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特表2023-506902二相性混合物の均質分配を促進する混合装置、熱交換設備、及び関連する混合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】二相性混合物の均質分配を促進する混合装置、熱交換設備、及び関連する混合方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/02 20060101AFI20230213BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20230213BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20230213BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20230213BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/04 Z
B01F23/23
B01F25/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537032
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020084935
(87)【国際公開番号】W WO2021122115
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】1914897
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】アンドリッヒ、マリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ベルハウ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー、マーク
【テーマコード(参考)】
3L103
4G035
【Fターム(参考)】
3L103AA17
3L103BB30
3L103CC17
3L103DD15
3L103DD57
4G035AB04
4G035AC01
(57)【要約】
本発明は、プレート(2)を有する熱交換器(1)と、熱交換器(1)の少なくとも1つの第1のコレクタ(30)に流体接続された第1の流体(F1)の第1の相(61)のソースと、熱交換器(1)の少なくとも1つの第2のコレクタ(52)に流体接続された第1の流体(F1)の第2の相(62)のソースと、熱交換器(1)の少なくとも1つの通路(10)の概して長手方向(z)に、第1の流体(F1)の第1の相(61)及び第2の相(62)の混合物を分配するための混合装置(3)であって、少なくとも1つの第1の入口(311)からの第1の流体(F1)の第1の相(61)の流れのために構成された少なくとも1つの横方向チャネル(31)を備える、混合装置(3)と、長手方向(z)に延在し、第2の入口(321)から第2の出口(322)への第1の流体(F1)の第2の相(62)の流れのためにそれぞれが構成されている一連の長手方向チャネル(32)であって、長手方向(z)と直交する横方向(y)に互いに連続する、一連の長手方向チャネル(32)と、混合装置(3)が少なくとも1つの長手方向チャネル(32)の第2の出口(322)を介して第1の相(61)及び第2の相(62)の混合物を分配するように構成されるような、横方向チャネル(31)を少なくとも1つの長手方向チャネル(32)に流体接続する少なくとも1つの開口部(34)とを備える熱交換アセンブリに関する。本発明によると、少なくとも1つの長手方向チャネル(32)は、長手方向(z)において、長手方向(z)に測定される長さ(L3、L4)及び横方向(y)に測定される幅(D3、Dy)をそれぞれ有する少なくとも1つの上流側部分(323)及び1つの下流側部分(324)に分割され、下流側部分(324)は上流側部分(323)と第2の出口(322)との間に配置され、下流側部分(324)は、その長さ(L4)に沿った任意の点において、上流側部分(323)の幅(D3)より大きい幅(Dy)を有する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(1)の少なくとも1つの通路(10)の概して長手方向(z)に、第1の流体(F1)の第1の相(61)及び第2の相(62)の混合物を分配するための混合装置(3)であって、
- 前記第1の相(61)が少なくとも1つの第1の入口(311)から流れるように構成された少なくとも1つの横方向チャネル(31)と、
- 前記長手方向(z)に延在し、第2の相(62)が第2の入口(321)から第2の出口(322)に流れるようにそれぞれ構成された一連の長手方向チャネル(32)であって、前記長手方向チャネルが前記長手方向(z)と直交する横方向(y)に互いに連続する、一連の長手方向チャネル(32)と、
- 前記混合装置(3)が前記長手方向チャネル(32)の前記第2の出口(322)を介して前記第1の相(61)及び前記第2の相(62)の混合物を分配するように構成されるような、前記横方向チャネル(31)を少なくとも1つの長手方向チャネル(32)に流体接続する少なくとも1つの開口部(34)と
を備える、混合装置(3)において、
前記混合装置(3)の前記少なくとも1つの長手方向チャネル(32)が、前記長手方向(z)において、前記長手方向(z)に測定される長さ(L、L)及び前記横方向(y)に測定される幅(D、D)をそれぞれ有する上流側部分(323)及び下流側部分(324)に分割され、前記下流側部分(324)が前記上流側部分(323)と前記第2の出口(322)との間に配置され、前記下流側部分(324)が、その長さ(L)の任意の点において、前記上流側部分(323)の前記幅(D)より大きい幅(D)を有する
ことを特徴とする、
混合装置(3)。
【請求項2】
前記下流側部分(324)が、前記第2の出口(322)の方へ、その全長(L4)にわたって連続的に増加する幅(D)を有する
ことを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下流側部分(324)の全部又は一部が、前記長手方向(z)及び前記横方向(y)に平行な平面(P)における縦断面として、等脚台形の形態の外部プロファイルを有する
ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記下流側部分(324)が、前記混合装置(3)の下流側面(326)に現れ、前記外部プロファイルが、前記下流側面(326)との交点における前記外部プロファイルの接線(T)と前記長手方向チャネル(32)の対称軸(AA’)との間で測定される、5~85°の角度(θ)を形成する
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記長手方向チャネル(32)の前記上流側部分(323)が、1つの端部(324a)で前記下流側部分に接続され、前記少なくとも1つの開口部(34)が、前記端部(324a)からある距離(L)をおいて前記上流側部分(323)の前記長手方向チャネル(32)に現れ、好ましくは、(L)が、前記上流側部分(323)の前記長さ(L)の4%以上であり、好ましくは、前記上流側部分(323)の前記長さ(L)の7~90%である
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口部(34)が、前記第1の相(61)が前記横方向チャネル(31)の前記第1の入口から流れ、且つ、前記第2の相(62)が前記長手方向チャネル(32)の前記第2の入口(321)から流れるときに、前記第1の相(61)及び前記第2の相(62)の混合が前記下流側部分(324)の上流で生じるように配置される
ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記混合装置(3)の前記1つ又は複数の開口部(34)がすべて、前記長手方向チャネル(32)の上流側部分(324)に現れる
ことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記一連の長手方向チャネル(32)の各長手方向チャネルが、その上流側部分(323)に現れる少なくとも1つの開口部(34)を備え、前記長手方向(z)における前記少なくとも1つの開口部(34)の位置が、前記長手方向チャネル(32)の間で異なる
ことを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記上流側部分(323)の前記長さ(L)及び前記下流側部分(324)の前記長さ(L)が、比L/Lが1~15、好ましくは、3~12であるような長さである
ことを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記下流側部分(324)が、前記長手方向(z)に対して垂直であり、且つ、前記横方向(y)に対して垂直である、積層方向(x)と呼ばれる方向に測定される、前記第2の出口(322)の方へ増加する深さを有する
