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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】パッチ配置デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20230213BHJP
   A61M 29/00 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61M29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518810
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2020076624
(87)【国際公開番号】W WO2021058602
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】19382814.2
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520353053
【氏名又は名称】インスティテュート キミセ デ サリア セツ ファンダシオ プリバーダ
(71)【出願人】
【識別番号】522114265
【氏名又は名称】オスピタル クリニック デ バルセロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギル、アレハンドロ アランダ
(72)【発明者】
【氏名】グラナダ、アンドレス - アマドール ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、ジョルディ マルトレル
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ、ヴィセンテ リアムバウ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM32
4C160MM33
4C160NN04
4C267AA80
4C267BB02
4C267BB26
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE03
4C267GG24
4C267GG33
4C267HH08
(57)【要約】
本発明は、近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、複数の配置ワイヤであって、各配置ワイヤは、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部及び第2の端部はプッシャワイヤの遠位端に接続されており、カテーテル内に位置決めされそこに拘束されたとき非拡張状態になるように構成され、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないとき拡張状態に自己拡張するように構成されており、拡張状態にあるときワイヤの少なくとも一部は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされ、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき非対称の形態を有する、複数の配置ワイヤとを備えるパッチ配置デバイスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、
複数の配置ワイヤと
を有するパッチ配置デバイスであって、
各配置ワイヤは、
(iii)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部及び前記第2の端部は前記プッシャワイヤの前記遠位端に接続されており、また
(iv)カテーテル内に位置決めされ且つ拘束されているときに非拡張状態になるように構成され、また前記カテーテルの遠位端を越えて位置決めされ、且つ拘束されていないときに拡張状態に自己拡張するように構成されており、前記拡張状態において、前記ワイヤの少なくとも一部が、前記プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされ、且つ前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき非対称の形態を有している、パッチ配置デバイス。
【請求項2】
前記複数のワイヤの各々の少なくとも一部がパッチアプリケータを共同で形成し、
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータを横切って延びる第1の方向に沿って、基準面からの前記パッチアプリケータの距離は実質的に一定であり、
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータを横切って延びる第2の方向に沿って、前記基準面からの前記パッチアプリケータの距離は変化している、請求項1に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項3】
近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、
複数の配置ワイヤと
を有するパッチ配置デバイスであって、
各配置ワイヤは、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部及び前記第2の端部は前記プッシャワイヤの前記遠位端に接続されており、
(ii)カテーテル内に位置決めされ且つ拘束されているときに非拡張状態になるように構成され、また前記カテーテルの遠位端を越えて位置決めされ、且つ拘束されていないときに拡張状態に自己拡張するように構成されており、
前記複数のワイヤの各々の少なくとも一部がパッチアプリケータを共同で形成し、
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータを横切って延びる第1の方向に沿って、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に垂直な平面からの前記パッチアプリケータの距離は実質的に一定であり、また
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータを横切って延びる第2の方向に沿って、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に垂直な前記平面からの前記パッチアプリケータの距離は変化している、パッチ配置デバイス。
【請求項4】
前記拡張状態において、前記複数のワイヤの各々の少なくとも一部は、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき非対称の形態を有している、請求項3に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項5】
前記基準面は、前記プッシャワイヤ又は請求項2に記載のデバイスの前記長手方向軸に垂直な平面であり、前記基準面は、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に垂直な平面である、請求項3又は4に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項6】
前記第1の方向は前記第2の方向に垂直である、請求項2から5までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項7】
前記第2の方向に沿って、前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき前記基準面からの前記パッチアプリケータの前記距離は、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸からの距離が増大するのにつれて増大する、請求項2から6までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項8】
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータは、前記パッチアプリケータの遠位の地点に関して凹形状を有している、請求項2から7までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項9】
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータは、最大直径Dを有し、前記第2の方向に沿って、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に垂直な前記平面からの前記パッチアプリケータの前記距離は、0.05Dを超えて変化している、請求項2から8までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項10】
前記複数の配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、前記パッチアプリケータは、最大直径Dを有し、前記第2の方向に沿って、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に垂直な前記平面からの前記パッチアプリケータの前記距離は、0.3D未満だけ変化している、請求項2から9までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項11】
前記複数の配置ワイヤは、前記拡張状態にあるとき、それらが共同でリングを形成するように配置されている、請求項1から10までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項12】
前記複数のワイヤは、前記拡張状態にあるとき、それらが共同で別のリングを形成するように配置され、前記リングと前記別のリングは実質的に同心である、請求項11に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項13】
前記複数の配置ワイヤは、前記プッシャワイヤを移動させることによって、前記カテーテル内の前記非拡張状態から前記カテーテルの前記遠位端を越えた前記拡張状態まで可動である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項14】
前記複数の配置ワイヤの各配置ワイヤは、前記拡張状態において同じ形態を有している、請求項1から13までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項15】
前記複数の配置ワイヤは、前記拡張状態にあるとき、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸の周りに均等に分散されるように配置されている、請求項1から14までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項16】
非対称の形態を有する前記ワイヤの前記一部は、第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分を有し、前記第1の湾曲部分は、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸の周りで周方向に前記第2の湾曲部分に重なり、前記第1の湾曲部分は凸状であり、前記第2の湾曲部分は凹状であり、前記第1の湾曲部分及び前記第2の湾曲部分は接続部分を介して接続されている、請求項1から15までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項17】
