(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】ホイールドライブシャフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 17/30 20060101AFI20230213BHJP
F16D 3/16 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B60K17/30 Z
F16D3/16 P
F16D3/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022518854
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2019076087
(87)【国際公開番号】W WO2021058106
(87)【国際公開日】2021-04-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ザクリソン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エールフェルト,ペール
(72)【発明者】
【氏名】ダーグ,インゲマル
【テーマコード(参考)】
3D043
【Fターム(参考)】
3D043AA06
3D043AA07
3D043AB08
3D043CA02
3D043CA07
3D043CA08
3D043CB04
(57)【要約】
本開示は、車両のホイールドライブシャフト装置(1)に関する。このホイールドライブシャフト装置は、第1の端部(11)及び第2の端部(12)を有するホイールドライブシャフト(10)と、第1の端部に設けられ、駆動可能かつ旋回可能に連結された第1の関節ジョイント部材(21)及び第2の関節ジョイント部材(22)を含み、第1の関節ジョイント部材が第1の軸端部に駆動可能に連結され、第2の関節ジョイント部材が車両の駆動部材(3)に駆動可能に連結された等速ジョイント(2)と、第2の軸端部に設けられ、第2の端部に駆動可能に連結された第3の関節ジョイント部材(41)、車両のホイールハブ(5)に駆動可能に連結された第4の関節ジョイント部材(42)、並びに第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材を駆動可能かつ旋回可能に連結する中間関節ジョイント部材(43)を含んだ、ダブルセンターユニバーサルジョイント(4)と、を備えている。本開示はまた、ホイール駆動装置(60)及び車両(100)に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(11)及び第2の端部(12)を有するホイールドライブシャフト(10)と、
前記第1の端部に設けられ、駆動可能かつ旋回可能に連結された第1の関節ジョイント部材(21)及び第2の関節ジョイント部材(22)を含む等速ジョイント(2)であって、前記第1の関節ジョイント部材が前記第1の端部に駆動可能に連結され、前記第2の関節ジョイント部材が車両の駆動部材(3)に駆動可能に連結されたことを特徴とする、等速ジョイント(2)と、
前記第2の端部に設けられたダブルセンターユニバーサルジョイント(4)であって、前記第2の端部に駆動可能に連結された第3の関節ジョイント部材(41)、前記車両のホイールハブ(5)に駆動可能に連結された第4の関節ジョイント部材(42)、並びに前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材を駆動可能かつ旋回可能に連結する中間関節ジョイント部材(43)を含んだ、ダブルセンターユニバーサルジョイント(4)と、
を備えた、車両(100)のホイールドライブシャフト装置(1)。
【請求項2】
前記第1の関節ジョイント部材及び前記第2の関節ジョイント部材は、交点において互いに交差するそれぞれの回転中心線の周りを回転するように配置され、
前記等速ジョイントは、前記交点が軸方向に変位可能になるように適合された、
請求項1に記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項3】
前記等速ジョイントは、前記第1の関節ジョイント部材と前記第2の関節ジョイント部材との間に挿入された、複数のボール、又はそれぞれが球体の一部として形成された接触面をそれぞれ有する複数の部材を更に備えた、
請求項1又は2に記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項4】
前記等速ジョイントがプランジングジョイントである、
請求項1~3のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項5】
前記ダブルセンターユニバーサルジョイントは、前記第3の関節ジョイント部材、前記第4の関節ジョイント部材、及び前記中間関節ジョイント部材を互いに旋回させるために、1つ以上のローラベアリング、望ましくは1つ以上のニードルローラベアリングを備えた、
請求項1~4のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項6】
前記ダブルセンターユニバーサルジョイントは、前記中間関節ジョイント部材の内部に設けられたセンタリング部材(44)を備え、
