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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】ペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/142 20160101AFI20230213BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20230213BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20230213BHJP
【FI】
A23K20/142
A23K50/40
A23K10/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536626
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019066618
(87)【国際公開番号】W WO2021126159
(87)【国際公開日】2021-06-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
(72)【発明者】
【氏名】パニッカー、キラン
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、ローラ
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA04
2B005AA06
2B005AA07
2B005MA02
2B150AA06
2B150AB03
2B150AB10
2B150AC06
2B150AC07
2B150AC08
2B150AC25
2B150AE02
2B150AE05
2B150AE08
2B150AE12
2B150AE32
2B150AE33
2B150AE34
2B150AE38
2B150AE50
2B150BD01
2B150BD06
2B150BE02
2B150BE04
2B150BE10
2B150CC01
2B150CD02
2B150CE02
2B150CE04
2B150CE05
2B150CE07
2B150CE12
2B150CJ02
2B150CJ04
2B150CJ07
2B150CJ08
2B150DA23
2B150DA52
2B150DA62
2B150DD63
2B150DE01
(57)【要約】
本明細書には、有効量のベタインおよびカルニチンを(関連する部分において)含むペットフード組成物が記述される。これらの組成物を作成および使用する方法も記述される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
(a)約700ppm~約10,000ppmの添加ベタインと、
(b)約50ppm~約1000ppmの添加カルニチンと、を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
ミネラル、ビタミン、炭水化物源、脂肪、タンパク質、繊維源、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化剤、脂肪酸、グルコース模倣体、プロバイオティック、プレバイオティック、これらの二つ以上の組み合わせから選択される追加的な成分をさらに含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
約1,500ppm~約7,000ppmのベタイン、随意に約5,000ppmのベタインを含む、請求項1または請求項2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
約100ppm~約700ppmのカルニチン、随意に約300ppmのカルニチンを含む、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
ベタインとカルニチンとの質量比が、約25:1~約5:1である、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
ベタインとカルニチンとの質量比が、約18:1~約8:1である、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
コンパニオンアニマルがイヌ科動物である、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の組成物を含む、栄養的に完全なペットフード。
【請求項9】
前記ペットフードがウェットペットフードである、請求項8に記載のペットフード。
【請求項10】
前記ペットフードがドライペットフードである、請求項8に記載のペットフード。
【請求項11】
抗炎症性アジュバントをさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項12】
前記抗炎症性アジュバントが、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、クローブ、ジンジャー、ローズマリー、パプリカ、ベリー(例えば、ブルーベリー)、これらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項11に記載のペットフード組成物。
【請求項13】
前記ベタインおよびカルニチンが、循環リポ多糖類を低減するのに有効な量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項14】
前記ベタインおよびカルニチンが、炎症を減少するのに有効な量で存在する、請求項1~13のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項15】
前記ベタインおよびカルニチンが、抗炎症性サイトカインを増加するのに有効な量で存在する、請求項1~14のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項16】
前記抗炎症性サイトカインが、インターロイキン-1受容体拮抗薬(IL-1ra)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-13(IL-13)、形質転換増殖因子-ベータ(TGF-β)、これらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項15に記載のペットフード組成物。
【請求項17】
炎症性の疾患、障害または状態を伴う症状を治療、予防、または改善するための方法であって、請求項1~16のいずれかに記載のペットフード組成物を、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項18】
前記炎症性の疾患、障害または状態が、炎症性腸疾患、犬ジステンパー、狂犬病、クリプトコッカス症、コクシジオイデス症、トキソプラズマ症、ネオスポラ病、ロッキー山紅斑熱、エーリキア症、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、脳炎、関節炎、関節痛、腫脹から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の有効量のペットフードを前記コンパニオンアニマルに投与することを含む、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善する方法。
【請求項20】
前記コンパニオンアニマルがイヌ科動物である、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
眼の不快感を低減するための方法および組成物は、米国特許第10,085,960号に開示されている。その開示は、様々な疾患または状態(特に涙液膜の高張性を伴う疾患または状態)を伴う眼の不快感を低減するための、浸透圧調節物質のような薬剤、特にベタインまたはカルニチン化合物を含む組成物および装置に関する。その開示はまた、本開示の組成物および装置を使用して、様々な疾患または状態を治療または予防する方法にも関する。
【0002】
グリシンベタインおよび抗出血剤としてのその使用は、国際特許公開第WO/2002/062322号に開示されている。医薬的組み合わせは、少なくとも一つの出血性副作用を有する治療有効量の治療活性剤と、当該出血性副作用を予防または低減するために治療有効量の式(CH(CHCOO(nは1~5の整数)の化合物とを含む。
【0003】
グリシンベタイン(ベタイン)は、生命体におけるトランスメチル化反応においてメチル基ドナーとして作用する。ベタインは、多数の脊椎動物組織に浸透圧調節物質として発生し、浸透圧保護を確実にする。ベタインは子豚にとって、完全飼料2000mg/kgの最大補給割合にて、5未満の余裕安全率で安全である。この結論は、あらゆるブタに拡張され、すべての動物種および動物分類に外挿される。最大で2000mg/kgの完全飼料の栄養補助での飼料添加物としてのベタインの使用は、消費者の安全性に対する懸念を提起する可能性は低い。データがない中で、無水ベタインは、吸入による危険、皮膚、眼、粘膜に対する刺激物、および皮膚感作物質であると考えられるべきである。無水ベタインを用いた飼料の栄養補助は、環境に対するリスクをもたらさない。ベタインは、飼料または飲用水を介して投与された時に、すべての動物種および動物分類において効果がある可能性を有する。FEEDAPパネルは、(i)完全飼料および飲用水における栄養補助ベタインの最大含有量の導入、(ii)飼料および飲用水におけるベタインの併用の回避、および(iii)予混合物におけるベタインと塩化コリンの同時含有の回避について、幾つかの推奨を行った。
【0004】