ことを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記長手方向チャネル(32)が、前記下流側部分(324)を、前記第2の出口(322)に現れる複数の中間チャネル(328)にさらに分割するように配置された少なくとも1つの障害物(327)を備え、好ましくは、前記中間チャネル(328)が、前記長手方向チャネル(32)の対称軸(AA’)に対して対称的に配置される
ことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
- 互いに且つ長手方向(z)に平行に配置された複数のプレート(2)を備える熱交換器(1)であって、前記プレート(2)が、第1の流体(F1)が前記長手方向(z)に概して流れるように構成された通路(10)の少なくとも第1の組、及び、第2の流体(F2)の流れが前記第1の流体(F1)との熱交換関係になるように構成された通路(20)の少なくとも1つの第2の組を一緒に画定するように離間された方法で積み重ねられる、熱交換器(1)と、
- 前記熱交換器(1)の少なくとも1つの第1のマニホルド(30)に流体接続された前記第1の流体(F1)の第1の相(61)のソースと、
- 前記熱交換器(1)の少なくとも1つの第2のマニホルド(52)に流体接続された前記第1の流体(F1)の第2の相(62)のソースと、
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の混合装置(3)であって、前記混合装置(3)が、前記第1の一連の通路のうちの少なくとも1つの通路(10)に配置され、且つ、前記第1の相(61)及び前記第2の相(62)の混合物によって形成される第1の流体(F1)を前記第1の一連の通路のうちの前記通路(10)に分配するように構成され、前記横方向チャネル(31)の前記第1の入口(311)が前記第1のマニホルド(30)と流体連通し、且つ、前記第2の入口(321)が前記第2のマニホルド(52)と流体連通し、前記第1の相(61)が液相であり、且つ、前記第2の相(62)が気相である、混合装置(3)と
を備える、
熱交換設備。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の混合装置(3)において第1の流体(F1)の第1の相(61)及び第2の相(62)を混合するための方法であって、
i)前記横方向チャネル(31)の少なくとも1つの第1の入口(311)を介して前記第1の流体(F1)の前記第1の相(61)を導入するステップと、
ii)各長手方向チャネル(32)の第2の入口(321)を介して前記第1の流体(F1)の前記第2の相(62)を導入するステップであって、前記第2の相(62)が各長手方向チャネル(32)において前記長手方向(z)に前記長手方向チャネル(32)の第2の出口(322)へと流れる、ステップと、
iii)前記長手方向チャネル(32)において前記第1の相(61)を前記第2の相(62)と混合するように、前記開口部(34)を介して前記横方向チャネル(31)から前記長手方向チャネル(32)の方へ前記第1の相(61)の少なくとも一部を流すステップと、
iv)各長手方向チャネル(32)の前記第2の出口(322)を介して前記第1の相(61)及び前記第2の相(62)の混合物を分配するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記第1の相(61)が、前記下流側部分(324)の上流で、前記第2の相(62)と混合される
ことを特徴とする、
請求項13に記載の混合方法。
【請求項15】
第2の流体(F2)としての天然ガスなどの炭化水素流(102)を、第1の流体(F1)としての少なくとも1つの二相性冷却流(203)と熱交換することによって、液化するための方法であって、
請求項13又は14に記載の混合方法を実装し、
a)熱交換器(1)の通路(20)の第2の組に前記炭化水素流(102)を導入するステップと、
b)前記熱交換器(1)の通路の第3の組に冷却流(202)を導入するステップと、
c)少なくとも1つの二相性冷却流(203)を生成するように、前記熱交換器(1)から前記冷却流(201)を放出し、前記冷却流(201)を少なくとも1つの圧力レベルに膨張させるステップと、
d)ステップc)で得られた前記二相性冷却流(203)の少なくとも一部を第2の相(62)及び第1の相(61)に分離するステップと、
e)前記熱交換器(1)の通路の第1の組の少なくとも1つの通路(10)に混合装置(3)を配置するステップと、
f)前記混合装置(3)の出口において前記第1の相(61)及び前記第2の相(62)の混合物によって形成される第1の流体(F1)を得るように、前記第2の相(62)の少なくとも一部及び前記第1の相(61)の少なくとも一部を前記混合装置(3)に導入するステップと、
g)前記交換器(1)の出口において、冷却された且つ/又は少なくとも部分的に液化された炭化水素流(101)を得るように、少なくとも前記炭化水素流(102)と熱交換することによって、前記通路(10)においてステップf)で得られた前記第1の流体(F1)の少なくとも一部を気化するステップと
を含む、
方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの液相/気相の混合物を、熱交換器の少なくとも1つの通路に、より均質に分配するための混合装置、及び、そのような混合装置を備える熱交換設備に関する。
【0002】
特に、本発明は、少なくとも1つの他の流体、たとえば、冷却される若しくは少なくとも部分的に液化さえする天然ガス、又は、過冷される液化天然ガスと熱交換することにより、気液混合物の少なくとも1つの流れ、特に、複数の成分要素を有する気液混合物、たとえば、炭化水素を備える混合物の流れを気化する熱交換器に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
二相冷媒による、すなわち、液体/気体混合状態の1つ又は複数の流体冷凍サイクルを使用する方法の中で、液化天然ガス(LNG)を得るために天然ガス流を液化するいくつかの方法が知られている。通常、冷却流、一般に、炭化水素を含有する混合物などの、複数の成分要素を有する混合物は、圧縮機で圧縮され、次いで、冷却される流体、通常、液化天然ガス流の流体が到達する、方法の最低温度まで完全に液化及び過冷却される交換器又は一連の交換器に導入される。交換器の最も低温の出口において、冷却流は、第1の相及び第2の相を形成することによって膨張される。これらの二相は、相分離装置によって分離され、次いで、交換器に再導入されて、交換器に再導入される前に再混合される。二相状態で交換器に導入された冷却流は、液化する炭化水素流に対して、及び、天然ガスに対して、その中で気化される。文書国際公開第A-2017/081374号パンフレットは、これらの知られている方法のうちの1つを説明している。
【0004】
ろう付けプレート及びフィンのアルミニウム交換器の使用により、広い交換表面を提供する非常に小型の装置の提供が可能となり、それによって、方法のエネルギ性能を改善し、そして、限られた容積で行われる。
【0005】
これらの交換器は、二次元に、長さ及び幅が延在するプレートの積層体を備え、よって、互いの頂部に位置付けられる複数組の通路の積層体を形成し、一部は、熱伝達流体、たとえば、液化される炭化水素流を循環させることを意図し、残りは、冷媒、たとえば、気化される二相性冷却流を循環させることを意図する。
【0006】
熱交換波形などの熱交換構造は一般に、交換器の通路に配置される。これらの構造は、交換器のプレートの間で延在し、交換器の熱交換表面積を増加させることができるフィンを備える。それらは、スペーサとしても機能し、通路の機械的強度に寄与する。
【0007】
二相性の性質の冷却流を実装する交換器では、特に、それらの気化が上向きの垂直流れで発生するときに、いくつかの問題が生じる。
【0008】
実際、交換器が正確に動作することを保証するために、すなわち、特に、気液混合物を実装する交換器に関して、特に、その交換面の使用を最大化するために、液相及び気相の比率は、すべての通路において同じである必要があり、同じ通路内で均一である必要がある。
【0009】
交換器の寸法設計は、相の均一な分配、したがって、混合物の露点に等しい、通路ごとの液相の気化の終了時の単一温度を想定して計算される。
【0010】
複数の成分要素を有する混合物については、特に、気化終了時の温度は、2つの相は同じ組成物を有しないので、通路内の液相及び気相の比率によって決まることになる。
【0011】
2つの相の分配が一様でない場合、第1の流体の温度プロファイルは、それにより、通路ごとに変化し、且つ/又は、同じ通路内で変化することになる。この不均一な分配のために、二相混合物と交換関係にある1つ又は複数の流体が、予想気温より高い交換器出口温度を有する可能性があり、これにより、その結果として、熱交換器の性能が劣化する。
【0012】
混合物の液相及び気相を可能な限り均一に分配するための1つの解決法は、交換器内にそれらを別個に導入し、その後、それらが交換器内部にあるときのみ合わせて混合することを含む。
【0013】
