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特表2023-506766高タンパク質ヨーグルト製品および方法
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  • 特表-高タンパク質ヨーグルト製品および方法 図1
  • 特表-高タンパク質ヨーグルト製品および方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】高タンパク質ヨーグルト製品および方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/123 20060101AFI20230213BHJP
   A23C 9/13 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
A23C9/123
A23C9/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535458
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020064697
(87)【国際公開番号】W WO2021119543
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/946,924
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/009,553
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520277357
【氏名又は名称】グランビア ニュートリショナルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアンセン アール
(72)【発明者】
【氏名】ウォード ローレン
【テーマコード(参考)】
4B001
【Fターム(参考)】
4B001AC05
4B001AC06
4B001AC07
4B001AC30
4B001BC04
4B001BC08
4B001BC14
4B001EC99
(57)【要約】
約50センチポアズ~約200,000センチポアズの粘度であるヨーグルト製品を製造するための方法が開示され、該ヨーグルト製品は少なくとも約12パーセントの総タンパク質含量を有し、該製品中のホエイタンパク質は、主として未変性の状態にある(少なくとも約75%が未変性)。本方法によって製造された製品もまた開示され、これはたとえば、総タンパク質を少なくとも約12パーセント含むヨーグルト飲料などであり、ここで、ホエイタンパク質のうち少なくとも約75%は未変性の状態にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の高タンパク質ヨーグルト製品を製造するための方法であって、以下の段階:
(a) ヨーグルト乳において約20:80~約90:10のホエイ:カゼイン比を与えるために、少なくとも1種のカゼイン含有成分、少なくとも1種のホエイタンパク質含有成分、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1種のタンパク質含有成分を該乳に添加することによって、ヨーグルト乳を調製する段階;
(b) ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で維持するパスチャライゼーション条件下で、ヨーグルト乳を加熱処理する段階;ならびに
(c) ヨーグルト製品を製造するために、少なくとも1種の細菌培養物とともにヨーグルト乳を培養する段階、
を含み、
少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加が、少なくとも約12パーセントの、ヨーグルトにおける総タンパク質含量をもたらし、かつヨーグルト乳に添加されるタンパク質含有成分の量および比が、ヨーグルト製品の粘度を約50センチポアズ~約200,000センチポアズに調整するために調節される、
方法。
【請求項2】
タンパク質含有成分が、乳、クリーム、脱脂乳、WPC、WPI、MPC、MPI、無脂肪粉乳(NFDM)、UF乳、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
総タンパク質含量が、少なくとも約12パーセントを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
総タンパク質含量が、約12パーセント~約25パーセントを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ホエイタンパク質のうち少なくとも約95パーセントが未変性の状態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
タンパク質を少なくとも約12パーセント含むヨーグルト製品であって、
該タンパク質がカゼインおよびホエイタンパク質の両方を含み、
ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントが未変性の状態にある、
ヨーグルト製品。
【請求項8】
タンパク質が少なくとも約15パーセントを構成する、請求項7に記載のヨーグルト製品。
【請求項9】
ホエイタンパク質のうち少なくとも約95パーセントが未変性の状態にある、請求項7に記載のヨーグルト製品。
【請求項10】
タンパク質を少なくとも約12パーセント含むヨーグルト飲料であって、
