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特表2023-506721賦形剤の高速液体クロマトグラフィー定量法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】賦形剤の高速液体クロマトグラフィー定量法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20230213BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20230213BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20230213BHJP
   G01N 30/74 20060101ALI20230213BHJP
   G01N 30/64 20060101ALI20230213BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20230213BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
G01N30/88 N
B01J20/281 X
G01N30/88 H
G01N30/86 J
G01N30/74 Z
G01N30/64 Z
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N30/26 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532729
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020065162
(87)【国際公開番号】W WO2021126882
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/948,357
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507154181
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ブリックマン イーサン タイラー
(72)【発明者】
【氏名】コーディー ルーク デイビッド ムニアー
(57)【要約】
本発明は、単一のアッセイにおいて、サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分離し、任意で定量するための分析方法を提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のアッセイにおいて、2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分析的に分離するための方法であって、
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分離するために、ペンタフルオロフェニル(PFP)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムで、前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤を含む試験サンプルについてクロマトグラフィーを実施すること;
HPLCカラム流出物における前記2つ以上の分離されたバッファーまたは賦形剤を検出すること;及び
前記分離された2つ以上のバッファーまたは賦形剤に対応するピークを有するクロマトグラムを生成すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤が、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スクロース、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、トレハロース、及びマンニトールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤が、糖または糖ベースの分子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤が、糖である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤が、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スクロース、トレハロース、及びマンニトールからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
同じHPLCカラムで実行された、前記2つ以上の賦形剤についての標準キャリブレーションクロマトグラフィーデータを得ること;及び
前記クロマトグラムから前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤の積分されたピーク面積を決定し、前記得られた標準キャリブレーションクロマトグラフィーデータに基づいて、前記積分された面積を濃度または量に変換することによって、前記試験サンプルにおける前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤の濃度または量を計算すること
をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記変換が、前記標準キャリブレーションクロマトグラフィーデータに対する線形回帰フィットを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤が、蒸発光散乱検出器(ELSD)を使用して検出される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ELSDが、40~70℃の蒸発温度、30~70psiの圧力、0.5~2のゲイン、及び0.5~1に設定されたフィルターに設定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記2つ以上のバッファーまたは賦形剤が、荷電化粒子検出器(CAD)を使用して検出される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記CADが、25~35℃の蒸発温度、4~6Hzの周波数、4~6秒に設定されたフィルター、HPLCの実行の最初の3分の2について1.78に設定されたパワーファンクション、及び前記HPLCの実行の最後の3分の1について1.68に設定されたパワーファンクションに設定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記HPLCが、移動相A及び移動相Bを使用して実行される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
移動相Aが、100%HO、HO中のギ酸、及びHO中のトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
移動相Aが、HO中の0.5%ギ酸及びHO中の0.05%トリフルオロ酢酸からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
移動相Bが、アセトニトリルを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
移動相Bが、100%アセトニトリルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
クロマトグラフィーを実施することが、0.1ml/分~1.0ml/分の速度で前記HPLCカラムを通る100%移動相Aのフローを有する平衡化工程を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記平衡化工程の流速が、0.25ml/分である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記平衡化工程の流速が、0.5ml/分である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記平衡化工程が、0.5分~10分である、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記平衡化工程が、3.0分である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記平衡化工程が、4.0分である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
クロマトグラフィーを実施することが、前記HPLCカラムを通る60%移動相A及び40%移動相Bのグラジエント変化工程フローを含む、請求項12~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