文書FR-A-2563620号明細書又は国際公開第A-2018/172644号パンフレットは、二相混合物を導くために、一連の通路内に溝付きバーが挿入される、そのような交換器について記載している。この混合装置は、冷媒の液相の流れのための一連の別個のチャネル又は溝と、冷媒の気相の流れのための別の一連の別個のチャネルとを備える。気液混合物、すなわち、二相流が混合装置から熱交換領域の方へ分配されるように、一方の一連のチャネルは、開口部を介して他方の一連のチャネルに流体接続される。交換器の各冷媒通路には、そのような装置が設けられる。
【0014】
この種の混合装置で生じる1つの問題は、交換器通路の幅における気液混合物の一様でない分配に関する。
【0015】
実際、二相混合物は、通路に出るチャネルの出口で分配される。チャネルは互いから特定の距離に配置されるので、気液混合物は、通路の幅にわたって、交換ゾーンに別々に導入される。流体は交換器における流れの全体的な方向に流れるので、特に、この種の交換器において一般に使用される、有孔波形又は鋸歯状波形などの交換波形によって、分配は、流れの全体的な方向と直交する方向に生じる可能性がある。よって、「鋸歯状」型波形は、流体の一部をその流れ方向から曲げる傾向があり、有孔波形は、波形によって形成されるチャネルを流体接続する。
【0016】
しかしながら、交換器の幅にわたる流体分配の均質化は、混合物が混合装置を出た後に特定の距離を進んだ後にのみ実現される。この距離にわたって、流体は、交換器の幅における考慮される位置に応じて、交換ゾーンに一様でない質量流量を供給し、交換波形のいくつかのチャネルは、供給が制限されることがある、又は、供給がないことさえある。交換器の性能は劣化する。さらにまた、流体の横振れによるそのような分配は、直線状の無孔波形では可能ではない。
【0017】
熱伝達と冷媒流体との間の低温逸脱の影響下で機能する交換器は、このひどい分配現象にさらにより影響される。さらに、複数の成分要素を有する冷媒混合物の場合、不均質な分配の現象は強められる。
【0018】
既存の解決法はいずれも満足できるものではない。よって、自由空間を混合装置の出口に配置することにより、交換器の機械的強度に関する問題が生じ、第1の相のこのゾーンへの滞留につながる可能性がある。交換器の幅において互いに連続する複数のチャネルを増加させることは、各チャネルの各開口部を通る第1の相の流量の減少につながり、混合装置の出口における二相性混合物の適切な分配に有害である。最後に、混合装置の出口の「ハードウェイ」型波形配置、又は、より複雑な幾何学的形状を有する混合装置の配置は、方法の性能を劣化させる圧力損失を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、特に、熱交換器通路の幅における二相性混合物のより均質な分配を提供する混合装置を提案し、同時に、二相性混合物が混合装置の出口で受ける可能性がある圧力損失を制限することによって、上記の問題の全部又は一部に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで、本発明による解決法は、熱交換器の少なくとも1つの通路の概して長手方向に、第1の流体の第1の相及び第2の相の混合物を分配するための混合装置を含み、前記混合装置は、
- 第1の流体の第1の相が少なくとも1つの第1の入口から流れるように構成された少なくとも1つの横方向チャネルと、
- 長手方向に延在し、第1の流体の第2の相が第2の入口から第2の出口に流れるようにそれぞれ構成された一連の長手方向チャネルであって、前記長手方向チャネルが長手方向と直交する横方向に互いに連続する、一連の長手方向チャネルと、
- 混合装置が前記少なくとも1つの長手方向チャネルの第2の出口を介して第1の相及び第2の相の混合物を分配するように構成されるような、前記横方向チャネルを少なくとも1つの長手方向チャネルに流体接続する少なくとも1つの開口部と
を備え、混合装置の前記少なくとも1つの長手方向チャネルが、長手方向において、長手方向に測定される長さ及び横方向に測定される幅をそれぞれ有する上流側部分及び下流側部分に分割され、下流側部分が上流側部分と第2の出口との間に配置され、前記下流側部分が、その長さの任意の点において、上流側部分の幅より大きい幅を有することを特徴とする。
【0021】
適用可能であるように、本発明は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を備えることができる。
- 下流側部分は、第2の出口の方へ、その長さにわたって増加する幅、好ましくは、連続的に増加する幅を有する。
- 下流側部分は、最小幅及び最大幅を有し、比D/Dは、1.1以上、好ましくは、1.8以上且つ/又は4以下である。
- 下流側部分の全部又は一部は、長手方向及び横方向に平行な平面における縦断面として、等脚台形の形態の外部プロファイルを有する。
- 下流側部分の全部又は一部は、長手方向及び横方向に平行な平面における縦断面として、曲線外部プロファイルを有する。
- 下流側部分は混合装置の下流側面に現れ、外部プロファイルは、下流側面との交点における前記外部プロファイルの接線と長手方向チャネルの対称軸との間で測定される、5~85°の角度を形成する。
- 長手方向チャネルの上流側部分は、1つの端部で下流側部分に接続され、前記少なくとも1つの開口部は、端部からある距離をおいて上流側部分の前記長手方向チャネルに現れ、好ましくは、距離は、上流側部分の長さの4%以上であり、好ましくは、上流側部分の長さの7~90%である。
- 少なくとも1つの開口部は、第1の相が横方向チャネルの第1の入口から流れ、且つ、第2の相が長手方向チャネルの第2の入口から流れるときに、第1の相及び第2の相の混合が下流側部分の上流で生じるように配置される。
- 混合装置の1つ又は複数の開口部はすべて、長手方向チャネルの上流側部分に現れる。
- 一連の長手方向チャネルの各長手方向チャネルは、その上流側部分に現れる少なくとも1つの開口部を備え、長手方向における少なくとも1つの開口部の位置は、長手方向チャネルの間で異なる。
- 上流側部分の長さ及び下流側部分の長さは、比L/Lが1~15、好ましくは、3~12であるような長さである。
- 上流側部分の全部又は一部は、長手方向及び横方向に平行な平面における縦断面として、好ましくは下流側部分の最小幅と等しい一定幅を有する直線状外部プロファイルを有する。
- 下流側部分は、長手方向に対して垂直であり、且つ、横方向に対して垂直である、積層方向と呼ばれる方向に測定される、第2の出口の方へ増加する深さを有する。
- 長手方向チャネルは、下流側部分を、第2の出口に現れる複数の中間チャネルにさらに分割するように配置された少なくとも1つの障害物を備え、好ましくは、前記中間チャネルは、長手方向チャネルの対称軸に対して対称的に配置される。
- 第2の出口において、長手方向に対して垂直な横断面において測定される前記少なくとも1つの障害物の全表面は、前記横断面において測定される下流側部分の全流体通路断面の面の20~80%、好ましくは、30~70%である。
- 横方向に測定される、少なくとも1つの障害物の幅は、第2の出口に向けて増加し、少なくとも1つの障害物は、好ましくは、長手方向断面に沿って、曲線外部プロファイルを有する。
- 長手方向チャネルは、中間チャネルを流体接続する少なくとも1つのつりあいチャネルをさらに備える。
【0022】
さらにまた、本発明は、互いに且つ長手方向に平行に配置された複数のプレートを備える熱交換器に関し、前記プレートは、第1の流体が長手方向に概して流れるように構成された通路の少なくとも1つの第1の組と、第2の流体の流れが第1の流体との熱交換関係になるように構成された通路の少なくとも1つの第2の組とを一緒に画定するように離間された方法で積み重ねられ、第1の組の少なくとも1つの通路は、本発明による混合装置を備える。
【0023】
さらに、本発明は、
- 互いに且つ長手方向に平行に配置された複数のプレートであって、前記プレートが、第1の流体が長手方向に概して流れるように構成された通路の少なくとも1つの第1の組、及び、第2の流体の流れが第1の流体との熱交換関係になるように構成された通路の少なくとも1つの第2の組を一緒に画定するように離間された方法で積み重ねられる、複数のプレートを備える熱交換器と、
- 熱交換器の少なくとも1つの第1のマニホルドに流体接続された第1の流体の第1の相のソースと、
- 熱交換器の少なくとも1つの第2のマニホルドに流体接続された第1の流体の第2の相のソースと、
- 本発明による混合装置であって、前記混合装置が、第1の一連の通路のうちの少なくとも1つの通路に配置され、且つ、第1の相及び第2の相の混合物によって形成される第1の流体を第1の一連の通路のうちの前記通路に分配するように構成され、横方向チャネルの第1の入口が前記第1のマニホルドと流体連通し、且つ、第2の入口が第2のマニホルドと流体連通し、第1の相が液相であり、且つ、第2の相が気相である、混合装置と
を備える熱交換設備に関する。
【0024】
好ましくは、第1の相は液相である。第2の相は気相である。
【0025】
別の態様によると、本発明は、本発明による混合装置において第1の流体の第1の相及び第2の相を混合するための方法に関し、前記方法は、
i)横方向チャネルの少なくとも1つの第1の入口を介して第1の流体の第1の相を導入するステップと、
ii)各長手方向チャネルの第2の入口を介して第1の流体の第2の相を導入するステップであって、第2の相が各長手方向チャネルにおいて長手方向に前記長手方向チャネルの第2の出口へと流れる、ステップと、