該タンパク質が約1:4の比でカゼインおよびホエイタンパク質を含み、
ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントが未変性の状態にある、
ヨーグルト飲料。
【請求項11】
高タンパク質粉末化ヨーグルトを製造するための方法であって、以下の段階を含む以下の段階を含む、方法:
(a) ヨーグルト乳において約20:80~約90:10のホエイ:カゼイン比を与えるために、少なくとも1種のカゼイン含有成分、少なくとも1種のホエイタンパク質含有成分、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1種のタンパク質含有成分を該乳に添加することによって、ヨーグルト乳を調製する段階であって、
少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加が、少なくとも約12パーセントの、ヨーグルトにおける総タンパク質含量を生じさせ、かつヨーグルト乳に添加されるタンパク質含有成分の量および比によって、ヨーグルト製品の粘度を約50センチポアズ~約200,000センチポアズに調節する、段階;
(b) ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で維持するパスチャライゼーション条件下で、ヨーグルト乳を加熱処理する段階;
(c) ヨーグルト製品を製造するために、少なくとも1種の細菌培養物とともにヨーグルト乳を培養する段階;ならびに
(d) 粉末化ヨーグルトを製造するために、ヨーグルト製品を乾燥させる段階。
【請求項12】
カゼインおよびホエイタンパク質を含む、高タンパク質ヨーグルト粉末であって、
該粉末がタンパク質を少なくとも約12パーセント含み、
ホエイタンパク質のうち少なくとも約75%が、未変性のホエイタンパク質として存在している、
高タンパク質ヨーグルト粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、高タンパク質ヨーグルト製品を製造するための方法に関連する。より具体的には本発明は、充填剤や、安定剤や、他の類似の原材料を添加することなく、高タンパク質ヨーグルト製品の粘度を上昇または低下させることが可能である、高タンパク質ヨーグルト製品を製造するための方法に関連する。本発明はまた、未変性のホエイタンパク質を有するヨーグルト製品を製造するための方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ヨーグルトは、ストレプトコッカス亜種サーモフィルス(Streptococcus subsp. thermophilus)およびラクトバチルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の混合物からなる細菌培養物を用いて乳を発酵させることによって、調製される。ヨーグルトには、主に2種類のタイプがある - 静置型と撹拌型である。静置型ヨーグルト(果物が底に入っている(fruit-on-the bottom)製品、と表現される)は容器内で形成されて、連続したゲル構造が生じる。撹拌型ヨーグルトに関し、大きな発酵タンクにおけるインキュベーションの間に形成されたゲルは、撹拌によって崩壊し、そして撹拌された製品はその後、滑らかであるが粘性のある食感を製品に与えるために、濾し網を通過させてポンプでくみ上げられ得る。
【0003】
ヨーグルト製造に関連する段階は、一般的に以下を含む:ヨーグルト乳を標準化する段階(たとえば、乳粉末、ホエイタンパク質粉末等の添加によってなされる)、ヨーグルト乳をホモジナイズする段階(一般的には、2ステージのホモジナイゼーションプロトコルにおいてなされる)、ヨーグルト乳をパスチャライズする段階、スターター細菌培養物の増殖を促進する温度(一般的にはセ氏約42度)へと、該乳を冷却する段階、スターター培養物を添加する段階、およびスターター培養物とともにヨーグルト乳をインキュベートする(すなわち「培養する」)段階。しかしながら、ヨーグルト製造の段階を説明する際、パスチャライゼーション段階はしばしば、パスチャライゼーションではなく「加熱処理」として挙げられている - なぜならば当業界においては、パスチャライゼーション段階は実際には、複数の目的を果たすからである。第1に加熱処理は、病原性細菌を死滅させるために - および、スターター培養物中の細菌と競合する可能性がある細菌を死滅させるために、使用され得る。一方で加熱処理はまた、タンパク質を変性させ得る手段、特に、変性した場合にカゼインタンパク質と架橋してヨーグルトゲルを形成するホエイタンパク質を変性させ得る手段をも、提供するものである。この変性は、細菌を死滅させるのに最低限必要な温度よりも高い温度で実施されるため、業界標準では、タンパク質の変性を目標とする、より高い温度、および温度/時間の組み合わせが使用されてきた。ヨーグルト産業において一般的に使用される、パスチャライゼーション段階のための温度/時間の組み合わせは、セ氏85度で30分間、またはセ氏90~95度で5分間、を含む。時には、非常に高温で短時間(セ氏100度~セ氏130度で4~16秒間)、または超高温(UHT)(セ氏140度で4~16秒間)が使用される。
【0004】
細菌培養物によるヨーグルト乳の発酵は、ラクトースを乳酸に変換して、該乳のpHを低下させる。この発酵は、ヨーグルトに特有の食味を作り出す。酸性化の間、pHは6.7から、pH4.6未満または約4.6以下に低下して、粘弾性を有するゲルが生成される。ヨーグルトの粘度の上昇はまた、乳の総固形分含量が増加した際にも観察される。
