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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】セルフロック取付システム
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/06 20060101AFI20230213BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20230213BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20230213BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20230213BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230213BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
F16B21/06 Z
F16B21/08
H02G3/32
H02G3/22
H02G3/30
F16L3/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536584
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 IB2020061906
(87)【国際公開番号】W WO2021124079
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/948,914
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/092,198
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,982
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502165089
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス ユーケー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マクノートン,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,タイラー ビイ
【テーマコード(参考)】
3H023
3J037
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AB04
3H023AC02
3H023AD21
3H023AE11
3J037AA02
3J037DA02
3J037DB01
3J037DC01
5G363AA12
5G363AA16
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA11
5G363DA13
5G363DA15
5G363DB40
5G363DC02
5G363DC10
(57)【要約】
構造構成部品(14)に取り付けるための取付システム、クランプ(50)、および方法。取付システムは、取付突起(30、230、430)を含むブラケット(10、210、410)を備え、取付突起(30、230、430)は、取付突起(30、230、430)の側壁(36、236、436)間に延びる取付開口部(40、240、440)を有する。クランプ(50、150、250、350、450)は、取付部(52、252、452)とクランプ部(54、254、454)とを有し、取付部(52、252、452)は、取付突起(30、230、430)を内部に受け入れる突起受入開口部(70、170、280、478)を有する。ラッチ機構(78、178、288、464)がクランプ部(54、254、454)から延び、ラッチ機構(78、178、288、464)は、ロック解除位置とロック位置との間で移動可能な固定部(83、88、183、290、512)を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造構成部品に取り付けるための取付システムであって、
前記取付システムは、
- 取付突起(30、230、430)を含むブラケット(10、210、410)であって、前記取付突起(30、230、430)は、前記取付突起(30、230、430)の側壁(36、236、436)間に延びる取付開口部(40、240、440)を有する、ブラケットと、
- 取付部(52、252、452)とクランプ部(54、254、454)とを有するクランプ(50、150、250、350、450)であって、前記取付部(52、252、452)は、前記取付突起(30、230、430)を内部に受け入れる突起受入開口部(70、170、280、478)を有する、クランプと、
- 前記クランプ部(54、254、454)から延びるラッチ機構(78、178、288、464)であって、前記ラッチ機構(78、178、288、464)は、ロック解除位置とロック位置との間で移動可能な固定部(83、88、183、290、512)を有する、ラッチ機構と
を備える、取付システム。
【請求項2】
前記取付部(52)は、前記取付部(52)の側壁を通って延びる固定開口部(73)を有し、
前記固定部(83、88)は、前記固定部(83、88)が前記取付開口部(30)に位置決めされる前記ロック位置と、前記固定部(83、88)が前記取付開口部(30)から取り外される前記ロック解除位置との間で回転可能である、
請求項1に記載の取付システム。
【請求項3】
前記取付部(52)は、前壁(63)と、後壁(65)と、側壁(68)とを有し、前記突起受入開口部(70)は、前記取付部(52)を通って一方の側壁(68)から反対側の側壁(68)に延びている、
請求項2に記載の取付システム。
【請求項4】
ラッチ受入キャビティ(76)が、前記取付部(52)の前記前壁(63)に設けられ、前記ラッチ受入キャビティ(76)は、一方の側壁(68)から反対側の側壁(68)に延びている、
請求項3に記載の取付システム。
【請求項5】
前記固定開口部(73)は、前記側壁(68)を通って前記突起受入開口部(70)内に延びている、
請求項4に記載の取付システム。
【請求項6】
前記ラッチ機構(78)は前記ラッチ受入キャビティ(76)に位置決めされ、前記ラッチ機構(78)は、前記ラッチ受入キャビティ(76)に保持されている横材(80)から延びる第1のラッチアーム(79)を有する、
請求項5に記載の取付システム。
【請求項7】
前記第1のラッチアーム(79)は、第1の係合部(81)と、第1の旋回部(82)と、第1の固定部(83)とを有し、前記第1の旋回部(82)の内部に、第1の開口部(84)が設けられている、
請求項6に記載の取付システム。
【請求項8】
前記第1の固定部(83)は第1の固定面(77)を有し、
前記第1の固定面(77)は、前記第1の旋回部(82)から離間した前記第1の固定部(83)の自由端に設けられており、
前記第1の固定部(83)は、前記第1の固定面(77)と前記第1の旋回部(82)との間に延びる第1のカム面(94)を有する、
請求項7に記載の取付システム。
【請求項9】
前記ラッチ機構(78)は、前記ラッチ受入キャビティ(76)に保持されている前記横材(80)から延びる第2のラッチアーム(85)を有し、
前記第2のラッチアーム(85)は、第2の係合部(86)と、第2の旋回部(87)と、第2の固定部(88)とを有し、