前記第1の湾曲部分は、前記第2の湾曲部分の最小曲率半径より小さい最小曲率半径を有している、請求項16に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項18】
前記第1の湾曲部分は、前記第2の湾曲部分の最小曲率半径より大きい最小曲率半径を有している、請求項16に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項19】
前記複数の配置ワイヤの各配置ワイヤは、前記配置ワイヤの前記第1の湾曲部分が、前記プッシャワイヤの前記長手方向軸に実質的に平行な方向において、隣接する配置ワイヤの前記第2の湾曲部分に重なるように配置される、請求項16から18までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項20】
前記複数の配置ワイヤは、ニチノールを含む、請求項1から19までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項21】
前記ニチノールは、28℃以下のオーステナイト終了温度を有する、請求項20に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項22】
前記複数の配置ワイヤは、20個以下の配置ワイヤを有する、請求項1から21までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項23】
前記複数の配置ワイヤは、2個以上の配置ワイヤを有する、請求項1から22までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項24】
前記複数の配置ワイヤは、8つの配置ワイヤを有する、請求項1から23までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項25】
前記複数の配置ワイヤは、0.127mm以上の直径を有する、請求項1から24までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項26】
前記複数の配置ワイヤは、0.508mm以下の直径を有する、請求項1から25までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項27】
前記複数の配置ワイヤは、前記複数の配置ワイヤの各配置ワイヤが前記拡張状態にあるとき、70mm以下の最大直径を有する、請求項1から26までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項28】
前記複数の配置ワイヤの各々の別の部分は、前記複数の配置ワイヤの各々の長さの少なくとも30%が、前記プッシャワイヤの前記遠位端を越えて前記プッシャワイヤの前記長手方向軸の突起部に沿って配置されるように、前記プッシャワイヤの前記長手方向に沿って配置される、請求項1から27までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項29】
前記複数の配置ワイヤに解放可能に装着されたパッチをさらに有する、請求項1から28までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項30】
前記パッチは、1つの糸によって前記複数の配置ワイヤに装着され、前記1つの糸は、前記パッチに関連付けられた複数のループに通される、請求項29に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項31】
前記カテーテルは、30Fr以下のサイズを有する、請求項1から30までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項32】
前記カテーテルは、6Fr以上のサイズを有する、請求項1から31までのいずれか一項に記載のパッチ配置デバイス。
【請求項33】
請求項1から28までのいずれか一項、又は請求項1から28までのいずれか一項に従属する場合の請求項31若しくは32に記載のパッチ配置デバイスと、
パッチと
を有するパッチ配置システムであって、前記パッチは、前記パッチ配置デバイスに装着可能である、パッチ配置システム。
【請求項34】
前記カテーテルをさらに有し、前記プッシャワイヤは前記カテーテル内に移動可能に位置決めされ得る、請求項33に記載のパッチ配置システム。
【請求項35】
請求項29若しくは30、又は請求項29若しくは30に従属する場合の請求項31若しくは32に記載のパッチ配置デバイスと、
前記カテーテルと
を有するパッチ配置システムであって、前記プッシャワイヤは前記カテーテル内に移動可能に位置決めされ得る、パッチ配置システム。
【請求項36】
請求項1から28までのいずれか一項、又は請求項1から28までのいずれか一項に従属する場合の請求項31若しくは32に記載のパッチ配置デバイスと、
前記カテーテルと
を有するパッチ配置システムであって、前記プッシャワイヤは前記カテーテル内に移動可能に位置決めされ得る、パッチ配置システム。
【請求項37】
パッチをさらに有し、前記パッチは前記パッチ配置デバイスに装着可能である、請求項36に記載のパッチ配置システム。
【請求項38】
前記複数の配置ワイヤを前記拡張状態から前記非拡張状態になるように前記カテーテル内に引き込むときに使用するためのファネルをさらに有する、請求項33から37までのいずれか一項に記載のパッチ配置システム。
【請求項39】
前記パッチが生体吸収性である、請求項29若しくは30、又は請求項29若しくは30に従属する場合の請求項31又は32に記載のパッチ配置デバイス、或いは請求項33、34、35若しくは37のいずれか一項、又は請求項33、34、35若しくは37のいずれか一項に従属する場合の請求項38に記載のパッチ配置システム。
【請求項40】
前記パッチが、生体吸収性接着剤をさらに有する、請求項29、30若しくは39、又は請求項29若しくは30に従属する場合の請求項31若しくは32に記載のパッチ配置デバイス、或いは請求項33、34、35若しくは37のいずれか一項、又は請求項33、34、35若しくは37のいずれか一項に従属する場合の請求項38に記載のパッチ配置システム。
【請求項41】
パッチを適用する方法であって、
(vii)前記カテーテル内に前記非拡張状態で前記複数の配置ワイヤを備える、請求項29に記載のパッチ配置デバイスを提供するステップと、
(viii)前記カテーテルの前記遠位端をパッチ適用場所に位置決めするように患者の中に前記カテーテルを挿入するステップと、
(ix)前記プッシャワイヤを移動させて、前記複数の配置ワイヤを前記カテーテル内の前記非拡張状態から前記カテーテルの前記遠位端を越えた前記拡張状態まで移動させるステップと、
(x)前記パッチ適用場所に前記パッチを適用するステップと、
(xi)前記複数の配置ワイヤから前記パッチを解放するステップと、
(xii)前記プッシャワイヤを移動させて、前記複数の配置ワイヤを前記拡張状態から前記非拡張状態まで移動させるステップと、
(xiii)前記カテーテルを前記患者から取り外すステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の中にパッチを配置するためのパッチ配置デバイス(patch deployment device)に関し、特に患者の中の損傷した組織にパッチを配置するためのパッチ配置デバイスに関する。本発明はさらに、このパッチ配置デバイスと、配置するパッチとを有するパッチ配置システム、及び/又はパッチ配置デバイスと共に使用するファネルに関する。本発明はさらに、パッチを適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内にパッチを位置決めすることは、医療処置の分野で有益である。パッチは、治療薬を送達するために使用することができ、又は損傷した組織を修復するために使用される場合もある。例えば、裂け目の上にパッチを適用し、これにより裂け目からの血液の流出及び裂け目から生じる潜在的な大動脈解離を阻止することによって、大動脈における裂け目を治療することが近年提案されている。パッチを低侵襲的に適用するために、それはできるだけ小さい切開部を通して体内に導入され、影響がある領域に対して無事に、且つ安全に適用される必要がある。本発明はこのような要望に対処するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際出願第PCT/EP2019/056358号
【発明の概要】
【0004】
本発明は、近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、複数の配置ワイヤであって、各配置ワイヤは、(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部及び第2の端部はプッシャワイヤの遠位端に接続されており、(ii)カテーテル内に位置決めされそこに拘束されているとき非拡張状態であるように構成され、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないとき拡張状態に自己拡張するように構成されており、拡張状態において、ワイヤの少なくとも一部は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に位置決めされ、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき非対称の形態を有する、複数の配置ワイヤとを備えるパッチ配置デバイスを提供する。
【0005】
このパッチ配置デバイスは、患者の中に挿入し易くするために非拡張構成を採ることが可能であり、その後、パッチが適用されるべき場所にあるとき、拡張位置を採ることが可能である。これは、パッチを患者の内側の面に適用することに関連する外傷を最小限にする。
【0006】
さらに、各配置ワイヤが第1の端部と第2の端部の間に延在しており、この場合端部は、プッシャワイヤの遠位端に接続され、これらの端部の間に非対称の形態を有することで、自己拡張するときに配置ワイヤが非対称の力を受けることになる。これは、デバイスの配置に対する回転局面をもたらし、そのため、パッチ配置デバイスを拡張するときにカテーテルの遠位端の周りに必要とされるヘッドスペースの量を削減する。換言すると、非対称のループ状の構造が存在することで、配置ワイヤに対する非対称の力が生じ、これにより、配置ワイヤが自己拡張するときに対応する非対称の動きが生じることになる。これは、配置ワイヤが、効率的なやり方で非拡張状態から拡張状態に移動することを可能にする。これは、拡張が生じるためにカテーテルの遠位端の周りに必要とされる自由体積が削減され、このことは、患者の体内の限られた空間の中にデバイスを使用し易くすることを意味する。
【0007】