ペットフード組成物を製剤化する当技術分野における多くの進歩が、疾患を治療するその能力の改善に関して行われているものの、多くのさらなる課題が残されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善するための新しいアプローチを対象とし、ベタインおよびカルニチンの添加は、基礎的な炎症を低減し(これは炎症を有する動物において望ましい効果である)、なおかつ急性炎症を促進する(これは感染と闘う動物において望ましい効果である)。この免疫応答の改善は、高量のベタインおよびカルニチンを含む食餌組成物を動物に給餌することによって達成される。
【0006】
本発明はまた、高量のグリシンベタインおよび高量のカルニチンを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物も対象とする。一実施形態において、本発明は、約700ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインと、約50ppm~約1000ppmの添加カルニチンとを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とする。
【0007】
グリシンベタイン、または単にベタインは、トリメチルグリシンまたはその付加物である。グリシンベタインは、N-トリメチル化アミノ酸であり、第四級アンモニウムが中性のpHにて双性イオンとして存在する。グリシンベタインは式(CH-CH-COO-を有する。
【0008】
グリシンベタインはまた、化合物グリシンベタインの付加物(その水和物、酸、または塩など)を含む。水和物の例としては、一水和物、二水和物、三水和物、これに類するものが挙げられる。
【0009】
カルニチンは、β-ヒドロキシ-γ-N-トリメチルアミノ酪酸、または3-ヒドロキシ-4-N,N,N-トリメチルアミノブチレートであり、式Me-CH-CHOH-CH-COO-を有する。カルニチンは、大半の哺乳類、植物、一部の細菌における代謝に伴う第四級アンモニウム化合物である。一実施形態において、本発明で使用されるカルニチンは、L-エナンチオマーである。
【0010】
アセチル-L-カルニチンは、L-カルニチンのアシル化形態であり、式Me-CH-C*H(O-C(=O)-Me)-CH-COO-を有する。プロピオニル-L-カルニチンは、ある特定の実施形態において、3-プロパノイルオキシ-4-(トリメチルアザニウムイル)ブタノエート、3-(1オキソ-プロポキシ)-4-トリメチルアンモニウムクロリド)ブタン酸、グリシンプロピオニル-L-カルニチン、L-カルニチンプロピオニル、LPC、PLC、GPLC、プロピオニルカルニチンのうちの一つ以上と同等である。
【0011】
カルニチンは本発明の食餌組成物中に、約50ppm~約1000ppmのレベルの添加カルニチンで存在する。
【0012】
本発明の一部の実施形態は、添加グリシンベタインと添加カルニチンとを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とし、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約25:1~約5:1である。この比は質量比であり、すなわちグリシンベタインの質量がカルニチンの質量の約5倍~25倍であることを意味する。
【0013】
グリシンベタインまたはカルニチンのいずれか、またはその両方は多くの場合、数多くのペットフード(栄養的に完全なペットフード)中に少量存在する。原料に応じて、これらの二つの成分のいずれかのこれらの少量(すなわち、バックグラウンド量)は、数十または数百ppmでありうる。
【0014】
「添加グリシンベタイン」および「添加カルニチン」という用語における「添加」という用語は、これらの成分が、本発明の食餌組成物の調製中、または調製後に特異的に添加されたことを意味する。
【0015】
コンパニオンアニマル用の食餌組成物は、コンパニオンアニマルに提供され、かつコンパニオンアニマルによって消費される任意のタイプの食物を意味する。食餌組成物は、動物の排他的な、またはほぼ排他的な摂取食物としてコンパニオンアニマルに提供され、かつコンパニオンアニマルによって消費される完全な食餌であってもよい。
【0016】
本発明はまた、約700ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインと、約50ppm~約1000ppmの添加カルニチンと、基礎食餌組成物とを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とする。一実施形態において、基礎食餌組成物は、完全である食餌組成物である。本発明は、ベタインおよびカルニチンを含む食餌組成物を含む、栄養的に完全なペットフードを対象とする。
【0017】
栄養的に完全な食餌は、ビタミン、ミネラル、充填剤、食味強化剤、結合剤、風味剤、安定剤、乳化剤、甘味料、着色剤、緩衝剤、塩、コーティング、これに類するものなどの当業者に周知の追加的な成分を含有する。
【0018】
ペットフードは、ウェットペットフードであってもよい。ペットフードは、当業者に周知の従来の食物調製プロセスを使用して、缶詰またはウェット形態で調製されてもよい。代替的に、ペットフードは、ドライペットフードである。ペットフード組成物は、当業者に周知の従来のプロセスを使用して、ドライ形態で調製されてもよい。
【0019】
コンパニオンアニマルは概して、イヌ科動物またはイヌである。本発明の食餌組成物は、老犬または小型犬および超小型犬の治療に特に適している。
【0020】
さらに、本発明はまた、有効量の食餌組成物を含むペットフードをコンパニオンアニマルに投与することを含む、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善する方法を対象とする。一実施形態において、食餌組成物は、栄養的に完全なドッグフードである。
【0021】
この方法は、添加ベタインおよびカルニチンを含む食物を投与することによって、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善する。高量のベタインおよびカルニチンの使用は、基礎的な炎症を低減し、なおかつ急性炎症を促進することが示されている。基礎的な炎症の低減は、炎症を有する動物において望ましい効果である。急性炎症の促進はまた、感染と闘っているコンパニオンアニマルにおいて望ましい効果である。
【0022】
この免疫応答を最大化するために、添加カルニチンと添加ベタインの両方を有する食餌療法を以下に示す。ベタインとカルニチンの組み合わせの使用によるこの応答は、ベタインもしくはカルニチンのいずれかを有しない、またはベタインのみを有する、もしくはカルニチンのみを有する食餌の応答よりも大きく、またはベタインのみの使用とカルニチンのみの使用とを合わせた場合に予測される通りの応答である。イヌの食餌において、ベタイン単独とカルニチン単独のデータから予測される効果よりも大きい、ベタインおよびカルニチンの使用のまだ説明のつかない相乗効果があるように思われる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的な目的のために、その様々な例示的な実施形態を参照することによって、本発明の原理が記述される。本発明のある特定の実施形態が本明細書に具体的に記述されているが、当業者であれば、同じ原理が等しく適用可能であり、他の装置および方法に採用することができることを容易に認識するであろう。本発明の開示された実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその用途において、示された任意の特定の実施形態の詳細に限定されないことが理解される。本明細書で使用される用語は、記述の目的のためのものであり、限定の目的のためではない。
【0024】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0025】
本明細書に引用または参照されるすべての特許、特許出願、刊行物、その他の参考文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0026】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別様を規定しない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種だけでなく、それらの化学種の混合物も指す。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」、「少なくとも一つの」という用語は、本明細書において互換的に使用される場合がある。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語は、互換的に使用される場合がある。「含む(include)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。
【0027】
本明細書で使用される略語および記号は、別途示されない限り、通常の意味を有する。略語または記号「ln」は、自然対数または数学的定数eの底に対する対数を意味し、また「pH」は水素イオンの活性の10を底とする対数の負数である。
【0028】
化学式中の記号は、その通常の意味を取る。一実施形態において、記号C、H、Br、Cl、F、N、Oはそれぞれ、炭素、水素、臭素、塩素、フッ素、窒素、酸素を意味する。記号「-」、「=」はそれぞれ、単一の共有結合、二重共有結合を意味する。記号「Me」は、メチルまたは-CHを意味する。C*などの化学式内の星印は、原子がキラル中心であることを示す。上付き文字「+」および「-」は、局所的な電荷を示す。小さい大文字「l」および「d」の接頭辞は、キラル有機化合物を示し、化合物の(+)-グリセルアルデヒドに対する絶対配置に基づく。
【0029】
略語「ppm」は、重量百万分率を意味する。記号「°」は、角度および摂氏度を含む度を指す。
