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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20230213BHJP
   G01L 9/06 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
G01L1/20 G
G01L9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535916
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 GB2020000098
(87)【国際公開番号】W WO2021116641
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】201922244791.3
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519104503
【氏名又は名称】ペラテック ホールドコ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145883
【弁理士】
【氏名又は名称】新池 義明
(72)【発明者】
【氏名】フォン, シュー
(72)【発明者】
【氏名】クン, サン
(72)【発明者】
【氏名】ゼファン, リー
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD20
2F055EE18
2F055FF11
2F055GG12
2F055HH19
(57)【要約】
感圧装置は、変形可能な第1のダイヤフラム(104)と、変形不能な第2のダイヤフラム(105)を含んでいる。一方のダイヤフラムは、その表面に配置されている感圧材料(115)を含んでいる。他方のダイヤフラムは、その表面に配置されている検出電極(114)を含んでいる。第1のダイヤフラムは力伝達装置(103)の一部を形成しており、その中に力伝達流体を有する空洞(106)を含んでいる。力伝達装置は、外力を受け、該外力を第1のダイヤフラムに伝達し、該外力に応じて第1及び第2のダイヤフラムが互いに変形するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な第1のダイヤフラム;そして、
変形不能な第2のダイヤフラム;
を含んでおり、
前記第1又は第2のダイヤフラムの1つが、当該第1又は第2のダイヤフラムの1つの表面上に配置されている感圧材料を含んでおり;
前記第1又は第2のダイヤフラムの他の1つが、当該第1又は第2のダイヤフラムの他の1つの表面上に配置されている検出電極を含んでおり;
前記第1のダイヤフラムが力伝達流体を内部に有する空洞を含んでいる力伝達装置の一部を形成しており;
前記力伝達装置は、前記第1及び第2のダイヤフラムが外力に反応して互いに変形するように、外力を受け、該外力を前記第1のダイヤフラムに伝達するように構成されている
感圧装置。
【請求項2】
前記空洞は、ハウジングによって画定され、チャネルによって接続されている内部空洞と外部空洞を含んでいる請求項1記載の感圧装置。
【請求項3】
前記第2のダイヤフラムが前記内部空洞の下部壁に取り付けられている請求項2記載の感圧装置。
【請求項4】
前記下部壁が実質的に剛性である請求項3記載の感圧装置。
【請求項5】
前記第1のダイヤフラムが前記内部空洞の下部壁に取り付けられている請求項2記載の感圧装置。
【請求項6】
前記下部壁が実質的に可撓性である請求項6記載の感圧装置。
【請求項7】
前記1のダイヤフラムが前記内部空洞内に懸架されている請求項2記載の感圧装置。
【請求項8】
前記第1のダイヤフラムが前記空洞の側壁に密封されている請求項7記載の感圧装置。
【請求項9】
前記第2のダイヤフラムが前記内部空洞の上部壁に取り付けられ、前記上部壁が前記内部空洞の下部壁に向かって突出する弧状断面を有する請求項2又は請求項3記載の感圧装置。
【請求項10】
前記空洞の開口に設けられている弾性膜を更に備え、前記弾性膜が前記空洞の内壁に密封されている請求項1ないし9のいずれか1項記載の感圧装置。
【請求項11】
前記力伝達流体がシリコンオイル;グリセリン;非導電性液体のいずれかである請求項1ないし10のいずれか1項記載の感圧装置。
【請求項12】