iii)長手方向チャネルにおいて第1の相を第2の相と混合するように、開口部を介して横方向チャネルから長手方向チャネルの方へ第1の相の少なくとも一部を流すステップと、
iv)各長手方向チャネルの第2の出口を介して第1の相及び第2の相の混合物を分配するステップと
を含む。
【0026】
好ましくは、第1の相は、下流側部分の上流で、第2の相と混合される。
【0027】
さらに、本発明はまた、第2の流体としての天然ガスなどの炭化水素流を、第1の流体としての少なくとも1つの二相性冷却流と熱交換することによって、液化するための方法にも関し、前記方法は、本発明による混合方法を実装し、
a)熱交換器の通路の第2の組に炭化水素流を導入するステップと、
b)熱交換器の通路の第3の組に冷却流を導入するステップと、
c)少なくとも1つの二相性冷却流を生成するように、熱交換器から冷却流を放出し、冷却流を少なくとも1つの圧力レベルに膨張させるステップと、
d)ステップc)で得られた二相性冷却流の少なくとも一部を第2の相及び第1の相に分離するステップと、
e)熱交換器の通路の第1の組の少なくとも1つの通路に混合装置を配置するステップと、
f)混合装置の出口において第1の相及び第2の相の混合物によって形成される第1の流体を得るように、第2の相の少なくとも一部及び第1の相の少なくとも一部を混合装置に導入するステップと、
g)交換器の出口において、冷却された且つ/又は少なくとも部分的に液化された炭化水素流を得るように、少なくとも炭化水素流と熱交換することによって、通路においてステップf)で得られた第1の流体の少なくとも一部を気化するステップと
を含む。
【0028】
「天然ガス」という表現は、少なくともメタンを含む炭化水素を含有する任意の組成物を表す。これは、(任意の処理又は洗浄の前の)「加工していない」組成物、並びに、限定されないが、硫黄、二酸化炭素、水、水銀、及び特定の重質芳香族炭化水素を含む1つ又は複数の化合物の低減及び/又は除去のために部分的に、実質的に、又は完全に処理された任意の組成物もまた含む。
【0029】
ここで、本発明は、単に非限定的な例として与え且つ添付図面を参照して行う以下の説明により、より理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の1つの実施形態による熱交換設備を概略的に示す。
図2】本発明の1つの実施形態による混合装置の三次元概略図である。
図3】本発明の1つの実施形態による第1の混合装置の、交換器のプレートに対して垂直な平面における概略横断面図である。
図4】本発明の1つの実施形態による混合装置の長手方向z及び横方向yに平行な平面における概略縦断面図である。
図5】本発明の別の実施形態による混合装置の長手方向z及び横方向yに平行な平面における概略縦断面図である。
図6】本発明の別の実施形態による混合装置の長手方向z及び横方向yに平行な平面における概略縦断面図である。
図7】本発明の別の実施形態による混合装置の長手方向z及び横方向yに平行な平面における概略縦断面図である。
図8】本発明の別の実施形態による混合装置の長手方向z及び横方向yに平行な平面における概略縦断面図である。
図9】本発明の別の実施形態による混合装置の長手方向z及び横方向yに平行な平面における概略縦断面図である。
図10】流体流れシミュレーションを実行するために使用される本発明による混合装置及び交換器の構成を示す。
図11】先行技術に従って構成された混合装置、及び、本発明の1つの実施形態による混合装置による流体流れシミュレーションの結果を示す。
図12】本発明の1つの実施形態による、炭化水素流を液化するための方法を概略的に示す。
図13】本発明の別の実施形態による、炭化水素流を液化するための方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による混合装置3を備える熱交換器1の断面図である。交換器1は、好ましくは、ろう付けプレート及びフィンを有するタイプである。交換器1は、長手方向z及び横方向yによって定義される平面に平行な2つの次元に延在するプレート2(示されない)の積層体を備える。プレート2は、平行に且つ上下に、各プレート間に間隔をあけて配置され、したがって、前記プレートを介する間接的な熱交換関係にある流体の流れのための通路の積層体を形成する。
【0032】
好ましくは、各通路は、平行六面体且つ平坦な形状を有する。2つの連続するプレート間の隙間は、各通路の、長手方向zに測定される長さ及び横方向yに測定される幅と比較して小さい。
【0033】
交換器1は、20を超える、又はさらに100を超えるプレートを備えることができ、それらは、少なくとも1つの第1の流体F1を導くための通路の第1の組10(図1には単一の通路が示される)と、少なくとも1つの第2の流体F2を導くための通路の第2の組20(図1に示されない)とを一緒に画定し、前記流体の流れは概して方向zに生じる。通路10は、全部又は一部が、通路20の全部又は一部と交互に及び/又は隣接して配置することができる。交換器1は、1つ又は複数の追加の流体の流れのために、通路の第3の組、又は、さらに多くの組を備えることができる。これらの通路の組は、互いに対して積み重ねられて、通路の積層体を形成する。
【0034】
プレート2の縁部に沿った通路10、20のシールは、概して、プレート2に取り付けられた横方向及び長手方向シーリングストリップ4によって提供される。横方向シーリングストリップ4は、通路10、20を完全に封止しないが、有利なことには、通路の斜めに対向する角に位置する流体入口及び出口開口部を残す。
【0035】
第1の組の通路10の開口部は、方向y及びzに対して垂直である、通路の積層方向xに、上下に一致するように配置され、一方、第2の組の通路20の開口部は、矢印F2によって図1に位置する交換器の他の角に配置され、第2の流体F2のための入口及び出口はそれぞれ、頂部左側及び底部右側に位置する。上下に配置された開口部は、半管状マニホルド40、45、52、55内でそれぞれ結合され、マニホルド40、45、52、55を通して、流体は、通路10、20に分配される、且つ、通路10、20から放出される。
【0036】
図1に示される以外の流体の導入及び放出のための構成を使用することができることに注目すべきである。したがって、通路の開口部は、交換器の幅における他の位置に、特に、交換器の幅の中心に配置することができ、且つ/又は、交換器の長さにおける他の位置に配置することができる。
【0037】
図1の説明図において、半管状マニホルド52及び45は、流体を交換器1に導入するために使用され、半管状マニホルド40、55は、これらの流体を交換器1から放出するために使用される。
【0038】
この代替の実施形態において、流体の一方を供給するマニホルドと他方の流体を放出するマニホルドとは、交換器の同じ端部に位置し、したがって、流体F1、F2は、交換器1を通って向流的に流れる。
【0039】
別の代替的な実施形態によると、第1の流体及び第2の流体は、並流的に循環することもでき、したがって、流体の一方を供給するための手段と、他方の流体を放出するための手段とは、交換器1の反対側の端部に位置する。
【0040】
好ましくは、方向zは、交換器1が動作しているとき、垂直に向けられる。第1の流体F1は概して、垂直方向に且つ上向きに流れる。本発明の範囲を逸脱しない範囲で、流体F1、F2の他の流れ方向及び経路を明らかに考えることができる。
【0041】
本発明の範囲内で、異なる性質を有する1つ又は複数の第2の流体F2が、第2の組の通路20内で流れることができることに注目すべきである。
【0042】
好ましくは、第1の流体F1は冷媒であり、第2の流体F2は熱伝達流体である。
【0043】
交換器は有利なことには、入口開口部及び出口開口部から延在する、波形シートの形態の、2つの連続するプレート2の間に配置された分配波形部51、54を備える。分配波形部51、54は、通路10、20の幅全体にわたる流体の均一な分配及び回収を確実にする。
【0044】
さらにまた、通路10、20は、有利なことには、プレート2の間に配置された熱交換構造体を備える。これらの構造体の目的は、交換器の熱交換面を増加させること、及び、より乱れた流れを作ることによって流体間の交換係数を増加させることである。実際、熱交換構造体は、通路内を循環する流体と接触し、熱流を伝導により隣接するプレート2まで伝達し、熱交換構造体は、隣接するプレート2に、ろう付けによって取り付けることができ、それにより、交換器の機械的強度が増大する。
【0045】
熱交換構造体は、特に、ろう付けによって交換器を組み立てているときに、加圧流体の実装中にプレートのいかなる変形も回避するために、プレート2の間のスペーサとしても作用する。それらはまた、交換器の通路内の流体の流れのための誘導も提供する。
【0046】
好ましくは、これらの構造体は、有利なことには、通路の長さにわたる分配波形部の延在部において、通路10、20の幅及び長さにわたって、プレート2に対して平行に延在する、熱交換波形部11を備える。したがって、交換器の通路10、20は、熱交換構造体によって覆われる、熱交換部自体を形成するそれらの長さの主要部を有し、前記主要部は、分配波形部51、54で覆われた分配部によって境界が定められる。
【0047】