【0030】
数値に伴う「約」という用語は、その数値の10%の範囲内の任意の数値を意味する。例えば、「約700」は、630.00と770.00の間の任意の数値およびこれらを含む数値を指す。
【0031】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。
【0032】
「コンパニオンアニマル」という用語は、家庭内のコンパニオンとして、または一人以上の人間と日々密接な関係を有して、身体的、感情的、行動的、社会的ニーズを容易に満たすことができる、家畜化された動物または家庭用に育種された動物を指す。一実施形態において、コンパニオンアニマルの定義に含まれる種としては、イヌ、イヌ科動物、ネコ、ネコ科動物、ウマ、ウサギ、フェレット、モルモット、および選択された他の小型哺乳類が挙げられる。別の実施形態において、コンパニオンアニマル定義に含まれる種としては、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、フェレット、モルモット、および他の小型哺乳類、鳥、小型爬虫類、魚類、および家畜動物が挙げられる。
【0033】
「イヌ」という用語の定義は、コンパニオンドッグ、番犬、狩猟犬、放牧犬、作業犬を含む。
【0034】
本明細書で使用される「アダルトペット」という用語は「ペット」のサブセットを指し、例えば約3歳~約8歳の家畜化された犬(イヌ科動物)および飼育ネコ(ネコ科動物)を含む。
【0035】
本明細書で使用される「シニアペット」という用語は「ペット」のサブセットを指し、例えば約9歳以上の家畜化された犬(イヌ科動物)および猫(ネコ科動物)を含む。
【0036】
「食餌組成物」という用語は、コンパニオンアニマルによる消費のための食物、またはイヌによる消費のための食物を指す。この用語は広義に解釈されるべきものであり、その用語には、コンパニオンアニマルまたはネコによって排他的な原則で消費される食物、コンパニオンアニマルまたはイヌによって定期的な原則で消費される食物、コンパニオンアニマルまたはイヌによって時折の原則で消費される食物、コンパニオンアニマルまたはイヌによって稀な原則で消費される食物が含まれる。
【0037】
属を例示または定義するために使用される種のリスト内の任意のメンバーは、種のリストの他の任意のメンバーと相互に異なるか、重複するか、サブセットであるか、同等であるか、ほぼ同じであるか、同一である場合がある。さらに、マーカッシュ群を列挙する場合など、明示的に記載されない限り、属を定義または例示する種のリストは公開されていて、列挙される任意の他の種と同様に、またはそれより良好に、属を定義または例示する他の種が存在する場合があることが示されている。
【0038】
本発明は、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善するための新しいアプローチを対象とし、ベタインおよびカルニチンの添加は、基礎的な炎症を低減し(これは炎症を有する動物において望ましい効果である)、なおかつ急性炎症を促進する(これは感染と闘う動物において望ましい効果である)。この免疫応答の改善は、高量のベタインおよびカルニチンを含む食餌組成物を動物に給餌することによって達成される。
【0039】
本発明はまた、高量のグリシンベタインおよび高量のカルニチンを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物も対象とする。一実施形態において、本発明は、約700ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインと、約50ppm~約1000ppmの添加カルニチンとを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とする。
【0040】
グリシンベタイン、または単にベタインは、トリメチルグリシンまたはその付加物である。グリシンベタインは、トリメチルグリシン、2-トリメチルアンモニオアセテート、またはN,N,N-トリメチルグリシンとしても知られ、TGMと略称される。グリシンベタインは、アミノ酸グリシンの誘導体である。グリシンベタインは、N-トリメチル化アミノ酸であり、第四級アンモニウムが中性のpHにて双性イオンとして存在する。グリシンベタインは式(CH-CH-COO-を有する。
【0041】
一実施形態において、グリシンベタインの定義は、化合物グリシンベタインの付加物(その水和物、酸、または塩など)を含む。水和物の例としては、一水和物、二水和物、三水和物、これに類するものが挙げられる。一部の実施形態において、グリシンベタインに対する水分子の分子比は、非整数である。グリシンベタインの酸付加物としては、フッ化水素、HF、塩化水素、HCl、臭化水素、HBr、ヨウ化水素、HI、これらの混合物などの水素ハロゲン化物が挙げられる。
【0042】
グリシンベタインは、メチオニンの正常な代謝サイクルで機能し、メチオニン代謝の先天的なエラーを有する患者においてホモシスチン尿症を低減するメチル基ドナーである。幾つかの法域において、ヒトおよび動物に対する使用が承認されている。グリシンベタインは、tHcyレベルを低下させず、または臨床症状を予防しない。
【0043】
イヌ科動物に対して、グリシンベタインは、脂肪およびタンパク質を分解することによって食物を消化するのを助けるために使用されてきた。ベタインはペプシノゲンをペプシン変換へと活性化し、胆汁および膵酵素の流れを刺激し、栄養素の吸収を促進し、細菌および真菌の過剰繁殖の予防に役立つという仮説が立てられている。
【0044】
グリシンベタインは、グリシンをヨウ化メチルと混合することによって簡単に調製することができる。グリシンベタインはまた、サトウダイコンからのスクロースの加工中に副産物として生成されてもよい。
【0045】
グリシンベタインは、DuPont Nutrition & Biosciences(英国ウィルトシャー州マールボロ)、Associated British Foods PLC(英国ロンドン)、American Crystal Sugar(米国ミネソタ州ムーアヘッド)、Sunwin Biotech Shangdong Co.Ltd.(中国山東省イ坊市)、Stepan Co.(米国イリノイ州ノースフィールド)、Amino GmbH(ドイツ・ニーダーザクセン州フレルシュテット)、これに類するものを含む商業的供給源から得てもよい。
【0046】
本発明は、約700ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインと、約50ppm~約1,000ppmの添加カルニチンとを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とする。
【0047】
本発明の食餌組成物は、約700ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約700ppm~約7,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約700ppm~約5,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約700ppm~約3,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約700ppm~約1,500ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約700ppm~約1,000ppmの添加グリシンベタインを含む。
【0048】
一実施形態において、食餌組成物は、約1,000ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,000ppm~約7,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,000ppm~約5,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,000ppm~約3,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,000ppm~約1,500ppmの添加グリシンベタインを含む。
【0049】
一実施形態において、食餌組成物は、約1,500ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,500ppm~約7,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,500ppm~約5,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約1,500ppm~約3,000ppmの添加グリシンベタインを含む。
【0050】
一実施形態において、食餌組成物は、約3,000ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約3,000ppm~約7,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約3,000ppm~約5,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約5,000ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約5,000ppm~約7,000ppmの添加グリシンベタインを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約7,000ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインを含む。
【0051】