前記センタリング部材は、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材に連結されて、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、使用中に実質的に固定された交点を通るように適合された、
請求項1~5のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項7】
前記センタリング部材は、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材の一方に連結された雄部と、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材の他方に連結された雌部と、を備え、
前記雄部が、使用中に前記雌部の内側を移動して、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、前記実質的に固定された交点を通るように適合された、
請求項6に記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項8】
前記ホイールドライブシャフトが一定の調整できない軸長を持つ、
請求項1~7のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項9】
使用中に前記ホイールドライブシャフトのトルク及び回転速度の少なくとも一方を測定する手段を更に備えた、
請求項1~8のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項10】
前記ダブルセンターユニバーサルジョイントは、使用中のサスペンションの動作及び/又は操舵角調整によってもたらされる、前記第3の関節ジョイント部材と前記第4の関節ジョイント部材との間の角度調整が、前記ホイールドライブシャフトとともに前記ホイールドライブシャフトの前記第1の端部に軸方向の変位を伝達する、
請求項1~9のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置(1)と、
前記第2の関節ジョイント部材に駆動可能に連結された少なくとも1つの駆動部材(3)と、
前記第4の関節ジョイント部材に駆動可能に連結されたホイールハブ(5)と、
を備えた、車両のホイール駆動装置(60)。
【請求項12】
前記ホイール駆動装置は、前記車両を操舵するように適合された、
請求項11に記載のホイール駆動装置。
【請求項13】
前記ホイールドライブシャフト(10)は、前記等速ジョイント及び前記ダブルセンターユニバーサルジョイントによってのみ支持された、
請求項11又は12に記載のホイール駆動装置。
【請求項14】
前記駆動部材(3)は、ディファレンシャルギアなどのギアである、
請求項11~13のいずれか1つに記載のホイール駆動装置。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1つに記載の少なくとも1つのホイールドライブシャフト装置、及び/又は請求項11~14のいずれか1つに記載の少なくとも1つのホイール駆動装置を備えた、車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のホイールドライブシャフト装置、車両のホイール駆動装置、及び/又は車両に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス及び建設機械などの大型車両に適用することができる。大型トラックについて本発明を説明するが、本発明はこの特定車両に限らず、小型トラック、連結式ホーラ、掘削機、ホイールローダ及びバックホーローダなど、他の車両にも使用することができる。
【背景技術】
【0003】
車両のホイール駆動装置は、一般的に、ドライブシャフトに駆動可能に連結されたホイールハブを備えている。ドライブシャフトは、ディファレンシャルギアに連結することができ、ディファレンシャルギアは、プロペラシャフトに連結することができる。プロペラシャフトを駆動する動力源は、例えば、内燃機関(ICE)及び/又は電気モータとすることができる。
【0004】
さらに、ドライブシャフトはまた、一般的に、ホイールハブ、及び/又は、例えば、ジョイントを介してディファレンシャルギアに連結することができる。ジョイントは、ジョイント間の角度調整を可能にする。そのようなドライブシャフトの一例は、ステアリングドライブアクスルを開示する、欧州特許出願公開第0960761号明細書に見られる。ステアリングドライブアクスルは、ディファレンシャルギアからの出力でユニバーサルジョイントに連結された第1の端部、及びホイールハブに対して回転可能に固定された等速ジョイントに連結された第2の端部を有する、ハーフシャフト部を備えている。ハーフシャフト部は、円筒部材の形態をとる支持手段によって回転可能に支持されている。