前記検出電極が、交互に配置されているフィンガの配列を生成するように、間隔をおいて配置されている第1の複数の導電性フィンガと、交互に間隔をおいて配置されている第2の複数の導電性フィンガを含んでおり;そして
前記第1の複数の導電性フィンガが正極に接続され、前記第2の複数の導電性フィンガが負極に接続されている、
請求項1ないし11のいずれか1項記載の感圧装置。
【請求項13】
前記交互に配置されているフィンガの配列が検出領域を提供しており、前記検出領域が、実質的に円形;実質的に長方形;幾何学的形状のいずれかである請求項12記載の感圧装置。
【請求項14】
前記複数の導電性フィンガがそれぞれ炭素系材料を含む請求項12又は請求項13記載の感圧装置。
【請求項15】
前記チャネルが前記感圧装置の長手方向軸に垂直な中心軸を有する請求項2ないし14のいずれか1項記載の感圧装置。
【請求項16】
前記チャネルが前記感圧装置の中心軸に沿って配置されている請求項15記載の感圧装置。
【請求項17】
複数のチャネルを更に含んでおり、該チャネルがそれぞれ感圧装置の前記中心軸に沿って中心対称的に分布している請求項16記載の感圧装置。
【請求項18】
前記感圧材料が量子トンネル材料を含む請求項1ないし17のいずれか1項記載の感圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年12月13日に出願された中国実用新案番号ZL2019 2 244791.3に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、変形可能なダイヤフラムと変形不能なダイヤフラムを含む感圧装置に関する。
圧力センサやトランスデューサのような感圧装置は、当該技術分野では、加えられた圧力に応答して、圧力センサ又はトランスデューサから発生した電気信号によって圧力を適切な出力に変換することが知られている。
従来の薄膜圧力センサは、しばしば、感圧層を挟む2つの導電層からなり、導電層は、加えられた圧力又は力の適用下一緒に適切な出力に変換されて力の測定が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このタイプの従来の感圧装置は、しばしば、測定とそれに続く出力の一致と正確さに関して問題を有する。例えば、感圧装置の表面上の所定の点で加えられた所定の圧力は、圧力センサの表面上の異なる点で加えられた同じ圧力について異なる出力を生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[発明の簡単な説明]
本発明の第1の観点によれば、変形可能な第1のダイヤフラム;そして、変形不能な第2のダイヤフラム;を含んでおり、前記第1又は第2のダイヤフラムの1つが、当該第1又は第2のダイヤフラムの1つの表面上に配置されている感圧材料を含んでおり;前記第1又は第2のダイヤフラムの他の1つが、当該第1又は第2のダイヤフラムの他の1つの表面上に配置されている検出電極を含んでおり;前記第1のダイヤフラムが力伝達流体を内部に有する空洞を含んでいる力伝達装置の一部を形成しており;前記力伝達装置は、前記第1及び第2のダイヤフラムが外力に反応して互いに変形するように、外力を受け、該外力を前記第1のダイヤフラムに伝達するように構成されている、感圧装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明の感圧装置の第1の実施形態を示す図である。
図2図2は、圧力適用後の図1の感圧装置の概略図である。
図3図3は、本発明による感圧装置の検出電極の構成を示す模式図である。
図4図4は、本発明の感圧装置の第2の実施形態を示す断面図である。
図5図5は、圧力適用後の図4の感圧装置の概略図である。
図6図6は、代替の圧力適用後の図4の感圧装置の概略図である。
図7図7は、感圧装置の両側に圧力が適用されたときの図4の感圧装置の概略図である。
図8図8は、本発明の感圧装置の第3の実施形態の断面図である。
図9図9は、圧力適用後の図8の感圧装置を模式的に示す図である。
図10図10は、本発明の感圧装置の第4の実施形態の断面図である。
