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特表2023-506748耐水性視覚的指標を含むドレッシング材
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  • 特表-耐水性視覚的指標を含むドレッシング材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】耐水性視覚的指標を含むドレッシング材
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20230213BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20230213BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20230213BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
A61F13/02 380
G09F3/00 M
G09F3/02 B
G09F3/10 A
A61F13/02 355
A61F13/02 A
A61F13/02 350
A61F13/02 310A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535421
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 IB2020061589
(87)【国際公開番号】W WO2021116877
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】2019280098
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ハレ,キャロリーン ジェイ.
(57)【要約】
ドレッシング材の領域上に提供される耐水性視覚的指標を含む、創傷ドレッシング材が開示される。耐水性視覚的指標は、ドレッシング材に取り付けられたタグ上に提供され得る。タグは、上部シート及び底部シートを備えていてよく、底部シートは、視覚的指標が手書きされる又は印刷される書き込み可能面を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視領域上に提供された耐水性視覚的指標を含む創傷ドレッシング材。
【請求項2】
前記視覚的指標が、前記ドレッシング材が対象に適用された環境の状態に関連する、請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項3】
前記視覚的指標が提供された前記ドレッシング材の前記可視領域が、疎水性コーティング又は低表面エネルギーコーティングを含む、請求項1に記載の創傷ドレッシング材。
【請求項4】
前記視覚的指標が、前記ドレッシング材の表面に取り付けられた水不透過性タグに含まれる、請求項1に記載の創傷ドレッシング材。
【請求項5】
前記タグが、上部シート及び底部シートを備え、前記底部シートは、前記視覚的指標が手書きされる書き込み可能面を備え、前記上部シートは、自己接着性透明フィルムを備える、請求項4に記載の創傷ドレッシング材。
【請求項6】
前記タグが、前記上部シートと前記底部シートとの間に挿入された印刷された視覚的指標を載せた印刷ラベルを更に備える、請求項5に記載の創傷ドレッシング材。
【請求項7】
前記耐水性視覚的指標が、機械可読コードを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のドレッシング材。
【請求項8】
前記機械可読コードが、QRコードを含む、請求項7に記載のドレッシング材。
【請求項9】
ドレッシング材であって、
可撓性基材層を備えた透明セクションと、ドレッシング材層を備えた不透明セクションとを備えたシートアセンブリであって、前記ドレッシング材層は、前記可撓性基材層の一部分に取り付けられ、その縁部からの切開部を持つ構成とされ、前記シートアセンブリは、上に向いた面及び反対側の底に向いた面を有する、シートアセンブリと、
前記シートアセンブリの底面上に配置された接着剤と、
前記シートアセンブリの前記不透明セクション上に印刷され、配置された、前記創傷ドレッシング材の適用環境を示す少なくとも1つの視覚的指標と、を備える、ドレッシング材。
【請求項10】
前記ドレッシング材が、静脈内IVカテーテル固定ドレッシング材を含む、請求項9に記載のドレッシング材。
【請求項11】
前記接着剤が、感圧接着剤を含む、請求項9に記載のドレッシング材。
【請求項12】
前記ドレッシング材層が、非アレルゲン性ポリエステルを含む不織布を含む、請求項9に記載のドレッシング材。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の創傷ドレッシング材上の視覚的指標を読み取ることを含む、患者の識別方法。
【請求項14】
