(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】単体式子宮鏡器具操作用挿入装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/42 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
A61B17/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534312
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2020132420
(87)【国際公開番号】W WO2021109942
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】201922179867.9
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020819675.X
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010414107.6
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522223028
【氏名又は名称】▲張▼ 重医
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 重医
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160HH20
(57)【要約】
本発明では、子宮鏡鏡体に取り付け可能な挿入体を備える単体式子宮鏡器具操作用挿入装置が開示され、器具が挿入体上の溝を介して、すでに子宮腔に入った鏡体に沿って膣や頸管などの死角を円滑に通過し、器具が子宮内に送り込まれた後に連続的で柔軟な治療操作を行うことができる。本発明は、医師が迅速、正確、非侵襲的に治療器具を子宮に送り込むのに有利であり、治療コストを削減するだけでなく、良好な治療効果を達成することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状挿入体(2)を備え、前記柱状挿入体(2)の一方の表面には、子宮鏡鏡体(1)と嵌合するための係合溝が設けられ、柱状挿入体の他方の表面には、子宮鏡鏡体(1)に沿って延在する案内溝(2-2)が設けられていることを特徴とする単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項2】
前記係合溝の横断面が円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項3】
前記係合溝のラジアンがπよりも大きいであることを特徴とする請求項2に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項4】
前記柱状挿入体(2)の長さは、子宮鏡鏡体(1)の長さよりも小さ
いことを特徴とする請求項1に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項5】
前記柱状挿入体(2)には、前記係合溝と前記子宮鏡本体(1)とを相対的に摺動させるためのプッシュプルハンドル(2-1)が設けられていることを特徴とする請求項1又は4に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項6】
前記プッシュプルハンドル(2-1)は、柱状挿入体(2)の一方の端面に設けられ、柱状挿入体(2)の他方の端面は、子宮鏡鏡体(1)の先端部に近接していることを特徴とする請求項5に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項7】
前記係合溝の開口部と案内溝(2-2)との間に位置する前記柱状挿入体(2)の表面部分が外方に突出しており、且つ当該突出した表面部分は、柱状挿入体(2)の長手方向の断面に沿って対称に分布する2つのセグメントに分割されており、各セグメントの外方に突出する表面の横断面は円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置。
【請求項8】
前記柱状挿入体(2)を前記係合溝を介して子宮鏡鏡体(1)に接合させるステップ1)と、
前記子宮鏡鏡体(1)を子宮腔に送り込むステップ2)と、
子宮鏡の視野下で、前記柱状挿入体(2)の位置を前記子宮鏡鏡体(1)に沿って調整して、手術器具を前記案内溝(2-2)に沿って子宮腔に進入可能にするステップ3)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の単体式子宮鏡器具操作用挿入装置の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮鏡手術治療システムに関し、より具体的には、子宮腔への器具の進入を補助するために子宮鏡検査鏡体に係合された装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