前記第2の旋回部(87)の内部に、第2の開口部(89)が設けられている、
請求項8に記載の取付システム。
【請求項10】
前記第2の固定部(88)は第2の固定面(90)を有し、
前記第2の固定面(90)は、前記第2の旋回部(87)から離間した前記第2の固定部(88)の自由端に設けられており、
前記第2の固定部(88)は、前記第2の固定面(90)と前記第2の旋回部(87)との間に延びる第2のカム面(95)を有する、
請求項9に記載の取付システム。
【請求項11】
前記第2のラッチアーム(85)は、前記第2の係合部(85)から延びる過大応力保護部材(91)を有する、
請求項10に記載の取付システム。
【請求項12】
前記クランプ部(54)は、固定クランプアーム(56)と、開位置と閉位置またはクランプ位置との間でピボット部材(60)を中心に旋回する可動クランプアーム(58)とを有する、
請求項2に記載の取付システム。
【請求項13】
前記ラッチ機構(78)は、係合部(81、86)と、旋回部(82、87)と、前記固定部(83、88)とを含むラッチアーム(79、85)を有し、
前記旋回部(82、87)の内部に、開口部(84、89)が設けられ、
前記固定部(83、88)は固定面(77、90)を有し、前記固定面(77、90)は、前記旋回部(82、87)から離間した前記固定部(83、88)の自由端に設けられており、前記固定部(83、88)は、第1の位置またはロック解除位置と第2の位置またはロック位置との間で支柱(92)を中心に回転するように構成されている、
請求項2に記載の取付システム。
【請求項14】
構造部材に近接して位置決めされた構成部品を保護するためのシステムを設置する方法であって、
取付開口部(40)を含む取付突起(30)を有するブラケット(10)を、構造構成部品(14)に設置することと、
前記ブラケット(10)を前記構造構成部品(14)に固定して、前記ブラケット(10)が前記構造部材(14)に対して回転することを防止することと、
前記ブラケット(10)の前記取付突起(30)にクランプ(50)を位置決めすることであって、前記クランプ(50)はクランプ部(54)と取付部(52)とを有し、前記取付部(52)は、前記ブラケット(10)から延びる前記取付突起(30)を受け入れる突起受入開口部(70)を有し、前記取付部(52)は、前記取付部(52)の側壁(68)を通って前記突起受入開口部(70)内に延びる固定開口部(73)を有する、位置決めすることと、
前記クランプ(50)の前記取付部(52)の固定部(83、88)を、前記固定部(83、88)が前記取付開口部(40)に位置決めされるロック位置に回転させて、前記クランプ(50)を前記ブラケット(10)に固定することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、工具類またはハードウェア(器材)を必要とすることなくクランプを取り付けるためのセルフロッククランプ、取付システム、および方法に関する。特に、本発明は、金属梁などの構造部材に取り付けられる電気ケーブル、電線用導管、空気圧ライン、油圧ライン、および他のそのような構成部品を保護するためのセルフロッククランプ、取付システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、航空機、および建物の内部構造は、電気ケーブル、電線用導管などの構成部品のための開口部が形成された梁のような構造部材を使用しており、これらの構成部品は構造部材の開口部を通って延びている。スタンピング、切断、パンチングなどによる様々な方法で形成されるこれらの開口部は、ケーブル絶縁体を摩損させ、もしくは切断し、またはビーム開口部を通って延びる構成部品を他の方法で損傷させ得る鋭い縁部を有することが多い。したがって、開口部に嵌入するブラケットまたはブッシングを設けてこれらの縁部を覆うことによって構成部品を保護することが一般的な方法である。
【0003】
様々なタイプのブッシングが知られており、説明した目的のために使用されている。1つの既知の構成は、ブッシングがビーム開口部に設置されたときに共にスナップ留めされる2つの部品から構成されている。このタイプのブッシングには、複数の部品を形成して保管する必要性、現場におけるブッシング部品の取扱いおよび組立ての時間ならびに不便など、いくつかの欠点と難点とがある。
【0004】
一体型ブッシングが知られているが、これはある問題および欠点を示す。例えば、従来の一体型ブッシングには、開口部に挿入することが困難なものがある。これは、電気ケーブルまたは他の構成部品がブッシングを通して引かれるときにブッシングが外れないように構成されている場合に、特に当てはまる。
【0005】
従来技術の複数の部分からなるブッシングおよび一体型ブッシングの両方に共通する別の難点は、単一のブッシングが構造部材の広範囲の異なる厚さに対応できるように設計されていないことである。構造部材は異なる厚さに形成されているので、スタッドの構造に応じて選択および使用できる異なる大きさのブッシングの供給を維持することを必要としてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、設置が容易で、様々な厚さの構造部材と共に使用することができ、固定された向きで構造部材に適切に取り付けることができるシステムを提供することによって、既知の技術に関する問題を克服する、セルフロッククランプ、取付システム、および方法を提供することが有益である。クランプを取付システムのブラケットに取り付けることができる、工具不要でハードウェア(器材)不要のセルフロック取付システムを提供することも有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この解決策は、ブラケットとクランプとを備える取付システムによって提供される。ブラケットは取付突起(mounting projection)を有し、取付突起は、取付突起の側壁間に延びる取付開口部を有する。クランプは、取付部とクランプ部とを有し、取付部は、取付突起を内部に受け入れる突起受入開口部を有する。ラッチ機構がクランプ部から延び、ラッチ機構は、ロック解除位置とロック位置との間で移動可能な固定を有する。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、本発明の原理を例として示す添付図面と併せて考慮される、例示的な実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】構造部材の開口部に設置された例示的なブラケットの斜視図である。
図2】ブラケットに対する初期位置または設置前位置に示されている、本発明の例示的なクランプの斜視図である。
図3図2の線3-3に沿って取ったクランプおよびブラケットの断面図である。
図4】ブラケットに対する部分設置位置に示されている、図2の例示的なクランプの斜視図である。
図5図4の線5-5に沿って取ったクランプおよびブラケットの断面図である。
図6】ブラケットに対する完全設置位置に示されている、図2の例示的なクランプの斜視図である。
図7】クランプをブラケットから取り外すことができるようにクランプに加えられる力を示す、図6の線7-7に沿って取ったクランプおよびブラケットの断面図である。
図8】ブラケットに対する初期位置または設置前位置に示されている、本発明の代替の例示的なクランプの斜視図である。
図9】ブラケットに対する部分設置位置(partially installed position)に示されている、図8の例示的なクランプの斜視図である。
図10】ブラケットに対する完全設置位置(fully installed position)に示されている、図9の例示的なクランプの斜視図である。