前記視覚的指標が、前記創傷ドレッシング材の適用環境を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記視覚的指標が、サーバ上に記憶された患者情報への機械可読リンクを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐水性視覚的指標を含む医療用ドレッシング材に関する。
【背景技術】
【0002】
民間又は病院の緊急対応チームが使用する創傷ドレッシング材は、典型的には、事故又は緊急事態の現場で活用され、その環境には、汚れ、垢、汗、及びドレッシング材に閉じ込められたままで創傷に感染を引き起こす可能性のあるその他の要素が含まれる場合がある。創傷ドレッシング材が準最適又は非無菌の環境で適用される場合、病院は通常、それらを迅速に交換する必要がある。比較すると、病院で適用された創傷ドレッシング材は、より清浄な環境にあり、汚れが発生した場合に交換する必要があるだけである。しかしながら、両方の状況で使用される創傷ドレッシング材は、同一であり得、交換を必要とするドレッシング材と、交換を必要としないドレッシング材とを視覚的に区別することが困難であり得る。
【0003】
創傷ドレッシング材についての識別の手段を提供するために、担当者は、ドレッシング材の状態を示すために、ドレッシング材上のステッカー又は書き込みをその場で作製し得る。例えば、医療従事者には、指定された期間内に交換の候補としてドレッシング材を識別するのに役立つメモを書くための色分けされたステッカー又は空白のラベルが与えられる場合がある。実現可能ではあるが、ドレッシング材上のその場限りの手書きの印は、雨、又は汗若しくは他の体液でにじみ、それによって判読できなくなる場合がある。更に、湿潤環境で活用された接着ラベルは、湿潤環境で十分に粘着しない場合がある。これは、潜在的に混沌とした環境の中で、及び他のドレッシング材適用ステップと並んで、この追加のステップを実行することを任務とする医療担当者の負担を増大させる。
【0004】
したがって、ドレッシング材に印をつけるためのより体系的で便利な方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本開示は、ドレッシング材の表面上に提供された耐水性視覚的指標を含む創傷ドレッシング材を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、創傷ドレッシング材上の耐水性視覚的指標を読み取ることを含む、患者の識別方法を提供する。一実施形態では、視覚的指標は、創傷ドレッシング材の適用環境を示す。
【0007】
本明細書に記載の技術は、特許請求される発明の本質から逸脱することなく、変更及び改変が可能であることが当業者によって理解されるものとする。したがって、以下の図面及び説明は、例示とみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、添付の図面を参照して例示されるように、例示的な実施形態を参照する。図は、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれ、その一部を形成しており、本開示に従って実施形態を更に説明し、様々な原理及び利点を説明するのに役立つ。
【0009】
図1】視覚的指標を含む創傷ドレッシング材の平面図である。
【0010】
図2A】タグによって保護された視覚的指標を含む創傷ドレッシング材の平面図及び断面図である。
図2B】タグによって保護された視覚的指標を含む創傷ドレッシング材の平面図及び断面図である。
【0011】
図3A】タグに挿入されたラベルを含む創傷ドレッシング材の斜視図及び断面図である。
図3B】タグに挿入されたラベルを含む創傷ドレッシング材の斜視図及び断面図である。
【0012】
図4】視覚的指標を含む静脈内(IV)カテーテル固定ドレッシング材の平面図である。
【0013】
図5】視覚的指標を含むIVカテーテル固定ドレッシング材の層構造を示す斜視図である。
【0014】
図6】テキスト及び機械可読コードの視覚的指標を有するドレッシング材を示す。
【0015】
図7】複数の異なるタイプの視覚的指標を有するIVカテーテル固定ドレッシング材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、ドレッシング材の可視領域上に配置された耐水性視覚的指標を含む、創傷ドレッシング材を提供する。そのような創傷ドレッシング材は、運ばれる情報を外部環境が損傷するというリスクなしに視覚的情報を運ぶように適合されているという利点を有する。視覚的指標は、機械可読コードを含み得、ヘルスケア提供者が日付、時刻、製品コード、ドレッシング材適用からの経過時間、患者情報などのパラメータをドレッシング材に直接添付できるようにする。視覚的指標を耐水性にすることにより、創傷ドレッシング材は、湿潤環境及び乾燥環境の両方で容易に活用可能になり、視覚的指標を汚すリスクを低減する。
【0017】
本明細書では、本明細書で使用される以下の単語及び用語は、以下の意味を有するものとする。
【0018】
