(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】レーザを利用した内包異物検出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/958 20060101AFI20230213BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20230213BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
G01N21/958
G01N21/89 S
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535605
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020062790
(87)【国際公開番号】W WO2021118838
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チョウドリー,スマ
(72)【発明者】
【氏名】スンマ,マーク アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジアシアン
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA42
2G051AB06
2G051BA10
2G051BB01
2G051BB05
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB05
2G051DA06
(57)【要約】
ガラスの内包異物を検出するための装置及び方法について説明する。本装置及び方法は、ガラス板の一方の面から第1の角度でレーザシートを投影するように構成されたレーザと、ガラス板の他方の面から第2の角度で複数の画像を撮影するように構成されたカメラと、を用いる。カメラで画像を撮影しながら、ガラス板を搬送してレーザシートを通過させる。1つ以上の処理装置は、画像処理アルゴリズムを実行して、撮影された画像に基づいて、ガラス板における内包異物が含まれるエリアを同定する。いくつかの例では、同定した当該ガラス板のエリアを再検討して、これらのエリアに内包異物が含まれているかを確認する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、
暗視野照明を使用して、前記ガラス板の第2の面から前記ガラス板の複数の第1の画像を撮影するように構成された第1のカメラと、
を備える装置。
【請求項2】
前記ガラス板を搬送して前記レーザシートを通過させるように構成された移動ステージをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成された少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記撮影された複数の第1の画像における前記相対的に光強度の高い複数のエリアに基づいて、前記ガラス板の内包異物を同定するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定するステップと、
前記第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定するステップと、
前記第1の画像において、光強度がより高い前記上端線と光強度がより高い前記下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定するステップと、
前記上端線の光強度と、前記下端線の光強度と、前記第1のエリアの光強度とに基づいて、前記第1のエリアにおける内包異物を判定するステップと、
を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
前記第1のエリアから前記上端線までの第1の距離を求めるステップと、
前記第1の距離に基づいて、第2の画像における第2のエリアを特定するステップであって、該第2のエリアは、前記第2の画像において光強度がより高い前記上端線に前記第1のエリアが重なるエリアである、第2のエリアを特定するステップと、
前記第1の画像における前記第1のエリアの第1の光強度が、前記第2の画像における前記第2のエリアの第2の光強度より大きいかを判定するステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
前記第1のエリアから前記下端線までの第2の距離を求めるステップと、
前記第2の距離に基づいて、第3の画像における第3のエリアを特定するステップであって、該第3のエリアは、前記第3の画像において光強度がより高い前記下端線に前記第1のエリアが重なるエリアである、第3のエリアを特定するステップと、
前記第1の画像における前記第1のエリアの第1の光強度が、前記第3の画像における前記第3のエリアの第3の光強度より大きいかを判定するステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
前記第1のエリアから前記上端線までの第1の距離を求めるステップと、
前記撮影された複数の第1の画像のうちの第1の複数の画像の各々について、前記第1の距離に基づいて、各画像における前記第1のエリアの第1の予想位置を求めるステップと、
前記第1のエリアから前記下端線までの第2の距離を求めるステップと、
前記撮影された複数の第1の画像のうちの第2の複数の画像の各々について、前記第2の距離に基づいて、各画像における前記第1のエリアの第2の予想位置を求めるステップと、
前記各第1の予想位置及び前記各第2の予想位置における光強度を求めるステップと、
機械学習アルゴリズムを実行して、前記光強度を分類するステップと、
分類された前記光強度に基づいて、前記第1のエリアにおける前記内包異物を判定するステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記ガラス板の前記第2の面から前記ガラス板を捉えるように構成された顕微鏡撮像カメラを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
明視野照明を使用して、前記ガラス板の前記第1の面から前記ガラス板の複数の第2の画像を撮影するように構成された第2のカメラをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、前記ガラス板の前記第1の面に光を投光するように構成された拡散型青色発光ダイオードをさらに備え、
前記第1のカメラが青色光遮断フィルタを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記レーザが赤色ラインレーザである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラは、前記第1のカメラによる前記第1の画像の撮影と前記第2のカメラによる前記第2の画像の撮影とが同時に行われるように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、前記ガラス板の前記第1の面から前記ガラス板の反射事象の第2の画像を撮影するように構成された色収差共焦点センサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、
暗視野照明を使用して、前記ガラス板の第2の面から前記ガラス板の複数の画像を撮影するように構成されたカメラと、
前記ガラス板を搬送して前記レーザシートを通過させるように構成された移動ステージと、
前記ガラス板の前記第1の面に光を投影するように構成されたバックライトと、
前記ガラス板の第2の面を捉えるように構成された顕微鏡と、
を備えるシステム。
【請求項16】
前記移動ステージは、前記ガラス板を所定距離だけ搬送して前記レーザシートを通過させるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記所定距離が前記レーザシートの幅以下の長さである、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年12月13日を出願日とする米国仮特許出願第62/947800号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、本明細書の依拠するところとし、参照することによって本明細書の一部をなすものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラスの内包異物(inclusion)の検出に関し、より特定的には、表面質感のある(textured)薄型ガラスの内包異物を検出するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス板は、様々な用途で使われている。例えば、ガラス板は、モバイル機器、ノートパソコン、タブレット端末、コンピュータのモニター、テレビのディスプレイなどのガラスディスプレイパネルに使用することができる。しかし、ガラス板は製造時に、内包異物や表面不連続性などの欠陥を有してしまう場合がある。ガラスの表面に現れる欠陥を「凹凸(bump)」と呼ぶことができる。この凹凸は、周囲の(例えば、研磨された)ガラスの表面から突出した凸状の特徴であり得る。また、いくつかの例では、ガラス板の中に内包異物が現れる場合もある。ガラス製造業者は、例えば品質管理や等級分けなどの目的で、これらの欠陥を検出するためにガラス板を検査する。ガラスの内包異物は、機能的欠陥(例えば、強度欠陥など)や外観上の欠陥(例えば、視覚的な見栄えに影響を与える欠陥など)の原因となり得るものである。
【0004】
従来は、例えば、ガラス検査員によって人力でガラス板の内包異物の検出を図る場合があった。この例では、拡大鏡をかけた熟練の検査員が、黒い背景の前でガラスを手で裏返したり、傾けたりしながら、(例えば、暗視野照明などを使用して)ガラス板の縁から照明を当てて検査を実施する。この非常に時間のかかる工程では、検査員が、粗いガラス表面から生じている非常に多くの散乱中心から、ガラスの体積内部の散乱中心を識別しようと努力していた。例えば、質感のある表面を有する薄型ガラスの場合、表面の質感による光の散乱のために偽陽性が高密度に生じてしまう。また、いくつかの例では、内包異物は小さい(例えば、10μm以下の大きさである)場合があり、その場合には、内包異物の検出はさらに困難であった。さらに、訓練度や経験、視力などの違いにより、検査員によって能力に大きな差が出てしまう場合もあった。また、このような集中力を要する作業を行う場合には、同一検査員であっても時間とともに内包異物の検出力が低下することもあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ガラス板の欠陥検出には、現在も改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の特徴により、ロール状の板ガラスなどの表面質感のある薄型ガラスにおいて、内包異物などの欠陥を検出することが可能となる。いくつかの例では、ガラス板に対して斜めに角度をつけてレーザシートを投影する。ガラス板の反対側には、エリア走査カメラを別の角度をつけて斜めに取り付ける。走査カメラは、レーザシートとガラスの交差部の画像を撮影することができる。ガラスがレーザシートを横切る際に、カメラで連続画像を撮影する。画像処理アルゴリズムによって、ガラス表面の欠陥によって生じるノイズを無視しながら、ガラスにおける内包異物を含む可能性のある疑わしいエリアを画像データから検出することができる。いくつかの例では、疑わしいエリアを高解像度技術で再撮像して、ガラスの内包異物を確認し、その特性を明らかにする。
