(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】改良されたタレット係留システム
(51)【国際特許分類】
B63B 21/50 20060101AFI20230213BHJP
F03B 13/26 20060101ALI20230213BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20230213BHJP
【FI】
B63B21/50 D
F03B13/26
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536977
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 GB2020053307
(87)【国際公開番号】W WO2021123825
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518255248
【氏名又は名称】サステイナブル マリン エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUSTAINABLE MARINE ENERGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】La Belle Esperance The Shore Leith Central Scotland EH6 6QW (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ヘイマン ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】バーデン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】クレスウェル ニコラス
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA06
3H074AA12
3H074BB11
3H074BB16
3H074CC02
(57)【要約】
本明細書には、タレット100とタレット100に係留されるアセンブリ150との間の摩擦力に対するタレット100によって及ぼされるトルクの比率を高める、潮汐タービンアセンブリ150のためのタレット係留システムが開示される。幾つかの例において、摩擦力は、タレットがアセンブリに対して上向きの力を与えることによって低減され、上向きの力もピッチングモーメントに抵抗する。他の例において、タレット100によって及ぼされるトルクは、タレット100のチェーンテーブル104上の2つの離間した取り付けポイント128及び水底上の単一のポイント114に結合する二股係留ライン106,108の使用によって増大される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潮汐タービンアセンブリのためのタレット係留システムであって、
タレットであって、
前記潮汐タービンアセンブリに装着するため及び回転軸を中心とした前記タレットと前記潮汐タービンアセンブリとの間の相対的な動作を可能にするためのシャフトと、
前記シャフトの下端部に固定されるチェーンテーブルとを有するものと、
水底上の単一の上流側固定ポイントを前記チェーンテーブルの上流側部分に結合するための上流側係留ラインと、
水底上の単一の下流側固定ポイントを前記チェーンテーブルの下流側部分に結合するための下流側係留ラインと、を備え、
前記上流側係留ラインは、前記チェーンテーブルの前記上流側部分上の2つの離間した上流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインであり、
前記下流側係留ラインは、前記チェーンテーブルの前記下流側部分上の2つの離間した下流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである
タレット係留システム。
【請求項2】
前記チェーンテーブル上の前記離間した上流側及び/又は下流側取り付けポイントは、少なくとも1メートル離間している
請求項1に記載のタレット係留システム。
【請求項3】
前記上流側係留ラインは、海底上の前記上流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、前記係留索を前記チェーンテーブルの前記上流側部分上の2つの上流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する、及び/又は、
前記下流側係留ラインは、海底上の前記下流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、前記係留索を前記チェーンテーブルの前記下流側部分上の2つの下流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する
請求項1又は2に記載のタレット係留システム。
【請求項4】
前記上流側又は下流側係留ラインの前記第1及び第2の部分が異なる材料から形成される
請求項3に記載のタレット係留システム。
【請求項5】
前記上流側又は下流側係留ラインの前記第1の部分がチェーンである、及び/又は、前記上流側又は下流側係留ラインの前記第2の部分が一対の低質量合成ケーブルである
請求項4に記載のタレット係留システム。
【請求項6】
前記タレットは、前記チェーンテーブルが水中に浸漬されるときに上向きの力を与えるように構成されている
請求項1から5のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項7】
前記上向きの力は、水中で浮力のある要素によって与えられる
請求項6に記載のタレット係留システム。
【請求項8】
前記要素が前記チェーンテーブル内に収容されている
請求項7に記載のタレット係留システム。
【請求項9】
前記要素が可変浮力を有する
請求項7又は8に記載のタレット係留システム。
【請求項10】
前記要素の前記浮力は、前記シャフトを通じて空気を圧送することによって可変である
請求項9に記載のタレット係留システム。
【請求項11】
前記上向きの力は、前記チェーンテーブル上の流体力学的フェアリングによって与えられる
請求項6から10のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項12】
前記流体力学的フェアリングが双方向である
請求項11に記載のタレット係留システム。
【請求項13】
前記流体力学的フェアリングが上流側-下流側方向で対称的である
請求項11又は12に記載のタレット係留システム。
【請求項14】
前記流体力学的フェアリングは、前記タービンに作用する抗力に起因する前記潮汐タービンアセンブリにおける予期されるピッチングモーメントに抗するべく成形される
請求項11から13のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項15】
潮汐タービンアセンブリのためのタレット係留システムであって、
タレットを備え、前記タレットは、前記潮汐タービンアセンブリに装着するため及び回転軸を中心とした前記タレットと前記潮汐タービンアセンブリとの間の相対的な動作を可能にするためのシャフトと、前記シャフトの下端部に固定されるチェーンテーブルとを有し、
前記タレットは、前記チェーンテーブルが水中に浸漬されるときに上向きの力を与えるように構成されている
タレット係留システム。
【請求項16】
前記上向きの力は、水中で浮力のある要素によって与えられる
請求項15に記載のタレット係留システム。
【請求項17】
前記要素が前記チェーンテーブル内に収容されている
請求項16に記載のタレット係留システム。
【請求項18】
前記要素が可変浮力を有する
請求項16又は17に記載のタレット係留システム。
【請求項19】
前記要素の前記浮力は、前記シャフトを通じて空気を圧送することによって可変である
請求項18に記載のタレット係留システム。
【請求項20】
前記上向きの力は、前記チェーンテーブル上の流体力学的フェアリングによって与えられる
請求項15から19のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項21】
前記流体力学的フェアリングが双方向である
請求項20に記載のタレット係留システム。
【請求項22】
前記流体力学的フェアリングが上流側-下流側方向で対称的である
請求項20又は21に記載のタレット係留システム。
【請求項23】
前記流体力学的フェアリングは、前記タービンに作用する抗力に起因して前記潮汐タービンアセンブリにおいて予期されるピッチングモーメントに抗するべく成形される
請求項20から22のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項24】
前記チェーンテーブルの上流側部分が、上流側係留ラインを介して水底上の単一の上流側固定ポイントに結合するように構成され、前記チェーンテーブルの下流側部分が、下流側係留ラインを介して水底上の単一の下流側固定ポイントに結合するように構成される
請求項15から23のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項25】
前記上流側及び下流側係留ラインを更に含む
請求項24に記載のタレット係留システム。
【請求項26】
前記上流側係留ラインは、前記チェーンテーブルの前記上流側部分上の2つの離間した上流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである、及び/又は、
前記下流側係留ラインは、前記チェーンテーブルの前記下流側部分上の2つの離間した下流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである
請求項24又は25に記載のタレット係留システム。
【請求項27】
前記チェーンテーブル上の前記離間した上流側及び/又は下流側取り付けポイントは、少なくとも1メートル離間している