クロマトグラフィーを実施することが、前記HPLCカラムを通る40%移動相A及び60%移動相Bのグラジエント変化工程フローを含む、請求項12~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
クロマトグラフィーを実施することが、前記HPLCカラムを通る100%移動相Aのグラジエント変化工程フローを含む、請求項12~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記グラジエント変化工程の流速が、0.1ml/分~1.0ml/分である、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記グラジエント変化工程の流速が、0.25ml/分である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記グラジエント変化工程の流速が、0.5ml/分である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記グラジエント変化工程が、0.5分~10分である、請求項23~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記グラジエント変化工程が、0.5分である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記グラジエント変化工程が、2.0分である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記グラジエント変化工程が、4.0分である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
クロマトグラフィーを実施することが、前記HPLCカラムを通る40%移動相A及び60%移動相Bの維持工程フローを含む、請求項12~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
クロマトグラフィーを実施することが、前記HPLCカラムを通る100%移動相Aの維持工程フローを含む、請求項12~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記維持工程の流速が、0.1ml/分~1.0ml/分である、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記維持工程の流速が、0.5ml/分である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記維持工程の流速が、1.0ml/分である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記維持工程が、0.5分~10分である、請求項33~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記維持工程が、2.5分である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記維持工程が、4.0分である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
クロマトグラフィーを実施することが、0.1ml/分~1.0ml/分の速度で前記HPLCカラムを通る100%移動相Aのフローを有する再平衡化工程を含む、請求項12~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記再平衡化工程の流速が、0.25ml/分である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記再平衡化工程が、0.5分~10分である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記再平衡化工程が、3.0分である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
クロマトグラフィーを実施することが、
(i)0.25ml/分の流速で3.0分間の100%移動相Aでの平衡化;
(ii)0.25ml/分の流速で0.5分間の60%移動相A及び40%移動相Bへのグラジエント変化;
(iii)1.0ml/分の流速で4.0分間の40%移動相A及び60%移動相Bへのグラジエント変化;
(iv)1.0ml/分の流速で2.5分間の40%移動相A及び60%移動相Bでの維持;
(v)1.0ml/分の流速で2分間の100%移動相Aへのグラジエント変化;ならびに
(vi)0.25ml/分の流速で3.0分間の100%移動相Aでの再平衡化
を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
クロマトグラフィーを実施することが、
(i)0.5ml/分の流速で4.0分間の100%移動相Aでの平衡化;
(ii)0.5ml/分の流速で2.0分間の40%移動相A及び60%移動相Bへのグラジエント変化;
(iii)0.5ml/分の流速で2.0分間の100%移動相Aへのグラジエント変化;ならびに
(iv)0.5ml/分の流速で4分間の100%移動相Aでの維持
を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
クロマトグラフィーを実施することが、
(i)0.5ml/分の流速で4.0分間の100%移動相Aでの平衡化;
(ii)0.5ml/分の流速で2.0分間の40%移動相A及び60%移動相Bへのグラジエント変化;
(iii)0.5ml/分の流速で2.0分間の100%移動相Aへのグラジエント変化;ならびに
(iv)0.5ml/分の流速で4分間の100%移動相Aでの維持
を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
1μl~100μlの前記試験サンプルが前記HPLCカラムに注入される、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
10μlの前記試験サンプルが前記HPLCカラムに注入される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
4μlの前記試験サンプルが前記HPLCカラムに注入される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記PFP HPLCカラムが、2.6μm 150×4.6mmカラムである、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月16日に出願された米国仮特許出願番号62/948,357の利益及び優先権を主張し、その開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、液体サンプル成分の分離及び定量のために一般的に使用される分析方法である。HPLCカラムから溶出したサンプル成分は、検出セルを通過し、紫外線検出、質量分析、屈折率検出、蒸発光散乱検出(ELSD)、荷電化粒子検出(CAD)、及び凝縮核形成(condensation nucleation)光散乱検出(CNLSD)を含むがこれらに限定されない任意の1つまたは複数の方法を使用して検出される。
【0003】
薬学的製剤は、複数の生理的に許容可能な賦形剤及び/または担体と組み合わせて1つまたは複数の活性成分を慣用的に含む。これらの賦形剤及び/または担体は、安定化、希釈または増量の改善、吸収の促進、粘度の低下、及び/または活性成分の溶解性の向上に寄与し得る。前臨床及び臨床的研究はしばしば、薬学的製剤調製物の物理化学的特性の分析を必要とし、これには、それに使用される賦形剤及び/または担体の定量が常に含まれる。構成要素の賦形剤の物理化学的特性は広く異なり得るので、異なる固定相が充填された多重カラムを使用するHPLCによる多重分析が頻繁に用いられる。
【0004】
改善された方法が単一の固定相カラムを使用して単一のHPLCの実行において2つ以上の賦形剤を分解及び検出することができるように、異なる物理化学的特性を有する薬学的製剤における2つ以上の賦形剤を分離、検出、及び定量する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は概して、単一のHPLCアッセイにおいて2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分析的に分離し、任意で定量するための方法に関する。
【0006】