図11図10の線11-11に沿って取ったクランプおよびブラケットの断面図である。
図12】ラッチが分解されている、クランプの斜視底面図である。
図13】構造部材の開口部に設置された例示的なブラケットの斜視図である。
図14】構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入された例示的なケーブルの斜視図である。
図15】ケーブルタイがケーブルの周りに延びている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図16】本発明の例示的なクランプが初期位置または設置前位置に示されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図17】クランプがケーブル上に移動した状態で示されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図18】クランプが移動してブラケットに係合し、クランプの取付部のラッチ機構がロック解除位置にある、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図19】線19-19に沿って取った図18に示すクランプの断面図である。
図20】クランプの取付部のラッチ機構がブラケットのロック位置に移動している、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図21】線21-21に沿って取った図20に示すクランプの断面図である。
図22】クランプのクランプ部がケーブルのクランプ位置に移動し、クランプのクランプ部のラッチ機構がロック解除位置にある、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視正面図である。
図23】クランプのクランプ部がケーブルのクランプ位置に移動し、クランプのクランプ部のラッチ機構がロック位置にある、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視正面図である。
図24】本発明の代替の例示的なクランプが初期位置または設置前位置に示されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入された代替のケーブルの斜視図である。
図25】クランプの取付部がブラケットのロック位置に移動し、クランプのクランプ部がケーブルのクランプ位置に固定されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入された図24のケーブルの斜視正面図である。
図26】クランプが初期位置または設置前位置に示されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図27】クランプがケーブル上に移動した状態で示されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図28】クランプが移動してブラケットに係合し、クランプがロック解除位置にある、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図29】クランプがブラケットのロック位置に移動している、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視図である。
図30】クランプがケーブルのクランプ位置に移動している、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視正面図である。
図31】クランプがケーブルのクランプ位置に固定されている、構造部材の開口部およびブラケットを通して挿入されたケーブルの斜視正面図である。
図32図29に示すように、移動してブラケットに係合した、ロック位置に示されているクランプの斜視図である。
図33図32に示すクランプの断面図である。
図34】クランプがロック位置に示されている、図31のクランプの中心線断面図である。
図35】クランプがロック解除位置(unlocked position)とロック位置との間に示されている、図32と同様のクランプの断面図である。
図36】クランプがロック解除位置に示されている、図32と同様のクランプの断面図である。
図37図28に示すように、移動してブラケットに係合した、ロック解除位置に示されているクランプの斜視図である。
図38】クランプと共に使用するための代替の例示的なブラケットの斜視図である。
図39】例示的なクランプが初期位置または設置前位置に示されている、図38のブラケットの斜視図である。
図40】ブラケットに取り付けられた図39のクランプの側面図である。
図41】第2の例示的なクランプが初期位置または設置前位置に示されている、図38のブラケットの斜視図である。
図42】ブラケットに取り付けられた図41のクランプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態は、ブラケットとクランプとを備える取付システムを対象とする。ブラケットは取付突起を有し、取付突起は、取付突起の側壁間に延びる取付開口部を有する。クランプは、取付部とクランプ部とを有し、取付部は、取付突起を内部に受け入れる突起受入開口部(projection receiving opening)を有する。ラッチ機構がクランプ部から延び、ラッチ機構は、ロック解除位置とロック位置との間で移動可能な固定部を有する。
【0011】
実施形態は、構造構成部品に取り付けるための取付システムを対象とし、取付システムは、ブラケットとクランプとを備える。ブラケットは、取付開口部を含む取付突起を有し、取付開口部は取付突起の側壁間に延びている。クランプは、取付部とクランプ部とを有する。取付部は、ブラケットの取付突起を内部に受け入れる突起受入開口部を有する。取付部は、取付部の側壁を通って延びる固定開口部を有する。ラッチ機構がクランプ部に設けられている。ラッチ機構は固定部を有し、固定部は、固定部が取付開口部に位置決めされるロック位置と、固定部が取付開口部から取り外されるロック解除位置との間で回転可能である。
【0012】
実施形態は、ブラケットと共に使用するためのクランプを対象とする。クランプは、クランプ部と取付部とを含む。取付部は、ブラケットから延びる突起を受け入れる突起受入開口部を有する。取付部は、取付部の側壁を通って突起受入開口部内に延びる固定開口部を有する。ラッチ機構がクランプ部に設けられ、ラッチ機構は固定部を有し、固定部は、固定部がブラケットの取付開口部に位置決めされるロック位置と、固定部がブラケットの取付開口部から取り外されるロック解除位置との間で回転可能である。
【0013】
実施形態は、構造部材に近接する構成部品を保護するためのシステムを設置する方法を対象とする。方法は、取付開口部を含む取付突起を有するブラケットを、構造構成部品(structural component)に設置することと、ブラケットを構造構成部品に固定して、ブラケットが構造部材に対して回転することを防止することと、ブラケットの取付突起にクランプを位置決めすることであって、クランプはクランプ部と取付部とを有し、取付部は、ブラケットから延びる突起を受け入れる突起受入開口部を有し、取付部は、取付部の側壁を通って突起受入開口部内に延びる固定開口部を有する、位置決めすることと、クランプの取付部の固定部を、固定部が取付開口部に位置決めされるロック位置に回転させて、クランプをブラケットに固定することとを含む。
【0014】
