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特表2023-506694振幅変調を介して制御されるAC機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】振幅変調を介して制御されるAC機械
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20160101AFI20230213BHJP
【FI】
H02P6/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022528331
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 AU2020050678
(87)【国際公開番号】W WO2021092644
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】2019904310
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522190155
【氏名又は名称】ムジヤンセラゲ ニランタ プラサド ダミカ グナラトネ,ピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ムジヤンセラゲ ニランタ プラサド ダミカ グナラトネ,ピー
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560BB04
5H560BB12
5H560DA12
5H560DC12
5H560XA12
(57)【要約】
ACモータは、電力周波数に依存せずに回転するため、サイズおよび制御性に利点がある。振動回転磁界は、振幅変調入力を使用することによって、空隙を横切って生じる。高い方の周波数(キャリア)は電源入力であり、低い方の周波数(信号)はモータの速度を決定する。
固定子および回転子は変圧器の一次側および二次側として働き、回転子巻線は、回転子が固定子磁界と揃ったときに、巻線内で発生する合成EMFをゼロに維持し、偏位したときに増加させるように、配置されている。
偏位した回転子巻線上に発生する電流は、回転子が磁界と揃ったままに維持するプッシュバックトルクを発生させる。これによって、磁界と回転子とを連動させる。
それぞれの巻線を流れる電流が振幅変調されるように、2つの異なる周波数が固定子巻線のいずれかの端部に印加され、2つの周波数の平均はキャリア周波数となり、制御周波数は2つの周波数の差の半分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動磁界が、空隙を横切って生じ、振動磁界を使用して、固定子巻線が一次側として働く変圧器の二次側として働く回転子巻線に電流を誘起する、
電気機械。
【請求項2】
前記振動磁界の位置/回転は、独立した信号によって制御される、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
固定子の合成磁界と回転子巻線の対称軸とが平行であるときに、すべての巻線を横切るEMFのベクトル和がゼロ(ゼロ電流)となり、加えられる外部トルクが無いときに、有効電力が無いように、前記回転子上の巻線が配置されている、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項4】
回転子巻線の対が前記主巻線の軸に対称に配置され、直列に相互接続されており、前記巻線の対称軸が、外部トルクによって固定子の合成磁界から偏位したときに、回転子巻線上に合成EMFおよび電流を生じる、
請求項3に記載の電気機械。
【請求項5】
すべての巻線を横切る電流が、同じであり、振動磁界と同位相になるように、前記回転子上の巻線が配置されている、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項6】
それぞれの位相の電流を用いて固定子磁界と前記回転子位置との間の偏角を決定し、要求される角度位置をフィードバックループなしで達成する、
ステッピングモータ制御システム。
【請求項7】
前記磁界位置を調整することによって、可変トルクで前記角度位置を完全に保持する、
ステッピングモータ制御システム。
【請求項8】
それぞれの位相の巻線を流れる電流が振幅変調されるように、少なくとも2つの異なる周波数が前記固定子巻線のいずれかの端部に印加され、ここで、前記キャリア周波数は印加される前記2つの周波数の平均であり、前記制御周波数は前記2つの周波数の差の半分である、