本発明はさらに、近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、複数の配置ワイヤであって、各配置ワイヤは、(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部及び第2の端部はプッシャワイヤの遠位端に接続されており、(ii)カテーテル内に位置決めされそこに拘束されているとき非拡張状態であるように構成され、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないとき拡張状態に自己拡張するように構成されており、複数のワイヤの各々の少なくとも一部は、パッチアプリケータを共同で形成し、複数の配置ワイヤが拡張状態にあるとき、パッチアプリケータを横切って延びる第1の方向に沿って、プッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面からのパッチアプリケータの距離は実質的に一定であり、複数の配置ワイヤが拡張状態にあるとき、パッチアプリケータを横切って延びる第2の方向に沿って、プッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面からのパッチアプリケータの距離は変化する、複数の配置ワイヤとを備えるパッチ配置デバイスを提供する。
【0008】
パッチ配置デバイスはまた、患者の中に挿入し易くするために非拡張構成を採ることが可能であり、その後、パッチが適用されるべき場所にあるとき、拡張位置を採ることが可能である。これは、パッチを患者の内側の面に適用することに関連する外傷を最小限にする。
【0009】
さらに、基準面からのパッチアプリケータの変化する距離は、特定のパッチ用途のシナリオのためにパッチ配置デバイスを調整させることを可能にする。詳細には、パッチを患者に適用するとき、調整させた量の圧力の印加がパッチの領域に加えられることを可能にし、患者へのパッチの改善された密着を実現することができる。
【0010】
一般に、パッチ配置デバイスは、治療パッチなどのパッチと共に使用することが可能であり、患者の体内の必要な場所にこのパッチを配置するのに使用することができるデバイスである。
【0011】
プッシャワイヤは、その近位端からその遠位端まで力を伝達することが可能なワイヤである。そのような力は、パッチ配置デバイスのユーザによってプッシャの近位端に加えられる押す力又は引っ張る力であり得る。パッチ配置デバイスの典型的なユーザは、パッチ配置デバイスからのパッチの適用を伴う処置を行う外科医であり得る。
【0012】
用語「近位」及び「遠位」は、外科医など、パッチ配置デバイスのユーザに対して使用される。この方法において、構成要素の近位部分は、使用する際の構成要素の遠位部分よりユーザに近い。
【0013】
上記で指摘したように、プッシャワイヤは、近位端及び遠位端を有する。これらの2つの端部は、ワイヤの遠く離れた先端を表す。ワイヤは、その端部の一方から他方に力を伝達するための任意の好適な材料で作成することができる。プッシャワイヤに関して可能性のある材料は、ステンレス鋼である。プッシャワイヤに関して別の可能性のある材料は、ニチノールなどのニッケルーチタン合金である。プッシャワイヤに関してさらに可能性のある材料は、アルミニウム又は任意の好適な金属合金を含む。
【0014】
パッチ配置デバイスは、複数の配置ワイヤを有する。配置ワイヤは、デバイスによって実行される配置行為に関与するワイヤである。詳細には、配置ワイヤは、配置されているパッチと直接接触することができる。配置ワイヤは各々、ワイヤの形態を有する。すなわち、配置ワイヤの各々は細長い形態を有する。
【0015】
配置ワイヤは、患者の中で自己拡張することが可能な任意の材料で作成することができる。換言すると、任意の材料は、カテーテルの中で拘束され、その後、中立の拡張状態に弾性式に拡張することができる。そのような材料は、弾性材料、超弾性材料及び形状記憶材料を含み、一部のプラスチック、金属合金又は複合金属などを含む。
【0016】
複数の配置ワイヤの各々は第1の端部及び第2の端部を有する。第1の端部及び第2の端部は、ワイヤの長さに沿ったそれぞれの限界点である。各配置ワイヤの第1の端部及び第2の端部は、プッシャワイヤの遠位端に接続される。それぞれの端部が他の構成要素に接続されていることについて言及するとき、これは、それぞれの構成要素の端部における部分が、言及される構成要素に接続されていることを包含するようにみなされる。換言すると、配置ワイヤの第1の端部に隣接する部分及び第2の端部に隣接する部分は、プッシャワイヤの遠位端に隣接する部分に接続される。端部に隣接する部分は、それぞれの端部から離れるワイヤの全長の10%以下、好ましくは5%以下、さらにより好ましくは2%以下に延在する部分に関する。
【0017】
各配置ワイヤの第1の端部及び第2の端部は、プッシャワイヤの遠位端に接続されるため、各配置ワイヤは、それがプッシャワイヤの遠位端において第1の端部に接続されるループ状の形態を有し、それは次いで、プッシャワイヤから離れるようにその長さに沿って延在し、その後、第2の端部においてにプッシャワイヤの遠位端に接続されるように元に戻る。プッシャワイヤの遠位端に接続された各配置ワイヤの2つの端部を有することで、2つの端部の間に延在する配置ワイヤの安定性を高め、よってパッチ適用処置の安定性を高め、この場合、配置ワイヤは、必要とされる適用場所にパッチを密着させるのを補助するために、患者の中の適用場所に当ててパッチに特定の力を加えるために使用される。
【0018】
配置ワイヤの第1の端部及び第2の端部とプッシャワイヤの遠位端との間の接続は、任意の好適な手段によって達成することができる。接続は、接着剤によって実現されてもよい。配置ワイヤは、くくられる、溶接される、又はプッシャワイヤの遠位端にはんだ付けされてもよい。接続は、プッシャワイヤの遠位端において配置ワイヤの端部を囲むスリーブなどの圧縮取り付け具によって実現されてもよい。この方法において、スリーブは、プッシャワイヤの端部をプッシャワイヤの遠位端に当てて保持し、よってそれらを所定の場所に固定する。
【0019】
配置ワイヤの各々は、カテーテル内に位置決めされそこに拘束されているとき非拡張状態になるように構成される。配置ワイヤは、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないとき拡張状態に自己拡張するように構成される。この様式において、複数の配置ワイヤは、それらがカテーテルに嵌合するために拘束されたときはカテーテルに嵌合することができるが、その後、それらが拘束されていないときは中立構成に戻ることができる構成を採ることができる。この方法において、中立状態(すなわち複数の配置ワイヤが、外部の力を使用して配置ワイヤの端部をプッシャワイヤの遠位端に接続する以外に、いかなる外部の力も受けていない状態)は、いわゆる拡張状態である。拡張状態において、複数の配置ワイヤは、患者の中の適用場所にパッチを適用するために利用される構成にある。用語「非拡張状態」は、拡張状態と対照的に使用されるが、複数の配置ワイヤが、カテーテルの内壁によって囲まれていることなどによって外部の拘束力を受ける状態を指す。
【0020】
配置ワイヤが拡張状態に自己拡張する能力は、拘束されたときに非拡張状態になるように、弾性式に変形される配置ワイヤの能力に基づいている。配置ワイヤはその後、外部の力が取り除かれたとき、弾性式に拡張状態に戻ることができる。この方法において、拘束された構成でカテーテル内に位置決めされる複数の配置ワイヤは、複数の配置ワイヤがカテーテルから外に、すなわちカテーテルの遠位端を超えて押し出され、それらは外部の力によって拘束されていないとき、拡張状態に移動することができる。
【0021】
カテーテルは、パッチ配置デバイスと共に使用することができる管であり、その中に複数の配置ワイヤ及びプッシャワイヤを配置することができる。カテーテルは、任意の好適な形態を有してもよく、商業的カテーテルであってよい。詳細には、カテーテルは、患者の体内で使用することができる好適な材料で作成されるべきである。カテーテルは、その遠位端に開口を有することで、複数の配置ワイヤがカテーテルから外に押し出されてよい。
【0022】
複数のカテーテルが、パッチ配置デバイスと共に使用されてもよい。例えば、パッチ配置デバイスは、2つのカテーテルと共に使用することができる。詳細には、パッチ配置デバイスは、ここではアプライアカテーテルと呼ばれる内側カテーテル、及びここではガイダーカテーテルと呼ばれる外側カテーテルと共に使用することができる。パッチ配置デバイスは、その非拡張状態になるようにアプライアカテーテル内に拘束することができ、その拡張状態になるようにアプライアカテーテルから出るように配置することができる。ガイダーカテーテルは、必要とされる適用場所にアプライアカテーテルを移動させるのを補助することができる。ガイダーカテーテルは、必要とされる適用場所に到達するのをさらに補助するために操縦可能な先端を有してよい。
【0023】
配置ワイヤが、その非拡張状態にあるとき、それは、プッシャワイヤの長手方向軸からの配置ワイヤの最大距離が、拡張状態における最大距離より小さくなるように構成される。この方法において、配置ワイヤはカテーテルに嵌合することができる。
【0024】
配置ワイヤが拡張状態にあるとき、配置ワイヤの各々は、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき、非対称の形態を有してよい。配置ワイヤの各々の少なくとも一部は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に位置決めされてよい。この様式において、複数の配置ワイヤは、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な表面を形成し、この表面はその後、患者の中のパッチ適用場所にパッチを押しつけるのに使用することができる。よって、この構成は、パッチをそれが必要と場所に確実に配置するのを補助する。
【0025】
プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に位置決めされる各配置ワイヤの一部は、配置ワイヤの全長の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%であってよい。これは、パッチ適用面としての配置ワイヤの有効な使用を可能にする。プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に位置決めされる各配置ワイヤの一部は、少なくとも30%又は少なくとも40%であってよい。
【0026】
各配置ワイヤのかなりの部分が、複数の配置ワイヤが拡張状態にあるときプッシャワイヤの長手方向軸に沿って配置されてよい。この方法において、配置ワイヤのこの区域は、複数の配置ワイヤのパッチアプリケータ部に追加の支持を与える。プッシャワイヤの長手方向軸に沿って配置されている配置ワイヤは、プッシャワイヤの遠位端を超えてプッシャワイヤの長手方向軸の突起部の周りに配置されている配置ワイヤを包含する。これは、プッシャワイヤの端部と、複数の配置ワイヤのパッチアプリケータ部との間の距離を増大させる。このような場合には、配置ワイヤのこの区域は、増大した可撓性を提供し、プッシャワイヤを曲げる必要なしに、パッチアプリケータ部の配向を変えることを可能にする。配置ワイヤは、らせん式に長手方向軸に沿って配置されてよい。プッシャワイヤの長手方向軸に沿って配置される各配置ワイヤの部分は、配置ワイヤの全長の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であってよい。プッシャワイヤの長手方向軸に沿って配置される各配置ワイヤの部分は、85%未満、好ましくは少なくとも70%未満、より好ましくは少なくとも60%未満であってよい。詳細には、プッシャワイヤの長手方向軸に沿って配置される各配置ワイヤの部分は、30%から60%の間であってよい。この文脈において各配置ワイヤの部分を言及するとき、これは、配置ワイヤがループを形成するとき、配置ワイヤの両端の組み合わされた部分に関し、すなわち、それは、プッシャワイヤから延びる第1の端部と、プッシャワイヤから延びる第2の端部の全長である。絶対長の点において、プッシャワイヤの長手方向軸に沿って配置される複数の配置ワイヤの各々の全長は、少なくとも20mm、好ましくは少なくとも30mm、最も好ましくは少なくとも50mmであってよい。