図1は、二相性混合物とも呼ばれる、二相の混合物の形態の第1の流体F1の流れのために構成される第1の組の通路10を示す。第1の組は、上下に積み重ねられた複数のそのような通路10を備える。第1の流体F1は、セパレータ装置6において、第1の相61及び第2の相62に分離され、それらは、別個の第1のマニホルド30及び第2のマニホルド52によって交換器1に別個に導入される。次いで、セパレータ6は、第1の相及び第2の相のソースを形成する。流体の「ソース」という用語は、混合装置のチャネルに流体を供給するように適合された任意の手段を意味する。
【0048】
好ましくは、第1の相61は液体であり、第2の相62は気体である。長手方向チャネルが、第1の相の、及び、第2の出口における二相性混合物の、垂直且つ上向きの流れのために構成される場合、液相の流れと比較して気相の流れに対する重力の影響は少ない。開口部34における液相の搬送は、気相のより大きい速度によって促進される。さらにまた、前記液相が開口部34を介して長手方向チャネルに導入されると、気相の存在により、液相の流れが容易になる。
【0049】
次いで、相61、62は、少なくとも1つの通路10に配置される混合装置3によって、一緒に混合される。有利なことには、第1の組のいくつかの通路10、又はさらにはすべての通路10が、混合装置3を備える。半管状マニホルド52及び55は、通路10の入口及び出口に流体接続される。第1のマニホルド30は、混合装置3の少なくとも1つの第1の入口311に流体接続される。第2のマニホルド52は、混合装置3の少なくとも1つの第2の入口321に流体接続される。第1のマニホルド及び第2のマニホルドは、流体ソースから流体を収集するように適合された任意のマニホルド手段とすることができ、前記流体を熱交換器の1つ又は複数の通路に導入することができる。
【0050】
図1が交換器1の分配ゾーン51から特定の距離に位置付けられた混合装置3を示すことに注目すべきである。代替的な実施形態によると、混合装置3は、分配ゾーンの直後に位置付けることができる、又は、すなわち、分配ゾーンと一体構造であることによって、前記ゾーンと並置されることができる。この後者の可能性に従って、混合装置は、一体部品を形成し、それは、従来の機械加工によって、又は、積層造形によって、すなわち、3D印刷によって、たとえば、レーザ焼結によって、製造することができる。
【0051】
図2は、有利なことには、通路10内に収容されたバー又はロッドから構成される混合装置3の三次元図である。
【0052】
好ましくは、混合装置3は、通路10を形成する各プレート2と接触するように、通路10の断面において通路10の高さの略すべてにわたり、又は、さらには高さ全体にわたり延在する。
【0053】
混合装置3は有利なことには、ろう付けによってプレート2に取り付けられる。
【0054】
混合装置3は有利なことには、平行六面体の全体形状である。
【0055】
好ましくは、混合装置3は、一体部品である、すなわち、ブロックで、又は、一体構造として形成される。混合装置3は、従来の機械加工によって、又は、積層造形によって製造することができる。混合装置3は、長手方向zに対して平行に、20~200mmの第1の寸法と、横方向yに対して平行に、100~1,400mmの第2の寸法とを有することができる。
【0056】
混合装置3は、第1の流体F1の第1の相61が少なくとも1つの第1の入口311から流れるように構成された少なくとも1つの横方向チャネル31を備える。好ましくは、横方向チャネル31は、横方向yに対して平行に延在する。
【0057】
混合装置3は、長手方向zに対して平行に延在し、第1の流体F1の第2の相62が第2の入口321から第2の出口322まで流れるように構成された一連の長手方向チャネル32をさらに備え、前記長手方向チャネル32は、横方向yにおける連続的な位置y、yi+1、・・・に配置される。
【0058】
好ましくは、横方向チャネル31は、第2の寸法全体にわたって延在し、且つ/又は、長手方向チャネル32は、第1の寸法全体にわたって延在する。
【0059】
好ましくは、混合装置3は、第1のマニホルド30と流体連通する少なくとも1つの第1の入口311と、第2のマニホルド52と流体連通する、第1の入口311から離れた、すなわち、別個の第2の入口321とを備える。第1のマニホルド30は、第1の相のソース61に流体接続され、第2のマニホルド52は、別の第2の相のソース62に流体接続される。前記少なくとも1つの第1の入口311及び前記少なくとも1つの第2の入口321は、少なくとも1つの開口部34を介して流体連通される。実際、混合装置は、第1の相及び第2の相の別個の導入のために構成され、第1の入口311は、横方向チャネル31を第1の相61に提供するために適合され、前記少なくとも1つの第2の入口321は、長手方向チャネル32を第2の相62に提供するために適合される。
【0060】
第1の入口及び第2の入口は、有利なことには、横方向及び長手方向チャネルを装置3の横方向及び長手方向の周縁に出すことによって形成される。
【0061】
図2は、複数の第1の入口311を備える装置3の端部を介した、第1の相61の導入を示す。有利な実施形態によると、混合装置3は、装置3の反対側の端部に位置する、第1の相61のための少なくとも1つの他の第1の入口を備える。有利なことには、これらの他の入口は、交換器1の反対側の側縁で出るまで横方向チャネル31を延在することによって得られる。この場合、別の第1のマニホルド30が、交換器1の反対側に配置される。混合装置のいずれかの側に第1の相61を導入することにより、第1の相が横方向チャネル内を流れるとき、圧力損失の影響を減少させることができ、それは、交換器の幅にわたる二相性混合物のより均質な分配を促進する。
【0062】
好ましくは、混合装置3は、開口部34の第1の相61の流れの方向における開口部34の下流に、長手方向チャネル32に位置する混合容積を備える。
【0063】
横方向チャネル31は、少なくとも1つの長手方向チャネル32に流体接続され、それにより、第1の相61が横方向チャネル31内を流れ、且つ、第2の相62が長手方向チャネル32内を流れるとき、混合装置3は、チャネル32の第2の出口322を介して、第1の相61及び第2の相62の混合物、好ましくは、二相性混合物とも呼ばれる、二相液体/気体混合物F1を分配する。好ましくは、長手方向チャネル及び/又は横方向チャネルは、略直線状である。
【0064】
チャネル31、32は、有利なことには、混合装置3内に設けられた長手方向凹部の形態である。それらは好ましくは、混合装置3の上面3a及び下面3bに現れる。
【0065】
好ましくは、チャネル31、32は、正方形又は長方形の横断面を有するが、任意選択的に、他の形状(円形、アール部など)を考えることができる。
【0066】
開口部34は、有利なことには、装置3の材料内に作られ、好ましくは、方向x及びyによって形成される平面内において第1のチャネル31と第2のチャネル32との間で延在する穴34であり、開口部34は、方向xに対して傾斜させることができ、又は、好ましくは、垂直方向xに合わせることができる。好ましくは、開口部34は、円筒対称であり、より好ましくは、円筒形である。
【0067】
好ましくは、前記少なくとも1つの横方向チャネル31は底壁3cを備え、前記少なくとも1つの長手方向チャネル32は、底壁3cの反対側に延在する頂壁3dを備え、開口部34は、第1のチャネル31の底壁に穴があけられ、長手方向チャネル32の頂壁に現れる。
【0068】
図3は、横方向yに直交し、開口部34を通過する断面における図2の混合装置3の図である。
【0069】
先行技術によると、混合装置3は第1の組の通路10に配置され、前記混合装置は、横方向yに測定される長手方向チャネルの幅が長手方向zにおいて一定のままである長手方向チャネルを有し、特に、図2に示される横方向チャネル31の形状などの平行六面体形状の長手方向チャネルを有する。
【0070】
各長手方向チャネル32の出口において、第1の流体F1の二相混合物の流れが好ましくは、長手方向zに生じ、通路10の幅方向の流れは徐々に広がる。各通路の流れの均質化は、混合物によって覆われる特定の距離を越えてのみ得られる。混合物F1の均質化のこの欠如は、第1の組の通路10の積層体を通して発生する。
【0071】
これらの問題に対処するために、本発明は、第1の組の通路10内に混合装置3を配置することを提案し、混合装置の少なくとも1つの長手方向チャネル32は、長手方向zにおいて、上流側部分323と下流側部分324とに分割され、上流側部分323及び下流側部分324はそれぞれ、長手方向zに測定される長さL、Lと、横方向yに平行に測定される幅D、Dとを有し、下流側部分324は、上流側部分323と第2の出口322との間に配置される。本発明によると、下流側部分324は、その長さLの任意の点で、上流側部分323の幅Dより(厳密に)大きい幅Dを有する。
【0072】
「幅」という用語は、長手方向zに平行且つ横方向yに平行である所定の縦断面において長手方向チャネル32を画定する縁部の間で測定される距離、すなわち、たとえば、図4図9に示されるような、前記断面におけるチャネルの外部プロファイルの幅を意味すると理解されることに注目すべきである。
【0073】