一態様では、本発明の方法は、ペンタフルオロフェニル(PFP)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムで、2つ以上のバッファーまたは賦形剤を含む試験サンプルについてクロマトグラフィーを実施して、2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分離すること;HPLCカラム流出物における2つ以上の分離されたバッファーまたは賦形剤を検出すること;及び分離された2つ以上のバッファーまたは賦形剤に対応するピークを有するクロマトグラムを生成することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、試験サンプルに存在する2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、及び糖または糖ベースの分子から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、糖または糖ベースの分子は、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(hpβCD)、スクロース、トレハロース、及びマンニトールから選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、同じHPLCカラムで実行された、2つ以上の賦形剤についての標準キャリブレーションクロマトグラフィーデータを得ること;及びクロマトグラムから2つ以上のバッファーまたは賦形剤の積分されたピーク面積を決定し、得られた標準キャリブレーションクロマトグラフィーデータに基づいて、積分された面積を濃度または量に変換することによって、試験サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤の濃度または量を計算することをさらに含む。所定の実施形態では、変換は、標準キャリブレーションクロマトグラフィーデータに対する線形回帰フィットを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、試験サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、蒸発光散乱検出器(ELSD)を使用して検出される。所定の実施形態では、ELSDは、40~70℃の蒸発温度、30~70psiの圧力、0.5~2のゲイン、及び0.5~1に設定されたフィルターに設定される。
【0010】
他の実施形態では、試験サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、荷電化粒子検出器(CAD)を使用して検出される。所定の実施形態では、CADは、25~35℃の蒸発温度、4~6Hzの周波数、4~6秒に設定されたフィルター、HPLCの実行の最初の3分の2について1.78に設定されたパワーファンクション、及びHPLCの実行の最後の3分の1について1.68に設定されたパワーファンクションに設定される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、HPLCは、2つの移動相:移動相A及び移動相Bを使用して実行される。いくつかの実施形態では、移動相Aは、100%HOである。他の実施形態では、移動相Aは、HO及びギ酸を含む。さらに他の実施形態では、移動相Aは、HO、及びトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施形態では、移動相Bは、アセトニトリルを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、移動相Aは、HO及び0.5%ギ酸である。他の実施形態では、移動相Aは、HO及び0.05%トリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施形態では、移動相Bは、100%アセトニトリルである。
【0013】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、0.1ml/分~1.0ml/分の速度でHPLCカラムを通る100%移動相Aのフローを有する平衡化工程を含む。いくつかの実施形態では、平衡化工程の流速は、0.25ml/分または0.5ml/分である。いくつかの実施形態では、平衡化工程は、0.5分~10分である。所定の実施形態では、平衡化工程は、3.0分または4.0分である。
【0014】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、HPLCカラムを通る60%移動相A及び40%移動相Bのグラジエント変化フローを含む。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、HPLCカラムを通る40%移動相A及び60%移動相Bのグラジエント変化フローを含む。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、HPLCカラムを通る100%移動相Aのグラジエント変化フローを含む。いくつかの実施形態では、グラジエント変化の流速は、0.1ml/分~1.0ml/分である。所定の実施形態では、グラジエント変化の流速は、0.25ml/分または0.5ml/分である。いくつかの実施形態では、グラジエント変化は、0.5分~10分である。所定の実施形態では、グラジエント変化は、0.5分、2.0分、または4.0分である。
【0015】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、HPLCカラムを通る40%移動相A及び60%移動相Bの維持工程フローを含む。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、HPLCカラムを通る100%移動相Aの維持工程フローを含む。いくつかの実施形態では、維持工程の流速は、0.1ml/分~1.0ml/分である。所定の実施形態では、維持工程の流速は、0.5ml/分または1.0ml/分である。いくつかの実施形態では、維持工程は、0.5分~10分である。所定の実施形態では、維持工程は、2.5分または4.0分である。
【0016】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、0.1ml/分~1.0ml/分の速度でHPLCカラムを通る100%移動相Aのフローを有する再平衡化工程を含む。所定の実施形態では、再平衡化の流速は、0.25ml/分または0.5ml/分である。いくつかの実施形態では、再平衡化工程は、0.5分~10分である。所定の実施形態では、再平衡化工程は、3.0分である。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、(i)0.25ml/分の流速で3.0分間の100%移動相Aでの平衡化;(ii)0.25ml/分の流速で0.5分間の60%移動相A及び40%移動相Bへのグラジエント変化;(iii)1.0ml/分の流速で4.0分間の40%移動相A及び60%移動相Bへのグラジエント変化;(iv)1.0ml/分の流速で2.5分間の40%移動相A及び60%移動相Bでの維持;(v)1.0ml/分の流速で2分間の100%移動相Aへのグラジエント変化;及び(vi)0.25ml/分の流速で3.0分間の100%移動相Aでの再平衡化を含む。
【0018】
本発明の他の実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、(i)0.5ml/分の流速で4.0分間の100%移動相Aでの平衡化;(ii)0.5ml/分の流速で2.0分間の40%移動相A及び60%移動相Bへのグラジエント変化;(iii)0.5ml/分の流速で2.0分間の100%移動相Aへのグラジエント変化;及び(iv)0.5ml/分の流速で4分間の100%移動相Aでの維持を含む。
【0019】
本発明の他の実施形態では、クロマトグラフィーを実施することは、(i)0.5ml/分の流速で4.0分間の100%移動相Aでの平衡化;(ii)0.5ml/分の流速で2.0分間の40%移動相A及び60%移動相Bへのグラジエント変化;(iii)0.5ml/分の流速で2.0分間の100%移動相Aへのグラジエント変化;及び(iv)0.5ml/分の流速で4分間の100%移動相Aでの維持を含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、1μl~100μlの試験サンプルがHPLCカラムに注入される。所定の実施形態では、10μlまたは4μlの試験サンプルがHPLCカラムに注入される。
【0021】
本発明の所定の実施形態では、PFP HPLCカラムは、2.6μm 150×4.6mmカラムである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1Aは、C18カラムで分解されたヒスチジン、スクロース及びマンニトールを含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。図1Bは、C18カラムでクロマトグラフィーがされたトリス、スクロース、及びヒドロキシプロピルβシクロデキストリン(hpβCD)を含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。