【0027】
プッシャワイヤの長手方向軸は、プッシャワイヤの長さに沿って伸びる軸である。配置ワイヤは、それが上記に参照した配置ワイヤの部分を含む平面と交差するとき長手方向軸の方向に対して、長手方向軸に垂直である。平面がプッシャワイヤ自体と交差しない場合、プッシャワイヤの長手方向軸に対する言及は、プッシャワイヤの遠位端における長手方向軸の方向に基づいて、遠位端を超えるプッシャワイヤの長手方向軸の突起部を含む。
【0028】
各配置ワイヤの少なくとも一部は、拡張状態にあるとき、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされる。この様式において、この部分における配置ワイヤは、適用場所にパッチを適用するために、それらが十分に平坦な表面を提供する範囲で平面である。さらに、この平面は、長手方向軸に実質的に垂直であり、換言するとそれは10度の範囲内で、好ましくは5度の範囲内で、好ましくは2度の範囲内で長手方向軸に垂直である。
【0029】
プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされる配置ワイヤの一部はまた、非対称の形態を有してよい。換言すると、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされる配置ワイヤの一部の全ては、非対称の形態を有してよい。この非対称の形態は、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向に沿って拡張した配置ワイヤの構成を見るとき、理解することができる。すなわち、ワイヤのこの部分を含む平面の垂直の性質が判定される長手方向軸の区域である。この方向で見たとき、非対称の形態は、対称のいかなる平面も、回転対称のいかなる軸も持たない。非対称の性質は、非拡張状態から拡張状態への配置ワイヤの拡張に対する回転局面をもたらす非対称の力をもたらす。
【0030】
複数のワイヤの各々の少なくとも一部は共同でパッチアプリケータを形成する。これらは、本明細書に記載したような非対称の形態であり得る同一の部分である。用語「パッチアプリケータ」は、複数の配置ワイヤが拡張状態にあるとき、パッチに接触し、患者に
パッチを適用するのを補助する表面を形成する、複数のワイヤの一部の組み合わせを指すのに使用される。パッチアプリケータは、プッシャワイヤの長手方向軸に対して集団で平行ではない、複数の配置ワイヤの部分とみなしてよい、すなわちプッシャワイヤに対して集団で平行に延在する配置ワイヤの部分ではないが、代わりにプッシャワイヤの長手方向軸に対して特定の角度で共同して表面を形成する部分である複数の配置ワイヤの全ての部分とみなされてよい。
【0031】
パッチ配置デバイスのパッチアプリケータの相対的突出部(換言すると、相対的高さ)は、複数のワイヤが拡張状態にあるとき、パッチアプリケータにわたって変化してよい。この突出部は、基準面に対して定義することができる。そのような基準面は、パッチアプリケータの大部分が置かれる平面であってよい。或いは、突出部は、プッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面に対して定義されてもよい。この方法において、突出部は、押す力を加える方向に沿って、すなわちプッシャワイヤの長手方向軸に平行に、その形態によって特徴付けられる。
【0032】
突出部の変化が存在することで、患者の体内にパッチを適用するときに作成される接触面の調整を可能にする。これは、パッチの適用プロセスを最適化し、パッチの十分な密着を促進することができる。
【0033】
基準面、例えばプッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面からのパッチアプリケータの距離は、複数の配置ワイヤが拡張状態にあるとき、パッチアプリケータを横切って延在する第1の方向に沿って実質的に一定であってよく、すなわち第1の方向は、パッチアプリケータの一方の外側縁部からパッチアプリケータの反対側の外側縁部まで延在し、プッシャワイヤの長手方向軸を通過する。
【0034】
基準面、例えばプッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面からのパッチアプリケータの距離は、複数の配置ワイヤが拡張状態にあるとき、パッチアプリケータを横切って延在する第2の方向に沿って変化してよく、すなわち第2の方向は、パッチアプリケータの一方の外側縁部からパッチアプリケータの反対側の外側縁部まで延在し、プッシャワイヤの長手方向軸を通過する。
【0035】
一方向に沿って変化する突出部と、別の方向に沿って一定の突出部との組み合わせによって、パッチが患者の中に適用されるとき、パッチが受ける接触力を調整することを可能にする。
【0036】
基準面からのパッチアプリケータの距離について言及するとき、この距離は、対象の方向に沿って移動するとき平面から最も短い距離である。換言すると、上記の第1の方向に関して、パッチアプリケータは、パッチアプリケータを横切って第1の方向に沿って移動するとき、平面から一定の距離のところにある。上記の第2の距離に関して、パッチアプリケータは、パッチアプリケータを横切って第2の方向に沿って移動するとき、平面から一定の距離のところにない。
【0037】
第1の方向は第2の方向に垂直であってよい。これは、適用特性をこれらの2つの方向の間で相対的に変えることを可能にする。
【0038】
長手方向軸からの複数の配置ワイヤの距離が増大するのにつれて突出部が増大するように、突出部は変化し得ることが特に好ましい。詳細には、第2の方向に沿って、基準面、例えばプッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面からのパッチアプリケータの距離は、プッシャワイヤの長手方向軸からの距離が増大するのにつれて増大してよい。これにより、パッチアプリケータのとりわけ突出した外側領域が可能になり、このことは、パッチの外側縁部に関連する、適用特性を有益に調整することができる。パッチの外側領域は、患者の中の所望の場所でパッチを保持するために最も重要なパッチの領域であり得る。変化は、楕円の経路をたどってよく、その結果、距離の増加率もまた、長手方向軸からの距離と共に増大する。これは、パッチアプリケータの外側縁部の相対的な突出をさらに保証する。
【0039】
パッチアプリケータの変化した突出部は、パッチアプリケータが、パッチアプリケータの遠位である地点に関して凹形状を有するようなものであってよく、すなわち凹面は、患者の中の意図される適用場所の方に向けられる。この凹面は、圧力が、パッチ適用プロセス中に最も効果的に必要とされる場所に加えられることを保証することができる。或いは、凹面は、パッチアプリケータの近位の地点に関してであってもよい。
【0040】
パッチアプリケータは、パッチアプリケータ上の対角線上に反対の地点が基準面から同じ距離にあるという意味において対称的な外形を有してよい。これは、パッチアプリケータ全体を通して当てはまり、突出外形は、パッチアプリケータの表面を通って延びる少なくとも2つの折り畳まれた回転対称の軸を有する。この回転軸は好ましくは、プッシャワイヤの長手方向軸に平行であり、詳細には、それは、プッシャワイヤの長手方向軸と一致することが好ましい。
【0041】
パッチアプリケータは、対称的な外形を有し、パッチアプリケータの遠位の地点に関して凹状であり、またプッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面からのパッチアプリケータの距離は、第2の方向に沿ってプッシャワイヤの長手方向軸からの距離が増大するのにつれて増大するのに対して、第1の方向に沿って一定であることが特に好ましい。第2の方向に沿った距離の変化は、楕円形の経路をたどることがさらに好ましい。
【0042】
楕円形の経路について言及するとき、楕円の短軸の半分が、プッシャワイヤの長手方向軸と一致し、その結果長手方向軸の近くで突出の増加率が低下することが好ましい。パッチアプリケータは、プッシャワイヤの長手方向軸における楕円の共通の頂点から楕円の長軸の半分の全長に実質的に沿って頂点まで楕円の経路をたどってよい。パッチアプリケータは、開放した凹形状を有するように、最大でも楕円の半分をたどるのみである。それは、頂点を超えて楕円の経路をたどることはなく、この場合楕円の経路は、楕円の短軸の半分に向かって戻ることになる。
【0043】
パッチアプリケータの変化する突出部は、基準面に対して定義されてよく、この基準面からのパッチアプリケータの距離は、1mmを超えて、好ましくは1.5mmを超えて、さらに好ましくは2mmを超えて、或いは2.5mmを超えて変化してよい。それは、30mm未満、好ましくは25mm未満、より好ましくは22mm未満、或いは20mm未満だけ変化してよい。それはまた、1mmから20mmの間又は1mmから25mmの間などこれらの限界値の任意の組み合わせだけ変化してもよい。
【0044】
変化する突出部は代替として、拡張状態にあるとき、複数の配置ワイヤの最大直径、すなわちDに対して特徴付けることができる。パッチアプリケータの変化する突出部は、基準面に対して定義されてよく、この基準面からのパッチアプリケータの距離は、0.025Dを超えて、0.05Dを超えて、又は0.06Dを超えて変化してよい。それは0.5D未満、又は0.4D未満又は0.3D未満又は0.26D未満だけ変化してよい。それはまた0.05Dから0.3Dの間などこれらの限界値の任意の組み合わせだけ変化してもよい。
【0045】
パッチアプリケータの突出部が楕円形の経路をたどるとき、変化する突出部は、楕円形の経路の偏心率によって特徴付けることができる。偏心率は、1未満であり、0.7を超える、好ましくは0.8を超える、さらにより好ましくは0.85を超える場合がある。
【0046】
上記で指摘したように、複数の配置ワイヤは、カテーテルの中で非拡張状態であり、その後、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないときに拡張状態にあることができる。複数の配置ワイヤは、プッシャワイヤを移動させることによってカテーテル内を移動されてよい。プッシャワイヤは、カテーテルに対するプッシャワイヤの移動を達成するために、カテーテル内に可動式に位置決めされてよい。
【0047】
カテーテルは操縦可能なカテーテルであってよい。この方法において、カテーテルの遠位端は、パッチが配置されることが意図される提案された適用場所に対してカテーテルの遠位端をより簡単に位置決めするように、カテーテルの残りの部分に対して誘導されてよい。
【0048】
カテーテルのサイズ、すなわちその外径は、配置デバイスの収容に適しているだけでなく、必要とされる医療用途において使用されることが可能であるように選択される。カテーテルは、2から97、好ましくは4から32又は6から30、より好ましくは12から14のフレンチゲージで与えられるサイズを有してよい。カテーテルは、18Fr以下のサイズを有してよい。カテーテルは、12Fr以上のサイズを有する場合もある。カテーテルは、その外径と比べて、フレンチゲージの点で少なくとも1小さい内径を有してよい。カテーテルは、1から96、好ましくは3から31又は5から29、より好ましくは11から13のフレンチゲージで与えられる内径を有してよい。