請求項26に記載のタレット係留システム。
【請求項28】
前記上流側係留ラインは、海底上の前記上流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、前記係留索を前記チェーンテーブルの前記上流側部分上の2つの上流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する、及び/又は、
前記下流側係留ラインは、海底上の前記下流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、前記係留索を前記チェーンテーブルの前記下流側部分上の2つの下流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する
請求項25から27のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項29】
前記上流側又は下流側係留ラインの前記第1及び第2の部分が異なる材料から形成される
請求項28に記載のタレット係留システム。
【請求項30】
前記上流側又は下流側係留ラインの前記第1の部分がチェーンである、及び/又は、前記上流側又は下流側係留ラインの前記第2の部分が一対の低質量合成ケーブルである
請求項29に記載のタレット係留システム。
【請求項31】
前記シャフトは、前記潮汐タービンアセンブリと係合するための上側ラジアルベアリング及び下側ラジアルベアリングを含む
請求項1から30のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項32】
前記タレットが前記潮汐タービンアセンブリに装着される
請求項1から31のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項33】
前記タレットは、前記潮汐タービンアセンブリに対して垂直方向で摺動可能である
請求項32に記載のタレット係留システム。
【請求項34】
前記シャフトが一群のパイプである
請求項1から33のいずれか一項に記載のタレット係留システム。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項に記載のタレット係留システムを使用して潮汐タービンアセンブリを水底に係留する方法であって、
(i)前記潮汐タービンアセンブリを設置場所に輸送するステップと、
(ii)前記タレットの前記チェーンテーブルの上流側部分を水底に対して単一の上流側固定ポイントで結合するとともに、前記タレットの前記チェーンテーブルの下流側部分を水底に対して単一の下流側固定ポイントで結合するステップと、
(iii)前記タレットを前記潮汐タービンアセンブリに固定するステップと
を含む方法。
【請求項36】
ステップ(iii)がステップ(i)及びステップ(ii)の前に行なわれ、ステップ(iii)がドックで又は陸上で行なわれる
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(iii)が完了された時点で、前記タレットは、上昇位置と下降位置との間で前記潮汐タービンアセンブリに対して垂直方向で摺動可能であり、それにより、前記タレットが前記上昇位置にあるときよりも前記下降位置にあるときの方が前記潮汐タービンアセンブリの喫水が大きい
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(i)中に前記タレットが上昇位置にある
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記タレットは、前記チェーンテーブルが水中に浸漬されて前記タレットが垂直方向で摺動可能であるときに上向きの力を与えるように構成されており、
前記タレットの垂直位置は、輸送中に前記潮汐タービンアセンブリのピッチを制御するためにステップ(i)の前又は最中に調整される、
請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記潮汐タービンアセンブリが1つ以上のタービンを含み、前記タービンは、それらが予期される喫水線よりも下方にある展開配置で及び前記タービンが予期される喫水線よりも全体的に上方にある上昇配置で構成可能であり、前記タービンは、ステップ(i)中に前記上昇配置で更に構成される
請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タレット係留システムに関し、特に、潮汐流からエネルギーを引き出すためにタービンアセンブリを使用するようになっているタレット係留システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タレット係留は、係留された船舶が局所的な流れに応じて(ヨー軸の周りで)旋回できるようにする係留である。一般に、タレット係留は、支配的な流れ方向がない場所で使用され、係留された船舶が局所的な風及び波の力に応じて揺動することを意味する。原則として、これらの流れ及び力はいかなる方向からも来ることができるため、タレット係留設備は、さもなければ風及び波によって引き起こされるドリフトに全方向で抵抗するために、中心点(タレット)に収束する略円形の配置を成して水底に固定される。
【0003】
潮汐発電システムでは、流れが強く双方向であり、すなわち、流れは、潮汐が入ってくるときには第1の方向で強く、満潮では実質的に0であり、潮汐が出て行くときには第2の方向(第1の方向と実質的に反対)で強く、干潮では実質的に0であり、その時点でサイクルが繰り返される。したがって、タレット係留は、潮汐発電システムにとって理想的な候補であると思われる。これは、タレット係留によって電力システムが旋回して現在の流れと合うことができるとともに、双方向の局所的な流れを構成する2つの主な方向のそれぞれで流れによって導入されるドリフト動作に抵抗するために水底上の2つの固定ポイント、すなわち、上流側固定ポイント及び下流側固定ポイントのみが必要とされるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、典型的なタレット係留システムは、通常、比較的深海の場所に設置され、例えば、この場合、平均水深dM=(dH+dL)/2は、満潮と干潮との間の深さの変化δd=dH-dLよりもはるかに大きく、ここで、dM,δd,dH及びdLはそれぞれ、平均水深、深さの変化、満潮時の深さ、干潮時の深さである。そのような場合、係留された船舶の上昇及び下降は、水底から船舶までの一般的な距離と比較して小さく、係留システムの形態は、潮汐サイクルにわたって比較的変化しない。
【0005】
これは、一般に、潮汐発電システムが係留される場所には当てはまらない。ここでは、発電ポテンシャルを最大にするために、比較的大きな潮汐範囲が選択される。これは、通常、アセンブリを沿岸近くに固定することを意味する。沿岸が大きな潮汐範囲及び流れを生み出す傾向がある海岸線に関連する地理的特徴だからである。更に、アセンブリを沿岸近くに設置すると、設置が簡単になるとともに、発電された電力の沿岸への伝送も容易になる。これにより、dMに対するδdの比率が比較的大きくなる傾向があり、これにより、係留ラインが干潮時に弛むことになる。弛んだラインは、回転に抵抗するのが不十分であり、タレットを水底に対して静止状態に保持できない可能性があることが分かっている。全体的な結果として、潮汐が変化すると、アセンブリがタレットの周りを旋回して局所的な流れと合うのではなく、タレットを含むアセンブリ全体がヨーイングする。数サイクルにわたって、これにより係留ラインが絡まったりねじれたりする可能性がある。流れの強い双方向性に起因して、係留ラインの数を増加させても、絡みに抵抗することにおいて殆ど又は全く効果がない。実際に、更なる係留ラインを水底に固定するコスト及び複雑さの増大とは別に、より多くの係留ラインが互いに簡単に絡み合うことからより多くの係留ラインが絡み合いを悪化させる可能性があるため、より多くの係留ラインは望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に対処することを目的とする。
【0007】
上記の課題に対する一連の密接に関連した解決策が本明細書中で提示される。
【0008】
本明細書には、潮汐タービンアセンブリのためのタレット係留システムであって、タレットであって、潮汐タービンアセンブリに装着するため及び回転軸を中心としたタレットと潮汐タービンアセンブリとの間の相対的な動作を可能にするためのシャフトと、シャフトの下端部に固定されるチェーンテーブルとを有するものと、水底上の単一の上流側固定ポイントをチェーンテーブルの上流側部分に結合するための上流側係留ラインと、水底上の単一の下流側固定ポイントをチェーンテーブルの下流側部分に結合するための下流側係留ラインとを備え、上流側係留ラインが、チェーンテーブルの上流側部分上の2つの離間した上流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである、及び/又は、下流側係留ラインが、チェーンテーブルの下流側部分上の2つの離間した下流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである、タレット係留システムが開示される。
【0009】
本明細書で使用される「上流側」及び「下流側」という用語は、ほぼ反対方向である、上昇する及び下降する潮汐中の支配的な流れ方向を広く指す。潮汐が流出から流入へ(及びその逆)変化すると、上流側方向と下流側方向とが切り替わることは明らかである。しかしながら、常に、明確に規定された上流側(及び下流側)方向がある。更に、支配的な流れ方向は、x方向又はx軸と呼ばれることもある上流側-下流側軸を規定する水平軸である。以下の説明において、「前側(front)」、「前(fore)」、「前方(forward)」、「船首(bow)」という用語及び関連する用語は、上流側方向及び正のx方向を指すものとする。同様に、「後(rear)」、「後側(aft)」、「後方(rearward)」、「後部(backward)」、「船尾(stern)」及び関連する用語は、下流側方向及び負のx方向を指すものとする。