【0005】
加熱段階(パスチャライゼーション)は、食品の安全性にとって重要であるが、ヨーグルト乳からヨーグルト製品を生成する、粘弾性を有するゲルの形成にとっても重要であると考えられている。LeeおよびLucey(Formation and Physical Properties of Yogurt, Asian-Aust. J. Anim. Sci. (2010) 23(9):1127-1136)(非特許文献1)によれば、未加熱乳由来の天然のホエイタンパク質は、ヨーグルトにおける「不活性充填剤」である。これは、ヨーグルトゲルの形成に有用なタンパク質を生成するために、加熱段階を必要とする。乳がセ氏70度を超えて加熱されると、主要なホエイタンパク質、たとえばβ-ラクトグロブリンなどは変性し、β-ラクトグロブリンはジスルフィド架橋によりκ-カゼインと相互作用して、結果として、ゲル硬度の上昇およびヨーグルトの粘度の上昇を引き起こす。LeeおよびLuceyは、カゼインミセルの表面への、変性したホエイタンパク質の結合が、加熱された乳から生成されるヨーグルトゲルの剛性の増大に重要であることを開示している。
【0006】
「ホエイタンパク質」とは、乳の水性画分において見いだされるタンパク質であって、チーズ製造の間に除去されるタンパク質を言い表す総称である。ホエイ中に見いだされるタンパク質、ペプチド、および酵素は、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、グリコマクロペプチド(GMP)、ウシ血清アルブミン(BSA)、免疫グロブリン、ラクトフェリン、およびラクトペルオキシダーゼを含む。ホエイタンパク質の変性はまた、ヨーグルトゲルの剛性、硬度、粘度、および保水能力の増大に重要であるとも考えられている(Pakseresht, S., et al. Optimization of low-fat set-type yoghurt: effect of altered whey protein to casein ratio, fat content and microbial transglutaminase on rheological and sensorial properties, J Food Sci Technol. (2017) 54(8): 2351-2360(非特許文献2))。しかしながら、天然の(未変性の)ホエイタンパク質は、変性したホエイタンパク質のものよりも優れた、いくつかの栄養上の恩恵をもたらす。たとえば、1回の筋力トレーニング後に、20 gの天然のホエイは、20 gのMWP、WPH、WPC-80、および乳と比べて、血中のロイシン濃度の、有意により迅速な上昇および有意により高いピーク値を誘導した(Hamarsland, H., Native whey induces higher and faster leucinemia than other whey protein supplements and milk: a randomized controlled trial, BMC Nutrition (2017) 3:10(非特許文献3))。マウスにおける研究に基づき、天然のホエイはまた、変性したホエイと比べて、免疫応答の改善、およびより高いグルタチオンレベルを促進することも提案されている(Bounous, G. et al. The Biological Activity of Undenatured Dietary Whey Proteins: Role of Glutathione, Clin. Invest. Med. (1991) 14: 296-309(非特許文献4)。
【0007】
ヨーグルトは、多くの国々において重要な食品である。ヨーグルトは、タンパク質、カルシウム、リン、ビタミンB(リボフラビンおよびB12)、トリプトファン、ビタミンC、葉酸、ならびに亜鉛の、供給源である。ホエイタンパク質の機能性および生物活性を保つために、ホエイタンパク質を天然の状態にしておくことができれば、ヨーグルトはさらに多くの恩恵をもたらすであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】LeeおよびLucey(Formation and Physical Properties of Yogurt, Asian-Aust. J. Anim. Sci. (2010) 23(9):1127-1136)
【非特許文献2】Pakseresht, S., et al. Optimization of low-fat set-type yoghurt: effect of altered whey protein to casein ratio, fat content and microbial transglutaminase on rheological and sensorial properties, J Food Sci Technol. (2017) 54(8): 2351-2360
【非特許文献3】Hamarsland, H., Native whey induces higher and faster leucinemia than other whey protein supplements and milk: a randomized controlled trial, BMC Nutrition (2017) 3:10
【非特許文献4】(Bounous, G. et al. The Biological Activity of Undenatured Dietary Whey Proteins: Role of Glutathione, Clin. Invest. Med. (1991) 14: 296-309
