態様では、センサ694は、電気外科用器具112内に配置される。いずれの実施態様でも、センサ694は、センサ694によって測定される電気的特性を示すセンサ信号を生成し得る。センサ694は、センサ信号を、電気外科用発電機110にさらに送信し、電気外科用発電機110は、センサ信号に基づいて組織の特性を決定し、上述したように電気外科用器具112に供給される電気外科用エネルギーの出力および/または波形を設定および/または修正し得る。
【0081】
上述のように、電気外科用発電機110は、例えば、電気的特性を測定するステップと、組織の特性を決定するステップと、電気外科用エネルギーの波形および/または出力を設定するステップと、および/または、電気外科用エネルギーの波形および/または出力を修正するステップと、を含む多様な工程を遂行し得る。例の中でも、電気外科用発電機110は、少なくともこれらの工程を実行するように構成された1つまたは複数のコントローラを含み得る。コントローラは、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを使用して実装され得る。例えば、コントローラは、1つまたは複数のプロセッサおよび機械語命令または他の実行可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、揮発性および/または不揮発性メモリ)を含み得る。命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、電気外科用発電機110に、本明細書で示された多様な工程を実行させる。コントローラは、そのため同様に、データを受信し、メモリ内にデータを記憶させ得る。
【0082】
ここで図7を参照すると、一例による電気外科用器具の電気外科用電極を製造する工程700のフローチャートが示されている。図7で示されているように、工程700は、ブロック710で切断電極部を形成するステップと、ブロック712で凝固電極部を形成するステップと、ブロック714で切断電極部および凝固電極部の間に絶縁体を配置するステップと、ブロック716で切断電極部を凝固電極部に、切断電極部および凝固電極部の間の絶縁体と共に連結するステップと、を含む。切断電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を切断するように構成されている。凝固電極部は、電気外科用器具から受けた電気外科用エネルギーを使用して、組織を凝固させるように構成されている。
【0083】
種々の有益な構成の説明が、図解および説明を目的として提示されてきたが、開示された形態の例を網羅または限定されることは意図されていない。多くの変形例および変形形態が、当業者には明白であろう。また、種々の有益な例は、他の有益な例とは異なる利点を説明し得る。選択された例または複数の例は、例の原理、実際的な用途を説明するために、および他の当業者が、多様な変形例を伴う多様な例に関する本開示が意図されている特定の使用方法に好適であることを理解できるように、選択され記述されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】