【0010】
離間した取り付けポイントは、水平且つ上流側-下流側軸を横断する方向(間隔軸、y方向、又はy軸と呼ばれることもある)で離間している。例えば、間隔は、上流側-下流側軸に対して垂直であってもよい。y軸における正及び負の方向は、それぞれ「右」又は「右舷」及び「左」又は「左舷」と呼ばれるものとする。したがって、x軸及びy軸は、集合的に水平面を形成する(この場合、水平とは、局所重力場に対して垂直を広く意味する)。この座標系において、タレットシャフトは、z軸と呼ばれることもある垂直方向(この場合、垂直とは、局所重力場と平行を広く意味する)で延在する。z軸の正の方向は、「上(up)」、「上端(top)」、「上側(upper)」、「高い(high)」、「より高い(higher)」などの用語で呼ばれる。同様に、負のz軸方向は、「下(down)」、「下端(bottom)」、「下側(lower)」、「低い(low)」などと呼ばれ、明らかに、一般的な使用法と一致して、水中に浸漬されるようになっている部分よりも、水中から外に出るようになっている部分(アセンブリが定位置に固定されている場合)の方が高い。したがって、3つの軸(x、y及びz)は、システムの様々な部分が互いにどのように空間的に関連しているかを一貫して説明するための便利でコヒーレントな座標系を形成する。
【0011】
アセンブリが設置されると、タレットは、カップリングがタレットと潮汐タービンアセンブリとの間の相対回転を可能にするべく配置されるように、アセンブリに装着される。更に、上流側及び下流側係留ラインは、チェーンテーブル上のそれぞれの取り付けポイントに結合され、チェーンテーブル上の取り付けポイント間の(y方向の)間隔は、タレット上の係留システムのレバーアームを増大させる。タレットを水底に対して両方向で回転させるには、タレットが二股係留ラインの2つの分岐ストランドのうちの一方の張力に抗して作用する必要がある。それにより、分岐ストランドの張力はタレットの回転に抵抗する。これは、水底上の2つの固定ポイントのみが、タレットとアセンブリとの間に不十分なトルクを与えて、内部摩擦に打ち勝ち、取り付けポイントを離間させるべく二股係留ラインを使用することによってタレットとアセンブリとの間の相対回転動作をもたらすとともに、係留ラインの張力が両方向の回転に抗するべく存在するようにすることによってタレットにより与えられるトルクを増大させるという課題に取り組む。言い換えると、離間した取り付けポイント及び二股係留ラインは、タレットを安定した状態に保持し、タレットが水底に対して回転するのを阻止することができる(タービンアセンブリがタレット及び水底に対して回転することを意味する)。
【0012】
更に、二股係留ラインの使用は、それぞれの係留ラインごとに水底上の単一の固定ポイントのみでこの効果を達成できるようにし、したがって、水底に対する回転に抗するタレットの安定性を損なうことなく設置コストを削減する。これは、係留システムが絡まる可能性を低減するのに役立つ。
【0013】
任意選択的に、二股部は、水底よりもタレットの近くで発生する(或いは、係留索が位置される)。例えば、二股部(又は係留索)は、水底から測定して係留ラインの長さに沿って90%以上に位置する。
【0014】
場合によっては、局所的な地形及び潮汐流パターンに応じて、例えば、潮汐流が非対称である場合には、単一の二股係留ラインのみを使用することが可能な場合があり、それにより、上記の絡み合いの問題は、一方の流れ方向で発生する可能性が最も高いが、他方の流れ方向では発生する可能性が非常に低い。一例として、潮汐が流出し始めると係留ラインは比較的ピンと張る傾向があるため、タレットは適度にしっかりと保持され、絡み合いの問題はそれほど深刻ではない。対照的に、潮汐が入ってくると、両方のラインが弛み、問題は最悪である。しかしながら、流れの方向に起因して、潮汐タービンアセンブリが下流側方向に押され、上流側ラインがピンと張った状態になる。この場合、所望の効果を与えるために、潮汐が入ってくるときに上流側にある係留ラインのみを二股にする必要があり得る。他の場合には、適切な設計は、下流側係留ライン(潮汐が入ってくるとき)にのみ二股部を有し得る。当然ながら、多くの用途では、両方の係留ラインが二股にされていることにより、海底に対して回転するタレットに良好なレベルの抵抗がもたらされる(したがって、絡まりが防止される)。
【0015】
任意選択的に、チェーンテーブル上の離間した上流側及び/又は下流側取り付けポイントは、少なくとも1メートル離間している。比較的大きい間隔は、タレットの所定の回転角度に起因する二股係留ラインの2つの分岐ストランドのうちの一方の張力の増大が係留ライン間隔の増大と共に増大し、それにより、水底に対するタレットの回転抵抗を向上させるという意味で、レバー作用を増大させる。
【0016】
任意選択的に、上流側係留ラインは、海底上の上流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、係留索をチェーンテーブルの上流側部分上の2つの上流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する、及び/又は、下流側係留ラインは、海底上の下流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、係留索をチェーンテーブルの下流側部分上の2つの下流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する。換言すれば、係留ラインの第2の部分は、並列負荷経路を与える一対のラインを備え、一方は、互いに分岐しながら、チェーンテーブル上の離間した取り付けポイントのそれぞれに接続される。係留索は3つの取り付けポイントを有し、1つの取り付けポイントは係留ラインの第1の部分に接続するためのものであり、2つの取り付けポイントは第2の部分のためのものである。係留索は、係留ラインが二股になることができるようにする部分である。任意選択的に、上流側又は下流側係留ラインの第1及び第2の部分は、異なる材料から形成される。これにより、係留ラインの下側部分(固定ポイントに接続されたもの)及び係留ラインの上側部分(チェーンテーブルに接続されたもの)を、それらがそれぞれ果たすようになっている役割に固有の態様で設計することができる。
【0017】
例えば、上流側又は下流側係留ラインの第1の部分はチェーンであってもよく、及び/又は、上流側又は下流側係留ラインの第2の部分は一対の低質量合成ケーブルであってもよい。チェーン接続は強力な接続を形成し、これは、耐摩耗性が重要な場合、例えば、ラインが水底と接触する可能性がある場合に有用であり得るが、低質量合成ケーブルは、取り扱い特性を改善する、軽量で適合可能な係留システムを提供する。
【0018】
任意選択的に、タレットは、チェーンテーブルが水中に浸漬されるときに上向きの力を与えるように構成される。上向きの力は、タレットの重量(タレット質量に起因する)及び係留ライン張力の下向きの成分に起因する下向きの力に抗することができる。これは、回転摩擦を低減し、したがって、潮汐タービンアセンブリがタレットに対して回転できるようにするのに役立つとともに、絡まりの可能性を低減する。
【0019】
任意選択的に、上向きの力は、水中で浮力のある要素によって与えられる。この浮力は、水流に関係なく存在する上向きの力をもたらす。特に、絡み合い問題が最も悪いポイントは、潮汐流が0であるとき及び他の局所的な流れが存在し得ないときの緩んだ干潮である。浮力要素(例えば、空気ポケット、発泡体、充填領域など)を設けることは、流れがない場合でも前述の摩擦低減効果が存在するようにする。浮力要素がチェーンテーブル内に収容されてもよく、それにより、シャフトを真下から持ち上げてねじり作用の導入を回避するために、シャフトの基部に上向きの力を与えることができる。他の例では、浮力要素がシャフトの下側部分に位置されてもよい。浮力要素は、用途に適合する材料を選択することによって所望の浮力を有するように選択することができる。更に、設置場所での水の予期密度を決定に含めることができる。
【0020】
要素は、可変浮力を有してもよい。例えば、浮力を変化させて、水中の潮汐タービンアセンブリの姿勢及び/又は向きを変化させることができる。この変化は、例えば、既知の、予測された、規則的な、又は周期的な影響に適応するように、サイクル上で変更することができる。他の例では、浮力を適応的に変化させることができ、この場合、潮汐タービンアセンブリの姿勢及び/又は向きが測定され、要素の浮力は、姿勢及び/又は向きの所望の変化を引き起こすように調整することができる。要素の浮力は、シャフトを通じて、例えば浮力要素に、例えばチェーンテーブルに空気を圧送することによって可変であってもよい。空気の使用は、空気が豊富で容易に利用可能であるため、都合の良い選択肢である。シャフトは、空気をチェーンテーブルに送達するための便利な方法を与える。
【0021】
これに加えて又は代えて、上向きの力は、チェーンテーブル上の流体力学的フェアリングによって与えられてもよい。フェアリングは、チェーンテーブルの全部又は一部のみを覆ってもよい。流体力学的フェアリングの使用は、流れが最も強いときに最も強い上向きの力を与え、この場合、正確な関係は流体力学的フェアリングの形状に依存する。これは、上記で特定された絡み合いの問題を防止するのに役立ち得るが、発電中に潮汐タービンアセンブリを安定した状態に保つのにも役立ち得る。これは、駆動されるようになっているタービンが大きい時変する推力(時間依存流速に依存するという意味で時変する)をもたらすためである。この推力は、ピッチングモーメントを発生させる。流体力学的表面は、タレットがピッチングモーメントに抗することができるようにする。流体力学的揚力及びタービン推力の両方が流速に依存するため、流体力学的フェアリングは好都合な受動的安定化効果を与える。流体力学的フェアリングは、タービンに作用する抗力に起因する潮汐タービンアセンブリにおける予期されるピッチングモーメントに抗するように更に成形されてもよい。換言すれば、フェアリングは、流速に対して上向きの力プロファイルであって、流速に対してタービンによって生み出されるスラスト力のプロファイルにほぼ一致する上向きの力プロファイルを与えるように形成されてもよい。