用語「耐水性」、「防水性」、及び「撥水剤」は、互換的に使用され、水分又は水の浸透に少なくともある程度抵抗する能力を指す。また、水と直接接触しているにもかかわらず、水の存在によって影響を受けないままである能力も包含する。
【0019】
単語「実質的に」は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、ある物質を「実質的に含まない」組成物は、その物質を完全に、すなわち100%含まない場合がある。
【0020】
別段の指定がない限り、用語「含む(comprising)」及び「含む(comprise)」は、列挙された要素のセットを含むデバイスが、列挙された要素を含むだけでなく、他の追加の列挙されていない要素も含むような包括性を示すことを意図している。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、技術者の体験及び技術に応じて、物理的寸法、又は配合物の成分の化学的濃度の文脈において、記載された値の最大±10%を意味し、より典型的には、記載された値の±5%、±4%、±3%、±2%、又は±1%の間で変化するべきである。
【0022】
図1を参照すると、一実施形態では、創傷ドレッシング材100は、基材105によって支持された好適なドレッシング材料104のシートを備えたシートアセンブリ102を備える。ドレッシング材料は、皮膚に面する側にあることが意図され、ヒドロゲル、リネン、又は不織布材料を含み得る。基材は、ドレッシング材料に機械的支持を提供し、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、若しくはポリウレタン(PU)などのポリマーから作製され得るポリマーフィルム又は天然ラテックスシートなどの、防水性又は水透過性であり得る任意の好適な可撓性材料で作製され得る。通気性を改善するために、基材に開口部を設けることができる。ドレッシング材及び基材の皮膚に面する側は、創傷ドレッシング材を皮膚に取り付けるための感圧接着剤を含み得る。
【0023】
本開示によれば、視覚的指標106は、ドレッシング材の可視領域上に提供される。この実施形態では、テキスト情報は、ドレッシング材の上面に手書き(又は印刷)される。ドレッシング材の上面は、基材面を耐水性コーティングでコーティングすることによって耐水性仕様となり得る。いくつかの実施形態では、疎水性コーティング又は低表面エネルギーコーティングが適用され得る。例えば、視覚的指標が印刷された後又は書き込まれた後、SiOナノ粒子のアルコール懸濁液をその領域に噴霧することができる。フッ素化シラン及びフルオロポリマーコーティングも使用することができる。使用可能な疎水性コーティングの市販の例としては、3M(商標)Scotchgard(商標)Heavy Duty Water Shieldが挙げられる。
【0024】
この例では、視覚的指標は、手書きの単語「緊急」を含み、これは、緊急事態でドレッシング材が患者に施されたという事実をヘルスケア担当者に示すように機能することができ、ドレッシング材を定期的に検査し、必要に応じて交換する必要があることをヘルスケア担当者に注意喚起するのに役立ち得る。より一般的には、視覚的指標は、ドレッシング材が対象に適用された環境の状態に関連し得る。一実施形態では、視覚的指標は、患者情報又はそのような患者情報へのアドレス若しくはリンクに関連する。適切な場合は、単語「緊急」の代わりに任意の他のテキスト情報を使用することができる。耐水性の場合、ドレッシング材の耐水性面と適合するインクを使用する必要がある。有機溶媒(例えば、トルエン、キシレン、又はアルコール)による防水顔料インクを供給するマーカーペンを使用して、そのような視覚的指標を書き込むことができる。
【0025】
好ましい実施形態では、視覚的指標は、ドレッシング材の上面に機械印刷される。視覚的指標を耐水性にするために、水不溶性印刷インクを使用して、インクジェットプリンタ又はスクリーン印刷方法と併せて視覚的指標を印刷することができる。この目的に使用可能なインクとしては、水性水不溶性無機インク、及び有機顔料と有機溶媒に溶解した樹脂とを含むインクが挙げられる。市販のインクとしては、3M(商標)Screen Printing Inkシリーズ1900、又はシリーズ2900インク、及び3M(商標)Reflective Ink for Textiles-8010が挙げられる。視覚的指標はまた、カーボンブラックトナーを使用してレーザー印刷され得る。
【0026】