図2図2Aは、陰イオン交換カラムでクロマトグラフィーされたヒスチジン、スクロース及びマンニトールを含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。図2Bは、陰イオン交換カラムで分解されたトリス、スクロース、及びhpβCDを含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。
図3】ペンタフルオロフェニル(PFP)カラムで分解されたhpβCD及びスクロースを含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。
図4】PFPカラムで分解されたトリスを含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。
図5】PFPカラムで分解されたリン酸ナトリウム(A)、クエン酸ナトリウム(B)、リン酸カリウム(C)、ヒスチジン(D)、及びトレハロース(E)を含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。
図6】PFPカラムで分解されたマンニトール、スクロース及びヒスチジンを含む製剤バッファーのクロマトグラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本明細書では、ペンタフルオロフェニル(PFP)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを使用する単一のアッセイにおいて、サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分析的に分離し、任意で定量するための方法が開示される。この方法は、サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分解するその能力について、当該技術分野で知られている従来の方法が、溶媒干渉及び/または準最適なカラム保持時間及びピーク形状のため、分解することができないであろうという点で有利である。
【0024】
本発明の理解を容易化するために、多数の用語及び語句が以下に定義される。
【0025】
「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、本明細書で使用される場合、「1つ以上」を意味し、文脈が適切でない限り複数を含む。
【0026】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、記述された量またはそれに近い値を意味する。例えば、「約」は、±5%以下、例えば、±2%以下、例えば、±1%以下、例えば、±0.5%以下、例えば、±0.2%以下、例えば、±0.1%以下、または例えば、±0.05%以下を指し得る。
【0027】
「分析物」という用語は、本明細書で使用される場合、同定及び/または測定されている物質または化学的構成要素を意味する。
【0028】
「標準キャリブレーションサンプルのシリーズ」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上のサンプルであって、各サンプルが分析物の異なる既知の濃度を有し、異なるサンプルの濃度の範囲が試験サンプルにおける分析物の予測される濃度を包含し、またはそれに近い、2つ以上のサンプルを意味する。
【0029】
「キャリブレーション曲線」という用語は、本明細書で使用される場合、標準キャリブレーションサンプルのシリーズを含むサンプルの各々の既知の濃度についてHPLC装置によって検出及び測定された分析物シグナルに基づくプロットを意味する。
【0030】
「線形回帰フィット」という用語は、本明細書で使用される場合、直線をプロットする数学的アルゴリズムであって、シグナルデータのセットがその直線から最小の測定値を有するものを意味する。線形回帰フィットから得られるプロットは、傾き、y切片、及びシグナルデータが直線にどのくらい良好にフィットするかの指標である決定係数を有する。
【0031】
「積分ピーク面積」という用語は、本明細書で使用される場合、試験サンプルにおける分析物の検出された分析物シグナルに対応するクロマトグラフィーピーク下の定量された面積を意味する。
【0032】
「移動相」という用語は、本明細書で使用される場合、クロマトグラフィー装置を通って流れる液体または気体を意味し、その液体または気体は、固定相にわたって異なる速度でサンプルにおける1つまたは複数の分析物を移動させる。
【0033】
パーセント(または%)という用語は、移動相の記載に関連して使用される場合、文脈が別段明らかに示さない限り、体積パーセンテージとして表される。
【0034】
「固定相」という用語は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の分析物が分離され、または選択的に吸着されるクロマトグラフィー装置内の固体または液体を意味する。
【0035】
バッファー及び賦形剤
本発明は、単一のアッセイにおいて、サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤を定量するための分析方法を提供する。いくつかの実施形態では、サンプルは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.,1985に記載される有効量の活性成分で製剤化された2つ以上のバッファーまたは賦形剤を含む薬学的組成物であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、限定されないが、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、フルクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、デオキシリボース、ヘキソース);糖ベースの分子(例えば、マンニトール、ソルビトール、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチロール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、ラクチトール、イソマルト、マルチトール、マルトトリイトール、及びポリグリシトール);シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン(hpβCD)、及びスルホブチルエーテルβシクロデキストリン);脂質(例えば、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ヘプタデセン酸(17:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、オクタデカテトラエン酸(18:4)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、エイコサジエン酸(20:2)、エイコサテトラエン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)(EPA)、ドコサン酸(22:0)、ドコセン酸(22:1)、ドコサペンタエン酸(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)(DHA)、及びテトラコサン酸(24:0));鉱物(例えば、塩化物、ナトリウム、カルシウム、鉄、クロム、銅、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウム、及びセレン);ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンK、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンD、ビタミンB6、葉酸、ピリドキシン、チアミン、パントテン酸、及びビオチン);緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及び重炭酸カルシウム);防腐剤(例えば、アルファ-トコフェロール、アスコルビン酸塩、パラベン、クロロブタノール、及びフェノール);結合剤(例えば、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、ポリビニルアルコール、C12-C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、サッカリド、オリゴ糖);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、ステロテックス(sterotex)、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及び軽油);分散剤(例えば、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーガム、カオリン、ベントナイト、精製木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、イソアモルファスシリケート、及び微結晶性セルロース);崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルファ化及びその改変デンプン、甘味料、粘土、例えば、ベントナイト、微結晶性セルロース、アルギネート、デンプングリコール酸ナトリウム、ゴム、例えば、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、トラガカント、クエン酸と組み合わされた重炭酸ナトリウム、及び酒石酸と組み合わされた重炭酸ナトリウム);香味剤;甘味料;ならびに着色剤から選択され得る。