図11図11は、圧力適用後の図10の感圧装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施の形態について、図面を参照して例としてのみ説明する。詳細な実施形態は、発明者が知っている最良のモードを示し、特許請求された本発明をサポートする。ただし、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲を解釈又は制限するために使用するべきではない。これらの目的は、当該技術分野の当業者に教示を提供することである。「第1」や「第2」のなどの序数句で区別される要素及びプロセスは、必ずしも何らかの順序やランク付けを定義するわけではない。
【0007】
[発明の詳細な説明]
図1
図1は、本発明の第1の実施形態による感圧装置の断面形状を示す。感圧装置101は、薄膜圧力センサと考えることができる。しかしながら、特許請求の範囲に記載された発明と実質的に同様の方法で動作する他の感圧装置は、求められる保護の範囲内にあることが理解できる。
感圧装置101はハウジング102を含み、該ハウジングはハウジング102によって画定される力伝達装置103を含んでいる。感圧装置101は更に第1のダイヤフラム104と第2のダイヤフラム105を含んでいる。
【0008】
ハウジング102には空洞106が設けられ、空洞は内部空洞107、外部空洞108及びチャネル109を含んでいる。チャネル109は、内部空洞107と外部空洞108を接続し、感圧装置101の中心縦軸に沿って実質的に中心に位置する。チャネル109は感圧装置101の長手方向軸に垂直な中心軸を有する。
ハウジング102は剛性の絶縁材料を含む。一実施形態では、剛性の絶縁材料はプラスチック材料を含む。別の実施形態では、剛性の絶縁材料はガラスを含む。任意の他の適当な剛性の絶縁材料をこの能力で利用できることが理解される。
【0009】
実施形態では、ダイヤフラム104は変形可能であるが、ダイヤフラム105は変形不能である。実施形態では、変形可能なダイヤフラム104は内部空洞107に配置されている。実施形態では、ダイヤフラムは第1の端110と第2の端111の間に吊り下げられているので、各端110及び111で、ダイヤフラム104は内部空洞107の下部側壁112に気密に封止されている。変形可能であることにより、ダイヤフラム104は、外力を受けると形状の変化を受け得る。この実施例では、側壁への取り付け手段があることにより、ダイヤフラム104は感圧装置101の長手方向平面に対して垂直な方向に変形する。
【0010】
ダイヤフラム105は内部空洞107の下部壁113に取り付けられている。下部壁113は、ハウジング102の一部を形成しており、結果として、剛性の絶縁材料を含む。したがって、この実施形態では、下部壁113は実質的に剛性である。
実施形態では、ダイヤフラム104の下面には、検出電極114が設けられている。ダイヤフラム105には、その上面に対応する感圧材料115が塗布されている。
【0011】
実施形態では、感圧材料115は、本出願人である英国ブロンプトン・オン・スウェイルのペラテック・ホールドコ・リミテッドによって商標QTC(登録商標)の下で販売されている量子トンネル材料を含む。これは、力の適用が増加すると、抵抗の変化を示す材料である。他の実施形態では、検出電極114及び感圧材料115が逆に配置され得ることが理解できる。
感圧材料は、印加圧力に応じて抵抗変化を示すように構成されており、検出電極の導電性材料(図3で更に説明する)と組み合わせて、出力抵抗に基づいて適用される圧力の大きさを算出することができる。
【0012】
一般に、2つのダイヤフラム間の圧力が大きく、適用される力の接触面積が大きいほど、測定される抵抗値は小さくなり、逆の場合も同じである。
実施形態では、空洞106は内部に力伝達流体を含んでいる。力伝達流体は、シリコンオイル、グリセリン、又は任意の他の適切な液体のような任意の非導電性液体であり得る。
実施形態では、弾性膜116は、ハウジング102の空洞106の開口117に設けられている。弾性膜116は、その端118及び119で内壁120に密封されている。弾性膜116はシリコン膜などのような弾性で耐摩耗性の膜を含む。
【0013】
図2
図2は、圧力適用後の感圧装置101の概略図を示す。
実施形態では、弾性膜116の上面202に力201が加えられている。この力は、例えば、感圧装置がユーザによる圧力入力を必要とする電子機器中に組み込まれている一実施形態では、ユーザの指の力であってもよい。
実施形態では、力201は、力伝達流体によって吸収され、ダイヤフラム104に伝達される。次いで、ダイヤフラム104は、力201に反応して移動し、そして、ダイヤフラム104の変形がチャネル109の位置決めによりダイヤフラム104の中心の周りに生じる。
【0014】