ボールベアリング及び/又はローラベアリングは、ハーフシャフト部と円筒部材との間に挿入されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した設計でホイールハブに許容可能な動力伝達を行えるとしても、改善されたホイールドライブシャフト装置及びホイール駆動装置を発展させる努力が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のことを考慮すると、本発明の目的は、いくつかの態様において従来技術の欠点の少なくとも1つを軽減、及び/又は有用な代替手段を少なくとも提供する、改善された車両のホイールドライブシャフト装置、及び/又はホイール駆動装置を提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、請求項1に記載のホイールドライブシャフト装置によって達成される。本発明の第2の態様によれば、この目的は、請求項11に記載のホイール駆動装置によって達成される。本発明の第3の態様によれば、この目的は、請求項15に記載の車両によって達成される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、以下のような車両のホイールドライブシャフト装置によって達成される。ホイールドライブシャフト装置は、第1の端部及び第2の端部を有するホイールドライブシャフトと、第1の端部に設けられ、駆動可能かつ旋回可能に連結された第1の関節ジョイント部材及び第2の関節ジョイント部材を含む等速ジョイントであって、第1の関節ジョイント部材が第1の端部に駆動可能に連結され、第2の関節ジョイント部材が駆動部材に駆動可能に連結された等速ジョイントと、を備えている。ホイールドライブシャフト装置は、第2の端部に設けられたダブルセンターユニバーサルジョイントであって、第2の端部に駆動可能に連結された第3の関節ジョイント部材、車両のホイールハブに駆動可能に連結された第4の関節ジョイント部材、並びに第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材を駆動可能かつ旋回可能に連結する中間関節ジョイント部材を含んだ、ダブルセンターユニバーサルジョイントを更に備えている。
【0009】
本明細書に開示される本発明の提供によって、ホイールドライブシャフト装置は、よりコンパクトな構成を可能にすることができる。一般的に、車両のホイール端部で利用可能なスペースに制限があるため、よりコンパクトな構成は有利であることが示されている。実際のところ、発明者らは、ホイールハブに駆動可能に連結されたダブルセンターユニバーサルジョイント、即ち、第2の端部が外端部であるダブルセンターユニバーサルジョイントを提供することで、例えば、標準的なゼッパー等速ジョイントが外端部で使用される場合と比較して、この構成は外端部においてよりコンパクトとなることに気付いた。さらに、ダブルセンターユニバーサルジョイントはまた、信頼性があり堅牢なジョイントであることが示されているので、上述したゼッパー等速ジョイントなどの他のジョイントと比較して、耐用年数が長くなる可能性がある。ダブルセンターユニバーサルジョイントはまた、改善されたトルク容量を提供し、より大きなホイール角度を可能にすることが示された。また、本発明者らは、駆動部材に駆動可能に連結された等速ジョイント、即ち、第1の端部が内端部である等速ジョイントを提供することで、駆動部材に伝達される力及び回転トルクが小さくなることも気付いた。これによって、例えば、ディファレンシャルギアであり得る、駆動部材のベアリングの耐用年数を延ばすことができる。従って、上述の効果を考慮すると、改善されたホイールドライブシャフト装置が提供される。
【0010】
ダブルセンターユニバーサルジョイント及び等速ジョイントは、当業者に知られているジョイントである。等速ジョイントは、ドライブシャフトが一定の回転速度において可変角度で動力を伝達できるようにするジョイントとして定義することができる。ダブルセンターカルダンジョイントとしても知られているダブルセンターユニバーサルジョイントは、ドライブシャフトが一定の回転速度において可変角度で動力を伝達できるようにするジョイントとして定義され、ジョイントの入力角度調整が、回転中のジョイントの対応する出力角度調整の原因となる。
【0011】
オプションとして、第1の関節ジョイント部材及び第2の関節ジョイント部材は、それぞれの回転中心線の周りを回転するように配置することができ、その回転中心線は交点で互いに交差し、等速ジョイントは交点が軸方向に変位可能なように適合されている。これによって、等速ジョイントは、動作中の軸方向のシャフト変位に適応することができる。これは、例えば、伸縮構成を有するホイールドライブシャフトの使用などによって、ホイールドライブシャフトが軸方向の変位を補償するように配置されない場合があるという点で有利である可能性がある。従って、より複雑でないホイールドライブシャフトを使用することができ、例えば、使用中に伸縮装置が故障するリスクを低減することができる。また、ホイールドライブシャフトのコストを削減することもできる。
【0012】