【0049】
フレンチゲージの1単位は、1/3mmに等しい。したがって3フレンチは、1mmの直径に等しい。
【0050】
2つのカテーテルが使用される場合、内側のカテーテルは、アプライアカテーテルとも呼ばれ、上記に挙げたサイズを有してよく、その一方で外側のカテーテルは、ガイダーカテーテルとも呼ばれ、アプライアカテーテルの外径よりフレンチゲージの点で2又は4大きい外径サイズを有してよい。ガイダーカテーテルの内径は、ガイダーカテーテルの外径よりもフレンチゲージの点で少なくとも1小さくてよい。ガイダーカテーテルは、4から99、好ましくは6から34、より好ましくは14から18のフレンチゲージで与えられるサイズ(外径)を有してよい。カテーテルは、その外径と比べてフレンチゲージの点で少なくとも1小さい内径を有してよい。カテーテルは、3から98、好ましくは5から33、より好ましくは13から17のフレンチゲージで与えられる内径を有してよい。
【0051】
カテーテルは円形の断面形状を有する。
【0052】
複数の配置ワイヤの配置ワイヤの各々は、拡張状態において同じ形態を有してよい。換言すると配置ワイヤの各々は、拡張状態において同じ形状になるように配置されてよい。配置ワイヤは、同じ形状を有するけれども、それらは、空間的に一致するのではなく、プッシャワイヤの周りの異なる場所に位置決めされる。同じ形態を有する配置ワイヤの各々は、必要とされる場所にパッチを適用するときの安定した行動に貢献する。
【0053】
複数の配置ワイヤは、拡張状態にあるときプッシャワイヤの長手方向軸の周りに均等に分散されるように配置されてよい。プッシャワイヤの均等な分散もまた、配置デバイスの角度方向にもかかわらず、必要とされる場所にパッチを適用する際の安定した動作に貢献する。均等に分散されるとは、複数の配置ワイヤの各々の配置ワイヤがプッシャワイヤの長手方向軸の周りに規則的な角度間隔で位置決めされることを意味する。
【0054】
各配置ワイヤの非対称の形態は、湾曲部分を有してよい。詳細には、非対称の形態は、第1の湾曲部分と、第2の湾曲部分とを有してよく、第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分は接続部分を介して接続される。接続部分もまた湾曲されてよい。
【0055】
第1の湾曲部分は、プッシャワイヤの長手方向軸の周りで周方向に第2の湾曲部分に重なってよい。換言すると、経路がプッシャワイヤの長手方向軸の周りを円周様式でたどり、この場合経路は、プッシャワイヤの長手方向軸から一定の半径方向の距離を有するとき、それは最初に第1の湾曲部分を通過し、その後第2の湾曲部分を通過する。
【0056】
第1の湾曲部分は、凸状であってよい。この文脈における凸状部分は、その形状の中心から離れるように出っ張る一方である。第2の湾曲部分は、凹状であってよい。この文脈における凹状部分は、その形状の中心に向かって出っ張る一方である。ここで形状に対する言及は、配置ワイヤによって形成される形状を指す。接続部分によって接合される1つの凹状部分と1つの凸状部分を有することは、カテーテル内の非拡張状態からカテーテルの外側の拡張状態まで移動するために相対的に小さい体積を必要とする三日月形状を提供する。接続部分は、配置ワイヤが凹形状から凸形状まで移行する、配置ワイヤの一部であってよい。
【0057】
第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分の最小曲率半径より小さい最小曲率半径を有してよい。換言すると、第1の湾曲部分に沿った任意の地点に最小曲率半径が存在し、曲率半径のその値は、第2の湾曲部分に関する最小曲率半径を有する第2の湾曲部分に沿った地点より小さい。逆に、第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分の最小曲率の半径より大きい最小曲率半径を有してよい。換言すると、第1の湾曲部分に沿った任意の地点に最小曲率半径が存在し、曲率半径のその値は、第2の湾曲部分に関する最小曲率半径を有する第2の湾曲部分に沿った地点より大きい。これは、配置ワイヤの対称性質を高め、これは、配置ワイヤが非拡張状態から拡張状態に移動するときに受ける非対称の力に貢献しており、よって配置を生じさせるために、より小さな体積しか必要としない効率的な配置を支援する。曲率半径に関して、第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分よりきつい湾曲を有すると言うこともできる。逆に、第2の湾曲部分は、第1の湾曲部分よりもきつい湾曲を有すると言うこともできる。
【0058】
複数の配置ワイヤは、異なる配置ワイヤ間でプッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で重なるように配置されてよい。これは、それが必要とされる場所にパッチを適用するのに使用されるとき、拡張状態におけるデバイスの安定性を高める助けをすることができる。第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分が存在する場合、1つの配置ワイヤの第1の湾曲部分は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分に重なってよい。さらに1つの配置ワイヤの第1の湾曲部分は、複数の地点で、例えば2つの地点で、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分に重なってもよい。或いは、又は追加で、1つの配置ワイヤの第1の湾曲部分は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第1の湾曲部分に重なってもよい。さらに、1つの配置ワイヤの第1の湾曲部分は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で、例えば2つの隣接する配置ワイヤなど、複数の隣接する配置ワイヤの第1の湾曲部分に重なってもよい。本明細書に記載されるそのような重なりは、各配置ワイヤが少なくとも1つの他の配置ワイヤに対するさらなる支持を提供するために存在する全ての配置ワイヤに当てはまることができる。
【0059】
パッチアプリケータの突出部が変化する場合、最も突出する配置ワイヤは、突出部が延在する方向から見たとき、隣接する配置ワイヤが最も突出する配置ワイヤの真下になるように、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向で隣接する配置ワイヤに重なってよい。追加で、又は代替として、最も小さく突出する配置ワイヤは、突出部が延在する方向から見たとき、隣接する配置ワイヤが最も小さく突出する配置ワイヤの頂部上になるように、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向で隣接する配置ワイヤに重なってよい。この様式において、より大きく突出する配置ワイヤに対して追加の支持が提供され、パッチ配置デバイスの安定性を高める。
【0060】
複数の配置ワイヤの重なる性質は、複数の配置ワイヤが、複数の配置ワイヤの各々によって少なくとも部分的に定義される全体形状を有する結果となり得る。加えて、複数の配置ワイヤは、拡張状態にあるとき、プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見たとき、ワイヤリングを共同で形成するように配置されてよい。換言すると、プッシャワイヤの長手方向軸の周りに伸びるワイヤリングは、複数の配置ワイヤの一部を有すると理解することができる。複数の配置ワイヤは、組み合わせて、円形形状を有してよい、すなわち複数の配置ワイヤの外側の形状は、プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見たとき円形である。この場合には、ワイヤリングは、複数の配置ワイヤの外周であってよい。これは、複数の配置ワイヤの外周部の周りでパッチに安定した支持を与える。
【0061】
複数の配置ワイヤは、拡張状態にあるとき、リングと、上記で参照したリングと実質的に同心の別のリングとを共同で形成してよい。それらは両方とも実質的に円形形状であってよい。これは、安定した支持の2つのリング領域、すなわち内側リング及び外側リングを提供する。第1のリングは、パッチの外側領域に安定した力を加えるのに使用されてよい。これが内側リングである場合、別のリングは外側の同心リングであり、パッチが適用されている場所の周りで患者のその領域に安定した力を加えるのに使用されてよい。これは、パッチの密着を助けるために、この領域を制止する助けをする。内側リング及び外側リングが存在する場合、本明細書に記載される機構は、内側リングの一部であり、その中にある、複数の配置ワイヤの部分にちょうど当てはまる場合がある。例えば、拡張状態にある複数の配置ワイヤの最大直径に対する本明細書の言及は、内側リングの最大直径にちょうど当てはめることができる。この状況において、外側リングは、内側リングを少なくとも2mm超えて、好ましくは少なくとも5mm超えて、より好ましくは少なくとも7mm超えて、最も好ましくは少なくとも10mm超えて延在することができる。代替として、及び好ましくは、本明細書に記載される機構は、複数の配置ワイヤの全体に当てはまる場合がある。最大直径に関して、内側リング及び外側リングが存在する場合、外側リングは、70mm以下、より好ましくは50mm以下の最大直径を有することが好ましい。外側リングもまた存在する場合、内側リングは、50mm以下、より好ましくは30mm以下の最大直径を有することが好ましい。
【0062】
複数の配置ワイヤは、ニチノールから形成されることがとりわけ好ましい。ニチノールは、形状記憶及び超弾性特性を示すことができるニッケルとチタンの合金である。超弾性特性は、それらは非拡張状態と拡張状態との間で広範囲の変形が弾性式に生じることを可能にするため、本発明にとって特に有益である。これは、小さなカテーテルの中に収容される配置デバイスの能力に貢献する。しかしながら十分な弾性特性を備えるいずれの材料も本発明と共に使用されてよい。
【0063】
ニチノールが使用される場合、それは、その超弾性特性を体温で示すことが好ましい。この方法において、配置デバイスは、体内で使用される際、超弾性特性を示すことになる。超弾性特性が示されることを保証するために、ニチノールのオーステナイト終了温度は、体温を下回るべきであり、すなわち37℃を下回るべきである。ニチノールは、28℃以下のオーステナイト終了温度を有することが特に好ましい。オーステナイト終了温度は、-20℃以上又は-15℃以上であってもよい。典型的には、オーステナイト終了温度は、18℃から28℃の間である。いずれの場合でも、ニチノールの組成は、ニチノールが体内で使用される際、必要とされる超弾性特性を示すように選択されるべきである。
【0064】
複数の配置ワイヤは、用途に適した任意の数の配置ワイヤを備えてよい。複数の配置ワイヤは、20又はそれより少ない数の配置ワイヤ、16又はそれより少ない数の配置ワイヤ、より好ましくは12又はそれより少ない数の配置ワイヤを備えてよい。より少ない数の配置ワイヤは、デバイスがより小さいカテーテルに嵌合し易くする。
【0065】
複数の配置ワイヤは、2つ以上の配置ワイヤ、好ましくは4つ以上の配置ワイヤ、好ましくは6つ以上の配置ワイヤを備えてよい。配置ワイヤの数が増大することで、必要とされる場所にパッチを適用するときのデバイスの安定を高める。