【0022】
固定された浮力と組み合わせて、浮力からの上向きの力及び流体力学的フェアリングの所定の形態は、FZ=B+L(v)の形式を有し、ここで、Bは所定の浮力に起因する一定の上向き力であり、L(v)は、少なくともフェアリングの流速v及び形状の関数である可変揚力を表わす。浮力が可変である場合、式はF(t)=B(t)+L(v)となり、総上向きの力及び浮力は時間(t)に依存する。流体力学的フェアリングからの揚力も、例えば潮汐変化及び局所流れに起因する流速の時間依存性を介して時間に依存する。これらの基本方程式は、所望の効果を達成するために浮力要素及び流体力学的フェアリングの両方の設計を導くために使用することができる。
【0023】
特に、流体力学的フェアリングのみを使用して(力の大きさ及び/又は流速に対する力のプロファイルに関して)タービン推力に起因するピッチングモーメントの正確な相殺を達成することは困難であり得る。そのような場合、所定の浮力を使用して、流体力学的揚力をピッチングモーメントの完全な反作用に近づけることができる。
【0024】
更に、流体力学的揚力のプロファイル(揚力の流速依存性)がタービン推力のプロファイルと一致しない場合、予期される流れ条件に適合することによって又はライブ測定に基づいて適合することによって、一致を改善するべく可変浮力を使用することができる。
【0025】
幾つかの例では、垂直摩擦力が実質的に0になるように、干潮時にタレット質量と係留ライン張力の下向き成分とを正確に釣り合わせるべく所定の浮力を使用することが望ましい場合がある。しかしながら、これは、潮流が流れているときの流体力学的揚力と組み合わせて、タレットの質量及び係留ラインの張力の下向き成分に起因して、上向きの力がタレットに作用する下向きの力を超える原因となり得る。これにより、タレットが潮汐タービンアセンブリを局所的に持ち上げ、タービン推力に起因するピッチングモーメントを打ち消して、場合によっては完全に相殺できる。これはタレットと潮汐タービンアセンブリとの間の相対回転動作に回転摩擦を導入するが、一般に、上向きの力がピッチングモーメントを打ち消している状態は、潮汐が上昇又は下降しているときに流れが通常は方向を変えていないため、相対回転が実質的に予期されない状態である。実際には、摩擦の増大は、回転に抵抗することによってタービンアセンブリを流れにおいて安定した状態に保つのに役立ち得る一方で、望まれる多くのピッチ平衡揚力及び浮力を供給できるようにする。このようにして、浮力及び揚力を、流速の関数としてのタービンからの予期されるピッチングモーメントに合わせることができる。
【0026】
流体力学的フェアリングは、水がフェアリング上にわたって2つの主要な流れ方向のそれぞれで流れているときにフェアリングが揚力を与えるように構成されるという意味で双方向であってもよい。場合によっては、流体力学的フェアリングは上流側-下流側方向で対称である。一般に、対称的なフェアリングは、一方向フェアリングよりも性能が低下している(生成される揚力が少ない)が、流れが2つの支配的な方向に沿っていると予期されるこの場合、双方向流れの安定した系は、一方向のみで生成され得るより大きな揚力を上回ることができる。フェアリングに所定の又は可変の浮力要素が設けられる場合には、浮力要素をフェアリングの内側に収容することができる。
【0027】
また、本明細書には、潮汐タービンアセンブリのためのタレット係留システムであって、タレットを備え、該タレットが、潮汐タービンアセンブリに装着するため及び回転軸を中心としたタレットと潮汐タービンアセンブリとの間の相対的な動作を可能にするためのシャフトと、シャフトの下端部に固定されるチェーンテーブルとを有し、タレットが、チェーンテーブルが水中に浸漬されるときに上向きの力を与えるように構成される、タレット係留システムが開示される。上向きの力は、タレットの重量(タレット質量に起因する)及び係留ライン張力の下向きの成分に起因する下向きの力に抗することができる。これは、回転摩擦を低減し、したがって、潮汐タービンアセンブリがタレットに対して回転できるようにするのに役立つとともに、絡まりの可能性を低減する。
【0028】
これは、水底上の2つの固定ポイントのみが、タレットとアセンブリとの間に不十分なトルクを与えて、内部摩擦に打ち勝ってタレットと潮汐タービンアセンブリとの間の動作における内部摩擦を低減することによってタレットとアセンブリとの間の相対回転動作をもたらすという課題に取り組む。これは、タレットによって与えられる上向きの力が垂直方向の摩擦成分を減少させることによって生じる。タレット及びタービンアセンブリの相対回転を妨げる摩擦力が低減されているため、相対回転動作がより容易になり、タービンアセンブリはタレット及び水底に対して回転することができる。
【0029】
任意選択的に、上向きの力は、水中で浮力のある要素によって与えられる。この浮力は、水流に関係なく存在する上向きの力をもたらす。特に、絡み合い問題が最も悪いポイントは、潮汐流が0であるとき及び他の局所的な流れが存在し得ないときの緩んだ干潮である。浮力要素(例えば、空気ポケット、発泡体、充填領域など)を設けることは、流れがない場合でも前述の摩擦低減効果が存在するようにする。浮力要素がチェーンテーブル内に収容されてもよく、それにより、シャフトを真下から持ち上げてねじり作用の導入を回避するために、シャフトの基部に上向きの力を与えることができる。他の例では、浮力要素がシャフトの下側部分に位置されてもよい。浮力要素は、用途に適合する材料を選択することによって所望の浮力を有するように選択することができる。更に、設置場所での水の予期密度を決定に含めることができる。
【0030】
要素は、可変浮力を有してもよい。例えば、浮力を変化させて、水中の潮汐タービンアセンブリの姿勢及び/又は向きを変化させることができる。この変化は、例えば、既知の、予測された、規則的な、又は周期的な影響に適応するように、サイクル上で変更することができる。他の例では、浮力を適応的に変化させることができ、この場合、潮汐タービンアセンブリの姿勢及び/又は向きが測定され、要素の浮力は、姿勢及び/又は向きの所望の変化を引き起こすように調整することができる。要素の浮力は、シャフトを通じて、例えば浮力要素に、例えばチェーンテーブルに空気を圧送することによって可変であってもよい。空気の使用は、空気が豊富で容易に利用可能であるため、都合の良い選択肢である。シャフトは、空気をチェーンテーブルに送達するための便利な方法を与える。
【0031】
これに加えて又は代えて、上向きの力は、チェーンテーブル上の流体力学的フェアリングによって与えられてもよい。フェアリングは、チェーンテーブルの全部又は一部のみを覆ってもよい。流体力学的フェアリングの使用は、流れが最も強いときに最も強い上向きの力を与え、この場合、正確な関係は流体力学的フェアリングの形状に依存する。これは、上記で特定された絡み合いの問題を防止するのに役立ち得るが、発電中に潮汐タービンアセンブリを安定した状態に保つのにも役立ち得る。これは、駆動されるようになっているタービンが大きい時変する推力(時間依存流速に依存するという意味で時変する)をもたらすためである。この推力は、ピッチングモーメントを発生させる。流体力学的表面は、タレットがピッチングモーメントに抗することができるようにする。流体力学的揚力及びタービン推力の両方が流速に依存するため、流体力学的フェアリングは好都合な受動的安定化効果を与える。流体力学的フェアリングは、タービンに作用する抗力に起因する潮汐タービンアセンブリにおける予期されるピッチングモーメントに抗するように更に成形されてもよい。換言すれば、フェアリングは、流速に対して上向きの力プロファイルであって、流速に対してタービンによって生み出されるスラスト力のプロファイルにほぼ一致する上向きの力プロファイルを与えるように形成されてもよい。
【0032】
固定された浮力と組み合わせて、浮力からの上向きの力及び流体力学的フェアリングの所定の形態は、FZ=B+L(v)の形式を有し、ここで、Bは所定の浮力に起因する一定の上向き力であり、L(v)は、少なくともフェアリングの流速v及び形状の関数である可変揚力を表わす。浮力が可変である場合、式はF(t)=B(t)+L(v)となり、総上向きの力及び浮力は時間(t)に依存する。流体力学的フェアリングからの揚力も、例えば潮汐変化及び局所流れに起因する流速の時間依存性を介して時間に依存する。これらの基本方程式は、所望の効果を達成するために浮力要素及び流体力学的フェアリングの両方の設計を導くために使用することができる。
【0033】
特に、流体力学的フェアリングのみを使用して(力の大きさ及び/又は流速に対する力のプロファイルに関して)タービン推力に起因するピッチングモーメントの正確な相殺を達成することは困難であり得る。そのような場合、所定の浮力を使用して、流体力学的揚力をピッチングモーメントの完全な反作用に近づけることができる。更に、流体力学的揚力のプロファイル(揚力の流速依存性)がタービン推力のプロファイルと一致しない場合、予期される流れ条件に適合することによって又はライブ測定に基づいて適合することによって、一致を改善するべく可変浮力を使用することができる。
【0034】
幾つかの例では、垂直摩擦力が実質的に0になるように、干潮時にタレット質量と係留ライン張力の下向き成分とを正確に釣り合わせるべく所定の浮力を使用することが望ましい場合がある。しかしながら、これは、潮流が流れているときの流体力学的揚力と組み合わせて、タレットの質量及び係留ラインの張力の下向き成分に起因して、上向きの力がタレットに作用する下向きの力を超える原因となり得る。これにより、タレットが潮汐タービンアセンブリを局所的に持ち上げ、タービン推力に起因するピッチングモーメントを打ち消して、場合によっては完全に相殺できる。これはタレットと潮汐タービンアセンブリとの間の相対回転動作に回転摩擦を導入するが、一般に、上向きの力がピッチングモーメントを打ち消している状態は、潮汐が上昇又は下降しているときに流れが通常は方向を変えていないため、相対回転が実質的に予期されない状態である。実際には、摩擦の増大は、回転に抵抗することによってタービンアセンブリを流れにおいて安定した状態に保つのに役立ち得る一方で、望まれる多くのピッチ平衡揚力及び浮力を供給できるようにする。このようにして、浮力及び揚力を、流速の関数としてのタービンからの予期されるピッチングモーメントに合わせることができる。