横方向への広がりを有する下流側部分を配置することにより、長手方向チャネル32を出る二相性混合物の横方向への広がりが促進される。本発明の発明者は、流体ジェットが長手方向チャネルの出口でより幅の広い基礎の円錐を形成したことを示したが、それにより、長手方向チャネル32を出る流体が、動作中、混合装置3の下流に位置付けられた交換波形のさらに多くの交換チャネルに水を引くことが可能になる。したがって、流体ジェットが隣接する長手方向チャネルを出ることで、より速い均質化を得ることが可能である。
【0074】
したがって、通路10の幅方向の混合速度のばらつきは、混合装置3の下流での混合物のより短い伝播距離の後に減少する、又は、解消さえする。二相性混合物と第2の流体F2との間の熱交換、したがって、交換器の動作が改善される。
【0075】
さらに、下流側部分を横方向yに広げることは、長手方向チャネル32の二相性混合物の質量流量が比較的高い場合、混合装置3の下流に位置する交換波形に水を引いたとき、混合物の流れを下流側部分で減速させる、したがって、長手方向チャネル32の出口において二相性混合物によってもたらされる圧力損失を減少させる可能性を提供する。
【0076】
好ましくは、一連の長手方向チャネル32のいくつかのチャネル、好ましくは、すべてのチャネルは、本発明に従って構成され、以下に記載の特徴の全部又は一部を備えることができる。
【0077】
好ましくは、下流側部分324は、混合装置3の下流側面326に現れ、第2の出口322は、下流側面326に設けられる。混合が発生する長手方向チャネルに流れ込ませるために、横方向チャネル31に流れ込む第1の相61の少なくとも一部は、開口部34に供給される。第2の相62は、上流側部分323及び下流側部分324に連続的に流れ込む。混合物は、第2の出口322を介して分配される。
【0078】
好ましくは、下流側部分324は、第2の出口322の方へ、長さLにわたって幅Dが増加する、好ましくは、長さLの全体にわたって増加する。
【0079】
下流側部分を長手方向zに広げることは、場当たり的な、1回以上の、又は段階的な、すなわち、下流側部分324の全部又は一部に沿った連続的な増加を導入することができることに注目すべきである。
【0080】
好ましくは、下流側部分324の幅Dは、連続的に、すなわち、第2の出口322の方へ、長さL全体にわたって、徐々に増加する。よって、混合物の流れにおいてチャネル幅の急激な変化を引き起こす可能性がある乱れは制限される。
【0081】
好ましくは、下流側部分324は、最小幅D及び最大幅Dを有し、比D/Dは、1.1以上、好ましくは、1.8以上且つ/又は4以下である。このような寸法の比率により、長手方向チャネル32の幅を端部322で十分に増加させることができ、長手方向チャネル32の方向zの長さを過度に増加させることなく、長手方向チャネル32の機械加工の簡単さを維持する。
【0082】
特に、幅Dは、6~25mm、好ましくは、8~20mmとすることができる。
【0083】
本発明による混合装置は、混合装置の下流に、それぞれが0.6~2mmの幅、好ましくは、少なくとも0.7mm及び/又は多くとも1.5mmの幅を有する交換チャネルを備える少なくとも1つの交換波形が設けられる通路10内に配置されることを意図することができることにも注目すべきである。
【0084】
好ましくは、最小幅Dは、下流側部分324の端部324aで測定され、最大幅Dは、第2の出口322で測定される。
【0085】
有利なことには、長手方向チャネル32は、長手方向z及び横方向yに平行である縦断面において、長手方向zに平行な対称軸AA’を有する前記チャネル32の外部プロファイルを形成する側壁325によって画定される。
【0086】
チャネルの側壁325が好ましくは、長手方向z及び横方向yと直交する方向に立てられることに注目すべきである。壁325は有利なことには、チャネル32の全長にわたって一定である、方向xに測定される高さを有する。
【0087】
或いは、壁325の高さの変化、特に、第2の出口322の方、すなわち、下流側部分324の方への前記高さの増加を考えることができ、その深さは、任意選択的に、第2の出口322における通路10の高さに到達するまで、第2の出口322の方へ増加する。これは、下流側部分324の流体通路断面を増加させるための追加の自由度を提供し、したがって、通路10の高さにおいて同様に均質化することができるように流体を減速する。
【0088】
有利なことには、下流側部分324の少なくとも一部は、曲線外部プロファイル、好ましくは、凸状外部プロファイルを有する。図4は、そのような下流側部分324を備える長手方向チャネル32の実施形態を概略的に示す。下流側部分の曲線外部プロファイルの存在により、混合装置からその出口への下流側部分における流体の流れに、より良好な案内が与えられ、特に、任意の分離現象、流体再循環、又は、壁上の鋭角の結果として生じる可能性があり、流体の好ましくないさらなる圧力損失をもたらす乱流を防止する。
【0089】
下流側部分324の全部又は一部が、長手方向z及び横方向yに平行な平面における縦断面として、等脚台形の形態の外部プロファイルを有することも可能であり、この部分の側壁は直線状の壁である。図5は、下流側部分全体324がそのような外部プロファイルを有する例を概略的に示す。
【0090】
特に、下流側部分324が現れる混合装置3の下流側面326を考慮することによって、外部プロファイルは、下流側面326との交点におけるに前記外部プロファイルの接線Tと対称軸AA’との間で測定される、5~85°の角度θを形成することができる。これらの値は、方向yの交換器の幅における二相流体F1のより良好な分配を促進するために、第2の出口322におけるチャネル32の幅を十分に増加させることができ、さらに、流体F1に圧力損失を引き起こす可能性がある過度に急速な広がりを作ることなく、且つ、長さL、したがって、混合装置3の長さを過度に増加させることがない。
【0091】
図9は、長手方向zの下流側部分の拡張が、端部324aにおいて、その場だけで、一度に引き起こされる実施形態を示す。
【0092】
好ましくは、上流側部分323は、その端部324aによって下流側部分324に接続される。
【0093】
有利なことには、上流側部分323は、長手方向zに測定される長さLを有し、1~15、好ましくは、3~12の比L/Lを有する。
【0094】
ある例として、長さLは5~40mmとすることができる。長さLは30~70mmとすることができる。
【0095】
有利なことには、前記少なくとも1つの開口部34は、その上流側部分323で、好ましくは、下流側部分324の端部324aからの距離Lの位置で、長手方向チャネル32に現れ、少なくとも、Lは、上流側部分323の長さLの4%に等しい、より好ましくは、7~90%、さらにより好ましくは、10~50%である。特に、開口部34は、下流側部分324の端部324aから3~70mmの距離Lの位置に現れることができる。有利なことには、長手方向チャネル32の1つ又は複数の開口部34はすべて、その上流側部分323に現れる。混合装置は有利なことには、その上流側部分324に現れる開口部34はない。
【0096】
よって、第1の相61及び第2の相62は、下流側部分324の上流で、十分に混合され、一方では、二相流体が下流側部分324に入る前に適切に均質化される時間を有し、他方では、下流側部分324の流体のための任意の再循環ゾーンが、横方向チャネル31の開口部34を介した、長手方向チャネル32への第1の相61の流れの、ひどい分配を引き起こす可能性がある乱れを引き起こさない。部分324の流体F1の速度と比較した場合の、チャネル32の部分323における第2の相62のより高い速度も、相62及び結果として得られる駆動による相61の高い慣性のために、チャネル31からチャネル32への開口部34を介した相61の通過を促進することができる。
【0097】
好ましくは、長手方向zにおける少なくとも1つの開口部34の位置が、長手方向チャネルの間で変化することに注目すべきである。特にこの理由のために、いくつかの開口部34は他のものよりも端部324aにより近い可能性がある。
【0098】
さらにまた、本発明の範囲内で、長手方向チャネルは有利なことには、同一の寸法特徴、すなわち、同じ外部プロファイル、同じ深さ、同じ比L/L、同じ距離Lを有するが、いくつかの構成において、他のものに対する少なくとも1つのチャネルの少なくとも1つの特徴、特に、下流側部分及び上流側部分の長さの比を変えることが可能であることに注目すべきである。
【0099】
好ましくは、特に図4に示されるように、上流側部分323の全部又は一部は、好ましくは、下流側部分324の最小幅Dに等しい、一定幅Dを有する直線状の外部プロファイルを有する。1つの可能性に従って、上流側部分323がその長さの全部又は一部にわたって可変幅Dを有することを考えることが可能であり、Dは、Dによって到達することができる最大値より大きい。
【0100】
図6及び図7は、長手方向チャネル32が、下流側部分324を第2の出口322に現れる複数の中間チャネル328にさらに分割するように配置される少なくとも1つの障害物327を備える実施形態を概略的に示す。
【0101】
これは、混合物が長手方向zに完全に流れることを防ぎ、流れを横方向yに広げる。中間チャネルの作成は、長手方向チャネル32の質量流量が比較的高いときに、特に有利であり、それは、この場合、混合物は長手方向zに有意な慣性を有する、すなわち、長手方向チャネルが広がるときでさえ、混合物は方向zに流れ続ける傾向があるためである。
【0102】