このようにして、ダイヤフラム104は移動してダイヤフラム105に近接する。したがって、感圧材料115と検出電極114がダイヤフラム104とダイヤフラム105の間に配置されているので、2つのダイヤフラム間の距離の差が変化する。これが圧力の変化につながり、その結果、電気信号の変化に対応して抵抗及び接触面積を測定することができる。
この実施形態の感圧装置は、力伝達流体を介して外圧を吸収及び伝導し、弾性膜上の異なる位置に力を加えるユーザに関係なく、力伝達の等方性特性を有する流体を利用する。したがって、これにより、力伝達流体を介した均一な伝導が達成され、それによって測定の精度と一致が保証される。
【0015】
具体的には、力201が上面202に加えられると、力201は弾性膜116に作用し、力伝達流体が外部空洞108から内部空洞107に流れるようになる。ダイヤフラム201は、力伝達流体によって下方に押されて変形し、これにより、検出電極114がダイヤフラム105の感圧材料115と接触することができる。このプロセスの間、感圧材料から測定される抵抗値は徐々に変化し、それに応じて抵抗値の変化が測定され得る。
ダイヤフラム104は、外力の適用がないのにダイヤフラムが大きく変形することがないように、力伝達流体の重量を支持するのに十分な弾性強度を有することに留意されたい。
【0016】
図3
図3は、例示的な検出電極301の平面図を単独に示す。検出電極301は、図1の検出電極114と実質的に同様でよく、第1の複数の導電性フィンガ302及び第2の複数の導電性フィンガ303を含んでいる。実施形態では、第1の複数の導電性フィンガ302と第2の複数の導電性フィンガ303は、交互に間隔をおいて配置され、かみ合ったフィンガ304の配置を形成している。
実施形態では、第1の複数の導電性フィンガ302は電極306に接続されているが、一方、第2の複数の導電性フィンガ303は電極307に接続されている。実施形態では、電極306は正であり、電極307は負である。
【0017】
かみ合ったフィンガ304と電極306及び307の配置は、実施形態では実質的に円形である、検出領域308を提供する。別の実施形態では、検出領域308は、任意の適切な幾何学的形状をとることができ、一実施形態では、検出領域308は、実質的に矩形であり得ることが理解できる。
実施形態では、複数の導電性フィンガは、炭素系インクなどの炭素系材料を含む。
検出電極301は、感圧材料115と組み合わせて図1及び2の記載と実質的に同様の方法で使用され、力を印加圧力に反応して計算することが可能になる。したがって、検出電極301は、電極306及び307によって電気回路に接続され、電気抵抗の出力を与える。
【0018】
感圧材料115と組み合わせて、図2の力201のような力が加えられると、感圧材料115が第1の複数の導電性フィンガ302と第2の複数の導電性フィンガ303の両方に同時に接触するとき、検出ループが形成され、対応する抵抗値が計算され得る。
ダイヤフラム104とダイヤフラム105が互いに接触すると、感圧材料115と各導電性フィンガが接触して、上述したように抵抗及び圧力の読みが可能になる。
【0019】
図4
次に、図4及び図5を参照して、本発明に係る感圧装置401の第2の実施形態の断面図を説明する。
この第2の実施形態では、感圧装置401は、再び、薄膜圧力センサと考えることができる。しかしながら、特許請求の範囲に記載された発明と実質的に同様の方法で動作する他の感圧装置は、求められる保護の範囲内にあることが理解できる。
【0020】
感圧装置401はハウジング402を含み、ハウジング402によって画定される第1の力伝達装置403Aと第2の力伝達装置403Bを含んでいる。感圧装置401は、更に、第1のダイヤフラム404A、第2のダイヤフラム405A、第3のダイヤフラム404B及び第4のダイヤフラム405Bを備えている。
実施形態では、各力伝達装置403は、内部空洞407、外部空洞408及びチャネル409を含む空洞406を備えており、図1及び2の実施形態と同様に、チャネル409は、内部空洞407と外部空洞408を接続し、感圧装置401の中心縦軸に沿って実質的に中心に位置する。各チャネル409は、感圧装置401の長手方向軸に垂直な中心軸を有する。
【0021】
各力伝達装置の配置は、感圧装置401の長手方向軸に沿って対称であり、各力伝達装置403は、力伝達装置103と実質的に同様である。