【0035】
流体力学的フェアリングは、水がフェアリング上にわたって2つの主要な流れ方向のそれぞれで流れているときにフェアリングが揚力を与えるように構成されるという意味で双方向であってもよい。場合によっては、流体力学的フェアリングは上流側-下流側方向で対称である。一般に、対称的なフェアリングは、一方向フェアリングよりも性能が低下している(生成される揚力が少ない)が、流れが2つの支配的な方向に沿っていると予期されるこの場合、双方向流れの安定した系は、一方向のみで生成され得るより大きな揚力を上回ることができる。フェアリングに所定の又は可変の浮力要素が設けられる場合には、浮力要素をフェアリングの内側に収容することができる。
【0036】
任意選択的に、チェーンテーブルの上流側部分は、上流側係留ラインを介して水底上の単一の上流側固定ポイントに結合するように構成され、チェーンテーブルの下流側部分は、下流側係留ラインを介して水底上の単一の下流側固定ポイントに結合するように構成される。この例は、上流側及び下流側係留ラインを更に含んでもよい。これにより、完全な係留システムが提供される。
【0037】
任意選択的に、上流側係留ラインは、チェーンテーブルの上流側部分上の2つの離間した上流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである、及び/又は、下流側係留ラインは、チェーンテーブルの下流側部分上の2つの離間した下流側取り付けポイントに結合するための二股係留ラインである。タレットを水底に対して両方向で回転させるには、タレットが二股係留ラインの2つの分岐ストランドのうちの一方の張力に抗して作用する必要がある。それにより、分岐ストランドの張力は、タレットの回転に抵抗し、その結果、絡まりの可能性を低減する。
【0038】
任意選択的に、二股部は、水底よりもタレットの近くで発生する(或いは、係留索が位置される)。例えば、二股部(又は係留索)は、水底から測定して係留ラインの長さに沿って90%以上に位置する。
【0039】
任意選択的に、チェーンテーブル上の離間した上流側及び/又は下流側取り付けポイントは、少なくとも1メートル離間している。これは、タレットの所定の回転角に起因する二股係留ラインの2つの分岐ストランドのうちの一方の張力の増大が係留ライン間隔の増大と共に増大し、それにより、タレットの水底に対する回転抵抗を向上させるという意味で、レバー作用を増大させる。回転摩擦の低減と組み合わせて、これは、絡まりにくいシステムを提供する。
【0040】
任意選択的に、上流側係留ラインは、海底上の上流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、係留索をチェーンテーブルの上流側部分上の2つの上流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する、及び/又は、下流側係留ラインは、海底上の下流側固定ポイントを係留索に結合するための第1の部分と、係留索をチェーンテーブルの下流側部分上の2つの下流側取り付けポイントに結合するための第2の部分とを有する。換言すれば、係留ラインの第2の部分は、並列負荷経路を与える一対のラインを備え、一方は、互いに分岐しながら、チェーンテーブル上の離間した取り付けポイントのそれぞれに接続される。係留索は3つの取り付けポイントを有し、1つの取り付けポイントは係留ラインの第1の部分に接続するためのものであり、2つの取り付けポイントは第2の部分のためのものである。係留索は、係留ラインが二股になることができるようにする部分である。任意選択的に、上流側又は下流側係留ラインの第1及び第2の部分は、異なる材料から形成される。これにより、係留ラインの下側部分(固定ポイントに接続されたもの)及び係留ラインの上側部分(チェーンテーブルに接続されたもの)を、それらがそれぞれ果たすようになっている役割に固有の態様で設計することができる。
【0041】
例えば、上流側又は下流側係留ラインの第1の部分はチェーンであってもよく、及び/又は、上流側又は下流側係留ラインの第2の部分は一対の低質量合成ケーブルであってもよい。チェーン接続は強力な接続を形成し、これは、耐摩耗性が重要な場合、例えば、ラインが水底と接触する可能性がある場合に有用であり得るが、低質量合成ケーブルは、取り扱い特性を改善する、軽量で適合可能な係留システムを提供する。
【0042】
以下の任意選択的な特徴は、前述の係留システムのいずれかの変形例に含まれてもよい。
【0043】
任意選択的に、シャフトは、潮汐タービンアセンブリと係合するための上側ラジアルベアリング及び下側ラジアルベアリングを含む。これは、ねじれ又は転倒動作に対する支持をもたらして滑らかな回転を確保するのに役立ち得る。
【0044】
任意選択的に、タレットは、潮汐タービンアセンブリに装着される。これにより、設置及び動作の準備が整った完全な装置が提供される。
【0045】
任意選択的に、タレットは、潮汐タービンアセンブリに対して垂直方向に摺動可能である。例えば、タレットは、潮汐タービンアセンブリに対してチェーンテーブルを上昇又は下降させるためにシャフトの長さの一部にわたって摺動するように構成されてもよい。場合によっては、これにより、アセンブリを搬送するための喫水が低減され得る。
【0046】
任意選択的に、シャフトは一群のパイプである。言い換えると、シャフトは、複合構造を形成するために一緒に保持された複数のパイプを備える。複合構造は、外側保護ケーシングを含むことができる。このようにシャフトを形成することは、強固で堅牢なシャフトを形成するための簡単で安価な方法である。更に、パイプのルーメンを使用して、タービンアセンブリとチェーンテーブル又は更には沿岸との間で制御信号を送信し、アセンブリによって生成された電力を海岸に伝え、チェーンテーブルに空気を供給して浮力又は任意の他の目的の機能を調整することができる。空気を圧送することによる電気ケーブルへの損傷を低減するために又は制御ライン間もしくは制御ラインと大容量電力ラインとの間のクロストーク及び干渉を低減するために、これらの役割を分離したままにするべく、複数のパイプを使用することができる。パイプの中空コアを使用して、シャフトの下端部に浮力を与えることもできる。
【0047】
また、本明細書には、先の請求項のいずれか一項に記載のタレット係留システムを使用して潮汐タービンアセンブリを水底に係留する方法であって、(i)潮汐タービンアセンブリを設置場所に輸送するステップと、(ii)タレットのチェーンテーブルの上流側部分を水底に対して単一の上流側固定ポイントで結合するとともに、タレットのチェーンテーブルの下流側部分を水底に対して単一の下流側固定ポイントで結合するステップと、(iii)タレットを潮汐タービンアセンブリに固定するステップとを含む方法が開示される。これにより、所望の位置に設置された完全なアセンブリが提供される。
【0048】
任意選択的に、ステップ(iii)がステップ(i)及びステップ(ii)の前に行なわれ、ステップ(iii)がドックで又は陸上で行なわれる。これにより、オペレータは、安全性チェックを実行できるように、時に複雑な装着プロセスが制御された環境で実行されるようにすることができる。
【0049】
任意選択的に、ステップ(iii)が完了された時点で、タレットは、上昇位置と下降位置との間で潮汐タービンアセンブリに対して垂直方向で摺動可能であり、それにより、タレットが上昇位置にあるときよりも下降位置にあるときの方が潮汐タービンアセンブリの喫水が大きい。任意選択に、タレットはステップ(i)中に上昇位置にある。これにより、輸送中のアセンブリの喫水を低減することができ、その結果、輸送プロセスをより容易且つ効率的にすることができる。アセンブリがその目的地に到達した時点で、タービンが流れで旋回するときにタービンを避けるべくチェーンテーブルが水面下で十分に低くなるようにタレットを下降させることができる。設置されている間、例えば水の状態の変化に適応するために、タレットの高さを調整することも有利であり得る。
【0050】
任意選択的に、タレットは、チェーンテーブルが水中に浸漬されてタレットが垂直方向で摺動可能であるときに上向きの力を与えるように構成され、また、タレットの垂直位置は、潮汐タービンアセンブリのピッチを制御するためにステップ(i)の前又は最中に調整される。これは、輸送中に潮汐タービンアセンブリに安定性を提供するのに役立つことができる。
【0051】
任意選択的に、潮汐タービンアセンブリが1つ以上のタービンを含み、タービンは、それらが予期される喫水線よりも下方にある(及び任意選択的にタービンアセンブリの船体よりも下方)展開配置で及びタービンが予期される喫水線よりも全体的に上方にある(及び任意選択的に潮力タービン装置上、例えばデッキ上に支持される)上昇配置で構成可能である。タービンは、ステップ(i)中に上昇配置で更に構成することができる。これにより、輸送中にタービンを上昇させて、アセンブリを設置場所に牽引する間の抗力を低減することができ、それによって設置効率が向上する。
【0052】
次に、図を参照して、例及び実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】潮流が流れているときのタレット係留システムで係留された潮汐タービンアセンブリの側面図を示す。
【
図3】潮汐タービンアセンブリとは別個の
図1のタレットの詳細な斜視図を示す。
【
図4】
図1のタレットを含む係留システムの平面図を示す。
【
図6】