【0007】
本実施形態にはいくつかの利点があるが、特に、表面質感のあるガラスの小さな内包異物(例えば、<10μm)の検出を可能にするという利点がある。さらに、本実施形態によって、検査のターンアラウンドタイムを短縮し、従来に比べてガラス検査工程を大幅に簡略化することも可能になる。さらに、本実施形態では、薄型ガラス(例えば、厚さ<約1mm)の内包異物検出を可能にするとともに、傷(blemish)や、質感(texture)、汚れ(contaminant)などの表面ノイズ(surface noise:検出対象ではない表面の要素)を抑制することができる。従来のシステムの場合、これらの表面ノイズを検出して、内包異物の誤検出(例えば、偽陽性)を起こしてしまう場合があった。また、本実施形態によれば、従来の方法よりもはるかに高速なガラス板検査が可能となる。本開示の利益を受ける当業者であれば、さらなる利点を認識することもできるだろう。
【0008】
いくつかの例では、装置は、ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、暗視野照明を使用して、ガラス板の第2の面からガラス板の複数の画像を撮影するように構成されたカメラと、を備えている。いくつかの例では、本装置は、ガラス板を搬送してレーザシートを通過させるように構成された移動ステージを備えている。
【0009】
いくつかの例では、本装置は、撮影された複数の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えている。いくつかの例では、少なくとも1つのプロセッサが、撮影された複数の画像における相対的に光強度の高い複数のエリアに基づいて、ガラス板の内包異物を同定するように構成されている。
【0010】
いくつかの例では、少なくとも1つのプロセッサが、第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定するステップと、第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定するステップと、第1の画像において、光強度がより高い上端線と光強度がより高い下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定するステップと、を行うことによって、撮影された複数の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成されている。また、少なくとも1つのプロセッサは、上端線の光強度と、下端線の光強度と、第1のエリアの光強度とに基づいて、第1のエリアにおける内包異物を判定するステップとを行うようにさらに構成されている。
【0011】
いくつかの例では、少なくとも1つのプロセッサが、第1のエリアから上端線までの第1の距離を求めるステップと、第1の距離に基づいて、第2の画像における第2のエリアを特定するステップであって、該第2のエリアは、第2の画像において光強度がより高い上端線に第1のエリアが重なるエリアである、第2のエリアを特定するステップと、を行うことによって、撮影された複数の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成されている。また、少なくとも1つのプロセッサは、第1の画像における第1のエリアの第1の光強度が、第2の画像における第2のエリアの第2の光強度より大きいかを判定するステップを行うようにさらに構成されている。
【0012】
いくつかの例では、少なくとも1つのプロセッサが、第1のエリアから下端線までの第2の距離を求めるステップと、第2の距離に基づいて、第3の画像における第3のエリアを特定するステップであって、該第3のエリアは、第3の画像において光強度がより高い下端線に第1のエリアが重なるエリアである、第3のエリアを特定するステップと、第1の画像における第1のエリアの第1の光強度が、第3の画像における第3のエリアの第3の光強度より大きいかを判定するステップと、を行うことによって、撮影された複数の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成されている。
【0013】
いくつかの例では、少なくとも1つのプロセッサが、第1のエリアから上端線までの第1の距離を求めるステップを行うことによって、撮影された複数の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成されている。また、少なくとも1つのプロセッサは、撮影された複数の第1の画像のうちの第1の複数の画像の各々について、第1の距離に基づいて、各画像における第1のエリアの第1の予想位置を求めるステップを行うようにさらに構成されている。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、第1のエリアから下端線までの第2の距離を求めるステップを行うようにも構成されている。また、少なくとも1つのプロセッサは、撮影された複数の第1の画像のうちの第2の複数の画像の各々について、第2の距離に基づいて、各画像における第1のエリアの第2の予想位置を求めるステップを行うようにさらに構成されている。少なくとも1つのプロセッサは、各第1の予想位置及び各第2の予想位置における光強度を求めるステップを行うように構成されている。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、機械学習アルゴリズムを実行して、光強度を分類するステップと、分類された光強度に基づいて、第1のエリアにおける内包異物を判定するステップと、を行うようにも構成されている。
【0014】
いくつかの例では、装置は、ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、ガラス板の第2の面からガラス板の複数の画像を撮影するように構成された第1のカメラと、ガラス板を搬送してレーザシートを通過させるように構成された移動ステージと、ガラス板の第2の面からガラス板を捉えるように構成された顕微鏡撮像カメラと、を備えている。いくつかの例では、第1のカメラは、暗視野照明を使用して画像を撮影することができる。
【0015】
いくつかの例では、装置は、ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、ガラス板の第2の面からガラス板の複数の第1の画像を撮影するように構成された第1のカメラと、ガラス板を搬送してレーザシートを通過させるように構成された移動ステージと、ガラス板の第1の面からガラス板の複数の第2の画像を撮影するように構成された第2のカメラと、を備えている。いくつかの例では、第1のカメラは、暗視野照明を使用して画像を撮影することができ、第2のカメラは、明視野照明を使用して第2の画像を撮影することができる。いくつかの例では、本装置は、ガラス板の第1の面に光を投光するように構成された拡散型青色発光ダイオードをさらに備えており、第1のカメラが青色光遮断フィルタを備えている。いくつかの例では、レーザは赤色ラインレーザである。いくつかの例では、第1のカメラ及び第2のカメラは、第1のカメラによる第1の画像の撮影と第2のカメラによる第2の画像の撮影とが同時に行われるように構成されている。
【0016】
いくつかの例では、装置は、ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、暗視野照明を使用して、ガラス板の第2の面からガラス板の複数の画像を撮影するように構成された第1のカメラと、を備えている。また、本装置は、ガラス板を搬送してレーザシートを通過させるように構成された移動ステージをさらに備えている。さらに、本装置は、ガラス板の第1の面に光を投影するように構成された、明視野バックライトなどのバックライトと、ガラス板の第2の面を捉えるように構成された顕微鏡と、を備えている。
【0017】
いくつかの例では、移動ステージは、ガラス板を所定距離だけ搬送してレーザシートを通過させるように構成されている。いくつかの例では、所定距離は、レーザシートの幅(例えば、レーザラインの太さ)より小さい(又は等しい)。
【0018】
いくつかの例では、処理装置による方法は、ガラス板の複数の画像を撮影するステップを含む。また、本方法は、撮影された複数の画像のうちの第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定するステップと、第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定するステップと、をさらに含んでもよい。さらに、本方法は、第1の画像において、光強度がより高い上端線と光強度がより高い下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定するステップを含む。また、本方法は、上端線の光強度と、下端線の光強度と、第1のエリアの光強度とに基づいて、第1のエリアにおける内包異物を判定するステップも含む。
【0019】
いくつかの例では、本方法は、第1のエリアから上端線までの第1の距離を求めるステップと、第1の距離に基づいて、撮影された複数の画像のうちの第2の画像における第2のエリアを特定するステップであって、該第2のエリアは、第2の画像において光強度がより高い上端線に第1のエリアが重なるエリアである、第2のエリアを特定するステップと、第1の画像における第1のエリアの第1の光強度が、第2の画像における第2のエリアの第2の光強度より大きいかを判定するステップと、を含む。
【0020】
いくつかの例では、本方法は、第1のエリアから下端線までの第2の距離を求めるステップと、第2の距離に基づいて、第3の画像における第3のエリアを特定するステップであって、該第3のエリアは、第3の画像において光強度がより高い下端線に第1のエリアが重なるエリアである、第3のエリアを特定するステップと、第1の画像における第1のエリアの第1の光強度が、第3の画像における第3のエリアの第3の光強度より大きいかを判定するステップと、を含む。
【0021】
いくつかの例では、処理装置による方法は、ガラス板の複数の画像を撮影するステップと、撮影された複数の画像のうちの第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定するステップと、第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定するステップと、を含む。さらに、本方法は、第1の画像において、光強度がより高い上端線と光強度がより高い下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定するステップを含む。また、本方法は、第1のエリアから上端線までの第1の距離を求めるステップも含む。さらに、本方法は、撮影された複数の画像のうちの第1の複数の画像の各々について、第1の距離に基づいて、各画像における第1のエリアの第1の予想位置を求めるステップを含む。また、本方法は、第1のエリアから下端線までの第2の距離を求めるステップも含む。さらに、本方法は、撮影された複数の画像のうちの第2の複数の画像の各々について、第2の距離に基づいて、各画像における第1のエリアの第2の予想位置を求めるステップを含む。また、本方法は、各第1の予想位置及び各第2の予想位置における光強度を求めるステップも含む。さらに、本方法は、機械学習アルゴリズムを実行して、光強度を分類するステップと、分類された光強度に基づいて、第1のエリアにおける内包異物を判定するステップと、を含む。