図4に示すように、内部空洞406A及び406Bは中心壁410を共有している。該中心壁は、実質的に剛性の材料の壁を含み、変形不能である。剛性材料は、プラスチック材料又はガラスのような代替材料を含み得る。
実施形態では、ダイヤフラム405A及び405Bは、壁410の反対側に変形不能に取り付けられており、ダイヤフラム405A及び405Bは、その上面にコーティングされた感圧材料411をそれぞれ備えている。上述したように、感圧材料411は量子トンネル材料を含む。
【0022】
ダイヤフラム404A及び404Bは変形可能であり、各々内部空洞407A及び407Bに配置されている。感圧装置101と同様に、各ダイヤフラム404はその端に懸架され、空洞の側壁に密封されている。ダイヤフラム404A及び404Bには、壁410に最も近い表面に検出電極412がそれぞれ設けられている。検出電極412は、図3に関して上述した検出電極301と実質的に同様である。しかしながら、本発明において代替的な検出電極が利用され得ることが理解できる。
【0023】
実施形態では、各空洞406は、その内部に力伝達流体を含んでおり、開口部414に弾性膜413が設けられている。再び、各弾性膜413A及び413Bは、その端部でハウジング402の内壁に封止されている。
実施形態では、2つの力伝達装置が背中合わせに配置されているが、この配置は、力伝達装置が互いに独立して動作することを保証する。このようにして、力の付加に伴って記録された測定値を重ね合わせて、測定の合計値を増加させることができる。
【0024】
図5
図5は、圧力501の適用後の感圧装置401の概略図を示す。実施形態では、圧力501は感圧装置401の第1の側面502に加えられる。
圧力501が加えられると、圧力501は弾性膜413Aに作用し、該弾性膜は圧力が加えられた方向に変形する。内部空洞406A内の力伝達流体は、したがって、外部空洞408Aから内部空洞407Aに流れ、これによってダイヤフラム404Aが再び加えられた圧力501の方向に移動し、変形する。
ダイヤフラム404Aの動きは検出電極412Aを感圧材料411に接触させる。したがって、上述したのと実質的に同様の方法で、抵抗値の変化を測定することができる。
【0025】
図6
図6は、圧力601の適用後の感圧装置401の更なる概略図を示す。実施形態では、圧力601は感圧装置401の第2の側面602に加えられる。
圧力601が加えられると、圧力601は弾性膜413Bに作用し、該弾性膜は圧力が加えられた方向に変形する。内部空洞406B内の力伝達流体は、したがって、外部空洞408Bから内部空洞407Bに流れ、これによってダイヤフラム404Bが再び加えられた圧力601の方向に移動し、変形する。
図5の実施例と同様に、ダイヤフラム404Bの動きは検出電極412Bを感圧材料411Bに接触させる。これにより、抵抗値の変化を測定することができる。
【0026】
図7
図7は、圧力501の適用後の感圧装置401の更に別の概略図を示す。この実施形態では、圧力701は、感圧装置401の第1及び第2の側面502及び602の両方に適用される。
圧力701が感圧装置401の両側から加えられると、圧力701は各弾性膜413に作用し、該各弾性膜は図5及び図6の変形と実質的に同様の方法で変形する。これにより、次に、各空洞内の力伝達流体がダイヤフラム404を移動させ、各側の検出電極412と感圧材料411を接触させることができる。
【0027】
再び、抵抗の変化を各力伝達装置403について測定することができる。式702に示すように、力伝達装置403Aで測定された抵抗の変化がΔR403Aであり、力伝達装置403Bで測定された抵抗の変化がΔR403Bであれば、力感知装置401はΔR403A+ΔR403Bの全抵抗変化を測定する。したがって、与えられた印加圧力に対して、感圧装置401は2倍の測定値を得る。これは、特に低い印加圧力の場合、検出感度を向上させることができる。
【0028】
実施形態では、チャネル409A及び409Bは、力感知装置401の中心に沿って同じ軸に沿って配置されている。
圧力701が力感知装置401に加えられると、圧力が加えられる点は、弾性膜413A又は413Bに沿った任意の点、又はその両方であり得る。しかし、力伝達流体のために、変形可能なダイヤフラム404のいずれか任意の点で受けた圧力値は等しく、加えられた圧力701に等しい。
更に、ダイヤフラム404は、ダイヤフラムに圧力が加えられる場所に関係なく、同じ点で変形する。これは、中央集中チャネル409によるものであり、ダイヤフラムが集中点で変形することを保証する。このようにして、実質的に同様な大きさの印加圧力について計算された異なる測定値が生じるのことを防ぐことができる。