【発明の概要】
【0009】
本発明の概要
本発明は、少なくとも1種の高タンパク質ヨーグルト製品を製造するための方法に関連し、該方法は以下の段階:ヨーグルト乳において約20:80~約90:10のホエイ/カゼイン比を与えるために、少なくとも1種のカゼイン含有成分、少なくとも1種のホエイタンパク質含有成分、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1種のタンパク質含有成分を該乳に添加することによって、培養用のヨーグルト乳を調製する段階;ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で維持するパスチャライゼーション条件下で、ヨーグルト乳を加熱処理する段階;ならびにヨーグルト製品を製造するために、少なくとも1種の細菌培養物とともにヨーグルト乳を培養する段階、を含み、少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加が、少なくとも約12パーセントの、ヨーグルトにおける総タンパク質含量をもたらし、かつヨーグルト乳に添加されるタンパク質含有成分の量および比が、ヨーグルト製品の粘度を低粘度から高粘度の範囲内に調整するために調節される。さまざまな局面において、タンパク質含有成分は、乳、クリーム、脱脂乳、WPC、WPI、MPC、MPI、無脂肪粉乳(NFDM)、UF乳、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0010】
さまざまな局面において、本方法は以下の段階:ヨーグルト乳において約20:80~約90:10のホエイ/カゼイン比を有するヨーグルト乳を生成するために、少なくとも1種のカゼイン含有成分、少なくとも1種のホエイタンパク質含有成分、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1種のタンパク質含有成分を組み合わせる段階;ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で維持するパスチャライゼーション条件下で、ヨーグルト乳を加熱処理する段階;ならびにヨーグルト製品を製造するために、少なくとも1種の細菌培養物とともにヨーグルト乳を培養する段階、を含み、少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加が、少なくとも約12パーセントの、ヨーグルトにおける総タンパク質含量をもたらし、かつヨーグルト乳に添加されるタンパク質含有成分の量および比が、ヨーグルト製品の粘度を低粘度から高粘度の範囲内に調整するために調節される。
【0011】
本方法のさまざまな態様において、本方法によって製造される製品の粘度は、約100 cP~約200,000 cPを包含し得る。さまざまな態様において、少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加は、少なくとも約12パーセントの、ヨーグルトにおける総タンパク質含量をもたらす。本発明のさまざまな局面において、ヨーグルトにおける総タンパク質含量は、約12~約25パーセントである。
【0012】
本発明はまた、タンパク質を約12~約25パーセント含むヨーグルト製品をも提供し、該ヨーグルト製品はカゼインおよびホエイタンパク質の両方を含み、ここで、ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントは未変性の状態にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の方法によって製造された、液状のヨーグルト製品の写真であり、該製品は、80% 全乳および20% wpi(20% タンパク質)を使用し、カ氏166度で15秒間加熱処理(パスチャライズ)されており、2500 psiでホモジナイズされており、1150 cPである。
図2】本発明の方法によって製造された、高粘度の(濃厚な)ヨーグルト製品の写真であり、該製品は、80% 全乳、10% MPI、および10% WPI(20% タンパク質)を使用し、カ氏166度で15秒間加熱処理されており、2500 psiでホモジナイズされており、30000 cPである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ヨーグルトを製造するための方法が開示され、ここで、約50 cP~約200,000 cPの範囲内を目標とし得る粘度を有するヨーグルト製品を製造するために、穏やかなパスチャライゼーション条件、およびカゼイン-対-ホエイ比の調節が、組み合わせられる。低粘度の製品は、液状のヨーグルト製品(たとえば飲用ヨーグルト)、ヨーグルトシロップ、および流動性を有する他の製品を含み得る。高粘度の製品は、ピーナッツバターの硬さを有する製品、たとえば、塗り広げられる製品、スプーンまたはスティックに粘着し得る製品等を含み得る。ホエイとカゼインとの比は約20:80~約90:10の範囲にわたっており、カゼイン/ホエイ比がより高いと、粘度は、より高粘度の製品の方向へと変化し、かつカゼイン/ホエイ比がより低いと(ホエイ/カゼイン比がより高いと)、粘度は、より低粘度の、流動性のより大きい製品のものの方向へと変化する。ヨーグルト製品の粘度に対するカゼイン/ホエイ比の影響の例は、以下の表1に示される。
【0015】
(表1)ヨーグルト製品の粘度に対するカゼイン/ホエイ比の影響