1つ又は複数の障害物を設置することで、その速度でのy方向の成分を提供することによって、二相性混合物の流れ方向を変更することができる。したがって、長手方向チャネルの出口における流体ジェットのある角をなす開口部が増加し、それによって、混合装置の下流に位置付けられるさらに多くの交換チャネルを提供する。
【0103】
障害物はまた、下流側部分における流体通路断面を一定又は準一定に維持するために、又は、任意選択的に、その広がりにもかかわらず前記断面を減少させるために、使用することができる。「流体通路断面」は、長手方向zに対して垂直に測定される、流体が流れる表面であると理解されることに注目すべきである。これは、混合物の横方向の広がりを確実にすることであり、さらに、流体通路断面を増加させることはない。
【0104】
したがって、圧力損失は、長手方向チャネルに沿って再均衡される。
【0105】
好ましくは、第2の出口322において、長手方向zに対して垂直な横断面で測定される、前記障害物327の合計表面は、前記横断面で測定される下流側部分324の合計流体通路断面の、20~80%、好ましくは、30~70%である。
【0106】
いくつかの障害物が存在する場合、合計表面は、各障害物の表面の合計であると理解される。
【0107】
特に、チャネル32への出現点の後の、流体の流れの方向において、長手方向zに1mmの距離において、すなわち、流体が障害物に衝撃を与える障害物の出現点の1mm後に位置する、衝撃位置と呼ばれる位置において測定される障害物の表面は、衝撃位置に位置付けられる横断面において決定される、チャネル32の流体通路断面の1%~80%を表すことができる。
【0108】
特定の実施形態において、長手方向チャネル32は、中間チャネル328を流体接続する少なくとも1つのつりあいチャネル329をさらに備える。これは、中間チャネルの間に流体流れ及び圧力にばらつきがある場合に、中間チャネル328の間の流体圧を再均衡させることができる。図8は、このような構成の例を示す。
【0109】
有利なことには、長手方向チャネル内の混合物で軸AA’に沿った分配対称性を維持するために、偶数の中間チャネルが設けられる。
【0110】
1つ又は複数の障害物は、ミリングによって、金属を射出成形することによって、放電加工によって、又は、レーザ加工によって、長手方向チャネルとともに製造することができる。積層造形法も考えることができる。
【0111】
好ましくは、障害物327の高さは、長手方向チャネルの側壁の高さと等しい。
【0112】
好ましくは、前記少なくとも1つの障害物327は、第2の出口322の方へ増加する、横方向yに測定される幅dyを有し、好ましくは、曲線状の、凸状及び/又は凹状の外部プロファイルを有する。これにより、障害物の壁から流体を引き離すことによって、又は、流体を再循環させるためのゾーンのために、チャネル32の下流側部分324における流体F1のさらなる圧力損失を回避するように障害物を形づくることができる。
【0113】
好ましくは、第1の組のいくつかの通路10、有利なことには、すべての通路10は、本発明による混合装置を備える。
【0114】
好ましくは、第2の組の少なくとも1つの通路20は、第1の組の通路10の少なくとも1つの連続する対の間に配置される。
【0115】
好ましくは、混合装置3の長手方向チャネル32は、長手方向yと平行に測定される一定の距離Dだけ互いに分離される。
【0116】
横方向yにおける各チャネルの位置y、yi+1、yi+2、・・・は、横方向yの各チャネルの中心の位置を考えることによって決定することができることに注目すべきである。たとえば、図2に示される溝などの平行六面体溝の形態のチャネルを考えることによって、図2に示されるように、方向yにおけるチャネルの位置は、チャネルの側壁から等しい距離に位置するチャネルの対称軸の位置に対応する。
【0117】
距離Dは10~40mmとすることができ、好ましくは、20mm以上且つ30mm以下とすることができる。
【0118】
本発明で得られる均質化効果を示すために、図11は、従来の混合装置の長手方向チャネル(構成A)、及び、本発明の1つの実施形態による混合装置の長手方向チャネル(構成B)における二相混合物の伝播のシミュレーションの結果を示す。
【0119】
構成Aにおいて、混合装置は、長手方向チャネルとして、30mmの規則的な間隔で互いに連続する一連の平行六面体溝を備える溝付きバーの形態であった。各溝は、幅7mm、長さ70mm、及び高さ7mmである。
【0120】
図10に部分的に概略的に示される構成Bにおいて、混合装置は、30mmの規則的な間隔で互いに連続する溝を有する溝付きバーの形態であった。各溝は、幅7mm、長さ63mm、及び高さ7mmである上流側部分323を有する長手方向チャネルの形態であった。下流側部分324は、端部324aにおける幅が7mm且つ第2の出口322における幅が14mmであった円錐台形状を有した。上流側部分323は長さ7mm及び高さ7mmであった。二等辺三角形障害物は、対称軸AA’に対して対称的に下流側部分324に置かれ、z方向の高さが7mmであり、第2の出口322において7mmのベース幅を有した。幅DはDの2倍高さであった。比L/Lは8、長さLは5mmであった。角度θは45°であった。構成Bは、障害物の存在のために、下流側部分の流体通路断面が長手方向zにおいて一定で維持される特定のケースに対応するが、前記部分の幅は第2の出口322の方へ増加することに注目すべきである。
【0121】
構成A及びBの混合装置の長手方向チャネルは、同じ番号に従って、横方向yの同一の位置y、yi+1、・・・に配置された。
【0122】
構成A及びBにおいて、「鋸歯状」型波形11、すなわち、部分的にオフセットされた波形は、各通路において混合装置の出口に配置された。これらの波形は、「1/8インチ鋸歯状」型(1インチ=25.4mm)、すなわち、25.4/8=3.18mmの鋸歯長さであり、横方向yに測定されると、1インチ(1インチ=25.4ミリメートル)あたり23のフィンの密度である波形を有した。
【0123】
シミュレーションは、有限要素法を使用した、三次元CFD(計算流体力学)型演算である。
【0124】
図11は、方向x及びyに平行な平面における出口322の後に位置する波形の連続的な断面上で測定された、出口322と前記平面との間の距離のいくつかの値に対する、長手方向zの流体の最低無次元速度の値(Vzで表す)の進展を示す。これらの速度値は、波形における流体分配の品質を表す。負値は再循環ゾーンの存在を示し、流体はゾーンの中心で停滞している。ゼロ値は、停滞した流体の存在を示す。停滞した流体は更新されないので、それは熱交換に関与せず、交換器の全体効率を低下させる。
【0125】
流体分配性能指標は、すべての流体が長手方向zに正速度を有する長手方向zの必要最小限の距離である。
【0126】
必要最小限の距離は、45mmから31mmまで減少し、従来の構成Aに対して本発明による構成Bにおいて35%減少していることが分かる。本発明によって、混合装置によって分配される二相混合物の均質化は大幅に改善され、交換器の効率は改善される。
【0127】
図12及び図13は、本発明による1つ又は複数の交換器を実装する方法の例を示す。
【0128】
図12は、第2の流体F2として炭化水素流102を液化するための方法を概略的に示し、それは、任意選択的に、前処理された、たとえば、熱交換器1に導入される前に、水、二酸化炭素、硫黄化合物、メタノール、水銀の成分要素のうちの少なくとも1つの分離を経ている天然ガスとすることができる。
【0129】
好ましくは、炭化水素流は、モル分率として、少なくとも60%のメタン、好ましくは、少なくとも80%を備える。
【0130】
炭化水素流102及び冷却流202は、動作中、略垂直である、長手方向zと平行な方向の交換器の専用通路においてその中で循環するために、それぞれ第3の入口25及び第4の入口21を介して、交換器1に入る。炭化水素流102は、第3の入口25によって供給される第2の組の通路20を通って循環する。冷却流202は、交換器1を形成する積層体内に配置された通路の第3の組を通って循環する。これらの流れは、第3の出口22及び第1の出口23を介して出る。第2及び第3の組の通路は、全部又は一部が、交互に、且つ/又は、第1の組の通路10の全部又は一部に隣接して配置される。
【0131】
有利なことには、冷却流202のための第4の入口21及び炭化水素流102のための第3の入口25は、冷却流202、及び、任意選択的に炭化水素流102が、前記交換器の第1の端部1aのレベルより低いレベルにある交換器の第2の端部1bの方へ、並流的に下向きに流れるように配置される。好ましくは、第1の端部1aは、交換器1の高温端、すなわち、流体が交換器の温度の最も高い温度で導入される交換器の入口点に対応し、この入口点は、関連する方法に応じて、第4の入口21又は第3の入口25とすることができる。
【0132】
炭化水素流102は、-130~40℃の温度で、交換器1に導入することができる。
【0133】
1つの可能性に従って、炭化水素流102は、-80~-35℃の温度の、完全に気体の状態、又は、部分的に液化された状態で交換器1に導入される。
【0134】
別の可能性に従って、炭化水素流102は、-130~-100℃の温度の、完全に液化された状態で交換器1に導入される。
【0135】