【0022】
いくつかの例では、非一時的なコンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合に、以下を含む動作をコンピューティング装置に実行させる命令を格納している。その動作とは、ガラス板の複数の画像を撮影する動作と、撮影された複数の画像のうちの第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定する動作と、第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定する動作と、を含む。さらに、その動作は、第1の画像において、光強度がより高い上端線と光強度がより高い下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定する動作を含む。また、その動作は、上端線の光強度と、下端線の光強度と、第1のエリアの光強度とに基づいて、第1のエリアにおける内包異物を判定する動作も含む。
【0023】
いくつかの例では、その動作は、第1のエリアから上端線までの第1の距離を求める動作と、第1の距離に基づいて、撮影された複数の画像のうちの第2の画像における第2のエリアを特定する動作であって、該第2のエリアは、第2の画像において光強度がより高い上端線に第1のエリアが重なるエリアである、第2のエリアを特定する動作と、第1の画像における第1のエリアの第1の光強度が、第2の画像における第2のエリアの第2の光強度より大きいかを判定する動作と、を含む。
【0024】
いくつかの例では、その動作は、第1のエリアから下端線までの第2の距離を求める動作と、第2の距離に基づいて、第3の画像における第3のエリアを特定する動作であって、該第3のエリアは、第3の画像において光強度がより高い下端線に第1のエリアが重なるエリアである、第3のエリアを特定する動作と、第1の画像における第1のエリアの第1の光強度が、第3の画像における第3のエリアの第3の光強度より大きいかを判定する動作と、を含む。
【0025】
いくつかの例では、非一時的なコンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合に、以下を含む動作をコンピューティング装置に実行させる命令を格納している。その動作とは、ガラス板の複数の画像を撮影する動作と、撮影された複数の画像のうちの第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定する動作と、第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定する動作と、を含む。さらに、その動作は、第1の画像において、光強度がより高い上端線と光強度がより高い下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定する動作を含む。また、その動作は、第1のエリアから上端線までの第1の距離を求める動作も含む。さらに、その動作は、撮影された複数の画像のうちの第1の複数の画像の各々について、第1の距離に基づいて、各画像における第1のエリアの第1の予想位置を求める動作を含む。また、その動作は、第1のエリアから下端線までの第2の距離を求める動作も含む。さらに、その動作は、撮影された複数の画像のうちの第2の複数の画像の各々について、第2の距離に基づいて、各画像における第1のエリアの第2の予想位置を求める動作を含む。また、その動作は、各第1の予想位置及び各第2の予想位置における光強度を求める動作も含む。さらに、その動作は、機械学習アルゴリズムの実行によって光強度を分類する動作と、分類された光強度に基づいて、第1のエリアにおける内包異物を判定する動作と、を含む。
【0026】
上記の発明の概要と下記の例示的な実施形態に対する詳細な説明とは、添付の図面と併せて読むことができる。これら図面は、本明細書で説明する例示的な実施形態の一部を図示するものである。なお、後述する通り、特許請求の範囲は、これらの例示的な実施形態に限定されるものではない。また、明確かつ読みやすくするため、特定の特徴については、図示を省略している場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】いくつかの例に係る例示的なガラス内包異物検出装置を示す模式図
【
図2】いくつかの例に係る例示的なガラス内包異物検出装置が行う内包異物検出を示すブロック図
【
図3】
図2に示すガラス内包異物検出装置が検出を行う場合に、内包異物がレーザシートを通過する際の内包異物の各位置に基づいた光散乱を示す図
【
図4】
図3に示す内包異物によって生じる光散乱にそれぞれ対応する光散乱強度を表している画像を示す図
【
図5】ガラスに内包異物がある場合の光強度グラフとガラスに表面質感がある場合の光強度グラフとの比較を示す図
【
図6】いくつかの例に係る、表面散乱を低減する水浴システムを有する例示的なガラス内包異物検出装置を示すブロック図
【
図7A】いくつかの例に係る、一次検査時にマクロカメラで検出した疑わしいエリアに対してさらなる評価を行うためのレーザ暗視野システムを採用した例示的なガラス内包異物検出装置を示すブロック図
【
図7B】いくつかの例に係る、一次検査時にマクロカメラで検出した疑わしいエリアに対してさらなる評価を行うためのレーザ暗視野システムを採用した例示的なガラス内包異物検出装置を示すブロック図
【
図7C】いくつかの例に係る、一次検査時にマクロカメラで検出した疑わしいエリアに対してさらなる評価を行うためのレーザ暗視野システムを採用した例示的なガラス内包異物検出装置を示すブロック図
【
図8】いくつかの例に係る、
図7A~
図7Cに示すレーザ暗視野システムで検出した内包異物の画像を示す図
【
図9】いくつかの例に係る、暗視野カメラを採用した例示的なガラス内包異物検出システムのブロック図と、内包異物がレーザシートを横切る際の光強度プロファイルとを示す図
【
図10A】いくつかの例に係る、
図9に示す例示的なガラス内包異物検出装置によって撮影されるガラス内包異物の画像を示す図
【
図10B】いくつかの例に係る、
図9に示す例示的なガラス内包異物検出装置よって撮影されるガラス表面欠陥の画像を示す図
【
図11】いくつかの例に係る、暗視野カメラを採用した例示的なガラス内包異物検出装置を示す模式図
【
図12A】いくつかの例に係る、
図11に示す例示的なガラス内包異物検出装置よって撮影される動的追跡画像を示す図
【
図12B】いくつかの例に係る、
図11に示す例示的なガラス内包異物検出装置よって撮影される静的追跡画像を示す図
【
図13】いくつかの例に係る、明視野カメラを採用した例示的なガラス内包異物検出装置を示すブロック図
【
図14A】いくつかの例に係る、
図13に示す例示的なガラス内包異物検出装置よって撮影される動的追跡画像を示す図
【
図14B】いくつかの例に係る、
図13に示す例示的なガラス内包異物検出装置よって撮影される静的追跡画像を示す図
【
図15】いくつかの例に係る、カメラシステムへのシャインプルーフの原理の応用を示す図
【
図16】いくつかの例に係る、被写界深度の延長を実現するためにシャインプルーフの原理に基づく明視野カメラ設定を採用した例示的なガラス内包異物検出装置を示すブロック図
【
図17】いくつかの例に係る、ガラス内包異物検出装置のいずれかと組み合わせて、ガラスを走査して複数の内包異物を同時に探査することができる色収差共焦点式撮像システムを示すブロック図
【
図18】いくつかの例に係る、ガラス内包異物検出装置のいずれかと組み合わせて、ガラスを走査して複数の内包異物を同時に探査することができる、表面から高さ位置までの深度を測定する機能を有する色収差共焦点センサを示すブロック図
【
図19】いくつかの例に係るガラス内包異物検出装置によって実施可能な例示的な方法を示す図
【
図20-1】いくつかの例に係るガラス内包異物検出装置によって実施可能な他の例示的な方法を示す図
【
図20-2】
図20-1に示す、いくつかの例に係るガラス内包異物検出装置によって実施可能な例示的な方法を示す図の続き
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願は、説明のための(すなわち、例示的な)実施形態を開示するものである。本開示は、例示的な実施形態に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲の記載事項には、これらの例示的な実施形態とは異なる多くの実施態様が存在する。本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、特許請求の範囲に種々の補正を加えることができる。特許請求の範囲は、このような補正後の実施態様も対象とすることが意図されている。
【0029】
本出願書類では、図面を参照しながら読む読者が内容を理解できるように、方向性のある用語(例えば、前(front)、後(back)、上(top)、下(bottom)、左(left)、右(right)など)を使用する場合がある。しかしながら、特許請求の範囲は、図示の方向に限定されるものではない。また、いかなる絶対的な用語(例えば、高い(high)、低い(low)など)も、対応する相対的な用語(例えば、より高い(higher)、より低い(lower)など)を開示していると理解することができる。
【0030】
本開示は、質感のある表面を有する薄型ガラスなどのガラスの内包異物を検出する装置及び方法を提示するものである。ガラスの内包異物は、機能的欠陥(例えば、強度欠陥など)や外観上の欠陥(例えば、視覚的な見栄えに影響を与える欠陥など)の原因となることが多い。
【0031】
本実施形態にはいくつかの利点があるが、特に、検査のターンアラウンドタイムを短縮し、従来に比べてガラス検査工程を大幅に簡略化できるという利点がある。さらに、本実施形態によって、表面質感のあるガラスの小さな内包異物(例えば、<10μm)を検出することも可能になる。また、本実施形態では、薄型ガラス(例えば、厚さ<約1mm)の内包異物検出を可能にするとともに、傷や、質感、汚れなどの表面ノイズを抑制することができる。従来のシステムの場合、これらの表面ノイズを検出して、内包異物の誤検出(例えば、偽陽性)を起こしてしまう場合があった。さらに、本実施形態によれば、従来の方法よりもはるかに高速なガラス板検査が可能となる。本開示の利益を受ける当業者であれば、さらなる利点を認識することもできるだろう。
【0032】
いくつかの例では、ガラス内包異物検出装置は、レーザシート発生装置(レーザライン発生装置とも呼ばれる)と、レンズを有するカメラと、移動ステージとを備える。レーザシートは、1本の軸線に沿って拡がるレーザビーム(例えば、フラットレーザビーム)とすることができる。例えば、レーザシートは、長さと幅を有し、長さが幅より大きいレーザビームとすることができる。レーザシート発生装置は、ガラス板に対してある角度(例えば、角度α)をつけてガラス板の一面(例えば、上面)にレーザシートを投影するように構成されている。例えば、このレーザシートとガラス板の法線方向との間の角度は、調整自在とすることができる。一方、カメラは、ガラス板の他面(例えば、下面)から画像を撮影するように構成されている。なお、カメラは、ガラス板に対してある角度(例えば、角度β)をつけて画像を撮影するように構成されている。例えば、この角度は、レンズの光軸とガラス板の法線方向との間の角度として測定することができる。ガラス板に対するレーザの角度(例えば、角度α)及びガラス板に対するカメラの角度(例えば、角度β)は、各撮影画像の検査領域の感度が最適となるように調整することができる。いくつかの例では、ガラス板に対するレーザの角度は、ガラス板に対するカメラの角度よりも大きい。