請求項1~4に記載の電気機械。
【請求項9】
請求項2~7のいずれか1項に記載の電気機械の、3つの異なる平行な固定子および回転子を備え、
前記3つの固定子セットのそれぞれの前記キャリア周波数が120°位相シフトされ、平行なセグメントそれぞれのトルク曲線が互いに120°位相シフトされ、前記回転子に一定のトルクを生じ、位相それぞれの負荷バランスをとるように、可変周波数ドライブに接続するための、
電気機械。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の形式の電気機械を制御する方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、AC電気機械およびステッピングモータに関する。
【0002】
〔従来技術〕
モータまたは発電機の形式の電気機械は、近年世界で最も一般的に使用されている技術の1つである。ステッピングモータは、制御システムおよび自動化の分野における電気機械の最も一般的な用途の1つである。
【0003】
AC誘導モータは、最も弾力的で経済的なタイプのモータの1つであるが、広範囲での速度制御、特に低速での速度制御に限界がある。また、磁界が回転しているとき、および回転方向にあるときにのみ、トルクが発生するため、ステッピングモータとしては使用できない。
【0004】
ACモータの電力密度(重量に対する電力比率)は、より高い動作周波数を使用することによって増加させることができる。しかしながら、ACモータの速度は、常に動作周波数の要因であり、これによって、高い電力密度を有する低速モータを構築する能力が制限される。
【0005】
電気自動車および電動飛行ソースの急速な発達に伴って、高出力かつ広範囲の速度を有する小型かつ軽量なモータへの需要が高まっている。
【0006】
ステッピングモータの主な制限は角度分解能であり、角度分解能が良いほど、モータのトルクおよび効率が低下する。スムーズな制御が必要な場合、ステッピングモータにはオーバーシュートおよびリンギングという別の問題がある。
【0007】
ACモータが可変周波数ドライブによって制御される場合、より広範囲の周波数に対して設計最適化が要求されるが、すべての周波数の範囲を通して同一の性能を提供するモータを開発することは困難である。
【0008】
回転速度が動作周波数に依存しないACモータは、高い電力密度かつ柔軟な速度制御を有するモータを開発する上で、多くの利点を有する。また、回転速度(RPM)が動作周波数に依存しない場合、モータは高トルクで任意の周波数に0RPMを達成でき、非常に高い角度分解能を有するステッピングモータを提供できる。
【0009】
1つの決まった動作周波数で動作するようにモータが設計されている場合、より良く最適化され効率的なモータを開発することができる。
【0010】
〔本発明の開示〕
電気モータにおけるトルクの基本原理は、固定子が移動磁界を作り、回転子が移動磁界に固定されることである。
【0011】
このためには、4つの一般的なコンセプトが存在する。
1.通電導体を有する回転子であって、ブラシ、およびコミュータリングまたはスリップリングを使用して、回転子に電流を注入する、回転子。
2.回転子は、移動磁界との相対速度(スリップ)を用いて電流を発生させ、ブラシ無しで動作する(誘導モータ)
3.移動磁界に追従する永久磁石
4.最小の磁気リラクタンス経路を作り、移動磁界と整列させるための指向性回転子。
【0012】
この新規なモータの主な発明は、いかにして回転子導体がブラシまたはスリップを有さずに電流を発生させるか、である。このシステムは、空隙を横切る振動磁界を生じ、回転子巻線が変圧器の二次巻線のように働き、電流を発生させ、固定子巻線が一次巻線として働く。
【0013】
本発明の一態様によれば、固定子と補助システムを有する電機子とを含む電気機械が提供される。補助システムは、電源電圧の周波数で、空隙を横切る振動磁界を生成する。磁界の位置/回転速度は、電源周波数に依存しない信号によって制御される。これによって、ゼロRPM(静止)を含む広い範囲の速度でモータを制御できる。
【0014】
これによって、動作周波数とは関係なく、ゼロから非常に高い速度範囲で動作するモータが生成される。固定されてゼロRPMになる能力は、非常に高い角度分解能、柔軟性、およびより良い制御性を有するステッピングモータを作り出す。
【0015】
振動回転磁界を作り出すために使用されるコンセプトは、2つの周波数の振幅変調であり、周波数1がモータ動作周波数であり、周波数2がモータ制御周波数である。