【0016】
本方法によって製造されるヨーグルト製品は、ホエイタンパク質を含むはずであり、ここで、ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントは未変性(天然)である。本発明の多くの局面において、天然の未変性ホエイは、天然ホエイタンパク質を少なくとも約90%含み得る。
【0017】
本発明の方法は、乳の使用を包含し、該乳は、さまざまな哺乳動物供給源に由来してよいが、当業界においては一般的にはウシ起源のものである。当業者は、乳が、全乳、脱脂乳、低脂肪乳等の形態であり得ること、乳が濃縮され得ること、および乳が、水の添加によって、ヨーグルト培養用に十分に還元され得ること、ならびに、ヨーグルト培養用の出発原材料を生成するために、乳粉末を水と混合して乳粉末を十分に還元することによって、乳が生成され得ることを、理解するであろう。したがって、本方法はまた、以下の段階:ヨーグルト乳において約20:80~約90:10のホエイ/カゼイン比を有するヨーグルト乳を生成するために、少なくとも1種のカゼイン含有成分、少なくとも1種のホエイタンパク質含有成分、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1種のタンパク質含有成分を組み合わせる段階;ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で維持するパスチャライゼーション条件下で、ヨーグルト乳を加熱処理する段階;ならびにヨーグルト製品を製造するために、少なくとも1種の細菌培養物とともにヨーグルト乳を培養する段階、を含み、少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加が、少なくとも約12パーセントの、ヨーグルトにおける総タンパク質含量をもたらし、かつヨーグルト乳に添加されるタンパク質含有成分の量および比が、ヨーグルト製品の粘度を低粘度から高粘度の範囲内に調整するために調節される。
【0018】
別途指定されない限り、量(特にホエイおよびカゼインの量)は、製品そのままの状態において表される(たとえば、100 gの最終製品1つあたりのグラム数)。「ヨーグルト製品」との用語は、本明細書において使用される場合、本発明の方法によって製造される、発酵させた乳製品である。本発明の方法によって製造されるヨーグルト製品は、約50 cP~約200,000 cPの範囲にわたる粘度のものであり得る。製品はヨーグルトであるため、製品はまた、本明細書においてそのようにも称され得る。「ヨーグルト」とは、たとえば、乳酸産生細菌を用いて乳製品原材料を培養することによって製造された製品として、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)により定義されている。ヨーグルト製造のための乳製品原材料は、クリーム、乳、部分脱脂乳、脱脂乳、およびそれらの組み合わせを含む。他の任意選択の原材料は、たとえば、濃縮脱脂乳、無脂肪粉乳、バターミルク、ホエイ、ラクトース、ラクトアルブミン、およびラクトグロブリンを含む。本発明の方法によって製造される製品は、この定義を満たすとともに、消費者に優れた選択肢を提供する、広範囲にわたる製品 - 液状ヨーグルトから、塗り広げられる高粘度の製品まで - を、提供する。「天然のタンパク質」と「未変性のタンパク質」とは、本明細書において互換性をもって使用され、両者とも、完全に機能的なタンパク質であって、パスチャライゼーション/加熱処理において使用された熱に起因する変性による変化がない、タンパク質を指す。
【0019】
本発明の方法は、高タンパク質ヨーグルト製品を製造し、該方法は以下の段階:ヨーグルト乳において約20:80~約90:10のホエイ/カゼイン比を与えるために、少なくとも1種のカゼイン含有成分、少なくとも1種のホエイタンパク質含有成分、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、少なくとも1種のタンパク質含有成分を乳に添加することによって、ヨーグルト乳を調製する段階;ホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で保持するパスチャライゼーション温度で、ヨーグルト乳を加熱処理する段階;ならびにヨーグルト製品を製造するために、少なくとも1種の細菌培養物とともにヨーグルト乳を培養する段階、を含み、少なくとも1種のタンパク質含有成分の添加が、少なくとも約12パーセント(たとえば約12パーセント~約25パーセント)の、ヨーグルトにおける総タンパク質含量をもたらし、かつ、ヨーグルト乳に添加されるタンパク質含有成分の量および比が、ヨーグルト製品の粘度を約50 cP~約200,000 cPに調整するために調節される。
【0020】
例示として、シロップ、たとえばコーンシロップなどは、典型的には50~100 cPの粘度を有し、かつピーナッツバターは、典型的には約150,000 cP~約200,000 cPの範囲内の粘度を有する。市販のギリシャヨーグルトの粘度は、概して約21,000 cPである。粘度は、本明細書においてはセンチポアズとして表され、これは本明細書において、cPまたはcpsのいずれかとして略記される。したがって本方法は、たとえば、液状のヨーグルト製品、標準的な粘度を有するヨーグルト製品、ギリシャヨーグルトの粘度と同様の粘度を有するヨーグルト製品、および高粘度のピーナッツバターの粘度と同様の粘度を有するヨーグルト製品を製造するという選択肢を、製造者に提供する。
【0021】