図1に示すように、例示的なブラケット10が構造部材14の開口部12に示されている。ブラケット10は、例えば、ポリマー材料、熱可塑性材料、複合材料、または金属製であってよい。開口部12は、軽減孔または他のタイプの開口部であってよい。構造部材14は、限定されないが、車両のフレームもしくは隔壁、航空機の梁もしくは隔壁、または建物の梁であってよい。開口部12は、スタンピング、切断、パンチングなどによる様々な方法で形成されてよい。開口部12は、開口部12を通って延びる構成部品を摩損させ、もしくは切断し、もしくは他の方法で損傷させ得る側壁または縁部を有する。構成部品は、限定されないが、ケーブル、ケーブル束、またはパイプであってよい。
ブラケット10の他の実施形態を使用してもよいので、図示のブラケット10は例示的なものである。例えば、ブラケット10は、限定されないが、L字形ブラケット、縁部取付ブラケット、回転接着取付ブラケット、回転リベット取付ブラケットであってよい。
【0015】
ブラケット10は、限定されないがリベットなどの締付部材22によって構造部材14に締め付けられている円形部分またはグロメット部20を含む。ブラケット10は、構造部材14に締め付けられて、ブラケット10が構造部材14に対して回転することを防止する。フランジ21と構造板23とが、グロメット部20から延びている。フランジ21は、構造部材14と協働して、グロメット部20を構造部材14に対して適切に位置決めする。構造板23は、締付部材22と協働して、グロメット部20を構造部材14に保持する。開口部12の軸は、構造板の平面に垂直である。
【0016】
図1に示すように、グロメット部20は、円形の横方向断面を有する。しかしながら、グロメット部20は、本発明の範囲から逸脱することなく、限定されないが長円形の横方向断面などの他の構成を有していてもよい。グロメット部20は、開口部12に適切に嵌合する形状および大きさである。円形のグロメット部20は、構造部材14の開口部12に嵌入するように形成されており、グロメット部20は、構成部品が構造部材14の側壁に接触しないよう保証するのに十分な長さである。ブラケット10は、構成部品を支持し、ブラケット10が機械的に固定されている構造部材14の側壁または縁部から構成部品を保護するように構成されている。
【0017】
図1に示すように、取付突起または突出部30がグロメット部20から延びている。突起30は、上壁またはケーブル支持壁32と、反対側を向く底壁34と、ケーブル支持壁32と底壁34との間に延びる側壁36とを有する。ケーブル支持壁32は、グロメット部20の内面38に沿って位置決めされている。固定または取付開口部40が、突起30を通って、ケーブル支持壁32に本質的に平行な方向に延びている。開口部40は、側壁36を通って延びている。図3図5、および図7に示すように、開口部40は、第1の壁または前壁42と第2の壁または後壁44とを有する。
【0018】
図2図7を参照すると、ケーブルクランプ50を使用して、構成部品をブラケット10および構造部材14に固定することができる。図示の例示的な実施形態において、クランプ50は、取付部52とクランプ部54とを有する。クランプ部54は、固定クランプアーム56と、開位置と閉位置またはクランプ位置との間でピボット部材60を中心に旋回する可動クランプアーム58とを有する。可動クランプアーム58は、構成部品が固定クランプアーム56と可動クランプアーム58との間に位置決めされ、可動クランプアーム58が閉位置に移動するときに、構成部品と協働する。固定クランプアーム56は、取付部52から延び、取付部52に取り付けられている。
例示の実施形態において、クランプ部54はPクランプであるが、他のタイプのクランプを使用してもよい。Pクランプは、参照により本明細書に全体が組み込まれている、米国特許出願公開第2018/0273500号および第2017/0146154号に記載されている。
【0019】
クランプ部54は、異なる大きさの構成部品と協働するように構成されていてもよい。例えば、クランプ部は、閉位置またはクランプ位置にあるときに、3.175~6.35mm、6.35~9.525mm、9.525~12.7mm、12.7~15.875mm、15.875~19.05mm、19.05~22.2mm、または22.2~25.4mmの直径範囲を有することができる。
【0020】
図3図5、および図7に示すように、取付部52は、前壁63と、後壁65と、側壁68とを有する。突起受入開口部70が、取付部52を通って一方の側壁68から反対側の側壁68に延びている。
【0021】
開口部70は、前壁または第1の壁72を有する。開口部は、突起30を内部に受け入れるような寸法である。開口部70は、突起30と同様であるが突起30よりもわずかに大きい形状を有するように構成されて、突起30を開口部70に挿入できるようにし、かつクランプ50がブラケット10に対して不要に移動することを防止する。
【0022】
ラッチ受入キャビティ76が、取付部52の前壁63に設けられている。ラッチ受入キャビティ76は、一方の側壁68から反対側の側壁68に延びている。固定部材受入開口部またはキャビティ73が、側壁68を通って開口部70内に延びている。
【0023】
図3図5、および図7に示すように、ラッチ機構78がラッチ受入キャビティ76に位置決めされる。ラッチ機構78は、ラッチ受入キャビティ76に保持されている横材80から延びる第1のラッチアーム79を有する。第1のラッチアーム79は、第1の係合部81と、第1の旋回部82と、第1の固定部材または固定部83とを有する。第1の旋回部82の内部に、第1の開口部84が設けられている。第1の固定部83は第1の固定面77を有し、この第1の固定面77は、第1の旋回部82から離間した第1の固定部83の自由端に設けられている。第1の固定部83は、第1の固定面77と第1の旋回部82との間に延びる第1のカム面94を有する。
【0024】
ラッチ機構78は、ラッチ受入キャビティ76に保持されている横材80から延びる第2のラッチアーム85を有する。第2のラッチアーム85は、第2の係合部86と、第2の旋回部87と、第2の固定部88とを有する。第2の旋回部87の内部に、第2の開口部89が設けられている。第2の固定部88は第2の固定面90を有し、この第2の固定面90は、第2の旋回部87から離間した第2の固定部88の自由端に設けられている。第2の固定部88は、第2の固定面90と第2の旋回部87との間に延びる第2のカム面95を有する。第2のラッチアーム85は、第2の係合部86から延びる過大応力保護部材91(図7)を有する。
【0025】
第1の開口部84および第2の開口部89は、取付部52の支柱92上に嵌め込まれて、ラッチ機構78を取付部52の所定の位置に保持する。加えて、ラッチ受入キャビティ76に位置決めされている横材80は、ラッチ機構78を取付部52の所定の位置にさらに保持する。支柱92を開口部84、89に位置決めすることにより、固定部83、88は支柱92を中心に旋回または回転することができる。横材80をラッチ受入キャビティ76に位置決めすることにより、ラッチ機構が取付部52の長手方向軸93(図3)に沿った方向に移動することを防止する。しかしながら、横材80は、ラッチ受入キャビティ76において、取付部52の長手方向軸93を横切る方向に自由に移動できる。
【0026】
第1の固定部83は、第1の位置またはロック解除位置(図3に示す)と第2の位置またはロック位置(図7に示す)との間でそれぞれの支柱92を中心に回転するように構成されている。第2の固定部88は、第1の位置またはロック解除位置(図3に示す)と第2の位置またはロック位置(図7に示す)との間で別のそれぞれの支柱92を中心に回転するように構成されている。
【0027】