【0016】
好ましくは、モータ用途において、電気機械は、モータを動作させるために、少なくとも2つの周波数に由来する信号を使用するように設計された電気モータである:
一方の周波数は、固定相AC電源を含む、モータに電力を供給する入力に由来するキャリア周波数であり;
もう一方の周波数は、モータの速度を制御するための制御であり;
ここで、一方の周波数の信号は、もう一方の周波数の信号によって振幅変調され、モータの速度を制御する。
【0017】
好ましくは、電源入力の周波数は、使用される材料に依存して、低い周波数から非常に高い周波数まで変化してもよい。構成材料として鋼を使用する場合、最大400Hz程度まで使用できる。400Hzより高い周波数は、高い透磁率および低い電導率を有する材料を用いて、実装することができる。
【0018】
好ましくは、キャリアは、電源入力周波数を含む。信号は、3相、または0Hzからキャリア周波数の半分まで変化する単相電圧を含み、モータの速度は信号の周波数に依存する。
【0019】
I 3相モータの場合
好ましくは、制御信号の3相すべてが、キャリア周波数で振幅変調され、モータへの3相入力を生成する。
【0020】
好ましくは、トルク生成の最終段階で、回転子内で2つの周波数が復調されて、振動振幅を有する回転磁界を生成し、それによって、もう一方の周波数(信号)が磁界の回転速度を決定し、一方の周波数(キャリア)が回転磁界の振動周波数を決定する。
【0021】
好ましくは、電機子は、振動磁界と回転子対称軸との間の偏角が無い状態ですべての巻線を横切るEMFのベクトル和がゼロになるように配置された巻線を有する回転子の形態である。
【0022】
好ましくは、巻線の対が主巻線の軸に対称に配置され、直列に相互接続されており、生成されるEMFを打ち消す。
【0023】
モータへの振幅変調入力は、2つの可変周波数ドライバを使用して生成することができる。
【0024】
好ましくは、それぞれの位相の巻線を流れる電流が振幅変調されるように、2つの異なる周波数が前記固定子巻線のいずれかの端部に印加され、ここで、キャリア周波数は印加される2つの異なる周波数の平均であり、制御周波数は印加される2つの異なる周波数の差の半分である。
【0025】
本発明の別の態様によれば、上述した態様の電気機械の、3つの異なる固定子および回転子を備え、3つの固定子セットのそれぞれのキャリア周波数が120°位相シフトされ、平行なセグメントそれぞれのトルク曲線が互いに120°位相シフトされ、回転子に一定のトルクを生じ、位相それぞれの負荷バランスをとるように、可変周波数ドライブに接続するための、電気機械が提供される。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、電気機械を制御する、または、前述の態様のいずれか1つで定義された形態の電気機械から信号を生成する、方法が提供される。
【0027】
〔最良の形態および図面〕
ここで、本発明の異なる態様を具現化する様々な形態を説明する。これらの実施形態は、様々な課題およびコンセプトに取り組み、それに関連する様々な問題点を克服する解決手段を提供する。
【0028】
これらの実施形態は、添付の図面を参照して説明される。当該図面は、グラフおよび図面を含み、本明細書に組み込まれ、明細書末尾に単独で提供される。
【0029】
〔発明を実施するための好ましい形態〕
本発明を実施するための好ましい形態は、以下の課題およびコンセプトを包含する。
【0030】
〔第1の実施形態〕
〔課題〕RPMが電源周波数に依存しないAC機械を開発すること。
【0031】
〔コンセプト〕
2つの周波数を使用してモータを動作させる。
【0032】
1.周波数1-電源入力(キャリア)
モータに電力を供給する入力は、決まった周波数の単相AC電源からなる。当該入力は、低周波数から400Hzまで変化させることができる(電磁鋼板の特性に依存する)。図01は、キャリア入力を示す。
【0033】
2.周波数2-制御入力-信号
モータの速度を制御する信号は、3相または単相からなり、最良の動作のために、0Hzから電源入力周波数の半分まで変化させることができる。
制御入力が0Hz(DC)である場合、モータは回転しないが、トルクは発生したままとなり、モータは1つの位置でロックされる。図02図03図04は、3相機械が使用される時の信号入力を示す。
【0034】
モータへの最終的な入力は、周波数1をキャリア、周波数2を信号として使用した、2つの周波数を超える振幅変調によって生成される。
【0035】
図05図06図07は、3相すべての制御信号がキャリア周波数で振幅変調され、モータへの3相入力が生成されることを示す。