オプションとして、等速ジョイントは、第1の関節ジョイント部材と第2の関節ジョイント部材との間に挿入された、複数のボール、又は球体の一部として形成された接触面をそれぞれ有する複数の部材を更に備えていてもよい。これによって、第1の関節ジョイント部材と第2の関節ジョイント部材との間で、トルクを確実に伝達することができる。複数のボール、又は球体の一部として形成された接触面をそれぞれ有する複数の部材は、第1の関節ジョイント部材及び第2の関節ジョイント部材の溝に設けられることが望ましい。複数のボール、又は球体の一部として形成された接触面をそれぞれ有する複数の部材はさらに、第1の関節ジョイント部材と第2の関節ジョイント部材との間で、それぞれの点接触を介してトルクを伝達するように配置されていてもよい。
【0013】
オプションとして、等速ジョイントは、プランジングジョイントであってもよい。プランジングジョイントは、一定の回転速度において可変角度で動力を伝達する能力、及び動作中の軸方向へのシャフト変位に適応する能力で知られている。また、プランジングジョイントを使用することによって、プランジングジョイントとダブルセンターユニバーサルジョイントとの間のホイールドライブシャフトの有効長を長くすることができる。これは、プランジングジョイントの軸方向の伸びが比較的コンパクトであるために達成することができる。有効長の増加は、ホイールドライブシャフト装置の耐用年数にとって有利であることが示された。
【0014】
オプションとして、ダブルセンターユニバーサルジョイントは、第3のジョイント部材、第4のジョイント部材及び中間ジョイント部材を互いに旋回させるために、1つ以上のローラベアリング、望ましくは1つ以上のニードルローラベアリングを備えていてもよい。ローラを有するベアリングを提供することで、それがより大きい負荷/トルクを伝達できるという点で有利であるとともに、ジョイントに使用される潤滑剤の耐用年数に影響を与えるという点でローラが有利であることが示された。潤滑剤は、例えば、グリースとすることができる。
【0015】
オプションとして、ダブルセンターユニバーサルジョイントは、中間関節ジョイント部材の内部に設けられたセンタリング部材を備えていてもよい。このセンタリング部材は、第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材に連結されて、第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、使用中に実質的に固定された交点を通るように適合されている。上述したセンタリング部材を使用することによって、ジョイントの入力角度調整が、回転中のジョイントの対応する出力角度調整の原因となる。これによって、ホイールドライブシャフトの半径方向のシャフト変位を回避または最小限に抑えることができ、これは、ホイールドライブシャフトを支持する追加の支持部材を必要としないという点で有利であることが示された。例えば、ボールベアリング及び/又はローラベアリングを含む転がり軸受けの使用によって、ホイールドライブシャフトを半径方向に支持する必要がなくなる可能性がある。従って、ホイールドライブシャフト装置を車両に取り付けるために必要なコンポーネントが少なくて済む可能性がある。
【0016】
オプションとして、センタリング部材は、第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材の一方に連結された雄部、並びに第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材の他方に連結された雌部を備えていてもよい。雄部は、使用中に雌部の内側で移動するように適合されており、第3の関節ジョイント部材及び第4の関節部材のそれぞれの回転中心線が実質的に固定された交点を通る。
【0017】
オプションとして、ホイールドライブシャフトは、一定の調整できない軸長を有していてもよい。実際のところ、本明細書に開示された構成を使用することによって、ホイールドライブシャフトの長さを軸方向に調整できなくなり、これによって、ホイールドライブシャフトのコストを削減することができる。また、調整できない軸長を有することによって、ホイールドライブシャフトの直径が小さくなり、これによって、よりコンパクトなドライブシャフトを提供することができる。実際のところ、例えば、伸縮構成が必要ではない。
【0018】
オプションとして、ホイールドライブシャフト装置は、使用中にホイールドライブシャフトのトルク及び回転速度の少なくとも一方を測定する手段を更に備えていてもよい。
【0019】
オプションとして、使用中のサスペンションの動作及び/又は操舵角調節によってもたらされる、第3の関節ジョイント部材と第4の関節ジョイント部材との間の角度調整が、ホイールドライブシャフトとともにホイールドライブシャフトの第1の端部に軸方向の変位を伝達するように、ダブルセンターユニバーサルジョイントが適合されていてもよい。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、以下のような車両のホイール駆動装置によって達成される。ホイール駆動装置は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置と、第2の関節ジョイント部材に駆動可能に連結された少なくとも1つの駆動部材と、第4の関節ジョイント部材に駆動可能に連結されたホイールハブと、を備えている。
【0021】