【0033】
いくつかの例では、カメラは、暗視野(darkfield)照明を使用して画像を撮影する(例えば、暗視野カメラである)。暗視野カメラは、例えば、暗視野撮像システムで使用されるカメラとすることができる。暗視野撮像システムでは、照明光源を直接捉えることはなく、カメラに対する照明光源の直接照射によって捉えることも、物体からの照明光源の直接の鏡面反射によって捉えることもない。これに代えて、照明光源で物体を照らす。本明細書で説明するように、いくつかの例では、照明光源でガラス板を照らし、カメラは、ガラス板からの散乱光のみを捉える。
【0034】
移動ステージは、ガラスを搬送してレーザシートを通過させるように構成されている。移動ステージでガラス板を搬送してレーザシートを通過させながら、カメラで画像を撮影する。ガラスとレーザシートの交差部を、カメラの視野(Field of View:FOV)の中心に据えることができる。内包異物が存在する場合には、内包異物がレーザシートを通過する時に、内包異物によってレーザシートからの光が散乱する。そして、その光の散乱をカメラが捉える。
【0035】
いくつかの例では、移動ステージは、ガラスを(例えば、水平方向に)搬送して、レーザシートとカメラの視野を通過させる。いくつかの例では、移動ステージは、ガラス板が所定距離を移動する毎などの周期的な間隔で、カメラに電気パルスを送信するように構成されたエンコーダ(例えば、プロセッサ)を備えている。いくつかの例では、この所定距離は、レーザシートの厚さよりも短い。移動ステージのエンコーダから電気パルスを受信するたびに、カメラは画像を撮影する。画像は、予め設定された露光時間で撮影してもよい。いくつかの例では、カメラが撮影した画像には、上面散乱によって生じる上側の明るいエリア(上側の明るい線状エリア)と、下面散乱によって生じる下側の明るいエリア(下側の明るい線状エリア)が表示されている。上面散乱は、ガラス上面における表面欠陥によって、下面散乱は、ガラス下面における表面欠陥によって、それぞれ生じ得るものである。なお、本明細書では、上側の明るいエリアと下側の明るいエリアとの間の領域を、検査対象領域(region of interest:ROI)と呼ぶ。撮影した画像は、画像データとしてハードディスクなどのメモリに格納することができる。
【0036】
いくつかの例では、ガラス板の幅はレーザシートの幅よりも広い。よって、その差分となる部分のガラスを検査するため、移動ステージは、或る距離だけガラスを側面方向に搬送してから、ガラスを水平方向に搬送してレーザシートを通過させることができる。このような方法で、様々な幅のガラス板を検査することができる。
【0037】
画像が撮影されると、プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、コンピュータ、サーバなどの処理装置が、画像処理アルゴリズムを実行して、画像データ内の内包異物候補を検出することができる。ガラスがレーザシートを通る際、レーザシートと交差する内包異物があれば、その内包異物によって光が散乱する。これにより、内包異物を、画像の検査対象領域における明るい点として表示することができる。画像の中のこのような明るいエリアを、処理装置は検出することができる。一方、ガラス表面に十分な大きさの粒子や傷があれば、それらも表面散乱(例えば、表面欠陥によって散乱した光)によって明るく光る場合がある。いくつかの例では、これらの表面粒子が原因で、画像の検査対象領域に比較的明るい散乱信号(例えば、明るいエリア)が現れる場合もある。しかし、これらは、ガラスの内包異物ではなく、ガラス表面の欠陥によるものであるため、誤検出(別名「表面ノイズ」)となってしまう。そして、表面の傷は、本物の内包異物よりも桁違いに大きい場合があるため、検出の大部分が誤検出となる恐れがある。
【0038】
処理装置は、1つ以上のフィルタリングアルゴリズムの実行に基づき、誤検出を除去することができる。フィルタリングアルゴリズムは、上面散乱又は下面散乱において現れたと考えられる明るい点を含む画像を特定し、元の画像の対象領域の明るい点と、これらの特定した画像の上面散乱又は下面散乱における明るい点のいずれがより強いかを判定することができる。
【0039】
例えば、画像の縦列(column)をC、画像の横列(row)をRで表す場合に、ある画像の対象領域内の(C_n,R_n)で定義される画像座標で、明るい点が検出されたと仮定する。静的モデルを採用する場合、処理装置は、表面散乱(上面散乱と下面散乱)から明るい点の距離に基づいて整数pと整数qを計算することができる。そして、画像n+pでは明るい点の散乱源が上面散乱に重なり、画像n-qでは明るい点の散乱源が下面散乱に重なると予想される。また、画像n+pにおいて明るい点があると予想される座標を表す予想画像座標(C_n+p,R_n+p)を計算する。画像n-qでは明るい点の散乱源が下面散乱に重なると予想される。また、画像n-qにおいて明るい点があると予想される座標を表す予想画像座標(C_n-q,R_n-q)を計算する。
【0040】
3つの画像(例えば、画像n、画像n+p、画像n-q)のそれぞれにおける明るい点の強度が求められる。例えば、元の画像である画像nの座標(C_n,R_n)の明るい点に基づいて、第1の強度が求められる。また、画像n+pにおける予想座標(C_n+p,R_n+p)に基づいて第2の強度が求められ、画像n-qにおける予想座標(C_n-q,R_n-q)に基づいて第3の強度が求められる。
【0041】
いくつかの例では、第1の強度(画像nの対象領域における座標(C_n,R_n)にある明るい点を表す)が、第2の強度及び第3の強度より大きい場合、明るい点は内包異物によるものと判定される(例えば、内包異物が検出される)。いくつかの例では、第1の強度が第2の強度よりも少なくとも第1の閾値だけ大きく(例えば、第1の強度>(第2の強度+第1の閾値))、第1の強度が第3の強度よりも少なくとも第2の閾値だけ大きい(例えば、第1の強度>(第3の強度+第2の閾値))場合、明るい点は内包異物によるものと判定される。いくつかの例では、第1の閾値と第2の閾値は等しい。
【0042】
他の例として、動的モデルを採用することもできる。その場合、調整パラメータとして予め定めた整数をmとすると、[n-q-m, n-q-m+1, …, n+p+m]という整数列が生成される。処理装置は、複数の画像[n-q-m, n-q-m+1, …, n+p+m]のそれぞれにおける散乱源の予想座標(C_n-q-m,R_n-q-m),(C_n-q-m+1,R_n-q-m+1), …,(C_n+p+m,R_n+p+m)を計算する。そして、処理装置は、[n-q-m, n-q-m+1, …, n+p+m]の各項iに対応する画像iにおける座標(C_i,R_i)の光強度をそれぞれ表す要素で構成される光強度追跡配列(intensity trace array)を生成することができる。いくつかの例では、光強度追跡配列をp+q+2*m+1の大きさの1次元配列とすることができる。
【0043】
次に、処理装置は、教師あり(supervised)分類アルゴリズム(例えば、サポートベクターマシンや、ニューラルネットワーク、深層学習に基づく手法などに依拠したアルゴリズム)などの機械学習アルゴリズムを使って、光強度追跡配列が内包異物であるか、表面ノイズであるかを分類することができる。機械学習アルゴリズムは、内包異物による光散乱と表面欠陥による光散乱とを識別する教師データで学習させることができる。
【0044】
いくつかの例では、静的モデルと動的モデルを併用して、表面に関連する不具合をさらに抑制することもできる。
【0045】
いくつかの例では、ガラスを水などの液体に浸漬して、表面ノイズを抑制又は低減することができる。この選択肢は、表面質感が粗いガラスの場合に有効である。液体の屈折率が、ガラス表面の屈折率にある程度合うようにすれば、表面ノイズをさらに低減することができる。いくつかの例では、上面散乱や下面散乱などの表面散乱に依拠して内包異物位置の特定を行うため、液体とガラスの屈折率を完全に一致させることはしない。液体に浸漬することにより、表面散乱が抑制されるだけでなく、ガラス表面での光線の屈曲も小さくなる。そのため、表面散乱との違いをさらに明確にして、より広い検査対象領域を得ることができる。
【0046】
いくつかの例では、表面ノイズをフィルタリングで除去した後に、内包異物を再検討することができる。再検討には多くの方法が考えられ、そのいずれかの方法で行うことができる。
【0047】
顕微鏡による再検討
1つの例では、高解像度顕微鏡を使用して、同定した各内包異物を再検討することができる。高解像度顕微鏡により、ガラス内の内包異物の位置をより正確に特定することができる。例えば、内包異物の座標をもとに、高解像度顕微鏡の視野を内包異物の位置に移動させる。このとき、高解像度顕微鏡は、顕微鏡の光軸がガラスと直交する位置である、顕微鏡の視野の中心の近傍に内包異物が見えるように位置合わせされる。また、ガラスの反対側には、明視野バックライトを設置する。そして、このバックライト照明下で、高解像度顕微鏡は、種々の調整によって被写界深度(depth of field:DOF)をガラスの下面から上面に(あるいは、ガラスの上面から下面に)移動させながら、カメラで画像を撮影する。画像は、メモリに格納することができる。
【0048】
撮影の後、処理装置が、(例えば、画像処理アルゴリズムを実行することによって)表面に最も合焦した画像を特定することができ、上面と下面の間の任意の明るい点(明視野バックライトで明るく照らされた点)に合焦させることができる。上面と下面の間に明るい点が検出された場合、その明るい点は内包異物によるものと判定される。内包異物の位置を記録することもできる。また、深層学習に基づくアルゴリズムなどの機械学習モデルを用いて内包異物の種類を分類することができ、画像から内包異物の大きさを測定することもできる。上面と下面の間に明るい点が検出されない場合、明るい点は表面ノイズによるものであったと判定される。
【0049】
レーザ暗視野を援用した顕微鏡による再検討
また他の例では、表面ノイズをフィルタリングで除去した後に、レーザ暗視野で内包異物の再検討を行う。レーザを点灯し、内包異物によるレーザ光の散乱がカメラの視野に収まる位置までガラスを搬送する。そして、レーザがガラスにレーザシートを投影している側とは反対側から高解像度顕微鏡の視野の焦点をガラスに合わせるように、高解像度顕微鏡を位置合わせする。次に、散乱光に基づいて、顕微鏡の焦点を内包異物に合わせる(例えば、散乱光に最も合焦した状態となるまで焦点合わせを行う)。次に、レーザを消して、明視野バックライトを点灯させる。明視野バックライトは、レーザがガラスにレーザシートを投影していた側と同一の側からガラスに光を投影する。その後は、上述の説明と同様に顕微鏡で内包異物を検出する。
【0050】
ガラス板(個別シート又は連続シート)をリニアコンベア上で(例えば、x軸に沿って)搬送する例などのいくつかの例では、本実施形態の応用により、ガラス板の完全検査(例えば、100%)を実現することができる。例えば、複数のカメラと複数のレーザをy軸に沿ってガラスの全幅をカバーするように並べて配置することにより、移動ステージが搬送するガラスの全体をx軸に沿って検査することができる。
【0051】