【0036】
所定の実施形態では、本発明の分析方法は、スクロース、hpβCD、スクロース、マンニトール、ヒスチジン、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トレハロース、及びトリスから選択される2つ以上のバッファーまたは賦形剤を定量する。
【0037】
HPLC
本発明の分析方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムで2つ以上のバッファーまたは賦形剤を分解することによって、試験サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤を定量する。例えば、所定の実施形態では、HPLCカラムは、ペンタフルオロフェニル(PFP)カラムである。
【0038】
いくつかの実施形態では、PFPカラムは、低い背圧でサンプル分析物の高速で高分解能の分離を容易化し得る。いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約0.8μm~約8.0μmの直径を有する粒子で充填され得る。例えば、いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約1.7μm、約2.6μm、または約5.0μmの直径を有する粒子で充填され得る。いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約2.4μm~約2.6μmの直径を有する粒子で充填され得る。所定の実施形態では、PFPカラムは、約2.6μmの直径を有する粒子で充填され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、PFPカラムの粒子は、約60Å~約125Åの孔径を有し得る。いくつかの実施形態では、PFPカラムの粒子は、約82Å~約102Åの孔径を有し得る。特定の実施形態では、PFPカラムは、約100Åの孔径を有し得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「サイズ分布」は、粒子径分布の相対的指標を指す。例えば、総サイズ分布の10%における粒子径及び総サイズ分布の90%における粒子径の比が、粒子サイズ分布の相対的指標として使用され得る。この比が1の値に近いほど、粒子径分布が均一となる。いくつかの実施形態では、PFPカラムの粒子は、約1.5以下のサイズ分布を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、PFPカラムの粒子は、約1.4以下、約1.3以下、または約1.2以下のサイズ分布を有し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約2.0mm~約5.0mmの直径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約2.1mm、約3mm、または約4.6mmの直径を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約10mm~約150mmの長さを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、PFPカラムは、約10mm、約30mm、約50mm、約100mm、または約150mmの長さを有し得る。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、蒸発光散乱検出器(ELSD)を使用して検出される。ELSDは、レーザービームを使用して、光電子増倍管に散乱した反射光を測定するものであり、粒子のサイズ/質量が大きいほど、光散乱の程度は大きくなる。
【0044】
いくつかの実施形態では、ELSDは、約10℃~約100℃の蒸発温度に設定される。例えば、いくつかの実施形態では、ELSDは、約20℃~約100℃、約30℃~約100℃、約40℃~約100℃、約50℃~約100℃、約10℃~約90℃、約20℃~約90℃、約30℃~約90℃、約40℃~約90℃、約50℃~約90℃、約10℃~約80℃、約20℃~約80℃、約30℃~約80℃、約40℃~約80℃、約50℃~約80℃、約10℃~約70℃、約20℃~約70℃、約30℃~約70℃、約40℃~約70℃、約50℃~約70℃、約10℃~約60℃、約20℃~約60℃、約30℃~約60℃、約40℃~約60℃、または約50℃~約60℃の蒸発温度に設定される。所定の実施形態では、ELSDは、約50℃の蒸発温度に設定される。
【0045】
いくつかの実施形態では、ELSDは、約10psi~約100psiの圧力に設定される。例えば、いくつかの実施形態では、ELSDは、約20psi~約100psi、約30psi~約100psi、約40psi~約100psi、約50psi~約100psi、約10psi~約90psi、約20psi~約90psi、約30psi~約90psi、約40psi~約90psi、約50psi~約90psi、約10psi~約80psi、約20psi~約80psi、約30psi~約80psi、約40psi~約80psi、約50psi~約80psi、約10psi~約70psi、約20psi~約70psi、約30psi~約70psi、約40psi~約70psi、約50psi~約70psi、約10psi~約60psi、約20psi~約60psi、約30psi~約60psi、約40psi~約60psi、約50psi~約60psiの圧力に設定される。所定の実施形態では、ELSDは、約50psiの圧力に設定される。
【0046】
いくつかの実施形態では、ELSDは、0.1~5のゲインに設定される。例えば、いくつかの実施形態では、ELSDは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5のゲインに設定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、ELSDは、0.1~1.0に設定されたフィルターを有する。例えば、いくつかの実施形態では、ELSDは、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、または1.0に設定されたフィルターを有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ELSDは、約10℃~約100℃の蒸発温度に設定される。例えば、いくつかの実施形態では、ELSDは、約15℃~約100℃、約20℃~約100℃、約25℃~約100℃、約30℃~約100℃、約35℃~約100℃、約40℃~約100℃、約45℃~約100℃、約50℃~約100℃、約55℃~約100℃、約10℃~約90℃、約15℃~約90℃、約20℃~約90℃、約25℃~約90℃、約30℃~約90℃、約35℃~約90℃、約40℃~約90℃、約45℃~約90℃、約50℃~約90℃、約55℃~約90℃、約10℃~約80℃、約15℃~約80℃、約20℃~約80℃、約25℃~約80℃、約30℃~約80℃、約35℃~約80℃、約40℃~約80℃、約45℃~約80℃、約50℃~約80℃、約55℃~約80℃、約10℃~約70℃、約15℃~約70℃、約20℃~約70℃、約25℃~約70℃、約30℃~約70℃、約35℃~約70℃、約40℃~約70℃、約45℃~約70℃、約50℃~約70℃、約55℃~約70℃、約10℃~約60℃、約15℃~約60℃、約20℃~約60℃、約25℃~約60℃、約30℃~約60℃、約35℃~約60℃、約40℃~約60℃、約45℃~約60℃、約50℃~約60℃、または約55℃~約60℃の蒸発温度に設定される。
【0049】