本発明は、上記の質量範囲のいずれかの添加グリシンベタインを含む、およびまた約50ppm~約1,000ppmの添加カルニチンをさらに含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とする。
【0052】
一実施形態において、カルニチンは、β-ヒドロキシ-γ-N-トリメチルアミノ酪酸、または3-ヒドロキシ-4-N,N,N-トリメチルアミノブチレートであり、式Me-CH-CHOH-CH-COO-を有する。カルニチンは、大半の哺乳類、植物、一部の細菌における代謝に伴う第四級アンモニウム化合物である。カルニチンはアミノ酸に由来し、ほぼすべての生命体および動物組織において様々な濃度で見いだされる。
【0053】
一実施形態において、カルニチンは、D-カルニチンおよびL-カルニチンという二つの異性体で存在し、これらは両方とも生物学的に活性である。しかしながら、L-カルニチンは、有益な活性を有する好ましい異性体であり、D-カルニチンは、その使用に関連付けられたある特定の毒性を有する場合がある。室温にて、純粋なカルニチンは白色の粉末であり、毒性が低い水溶性双性イオンである。一実施形態において、本発明で使用されるカルニチンは、L-エナンチオマーである。
【0054】
一実施形態において、カルニチンは、水酸化物基がエステル化されたカルニチンを含む。例としては、アセチル-L-カルニチンおよびプロピオニル-L-カルニチンが挙げられる。
【0055】
アセチル-L-カルニチンは、L-カルニチンのアシル化形態であり、式Me-CH-C*H(O-C(=O)-Me)-CH-COO-を有する。食餌性アセチルカルニチンは、血漿エステラーゼによって血液中でカルニチンに分解され、これは分解のために脂肪酸をミトコンドリアの中に輸送するために身体によって使用される。ヒトおよび非ヒト動物において、アセチル-L-カルニチンは、アルツハイマー病、加齢による記憶喪失、晩期うつ病、アルコール依存症に関連する思考の問題、ライム病に関連する思考の問題、肝臓の著しい機能低下に関連する思考の問題、肝性脳症、皮膚の老化、アルコール依存症からの離脱、ダウン症候群、双極性障害、脳卒中後の脳の循環不良、白内障、糖尿病による神経痛、AIDSまたはがんの治療で使用される薬剤による神経痛、座骨神経痛によって生じた神経痛、線維筋痛症、顔面麻痺、加齢に関連する疲労、多発性硬化症に関連する疲労、筋萎縮性側索硬化症、脆弱X症候群の遺伝的状態を有する小児における高レベルの活性、注意欠陥多動性障害(ADHD)を含む様々な精神の障害治療のために使用される。
【0056】
プロピオニル-L-カルニチンは、ある特定の実施形態において、3-プロパノイルオキシ-4-(トリメチルアザニウムイル)ブタノエート、3-(1-オキソプロポキシ)-4-トリメチルアンモニウムクロリド)ブタン酸、グリシンプロピオニル-L-カルニチン、L-カルニチンプロピオニル、LPC、PLC、GPLC、プロピオニルカルニチンのうちの一つ以上と同等である。
【0057】
ヒトまたは動物において、血液循環不良(末梢血管疾患、PVD)による下肢痛(間欠性跛行)の治療のためにプロピオニル-L-カルニチンが使用される。PVDは多くの場合、糖尿病または「動脈硬化」(アテローム性動脈硬化症)によって引き起こされる。プロピオニル-L-カルニチンは、うっ血性心不全(CHF)、胸痛(狭心症)、一部の腸管障害(潰瘍性大腸炎など)を治療するためにも使用される。
【0058】
カルニチンは本発明の食餌組成物中に、約50ppm~約1000ppmのレベルの添加カルニチンで存在する。
【0059】
一実施形態において、食餌組成物は、約50ppm~約1,000ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約50ppm~約700ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約50ppm~約500ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約50ppm~約300ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約50ppm~約100ppmの添加カルニチンを含む。
【0060】
一実施形態において、食餌組成物は、約100ppm~約1,000ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約100ppm~約700ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約100ppm~約1000ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約100ppm~約300ppmの添加カルニチンを含む。
【0061】
一実施形態において、食餌組成物は、約300ppm~約1,000ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約300ppm~約700ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約300ppm~約3000ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約500ppm~約1,000ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約500ppm~約700ppmの添加カルニチンを含む。一実施形態において、食餌組成物は、約700ppm~約1,000ppmの添加カルニチンを含む。
【0062】
一実施形態において、本発明は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とし、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約25:1~約5:1である。この比は質量比であり、すなわちグリシンベタインの質量がカルニチンの質量の約5倍~25倍であることを意味する。
【0063】
一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約25:1~約5:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約25:1~約8:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約25:1~約12:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約25:1~約18:1である。
【0064】
一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約18:1~約5:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約18:1~約8:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約18:1~約12:1である。
【0065】
一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約12:1~約5:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約12:1~約8:1である。一実施形態において、食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンとを含み、添加グリシンベタインとカルニチンの比は約8:1~約5:1である。
【0066】
グリシンベタインまたはカルニチンのいずれか、またはその両方は多くの場合、数多くのペットフード(栄養的に完全なペットフード)中に少量存在する。原料に応じて、これらの二つの成分のいずれかのこれらの少量(すなわち、バックグラウンド量)は、数十または数百ppmでありうる。
【0067】
「添加グリシンベタイン」および「添加カルニチン」という用語における「添加」という用語は、これらの成分が、本発明の食餌組成物の調製中、または調製後に特異的に添加されたことを意味する。これは、ある特定の実施形態において、グリシンベタインまたはカルニチンの測定可能なレベルが、こうした添加成分の量よりも大きくてもよいことを意味する。
【0068】
一実施形態において、グリシンベタインのバックグラウンド量の量は、添加されたグリシンベタインの量に対して無視できる。一実施形態において、グリシンベタインのバックグラウンド量の量は、添加されたグリシンベタインの量に対して統計的に有意である。一実施形態において、カルニチンのバックグラウンド量の量は、添加されたカルニチンの量に対して無視できる。一実施形態において、カルニチンのバックグラウンド量の量は、添加されたカルニチンの量に対して統計的に有意である。
【0069】
一実施形態において、カルニチンのバックグラウンド量とグリシンベタインのバックグラウンド量との両方はそれぞれ、添加されたカルニチン量と添加されたグリシンベタインの量に対して無視できる。一実施形態において、カルニチンのバックグラウンド量とグリシンベタインのバックグラウンド量との両方はそれぞれ、添加されたカルニチン量と添加されたグリシンベタインの量に対して統計的に有意である。
【0070】
一実施形態において、コンパニオンアニマル用の食餌組成物は、コンパニオンアニマルに提供され、かつコンパニオンアニマルによって消費される任意のタイプの食物を意味する。一実施形態において、食餌組成物は、動物の排他的、またはほぼ排他的な摂取食物としてコンパニオンアニマルに提供され、かつコンパニオンアニマルによって消費される完全な食餌である。
【0071】
一実施形態において、食餌組成物は、コンパニオンアニマルに提供される、かつコンパニオンアニマルによって消費される食餌であり、動物の摂取食物の大半を構成する。こうした食餌は、1日に1回または数回使用されてもよい。
【0072】