【0036】
2つの周波数の復調は、トルク生成の最終段階で回転子において発生し、振幅が振動する回転磁気を生成する。
【0037】
図08は、空隙および回転子を横切る回転振動磁界を示す。
【0038】
周波数2は磁界の回転速度を決定し、周波数1は回転磁界の振動周波数を決定する。
【0039】
周波数2が0Hzである場合、周波数2は、モータの中心を横切る、静止した振動磁界を発生させ、モータがステッピングモータとして使用することができるようになる。
【0040】
ステッピングモータの角度分解能は、より高品質の可変周波数ドライブを用いて簡単に改善することができる入力周波数の精度のみに依存する。
【0041】
モータの停止シーケンスは、予め定義された減速曲線を導入することによって、改善することができ、これによって、ほぼゼロまたは最小限のオーバーシュートおよびリンギングで、よりスムーズな停止ができるようになる。
【0042】
〔第2の実施形態〕
〔課題〕回転振動磁界にロックされ、ゼロRPMであってもトルクを生じる回転子を開発する。
【0043】
〔解決手段-ベクトルEMF制御回転対称回転子〕
固定子は振動磁界を生成し、回転子巻線は振動磁界を横切ってループを作る。この働きは、固定子が一次側であり、回転子巻線が二次側である変圧器のようなものである。
【0044】
図09は、振動磁界を横切る単一スロット内の回転子巻線を示す。
【0045】
図09に示すように、回転子巻線が磁界に対して平行に配置されている場合、巻線を横切る磁束が存在せず、したがって電流が存在しない。
【0046】
回転子巻線を横切る磁束の量は、磁界と巻線との間の角度に依存する。角度がゼロ(磁界と平行)である場合、電流およびトルクは存在しない。偏角が大きくなると、巻線上の電流が増加し、回転子にトルクが発生する。
【0047】
回転子に外部トルクを加えると、巻線上の反トルクが外部トルクと等しくなるまで、巻線は磁界から離れて回転する。
【0048】
磁界が回転を始めると、巻線(回転子)は回転磁界に追従する。回転子は、回転磁界と同じRPMを有することになる(同期モータの場合と同様)。
【0049】
図9のように、回転子中心の単一スロットの巻線には、2つの大きな課題があった。
1.1組の巻線では、モータを動作させるために十分なトルクを生じない。
2.空隙を横切る磁界分布は、回転子の周りで正弦波に近く、ピークは図08にマークされた点Aであり、点B点でゼロであり、生成されるトルクは電流およびMMFに基づいており、MMFは、導体が点Aから点Bまで移動するときに減少し、トルクは電流に比例して増加しない。
【0050】
上記の2つの課題を克服するために、それぞれに同じ電流を有する複数の巻線スロットが必要とされる。
【0051】
図10のように回転子を横切る複数の平行な巻線を有することは、それぞれの巻線上の電流が磁束とは異なる位相角となるので、所望の解決手段を提供しないであろう。
【0052】
同じ位相で電流を生成するためには、巻線が、回転子を横切って回転対称である必要がある。
【0053】
図11は、回転子を横切る回転対称な巻線を示す。
【0054】
左上側および右下側のスロットの間の巻線は反時計回りのトルクを生成し、右上側および左下側のスロットの間の巻線は時計回りのトルクを生成する。これは、望ましい出力ではなく、過剰な熱および電力損失をもたらす。
【0055】
この課題を克服するために、すべての巻線を横切るEMFのベクトル和が偏角なしでゼロとなる様式で、巻線が配置された。
【0056】
主巻線の軸上で対称な2つの巻線が、直列に相互接続され、生成されたEMFを打ち消す。
【0057】
図12は、偏角がない2つの対称な巻線を示す。
【0058】
回転子が偏角を持たないとき、巻線それぞれを通る磁束は同一であり、したがって、同一のEMFが両方の巻線に発生し、電流は流れず、したがってトルクは生じない。
【0059】
図13に示すように、外部トルクによって回転子が時計回りに動くと、左上側から右下側への巻線の磁界に対する角度が小さくなり、右上側から左下側への巻線の角度は大きくなる。
【0060】
したがって、左上から右下へのコイルのEMFが下がり、右上から左下へのコイルのEMFが上がり、両方のコイルに磁界と同位相の電流が発生し、トルクが発生する。
【0061】
トルクは、EMFベクトル和がゼロになるように対称的に分布され相互接続されている回転子を横切る複数のスロットおよび巻線を追加することによって、顕著に改善することができる。
【0062】
すべての巻線が直列に接続されているため、電流はすべてを通過し、磁界と同位相になる。