他の実施形態では、2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、荷電化粒子検出器(CAD)を使用して検出される。CADは、高電圧コロナニードルを使用して窒素ガスを荷電し、これを分析物粒子と衝突させて荷電粒子を生成する。
【0050】
いくつかの実施形態では、CADは、約1Hz~約10Hzの周波数に設定される。例えば、いくつかの実施形態では、CADは、約2Hz~約10Hz、約3Hz~約10Hz、約4Hz~約10Hz、約5Hz~約10Hz、約6Hz~約10Hz、約7Hz~約10Hz、約8Hz~約10Hz、約8Hz~約10Hz、約1Hz~約9Hz、約2Hz~約9Hz、約3Hz~約9Hz、約4Hz~約9Hz、約5Hz~約9Hz、約6Hz~約9Hz、約7Hz~約9Hz、約8Hz~約9Hz、約1Hz~約8Hz、約2Hz~約8Hz、約3Hz~約8Hz、約4Hz~約8Hz、約5Hz~約8Hz、約6Hz~約8Hz、約7Hz~約8Hz、約1Hz~約7Hz、約2Hz~約7Hz、約3Hz~約7Hz、約4Hz~約7Hz、約5Hz~約7Hz、約6Hz~約7Hz、約1Hz~約6Hz、約2Hz~約6Hz、約3Hz~約6Hz、約4Hz~約6Hz、または約5Hz~約6Hzの周波数に設定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、CADは、約1秒~約10秒に設定されたフィルターを有する。例えば、いくつかの実施形態では、CADは、約2秒~約10秒、約3秒~約10秒、約4秒~約10秒、約5秒~約10秒、約6秒~約10秒、約7秒~約10秒、約8秒~約10秒、約8秒~約10秒、約1秒~約9秒、約2秒~約9秒、約3秒~約9秒、約4秒~約9秒、約5秒~約9秒、約6秒~約9秒、約7秒~約9秒、約8秒~約9秒、約1秒~約8秒、約2秒~約8秒、約3秒~約8秒、約4秒~約8秒、約5秒~約8秒、約6秒~約8秒、約7秒~約8秒、約1秒~約7秒、約2秒~約7秒、約3秒~約7秒、約4秒~約7秒、約5秒~約7秒、約6秒~約7秒、約1秒~約6秒、約2秒~約6秒、約3秒~約6秒、約4秒~約6秒、または約5秒~約6秒に設定されたフィルターを有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、CADは、約1.0~約2.0に設定されたパワーファンクションを有する。例えば、いくつかの実施形態では、CADは、約1.1~約2.0、約1.2~約2.0、約1.3~約2.0、約1.4~約2.0、約1.5~約2.0、約1.6~約2.0、約1.0~約1.9、約1.1~約1.9、約1.2~約1.9、約1.3~約1.9、約1.4~約1.9、約1.5~約1.9、約1.6~約1.9、約1.1~約1.8、約1.2~約1.8、約1.3~約1.8、約1.4~約1.8、約1.5~約1.8、または約1.6~約1.8に設定されたパワーファンクションを有する。所定の実施形態では、CADは、約1.78に設定されたパワーファンクションを有する。所定の実施形態では、CADは、約1.68に設定されたパワーファンクションを有する。いくつかの実施形態では、CADは、HPLCの実行の最後の3分の1についてのパワーファンクションとは異なるHPLCの実行の最初の3分の2についてのパワーファンクションに設定されるパワーファンクションを有する。例えば、いくつかの実施形態では、CADは、HPLCの実行の最初の3分の2について、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、または1.80に設定されたパワーファンクション、及びHPLCの実行の最後の3分の1について、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、または1.70に設定されたパワーファンクションを有する。所定の実施形態では、CADは、HPLCの実行の最初の3分の2について1.78に設定されたパワーファンクション、及びHPLCの実行の最後の3分の1について1.68に設定されたパワーファンクションを有する。
【0053】
さらに他の実施形態では、2つ以上のバッファーまたは賦形剤は、凝縮核形成光散乱検出器(CNLSD)を使用して検出される。CNLSDは、水凝縮を使用して分析物の粒子サイズを増大させてから、光電子増倍管に散乱した反射光を測定するためのレーザービームを粒子に適用する。
【0054】
いくつかの実施形態では、CNLSDは、約10℃~約100℃の蒸発温度に設定される。例えば、いくつかの実施形態では、CNLSDは、約20℃~約100℃、約30℃~約100℃、約40℃~約100℃、約50℃~約100℃、約10℃~約90℃、約20℃~約90℃、約30℃~約90℃、約40℃~約90℃、約50℃~約90℃、約10℃~約80℃、約20℃~約80℃、約30℃~約80℃、約40℃~約80℃、約50℃~約80℃、約10℃~約70℃、約20℃~約70℃、約30℃~約70℃、約40℃~約70℃、約50℃~約70℃、約10℃~約60℃、約20℃~約60℃、約30℃~約60℃、約40℃~約60℃、または約50℃~約60℃の蒸発温度に設定される。所定の実施形態では、CNLSDは、約50℃の蒸発温度に設定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、CNLSDは、約10psi~約100psiの圧力に設定される。例えば、いくつかの実施形態では、CNLSDは、約20psi~約100psi、約30psi~約100psi、約40psi~約100psi、約50psi~約100psi、約10psi~約90psi、約20psi~約90psi、約30psi~約90psi、約40psi~約90psi、約50psi~約90psi、約10psi~約80psi、約20psi~約80psi、約30psi~約80psi、約40psi~約80psi、約50psi~約80psi、約10psi~約70psi、約20psi~約70psi、約30psi~約70psi、約40psi~約70psi、約50psi~約70psi、約10psi~約60psi、約20psi~約60psi、約30psi~約60psi、約40psi~約60psi、約50psi~約60psiの圧力に設定される。所定の実施形態では、CNLSDは、約50psiの圧力に設定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、CNLSDは、0.1~5のゲインに設定される。例えば、いくつかの実施形態では、CNLSDは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5のゲインに設定される。
【0057】
いくつかの実施形態では、CNLSDは、0.1~1.0に設定されたフィルターを有する。例えば、いくつかの実施形態では、CNLSDは、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、または1.0に設定されたフィルターを有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の分析方法は、100%HO、HO中の0.5%ギ酸、HO中の0.05%トリフルオロ酢酸、及び100%アセトニトリルから選択される移動相を使用してHPLCによって試験サンプルにおける2つ以上のバッファーまたは賦形剤を定量する。いくつかの実施形態では、HPLC法は、複数の移動相:例えば、1、2、3、4、5、7、8、9、または10種の移動相を使用する。所定の実施形態では、HPLC法は、2つの移動相:移動相A及び移動相Bを使用する。所定の実施形態では、移動相Aは、100%HO、HO中のギ酸、HO中のトリフルオロ酢酸、またはそれらの組み合わせから選択され、移動相Bは、アセトニトリルを含む。いくつかの実施形態では、ギ酸濃度は、約0.5%~約5%、例えば、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、または約5%である。いくつかの実施形態では、トリフルオロ酢酸濃度は、約0.05%~約0.5%、例えば、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、または約0.5%である。
【0059】