いくつかの例では、ガラス内包異物検出装置が、第2のカメラを備えることもできる。第2のカメラは、レーザによってレーザシートが投光されるガラス表面と同一の表面に向けることができる。第2のカメラは、第1のカメラのガラスに対する角度と同じ角度(例えば、β)をつけて、ガラスの反対側からガラスに向けることができる。第1のカメラと第2のカメラは、(ガラスの反対側からではあるが)同一のガラス領域を撮像するように較正することができる。そして、第1のカメラに関する上述の説明と同様に、第2のカメラが撮影した画像から内包異物を特定することができる。その後、それらの結果を比較することができる。例えば、2台のカメラで撮影した画像でともに特定された内包異物を内包異物として同定し、一方のカメラで撮影した画像のみで特定された内包異物を破棄(例えば、無視)することができる。
【0052】
いくつかの例では、残留物レベルの異なる溶媒(例えば、高純度IPA、低純度IPA、ガラスクリーナー、又は表面スプレーなど)を使用して、表面散乱振幅の補正(例えば、増減)及び/又は表面散乱均一性の向上を図ることができる。内包異物検出の前に適切な表面処理剤を選択、塗布することによって、幅広い範囲の表面の質感に本技術を適用することが可能となる。
【0053】
いくつかの例では、ガラスの内包異物の向きとガラス板の向きとが同一平面上にある場合がある。例えば、5μm程度の小ささの金属結晶などの2次元に鏡面反射する内包異物が、このような向きでガラスに含まれている場合がある。このような種類の内包異物の検出を向上させるために、いくつかの方法が提案されている。
【0054】
拡散同軸反射明視野(BF)
1つの例では、上述のガラス内包異物検出装置に、レンズと、青色拡散発光ダイオード(LED)を組み込んだ同軸ライトと、を備える光学系を追加する。レンズは、可変絞り(例えば、被写界深度:0.5~1.5mm)の1倍テレセントリックレンズとすることができる。明視野には青色拡散LED(例えば、波長1の拡散同軸発光ダイオード)を使用し、暗視野には赤色レーザ(例えば、波長2のラインレーザ)を使用する。暗視野カメラが青色光カットフィルタを有しているため、暗視野測定がLEDによる干渉を受けることがなく、暗視野走査と明視野走査を同時に行うことができる。拡散型青色LEDによって、質感のあるガラス表面(例えば、グレイフィールド(greyfield)など)から非常に均一な反射信号が得られる。そのため、金属結晶などの局所的な反射性の特徴からの反射信号が、表面からの反射信号に比べて非常に強くなり、コントラストと視認性に優れている。
【0055】
ガラスに対して多段走査(例えば、暗視野用と同一の走査)を行いながら、明視野撮像を行うと同時に暗視野レーザラインを使用することで、反射事象が表面ノイズであるか内包異物であるかを識別することができる。明視野画像は、レーザ線の間に現れる反射事象(内包異物候補、すなわち内包異物の可能性があるもの)を識別、追跡するために使用される。信号の追跡(例えば、記録)は、信号がガラスの上面及び下面とレーザシートとの両交差部に接近し、通過する間行われる。信号が、金属製の内包異物(以下「内包金属異物」)から反射したものであれば、反射信号がこれらの交差部上にくるときに大きく変化する(例えば、明るさが格段に大きくなったり小さくなったりする)ことはない。また、この場合の反射信号が持つ傾向として、その明るさが、隣接するレーザ線表面信号と比べて格段に大きくなることもない。一方、信号が表面粒子から反射したものであれば、その粒子がガラスのどの面にあるかによって、上面レーザ交差点と下面レーザ交差点のいずれかでの反射信号が特に強くなる。
【0056】
被写界深度を延長した拡散同軸反射明視野(BF)
いくつかの例では、シャインプルーフ(Scheimpflug)の原理を光学系に適用する。この方法により、系の被写界深度が延長され、ガラス内における金属結晶の深さ位置に関係なく、これらの金属結晶に焦点を合わせて撮像することが可能となる。例えば、系の像面は走査方向に傾斜しており、上面レーザ線が像面の一端に位置し、下面レーザ線が像面の他端に位置している。一例として、ガラスの厚さが1mmでレーザの角度が45度の場合、深度1mmの像面は、上面レーザ線と下面レーザ線との間の幅約0.53mmだけ傾斜する。この場合の像面の傾きは約62度となる。ガラスの走査時には、どんな金属欠陥もこの傾斜した像面を介して走査される。そして、欠陥が像面と交差するときに、欠陥に対して顕微鏡の焦点が鮮明に合う。この装置及び方法によって、被写界深度を深くすることができ、それによってより厚いガラスの走査が可能になるなど、いくつかの利点が得られる可能性がある。また、より鮮明に焦点を欠陥に合わせることができるため、画質やコントラストを向上させることができる。さらに、ガラスの上面と下面の間で像面が傾斜しているため、欠陥に最も焦点が合う位置が顕微鏡の視野のどこにあるかを識別できることから、内包異物の深さ位置を推定することができる。
【0057】
色収差共焦点式撮像装置
この例では、色収差共焦点式撮像システムが、表面質感のあるガラス中の反射性内包異物を深い被写界深度(例えば、3mm)で撮像する。本システムは、欠陥の深さ位置に関わらず、焦点の合った鮮明な欠陥の画像を撮影するものである。いくつかの例では、上述のガラス内包異物検出装置に、色収差共焦点撮像が追加される。これにより、ガラスを走査して、すべての種類の内包異物を同時に探査することができる(例えば、色収差共焦点撮像によって鏡面反射性内包異物を識別し、ガラス内包異物検出装置によって他の内包異物を検出することができる)。
【0058】
表面深度測定システムを備える色収差共焦点センサ
この例では、色収差共焦点センサによって反射事象を検出し、各事象の深さ位置の測定を行う。この例では、欠陥の深さ位置が直接測定される。いくつかの例では、上述のガラス内包異物検出装置に、表面深度測定システムを備える色収差共焦点センサが追加される。これにより、ガラスを走査して、すべての種類の内包異物を同時に探査することができる(例えば、表面深度測定システムを備えた色収差共焦点センサによって鏡面反射性内包異物を識別し、ガラス内包異物検出装置によって他の内包異物を検出することができる)。
【0059】
図1を参照すると、ガラス内包異物検出装置100は、レーザ102と、カメラ104と、ガラス板106を支持する移動ステージ108と、を備える。レーザ102は、ガラス板106の第1の面の一部にレーザシートを投光するように動作可能である。レーザシートの波長は、例えば、紫色と赤外の間の範囲内とすることができる。レーザシートは、例えば、ガラス板106の幅に亘って広がることができる。レーザ102は、ガラス板の第1の面の法線に対してある角度(例えば、α)をつけてレーザシートを投光することができる。この角度は調整可能である。
【0060】
カメラ104は、ガラス板106の第2の面からの画像を撮影するように動作可能である。カメラ104は、例えば、暗視野カメラとすることができる。カメラ104は、カメラ104の光軸とガラス板106の法線方向との間にある角度(例えば、β)をつけて画像を撮影するように構成することができる。いくつかの例では、レーザ102は、カメラ104がガラス板106の第2の面から画像を撮影する角度よりも大きい角度で、ガラス板106の第1の面からレーザシートを投光する(例えば、角度αは角度βより大きい)。
【0061】
移動ステージ108は、ガラス板106をx方向(例えば、図中の白抜き矢印で示す方向)に側方移動させて、レーザシートとカメラの視野とを通過させるように動作可能である。いくつかの例では、移動ステージ108は、ガラス板106をy方向にも移動させるように動作可能である。例えば、移動ステージ108は、ガラス板106をx方向に側方移動させることができる。そして、ガラス板106の端部に到達すると、移動ステージ108はガラス板106をy方向に移動させ、その後、ガラス板106のx方向への搬送をもう一度始めから繰り返すことができる。このようにして、レーザ102は、ガラス板106の全域をカバーすることができる。
【0062】
いくつかの例では、移動ステージ108は、x方向に所定距離だけガラス板を搬送する。その後、カメラ104が画像を撮影し、移動ステージ108が再びガラス板をx方向に所定距離だけ搬送する。例えば、移動ステージ108は、移動ステージ108がガラス板106を所定距離だけ搬送した後に毎回、カメラ104に電気信号(例えば、パルス)を送るエンコーダを備えることができる。カメラ104は、移動ステージ108のエンコーダから電気信号を受信すると、予め設定された露光時間で画像を撮影する。いくつかの例では、この所定距離は、レーザラインの太さ(例えば、レーザシートの幅)よりも短い。
【0063】
図2は、ガラス内包異物検出装置100を示すブロック図である。図示の通り、レーザ102は、ガラス106の法線方向に対して角度α204をつけてレーザシート202を投光する。同様に、カメラ104は、ガラス板106の法線方向に対して角度βをなす光軸を有している。レーザ102とカメラ104とは、ガラス板106の反対側にある。移動ステージ(
図2では省略)がガラス板106を搬送すると、どこかのタイミングで内包異物220がレーザシート202と交差する。さらに、内包異物220はレーザシート202を横切って移動するときに、カメラ104の視野内を「下に」進む。
【0064】
内包異物220がレーザシート202と交差すると、レーザシート202が散乱する。カメラ104は、このようなレーザシート202の散乱を示す画像を撮影することができる。また、レーザシート202は、上面欠陥210と交差するとき(上面散乱)や、下面欠陥212と交差するとき(下面散乱)にも散乱を起こす場合がある。カメラ104は、この上面散乱と下面散乱を示す画像も撮影することができる。また、
図2には、より強度の低いレーザシート反射214も図示しており、これはガラス板106の上面層や下面層より内側の部分でのレーザシート202の反射を示している。
【0065】
図3は、レーザシート202が内包異物と交差したときの散乱量を、レーザシート202が内包異物と交差していない場合と比べて相対的に示す図である。例えば、横列302に示す通り、ガラス板106の上面上に異物310がある場合、異物310がレーザシート202の経路上にあるときの上面散乱は、異物310がレーザシート202の経路外にあるときに比べて強い(例えば、大きい)。例えば、ガラス板106の上面上にある粒子が最も明るくなるのは、粒子がレーザシート202とガラス板106の上面との交差部に来る位置までガラス板106が移動したときである。同様に、横列304に示す通り、ガラス板106に内包異物312が埋め込まれている場合、内包異物312がレーザシート202の経路上にあるときの散乱は、内包異物312がレーザシート202の前後に見えるときに比べて強い。横列306に示す通り、ガラス板106の下面上に異物314がある場合、異物314がレーザシート202の経路上にあるときの下面散乱は、異物314がレーザシート202の経路外にあるときに比べて強い。
【0066】
図4では、縦列410に上面散乱の画像、縦列412に対象領域(ROI)内の散乱の画像、縦列414に下面散乱の画像を示している。縦列410の複数の画像は、ガラス板106の上面に粒子又は凹みがある場合にカメラ104が撮影する画像を表している。これらのうち、横列402の画像では、明るいエリアが確認できるが、これは上面粒子による上面散乱があったことを示している。横列404の画像では、散乱は、仮にあったとしてもほとんど認められない。同様に、横列406の画像でも下面散乱はほとんど認められない。この場合、横列404の画像に示される対象領域内の散乱の強度が、横列402の上面散乱よりも大きくはないため、上述の静的モデルを実行している処理装置は、これは内包異物ではないと判定することになる。