ドレッシング材上の視覚的指標を、雨、発汗に耐えられるようにするだけでなく、それを患者の改ざん、汚れ、及び摩耗から保護するために、視覚的指標は、好ましくは、ドレッシング材の面に取り付けられた水不透過性タグ上に提供される。一実施形態では(In am embodiment)、タグは、上部シート及び底部シートを備え、底部シートは、視覚的指標が手書きされる書き込み可能面を備え、上部シートは、耐水性インクを受けるための書き込み可能面を備えた自己接着性透明フィルムを備える。別の実施形態では、視覚的指標はタグ上に書き込まれ、次いでカバーシートでシールされる。図2を参照すると、タグ208内にシールされた視覚的指標206を含むドレッシング材200の平面図が示されている。底部シート212は、視覚的指標206が書き込まれ得る又は印刷され得る書き込み可能領域として機能する。底部シート212は、好ましくは耐水性材料であり、その結果、下にある創傷からの滲出液は、下からタグに染み込んで視覚的指標をにじませることがない。書き込み可能層の面は、水性インクを受けるのに好適なものにするために、又は好ましくは有機溶媒系顔料インクを受けるのに好適なものにするために処理され得る。上部シート210は、好ましくは透明であり、最初は剥離ライナー(図示せず)によって被覆されているその底部シートに面した面上に感圧接着剤層211を有し、視覚的指標が書かれた後又は印刷された後、剥離ライナーを除去してよく、上部シート210を底部シート212に押し付けて、視覚的指標を内部にシールし、それを水不浸透性とする。そのようなタグは、ドレッシング材と一緒に製造された状態で入手されてよく、又は自己接着タグがドレッシング材に手動で取り付けられるキットの一部として含まれてもよい。
【0027】
場合によっては、視覚的指標がシートラベル上に予め印刷され、次いでタグ内に挿入されていることが望ましい場合がある。これにより、視覚的指標を事前に大量印刷することができ、例えば、特定の出来事又は日付で封止可能なタグと共に使用するために担当者に分配することができる。図3は、そのような印刷されたラベルの使用を容易にする可能な構造の平面図及び断面図を示す。タグ308は、ラベル314上に書かれた視覚的指標306を含む。タグ308は、上部シート310及び底部シート312を備える。使用されるラベル314は、上部シート310と底部シート312との間に挿入される。感圧接着剤は、上部シート310の底部シートに面する面上に提供される。視覚的指標をシールする準備ができたら、接着剤を被覆している剥離ライナーを除去し、上部シート310を底部シート312に押し付けて、視覚的指標をシールする。
【0028】
本開示は、ラベリングを必要とする任意の種類の創傷ドレッシング材に適用可能であり、湿潤又は正常な天候のいずれであっても、緊急事態、事故、及び災害の状況にある現場での活用に特に有利である。例としては、包帯及びカーライル型応急処置用ドレッシング材(FAD)、並びに病院で適用されるガーゼ、フィルム、発泡体、及び複合ドレッシング材が挙げられる。
【0029】
一実施形態では、創傷ドレッシング材は、静脈内(IV)カテーテル固定ドレッシング材を含む。IVカテーテルは、血液、薬物、又は他の流体などの流体を患者に提供するために使用される中空針状デバイスである。患者への、例えば、皮膚を介した患者の静脈へのカテーテルの挿入後に、ドレッシング材で患者の皮膚に固定される。固定ドレッシング材は、通常、カテーテルを患者に固定して患者の動作中にカテーテルが意図せず外れることを防止するために、カテーテル挿入部位に適用される。また、不快感を最小限に抑え、必要に応じて流体リザーバへのその後の接続を可能にするのに役立つ。更に、固定ドレッシング材は、外部要素へのカテーテル部位の露出を制限し、それによって穿刺創傷の感染を防止する。
【0030】
IVカテーテルは、生理食塩水、医薬品、及び水などの流体を、腕に挿入されたカテーテルを介して負傷者又は病人に静脈内投与する目的で、現場の状況及び病院の両方で頻繁に用いられる。現場の状態は、しばしば、雨、汚れ、及び垢を伴い、交換を必要とするドレッシング材を示す視覚的指標が提供され得る。IVカテーテルドレッシング材では、ドレッシング材は、可撓性基材層を備えた透明セクションと、ドレッシング材層を備えた不透明セクションと、を備えていてよく、ドレッシング材層は、可撓性基材層の一部分に取り付けられ、その縁部からの切開部を持つ構成とされ、このシートアセンブリは、上に向いた面及び反対側の底に向いた面を有し、接着剤がシートアセンブリの底面上に配置され、創傷ドレッシング材の適用環境を示す少なくとも1つの視覚的指標が、シートアセンブリの不透明セクション上に印刷され、配置される。
【0031】
図4は、一実施形態によるIVカテーテル固定ドレッシング材を示す。カテーテル固定ドレッシング材400は、透明セクション421を有するシートアセンブリ420を備える。透明セクションは、ポリウレタン、ポリエチレン、又はポリプロピレンなどの透明可撓性ポリマーフィルムを含み得る。透明セクションに隣接しているのは、ドレッシング材料層を備えた不透明セクション422である。ドレッシング材層は、非アレルゲン性ポリエステルなどの不織布を含み得る。透明セクション421は、カテーテルの挿入後に患者のカテーテル穿刺部位の上に置かれることを意図している。その透明性は、カテーテルの状態及び患者の皮膚上の穿刺創傷への視覚的なアクセスを提供する。ドレッシング材層は、ドレッシング材層の縁部から始まり、透明セクション421の近くの終端位置まで延びている切開部425を持つ構成とされる。この切開部425は、カテーテルの配置のための凹部を提供することを意図している。ドレッシング材層の左右のフラップ423、424は、患者の皮膚に静止し得るカテーテルの構造的特徴のためのパッド付き支持面を提供することを意図しており、したがって、患者の皮膚に対する任意の望ましくない摩耗又は圧力を低減するのに役立ち得る。