本発明の第2の態様によって提供される利点及び効果は、本発明の第1の態様の実施形態に記載のホイールドライブシャフト装置によって提供される利点及び効果とほぼ類似している。本発明の第2の態様のすべての実施形態は、本発明の第1の態様のすべての実施形態に適用可能であり、かつそれらと組み合わせることができ、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0022】
オプションとして、ホイール駆動装置は、車両を操舵するように適合されていてもよい。さらなるオプションとして、ホイールドライブシャフトは、等速ジョイント及びダブルセンターユニバーサルジョイントによってのみ支持されていてもよい。即ち、上述の構成は、半径方向のシャフト変位が回避又は少なくとも減少するので、支持ベアリングを使用しなくてもよいことが見出された。これによって、より軽量の構成を提供することができ、これは、燃費/エネルギー効率の改善、環境影響の軽減、コスト低減などをもたらすことができる。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、この目的は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも1つのホイールドライブシャフト装置、及び/又は本発明の第2の態様の実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも1つのホイール駆動装置を備えた車両によって達成される。
【0024】
本発明の第3の態様によって提供される利点及び効果は、本発明の第1の態様の実施形態に記載のホイールドライブシャフト装置、及び本発明の第2の態様の実施形態に記載のホイール駆動装置によって提供される利点及び効果とほぼ類似している。本発明の第3の態様のすべての実施形態は、本発明の第1の態様及び第2の態様のすべての実施形態に適用可能であり、かつそれらと組み合わせることができ、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0025】
添付の図面を参照して、以下、例として挙げられる本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の例示的な実施形態によるトラックの形態をとる車両の側面図を示している。
【
図2】本発明の例示的な実施形態によるホイールドライブシャフト装置の断面図を示している。
【
図3】本発明の例示的な実施形態によるホイール駆動装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は、本発明の実施形態を例示する概略図を示しており、従って、必ずしも一定の尺度で描かれているわけではない。図示及び説明される実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明をよりよく説明及び図示するために、図面の一部の詳細が強調され得ることにも留意されたい。同様な符号は、特に明記されていない限り、説明全体で同様な要素を示している。
【0028】
図1には、トラック100の形態をとる車両が示されている。トラック100は、例えば、
図3に示されるようなホイール駆動装置60の一部を形成する、例えば、
図2に示すようなホイールドライブシャフト装置1を備えている。ここでは、ホイールドライブシャフト装置1及びホイール駆動装置60は、トラック100の前輪の端部に設けられている。しかしながら、ホイールドライブシャフト装置1及び/又はホイール駆動装置60は、1つ以上の後部位置など、他の位置にも設けられていてもよい。ホイールドライブシャフト装置1は、1つ以上の電気モータ(図示せず)、及び/又は内燃機関に駆動可能に連結することができる。トラック100が示されているが、本発明は、バス、建設機械車両など、他のタイプの車両で使用することもできると理解されたい。
【0029】
図2は、車両のホイールドライブシャフト装置1の断面図を示している。ホイールドライブシャフト装置1は、第1の軸端部11及び第2の軸端部12を有するホイールドライブシャフト10を備えている。この断面は、ホイールドライブシャフト装置1の回転軸Aによって定義される断面である。ホイールドライブシャフト装置1は、第1の端部11に設けられた等速ジョイント2を更に備えている。等速ジョイント2は、駆動可能かつ旋回可能に連結された、第1の関節ジョイント部材21及び第2の関節ジョイント部材22を備えている。第1の関節ジョイント部材21は、第1の端部11に駆動可能に連結され、第2の関節ジョイント部材22は、車両100の駆動部材3(
図3参照)に駆動可能に連結されている。
【0030】
ホイールドライブシャフト装置1は、第2の端部12に設けられたダブルセンターユニバーサルジョイント4を更に備えている。ダブルセンターユニバーサルジョイント4は、第2の端部12に駆動可能に連結された第3の関節ジョイント部材41と、車両100のホイールハブ5(
図3参照)に駆動可能に連結された第4の関節ジョイント部材42と、第3の関節ジョイント部材41及び第4の関節ジョイント部材42を駆動可能かつ旋回可能に連結する中間関節ジョイント部材43と、を備えている。第4の関節ジョイント部材42は、図示の実施形態では、シャフト部材10’を介してホイールハブ5に駆動可能に連結されている。
【0031】
また、