子宮鏡の治療過程では、電気切除鏡、治療鏡、及び削りシステムがよく用いられている。これらの共通点としては、検査鏡体と複数の治療器具とが一緒に包み込まれており、器具システム全体が太くなるため、往々にして子宮を8mm以上に拡張する必要があり、そして治療で操作される器具は一般的に構造が精密で、高価なものが多く、そして壊れやすくて操作も複雑で時間がかかるため、これらのシステムを採用した子宮鏡手術はクリニックで展開しにくくなる。
【0003】
子宮鏡検査過程において、子宮腔内に存在するポリープ、胚物残留、又は子宮腔癒着を発見したとしても、ハサミや鉗子などの治療器具は単独では膣、頸管などの死角を通過しにくいため、子宮鏡治療をさらに展開するためには医師に高い技能が求められる。また、ハサミや鉗子などの先端部は鋭利で、膣や頸管の粘膜を損傷しやすいため、クリニックで子宮鏡手術を広く展開することは多くの制限要素に直面している。
【0004】
特許文献1である中国特許では、子宮腔鉗子を子宮鏡と同時に移動可能にするとともに、独立して操作することも可能である方式でシステムを構成させる子宮腔手術装置が開示されている。これで器具の進入と操作がすべて子宮鏡の監視下で行うことを保証することができるが、器具を交換する時に子宮鏡を一緒に引き抜く必要があり、全体の治療過程には依然として長い時間が必要とされ、しかも器具の操作範囲が制限され、子宮鏡の視野が頻繁に交換されることになり、操作の連続性が低下し、治療効果に影響することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国実用新案登録番号第201379632号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、構造が簡単で、使用が容易である単体式子宮鏡器具操作用挿入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は次の技術的解決手段を採用する。
当該挿入装置は柱状挿入体を備え、前記柱状挿入体の一方の表面には、子宮鏡鏡体の側壁と嵌合するための係合溝が設けられ、柱状挿入体の他方の表面には、子宮鏡鏡体の軸方向に延在する案内溝が設けられている(横断面は円弧状であってもよい)。
【0008】
好ましくは、前記係合溝(具体的には、柱状挿入体と子宮鏡鏡体との接触面を指す)の横断面は円弧状である(ラジアンはπより大きく、これで柱状挿入体を子宮鏡鏡体に安定に係合させ、柱状挿入体の脱落を回避することができる)。
【0009】
好ましくは、前記柱状挿入体の長さは、子宮鏡鏡体の長さよりも小さいである。
【0010】
好ましくは、前記柱状挿入体には、前記係合溝と前記子宮鏡本体とを相対的に摺動させるためのプッシュプルハンドルが設けられている(把持及び操作を容易にする)。
【0011】
好ましくは、前記プッシュプルハンドルは、柱状挿入体の一方の端面に設けられ、柱状挿入体の他方の端面は、子宮鏡鏡体の先端部(検査画像を収集する端部)に近接している(前記プッシュプルハンドルが位置する端部に比べる)。
【0012】
好ましくは、前記係合溝の開口部と案内溝の開口部との間に位置する前記柱状挿入体の表面部分が外方に突出しており(係合溝、案内溝、端面を除く柱状挿入体の残りの表面を構成する)、且つ当該突出した表面部分は、柱状挿入体の長手方向の断面(子宮鏡鏡体の軸方向を長手方向とする)に沿って対称に分布する2つのセグメントに分割されており、各セグメントの外方に突出する表面の横断面は円弧状である。
【0013】
好ましくは、前記挿入装置は、検鏡と合わせて使用されてもよく、検鏡を使用しなくてもよい。例えば、前記子宮鏡鏡体、柱状挿入体、及び器具は、検鏡を介して子宮腔内に入ることができ、また膣内視鏡技術を採用して、検鏡を使用せずに直接子宮鏡鏡体内に入り、子宮鏡鏡体が子宮腔内に入った後、柱状挿入体を介して器具を子宮腔内に送り込むことができる。
【0014】
上記挿入装置の操作方法は、
前記柱状挿入体を前記係合溝を介して子宮鏡鏡体に接合させるステップ1)と、
前記子宮鏡鏡体を子宮腔に送り込むステップ2)と、
子宮鏡の視野下で、前記柱状挿入体の位置を前記子宮鏡鏡体に沿って調整して、手術器具を前記案内溝に沿って移動して子宮腔に進入可能にするステップ3)と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、次のとおりである。
本発明は、柱状挿入体の係合溝を利用することにより、案内溝を子宮鏡鏡体に沿って導入し、そして子宮腔への通路内に固定することができる。これにより器具を子宮鏡により監視せずに迅速、正確、非侵襲的に子宮腔に送り込むことができる。そして、器具の先端部が子宮鏡の監視領域に入ると、医師は視野内の異なる角度と深さを有する位置(操作範囲がより広く柔軟性がより高い)にある病巣(子宮腔内に存在するポリープ、胚物残留、又は子宮腔癒着)に対する手術操作を連続的に行うことができる。これで治療過程の操作が簡単で、子宮拡張の必要がなく、或いは子宮拡張の大きさが減少し、操作過程もより安全で、治療費用と時間とを低減し、治療の痛みの程度を軽減し、クリニックで相応の手術操作を完成することができる。同時に、本発明の普及や適用により、器具のコストを削減することもできる(より単純な構造の器具を使用することができ、器具は複雑で精密な構造設計を必要としない)。
【0016】