【0067】
縦列412の複数の画像は、ガラスの内包異物が対象領域内にある場合にカメラ104が撮影する画像を表している。これらのうち、横列402の画像では上面散乱が、横列406の画像では下面散乱が、それぞれ仮にあったとしてもほとんど認められない。しかし、横列404には、対象領域内に非常に明るいエリアが示されている。この場合、横列404の画像に示される対象領域内の散乱の強度が、横列402の画像に示される上面散乱や横列406の画像に示される下面散乱よりも大きいため、上述の静的モデルを実行している処理装置は、これは内包異物であると判定することになる。
【0068】
縦列414の複数の画像は、ガラス板106の下面に粒子又は凹みがある場合にカメラ104が撮影する画像を表している。これらのうち、横列402の画像で、やや明るいエリアが確認でき、若干の上面散乱があったことを示している。横列404の画像では、散乱は、仮にあったとしてもほとんど認められない。しかし、横列406の画像には、強い下面散乱が認められる。この場合、横列404の画像に示される対象領域内の散乱の強度が、横列406の画像に示す下面散乱よりも大きくはないため、上述の静的モデルを実行している処理装置は、これは内包異物ではないと判定することになる。
【0069】
図5は、グラフ500及びグラフ550を示す図である。グラフ500、550は、いずれも、縦軸に強度を示し、横軸に上下方向の位置(各画像の最上段から測定)を示す。グラフ500は、内包異物がある場合の強度をグラフ化しており、グラフ550は、表面欠陥(例えば、表面ノイズ)がある場合の強度をグラフ化している。例えば、グラフ500では、ピーク強度510の位置が、上面散乱と下面散乱の間の或る点上にあることが示されている。一方、グラフ550は、ピーク強度512が、上面散乱の位置にあることが示されている。グラフ500、550の強度は、動的モデルに関連して上述した光強度追跡配列で表すことができる。
【0070】
図6は、液体(例えば、水)612で満たした液槽容器610を備えるガラス内包異物検出装置600を示す図である。ガラス板106は、液体612に浸漬される。例えば、表面質感が粗いガラスの場合に、液体612の屈折率が、ガラス表面の屈折率にある程度合うようにすれば、表面ノイズをさらに低減することができる。ガラス板106は、移動ステージ108(
図6では省略)により、液槽容器610内を移動する。液槽容器610は、レーザシート202による照明用とカメラ104の視野用に、2つの透明な窓602、604を有している。液体に浸漬することにより、表面散乱が抑制されるだけでなく、ガラス表面での光線の屈曲も小さくなるため、ガラス表面の散乱との違いをさらに明確にして、より広い検査対象領域を得ることができる。この例では、角度β206は、角度α204以下である。
【0071】
図7A、
図7B及び
図7Cは、顕微鏡再検討装置とそのプロセスの一例を示す図である。
図7Aでは、事前に内包異物が発見されていた場所までガラス板106を搬送して、内包異物によるレーザシート202の散乱がカメラ702の視野内に収まるようにしている。
図7Bでは、顕微鏡704が内包異物の直下にあり、合焦している(例えば、視野に収めている)。顕微鏡704は、カメラ104より高い倍率を有することができるとともに、カメラ104のガラス板106に対する角度とは異なる角度でガラス板106に対して位置決めすることができる。顕微鏡704は、内包異物によって生じるレーザシート202の散乱に基づいて、内包異物の位置を特定することができる。次に、
図7Cに示すように、レーザ暗視野顕微鏡検査を行う。このとき、レーザ102を消して、明視野バックライト706を点灯させる。明視野バックライトは、ガラス板に対して、レーザ102が投光されていた側と同一の側にある。明視野バックライトが点灯しているため、顕微鏡704で容易に内包異物の位置を特定することができる。内包異物の位置は、標識をつけるか、又は記録することができる。
【0072】
図8の画像802は、レーザ暗視野を使用しなかった場合の再検討の様子を示している。この画像の内包異物は、画像804に示す、レーザ暗視野を使用した場合に比べて、検出が困難である。同様に、画像806の小さな内包異物も、レーザ暗視野がないと検出が困難である。一方、レーザ暗視野を用いた画像808では、同じ内包異物を容易に検出できる。複数の画像810に示すように、レーザ暗視野を用いることにより、顕微鏡704は内包異物に容易に焦点を合わせることができる。
【0073】
図9は、レーザ102と、暗視野カメラ902と、再検討カメラ904と、を含むガラス内包異物検出システム900を示す図である。再検討カメラ904は、暗視野カメラ902で位置を特定した内包異物を検証するための、より高解像度の顕微鏡撮像カメラとすることができる。図示するように、ガラス板106は、水平軸に沿って(
図9では図示を省略する移動ステージによって)搬送される。内包異物910は、レーザシート202を横切って移動するときに、暗視野カメラ902の視野内を「下に」進む。内包異物910がレーザシート202と交差するときに、暗視野カメラ902は、(例えば、最も強い)明るい点(例えば、光強度がより高い画像エリア)を有する画像を撮影する。例えば、光強度プロファイル912には、内包異物910がレーザシート202と交差するときに、ピーク強度914が画像に捉えられることが示されている。
【0074】
例えば、
図10Aの画像1002に示すように、暗視野カメラ902で撮影した画像に、丸で囲んだ明るいエリアで示すような内包異物910が現れる場合がある。
【0075】
暗視野カメラ902は、上面欠陥920が引き起こす上面散乱による明るいエリアと、下面欠陥922が引き起こす下面散乱による明るいエリアとを有する画像も撮影することができる。
【0076】
例えば、
図10Bの画像1004に示すように、暗視野カメラ902で撮影した画像に、画像1004の上端付近に位置する丸で囲んだ明るいエリアで示すような上面欠陥が現れる場合がある。また、ガラス板106の複数の上面欠陥によって生じた、明るいエリアの「上端線」(上面散乱線)も確認できる。同様に、暗視野カメラ902で撮影した画像に、画像1004の下端付近に位置する丸で囲んだ明るいエリアで示すような下面欠陥が現れる場合がある。また、ガラス板106の複数の下面欠陥によって生じた、明るいエリアの「下端線」(下面散乱線)も確認できる。
【0077】
図10Aを再び参照すると、内包異物910による丸で囲んだ明るいエリアは、上面散乱線と下面散乱線との間の対象領域(ROI)にあることが確認できる。したがって、内包異物を表面事象から区別することができる。
【0078】
図11は、暗視野カメラ902と、レーザ102と、移動ステージ108と、ガラス板106と、を含むガラス内包異物検出装置1100を示す図である。移動ステージ108は、ガラス板106を搬送して、レーザ102が投影するレーザシートを通過、交差させるとともに、カメラ902の視野を通過させることができる。例えば、レーザ102を点灯してガラス板106の上面にレーザシートを投影した状態で、移動ステージ108が、ガラス板106を水平方向(例えば、X方向)に所定距離(例えば、26μm)だけ移動させることができる。この所定距離は、レーザシートの幅(例えば、レーザシートのX方向の幅)よりも短い(又は、等しい)長さとすることができる。このようにすると、内包異物が走査軸のどの位置にあるかに関係なく、内包異物は必ずレーザラインの一部と交差して散乱信号を発生させるため、ガラスの体積全体を確実に走査することができる。暗視野カメラ902は、その後に、ガラス板106の下面からガラス板106の画像を撮影するように構成することができる。その後、移動ステージ108は、ガラス板106を再び所定距離だけ搬送し、暗視野カメラ902は、再び画像を撮影することができる。そして、この工程を、ガラス板106の全長に対応する画像を撮影するまで続けることができる。
【0079】
いくつかの例では、移動ステージ108は、ガラス板106を横方向(例えば、Y方向)に搬送して、上述の工程を繰り返して画像を撮影することもできる。例えば、ガラス板106は、レーザシートの長さ(例えば、Y方向のレーザシートの長さ)より短い(又は、等しい)距離だけ横に移動することができる。このようにして、ガラス板106の全域(例えば、ガラス板106の長さと幅によって画定される全域)の画像を撮影することができる。
【0080】
図12Aは、種々の複数のコマで構成される画像1202を示す図である。画像1202には、内包異物によって生じた明るいエリアが示されており、これは、暗視野カメラ902が撮影した画像を処理する画像処理装置などの処理装置が検出したものである。内包異物によって生じた明るいエリアを、四角で囲って強調している。画像1202には、上端散乱線1204や下端散乱線1206などの、他の明るいエリアも示されている。なお、この例では、処理装置が上述の動的モデルを用いて内包異物の同定を行った。
【0081】
同様に、
図12Bも、種々の複数のコマで構成される画像1250を示す図である。この例では、処理装置が内包異物を検出しており、その内包異物によって生じている明るいエリアを画像中央の丸で囲んで示している。この例では、処理装置は、上述の静的モデルを実行した。画像1250はまた、(ガラス板106が移動ステージ108によって搬送されて)当該内包異物が暗視野カメラ902の視野に入るときに当該内包異物を撮影した明るい部分も示しており、これは、画像上端の丸で示している。画像1250は、さらに、当該内包異物が暗視野カメラ902の視野から出るときに当該内包異物を撮影した明るい部分も示しており、これは、画像下端の丸で示している。図示の通り、画像1250中央の丸で囲んだエリアは、画像1250の上端及び下端の丸で囲んだエリアよりも明るい。これは、検出された内包異物が、暗視野カメラ902の視野に入ってからしばらくしないとレーザシートと交差せず、暗視野カメラ902の視野から出る前にレーザシートが当たるエリアから出るためである。
【0082】
図13は、赤色ラインレーザ1302と、暗視野カメラ902と、明視野カメラ1304と、を含むガラス内包異物検出装置1300を示す図である。赤色ラインレーザ1302は、ガラス板106と交差する赤色レーザシート1320を生成することができる。暗視野カメラ902は、赤色光を通過させる赤色通過フィルタレンズ904を備えている。これにより、暗視野カメラ902は、赤色レーザシート1320と交差するガラス板106の内包異物によって生じる散乱事象を撮影することができる。
【0083】
明視野カメラ1304は、明視野照明を用いて画像を撮影することができる。例えば、明視野カメラ1304は、明視野撮像システムで使用されるカメラとすることができる。明視野撮像システムは、カメラに対する照明光源の直接照射によって(例えば、透過型明視野)、又は、物体からカメラへの照明光源の鏡面反射によって(例えば、反射型明視野)、照明光源を直接捉える。透過型明視野の場合、照明光源からの光を物体に透過させ、物体を透過した光をカメラで直接撮像する。反射型明視野の場合、照明光源で物体を照らし、物体からの鏡面反射光をカメラで直接撮影する。以下でさらに詳述するように、反射性の内包金属異物は、(例えば、レーザシート202によって)散乱信号をほとんど発生させないか、弱い散乱信号しか発生させないが、明視野カメラ1304を使用すれば、反射性の内包金属異物をより確実に撮影することができる。明視野カメラ1304は、ガラス板106の暗視野カメラ902がある側とは反対側に配置される。例えば、明視野カメラ1304は、赤色ラインレーザ1302と同一の側に置かれる。この例では、反射型明視野が採用されている。他の例では、ガラス内包異物検出装置1300が、透過型明視野を採用することもできる。