【0063】
図14は、24個のスロットの複数の巻線を有する回転子を示す。14個のスロットは巻線で満たされており、10個のスロットは空いている。空きスロットは、巻線を磁界の他の側に移動させることなく、必要な偏角を可能にするものである。いずれかの巻線が反対側に移動すると、逆トルクが発生し、モータがスリップする。
【0064】
必要なトルクおよび固定子巻線の構成を基準にして、回転子の最大偏角(ブレークダウンポイント)を決定する必要がある。
【0065】
図15は、24個のスロット回転子の巻線方向およびパターンを示す。ここで、14個のスロットが占有されている。主巻線は、スロット1および13を占有している。巻線は、任意のコーナースロットで開始することができる(図15は、スロット22であるAを始点として示す)。巻線は、それぞれのスロットの半分を満たすことによって、反対の方向に向かい、最後のスロットに到達すると、戻り始め、スロットの他の半分を満たすであろう。巻線の端部は開始スロットに到達し、1つのループが、すべてのスロットを横切り、完全に対称性となるようにする。
【0066】
上記の構成は、2極機械用であり、同じコンセプトを4極または6極機械用に使用できる。極の数が多いほど、モータは小さい偏角で高いトルクを発生させることができる。
【0067】
2極を超える機械の場合、図16に示すように、回転子巻線は、隣接する反対の極を横切って対称に配置される。
【0068】
図17は、4極用の24スロット回転子の巻線方向およびパターンを示す。12スロットが占有されている。主巻線は、スロット1、7、13および19を占有している。巻線は、任意のコーナースロットで開始することができる(図17は、スロット24であるAを始点として示す)。それぞれのスロットの半分は巻線によって満たされ、左側の極へ行き、他の半分は右側の極へ行く。回転子の周りを回った後、巻線の端部は開始スロットに到達し、1つのループが、すべてのスロットを横切り、完全に対称性となるようにする。
【0069】
極の数が増加すると、必要な偏角は小さくなる。偏角が回転子の2つの巻線スロットの間の角度の半分以下になるように設計計算を行うと、巻線の空きスロットがなくなり、モータがより最適化される。
【0070】
回転子のスロット数および占有されるスロット数は、極の数、必要なトルク、許容可能な最大偏角、トルクの単位増加分当たりの許容可能な偏角に依存する変数である。
【0071】
〔ステッピングモータとして制御〕
信号周波数をゼロに設定すると、磁界は回転を停止し、回転子がロックされている空隙を横切って振動し続け、非常に高い保持トルクを有するステッピングモータが生成される。
【0072】
ステッピングモータの角度位置は、信号周波数がゼロになった点(振動磁界の方向)、およびトルクによる偏角によって、決定される。
【0073】
それぞれの位相を通る電流は、偏角に正比例し、
偏角=K×電流(式中、Kはモータ設計の通り一定である)。
【0074】
これをステッピングモータとして用いた場合、制御システムは、合成磁界の位置および偏角を使用することによって、正確な角度位置を評価することができる。
【0075】
ステッピングが可変トルク環境で動作する場合、偏角が変化する。合成磁界の位置を調整するのみで、回転子の正確な位置を維持することができる。これによって、このモータをステッピングモータとして制御することは、従来のステッピングモータよりもコスト効率が良く、かつ柔軟であり、トルクを変化させて位置を維持するために電圧を調整する必要がない。
【0076】
回転速度(信号の周波数)を制御することで、スムーズな減速および停止を実現し、モータ停止時のリンギングおよびオーバーシュートを回避または最小限にすることができる。
【0077】
〔第3の実施形態〕
〔課題〕高価な電子部品の要求、高出力および高電圧での振幅変調の非効率性および複雑性。
【0078】
〔解決手段〕
〔選択肢1-単一PWMシーケンスを使用して振幅変調入力を生成する〕
図18に示すように、振幅変調出力は、PWMを使用することによって、生成することができる。ここでは、パルスの幅が維持され、同じ周波数が保たれ、電圧が変化する。
【0079】
〔選択肢2-2つのVFDを使用した振幅変調〕
2つの異なる周波数(f1およびf2)の電圧がインダクタのいずれかの端部に印加されると、インダクタ端子の実際の電圧は振幅変調出力になる。ここで、(f1-f2)/2は信号であり、(f1+f2)/2は以下に示す通りキャリアである。これにより、高調波が少なく、高精度なAM入力が得られる。
【0080】
【数1】