ブラケット10の取付突起30へのクランプ50の設置が、図3図7に示されている。クランプ50が取付突起30に係合する前に、ラッチ機構78は、図2および図3に示す位置にある。この位置で、第1の固定部83の第1のカム面94と第1の固定面77の一部とは、固定部材受入キャビティ73を通って突起受入開口部70内に延びている。ラッチ機構78の構成、ならびに第1の旋回部82と支柱92との協働により、第1の固定部83の第1のカム面94および第1の固定面77の一部を初期位置に弾性的に維持する。
【0028】
同様に、第2の固定部88の第2のカム面95および第2の固定面90の一部は、固定部材受入キャビティ73を通って突起受入開口部70内に延びている。ラッチ機構78の構成、ならびに第2の旋回部87と支柱92との協働により、第2の固定部88の第2のカム面95および第2の固定面90の一部を初期位置に弾性的に維持する。
【0029】
図4および図5に示すように、クランプ50がブラケット10の取付突起30上に移動すると、取付突起30は突起受入開口部70内に移動する。これが起こると、取付突起30の側壁36は第1のカム面94および第2のカム面95に係合し、カム面94、95および固定部83、88は、旋回部82、87および支柱92を中心に弾性的に旋回する。これにより、ブラケット10の取付突起30にクランプ50を継続的に嵌め込むことができる。
【0030】
図6および図7に示すように、嵌込みは、取付突起30が突起受入開口部70の壁72に係合または近接するまで継続する。この位置で、カム面94、95は、取付突起30の固定または取付開口部40に沿って位置決めされている。これにより、カム面94、95および固定部83、88は、旋回部82、87および支柱92を中心に旋回して、応力を受けない位置または初期位置に向かって弾性的に戻ることができる。図7に示すように、固定部83、88が取付開口部40に位置決めされた状態で、固定面77、90は、開口部40の第1の壁または前壁42に係合または近接している。この位置で、クランプ50は、ブラケット10の取付突起30に固定されている。
【0031】
図7に示すように、ラッチ機構78は、ブラケット10の取付突起30からクランプ50が不要に取り外されないように抵抗する。クランプ50に力F1が加わると、結果として生じる力F2、F3がラッチ機構78の固定部83、88の固定面77、90に加わる。固定面77、90は円弧状の形状を有するので、力が加わることにより、固定面77、90および固定部83、88は取付開口部40内にさらに旋回し、それにより、ブラケット10からクランプ50が不要に取り外されることを防止する。
【0032】
ブラケット10の取付突起30からクランプ50を取り外すために、操作者またはユーザは、第1のラッチアーム79の第1の係合部81および第2のラッチアーム85の第2の係合部86に力F4およびF5を加える。力F4、F5を加えることにより、ラッチアーム79、85は互いに向かって内側に移動する。これにより、固定面77、90および固定部83、88は、旋回部82、87および支柱92を中心に外側に旋回し、固定面77、90は開口部40から抜け出る。固定面77、90が開口部40から取り外された状態で、クランプ50をブラケット10の取付突起30から取り外すことができる。
【0033】
第1のラッチアーム79および第2のラッチアーム85は、2つの旋回セルフロックラッチを含み、この旋回セルフロックラッチは、ラッチアーム79、85がロック状態にあるときに、ケーブルクランプ50が振動してブラケット10から緩む可能性がないことを保証する。2つのセルフロックラッチアーム79、85を有することにより、2つの旋回セルフロックラッチアーム79、85のいずれかがクランプ50をブラケット10に単独でしっかりと保持することができるので、冗長性の要素が追加される。加えて、ラッチアーム79、85は、ロック位置にあるときに、その設計の幾何学的形状により自己締付けまたはセルフロックする。
【0034】
ラッチアーム79、85およびラッチ機構78により、ユーザは、クランプ50をブラケット10の取付突起30に押し付けるだけで、クランプ50を設置することができる。ラッチ機構78のラッチアーム79、85は自動的に所定の位置にロックされるため、設置手順が簡略化され、クランプを所定の位置にラッチすることを忘れるリスクがなくなる。
【0035】
ラッチ機構78およびラッチアーム79、85は、人間工学的および空間的に設計されている。ユーザは、ラッチ機構78の第1の係合部81および第2の係合部86を握って、クランプ50をブラケット10から引き抜くだけでよい。第1の係合部81および第2の係合部86を握ることにより、2つの旋回ラッチアーム79、85がロック位置から抜け出て、クランプ50を取り外すことができる。
【0036】
クランプ150の代替実施形態が、図8図12に示されている。図11および図12に示すように、ラッチ機構178は、係合部181と、旋回部182と、固定部材または固定部183とを含むラッチアーム179を有する。旋回部182の内部に、開口部184が設けられている。固定部183は固定面177を有し、この固定面177は、旋回部182から離間した固定部183の自由端に設けられている。
【0037】
第1の開口部184は、取付部152の支柱192上に嵌め込まれて、ラッチ機構178を取付部152の所定の位置に保持する。開口部184に支柱192を位置決めすることにより、固定部183は支柱192を中心に旋回または回転することができる。固定部183は、第1の位置またはロック解除位置(図9に示す)と第2の位置またはロック位置(図10に示す)との間で支柱192を中心に回転するように構成されている。
【0038】
ブラケット10の取付突起30へのクランプ150の設置が、図8図10に示されている。クランプ150が取付突起30に係合する前に、ラッチ機構178は、図8に示す位置にある。この位置で、固定部183の第1の固定面177は、固定部材受入キャビティ173を通って延びておらず、突起受入開口部170内に延びていない。固定部183のカム面194および固定面177の一部は、初期位置にある。
【0039】
図9および図10に示すように、ブラケット10へのクランプ150の嵌込みは、クランプ50がブラケットに係合または近接するまで継続する。この位置で、ラッチ機構178は、図9に示す位置から図10に示す位置に回転する。これが起こると、取付突起30の固定または取付開口部40に沿って位置決めされたカム面194は、旋回部182および支柱192を中心に旋回して、固定部183が取付開口部40に位置決めされるロック位置に移動する。この位置で、固定面177は、開口部40の第1の壁または前壁42に係合または近接し、それにより、クランプ150をブラケット10の取付突起30に固定する。
【0040】
図11に示すように、ラッチ機構178は、ブラケット10の取付突起30からクランプ150が不要に取り外されないように抵抗する。クランプ150に力F6が加わると、結果として生じる力F7がラッチ機構178の固定部183の固定面177に加わる。固定面177は円弧状の形状を有するので、力が加わることにより、固定面177および固定部183は取付開口部40内にさらに旋回または回転し、それにより、ブラケット10からクランプ150が不要に取り外されることを防止する。
【0041】
ブラケット10の取付突起30からクランプ150を取り外すために、操作者またはユーザは、ラッチ機構178を図10に示す位置から図9に示す位置に回転させる。これにより、固定面177は開口部40から抜け出る。固定面177が開口部40から取り外された状態で、クランプ150をブラケット10の取付突起30から取り外すことができる。
【0042】