【0066】
とりわけ好都合な組み合わせは、8つの配置ワイヤを利用することである。
【0067】
複数の配置ワイヤは各々、0.127mm(0.005インチ)以上の直径を有してよい。これは、必要とされる場所にパッチを適用する際にデバイスが申し分のないレベルの安定性を有するのを助ける。
【0068】
複数の配置ワイヤは各々、0.508mm(0.02インチ)以下の直径を有してよい。これは、配置デバイスが、非拡張状態から拡張状態に移動し、且つ小さいカテーテル内に収容されている場合、より小さい内力を有するのを助ける。
【0069】
配置ワイヤの各々の直径は、ワイヤの長手方向軸に垂直なワイヤの断面の最大直径に関連する。ワイヤの断面は円形であることが特に好ましい。
【0070】
複数の配置ワイヤは、複数の配置ワイヤの各配置ワイヤが拡張状態にあるとき、70mm以下、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下、又は35mm以下の最大直径を有してよい。複数の配置ワイヤは、複数の配置ワイヤの各配置ワイヤが拡張状態にあるとき、5mm以上の最大直径を有してよい。最大直径は、複数の配置ワイヤの中心を横切って端から端まで及ぶ最も大きな直径である。複数の配置ワイヤの中心は、プッシャワイヤが配置される場所である。一般に、最大直径は、必要な用途に好適ないかなるものあってもよいが、必要とされる場所にパッチを適用するために使用されるとき、30mmから35mmまでが特に有効であることが分かっている。
【0071】
パッチ配置デバイスには、複数の配置ワイヤに解放可能に装着されたパッチが備わっていてよい。或いは、パッチ配置デバイスには、使用の前は装着するために別個になったパッチが備わっている場合もある。いずれの場合でも、パッチを複数の配置ワイヤに解放可能に装着することは、患者の中に位置決めされ、必要とされる場所に固定されたとき、配置ワイヤから解放することが可能であることを意味する。パッチは、生体接着材料を用いることによって複数の配置ワイヤに解放可能に装着することができる。そのような生体接着材料は、体内に位置決めされたときに接着性を失い、よって配置ワイヤからのその除去を促進することができる。
【0072】
パッチは、1本の糸によって複数の配置ワイヤに装着されてよく、この場合1本の糸は、パッチに関連付けられた複数のループに通され、糸の両端は、プッシャワイヤの近位端まで延びる。この方法において、パッチ配置デバイスのユーザは、糸の両端を保持することができる。糸の両端を保持することによって、パッチは配置デバイス上に維持される。パッチを解放することを必要とする場合、ユーザは、糸の一方の端部から手を放し、他方の端部を引っ張り、これによりワイヤをループから抜き取り、パッチが配置ワイヤ上に維持していた手段を取り除いて、複数の配置ワイヤからのその解放を補助することができる。パッチに関連付けられたループは、パッチ内に存在する穴であってもよい。配置ワイヤ内を縫って進める代わりに、1本の糸が通される複数のループが配置ワイヤに装着される場合もある。糸は、縫合糸であってもよい。
【0073】
パッチ配置デバイスは、ファネルの助けを借りてカテーテルに挿入されてよい。ファネルは、その最も狭い端部がカテーテルの遠位端に最も近くなるようにカテーテルの遠位端に装着することができ、それは遠位方向に外向きに口を広げる。配置ワイヤはその後、それらが、ファネルの縮小する直径によって拡張状態から非拡張状態に向かって徐々に移動するように、ファネルの中に引き込むことができる。この方法において、ファネルは、カテーテル内の配置ワイヤの効率的なパッキングに貢献することができる。ファネルは、任意の好適なプラスチックを含む任意の好適な材料から作成されてよい。
【0074】
任意の好適なパッチが、パッチ配置デバイスの一部として使用されてよく、例えばパッチは、生体吸収性であってよい。パッチは、ポリマー材料から作成されてよい。パッチは、任意の好適な形状であってよい。しかしながら有利な形状は、それがいかなる角度方向にも配置され得るように円形形状である。別の有利な形状は、パッチは直線の裂け目の上に一般に配置されるため、矩形形状であり、この直線の裂け目は、矩形パッチによって有効に覆うことができる。本発明は、国際出願第PCT/EP2019/056358号に記載されるパッチと共に使用するのにとりわけ好適であり、この特許は参照により本明細書に組み込まれている。
【0075】
本発明はさらに、本明細書に記載されるパッチ配置デバイス、別個に設けられたパッチ及び/又はファネル及び/又はカテーテルとを備えるパッチ配置システムを提供する。
【0076】
本発明はまた、以下のステップ、すなわち、(i)カテーテル内に非拡張状態で複数の配置ワイヤを備える、本明細書に記載されるようなパッチ配置デバイスを設けるステップと、(ii)カテーテルの遠位端をパッチ適用場所に位置決めするように患者の中にカテーテルを挿入するステップと、(iii)プッシャワイヤを移動させて、複数の配置ワイヤをカテーテル内の非拡張状態からカテーテルの遠位端を超える拡張状態まで移動させるステップと、(iv)パッチ適用場所にパッチを適用するステップと、(v)複数の配置ワイヤからパッチを解放するステップと、(vi)プッシャワイヤを移動させて、複数の配置ワイヤをカテーテル内の拡張状態から非拡張状態まで移動させるステップと、(vii)カテーテルを患者から取り外すステップとを含む、パッチを適用する方法を提供する。
【0077】
本発明のパッチ配置デバイスを利用するこの手法は有利には、パッチ配置デバイスを患者の中に配置するためにカテーテルの遠位端の周りに比較的小さい量のヘッドスペースしか必要とせず、またパッチ適用場所にパッチを適用する際、パッチを適切に支持する。パッチ適用場所は、パッチの適用を必要とする、患者の中のいずれの場所であってもよい。本発明は、裂け目を修復するのに好適なパッチで、患者の大動脈の中の裂け目にパッチを適用するのに特に適している。
【0078】
さらに、パッチアプリケータに対して遠位の地点に関して凹状パッチアプリケータを提供するためなど長手方向軸から離れるように移動するにつれて、基準面からの距離が増大するパッチ配置デバイスを使用する場合、距離が増大する方向は、血流の方向及び/又は壁の曲率の長手方向と整列されることが好ましい。これは、そうでなければおそらく接着の失敗をより受け易い場所でのパッチの外側領域に対する十分な接触を提供する。
【0079】
本発明を次に以下の図面を参照して詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本発明のパッチ配置デバイスを備えたパッチ配置システムの図である。
図2図1のパッチ配置デバイスの詳細な図である。
図3】プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見た、本発明のパッチ配置デバイスの複数の配置ワイヤの図である。
図4】プッシャワイヤの長手方向軸に垂直に見た、図3の複数の配置ワイヤの図である。
図5】プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見た、本発明のパッチ配置デバイスの図である。
図6】パッチが解放可能に装着された状態の本発明のパッチ配置デバイスの図である。
図7】パッチが解放可能に装着された状態の本発明のパッチ配置デバイスと、カテーテルの遠位端におけるファネルの図である。
図8】本発明のパッチ配置システムの一部である操縦可能なカテーテルの図である。
図9】配置ワイヤが配置された場合の図8のパッチ配置デバイスの図である。
図10】配置ワイヤが完全に配置された場合の図8のパッチ配置デバイスの図である。
図11】その壁に裂け目を有する大動脈の概略断面図である。
図12】大動脈の壁の裂け目に隣接して位置決めされた、本発明のパッチ配置デバイスの概略図である。
図13】拡張構成にあるパッチ配置デバイスと、大動脈の壁の裂け目に適用されたパッチの概略図である。
図14A】2つのカテーテルを有する本発明の代替のパッチ配置システムの図である。
図14B】2つのカテーテルを有する本発明の代替のパッチ配置システムの図である。
図15】プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見た、本発明のパッチ配置デバイスの複数の配置ワイヤの代替の実施例の図である。
図16】プッシャワイヤの長手方向軸に垂直に見た、図15の複数の配置ワイヤの図である。
図17】プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見た、本発明のパッチ配置デバイスの複数の配置ワイヤの別の実施例の図である。
図18】プッシャワイヤの長手方向軸に垂直に見た、図17の複数の配置ワイヤの図である。
図19】プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見た、本発明のパッチ配置デバイスの複数の配置ワイヤの別の実施例の図である。
図20】プッシャワイヤの長手方向軸に垂直に見た、図19の複数の配置ワイヤの図である。
図21a】パッチ配置デバイスによって提供される接触圧力を評価するための実験機構の図である。
図21b図15の形態の複数の配置ワイヤに関する、図21aに描かれる実験の結果を示す図である。
図21c図19の形態の複数の配置ワイヤに関する、図21aに描かれる実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、本発明のパッチ配置デバイス2を描く。パッチ配置デバイス2は、カテーテル6の全長に延在するプッシャワイヤ4を有する。拡張状態で示される複数の配置ワイヤ8が存在する。プッシャワイヤ4は、プッシャワイヤ4の遠位端で配置ワイヤ8に接続される。さらに、プッシャワイヤ4は、カテーテル6の遠位端を超えて突き出るように示される。これは、図2にさらに詳細に示される。
【0082】
配置ワイヤ8の拡張構成が、図3及び図4により詳細に示される。複数の配置ワイヤは、8個の別個の配置ワイヤで作られている。これらの配置ワイヤの各々は、プッシャワイヤ4の遠位端に接続される第1の端部及び第2の端部を有する。この方法において、各配置ワイヤは、プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見たとき、ループ状の構造を形成する。各配置ワイヤは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置する部分を有する。この部分は、三日月形状に似た非対称の形態を有する。非対称の形態は、接続部分14によって接続された第1の湾曲部分10と、第2の湾曲部分12とを有する。第1の湾曲部分10は、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りで周方向に第2の湾曲部分12に重なる。また、第1の湾曲部分10は、第2の湾曲部分12よりきつい湾曲形状を有する。これは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に垂直な平面内の配置ワイヤの非対称の形態を強調する。第1の湾曲部分10は、凸形状を有し、第2の湾曲部分12は凹形状を有する。第1の湾曲部分10の各々は、プッシャワイヤ4の長手方向軸に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分12に重なる。全体として、複数の配置ワイヤは、花のような構成を形成し、この場合、各配置ワイヤは、同じ形態を有し、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りに均等に分散される。