【0081】
振幅変調は、上記コンセプトを適用し、固定子巻線を変調器として使用することによって、より効率的に行うことができる。
【0082】
2つの可変周波数ドライブがモータの固定子巻線に接続されて、振幅変調電圧パターンを生成する。
【0083】
巻線の一端はU1、V1、W1(VFD1の出力)の配列で接続されなければならず、もう一端はU2、W2、V2の配列で接続されなければならない。
【0084】
3相の接続配列
相1-U1およびU2(印加電圧U1-U2)
相2-V1およびW2(印加電圧V1-W2)
相3-W1およびV2(印加電圧W1-V2)。
【0085】
これは、電源入力信号が3相すべての入力において同じであり、制御信号が120°位相シフトされることを確実にするためのものである。
【0086】
【数2】
【0087】
【数3】
【0088】
信号として(f1-f2)/2、キャリアとして(f1+f2)/2の振幅変調出力。
【0089】
【数4】
【0090】
(f1-f2)/2と(f1+f2)/2と(f1-f2)/2との振幅変調出力、(U1-U2)から120°位相シフト。
【0091】
【数5】
【0092】
(f1-f2)/2と(f1+f2)/2と(f1-f2)/2との振幅変調出力、(V1-W2)から120°位相シフト。
【0093】
上記3つの出力は、(f1+f2)/2の振幅変調の正確に同じ出力、および(f1-f2)/2の3相信号を与える。
【0094】
制御システムは、(f1+f2)を一定に保ち(f1-f2)/2を所望の出力RPMに保つように、設計されなければならない。
【0095】
〔第4の実施形態〕
〔平行回転子、トルクおよび負荷バランス〕
新規な解決手段の主要な問題として、以下の3つの問題が特定される。
1.トルクは、電源入力の周波数で発振するため、一定ではない。
2.回転子が静止しているとき、VFDへの負荷はアンバランスである。
3.低速動作中、負荷の変動はそれぞれの相で非常に遅く、VFDに余分な歪みを加える。
【0096】
上記の問題は、3つの異なる固定子および回転子に、キャリア周波数が120°位相シフトされる変調された入力でそれらへ電力を供給させることによって、軽減することができる。
【0097】
セグメントそれぞれのトルク曲線は、互いに120°位相シフトされ、その結果、回転子に一定の合成トルクを生じる。
【0098】
これは、3つの別個のモータを連結するようなものである。
【0099】
以下の表に示す順序にしたがって、モータの3つの異なる固定子を2つのVFDに接続して、3つの固定子セットのキャリア周波数が120°位相シフトされるようにすることができる。
【0100】
これはまた、両方のVFDにおける位相それぞれの負荷バランスをとり、余分な歪みを回避し、問題2および3を解決する。
【0101】
【表1】
【0102】
〔利用可能な技術を上回る利点〕
・モータのRPMは、電源周波数に依存せず、決まった周波数入力で、0RPM~非常に高いRPMを生む能力をもたらす。
・すべての速度について単一の周波数でモータが動作するため、設計および最適化においてより柔軟性がある。
・モータを高周波(向上した電力密度)で動作させることによって、小型および軽量でありながら高出力を生み出す能力。
・集中した巻線を使用することによって、単純な構造、低い銅損、より高いスロット充填率、長さの減少、および最大MMFの誘起など、従来の誘導機に対する多くの利点をもたらす。
・同じ電力出力を生成しながら、広範囲の速度を生む能力。
・モータは、永久磁石またはブラシ無しに同期した速度で動作し、信頼性が高く、コスト効率が良く、堅牢なモータを開発する能力をもたらす。
・高い角度分解能を有するステッピングモータとして使用することができる。
・可変トルクが加わるときでも、より正確な位置決め。
・ステッピングモータとして使用した場合、制御された角速度で、最小のオーバーシュートおよびリンギングを有する。
・ステッピングモータとして使用した場合、ゼロRPMで非常に高いトルクを発生する。
・ステッピングモータ制御システムにおけるトルク変動に対しては、電圧制御が不要であり、角度位置制御のみが必要である。これによって、制御システムのコストおよび複雑性が低減される。
・ステッピングとして、トルクが無い時に最小の電力を消費し、トルクが増加した時に電力消費を増加させる。
【0103】
本発明の範囲は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、本発明のコンセプトは、その本質的な要素の使用を依然として想定している他の用途および実施形態に対して適用可能であり得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1図01は、キャリア入力を示す。