図2に示すように、第1の関節ジョイント部材21及び第2の関節ジョイント部材22は、それぞれの回転中心線A及びBの周りを夫々回転するように配置することができる。回転中心線A及びBは、交点ABにおいて互いに交差する。等速ジョイント2は、交点ABが軸方向に変位可能なように適合されている。従って、第1の関節ジョイント部材21及び第2の関節ジョイント部材22は、それらが相対的に軸方向に変位できるように配置されている。これによって、等速ジョイント2は、例えば、ダブルセンターユニバーサルジョイント4の角度調整によってもたらされる、ホイールドライブシャフト10の軸方向の変位に適応することができる。
図2に示す等速ジョイント2は、軸方向の変位に適応可能に構成された、プランジングジョイントの形態をとっている。より具体的には、
図2に示される等速ジョイント4は、球面ころ(図示せず)、即ち、それぞれが球体の一部として形成された接触面を有する部材を含み、ニードルローラベアリングに取り付けることができる三脚プランジングジョイントである。
【0032】
ダブルセンターユニバーサルジョイント4は、第3の関節ジョイント部材41、第4の関節ジョイント部材42及び中間関節ジョイント部材43を互いに旋回させる、ニードルローラベアリング(図示せず)を備えている。また、ダブルセンターユニバーサルジョイント4は、中間関節ジョイント部材の内部に設けられたセンタリング部材44を備えている。センタリング部材44は、第3の関節ジョイント部材41及び第4の関節ジョイント部材42に連結されて、第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、使用中に実質的に固定された交点を通るように適合されている。
【0033】
図2に示すようなセンタリング部材は、第3の関節ジョイント部材41に連結された雄部441と、第4の関節ジョイント部材42に連結された雌部442と、を備えている。雄部441は、使用中に雌部442の内側を移動するように適合されており、これによって、第3の関節ジョイント部材及び第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、実質的に固定された交点を通るようになっている。雌部は、球形をなし、ジョイントの交点の周りを旋回可能である。
【0034】
また、
図2に示すようなホイールドライブシャフト10は、一定の調整できない軸長を持っている。従って、例えば、調整可能な伸縮シャフトを有する設計と比較して、より費用効果の高い構成が提供される。
【0035】
ダブルセンターユニバーサルジョイント4は、使用中のサスペンションの動作及び/又は操舵角調整によってもたらされる、第3の関節ジョイント部材41と第4の関節ジョイント部材42との間の角度調整が、ホイールドライブシャフト10とともにホイールドライブシャフト10の第1の端部11に軸方向の変位を伝達するように適合されている。
【0036】
ここで
図3を参照すると、車両100のホイール駆動装置60の断面図が示されている。この断面は、ホイールドライブシャフト装置1の回転軸Aによって定義される断面である。ホイール駆動装置60は、
図2に示すようなホイールドライブシャフト装置1を備えている。ホイール駆動装置60は、この実施形態では第2の関節ジョイント部材22に駆動可能に連結されたディファレンシャルギアである駆動部材3と、シャフト部材10’を介して第4の関節ジョイント部材42に駆動可能に連結されたホイールハブ5と、を更に備えている。
図3に示すようなホイール駆動装置60は、車両を操舵するように適合され、かつフロントステアリングホイール駆動装置である。上述したように、ホイール駆動装置60は、車両の他の位置でも使用することができる。本発明を提供することで、ホイールドライブシャフト10は、等速ジョイント2及びダブルセンターユニバーサルジョイント4によってのみ支持される。即ち、ホイールドライブシャフト10を半径方向に支持するベアリングなどは存在しない。本明細書で使用されるようなホイールドライブシャフト10に対する半径方向は、ホイールドライブシャフト10の軸方向に垂直である方向を意味している。
図3に示すようなホイール駆動装置60は、サスペンション部材70に更に連結されている。
【0037】
ホイールドライブシャフト装置及び/又はホイール駆動装置60は、使用中にホイールドライブシャフト10のトルク及び回転速度の少なくとも一方を測定する手段(図示せず)を更に備えていてもよい。例えば、この手段は、静止部材に設けられたセンサ、及びホイールドライブシャフト10と一体となって回転可能なエンコーダを備えていてもよい。センサは、ホイールドライブシャフト10の回転速度及び/又は加速度を示す回転運動を検出するように適合されている。
【0038】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更及び修正が行われ得ることを認識するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(11)及び第2の端部(12)を有するホイールドライブシャフト(10)と、
前記第1の端部に設けられ、駆動可能かつ旋回可能に連結された第1の関節ジョイント部材(21)及び第2の関節ジョイント部材(22)を含む等速ジョイント(2)であって、前記第1の関節ジョイント部材が前記第1の端部に駆動可能に連結され、前記第2の関節ジョイント部材が車両の駆動部材(3)に駆動可能に連結されたことを特徴とする、等速ジョイント(2)と、