【0029】
別の実施例では、力感知装置401の中心軸に沿って中央に対称的に分布している複数のチャンネルが設けられている。したがって、弾性膜の任意の点に圧力が加えられたとき。 この場合も、力伝達流体の流れにより、変形可能なダイヤフラムの各点で受け取られる圧力値は、加えられた力に等しくなる。
加えて、本実施形態における変形可能なダイヤフラムは、各チャネルに対応する複数の点で変形するが、変形可能なダイヤフラムが変形する位置は変化しない。再び、弾性膜上の代替点における力の印加によって計算された異なる測定値を回避する。
【0030】
図8
次に、図8を参照して、本発明に係る感圧装置801の第3の実施形態の断面図を説明する。
第3の実施例では、感圧装置801は薄膜圧力センサと考えることもできる。しかしながら、特許請求の範囲に記載された発明と実質的に同様の方法で動作する他の感圧装置は、求められる保護の範囲内にあることが理解できる。
【0031】
感圧装置801は、ハウジング802を含み、該ハウジングは、ハウジング802によって画定される第1の力伝達装置803を含んでいる。感圧装置801は更に第1のダイヤフラム804と第2のダイヤフラム805を備える。
実施形態では、力伝達装置803は空洞806を備え、該空洞は、内部空洞807、外部空洞808及びチャネル809を含む。上記実施形態と同様に、チャネル809は、内部空洞807と外部空洞808を接続し、感圧装置801の中心縦軸に沿って実質的に中心に位置する。
本実施形態では、ダイヤフラム804は下部壁810に沿って配置されており、該下部壁は、実質的に可撓性であり、感圧装置801の中央長手方向軸線に対して垂直方向に変形可能に構成されている。したがって、ダイヤフラム804は、下部壁810に取り付けられて、使用時に下部壁810と共に変形する。
【0032】
実施形態では、ダイヤフラム805は変形不可能であり、内部空洞807の上部壁811に取り付けられている。
実施形態では、ダイヤフラム805には、その上面に塗布された感圧材料812が設けられている。上述のように、感圧材料812は量子トンネル材料を含む。ダイヤフラム805には、対照的に、検出電極813が設けられており、該検出電極は、検出電極301と実質的に同様であってもよい。
内部空洞807の上部壁811は、下部壁810に向かって突出する円弧状の断面を有している。これにより、ダイヤフラム804とダイヤフラム805が、図8の残りの構成において近接していることが保証される。
力感知装置801の残りの特徴は、空洞806内に力伝達流体を含めることと内部空洞806の開口部を横切って形成された弾性膜を含めて、上述のものと実質的に同様であることが理解できる。
【0033】
図9
図9は、圧力適用後の感圧装置801の概略図である。
実施形態では、弾性膜903の上面902上に力901が加えられる。この力の印加は、例えば、ユーザからの圧力入力を必要とする電子装置に感圧装置が組み込まれている一実施形態では、ユーザの指からのものであり得る。
実施形態では、力901が上面902に加えられると、力901が弾性膜903に作用し、力伝達流体が外部空洞808から内部空洞807に流れる。
【0034】
したがって、外部空洞808の容積は減少し、その結果、内部空洞807の容積が増加する。下部壁810は、下部壁810が上部壁811から離れるように力伝達流体から圧力下で変形し、2つのダイヤフラム804及び805が互いに離れるように移動する。このプロセスの間、抵抗値は徐々に変化する。これにより、抵抗変化の測定を行うことができる。
下部壁810は、力伝達流体の重量を支持するのに十分な弾性強度を有し、加えられた外力がない場合、下部壁810は大きく変形しないことに留意されたい。
【0035】
図10
図10は、本発明による感圧装置1001の第4の実施形態の断面図である。
第4の実施形態では、感圧装置1001は、再び、薄膜圧力センサと考えることができる。しかしながら、特許請求の範囲に記載された発明と実質的に同様の方法で動作する他の感圧装置は、求められる保護の範囲内にあることが理解できる。
【0036】
感圧装置1001は、ハウジング1002を含み、該ハウジングによって画定される第1の力伝達装置1003Aと同様に該ハウジング1002によって画定される第2の力伝達装置1003Bを含んでいる。感圧装置1001は、更に、第1のダイヤフラム1004A、第2のダイヤフラム1005A、第3のダイヤフラム1004B及び第4のダイヤフラム1005Bを含んでいる。