ヨーグルトを製造するための標準的な方法は当業者に公知であり、かつこれらの方法は、ホエイタンパク質の大部分をその天然の状態に維持するのに、かつ、たとえば、より粘性のあるヨーグルト製品(たとえば、塗り広げられるヨーグルト製品)のためのより高いカゼイン-対-ホエイ比をもたらす原材料か、または液状のヨーグルト製品のためのより高いホエイ-対-カゼイン比をもたらす原材料の大部分を維持するのに十分に穏やかなパスチャライゼーション温度を採用して、本発明の方法にしたがって製品を製造するために使用可能である。
【0022】
ヨーグルト製造のための原材料は、以下から選択され得る:たとえば、生のまたはパスチャライズされた乳、生のまたはパスチャライズされた、分離されたクリーム、生のまたはパスチャライズされた脱脂乳、無脂肪粉乳(NFDM)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質単離物(WPI)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、液状UF乳リテンテート(liquid UF milk retentate)(「UF乳」、標準的な乳と比べて、低ラクトース、高タンパク質産物を有するように濾過された乳)、および乳タンパク質単離物(MPI)。さまざまな局面において、タンパク質含有成分は、乳、クリーム、脱脂乳、WPC、WPI、MPC、MPI、無脂肪粉乳(NFDM)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。これらの原材料のさまざまな組み合わせが、約50センチポアズ(cP)~約200000センチポアズ(cP)の範囲内の粘度を有する製品を製造するために使用される。たとえば、以下の表2に示されるように、ヨーグルト乳に添加されるWPIおよびMPCの量を変化させると、さまざまなレベルのタンパク質、およびさまざまな粘度を有する製品を製造することが可能であり、その際ヨーグルト製品は、該製品のホエイタンパク質画分において、高レベルの未変性ホエイタンパク質を維持している。
【0023】
(表2)タンパク質の供給源および量 - ヨーグルト製品
【0024】
ヨーグルト製品を製造するために、カゼインタンパク質、ホエイタンパク質、またはそれらのさまざまな組み合わせの供給源を提供するために選択された原材料は、ヨーグルト乳と組み合わせられ得、そして、ホエイタンパク質をそれらの天然の状態で維持することを容易にするパスチャライゼーション条件下で、処理され得る。パスチャライゼーション条件は、たとえば、適切な保持時間で最低限のパスチャライゼーション温度、フラッシュ・パスチャライゼーション(flash pasteurization)(高温で短時間、カ氏166度で15秒間)、バッチ・パスチャライゼーション(batch pasteurization)(カ氏150度で30分間)、またはより高熱でより短時間(higher heat shorter time)(HHST、カ氏194度で0.5秒間)を含み得る。ヨーグルト乳、および添加された原材料はホモジナイズされ、そしてカ氏95~112度(セ氏約42度)の発酵温度に冷却される。細菌のスターター培養物が添加され、そして混合物は、4.3~4.75の最終pHまで発酵させて、その後撹拌され、剪断され、そしてカ氏35~50度まで冷却される。この時点において、香味料が添加されてよく、ヨーグルトは果物等と混合されてよく、かつヨーグルトは、保存、輸送、および販売のための適切な容器へと分注されてよい。
【0025】
ホエイタンパク質は、一般的にはホエイタンパク質単離物(WPI)またはホエイタンパク質濃縮物(WPC)として提供される。乳タンパク質単離物(MPI)はホエイタンパク質を含むが、ホエイタンパク質組成物は、総タンパク質含量のうちの1画分であるにすぎない - 乳において最上位のタンパク質成分は、カゼインである。ホエイタンパク質濃縮物およびホエイタンパク質単離物は、さまざまな手段によって製造可能であり、該手段は一般的に、分離技術、たとえば濾過法などを伴う。好ましいホエイタンパク質組成物は、ホエイタンパク質単離物を含み、該ホエイタンパク質単離物は、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、グリコマクロペプチド(GMP)、免疫グロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、およびラクトフェリンを含む、主要なホエイタンパク質を提供する。ホエイタンパク質を天然の(未変性の)状態に維持することで、得られるヨーグルト製品において、その栄養価を強化する、タンパク質の機能性がもたらされる。たとえば、β-ラクトグロブリンは、グルタチオンの合成において重要なアミノ酸である、システインに富んでいる。α-ラクトアルブミンは、生物活性を有するペプチドの重要な供給源であり、かつ、トリプトファン、リジン、分枝鎖アミノ酸、および含硫アミノ酸を含む必須アミノ酸の、重要な供給源である。グリコマクロペプチド(GMP)は、κ-カゼインのC末端部分(106位~169位)であり、これは、チーズの製造時にホエイ中に放出される。グリコマクロペプチドは、歯垢およびう蝕の形成の制御および阻害に役立ち得るものであり、満腹感を促進するものであり、かつ、抗微生物性の、抗う蝕性の、胃酸抑制性の、コレシストキニン放出性の、プレバイオティクス上の、および免疫調節上の、恩恵を有することが報告されている。ウシ血清アルブミンは、脂肪酸を結合する効果、抗変異原性の効果、およびがん予防の効果を有する。ラクトフェリンは、胃および腸の潰瘍、下痢、ならびにC型肝炎感染の処置に有益であり得る。ラクトフェリンは抗酸化活性を有し、かつ細菌感染およびウイルス感染からの保護作用を有する。ラクトフェリンは免疫調節因子であって、加齢に関連する組織のダメージを予防するものであり、健全な腸内細菌を活発にさせるものであり、がんのいくつかの型を予防し得るものであり、かつ身体が鉄を処理する様式を制御する。表3に、本発明の方法において本発明者が使用した市販のホエイタンパク質単離物の、主要なタンパク質画分およびそれらの相対的パーセンテージを列挙する。