いくつかの実施形態では、試験サンプルは、約1μl~約50μlの量でHPLCカラムに注入される。例えば、いくつかの実施形態では、HPLC注入量は、約1μl~約45μl、約1μl~約40μl、約1μl~約35μl、約1μl~約30μl、約1μl~約25μl、約1μl~約20μl、約1μl~約15μl、約1μl~約10μl、約5μl~約50μl、約5μl~約45μl、約5μl~約40μl、約5μl~約35μl、約5μl~約30μl、約5μl~約25μl、約5μl~約20μl、約5μl~約15μl、約5μl~約10μl、約10μl~約50μl、約10μl~約45μl、約10μl~約40μl、約10μl~約35μl、約10μl~約30μl、約10μl~約25μl、約10μl~約20μl、約10μl~約15μl、約15μl~約50μl、約15μl~約45μl、約15μl~約40μl、約15μl~約35μl、約15μl~約30μl、約15μl~約25μl、約15μl~約20μl、約20μl~約50μl、約20μl~約45μl、約20μl~約40μl、約20μl~約35μl、約20μl~約30μl、約20μl~約25μl、約25μl~約50μl、約25μl~約45μl、約25μl~約40μl、約25μl~約35μl、約25μl~約30μl、約30μl~約50μl、約30μl~約45μl、約30μl~約40μl、約30μl~約35μl、約35μl~約50μl、約35μl~約45μl、約35μl~約40μl、約40μl~約50μl、約40μl~約45μl、または約45μl~約50μlである。所定の実施形態では、注入量は、1μl、2μl、3μl、4μl、5μl、6μl、7μl、8μl、9μl、または10μlである。
【0060】
いくつかの実施形態では、HPLC分析は、1つまたは複数の工程を含む。例えば、いくつかの実施形態では、HPLC分析は、1、2、3、4、5、6、6、8、9、または10工程を含む。いくつかの実施形態では、各工程は、約1.0分~約10分の継続期間である。例えば、いくつかの実施形態では、各工程は、約1.5分~約10分、約2分~約10分、約2.5分~約10分、約3分~約10分、約3.5分~約10分、約4分~約10分、約4.5分~約10分、約5分~約10分、約5.5分~約10分、約6分~約10分、約6.5分~約10分、約7分~約10分、約7.5分~約10分、約8分~約10分、約8.5分~約10分、約9分~約10分、約9.5分~約10分、約1.0分~約9分,約1.5分~約9分、約2分~約9分、約2.5分~約9分、約3分~約9分、約3.5分~約9分、約4分~約9分、約4.5分~約9分、約5分~約9分、約5.5分~約9分、約6分~約9分、約6.5分~約9分、約7分~約9分、約7.5分~約9分、約8分~約9分、約8.5分~約9分、約1.0分~約8分、約1.5分~約8分、約2分~約8分、約2.5分~約8分、約3分~約8分、約3.5分~約8分、約4分~約8分、約4.5分~約8分、約5分~約8分、約5.5分~約8分、約6分~約8分、約6.5分~約8分、約7分~約8分、約7.5分~約8分、約1.0分~約7分、約1.5分~約7分、約2分~約7分、約2.5分~約7分、約3分~約7分、約3.5分~約7分、約4分~約7分、約4.5分~約7分、約5分~約7分、約5.5分~約7分、約6分~約7分、約6.5分~約7分、約1.0分~約6分、約1.5分~約6分、約2分~約6分、約2.5分~約6分、約3分~約6分、約3.5分~約6分、約4分~約6分、約4.5分~約6分、約5分~約6分、約5.5分~約6分、約1.0分~約4分、約1.5分~約4分、約2分~約4分、約2.5分~約4分、約3分~約4分、約3.5分~約4分、約1.0分~約3分、約1.5分~約3分、約2分~約3分、約2.5分~約3分、約1.0分~約2分、または約1.5分~約2分の継続期間である。
【0061】
いくつかの実施形態では、HPLC分析の各工程は、約0.1ml/分~約5.0ml/分の流速を有する。例えば、いくつかの実施形態では、各工程は、約0.25ml/分~約5.0ml/分、0.5ml/分~約5.0ml/分、0.75ml/分~約5.0ml/分、約1.0ml/分~約5.0ml/分、約1.25ml/分~約5.0ml/分、約1.5ml/分~約5.0ml/分、約2.0ml/分~約5.0ml/分、約2.5ml/分~約5.0ml/分、約3.0ml/分~約5.0ml/分、約3.5ml/分~約5.0ml/分、約4.0ml/分~約5.0ml/分、約4.5ml/分~約5.0ml/分、約0.1ml/分~約4.0ml/分、約0.25ml/分~約4.0ml/分、0.5ml/分~約4.0ml/分、0.75ml/分~約4.0ml/分、約1.0ml/分~約4.0ml/分、約1.25ml/分~約4.0ml/分、約1.5ml/分~約4.0ml/分、約2.0ml/分~約4.0ml/分、約2.5ml/分~約4.0ml/分、約3.0ml/分~約4.0ml/分、約3.5ml/分~約4.0ml/分、約0.1ml/分~約3.0ml/分、約0.25ml/分~約3.0ml/分、0.5ml/分~約3.0ml/分、0.75ml/分~約3.0ml/分、約1.0ml/分~約3.0ml/分、約1.25ml/分~約3.0ml/分、約1.5ml/分~約3.0ml/分、約2.0ml/分~約3.0ml/分、約2.5ml/分~約3.0ml/分、約0.1ml/分~約2.0ml/分、約0.25ml/分~約2.0ml/分、0.5ml/分~約2.0ml/分、0.75ml/分~約2.0ml/分、約1.0ml/分~約2.0ml/分、約1.25ml/分~約2.0ml/分、約1.5ml/分~約2.0ml/分、または約0.5ml/分~約1.0ml/分の流速を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、HPLC分析の各工程は、平衡化工程;2つ以上の異なる移動相の相対的パーセンテージが調整される、グラジエント変化工程;2つ以上の異なる移動相の相対的パーセンテージが一定に保持される維持工程;または再平衡化工程を含む。
【0063】
実施形態では、HPLC分析が2つの移動相の使用を含む場合、各工程は、100%移動相A、0%移動相B;90%移動相A、10%移動相B;80%移動相A、20%移動相B;70%移動相A、30%移動相B;60%移動相A、40%移動相B;50%移動相A、50%移動相B;40%移動相A、60%移動相B;30%移動相A、70%移動相B;20%移動相A、80%移動相B;10%移動相A、90%移動相;または0%移動相A、100%移動相Bの相対的パーセンテージを含み得る。
【実施例
【0064】
一般的に説明されてきた本開示は、以下の実施例への参照によってより容易に理解され、実施例は、本開示の所定の態様及び実施形態の例示の目的のために含まれているにすぎず、本開示の範囲をどのようにも限定することを意図していない。
【0065】
実施例1:C18及び陰イオン交換カラムは、単一のサンプルにおける賦形剤及び/またはバッファーを分離することはできない
当業者に知られている標準的なHPLCベースの方法は、ヒスチジン、スクロース及びマンニトール、またはトリス、スクロース、及びhpβCDを含むサンプルにおける構成要素の賦形剤及び/またはバッファーを分解することはできない。
【0066】
C18カラムHPLC及び検出器条件
C18カラムHPLC条件が以下の表1にまとめられている。簡潔には、サンプルをAgilent Zorbax Eclipse Plus C18、5μm、4.6×150mmカラムにロードした。カラムを90%移動相A;10%移動相Bで平衡化した。6.0分で、移動相を60%移動相A;40%移動相Bに1分間変化させた。7.0分から9.0分まで、カラムを60%移動相A;40%移動相Bで維持した。9.0分で、移動相を90%移動相A;10%移動相Bに戻るように1分間変化させ、90%移動相A;10%移動相Bでさらに2分間維持してカラムを再平衡化した。流速は、全体を通して1.0ml/分で維持した。総サイクル時間は、1回の実行当たり12分であった。
【0067】
Agilent 1200シリーズ蒸発光散乱検出器(ELSD)を使用して、対象となる賦形剤からの光散乱シグナルを取得した。ELSDパラメータも以下の表1にまとめられている。簡潔には、50psiの圧力で蒸発温度を50℃に設定した。ゲイン及びフィルターは、それぞれ1及び0.5に設定した。
【0068】
【表1】
【0069】
図1に示されているように、C18カラムは、ヒスチジン、スクロース、及びマンニトールを含むサンプル(図1A)でも、トリス、スクロース、及びhpβCDを含むサンプル(図1B)でも賦形剤及びバッファーピークを分離することができなかった。
【0070】
陰イオン交換カラムHPLC及び検出器条件
陰イオン交換カラムHPLC条件が以下の表2にまとめられている。簡潔には、サンプルをWater Oasis MAX 2.1 x 20mm,30μmカラムにロードした。カラムを90%移動相A;10%移動相Bで1分間平衡化した。1.0分~3.4分において、グラジエントを80%移動相A;20%移動相Bに変化させた。3.4分~3.5分において、グラジエントを100%移動相Bに変化させ、1分間維持した。4.5分において、グラジエントを90%移動相A;10%移動相Bに戻るように変化させた。4.6分において、グラジエントを90%移動相A;10%移動相Bで2分間維持した。流速は、全体を通して1.0ml/分で維持した。総サイクル時間は、1回の実行当たり6.6分であった。
【0071】
Agilent 1200シリーズ蒸発光散乱検出器(ELSD)を使用して、対象となる賦形剤からの光散乱シグナルを取得した。ELSDパラメータも以下の表2にまとめられている。簡潔には、3.5bar±0.1の圧力で蒸発温度を85℃に設定した。ゲイン及びフィルター設定は可変であり、それぞれ公称で4及び4sであった。