実施形態では、各力伝達装置1003は空洞1006が備えられており、該空洞は、内部空洞1007、外部空洞1008及びチャネル1009を含んでいる。上記実施形態のように、チャネル1009は、内部空洞1007と外部空洞1008を接続し、感圧装置1001の中心縦軸に沿って実質的に中心に位置する。各チャネル1009は、感圧装置1001の長手方向軸に垂直な中心軸を有する。
【0037】
各力伝達装置の配置は、感圧装置1001の長手方向軸に沿って対称であり、各力伝達装置1003は、力伝達装置1003と実質的に同様であり、感圧装置1001の長手方向軸線に対して垂直方向に移動するように構成されている中央壁1010を共有している。
図10に示すように、内部空洞1006A及び1006Bは、実質的に可撓性であり、力感知装置1001の長手方向軸線に対して垂直方向に移動するように構成されている。
本実施形態では、ダイヤフラム1004A及び1004Bは変形可能であり、中心壁1010の対応する側面に取り付けられている。ダイヤフラム1004Aおよび1004Bはそれぞれ、それらの上面にコーティングされた感圧材料1011を備えている。上述のように、感圧材料1011は、量子トンネル材料を含む。
【0038】
実施形態では、ダイヤフラム1005Aおよび1005Bは変形不能であり、内部空洞1007の上部壁1012に取り付けられている。各ダイアフラム1005には検出電極1013が設けられており、検出電極1013は、いずれの場合も、前述の検出電極301と実質的に同様であり得る。
実施形態では、各空洞406は、その内部に力伝達流体を含んでおり、開口1015に弾性膜1014が設けられている。この場合も、各弾性膜1004A,1004Bは、その端部がハウジング1002の内壁に封止されている
本実施形態では、2つの力伝達装置が背中合わせに配置されているが、下部壁1010は実質的に可撓性であるため、実施形態における2つの空洞1006A及び1006Bは協働して変形することができる
【0039】
図11
図11は、圧力適用後の感圧装置1001の概略図である。実施形態では、感圧装置1001の側面1102に圧力1101が加えられる。
圧力1101を加えると、圧力1101は、圧力が加えられる方向に変形する弾性膜1014Aに作用する。したがって、空洞1006A内の力伝達流体は外部空洞1008Aから内部空洞1007Aに流れる。このように、外部空洞1008Aの容積は内部空洞1007Aの容積が増加する間に減少し、その結果、中央壁1010は印加力の方向に凸状に変形する。したがって、壁1010は壁1012Aから離れるので、力伝達装置1003Aで測定される抵抗値は徐々に変化する。
【0040】
更に、壁1010は内部空洞1007B内の力伝達流体を圧縮するので、力伝達流体は内部空洞1007Bから外部空洞1008Bに流れる。これにより、外部空洞1008Bの容積が増加し、弾性膜1014Bが印加力の方向に変形する。このプロセスの間、中央壁1010と壁1012Bは密着されるので、感圧材料1011Bと検出電極1013Bは接触する。このようにして、力伝達装置1003Bで測定される抵抗値は徐々に変化する。
【0041】
したがって、抵抗の変化を測定することができる。式1103に示すように、力伝達装置1003Aで測定された抵抗変化がΔR1103Aであり、力伝達装置1003Bで測定された抵抗変化がΔR1103Bならば、感圧装置1001は、ΔR1103A+ΔR1103Bの全抵抗変化を測定する。
したがって、与えられた印加圧力に対して、感圧装置1001は、力感知装置の一方の側に単一の力を加えると、測定された値の2倍を得る。これにより、特に低い印加圧力の場合、検出感度を向上させることができる
【0042】
外力又は圧力が力感知装置1001の反対側に適用される場合、実質的に同様の出力が達成されることが理解できる。
本発明は、力伝達流体を含む力感知装置すなわち感圧装置を提供する。この感圧装置の主要な原理は、圧力の流体の吸収及び分散を利用して、外部圧力の均一な伝達の効果を達成することである。これは、異なる点に圧力が加えられることによる不均一な圧力の伝導及び不正確な測定値で経験される問題が確実に低減する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】