図2図02は、3相機械が使用される時の信号入力を示す。
図3図03は、3相機械が使用される時の信号入力を示す。
図4図04は、3相機械が使用される時の信号入力を示す。
図5図05は、3相すべての制御信号がキャリア周波数で振幅変調され、モータへの3相入力が生成されることを示す。
図6図06は、3相すべての制御信号がキャリア周波数で振幅変調され、モータへの3相入力が生成されることを示す。
図7図07は、3相すべての制御信号がキャリア周波数で振幅変調され、モータへの3相入力が生成されることを示す。
図8図08は、空隙および回転子を横切る回転振動磁界を示す。
図9図09は、振動磁界を横切る単一スロット内の回転子巻線を示す。
図10図10は、回転子を横切る複数の平行な巻線を説明するための図である。
図11図11は、回転子を横切る回転対称な巻線を示す。
図12図12は、偏角がない2つの対称な巻線を示す。
図13図13は、外部トルクによって回転子が時計回りに動くと、左上側から右下側への巻線の磁界に対する角度が小さくなり、右上側から左下側への巻線の角度は大きくなることを説明するための図である。
図14図14は、24個のスロットの複数の巻線を有する回転子を示す。
図15図15は、24個のスロット回転子の巻線方向およびパターンを示す。
図16図16は、回転子巻線は、隣接する反対の極を横切って対称に配置されていることを説明するための図である。
図17図17は、4極用の24スロット回転子の巻線方向およびパターンを示す。
図18図18は、振幅変調出力は、PWMを使用することによって、生成することができることを説明するための図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動磁界が、空隙を横切って生じ、振動磁界を使用して、固定子巻線が一次側として働く変圧器の二次側として働く回転子巻線に電流を誘起し、前記振動場は、制御入力を有する電源入力の振幅変調によって生成される、
電気機械。
【請求項2】
前記振動磁界の位置/回転は、前記制御入力によって制御される、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
固定子の合成磁界と回転子巻線の対称軸とが平行であるときに、すべての巻線を横切るEMFのベクトル和がゼロ(ゼロ電流)となり、加えられる外部トルクが無いときに、有効電力が無いように、前記回転子上の巻線が配置されている、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項4】
回転子巻線の対が主巻線の軸に対称に配置され、直列に相互接続されており、前記巻線の対称軸が、外部トルクによって固定子の合成磁界から偏位したときに、回転子巻線上に合成EMFおよび電流を生じる、
請求項3に記載の電気機械。
【請求項5】
すべての巻線を横切る電流が、同じであり、振動磁界と同位相になるように、前記回転子上の巻線が配置されている、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項6】
制御入力は、0Hzの周波数を有し、それぞれの位相の電流が用いられて固定子磁界と回転子位置との間の偏角を決定し、要求される角度位置をフィードバックループなしで達成する、
請求項1に記載の電気機械
【請求項7】
界位置を調整することによって、可変トルクで角度位置完全に保持される
請求項6に記載の電気機械
【請求項8】
それぞれの位相の巻線を流れる電流が振幅変調されるように、少なくとも2つの異なる周波数が前記固定子巻線のいずれかの端部に印加され、ここで、前記電源入力の周波数は印加される前記2つの周波数の平均であり、前記制御入力の周波数は前記2つの周波数の差の半分である、
請求項1~4に記載の電気機械。
【請求項9】
つの異なる平行な固定子および回転子を備え、
前記3つの固定子セットのそれぞれのキャリア周波数が120°位相シフトされ、平行なセグメントそれぞれのトルク曲線が互いに120°位相シフトされ、前記回転子に一定のトルクを生じ、位相それぞれの負荷バランスをとるように、可変周波数ドライブに接続するための、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気機械。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の形式の電気機械を制御する方法。
【国際調査報告】