クランプ50、150は、ケーブル束などの構成部品を、工具なしで迅速に設置する方式でしっかりと締め付ける確実な手段を提供し、保管が必要な部品の数を減少させる。加えて、第1のラッチ機構78、178は、クランプ50、150が構成部品およびブラケット10に固定され、振動して緩む可能性がないことを保証する。
【0043】
図13を参照すると、代替のブラケット210が構造部材214の開口部212に示されている。ブラケット210は、例えば、ポリマー材料、熱可塑性材料、複合材料、または金属製であってよい。開口部212は、軽減孔または他のタイプの開口部であってよい。構造部材214は、限定されないが、車両のフレームもしくは隔壁、航空機の梁もしくは隔壁、または建物の梁であってよい。開口部212は、スタンピング、切断、パンチングなどによる様々な方法で形成されてよい。開口部212は、開口部212を通って延びる構成部品18を摩損させ、もしくは切断し、もしくは他の方法で損傷させ得る側壁または縁部を有する。構成部品18は、限定されないが、ケーブル、ケーブル束、またはパイプであってよい。
【0044】
ブラケット210は、限定されないがリベットなどの締付部材222によって構造部材214に締め付けられている円形部分またはグロメット部220を含む。ブラケット210は、構造部材214に締め付けられて、ブラケット210が構造部材214に対して回転することを防止する。フランジ221と構造板223とが、グロメット部220から延びている。フランジ221は、構造部材214と協働して、グロメット部220を構造部材214に対して適切に位置決めする。構造板223は、締付部材222と協働して、グロメット部220を構造部材214に保持する。開口部212の軸は、構造板の平面に垂直である。
【0045】
図13に示すように、グロメット部220は、円形の横方向断面を有する。しかしながら、グロメット部220は、本発明の範囲から逸脱することなく、限定されないが長円形の横方向断面などの他の形状を有していてもよい。グロメット部220は、開口部212に適切に嵌合する形状および大きさである。円形のグロメット部220は、構造部材214の開口部212に嵌入するように形成されており、グロメット部220は、構成部品218が構造部材214の側壁に接触しないよう保証するのに十分な長さである。ブラケット210は、構成部品218を支持し、ブラケット210が機械的に固定されている構造部材214の側壁または縁部から構成部品218を保護するように構成されている。
【0046】
図13に示すように、突起または突出部230がグロメット部220から延びている。突起230は、上壁またはケーブル支持壁232と、反対側を向く底壁234と、ケーブル支持壁232と底壁234との間に延びる側壁236とを有する。ケーブル支持壁232は、グロメット部220の内面238に沿って位置決めされている。取付開口部240が、突起230を通って、ケーブル支持壁232に本質的に平行な方向に延びている。開口部240は、側壁236を通って延びている。
【0047】
図19および図21に示すように、固定突起235が、底壁234から、ケーブル支持壁232から離れる方向に延びている。固定突起235は、構造部材214の表面に対向し、かつ本質的に平行である固定肩部または壁237を有するが、固定突起235および固定肩部237の他の構成および向きを使用してもよい。
【0048】
図14および図15に示すように、ケーブル束または構成部品218は、構造部材214の開口部212に位置決めされたブラケット210のグロメット部220を通して挿入される。構成部品218は、グロメット部220の内面238および突起230のケーブル支持壁232に接触して位置決めされる。図15に示すように、タイまたはストラップ242の一部が、取付開口部240に位置決めされて、突起230に対して取付開口部240を適切に位置決めして固定する。次に、タイまたはストラップ242は、構成部品218に巻き付けられ、締め付けられて、構成部品218を突起230およびブラケット210に固定する。
タイまたはストラップ242は、限定されないが、セルフロックピンを含むプッシュマウントタイプのタイなどの既知の方式で動作する。他の実施形態において、構成部品218がグロメット部220の内面238および突起230のケーブル支持壁32に接触して位置決めされる前に、タイまたはストラップ242が取付開口部240に位置決めされる。
【0049】
図16図23を参照すると、代替のケーブルクランプ250を使用して、構成部品をブラケット210および構造部材214に固定することができる。図示の例示的な実施形態において、クランプ250は、取付部252とクランプ部254とを有する。クランプ部254は、固定クランプアーム256と、開位置と閉位置またはクランプ位置との間でピボット部材260を中心に旋回する可動クランプアーム258とを有する。可動クランプアーム258は、構成部品が固定クランプアーム256と可動クランプアーム258との間に位置決めされ、可動クランプアーム258が閉位置に移動するときに、構成部品と協働する。固定クランプアーム256は、取付部252から延び、取付部252に取り付けられている。
例示的な実施形態において、クランプ部254はPクランプであるが、他のタイプのクランプを使用してもよい。Pクランプは、参照により本明細書に全体が組み込まれている、米国特許出願公開第2018/0273500号および第2017/0146154号に記載されている。
【0050】
クランプ部254は、異なる大きさの構成部品と協働するように構成されていてもよい。例えば、クランプ部は、閉位置またはクランプ位置にあるときに、3.175~6.35mm、6.35~9.525mm、9.525~12.7mm、12.7~15.875mm、15.875~19.05mm、19.05~22.2mm、または22.2~25.4mmの直径範囲を有することができる。
【0051】
取付部252は、上壁274と、底壁276と、上壁274と底壁276との間に延びる側壁278とを有する。突起受入開口部280が、取付部252を通って一方の側壁278から反対側の側壁278に延びている。開口部280は、突起230を内部に受け入れるような寸法である。開口部280は、突起230と同様であるが突起230よりもわずかに大きい形状を有するように構成されて、突起230を開口部280に挿入できるようにし、かつクランプ250がブラケット210に対して不要に移動することを防止する。
【0052】
図19および図21に示すように、ラッチ受入キャビティ282が取付部252の底壁276に設けられている。ラッチ受入キャビティ282は、一方の側壁278から反対側の側壁278に向かって、または反対側の側壁278に延びている。拡大凹部284が、一方の側壁278に近接してラッチ受入キャビティ282と交わる。ラッチ受入キャビティ282は、ラッチ受入キャビティ282と突起受入開口部280との間に延びる開口部286を有する。開口部286は、反対側の側壁278に近接して位置決めされている。拡大凹部284は、凹部284内に延びる突起285を有する。
【0053】
図19および図21に示すように、ラッチ機構288がラッチ受入キャビティ282に位置決めされる。ラッチ機構288は、ラッチ肩部またはラッチ壁291を有する固定部係合端290と操作者側係合端292とを有する。固定部係合端290のラッチ肩部291は、突起230の固定突起235の固定肩部237に係合して、取付部252およびクランプ250をブラケット210の突起230にしっかりと位置決めして維持する。さらに十分に説明するように、ラッチ機構288は、ラッチ受入キャビティ282において、第1の位置またはロック解除位置(図6および図7に示す)と第2の位置またはロック位置(図8および図9に示す)との間で回転するように構成されている。