一実施形態において、食餌組成物は、コンパニオンアニマルに提供される、かつコンパニオンアニマルによって消費される食餌であり、動物の摂取食物の取るに足らない一部を構成する。こうした食餌は、週に数回、または月に数回など、時折のみ使用されてもよい。
【0073】
さらに、本発明はまた、約700ppm~約10,000ppmの添加グリシンベタインと、約50ppm~約1000ppmの添加カルニチンと、基礎食餌組成物とを含む、コンパニオンアニマル用の食餌組成物を対象とする。一実施形態において、基礎食餌組成物は、完全である食餌組成物である。こうした組成物は、排他的な、またはほぼ排他的な原則で、提供および消費されてもよい。一実施形態において、基礎食餌組成物は、完全な食餌に必要な成分の一部のみを含有する。こうした食餌組成物は、コンパニオンアニマルに時折投与されるのに適している。
【0074】
コンパニオンアニマル用の食餌組成物は、添加グリシンベタインと、添加カルニチンと、粗タンパク質、炭水化物、不溶性繊維および可溶性繊維から成る食物繊維、粗脂肪、粗繊維、灰分、水分、ならびにこれに類するものなどの成分を含む基礎食餌組成物とを含んでもよい。
【0075】
ペットフード組成物は当技術分野で周知の添加物を含有してもよい。こうした添加物は、本発明によって提供される目的および効果を損なわない量で存在するべきである。添加物の例としては、安定化効果を有する物質、感覚刺激物質、加工助剤、栄養利益を提供する物質が挙げられる。
【0076】
安定化物質は、組成物の貯蔵寿命を延ばす場合がある。適切な例としては、防腐剤、抗酸化剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤を挙げることができる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、加工デンプンが挙げられる。
【0077】
着色、食味、栄養の目的のための添加物としては、着色剤、塩(塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、その他の食用塩類を含むがこれらに限定されない)、ビタミン、ミネラル、香料を挙げることができる。組成物中のこうした添加物の量は典型的に、(組成物の乾燥物質基準で)最高約5重量%である。他の添加物としては、抗酸化物質、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、植物抽出物、薬草抽出物などを挙げることができる。
【0078】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物は、欠乏を回避し、健康を維持するために必要とされる量でビタミンおよびミネラルを含む。これらの量は当技術分野において容易に入手可能である。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、イヌおよびネコに推奨される、こうした栄養素の量を提供している(Association of American Feed Control Officials.Official Publication,pp.126-140(2003)を参照のこと)。
【0079】
ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミンまたは硝酸チアミンなどの関連源)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸、またはパントテン酸カルシウムなどの関連源)、ビタミンB6(ピリドキシン、または塩酸ピリドキシンなどの関連源)、ビタミンB8(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(ビタミンD3サプリメントなど)、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、酢酸塩、コリンおよびコリン関連源(塩化コリンなど)、イノシトールを例として挙げることが可能である。
【0080】
ミネラルおよび微量元素としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、コリン、鉄塩を例として挙げることが可能である。ミネラル源としては、例えば亜セレン酸ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、および/または炭酸コバルトを挙げることができる。
【0081】
本明細書で使用される「炭水化物」という用語には、加水分解されるとエネルギーとして代謝される多糖類(例えば、デンプン、デキストリン)および糖類(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース)が含まれる。本明細書に開示される組成物中に含めるのに適した炭水化物の例としては、トウモロコシ、グレインソルガム、小麦、大麦、コメが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
ある特定の実施形態において、炭水化物構成成分は、一つ以上の炭水化物源の混合物を含む。炭水化物または炭水化物成分の例には、穀類、穀物、トウモロコシ、小麦、コメ、オート麦、ひき割りトウモロコシ、ソルガム、グレインソルガム/ミロ、小麦ブラン、オートブラン、アマランス、デュラム、および/またはセモリナが含まれてもよい。
【0083】
炭水化物源のバランスを適切に取ることによって、当業者は最終製品の食感を操作することができる。例えば、短鎖多糖類は粘り気や糊気が出やすく、長鎖多糖類は短鎖よりも粘り気や糊気が出にくく、このハイブリッド食品の所望の食感は、長鎖多糖類および加工デンプン(天然または加工デンプン、セルロース、これに類するものなど)によって達成される。
【0084】
炭水化物混合物は、添加された塩、スパイス、調味料、ビタミン、ミネラル、風味剤、着色剤、これに類するものなどの任意の成分を追加的に含んでもよい。任意の添加物の量は、動物の異なるライフステージでの栄養要件に少なくとも部分的に依存する。
【0085】
一部の実施形態において、本発明は約10重量%~約14重量%の脂肪を含んでもよい。脂肪または脂肪成分源は、鶏肉脂肪、鶏脂、七面鳥脂肪、豚脂、ラード、獣脂、牛脂、植物油、コーン油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、アマニ油、キャノーラ油、なたね油、魚油、ニシン油、アンチョビ油、および/またはオレストラを含んでもよい。
【0086】
一部の実施形態において、本発明は約15重量%~約20重量%のタンパク質を含んでもよい。「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリペプチド、ペプチド、またはポリマーを意味する。この用語は、自然発生的および非自然発生(合成)ポリマーと、人工化学模倣品が一つ以上のアミノ酸に対して置換されているポリマーとを包含する。この用語はまた、同じまたは実質的に同じ特性を有し、かつ元の配列と同じまたは実質的に同じ機能を実施する断片、バリアント、相同体を包含する。この用語は、約2~1000、4~800、6~600、8~400のアミノ酸を含有するポリマーを含む、任意の長さのポリマーを包含する。この用語は、合成された、ならびに天然源から単離および精製されたアミノ酸ポリマーを含む。一部の実施形態において、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は互換的に使用される。
【0087】
タンパク質は、植物源、動物源、またはその両方を含む、当業者に周知の任意の様々な源によって供給されてもよい。例えば、動物源としては、例えば肉、食肉副産物、海産物、乳製品、卵などが挙げられてもよい。肉としては、例えば鶏肉、魚、哺乳類(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、これに類するものを含む)などの動物の肉が挙げられてもよい。肉副産物は、一次食品加工ラインからの任意の二次製品を含んでもよい。また、例えば肺、腎臓、脳、肝臓、胃、腸など、ヒトの消費に典型的に使用されない一部の成分も含んでもよい。植物タンパク質としては、例えば大豆、綿実、ピーナッツが挙げられる。
【0088】
タンパク質、またはタンパク質成分の例としては、チキンミール、鶏肉、鶏肉副産物ミール、ラム肉、ラム肉ミール、七面鳥、七面鳥ミール、牛肉、牛肉副産物、内臓、魚粉、腸内物、カンガルー、白身魚、鹿肉、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、コーングルテンミール、コーンタンパク質濃縮物、蒸留機乾燥穀物および/または蒸留機乾燥穀物溶液、単細胞タンパク質(例えば酵母、藻類、および/または細菌培養物)などを含んでもよい。
【0089】
タンパク質は無傷である、完全に加水分解する、または部分的に加水分解することができる。食品のタンパク質含有量は、当業者に周知の幾つかの方法、例えば公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists)がOfficial Methods of Analysis(「OMA」)において公表している988.05法などによって決定することができる。本明細書に開示される組成物中のタンパク質の量は、当業者に知られている方法に従った組成物の窒素の量に基づいて決定されてもよい。
【0090】