【0032】
視覚的指標406は、上記の実施形態のいずれかに従って、IV固定ドレッシング材上に印刷又は手書きすることができる。より詳細には、図5に示すように、シートアセンブリ500は、上部層507と、視覚的指標が印刷される対向する底部層508と、を備え得る。あるいは、別の実施形態では、視覚的指標は、底部層5081の代わりに上部層5071の上に印刷され、配置される。
【0033】
ドレッシング材、ドレッシング材の適用に関連する環境、若しくは対象の状態の他の情報態様、又は任意の他の情報を、単語「緊急」の代わりに指定することができる。例としては、状況、場所、又は日付を示す語が挙げられ、そのような視覚的指標606は、図2Aに示すように、固定ドレッシング材上、又はドレッシング材上の任意の他の好適な場所に印刷され得る。視覚的指標は、繰り返しパターン、又はより小さい若しくはより大きなフォントなどの他の形式で印刷され得る。
【0034】
別の態様では、本開示は、本開示で定められるとおりの創傷ドレッシング材上の視覚的指標を読み取ることを含む、患者の識別方法を提供する。一実施形態では、視覚的指標は、創傷ドレッシング材の適用環境を示す。別の実施形態では、視覚的指標は、サーバ上に記憶された患者情報への機械可読リンクを含む。病院及び診療所の日常業務では、1日中使用できるように必要な情報と共に毎日大量に印刷してドレッシング材に取り付けることができるタグなどの視覚的指標を含むドレッシング材を病院職員に持たせることで、生産性が向上する場合がある。このようにして、迅速な活用を達成することができる。タグ上の情報は、看護師又は医療従事者が、例えば、施与日、ドレッシング材施与担当者の身元、及び/又は施与の場所を特定するのに役立ち得る。そのような情報はまた、創傷ケア指示、又は被害側がいた状況などを含み得る。診療所又は病院は、その標準的な業務手順の一部として視覚的指標として含まれる任意の他の関連情報を決定することができる。
【0035】
視覚的指標として含まれるテキスト情報が長すぎて含めることができない場合、その代わりにドレッシング材上の視覚的指標の記号又はコード化された形態を実装することが望ましい場合がある。したがって、一実施形態では、視覚的指標は、機械可読コードを含む。機械可読コードの例には、EAN、UPC、GS1 DataBar、Code-128、QRコード、Data Matrix、PDF417、郵便番号、ISBNのいずれかの記号の1次元バーコード(図6の640)が含まれる。機械可読コードの別の例は、Data Matrix、MaxiCode、PDF417、PDF417 Truncated、QRコード(図6の630)、Swiss QRコード、Codablock F、及びAztecコードのいずれかの記号の2次元バーコードである。
【0036】
更なる実施形態では、視覚的指標は、シリアル番号のためのバーコード、又はイベントの場所若しくは日付などのイベントを取り囲む状態に割り当てられたアルファベットコードを含む。バーコードはまた、使用されるドレッシング材の在庫数を表すコードも含んでよく、そのため、医療専門家は、バーコードをスキャンして、病院又は医療用品倉庫からドレッシング材を1つ持ち出してよく、そうすることで、使用されるドレッシング材の在庫数計算が自動化される。別の実施形態では、視覚的指標は、QRコードを含む。QRコードは、プレーンテキスト、電子メールアドレス、SMS、又はvCardの情報のいずれかをコード化できる。
【0037】
好ましい実施形態では、視覚的指標は、患者の個人的な詳細、又は患者の負傷につながる状況、又は医師による患者の状態の評価、及び/又は薬物投与記録、ドレッシング材の施与日、施与担当者の身元、及び/又は施与の場所など、患者の個人データ又はヘルスケアデータを含むウェブサイト又はデータベースのランディングページへのURLをコード化するQRコードを含む。
【0038】
図7は、複数の視覚的指標が創傷ドレッシング材上に提供される別の実施形態を示す。複数の視覚的指標は、必要に応じて、タグ、書き込み可能面、及び直接印刷された視覚的指標の組み合わせのうちの1つ以上に提供され得る。
【0039】
本開示の様々な実施形態及び実装について開示してきた。開示された実施形態は例示目的で提示されており、限定を目的とするものではない。上記の実装及び他の実装は、以下の請求項の範囲内にある。当業者であれば、本開示は本明細書で提示されたもの以外の実施形態及び実装で実践できることを理解するであろう。当業者であれば、上述の実施形態及び実装の詳細には、それらの基礎をなす原理を逸脱することなく多くの変更が行われ得ることを理解するであろう。そのため、本出願の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定すべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】