【0054】
図16に示すように、動作中、クランプ250は、構成部品218がブラケット210を通して挿入された後に、構成部品218に近接して設けられる。その後、図17に示すように、クランプ250は、クランプ部254が開位置にある状態で、構成部品218上に移動する。この位置で、ラッチ機構288は、第1の位置またはロック解除位置にある。
【0055】
クランプ250は、構造部材214に向かって移動する。これが起こると、ブラケット210の突起230は、クランプ250の取付部252の突起受入開口部280に入り、クランプは図18および図19に示す位置に移動することができる。
【0056】
クランプ250が突起230に適切に位置決めされた状態で、ラッチ機構288は、ラッチ受入キャビティ282において、図18および図19に示すロック解除位置から図20および図21に示すロック位置に回転する。ラッチ機構288が回転すると、ラッチ機構288の固定部係合端290のラッチ肩部291は、開口部284において、図19に示すロック解除位置から図21に示すロック位置に移動する。ロック位置で、固定部係合端290のラッチ肩部291は、突出部230の固定突起235の固定肩部237に係合する。固定肩部237とラッチ肩部291とが係合するので、クランプ250がブラケット210の突起230から取り外されることが防止される。
【0057】
回転が起こると、ラッチ機構288の操作者側係合端292も、図18に示すロック解除位置から図20に示すロック位置に移動する。ロック位置で、操作者側係合端292は、拡大凹部284内に位置決めされ、操作者側係合端292は、凹部284内に延びる突起285に係合し、摩擦係合して配置され、それにより、操作者側係合端292と突起285との間に締まり嵌め(interference fit)をもたらす。締まり嵌めは、限定されないが、クランプ250およびブラケット210が振動に晒される環境などにおいて、操作者側係合端292およびラッチ機構288がロック位置からロック解除位置に不要に移動することを防止する。加えて、拡大凹部284に操作者側係合端292を位置決めすることにより、操作者側係合端292を不注意による不要な係合から保護する。
また、拡大凹部284に操作者側係合端292を位置決めすることにより、クランプ250がブラケット210に適切に位置決めされて固定されていることを確認するための視覚的および物理的チェックを提供する。
【0058】
クランプ250がブラケット210に適切にロックされた状態で、可動クランプアーム258は、図22および図23に示すような閉位置に回転する。この位置で、クランプ部254は閉位置に固定され、それにより、構成部品218をクランプ250において固定する。
【0059】
クランプの代替実施形態が、図24および図25に示されている。本実施形態において、クランプ350は、より大きいケーブルまたは構成部品318を収容するために、より大きくなっている。しかしながら、クランプ350の動作は、クランプ250に関して説明したものと同じである。
【0060】
クランプ250、350は、ケーブル束などの構成部品218、318を、工具なしで迅速に設置する方式でしっかりと締め付ける確実な手段を提供し、保管が必要な部品の数を減少させる。加えて、ラッチ機構288は、クランプ250、350が構成部品218、318およびブラケット210に固定され、振動して緩む可能性がないことを保証する。
【0061】
図26を参照すると、代替のブラケット410が構造部材414の開口部412に示されている。ブラケット410は、例えば、ポリマー材料、熱可塑性材料、複合材料、または金属製であってよい。開口部412は、軽減孔または他のタイプの開口部であってよい。構造部材414は、限定されないが、車両のフレームもしくは隔壁、航空機の梁もしくは隔壁、または建物の梁であってよい。開口部412は、スタンピング、切断、パンチングなどによる様々な方法で形成されてよい。開口部412は、開口部412を通って延びる構成部品18を摩損させ、もしくは切断し、もしくは他の方法で損傷させ得る側壁または縁部を有する。構成部品18は、限定されないが、ケーブルまたはケーブル束であってよい。
【0062】
ブラケット410は、限定されないがリベットなどの締付部材422によって構造部材414に締め付けられている円形部分またはグロメット部420を含む。ブラケット410は、構造部材414に締め付けられて、ブラケット410が構造部材414に対して回転することを防止する。フランジと構造板(図示せず)とが、グロメット部420の第1の端部424に配置されている。フランジは、構造部材414と協働して、グロメット部420を構造部材414に対して適切に位置決めする。構造板は、締付部材422と協働して、グロメット部420を構造部材414に保持する。開口部412の軸は、構造板の平面に垂直である。グロメット部420の第2の端部426は、フランジを含まない。
【0063】
グロメット部420は、円形の横方向断面を有する。しかしながら、グロメット部420は、本発明の範囲から逸脱することなく、限定されないが長円形の横方向断面などの他の形状を有していてもよい。グロメット部420の外面428は、開口部412に適切に嵌合する形状および大きさであり、外面428が開口部412の側壁に近接または係合するようになっている。円形のグロメット部420は、構造部材414の開口部412に嵌入するように形成されており、グロメット部420は、構成部品418が構造部材414の側壁に接触しないよう保証するのに十分な長さである。ブラケット410は、構成部品418を支持し、ブラケット410が機械的に固定されている構造部材414の側壁または縁から構成部品418を保護するように構成されている。
【0064】
突起または突出部430が、グロメット部420の第2の端部426から、第1の端部424から離れる方向に延びている。突起430は、上壁またはケーブル支持壁432と、反対側を向く底壁434と、ケーブル支持壁432と底壁434との間に延びる側壁436とを有する。ケーブル支持壁432は、グロメット部420の内面438に沿って位置決めされている。取付開口部440が、突起430を通って、ケーブル支持壁432に本質的に平行な方向に延びている。開口部440は、側壁436を通って延びている。
【0065】
図26図37を参照すると、代替のケーブルクランプまたはクランプ450を使用して、構成部品418をブラケット410および構造部材414に固定することができる。図示の例示的な実施形態において、クランプ450は、取付部452とクランプ部454とを有する。クランプ部454は、固定クランプアーム456と、開位置と閉位置またはクランプ位置との間でピボット部材460を中心に旋回する可動クランプアーム458とを有する。可動クランプアーム458は、可動クランプアーム458の内側部分に設けられた圧縮性または弾性部材462を有する。圧縮性または弾性部材462は、構成部品418が固定クランプアーム456と可動クランプアーム458との間に位置決めされ、可動クランプアーム458が閉位置に移動するときに、構成部品418と協働する。
固定クランプアーム456は、取付部452から延び、取付部452に取り付けられている。例示的な実施形態において、クランプ部454はPクランプであるが、他のタイプのクランプを使用してもよい。クランプ部454は、異なる大きさの構成部品と協働するように構成されていてもよい。例えば、クランプ部は、閉位置またはクランプ位置にあるときに、3.175~6.35mm、6.35~9.525mm、9.525~312.7mm、12.7~15.875mm、15.875~19.05mm、19.05~22.2mm、または22.2~25.4mmの直径範囲を有することができる。