前記第2の端部に設けられたダブルセンターユニバーサルジョイント(4)であって、前記第2の端部に駆動可能に連結された第3の関節ジョイント部材(41)、前記車両のホイールハブ(5)に駆動可能に連結された第4の関節ジョイント部材(42)、並びに前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材を駆動可能かつ旋回可能に連結する中間関節ジョイント部材(43)を含んだ、ダブルセンターユニバーサルジョイント(4)と、
を備
え、
前記ダブルセンターユニバーサルジョイントは、前記中間関節ジョイント部材の内部に設けられたセンタリング部材(44)を備え、
前記センタリング部材は、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材に連結されて、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、使用中に実質的に固定された交点を通るように適合され、
前記センタリング部材は、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材の一方に連結された雄部と、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材の他方に連結された雌部と、を備え、
前記雄部が、使用中に前記雌部の内側を移動して、前記第3の関節ジョイント部材及び前記第4の関節ジョイント部材のそれぞれの回転中心線が、前記実質的に固定された交点を通るように適合された、
車両(100)のホイールドライブシャフト装置(1)。
【請求項2】
前記第1の関節ジョイント部材及び前記第2の関節ジョイント部材は、交点において互いに交差するそれぞれの回転中心線の周りを回転するように配置され、
前記等速ジョイントは、前記交点が軸方向に変位可能になるように適合された、
請求項1に記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項3】
前記等速ジョイントは、前記第1の関節ジョイント部材と前記第2の関節ジョイント部材との間に挿入された、複数のボール、又はそれぞれが球体の一部として形成された接触面をそれぞれ有する複数の部材を更に備えた、
請求項1又は2に記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項4】
前記等速ジョイントがプランジングジョイントである、
請求項1~3のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項5】
前記ダブルセンターユニバーサルジョイントは、前記第3の関節ジョイント部材、前記第4の関節ジョイント部材、及び前記中間関節ジョイント部材を互いに旋回させるために、1つ以上のローラベアリング、望ましくは1つ以上のニードルローラベアリングを備えた、
請求項1~4のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項6】
前記ホイールドライブシャフトが一定の調整できない軸長を持つ、
請求項1~5のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項7】
使用中に前記ホイールドライブシャフトのトルク及び回転速度の少なくとも一方を測定する手段を更に備えた、
請求項1~6のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項8】
前記ダブルセンターユニバーサルジョイントは、使用中のサスペンションの動作及び/又は操舵角調整によってもたらされる、前記第3の関節ジョイント部材と前記第4の関節ジョイント部材との間の角度調整が、前記ホイールドライブシャフトとともに前記ホイールドライブシャフトの前記第1の端部に軸方向の変位を伝達する、
請求項1~7のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載のホイールドライブシャフト装置(1)と、
前記第2の関節ジョイント部材に駆動可能に連結された少なくとも1つの駆動部材(3)と、
前記第4の関節ジョイント部材に駆動可能に連結されたホイールハブ(5)と、
を備えた、車両のホイール駆動装置(60)。
【請求項10】
前記ホイール駆動装置は、前記車両を操舵するように適合された、
請求項9に記載のホイール駆動装置。
【請求項11】
前記ホイールドライブシャフト(10)は、前記等速ジョイント及び前記ダブルセンターユニバーサルジョイントによってのみ支持された、
請求項9又は10に記載のホイール駆動装置。
【請求項12】
前記駆動部材(3)は、ディファレンシャルギアなどのギアである、
請求項9~11のいずれか1つに記載のホイール駆動装置。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1つに記載の少なくとも1つのホイールドライブシャフト装置、及び/又は
請求項9~12のいずれか1つに記載の少なくとも1つのホイール駆動装置を備えた、車両(100)。
【国際調査報告】