【0083】
図5及び図6は、装着されたパッチ16がない状態のパッチ配置デバイスと、パッチが装着された状態のパッチ配置デバイスをそれぞれ示す。パッチ16は、パッチ16内に複数の穴18を有する円形として描かれ、パッチ16を配置デバイスに装着して維持するために、これらの穴に1本の糸(thread)を通すことができる。必要とされる適用場所にパッチが密着されたときにパッチ16を解放するように、デバイスの近位端から穴から糸を抜き取ることができる。
【0084】
図7は、装着されたパッチを有するパッチ配置デバイと、複数の配置ワイヤ8をカテーテル6の中に引き込むのを補助するように位置決めされたファネル20とを描く。ファネル20は、狭い部分よりも、遠位端からさらに先に広がった部分を有して、カテーテル6の遠位端に位置決めされる。ファネル20の使用は、拡張状態から非拡張状態にパッチ配置ワイヤ8を移動させるのを補助する。
【0085】
図8図9及び図10は、カテーテル6から押し出されている複数の配置ワイヤ8のシーケンスを描く。詳細には、複数の配置ワイヤ8は、カテーテル6の遠位端の周りに著しい量のヘッドスペースを必要とせずに、カテーテル6の中の非拡張状態からカテーテル6の外の拡張状態まで移動するのを見ることができる。これは、患者の中にパッチを配置するのに特に有効な方法である。
【0086】
パッチ配置デバイスを利用する処置を図11図12及び図13に関連して次に記載する。
【0087】
図11は、その壁の中に裂け目24を有する大動脈22の一部を描く。これは、偽腔として知られる領域に血液が流れ込むことになる。図12は、壁24の裂け目付近に、すなわちパッチ適用場所に位置決めされているカテーテル6を示す。図13は、複数の配置ワイヤ8によって裂け目に押し当てられることによってパッチ16が裂け目24に適用されているのを描く。パッチ配置デバイスはその後、非拡張状態にされ、カテーテル6を大動脈から取り外すことができる。
【0088】
図14A及び図14Bは、ハンドル30に関連付けられた内側のアプライアカテーテル26と、ハンドル34に関連付けられた外側のガイダーカテーテル28とを利用する本発明の別の実施例を描く。プッシャワイヤ4は、アプライアカテーテル26内に可動式に位置決めされ、アプライアカテーテル26は、ガイダーカテーテル28内に可動式に位置決めされる。アプライアカテーテル26に関連付けられたハンドル30は、スライダ32の、アプライアカテーテル26の遠端に向かう遠位の移動が、配置ワイヤ8のアプライアカテーテルの遠位端から出て拡張状態になる遠位の移動をもたらす、プッシャワイヤ4に接続されたスライダ32を有する。
【0089】
図15及び図16は、拡張状態における配置ワイヤ36の代替の構成を描く。この構成は、複数の配置ワイヤを有し、この場合、各配置ワイヤが同じ形態を有し、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りに均等に分散される。これらの配置ワイヤの各々は、プッシャワイヤ4の遠位端に接続される、第1の端部及び第2の端部を有する。この方法において、各配置ワイヤは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に沿って見たとき、ループ状の構造を形成する。各配置ワイヤは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置する部分を有する。この部分は、三日月形状に似た非対称の形態を有する。非対称の形態は、接続部分42によって接続された第1の湾曲部分38と、第2の湾曲部分40とを有する。第1の湾曲部分38は、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りで周方向に第2の湾曲部分40に重なる。また、第2の湾曲部分は、第1の湾曲部分38よりもきつい湾曲形状を有する。これは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に垂直な平面内の配置ワイヤの非対称の形態を強調する。第1の湾曲部分38は、凸形状を有し、第2の湾曲部分40は凹形状を有する。第1の湾曲部分38の各々は、プッシャワイヤ4の長手方向軸に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分40に重なる。さらに、第1の湾曲部分38の各々は、プッシャワイヤ4の長手方向軸に平行な方向で2つの隣接する配置ワイヤの第1の湾曲部分38に重なり、隣接する配置ワイヤの一方は、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りで時計周りの方向で最も近い配置ワイヤであり、他方の隣接する配置ワイヤは、反時計周りの方向で最も近い配置ワイヤである。全体として、複数の配置ワイヤは、花のような構成を形成し、この場合、複数の配置ワイヤの外側形状は円形である。
【0090】
図17及び図18は、拡張状態における配置ワイヤ44の別の構成を例示する。この構成は、複数の配置ワイヤ46を有し、この場合、各配置ワイヤは同じ形態を有し、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りに均等に分散される。これらの配置ワイヤの各々は、プッシャワイヤ4の遠位端に接続される第1の端部及び第2の端部を有する。この方法において、各配置ワイヤは、プッシャワイヤの長手方向軸に沿って見たとき、ループ状の構造を形成する。各配置ワイヤは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置する部分を有する。この部分は、非対称の形態を有する。非対称の形態は、接続部分52によって接続された第1の湾曲部分48と、第2の湾曲部分50とを有する。第2の湾曲部分50は、第1の湾曲部分48よりもきつい湾曲形状を有する。これは、プッシャワイヤ4の長手方向軸に垂直な平面内の配置ワイヤの非対称の形態を強調する。第1の湾曲部分48は、凸形状を有し、第2の湾曲部分50は凹形状を有する。第1の湾曲部分48の各々は、プッシャワイヤ4の長手方向軸に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第1の湾曲部分に重なる。さらに、第2の湾曲部分50の各々は、プッシャワイヤ4の長手方向軸に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分に重なり、隣接する配置ワイヤの一方は、プッシャワイヤ4の長手方向軸の周りで時計周りの方向で最も近い配置ワイヤであり、他方の隣接する配置ワイヤは、反時計周りの方向で最も近い配置ワイヤである。全体として、複数の配置ワイヤは、花のような構成を形成し、この場合、複数の配置ワイヤの外側形状は円形である。外側の円形は、複数の配置ワイヤによって共同で形成されたワイヤリングであり、具体的には、それは各配置ワイヤの第1の湾曲部分48によって共同で形成されている。加えて、複数の配置ワイヤの各々の第2の湾曲部分50によって共同で形成される内側ワイヤリングが存在している。この方法において、全体の構成は、連続する周方向の支持を提供することができる2つのリングを提供する。円形パッチの外周を支持するために内側リングを使用してパッチをその後適用することができ、その一方で外側リングは、パッチ適用場所の周りの領域に継続的に圧力を加えることで、その場所を適用プロセスの間所定の位置に保持し、そうしてパッチの密着を高めることができる。
【0091】
図19及び図20は、拡張状態における配置ワイヤ54の別の構成を描く。この構成は、図15及び図16に描かれる構成と似ている。主な違いは、図20に示されるようにプッシャワイヤの長手方向軸に垂直に複数の配置ワイヤを見ることによって理解することができる。複数の配置ワイヤ56は、基準面56から変化する距離を有するパッチアプリケータ(プッシャワイヤの長手方向軸に垂直な平面内に実質的にある表面)を形成する。基準面56は、プッシャの長手方向軸に垂直である。パッチアプリケータは、図20を横切って水平方向に伸びる方向に沿ってプッシャワイヤ4の長手方向軸からの距離と共に増大する基準面56からの距離を有する。それはまた、図20のページ内に伸びる方向に沿って基準面56からの一定の距離を有する。これらの2つの方向は互いに垂直である。水平方向に沿った距離の変化は、楕円系の経路をたどる。パッチアプリケータは、パッチアプリケータの遠位の地点に関して凹形状を有する。
【0092】
図19及び図20のパッチアプリケータの効果を評価するために実験が行われた。この実験では、40mmの直径のシリンダ58は、発泡体60の飽和点を大いに下回ってインクを包含する発泡層60と一列になったその内側表面を有する。一片の吸収紙62がその後、この発泡体60にもたれるように載せられ、図19及び図20に描かれる形態のパッチアプリケータを有するパッチ配置デバイス、並びに図15及び図16に描かれる形態のパッチアプリケータを有するパッチ配置デバイスを使用して押しつけられる。図19及び図20のパッチアプリケータに関して、図20に描かれる水平方向は、シリンダの長手方向軸と整列された。インク転移が、発泡体と紙との間で達成された接触のレベルを示した。実験機構は、図21aに例示される。図21b及び図21cに見られるように、図19及び図20の凹状パッチ配置デバイスの使用は、図15及び図16に描かれるような平坦なパッチアプリケータ(図21b)と比べて、シリンダの内壁とより安定した接触を提供した(図21c)。これは、そのような配置デバイスを使用して患者にパッチを適用するときに達成することができる改善された密着を実証する。平坦なパッチ配置デバイスは、シリンダの長手方向に沿って縁部に圧力を加えるのにそれほど優れてはいなかった。これらの縁部は、この方向に流れる血液から大きな力を受けるため、図19及び図20の形状は、大動脈の内側表面など、凹状の円筒形表面にパッチを適用するのにとりわけ有益である。
【0093】
本発明は、特有の実施例を参照して記載されている。しかしながら、本発明は、これらの特有の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲内のいかなる主題も包含する。
【0094】
実施例の以下のリストは、記載の一部を形成する。
【0095】
1.近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、
複数の配置ワイヤであって、各配置ワイヤは、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部及び第2の端部は、プッシャワイヤの遠位端に接続されており、
(ii)カテーテル内に位置決めされそこに拘束されているとき非拡張状態になるように構成され、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないとき拡張状態に自己拡張するように構成されており、拡張状態において、ワイヤの少なくとも一部は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされ、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき非対称の形態を有する、複数の配置ワイヤとを備えるパッチ配置デバイス。
2.複数の配置ワイヤは、プッシャワイヤを移動させることによってカテーテル内の非拡張状態からカテーテルの遠位端を超える拡張状態まで可動である、実施例1に記載のパッチ配置デバイス。
3.複数の配置ワイヤの各配置ワイヤは、拡張状態において同じ形態を有する、実施例1又は2に記載のパッチ配置デバイス。