さらに、本発明では、係合溝、案内溝と係合溝との間に位置する外凸表面はいずれも角のない円弧面であり、案内溝の使用と組み合わせることにより、挿入装置と器具とが子宮鏡鏡体に沿って進入する過程が比較的スムーズであり、子宮腔等の正常組織への損傷を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1における子宮鏡器具操作用挿入装置の正面図である。
【
図2】実施例1における子宮鏡器具操作用挿入装置の平面図である。
【
図3】実施例1における子宮鏡器具操作用挿入装置の横断面(A-A)の概略図である。
【
図4】実施例2における子宮鏡器具操作用挿入装置の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面と実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【0019】
実施例1
図1、
図2及び
図3に示すように、本発明に記載の子宮鏡器具操作用挿入装置は、挿入体2を備える。前記挿入体2の一方の表面は内側に凹んだ大半円筒面であり、挿入体2の係合溝を形成する。挿入体2は係合溝を介して子宮鏡鏡体1に確実に係合することができる。挿入体2の他方の表面(係合溝の裏面)には、鋭利な先端部を有する器具を子宮鏡鏡体1に沿って子宮腔に送り込むことを容易にするための溝2-1が形成されている(器具の先端部は溝に沿って移動する)。係合溝の開口部と溝2-2の開口部に対応する側との間に位置する挿入体2の表面部分は、外方に突出する円弧状であり、これにより周囲の組織との接触や摩擦を低減することができ、そして周囲の組織と溝2-2との間に一定の間隔を作ることができ、溝の位置で器具と周囲の組織とが引っ掛かることを回避することができる。挿入体2は長さが約100mmであり(子宮鏡鏡体の長さは約200mm)、ステンレス材料で加工成形されてもよい。挿入体2が子宮鏡鏡体1に取り付けられた後、その先端部と子宮鏡鏡体の先端部1-2との距離を調整することを容易にするためには(例えば、子宮鏡の監視領域で挿入体2を観察できた後)、挿入体2の後端部に角型のハンドル2-1を備える。挿入体2の先端部は円弧状に加工されてもよく、これにより挿入体2の移動を容易にすることができ(例えば、子宮腔に進入する時に周囲の組織との引っ掛かりや引きずりを減少させる)、また子宮鏡の監視領域に対する遮蔽(特に、挿入体2の先端部が鏡体の先端部1-2に近接している場合、又は鏡体の先端部1-2の位置と重なっている場合)を低減することもでき、溝2-2を適切な場所に位置決めすることができ、これにより器具の移動中に案内作用を十分に発揮することができる。
【0020】
子宮鏡手術を操作する時に、まずは挿入体2を係合溝を介して鏡体の後端部1-1に取り付け(押込み又は嵌合する)、その後、子宮鏡鏡体1を子宮内に送り込み、子宮鏡検査過程において、子宮腔内に存在するポリープ、胚物残留、又は子宮腔癒着などが発見された場合に、器具を送り込んで治療を行うことができる。このときに、子宮頸内口の幅によっては、鏡体の先端部1-2を子宮腔又は頸管内口に留めて、ハンドル2-1を用いて挿入体2の先端部を、子宮鏡のモニターに挿入体2の先端部が見えるようになるまで鏡体の先端部1-2に押し込み、挿入体2の先端部の位置は、(器具が溝2-2に沿って入る前と入った後に、モニター上の子宮鏡の監視領域の視野が常に良好に保たれるように)わずかに前後に押したり引いたりすることによって調整することができる。溝2-2の後端に腹腔鏡のハサミ又は鉗子の先端部を入れ(例えば、差し込み)、溝2-2に沿って前記鉗子又はハサミを挿入体2の前端まで送って滑り出させ、子宮鏡のモニター上で前記鉗子又はハサミが子宮内に入ることが観察でき、その後、通常の治療操作を行う。治療に操作される器具を交換する必要がある場合に、現在使用している器具を引き抜き、そして上記のような器具を送り込むステップを繰り返すことで、新たな治療操作を続くことができる。
【0021】
子宮鏡検査過程において、子宮腔内に存在するポリープ、胚物残留、又は子宮腔癒着が発見され、治療器具を送り込む必要がある場合に、上記の挿入装置を使用することにより、これらの器具の先端部は膣や頸管などの死角を通過する際に、すでに入って子宮鏡鏡体1の表面に位置決められた溝2-2に沿ってスムーズに子宮内に滑り込むことができる。これにより、治療操作間の時間を短縮することができ、また、子宮鏡鏡体と器具とを一体化する装置が不要になるため、子宮口は6mm程度であればよく、通常の治療では子宮拡張を必要せず、患者の術中の痛みを和らげ、入院治療を回避するとともに、器具の操作に対する制限が少なく、モニターによって提供される子宮鏡の視野下で連続的に、柔軟な操作をすることが可能である。また、耐久性があり、入手が容易である治療器具に対する客観的なニーズを満たすことができ、構造がより簡単でサイズがより太い(器具を操作しやすく、破損されにくくする)治療器具を選択して使用することができる。
【0022】
実施例2
図4に示すように、実施例1との相違点として、挿入体2の後端部のハンドル2-1が丸形であり、把持及び操作がより容易である。
【0023】
要約すると、本発明の子宮鏡器具操作用挿入装置は、医師が迅速、正確、非侵襲的に治療器具を子宮に送り込むのに有利であり、クリニックで治療過程を完了させることができ、治療コストを削減するだけでなく、良好な治療効果を達成することもできる。
【符号の説明】
【0024】
1 子宮鏡鏡体
1-1 鏡体の後端部
1-2 鏡体の先端部
2 挿入体
2-1 ハンドル
2-2 溝
【国際調査報告】