【0026】
(表3)市販のホエイタンパク質単離物のタンパク質組成*
* - Provon(登録商標)、Glanbia Nutritionals, Inc., Monroe, Wisconsin
【0027】
最低限のパスチャライゼーション条件は、乳製品製造の分野において、当業者に公知である。これらの条件は通常、ヒトにおいてQ熱を引き起こす生物である、コクシエラ・バーネッティイ(Coxiella burnetii)を死滅させるのに必要な、最低限の処理条件である。C. バーネッティイは、乳において現在認識されている、最も耐熱性の病原体である。米国においては、たとえば、パスチャライズ乳についての規則(Pasteurized Milk Ordinance)(PMO)により、最低限のパスチャライゼーション条件を達成するという目的のために満たさなくてはならない条件が、定められている。しかしながら興味深いことに、パスチャライゼーションは、乳において見いだされ得る重要なタンパク質の変性を最低限のレベルに抑えて - たとえば、ホエイタンパク質のうちの5パーセント以下に抑えて - 達成することが可能であるが、ヨーグルト製造およびヨーグルトゲルの形成にはホエイタンパク質(特にβ-ラクトグロブリン)の変性が必要であるという一般的なコンセンサスのために、当業界においては、PMOが要求していないにもかかわらず、タンパク質の変性をもたらすように設計されたパスチャライゼーション条件の使用が慣習となってきた。本発明者は、ホエイタンパク質を変性させることなく、所望のゲル強度および粘度のヨーグルト製品を製造可能であることを発見し、かつ実際に、未変性の状態のタンパク質を維持するパスチャライゼーション条件を採用して、ヨーグルト乳に添加され得るタンパク質の量を調節することによって、かついっそうより重要なことには、カゼインタンパク質とホエイタンパク質との比を調節することによって、乳製品製造者が明確に目標とすることができる、さまざまな粘度の製品を製造可能であることを発見した。表4に、C. バーネッティイを破壊するのに十分であるとみなされており、かつパスチャライゼーションのための法的基準を満たす、温度と時間との組み合わせを列挙する。これらの温度/時間の組み合わせは、本発明の方法において、パスチャライゼーションを達成し、その際にホエイタンパク質のうち少なくとも約75パーセントをその未変性の状態で維持するために、使用可能である。これらの組み合わせは通常、所望のパスチャライゼーション効果を生じさせることが可能であり、その際、最小限の変性しか引き起こさない(たとえば、ホエイタンパク質のうち10%未満の変性)。
【0028】
(表4)乳製品のパスチャライゼーションのための温度および時間の組み合わせ
乳製品が濃縮されている(凝縮されている)場合、温度はセ氏3度(カ氏5度)上昇する。情報源:国際乳食品協会(International Dairy Foods Association)(IDFA)、
https://www.idfa.org/news-views/media-kits/milk/pasteurization
【0029】
一定のパーセンテージの未変性のホエイタンパク質を有するヨーグルト製品が、他のグループにより以前に記述されている(EP3042565A1、Jorgensenら。)しかしながらJorgensenらは、ヨーグルト乳の成分を単離するために分離技術を使用しており、そしてその後、それらを再度混合している。より重要なことに、Jorgensenらは、カゼインおよび天然のホエイタンパク質の混合物を、該混合物の天然のホエイタンパク質のうち30~70%の変性が生じるのに十分な温度および時間で加熱することを教示している。本発明は、ヨーグルト乳の成分のそのような分離を必要とせず、かつ本発明者は、ホエイタンパク質のうちの30~70パーセントを変性させることなく、所望の粘度のヨーグルト製品を容易に製造可能であることを発見した。実際に本発明者は、検出可能な変性タンパク質をその中に有さない、いくつかの製品 - 液状ヨーグルトから塗り広げられるヨーグルトまで - を製造した。したがって、本発明の方法は、ホエイタンパク質のうち少なくとも約75%がその天然の状態 - かつしたがって、機能的な状態 - にあることを、規定する。
【0030】
当業者は、特定の製品のためのパスチャライゼーション条件を容易に決定することができる。最低限の法的要件は周知であり、かつβ-ラクトグロブリンの変性についてのキネティクスは、以前に報告されている(Sava, N. et al. The Kinetics of Heat-Induced Structural Changes of β-Lactoglobulin, J. Dairy Sci. (2005) 88:1646-1653)。
【0031】