【0072】
【表2】
【0073】
図2に示されているように、陰イオン交換カラムは、ヒスチジン、スクロース、及びマンニトールを含むサンプル(図2A)でも、トリス、スクロース、及びhpβCDを含むサンプル(図2B)でも賦形剤及びバッファーピークを分離することができなかった。
【0074】
実施例2:PFPカラムを使用するhpβCD及びスクロースのHPLC定量
単一のアッセイにおいて、試験サンプルにおけるhpβCD及びスクロースを分離し、定量するためにHPLCベースの方法を開発した。
【0075】
HPLC及び検出器条件
HPLC条件が以下の表3にまとめられている。簡潔には、Kinetexペンタフルオロフェニル(PFP)2.6μm 150×4.6mmカラムを使用して、対象となる賦形剤を分離した。カラムを100%移動相Aで平衡化した。3.5分で、移動相グラジエントを60%移動相A;40%移動相Bに変化させた。3.5分から7.5分まで、グラジエントを40%移動相A;60%移動相Bに変化させ、次いでこのグラジエントで2.5分間維持した。12分で、移動相グラジエントを100%移動相Aに戻るように変化させた。流速は、0.25ml/分で開始し、次いで賦形剤分離中に1.0ml/分まで上昇させて、バッファー種とスクロースとの間の良好な分離を達成した。スクロース及びhpβCDは4分~10分で溶出した。流速を、実行の最後にカラム再平衡化のための移動相中の100%水で0.25mg/mLに低下させた。総サイクル時間は、1回の実行当たり15分であった。
【0076】
Agilent 1200シリーズ蒸発光散乱検出器(ELSD)を使用して、対象となる賦形剤からの光散乱シグナルを取得した。ELSDパラメータも以下の表3にまとめられている。簡潔には、50psiの圧力で蒸発温度を50℃に設定した。ゲイン及びフィルターは、それぞれ1及び0.5に設定した。
【0077】
【表3】
【0078】
キャリブレーション曲線作成及び試験サンプル調製
賦形剤を定量するために、既知の濃度の賦形剤でキャリブレーション曲線を以下の表4に従って作成した。キャリブレーション曲線範囲を検出器能力に基づいて確立した。
【0079】
【表4】
【0080】
予測される濃度がキャリブレーション曲線濃度の範囲内であった場合、試験サンプルをそのままHPLCカラムに注入した。試験サンプルが、キャリブレーション曲線の範囲外の濃度で分析物を含有することが予測される場合、試験サンプルを標準曲線内の濃度となるようにHOで希釈した。
【0081】
HPLCデータ分析
各分析物のピークを積分してピーク面積を得た。ピーク面積対濃度について線形回帰フィットを実施してキャリブレーション曲線の傾き(m)及び切片(b)を計算した。以下の方程式を使用して未知のサンプルにおける各分析物の濃度を計算するためにこのキャリブレーション曲線を使用した。
式中、
c=未知のサンプルにおける賦形剤の濃度
ピーク面積=未知のサンプルのクロマトグラムにおける賦形剤ピークを積分することによって測定されたピーク面積
b=キャリブレーション曲線を使用して計算された方程式からのy切片
m=キャリブレーション曲線を使用して計算された方程式からの傾き。
【0082】
図3に示されているように、表3に記載の条件下でPFPカラムを使用したHPLCの実行は、明確なピークとして単一のサンプルに存在するスクロース及びhpβCDを分解する。同様に、図4に示されているように、同じ条件下でPFPカラムを使用したHPLCの実行は、トリスを明確に分解する。
【0083】
実施例3:スクロース、hpβCD、及び他の賦形剤の定量
実施例2に記載の作業に基づいて、類似するHPLC条件であるが、荷電化粒子検出器(CAD)を使用して賦形剤を分離し、定量するために一般的なHPLC方法を開発した。この方法は、hpβCD及びスクロースならびにいくつかの他の賦形剤を定量するために使用され得る。
【0084】
HPLC及び検出器条件
HPLC条件が以下の表5にまとめられている。簡潔には、Kinetexペンタフルオロフェニル(PFP)2.6μm 150×4.6mmカラムを使用して、対象となる賦形剤を分離した。0.5%ギ酸(FA)を有する水からなる100%移動相Aでカラムを平衡化した。FAを使用して、バッファー種(例えば、トリスバッファー)のピーク形状を改善させた。4分から6分まで、グラジエントを40%移動相A;60%移動相Bに徐々に変化させた。次いで6分から8分まで、グラジエントを100%移動相Aに徐々に戻した。このグラジエントをさらに4分間維持してカラムを平衡化した。実行の間、流速を0.5ml/分で維持した。スクロースは約3分で溶出し、hpβCDは約9.5分で溶出し、トリスバッファーは約2.8分で溶出した。総サイクル時間は、1回の実行当たり12分であった。
【0085】
ThermoFisher Corona(商標)Veo(商標)RS荷電化粒子検出器(CAD)を使用して、対象となる賦形剤からのシグナルを得た。CADパラメータも以下の表5にまとめられている。簡潔には、5Hzの周波数及び5秒のフィルターで蒸発温度を35℃に設定した。パワーファンクションは、最初の8分間は1.78に、最後の4分間は1.68にそれぞれ設定した。フローを最初の1.5分間、廃棄物へ直接的に迂回させた。
【0086】
【表5】
【0087】
キャリブレーション曲線作成及び試験サンプル調製
賦形剤を定量するために、既知の濃度の賦形剤でキャリブレーション曲線を以下の表6に従って作成した。キャリブレーション曲線範囲を検出器能力に基づいて確立した。CAD検出器は、実施例2におけるELSD検出器と比較してより広い範囲にわたって線形曲線を確立することが可能であった。
【0088】
【表6】
【0089】
予測される濃度がキャリブレーション曲線濃度の範囲内であった場合、試験サンプルをそのままHPLCカラムに注入した。サンプルが、キャリブレーション曲線の範囲外の濃度で分析物を含有することが予測される場合、試験サンプルを標準曲線内の濃度となるようにHOで希釈した。
【0090】
データ分析
実施例1に記載されているようにデータ分析を実施した。
【0091】
図5に示されているように、表5に記載の条件下でPFPカラムを使用したHPLCの実行は、明確なピークとして単一のサンプルに存在するリン酸ナトリウム(図5A)、クエン酸ナトリウム(図5B)、リン酸カリウム(図5C)、ヒスチジン(図5D)、及びトレハロース(図5E)を分解することが可能であった。
【0092】
実施例4:スクロース及びマンニトールの定量
ヒスチジン、スクロース及びマンニトール含有物を分離し、定量するために実施例2に記載の作業に基づいてHPLCベースの方法を開発した。
【0093】
HPLC条件が以下の表6にまとめられている。簡潔には、Kinetexペンタフルオロフェニル(PFP)2.6μm 150×4.6mmカラムを使用して、対象となる賦形剤を分離した。0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)を有する水からなる100%移動相Aでカラムを平衡化した。TFAは、マンニトール、スクロース及びヒスチジンの分離を改善するために必要である。4分から6分まで、グラジエントを40%移動相A;60%移動相Bに徐々に変化させた。次いで6分から8分まで、グラジエントを100移動相Aに徐々に戻した。このグラジエントをさらに4分間維持して、カラムを平衡化した。実行の間、流速を0.5ml/分で維持した。スクロース及びマンニトールは2.5分~3.5分に溶出し、ヒスチジンは3.5分~4.5分に溶出した。総サイクル時間は、1回の実行当たり12分であった。
【0094】
ThermoFisher Corona(商標)Veo(商標)RS CADを使用して、対象となる賦形剤からのシグナルを得た。CADパラメータは実施例2に記載されているとおりである。
【0095】
【表6】
【0096】
キャリブレーション曲線作成及び試験サンプル調製
賦形剤を定量するために、既知の濃度の賦形剤でキャリブレーション曲線を以下の表7に従って作成した。キャリブレーション曲線範囲を検出器能力に基づいて確立した。
【0097】
【表7】
【0098】
予測される濃度がキャリブレーション曲線濃度の範囲内であった場合、試験サンプルをそのままHPLCカラムに注入した。サンプルが、キャリブレーション曲線の範囲外の濃度で分析物を含有することが予測される場合、試験サンプルを標準曲線内の濃度となるようにHOで希釈した。
【0099】
データ分析
実施例1に記載されているようにデータ分析を実施した。
【0100】
図6に示されているように、表6に記載の条件下でPFPカラムを使用したHPLCの実行は、明確なピークとして単一のサンプルに存在するマンニトール、スクロース、及びヒスチジンを分解することが可能であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】