図5のタレットを含む係留システムの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、水底(図示せず)に係留された潮汐タービンアセンブリ150を示す。潮汐タービンアセンブリ150は、浮力があり、実質的に剛性であり、アセンブリが水面で浮くことができるようにするべく船体によって封入された本体152を備える。アセンブリ150は、便宜上マークされたx軸及びz軸を有する側面図から示されており、この場合、矢印はその軸の正の方向を指す。y軸は、x軸及びz軸の両方に垂直である(したがって、画像の平面にも垂直である)。アセンブリ150の後部又は船尾(負のx方向)に向かって、タービン展開モジュール154が、水中から又は水中に1つ以上のタービン158を上昇及び下降させるために配置される。タービン158は、ビーム156の遠位端に装着され、ビーム156は、タービン展開モジュール154によって駆動されて水中から上方に揺動し、水中からタービン158を上昇させることができる。これは、アセンブリ150の喫水を低減して、設置場所への又は設置場所からのアセンブリ150の輸送を容易にするのを助けることができる。他の例では、荒海による損傷を防止するために又はタービン158を修理もしくは検査するために、タービン158を水中から上昇させることができる。いずれの場合でも、発電を開始することができるように(場合によっては、発電を再開する)、タービン158を水中に、例えば船体の下に揺動させて戻すために、タービン展開モジュール154によって逆作用を引き起こすことができる。
【0055】
タービンアセンブリ150の前部又は船首(正のx方向)に向かって、係留システムの一部を形成するタレット100がある。タレット係留システムは、潮汐タービンアセンブリ150に固定されるシャフト102を備える。シャフト102は、タレット100と潮汐タービンアセンブリ150との間の相対的な回転動作を可能にするように、潮汐タービンアセンブリ150に装着される。シャフト102の下端部(z軸負方向)にはチェーンテーブル104が固定される。チェーンテーブル104及びシャフト102の動作は、両方とも略剛性構造であり、チェーンテーブル104及びシャフト102の一方の回転及び垂直運動がチェーンテーブル104及びシャフト102の他方の同じ動作を引き起こすように互いに結合される。
【0056】
上流側係留ライン106及び下流側係留ライン108は、それぞれの上流側及び下流側固定ポイント(図示せず)でチェーンテーブル104を水底に結合する。チェーンテーブル104は、係留ライン106,108が水底に対するチェーンテーブル104の回転に抵抗するように水底に固定される。これは、シャフト102、実際にはタレット100全体が、水底の上方の適所に保持され、係留ライン106,108の張力によって回転することが防止されることを意味する。タレット100をこのように強固に保持することにより、例えば変化する局所的な流れに適応するために、潮汐タービンアセンブリ150を水底に対して回転させることができる。
【0057】
特に、アセンブリ150は、潮汐が方向を変えると約180°ヨーイングする(z軸を中心に回転する)。また、タレット係留システム100は、潮汐流の方向が各サイクルで同じでない場合、例えば局所的な流れに起因して、タービン158を局所的な流れの流れベクトルとより良好に位置合わせするように、潮汐タービンアセンブリ150がその向きを調整できるようにする。これは、アセンブリ150を固定された向き又は姿勢でしっかりと保持することができる固定係留システムの改善であるが、そうすることで、流れ方向の変化に適応する能力を必然的に犠牲にする。
【0058】
潮汐タービンアセンブリ150は、流れが(正のx方向から負のx方向に)流れてタービン158を駆動するように、使用時に示されている。図には、このプロセスに関与する様々な力が示されている。特に、船体からの抗力、ビームからの抗力、及びタービン推力は、正味抗力負荷FDに組み合わされる。正味の抗力負荷は、抗力を支配するタービン推力に起因して、タービン158に非常に近い有効抗力中心から作用する。
【0059】
重心はCoGとしてマークされ、潮汐タービンアセンブリ150の総質量Mは、CoGを通って下方に作用する。同様に、潮汐タービンアセンブリの浮力BAは、浮力の長手方向中心LCBを通って上方に作用する。なお、一般的にCoGとLCBは同一地点には位置しない。
【0060】
タレットにかかる力は、係留ライン106,108の張力によって加えられる下向きの力による正味の垂直係留負荷TZである。更に、係留ライン106,108の張力の水平成分に起因して、正味の水平係留負荷TXが存在する。明らかに、潮汐タービン装置150が所定の位置に留まり、沈まない場合、BA=M、及びTX=FDであり、これは、潮汐タービンアセンブリ150、タレット100、及び係留ライン106,108の慎重な設計によって容易に達成することができる。しかしながら、この制約は静的条件のみを満たす。水流がある場合、上記の力のみが作用すると、これらの力のそれぞれによって発生するモーメントを計算することができる。力は、一般に、浮力の長手方向中心を通過しないため、浮力の長手方向中心の周りで回転を引き起こす傾向がある。
【0061】
時計回りの方向を正(正のz方向を最短円弧の正のx方向にマッピングする方向)とすると、これらのモーメントは以下の通りである。正味抗力FDはモーメントFD・z2を生じさせ、ここで、z2は正味抗力の有効作用点と浮力の縦方向中心との間の垂直オフセットである。潮汐タービンアセンブリ150の質量Mは、-M・x2のモーメントを与えるように作用し、ここで、x2は、重心と長手方向浮心との間の(x方向の)水平方向間隔である。
【0062】
最後に、タレットは、TZ・x1-TXz1のモーメントを与え、ここで、x1は、タレット100と浮力の長手方向中心との間の(x方向の)水平方向の間隔であり、z1は、チェーンテーブル(具体的には、チェーンテーブル104と係留ライン106,108との間の接続の位置)と浮力の長手方向中心との間の垂直方向の間隔である。
【0063】
安定した配置(力のために回転しない配置)は、
【数1】
の配置であり、ここで、m
iは上記の各音源からのモーメントを表わす。そうでなければ、潮汐タービンアセンブリ150は、浮力の長手方向中心を通過しない線に沿って作用する力によって回転する。潮汐タービンアセンブリ150は、Σm
iが正である場合、時計回りに回転し、この合計が負である場合、反時計回りに回転する。これにより、水中でのアセンブリ150の向きが変化し、x
1,x
2,z
1,z
2の値も変化する。回転は、安定した形態が見つかるまで継続する。例えば、アセンブリ150は、潮流が流れていないときに安定した形態にあってもよく、これは、F
D及びT
xがゼロであることを意味する。現在の流量が増加すると、力F
D及びT
xは増加するが、係留ラインの動力学により、それらは必ずしも等しくない(例えば、平衡が回復するまでアセンブリ150が少し後方にドリフトすることを意味する)。同様に、一般に、z
1≠z
2であり、正味の結果は、流れの流れに起因して導入されるモーメントが一致しないため、アセンブリ150が回転する。通常、結果は時計回りの回転であり、アセンブリ150の船首(正のx方向)を水中に駆動し、一方、船尾(負のx方向)及びタービン(単数又は複数)158を上昇させる。発電に影響が及ぶため、タービン158のかなりの部分が水中から上昇すると明らかに問題である。タービン158が完全に水没したままである場合でも、タービン158はもはや動力を生成するための流れの最適な部分にはない可能性があるため、この動きに抵抗することが重要である。
【0064】
本発明は、タレット100に更なるモーメントを与えることによってこの問題に対処する。具体的には、タレット100は、潮汐タービンアセンブリ150に上向きの力を与えるように構成される。幾つかの例では、これは所定の浮力であり、他の例では可変浮力である。また更なる例では、それはチェーンテーブル104上の流体力学的フェアリングであり、幾つかの例では、それはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。タレット100で上向きの力を加えると、モーメント方程式はΣimi=FDz2+(Tz-L-B)x1Txz1-Mx2に変化し、この場合、L及びBはそれぞれ流体力学的揚力及び浮力である。これらは、タービン158によって引き起こされるピッチング(y軸周りの回転)に抗するように選択することができる。特に、LとFDの両方は流速によって変化するため、流体力学的表面は、タービン推力によって引き起こされるピッチングモーメントを動的に打ち消すLを与えるように設計することができる。浮力は、モーメントのバランスを微調整するために、更なる時変力を与えるように可変であり得る。言い換えると、タレット100で上向きの力を加えることにより、潮汐タービンアセンブリ150の向きを変えることができ、安定した配置をもたらすことができる。特に、安定した配置を平坦な向きに近づけることができる(船首-船尾線は広く水平である)。
【0065】
図1には詳細に示されていないが、タレット100は、潮汐タービン装置150に対して垂直に摺動するように構成されてもよい。これは、z
1距離、したがってタレット100によって生成される係留荷重のx成分に起因するモーメントの大きさを変更することによって、装置150の安定位置の更なる調整を可能にすることができる。また、この垂直動作は、アセンブリ150を設置場所に輸送しながらタレット100を上昇させることによって、アセンブリ150を設置場所に輸送しながらアセンブリ150の喫水を低減するのに有用となり得る。これにより、輸送プロセスの効率に影響を与えることなく、乾燥地又はドックもしくは港湾の比較的穏やかな水域でタレット100をアセンブリ150に設置することが可能になる。アセンブリ150が設置場所に到着した時点で、係留ライン106,108を使用してタレット100を水底に固定することができる。他の例において、タレット100は、アセンブリ150が設置場所に到着する前に水底に固定することができる。
【0066】
また、