アミノ酸の例としては、1-トリプトファン、タウリン、ヒスチジン、カルノシン、アラニン、システイン、アルギニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、アスパラギン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、イソロイシン、ヒスチジン、ロイシン、グリシン、グルタミン、タウリン、チロシン、ホモシステイン、オルニチン、シトルリン、グルタミン酸、プロリン、および/またはセリンを含んでもよい。カロテノイド源としては、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ビキシン、リコピン、および/またはβカロチンを含んでもよい。抗酸化剤成分源としては、トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンC、ビタミンA、植物由来の材料、カロテノイド(上述)、セレン、および/またはCoQ10(コエンザイムQ10)を含んでもよい。
【0091】
脂肪酸成分の例としては、アラキドン酸、アルファ-リノレン酸(alph-alinolenic acid)、ガンマ-リノレン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、および/または魚油(EPAおよび/またはDHA源として)を含んでもよい。グルコース模倣体の源としては、グルコース代謝拮抗物質(2-デオキシ-D-グルコース、5-チオ-D-グルコース、3-O-メチルグルコースを含む)、アンヒドロ糖(1,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-マンニトールを含む)、マンノヘプツロース、および/またはマンノヘプツロースを含むアボカド抽出物を含んでもよい。
【0092】
さらに他の成分としては、牛肉ブロス、ビール乾燥酵母、卵、卵製品、ひき割り亜麻、DLメチオニン、アミノ酸、ロイシン、リシン、アルギニン、システイン、シスチン、アスパラギン酸、ポリリン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム;塩化亜鉛、グルコン酸銅、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、トリクロサン、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ミドリイガイ、ムラサキイガイ(blue lipped mussel)、メチルスルホニルメタン(MSM)、ホウ素、ホウ酸、フィトエストロゲン、フィトアンドロゲン、ゲニステイン、ダイゼイン(diadzein)、L-カルニチン、ピコリン酸クロム、トリピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、酸/塩基改質剤、クエン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、重硫酸ナトリウム;ユーカリ、ラベンダー、ペパーミント、可塑剤、着色剤、風味剤、甘味料、緩衝剤、滑り助剤、担体、pH調整剤、天然成分、安定剤、生物学添加物(酵素(プロテアーゼおよびリパーゼを含む)など)、化学添加物、冷却剤、キレート剤、変性剤、薬物収斂剤、乳化剤、外用沈痛剤、芳香性化合物、湿潤剤、不透明化剤(酸化亜鉛および二酸化チタンなど)、消泡剤(シリコーンなど)、防腐剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、塩化ベンザルコニウム、EDTA、ベンジルアルコール、ソルビン酸カリウム、パラベンならびにこれらの混合物)、還元剤、溶媒、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、溶媒、粘性増加剤(水性および非水性)、捕捉剤、および/または角質溶解剤が挙げられてもよい。
【0093】
プロバイオティック構成成分は、任意の適切な細菌、酵母、微生物、および/または任意のこれらの混合物を含んでもよい。様々なプロバイオティック微生物が当技術分野で周知である。ある特定の実施形態において、プロバイオティック構成成分は、ラクトバシラス目の細菌、バチルス属、バクテロイデス属、および/またはビフィドバクテリウム属の細菌、サッカロミケス族およびカンジダ属を含むサッカロミケス目の酵母、および/またはこれらの任意の混合物を含んでもよい。プロバイオティックは胞子を形成してもよく、または形成しなくてもよい。
【0094】
本明細書での使用に適したラクトバシラス目の細菌の非限定的な例としては、Streptococci属(Streptococcus lactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、および/またはStreptococcus thermophilusなど)、Enterococcus属(Enterococcus faeciumなど)、Pediococcus属(すなわち、Pediococcus cerevisiae)を含むLactobacillillaceae科、Leuconostoc属、およびLactobacilli属(Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus bifidus、Lactobacillus casei、Lactobacillus lactis、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus delbrukii、Lactobacillus thermophilus、Lactobacillus fermentii、Lactobacillus salvarius、Lactobacillus reuteriなど)、および/またはこれらの任意の混合物が挙げられる。Bifidobacteria属の細菌の非限定的な例としては、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium animalis、および/またはBifidobacterium pseudolongum、および/またはこれらの混合物が挙げられる。
【0095】
ある特定の実施形態において、ペットフード組成物はポリフェノールを含んでもよい。一部の実施形態において、ポリフェノール源は、エラグ酸、没食子酸、プロトカテク酸、p-ヒドロキシ安息香酸、カテキン、これらの二つ以上の組み合わせから選択されるフェノール化合物を含む。一部の実施形態において、ポリフェノール源は、ピーカン殻、またはピーカンナッツの任意の他の構成要素を含む。一部の実施形態において、ピーカン殻はまた、リグニン系繊維の源であってもよい。ポリフェノールのさらなる源の例としては、茶抽出物、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、コーヒー抽出物、ピーカン殻、コーヒー酸、ターメリック抽出物、ブルーベリー抽出物、ブドウ抽出物、ブドウ種抽出物、および/または大豆抽出物を含んでもよい。
【0096】
粗脂肪は、肉、食肉副産物、魚油、植物を含む、当業者に周知の様々な源のいずれかによって供給されることができる。植物性脂肪源としては、小麦、亜麻仁、ライ麦、大麦、コメ、ソルガム、トウモロコシ、オート麦、粟、コムギ胚芽、トウモロコシ胚芽、大豆、ピーナッツ、綿実だけでなく、これらおよび他の植物性脂肪源由来の油が挙げられる。組成物の脂肪含有量は、当業者に周知の任意の数の方法によって決定されてもよい。
【0097】
灰分は、有機物または水ではない化合物から成り、一般的に生物学的材料の燃焼によって生成される。灰分は、当業者に周知の任意の数の方法によって決定されてもよい。
【0098】
水分は、食餌組成物中の水の量である。ドライキブルは6~10パーセント、セミモイストフードは15~30パーセント、ウェットフードはおおよそ75パーセントの水分含有量を有する傾向がある。
【0099】
一実施形態において、本発明は、ベタインおよびカルニチンを含む食餌組成物を含む、栄養的に完全なペットフードを対象とする。一実施形態において、栄養的に完全なペットフードは、食餌組成物から成る、または本質的に食餌組成物から成る。こうした場合、食餌組成物は、栄養的に完全なペットフードである。
【0100】
一実施形態において、栄養的に完全なペットフードは、約60重量%~約100重量%の食餌組成物を含む。一実施形態において、栄養的に完全なペットフードは、約30重量%~約90重量%の食餌組成物を含む。
【0101】
栄養的に完全な食餌は、ビタミン、ミネラル、充填剤、食味強化剤、結合剤、風味剤、安定剤、乳化剤、甘味料、着色剤、緩衝剤、塩、コーティング、これに類するものなどの当業者に周知の追加的な成分を含有する。安定剤としては、防腐剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤などの組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向がある物質が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、加工デンプンが挙げられる。各組成物の構成成分、食物成分、他の成分の具体的な量は、組成物に含まれる特定の構成成分および成分、患畜の種、患畜の年齢、患畜の体重、患畜の一般的な健康状態、患畜の性別、患畜の食餌、動物の消費率、治療される疾患のタイプ、これに類するものなどの様々な要因に依存することになる。従って、構成成分および成分の量は大幅に変化する場合があり、また本明細書に記述される好ましい割合から逸脱する場合がある。
【0102】
一実施形態において、ペットフードはウェットペットフードである。ペットフードは、当業者に周知の従来の食物調製プロセスを使用して、缶詰またはウェット形態で調製されてもよい。典型的に、粉砕した動物タンパク質組織を、魚油、穀粒、バランス成分、特殊目的の添加物(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、増量剤、これに類するもの)、処理のために十分な量の水などのその他の成分と混合する。これらの成分は、構成成分のブレンド中に加熱するのに適した容器中で混合される。任意の適切な様態を使用して(例えば、直接蒸気注入、または熱交換器を備えた容器を使用して)、混合物の加熱を行う。最後の成分の添加後、混合物は約10℃~約100℃の温度に加熱される。この範囲外の温度は許容可能であるが、他の加工助剤を使用しないと商業的に実用的でない場合がある。適切な温度に加熱されると、材料は典型的に、濃厚液の形態になるであろう。濃厚液を缶の中に充填する。蓋を付け、容器を気密密封する。次いで、密封した缶を、内容物を滅菌するために設計された従来の機器の中に定置する。滅菌は通常、使用する温度、組成物、類似の要因に依存して、適切な時間にわたって約110℃を超える温度に加熱することによって達成される。本発明の組成物を、調製前、調製中、または調製後に、食品組成物に添加することができる。