交換器1を出た冷却流201は、第1の相及び第2の相を備える二相性冷却流203を形成するように、タービン、弁、又は、タービン及び弁の組合せなどの、膨張構成要素T3によって膨張される。二相性冷却流203は、上述の第1の流体F1を形成する。膨張から生じた二相性冷却流203の少なくとも一部は、セパレータ構成要素27に導入される。セパレータ構成要素は、二相流体を、一方の主に気体の流体、及び、他方の主に液体の流体に分離するように適合された任意の装置とすることができる。
【0136】
第2の相62は、第1の組の通路10に配置される混合装置3の第2の入口321を提供するマニホルド52を介して導入される。第1の相61は、各通路10に配置される混合装置3の第1の入口311を提供する第1のマニホルド30を介して導入される(図9に示されない)。
【0137】
好ましくは、第2の相は、交換器1の低温端、すなわち、流体が交換器の流体の温度で最も低い温度で導入される交換器の入口点に対応する第2の端部1bの領域に位置する入口を介して導入される。
【0138】
二相流203の2つの相61、62は、交換器1内で再結合され、本発明による混合装置3がそれぞれ設けられた交換器1の通路10内に気液混合状態で分配される。
【0139】
好ましくは、二相性冷却流203は、-120~-160℃の第1の温度T1で、熱交換器1に導入され、第1の温度T1より高い第2の温度T2で、熱交換器1を出るが、好ましくは、T2は-35~-130℃である。
【0140】
別の可能性に従って、二相性冷却流203は、-130~-80℃の第1の温度T1で、熱交換器1に導入され、第1の温度T1より高い第2の温度T2で、熱交換器1を出るが、好ましくは、T2は-10~50℃である。
【0141】
二相性冷却流203の前記少なくとも一部は、通路10を取って上向きに流れ、天然ガス102及び冷却流202を向流的に冷却することによって気化される。したがって、冷却された且つ/又は少なくとも部分的に液化された炭化水素流101は、交換器1の出口で得られる。
【0142】
気化された冷却流は、圧縮機によって圧縮し、次いで、(図12の26における)外部冷却流体、たとえば、水又は空気と熱交換することにより間接熱交換器で冷却するために、マニホルド55に接続された第2の出口42を介して、交換器1を出る。圧縮機の出口の冷却流の圧力は、2MPa~9MPaとすることができる。間接熱交換器の出口の冷却流の温度は、10℃~45℃とすることができる。
【0143】
図12に記載の方法では、冷却流は、別個の部分に分けられないが、交換器1におけるアプローチを最適化するために、冷却流は、2つ又は3つの部分に分離することもでき、それぞれの部分は異なる圧力レベルで膨張され、次いで、圧縮機のさまざまな段に送られる。
【0144】
好ましくは、冷却流202は、多くとも5つ、好ましくは、多くとも3つ、より好ましくは、多くとも2つの炭素原子を有する炭化水素を含有する。
【0145】
好ましくは、冷却流202は、たとえば、メタン、エタン、及び窒素の混合物などの、炭化水素及び窒素の混合物によって形成されるが、プロパン、ブタン、イソブタン、n-ブタン、ペンタン、イソペンタン、n-ペンタン、及び/又はエチレンを含有することもできる。
【0146】
冷却流の構成成分のモル分率(%)は、以下の通りとすることができる。
- 窒素:0%~10%、
- メタン:20%~70%、
- エタン:30%~70%、
- エチレン:20~70%、
- プロパン:0%~20%、
- n-ブタン:0%~30%、
- イソペンタン:0%~20%。
【0147】
任意選択的に、冷却流は、エタンの代わりとして、エチレンと、プロパンの全部又は一部の代わりとして、C4、C5タイプの化合物とを含むことができる。
【0148】
好ましくは、天然ガスは、好ましくは、大気圧で生成された液化天然ガスの気泡温度に対して少なくとも10℃高い温度(気泡温度は最初の蒸気泡が所定の圧力で液化天然ガス内で形成させる温度を示す)で、且つ、天然ガスの入口圧力と同一の圧力で、少なくとも部分的に液化された101で、最も近い圧力損失まで交換器1を出る。たとえば、天然ガスは、-100℃~-162℃の温度で、且つ、2MPa~7MPaの圧力で交換器1を出る。これらの温度及び圧力の条件の下で、且つ、その組成物に応じて、天然ガスは、大気圧への膨張後、概して液体のままではない。
【0149】
有利なことには、本発明による炭化水素流を液化するための方法は、炭化水素流を予冷するように、上記の主冷凍サイクルの上流で実行される1つ又は複数の追加の冷凍サイクルを実施することができる。
【0150】
図13は、追加の冷凍サイクルを備える、天然ガスなどの炭化水素流を液化するための方法を概略的に示し、天然ガスは、サイクルの効率を向上させるために、少なくとも2つの異なる膨張レベルを使用して、その露点に近い温度まで冷却される。この追加の冷凍サイクルは、次いで、液化交換器を形成する、炭化水素流110の流れの方向における熱交換器1の上流に配置される、予冷交換器と呼ばれる、追加の熱交換器2内の追加の冷却流300によって実装される。
【0151】
本実施形態において、供給流れ110は、たとえば、2.5MPa~7MPaの圧力で、且つ、20℃~60℃の温度で到着する。天然ガスなどの炭化水素の混合物を備える供給流れ110によって、冷却流202及び追加の冷却流300は、下方向の平行且つ並流方向に、その中で循環するために、追加の交換器2に入る。
【0152】
冷却された、又は、少なくとも部分的に液化さえされた炭化水素流102は、予冷交換器2を出る。好ましくは、炭化水素流102は、たとえば、-35℃~-70℃の温度で、気体の状態又は部分的に液化された状態で出る。冷却流202は、たとえば、-35℃~-70℃の温度で、完全に凝縮されて、交換器2を出ることもできる。次いで、流れ102は、交換器1に導入される。
【0153】
図13から分かるように、流れ203は、交換器1で気化されて、圧縮機K2によって圧縮し、次いで、外部冷却流体、たとえば、水又は空気と熱交換することにより間接熱交換器C2で冷却するために、交換器を出る。次いで、交換器C2から生じた冷却流は、追加の交換器2に戻される。
【0154】
追加の冷却流300は、エタン及びプロパンの混合物などの、炭化水素の混合物によって形成することができるが、メタン、エチレン、プロピレン、ブタン、及び/又はペンタンを含有することもできる。第1の冷媒混合物の構成成分のモル分率(%)は、以下の通りとすることができる。
- エタン:30%~70%、
- プロパン:30%~70%、
- ブタン:0%~20%。
【0155】
同様にろう付けプレート及びフィン型である追加の交換器2では、追加の冷却流300から生じた少なくとも2つの部分流れは、少なくとも2つの別個の出口点で、交換器から導かれ、次いで、異なる圧力レベルで膨張され、それぞれが第1の相及び第2の相を備える部分的な二相性の膨張流れを生じる。これらの部分的な二相流の少なくとも一部は、それぞれのセパレータ構成要素24、25、26に導入される。
【0156】
図13の実施形態では、第1の相における追加の冷却流300の、部分流量又は流れとも呼ばれる、3つの部分301、302、303が、連続的に引き出される。
【0157】
各セパレータ構成要素によって分離された気相及び液相は、気液混合状態で専用冷却通路に導入される少なくとも2つの冷媒流体を形成するように、追加の熱交換器2の別個の入口を介して導入されて、混合装置(示されない)内で再結合される。或いは、第1の相のみ、交換器2に注入され、気相は、圧縮機K1の圧縮段の入口の方へ向けられる。これらの冷媒は、供給流れ110及び冷却流202及び追加の冷却流300と熱交換することによって、追加の交換器2で気化される。
【0158】
有利なことには、本発明に従って交換器1内に配置することができるものなど、少なくとも2種類の混合装置2が追加の交換器に配置される。よって、追加の交換器は、混合装置をそれぞれ備える少なくとも2つの冷媒通路を備え、これらの装置は、第1及び第2の混合装置3A、3Bに関して上に記載された特徴のうちの1つ又は複数を備える。
【0159】
それらのそれぞれの冷媒通路の気化された冷媒は、圧縮機K1のさまざまな段に送られ、圧縮され、次いで、外部冷却流体、たとえば、水又は空気との熱交換によりコンデンサで凝縮される。コンデンサから生じた流れは、追加の交換器2に戻される。圧縮機K1の出口における第1の冷却流の圧力は、2MPa~6MPaとすることができる。コンデンサC1の出口における追加の冷却流の温度は、10℃~45℃とすることができる。
【0160】
好ましくは、冷媒は、長手方向zに、追加の交換器2の1つの端部2bから別の端部2aへと上向きに流れる。端部2bは、冷媒が追加の交換器2の温度の最低温度で導入される追加の交換器2の低温端に対応する。
【0161】
当然のことながら、本発明は、本出願において説明及び図示された特定の例に限定されない。他の代替の実施形態又は当業者の能力内の実施形態もまた、本発明の範囲から逸脱することなく考えることができる。たとえば、横方向及び長手方向チャネルの、流体を交換器に注入する/流体を交換器から抽出するための他の構成、流体の他の流れ経路及び方向、他のタイプの流体、他の形態の混合装置などは明らかに、実装されることになる方法により課される制約に依存して考えることができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】