図1には、タービン158によって生成された電力を沿岸に伝送することを可能にする電力伝送装置も詳細には示されていない。この構成は、タービンアセンブリ150とタレット100との間にスリップリングを含み、それにより、タレット100とアセンブリ150との間の回転接続を介してタレット100に電力を安全に伝達することができる。電力は、係留ライン106,108に沿って延びるライザケーブル(図示せず)によって沿岸に伝送され、水底に沿って沿岸まで延びることができる。1つ以上のスリップリングを使用して、必要に応じてタレットへの制御信号の送信を制御することもできる。或いは、アセンブリ150とタレット100との間の制御信号に短距離無線通信を使用することができる。
【0067】
図1はこれを詳細に示していないが、場合によっては、タレット100は、シャフト102の長さの少なくとも一部にわたってアセンブリ150に対して垂直(又はz)方向に摺動可能であってもよい。そのような場合、摺動動作は、タレット100をアセンブリ150に対して所定の高さに維持できるようにするべく選択的にロック可能である。本明細書の他の箇所で述べたように、タレット100は、アセンブリ150に上向きの力を付与するように構成することができる。ロック機構(図示せず)は、ロック機構がロックされているときに、そのような上向きの力が加えられても、力がアセンブリ150に完全に伝達されるように、タレット100とアセンブリ150との間の相対動作に抵抗するのに十分な強度を有する。
【0068】
ここで
図2を参照すると、タレット100は、潮汐タービンアセンブリ150に装着された状態で、より詳細に示されている。前述のように、タレット100に作用する力L及びBが示されており、それぞれタレット100の流体力学的揚力効果及び浮力を表わす。力T
1は上流側係留ライン106の張力を表わし、T
2は下流側係留ライン108の張力を表わす。これらは、x(水平)及びz(垂直)成分T
1x,T
1z,T
2X,T
2Zに分解される。係留ラインは、取り付けポイント128でチェーンテーブル104に結合する。また、図には、タレットの質量Mに起因する重量も示されている。
【0069】
潮汐タービンアセンブリ150は、タレット100を受け入れるための円筒形の装着開口部を有する。タレット100は、円筒形装着開口部の内面と係合するための上側ラジアルベアリング110及び下側ラジアルベアリング112を有する。各ラジアルベアリング110,112は、タレット100と潮汐タービンアセンブリ150との間の相対回転動作を可能にするように配置される。しかしながら、前述した様々な力は、タレット100とタービンアセンブリ150との間の摩擦力をもたらす。特に、上側ラジアルベアリングは、径方向反力R1x及び垂直反力R1zを有し、下側ラジアルベアリングは、径方向反力R2xを有する。これらの反力の摩擦係数は、それぞれμ1x、μ1z及びμ2xと表される。
【0070】
反力の正味の効果は、
図2にQ
Fとして表わされる摩擦トルクを与えることである。実際には、これは、アセンブリ150がタレット100に対して回転し、それによって意図されたヨーイング効果を達成するために、タレット100とタービンアセンブリ150との間に加えられなければならないトルクである。半径r(ラジアルベアリングがタービンアセンブリ150に接触する有効半径)を有するタレット100では、摩擦トルクはQ
F=r・(μ
1zR
1z+μ
1xR
1x+μ
2xR
2x)と完全に記載されている。
【0071】
ラジアルベアリング110,112は、摩擦を可能な限り低減するように設計することができるが、これは、本システムにとって限定的な利益である。これは、潮汐タービンアセンブリ150の双方向性と、潮汐が低く正味流れがないときにヨーイング作用が起こるという事実とに起因する。理想的なシステムの弛慢な干潮汐では、T1=T2であるため、R1x=R2X=0であり、これは摩擦力への支配的な寄与が垂直成分に起因することを意味する。具体的には、潮流が流れていないときの揚力Lを0とすると、摩擦トルクは、QF=r・μ1z・R1z=r・μ1z・(T1z+T2z-B)となる。言い換えると、所定の浮力が各係留ライン106,108の張力の垂直成分の合計に等しい上向きの力を生成する場合、弛弛干潮時の摩擦トルクは最小であり、タレット100とアセンブリ150との間の回転に対するインピーダンスも最小である。したがって、所定の浮力は、アセンブリ150がタレット100の周りを回転できないという問題に直接対処する。もちろん、潮汐変化中に潮流が全く流れない期間は比較的短い。そのような場合、結果として生じる摩擦力が最小になるようにするために解析に考慮することができる流体力学的揚力Lが存在する。浮力及び揚力は、当然ながら、前述のピッチング力に抗する効果も有する。
【0072】
また、
図2は、揚力Lを与えるための流体力学的表面126を示す。より具体的には、流体力学的表面126は、チェーンテーブル104上のフェアリングとして形成される。他の場合には、流体力学的表面は、これに加えて又は代えて、適度に小さいタレット100を保持しながら揚力を増大するために、チェーンテーブル104を越えて延びる部分、例えばチェーンテーブル104からy方向に延びる細長いウィング型構造を含むことができる。
【0073】
図2では、流体力学的表面126は、水が表面上をいずれかの方向に流れるときに揚力が生成されるという意味で双方向である。より具体的には、表面126は対称であり、所定の流速で生成される揚力は、水が正又は負のx方向に流れているかどうかにかかわらず同じであることを意味する。これは、フェアリング126がピッチングモーメントに抗する上記の効果が、潮汐の出入りにかかわらず存在するように配置できることを意味する。他の例では、流体力学的表面が反対方向の流れに応じて異なる挙動をすることが有益であり得る。浮力要素(前述の所定の又は可変の浮力を与えるための要素)をフェアリング126内に配置することができ、これは、浮力要素を損傷から保護することができ、浮力が水中空気ポケットに基づく場合、フェアリングは、空気を水中に保持するための外側エンベロープを与えることができる。
【0074】
ここで
図3を考える。ここでは、明確にマークされたx、y、及びz軸と共にタレットの詳細図を見ることができる。チェーンテーブル104は、一般に剛性であり、以下でより詳細に説明するように、チェーンテーブル104の四隅に配置された、係留ラインをチェーンテーブル104に結合するための4つの取り付けポイント128を有する。剛性チェーンテーブル104は、取り付けポイント128を離間して保持し、この場合、上流側及び下流側の取り付けポイント128の対は、x方向に互いに離間して保持される。更に、取り付けポイント128の各対(上流側の対及び下流側の対)は、y方向に互いに離間した2つの取り付けポイント128を含む。
【0075】
シャフト102は、外側ケーシングによって囲まれた一群のパイプ122から形成されているように見える。これは、強固なシャフト102を形成する安価で容易な方法を提供した。パイプ122及び外側ケーシング124の一般的な構成は、タレット100の抗力を低減するように配置され得る。図示の例において、外側ケーシング124は、シャフト102を合理化するために、x方向に沿って(すなわち、流れの方向に沿って)狭い角度で平面図で広く菱形である。また、パイプ122自体は、チェーンテーブル104とアセンブリ150との間を連通するための便利な手段も与える。例えば、チェーンテーブル104が可変浮力要素を含む場合、浮力は、この目的に適合させることができるパイプ122のうちの1つを介してチェーンテーブル104内に空気を送り込むことによって調整することができる。
【0076】
これに加えて又は代えて、別個のパイプ122を使用して、タービン158によって生成された電力をアセンブリ150から沿岸に運び、チェーンテーブルから/チェーンテーブルに、及び/又は沿岸へと/から前方に、タービンアセンブリ150へ/タービンアセンブリ150から通信メッセージを運ぶことができる。幾つかの例において、沿岸とアセンブリとの間の通信は、沿岸からタービンアセンブリ150の動作の様々な態様の制御を可能にすることができ、例えば、荒海での損傷を防止するためにタービン158を水中から上昇させることができ、これは、海が非常に荒く、ボート又は空気によってアセンブリ150の設定又は配置を変更するためにアセンブリ150に物理的に対応することが非実用的又は非安全である場合に有利であり得る。
【0077】
ここで
図4を参照すると、係留ラインに連結された
図3のタレット100が平面図で示されている。
図4は、図の下部に1つの係留ラインのみを示しているが、完全な係留システムは、2つの係留ライン(例えば
図1及び
図2に示すように)を含むことに留意されたい。
図4に示す係留ラインは、
図1及び
図2に示す係留ライン106,108のうちの1つに対応する。
【0078】
図4は、チェーンテーブル104に結合された係留ラインを示す。係留ラインは、下端部で水底上の固定ポイント114に結合するための第1の部分116を有する。第1の部分は、その上端部が係留索120に接続する。係留索120は、3つの取り付けポイントを有し、そのうちの1つが第1の部分116に接続される。係留索120上の残りの2つの取り付けポイントは、係留ラインの第2の部分118に結合する。係留ラインの第2の部分118は、平行な荷重経路を与える2本のラインを含み、これらのラインは、係留索120から分岐してチェーンテーブル104上の2つの取り付けポイント128に結合する。言い換えると、係留ラインは、上端部で2つの取り付け部へと二股になるが水底上の単一のポイント114に固定されるという意味で、二股係留ラインである。
【0079】
係留ラインの第2の部分118が結合される2つの取り付けポイント128は、y方向に離間している。これにより、単一の係留ラインは、チェーンテーブル104上の単一の取り付けポイント128で可能であるよりも、水底に対するタレット100の回転に対するより大きな抵抗を与えることができる。一例として、水底に対する
図4に示すタレット100の回転を考える。タレット100が回転する方向にかかわらず、第2の部分118の二本の分岐ストランドの一方又は他方は張力を受ける。これは、タレット100の両方向の回転が係留システムによって抵抗されることを意味する。一例として、係留ラインは、取り付けポイント128間のy軸間隔が約1メートルでチェーンテーブル104に接続することができ、これは、殆どの場合、所望の効果を達成するのに十分な間隔であることが分かっている。他の例では、間隔は、想定される具体的な実施態様に応じて、より大きくても小さくてもよい。