4.複数の配置ワイヤは、拡張状態にあるときプッシャワイヤの長手方向軸の周りに均等に分散されるように配置される、実施例1から3のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
5.非対称の形態を有するワイヤの一部は第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分を有し、第1の湾曲部分は、プッシャワイヤの長手方向軸の周りで周方向に第2の湾曲部分に重なり、第1の湾曲部分は凸状であり、第2の湾曲部分は凹状であり、第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分は接続部分を介して接続されている、実施例1から4のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
6.第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分の最小曲率半径より小さい最小曲率半径を有する、実施例5に記載のパッチ配置デバイス。
7.第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分の最小曲率半径より大きい最小曲率半径を有する、実施例5に記載のパッチ配置デバイス。
8.複数の配置ワイヤの各配置ワイヤは、配置ワイヤの第1の湾曲部分が、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分に重なるように配置される、実施例5から7のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
9.複数の配置ワイヤは、ニチノールを含む、実施例1から8のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
10.ニチノールは、28℃以下のオーステナイト終了温度を有する、実施例9に記載のパッチ配置デバイス。
11.複数の配置ワイヤは、20個以下の配置ワイヤを備える、実施例1から10のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
12.複数の配置ワイヤは、2つ以上の配置ワイヤを備える、実施例1から11のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
13.複数の配置ワイヤは、8つの配置ワイヤを備える、実施例1から12のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
14.複数の配置ワイヤは、0.127mm以上の直径を有する、実施例1から13のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
15.複数の配置ワイヤは、0.508mm以下の直径を有する、実施例1から14のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
16.複数の配置ワイヤは、複数の配置ワイヤの各配置ワイヤが拡張状態にあるとき、35mm以下の最大直径を有する、実施例1から15のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
17.複数の配置ワイヤに解放可能に装着されたパッチをさらに備える、実施例1から16のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
18.パッチは、1本の糸によって複数の配置ワイヤに装着され、1本の糸は、パッチに関連付けられた複数のループに通される、実施例17に記載のパッチ配置デバイス。
19.カテーテルは、18Fr以下のサイズを有する、実施例1から18のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
20.カテーテルは、12Fr以上のサイズを有する、実施例1から19のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
21.実施例1から16のいずれか1つ、又は実施例1から16のいずれか1つに従属する場合の実施例19若しくは20に記載のパッチ配置デバイスと、パッチとを備えパッチ配置システムであって、パッチは、パッチ配置デバイスに装着可能である、パッチ配置システム。
22.カテーテルをさらに備え、プッシャワイヤは、カテーテル内に可動式に位置決めすることができる、実施例21に記載のパッチ配置デバイス。
23.実施例17若しくは18、又は実施例17又は18に従属する場合の実施例19若しくは20に記載のパッチ配置デバイスと、カテーテルとを備えるパッチ配置システムであって、プッシャワイヤは、カテーテル内に可動式に位置決めすることができる、パッチ配置システム。
24.実施例1から16のいずれか1つ、又は実施例1から16のいずれか1つに従属する場合の実施例19若しくは20に記載のパッチ配置デバイスと、カテーテルとを備えるパッチ配置システムであって、プッシャワイヤは、カテーテル内に可動式に位置決めすることができる、パッチ配置システム。
25.パッチをさらに備え、パッチはパッチ配置デバイスに装着可能である、実施例24に記載のパッチ配置システム。
26.複数の配置ワイヤを拡張状態から非拡張状態になるようにカテーテル内に引き込むときに使用するためのファネルをさらに備える、実施例21から25のいずれか1つに記載のパッチ配置システム。
27.パッチは、生体吸収性である、実施例17若しくは18、又は実施例17若しくは18に従属する場合の実施例19若しくは20に記載のパッチ配置デバイス、或いは実施例21、22、23若しくは25のいずれか1つ、又は実施例21、22、23若しくは25のいずれか1つに従属する場合の実施例26に記載のパッチ配置システム。
28.パッチは、生体吸収性接着剤をさらに有する、実施例17、18若しくは27、又は実施例17若しくは18に従属する場合の実施例19若しくは20に記載のパッチ配置デバイス、或いは実施例21、22、23、25若しくは27のいずれか1つ、又は実施例21、22、23若しくは25のいずれか1つに従属する場合の実施例26に記載のパッチ配置システム。
29.パッチを適用する方法であって、以下のステップ、
(i)カテーテル内に非拡張状態で複数の配置ワイヤを備える実施例17のパッチ配置デバイスを設けるステップと、
(ii)カテーテルの遠位端をパッチ適用場所に位置決めするように患者の中にカテーテルを挿入するステップと、
(iii)プッシャワイヤを移動させて、複数の配置ワイヤをカテーテル内の非拡張状態からカテーテルの遠位端を超える拡張状態まで移動させるステップと、
(iv)パッチ適用場所にパッチを適用するステップと、
(v)複数の配置ワイヤからパッチを解放するステップと、
(vi)プッシャワイヤを移動させて、複数の配置ワイヤを拡張状態から非拡張状態まで移動させるステップと、
(vii)カテーテルを患者から取り外すステップとを含む、方法。
【0096】
記載の一部を形成する実施例の別のリストが以下に与えられている。
1.近位端及び遠位端を有するプッシャワイヤと、
複数の配置ワイヤであって、各配置ワイヤは、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部及び第2の端部は、プッシャワイヤの遠位端に接続されており、
(ii)カテーテル内に位置決めされそこに拘束されているとき非拡張状態になるように構成され、カテーテルの遠位端を超えて位置決めされ、拘束されていないとき拡張状態に自己拡張するように構成されており、拡張状態において、ワイヤの少なくとも一部は、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に垂直な平面内に実質的に位置決めされ、プッシャワイヤの長手方向軸に平行な方向に沿って見たとき非対称の形態を有する、複数の配置ワイヤとを備えるパッチ配置デバイス。
2.複数の配置ワイヤは、プッシャワイヤを移動させることによってカテーテル内の非拡張状態からカテーテルの遠位端を超える拡張状態まで可動である、実施例1に記載のパッチ配置デバイス。
3.複数の配置ワイヤの各配置ワイヤは、拡張状態において同じ形態を有する、実施例1又は2に記載のパッチ配置デバイス。
4.複数の配置ワイヤは、拡張状態にあるときプッシャワイヤの長手方向軸の周りに均等に分散されるように配置される、実施例1から3のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
5.非対称の形態を有するワイヤの一部は、第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分を有し、第1の湾曲部分は、プッシャワイヤの長手方向軸の周りで周方向に第2の湾曲部分に重なり、第1の湾曲部分は凸状であり、第2の湾曲部分は凹状であり、第1の湾曲部分及び第2の湾曲部分は接続部分を介して接続されている、実施例1から4のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
6.第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分の最小曲率半径より小さい最小曲率半径を有する、又は第1の湾曲部分は、第2の湾曲部分の最小曲率半径より大きい最小曲率半径を有する実施例5に記載のパッチ配置デバイス。
7.複数の配置ワイヤの各配置ワイヤは、配置ワイヤの第1の湾曲部分が、プッシャワイヤの長手方向軸に実質的に平行な方向で隣接する配置ワイヤの第2の湾曲部分に重なるように配置される、実施例5又は6に記載のパッチ配置デバイス。
8.複数の配置ワイヤは、ニチノールを含む、実施例1から7のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
9.複数の配置ワイヤは、8つの配置ワイヤを備える、実施例1から8のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
10.複数の配置ワイヤは、0.127mmから0.508mmの直径を有する、実施例1から9のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
11.複数の配置ワイヤは、複数の配置ワイヤの各配置ワイヤが拡張状態にあるとき、35mm以下の最大直径を有する、実施例1から10のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
12.複数の配置ワイヤに解放可能に装着されたパッチをさらに備える、実施例1から11のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
13.カテーテルは、18Fr以下のサイズを有する、実施例1から12のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイス。
14.実施例1から13のいずれか1つに記載のパッチ配置デバイスと、カテーテルとを備えるパッチ配置システムであって、プッシュワイヤをカテーテル内に可動式に位置決めすることができる、パッチ配置システム。
15.複数の配置ワイヤを拡張状態から非拡張状態になるようにカテーテル内に引き込むときに使用するためのファネルをさらに備える、実施例14に記載のパッチ配置システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21a
図21b
図21c
【国際調査報告】