【0084】
また、ガラス内包異物検出装置1300は、拡散型青色LED1308を有するビームスプリッタ1306も備えることができる。拡散型青色LED1308は、明視野カメラ1304の光源として機能する。ビームスプリッタ1306は、拡散型青色LED1308からの光をガラス板106に導く。具体的には、拡散型青色LED1308からの青色光は、ビームスプリッタ1306を介して、ガラス板106の上面に(例えば、ガラス板106の上面に対して直角に)向けられる。青色光はガラス板106で反射し、明視野カメラ1304はそのような青色光の反射を捉えることができる。拡散型青色LED1308によって、ガラス板106の質感のあるガラス表面から均一な反射信号が得られる。よって、金属結晶などの局所的な反射性の特徴からの反射信号が、ガラス板106の上面からの反射信号に比べて非常に強くなる。暗視野カメラ902は赤色通過フィルタレンズ904を備えているため、拡散型青色LED1308からの青色光は遮断され、暗視野カメラ902には映らない。これにより、明視野カメラ1304と暗視野カメラ902で同時に走査することが可能となる。
【0085】
いくつかの例では、暗視野カメラ902と明視野カメラ1304を同時に使用して、反射事象が表面欠陥であるか内包異物であるかを識別する。例えば、明視野カメラ1304が撮影した画像を使って、赤色レーザシート1320のレーザ線間に現れる反射事象を識別、追跡することができる。明視野カメラ1304が捉えた反射信号(例えば、拡散型青色LED1308からの反射信号)の追跡は、反射信号が赤色レーザシート1320とガラス板106の上面及び下面との両交差部に接近し、通過する間行われる。反射信号が、内包金属異物から反射したものであれば、これらの交差部上にくるときに反射信号が大きく変化することはない。例えば、この場合の反射信号は、その明るさが、隣接するレーザ線から反射される反射信号と比べて格段に大きくなることはない。一方、反射信号が、表面粒子(例えば、ガラス板106の上面又は下面の欠陥)から反射したものであれば、その粒子がガラス板106のどの面にあるかによって、上面レーザ交差点と下面レーザ交差点のいずれかでの反射信号が特に強くなる。例えば、粒子がガラス板106の上面にある場合、反射信号は上面レーザ交差点で特に強くなり、粒子がガラス板106の下面にある場合、反射信号は下面レーザ交差点で特に強くなる。
【0086】
図14Aは、明視野カメラ1304が撮影した種々の複数のコマで構成される画像1402を示す図である。画像1402では、内包金属異物が拡散型青色LED1308からの光を反射することによって生じた明るいエリアを、四角で囲って示している。図示の通り、反射信号は、内包金属異物から反射されたものであるため、上面散乱線1404と下面散乱線1406との間で反射信号に大きな変化は生じていない。なお、この例では、処理装置が上述の動的モデルを実行することによって内包金属異物を検出した。
【0087】
図14Bもやはり、明視野カメラ1304が撮影した種々の複数のコマで構成される画像1450を示す図である。この例では、処理装置が内包異物を検出しており、その内包異物によって生じている明るいエリアを画像中央の丸で囲んで示している。画像1450はまた、(ガラス板106が移動ステージ108によって搬送されて)当該内包異物が暗視野カメラ902の視野に入るときに当該内包異物を撮影した明るい部分も示しており、これは、画像上端の丸で示している。画像1450はまた、当該内包異物が暗視野カメラ902の視野から出るときに当該内包異物を撮影した明るい部分も示しており、これは、画像下端の丸で示している。なお、この例では、処理装置が上述の静的モデルを実行することによって内包金属異物を検出した。
【0088】
図15は、カメラシステムへのシャインプルーフの原理の応用を示す図である。物体1506の画像1502は、レンズ1504を介して撮影される。画像1502は像面1512に沿って現れ、物体1506は物面1518に沿って配置される。レンズ1504は、レンズ面1510に沿って配置され、レンズ軸1514を有している。像面1512と、レンズ面1510と、物面1518とは、シャインプルーフ交差部1508で交わっている。図示の通り、像面1512とレンズ面1510は互いに平行ではない。また、物面1518は、レンズ軸1514に対して垂直ではない。これにより、物体1506の被写界深度の延長部1520が得られる。
【0089】
図16は、ガラス内包異物検出装置1300と同様であるが、シャインプルーフの原理を利用している点で異なるガラス内包異物検出装置1600を示す図である。これにより、ガラス内包異物検出装置1600は、ガラス内包異物検出装置1300と比較して、明視野カメラ1304で画像を撮影する際の被写界深度を深くすることができる。この例では、明視野カメラ1304の像面は、赤色レーザシート1320の方向に角度がつけられて(例えば、傾斜して)おり、(赤色ラインレーザ1302が投光する)赤色レーザシート1320の上面レーザ線が像面の一端に位置し、赤色レーザシート1320の下面レーザ線が像面の他端に位置している。明視野カメラ1304でガラス板106を走査すると、拡散型青色LED1308からの光を金属欠陥が反射し、この傾斜した像面を介して明視野カメラ1304で受光される。そして、金属欠陥が明視野カメラ1304の像面と交差するときに、金属欠陥に対して焦点が鮮明に合う。
【0090】
図17は、本明細書に記載のガラス内包異物検出装置のいずれかと組み合わせて、ガラスを走査して複数の内包異物を同時に探査することができる色収差共焦点式撮像システム1700を示す図である。色収差共焦点式撮像システム1700は、深い被写界深度1710で物体1708の画像を撮影することができる電荷結合素子(CCD)及び/又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器1702を備えている。光源(図示せず)はスリット1704を介して光を供給し、ビームスプリッタ1706はその光を物体1708に導く。光は物体1708から反射してビームスプリッタ1706に戻り、CCD/CMOS検出器1702に供給される。CCD/CMOS検出器1702が撮影した画像は、例えば、メモリに格納することができ、処理装置で処理することができる。
【0091】
いくつかの例では、色収差共焦点式撮像システム1700をガラス内包異物検出装置100と併用して、内包異物の疑いがあるものを検証することができる。例えば、ガラス内包異物検出装置100が、内包異物の疑いがあるものが存在するガラス板106のエリアを特定し、色収差共焦点式撮像システム1700で、それらのエリアに戻って、発見されたものが実際に内包異物であるかどうかを検証することができる。
【0092】
図18は、深度測定を備える色収差共焦点式撮像システム1800を示す図である。この例では、光源1802がガラス板106に光を供給する。図示するように、光の供給は強度を変化させて行われ、これにより、ガラス板106の様々な深さまで光が届けられる。ガラス板106から反射した光は、分光カメラ1804で捉えられる。捉えた光の波長から、内包異物の深さ位置を特定することができる。例えば、グラフ1810は、ガラス板106の上面からの光、ガラス板106の対象領域(ROI)にある内包異物からの光、ガラス板106の下面からの光のそれぞれについて、捉えられる光の強度を示している。
【0093】
いくつかの例では、色収差共焦点式撮像システム1800をガラス内包異物検出装置100と併用して、内包異物の疑いがあるものを検証することができる。例えば、ガラス内包異物検出装置100が、内包異物の疑いがあるものが存在するガラス板106のエリアを特定し、色収差共焦点式撮像システム1800で、それらのエリアに戻って、発見されたものが実際に内包異物であるかどうかを検証することができる。
【0094】
図19は、ガラス内包異物検出装置100などの、本明細書に記載のガラス内包異物検出装置によって実施することができる例示的な方法1900を示す。最初のステップ1902において、レーザシートをガラス板の第1の面に第1の角度で投影する。ステップ1904で、ガラス板の第2の面に向けたカメラで、第2の角度で画像を撮影する。ガラス板の第2の面は、ガラス板の第1の面とは反対側にある。いくつかの例では、第1の角度は第2の角度より大きいか等しい。ステップ1906で、撮影した画像をメモリに格納する。
【0095】
ステップ1908に進み、ガラス板をレーザシート及びカメラの視野を通過させて所定距離だけ移動させる。例えば、移動ステージ108が、ガラス板106をレーザシート202の幅よりも短い(又は、等しい)距離だけ搬送することができる。ステップ1910では、ガラス板全長の走査が完了したかどうかの判定が行われる。ガラス板全長の走査が完了していない場合、ステップ1904に戻り、ガラス板の画像をさらに撮影する。一方、ガラス板全長の走査が完了した場合、本方法は終了する。
【0096】
図20-1、
図20-2は、本明細書に記載の処理装置などの1つ以上のコンピューティング装置によって実施することができる例示的な方法2000を示す図である。最初のステップ2002において、ガラス板の一面に向けたカメラで撮影した第1の画像を取得する。例えば、処理装置は、データベースから第1の画像を取得することができる。ステップ2004では、当該画像の上端散乱エリアと下端散乱エリアとの間の第1の座標位置において明るい点が検出される。ステップ2006では、第1の座標位置から上端散乱エリアまでの上方距離を求める。ステップ2008では、この上方距離に基づいて第2の画像を特定する。この第2の画像は、当該明るい点が第2の座標位置で上端散乱エリアに重なると予想される画像である。
【0097】
ステップ2010に進み、第1の座標位置から下端散乱エリアまでの下方距離を求める。ステップ2012では、この下方距離に基づいて第3の画像を特定する。この第3の画像は、当該明るい点が第3の座標位置で下端散乱エリアに重なると予想される画像である。
【0098】
ステップ2014で、第1の画像における第1の座標位置における第1の光強度を求める。ステップ2016で、第2の画像における第2の座標位置における第2の光強度を求める。ステップ2018で、第3の画像における第3の座標位置における第3の光強度を求める。
【0099】
ステップ2020に進み、第1の光強度が、第2の光強度及び第3の光強度よりも大きいか否かの判定が行われる。第1の光強度が、第2の光強度及び第3の光強度以下である場合、ステップ2022に進み、内包異物は同定されない。例えば、第1の画像の第1の座標では、内包異物の疑いがない。一方、第1の光強度が、第2の光強度及び第3の光強度よりも大きい場合、ステップ2024に進み、内包異物が同定される。例えば、第1の画像の第1の座標に内包異物の疑いがある。そして、本方法を終了する。
【0100】
以上、本方法を、図示のフローチャートを参照して説明したが、本方法に関連する行為を実施する手段として、他にも多くの手段を用いることが可能であることが理解されよう。例えば、一部の工程の順序を変更することもできるほか、上記の工程の一部を任意選択的とすることもできる。
【0101】
さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの少なくとも一部は、コンピュータで実装される処理及びそれらの処理を実行する装置の形態で実現することができる。本開示の方法の少なくとも一部は、コンピュータプログラムコードを書き込んだ有形の非一時的な機械可読記憶媒体の形態で実現することができる。例えば、本方法の各ステップを、ハードウェア、プロセッサによって実行される実行可能な命令(例えば、ソフトウェア)、又はその2つの組み合わせで実現することができる。記憶媒体としては、例えば、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、などの非一時的な機械可読記憶媒体を挙げることができる。このコンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされて実行されると、当該コンピュータは本方法を実施するための装置となる。また、本方法の少なくとも一部は、コンピュータプログラムコードがロード又は実行されるコンピュータの形態で実現することができるが、その場合、当該コンピュータは本方法を実施するための専用コンピュータとなる。汎用プロセッサに実装された場合、コンピュータプログラムのコードセグメントによって、特定の論理回路が形成されるように当該プロセッサが設定される。これに代えて、本方法の少なくとも一部は、本方法を実施するための特定用途向け集積回路において実現することもできる。
【0102】
上述の説明は、本開示の実施形態を例示、説明、記述するためのものである。上述の各実施形態の変形や応用については、当業者であれば明らかであり、本開示の範囲又は精神から逸脱しない範囲において可能である。
【0103】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0104】
実施形態1
ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、
暗視野照明を使用して、前記ガラス板の第2の面から前記ガラス板の複数の第1の画像を撮影するように構成された第1のカメラと、
を備える装置。
【0105】
実施形態2
前記ガラス板を搬送して前記レーザシートを通過させるように構成された移動ステージをさらに備える、実施形態1に記載の装置。
【0106】
実施形態3
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップを行うように構成された少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、実施形態1に記載の装置。
【0107】
実施形態4
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記撮影された複数の第1の画像における前記相対的に光強度の高い複数のエリアに基づいて、前記ガラス板の内包異物を同定するように構成されている、実施形態3に記載の装置。
【0108】
実施形態5
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定するステップと、
前記第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定するステップと、
前記第1の画像において、光強度がより高い前記上端線と光強度がより高い前記下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定するステップと、
前記上端線の光強度と、前記下端線の光強度と、前記第1のエリアの光強度とに基づいて、前記第1のエリアにおける内包異物を判定するステップと、
を含む、実施形態3に記載の装置。
【0109】
実施形態6
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
前記第1のエリアから前記上端線までの第1の距離を求めるステップと、
前記第1の距離に基づいて、第2の画像における第2のエリアを特定するステップであって、該第2のエリアは、前記第2の画像において光強度がより高い前記上端線に前記第1のエリアが重なるエリアである、第2のエリアを特定するステップと、
前記第1の画像における前記第1のエリアの第1の光強度が、前記第2の画像における前記第2のエリアの第2の光強度より大きいかを判定するステップと、
をさらに含む、実施形態5に記載の装置。
【0110】
実施形態7
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
前記第1のエリアから前記下端線までの第2の距離を求めるステップと、
前記第2の距離に基づいて、第3の画像における第3のエリアを特定するステップであって、該第3のエリアは、前記第3の画像において光強度がより高い前記下端線に前記第1のエリアが重なるエリアである、第3のエリアを特定するステップと、
前記第1の画像における前記第1のエリアの第1の光強度が、前記第3の画像における前記第3のエリアの第3の光強度より大きいかを判定するステップと、
をさらに含む、実施形態5に記載の装置。
【0111】
実施形態8
前記撮影された複数の第1の画像において相対的に光強度の高い複数のエリアを特定するステップが、
前記第1のエリアから前記上端線までの第1の距離を求めるステップと、
前記撮影された複数の第1の画像のうちの第1の複数の画像の各々について、前記第1の距離に基づいて、各画像における前記第1のエリアの第1の予想位置を求めるステップと、
前記第1のエリアから前記下端線までの第2の距離を求めるステップと、
前記撮影された複数の第1の画像のうちの第2の複数の画像の各々について、前記第2の距離に基づいて、各画像における前記第1のエリアの第2の予想位置を求めるステップと、
前記各第1の予想位置及び前記各第2の予想位置における光強度を求めるステップと、
機械学習アルゴリズムを実行して、前記光強度を分類するステップと、
分類された前記光強度に基づいて、前記第1のエリアにおける前記内包異物を判定するステップと、
をさらに含む、実施形態5に記載の装置。
【0112】
実施形態9
前記ガラス板の前記第2の面から前記ガラス板を捉えるように構成された顕微鏡撮像カメラを備える、実施形態1に記載の装置。
【0113】
実施形態10
明視野照明を使用して、前記ガラス板の前記第1の面から前記ガラス板の複数の第2の画像を撮影するように構成された第2のカメラをさらに備える、実施形態1に記載の装置。
【0114】
実施形態11
前記装置が、前記ガラス板の前記第1の面に光を投光するように構成された拡散型青色発光ダイオードをさらに備え、
前記第1のカメラが青色光遮断フィルタを備える、実施形態10に記載の装置。
【0115】
実施形態12
前記レーザが赤色ラインレーザである、実施形態11に記載の装置。
【0116】
実施形態13
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラは、前記第1のカメラによる前記第1の画像の撮影と前記第2のカメラによる前記第2の画像の撮影とが同時に行われるように構成されている、実施形態11に記載の装置。
【0117】
実施形態14
前記装置が、前記ガラス板の前記第1の面から前記ガラス板の反射事象の第2の画像を撮影するように構成された色収差共焦点センサをさらに備える、実施形態1に記載の装置。
【0118】
実施形態15
ガラス板の第1の面にレーザシートを投影するように構成されたレーザと、
暗視野照明を使用して、前記ガラス板の第2の面から前記ガラス板の複数の画像を撮影するように構成されたカメラと、
前記ガラス板を搬送して前記レーザシートを通過させるように構成された移動ステージと、
前記ガラス板の前記第1の面に光を投影するように構成されたバックライトと、
前記ガラス板の第2の面を捉えるように構成された顕微鏡と、
を備えるシステム。
【0119】
実施形態16
前記移動ステージは、前記ガラス板を所定距離だけ搬送して前記レーザシートを通過させるように構成される、実施形態15に記載のシステム。
【0120】
実施形態17
前記所定距離が前記レーザシートの幅以下の長さである、実施形態16に記載のシステム。
【0121】
実施形態18
ガラス板の複数の画像を撮影するステップと、
前記撮影された複数の画像のうちの第1の画像において、光強度がより高い上端線を同定するステップと、
前記第1の画像において、光強度がより高い下端線を同定するステップと、
前記第1の画像において、光強度がより高い前記上端線と光強度がより高い前記下端線との間の、光強度がより高い第1のエリアを同定するステップと、
前記上端線の光強度と、前記下端線の光強度と、前記第1のエリアの光強度とに基づいて、前記第1のエリアにおける内包異物を判定するステップと、
を含む方法。
【0122】
実施形態19
前記第1のエリアから前記上端線までの第1の距離を求めるステップと、
前記第1の距離に基づいて、前記撮影された複数の画像のうちの第2の画像における第2のエリアを特定するステップであって、該第2のエリアは、前記第2の画像において光強度がより高い前記上端線に前記第1のエリアが重なるエリアである、第2のエリアを特定するステップと、
前記第1の画像における前記第1のエリアの第1の光強度が、前記第2の画像における前記第2のエリアの第2の光強度より大きいかを判定するステップと、
をさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0123】
実施形態20
前記第1のエリアから前記下端線までの第2の距離を求めるステップと、
前記第2の距離に基づいて、第3の画像における第3のエリアを特定するステップであって、該第3のエリアは、前記第3の画像において光強度がより高い前記下端線に前記第1のエリアが重なるエリアである、第3のエリアを特定するステップと、
前記第1の画像における前記第1のエリアの第1の光強度が、前記第3の画像における前記第3のエリアの第3の光強度より大きいかを判定するステップと、
をさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0124】
実施形態21
前記第1のエリアから前記上端線までの第1の距離を求めるステップと、
前記撮影された複数の画像のうちの第1の複数の画像の各々について、前記第1の距離に基づいて、各画像における前記第1のエリアの第1の予想位置を求めるステップと、
前記第1のエリアから前記下端線までの第2の距離を求めるステップと、
前記撮影された複数の画像のうちの第2の複数の画像の各々について、前記第2の距離に基づいて、各画像における前記第1のエリアの第2の予想位置を求めるステップと、
前記各第1の予想位置及び前記各第2の予想位置における光強度を求めるステップと、
機械学習アルゴリズムを実行して、前記光強度を分類するステップと、
分類された前記光強度に基づいて、前記第1のエリアにおける前記内包異物を判定するステップと、
をさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【符号の説明】
【0125】
100、600、1100、1300、1600 ガラス内包異物検出装置
102 レーザ
104、702 カメラ
106 ガラス板
108 移動ステージ
202 レーザシート
610 液槽容器
704 顕微鏡
706 明視野バックライト
900 ガラス内包異物検出システム
902 暗視野カメラ
1302 赤色ラインレーザ
1304 明視野カメラ
1306 ビームスプリッタ
1308 拡散型青色LED
1320 赤色レーザシート
1700、1800 色収差共焦点式撮像システム
1702 CCD/CMOS検出器
1704 スリット
1706 ビームスプリッタ
1802 光源
1804 分光カメラ
【国際調査報告】