本発明は、液状のヨーグルト製品を提供するものであり、該製品は、実際に発酵させた液状のヨーグルトなのであって、ヨーグルト風味を有する飲料を提供するために、液体へと添加される原材料として標準的なヨーグルトまたはギリシャヨーグルトを用いて製造される、標準的な市販のヨーグルト風味飲料ではない。しばしば「ヨーグルト飲料」と称される、市販のヨーグルト風味飲料においては、ヨーグルトの原材料は通常、高温のパスチャライゼーションを含む従来の方法によって製造されており、そのため、得られるヨーグルト飲料(これは実際には、ヨーグルトで風味付けされただけの飲料であり得る)中のタンパク質は、それらの変性した状態にある。
【0032】
本発明の方法によって製造されるヨーグルト製品はまた、ヨーグルト製品の製造者が所望する、着色料、香味料、および他の原材料をも含み得る。しかしながら、それらヨーグルト製品はまた、原材料として、乳、ホエイタンパク質、およびカゼイン - 全て天然の原材料 - を有するとして、「クリーンラベル」とすることもできる。
【0033】
本発明のヨーグルト製品は、以下を含み得る:ヨーグルト飲料、ヨーグルトシロップ、標準的なヨーグルト、ギリシャヨーグルト、ヨーグルトペースト、塗り広げられるヨーグルト製品、スリーブまたはチューブに入ったヨーグルトであって、チューブを絞ることによって、または、アイスクリーム菓子、たとえばプッシュポップとして知られているもの(たとえば、Push-Up(登録商標)、Pop-Up(登録商標)、およびPush-Em(登録商標)などの商品名で販売されているもの)の包装手段と類似した包装手段によって、食べることができるヨーグルト。本発明の方法によって製造されるヨーグルト製品は、ヨーグルト粉末(すなわち粉末化ヨーグルト)をも含んでよく、これは、本発明の方法によって製造されたヨーグルトを乾燥させて、高タンパク質ヨーグルト粉末を製造することによって製造される。乾燥、たとえば噴霧乾燥などのための適切な条件は、当業者に公知である。噴霧乾燥は、たとえば、セ氏約235~約245度の入口温度、およびセ氏約90~約95度の出口温度を用いて実施され得る。
【0034】
指摘しておくべき、本発明によって提供される追加の利点の1つは、本方法が、従来の市販のヨーグルト製品のものよりも高いタンパク質レベルを有する、高タンパク質ヨーグルト製品の製造を可能にする点である。表5に、さまざまな市販のヨーグルト製品のタンパク質含量を列挙する。より高いタンパク質含量の製品はギリシャヨーグルトであるため、以下の一覧がギリシャヨーグルト製品しか含んでいない点は、驚くにはあたらない。
【0035】
(表5)タンパク質含量 - 市販のギリシャヨーグルト
【0036】
上に示されるように、より高タンパク質のギリシャヨーグルトにおいてさえも、タンパク質レベルは通常、11%に到達しない。本発明の方法は、所望するようにその粘度を変化させることが可能なヨーグルト製品を提供し、これはまた、少なくとも約12パーセントであり得る総タンパク質含量を有する(すなわち、カゼイン画分およびホエイタンパク質画分の両方を含む)ヨーグルト製品を提供する。さまざまな態様において、総タンパク質含量は、たとえば約12~約25パーセントを包含し得る。
【0037】
本明細書において「含む」との用語が使用される場合、より狭い構成の本発明を記述する、および請求するために、「からなる」、および「から本質的になる」との用語もまた使用され得ることが、理解されるべきである。
【0038】
本発明はこれより、以下の非限定的な実施例を用いて説明される。
【実施例
【0039】
常温保存可能な、常温保存用ヨーグルトの製造
タンパク質を15%含むヨーグルト乳組成物を作るため、全乳、ホエイタンパク質単離物(WPI)、および乳タンパク質単離物(MPI)が混合された(88% 全乳、11% WPI、1% MPI)。タンパク質は、20分間カ氏90度で30分間含水させ、その後パスチャライゼーションが、カ氏167度で20秒間実施された。パスチャライズされた生成物は、2500 psiでホモジナイズされ、カ氏108度(セ氏約42度)に冷却され、そして該生成物には、市販のヨーグルト培養物が接種された。接種された混合物は、pHが4.65に達するまで(5時間)、カ氏108度でインキュベート(培養)され、そして静置型ヨーグルトは撹拌により崩壊させた。ヨーグルト製品は、カ氏166度で6秒間パスチャライズされ、香味料が無菌的に混合され、そして無菌の容器に充填された。
【0040】
飲用の、スプーンですくえる、および超高粘度のヨーグルト製品の製造
「低粘度」、「スプーンですくえる」、または「超高粘度」として特徴付けされた製品に関して、ヨーグルト乳中の原材料の量を、以下の表6に列挙する。原材料が混合され、そしてAPV HTSTが用いられて16秒保持されて加熱された。ホモジナイゼーションは、GIA(2000~2500 psi)を用いて実施された。ホモジナイズした生成物には、細菌培養物(Chr Hansen xc- 11)が接種された。
【0041】
(表6)
WPI - Optisol 1092(Glanbia Nutritionals, Inc., Monroe, WI)
MPI - MPI 90(Idaho Milk Products, Jerome, ID)
【0042】
乳粉末/タンパク質粉末由来の高タンパク質ヨーグルト
ヨーグルトはまた、出発原材料を用意するために粉末を水と組み合わせることによっても、製造された。2種類の別々の製品が製造された。第1のものは、83%の水を、8%の無脂肪粉乳粉末、8%のホエイタンパク質単離物、および1%の乳タンパク質濃縮物と組み合わせた。第2のものは、79%の水を、9%の全乳粉末、8%の乳タンパク質濃縮物、および4%のホエイタンパク質濃縮物と組み合わせた。これらのヨーグルト製品は概して、出発原材料として液状乳を用いて製造されたものと、区別不可能であった。
図1
図2
【国際調査報告】