【0103】
一実施形態において、ペットフードはドライペットフードである。ペットフード組成物は、当業者に周知の従来のプロセスを使用して、ドライ形態で調製されてもよい。典型的に、動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀類、これに類するものなどの乾燥成分を粉砕し、一緒に混合する。次に、脂肪、油、動物性タンパク質、水、これに類するものを含む湿った成分または液体成分を添加し、乾燥混合物と混合する。次に、混合物を乾燥食物片に加工する。
【0104】
食品組成物は、例えばアニマルフード用のキブル、おやつ、玩具など、組成物を患畜に給餌するために有用な任意の形態とすることができる。キブルは一般に、ドライ成分とウェット成分の混合物を、高圧および高温にて機械操作にかけ、小さい開口部から押し出して、回転ナイフによってキブルへと切断する押出成形プロセスを使用して形成される。次に、湿ったキブルを乾燥させて、風味剤、脂肪、油、これに類するものなどの一つ以上の局所的なコーティングを用いて随意にコーティングする。キブルはまた、押出成形ではなく焼き上げるプロセスを用いてドウから作製することもでき、ドウを型の中に定置した後、乾燥加熱処理する。おやつは、例えばイヌ科動物向けのイヌ用の骨やビスケットなど、食餌の時間ではない間に、動物に食欲を起こさせるために与えられる組成物を含む。おやつは栄養があってもよく、組成物は一つ以上の栄養素を含み、および/または食物様組成物を有してもよい。栄養のないおやつは、無毒性の任意の他のおやつを包含する。組成物または構成成分は、おやつ上に被覆される、またはおやつに組み込まれる、またはその両方である。本発明のおやつは、ドライフードのために使用されるプロセスと類似の押出成形または焼き上げるプロセスによって調製されることができる。また、既存のおやつ形態の外側に組成物をコーティングするために、または既存のおやつ形態の中に組成物を注入するために、他のプロセスが使用されてもよい。玩具としては、人工骨のような噛むことができる玩具、および動物にとって魅力的な自然の食物をまねて形作られた食品組成物などを含む。本発明の食品組成物は、玩具を含むことができ、または玩具の表面上もしくは玩具の構成要素の表面上にコーティングを形成することができる。組成物を玩具に部分的に組み込むこと、または玩具全体に完全に組み込むこと、またはこれらの両方を行うことができる。一実施形態において、組成物は、意図された使用者によって経口的にアクセス可能である。本発明は、部分的に消費可能な玩具(例えばプラスチック構成要素から成る玩具)、および完全に消費可能な玩具(例えば様々な人工骨および類似の食物)を包含する。さらに、本発明は、ヒト用と非ヒト用の両方の玩具、具体的にコンパニオンアニマル、家畜動物、動物園の動物用の玩具、さらに具体的にネコ科動物およびイヌ科動物用の玩具を包含する。
【0105】
一実施形態において、コンパニオンアニマルはイヌ科動物またはイヌである。本発明の食餌組成物は、老犬の治療に特に適している。本発明の食餌組成物はまた、小型犬および超小型犬の治療に特に適している。
【0106】
一実施形態において、本発明はまた、有効量の食餌組成物を含むペットフードをコンパニオンアニマルに投与することを含む、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善する方法を対象とする。一実施形態において、食餌組成物は、栄養的に完全なドッグフードである。
【0107】
この方法は、添加ベタインおよびカルニチンを含む食物を投与することによって、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善する。高量のベタインおよびカルニチンの使用は、基礎的な炎症を低減し、なおかつ急性炎症を促進することが示されている。基礎的な炎症の低減は、炎症を有する動物において望ましい効果である。急性炎症の促進はまた、感染と闘っているコンパニオンアニマルにおいて望ましい効果である。
【0108】
この免疫応答の改善は、有効な高量のベタインおよびカルニチンを含む食餌組成物を動物に給餌することによって達成される。
【0109】
本明細書で使用される「有効な量」、「有効量」、同様の用語は、特定の生物学的結果を達成するために効果的である場合がある、本明細書に記載の通りの成分、材料、または組成物の有効な量を指す。こうした結果の例としては、免疫系応答の改善、基礎的な炎症の低減、急性炎症の強化、それらの組み合わせ、これに類するものが挙げられる。こうした効果的な活性は、例えば本発明の食餌組成物またはペットフードのいずれかを動物に投与することによって達成される場合がある。有効量は、動物の体重、組成物の代謝エネルギー、本発明の組成物を動物に給餌する頻度(1日1回、2回、または3回など)、動物に給餌する他の組成物の存在または特性を含む、幾つかの要因に基づいてもよい。
【0110】
治療の有効性は、TruCulture技術を使用して評価される通り、慢性炎症(刺激されていない細胞(unsitmulated cells))の減少を伴う免疫機能への利益を最大化することだけでなく、感染(刺激された細胞)に対する応答を増大させることによって確認される場合がある。この技術は、基礎サイトカイン放出を測定すること、および細菌の構成成分LPSによる刺激後に、刺激されたサイトカイン放出を測定することを可能にする。この技術は循環免疫細胞を取り出し、短期初代培養の中でそれら免疫細胞を維持し、細胞がこの培養の中でサイトカインを産生することを可能にする。サイトカインTNF-アルファ、IL-6,IL-7,IL-8,MCP-1,IL-10、IL-15を測定した。応答を測定するために、これらの7つのサイトカインのいずれを使用してもよい。代替的に、任意の二つのサイトカインを測定し、線形様式で添加してもよい。代替的に、任意の三つのサイトカインを測定し、線形様式で添加してもよい。代替的に、任意の四つのサイトカインを測定し、線形様式で添加してもよい。代替的に、任意の五つのサイトカインを測定し、線形様式で添加してもよい。代替的に、任意の六つのサイトカインを測定し、線形様式で添加してもよい。代替的に、七つのすべてのサイトカインを測定し、線形様式で添加してもよい。
【0111】
腫瘍壊死因子であるTNF-アルファは、全身性炎症に伴う細胞シグナル伝達タンパク質であり、急性期反応を構成するサイトカインのうちの一つである。IL-6、すなわちインターロイキン6は、炎症誘発性サイトカインと抗炎症性マイオカインの両方として作用するインターロイキンである。IL-7、すなわちインターロイキン7は、骨髄および胸腺内の間質細胞によって分泌される造血成長因子である。IL-8、すなわちインターロイキン8、CXCL8は、マクロファージと他の細胞タイプ(上皮細胞、気道平滑筋細胞、内皮細胞など)によって産生されるケモカインである。IL-10、すなわちインターロイキン10(サイトカイン合成阻害因子(CSIF)としても知られる)は、抗炎症性サイトカインである。IL-15、すなわちインターロイキン-15は、IL-2/IL-15受容体ベータ鎖(CD122)と共通ガンマ鎖(ガンマ-C、CD132)から構成される複合体と結合し、それらを通してシグナル伝達するサイトカインである。このサイトカインは、ウイルス感染細胞を殺すという主な役割を有する自然免疫系の細胞であるナチュラルキラー細胞の細胞増殖を誘発する。
【0112】
この免疫応答を最大化するために、添加カルニチンと添加ベタインの両方を有する食餌療法を以下に示す。ベタインとカルニチンの組み合わせの使用によるこの応答は、ベタインまたはカルニチンのいずれかを含まない食餌療法の応答よりも大きい。さらに、ベタインとカルニチンの組み合わせの使用によるこの応答は、ベタインのみの食餌療法の応答よりも大きい。またさらに、ベタインとカルニチンの組み合わせの使用によるこの応答は、カルニチンのみの食餌療法の応答よりも大きい。なおさらに、ベタインとカルニチンの組み合わせの使用によるこの応答は、ベタインのみの使用とカルニチンのみの使用とを合わせた場合に予測される応答よりも大きい。
【0113】
イヌの食餌において、ベタイン単独とカルニチン単独のデータから予測される効果よりも大きい、ベタインおよびカルニチンの使用のまだ説明のつかない相乗効果があるように思われる。
【実施例
【0114】
表1に示す通り、全因子の2因子の2レベルの実験を設計し、実施した。
【表1】
【0115】
AAFCOの栄養推奨に従って、基礎食餌を製剤化した。基礎食餌は、約300ppmのベタイン、および23ppmのカルニチンを含有した。基礎食餌を食餌Aとして指定した。食餌B、C、Dは、表1の通りに調製した。
【0116】
約2.0歳~約12.0歳の年齢範囲、かつ約8.0kg~約14.0kgの体重範囲の合計32匹の健康なイヌに対して研究を実施した。すべての動物は、去勢手術または避妊手術のいずれかを受けていた。32匹すべてのイヌに、14日間にわたり、食餌A(基礎食餌)を予め給餌した。年齢パラメータおよび性別パラメータを一致させることによって、32匹のイヌを8匹ずつに分けて、四つの群にした。各群は、ウォッシュアウト期間なしで90日間にわたり、四つの食餌のうちの一つが与えられた。
【0117】