【0080】
係留ラインの第1の部分116はチェーンとして形成され、これにより強い結合をもたらすことができる。係留ラインの第2の部分118は、アラミド繊維線、例えばDyneema(RTM)などの低質量合成材料から形成される。これにより、必要な張力負荷に耐える適切な材料からラインを作ることができるが、チェーンテーブル104に過度の質量を導入することはない。二股部(すなわち、
図4の係留索120)の位置は、タレット100に比較的近い(確実に、係留索が取り付けポイント114よりもタレット100に近い)ように示されている。殆どの場合、係留索120又は二股部は、タレット100から、具体的にはチェーンテーブル104上の取り付けポイント128から離れて係留ラインの全長の10%以下に配置されるべきである(すなわち、水底上の固定ポイント114から測定された係留ラインの長さの90%以上)。
【0081】
より詳細には、係留ラインの第1の部分116は、チェーンであり、重く、タレット100に復元力を与える。これは、張力T
1及びT
2がそれぞれの係留ライン106,108の重量からの寄与を含む
図2を参照すると最もよく分かる。係留ラインに二股部を設けることにより、この張力が2つの取り付けポイント128の間に分散される。この結果、タレットには平衡位置が存在し、係留ラインの第2の部分118の2本の分岐ストランドのそれぞれの張力がタレット100で(
図3に見えるタレット100の対称性に起因して、その回転軸の周りに)等しい反対の回転モーメントを引き起こし、したがってトルクのバランスをとり、回転を引き起こさない。2つの分岐ストランドの長さが等しい場合、平衡位置は
図4に示す位置になる。
【0082】
具体的には、
図4に示す平衡位置は、係留ラインの第1の部分116の方向(x-y平面内)に引かれた第1の線が、チェーンテーブル140に達するまで延長される平衡位置である。この第1の線は、2つの取り付けポイント128の間に引かれた第2の線と直角に交わる。
図4では、タレット100を任意の一方向に回転させると、2つの分岐ストランドの一方の張力が増加し、他方のストランドが弛弛し、張力が減少することが明確に分かる(場合によっては劇的に、更には実質的に0になる)。明確にするために、
図4に示すように、タレット100の時計回りの回転は、2本のストランドの左側の張力を増加させ、一方、右側のストランドの張力は劇的に減少し、逆もまた同様である。
【0083】
図4の二股係留ラインは、設置の改善された単純さ(例えば、設置されるべき水底上のアンカーポイントの数の半分を必要とする)とは全く別に、それぞれが水底上の異なるそれぞれのポイントに結合された一対の独立した単一の係留ラインに優る利点を有する。一般に、独立した係留ラインでは、ラインが適度に弛んでいる場合、各取り付けポイント128に異なる大きさの張力を与える。これは、各ラインの弛みがそのラインの張力に影響を及ぼし、したがって、水底上の固定ポイント114に対するタレット100の位置(例えば、波又は流れの動きの下でのドリフトに起因する)が、2つの係留ライン間の張力差、したがって水底に対するタレット100の回転を引き起こす可能性があるためである。したがって、直感に反して、このタスクのために2つの独立した係留ラインを使用することは、係留システムが防止しようとするまさにその回転をもたらすことができる。
【0084】
対照的に、
図4の二股係留ラインは、係留索120まで同じ張力を与え、これは、固定ポイント114及び係留索120の位置からの直線によって規定される軸に対するタレット100の回転のみが張力差を引き起こすことを意味する。その結果、係留システムは、タレット100を水底に対する回転に対して優先的に支持するので、二股係留システムは、タレット100をその意図された向きに保持することがより良好である。
【0085】
図示されていないが、チェーンテーブル104は、更なる取り付けポイント128を介して第2の係留ラインに接続可能である。第2の係留ラインは、第1の係留ラインと同じ形態とすることができ、同じ利点を有する。他の例では、第2の係留ラインは、チェーンテーブル104上に単一の取り付けポイント128のみを有する、より単純な形態であってもよい。これは、潮の流れが非対称である場合に可能であり、その結果、前述の絡み合いの問題は、一方の流れ方向で発生する可能性が最も高いが、他方の流れ方向では比較的発生しにくい。また、そのような設置場所は、ほぼ同じ理由で、非対称の流体力学的フェアリングを利用することができる。
【0086】
チェーンテーブル104上に離間した取り付けポイント128を有するこの係留システムは、水底に対するタレット100の回転に対してより強い抵抗をもたらす。単独で又は前述のシステム(タレット100での上向きの力が摩擦を低減する)と組み合わせて、これは、タレット100が強固に保持されるため、係留ライン106,108の絡まりが発生する可能性を低減する。実際に、組み合わせて、(二股係留ライン構成に起因して)タレット100と潮汐タービンアセンブリ150との間に及ぼされるトルクを増加させる効果と、(タレット100によってもたらされる上向きの力に起因して)摩擦を減少させる効果とは、両方とも、流れが方向を変えるときに潮汐タービンアセンブリ150がタレット100に対して回転するようにし、それによって絡まりを減少させるという共通の目標に向かって働く。
【0087】
図5及び
図6は、斜視図及び平面図でそれぞれタレット100の別の形態を示す。
図5及び
図6は、
図3及び
図4と概ね同等であり、共通の特徴については再度詳細には説明しない。しかしながら、
図5及び
図6では、フェアリング126がなく、チェーンテーブル104の内部構造が見える。特に、
図3及び
図4と
図5及び
図6との比較は、チェーンテーブル104の容積(フェアリング126の内側の領域)の大部分が浮力要素を格納するために利用可能であることを示している。更に、
図5及び
図6に示す形態は、本明細書の開示の一部として示すように使用することができ、具体的には、係留ラインのための取り付けポイント128は、y方向に離間しており、これは、前述したように絡み合いの発生を低減するのを助けることができる。場合によっては、係留ラインによってもたらされる効果は非常に強くなる可能性があるため、浮力又は流体力学的揚力によってもたらされる更なる効果は必要ない。
【0088】
上記に見られるように、本出願は、一般にここで要約される多くの有利な特徴を説明する。第1に、タレット係留式潮汐タービン装置へのチェーンテーブルの特定の適合は、タレットが水底に対する回転に抵抗することができるという意味でより安定性の高いシステムを可能にし、それによって実際のタービンアセンブリが回転して局所的な潮流の流れと整列することを可能にする。
【0089】
この効果は、浮体構造、特に浮体タービン構造では、大きな喫水及び抗力(タービンが表面下にあるため)に起因して達成することが特に困難である。前述したように、これにより、タレットがタービン装置でねじられ、係留ラインのねじれを引き起こす可能性がある。更に、タービンが係留ライン自体の中へと旋回され、タービン、係留ライン、又はその両方を損傷する危険性がある。
【0090】
タレット係留システムを潮汐タービンアレイに適用する場合、一方では係留システムの複雑さを低減すること(特に、水底上のアンカーポイントをより少なくすること)により、設置コストが節約され、装置が変化する潮流の中で旋回するときにタービンの動きを妨げる水中障害物が少なくなるというジレンマが生じる。一方、係留ラインが少ないと、タレットがそれ自体を水底に対して回転可能に固定することができず、係留ラインの絡まり及びねじれをもたらす可能性が高くなる傾向がある。
【0091】
本出願は、チェーンテーブル上の離間した取り付けポイントが(水底に対して)増加した回転抵抗を与えるのに役立つ解決策を提示する。この効果は非常に顕著であり、係留ラインがチェーンテーブルなどのタレットの比較的小さな領域に連結される場合であっても、2つの二股係留ライン、すなわち上流側係留ライン及び下流側係留ラインのみを使用して、このように潮汐タービンアセンブリを固定することができる。この効果は、係留システムの一部としてケーブル又はチェーンのみを使用して達成することができる。言い換えると、チェーンテーブル以外に、係留システムは、剛性ブレース要素を殆ど完全に含まなくてもよく、これはコスト及び複雑さの更なる節約に相当する。
【0092】
別の有利な態様は、上向きの力を与えるタレット及び/又はチェーンテーブルを提供することである。それは、係留ラインを支持するための位置を与えるだけでなく(全てのタレット係留に自明に当てはまるように)、タービンアセンブリ自体に上向きの力を与える。言い換えると、タレットが単独で浮く(アセンブリから取り外される)平衡深さは、タービンアセンブリに取り付けられたときにタレットが平衡状態で浮く深さよりも高い。
【0093】
この特徴により、タレットは、現在展開されているときにタービンが受ける大きな推力に起因して生じるアセンブリのピッチングモーメントに抗することができる。更に、タレットからの上向きの力は、タービンからの変化する推力に起因する可変ピッチング動作に抗するように可変であり得る。この上向きの力の変化は、浮力、流体力学的表面の使用、又はその両方を調整することによって(又は実際には完全に他の方法によって)達成することができる。これにより、アセンブリ全体の姿勢を制御することができ、安定性を提供することができる。
【0094】
これは、殆どのタレット係留装置がそのような強い可変推力を経験しないため、潮汐タービンアセンブリに非常に特有の問題である。これは、殆どのタレット係留システムが、可変力はもちろんのこと、上向きの力を生成するタレットを全く必要としないことを意味し、そうすることにより、実際にそれらのシステムを不安定にし、又はアセンブリの望ましくないピッチング又は傾斜を引き起こす。
【国際調査報告】