【0066】
ラッチ機構464は、可動クランプアーム458から、可動クランプアーム458の自由端に近接して延びている。ラッチ機構464は、取付部係合端466と操作者側係合端468とを有する。取付部係合端466は、取付部452の可動クランプアーム係合部470に係合して、可動クランプアーム458を閉位置にしっかりと位置決めして維持する。
【0067】
取付部452は、上壁474と、底壁476と、上壁474と底壁476との間に延びる側壁477とを含むベース472を有する。突起受入開口部478が、ベース472を通って一方の側壁477から反対側の側壁477に延びている。開口部478は、突起430を内部に受け入れるような寸法である。開口部478は、突起430と同様であるが突起430よりもわずかに大きい形状を有するように構成されて、突起430を開口部478に挿入できるようにし、かつクランプ450がブラケット410に対して不要に移動することを防止する。
【0068】
凹部480が側壁477に設けられている。凹部480の長手方向軸は、上壁474の平面に本質的に平行な方向に延びている。凹部480は、開口部478近傍から、取付部452の端壁482(図33図35、および図36)近傍に延びている。
【0069】
図33図35、および図36を参照すると、第1の凹部またはキャビティ484が底壁476に設けられている。第1のキャビティ484は、端壁482に近接して設けられている。第2の凹部またはキャビティ486が底壁476に設けられている。第2のキャビティ486は、第1のキャビティ484から離間し、開口部478に近接して設けられている。
【0070】
取付部452は、スライド可能なロック部材490を有する。スライド可能なロック部材490は、上壁492と、底壁494と、上壁492と底壁494との間に延びる側壁496とを有する。
【0071】
突起500が、各側壁496から反対側の側壁496に向かって内側に延びている。突起500は、ベース472の凹部480に受け入れられるような寸法である。突起500は、ディンプルであってもよく、または他の形状を有していてもよい。
【0072】
ラッチアーム502が底壁494に設けられている。ラッチアーム502は、底壁494に取り付けられたベース504と、自由端506とを有する。自由端506はラッチ突起508を有する。ラッチアーム502は、自由端506がベース504に対して弾性的に変位することができるように構成されている。
【0073】
図34に示すように、固定アーム512が、スライド可能なロック部材490の端壁510から延びている。固定アーム512は、側壁496間に設けられている。固定アーム512は、突起430の取付開口部440に受け入れられるように構成されている自由端514を有する。固定アーム512は、端壁482に近接してテーパ構成516を有し、固定アーム512に構造的完全性を与える。
【0074】
図26に示すように、動作中、クランプ450は、構成部品418がブラケット410に挿入された後に、構成部品418に近接して設けられる。その後、図27に示すように、クランプ450は、クランプ部454が開位置にある状態で、構成部品418上に移動する。この位置で、スライド可能なロック部材490は、ロック解除位置に位置決めされる。図36および図37に示すように、スライド可能なロック部材490は、ラッチアーム102のラッチ突起508とベース472の底壁476の第1のキャビティ484との係合により、ロック解除位置に保持される。
【0075】
クランプ450は、構造部材414に向かって移動する。これが起こると、突起430は、クランプ450の取付部452のベース472の突起受入開口部478に入り、クランプは図28に示す位置に移動することができる。
【0076】
クランプ450が突起430に適切に位置決めされた状態で、スライド可能なロック部材490は、図36および図37に示すロック解除位置から図32図33、および図34に示すロック位置に移動する。スライド可能なロック部材490が移動すると、ラッチアーム502のラッチ突起508は、底壁476の第1のキャビティ484から抜け出て、図35に示すように底壁476上をスライドする。これが起こると、側壁496の突起500はベース472の凹部480にスライドする。加えて、固定アーム512は、突起430の取付開口部440内に移動する。
【0077】
これは、ラッチアーム502のラッチ突起508が第2のキャビティ486内に移動し、図29図32図33、および図34に示すように、スライド可能なロック部材490をロック位置に配置するまで継続する。図34に示すようなロック位置で、固定アーム512は突起430の取付開口部440に完全に挿入され、それにより、クランプ450をブラケット410に固定する。スライド可能なロック部材490は、二次ロックとして作用して、クランプ450がブラケット410に適切に位置決めされて固定されていることを確認するための視覚的および物理的なチェックを提供する。
【0078】
クランプ450がブラケット410に適切にロックされた状態で、可動クランプアーム458は、図30に示すような閉位置に回転する。ラッチ機構464の操作者側係合端468は係合され、ラッチ機構464は図31に示す位置に回転する。この位置で、クランプ部454は閉位置に固定され、それにより、構成部品418をクランプ450において固定する。
【0079】
クランプ450は、ケーブル束などの構成部品を、工具なしで迅速に設置する方式でしっかりと締め付ける確実な手段を提供し、保管が必要な部品の数を減少させる。加えて、スライド可能なロック部材490は、クランプ450がブラケット410に固定され、振動して緩む可能性がないことを保証する。
【0080】
クランプ450を、図示の向きで設置しても、180度回転させてもよい。クランプ450およびブラケット410は、ブラケット410に位置決めされると、構造部材414に対して回転可能に固定される。
【0081】
図38図42を参照すると、代替の例示的なブラケット610が示されている。ブラケット610は、例えば、ポリマー材料、熱可塑性材料、複合材料、または金属製であってよい。ブラケット610は、ベース部620を含む。ベース部620は、円形の横方向断面を有する。しかしながら、ベース部620は、本発明の範囲から逸脱することなく、限定されないが、長円形の横方向断面などの他の形状を有していてもよい。
【0082】
突起または突出部630が、ベース部620から延びている。突起630は、上壁632と、反対側を向く底壁634と、上壁632と底壁634との間に延びる側壁636とを有する。取付開口部640が、突起630を通って上壁632に本質的に平行な方向に延びている。開口部640は、側壁636を通って延びている。様々な大きさのクランプ450を、ブラケット610の突起630に取り付けることができる。図39図42に示す例示的なクランプ450は、突起630に嵌め込まれ、前述したクランプ450と同様の方式で動作するので、詳細な説明は繰り返さない。
【0083】
様々な例示的なブラケットが示されているが、本出願の範囲から逸脱することなく、ブラケットは、異なる構成を有してもよく、異なる適用において使用されてもよい。加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、クランプ450の異なる構成を使用してもよい。ブラケットとクランプとは、迅速に取り付けて固定することができる、工具不要でハードウェア(器材)不要の取付システムを例示するように示されている。
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【国際調査報告】