初期および終了時の研究試料を、TruCulture技術を使用して免疫応答について測定した。この技術は、基礎サイトカイン放出を測定すること、および細菌のリポ多糖類による刺激(LPS)後に、刺激されたサイトカイン放出を測定することを可能にした。循環免疫細胞を取り出し、短期初代培養の中で維持し、それら免疫細胞はサイトカインを産生した。サイトカインTNF-アルファ、IL-6,IL-7,IL-8,MCP-1,IL-10、IL-15を測定した。すべてのサイトカインの合計のモル濃度が、全体的な応答変数として観察された。
【0118】
分析の結果を表2(下記)に提示する。
【表2】
【0119】
-17.8および22.5の値は統計的に異なる(p<0.01)。LPS、ベタイン、カルニチン、段階(治療後と比較して初期)の相互作用の全体的なf検定有意性(p<0.01)があった。
【0120】
データは、サイトカインの産生で食餌性ベタイン、カルニチン、細胞性LPS刺激の相互作用があることを示す。観察された応答は、ベタインとカルニチンの両方を受容したイヌの場合、対照(ベタインなし、カルニチンなし)を給餌されたイヌと比較して、刺激されていない細胞におけるサイトカイン産生の低減(基礎的な炎症がなされた)と、刺激された産生における増加(細菌の応答が促進された)とがあったことを示す。
【0121】
ベタインとカルニチンを組み合わせた場合、給餌前のそれらのペットと比較して、基礎的な炎症の低減と、細菌の刺激に対する促進された応答とがある。
【0122】
未刺激の産生(初期産生のパーセントとして表される)の変化を、LPS刺激された産生(初期産生のパーセントとして表される)と比較した時、ベタインとカルニチンを組み合わせた治療群(食餌D)のみが、サイトカイン産生において統計的に有意な異なる応答を有した。
【0123】
慢性炎症のプロキシとして作用する休眠サイトカイン産生を調査した。免疫応答の促進に関するベタインおよびカルニチンの摂取量の範囲を研究した。有効性を示す一つの方法は、刺激されていない細胞(基礎的炎症率である)と、刺激された細胞(細菌による損傷に対する応答)とに及ぶ効果が様々であることを示すことである。刺激されていない細胞の総モルの自然対数の変化を、表3(下記)に示す。
【表3】
【0124】
所与の治療の最終濃度の対数から減算した初期濃度の自然対数の差は、以下の式によって与えられる:
刺激されていない細胞に対する効果=ln(UNSTIM最終)-ln(UNSTIM初期)。
【0125】
この式は、以下の通りに書き直すことができる。
刺激されていない細胞に対する効果=ln(UNSTIM最終)/UNSTIM初期)。
【0126】
データは、ゼロから有意な変化があった唯一の食餌が食餌D(すなわち、添加ベタインと添加カルニチンの両方を消費したイヌの群)であったことを示す。
e^(-0.30794)=73.5%。
【0127】
急性感染に対する食餌の効果も調査した。リポ多糖類によって刺激された細胞の免疫応答の変化を研究した。これは、細菌による攻撃を表す抗原に応答する細胞の能力の尺度である。結果を表4(以下)に開示する。
【表4】
【0128】
同様に、刺激されていない細胞に関して、刺激された細胞の食餌療法に対する応答は、以下の式に示す通り、最終サイトカインレベルから初期サイトカインレベルを差し引いた差異として計算される:
【0129】
刺激された細胞に対する効果=ln(STIM最終)-ln(STIM初期)、これは以下の通りに書き直すことができる:
刺激された細胞に対する効果=ln(STIM最終/STIM初期)。
【0130】
免疫機能に対する利益の増加は、慢性炎症の減少(刺激されていない細胞)だけでなく、感染に対する応答の頑健性の増大(刺激された細胞)も伴う。刺激されていないサイトカイン産生を低減する一方で、刺激されたサイトカイン産生を同時に増加するという利益を最大限に生かす治療を確認するために、刺激されていない細胞における治療に対する応答を、刺激された細胞における治療に対する応答から減算する。これは、最大化された利益に対する免疫応答の差の差異(「シフト」と呼ばれる)であり、シフトは以下の式に従って計算されてもよい。
【0131】
最大利益=[ln(STIM最終)-ln(STIM当初)]-[ln(UNSTIM最終)-ln(UNSTIM当初)]、これは以下の通りに書き直すことができる。
最大利益=ln[(STIM最終×UNSTIM初期)/(STIM初期×UNSTIM最終)]。
【0132】
このシフトは、刺激された細胞の応答と刺激されていない細胞の応答との比である。
【0133】
上記のモデルを使用した経験的データの分析は、表5(下記)に示す通りの結果をもたらす。
【表5】
【0134】
シフトLSMEANは、食餌Dで最大であり、食餌Dは食餌Aと比較して、応答において55%の増加(すなわち、e^(0.43720)=1.5483倍)を示し、食餌Aは刺激されていない細胞と比較して、刺激された細胞の反応において-7.0%の減少(すなわち、e^(-0.07252)=0.9300倍)があった。
【0135】
添加カルニチンと添加ベタインの両方を有する食餌療法は、この応答を最大化した。食餌Dの使用によるこの応答は、ベタインまたはカルニチンのいずれもない食餌療法(食餌A)の応答よりも大きい。さらに、食餌Dの使用によるこの応答は、ベタインのみの食餌療法(食餌B)の応答よりも大きい。またさらに、食餌Dの使用によるこの応答は、カルニチンのみの食餌療法(食餌C)の応答よりも大きい。なおさらに、食餌Dの使用によるこの応答は、二つの食餌療法を合わせた場合に予測される応答よりも大きい。
【0136】
上記に記述したデータは、ベタインとカルニチンの組み合わせによってもたらされた相乗効果を例示し、これはベタイン単独およびカルニチン単独によって生成されたデータを考慮しても予想外であった。
【0137】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に説明されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または表すことを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
約700ppm~約10,000ppmの添加ベタインと、
約50ppm~約1000ppmの添加カルニチンと、を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
ミネラル、ビタミン、炭水化物源、脂肪、タンパク質、繊維源、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化剤、脂肪酸、グルコース模倣体、プロバイオティック、プレバイオティック、これらの二つ以上の組み合わせから選択される追加的な成分をさらに含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
約1,500ppm~約7,000ppmのベタイン、随意に約5,000ppmのベタインを含む、請求項1または請求項2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
約100ppm~約700ppmのカルニチン、随意に約300ppmのカルニチンを含む、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
ベタインとカルニチンとの質量比が、約25:1~約5:1、または約18:1~約8:1である、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の組成物を含む、ウェットペットフード、またはドライペットフードである、請栄養的に完全なペットフード。
【請求項7】
抗炎症性アジュバントをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記抗炎症性アジュバントが、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、クローブ、ジンジャー、ローズマリー、パプリカ、ベリー、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載のペットフード組成物。
【請求項9】
前記ベタインおよびカルニチンが、循環リポ多糖類を低減し、炎症を減少し、および/または抗炎症性サイトカインを増加させるのに有効な量で存在する、請求項1~8のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項10】
前記ベタインおよびカルニチンが、抗炎症性サイトカインを増加させ、前記抗炎症性サイトカインが、インターロイキン-1受容体拮抗薬(IL-1ra)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-13(IL-13)、形質転換増殖因子-ベータ(TGF-β)、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
炎症性の疾患、障害または状態を伴う症状を治療、予防、または改善するための方法であって、請求項1~10のいずれかに記載のペットフード組成物を、これを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項12】
前記炎症性の疾患、障害または状態が、炎症性腸疾患、犬ジステンパー、狂犬病、クリプトコッカス症、コクシジオイデス症、トキソプラズマ症、ネオスポラ病、ロッキー山紅斑熱、エーリキア症、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、脳炎、関節炎、関節痛、腫脹から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の有効量のペットフード組成物を前記コンパニオンアニマルに投与することを含む、コンパニオンアニマルにおける免疫応答を改善する方法。
【請求項14】
前記コンパニオンアニマルがイヌ科動物である、請求項1~13のいずれか一項に記載のペットフード組成物または方法。
【国際調査報告】